JP5755138B2 - 新規な成体前駆細胞 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な前駆細胞(複数可)(PC)およびそれに由来する分化細胞を含むその子孫;該前駆細胞を分化細胞に分化させることによる、該PCおよび該分化細胞、特に筋肉、骨、軟骨細胞、脂肪細胞、神経またはシュワン細胞を含むその子孫を得る方法;ならびに該分化細胞を培養することにより得られる再構築(re−engineered)組織に関する。さらに、本発明は、該PCおよび該分化細胞を含むその子孫の、例えば顔面熱傷または顔面損傷を受けた個体のための置換組織の生成のための使用;ならびに神経再生の可能性を有する神経細胞の提供に関する。本発明は、該PCおよび得られる子孫の、それに限定されないが、移植片対宿主疾患(GVHD)および糖尿病などの慢性状態を含む免疫関連障害の治療のための使用にも関する。
組織工学での応用のための成体幹細胞(ASC)の単離および使用は、多能性胚性幹細胞(ESC)の使用を取り巻く倫理的および道徳上の問題があるため、大きな関心を集めている。ASCは、皮膚、骨膜、歯髄、臍帯、腱および歯根膜などの体内の複数の部位から単離されている。しかし、骨髄間質細胞(BMSC)が、最も特徴付けられている。骨髄のものにとって代わる代替のASC供給源を見出すための探求は、年齢とともにBMSCの数が減少することと、増殖および分化能が著しく失われることとにより、長く行われている(1)。ASCは、自己再生し、かつ多分化能を有し、したがって治療上の応用を有する。in vitroでのこれらの限定された寿命はまた、それらの潜在的な腫瘍原性を低下させることにより、ESCに対する利点として働く。これらの細胞が単離される組織は、治療上の応用についてのその可能性を決定し、いくらかのASC供給源は、例えば皮質から単離された前駆細胞のように、それらが由来する組織にのみ分化できる(2)。
よって、ASCが誘導によって産生できる一連の分化系統、およびそれらの増殖能力を、組織工学の目的のための理想的な生検部位の探索において考慮することが重要である。実際に、成体組織からの十分な数の幹細胞の単離は、著しく制限され得る。いくらかのASCは、活性テロメラーゼがない/低いと特徴付けられており、このことが、それらのin vitro増殖を困難で限定されたものにしている(2、3)。
さらに、ASCの単離は、しばしば侵襲的であり、例えばBMSCの単離のための骨髄吸引、または皮膚由来前駆細胞の単離のための皮膚生検を必要とし、後者は瘢痕形成をもたらす。
口腔粘膜における創傷治癒は、炎症の低下、迅速な上皮化および最小限の瘢痕形成をもたらす異なる線維芽細胞応答;皮膚において観察されるものと比較して、より「胎児様」であると一般的に考えられるプロセスを特徴とする(4〜8)。
前駆細胞(PC)は、口腔粘膜上皮の基底層に存在すると報告されているが(9〜11)、口腔粘膜固有層(OMLP)に存在する前駆細胞または幹細胞の集団が存在することは、現在までに報告されていない。最近の概説は、皮膚の真皮内のPC集団を参照して、OMLPでの前駆細胞または幹細胞の集団の存在の可能性を強調している(12)。伝統的に、PCは、単能性または多分化能の細胞として記載されている。この観点から、これらは、成体幹細胞と比較できる。しかし、前駆細胞は、細胞分化のさらに先の段階にあるといわれている。これらは、「中間の」幹細胞であり、十分に分化した細胞である。これらが有する能力の種類は、それらの「親」の幹細胞の型、さらにはそれらの生態的地位に依存する。ほとんどの幹細胞のように、これらは、それらにとって成長のための正しい条件を用いてコロニーとして形成され、それらの標的組織に分化する。前駆細胞と成体幹細胞とは多数の特性を共有するが、これらの細胞の組はともに、胚性幹細胞(ESC)とは異なり、つまり、ESCは、多能性で自己再生のための限定されない能力を示す点で真の幹細胞である。これとは対照的に、成体幹細胞と命名される多くの細胞は、前駆細胞と定義されるのがよりよいであろう。なぜなら、限定されない自己再生についてのそれらの能力および可塑性は、包括的には証明されていないからである。前駆細胞は、体の修復機構として働く。これらは、特殊化された細胞を補充するが、血液、皮膚および腸の組織も維持する。
本発明者らは、以前に、患者適合の口腔粘膜および皮膚の線維芽細胞が、創傷環境に関わらない口腔粘膜内で観察される優先的な治癒応答をもたらす、独特の表現型および遺伝子型の差を有することを報告した(6〜8)(Enochら、2009印刷中)。これらの知見は、PC集団がOMLPに特異的に存在する可能性があり、この組織の創傷において観察される優先的な治癒応答に貢献し得るのはこの細胞集団であるという考えを支持する。重要なことに、OMLPからのPC集団の単離は、治療上の応用のために著しい利点を提供し、迅速に治癒されかつ患者に瘢痕を全く/ほとんど形成しない、容易に近づくことができて最小限に侵襲的である生検の部位を提供するだろう。
本発明者らは、本明細書において、口腔粘膜の固有層に存在する新規なPC集団の存在を初めて開示する。この細胞集団は、頬粘膜生検から確実に単離でき、本発明者らは、このPC集団が、治療上の応用について大きな可能性を有していることを驚くべきことに見出した。なぜなら、これは、一連の分化系統に分化でき、さらに、このPC集団は、治療目的のために十分な数の細胞の生成を可能にする有利な増殖能力を有しているからである。実際に、単一OMLP PCを起源とするクローンは、活性テロメラーゼの驚くべき発現により援助されて、in vitroにて迅速に増殖できる。多分化能を有し、間葉系および神経の両方の起源の細胞系統に分化できるのは、これらのクローン集団である。
本発明者らは、本明細書において、本発明の新規なPC集団が、免疫調節性、より具体的には免疫抑制性の可能性を有するとの知見も初めて開示する。実際に、本発明者らは、いくつかのみの本発明のPCをリンパ球と共培養することにより、免疫応答を抑制できることを見出した。このことは、細胞または組織の同種移植について重要な意味を有する。なぜなら、本発明のPCの使用/存在が、組織拒絶に対する防衛手段になるからである。
このことを前後関係に当てはめると、間葉系幹細胞(MSC)は、適応免疫系に対して免疫調節効果を奏することが以前に示されている。ヒト歯根膜幹細胞(これもまた間葉系の起源のもの)を用いて発表された最近の研究は、リンパ球との直接の接触が、最も効果的な免疫抑制効果を生じることを示している(13)。MSCで観察される抑制の程度は用量依存的であり、免疫抑制のレベルの低下が、存在するMSCの数の低下とともに観察される。
対照的に、本発明のOMLP PCは、接触非依存的および用量非依存的に働いて、同種誘導免疫応答の抑制を生じる。この抑制効果は、本発明のOMLP PCの非常に重要な特徴であり得る。なぜなら、重篤な移植片対宿主疾患(GVHD)を直接の原因とする死亡率は、同種造血幹細胞(HSC)移植における主要な障害の1つのままであるからである。GVHDは、HSC移植片に存在するT細胞による、「抗原的に外来の」宿主に対する直接の攻撃を特徴とする。GVHDの治療において報告された臨床試験は限られている。Ringdenらによる最近の研究は、MSCを注入された8名の患者において、これらの患者のうち6名が、全ての症状が解消された完全な応答を示したことを証明した(14)。よって、本発明の前駆細胞またはその子孫を、治療剤として、それ自体で、免疫応答を調節し、それにより、同種造血幹細胞(HSC)移植におけるGVHDなどの炎症性障害を治療するために用い得るということになる。
さらに、本発明の前駆細胞またはその子孫は、治療剤として、それ自体で、免疫応答を調節し、それにより、それに限定されないがGVHDなどの免疫障害を治療するために用い得るということにもなる。
よって、本発明者らは、迅速に治癒し、かつ最小限の瘢痕を形成する最小限に侵襲的な生検部位からの、自己再生し多分化能を有するPC集団を提供することにより、OMLPが、組織工学の応用のための好ましい細胞供給源を提供することを見出した。本発明者らは、さらに、このOMLP PC集団が、他のPCまたはASCと比較したときに有利な免疫調節活性を有することを見出した。
細胞が、口腔粘膜の固有層に由来し、さらに、前記細胞が、多分化能を有し、自己再生し、免疫調節性である単離ヒト成体前駆細胞(PC)およびその子孫。
本明細書において多分化能を有するとは、本明細書に記載されるいくつかの型の細胞へ分化する能力について用いられる。
本明細書において自己再生するとは、限定されない意味ではなく再生することについての言及を含む。
本明細書において免疫調節性とは、本発明のPCまたは分化細胞を含むその子孫の、接触非依存的もしくは用量非依存的に、またはHLAクラスII細胞表面発現の誘導に依存せずに免疫応答を抑制する能力について用いられる。
本発明の好ましい実施形態において、上記のPCは、3重の幹細胞マーカーCD90、CD105およびCD166について陽性である。
さらに、理想的には、上記のPCは、細胞マーカーCD34およびCD45について陰性である。
さらに、理想的には、上記のPCは、以下の4つの(iPS関連、以下を参照されたい)細胞マーカーNanog、KLF−4、Sox2およびOct4について陽性である。
さらに、上記のPCは、以下の細胞マーカーCD90、CD105、CD166、STRO−1、CD44、CD146、Nanog、KLF−4、Sox2、Oct4、Notch1/2/もしくは3、Delta1またはJagged2のいずれか1つまたは複数について陽性である。
本明細書において、明記された細胞マーカーについて細胞が陽性または陰性であるとは、該細胞が該マーカーを発現する能力について用いられ、陽性は該マーカーの発現を表し、陰性は該マーカーの発現の欠如を表す。
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記のPCは、45回を超える集団倍加を受け、理想的には、この倍加時間を通してまたはその一部の間のいずれかにおいてテロメラーゼも発現する。
上記のように、本発明の好ましい実施形態において、上記のPCは、mRNAレベルにおいて転写因子Nanogについて陽性であり(タンパク質レベルでは必須でないが)、このことは、胚性幹細胞における多能性を維持する鍵であると考えられる。さらに、上記のPCは、幹細胞の未分化自己再生に関与する転写因子Oct4についても陽性であり、これは、口腔粘膜固有層をコラゲナーゼで消化した後の新しく単離された細胞において発現する(しかし、これは、伝統的な間葉系幹細胞培地中での培養後に失われる)。さらに、上記のPCは、未分化胚性幹細胞の自己再生の調節およびOct4発現の制御において重要な転写因子であるSox2、ならびに幹細胞の維持に重要であると考えられる別の転写因子であるKLF−4について陽性である。本発明のPCは、神経堤マーカーであるSox10(神経堤および末梢神経系の発達に重要である);Slug、SnailおよびTwistについても陽性であり、ならびに発達マーカーであるNotch1についても陽性である。
