JP5747718B2 - Mfi型ゼオライト及びそのゼオライトからなる低級オレフィン製造用触媒 - Google Patents

Mfi型ゼオライト及びそのゼオライトからなる低級オレフィン製造用触媒 Download PDF

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Description

本発明は、表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆されたMFI型ゼオライト、及び、MFI型ゼオライトからなるオキシジェネートを製造するための触媒、特にエタノールから低級オレフィンを製造するための触媒に関するものである。
エチレン、プロピレン等の低級オレフィンは、化学工業の基礎原料として多く使用されている。一般的にはナフサの熱分解によって製造されるが、メタノールやジメチルエーテル等オキシジェネートの脱水縮合反応によっても合成できることが知られている。
オキシジェネートの脱水縮合反応にはゼオライト触媒が用いられるが、触媒劣化をできるだけ抑えることが重要である。触媒劣化を抑えること、すなわち触媒寿命を延ばすには、例えばゼオライトの粒子径を小さくすることが効果的である。例えば特許文献1には、メタノールやジメチルエーテルから低級炭化水素を合成する触媒において、粒子径の小さい触媒が適することが記されている。
さらに、ゼオライト触媒の細孔外表面酸点を被覆して、脱水縮合反応の選択率を高めようとする報告がある。例えば、非特許文献1には、細孔外表面を塩基で被覆すると、脱水縮合反応で生成する低級オレフィンの選択率が向上することが報告されている。また、特許文献2には、結晶子径20〜300nmのMFI型ゼオライトの外表面をエピタキシャルに成長したシリケートで被覆することにより、芳香族のアルキル化又は不均化の選択率が向上することが報告されている。
特許文献3には、粒子径が100nm以下のZSM−5の外表面酸点を非晶質シリカによって不活性化すると、ケトンから高選択率でオレフィンが生成する触媒が調製できることが報告されている。
このように種々の触媒改良が行われているが、オキシジェネート、特にエタノールからのオレフィン合成において、選択性と寿命を兼ね備えた触媒はこれまで知られていなかった。
特開2005−138000号公報 特開2010−221095号公報 特開2009−208006号公報
石油学会誌 第25巻、第2号、69頁(1982年)
ゼオライト触媒の粒子径を小さくする方法は触媒寿命を伸ばすことに効果があるものの、細孔外表面の活性点の割合が増加し反応選択性の低下が生じることがある。
また、ゼオライト触媒の細孔外表面を被覆することで選択性が向上するものの、100nmを下回る微細粒子の表面を被覆した場合、被覆層が厚くなったり、粒子同士が結合したりするために、微細粒子の利点を残したままで表面を被覆することは非常に困難であった。
本発明は、これらの課題を解決し、微細粒子の表面をMFI型アルミノシリケート層で被覆し、長寿命と高選択性を兼ね備えたオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造用MFI型ゼオライト触媒を提供するものである。
本発明者は前項課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、MFI型ゼオライトの粒子径を微細粒子とし、その粒子表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆され、SiO/Alモル比が30以上100以下である新規なMFI型ゼオライトを見出した。さらに、そのMFI型ゼオライトをオキシジェネートの脱水縮合反応の触媒として適用すると、高い選択性と長寿命とを両立した触媒を得ることができ、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆され、SiO/Alモル比が30以上100以下であり、且つ、粒子径10nm以上100nm以下であることを特徴とするMFI型ゼオライト、及び、そのMFI型ゼオライトからなるオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造用触媒に関する発明である。
本発明は表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆されたMFI型ゼオライトである。以下、本発明においては、MFI型ゼオライトにおいて、表面を被覆している層を「MFI型アルミノシリケート層」とし、また、MFI型アルミノシリケート層で表面が被覆された核となる粒子を「MFI型核結晶」とする。また、MFI型アルミノシリケート層とMFI型核結晶からなるゼオライト全体を「MFI型ゼオライト」とする。
