JP5752343B2 - S/o型経皮免疫剤 - Google Patents

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Description

本発明は、S/O型経皮免疫剤に関し、詳細には、経皮免疫による皮膚の炎症を発症せず、抗体の産生も高められたS/O型経皮免疫剤に関するものである。
皮膚組織は、細菌やウイルスなどを始めたとした様々な感染源の侵入を非特異的に防止し得る物理化学的バリアとして作用するほか、病原体の一部である抗原を皮下投与するなどして生体内に抗体を産生する、所謂免疫機能を特異的に高める作用も有している。
ところが、皮下注射による経皮免疫では、無菌的に作成した高純度の抗原を必要とするほか、強い副作用、針刺しによる二次感染などの危険性に加えて、皮下投与した組織内で炎症を起こし、しこりなどを生じるといった問題があった。
そこで、注射針を用いた皮下投与に代わる経皮免疫法として、表皮組織の最外層にある角質層を何らかの手段で溶解したり(特許文献1)、微小な突起状の針を穿孔したり(特許文献2)、擦過したりする(特許文献3)などの方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、注射針を使わないというだけで、皮下注射と同様、バリア作用を有する角質層を物理的に侵襲するものであることに変わりない。
上記とは異なり、抗原を皮膚へ物理的に侵襲させない非侵襲経皮免疫法として、病原微生物由来のトキシンを利用する方法(例えば、特許文献4〜7、非特許文献1〜3など)が開示されているが、病原微生物由来のトキシンを使用している点で、安全性に問題がある。
一方、主に、酵素や生理活性ペプチド、親水性薬剤の吸収性を高めた製剤として、S/O(Solid in Oil)型製剤が知られている。S/O型製剤は、界面活性剤でコーティングした薬物を大豆油などの油状基材(油相)に分散・溶解させた製剤であり、薬物濃度などに応じて、薬物が油相に完全に溶解した透明なS/O型製剤や、薬物が油相に分散したサスペンジョン状態のS/O型製剤が得られる。
図1に、S/O型製剤10の構成を模式的に示す。図1に示すように、薬物1は、界面活性剤2の分子膜でコーティングされた薬剤含有複合体(固相)3として存在しており、薬剤含有複合体3は、油状基材(油相)4中に分散した状態で存在する。このようなS/O型製剤は、通常、薬物含有水溶液と界面活性剤含有有機溶媒溶液とを混合→得られるW/O型エマルションを凍結乾燥し、薬物が界面活性剤2でコーティングされた薬剤含有複合体(固相)を得る→これを油相に溶解・分散させる、ことによって得られる。S/O型製剤は、エマルション製剤やリポソームに比べ、(a)薬物は固相として存在するために加水分解に対して安定である、(b)熱安定性に優れている、(c)室温での長期保存が可能である、(d)テープ製剤化が可能である、などの利点を有している。
特に、上記のS/O化技術を用いれば、親水性薬剤を油状基材に可溶化でき、薬物の漏洩(漏出)を防止できることから、親水性薬剤の漏洩が抑制されたS/O型製剤がこれまでに提案されている。
本発明者も、例えば、特許文献8〜10に記載のS/O型製剤を提案している。このうち、特許文献8には、インスリンなどのタンパク質組成物や塩酸イリノテカンなどのカンプトテシン誘導体の薬物を含むS/O型製剤や、当該S/O型製剤を更に水相に分散させたS/O/W型製剤が開示されている。また、特許文献9には、親水性低分子薬剤を、親水性の薬剤漏出抑制性タンパク質及び/又は薬剤漏出抑制性多糖類(安定化剤)と配合した混合物を界面活性剤で被覆したS/O化技術が開示されており、これにより、強酸性環境下での低分子薬剤の漏出は顕著に低減され、弱酸性から中性環境下にある腸管等との接触下での低分子薬剤の放出が顕著に促進されることが開示されている。このS/O化技術は、特に、水溶性非ステロイド消炎鎮痛剤(以下、「NSAIDs」という。)であるジクロフェナクナトリウム(DFNa)やアスピリンなどのように、胃潰瘍などの深刻な胃粘膜障害発生が懸念される薬剤に対して極めて有効である。また、特許文献10には、NSAIDなどの親水性薬剤の皮膚透過性が高められたS/O型外用剤が開示されている。
特表2002−504522号公報 特表2005−334594号公報 特表2005−511248号公報 特開2005−179301号公報 特表2004−536804号公報 特表2005−504002号公報 特表2006−503072号公報 特開2004−43355号公報 国際公開第2005/094789号パンフレット 国際公開第2006/025583号パンフレット F. Mawas et al., The Journal of Infection Disease, 190; 1177-1182. 2004 M.Guebre-Xabier, et al., Journal of Virology, 78: 7640-7618, 2004 G.M. Glenn, et al., Nature Med. 6(12): 1403-1406, 2000
