JP5744375B2 - イントロンrna技術を用いる組み換え型核酸組成物及び同組み換え型核酸組成物を含む化粧品 - Google Patents

イントロンrna技術を用いる組み換え型核酸組成物及び同組み換え型核酸組成物を含む化粧品 Download PDF

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本発明は、スキンケアのための化粧品の開発と生成のための手段に関する。具体的には、本発明は、非天然由来のイントロンを生成するための方法と組成物に関する。同非自然天然由来のイントロンの構成成分は、皮膚細胞によって短鎖ヘアピンRNA(shRNA)及び/又はマイクロRNA(miRNA)分子となるようにプロセッシング可能であるために、細胞内の皮膚色素に関連する遺伝子及び/又は老化を引き起こす遺伝子に対し、特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導することができる。こうして得られた遺伝子サイレンシング効果は、肌色の明るさと美白に役立つのみならず、皮膚内の不必要な老化遺伝子活性を抑制することにも効果的である。
本出願は、2007年10月31日付け、Shi−Lung Lin及びDavid Wuらによる発明の名称が「イントロンRNA技術を用いる新規化粧品の設計及び製品」である米国仮特許出願に基づく優先権を主張する。本出願はまた、2003年5月15日に出願された米国特許出願第10/439,262号「RNAスプライシング及びプロセシング誘導型遺伝子サイレンシング及びその応用」及び2006年3月31日に出願された米国特許出願第11/278,143号「イントロンRNAを用いる新規遺伝子導入法」の利益を主張し、これらの出願を参照として本明細書にて援用する。
色素沈着(即ち日焼け)及び老化の予防は健康肌を保持するための鍵ではあるが、皮膚色素及び老化過程の多くは個人の遺伝子活性と関連している。例えば、ヒアルロニダーゼ(Hyal)はしばしば、皮膚内の主要なアンチエージング細胞外マトリックスである皮下ヒアルロン酸(HA)を分解することにより肌のしわを引き起こすが、色素細胞性膜結合の糖タンパク質であるチロシナーゼ(Tyr)は、肌及び髪内のメラニン(黒色素)生合成に対する重要な律速酵素である。そのため、良好なスキンケアはこれらの不必要な活性を抑止することによって実現できる。
現在のところ、しわ除去のためのヒアルロニダーゼ阻害剤に関する技術はない。明るい肌及び美白の肌を作るために、チロシナーゼ機能を阻害する多くの従来技術の試みではしばしば、ホルモンに由来する阻害性ペプチド、低分子化学薬品及び数種類の植物エキスを使用してきた。それらの植物エキスとしては、オリゴペプチド(例えば、ピネル(Pinel)による特許文献1、ションロック(Schonrock)による特許文献2)、ヒドロキシテトロン酸誘導体(例えば、ペリコン(Perricone)による特許文献3)、ベンゾイル化合物(例えば、キム(Kim)による特許文献4)、ヒドロキノン組成物(例えば、ウォッズマン(Wortzman)による特許文献5及び6)、アルコールジオール及びトリオール類似物(例えば、ブラウンによる特許文献7)、コウジ酸誘導体(例えば、アンシラ(Ancira)による特許文献8)、子嚢菌由来の酵素(例えば、マモネ(Mammone)による特許文献9)、及び植物エキス(例えば、ナガミネ(Nagamine)による特許文献10、リー(Lee)による特許文献11、ステック(Steck)による特許文献12、ポウリ(Pauly)による特許文献13、リベレッテ(Leverett)による特許文献14、15及び16、アルケッテ(Arquette)による特許文献17、18及び19、チャウドゥリ(Chaudhuri)による特許文献20及び21)が含まれる。これらの物質及び方法はインビトロ(in−vitro)では良好に作用するが、ヒドロキノンとその誘導体のような僅かの物質のみが臨床試験(非特許文献1)において良好な色素沈着減少効果を誘導することができる。それにもかかわらず、反応性キノンへ誘導される全てのヒドロキノン誘導体は細胞毒性薬剤であると推定される。インビトロでの研究とインビボ(in−vivo)での研究との間のこれらの違いは、それらの安全性と有効性を実証するため革新的な戦略が必要とされることを示唆している。(本願におけるこれらの刊行物、その他全ての引用された刊行物及び特許は、本明細書において参照により援用される。)