なお、本発明において、「MFI型ゼオライト」、「MFI型アルミノシリケート」、「MFI型核結晶」とはいずれも国際ゼオライト学会で定義される構造コードMFIに属するアルミノシリケート化合物である。
本発明のMFI型ゼオライトにおいては、MFI型アルミノシリケート層のアルミニウム含有量を小さく(即ち、SiO/Alモル比を大きく)すると、オキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造用触媒に利用する際にプロピレン製造の選択率が大きくなるので好ましい。MFI型アルミノシリケート層はアルミニウムを含まない層、即ちシリケート層にすることが好ましいが、反応に影響の無い範囲でアルミニウムを含んでいても構わない。
具体的数値として、MFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比をMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比で割った値が1.4以上であれば、プロピレン生成率で評価される選択率の低下を抑制するのに十分である。
ここでMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比はMFI型核結晶とMFI型アルミノシリケート層を含む全体のSiO/Alモル比であり、一方、MFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比はMFI型ゼオライトの表面のMFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモルを測定したものである。
MFI型アルミノシリケート層がシリケート層である場合、SiO/Alモル比は無限大になる。
本発明のMFI型ゼオライトは、SiO/Alモル比が30〜100である。SiO/Alモル比が30を下回ると耐熱性が失われ、100を超えると酸点が少なすぎて活性が低下する。
MFI型アルミノシリケート層は薄い方が好ましく、1〜10nmが好ましい。
MFI型核結晶をMFI型アルミノシリケート層で被覆後のMFI型ゼオライトの粒子径は100nm以下である。この粒子径が小さすぎると熱安定性が悪化するため、粒子径の下限は10nmである。
本発明において粒子径とは、外表面積から式1を用いて算出することができる。外表面積は液体窒素温度における一般的な窒素吸着法を行い、t−plot法から求めることが例示できる。例えば、相対圧0.6〜1の測定点を直線近似し、その傾きから外表面積を求めることができる。
Figure 0005747718
例えば、粒子径100nmとは、外表面積にして37m/gに相当する。この場合、測定時には、試料から構造指向剤を除いた状態で測定することが好ましい。
本発明のMFI型ゼオライトのBET比表面積は430m/g以上が好ましい。
表面に被覆したMFI型アルミノシリケート層はエピタキシャルに成長せずに、MFI型核結晶とMFI型アルミノシリケート層との間に界面が生じていてもよい。
本発明のMFI型ゼオライトは、オキシジェネートの脱水縮合反応用触媒として使用することができる。本発明のMFI型ゼオライトを触媒として用いる場合には、プロトン型のまま用いても構わないし、適当な金属カチオンで交換しても構わない。
なお、本発明において、「オキシジェネート」とは酸素含有炭化水素の総称である。オキシジェネートとしてメタノール、ジメチルエーテル、アセトン及びエタノールなどが例示できる。
以下、本発明のMFI型ゼオライトの製造方法は特に限定されるものではないが、以下にその1例を説明する。
本発明のMFI型ゼオライトは、MFI型核結晶、及び、MFI型アルミノシリケート層からなる。本発明のMFI型ゼオライトは、MFI型核結晶を製造し、これにMFI型アルミノシリケート層を被覆することで製造することができる。
MFI型核結晶の調製方法を最初に説明する。
<MFI型核結晶の調製>
本発明のMFI型ゼオライトを低級オレフィン製造用触媒に使用する場合の寿命を延ばすためにはMFI型核結晶が非常に小さいことが好ましく、MFI型核結晶の粒子径が10nm以上100nm以下であることが好ましい。MFI型核結晶の調製方法は特に限定されず、公知の方法で調製することができる。
MFI型核結晶の粒子径は小さいほうが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)でも求めることができる。TEMで求めたMFI型核結晶の粒子径(以下、「TEM径」とする)は100個以上の粒子の直径をアトランダムに測定し、平均して求めることが好ましい。