本発明の目的は、従来の皮下投与による経皮免疫法の如く、角質層などの皮膚に炎症やしこりなどを発生させることなく、しかも、血清中の抗体産生が高められた非侵襲性経皮免疫技術を提供することにある。詳細には、本発明の目的は、前記背景技術の欄に掲げた文献のように、表皮組織の最外層にあり物理化学的バリアとして作用する角質層を溶解・穿孔・擦過するなどの物理的侵襲手段によって破壊することなく、また、病原微生物由来のトキシンを使用することのない、安全性の高い非侵襲性経皮免疫法であって、抗体産生能にも優れているために経皮免疫を効果的に行なうことが可能な、新規の経皮免疫技術を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明のS/O型経皮免疫剤は、抗原が界面活性剤によって被覆された固体状の抗原−界面活性剤複合体と、油相とを含み、前記固体状の抗原−界面活性剤複合体は、油相に溶解または分散しているところに要旨を有している。
好ましい実施形態において、上記抗原は、タンパク質またはペプチドである。
好ましい実施形態において、上記抗原は、生または不活性化された細菌及び/又はウイルスである。
好ましい実施形態において、上記抗原は、動物由来または植物由来である。
好ましい実施形態において、上記界面活性剤のHLB価が10以下である。
好ましい実施形態において、上記油相は、植物油、動物油、中性脂質、および長鎖脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明は、上記のS/O型経皮免疫剤が水相に分散しているS/O/W型経皮免疫剤も包含している。
本発明によれば、従来の皮下注射による経皮免疫法と同様、抗体の産生が高められるだけでなく、皮下注射による問題点(皮膚組織の炎症発生、針刺し事故の発生、物理化学的バリアである角質層の溶解や破壊など)をすべて解消することができる。従って、本発明の経皮免疫剤は、極めて安全性の高い非侵襲性の免疫原性製剤またはワクチンとして非常に有用である。
本発明の経皮免疫剤は、病原性細菌やウイルスの感染防御や体内からの排除といった治療に有用であるだけでなく、少量の抗原を数回に分けて経皮投与することによって免疫寛容を惹起させる治療法にも有用である。
本発明の経皮免疫剤は、前述した特許文献7に記載のS/O化技術によって抗原をS/O化させたところに最大の特徴がある。タンパク質などの親水性高分子に代表される抗原は、本来、皮膚透過性が非常に低いが、本発明では、S/O化技術によって抗原が油状基材に可溶化されているため、抗原の皮膚透過性が高められ、皮膚の炎症が顕著に抑えられると共に、良好な抗体産生能が発揮されると考えられる。具体的には、後記する実施例に示すように、抗原として鶏卵白由来リゾチームを用い、この鶏リゾチーム抗原を界面活性剤で被覆してW/O型エマルションにして抗原を疎水性に変化させ、これを植物油などの油相(分散媒)に分散させたS/O化経皮免疫剤(S/O化抗原)をウサギの耳介または背部に塗布して経皮免疫を行なったところ、従来の皮下免疫法に比べ、皮下に炎症やしこりを発生することなく、血清中に鶏リゾチームに特異的な抗体が産生することが判明した。
本発明のS/O型経皮免疫剤は、抗原(A−1)が界面活性剤(A−2)によって被覆された固体状の抗原−界面活性剤複合体(A)と、油相(B)とを含んでおり、固体状の抗原−界面活性剤複合体(A)は、油相(B)に溶解または分散しているものである。好ましくは、抗原−界面活性剤複合体(A)は、安定化剤として、親水性のタンパク質および/または親水性の多糖類(A−3)を含んでいてもよい。
本発明製剤は、前述した特許文献8に記載のS/O型製剤において、薬剤の代わりに抗原を含有すること以外は、実質的に、前述した特許文献7に記載されたS/O型製剤の構成と同じである。以下、各構成要件について具体的に説明する。
(A)抗原−界面活性剤複合体
抗原−界面活性剤複合体(以下、抗原含有複合体と呼ぶ場合がある。)は、抗原と界面活性剤を主な構成成分として含んでいる。そして、抗原に界面活性剤の親水性部分が会合し、周りを被覆するという構成を有している。抗原−界面活性剤複合体は、粒子が大きくなり過ぎるのを防ぐために、抗原と界面活性剤のみからなるものであってもよいし、また、後記するように安定化剤や、抗体産生増強剤として使用されるアジュバント(助剤、後記する。)を含んでいてもよいし、医薬用製剤において許容される製剤成分(添加成分、後記する。)を含んでいてもよい。