これらのマーカーの存在は、該PCが分化できる標的細胞型について意味を有する。実際に、mRNAまたはタンパク質のいずれかのレベルでの上記の胚性マーカー、および前駆細胞における未熟発達マーカーの発現は、誘導多能性幹細胞(iPS)技術の将来の開発および利用のために、現在用いられている細胞型よりも少ない改変を必要とする好ましい細胞型があり得ることを示す。実際に、この観点において、本発明のPCが、iPSにおいて線維芽細胞を胚様幹細胞に再プログラムして戻すために用いられる4つの主な細胞因子(Nanog、KLF−4、Sox2およびOct4)を発現することが重要である。これらの4つの因子がOMLPのPCにおいて自然に発現されていることは、単離でき、かつiPS再プログラミングを必要とせずに胚性幹細胞のように働く細胞集団を本発明者らが有していることを示唆する。よって、本発明者らは、多能性の能力を有するPC集団を有し、かつ/またはさらに本発明者らは、胚性幹細胞型の細胞を生成するために他の細胞型よりも少ない再プログラミングを必要とするPC集団を有する。
よって、本発明のさらなる態様において、以下の4つの細胞マーカー:Nanog、KLF−4、Sox2およびOct4を発現するかまたはそれらについて陽性であるOMLPのPCを含むiPSが提供される。
さらに、本発明のさらなる態様において、
a)対象の口腔粘膜からの試料を、脂肪組織および細胞の上皮層の除去によって処理するステップと、
b)残存する固有層細胞外基質を除去して、細胞の混合懸濁物を得るステップと、
c)潜在的前駆細胞を単離し、この前駆細胞のコロニーを形成させるステップと、
d)前駆細胞に特徴的なマーカーを用いてコロニーを選択するステップと
を含む方法により、口腔粘膜の固有層から前駆細胞を得る方法が提供される。
ステップ(a)において、脂肪組織は、任意の簡便な手段により、例えば生検試料を解剖することにより除去してよい。プロナーゼ/ジスパーゼは、口腔粘膜の上皮層を除去するための適切な酵素である。2mg/ml、37℃にて1晩などの処理が十分であるが、当業者は、この主題について変形を用いてよい。
ステップ(b)において、固有層細胞外基質は、コラゲナーゼを用いる消化により除去してよい。1mg/mlのクロストリジウム・ヒストリティカム(Clostridium histolyticum)Aコラゲナーゼ中での37℃にて1晩のインキュベーションなどの処理が十分であるが、当業者は、この主題について変形を用いてよい。
ステップ(c)において、上記の潜在的前駆細胞は、フィブロネクチン、またはDowthwaiteら、2004ならびにJonesおよびWatt、1993(10、15)により報告されるアミノ酸のRGD配列を含むフラグメントなどの細胞結合剤への差次接着(differential adhesion)により単離できる。フィブロネクチン基質へ接着する単一細胞は、次いで、培養において12〜14日間にわたってコロニーの形成(>32細胞)が可能にされ、得られるコロニーは、クローニングリング内でのトリプシン処理により単離してよい。あるいは、JonesおよびWattの論文において論じられるように、コラーゲンおよびラミニンなどのその他の基質を、上記ステップ(c)における差次接着のための細胞結合剤として用い得る。さらに、十分な細胞が単離されるならば、細胞は、フローサイトメトリーまたは磁気細胞分離(MACS)選択を用いて選別できる。
本発明者らは、この研究のために、(未選別の組織全体からの不均質な単離物よりもむしろ)細胞のクローン集団を特に用いた。なぜなら、このことにより、純粋な細胞集団の正確な規定が可能になるからである。本発明を行うより好ましくない様式として、未選別の組織全体からの不均質な単離物を、従来の技術を用いることにより用いてよい。これらの技術は、例えば、フィブロネクチン、またはDowthwaiteら(2004)ならびにJonesおよびWatt(1993)(10、15)により報告されるアミノ酸のRGD配列、コラーゲンまたはラミニンなどの、例えば、細胞結合剤への差次接着による潜在的前駆細胞の単離を含んでよい。例えばフィブロネクチン基質へ接着する単一細胞は、集密まで成長させた後に、単層培養における不均質前駆細胞培養として継代して増殖させることができる。
上記のステップ(d)において、前駆細胞に特徴的なマーカーは、胚性幹細胞の自己再生の維持において鍵となると考えられるテロメラーゼ;および多能性の維持において鍵となると考えられる転写因子Nanog;および幹細胞の未分化自己再生に関与する転写因子Oct4を含む。アッセイし得るその他のマーカーは、神経堤マーカー、例えばSox10(神経堤および末梢神経系の発達に重要である);Slug、Snail、Twistおよびp75である。別の有用なマーカーは、発達マーカーNotch1である。アッセイし得るその他のマーカーは、CD90、CD105、CD166、STRO−1、CD44、CD146、CD34、CD45、Sox2、KLF−4、Notch2または3、Delta1およびJagged2を含む。CD34およびCD45を除いて、上記のマーカーのいずれか1つまたは複数について陽性、これらのマーカーの好ましくは1より多く、例えば好ましさが増大する順序で少なくとも2、3、4、5または6以上について陽性である選択された細胞について探索するだろう。これらの前駆細胞が造血性の起源のものでないことを確実にするために、CD34およびCD45陰性である選択された細胞について探索するだろう。
マーカーの存在または不在は、標準的な方法、好ましくは免疫細胞化学的方法または蛍光標示式細胞選別(FACS)分析により決定してよい。
よって、本発明のさらに好ましい方法において、上記の方法は、(c)の後でかつ(d)を行う前に、上記の特定のマーカーのいずれか1つまたは複数の発現を、それらに限定されないが免疫細胞化学的方法または蛍光標示式細胞選別(FACS)分析などの従来の方法を用いて決定することを含むさらなるステップを含む。
本発明のさらに好ましい方法において、方法は、
e)ステップ(d)で選択されたコロニーを増殖させる追加のステップ
をさらに含み得る。
通常、これらの選択されたコロニーは、単層培養において増殖され、これは、老化まで継続し得る。
当業者により知られるように、選択された表現型への前駆細胞の分化は、培養条件を変更することにより達成できる。例えば、本発明者らは、10%胎児ウシ血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養された細胞が、線維芽細胞型の形態を示し、3重の幹細胞マーカーCD90、CD105およびCD166と、さらに理想的には一連のSTRO−1、CD44、CD146の発現を維持し、またさらに、これらは理想的にはCD34およびCD45陰性であることを見出した。しかし、培養培地を変動させることにより、軟骨細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、骨細胞および神経細胞を得ることが可能である。培養培地のさらなる詳細は、以下の実施例に示す。
しかし、簡単に、軟骨細胞は、PCを、ペレット培養系において、1×インスリン、トランスフェリンおよびセレン(ITS)サプリメント(Invitrogen、UK)、50μg/ml L−アスコルベート(Sigma、UK)ならびに5ng/mlトランスフォーミング成長因子ベータ1(TGFβ1)(Peprotech EC Ltd.、UK)を補った基本培地(2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBを補ったダルベッコの改変イーグル培地[DMEM])中で培養することにより得た。
骨細胞は、造骨誘導培地(10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンB、50μg/ml L−アスコルベート、10μMデキサメタゾンおよび5mMベータ−グリセロホスフェート(Sigma、UK)を補ったアルファ改変イーグル培地(α−MEM)(Invitrogen、UK))を用いて得た。
脂肪細胞は、脂肪生成誘導培地(10μg/mlインスリン、1μMデキサメタゾン、100μMインドメタシン、100μM 3−イソブチル−1−メチル−キサンチン[IBMX](Sigma、UK)を補ったSCM)を3日間用い、次いで、10μg/mlインスリンをさらに24時間補ったSCMからなる脂肪生成維持培地に交換して得た。細胞に、次いで、誘導培地を再供給した。この培地のサイクルは、28日間反復した。
神経およびシュワン細胞分化系統についてのPCは、0.1mMβ−メルカプトエタノール(Sigma、UK)、1%(v/v)非必須アミノ酸(Invitrogen、UK)、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBおよび80ng/ml組換えヒト塩基性線維芽細胞成長因子(rhbFGF)(Peprotech EC Ltd.、UK)を補ったX−VIVO(商標)10培地(Lonza Group Ltd.、UK)を用いて成長させた。
これらの細胞を、以前に記載されたプロトコルを用いる神経分化に供した(16、17)。簡単に、単一細胞懸濁物を計数し、0.1%Matrigel(商標)(BD Biosciences、UK)で被覆したチャンバスライド上に、5.6×10細胞/cmにて、40ng/ml hrbFGF、10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシンおよび0.25μg/mlアンホテリシンBを補ったDMEM−F12(3:1)培地中で播種した。細胞を、培地を3日ごとに交換しながら7日間培養した。培養7日後に、rhbFGFを培養培地から除去し、10ng/ml神経成長因子(NGF)、10ng/ml脳由来成長因子(BDNF)および10ng/mlニューロトロフィン3(NT3)に置き換えた。細胞を、培地を3日ごとに交換しながらさらに7日間培養した。
シュワン細胞の分化は、Tomaら、(2005)(18)により以前に記載されたとおりであった。コラゲナーゼ処理細胞を、神経分化について記載されたものと等しい密度にて、ポリ−D−リジンラミニン被覆チャンバスライド上に播種した(2μg/ml)。細胞を、10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシンおよび0.25μg/mlアンホテリシンBを含むDMEM−F12(3:1)中で7日間培養した。培地を、次いで、1%(v/v)FCS、1%(v/v)N2サプリメント(Invitrogen、UK)、4μMフォルスコリン(Sigma、UK)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBおよび10ng/mlヘレグリンβ1(Peprotech EC Ltd.、UK)を含む神経基本培地(Invitrogen、UK)に置き換えた。細胞を、この培地中でさらに7日間維持した。50%の馴化培地を細胞に再び与えながら、培地を3日ごとに交換した。
このようにして、好ましくは、上記の方法は、上記の選択されたPCの分化を含む最後のステップであって、本明細書に記載される選択された様式で上記のPCの培養条件を変更することにより分化を行って、選択された分化細胞を生成するステップをさらに含む。
