JP5751582B2 - 多孔性炭素膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素膜の製造方法に関し、より詳細には、バイモーダルな多孔性炭素膜の製造方法に関する。
多孔性炭素材料は、その高い表面積、調節可能な孔径、大きな孔容積、優れた機械的・熱的安定性および化学的不活性により、触媒、吸着剤、センシング、ガス分離、クロマトグラフィ、エネルギー貯蔵等種々の用途において注目されている。
このような多孔性炭素材料の多くは、単一の孔径(50nm以下)を有するメソ多孔性材料であり、大きな分子の拡散を抑制するに好ましい。例えば、多孔質炭素膜が開発された(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、基板と平行に設けられた多孔質炭素膜は、膜の最上端表面にメソ孔が開口部をもって規則的に配列されている。ここでもやはり、メソ孔の細孔径は、2〜50nmであり、特許文献1の多孔質炭素膜は、触媒、大きな分子のための吸着剤、粘性系といった用途に限定され得る。
したがって、階層的に秩序化された多孔性炭素材料、すなわち、マクロ細孔とメソ細孔とを有する多孔性炭素材料の開発が望まれている。また、上述したいずれの用途にも重要な制御された厚さを有する多孔性炭素材料の開発も望まれている。
以上より、本発明の課題は、マクロ細孔とメソ細孔とを有するバイモーダルな多孔性炭素膜の製造方法を提供することである。
本発明による炭素からなるフレーム構造によって形成された多孔性炭素膜であって、前記フレーム構造が、マクロ細孔と、前記マクロ細孔の細孔径よりも小さな細孔径を有するメソ細孔とを有し、前記マクロ細孔がその表面方向に規則的に配列しており、前記マクロ細孔がその表面に開口を有する、多孔性炭素膜を製造する方法は、炭素源を含有する溶液を高分子材料である粒子からなるテンプレートに付与するステップと、前記溶液が付与された前記テンプレートを加熱し、前記炭素源を重合するステップと、前記重合された炭素源を有する前記テンプレートを、前記重合するステップの加熱温度よりも高い温度で加熱し、前記テンプレートを除去するステップと、前記テンプレートが除去された前記重合された炭素源を、前記除去するステップの加熱温度よりも高い温度で加熱し、炭化するステップとを包含し、前記重合するステップは、前記溶液が付与された前記テンプレートを、50℃〜100℃の第1の温度範囲で2時間〜6時間、次いで、前記第1の温度範囲より高い160℃〜200℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱し、前記除去するステップは、前記重合された炭素源を有する前記テンプレートを、不活性雰囲気中で300℃〜500℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱し、前記炭化するステップは、前記テンプレートが除去された前記重合された炭素源を、不活性雰囲気中で700℃〜1200℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱し、これにより上記課題を解決する。
前記炭素源は、グルコース、スクロースおよびフルクトースからなる群から選択されてもよい。
前記粒子は、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)であってもよい。
前記粒子の粒径は、50nm〜15μmの範囲であってもよい
記炭化するステップに続いて、前記多孔性炭素膜をオゾン処理するステップをさらに包含してもよい。
前記テンプレートは、コロイド結晶であってもよい。
前記フレーム構造は、前記マクロ細孔を互いに結合するチャネルを有してもよい。
前記マクロ細孔の細孔径は、50nm〜15μmの範囲であってもよい。
前記メソ細孔の細孔径は、2nm〜10nmの範囲であってもよい。
前記開口部の形状は、六角形状であってもよい。

本発明の多孔性炭素膜は、炭素からなるフレーム構造によって形成されている。フレーム構造は、マクロ細孔と、マクロ細孔の細孔径よりも小さな細孔径を有するメソ細孔とを有する。すなわち、本発明の多孔性炭素膜は、マクロ細孔とメソ細孔とを有するバイモーダルな多孔性炭素膜であるので、大きな表面積を有するとともに、異なる大きさを有する物質を吸着あるいは透過させるので、用途を拡大できる。さらに、マクロ細孔は、多孔性炭素膜の表面方向に配列しており、多孔性炭素膜の断面方向に開口部を有し、極めて規則的である。そのため、物質輸送の定量的な判定も可能にし、有利である。また、本発明の多孔性炭素膜は、膜状であるので、単層から多層まで変化させることによって、膜厚制御が容易である。
本発明による多孔性炭素膜を製造する方法は、炭素源を含有する溶液を粒子からなるテンプレートに付与するステップと、炭素源を重合するステップと、テンプレートを除去するステップと、重合された炭素源を炭化するステップとを包含する。粒子からなるテンプレートを用いるので、得られる炭素膜におけるマクロ細孔の細孔径は、粒子の大きさを反映する。したがって、粒子の大きさを適宜選択することによってマクロ細孔の細孔径を容易に制御できる。また、多孔性炭素膜におけるマクロ細孔の配置は、テンプレートにおける粒子の配置を反映するので、マクロ細孔の規則的な配列を容易に達成できる。上述のテンプレートを採用することによってマクロ細孔を有する多孔性炭素膜となり、重合ステップおよび炭化ステップによって多孔性炭素膜中に自発的にメソ細孔が発生するので、本発明の方法を採用すれば、複雑な制御をすることなく、バイモーダルな多孔性炭素膜を得ることができる。