(A−1)抗原
本発明に用いられる抗原は、皮膚の免疫応答を惹起する物質であって、免疫原性(抗体産生)を誘導するものであれば特に限定されず、従来の経皮免疫などに用いられる抗原やワクチン、免疫原性物質などが用いられる。具体的には、例えば、生理活性物質などのタンパク質やペプチド(例えば、鶏卵白由来リゾチーム、スギ花粉症の抗原領域ペプチドなど)、タンパク質やペプチドを結合したハプテン化物質、生または不活性化(死滅)された細菌やウイルス(全部)若しくはこれらの部分分解物、更には、不活性化(死滅)させた癌細胞(全部)やその部分分解物、核酸などが挙げられる。また、抗原性に欠けるもの(例えば、糖質や脂質、無機物など)にハプテン化などの手段によって抗原性を付与させたものも抗原として用いられる。抗原は、動物由来または植物由来のいずれもが用いられる。例えば、抗原は、家禽・家畜用抗原、愛玩動物用抗原であっても良いし、牛用抗原、鶏用抗原、豚用抗原であっても良いし、ダニなどの昆虫由来であっても良い。また、抗原は、食物由来のものであっても良い。
(A−2)界面活性剤
界面活性剤は、医薬用製剤において許容されるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、胆汁酸塩を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステル)等を挙げることができる。これらから1種を選択して用いるか、或いは2種以上の混合物を用いてもよい。
これら非イオン性界面活性剤としては、エルカ酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸を原料とするエステル化合物が好適であり、より好ましくは、ショ糖エルカ酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖混合脂肪酸エステルが挙げられる。または、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油よりなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
また、界面活性剤としては、HLB価10以下という疎水性の高いものを用いるのが好ましい。抗原含有複合体の油相への溶解または分散を容易にできるからである。
本発明における抗原含有複合体(A)は、上記のように、親水性薬剤(A−1)が界面活性剤(A−2)によって被覆された構造を有しているが、安定化剤として、親水性のタンパク質および/または親水性の多糖類(A−3)を更に含んでいてもよい。
(A−3)安定化剤として、親水性のタンパク質および/または親水性の多糖類
本発明に用いられる上記の安定化剤は、抗原と共に界面活性剤により被覆されることによって抗原含有複合体の安定性を向上させ、特に、経皮剤中で抗原含有複合体外への抗原の漏出などを防止する作用を有するものである。上記安定化剤(親水性のタンパク質及び/又は多糖類)は、医薬用製剤の成分として許容されるものであれば特にその種類は問わない。但し、薬剤漏出抑制作用を有効に発揮させるために、タンパク質の数平均分子量は約10,000以上のものを好適に用いる。
このうち、親水性のタンパク質としては、例えば、血清アルブミン(分子量:約67,000)、オボアルブミン(分子量:約45,000)、カゼイン(分子量:約19,000以上)、リゾチーム(分子量:約14,000以上)、リパーゼ(分子量:約45,000)などを挙げることができ、これらから1種を選択するか、または2以上を選択の上混合して用いることができる。好適には、血清アルブミン、オボアルブミンおよびカゼインよりなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
また、親水性の多糖類としては、例えば、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、プルラン、LMペクチン、HMペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヘパリン、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースなどを挙げることができ、これらから1種を選択するか、または2以上を選択の上混合して用いることができる。好適には、スクロース、トレハロース、プルラン、LMペクチン、HMペクチンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートよりなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