最近のRNA干渉(RNAi)技術の進歩に伴い、新規な低分子RNA薬剤は、二本鎖低分子干渉RNA(例えば、dsRNA/siRNA)(非特許文献2及び非特許文献3)、及びドキシリボヌクレオチドRNA(doxyribonucleotidylated−RNA)干渉分子(例えば、D−RNAi)(非特許文献4)の使用を含む、標的とされた遺伝子抑制においてより強力な効果を有することが明らかになった。おそらく、これらの低分子RNA薬剤はスキンケアのための新規な化粧品設計と製品の開発に利用され得るであろう。原則としては、RNAiのメカニズムは、僅かのナノモルの用量で強力な効果を有し、特定の遺伝子機能の抑制が可能な転写後の遺伝子サイレンシング(PTGS)現象を引き出すが、この用量は、アンチセンスのオリゴヌクレオチドや低分子化学抑制剤(非特許文献5)を使用する従来の遺伝子欠損法よりも、より長い持続効果とより少ない毒性を備えることが証明された。これまでの多くの研究(非特許文献6、非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献7)によれば、siRNA誘導性遺伝子サイレンシング効果は1週間持続する一方、D−RNAi効果は一回の治療後、更に1ヶ月までを維持可能である。siRNA/D−RNAi薬剤は、一連の細胞内配列特異的mRNAの分解、及び/又は翻訳抑制過程を引き起こし、高度の相同性を示す全ての遺伝子転写産物、即ちコサプレッションに影響を与える。RNaseIIIエンドリボヌクレアーゼ(Dicer)及び/又はRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)による、異常なRNAテンプレートへの酵素活性により低分子RNA製品(21−25ヌクレオチド塩基)の生成から生じたコサプレッションが観察されている。このコサプレッションは通常、外来の導入遺伝子やウイルスゲノムからの誘導体である(非特許文献6、非特許文献3及び非特許文献4)。この確立されたRNAiメカニズムに基づき、合成siRNA及び/又はdsRNA薬剤を使用してチロシナーゼ機能を阻害しようとする先行技術としては、ベネッティ(Binetti)による特許文献22及びコリン−ジャンゴン(Collin−Djangone)による特許文献23が挙げられる。
現行のRNAi技術は、皮膚における不必要な遺伝子機能の抑制への新しい道を開いてくれるにも係わらず、これらの出願はいまだに、魚類、鳥類、哺乳類及びヒトを含む高等脊椎動物に対して持続的且つ安全的に作用することを立証していない。例えば、ほとんどのsiRNA薬剤は二本鎖RNA(dsRNA)の形態に基づいたものである。この形態は、脊椎動物においてインターフェロンによって媒介された非特異的RNA分解を引き起こすことが示されている(非特許文献8、非特許文献3、ロビンソン(Robinson)による特許文献24及びラウ(Lau)による特許文献25)。こうしたインターフェロン媒介性の細胞毒性反応は、siRNA誘導性の遺伝子サイレンシング効果の標的特異性を低減し、多くの場合脊椎動物細胞における広範囲なRNA分解を生ずる(非特許文献8及び非特許文献3)。特に、哺乳類の細胞において、siRNA/dsRNAサイズが25塩基対(bp)より長い場合、RNAi効果は妨げられることが明らかとなっている(非特許文献3)。サイズが25bp未満のsiRNA又は短鎖ヘアピンRNA(shRNA)のトランスフェクションはこのような問題を完全に解消することができないだろう。それはスレッズ(Sledz)他の非特許文献9及びリン(Lin)他の非特許文献10に報告されているように、高用量のsiRNA及びshRNA(例えば、ヒトT細胞において>250 nM)は、高用量の長鎖dsRNAに類似した強い細胞毒性効果を引き起こすことが可能だからである。この毒性はそれらが有する二本鎖RNA形態によるものであり、同形態はインターフェロン媒介性の非特異的RNA分解及び細胞性PKR及び2−5Aシステムのシグナル経路を介するプログラム細胞死を促進させる。インターフェロン誘導性2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素活性(2−5A)システムの活性化が一本鎖RNA(即ちmRNA)の大きい切断へ誘導される場合にインターフェロン誘導性のプロテインキナーゼPKRが細胞アポトーシスを誘発することは周知である(非特許文献8)。PKR及び2−5Aシステムのいずれも、二本鎖RNAの形態への高い親和性を有するdsRNA結合モチーフを含んでいる。更に、最も難しい問題は、高等脊椎動物における大量のRNase活性により、インビボにてこれらの小さくかつ不安定なsiRNA/shRNA構築物を送達することが不可能な点にある(非特許文献11)。