さらに、本発明のさらなる態様において、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、シュワン細胞および/または神経細胞を得る方法であって、口腔粘膜の固有層から得られた少なくとも1つの前駆細胞(PC)またはその子孫を分化させるステップを含む方法が提供される。
本発明の関係において、「筋肉細胞」とは、平滑筋および横紋筋の両方の細胞のことをいい、「骨細胞」とは、骨芽細胞および骨細胞のことをいう。
本発明のさらなる態様において、口腔粘膜の固有層から単離された少なくとも1つの前駆細胞を分化させることにより得られた少なくとも1つの分化細胞が提供される。
理想的には、上記の分化細胞は、軟骨細胞または筋肉細胞または脂肪細胞または骨細胞またはシュワン細胞および/または神経細胞である。
このような分化細胞の例は、軟骨を生成できる細胞(アグリカン+、Sox9+、col2a1タイプA+のマーカーにより確認される)、脂肪細胞(オイルレッドO染色の発現と、理想的にはリポタンパク質リパーゼ、CAATT/エンハンサー結合タンパク質アルファ[CEBPα]およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ[PPARγ]のメッセンジャーRNAレベルでの発現によっても確認される)、骨細胞(フォン・コッサ染色およびアルカリホスファターゼ染色により確認される)(図12)、シュワン細胞(免疫細胞化学によるS100およびミエリン塩基性タンパク質(MBP)の生成により確認される)および神経細胞(免疫細胞化学によるnestin、ベータIIIチューブリン(TUJ−1)、ニューロフィラメントM、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)および微小管結合タンパク質2(MAP2)の生成により確認される;図6a〜gも参照されたい)を含む。
本発明のこの態様の好ましい実施形態において、上記の分化細胞は、上記の方法を用いて得られ、クローンとして導かれる細胞もそうである。
さらなる態様において、本発明は、上記の分化細胞を培養することにより得られる再構築組織も提供する。
本発明の上記のPCおよび再構築組織は、種々の医療上の応用において有用であり得るので、本発明のさらなる態様において、医薬品で用いるための本発明の分化細胞または再構築組織が提供される。
例えば、これらの細胞から形成される骨細胞、筋肉細胞、軟骨、脂肪細胞および再構築組織は全て、創傷もしくは熱傷の治療において、または疾患、例えばがんを原因とする損傷の修復において用いてよい。このことは、顔の損傷および瘢痕の治療のために特に重要である。
神経細胞は、パーキンソン病などの神経障害のために用いてよい。シュワン細胞は、神経損傷修復のため、および脊髄損傷の治療において用い得る。
有利には、上記のPC(複数可)または分化細胞を含むその子孫は、治療される患者に由来してよいが、代わりに、別の個体に由来して、同種組織工学および移植において用いてよい。後者のオプションは、上記のPCまたはその子孫の固有の免疫調節性の性質と、特に、免疫応答を抑制するこれらの細胞能力とのおかげで、本発明を行うものが用い得る。
さらに、治療される個体または任意の別の人に由来する上記のPCまたは上記のそれらの子孫は、治療される個体とは別の個体に由来する分化組織と同時投与してよく、この場合に、上記のPCまたはそれらの子孫は、有利な免疫抑制性の効果を奏する。
よって、別の態様において、本発明は、創傷、熱傷の治療または疾患を原因とする損傷の修復の方法であって、損傷組織を、上記の分化細胞または再構築組織で置き換えるステップを含み、該分化細胞または組織が、治療される患者に由来するか、または別の個体のOMLPのPCに由来する方法を提供する。
さらに、別の態様において、本発明は、創傷、熱傷の治療または疾患を原因とする損傷の修復の方法であって、i)治療される個体とは別の個体に由来し、OMLPのPCに由来しない分化細胞または組織と、ii)OMLPのPCまたはその子孫とを同時投与するステップを含む方法を提供する。
OMLPのPCまたはその子孫の免疫抑制性の性質により、上記のパートii)における前記PCは、任意の個体に由来してよい。本発明のこの後者の態様の例は、GVHDに対する防衛手段のためまたは治療のための、治療される個体とは別の個体からの造血幹細胞と、本発明のPCとの同時注入である。
本発明のさらなる態様において、治療される個体に前駆細胞または分化細胞もしくは組織を含むその子孫、あるいは上記の方法により得られる前駆細胞またはその子孫を投与するステップを含む、炎症性障害または免疫障害を治療する方法が提供される。
本発明のさらなる態様において、上記のあるいは上記の方法により得られる前駆細胞または分化細胞もしくは組織を含むその子孫の、医薬品としての使用が提供される。
好ましい実施形態において、上記の使用は、以下の障害のいずれか1つまたは複数を治療するためである:創傷、熱傷、組織損傷、炎症、自己免疫、GVHD同種造血幹細胞(HSC)移植、糖尿病または免疫障害。
本発明を、ここで、図面を参照にしてさらに詳細に説明する。
フィブロネクチン上を被覆し、差次接着により単離されたp75陽性細胞を示す写真である。 (a)DMEM/10%FCS、(b〜c)X−VIVO10培地で増殖させたコロニーにおける異なる形態を示す写真である。(b)は、ラミニン基質に付着した典型的なニューロスフェア様構造を示し、(c)は、このようなスフェアから出て遊走し、(a)で見られる線維芽細胞の形態とは対照的に神経様の形態を採用する細胞を示す。 SY5Y神経芽腫株化細胞の典型的な形態を示す写真である。単一分化神経細胞は、培養プレートに付着する未分化細胞のクラスタから出て遊走することが観察される(http://en.wikipedia.org/wiki/SHSY5Y)。 単離コロニーを、Liら、2005により記載されるX−VIVO10培地条件を用いて単層培養で増殖させたときに産生されるニューロスフェアの顕微鏡写真である。バー=50μm X−VIVO10培地中で培養された未分化のOMLP前駆細胞における、FITC複合2次抗体を用いる免疫細胞化学による神経マーカー(a)ニューロフィラメントM(陰性)、(b)TUJ−1(陽性)および(c)GFAP(陽性)と、シュワン細胞マーカー(d)MBP(陰性)および(e)S100(陽性)の免疫局在化を示す写真である。バー=50μm。シグナルが観察されなかったので、MAP2データは示していない。 分化OMLP前駆細胞における、FITC複合2次抗体を用いる免疫細胞化学による神経マーカー(a)Nestin、(b)TUJ−1(c)ニューロフィラメントM、(d)GFAPおよび(e)MAP2と、シュワン細胞マーカー(f)MBPおよび(g)S100の免疫局在化(全て陽性)を示す写真である。バー=10μm(図6eにおいて50μm) OMLPにおける胚性マーカーおよび発達マーカーの陽性の発現を示す写真である。OMLP消化物全体のうちの胚性マーカー(Nanog、Oct4、Sox2、KLF−4およびhTERT)および発達マーカー(Notch1、2、3、Delta1およびJagged2)の陽性の発現は、RT−PCRにより決定した。HuES9 ESC RNAを、全ての反応について陽性対照として用いた。 PCがOMLPから確実に単離でき、In Vitroで迅速に増殖することを示す図である。 PCは、OMLP消化物から差次接着によりクローンとして増殖させた(A)。複数のPCクローンを3名の患者から単離し、これらは線維芽細胞様の形態を示し(A、B)、in vitroにて迅速に増殖し、細胞老化に到達する前に合計で>50PDになった(C、D、E)。 OMLP PCが、幹細胞マーカーを発現し、造血性または線維細胞の起源でないことを示すグラフである。 FACS分析を、幹細胞マーカーCD90、CD105、CD166およびCD44、ならびに造血/線維細胞マーカーCD34およびCD45の発現について、増殖クローンに対して行った。3名の患者から単離したPCクローンは、CD90、CD105、CD166、CD44、CD34およびCD45と確認された。 OMLP PCが活性テロメラーゼを発現することを示す図である。 PCコロニーは、テロメラーゼの発現をICCにより示した(A)。発現は、Q−TRAPによる単層増殖の後に定量した。全てのクローン(n=3)は、活性テロメラーゼについて陽性であった(B、C、D)。熱不活化(HI)を対照として用いた。アクリルアミドゲルでのQ−TRAP生成物の分離により、テロメア反復「脚立」効果が確認された(E)。 OMLP PCが神経堤を起源とすることを示す図である。 2名の患者からのPCのCFEは、Jagged1の存在下で著しくより高かった(A、B、C)。神経堤起源は、発達中のコロニーにおける神経堤マーカー(D)Snail、(E)Slug、(F)Sox10、(G)Twistおよび(H)Notch1の発現により、ICCにより確認した。 OMLP PCが、間葉系細胞系統に分化できることを示す写真である。 PCは、間葉系細胞系統に分化された。軟骨形成分化系統への分化は、ワンギーソン染色(A)およびアグリカンICC(B)により確認した。造骨誘導は、カルシウム沈着についてのフォン・コッサ染色(C)および脂肪滴についてのオイルレッドO染色による脂肪生成誘導(D)により分析した。 OMLP PC上の細胞表面(a、b)HLAIの発現レベルを示すグラフである。 OMLP−PC上での細胞表面の(a、b)HLAIおよび(c、d)HLAII発現の発現レベルと、IFNγの存在/不在での蛍光強度中央値の変化を示すヒストグラム。記号:赤はIg対照を、緑は第1日を、青は第2日をおよび茶色は第7日を示す。 非刺激OMLP−PCでのHLAIIタンパク質の不在を示す写真である。 非刺激OMLP−PCでのHLAIIタンパク質の不在、およびIFNγでの刺激を用いる24時間後のその誘導を示すウェスタンブロット。 リンパ球増殖に対するOMLP−PCの用量非依存的な阻害効果を示すグラフである。 リンパ球増殖に対するOMLP−PCの有効な阻害効果を示す1元MLCの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、CPM+/−標準偏差として表す。これらのデータは、1つのOMLP−PCクローンからであるが、試験した全てのクローンの代表である。***ボンフェローニの多重比較検定を用いる1元ANOVAにより決定したP<0.001。 リンパ球増殖に対するMSCの変動性の阻害効果を示すグラフである。 リンパ球増殖に対するMSCの変動性の阻害効果を示す1元MLCの結果。これらのデータは、この現象が用量依存的であることを示す。データは、CPM+/−標準偏差として表す。 T細胞増殖に対するOMLP−PCの用量非依存的な阻害効果を示すグラフである。 T細胞増殖に対するOMLP−PCの有効な阻害効果を示す1元MLCの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、CPM+/−標準偏差として表す。これらのデータは、1つのOMLP−PCクローンからであるが、試験した全てのクローンの代表である。***ボンフェローニの多重比較検定を用いる1元ANOVAにより決定したP<0.001。 リンパ球増殖に対するOMLP−PCの接触非依存的な阻害効果を示すグラフである。 接触非依存的なリンパ球増殖に対するOMLP−PCの潜在的阻害効果を示す1元MLCの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、CPM+/−標準偏差として表す。