以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、光学ユニットとして撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側)には+Zを付し、他方側(被写体側)には−Zを付して説明する。
[実施の形態1]
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの全体構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、光学ユニットを光軸方向の被写体側(光軸方向前側)からみたときの斜視図、およびその分解斜視図である。
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体3を固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(図示せず)、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ(図示せず)等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構(図1では図示せず)が設けられている。
図1および図2に示すように、光学ユニット100には、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等を行うためのフレキシブル配線基板410、420が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板410、420は、コネクタ(図示せず)等を介して光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板420は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。このため、フレキシブル配線基板420は、配線数が多いので、フレキシブル配線基板420としては、比較的幅広のものが使用されている。
可動体3において、撮像ユニット1は、鋼板等の強磁性板からなる矩形箱状のケース14を有しており、かかるケース14の内側には、レンズ1aを保持するホルダ、ホルダを保持する円筒状のスリーブ、レンズ1aをフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動機構、光軸方向の後側に配置された撮像素子、撮像素子を保持する素子ホルダ等が設けられている。かかる撮像ユニット1の外周部分はケース14からなる。なお、本形態において、ケース14の側面は、後述するフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)に対する反射面として利用される。従って、ケース14は、反射性の高い金属部品からなる。
(光学ユニット100の構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の要部の分解斜視図であり、図3(a)、(b)は、X軸方向およびY軸方向において互いに逆方向からみた分解斜視図である。
図2および図3において、光学ユニット100は、固定体200と、撮像ユニット1を備えた可動体3と、可動体3が固定体200に対して変位可能に支持された状態とする揺動支点180と、可動体3と固定体200との間で可動体3を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。また、光学ユニット100は、可動体3を揺動支点180に向けて付勢するバネ部材600を有している。
固定体200は上カバー250および下カバー700等を備えており、上カバー250は、撮像ユニット1の周りを囲む角筒状胴部210と、角筒状胴部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。上カバー250において、角筒状胴部210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)の端部が開放端になっている。また、角筒状胴部210において、X軸方向で対向する2つの側面には切り欠き219が形成され、Y軸方向で対向する2つの側面には切り欠き218が形成されている。かかる切り欠き218、219のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する切り欠き218は、フレキシブル配線基板420等を外部に引き出すのに利用され、他の切り欠き218、219は、上カバー250と下カバー700とを接着や溶接等により結合するのに利用されている。
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する3つの側板部720とを備えており、側板部720が形成されていない側は、フレキシブル配線基板410等を外部に引き出すのに利用されている。下カバー700の底板部710にはその中央位置に揺動支点180が構成されており、かかる揺動支点180は、可動体3の光軸方向後側(光軸方向の撮像側)端部に当接することにより可動体3を揺動可能に支持している。
(可動体3の構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の可動体3の分解斜視図である。図2、図3および図4に示すように、可動体3は、撮像ユニット1と、撮像ユニット1のケース14の外周面を囲む矩形枠状のホルダ7と、ストッパ部材8とを備えており、ストッパ部材8はホルダ7の光軸方向後側の面に溶接等の方法で固定されている。ホルダ7は、光軸方向前側に位置する矩形枠状の第1ホルダ部材71と、光軸方向後側で第1ホルダ部材71に対向する矩形枠状の第2ホルダ部材72とからなる。本形態において、第1ホルダ部材71と第2ホルダ部材72との間には、振れ補正用駆動機構500に用いた平板状の永久磁石520が保持されている。より具体的には、永久磁石520において光軸方向前側の面には第1ホルダ部材71が固定され、永久磁石520において光軸方向後側の面には第2ホルダ部材72が固定されており、永久磁石520、第1ホルダ部材71および第2ホルダ部材72によって角筒状の永久磁石アセンブリ75が構成されている。このため、角筒状の永久磁石アセンブリ75の内側に撮像ユニット1を挿入した後、撮像ユニット1のケース14の外周面と、永久磁石アセンブリ75の内周面(永久磁石520の内面)とを接着剤73(図5(b)、(c)参照)等により固定すれば、永久磁石520、第1ホルダ部材71、第2ホルダ部材72、ストッパ部材8および撮像ユニット1を一体化して可動体3を構成することができる。