本発明による多孔性炭素膜を示す模式図 本発明の多孔性炭素膜を製造する工程を示すフローチャート 本発明の多孔性炭素膜を製造する様子を示す模式図 本発明の多孔性炭素膜を用いたフィルタを示す模式図 実施例1による多孔性炭素膜を製造する様子を示す模式図 実施例1による薄膜1のSEM像を示す図 実施例1による薄膜1のTEM像を示す図 実施例2および3による薄膜2および3のSEM像を示す図 実施例4による薄膜4のSEM像を示す図 実施例5による薄膜5のSEM像を示す図 実施例1による薄膜1のXRDパターンを示す図 実施例1による薄膜1のラマンスペクトルを示す図 実施例1による薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量の時間依存性を示す図 実施例1による薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量を示す図 実施例1による薄膜1のオゾン処理前後のFTIRスペクトルを示す図 実施例1によるオゾン処理後(処理時間30分)の薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量を示す図 実施例1による薄膜1のQCM周波数シフト量のオゾン処理時間依存性を示す図 実施例1による薄膜1を別の基材に移す様子を示す図 比較例1による膜のSEM像を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明による多孔性炭素膜の構造について詳述する。
図1は、本発明による多孔性炭素膜を示す模式図である。
図1(A)は、本発明による、単層の多孔性炭素膜の表面を表す図であり、図1(B)は、図1(A)中のA−B断面を示す図であり、図1(C)は、図1(A)中のC−D断面を示す図である。
本発明の多孔性炭素膜100は、炭素からなるフレーム構造110によって形成されている。フレーム構造110を構成する炭素は、例えば、構造的欠陥および格子欠陥を有するグラフェン、グラファイト、アモルファスカーボン、あるいは、これらの任意の混合物であり得るので、本発明による多孔性炭素膜100は、機械的・化学的安定性に優れる。
フレーム構造110は、マクロ細孔120と、メソ細孔(図1中の白いドットで模式的に示す)とを有する。
マクロ細孔120は、多孔性炭素膜100の表面方向に規則的に配列している。本明細書において、膜の「表面方向」とは、膜の表面と平行な方向を意図する。規則的な配列は、後述する粒子の配列に依存するが、例えば、最密充填様、コロイド結晶様、フォトニック結晶様等である。さらに、マクロ細孔120は、図1(A)に示されるように、多孔性炭素膜100の最表面に開口部130を有する。図1(B)に示されるように、マクロ細孔120の厚さ方向(表面方向に対して垂直な方向)の断面は、半球状である。
図1(A)では、開口部130の形状は、円形で示されるが、開口部130の形状はこれに限らない。例えば、多数のマクロ細孔120が要求される場合には、最密充填様の粒子の配列を反映し、マクロ細孔120の開口部130は、六角形状となり得る。
また、図1(A)では、マクロ細孔120が空洞であるように示されるが、白抜きの部分は、フレーム構造110の一部であり、図1(B)に示されるように、半球状の側壁となっていることに留意されたい。ただし、製造過程において、テンプレート(320)と基板(330)との密着性の程度、あるいは、多層のテンプレートを用いた場合には、側壁の一部(例えば、底部)が貫通している場合がある。
マクロ細孔120の細孔径Rは、後述する粒子の粒径に依存するが、選択可能な粒子の範囲から、50nm〜15μmの範囲である。
より詳細には、フレーム構造110は、マクロ細孔120を互いに結合するチャネル140を有し得る。図1(C)に示すように、チャネル140は、本発明の多孔性炭素膜100の厚さ方向である、フレーム構造110の壁となる部分(C−D断面部分)に位置し、マクロ細孔120の一部をなす。チャネル140の径は、粒子と粒子との接触領域に相当するため、後述する粒子の粒径(すなわちマクロ細孔120の細孔径)に依存するが、例えば、100nm(粒径およびマクロ細孔の細孔径が約470nmの場合)である。
メソ細孔は、マクロ細孔120の細孔径よりも小さな細孔径を有し、フレーム構造110中のマクロ細孔120以外の部分に散在している。メソ細孔は、後述する製造時に生じる脱水等により自然に生じる細孔であり、その細孔径は2nm〜10nmの範囲である。
本発明の多孔性炭素膜100の膜厚dは、後述する粒子の粒径に依存し、選択した粒径と実質的同様あるいは粒径よりわずかに小さくなり得る。したがって、本発明の単層の多孔性炭素膜100の膜厚dを増大させたい場合には、製造時に大きな粒径を有する粒子を採用すればよい。