これらのデータは、1つのOMLP−PCクローンからであるが、試験した全てのクローンの代表である。 ***ボンフェローニの多重比較検定を用いる1元ANOVAにより決定したP<0.001。 Treg細胞数に対するOMLP−PCの効果の欠如を示すグラフである。 Treg細胞数に対するOMLP−PCの効果がないことを示すFACSの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、平均%TReg細胞+/−標準偏差として表す。これらのデータは、3名の患者からである。 CD3+CD38+活性化T細胞に対するOMLP−PCの効果を示すグラフである。 接触させてまたはトランスウェル中でレスポンダー細胞と共培養した場合の、CD3+CD38+活性化T細胞数に対するOMLP−PCの効果を示すFACSの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、平均%CD3+CD38+T細胞+/−標準偏差として表す。これらのデータは、3名の患者からである。 CD3+CD25+活性化T細胞に対するOMLP−PCの効果を示すグラフである。 接触させてまたはトランスウェル中でレスポンダー細胞と共培養した場合の、CD3+CD25+活性化T細胞数に対するOMLP−PCの効果を示すFACSの結果。これらのデータは、この現象が用量非依存的であり、IFNγでの予備刺激によるHLAII発現の誘導に関係しないことを示す。データは、平均%CD3+CD25+T細胞+/−標準偏差として表す。これらのデータは、3名の患者からである。
材料および方法
前駆細胞の単離および培養での維持
正常で疾患がない頬粘膜生検を、School of Dentistry、University Hospital of Wales、Cardiff University、UKにて日常的な歯科処置を受ける、同意を得た患者(n=3)から得た。この研究について、地方の倫理委員会の承認は既に得られ、提供者は、ヘルシンキ協定に従って情報提供を受けた。
単一細胞懸濁物を、以前に記載されたようにして(6)生検の酵素消化の後に得た。組織の表面を70%エタノールで滅菌し(30秒)、いずれの過剰の脂質も、組織から外して整え、これを5mm片に切断した。組織を、次いで、4℃にて1晩、ジスパーゼ(Sigma、UK;cat.noP−3417;2mg/ml)とインキュベートして、上皮と固有層組織との分離を助けた。次の日に、上皮組織を固有層組織からはがして廃棄した。OMLP組織を、次いで、機械的に細かく切り刻み、37℃にて1晩、クロストリジウム・ヒストリティカムAコラゲナーゼ(Roche Life Sciences、UK;cat.no103586;1mg/ml)を用いて解離させた。ジスパーゼおよびコラゲナーゼ溶液は、血清含有培地(SCM)[2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBおよび10%(v/v)熱不活化胎児ウシ血清[FCS](cat.no10270−106)を補ったダルベッコの改変イーグル培地[DMEM](cat.no21969−035)]中で作製した。培地およびサプリメントは、Invitrogen、UKから購入した。遊離された細胞を次いでペレットにし、洗浄し、再びペレットにした後に、基本培養培地(2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBを補ったダルベッコ改変イーグル培地[DMEM](cat.no21969−035))中に再懸濁した。
PCは、フィブロネクチンへのその後の差次接着により分離した(10、15)。基本培養培地中のOMLP単一細胞懸濁物を、ウシ血漿フィブロネクチン(PBS+[0.1Mリン酸緩衝食塩水、pH7.4、1mM塩化マグネシウムおよび1mM塩化カルシウムを含有]中で4℃にて1晩希釈した10μg/ml;Sigma、UK;cat.noF−4759)被覆6ウェルプレート上に播種し、37℃にて20分間インキュベートした。この時間枠内での非接着細胞を廃棄し、接着細胞に、単一細胞コロニーを(>32細胞、本発明者らの分析からのいずれの潜在的な推移増幅細胞も排除する)、SCM中で37℃にて5%CO湿潤環境にて形成することを可能にした。所定のコロニー中の細胞を手動で計数した後に、クローニングリング内で0.05%(w/v)トリプシン/0.53mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(Invitrogen、UK;cat.no25300−054)を用いるトリプシン処理により単離し、SCM中に2×10細胞/cmの密度にて再び播種した。
集密に到達すると、細胞を、0.05%(w/v)トリプシン/0.53mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(Invitrogen、UK;cat.no25300−054)を用いるトリプシン処理により継代し、上記の密度を用いて再び播種した。in vitroでの細胞集団の集団倍加(PD)は、以前に記載されたようにして(19)それぞれの継代の細胞数を直接計数することにより導いた。クローンPC集団を、<0.5の週あたりの定常PDレベルと細胞形態の評価とにより規定される老化まで培養した。
クローンの不均質増殖
この方法は、「前駆細胞の単離および培養での維持」の標題の下に記載された技術の多くを伴う。しかし、フィブロネクチンへの差次接着によるPCの単離の後に、接着細胞を集密まで成長させた後に、単層培養上での不均質前駆細胞集団として継代して増殖させた。
胚性マーカーおよび発達マーカーについてのRT−PCR
RNAを、OMLP消化物全体からTrizol(登録商標)(Invitrogen、UK)を用いて抽出した。cDNAを、0.5μgの全RNAから、ランダムヘキサマープライマーおよびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(Promega、UK)を製造者の使用説明に従って用いて得た。標準的なPCR反応を、GoTaq(登録商標)(Promega、UK)を製造者の使用説明に従って、94℃にて5分間の最初の変性ステップ、その後94℃(1分)、Ta(30秒)、72℃(1分)を40サイクル、さらに72℃にて10分間の最終伸長ステップを用いて行った。cDNAを、Nanog(17)[F 5’TGC TTA TTC AGG ACA GCC CT 3’およびR 5’TCT GGT CTT CTG TTT CTT GAC T 3’]Ta 44℃、Oct4(20)[F 5’CGA CCA TCT GCC GCT TTG AG 3’およびR 5’CCC CCT GTC CCC CAT TCC TA 3’]Ta 60℃、Sox2[F 5’AAC CCC AAG ATG CAC AAC TC 3’およびR 5’CGG GGC CGG TAT TTA TAA TC 3’]Ta 55℃、KLF−4[F 5’ACC CAC ACA GGT GAG AAA CC 3’およびR 5’ATG TGT AAG GCG AGG TGG TC 3’]、Ta 55℃、hTERT(21)[F 5’CGG AAG AGT GTC TGG AGC AA 3’およびR 5’GGA TGA AGC GGA GTC TGG A 3’]Ta 55℃、Notch 1[F 5’CTA CCT GTC AGA CGT GGC CT 3’およびR 5’CGC AGA GGG TTG TAT TGG TTC G 3’]Ta 56℃、Notch 2[F 5’AAG CAG AGT CCC AGT GCC TA 3’およびR 5’CAG GGG GCA CTG ACA GTA AT 3’]Ta 56℃、Notch 3[F 5’CAG TCG CCT GAG AAT GAT CAC 3’およびR 5’GAA TGA CCA GCA GCA AGA CAG 3’]Ta 53℃、Delta 1[F 5’ATC CTT GTC CTC ATG CTG CT 3’およびR 5’GCC TTG AAG CCA TTC TTG TC 3’]Ta 53℃およびJagged 2 [F 5’CTA CAA TGG TGG CAT CTG TG 3’およびR 5’GCG ATA CCC GTT GAT CTC AT 3’]Ta 53℃の発現について分析した。発表していないプライマーは、Primer3プライマー設計ソフトウェア(http://frodo.wi.mit.edu/cgi−bin/primer3/primer3_www.cgi)を用いて設計した。PCR生成物をアガロースゲルで分離し、0.005%(v/v)臭化エチジウムで視覚化した。HuES9 ESC分化系統のcDNAの陽性対照は、全ての反応において行った。
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーのための増殖細胞を、Accutase(商標)(Sigma、UK)での処理により継代し、計数した後に染色した。細胞懸濁物をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄して残存血清を除去した後に、3重の幹細胞マーカーCD90−アロフィコシアニン(APC;R&D Systems、UK)、CD105−R−フィコエリスリン(RPE)およびCD166−フルオレセインイソチオシアネート(FITC)(全ての抗体の50倍希釈;Ancell Inc.、USA)を用いて4℃にて45分間3重標識した。細胞は、同じ方法を用いて、造血および線維細胞マーカーCD34−FITCおよびCD45−RPE(1:50;Ancell Inc.、USA)について別に染色した。細胞をPBS中で2回洗浄した後に、2%パラホルムアルデヒドで5分間、氷上で固定した。固定された細胞懸濁物を1mlのPBSで希釈した後に検出した。
細胞を、488nmおよび633nmのレーザ励起光源を備えるFACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences、UK)で、試料あたり30,000事象を記録して分析した。フルオロフォア複合免疫グロブリンおよび単一染色物は、それぞれ対照であった。全てのデータは、補正した後にFlowJoバージョン7.2.2ソフトウェア(Tree Star Inc.、USA)で分析した。
定量的テロメア増幅プロトコル(Quantitative Telomeric Amplification Protocol)(Q−TRAP)