ここで、第2ホルダ部材72は、側板部72aを備えた角筒状であり、X軸方向の一方側+Xに位置する側板部72aの光軸方向後側の端部、およびY軸方向の一方側+Y側に位置する側板部72aの光軸方向後側の端部には切り欠き72c、72dが形成されている。かかる切り欠き72c、72dは、後述するフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)の光路の一部として利用される。
(バネ部材600の構成)
バネ部材600は、固定体200側に連結される矩形枠状の固定側連結部620と、可動体3側に連結される可動側連結部610と、可動側連結部610と固定側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動側連結部610および固定側連結部620に繋がっている。ここで、固定側連結部620は、矩形枠状の本体部分621と、本体部分621の辺部分の中央位置で外側に向けて突出した凸部622とを備えている。
かかるバネ部材600を可動体3と固定体200とに接続するにあたって、本形態では、可動側連結部610がストッパ部材8の光軸方向後側端面に溶接等の方法で固定されている。また、固定側連結部620は、凸部622が上カバー250の切り欠き218、219内に嵌った状態で、下カバー700の側板部720の上端部に溶接等の方法で固定されている。かかるバネ部材600は、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
ここで、バネ部材600の可動側連結部610を可動体3に連結する一方、固定側連結部620を固定体200に固定すると、可動体3は、揺動支点180によって光軸方向前側に押し上げられた状態となる。このため、バネ部材600において、可動側連結部610は固定側連結部620よりも光軸方向前側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、可動体3を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体3は、バネ部材600によって揺動支点180に向けて付勢された状態になり、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
(振れ補正用駆動機構の構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の断面図であり、図5(a)、(b)、(c)は、フォトリフレクタを通る位置で光学ユニットを切断したときのXY断面図、YZ断面図およびXZ断面図である。なお、図5では、撮像ユニットの内部についてはレンズホルダ等の図示を省略してある。
図3、図4および図5に示すように、本形態の光学ユニット100では、コイル部560と、コイル部560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520とによって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、可動体3においてケース14の4つの外面には平板状の永久磁石520が各々固定されており、上カバー250の角筒状胴部210の内面にはコイル部560が配置されている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸L方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル部560と対向する側の面が光軸方向で異なる極に着磁されている。また、コイル部560は、四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。
これらの永久磁石520およびコイル部560のうち、可動体3をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はY側振れ補正用駆動機構500yを構成しており、図5(b)に矢印X1、X2で示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0を中心にして可動体3を揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はX側振れ補正用駆動機構500xを構成しており、図5(c)に矢印Y1、Y2で示すように、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0を中心にして可動体3を揺動させる。
かかるY側振れ補正用駆動機構500yおよびX側振れ補正用駆動機構500xを構成するにあたって、本形態では、上カバー250の4つの内面に沿って延在するシート状コイル体550が用いられており、シート状コイル体550では、4つのコイル部560が所定の間隔を空けて一体に形成されている。また、シート状コイル体550は展開したときに帯状に延在する形状を備えており、上カバー250の4つの内面に沿うように折り曲げた状態で上カバー250の内面に面接着等の方法で固定されている。
かかるシート状コイル体550は、導電配線技術を利用して微細な銅配線からなるコイル部560をプリント基板上に形成した構造を有しており、複数層の銅配線(コイル部560)が絶縁膜を介して多層に形成されている。また、銅配線(コイル部560)の表面も絶縁膜で覆われている。かかるシート状コイル体550としては、例えば、旭化成エレクトロニクス株式会社製のFPコイル(ファインパターンコイル(登録商標))を挙げることができる。
図3(a)に示すように、矩形に折り曲げられたシート状コイル体550の4つの面556〜559のうちの1つの面557には、4つのコイル部560から延在する導電層によって複数の端子部565が形成されている。本形態において、端子部565は、シート状コイル体550において永久磁石520と対向する内側とは反対側の外側に向いている。ここで、端子部565は、シート状コイル体550の面557に対して外側で重なるように配置されたフレキシブル配線基板450に電気的に接続されており、フレキシブル配線基板450を介して給電される。
