以下、本発明の実施形態に係るLED照明装置(LEDシーリングライト)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、LED照明装置の各部材の形状を理解し易いように、LED照明装置の上下を逆さまにした状態、すなわち紙面下側が家屋の天井側であり、紙面上側が家屋の床側とした状態を図示しながら説明する。
図1は本実施形態に係るLED照明装置の分解斜視図、図2は放熱板の背面側に設けられる部材を示す分解斜視図、図3は図1の放熱板を示す拡大図、図4は図1のLED基板を示す拡大図、図5はLED素子の配置密度を説明する図、図6は図1のLEDカバーを示す拡大図である。図10は本実施形態に係るLED照明装置の全体斜視図である。なお、本実施形態に係るLED照明装置1は、例えば、家屋の天井面に設けられる引掛ローゼットや引掛シーリングなどの屋内配線器具(不図示)に係合する取付アダプタ(不図示)を介することによって、外部電源に接続されるとともに天井面の所定位置に固定されて利用に供される。また、以下の説明において、特に断らない限り、LED照明装置1が天井面に取り付けられた状態を基準として、床側(LED素子32の光放射方向)を“表面側”と呼び、天井側を“背面側”と呼ぶ。
図1に示すように、LED照明装置1は、丸型のものであり、セード10、放熱板20、LED基板30、LEDカバー40などを備えている。なお、本実施形態では、丸型のものを例に挙げて説明するが、角型のものにも同様に適用することができる。
セード10は、透光性(透明、半透明、または、乳白色を含む)を有する樹脂製(例えばアクリルやポリスチレンなど)の略円形かつ傘形状の部品である。セード10は、光源から放射された光束を拡散させて、使用者がLED照明装置1を直視した際のまぶしさを軽減したり、LED照明装置1が設置された空間の明るさを均一化する役割を果たす。
また、セード10は、後記する放熱板20の外周固定部22に固定されたセード取付具50,50,50によって、吊り下げ状態で係合保持される。具体的には、例えば、セード10を放熱板20側に被せた状態において、周方向の一方に回転させることによって、セード10に突設した図示しない係合部がセード取付具50に係合保持され、また係合保持された状態からセード10を周方向の他方に回転させることによって、図示しない係合部がセード取付具50から外れるようになっている。このように、本実施形態のLED照明装置1は、放熱板20、LED基板30、LEDカバー40などを備えた他の部材に対してセード10が着脱可能に構成されている。
図2に示すように、放熱板20の背面側には、天井側に近い部材から、本体ベース7、絶縁板8、点灯回路基板9が設けられている。
本体ベース7は、例えば金属板などを略円形状に加工成形した部品であり、放熱板20よりも小径に形成されている。本体ベース7の中央には、略円形状の孔である器具取付部7aが設けられている。器具取付部7aには、前記した取付アダプタが引掛け部(不図示)を介して係合固定される。取付アダプタは、天井側の屋内配線器具に係合固定される。これにより、本体ベース7を含むLED照明装置1は、取付アダプタ、器具取付部7aおよび屋内配線器具をそれぞれ介して、天井面の所定位置に固定されるようになっている。
器具取付部7aの近傍には、不図示の給電接続部が設けられている。給電接続部は、不図示の電線を介して、取付アダプタと点灯回路基板9との間を電気的に接続している。これにより、LED照明装置1は、屋内配線器具、取付アダプタ、給電接続部および点灯回路基板9をそれぞれ介して、給電を受けるようになっている。
絶縁板8は、本体ベース7と、放熱板20との間に介在させて設けられている。本体ベース7および放熱板20は、いずれも金属製である。これに対し、絶縁板8は、電気絶縁性および難燃性を有する例えばポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて成形されている。
点灯回路基板9は、絶縁板8の外縁に突設された基板係止部8a,8aなどを介して保持されている。絶縁板8は、本体ベース7にねじ止め固定されている。これにより、点灯回路基板9は、本体ベース7および放熱板20によって囲まれた放熱空間内に、電気絶縁性を維持した状態で係止固定されている。