但し、粒子径が小さすぎると熱安定性が劣るため、粒子径は10nm以上であることが好ましく、例えば、TEM径として10nm以上であることが好ましい。
本発明に用いるMFI型核結晶は外表面積が高く、BET比表面積も高いことが好ましい。MFI型核結晶のBET比表面積は430m/g以上であることが好ましい。
以下に上記方法で得られたMFI型核結晶の表面をMFI型アルミノシリケート層で被覆する方法を説明する。
<表面被覆方法>
MFI型核結晶の表面をMFI型アルミノシリケート層で均一に被覆するためには、MFI型核結晶は液相に分散した状態にあることが好ましい。
MFI型核結晶の表面に、MFI型アルミノシリケート層を被覆させる方法としては、MFI型核結晶、水、構造指向剤、水酸化物イオン、シリカ源からなる反応混合物を水熱合成することが例示できる。
ここで構造指向剤は、MFI型ゼオライト合成に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、テトラプロピルアンモニウム塩が好ましいが、他には、ナトリウムカチオン、テトラエチルアンモニウム塩、プロパノールアミン、エタノールアミン、n−プロピルアミン、モルフォリン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ジプロピレンテトラミン、トリエチレンテトラミンなどを用いることができる。
また、シリカ源も特に限定されない。珪酸ソーダ水溶液、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、アルミノシリケートゲル、及びテトラエトキシシランなどのシリコンアルコキシドなどを用いることができる。
水酸化物イオンも特に限定されない。好ましい水酸化物イオンとしては、構造指向剤をカウンターカチオンとした水酸化物イオン、例えばテトラプロピルアンモニウム水酸化物等を用いることができる。また、アルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンをカウンターカチオンとする水酸化物イオンを挙げることができる。水酸化物イオンは、水溶液などの液体を用いてもよく、水酸化ナトリウムペレット等の固体を用いてもよい。
この反応混合物を自生圧力下において、50〜200℃の温度に保持することによってMFI型核結晶の表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆される。
本発明の製造方法では、MFI型核結晶として非常に微細な粒子を用いるため、表面をMFI型アルミノシリケート層が被覆する速度が速く、反応条件を適切に設定しないとMFI型アルミノシリケート層が過剰に厚くなってしまう。MFI型アルミノシリケート層が過剰に厚くなると触媒重量当たりの活性が低下するだけでなく、微細粒子同士が凝集し寿命改善の効果が失われてしまう。
反応混合物組成や反応時間などの調整により被覆量を調整することが好ましい。反応時間を短縮することが操作上簡便であり、反応時間を10時間以下にすることが好ましい。
MFI型核結晶の表面にアルミニウムが存在するとMFI型アルミノシリケートのエピタキシャル成長が難しいことが知られているが(例えば、Microporous and Mesoporous Materials 第78巻、1頁(2005年))、本発明のMFI型アルミノシリケート層はエピタキシャルに成長している必要はない。そのため、本発明のMFI型ゼオライトはMFI型核結晶の脱アルミニウム処理などを経ずに簡便に得ることができる。
なお、本発明のMFI型ゼオライトが有するMFI型アルミノシリケート層がエピタキシャルに成長しているか否かは、その結晶子の大きさを測定することで確認することができる。すなわち、MFI型ゼオライトの結晶子径がMFI型核結晶の結晶子径に比べて同等、もしくは小さい値であれば、MFI型アルミノシリケート層がエピタキシャルに成長していないということができる。
本発明が提供するMFI型ゼオライトからなる触媒はオキシジェネート、特にエタノールから低級オレフィンを合成する反応に用いた際に寿命が長く、プロピレン製造の選択率が高い。
実施例1及び比較例1〜8のMFI型ゼオライトを用いてエタノールから低級オレフィンを合成する反応を行った際の、プロピレン製造の選択率の経時変化を示す図である。
以下、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<BET比表面積>
液体窒素温度における一般的な窒素吸着法により、相対圧0.05〜0.15の範囲を解析して求めた。測定時には試料から構造指向剤を除いた状態で測定した。