このように本形態では、シート状コイル体550が用いられているため、単体の空芯コイルを用いた場合に比して、撮像ユニット1と固定体200との間隔を狭めることができるので、光学ユニット100のサイズを小さくすることができる。また、シート状コイル体550の場合、複数のコイル部560が端子部565と一体に設けられているため、光軸L周りの複数個所にコイル部560を配置する場合でも、シート状コイル体550を光軸L周りに延在させればよい。従って、単体の空芯コイルを用いた場合と違って、光軸L周りの複数個所の各々に単体の空芯コイルを配置する必要がないとともに、複数の単体の空芯コイルの各々に電気的な接続を行なう必要がないので、本形態によれば、組立工数が少なく済む。また、シート状コイル体550において、端子部565は、永久磁石520と対向する側とは反対側の外側に向いているため、コイル部560に対する電気的接続、すなわち、端子部565へのフレキシブル配線基板450の接続を容易に行なうことができる。
(フォトリフレクタの構成)
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いたフォトリフレクタにおける反射面との離間距離と出力電流との関係を示す説明図である。
図3に示すように、矩形に折り曲げられたシート状コイル体550の外側には、フレキシブル配線基板450が重ねて配置されている。フレキシブル配線基板450は、シート状コイル体550のX軸方向の一方側+X側の面556およびY軸方向の一方側+Y側の面557に外側で重なるように直角に折り曲げられた第1部分451と第2部分452を備えており、第2部分452の光軸方向後側端部で折れ曲がった端部453は、外部でフレキシブル配線基板410に接続されている。
ここで、シート状コイル体550は、4つの面556〜559のいずれにも光軸方向後側端部に切り欠き556a、557a、558a、559aが形成されている。また、X軸方向の一方側+X側の面556およびX軸方向の一方側+X側の面557に形成された切り欠き556a、557aは、辺方向の中央部分で他の面558、559の切り欠き558a、559aより光軸方向前側に向けて深く切り込まれている。
また、フレキシブル配線基板450において、シート状コイル体550のX軸方向の一方側+X側の面556およびY軸方向の一方側+Y側の面557に外側で重なる第1部分451および第2部分452の内側には、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590が面実装されており、かかる第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は各々、シート状コイル体550の切り欠き556a、557a内に位置する。
従って、光学ユニット100を組み立てた際、第1フォトリフレクタ580は、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0上において上カバー250においてX軸方向の+X側に位置する面に保持され、第1フォトリフレクタ580の発光部および受光部は、可動体3の側面(ケース14の側面)に第2ホルダ部材72の切り欠き72cを介して対向することになる。また、第1フォトリフレクタ580は、光軸方向において、振れ補正用駆動機構500(X側振れ補正用駆動機構500xおよびY側振れ補正用駆動機構500y)と揺動支点180との間に配置される。より具体的には、第1フォトリフレクタ580は、光軸方向において、振れ補正用駆動機構500(X側振れ補正用駆動機構500xおよびY側振れ補正用駆動機構500y)とバネ部材600との間に配置される。また、第1フォトリフレクタ580は、シート状コイル体550より厚く、第1フォトリフレクタ580の発光部および受光部は、可動体3の側面(ケース14の側面)に1mm程度の距離を介して対向することになる。
また、第2フォトリフレクタ590は、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0上において上カバー250においてY軸方向の+Y側に位置する面に保持され、第2フォトリフレクタ590の発光部および受光部は、可動体3の側面(ケース14の側面)に第2ホルダ部材72の切り欠き72dを介して対向することになる。また、第2フォトリフレクタ590は、光軸方向において、振れ補正用駆動機構500(X側振れ補正用駆動機構500xおよびY側振れ補正用駆動機構500y)と揺動支点180との間に配置される。より具体的には、第2フォトリフレクタ590は、光軸方向において、振れ補正用駆動機構500(X側振れ補正用駆動機構500xおよびY側振れ補正用駆動機構500y)とバネ部材600との間に配置される。また、第2フォトリフレクタ590は、シート状コイル体550より厚く、第2フォトリフレクタ590の発光部および受光部は、可動体3の側面(ケース14の側面)に1mm程度の距離を介して対向することになる。
ここで、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)と反射面(可動体3の側面/ケース14の側面)との離間距離と、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)からの出力電流とは、図6に示す関係がある。図6から分かるように、フォトリフレクタと反射面との離間距離が短い方がフォトリフレクタからの出力電流が大であり、フォトリフレクタと反射面との距離が長くなるに伴い、フォトリフレクタからの出力電流が急激に低下する。すなわち、フォトリフレクタと反射面との離間距離が長くなると、フォトリフレクタからの出力電流は、急激に低下した後、徐々に低下していく。このため、例えば、フォトリフレクタと反射面との離間距離が3mmの場合と1mmの場合とを比較すると、可動体3が0.5mm変位した場合、離間距離が3mmの場合では、ΔC3で示す変化しか発生しないのに対して、離間距離が1mmの場合では、ΔC1で示す変化(ΔC1>ΔC3)が発生する。従って、フォトリフレクタと反射面との離間距離は短い方が高い感度を得ることができる。
また、フォトリフレクタと反射面との離間距離が1mm程度であれば、フォトリフレクタと反射面との離間距離の変化が小さい間、距離の変化量に対してフォトリフレクタからの出力電流が略リニアに変化する。それ故、フォトリフレクタからの出力電流に基づいて、振れ補正用駆動機構500(X側振れ補正用駆動機構500xおよびY側振れ補正用駆動機構500y)を制御する際、制御が容易である。