増殖クローン内の活性テロメラーゼの存在を、Wegeら2003(22)により以前に記載されたものに適合させたQ−TRAP法を用いて分析して定量した。簡単に、細胞を、TRAPEZE(登録商標)1×CHAPS溶解バッファー(Chemicon International、UK)中で、10,000細胞/μlの濃度にて、氷上で30分間溶解した。溶解した細胞を20分間、20,000×gにて4℃で遠心分離した。ドライアイスを用いて可溶化液の上清を直ちに凍結させ、使用時まで−80℃にて貯蔵した。12.5μl Sybr Green PCRミックス(Applied Biosystems、UK)、100ngのTSプライマー[5’AATCCGTCGAGCAGAGTT3’]、50ng ACXプライマー[5’GCGGCGCTTACCCTTACCCTAACC3’](プライマー配列はKimおよびWu(1997)(23)により以前に発表された)および合計20μlまでのジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水のマスターミックスを作製し、5μl中の10,000細胞の等価物を反応あたりに加えた。熱不活化(85℃にて30分)可溶化液および溶解バッファーを、陰性対照として用いた。501mel細胞可溶化液(範囲1〜10,000細胞)の標準曲線を作製して、相対的テロメラーゼ発現を計算した。全ての反応を、3重で、AbiPrism7000配列検出システム(Applied Biosystems、UK)を用いて行い、データを、10,000細胞の501mel陽性対照株化細胞に対する相対的テロメラーゼ発現のパーセンテージとして表した。
可溶性Jagged1の存在下でのコロニー形成効率
コロニー形成効率(CFE)を、上記のようにしてフィブロネクチンへの差次接着を用いて確立した。コロニーは9日間、SCM+/−Notchリガンド、組換えラットJagged1/Fcキメラ(R&D Systems、UK;50ng/ml)中での培養において形成させた。培養培地およびJagged1は3日ごとに置き換えた。
CFEは、形成されたコロニー(>32細胞)の総数の、最初の接着細胞数に対する比率として表した。
免疫細胞化学法(ICC)
発達中のコロニー:フィブロネクチン被覆マルチウェルプレートに接着した、発達中のコロニー内の細胞を、氷冷メタノール:アセトン(1:1)中で20分間、4℃にて固定した。細胞をPBS中で洗浄した後に、0.1%Triton(登録商標)X100(Sigma、UK)で室温にて20分間透過にした(p75神経成長因子[NGF]受容体、Twist、SlugおよびSox10抗体のみ)。テロメラーゼ染色のために固定した細胞を、抗体の製造者の使用説明に従って、2N塩酸と20分間、室温にてインキュベートした後に、0.1Mホウ酸ナトリウムを5分間用いて中和した。細胞を、その後、適切な血清(Dako UK Ltd.、UK;20倍希釈)中で30分間、室温にてブロックした。細胞を、1次抗体中で、4℃にて1晩インキュベートした(p75 NGF受容体[ME20.4]1:100、Twist[H−81]1:50;Slug[G−18]1:100;Santa Cruz Biotechnology Inc.、Santa Cruz、CA;Snail[Ab17732]1:50;Sox10[Ab25978]1:50;テロメラーゼ[Ab5181]1:2000;Abcam Plc、UK;Notch1[bTAN20]1:5;Developmental Studies Hybridoma Bank、USA)。テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)抗ウサギ、FITC抗マウス(Dako UK Ltd.、UK)、FITC抗ヤギおよびFITC抗ラット(Sigma、UK)の2次抗体を、室温にて1時間インキュベートした。
後神経およびシュワン細胞分化:細胞を、以前に記載されたようにして固定し、洗浄し、ブロックした。微小管結合タンパク質2(MAP2)抗体とインキュベートした細胞を、0.2%Triton(登録商標)X100で透過にした後にブロックした。細胞を、1次抗体中で4℃にて1晩インキュベートした(MAP2[HM−2]1:400;グリア線維結合タンパク質(GFAP)[GF−5]1:200;ニューロン特異的β−IIIチューブリン[TUJ−1]1:1000;ニューロフィラメントM(NFM)[Ab9034]1:500;S100[4C4.9]1:50;ミエリン塩基性タンパク質(MBP)[EP1448Y]1:100;Abcam Plc、UK)。2次抗体インキュベーションは、上記のとおりであった。
適切であれば、核を、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)含有封入剤(Vector Laboratories、UK)を用いて対比染色し、Olympus Provis AX70顕微鏡(Olympus Optical Co.,UK Ltd.)をNikon DXM1200カメラおよびNikon ACT−1ソフトウェア(Nikon UK Ltd.)とともに用いて視覚化した。
軟骨形成性、造骨性および脂肪生成性の分化
増殖クローンの単一細胞懸濁物を、複数の間葉系細胞系統の分化誘導プロトコルに供した。
軟骨形成性分化:単一細胞懸濁物を、1分あたり1500回転(RPM)にて、微小遠心管中で、1mlのSCM中に試験管あたり5×10の濃度でペレットにした。ペレットを1晩形成させた。SCMを、軟骨形成性誘導培地(1×インスリン、トランスフェリンおよびセレン(ITS)サプリメント(Invitrogen、UK)、50μg/ml L−アスコルベート(Sigma、UK)および5ng/mlトランスフォーミング成長因子ベータ1(TGFβ1)(Peprotech EC Ltd.、UK)を補った基本培地)に置き換えた。ペレットを遠心分離した後に馴化培地を吸引して、培地を2日ごとに交換した。ペレットを21日まで培養で維持した。
造骨性分化:細胞を、6ウェル培養皿に、3×10細胞/cmの濃度で播種した。細胞を、SCM中で集密が得られるまで培養し、培地を、造骨性誘導培地(10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンB、50μg/ml L−アスコルベート、10μMデキサメタゾンおよび5mMベータ−グリセロホスフェート(Sigma、UK)を補ったアルファ改変イーグル培地(α−MEM)(Invitrogen、UK))に置き換えた。培養物に、造骨性誘導培地を3日ごとに供給して、合計で21日間培養した。
脂肪生成分化:細胞を、6ウェル培養皿に、3×10細胞/cmの濃度で播種した。細胞を、SCM中で集密が得られるまで培養し、培地を、脂肪生成性誘導培地(10μg/mlインスリン、1μMデキサメタゾン、100μMインドメタシン、100μM 3−イソブチル−1−メチル−キサンチン[IBMX](Sigma、UK)を補ったSCM)に3日間置き換えた。細胞を、次いで、脂肪生成性維持培地(10μg/mlを補ったSCM)とさらに1日インキュベートした。細胞を、合計で28日間の反復誘導および維持サイクルで培養した。
神経細胞およびシュワン細胞分化
単離したコロニーを培養し、限定ESC培地中で増殖させた(24)。コロニーを以前に記載されたようにしてトリプシン処理し、ヒトラミニン被覆マルチウェルプレート(2μg/cm;Sigma、UK)に播種した。細胞を、0.1mMβ−メルカプトエタノール(Sigma、UK)、1%(v/v)非必須アミノ酸(Invitrogen、UK)、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBおよび80ng/ml組換えヒト塩基性線維芽細胞成長因子(rhbFGF)(Peprotech EC Ltd.、UK)を補ったX−VIVO(商標)10培地(Lonza Group Ltd.、UK)で維持した。
細胞を継代し、ニューロスフェアを、1mg/mlクロストリジウム・ヒストリティカムコラゲナーゼIV(Invitrogen、UK)中で5〜10分間、37℃にてインキュベートし、その後機械的に分離することにより分離した。
細胞を、以前に記載されたプロトコルを用いる神経分化に供した(16、17)。簡単に、単一細胞懸濁物を計数し、0.1%Matrigel(商標)(BD Biosciences、UK)で被覆したチャンバスライド上に、5.6×10細胞/cmにて、40ng/ml hrbFGF、10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシンおよび0.25μg/mlアンホテリシンBを補ったDMEM−F12(3:1)培地中で播種した。細胞を、培地を3日ごとに交換しながら7日間培養した。培養7日後に、hrbFGFを培養培地から除去し、10ng/ml神経成長因子(NGF)、10ng/ml脳由来成長因子(BDNF)および10ng/mlニューロトロフィン3(NT3)に置き換えた。細胞を、培地を3日ごとに交換しながらさらに7日間培養した。
シュワン細胞の分化は、Tomaら、(2005)(18)により以前に記載されたとおりであった。コラゲナーゼ処理細胞を、神経分化について記載されたものと等しい密度にて、ポリ−D−リジンラミニン被覆チャンバスライド上に播種した(2μg/ml)。細胞を、10%(v/v)FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシンおよび0.25μg/mlアンホテリシンBを含むDMEM−F12(3:1)中で7日間培養した。培地を、次いで、1%(v/v)FCS、1%(v/v)N2サプリメント(Invitrogen、UK)、4μMフォルスコリン(Sigma、UK)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBおよび10ng/mlヘレグリンβ1(Peprotech EC Ltd.、UK)を含む神経基本培地(Invitrogen、UK)に置き換えた。細胞を、この培地中でさらに7日間維持した。50%の馴化培地を細胞に再び与えながら、培地を3日ごとに交換した。
免疫組織化学法
培養21日後の軟骨形成分化細胞ペレットの10μmの凍結切片を採集した。切片をPBS中で10分間洗浄した後に、ヤギ血清(1:20;Dako UK Ltd.、UK)中で室温にて30分間ブロックした。切片を、アグリカン抗体[1:50;6B4](Bruce Caterson教授、Cardiff Universityからの寛大な進物)中で4℃にて1晩、湿潤チャンバ中でインキュベートした。スライドを、その後、PBSで10分間洗浄し、抗マウス2次抗体(1:50;Dako UK Ltd.、UK)と室温にて1時間インキュベートした。切片をPBSで洗浄した後に、蛍光マウンティング媒体(fluorescence mounting medium)(Dako UK Ltd.、UK)とともにカバーガラスの下に戴置した。スライドを、ICCについて以前に記載したようにして視覚化した。
組織学
軟骨形成性ペレットのワンギーソン染色:軟骨形成分化ペレットから切断した凍結切片を、以前に記載されたようにして調製した。切片を水で洗浄した後に、セレスチンブルーで5分間染色した。切片を水ですすぎ、マイヤーヘマトキシリンでさらに5分間染色した。切片を水で洗浄し、70%(v/v)エタノール中の1%(v/v)塩酸中で区別した。切片を流水中でさらに5分間洗浄した後に、ワンギーソン染色で3分間染色した。スライドを再び洗浄した後に、DPX封入剤(Sigma、UK)とともにカバーガラスの下に戴置した。