ところで、放熱板20は、点灯回路基板9およびLED基板30(図1参照)を含む両基板を冷却する機能を有している。これら点灯回路基板9およびLED基板30(図1参照)は、作動することによって発熱するものである。一般に、半導体素子であるLED素子32(図4参照)は、熱に弱い性質があり、また使用時には低電圧の大電流を流して高輝度発光を行うため、この発光に伴う発熱によってLED素子32(図4参照)それ自体や周囲の部材が劣化する。かかる劣化を抑制して長寿命・高信頼性を実現するには、適切な放熱を行うことが求められる。
また、点灯回路基板9およびLED基板30(図1参照)が発熱すると、放熱板20によって囲まれた放熱空間の雰囲気温度は上昇する。このとき、放熱空間の容積が小さいと、そこに収容される空気の量は少なくなる。その結果、空気の接触による放熱効果が低下してしまう。また、熱伝導性を良好に維持する観点から、放熱板20は、継ぎ目なく一体に成形されることが好ましい。そこで、放熱板20は、例えば亜鉛メッキ鋼板などの熱伝導性の良好な金属を素材として用いて、その縦断面がハット形状となるように一体成形されている。例えば、放熱板20は、絞り加工により一体成形している。
図3に示すように、放熱板20は、略円形状の錐台部21と、この錐台部21の外周側(径方向外側)に略ドーナツ形状(略環状)の外周固定部22と、を有する構造を採用している。
詳述すると、放熱板20の錐台部21は、1枚ものの円形の薄い金属板を絞り加工することによって製造される。この錐台部21は、LED基板30の裏面が面で接触して載置される円形状の平坦部21a(載置面)と、平坦部21aの外周縁部21a1から背面側に向けて拡径しながら延びる筒形状の傾斜部21bと、を有している。
平坦部21aには、径方向の中心に、円形の貫通孔21cが形成され、この貫通孔21cが絶縁板8に形成された円筒部8bと連通している。また、平坦部21aには、LED基板30を放熱板20にねじ固定するねじ固定孔21dが複数個所に形成される。また、平坦部21aには、LEDカバー40を放熱板20にねじ固定するねじ固定孔21eが複数個所に形成されている。なお、ねじ固定孔21dとねじ固定孔21eは共通のものでも構わない。
傾斜部21bには、ねじ46(図8(a)参照)を介して放熱板20と本体ベース7とを固定するための凹部21fが周方向に間隔を空けて複数個所に形成されている。なお、図3では、複数の凹部21fのうちの一部のみを図示している。
外周固定部22は、傾斜部21bの平坦部21aとは反対側の端部21b1から径方向外側に向けて平坦部21aと略平行に延びる環状部22aと、環状部22aの外周縁部が環状部22aに対して表面側に略垂直に延びる起立部22bと、を有している。
環状部22aは、セード取付具50およびLEDカバー40を固定等する部分であり、セード取付具50の幅よりも広い幅寸法Wで形成されている。また、環状部22aには、LEDカバー40をねじ固定するねじ固定孔22cが複数個所に形成されている。本実施形態では、ねじ固定孔22cがセード取付具50間にそれぞれ、3箇所づつ周方向に間隔を空けて形成されている。
起立部22bは、起立部22bの端部22b1の高さ位置が平坦部21aの高さ位置よりも低くなるように設定されている。また、起立部22bの端部22b1は、全周に渡って外側に丸みをおびるように折り返され、放熱板20の切断面が使用者の手に直接に触れないようになっている(図8参照)。
本実施形態では、前記のような構成の放熱板20を備えることによって、放熱空間の容積を大きくし(放熱空間の空気の量を多くし)、放熱板20と空気との接触面積を広くとることができ、前記点灯回路基板9およびLED基板30の放熱効率の向上を図ることができる。その結果、LED素子32の発光効率が高く、かつ、放熱板20の絞り成形性が良好で生産性の優れたLED照明装置1を実現することができる。
図4に示すように、LED基板30は、ドーナツ形状の配線基板31と、この配線基板31の一面側(LED素子実装面側)に同心円状に複数列(本実施形態では7列)配置された複数のLED素子32と、を含んで構成されている。なお、LED素子32は、いずれも白色系の光束を放射する同一種類の素子で構成されている。
配線基板31は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の平板に絶縁層および銅箔パターンなどを形成したものや、熱伝導性の良好な樹脂(例えばポリイミド樹脂など)製の平板上に銅箔パターンおよびソルダーレジストなどを形成したものなどで構成されている。つまり、配線基板31は、LED素子32の端子(不図示)や、LED素子32を配線基板31に対して密着させる目的でLED素子32の背面側に設けられる放熱パッド(不図示)などを介した熱伝導を受けて、複数のLED素子32の発光により生じた熱を、速やかに伝熱および放熱するようになっている。