なお、フォトリフレクタは、長方形の平面形状を有しており、短辺および長辺を備えている。また、フォトリフレクタは、長手方向の一方側に発光部の中心を備え、他方側に受光部の中心を備えている。また、フォトリフレクタでは、発光部と受光部との間に遮光部が形成されている。かかる構成のフォトリフレクタを配置するにあたって、フォトリフレクタは、長手方向を光軸周りの方向に向けている。すなわち、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は、発光部の中心および受光部の中心が光軸周りの方向で並ぶ向きに配置されている。第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590は、互いの受光部同士(受光部の中心)が離間するように逆向きに配置されている。従って、第1フォトリフレクタ580から出射された光が迷光として第2フォトリフレクタ590で受光されにくく、第2フォトリフレクタ590から出射された光が迷光として第1フォトリフレクタ580で受光されにくい。
(ストッパ機構の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態にある。従って、外部から大きな力が加わって可動体3が大きく変位すると、バネ部材600のアーム部630が塑性変形するおそれがある。そこで、本形態では、以下に説明するストッパ機構が設けられている。
まず、本形態では、図4等を参照して説明したように、可動体3では、ホルダ7の光軸方向後側端面に矩形枠状のストッパ部材8が溶接等の方法により固定されている。ストッパ部材8は、矩形枠状の本体部分80と、本体部分80から外側に向けて突出した凸部81とを備えており、かかる凸部81は、永久磁石520より外側に突出している。本形態において、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の各々に形成されている。また、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の各々において辺の延在方向で離間する2個所に設けられ、本形態において、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の両端付近(本体部分80の角付近)に設けられている。
ここで、凸部81は、X軸方向の両側およびY軸方向の両側において、固定体200の側に設けられたシート状コイル体550の下端部分551(図3参照)と狭い隙間G1(図5(b)、(c)参照)を介して対向している。従って、凸部81およびシート状コイル体550は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間において、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構810を構成している。より具体的には、凸部81およびシート状コイル体550は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間のうち、振れ補正用駆動機構500とバネ部材600との間において、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構810を構成している。
ここで、シート状コイル体550の場合、空芯コイルと違って、永久磁石520と当接しても巻線が解けることがない。従って、凸部81が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所、およびコイル部560が構成されていない箇所のいずれでもよいが、本形態では、凸部81が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されていない箇所に設定されている。
また、シート状コイル体550と永久磁石520とは狭い隙間G2を介して対向し、かかる隙間G2は、凸部81とシート状コイル体550との隙間G1よりわずかに大である。従って、シート状コイル体550と永久磁石520とは可動体3が揺動した際の揺動範囲を規定するストッパ機構820を構成している。なお、永久磁石520が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所、およびコイル部560が構成されていない箇所のいずれでもよいが、本形態では、永久磁石520が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所に設定されている。このようなストッパ機構820によれば、可動体3の揺動範囲を精度よく設定することができる。すなわち、振れ補正用駆動機構500ではシート状コイル体550と永久磁石520との間隔は精度よく設定されるので、シート状コイル体550と永久磁石520とを利用してストッパ機構820を構成すれば、可動体3の揺動範囲を精度よく設定することができる。
以上説明したように、本形態では、固定体200および可動体3のうちの一方側から突出した凸部81が他方側に当接することにより可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構810が設けられている。より具体的には、本形態では、可動体3から突出した凸部81が固定体200の側に当接することにより可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構810が設けられている。このため、可動体3に衝撃が加わって、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位したときにでも、可動体3の可動範囲が制限されている。従って、バネ部材600が塑性変形して損傷することがない。また、凸部81(ストッパ機構810)は、光軸方向において振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間に設けられているので、可動体3の少ない変位でストッパ機構810が作動するので、バネ部材600の塑性変形を確実に防止することができる。また、凸部81(ストッパ機構810)は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500とバネ部材600との間に設けられている。このため、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲をより狭く制限することができるので、バネ部材600の塑性変形をより確実に防止することができる。