<MFI型アルミノシリケート層のSiO/Al比>
X線光電子分光法(XPS)で表面組成を測定した。分析深さは3〜5nmである。
<結晶子径>
結晶子径は粉末X線回折における2θ=7.8°付近の回折線プロファイルの半値幅から以下の数式2のシェラーの式によって求めた。なお半値幅(FWHM)は、2θ=7.8°付近のピークをvoigt関数で近似して波形分離し、更にKα1とKα2の分離を行った後の、Kα1ピークから作図によって求めた。
Figure 0005747718
但し、β=β×π/180
β =β −β
K:定数(0.9)、
λ:X線の波長(0.15418nm)
θ:回折角の1/2、β:装置補正後のピークの半値幅(rad)、
β:装置補正後のピークの半値幅(°)
β:ピークの半値幅実測値(°)
β:標準物質であるSiOから求めた装置補正値(°)
<MFI型ゼオライトの粒子径>
MFI型ゼオライトの粒子径は外表面積から算出した。外表面積は液体窒素温度における一般的な窒素吸着法を行い、t−plot法から求めた。具体的には、相対圧0.6〜1の測定点を直線近似し、その傾きから外表面積を求めた。得られた外表面積の値から上記の式1を用いて粒子径を算出した。
<SiO/Alモル比の測定方法>
MFI型ゼオライト又はMFI型核結晶を酸溶液に溶解し、ICP分光分析により、SiO/Alモル比を測定した。
<MFI型アルミノシリケート層の厚さの算出>
上記の方法で求めたMFI型ゼオライトの粒子径、及び、MFI型ゼオライト又はMFI型核結晶のSiO/Alモル比の値を用い、以下の式3からMFI型アルミノシリケート層の厚さが求めた。
Figure 0005747718
<低級オレフィン製造反応>
反応温度は400℃、流通ガスとしてエタノール20mol%+窒素80mol%の混合ガスを使用し、触媒重量(g)に対する導入エタノール量(g/h)の比を8h−1とした。
プロピレン製造の選択率(以降、C−%と記する)は、
{触媒出口で検出されるプロピレン炭素数(個/分)
÷触媒出口で検出される全ての炭化水素化合物の炭素数(個/分)}×100(%)から求めた。
実施例1
蒸留水、臭化テトラプロピルアンモニウム、テトラエトキシシランを混合し、臭化テトラプロピルアンモニウム/SiOモル比0.12、HO/SiOモル比60の混合物を得た。この混合物にMFI型核結晶(BET比表面積456m/g、粒子径36nm、TEM径28nm、SiO/Alモル比42)を加え、オートクレーブ中100℃で4時間加熱した。得られた生成物を蒸留水で洗浄した後、焼成して構造指向剤を除き、アンモニウムイオンで交換した後、もう一度焼成してプロトン型とした。得られたMFI型ゼオライトの物性値を表1に示した。
Figure 0005747718
なお、MFI型核結晶の重量と組成中のAl含有率から最初のAl総重量を求め、得られたMFI型ゼオライトの重量と組成中のAl含有率から求めたAl総重量と差が無いことから、MFI型核結晶は溶解しておらず、重量の増加分は全てMFI型アルミノシリケート層であることが分かった。
実施例1で得られたMFI型ゼオライトの結晶子径は26.2nmであり、その核結晶の結晶子径は26.9nmであった。この結果から、MFI型アルミノシリケート層はエピタキシャルに成長していないことが確認できた。即ち、本願MFI型ゼオライトでは、MFI型核結晶の表面を被覆したMFI型アルミノシリケート層がエピタキシャルに成長せずに、MFI型核結晶とMFI型アルミノシリケート層との間に界面が生じる事がわかった。
また、MFI型核結晶のSiO/Alモル比42、MFI型ゼオライトのSiO/Alモル比は61、MFI型ゼオライトの粒子径は45nmであった。これより、MFI型アルミノシリケート層の厚さは、2.6nmであった。
このMFI型核結晶を被覆している表面のMFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比がMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比に比して高かった。また、MFI型ゼオライトのSiO/Alモル比がMFI型核結晶のSiO/Alモル比よりも高くなっていた。これより、MFI型核結晶よりSiO/Alモル比が高いMFI型アルミノシリケート層が形成されていることが明らかとなった。
MFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比は無限大にならなかった。XPSの分析深さがMFI型アルミノシリケート層の厚さよりも深いため、及び/またはMFI型核結晶の被覆が不均一であるため、MFI型核結晶の組成に影響されたものと考えられる。
