JP5747575B2 - ダストの処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント製造設備に用いられるダストの処理装置に関し、特に、セメントキルンの排ガスから抽気された抽気ダストの水洗処理を、長期間、安定的に行うことができるダストの処理装置に関する。
近年、セメント産業においては循環型社会への貢献として、焼却灰等の塩素分を多く含む廃棄物をセメント原料化し、有効利用を進めている。これに伴い、セメント製造装置内に持ち込まれる塩化アルカリの量が増加してきている。このような、廃棄物から持ち込まれる塩化アルカリの増加に合わせ、セメントキルンの窯尻部から排ガスの一部を抽気してセメント原料系や焼成系内の塩化アルカリ等を抜き出す塩素バイパスシステムが多く設置されてきている。
一方、セメントの品質上、セメントに含有できる塩素量の上限値は決まっている。このため、塩素バイパスシステムによってセメント製造装置内から抜き出した抽気ダスト中の塩素を処理する方法として、塩素を含む抽気ダストに水を加えて、塩素分を水に溶解し除去する水洗処理がある。
従来の抽気ダストの水洗処理システムは、抽気ダストと水洗用の水を一定量で混合してスラリーとし、抽気ダスト中の塩化アルカリが充分に溶出する時間ほど撹拌した後に、重力を利用して不溶の抽気ダスト分を沈降させ、抽気ダスト分が濃縮したものを脱水処理していた。
しかし、ダストを水洗する槽(分級槽)内や、スラリーを濃縮する槽(シックナー)内で、抽気ダスト中に同伴して抽出されたクリンカ粉等セメント仮焼原料ダストの粒子同士が結び付いて塊状に固形化し、各槽の底部及び側壁面に成長した硬化物により排出口を閉塞させるため、硬化物除去作業を3〜5ヶ月に1回の頻度で行う必要があった。また、スラリーを次工程の脱水装置に輸送するポンプや配管を閉塞させる問題が発生していた。
特許文献1には、スケール等の付着による槽の閉塞に対応するために、シックナー(重力沈降槽)へ供給する前に液体サイクロンを設置することによって、閉塞を低減する方法・システムが記載されている。
特開2009−142790
しかしながら、特許文献1の分級槽の底部でも、長期的には閉塞するという従前と同様の課題が残っていた。すなわち、従来の装置では、分級槽が単なる混合槽であるため、重力沈降槽にも多量の固形分が混入してしまい、重力沈降槽が閉塞するおそれがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、セメントキルンの排ガスから抽出された抽気ダストの水洗処理を、長期間、安定的に行うことができるダストの処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のダストの処理装置は、
セメントキルンの排ガスダストを水洗し分級する分級槽と、
液体サイクロンと、
重力沈降槽と
を備えるダストの処理装置において、
前記分級槽内に設けられ、鉛直軸回りに回転することで前記分級槽内の液体を撹拌する羽根と、
前記羽根よりも鉛直下方側に開口し、前記分級槽の内外を接続かつ連通する第1排出手段と、
前記羽根よりも鉛直上方側に接続し、前記分級槽の内外を連通する第2排出手段と
をさらに備え、
前記液体サイクロンは、前記第1排出手段に接続され、
前記重力沈降槽は、前記第2排出手段に接続され、
前記液体サイクロンと前記重力沈降槽とは、前記分級槽に対し独立して接続されること
を特徴とする。
このような構成によれば、分級槽内に羽根が設けられており、羽根よりも上側に滞留する液と羽根よりも下側に滞留する液とを分離して回収・排出することが可能となるので、固形分の多い液と固形分の少ない液とのそれぞれに対して適した処理を行うことができる。
本発明によれば、セメントキルンの排ガスダストを水洗する分級槽が、排ガスダストを懸濁させた液体から滞留固形物を分離する分級槽であり、分級槽の羽根よりも上側に滞留する液と羽根よりも下側に滞留する液とを分離して回収・排出することが可能となるので、固形分の多い滞留液と、固形物の少ない滞留液とのそれぞれに対して適した処理を行うことが可能となる。