このように、本発明の多孔性炭素膜100は、マクロ細孔120とメソ細孔とを有するバイモーダルな多孔性炭素膜であるので、大きな表面積を有するので、触媒および吸着剤に利用され得る。また、本発明の多孔性炭素膜100は、マクロ細孔120の細孔径が50nm〜15μmの範囲であるので、極めて大きな物質のための吸着剤として好適である。
本発明の多孔性炭素膜100は、バイモーダルであるので、異なる大きさを有する物質を吸着あるいは透過させるので、マクロ細孔120に大きな物質を吸着させ、メソ細孔により所定の大きさの物質のみを透過させるといった多機能性を発揮できる。このような機能を利用すれば、本発明の多孔性炭素膜100は、種々の物質をフィルタリングするフィルタ、種々の物質をセンシングするセンサに利用され得る。
マクロ細孔120は、多孔性炭素膜100の表面方向に配列しており、多孔性炭素膜100の最表面に開口部130を有し、極めて規則的である。そのため、本発明の多孔性炭素膜100は、物質輸送の定量的な判定を可能にする。
図1を参照して、本発明の単層である多孔性炭素膜100を説明してきたが、本発明の多孔性炭素膜はこれに限らない。図1に示す単層の多孔性炭素膜100が多層になっていてもよい。多層にすることによって、用途に応じた膜厚を有する多孔性炭素膜となり得る。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の多孔性炭素膜を製造する方法を説明する。本発明者らは、粒子からなるテンプレートを採用し、実施の形態1で詳述した多孔性炭素膜の製造に成功した。
図2は、本発明の多孔性炭素膜を製造する工程を示すフローチャートである。
図3は、本発明の多孔性炭素膜を製造する様子を示す模式図である。
ステップS210:炭素源を含有する溶液310を粒子からなるテンプレート320に付与する。炭素源は、加熱によりアモルファス炭素あるいは炭化水素になり得る任意の物質を採用できるが、好ましくは、グルコース、スクロースおよびフルクトースからなる群から選択される。これらの炭素源は、いずれも、入手あるいは合成が容易であり、安価である。溶液310は、好ましくは、酸を含有する。酸は、後述のステップS220の重合における触媒として機能し、反応を促進させる任意の酸であるが、具体的には、塩酸、硫酸および硝酸等である。
図3では、粒子からなるテンプレート320は基板330上に位置する。基板330上にあれば、取り扱いが簡便となる。基板330は、テンプレート320が配置でき、1200℃程度の高温に晒すことも可能な任意の基板であるが、例えば、Si基板、ガラス基板、石英基板である。
粒子は、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)である。これらの粒子は、以降の工程において炭素源と容易に反応しないので、高純度の多孔性炭素膜を得ることができる。これらの粒子は、高分子材料であるので、所定の温度で焼成すれば、完全に消失させることができる。また、これらの粒子は、市販されており、任意の粒径を有する粒子の入手が容易である。粒子の粒径は、50nm〜15μmの範囲である。ここで選択される粒子の粒径が、本発明の多孔性炭素膜100(図1)におけるマクロ細孔120(図1)の細孔径Rとなるので、用途に応じた粒径を有する粒子を選択するだけで、所望の細孔径を有する多孔性炭素膜を得ることができる。
特に、粒子が一層だけ配列したテンプレート320の場合、粒子の粒径あるいは粒子の粒径よりもわずかに小さい領域(すなわち、溶液310がテンプレート320内に浸透する範囲)が、多孔性炭素膜100の膜厚dとなり得る。したがって、膜厚の厚い多孔性炭素膜100を得る場合には、大きな粒径を有する粒子からなるテンプレート320を選択し、膜厚の薄い多孔性炭素膜100を得る場合には、小さな粒径を有する粒子からなるテンプレート320を選択すればよい。なお、上述のテンプレート320は、コロイド粒子を用いたコロイド結晶の製造技術を参照すれば、容易に実現できる。
粒子からなるテンプレート320の粒子の配置が、多孔性炭素膜100におけるマクロ細孔120(図1)の配置となる。したがって、周期的かつ規則的に配置したマクロ細孔120を有する多孔性炭素膜100を得るためには、テンプレート320は、最密充填様、コロイド結晶様、フォトニック結晶様である。中でも、コロイド粒子からなる最密充填様のコロイド結晶であれば、規則的に配列し、開口部130(図1)が六角形を有するマクロ細孔120(図1)を有し、かつ、高い比表面積および大きな孔容積を有する多孔性炭素膜を得ることができる。
溶液310のテンプレート320への付与は、溶液310を滴下、溶液310中へのテンプレート320の浸漬等によって行われる。
ステップS220:溶液が付与されたテンプレートを加熱し、炭素源を重合する。加熱によって、炭素源が反応し、重合される(重合された炭素源340)。具体的には、重合は、溶液が付与されたテンプレートを、比較的低温である第1の温度範囲で加熱し、次いで、第1の温度範囲よりも高温である第2の温度範囲で加熱することによって行われる。2段階で行うことにより、炭素源が急激に加熱され、気化することを抑制し、効率的に重合できる。また、重合に伴い、脱水が生じる。