また、配線基板31は、略半ドーナツ形状の2枚の基板31a,31bを組み合わせて略ドーナツ形状となるように構成したものである。また、基板31a,31bの周方向の中間部には、径方向に延びる3分割されたスリット31c,31c,31cが形成されている。なお、3つのスリット31cのうちの最も外周に位置するスリット31cは、一端が外周側に開放し、最も内周に位置するスリット31cは、他端が内周側に開放している。
また、基板31aの周方向の両端縁部には、径方向に細長く延びる切欠き31d,31d,31dが形成されている。基板31bの周方向の両端縁部には、径方向に細長く延びる切欠き31e,31e,31eが形成されている。基板31aと基板31bとを組み合わせたときに、対向する切欠き31dと切欠き31eとで形成される形状が前記スリット31cと同様な形状のスリットとなるように構成されている。
また、配線基板31には、放熱板20の平坦部21a(図3参照)と対向する位置に、LED基板30を放熱板20にねじ固定するねじ挿通孔(不図示)が複数個所(図4でねじ33が挿入されている位置)に形成されている。また、配線基板31には、LEDカバー40を放熱板20にねじ固定する際のねじ44(図7参照)が挿通されるねじ挿通孔34が複数個所に形成されている。
なお、配線基板31には、図示しない白色の反射シートが設けられている。この反射シートは、LED素子32から背面側の光を表面側に反射させる機能を有し、各LED素子32に対応する位置に小孔が形成されている。
なお、本実施形態では、2枚の基板31a,31bを組み合わせた場合を例に挙げて説明したが、2枚に限定されるものではなく、3枚以上であってもよいし1枚であってもよい。ただし、2枚の基板31a,31bのように配線基板31を分割する枚数を少なくすることにより、3枚以上に分割した場合よりも、LED基板30およびLEDカバー40を放熱板20に組み付けたときに、LED基板30とLEDカバー40との位置ずれを抑えることができる。
また、配線基板31は、放熱板20の平坦部21aの直径寸法D2(図3参照)よりも長い直径寸法D1を有している。つまり、本実施形態におけるLED基板30は、放熱板20の平坦部21a(載置面)に載置されたときに、LED基板30の外周縁部(最外周とその内周の2列分のLED素子32が配置されている基板領域)が、放熱板20の平坦部21aとは接しない構造となっている(図8参照)。
このように構成されたLED基板30は、LED素子32の発光面(実装面)とは反対側の面が、縦断面がハット形状である放熱板20の錐台部21の平坦部21aに密着状態を維持して取り付けられる。したがって、本実施形態によれば、LED基板30および放熱板20に関する伝熱および放熱に係る作用効果が相乗的に機能することによって、複数のLED素子32の発光により生じた熱を速やかに冷却することが可能になる。
また、本実施形態に係るLED基板30では、LED照明装置1の中央部付近まで面積を広げてLED素子32を配置する構成を採用している。このように構成すれば、LED照明装置1の中央部から周縁部に至るまで、その明るさをほぼ均一にすることができる。
また、本実施形態に係るLED基板30では、LED照明装置1の中央部から周縁部に至るまでの明るさをさらに均一にする手段として、図5に示す手段を採用することができる。
まず、図5に示す各項目について説明する。すなわち、「列」は、同心円状に配置されたLED素子32のどの列のLED素子32の配列であるかを示している。すなわち、「1列」は、径方向の最も中心側において円形に配列されているLED素子群L1(図4参照)を示している。「2列」は、LED素子群L1の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L2(図4参照)を示している。「3列」は、LED素子群L2の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L3(図4参照)を示している。「4列」は、LED素子群L3の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L4(図4参照)を示している。「5列」は、LED素子群L4の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L5(図4参照)を示している。「6列」は、LED素子群L5の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L6(図4参照)を示している。「7列」は、LED素子群L6の径方向外側に隣り合って円形に配列されているLED素子群L7(図4参照)を示している。