セメントキルンの塩素バイパスシステムの構成の一例を示す概略図である。 セメントキルンの排ガスから抽出された塩素を多く含むダストの水洗処理装置の第1の実施形態の構成を示す概略図である。 本発明で適用される分級槽であって、一段羽根で構成する一例を示す概略図である。 セメントキルンの排ガスから抽出された塩素を多く含むダストの水洗処理装置の第2の実施形態の構成を示す概略図である。 水洗処理装置の第3の実施形態の構成を示す概略図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施の一形態について説明する。
なお、この明細書において、「粗粒」とは、原則、平均粒子径が20μmを超えるものをいう。
「微粒」とは、平均粒子径が20μm以下、好ましくは平均粒子径が20μm以下で45μm篩残分が10重量%以下、より好ましくは平均粒子径が20μm以下で45μm篩残分が5重量%以下となるものをいう。
「分離」とは、粗粒と微粒を分離することをいい、分級を含む概念である。
「抽気ダスト」とは、セメントクリンカ製造装置のプレヒータの下部などから抽気された排ガスを冷却し、その排ガスから分離捕集された固体をいう。
図1に示すシステムは、セメントクリンカ原料を予熱および仮燃するプレヒータ12と、その下流側に配置されクリンカ焼成を行うセメントキルン11と、そのセメントキルン11の下流側に配置されセメントキルンで焼成されたクリンカを急冷するクリンカクーラ13とを備えている。
さらに、プレヒータ12とセメントキルン11との間(具体的にはプレヒータ12の下部側)には、窯尻部14やライジングダクト15と呼ばれる部分が設けられている。窯尻部14またはライジングダクト15の壁面には、内部の排ガスを外部へと送出するための抽気管16が接続されている。
この抽気管16の出口側には、冷却室18、集塵機19、および排気ファン17が順に配置されている。また、抽気管16の近傍には、冷却室18に空気を送り込むための吹込ファン20が接続されている。
排気ファン17を動作させることにより、1000℃〜1200℃のキルン排ガスが抽気管16を通じて外部へと送出される。その排気ガスは冷却室18に送られ、ここで、吹込ファン20からの空気によって急冷される。冷却速度は一例として600℃〜800℃/秒である。この急冷により、排ガスの温度は300℃〜600℃程度となり、これにより排ガスに含まれる揮発性アルカリ塩の融点以下となり、抽気ダストが固形化する。
その後、抽気ダストは、排気ファン17によって吸引されて集塵機19へと送られ、ここでガスと分離され、捕集される。セメントキルン11の排ガスから抽出された抽気ダストの化学組成としては、例えばCaOが30〜40重量%、SOが5〜10重量%、塩素が10〜25重量%、KOが15〜30重量%、その他の微量成分である。平均粒子径は20〜40μmである。
図2のダストの処理装置は、上記のようにして捕集された抽気ダストが投入される受入タンク1と、受入タンク1の下流側に配置された分級槽3と、分級槽3からの溢流を受ける槽4と、分級槽3からのスラリーが供給される液体サイクロン8とを備えている。図2の装置は、さらに、槽4の下流側に配置された重力沈降槽5と、重力沈降槽5からの羽根よりも上側に滞留する液を受ける排水処理工程部10と、重力沈降槽5からのスラリーを受けるとともに液体サイクロン8からの混合物(詳細後述)も受ける槽6と、槽6からのスラリーを受ける脱水装置7と、を備えている。
分級槽3には、一例として、PH調整剤(代表的には硫酸)と水(工業用水を用いることができる)とが供給されるように構成されている。また、分級槽3は、抽気ダストをスラリー化するための撹拌装置3A(図3参照)を有している。この撹拌装置3Aは、鉛直方向に延びる回転軸25と、その回転軸25を回転させる不図示の駆動源と、回転軸25の下端側に設けられた羽根24とを有している。なお、羽根24の数は特に限定されるものではなく図3の例のように1つの羽根24のみが設けられていてもよいし、図2の例のように2つの羽根が設けられていてもよいし、さらには、それ以上の数の羽根が設けられていてもよい。
図3では模式的に描かれているが、分級槽3内には縦方向に延びるパイプ21(第1排出手段)が配置されている。このパイプ21は槽内の底部付近の固形物を外部へと排出するためのものである。パイプ21の下端開口部は、羽根24と同じ高さまたは羽根24よりも鉛直下方側の高さに位置している。