より好ましくは、重合は、溶液が付与されたテンプレートを、50℃〜100℃の第1の温度範囲で2時間〜6時間、次いで、第1の温度範囲より高い160℃〜200℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱することによって行われる。雰囲気の制御は不要であり、例えば、大気中である。この条件で加熱すれば、炭素源を確実に重合できる。
ステップS230:重合された炭素源を有するテンプレートを加熱し、テンプレートを除去する。加熱によって、テンプレートのみが焼失し、テンプレートが除去される。具体的には、テンプレートの除去は、重合された炭素源を有するテンプレートを、不活性雰囲気中で300℃〜500℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱することによって行われる。この条件で加熱すれば、重合された炭素源を反応させることなく、テンプレートのみを確実に除去できる。500℃を超えると、テンプレートの除去に伴い重合された炭素源が炭化する恐れがあり、得られる多孔性炭素膜の構造が不均一になる場合がある。300℃を下回ると、テンプレートが残留する場合がある。ここで、テンプレートが除去された重合された炭素源は、フレーム構造110(図1)の骨格となり得る。不活性雰囲気は、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気等である。
ステップ240:テンプレートが除去された重合された炭素源を加熱し、炭化する。加熱によって、重合された炭素源から脱水が生じ、炭化される。具体的には、炭化は、コロイド結晶が除去された重合された炭素源を、不活性雰囲気中で700℃〜1200℃の温度範囲で3時間〜6時間加熱することによって行われる。この条件で加熱すれば、確実に重合された炭素源を、その形状を維持したまま炭化できる。700℃を下回ると、重合された炭素源の一部が炭化されない場合がある。1200℃を超えると、加熱温度が高すぎるため、形状が破壊される場合がある。不活性雰囲気は、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気等である。
ここで、ステップSS220および240において生じる脱水により、自発的にメソ細孔(実施の形態1を参照)が生成する。炭化されたテンプレートが除去された重合された炭素源が、フレーム構造110(図1)である。
このようにして、本発明の多孔性炭素膜100が基板330上に得られる。本発明の方法を採用すれば、多孔性炭素膜100におけるマクロ細孔120の配置は、テンプレート320における粒子の配置を反映するので、マクロ細孔120の規則的な配列を容易に達成できる。本発明の方法を採用すれば、重合および炭化を経て、自発的にメソ細孔が生成するので、複雑な制御をすることなく、バイモーダルな多孔性炭素膜を得ることができる。
図3では、基板330上に粒子が一層だけ配列したテンプレート320を示したが、ステップS210で用いるテンプレート320はこれに限定されない。例えば、テンプレート320として、粒子が多層に配列したテンプレートを用いてもよい。これにより、膜厚の厚い多層の多孔性炭素膜を得ることができる。
次に、このようにして得られた基板330上の多孔性炭素膜100は、自立膜であるため、容易に所望の基材に移すことができる。
S310:基板330上の多孔性炭素膜100を水中に浸漬させる。これにより、基板330から多孔性炭素膜100が剥離し、水面に吸着する。
S320:水面に吸着した多孔性炭素膜100を別の基材に接触させる。これにより、多孔性炭素膜100は容易に別の基材に移される。ここで、別の基材は、任意の材料からなり、平面であってもよいし、湾曲していてもよいし、曲率を有していてもよく、任意の形状の基材であり得る。
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明の多孔性炭素膜の用途を例示する。
図4は、本発明の多孔性炭素膜を用いたフィルタを示す模式図である。
フィルタ400は本発明の多孔性炭素膜100を含む。多孔体炭素膜100は、実施の形態1で詳述したため説明を省略する。多孔性炭素膜100には、触媒粒子410が付着している。触媒粒子410は、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Au等の金属およびランタノイド金属であり得る。触媒粒子410は、例えば、物理的気相成長法等を用いて多孔体炭素膜100に容易に付着される。図4では、簡単のため、多孔性炭素膜100のマクロ細孔120(図1)にのみ触媒粒子410が付与されているように示されるが、メソ細孔にも触媒粒子410は付着されている。
このようなフィルタ400の動作を説明する。ここで、多孔性炭素膜100のマクロ細孔120(図1)の細孔径が約400nmであり、メソ細孔の細孔径が約5nmであるとし、ガス420は、約400nmおよび約5nmの2種類の異なる大きさの有害物質を含有するものとする。
有害物質を含有するガス420が、フィルタ400を通過する。ガス420中の有害物質の大きさは、フィルタ400の多孔性炭素膜100におけるマクロ細孔およびメソ細孔の細孔径に一致するので、フィルタ400においてガス420中の有害物質が、マクロ細孔およびメソ細孔に捕捉される。捕捉された有害物質は触媒粒子410により分解・処理される。このようにして、有害物質が除去されたガス430がフィルタ400から送出される。