また、「レンズタイプ」は、配光が異なるAタイプ,Bタイプ,Cタイプの3種類のレンズを使用していることを意味している。すなわち、1列目のLED素子群L1がAタイプであり、2列目ないし5列目のLED素子群L2〜L5がBタイプであり、6列目から7列目のLED素子群L6,L7がCタイプである。
また、「配置半径」は、各LED素子群L1〜L7の中心O(図4参照)からの距離を意味している。「配置周長」は、各LED素子群L1〜L7の円形の周方向の長さ(円ひとまわりの長さ)を意味している。なお、「配置周長」は、「配置半径」から算出することができる(2×π×配置半径)。「配置数」は、各LED素子群L1〜L7のLED素子32が実際に配置されている個数を意味している。
「配置周長/配置数」は、「配置周長」を「配置数」で除算した値、換言すると周方向に隣り合うLED素子32間の距離であり、LED素子32の列毎の配置密度を意味している。「密」は、LED素子32の配置密度が高い(隣り合うLED素子32間の距離が短い)状態を意味し、「疎」は、LED素子32の配置密度が低い(隣り合うLED素子32間の距離が長い)状態を意味している。すなわち、(配置周長/配置数)の値が低いと配置密度が高い(密である)ことを意味し、(配置周長/配置数)の値が高いと配置密度が低い(疎である)ことを意味している。
図5に示す2列目ないし5列目のLED素子群L2〜L5の配置密度(配置周長/配置数)を平均化すると、23.20となる。また、6列目および7列目のLED素子群L6,L7の配置密度(配置周長/配置数)を平均化すると、20.82となる。つまり、本実施形態に係るLED照明装置1では、径方向の内周側(1列目)のLED素子32の配置密度が高く、径方向の中間(2,3,4,5列目)のLED素子32の配置密度が低く、径方向の外周側(6,7列目)のLED素子32の配置密度が高くなるように設定されている。
ところで、LED照明装置の径方向の中心には、LED素子32を配置することが困難な円形の領域が存在するので、LED照明装置を点灯したときに、LED照明装置のセードの中央部分が暗く見える。また、径方向の外周には、セード10を取り付けるため環状の領域が存在するので、LED照明装置を点灯したときに、LED照明装置のセードの外周部分が暗く見える。
そこで、本実施形態では、図5において説明したように、内周側(LED素子群L1)のLED素子32の配置密度を高く設定することにより、LED照明装置1のセード10の中央部分が暗く見えるのを防止できる。また、外周側(LED素子群L6,L7)のLED素子32の配置密度を高く設定することにより、LED照明装置1のセード10の外周部分が暗く見えるのを防止できる。このように、内周側のLED素子群L1および外周側のLED素子群L6,L7におけるLED素子32の配置密度を中間部のLED素子群L2〜L5におけるLED素子32の配置密度よりも高く設定することにより、LED照明装置1の中央部から周縁部(最外周部)に至るまで明るさをより均一にすることが可能になる。
なお、LED照明装置1の明るさを均一にする手段として、内周部のLED素子32を内向きの配光として、外周部のLED素子32を外向きの配光とするようにしてもよい。
図6に示すように、LEDカバー40は、複数のLED素子32から発せられた光束を表面側(床側)へ導く機能およびLED基板30を放熱板20に対して密着させるように押圧する機能などを有している。
LEDカバー40は、例えばポリスチレン、ポリカーボネートなどの、透光性および電気絶縁性を有する樹脂を用いて、射出成形などによって一体成形されている。特に、透明性、コストおよび成形性の点においてポリスチレンを使用することが好ましい。また、LEDカバー40に用いる材料は、透光性および電気絶縁性を備えるものであれば、樹脂に限定されるものではなく、ガラスなどであってもよい。
また、LEDカバー40は、LED基板30の発光面(LED素子32が実装されている面)全体を覆うLEDカバー部41と、LEDカバー部41の外周縁部41aから背面側に沿って延びる円筒状の壁部42と、壁部42のLEDカバー部41とは反対側から外周固定部22の環状部22a(図3参照)に沿って延びるカバー外周固定部43と、を有している。