好ましくは、パイプ21は、その下端開口部が分級槽3の高さをHとしてその分級槽3の底面から1/3Hまでの領域に開口するように設けられていてもよい。これにより滞留物を効率よく排出することが可能となる。パイプ21の下端開口部の向きは特に限定されるものではなく、水平方向に開口していてもよいし、水平方向に対して傾斜して開口していてもよい。
このように構成された分級槽3では、回転軸25を回転させて羽根24を回すと、羽根24の高さ(一点鎖線L参照)付近を境界として、その上下に、白抜き矢印Fa、Fbで示すような流れが生じる。羽根24より上方側に向かう流れFaは、主に、不溶解の固形粒子のうち微粒を多く含む流れである。一方、下方側に向かう流れFbは比較的粗粒を多く含む流れである。これらの流れFa、Fbは、羽根24による遠心力および重力作用によって作られる。
流れFbに沿って移動する粗粒は、図示するように、まず槽中心部付近から側壁近傍へと向かって径方向外側へと移動する。この際、分級槽3の側壁に到達する途中で重力によって下方に向かって沈降し、底部27側に向かう。底部27を径方向内側に向かって進むと、再び槽中心部付近(回転軸25付近)において上昇し、再び流れFbに沿って循環する。
一方、流れFaに沿って移動する微粒は、槽中心部付近から径方向外側へと移動し、側壁に達する途中で、液体の上昇流に同伴して上昇する。この流れFaは、液面26付近まで上昇した後、再び回転軸25側に向かって径方向内側へと進む。そして、回転軸25付近で下降して、再び流れFaに沿って循環する。なお、流れFaの羽根24よりも上側に滞留する液の一部は、溢流口22a(第2排出手段)を介して溢流22として外部に流出する。分級槽3が鉛直上方側に開口する円筒形状である場合、溢流口22aは、図3のような分級槽3の最頂部における開口としてもよい。あるいは、溢流口22aは分級槽3であって羽根24の鉛直上方側に接続する開口部であってもよく、羽根24の鉛直上方側から分級槽3内の液体を排出させるものであれば特に限定しない。
上記のような流れFa、Fbにより、この分級槽3においては、羽根24の下方側が粗粒の濃度が濃い領域となる。この領域からパイプ21を通してスラリーの排出を行うことで、槽の底部に粗粒が堆積し難くなり、粗粒ダストの不溶解の固形粒子の堆積滞留物を効果的に排出することが可能となる。
なお、回転軸25に設けられる羽根24が複数ある場合、パイプ21の下端開口部は、それらの羽根24のうち最も下の羽根(最下段羽根)の高さの位置またはそれより低い位置となるように設けられることが好ましい。この理由は次の通りである。すなわち、このような分級槽において、粗粒は、上記同様、分級漕の側壁近辺まで到達した後、重力によって沈降し、さらに底面を径方向内側に移動した後、回転軸25付近から上昇し、再び側壁に向かって循環する。一方、微粒は、分級漕の側壁に到達する途中で液体の上昇流に同伴して上昇し、液面付近まで上昇したあと、回転軸25付近から下降して、再び側壁方向へ向かって循環する。このような流れにおいては、上記同様、最下段羽根の高さ(位置)が最も粗粒の濃度が濃い流域となり、この領域からパイプで吸引排出することで、効果的に固形滞留物を排出することができるからである。
再び図2に戻り、本実施形態の装置に利用可能な液体サイクロン8について説明する。この液体サイクロン8は、ハイドロサイクロンとも呼ばれるものであり、通常は水を媒体としたスラリーや混合液を、旋回による遠心力を利用して分離・分級を行うものである。図2に示すように、パイプ21と液体サイクロン8とを結ぶ流路上には圧送ポンプ9が設けられている。
液体サイクロン8に供給されたスラリーは、旋回し、水より比重の大きい固形物質に働く遠心力により設定した閾値を境として、下方旋回流により下部排出口から下部に排出される。また、比重の小さい物質は上方流により上部へと排出される。なお、このときの供給流速は、一例として、1m/秒以上であり、圧力降下は40kPa以上が必要である。
液体サイクロンは様々なサイズがあるので処理流量、分級粒度および濃度、下部流量と上部流量などからサイズが決定される。また、一般的には液体サイクロンの内径が小さいほど分級性能が高いので、用途に合わせて大型の液体サイクロンを使用するか、小型の液体サイクロンを多数組み合わせて処理量を調整する方法が使用されている。