造骨性分化についてのフォン・コッサ染色:分化細胞を、70%(v/v)エタノール中で4℃にて1晩固定した。細胞をPBSで洗浄した後に、5%(w/v)硝酸銀(Sigma、UK)と暗所にて5分間インキュベートした。洗浄後、細胞を5%(w/v)炭酸ナトリウム含有10%(v/v)ホルムアルデヒド溶液中で2分間インキュベートした。細胞を、水で15〜20分間十分に洗浄した後に、ファーマー減力液(0.1%(w/v)チオ硫酸ナトリウムおよび0.1%(w/v)フェリシアン化カリウム)中で30秒間インキュベートした。細胞を水でさらに15〜20分間洗浄した後に視覚化した。
脂肪生成性分化についてのオイルレッドO染色:70%エタノール中で固定した分化細胞を、60%(v/v)イソプロピルアルコール(Sigma、UK)で室温にて5分間、撹拌しながらすすいだ。細胞をオイルレッドO(イソプロピルアルコール中の0.25%(w/v)オイルレッドO(Sigma、UK))で室温にて10分間、撹拌しながら染色した。細胞を、60%(v/v)イソプロピルアルコール中で短時間すすいだ後に、水で洗浄して視覚化した。
脂肪生成マーカーについてのRT−PCR
RNAを、脂肪生成分化OMLP−PCからTrizol(登録商標)(Invitrogen、UK)を用いて抽出した。cDNAを、0.5μgのトータルRNAから、ランダムヘキサマープライマーおよびモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(Promega、UK)を製造者の使用説明に従って用いて得た。標準的なPCR反応を、GoTaq(登録商標)(Promega、UK)を製造者の使用説明に従って、94℃にて5分間の最初の変性ステップ、その後、4℃(1分)、Ta(30秒)、72℃(1分)を40サイクル、さらに72℃にて10分間の最終伸長ステップを用いて行った。cDNAを、リポタンパク質リパーゼ[F 5’CCTGCTCGTGCTGACTCTGG3’およびR 5’CATCCTGTCCCACCAGTTTGG3’]、CAATT/エンハンサー結合タンパク質アルファ[CEBPα][F 5’CCGGCCTCTTCCCTTACCAG3’およびR 5’CCACCGACTTCTTGGCCTTG3’]ならびにペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ[PPARγ][F 5’CCACAGGCCGAGAAGGAGAA3’およびR 5’CCAGCAGCCCTGAAAGATGC3’]の発現について分析した。プライマーは、Primer3プライマー設計ソフトウェア(http://frodo.wi.mit.edu/cgi−bin/primer3/primer3_www.cgi)を用いて設計した。PCR生成物をアガロースゲルで分離し、0.005%(v/v)臭化エチジウムで視覚化した。
免疫調節活性
OMLP−PCの細胞培養
以前に確立したOMLP−PCクローンを、単層にて、以前に記載された血清含有培地(SCM)中で、37℃にて5%CO中で成長させた。IFNγでの刺激を必要とするクローンについて、細胞を60%集密まで成長させた後に、100U/mlのIFNγを補ったSCMで刺激した。細胞を、上記の培地中で1、2または7日間、培養して維持した。培地を交換し、細胞を、第3日に新鮮なIFNγで再び刺激した。
細胞外HLAIおよびII発現についてのOMLP−PCのFACs分析
OMLP−PCを、100U/ml IFNγの存在/不在で成長させ、FACS分析により、刺激の1、2および7日後のHLAIおよびII発現についてアッセイした。
馴化培地を細胞から除去し、−80℃にて将来の分析のために貯蔵した。細胞をPBSで洗浄した後に、プラスチックから、Accutase(商標)(Sigma、UK)を用いて剥離し、PBSで再び洗浄した。細胞を、1700RPMにて5分間遠心分離し、上清を除去し、細胞を、PBS中の0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)に再懸濁した。このステップを1回繰り返した。細胞を、HLA−IまたはHLA−II抗体(50倍希釈;Dako、UK)と室温にて15分間、暗所でインキュベートした。抗体とのインキュベーションの後に、細胞をもう1度スピンダウンし、PBS中の0.1%BSAで洗浄した。細胞を再びペレットにし、次いで、200ulのPBS中の0.1%BSAに、以前に記載されたFACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences、UK)での分析のために再懸濁した。
細胞内および細胞外のHLAIおよびII発現の分析のためのウェスタンブロッティング
OMLP−PCを、100U/ml IFNγの存在/不在にて成長させ、ウェスタンブロッティングにより、刺激の1、2および7日後のHLAIおよびII発現についてアッセイした。細胞をPBSで洗浄した後に、1%Triton(登録商標)X−100/0.25Mスクロース含有Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤(Roche Applied Science、UK)に溶解した。タンパク質抽出物を超音波破砕して細胞内タンパク質を放出させた後に、BCAタンパク質アッセイ(Pierce、UK)を用いて定量した。
タンパク質抽出物(5μg)を、12%アクリルアミド分離ゲルで泳動させてタンパク質を分離し、次いで、ニトロセルロースメンブレンに、30V、4℃にて1晩移した。メンブレンを、0.1%Tween(登録商標)20含有Tris緩衝食塩水(TBS)(TBS−T)中の5%脱脂粉乳(Biorad、UK)でブロックし、0.1%Tween(登録商標)20含有PBS(PBS−T)中で3回洗浄し、HLAII抗体(2%脱脂粉乳中で250倍希釈;Dako、UK)と室温にて1時間インキュベートした。メンブレンをPBS−Tで3回洗浄した後に、抗マウスセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合2次抗体(2%脱脂粉乳中で3000倍希釈;Biorad、UK)と室温にて1時間インキュベートした。メンブレンを、その後、PBS−Tで2回、PBSで1回洗浄した後に、ECL(商標)検出(GE Healthcare、UK)によりタンパク質を検出した。
混合リンパ球培養(MLC)によるリンパ球増殖に対するOMLP−PCの影響の決定
OMLP−PCを、100U/ml IFNγの存在/不在にて成長させ、刺激の7日後にMLCによりアッセイした。細胞をPBSで洗浄した後に、プラスチックからAccutase(商標)(Sigma、UK)を用いて剥離し、10%ヒトAB血清、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンG、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンBを含むRPMI培地で再び洗浄した。細胞を、1700RPMにて5分間スピンし、上記のRPMI培地に、計数のために再懸濁した。細胞を、MLCの設定のために20Gyにてガンマ線照射した。
末梢血リンパ球(PBL)を、以前に記載されたようにして調製した(25)。簡単に、PBLを、ヘパリン処置した血液から、20分間、600×gでのFicoll−Hypaque勾配により精製した。レスポンダーPBL(A)を、上記のRPMI培地中の提供者のプール(Px)または自己対照(Ax)からの同数の照射刺激因子PBLとインキュベートした。照射OMLP−PCを、培養に、100%〜0.001%のレスポンダーに対する比率で加え、37℃、5%COにて5日間インキュベートした。培養物を、第6日に、トリチウム化チミジン取込み(1uCi)の24時間後に凍結させた。培養物を解凍し、増殖を第7日に記録した。細胞を、TomTec採集装置(Harvester96、Tomtec、Orange、CT、USA)を用いてガラス繊維フィルタ上に自動的に採集した。
混合リンパ球培養によるT細胞マイトジェンの存在下でのリンパ球増殖の影響の決定
標準的な混合リンパ球培養(MLC)MLCを、1:1〜0.01:1のレスポンダー細胞に対する比率にてOMLP−PCを加えて、上記のようにして設定した。T細胞マイトジェンであるフィトヘマグルチニン(PHA)を、培養に10ug/mlにて加えた。増殖を、上記のようにして第4日に記録した。
OMLP−PC誘導免疫抑制が接触依存性であるかの決定
MLCを、以前に記載されたようにして12ウェルプレートフォーマットにて設定した。OMLP−PCを培養に、0.1:1〜0.01:1のレスポンダー細胞に対するいずれかの比率にて加えた。接触培養は、MLC培養に直接加えたOMLP−PCを含んだ。トランスウェル培養は、0.4um孔サイズのメンブレンを有する挿入物上に播種されたOMLP−PCを含んだ。これは、細胞を、レスポンダー細胞との直接接触から分けるが、これらが同じ培地を共有することを確実にする。培養を5日間維持した後に、PBLを除去し、96ウェルプレートに再び播種し、トリチウム化チミジンを用いて37℃にて24時間刺激した。増殖を、以前に記載されたようにして記録した。
PBLの一部を、以下に記載されるFACS分析のために回収した。
T調節性細胞およびT細胞活性化マーカーについての刺激PBLのFACS分析
上記のトランスウェルおよび接触研究から回収したPBLを、1700RPMにて5分間スピンダウンした。上清を回収し、将来の分析のために−80℃にて貯蔵した。細胞ペレットを再懸濁し、PBS中の0.1%BSAで洗浄した。細胞を、HLAIおよびII検出について以前に記載されたようにしてFACSのために調製した。細胞を、CD38、CD3、CD25およびCD4またはCD25、CD3、CD127およびCD4について4重標識した。自己対照およびA+Px細胞インキュベーションを対照として用いた。
結果
OMLPでの胚性および発達マーカーの発現は、前駆細胞集団の存在を示唆する
RT−PCRにより、OMLP組織全体の消化物での胚性および多能性マーカーであるNanogおよびOct4の陽性の発現が確認された。ヒト逆転写酵素(hTERT)の発現も組織単離物で検出され、このことは、OMLP内に存在する細胞のテロメラーゼ陽性亜集団の存在を示唆する。iPSマーカーであるSox2およびKLF−4(ならびにNanogおよびOct4)も、組織全体において存在した。Notchシグナル伝達経路に関連する発達マーカーであるNotch受容体1、2および3ならびにNotchリガンドDelta1およびJagged2も、OMLP全体の消化物において陽性に発現されており、このことは、未熟型の細胞と進行中のNotchシグナル伝達の存在を示唆する(図7)。
PC集団は、OMLPから確実に単離され、In Vitroにて迅速な増殖を受け得る
PCは、本発明者らの例において、フィブロネクチンへの差次接着により、OMLPから容易に単離された。以前に報告されたように、幹細胞および前駆細胞の集団の1つの特性は、単一細胞を起源とするコロニーの形成によるそれらの自己再生能力である。このOMLPフィブロネクチン接着細胞集団は、単一接着細胞からクローンをうまく産生し、線維芽細胞様の形態、発達中のコロニーにおいて本質的な双極性、および増殖クローンを示した(図8AおよびB)。この細胞集団は、1PD/週の一定レベルを確立し、かつおよそ50〜60PDにて細胞老化に到達する前の、高い増殖初期速度(平均>4PD/週)を特徴とする(図8C〜E)。これらの成長動態は、全ての患者から単離され増殖させた全てのクローンを代表する。