LEDカバー部41は、LED基板30の直径(外径)より若干大きい直径を有する略円形状を呈し、径方向の中央部に円形の貫通孔41bが形成されている。また、LEDカバー部41の表面側には、LED基板30の各LED素子32と対応する位置にドーム形状部41c,41d,41eが形成されている。なお、ドーム形状部41c,41d,41eは、レンズ機能を有するものであり、LED素子32からの光束を拡散等させるものである。ドーム形状部41c,41d,41eは、図5に記載のレンズタイプA,B,Cを備えるものである。
ドーム形状部41cは、LED素子群L1の各LED素子32に対応する位置に設けられ、径方向の最も中心側において円形に配置されている。ドーム形状部41dは、LED素子群L2〜L5の各LED素子32に対応する位置に設けられ、ドーム形状部41cの径方向外側において円形状に4列分配置されている。ドーム形状部41eは、LED素子群L6,L7の各LED素子32に対応する位置に設けられ、最も外周側に位置するドーム形状部41cの径方向外側において円形状に2列分配置されている。つまり、ひとつのLED素子32に対して、ひとつのドーム形状部41c(41d,41e)が対応して設けられている。
また、LEDカバー部41には、LEDカバー40を放熱板20の平坦部21aにねじ固定するねじ挿通孔41fが内周側と外周側の複数個所に形成されている。本実施形態では、外周側のねじ挿通孔41fが、ドーム形状部41dとドーム形状部41eとの間において、周方向に間隔を空けて8箇所に形成され、内周側のねじ挿通孔41fが、ドーム形状部41cよりも内周側において、周方向に間隔を空けて4箇所に形成されている。なお、ねじ挿通孔41fの個数や位置は、適宜変更することができる。
壁部42は、LEDカバー部41に対して略直交する方向に延びて形成されている。これにより、後記するカバー外周固定部43の幅(径方向)を長く設定することができ、カバー外周固定部43を外周固定部22に固定し易くなる。
また、壁部42の周面には、切欠き凹部42aが形成されている。この切欠き凹部42aは、LEDカバー40内の熱を外部に逃すためのものであり、カバー外周固定部43間のカバー外周固定部43が形成されていない位置に形成されている。なお、切欠き凹部42aの開口面積は、使用者の指が挿入できない大きさに設定されている。これにより、使用者が手(指)で直接にLED基板30に触れるのを防止できる。また、図6では、3箇所の切欠き凹部42aのうちの1箇所のみを図示している。
なお、本実施形態では、壁部42に放熱用の切欠き凹部42aを設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、さらに、壁部42の別の位置に、または切欠き凹部42aと組み合わせるようにして、貫通孔が形成されていてもよい。なお、この貫通孔についても、使用者の指が入らない大きさであれば、形状や個数を適宜変更することができる。
カバー外周固定部43は、LEDカバー40をLED基板30の外周側において放熱板20に固定する固定部であり、壁部42の外周面に沿って延びる湾曲した細長形状の複数の固定板部43aを有している。固定板部43aは、セード取付具50(図1参照)が対応する位置を除いて、壁部42の外周面に間隔を空けて3箇所に形成されている。なお、カバー外周固定部43を3箇所に形成することにより、セード10をセード取付具50に取り付け易くなる。
固定板部43aには、周方向に間隔を空けて複数のねじ固定用のねじボス43bが形成されている。ねじボス43bは、凹面が表面側を向くように形成されるとともに、ねじ45が挿入可能な円形の開口43b1を有している。なお、固定板部43aに形成されるねじボス43bは、3箇所に限定されるものではなく、2箇所以下でもよく、4箇所以上でもよい。
また、固定板部43aは、周方向の一方の端部に切欠部43cを有している。この切欠部43cは、固定板部43aの外周縁43a1から壁部42に向けて延びるテーパ部43c1と、壁部42に沿って延びる湾曲部43c2と、を有するように切り欠かれている。このテーパ部43c1を含む切欠部43cは、セード10を取り付ける際に、セード10に突設した図示しない係合部がセード取付具50に係合保持される方向へ案内し易くするためのものである。