本発明に用いられる抗原含有複合体において、抗原に対する安定化剤の重量比は、0.01〜100の範囲が好ましい。0.01未満であれば、経皮剤中における薬剤漏出抑制作用が十分に発揮されないおそれがあるからであり、また、100を超えると複合体に占める薬剤量が少なくなり、薬剤本来の効果が発揮できない場合があるからである。より好ましくは、0.1〜10の範囲であり、更に好ましくは、0.5〜5の範囲内である。
また、抗原と安定化剤に対する界面活性剤の重量比は、0.5〜100の範囲が好ましく、より好ましくは、1〜50の範囲であり、更に好ましくは、2〜25の範囲内である。
(A−4)その他
本発明における抗原含有複合体(A)は、上記のように、抗原(A−1)が界面活性剤(A−2)によって被覆された構造を有しているが、抗体の産生能を高める目的で、アジュバントを含んでいてもよい。アジュバントは、免疫応答の誘導を補助する調節因子として作用し、通常、抗原と共に投与されるが、本発明では、アジュバントは選択成分として用いられ、必須成分ではない。後記する実施例に示すように、本発明のS/O型経皮免疫剤を用いれば、アジュバントを添加しなくても抗体の産生が高められることを実証している。
本発明に用いられるアジュバントは、皮下注射などに通常用いられるものであれば特に限定されず、代表的には、Freundによって開発された鉱物油、表面活性剤および加熱結核死菌の混合物(フロイント完全アジュバント、FCA)、コレラ毒素や毒素原性大腸菌などの易熱性毒素が挙げられる。また、下痢原性であるADP−リボシルトランスフェラーゼ活性が除去されて無毒化され、しかも、アジュバント活性を有する変異型無毒化コレラ毒素、あるいは、変異型無毒化易熱性毒素なども好ましく例示される。
アジュバントを添加して本発明のS/O型経皮免疫剤を調製するに当たっては、(a)アジュバントを抗原と一緒に添加し、後記する方法によって抗原−アジュバント−界面活性剤複合体を得た後、油相基材に溶解または分散させてもよいし、あるいは、(b)抗原−界面活性剤複合体の調製と同様の方法によってアジュバント−界面活性剤複合体を調製した後、これと、抗原−界面活性剤複合体とを、後記する方法によって油相基材に溶解または分散させてもよい。
(B)油相
本発明のS/O型経皮免疫剤は、前述した抗原含有複合体が、油相に溶解または分散している溶液またはサスペンションである。溶液となるかサスペンションとなるかは、界面活性剤や油相の種類や量、超音波処理の有無などに依存する。
本発明に用いられる油相は、医薬用製剤において許容されるものであれば特に制限はなく、例えば、植物油、動物油、中性脂質(モノ置換、ジ置換またはトリ置換のグリセライド)、長鎖脂肪酸エステル、合成油脂、ステロール誘導体を挙げることができる。
具体的には、大豆油、綿実油、菜種油、ゴマ油、コーン油、落花生油、サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油、ナタネ油、シソ油、ウイキョウ油、カカオ油、ケイヒ油、ハッカ油、ベルガモット油、等の植物油;牛脂、豚油、魚油等の動物油;中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリオレイン、トリリノレイン、トリパルミチン、トリステアリン、トリミリスチン、トリアラキドニン等の中性脂質;アゾン等の合成脂質;コレステリルオレエート、コレステリルリノレート、コレステリルミリステート、コレステリルパルミデート、コレスレリルアラキデート等のステロール誘導体;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等の長鎖脂肪酸エステル;乳酸エチル、乳酸セチル等の乳酸エステル;クエン酸トリエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル等の多価カルボン酸エステル;2−エチルヘキサン酸セチル等のその他のカルボン酸のエステル;ワセリン、パラフィンスクワラン等の炭化水素類;シリコーン類などを挙げることができる。これらから1種を選択して用いてもよいし、2種以上を選択し混合して用いてもよい。好適には、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、サフラワー油、サンフラワー油、ナタネ油およびシソ油よりなる群から選択される1種または2種以上を用いる。特に好適には、トリグリセライドやこれを主成分とする食物油を用い、実用的には、大豆油が好ましく、特に、高純度に精製された大豆油が好ましい。また、中性脂質または長鎖脂肪酸エステルも好適に使用でき、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、さらに好ましくはミリスチン酸イソプロピル(IPM)を使用できる。