なお、図4では、触媒粒子410が付着した例を示したが、多孔性炭素膜100のマクロ細孔およびメソ細孔に物質を単に捕捉する目的に使用する場合、触媒粒子410が付着していなくてもよい。
本発明の多孔性炭素膜100は、製造直後において、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、酸性溶媒、アルカリ溶媒等に対して吸着能を有するので、本発明の多孔性炭素膜100を用いて特定の物質をセンシングするためのセンサを構築してもよい。上記物質の中でも、芳香族アニリンおよびトルエンに対して優れた吸着能を有するので、本発明の多孔性炭素膜100は、アニリンあるいはトルエンをセンシングするためのセンサに好適である。
また、本発明の多孔性炭素膜100の吸着能を、オゾン処理により制御することができる。本発明の多孔性炭素膜100にオゾン処理(オゾン照射)を行うと、アミンを有する物質(例えば、アニリンおよびアンモニア)に対する吸着能を増大させることができる。具体的なオゾン処理は、オゾンクリーナ等を用いて、酸素、紫外線ランプおよび窒素中にて、多孔性炭素膜100を少なくとも30分保持することが望ましい。30分より短いと、オゾン処理の効果が期待できない。このようなオゾン処理された多孔性炭素膜100を用いてもよい。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
図5は、実施例1による多孔性炭素膜を製造する様子を示す模式図である。
実施例1では、テンプレート320として、粒径476nmを有する粒子(ポリスチレン製)からなる単層のコロイド結晶を、炭素源としてグルコースを、酸として硫酸を、基板330としてSi基板を用い、本発明の多孔性炭素膜を製造した。
グルコース(0.2M)と硫酸(0.5%)とを含有する溶液310(5μL)をテンプレート320に滴下することにより付与した(ステップS210)。図5には溶液中のグルコースの構造式を示す。
次いで、溶液が付与されたテンプレート320を、100℃、6時間、次いで、160℃、6時間加熱し、グルコースを重合340した(ステップS220)。図5には、グルコースが脱水された、重合されたグルコース340の構造式を示す。
重合されたグルコースを有するテンプレート320を、昇温速度2℃/分で300℃まで昇温し、アルゴン雰囲気中、2時間加熱し、テンプレート320を除去した(ステップS230)。
次に、テンプレート320が除去された重合されたグルコースを、昇温速度4℃/分で900℃まで昇温し、アルゴン雰囲気中、2時間加熱し、炭化した(ステップS240)。図5には、炭化されたグルコース、すなわち、本発明の多孔性炭素膜の構造式を示す。
このようにしてSi基板上に得た薄膜試料(以降では単に薄膜1と称する)について、構造、物性等を調べた。
薄膜1のモルフォロジを、電界放出型走査電子顕微鏡FESEM(Hitachi、S−4800)により観察した。観察結果を図6に示す。薄膜1の微細構造を、電界放出型透過電子顕微鏡TEM(JEOL、JEM−2100F)により観察した。観察結果を図7に示す。
薄膜1のX線回折パターンを、CuKα線(λ=0.154nm)を用いたX線回折装置(Rigaku)により測定した。測定結果を図11に示す。薄膜1のラマンスペクトルを、ラマン分光測定装置(Horiba、T−64000)により測定した。測定結果を図12に示す。薄膜1の赤外吸収スペクトルを、赤外分光装置(Nicolet Nexus 670)により測定した。測定結果を図15に示す。
薄膜1の種々の物質に対する吸着能を、水晶天秤QCM(USIシステム)を用いて測定した。測定には、金コーティングされたQCM共振器を電極に用い、1周波数のシフト量(変化量)は約0.95ngの質量変化に相当した。薄膜1を水中に浸漬させ、Si基板から剥離させた(ステップS310)。水面に吸着した薄膜1をQCM共振器に接触させ移した(ステップS320)。薄膜1が移されたQCM共振器をQCM装置内の共振器ホルダに設定した。種々の物質として、揮発性の液体(芳香族炭化水素としてトルエンおよびアニリン、脂肪族炭化水素としてヘキサン、酸性溶媒として酢酸、アルカリ溶媒としてアンモニア(30%))10mLをガラス容器に準備した。これをQCM装置に設定した。なお、気化による漏れを防ぐため、吸着能の測定中、QCM装置を、カバーを用いて完全に覆った。吸着能の測定後、カバーおよび揮発性の液体を含有するガラス容器を除去し、薄膜1を大気に晒した。吸着能の測定は、25℃で行った。測定結果を図13および図14に示す。
次に、薄膜1にオゾン処理を行った。オゾン処理は、オゾンクリーナ(Filgen、UV253Sシステム)を用い、酸素、紫外線ランプおよび窒素を導入した。オゾン処理時間は、30分および60分であった。
オゾン処理後の薄膜1の赤外吸収スペクトルを上述の赤外分光装置により測定した。測定結果を図15に示す。
オゾン処理後の薄膜1の種々の物質に対する吸着能を、上述のQCM装置を用いて同様の条件で測定した。なお、種々の物質として、揮発性の液体(ベンゼン、ヘキサン、アニリン、酢酸、アンモニア(30%)、エタノールおよび水)を用いた。測定結果を図16および図17に示す。