RNAi効果は、外来の導入遺伝子又はウイルスゲノムに由来する転写テンプレートから、低分子RNA製品(21−25ヌクレオチド塩基)の製造により自然に引き起こされるため(非特許文献6及び非特許文献4)、Pol−IIIによって媒介されたsiRNA/shRNA表現ベクタの最近の利用は、インビボで比較的安定なRNAiの効果を提供する。(非特許文献12)。このようなベクタに基づいたsiRNAの試みを試した先行技術(非特許文献13、非特許文献14及び非特許文献15)は、一定した遺伝子サイレンシング効果を維持することに成功した。彼らの戦略が目標とされた細胞又は組織集団に対するRNAi効果への集中に失敗したのは、ユビキタスタイプのIII RNAポリメラーゼ(Pol−III)プロモータを使用したためであった。U6及びH1のようなPol−IIIプロモータはほとんど全てのタイプの細胞において活性化され、組織特異性遺伝子のターゲティングを不可能にする。しかも適切な集結部が存在しない短鎖RNAテンプレートにおいては多くの場合Pol−III転写のリードスルー(read−through)活性の漏れが起こるので、所望とされる25bpより長い高分子RNA製品が合成され、予想外のインターフェロン細胞毒性を引き起こすことになる(非特許文献16及び非特許文献17)。このような問題はまた、Pol−IIIプロモータともう一つのベクタプロモータ(即ち、LTRとCMVプロモータ)との間での競合的対立に起因し得る。その上、Pol−III依存性RNAiシステムから生成されたsiRNA/shRNAの高濃度は、細胞性天然マイクロRNA(miRNA)経路を過度に飽和させ、そのためにmiRNAの大規模な阻害と細胞死が引き起こされることが最近になって注目されてきた(非特許文献18)。これらの不都合は健康管理においてPol−IIIベースのRNAiベクタシステムの使用を妨げてしまう。
米国特許第7,268,108号 米国特許第6,852,699号 米国特許第7,019,029号 米国特許第6,838,481号 米国特許第6,998,130号 米国特許第7,025,977号 米国特許第7,250,157号 米国特許第6,710,076号 米国特許第6,514,506号 米国特許第7,192,617号 米国特許第7,125,572号 米国特許第6,521,267号 米国特許第7,105,184号 米国特許第6,994,874号 米国特許第7,060,304号 米国特許第7,247,321号 米国特許第7,025,957号 米国特許第7,029,709号 米国特許第7,097,866号 米国特許第6,649,150号 米国特許第6,969,509号 米国特許出願公開第20050137151号 米国特許出願公開第20070134188号 米国特許第4,289,850号 米国特許第6,159,714号 Solano他、Pigment Cell Res.、第19巻、第550−571頁、2006年 Fire他、Nature、第391巻、第806−811頁、1998年 Elbashir他、Nature、第411巻、第494−498頁、2001年 Lin他、Biochem.Biophys.Res.Commun.、第281巻、第639−644頁、2001年 Lin他、Current Cancer Drug Targets、第1巻、第241−247頁、2001年 Grant,S.R.、Cell、第96巻、第303−306頁、1999年、 Lin他、Drug Design Reviews、第1巻、第247−255頁、2004年a Stark他、Annu.Rev.Biochem.、第67巻、第227−264頁、1998年 Sledz他、Nat Cell Biol.、第5巻、第834−839頁、2003年、 Lin他、Intrn’l J. Oncol.、第24巻、第81−88頁、2004年b Brantl S.、Biochimica et Biophysica Acta、第1575巻、第15−25頁、2002年 Tuschl他、Nat Biotechnol.、第20巻、第446−448頁、2002年 Miyagishi他、Nat Biotechnol、第20巻、第497−500頁、2002年 Lee他、Nat Biotechnol、第20巻、第500−505頁、2002年 Paul他、Nat Biotechnol、第20巻、第505−508頁、2002年 Gunnery他、J Mol Biol.、第286巻、第745、757頁、1999年 Schramm他、Genes Dev、第16巻、第2593−2620頁、2002年 Grimm他、Nature、第441巻、第537−541頁、2006年
皮膚のヘルスケアのための現行のRNAi技術に関する送達の安定性、標的特異性及び安全性を改善するために、好ましい誘導及び維持の戦略が大いに期待されている。従って、効果的であり、安定かつ安全な遺伝子の調製法の必要性、及び新規なRNAiメカニズムを使用して皮膚における不必要な遺伝子機能を抑制するための薬剤組成物に対する必要性は今も存在している。