また、BET比表面積がMFI型ゼオライトの核結晶と同等であり、非晶質物質の混入は無いと判断され、更に粉末X線回折分析でMFI構造のみが検出されることから、MFI型核結晶の表面を多孔質のMFI型アルミノシリケート層が被覆していることが分かった。
MFI型ゼオライトをオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。
比較例1
粒子径が307nm、SiO/Alモル比32のMFI型核結晶(プロトン型)をオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。SEM径は約1μmである(粒子が大きいためTEMではなくSEMで代用した)。反応条件は実施例1と同じである。
比較例2
粒子径が36nmであり、表面をMFI型アルミノシリケート層で被覆していないMFI型核結晶(プロトン型)をオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。TEM直径は28nmである。反応条件は実施例1と同じである。
比較例3
比較例2で使用したMFI型核結晶(プロトン型)をMFI核結晶とし、その表面を以下の様に非晶質シリカで被覆した。被覆の手順を以下に示す。
比較例2のMFI型核結晶300mgを内径10mmの石英管に充填し、空気中500℃で30分処理をした後、窒素気流下で350℃まで降温した。流通ガスを水4%+窒素96%(100ml/min)に切り替え30分流通させ、次にテトラメトキシシラン3%+窒素97%(100ml/min)に切り替えで15分流通させた。その後、MFI型ゼオライトを空気中500℃で1時間処理し、プロトン型のMFI型ゼオライトを得た。
MFI型ゼオライトのSiO/Alモル比がMFI型核結晶(比較例2)よりも高くなっていた。また、得られたMFI型ゼオライトのBET比表面積はMFI核結晶(比較例2で使用したMFI型ゼオライト)のBET比表面積よりも低下した。このことから、比表面積の低い非晶質シリカがMFI型核結晶の表面を被覆していることが推定される。なお、式3によるシリケート層の厚さは1.9nmであった。
粉末X線回折分析でMFI構造のみが検出され、非晶質由来のブロードなハローピークが観察された。また実施例1とは異なり、表面の被覆層のSiO/Alモル比が低かった。
被覆層のSiO/Alモル比(35)がMFI型核結晶の表面SiO/Alモル比(比較例2、37)と比べて殆ど変化していないことから、MFI型核結晶の粒子間隙に選択的に非晶質シリカが生成したものと考えられる。
この表面を非晶質シリカにより被覆されたプロトン型のMFI型ゼオライトをオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。反応の条件は実施例1と同じとした。
比較例4
比較例1の粒子径が307nmのMFI型核結晶の表面をMFI型アルミノシリケート層で被覆した。
その条件は、オートクレーブ中の加熱時間が20時間であることを除いて実施例1と同じである。MFI型シリケート層の厚さは18nmであった。MFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比は無限大にならなかった。MFI型核結晶の被覆が不均一であるため、MFI型核結晶の組成に影響されたものと考えられる。
この表面をMFI型アルミノシリケート層により被覆されたMFI型ゼオライトをオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。反応の条件は実施例1と同じとした。
比較例5
SiO/Alモル比が57と、実施例1のSiO/Alモル比=61に近いMFI型核結晶(微細粒子、表面被覆なし、プロトン型)をそのままオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として用いた。反応の条件は実施例1と同じである。
比較例6
SiO/Alモル比が99のMFI型核結晶(微細粒子、表面被覆なし、プロトン型)をそのままオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として用いた。反応の条件は実施例1と同じとした。
比較例7
SiO/Alモル比が1850、又、粒子径が247nmのMFI型核結晶(表面被覆なし、プロトン型)をそのままオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として用いた。反応の条件は実施例1と同じとした。
比較例8
比較例2のMFI型核結晶の表面をMFI型アルミノシリケート層で被覆した。