次に、Si基板上の薄膜1を別の基材として曲率を有するガラス管に移した。結果を図18に示す。
実施例2では、テンプレート320として、粒径200nmを有する粒子(ポリスチレン製)からなる単層のコロイド結晶を用いた以外は、実施例1と同様の手順により、本発明の多孔性炭素膜を製造した。実施例2で得られたSi基板上の薄膜試料(以降では単に薄膜2と称する)について、実施例1と同様に、SEMにより観察した。観察結果を図8に示す。
実施例3では、テンプレート320として、粒径1000nm(1μm)を有する粒子(ポリスチレン製)からなる単層のコロイド結晶を用いた以外は、実施例1と同様の手順により、本発明の多孔性炭素膜を製造した。実施例2で得られたSi基板上の薄膜試料(以降では単に薄膜3と称する)について、実施例1と同様に、SEMにより観察した。観察結果を図8に示す。
実施例4では、テンプレート320として、粒径476nmを有する粒子(ポリスチレン製)からなる二層のコロイド結晶を用いた以外は、実施例1と同様の手順により、本発明の多孔性炭素膜を製造した。実施例4で得られたSi基板上の薄膜試料(以降では単に薄膜4と称する)について、実施例1と同様に、SEMにより観察した。観察結果を図9に示す。
実施例5では、炭素源として、フルクトースを用いた以外は、実施例1と同様の手順により、本発明の多孔性炭素膜を製造した。実施例5で得られたSi基板上の薄膜試料(以降では単に薄膜5と称する)について、実施例1と同様に、SEMにより観察した。観察結果を図10に示す。
比較例1
比較例1では、ステップS240における炭化の加熱温度を350℃とした以外は、実施例1と同様の手順により、炭素膜を製造した。比較例1で得られたSi基板上の薄膜試料について、実施例1と同様に、SEMにより観察した。観察結果を図19に示す。
表1に以上の実施例1〜5および比較例1の製造条件を示す。
図6は、実施例1による薄膜1のSEM像を示す図である。
図6(A)は、薄膜1の表面の方向から観察したSEM像であり、図6(B)は、薄膜1の断面方向から観察したSEM像である。図6(A)および(B)によれば、薄膜1は、フレーム構造610によって形成されており、フレーム構造610は、マクロ細孔630を有し、さらに、マクロ細孔630が互いに結合されたチャネル620を有することが確認された。また、薄膜1の膜厚は約300nmであった。
また、図6(A)によれば、マクロ細孔630は、薄膜1の表面方向に規則的に配列しており、テンプレート320の最密充填様のコロイド結晶の粒子の配列と同一であった。さらに、図6(A)によれば、マクロ細孔630は、薄膜1の最表面において六角形状の開口部640を有していた。マクロ細孔630の細孔径は、470nmであり、製造に用いたテンプレート320の粒子の粒径(476nm)に一致した。チャネル620の径は約100nmであり、粒子間が接触する領域に一致した。
図7は、実施例1による薄膜1のTEM像を示す図である。
図7は、フレーム構造610の細部を示しており、メソ細孔710が存在していることが分かった。メソ細孔710の細孔径は、約4nmであり、マクロ細孔630の細孔径よりも小さいことを確認した。
以上より、本発明の方法を採用すれば、テンプレートの粒子の配置および大きさを反映し、チャネルで結合されたマクロ細孔と、メソ細孔とを有するフレーム構造からなるバイモーダルな多孔性薄膜が得られることが示された。また、テンプレートを使用することなく、メソ細孔が形成されるので、本発明の方法は、特別の技術を不要とし、汎用性が高い。
図8は、実施例2および3による薄膜2および3のSEM像を示す図である。
図8によれば、薄膜2および3のいずれも、薄膜1と同様の様態であった。薄膜2のマクロ細孔810の細孔径は、約200nmであり、薄膜3のマクロ細孔820の細孔径は、約1000nm(1μm)であった。マクロ細孔810および820の開口部の形状は、いずれも、円形であった。これらの細孔径は、それぞれ、テンプレートに用いた粒子の粒径に一致した。図示しないが、薄膜2および3についてもメソ細孔を有することをTEMにより確認した。また、薄膜2および3の膜厚は、それぞれ、選択された粒子の粒径よりもわずかに小さいが、粒径と同様の大きさであった。
以上より、テンプレートの粒子の粒径を変化することによって、得られるマクロ細孔の細孔径を制御した多孔性薄膜が得られることが示された。
図9は、実施例4による薄膜4のSEM像を示す図である。
薄膜4によれば、マクロ細孔910とマクロ細孔920とが二層になり、結合していることを確認した。このマクロ細孔910と920の細孔径および配置は、テンプレートの二層のコロイド結晶における粒子のサイズおよび配置に一致した。図示しないが、薄膜4についてもメソ細孔を有することをTEMにより確認した。また、薄膜4の膜厚は、薄膜1の2倍以上であった。
以上より、テンプレートの粒子の配列を多層にすることによって、規則的に配列したマクロ細孔を維持しつつ、メソ細孔も備えた多孔性薄膜の膜厚を制御できることが示された。
図10は、実施例5による薄膜5のSEM像を示す図である。