本発明の場合は、粗粒分離後の上部分級液中の固形分の粒子(微粒)の平均粒子径が20μm以下で、且つ、45μm篩残分が10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるようにするためには、例えば液体サイクロンの大径胴体部の直径と上部内筒径の比は、2〜4倍とする。また、液体サイクロンを使用する利点としては、稼動部がなく目詰りなどの障害が起きにくいので保守管理がしやすいことも挙げられる。
槽4には、分級槽3からの溢流22(図3参照)と、液体サイクロン8からの循環水(図2参照)と、後述する脱水装置7からの循環水(図2参照)などが供給されるように構成されている。槽4には、不図示の攪拌装置が配置されており、これにより槽内の微粒が攪拌・混合される。
重力沈降槽5は、シックナーとも呼ばれるものであり、槽4からの溢流が供給されるように構成されている。この重力沈降槽5内の微粒は、重力沈降により底部に集められ、重力沈降槽5の底部から5〜40重量%濃縮スラリーとして外部に送出される。具体的には、これらは、スラリーポンプ(不図示)によって抜き出されるようになっていてもよい。一方、重力沈降槽5の羽根よりも上側に滞留する液は、含有重金属類の除去等を行うため排水処理工程部10へ送られる。排水処理工程部10はこれを無害化処理する機能を有している。
槽6は、重力沈降槽5の底部から抜き出された濃縮スラリーと、液体サイクロンからのスラリーと、が供給されるように構成されている。また、槽6は、凝集剤と水とが供給されるように構成されるとともに、液体サイクロンから供給されたスラリー等を混和する機能を有している。
脱水装置7は、槽6からのスラリーが供給されるように構成されている。脱水装置7としては、フィルタープレス式やベルトプレス式が挙げられる。脱水物である脱塩ダストは、セメント原料として再利用することができる。なお、脱水装置7は、前述した重力沈降槽5と共用することもできるし、重力沈降槽5とは別の脱水装置を用いることもできる。脱水した水は、脱水装置7から例えば槽4へと供給され、循環水として利用される。なお、プロセス系内に補給する水は、分級槽3と槽6に補給される。
上記のように構成された本実施形態のダスト処理装置の動作について、以下説明する。
まず、図1の塩素バイパスシステムからの抽気ダストは、図2の受入タンク1に投入される。そして、この受入タンク1の下部から、スクリューコンベアなどのダスト抜出し装置2により抽気ダストが抜き出され、その抽気ダストは分級槽3へと送られる。
分級槽3には、抽気ダストとともにPH調整剤と水とが供給され、羽根24(図3参照)により攪拌されることで、これらがスラリー化する。なお、水の供給量は、一例で、抽気ダストの重量に対して3倍〜20倍、好ましくは5倍〜10倍である。分級槽3における抽気ダストの滞留時間は1時間〜3時間が好ましい。この滞留時間中に、抽気ダスト内の塩素分が水に溶解し、抽気ダストの塩素分が脱塩される。抽気ダストは、塩素化合物等の水に溶解する固形粒子と、クリンカ等の不溶解の固形粒子とからなっており、不溶解の固形粒子は比較的粗粒で分級槽3の下層側や底部27において滞留・流動する。
上記したように、分級槽3の内部では、微粒を主に含むスラリーの流れFaが上層側に生じるとともに、粗粒を主に含むスラリーの流れFbが下層側に生じる。微粒を主に含むスラリーの一部は、分級槽3からの溢流22として槽4へと供給される。
一方、粗粒を主に含むスラリーについては、圧送ポンプ9を動作させることによりパイプ21の下端開口部から吸引され、液体サイクロン8へと供給される。次いで、液体サイクロン8において、スラリー内の粗粒と平均粒子径が20μm以下の微粒とが分離される。
液体サイクロン8で分離された水と微粒の混合汚濁水は、液体サイクロン8の頂部から槽4へと送られ循環水となる。また、水と水硬性の低い粗粒の混合物は、液体サイクロン8の底部から排出され、直接、槽6に送られる。
槽4へは、分級槽3からの溢流22、凝集剤、液体サイクロン8からの循環水、および下記する脱水装置7からの循環水が供給される。凝集剤は、比較的微粒の沈降を促すことができる点で好ましいが、凝集剤の供給は必ずしも必須ではなく、必要に応じて供給すればよい。