また、凸部81は、可動体3から永久磁石520よりシート状コイル体550側に向けて突出してシート状コイル体550に当接する。このため、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を精度よく設定することができるので、可動体3の揺動を妨げることなく、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を制限することができる。すなわち、振れ補正用駆動機構500ではシート状コイル体550と永久磁石520との間隔は精度よく設定されるので、凸部81がシート状コイル体550に当接するように構成すれば、凸部81とシート状コイル体550との間隔も精度よく設定されることになる。それ故、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を精度よく設定することができる。
また、可動体3は、永久磁石520を保持する枠状のホルダ7と、凸部81をもってホルダ7の光軸方向後側端面に固定された枠状のストッパ部材8とを備えている。このため、永久磁石520をホルダ7に固定した状態で着磁することができ、永久磁石520の取り扱いが容易である。また、ホルダ7とストッパ部材8とが別部材であるため、ホルダ7にストッパ部材8を固定する前の状態で着磁工程を行うことができるので、着磁工程の際、ストッパ機構810を構成する凸部81が邪魔にならないという利点がある。
また、バネ部材600の可動体3側への接続部分は、ストッパ部材8である。このため、精度よく固定されたストッパ部材8にバネ部材600が接続されるので、バネ部材600のバネ定数を精度よく設定することができる。
また、凸部81は、四角形状の4つの辺の各々において互いに離間する2個所に設けられている。このため、ストッパ機構810が作動した際、可動体3に捩じれ方向の力が加わらないので、バネ部材600に捩じれ方向の塑性変形が発生することを防止することができる。
(振れ補正動作)
本形態の光学ユニット100において、図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープによって検出されるとともに、上位の制御部では、ジャイロスコープでの検出に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような駆動電流をフレキシブル配線基板410およびフレキシブル配線基板450を介してシート状コイル体550のコイル部560に供給する。その結果、X側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をY軸周りに揺動させる。また、Y側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をX軸周りに揺動させる。また、撮像ユニット1のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すれば、XY面全体に対して撮像ユニット1を変位させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。
かかる撮像ユニット1に対する駆動の際、撮像ユニット1の変位は、図5に示す第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590によって監視される。すなわち、第1フォトリフレクタ580での検出結果によれば、可動体3がX側振れ補正用駆動機構500xにより駆動されて軸線Y0周りに回転した際の可動体3との距離変化が分かるので、可動体3のX軸方向への変位を監視することができる。また、第2フォトリフレクタ590での検出結果によれば、可動体3がY側振れ補正用駆動機構500yにより駆動されて軸線X0周りに回転した際の可動体3との距離変化が分かるので、Y軸方向への変位を監視することができる。それ故、可動体3の軸線X0周りに回転した際の変位、および軸線Y0周りに回転した際の変位を独立して監視することができるので、可動体3の軸線X0周りの回転、および軸線Y0周りの回転を独立して制御することができる。
(フレキシブル配線基板420の構成)
図2等に示すように、本形態の光学ユニット100において、可動体3の撮像ユニット1には、フレキシブル配線基板420の一方の端部が接続されており、可動体3を揺動させた際にフレキシブル配線基板420が可動体3に負荷を印加すると、可動体3を適正に揺動させるのに支障がある。
そこで、フレキシブル配線基板420は、光学ユニット100の外部に位置する本体部分は広幅になっているが、光学ユニット100の内側に位置する部分は、幅寸法の狭い2本の帯状部分になっている。このため、揺動支点180を可動体3と当接させるのに支障がない。また、フレキシブル配線基板420は、光学ユニット100の内側に位置する部分が、幅寸法の狭い2本の帯状部分になっているため、剛性が緩和されている。従って、フレキシブル配線基板410の帯状部分は、可動体3の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体3に印加することがない。
また、図5(b)に示すように、フレキシブル配線基板420は、可動体3と下カバー700との間において、Y軸方向の一方側+Yから他方側−Yに向けて延在した後、一方側+Yに向けて折り返され、その後、端部が可動体3に固定されている。このため、フレキシブル配線基板420は、外部から可動体3に固定にされている部分までの間に折り返し部分423が設けられている分、寸法が長い。従って、フレキシブル配線基板420の帯状部分は、撮像ユニット1の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体3に印加することがない。また、フレキシブル配線基板420の折り返し部分423は、揺動支点180における可動体3の揺動中心と略同一の高さ位置にある。このため、可動体3が揺動した際のフレキシブル配線基板420の変位を小さく抑えることができる。従って、フレキシブル配線基板420が可動体3に及ぼす影響を低減することができるので、可動体3を精度よく揺動させることができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)では、可動体3が固定体200の揺動支点180によって揺動可能に支持されているため、振れ補正用駆動機構500を作動させれば、揺動支点180を中心に可動体3を揺動させることができる。従って、手振れ等に起因して光学ユニット100に振れが生じた場合でも、可動体3を揺動させることによって、振れを補正することができる。