本発明のS/O型経皮免疫剤に占める油相の割合は、油成分の種類や他の構成成分等によって異なるが、50〜99.5w/v%の範囲内が好ましく、60〜90w/v%の範囲内が好ましい。
本発明のS/O/W型製剤は、上記S/O型経皮免疫剤をさらに水相へ分散させたものである。当該製剤は、投与し易いことや、利便性が高いといった特性を有するものである。
水相としては、医薬用製剤において許容されるものであれば特に種類は問わないが、例えば、純水、精製水、蒸留水、生理食塩水、緩衝液などを使用することができる。
次に、本発明のS/O型経皮免疫剤を製造する方法について説明する。
本発明製剤の製造方法は、(1)抗原と界面活性剤、必要に応じてアジュバントや安定化剤を含む有機溶媒溶液とを混合してW/O型エマルションを調製する工程、(2)上記のW/O型エマルションを乾燥して抗原含有複合体を調製する工程、(3)上記抗原含有複合体を油相に溶解または分散させる工程、を包含している。
(1)W/O型エマルション調製工程
ここでは、先ず、抗原の水溶液を調製する。必要に応じて、アジュバントや安定化剤も添加する。また、医薬製剤において許容される添加成分を添加してもよい。ここで使用する水としては、例えば、純水、精製水、蒸留水、生理食塩水、緩衝液を挙げることができる。必要に応じて、エタノールなど水混和性の有機溶媒を少量添加してもよい。但し、アルコール等を加え過ぎるとエマルションが形成され難くなる場合があるので注意が必要である。
上記水溶液における抗原の濃度(アジュバントや安定化剤を更に添加する場合は、これらの合計濃度)は、これらを実質的に完全に溶解できれば特に制限されないが、例えば、0.1〜30mg/mL程度とすることができる。
別途、界面活性剤の有機溶媒溶液を調製する。ここで用いる有機溶媒は、界面活性剤を溶解することができ、且つ次工程で拡散除去できるものであれば特に制限されないが、例えば、メタノールやエタノール等のアルコール;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン等の芳香族炭化水素;酢酸エチルエステル等のエステル系溶剤;塩化メチレン等のハロゲン系脂肪族炭化水素などを挙げることができる。また、その濃度も特に制限されないが、例えば、1〜10質量%程度にすることができる。
次に、上記の抗原(アジュバントや安定化剤を含む場合もある)の水溶液、および界面活性剤の有機溶剤溶液を用い、常法に従ってW/O型エマルションを調製する。例えば、ホモジェナイザーによる高速撹拌を用いたり、プロペラミキサーやディスパー等の撹拌機により撹拌したり、これらに加えて超音波を照射したりすればよい。あるいは、多孔質膜を用いた膜乳化によってW/O型エマルションを調製してもよい。多孔質膜として、例えば、市販の疎水性のシラス多孔質ガラス膜(SPG、SPGテクノ社製)を用いることが好ましい。この多孔膜を用いれば、多孔質ガラス膜の細孔径に対応する粒径の分散相粒子(抗原含有複合体)が得られるという利点がある。
(2)乾燥工程
ここでは、上記工程(1)で得られたW/O型エマルションを乾燥し、抗原含有複合体を得る。乾燥方法は特に制限されず、凍結乾燥や減圧乾燥すればよいが、凍結乾燥が好ましい。具体的な条件は、常法に従えばよい。また、当該工程では、水分と有機溶媒を実質的に完全に除去することが好ましい。残存する水分は、タンパク質や抗原の加水分解を生む原因となる可能性があるからであり、また、有機溶媒は、敢えて言うわけでもなく、生体に悪影響を及ぼす可能性があるからである。具体的には、例えば、カールフィッシャー法による測定で、含水率が1%以下になる程度にすればよい。
(3)分散工程
ここでは、上記工程(2)で得られた抗原含有複合体を油相に溶解または分散することによってS/O化を行なう。具体的には、ホモジェナイザーによる高速攪拌を用いたり、プロペラミキサーやディスパー等の撹拌機により攪拌したり、必要に応じて、これらに加えて超音波を照射するなどすればよい。
上記工程で使用する油相の量は、界面活性剤と油相の種類との相性などにもよるが、例えば、抗原含有複合体1g当たり、1〜10mL程度にすればよい。
このようにして得られたS/O型製剤は、さらに常法に従って水相に分散することによって、S/O/W型製剤としてもよい。