前記したLEDカバー40は、樹脂を用いた一体成形と、ドーム形状部41c,41d,41eなどの凹凸形状、壁部42およびカバー外周固定部43とが相まって、LEDカバー40の剛性を確保している。
図7は本実施形態に係るLED照明装置からセードを取外した状態の平面図、図8(a)は図7のA−A線で切断したときの拡大断面図、(b)は図7のB−B線で切断したときの拡大断面図である。
LED照明装置1を組み立てる場合には、まず、放熱板20にLED基板30をねじ33(図4参照)によってねじ固定する。すなわち、LED基板30に形成された図示しないねじ挿通孔にねじ33を挿通し、放熱板20の平坦部21aに形成されたねじ固定孔21d(図3参照)に螺合することで、LED基板30を放熱板20に固定する。これにより、LED基板30の外周縁部が、放熱板20の平坦部21aから外周側に突出した状態で、LED基板30が放熱板20に固定される。
そして、放熱板20に固定されたLED基板30の上方からLEDカバー40を被せる。このとき、カバー外周固定部43間に、セード取付具50を位置決めし、かつ、カバー外周固定部43のねじボス43bと、放熱板20の外周固定部22のねじ固定孔22cとが対応するように位置決めする。
そして、放熱板20にLEDカバー40をねじ44によってねじ固定する。すなわち、LEDカバー40に形成されたねじ挿通孔41f(図6参照)と、LED基板30に形成されたねじ挿通孔34(図4参照)とにねじ44を順に挿通し、放熱板20の平坦部21aに形成されたねじ固定孔21e(図3参照)に螺合することで、LEDカバー40の内周側を放熱板20に固定する。また、LEDカバー40に形成されたねじボス43bにねじ45(図8参照)を挿通し、放熱板20の外周固定部22に形成されたねじ固定孔22c(図3参照)に螺合することで、LEDカバー40の外周側を放熱板20に固定する。
これにより、領域R(図8参照)の配線基板31に対応するLEDカバー40(LEDカバー部41)を放熱板20に確実に固定することができる。
図8(a)に示すように、カバー外周固定部43に形成されたねじボス43bは、放熱板20の外周固定部22(環状部22a)に背面側に突出して形成され、ねじボス43bの先端面が環状部22aの平坦面に当接している。また、ねじボス43bは、放熱板20のねじ固定孔22cと対応する位置に形成されている。
図8(b)に示すように、ねじボス43bをカバー外周固定部43の板状の固定板部43aから背面側に突出するように形成されている。これにより、ねじボス43bが形成されている位置を除いて、カバー外周固定部43(固定板部43a)と放熱板20の外周固定部22(環状部22a)との間に隙間Sが形成されている。このように、隙間Sが形成されることで、LED基板30から発生した熱を隙間Sを介してLEDカバー40の外部に放出して冷却することが可能になる。なお、この隙間Sについても、前記切欠き凹部42aと同様に、使用者の指が入らない寸法に設定され、例えば5mm〜6mmに設定されている。
ところで、LED基板30が熱で変形してLED基板30がLEDカバー40から離れると、光学的な特性を保てなくなることが予想される。そこで、本実施形態では、図8(a)に示すように、LEDカバー40のLED基板30に対向する背面側の面(裏面)に、LEDカバー40を放熱板20にねじ固定したときに、LED基板30を押圧するための突起部41gが形成されている。なお、図8(a)では、ひとつの突起部41gが図示されているが、実際には同様の突起部41gが複数個所(適宜変更可)に設けられ、複数の突起部41gによってLED基板30の全体を放熱板20側に均等または略均等に押圧するように構成されている。なお、突起部41gの形状は、円柱状のものに限定されるものではない。
また、突起部41gの位置は、放熱板20の平坦部21aと対向する位置に限定されるものではなく、LED基板30が平坦部21aから外周に突出する領域R(図8参照)に形成されていてもよい。
そして、LED基板30およびLEDカバー40が固定された放熱板20にセード10がセード取付具50,50,50(図1参照)を介して取り付けられる(図10参照)。