図10によれば、薄膜5も、薄膜1と同様の様態であった。図示しないが、薄膜5についてもメソ細孔を有することをTEMにより確認した。以上より、炭素源をグルコースからフルクトースに変化させても、本発明の方法により多孔性薄膜が得られることが確認された。
図11は、実施例1による薄膜1のXRDパターンを示す図である。
図11によれば、薄膜1は、格子面間隔0.352nmに相当する25.2°(2θ)に反射を示した。この反射は、(002)に指数付けされ、ランダム配向したグラフェン層を有する乱層構造炭素に基づくことを確認した。
図12は、実施例1による薄膜1のラマンスペクトルを示す図である。
図12によれば、薄膜1は、1343cm−1および1592cm−1にピークを示した。これらのピークは、それぞれ、グラフェンシート端部における欠陥の特性(Dバンド)、および、グラファイト層のE2g振動モード(Gバンド)に相当することが分かった。
薄膜1がGバンドを有することから、薄膜1はグラファイトの特性を有することが示された。グラファイト単結晶のGバンド(1575cm−1)と比較すると、薄膜1のGバンドは、高波数側にシフトしていた。このことは、薄膜1におけるグラフェンシートが構造的に不完全であることを示す。また、DバンドとGバンドとの相対強度比は、0.88であり、薄膜1における黒鉛化の程度が高いことを示す。
図11および図12より、薄膜1はグラファイトおよびグラフェンの特性を有することから、フレーム構造610(図6)が炭素からなることが分かった。また、薄膜1が構造的に不完全なグラフェンシートからなり、欠陥を有することから、薄膜1が、吸着、センシング、触媒等の分野における多孔性材料の特性を有することが示唆される。
以上より、本発明の方法を採用すれば、チャネルを有するフレーム構造と、チャネルで結合されたマクロ細孔と、メソ細孔とを有し、フレーム構造は炭素からなる、多孔性炭素膜が得られることが示された。
図13は、実施例1による薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量の時間依存性を示す図である。
図14は、実施例1による薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量を示す図である。
図13においてプロファイルa〜eは、それぞれ、アンモニア、ヘキサン、酢酸、トルエンおよびアニリンに対するQCM周波数変化(シフト量)を示す。いずれのプロファイルも、時間の経過に伴い、QCM周波数変化を示した。このことから、薄膜1は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、酸性溶媒、および、アルカリ溶媒を吸着できることが確認された。
図14によれば、薄膜1は、アニリン、トルエン、酢酸、ヘキサンおよびアンモニアの順に吸着能を有したが、芳香族炭化水素(アニリン、トルエン)、脂肪族炭化水素(ヘキサン)、酸性溶媒(酢酸)、および、アルカリ溶媒(アンモニア)の中でも、芳香族炭化水素に対して高い吸着能を有し、さらに、芳香族炭化水素の中でもアニリンに対してとりわけ高い吸着能を有することが分かった。詳細には、アニリンおよびトルエンの蒸気圧、分子量および構造がともに類似するにも関わらず、アニリンの吸着量は、トルエンのそれの約2倍であった。
このことから、本発明の多孔性炭素膜が、特定の物質をセンシングするためのセンサとなり得、好ましくは芳香族炭化水素、より好ましくはアニリンをセンシングするためのセンサになり得ることが示された。
図15は、実施例1による薄膜1のオゾン処理前後のFTIRスペクトルを示す図である。
図15のスペクトル(a)および(b)は、それぞれ、オゾン処理前の薄膜1のFTIRスペクトル、および、オゾン処理後(処理時間30分)の薄膜1のFTIRスペクトルである。
オゾン処理により、薄膜1のFTIRスペクトルは変化し、カルボニル基に代表的な1700cm−1近傍の吸収を示した。
図16は、実施例1によるオゾン処理後(処理時間30分)の薄膜1の種々の物質に対するQCM周波数シフト量を示す図である。
図16によれば、オゾン処理後の薄膜1は、アニリン、アンモニア、トルエン、酢酸、エタノール、水およびヘキサンの順に吸着能を有した。この吸着能の順番は、オゾン処理前のそれ(図14)と異なった。オゾン処理により、薄膜1のアニリンおよびアンモニアに対する吸着量が顕著に増大した。それ以外は吸着量には変化はなかった。これは、オゾン処理により、アニリンおよびアンモニアが有するアミンに対する吸着能が増大したためである。このことは、図15で示したオゾン処理によるカルボニル基の生成に整合する。すなわち、オゾン処理により生成した薄膜1におけるカルボニル基と、アニリンおよびアンモニアが有するアミンとの間に強い相互作用が生じたためである。
また、図13および図16に示す吸着実験を回以上繰り返し行ったが、吸着量に実質的な変化は見られなかった。このことから、本発明の多孔性炭素膜が、高い安定性を有しており、商業的に有利であることが確認された。
図17は、実施例1による薄膜1のQCM周波数シフト量のオゾン処理時間依存性を示す図である。
図17によれば、オゾン処理時間が30分であれば、オゾン処理による吸着能の増大の効果が十分に期待できることが分かった。