槽4においてもスラリーの撹拌・混合が行われ、槽4の溢流は重力沈降槽5に供給される。重力沈降槽5(シックナー)では、重力沈降により微粒が底部に集められ、その底部から5〜40重量%濃縮スラリーがスラリーポンプ(不図示)によって抜き出される。この濃縮スラリーは次いで槽6へと供給される。重力沈降槽5の羽根よりも上側に滞留する液は、排水処理工程部10に送られて含有重金属類が除去されて無害化処理された後、一例として海へ放水される。
槽6では、重力沈降槽5からの濃縮スラリーおよび液体サイクロン8からの粗粒の混合物に、必要に応じて、水および凝集剤が供給される。次いで、これらが槽6内で混和された後、脱水装置7に供給される。脱水物である脱塩ダストは、セメント原料として再利用することができ、また、脱水した水は槽4に供給して循環水として利用することができる。
(第2の実施形態)
本発明のダストの処理装置の他の例を図4に示す。なお、この図において、第1の実施形態と同一機能の構成要素には同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
図4の例では、脱水装置7からの循環水が槽4ではなく、分級槽3に戻されるように構成されており、また、液体サイクロン8で分離された水と微粒の混合汚濁水が、槽4ではなく、分級槽3に供給されるように構成されている。特に限定されるものではないが、図2の例で分級槽3に直接供給されていた水は、この例では、液体サイクロン8から分級槽3への循環路上の一部に供給されるようになっている。
(第3の実施形態)
液体サイクロン8から排出された混合汚濁水は直接脱水装置7に供給される(図5参照)。槽6では凝集剤とともに水が添加されるが、混合汚濁水は液体サイクロン8によってある程度脱水されている。したがって混合汚濁水を直接脱水装置7に供給することで脱水効率を向上させてもよい。また、重力沈降槽5からの濃縮スラリーの性状によっては、槽6を省略し、濃縮スラリーも脱水装置7に直接供給することとすれば、脱水効率がさらに向上する。
以上、第1〜第3の実施形態を例として本発明について説明したが、本発明の要旨は、下記の通りである。
セメントキルンの排ガスダストを水洗し分級する分級槽(3)と、
液体サイクロン(8)と、
重力沈降槽(5)と
を備えるダストの処理装置において、
前記分級槽(3)内に設けられ、鉛直軸回りに回転することで前記分級槽(3)内の液体を撹拌する羽根(24)と、
前記羽根(24)よりも鉛直下方側に開口し、前記分級槽(3)の内外を接続かつ連通する第1排出手段(21)と、
前記羽根(24)よりも鉛直上方側に接続し、前記分級槽(3)の内外を連通する第2排出手段(22a)と
をさらに備え、
前記液体サイクロン(8)は、前記第1排出手段(21)に接続され、
前記重力沈降槽(5)は、前記第2排出手段(22a)に接続され、
前記液体サイクロン(8)と前記重力沈降槽(5)とは、前記分級槽(3)に対し独立して接続されること
を特徴とするダストの処理装置。
このような構成によれば、分級槽内に羽根が設けられており、羽根よりも上側に滞留する液と羽根よりも下側に滞留する液とを分離して回収・排出することが可能となる。よって、それぞれに対して適した処理を行うことができる。一般に、固形滞留物は、羽根(24)と同じ高さまたは羽根(24)よりも鉛直下方に滞留することが多い。よって、このような構成によれば、パイプ(21)を通じて固形滞留物を効率よく排出することができる。
また、このような構成によれば、重力沈降槽(5)と液体サイクロン(8)とが、分級槽(3)に対し独立に接続されているので、重力沈降槽(5)に羽根よりも上側に滞留する液だけを供給し、羽根よりも下側に滞留する液を供給しない構成とすることが可能となる。よって、重力沈降槽(5)の閉塞を低減することができる。
図2の例で言えば、この例では、分級槽3および液体サイクロン8で分離された粗粒が重力沈降槽5ではなく、槽6へと供給されるようになっている。そのため、不溶解の固形粒子を主とする塊状固形物によって、槽や配管(重力沈降槽5や、重力沈降槽5と槽6との間の配管など)が閉塞されてしまうのをより低減させることができる。
が抑制される。