以上説明したように、本実施形態のLED照明装置1では、LED基板30が載置される平坦部21a(載置面)よりも外周側(径方向外側)に突出する配線基板31(基板)を有し、LEDカバー40が、LED基板30の発光面を覆うLEDカバー部41と、LEDカバー部41から外周固定部22に向けて延びる壁部42と、壁部42から外周固定部22に沿って延びるとともに放熱板20の外周固定部22に固定されるカバー外周固定部43と、を備えている。これによれば、LEDカバー40がLEDカバー部41だけではなく、壁部42とカバー外周固定部43を備えることで、LEDカバー40を放熱板20の平坦部21a側(内周側)だけではなく、外周固定部22側(外周側)も固定できるので、LEDカバー40を放熱板20に適切に固定することが可能になる。適切に固定するとは、LED基板30が発する熱によって、LED基板30のLED素子32とLEDカバー40のドーム形状部41c(41d,41e)との位置関係が変化することなく、所定の光学特性を維持できることを意味する。
つまり、従来のように、略円形のLEDカバー部でLED基板30を覆っただけでは、LEDカバー部が熱変形によって、LED素子32とドーム形状部との位置関係が変化して、所定の光学特性を維持することができなくなる。しかし、本実施形態では、前記のようにLEDカバー40を備えることにより、熱によるLEDカバー40の変形を防止することができ、所定の光学特性を維持することが可能になる。
ちなみに、本実施形態では、LED基板30の外周側の領域R(図8参照)が放熱板20(平坦部21a)と接触していない構造を有している。しかし、LED基板30の内周側のLED素子群L1などでは、周囲の熱で高くなる傾向にあるが、外周側のLED素子群L6,L7では、その外周側にLED素子32が配置されていないので、温度が過度に高くなることがなく、LED素子群L6,L7に悪影響を及ぼすことはないものである。
また、本実施形態では、カバー外周固定部43にねじボス43bを設けて、カバー外周固定部43と放熱板20の外周固定部22との間に隙間Sを空けた状態で固定することで、配線基板31の領域R(図8参照)で発生した熱を効果的に外部に逃すことができる。
また、本実施形態では、LEDカバー部41にLED基板30を押圧する突起部41gを形成することで、LED基板30などから発せられる熱によって、LED基板30のLED素子32とLEDカバー40のドーム形状部41c,41d,41eとの間の距離が変化するのを防止でき、所定の光学特性を維持することが可能になる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。図9は本実施形態に係るLED照明装置の変形例を示す断面図である。
図9に示すLED照明装置1Aは、前記したLED照明装置1の変形例であり、LED照明装置1に伝熱支持板60を追加したものである。その他の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。この伝熱支持板60は、例えば、アルミニウム合金や銅などの熱伝導性に優れた材料によってLED基板30と略同一のドーナツ状に形成され、放熱板20とLED基板30との間に、平坦部21aとLED基板30の背面の双方と面接触するように積層配置されている。
これにより、LED基板30のLED素子群L6,L7からの発せられた熱も伝熱支持板60、放熱板20に伝達することにより、LED照明装置1Aの冷却機能を向上させることができる。また、LED基板30をLEDカバー40と伝熱支持板60とで挟み込むことで、LED素子群L6,L7のLED素子32とLEDカバー40のドーム形状部41eとの位置関係が変化するのを防止できるので、所定の光学特性を維持することが可能になる。
なお、本発明は、前記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、
ひとつのドーム形状部に、複数種類のLED素子を配置するようにしてもよい。複数種類のLED素子とは、例えば、一方が白色系の光束を放射する素子であり、他方が暖色系の光束を放射する素子である。
また、LED素子32およびLEDカバー40のドーム形状部の配列は、円形状に限定されるものではなく、正偶数角形状などで構成してもよい。また、LED基板30の形状についても、略ドーナツ形状に限定されるものではなく、正偶数角形状で構成してもよい。また、LED素子32の配置についても、同心円状に限定されるものではなく、各種の配置を採用することができる。
また、LEDカバー40におけるねじ孔(ねじボス43bやねじ挿通孔など)に、それぞれに対応する孔(ねじ固定孔22cなど)への位置合わせ用ガイドとしてねじ孔の縁に突出する突起を設けても良い。該突起が前記対応する孔に入ることにより、LEDカバー40とそれに対応するものの相対的な位置関係を規定することができる。