上述の目的を解決するために、請求項に記載の発明は、RNAスプライシング/プロセッシングに関連した遺伝子サイレンシングを導入するための組み換え型核酸組成物であって、スキンケアのための化粧品を生成する方法に使用するための組み換え型核酸組成物において、同組み換え型核酸組成物は、(a)哺乳動物の皮膚細胞において、色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子の少なくとも1つにおいて特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導するマイクロRNA又はshRNAをコードするイントロン挿入物を含む少なくとも1つのイントロンであって、前記イントロンは、エキソンに隣接し且つ、細胞内RNAスプライシング及びプロセッシングの少なくとも一方を行う機構によって前記エキソンから切断され得るイントロンと、(b)複数のエキソンであって、前記エキソンは所望の機能を備えた遺伝子を形成するよう連結されるエキソンと、を含み、イントロン挿入物は、配列番号8又は配列番号10の配列を有するマイクロRNA又はshRNAをコードするものである、組み換え型核酸組成物を提供する。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物が、(a)前記組み換え型核酸組成物のRNA転写物を発現するための発現可能なベクタを用いてライゲーションするために使用される少なくとも1つの多重制限/クローニング部位と、(b)前記組み換え型核酸組成物の正確な大きさのRNA転写物を生成するために使用される複数の転写及び翻訳の少なくとも一方のための複数の終了部位と、を更に含むことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、イントロンは、(a)供与スプライス部位及び受容のスプライス部位と、(b)分枝点ドメインと、(c)少なくとも1つのポリピリミジン領域と、をさらに含むことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子のうちの少なくとも1つは、チロシナーゼ遺伝子、ヒアルロニダーゼ遺伝子、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも1つの遺伝子であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、イントロン挿入物は、配列番号1の配列を有する機能性ステムループ構造を含むヘアピン様核酸であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、分枝点は、配列番号5の配列を含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドであることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、分枝点は、5’−TACTAAC−3’の配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドモチーフを含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドであることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、ポリピリミジン領域は、配列番号6又は配列番号7の配列を含むT又はCを高含量にて含む核酸配列であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、供与スプライス部位は、配列番号3の配列を含む核酸配列であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、供与スプライス部位は、5’−GTAAG−3’の配列を含む核酸配列であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、受容スプライス部位は、配列番号4の配列を含む核酸配列であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項に記載の組み換え型核酸組成物において、受容スプライス部位は、5’−CTGCAG−3’の配列を含む核酸配列であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、美白の肌及び明るい肌とするための化粧品であって、同化粧品は、皮膚色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子のうちの少なくとも一方に対して特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導するための組み換え型核酸組成物を含み、同組み換え核酸組成物は、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組み換え核酸組成物である、化粧品、を提供する。