以上、幾つかの形態を例示して本発明について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく種々変更可能である。例えば、分流槽3のパイプ21の数が複数本であってもよい。この場合、各パイプ21の下端開口部の高さを異ならせてもよいし、同一高さとしてもよい。
なお、本出願は下記の発明も開示する(括弧内の符号は本発明を何ら限定するものではない):
2.上記本発明の要旨として記載したダストの処理装置において、上記第2排出手段(22a)の下流であって上記重力沈降槽(5)の上流に配置された第1の槽(4)を備えることを特徴とする、ダストの処理装置。
3.上記液体サイクロン(8)の下流側に配置され、少なくとも当該液体サイクロン(8)からのスラリーを脱水する脱水装置(7)を備えていることを特徴とする、ダストの処理装置。
4.上記脱水装置(7)で脱水された水が、上記分級槽(3)または上記第1の槽(4)に戻されることを特徴とする、ダストの処理装置。
5. 上記液体サイクロン(8)からの混合汚濁水が、上記分級槽(3)または上記第1の槽(4)に戻されることを特徴とする、ダストの処理装置。
6.上記液体サイクロン(8)からのスラリーが、当該液体サイクロン(8)から直接上記脱水装置(7)に供給される、または、第2の槽(6)を経由して上記脱水装置(7)に供給されることを特徴とする、ダストの処理装置。
本発明は、セメントキルンの窯尻部またはライジングダクトから排ガスを抽気してセメント原材料系や焼成系内の塩化アルカリ等のキルン内部で蒸発する揮発性成分を低減させ、揮発性成分が制御されたクリンカを製造する際に利用可能である。
1 ダスト受入れタンク
2 ダスト抜き出し装置
3 分級槽
3A 撹拌装置
4 槽(第1の槽)
5 重力沈降槽(シックナー)
6 槽(第2の槽)
7 脱水装置
8 液体サイクロン
9 圧送ポンプ
10 排水処理工程部
11 セメントキルン
12 プレヒータ
13 クリンカクーラ
14 窯尻部
15 ライジングダクト
16 抽気管
17 排気ファン
18 冷却室
19 集塵機
20 吹込ファン
21 パイプ
22 溢流
24 羽根
25 回転軸
26 液面
27 底部
Fa 微粒の流れ
Fb 粗粒の流れ

Claims (6)

  1. セメントキルンの排ガスダストを水洗し分級する分級槽と、
    液体サイクロンと、
    重力沈降槽と
    を備えるダストの処理装置において、
    前記分級槽内に設けられ、鉛直軸回りに回転することで前記分級槽内の液体を撹拌する羽根と、
    前記羽根よりも鉛直下方側に開口し、前記分級槽の内外を接続かつ連通する第1排出手段と、
    前記羽根よりも鉛直上方側に接続し、前記分級槽の内外を連通する第2排出手段と
    をさらに備え、
    前記液体サイクロンは、前記第1排出手段に接続され、
    前記重力沈降槽は、前記第2排出手段に接続され、
    前記液体サイクロンと前記重力沈降槽とは、前記分級槽に対し独立して接続されることを特徴とするダストの処理装置。
  2. さらに、
    前記第2排出手段の下流であって前記重力沈降槽の上流に配置された第1の槽を備えることを特徴とする、請求項1に記載のダストの処理装置。
  3. さらに、
    前記液体サイクロンの下流側に配置され、少なくとも当該液体サイクロンからのスラリーを脱水する脱水装置を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載のダストの処理装置。
  4. 前記脱水装置で脱水された水が、前記分級槽または前記第1の槽に戻されることを特徴とする、請求項2を引用する請求項3に記載のダストの処理装置。
  5. 前記液体サイクロンからの混合汚濁水が、前記分級槽または前記第1の槽に戻されることを特徴とする、請求項2に記載のダストの処理装置。
  6. 前記液体サイクロンからのスラリーが、当該液体サイクロンから直接前記脱水装置に供給される、または、第2の槽を経由して前記脱水装置に供給されることを特徴とする、請求項3に記載のダストの処理装置。
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