OMLP PCは、細胞表面幹細胞マーカーを発現する
クローンを単層培養にて増殖させた後に、一連の幹細胞マーカーSTRO−1、CD44、CD146、CD90、CD105、CD166、ならびに造血および線維細胞マーカーCD34およびCD45の発現を、本明細書に記載されるフローサイトメトリー法を用いて決定した。試験した全ての患者からの全てのクローンは、STRO−1、CD44、CD146、CD90、CD105およびCD166の陽性の発現を示したが、CD34およびCD45について陰性であった(図9、STRO−1およびCD146についてはデータを示さず)。
OMLP PCは、活性テロメラーゼを発現する
テロメラーゼ活性は、通常、幹細胞およびリンパ球を除く体細胞において消滅すると考えられる。これとは対照的に、ヒト間葉系幹細胞(MSC)は、それらの幹細胞の特性にもかかわらず、テロメラーゼ活性を欠くことが示されている(3)。発達中のOMLPコロニーにおけるテロメラーゼ発現をICCにより評価し、全ての患者からの増殖クローンにおいてQ−TRAPにより評価した。
テロメラーゼの陽性の発現は、試験した発達中のコロニー全てで示され(図10A)、増殖クローンにおいて維持された(図10B〜D)。アクリルアミドゲルでのQ−TRAP生成物の分離により、テロメア反復増幅とともに観察された典型的な「脚立」効果が確認された(図10E)。増殖クローン内のテロメラーゼの相対レベルは、患者特異的であったが、同じ患者のクローン同士では大きくは変動せず、細胞老化に到達する患者適合クローンの全集団倍加(PD)同士の小さい差と関連した(図8B)。
OMLP PCは、神経堤を起源とする
可溶性Jagged1またはγ−セクレターゼ阻害剤への曝露によるNotchシグナル伝達の減弱化は、MSCおよび神経堤幹細胞(NCSC)の増殖に対して異なる効果を有することが示されている。γ−セクレターゼ阻害剤であるN−[N−3,5−ジフルオロフェンアセチル−L−アラニル]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル(DAPT)は、MSC成長を遅くして、結局は、細胞分裂を阻害することが以前に報告されている。これとは対照的に、NCSCを可溶性Jagged1に曝露すると、細胞の神経分化が阻害され、それにより、増殖(proliferation)および増殖(expansion)の増加が可能になる。
可溶性Jagged1の存在下でのOMLP PCのコロニー形成効率(CFE)は、対照培地内でCFEよりも著しく高い(P<0.05)ことが見出され(図11A〜B)、このことは、NCSCで観察された結果を支持し、よって、このPC集団についての神経堤の起源を示唆した。OMLP PCについての神経堤の起源をさらに確認するために、規定された神経堤マーカーおよび発達マーカーNotch1の生成を、ICCにより、発達中のコロニーにおいて調べた。転写因子であるSox10、Snail、SlugおよびTwistは、主に細胞核に陽性に局在化していたが、細胞質区画内でも見出された(図11C〜G)。Notch1は、PCの細胞質内で同定された。これらのデータは、このPC集団についての神経堤の起源をさらに支持する。
追加の神経堤マーカーであるp75神経成長因子(NGF)の発現も、フィブロネクチンへの差次接着により単離された細胞内で見出された(図1)。このマーカーの陽性の発現が、発達中のコロニーの頂部に接着する細胞内で見出された。これらの細胞は、発達中のコロニー内でのこれらの細胞と著しく異なる形態を示した。これらのデータは、本明細書で特徴付けられたp75−細胞集団に加えて、まだ特徴付けられていないp75+細胞集団も存在することを示唆する。
OMLP PCは多分化能を有し、複数の分化系統の細胞を産生できる
複数のコロニーからのOMLP PCは、間葉系および神経の両方の起源の細胞系統に分化した。
軟骨細胞分化の証拠は、ペレット培養を用いるコラーゲンおよびアグリカン生成により示された(図12AおよびB)。ミネラル化は、造骨性の分化PC培養において観察された(図12C)。脂質滴は、脂質生成性の刺激培養物においてオイルレッドO染色を用いて観察され、リポタンパク質リパーゼ、CEBP−αおよびPPARγのマーカーについてのRT−PCR試験は陽性であった(図12D;RT−PCRについてはデータを示さず)。これらのデータは、OMLP PCが、多分化能を有し、骨髄および歯髄などの複数の部位から単離された幹細胞について以前に示されたことと同様に、間葉系の型の細胞である骨芽細胞、軟骨細胞および脂肪細胞を産生できることを確実にする。
神経およびシュワン細胞の分化は、SCMにおいて単層で連続的に増殖したPCを用いて可能でなかった(データは示さず)。神経およびシュワン細胞の分化を陽性に誘導するために、クローンを、限定ESC培地の存在下、ラミニン被覆プレート上で単層にて増殖させた。PCの形態は、これらの限定条件におけるインキュベーションにより変化し、SY5Y神経芽腫株化細胞からの細胞を用いて観察されたことと同様に(図3)、明らかなニューロスフェア様のボディーが形成された(図2Aおよび4)。限定誘導培地を用いて、ICCによる神経マーカーであるNestin、TUJ−1(β−IIIチューブリン)、NFM、GFAPおよびMAP2の陽性の発現により検出されるように、増殖コロニーを神経細胞系統へうまく分化させることが可能であり(図6B〜F)、シュワン細胞特異的マーカーであるMBPおよびS100の陽性の発現により検出されるように、シュワン細胞系統への分化も可能であった(図6GおよびH)。TUJ−1(β−IIIチューブリン)、GFAPおよびS100のみが、分化前のクローンにより発現されたが、これは、分化により観察されるレベルよりもかなり少ない程度であった(図5B、CおよびE)。
OMLP PCは免疫調節性である
OMLP−PCは、その細胞表面上でHLAIを発現するがHLAIIを発現しない
FACS分析により、未刺激OMLP−PCクローンが、その細胞表面でHLAIを発現したがHLAIIを発現しなかったことが確認された(図13aおよびb)。100U/mlのIFNγでの刺激は、24時間後にHLAI発現を上方制御したが、HLAIIの細胞表面発現を第7日まで誘導しなかった(図13cおよびd)。これらの結果は、分析した3名の患者のそれぞれからの3クローンについて一貫していた。
OMLP−PCは、IFNγでの刺激の24時間後に細胞内HLAIIを発現する
100U/mlのIFNγの存在/不在にて1、2または7日間インキュベートしたOMLP−PCクローンからの全タンパク質抽出物のウェスタンブロット分析を行った。ブロットにより、未刺激OMLP−PCにおいて細胞外または細胞内でHLAIIの発現が検出されなかったことが確認された(図14)。IFNγでの刺激は、24時間後にHLAIIの細胞内発現を誘導したが(図14)、上記のFACSの結果から、本発明者らは、このタンパク質が、第7日まで細胞膜に輸送されないとみなすことができる。これらのデータは、試験した全てのクローンおよび患者の代表である。
OMLP−PCは、潜在的に免疫抑制性であり、T細胞増殖に対して直接働くことができる
標準的な混合リンパ球培養(MLC)培養物は、その他の複数の提供者からのプールリンパ球とのインキュベーションを用いて観察されるレスポンダー細胞に対して大規模な増殖効果を示した。培養物にOMLP−PCを加えると、この増殖効果が、自己対照培養で観察される基底レベルまで阻害されて戻った。
興味深いことに、この効果は、OMLP−PCをレスポンダー細胞に対して10%または0.001%の比率で加えることにかかわらず、用量依存性で98〜99%のリンパ球増殖を阻害することが示されると観察された(図15)。同様のレベルの阻害が、未刺激細胞と比較して、IFNγで7日間予備刺激したOMLP−PCを用いても観察され、このことは、この効果がHLAII発現に依存しないことを示す(図15)。
免疫抑制性の刺激として間葉系幹細胞(MSC)を用いる培養物と直接比較したときに、リンパ球増殖に対する用量依存的な効果が示された(図16)。10%の比率のMSCを用いて95%のリンパ球増殖が達成されたが、細胞数が0.001%まで低下したときに、65%の阻害しか観察されなかった。このことは、OMLP−PCが、レスポンダー細胞に対して0.001%の比率にてリンパ球増殖を阻害することについて、平均で33倍より効果があることと等しい。さらに、OMLP−PCクローンを用いた場合に観察される正確な再現と比較して、MSC培養物を用いて、反復間で大きい変動が観察された。
T細胞マイトジェンであるPHAの存在下で行ったMLC培養は、OMLP−PCが、T細胞増殖を、IFNγでの予備刺激にかかわらず、基底レベルまで直接低減させて戻すことができることを示した(図17)。これらの結果は、OMLP−PCが、T細胞に対して直接働くことができることを確実にするが、このことが上記の1元MLCにおけるリンパ球の阻害において観察されるのと同じ機構によるのかは不明確なままである。
OMLP−PCは、接触非依存的機構を用いて免疫抑制性である
1元MLCを、レスポンダー細胞との直接接触またはトランスウェル培養におけるOMLP−PCを用いて行った。得られたデータは、OMLP−PCの有効な免疫抑制作用を示し、PCと直接接触する細胞を用いるリンパ球増殖を、直接接触していないものを用いたものと比較して、著しい差はなかった(図18)。基底レベルまで戻るリンパ球増殖の完全な阻害が、処置にかかわらず観察された。この効果も、このアッセイで用いたOMLP−PCの濃度に依存せず、MLCアッセイで用いる前のIFNγとの細胞の予備刺激にも関係しなかった。
免疫抑制のOMLP−PC機構は、培養法に依存し得る
OMLP−PCとの接触およびトランスウェル共培養におけるMLCの後に回収した末梢血リンパ球(PBL)のFACS分析は、T細胞の亜集団のレベルを決定した。Treg細胞として知られるCD3+、CD4+およびCD127低発現T細胞は、プールした提供者リンパ球とのインキュベーションの際に数が3倍になったことが示された。これらの数は、IFNγとの予備刺激または接触にかかわらず、培養物へのOMLP−PCの添加により変化しないようであった(図19)。
活性化T細胞のレベルの変化を、C38+およびCD3+、CD25+(IL−2受容体)を発現する成熟CD3+T細胞に下位区分して分析した。興味深いことに、細胞間接触に関して免疫抑制のレベルに差は見られなかったが、活性化CD3+、CD38+T細胞のレベルの低下が、トランスウェル培養系(図20)で観察され、CD3+CD25+T細胞の誘導が、接触系で観察された(図21)。これらの効果は、IFNγでの予備刺激に依存しなかった。作成した図面は、3名の患者からの平均パーセンテージであるので、統計は行わなかった。
考察
ASC集団は、多くの組織工学の応用において用いるための多分化能性未分化細胞の魅力ある供給源になっている。これらは、in vitroにて迅速であるが、移植の際の潜在的な腫瘍原性の恐れを制限する限りのあるレベルまで増殖するそれらの能力により、ESCおよび誘導多能性幹細胞(iPS)を超える明確な利点を有する。さらに、これらの細胞は、多分化能を有し、刺激により容易に分化し、幹細胞の成体供給源の使用に関する倫理的または道徳的な問題が現時点ではない。