上記溶液またはサスペンションは、そのまま、腕の内側など皮膚が薄く、塗布しやすい場所へ、そのまま塗布してもよいが、好ましくは、医薬として通常添加される他の添加成分を添加して製剤化する。上記の添加成分としては、例えば、賦形剤(例えば、白糖などの糖類;デキストリンなどのデンプン誘導体;カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体;キサンタンガムなどの水溶性高分子等)、着色剤、結合剤(例えば、前記の賦形剤やマクロゴール等)、乳化剤、増粘剤、湿潤剤(例えば、グリセリン等)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、保存剤、溶剤(例えば、水、グリセリン、エタノールやオレイルアルコールなどの高級アルコール類等)、溶解補助剤、懸濁化剤(例えば、カルメロースナトリウム等)、緩衝剤、pH調整剤、基剤(例えば、ポリエチレングリコール、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、ワセリン等)、ワセリンやマイクロクリスタンワックスなどの炭化水素類、ホホバアブアラやゲイロウなどのエステル類、牛脂やオリーブ油などのトリグリセリド類、メントールなどの吸収促進剤、等張化剤、有機溶媒、界面活性剤などを挙げることができ、これらを通常の配合量で配合できる。
各剤形に応じた常套手段によって、上記溶液またはサスペンションと他の添加成分を混合して、軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性パップ剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、プラスター剤、リザーバー型貼付剤、マトリックス型貼付剤、テープ剤などとすることができるが、これらに限定されない。
本発明経皮免疫剤の投与量は、配合する抗原の種類や量、また、患者の年齢や症状などに応じて適宜調整すればよい。例えば、アジュバントを含まず抗原のみを含む経皮免疫剤の場合は、通常、成人1人あたり、1回の投与につき、おおむね、100〜2000μgの範囲、より好ましくは、おおむね、100〜500μgの範囲で、数週間から数ヶ月にわたって、少なくとも2回以上投与することが好ましい。また、抗原とアジュバントの両方を含む場合は、通常、成人1人あたり、1回の投与につき、おおむね、50〜500μgの範囲、より好ましくは、おおむね、50〜200μgの範囲で、数週間から数ヶ月にわたって、少なくとも2回以上投与することが好ましい。
以下、実施例および試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
以下では、S/O化経皮免疫のモデル抗原として鶏卵白由来リゾチーム(Lysozyme from hen egg white、HEL)を用い、HEL含有S/O化経皮免疫剤を用いた経皮免疫法が、従来の皮下免疫方法のように皮膚の炎症も発症せず、抗体産生能にも優れていることを実証する。
(本発明製剤の調製)
HEL2.0mgをリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)2mLに溶解したHEL含有溶液に、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290、エルカ酸:90重量%、HLB:2)の5.0重量%シクロヘキサン溶液4.0mLを加え、ホモジナイザーにより26,000rpmで2分間高速撹拌し、W/O型エマルションを調製した。このエマルションを一昼夜凍結乾燥することによって、界面活性剤−HEL複合体を得た。
この複合体に4mLのミリスチン酸イソプロピル(IPM)を加えて分散させ、本発明に係るS/O型複合体サスペンション(本発明製剤)を得た。ここには、HELを0.5mg/mLの濃度で含有している。
図2に、上記の方法によって得られたHEL含有複合体の粒度分布(頻度分布)を示す。HEL含有複合体の平均粒径をレーザー散乱法(シスメックス社製のナノZS装置を使用)によって測定したところ、458.7nmであった。
(比較製剤の調製)
陽性対照として、HEL抗原とフロイントのコンプリートアジュバント(FCA)とを同量加えて乳化させた比較製剤1、およびHEL抗原のみを含有する比較製剤2を用意した。
詳細には、HEL2.0mgをリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)2mLに溶解したHEL含有溶液に、FCA(原液)を同量(2mL)加えて乳化させ、比較製剤1を調製した。また、比較製剤2は、FCAを添加しなかったこと以外は比較製剤1と同様にして調製した。
このようにして得られた本発明製剤および比較製剤1、2を用いて以下の実験を行ない、抗体産生量および投与部位に及ぼす影響(肉眼的観察および病理組織的検査)を比較検討した。
試験例1 抗体産生量の比較