処理条件は、オートクレーブ中の加熱時間が20時間とした以外は実施例1と同様な方法で行った。得られたMFI型ゼオライトは、被覆層が厚く、MFI型ゼオライトの粒子径は102nmと大きかった。MFI型アルミノシリケート層の厚さは14nmであった。MFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比は無限大にならなかった。MFI型核結晶の被覆が不均一であるため、MFI型核結晶の組成に影響されたものと考えられる。
得られたMFI型ゼオライトをオキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造反応触媒として使用した。反応の条件は実施例1と同じである。
図1に、実施例1、及び、比較例1〜8の低級オレフィン製造反応触媒を使用した場合のC−%の時間による変化を示す。
図1に示すように、実施例1のMFI型ゼオライトは、プロピレン選択率が高く、また反応時間が長くなってもプロピレン選択率が高いまま維持されていた。この効果は、実施例1のMFI型ゼオライトは、粒子径が45nmと10nm〜100nmの範囲内にあり、MFI型ゼオライトのSiO/Alモル比が61と30〜100の範囲内にあり、更にMFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比をMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比で割った値が1.6と1.4以上であることによる。
一方、比較例1及び比較例4では最初はC−%が高いが、時間の経過と共に急激に低下した。また、比較例2、比較例3及び比較例5では、C−%は最初から低く、時間の経過と共にゆっくりと低下していた。
比較例6では、C−%が最初から低く、最終的に、実施例1の半分程度のC−%であった。
又、比較例8は、最初からC−%が0%に近く、プロピレン製造の選択率がなかった。
また比較例7及び8のデータからMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比が100を超えるとプロピレン選択率が非常に低くなることが示される。比較例3からは、非晶質シリカで被覆する方法では、表面を均一に被覆することが難しいことが示される。比表面積の変化からは、細孔の閉塞も示唆され、非晶質シリカで被覆する方法は不適当である。比較例2、比較例4の結果からは、選択性と寿命の両立には表面被覆と微細化の両方が必要であることが示される。比較例8からは、外周のMFI型アルミノシリケート量が過剰になると重量当たりの活性が低下し、また粒子の凝集(粒子径の増加)も生じることが示される。
なお、エタノールを原料としたオレフィン合成反応は、メタノールなどの他のオキシジェネートと異なり、細孔外で選択的な反応が進行しているとこれまで考えられてきた(例えば、化学工学会第40回秋季大会(2008)予稿集T102、Applied Catalysis B: Environmental 第97巻、299頁(2010年)、Chemical Engineering Journal 第161巻、407頁(2010年))。これに対し、本発明のMFI型ゼオライトでは、外表面を不活性化した触媒であるにも関わらず、高い選択性を示した。このような結果は、従来にはない顕著に有利な結果である。
本発明のMFI型ゼオライトは、プロピレン選択率が高く寿命が長いため、オキシジェネートの脱水縮合反応による低級オレフィン製造用触媒として適している為、この分野で広範に利用される可能性を有している。
○:実施例1
△:比較例1
●:比較例2
×:比較例3
▲:比較例4
□:比較例5
■:比較例6
*:比較例7
−:比較例8

Claims (4)

  1. 表面がMFI型アルミノシリケート層で被覆され、SiO/Alモル比が30以上100以下であり、且つ、以下の式1を用いて算出される粒子径10nm以上100nm以下であることを特徴とするMFI型ゼオライト。
    Figure 0005747718
  2. 表面のMFI型アルミノシリケート層のSiO/Alモル比をMFI型ゼオライトのSiO/Alモル比で割った値が1.4以上であることを特徴とする請求項1に記載のMFI型ゼオライト。
  3. 請求項1又は2に記載のMFI型ゼオライトからなるオキシジェネートの脱水縮合反応
    による低級オレフィン製造用触媒。
  4. オキシジェネートがエタノールであることを特徴とする、請求項3に記載の低級オレフィン製造用触媒。
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