また、本形態では、可動体3が変位を監視する第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590が設けられているため、2つの方向毎の可動体3の変位を監視し、その監視結果に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御することができる。ここで、振れ補正用駆動機構500は、可動体3を十分なトルクをもって揺動させるという観点からすれば、揺動支点180から光軸方向で離間している方がよく、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)は、距離と出力とのリニアリティという観点からすれば、変位量がある程度、小さい条件下で検出を行うことが好ましい。ここに本形態は、光軸方向において離間する位置に設けられた振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間にフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)を設けたため、振れ補正用駆動機構500を揺動支点180から光軸方向で離間している位置に設けることができ、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)は、可動体3の変位が比較的小さな位置に設けることができる。それ故、本形態によれば、光学ユニット100のサイズが小さい場合でも、振れ補正用駆動機構500およびフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)の双方を適正に配置することができる。
また、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)は、コイル部560が保持されている基板(シート状コイル体550)とは別のフレキシブル配線基板450に実装されている。このため、コイル部560およびフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)を各々、別々に配置することができるので、コイル部560およびフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)を各々、最適な位置に配置することができる。
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの全体構成を示す説明図であり、図7(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側(光軸方向前側)からみたときの斜視図、およびその分解斜視図である。図8は、本発明の実施の形態2に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100の要部の分解斜視図であり、図8(a)、(b)は、X軸方向およびY軸方向において互いに逆方向からみた分解斜視図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分に同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
実施の形態1では、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)が実装されているフレキシブル配線基板450を上カバー250の内部に設けたが、図7および図8に示すように、フレキシブル配線基板450を上カバー250の外部に設けてもよい。より具体的には、上カバー250の角筒状胴部210に設けた切り欠き218、219を実施の形態1より大きく形成し、かかる角筒状胴部210の外面に、第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590が実装されたフレキシブル配線基板450が重ねて配置されている。また、フレキシブル配線基板450において角筒状胴部210に重なる部分は、シールド板260で覆われている。
かかる構成でも、実施の形態1と同様、光軸方向において離間する位置に設けられた振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間にフォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)が配置されている。このため、振れ補正用駆動機構500は、可動体3を十分なトルクをもって揺動させるという観点からすれば、揺動支点180から光軸方向で離間した位置に設けることができ、フォトリフレクタ(第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590)については、距離と出力とのリニアリティという観点から、変位量がある程度、小さくなる位置に設けることができる。
[実施の形態3]
上記実施の形態1、2では、1つの第1フォトリフレクタ580によって可動体3のX軸方向への変位を監視し、1つの第2フォトリフレクタ590によって可動体3のY軸方向への変位を監視したが、可動体3をX軸方向で挟む両側2箇所に第1フォトリフレクタ580を配置し、可動体3をY軸方向で挟む両側2箇所に第2フォトリフレクタ590を配置してもよい。かかる構成によれば、2つの第1フォトリフレクタ580の出力を差動増幅回路に入力すれば、可動体3の軸線Y0周りの揺動をより高い感度で得ることができる。また、2つの第2フォトリフレクタ590からの出力を差動増幅回路に入力すれば、可動体3の軸線X0周りの揺動をより高い感度で得ることができる。
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、固定体200の側にフォトリフレクタを設けたが、可動体3の側にフォトリフレクタを設けてもよい。
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ駆動機構等が構成されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることもできる。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。