遺伝子転写(例えば、mRNA)に基づいてタンパク質コーディングエキソンの集合に関する研究は文献において完全に記述され、当然のことながら、スプライスされたノンコーディングイントロンは完全に消化される運命にある(Nott他、RNA、第9巻、第607−617頁、2003年)。遺伝子のイントロンタンパク質は機能を持たない遺伝子老廃物であるか、またはその機能が未だに発見されていないか、というもの事実である。最近、この誤解はイントロンマイクロRNA(miRNA)の観察によって修正された(Lin他、Biochem Biophys Res Commun.、第310巻、第754−760頁、2003年;Ying他、Gene、第342巻、第25−28頁、2004年;Ying他、Biochem Biophys Res Commun.、第326巻、第515−520頁、2005年)。イントロンmiRNAは、遺伝子イントロンに由来する新しいクラスの低分子の一本鎖調節性RNA(pre−mRNA)であり、それはコーディング遺伝子の前駆メッセンジャーRNA(pre−mRNA)からスプライスアウトされ、更に短鎖ヘアピン様miRNAに加工される。miRNAは通常、18−27のヌクレオチド(nt)長を有しており、miRNAとその標的との間における相補性に従い、メッセンジャーRNA(mRNA)の標的を低下させるか、標的とされたmRNAのタンパク質翻訳を抑制することができる。この様にして、イントロンmiRNAは機能的に前述のsiRNA/shRNAに類似しているが、II型RNAポリメラーゼ(Pol−II)転写と生物発生のためのRNAスプライシングに関する細胞内処理への要件は異なっている(非特許文献4)。また、イントロンは、細胞内のナンセンス変異依存性分解機構(NMD)による認識のための複数の翻訳停止コドンを自然に含んでいるため(Zhang他、Nature、第372巻、第809−812頁、1994年;Lewis他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第100巻、第189−192頁、2003年)、大部分の構築化されないイントロン配列は、細胞にとっては有毒である過度の蓄積を防ぐためにRNAスプライシングの後に速やかに分解され得る。およそ10%−30%のスプライスされたイントロンは、NMD消化後に保留され、そして更に、穏やかな半減期で細胞質に輸送されることが既に測定されており、天然由来のイントロンmiRNAの細胞起源を示唆するものである(Clement他、RNA、第5巻、第206−220頁、1999年)。
図1に示されるように、天然イントロンmiRNAの生物発生は、ゲノムのペリクロマチン繊維に近い特定の核区域内において起こっている、発生期のPol−II媒介性pre−mRNA転写とイントロンスプライシング/除去との間における連結相互作用に依存している(非特許文献7及びGhosh他、RNA、第6巻、第1325−1334頁、2000年)。真核生物においては、mRNAのようなタンパク質コーディングの遺伝子転写はII型RNAポリメラーゼ(Pol−II)によって発生する。ゲノム遺伝子の転写は、前駆メッセンジャーRNA(pre−mRNA)を生成する。その前駆メッセンジャーRNAは5’−非翻訳領域(UTR)と、タンパク質コーディングエキソンと、ノンコーディングイントロンと3’−UTRとの四つの主要部分を含んでいる。概して言うと、5’−と3’−UTRはいずれもイントロン拡張の一種と見られている。イントロンはpre−mRNAにおいてノンコーディング配列の最大部分を占有している。各イントロンは最大30キロ塩基までの範囲を含み、しかも、mRNA成熟の前にpre−mRNA含有量からの除去が求められる。このpre−mRNA切除とイントロン除去の過程はRNAスプライシングと呼ばれ、細胞内のスプライセオソームによって実行される。RNAスプライシングの後、いくつかのイントロン由来のRNAフラグメントは更に、マイクロRNA(miRNA)由来分子を形成するように処理される。同分子は、pre−mRNAのエキソンがタンパク質合成のための成熟mRNAを形成するように合わせて結合される時に、RNA干渉(RNAi)様メカニズムを通してそれぞれの標的遺伝子を有効にサイレンシグさせる。
我々は既に、効果的な成熟miRNAが脊椎動物遺伝子のイントロンから生成できることを立証した。その生物発生過程はsiRNA及び遺伝子間miRNAの過程とは異なっている(Lin他、2003年、前出、Lin他、Gene、第356巻、第32−38頁、2005年)。それらの差異を立証するため、図2には、siRNA、遺伝子間の(エキソンの)miRNA及びイントロンmiRNAにおける生来の生物発生及びRNAiメカニズムの比較が示されている。推定上、siRNAは、一つのDNAテンプレートからの逆位に置かれた二つのプロモータで転写された二つの完全相補RNAによって形成され、次いでハイブリダイズされ、更にRNaseIIIエンドリボヌクレアーゼ、即ちダイサー(Dicer)によって20−25bpの二本鎖体へと加工される。このsiRNAモデルと異なって、遺伝子間のmiRNA、例えばlin−4及びlet−7の生物発生は、長いノンコーディング前駆RNA転写又は一次転写(pri−miRNA)に係わっている。その転写はPol−II又はPol−III RNAプロモータから直接に転写されるものだが、一方イントロンpri−miRNAはPol−IIのみでその符号化遺伝子を用いて共同転写され、スプライスされたイントロンとしてRNAスプライシングの後に放出される。