体重約2kgの雄ウサギ(ニュージーランドホワイト種)4羽を用意し、陽性対照群(比較製剤1、2)用に2羽、実験群(本発明製剤)用に2羽を割り当て、以下のように投与を行った。
(陽性対照群)
陽性対照群のウサギ(2羽)の背部皮膚をバリカンで剃毛し、比較製剤1(アジュバント添加)、比較製剤2(アジュバント無添加)をそれぞれ、1羽につき1mLずつ皮下注射を行った。
(実験群)
実験群用に用意した2羽のウサギのうち、1羽の背部皮膚を上記と同様にバリカンで剃毛し、約10cm四方の面積内に絵の具用筆で本発明製剤を1mL塗布した(背部塗布)。残りの1羽については、片方の耳介の舟状渦に本発明製剤を1mL塗布した(耳介塗布)。
実験群および陽性対照群の両方について、投与後14日目(第1回免疫)、28日目(第2回免疫)、42日目(第3回免疫)、59日目(第4回免疫)に上記と同様の投与を行った。第1回免疫〜第4回免疫のそれぞれの投与前に、耳(耳介塗布を行った本発明製剤投与群では、耳介塗布を行わなかった他方の耳)の外側の耳静脈から採血を行ってサンプルを採取し、サンプル中の抗HEL抗体量をELISA法で調べた。ELISA法の詳細は、下記(1)〜(5)に示すとおりであり、各ステップにおける洗浄操作は、リン酸緩衝食塩水(PBS)、PBST[PBS+Tween 20(親水性界面活性剤)]、または1M NaClを用いて充分行った。なお、実験は、合計3回行なった。
(1)HELのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)(タンパク質量で5mg/mL)を96穴マイクロプレートに200μL/wellとなるように添加し、4℃で一晩静置してHELをマイクロプレートへ吸着させた。
(2)非特異的な吸着を阻止するため、ブロッキング剤として、ウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin;BSA)のPBS溶液(BSAを5.0mg/mL含有)を、HELを吸着した上記のマイクロプレートに200μL/wellとなるように添加し、ブロッキングを行った(37℃で2時間)。
(3)サンプルを200μL/wellとなるように添加し、マイクロプレート基板に吸着させたHELとサンプル中の抗HEL抗体との間で抗原抗体反応を起こさせた(37℃、2時間)。
(4)ブロッキング剤を除去した後、0.2%Tween 80を含むPBSでマイクロプレートを丁寧にリンスし、これに、アルカリフォスファターゼ(AP)で標識されたヤギ由来の抗ウサギIgG抗体を0.1%BSA含有PBSで5,000倍に希釈したものを加え、抗原抗体反応を充分起こさせた(37℃、2時間)。
(5)フリーのAP標識ヤギ由来抗ウサギIgG抗体を洗浄操作によって充分除去した後、1.0mMのp−ニトロフェニルリン酸(1M Tris−HCl緩衝液、pH7.5に溶解)をマイクロプレートに200μL/wellとなるように添加し、λ=410nmでの吸光度を測定することによってウサギ血清中の抗HEL抗体量を求めた。
これらの結果を図3にまとめて示す。図3には、陽性対照群および実験群の結果がまとめて示されており、左側側から順に、比較製剤2(アジュバントなし皮下注射)、比較製剤1(アジュバントあり皮下注射)、本発明製剤(耳介塗布)、および本発明製剤(背部塗布)の結果を示している。
図3より、以下のように考察することができる。
まず、従来のように皮下注射を用いて経皮免疫を行った比較製剤1、2では、いずれも、第1回免疫および第2回免疫で抗HEL抗体量の増加が見られた。特に、アジュバントを添加した比較製剤1では、第1回免疫で著しい抗体量の増加が見られた。
一方、S/O化を行った本発明製剤では、耳介塗布を行った例も、背部塗布を行った例も、いずれも、第1回免疫および第2回免疫で抗体量の増加が認められた。特に、皮膚組織が薄くて経皮吸収性の高い耳介塗布の例では、皮下組織が厚くて耳介に比べて経皮吸収性の低い背部塗布の例に比べ、抗体量の増加が顕著に見られ、その程度は、比較製剤2と、おおむね、同程度であった。
試験例2 投与部位の刺激性に関する肉眼的観察
実験群および陽性対照群の各ウサギの投与部位を、第1回免疫時に肉眼観察した。
その結果、ウサギ背部に皮下注射を行った比較製剤1および比較製剤2では、第1回免疫から明瞭な瘤のようなしこりが発生し、特に、アジュバント入り抗原を皮下注射した比較製剤1において、その程度は顕著であった(図示せず)。これに対し、本発明製剤を投与した例では、背部塗布の例はもとより、刺激性に鋭敏な耳介の舟状渦に塗布を行った例においても、血管の怒張や充血などは何ら認められず、皮膚刺激は全く見られなかった。
試験例3 病理組織学的検査