以上より、本発明の多孔性炭素膜において、アミンを有する物質に対する吸着能の増大・制御にオゾン処理が有効であることが確認された。
図18は、実施例1による薄膜1を別の基材に移す様子を示す図である。
図18(a)は、Si基板上の薄膜1を水中に浸漬させた後、薄膜1がSi基板から剥離し、水面に吸着している様子である。図18(b)は、水面に吸着した薄膜1を、曲率を有する(カーブした)ガラス管に接触させている様子である。図18(c)は、ガラス管に薄膜1が移された様子である。
本発明による多孔性炭素膜は自立膜であるため、水面を利用した剥離、および、任意の形状を有する基材への転写が容易であることが確認された。
図19は、比較例1による膜のSEM像を示す図である。
図19によれば、規則的に配列したマクロ細孔を有する膜は得られておらず、また、テンプレートの形状も何ら反映されなかった。したがって、炭化するステップ(図2のステップS240)の温度が低すぎると、炭化が十分に起こらず、本発明の多孔性炭素膜を得られないことが分かった。
本発明の多孔性炭素膜は、マクロ細孔およびメソ細孔を有するので、触媒、吸着剤、フィルタ等に利用され得る。本発明の多孔性炭素膜は、所定の物質に対して選択的な吸着能を有するため、センサに好適である。また、本発明の多孔性炭素膜を、既存の多孔性材料と同様に、上述の用途に加えて、ガス分離、クロマトグラフィ、エネルギー貯蔵に用いてもよい。
100 多孔性炭素膜
110、610 フレーム構造
120、630、810、820、910、920 マクロ細孔
130、640 開口部
140、620 チャネル
310 溶液
320 テンプレート
330 基板
340 重合された炭素源
400 フィルタ
410 触媒粒子
420、430 ガス
710 メソ細孔
特開2009−107898号公報

Claims (10)

  1. 炭素からなるフレーム構造によって形成された多孔性炭素膜であって、前記フレーム構造が、マクロ細孔と、前記マクロ細孔の細孔径よりも小さな細孔径を有するメソ細孔とを有し、前記マクロ細孔がその表面方向に規則的に配列しており、前記マクロ細孔がその表面に開口を有する、多孔性炭素膜を製造する方法であって、
    炭素源を含有する溶液を高分子材料である粒子からなるテンプレートに付与するステップと、
    前記溶液が付与された前記テンプレートを加熱し、前記炭素源を重合するステップと、
    前記重合された炭素源を有する前記テンプレートを、前記重合するステップの加熱温度よりも高い温度で加熱し、前記テンプレートを除去するステップと、
    前記テンプレートが除去された前記重合された炭素源を、前記除去するステップの加熱温度よりも高い温度で加熱し、炭化するステップと
    を包含し、
    前記重合するステップは、前記溶液が付与された前記テンプレートを、50℃〜100℃の第1の温度範囲で2時間〜6時間、次いで、前記第1の温度範囲より高い160℃〜200℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱し、
    前記除去するステップは、前記重合された炭素源を有する前記テンプレートを、不活性雰囲気中で300℃〜500℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱し、
    前記炭化するステップは、前記テンプレートが除去された前記重合された炭素源を、不活性雰囲気中で700℃〜1200℃の温度範囲で2時間〜6時間加熱する、方法。
  2. 前記炭素源は、グルコース、スクロースおよびフルクトースからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記粒子は、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレート(PMMA)である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記粒子の粒径は、50nm〜15μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記炭化するステップに続いて、前記多孔性炭素膜をオゾン処理するステップをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記テンプレートは、コロイド結晶である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記フレーム構造は、前記マクロ細孔を互いに結合するチャネルを有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記マクロ細孔の細孔径は、50nm〜15μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記メソ細孔の細孔径は、2nm〜10nmの範囲である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記開口部の形状は、六角形状である、請求項1に記載の方法。
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