本研究において、本発明者らは、初めて、OMLPに存在する新規なPC集団の存在を示した。これらの細胞は、単一細胞からin vitroにてクローンとして増殖し、正確な特徴付けのための均質な細胞集団を産生することができる。この濃縮プロセスにより、治療への応用のためのASC集団の十分な細胞数を産生し、増殖することにおける明確な利点が提供される。本発明者らは、この特徴付け研究のために(未選別の組織全体からの不均質な単離物ではなく)細胞のクローン集団を特に用いた。なぜなら、このことにより、純粋な細胞集団の正確な規定が可能になるからである。このことは、また、これらの細胞が移植の際にどのように応答し、分化するかを、未選別または組織全体の単離物と比較してさらにより正確に示す。幹細胞/クローン選別の利点は、Kotobukiら(2004)により以前に示され、彼らは、骨組織工学の応用のための選別された骨芽細胞様細胞の造骨能力の増進を示している(26)。
クローン増殖したOMLP PCは、STRO−1、CD44、CD146、CD90、CD105およびCD166の陽性の発現により理想的に特徴付けられるが、CD34およびCD45陰性であり、造血性または線維細胞の起源を除外する。これらのデータは、骨髄間葉系幹細胞へのOMLP PCについての同様の発現プロファイルも確実にする(27)。単層培養での増殖により、これらの細胞が、迅速な増殖の期間を経るが、多数の集団倍加の後に(>50PD)複製老化に入る限定的な寿命を有することが確認された。MSCとは対照的に(3)、OMLP PCは、発達中のコロニー、さらには多数の継代の後の両方における活性なテロメラーゼの発現を示し、単離OMLP細胞の幹細胞表現型についてのさらなる支持を提供する。
Notchリガンドである可溶性Jagged1の存在下でのCFEの増加、およびフィブロネクチンに接着性の発達中のコロニーにおける神経堤マーカーであるSlug、Snail、TwistおよびSox10の発現は、これらの細胞の神経堤の起源を確認する。in vivoでのこれらの細胞の頭蓋顔面での所在は、この細胞集団が頭部神経堤領域から生じることを示唆し、証拠は、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、ニューロンおよびシュワン細胞を含む間葉系および外胚葉の両方の起源の細胞系統を産生するこの細胞集団の可塑性により支持される。興味深いことに、OMLP PCが産生できる分化系統の多分化能およびプロファイルは、頭蓋顔面領域における規定されたNCSCのものと同等である。
本発明者らのデータは、OMLP−PCの有効な免疫調節能力を簡潔に示す。
上記の研究において、本発明者らは、成体および胎児のMSCと同様にOMLP−PCが、その細胞表面においてHLAIを発現するがHLAIIを発現しないことを示した(28、29)。胎児および成体のMSCにおけるHLAIおよびIIの発現レベル間の違いは、IFNγで細胞を刺激すると生じる。ここで、成体MSCは、HLAIIの細胞表面での発現を、IFNγとのインキュベーションの24〜48時間以内に上方制御することが示されるが(29)、7日間の刺激が、胎児MSCにおいてHLAIIの細胞表面発現を誘導するために必要である。OMLP−PCにおいて、本発明者らは、IFNγ刺激に対する胎児MSC様の応答を示し、細胞表面発現は第7日まで見られなかった。これとは対照的に、HLAIIの細胞内レベルは、OMLP−PCにおける刺激の24時間以内にウェスタンブロッティングにより検出可能であった。これは、成体および胎児のMSCの両方において報告されているものと同様の応答時間である(28、29)。
MLC培養において、OMLP−PCは、レスポンダーリンパ球に対する有効な免疫抑制効果を有し、リンパ球増殖を基底レベルまで阻害して戻すことが示された。細胞は、この応答において98〜99%有効であることが示され、この効果は、レスポンダー細胞に対して用いられたOMLP−PCの比率に依存せず、HLAIIの発現を誘導するためのIFNγとの7日間の予備刺激にも依存しなかった。これらの結果は、これらの細胞がリンパ球増殖を阻害できる効率を示し、これらの作用機序が従来の提示経路によらないことを示す。これとは対照的に、成体MSCを用いて行った比較実験は、これらの細胞による用量依存的な免疫抑制性の作用形態と、それらのより低い効率(用いた最低の細胞:細胞比率にて33倍より低い)とを示した。
これらの結果は、臨床応用への変換のためのクローン細胞集団で作業することの明確な利点も示す。クローンおよび患者の間での反復はOMLP−PCと非常に相同であったが、細胞の不均質な集団を含むMSC培養では大きな変動が見られた(このことは、図15と16のデータを比較することにより観察される)。
T細胞マイトジェンであるPHAを用いて、本発明者らは、T細胞に対してOMLP−PCが有し得る直接の影響を示し、それらの増殖を阻害し、トランスウェル培養技術を用いて、日常的なMLC条件においてみられる免疫抑制効果が、接触非依存性であり、HLAIIの細胞表面発現の誘導に依存しないことを示した。接触およびトランスウェル実験において用いたレスポンダー細胞のFACS分析は、接触またはトランスウェル培養において免疫抑制レベルの違いは見られなかったが、2つの処置群の間で活性化T細胞のレベルの違いが見られたことを示した。接触培養におけるCD3+CD38+T細胞の誘導およびトランスウェル研究におけるCD3+CD25+T細胞の抑制は、レスポンダー細胞との直接接触におけるOMLP−PCと、トランスウェル系におけるものとの差次的な作用形態を示唆する。培養培地に放出され、T細胞に影響する1または複数の可溶性因子によるより遅い直接の作用。
OMLP−PCは、用量非依存的に作用でき、それらの細胞表面でのまたは細胞内でのHLAII発現に依存せずに作用できる。これらの効果は、接触非依存的に生じる。
成体OMLPからの多分化能PCの単離は、その他のASC供給源を用いることと比較して、いくつかの重要な利点を提供する。口腔粘膜は、日常的な歯科処置の間に採取される生検を用いて患者にとって最小限の浸潤を必要とする容易に入手可能な生検部位であるので、BMSCの単離のための骨髄吸引などの外科手術と比較して、患者にとって大きな利点を提供する。頬粘膜における迅速な治癒応答および最小限の瘢痕形成によっても、PCの単離は、瘢痕形成をもたらす皮膚からよりも興味あるものになる。任意の年齢での自己前駆細胞の単離も、免疫適合性の再保証を提供する。(患者は、幹細胞の使用のために患者自身の骨髄吸引物をほとんど用いることができず、同種提供者に依存している。これらのことは、明らかに、免疫拒絶の高い危険性を伴い、このことが、自己PCの使用を用いて克服される)。さらに、本発明者らのデータは、リンパ球増殖および同種誘導免疫応答の抑制に対するOMLP−PCの有効な影響も示し、よって、成体OMLP−PCも、同種移植と、さらに、それらに限定されないがGVHDまたは自己免疫などの免疫関連障害の治療において用いることが示される。
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Claims (15)

  1. 口腔粘膜の固有層から前駆細胞(PC)を得る方法であって、
    a)対象の口腔粘膜からの試料を、脂肪組織および細胞の上皮層の除去によって処理するステップと、
    b)残存する固有層細胞外基質を除去して、細胞の混合懸濁物を得るステップと、
    c)潜在的前駆細胞を単離し、この細胞のコロニーを形成させるステップと、
    d)少なくともhTERT、Nanog、KLF−4、Sox2、Oct4、Sox10、Slug、SnailおよびTwistの前駆細胞に特徴的なマーカーを用いてコロニーを選択するステップとを含む方法。
  2. ステップ(a)が、前記口腔粘膜から脂肪組織を除去すること、及び組織を酵素消化することを含み、それにより口腔粘膜の上皮層を除去する、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(b)が酵素消化を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップ(c)が、細胞結合剤に差次接着すること、次いで結合剤に結合した細胞を培養することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ステップ(c)が、細胞のクローン集団または不均質な集団のいずれかを生成することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップ(d)が、以下のマーカー:CD90、CD105、CD166、CD44、CD146、CD34、CD45、Notch1/2/又は3、Delta1およびJagged2の1つまたは複数が発現されているかを決定するために細胞をアッセイすることと、CD90、CD105、CD166、CD44、CD146、Notch1/2/又は3、Delta1およびJagged2の1つ又は複数が検出され、かつ、CD34およびCD45の1つまたは複数が検出されない細胞を選択することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記マーカーが、蛍光表示式細胞選別(FACS)分析を用いて同定される、請求項6に記載の方法。
  8. ステップ(d)において選択されたコロニーを増殖させることをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記コロニーまたは細胞をあらかじめ選択された培養培地において培養することにより、前駆細胞が選択された表現型に分化するのを促進することをさらに含み、前記表現型が、あらかじめ選択された培養条件に依存する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記前駆細胞が培養されて、以下の表現型:軟骨細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、骨細胞または神経細胞のいずれか1つを生成する、請求項9に記載の方法。
  11. 口腔粘膜の固有層に由来し、さらに多分化能を有し、自己再生し、かつ免疫調節性であり、以下の前駆細胞に特徴的なマーカー:hTERT、Nanog、KLF−4、Sox2、Oct4、Sox10、Slug、SnailおよびTwistを少なくとも発現する、単離されたヒト成体前駆細胞。
  12. 以下のマーカー:CD90、CD105、CD166、CD44、CD146、Notch1/2/または3、Delta1、およびJagged2の1つまたは複数について陽性である、請求項11に記載の単離されたヒト成体前駆細胞。
  13. 細胞マーカーCD34およびCD45について陰性である、請求項11又は12に記載の単離されたヒト成体前駆細胞。
  14. 請求項1から10のいずれか一項に記載の方法により得られる前駆細胞、あるいは請求項11から13のいずれか一項に記載の前駆細胞を含有する医薬
  15. 傷、熱傷、組織損傷、炎症、自己免疫、GVHD、同種造血幹細胞(HSC)移植または糖尿病を含む免疫障害のいずれか1つまたは複数を治療するため、請求項14に記載の医薬
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