ここでは、投与後66日目における各ウサギの皮膚についてヘマトキシリン・エオシン(HE)染色を行い、病理組織標本を作製した後、光学顕微鏡による観察(倍率80倍、200倍、400倍)を行って皮膚の炎症を調べた。図4〜図7に、本発明製剤(耳介塗布)、本発明製剤(背部塗布)、比較製剤1、比較製剤2の病理組織写真をそれぞれ示す。
まず、本発明製剤について考察する。
図4は、本発明製剤(耳介塗布)の病理組織写真であり、図4Aは80倍、図4Bは400倍の拡大写真である。図4Aおよび図4Bに示すように、耳介塗布を行なった皮膚には炎症は全く見られず、正常な表皮、真皮層、脂肪を含む皮下組織が観察された。
図5は、本発明製剤(背部塗布)の病理組織写真であり、図5Aは80倍、図5Bは400倍(の拡大写真である。図5A〜図5Bに示すように、背部塗布を行なった皮膚には炎症は全く見られず、正常な表皮、真皮層、脂肪を含む皮下組織が観察された。
以上、図4および図5より、本発明製剤を用いて経皮免疫を行なった場合は、耳介塗布・背部塗布のいずれの場合にも、皮膚の炎症は観察されなかった。
次に、比較製剤について考察する。
図6は、比較製剤1(FCA添加)の病理組織写真であり、図6Aは80倍、図6Bは200倍、図6Cは400倍の拡大写真である。図より、真皮層には大きな嚢胞が観察され(図6Aを参照)、その大きな嚢胞の周辺部では壊死組織が認められた(図6Bを参照)。また、図6Cに示すように、真皮層から皮下組織にかけて炎症が広範囲に見られ、著しく肥厚している。これらの部位では、大きい空砲や泡沫状細胞質を有して膨らんだマクロファージの集団が観察され、その間に細胞浸潤が見られた。
図7は、比較製剤2(FCA添加なし)の病理組織写真であり、図7Aは80倍、図7Bは200倍、図7Cは400倍の拡大写真である。これらの図に示すように、表皮の一部(図7A、図7B、図7Cの左端)に軽度な肥厚が認められ、その下部の真皮層では、幼弱な線維芽細胞が密に走行しており、軽度の細胞浸潤を伴っていた。
以上の結果より、従来の皮下注射を用いた経皮免疫法では、皮膚の炎症が認められ、炎症の程度は、FCA添加なしの比較製剤2に比べ、FCA添加の比較製剤1の方が顕著に見られた。
図1は、S/O型製剤の構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明製剤の粒度分布を示す図である。 図3は、試験例1における各投与群の抗体量の経時的推移を示す図である。 図4Aは、本発明製剤(耳介塗布)の病理組織写真(80倍)である。 図4Bは、本発明製剤(耳介塗布)の病理組織写真(400倍)である。 図5Aは、本発明製剤(背部塗布)の病理組織写真(80倍)である。 図5Bは、本発明製剤(背部塗布)の病理組織写真(400倍)である。 図6Aは、比較製剤1(FCA添加)の病理組織写真であり(80倍)である。 図6Bは、比較製剤1(FCA添加)の病理組織写真(200倍)である。 図6Cは、比較製剤1(FCA添加)の病理組織写真(400倍)である。 図7Aは、比較製剤2(FCA添加なし)の病理組織写真(80倍)である。 図7Bは、比較製剤2(FCA添加なし)の病理組織写真(200倍)である。 図7Cは、比較製剤2(FCA添加なし)の病理組織写真(400倍)である。
符号の説明
1 薬物
2 界面活性剤
3 薬剤含有複合体(固相)
4 油状基材(油相)
10 S/O型製剤

Claims (8)

  1. 抗原が界面活性剤によって被覆された固体状の抗原−界面活性剤複合体と、油相とを含み、前記固体状の抗原−界面活性剤複合体は、油相に溶解または分散していることを特徴とするS/O型経皮免疫剤。
  2. 前記抗原は、タンパク質またはペプチドである請求項1に記載のS/O型経皮免疫剤。
  3. 前記抗原は、生または不活性化された細菌及び/又はウイルスである請求項1に記載のS/O型経皮免疫剤。
  4. 前記抗原は、動物由来または植物由来である請求項1に記載のS/O型経皮免疫剤。
  5. 前記界面活性剤が非イオン界面活性剤である請求項1〜4のいずれかに記載のS/O型経皮免疫剤。
  6. 前記界面活性剤のHLB価が10以下である請求項1〜5のいずれかに記載のS/O型経皮免疫剤。
  7. 前記油相が、植物油、動物油、中性脂質、および長鎖脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載のS/O型経皮免疫剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のS/O型経皮免疫剤が、水相に分散していることを特徴とするS/O/W型経皮免疫剤。
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