細胞核において、pri−miRNAは更に、Drosha様RNases(遺伝子間のmiRNAのためのもの)又はNMD機構(イントロンmiRNAのためのもの)で切除され、ヘアピン様pre−miRNAと呼ばれたステムループ前駆体を形成する。その後、miRNA関連ダイサー(Dicer*)により成熟miRNAに加工されるべく細胞質へ輸送される。その後、3つの低分子調節性RNAは全て、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)へ取り込まれる。RISCはsiRNAの鎖又は一本鎖miRNAのいずれかを含んでいる。siRNA経路及びmiRNA経路のためのダイサー及びRISCは異なっていることが周知である(Tang,G.、Trends Biochem Sci.、第30巻、第106−114頁、2005年)。結果として、miRNAの効果は通常、siRNAと比較してより特異的であり、かつ有害性は小さい。その理由は単一の鎖が係わっているためである。一方、siRNAsは最初にmRNA分解を引き起こすが、miRNAは標的遺伝子転写への配列相補性に依存してmRNA分解又はタンパク質合成の抑制のいずれか、或いは、両方を誘導することができる。イントロンmiRNA経路は、Pol−II転写、RNAスプライシング及びNMD処理を含む複数の細胞内調節システムによって良好に調整されるため、イントロンmiRNAの遺伝子サイレンシング効果は3つのRNAi経路の中で、最も有効的であり、特異的かつ安全だと思われる(Lin他、Frontiers in Bioscience、第13巻、第2216−2230頁、2008年)。
本発明は、遺伝子規則とそれが関連した実用の観点においてイントロンの新しい機能を開示している。図3A及び図3Bに示されるように、イントロンRNAスプライシング及びプロセッシングのメカニズムに基づき、本発明の好ましい実施例は、少なくとも一つのスプライシング可能なイントロン、即ちSpRNAi、を含むPol−II誘導型の組み換え遺伝子発現システムであり、イントロン配列に対して高相補性を有する不必要な遺伝子機能を阻害することができる。このSpRNAiは組み換え遺伝子の前駆mRNA(pre−mRNA)と共に、Pol−II RNAポリメラーゼ(P)によって共同転写され、RNAスプライシングによってpre−mRNAが切断される。その後、スプライシングされたSpRNAiは更に、shRNA及びmiRNAのような成熟遺伝子サイレンシング薬剤にプロセッシングされ、RNAi関連の遺伝子サイレンシングを引き起こすことが可能となる。イントロン除去後、組み換え遺伝子転写物のエキソンはマーカ又は機能性タンパク質の翻訳合成のため、共に結合されて成熟mRNA分子を形成する。
図3Aに示されるように、SpRNAiイントロンの必須構成要素は5’スプライス部位、分枝点のモチーフ(BrP)、ポリピリミジン領域(PPT)及び3’スプライス部位によって構成されるいくつかのコンセンサスヌクレオチド要素を含んでいる。その上、ヘアピンshRNA様pre−miRNA配列は、5’スプライス部位と分枝点のモチーフ(BrP)との間に位置しているSpRNAiイントロンの内部に挿入されている。このイントロンの部分は通常、RNAスプライシング及びプロセッシング時にラリアット構造を形成する。本発明者らは、ヘリカーゼであるスプライセオソーム型U2及びU6 snRNPの両方がpre−miRNAになるようラリアットRNAフラグメントの巻き戻しと切除とに係わっていることを発見したが、詳細なプロセスは解明されていない。更に、SpRNAi構築物の3’−末端はイントロンRNAスプライシングとNMD処理の正確性を向上するように複数の翻訳終止コドン領域(Tコドン)を含んでいる。細胞質型mRNAに存在している場合、このTコドンは細胞内の非構造型RNAの蓄積を低減するようにナンセンス変異依存性分解(NMD)経路の活性に信号を送る。しかしながら、高度二次構造型shRNA及びpre−miRNAの挿入は、成熟siRNA及びmiRNAをそれぞれを形成するように、更なるDicer切断のために保留される。その上に、細胞内発現のため、サンゴ礁のHeteractis crispaの変異色素タンパク質から単離された赤色蛍光タンパク質(RGFP)遺伝子のDraII制限部位にSpRNAi構築物を手動で組み込み、それにより組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子を形成した。制限酵素DraIIによる208番目のヌクレオチド部位におけるRGFP切断は、それぞれの末端において3つの休止ヌクレオチドでAG−GNヌクレオチド切断を生成し、SpRNAi挿入後にそれぞれの末端は5’と3’のスプライス部位を形成する。このイントロン挿入が、イントロンスプライシングにより回復され得る機能型RGFPタンパク質の構造を破壊するため、影響を受けた細胞の周囲で赤いRGFPの出現によりイントロンshRNA/miRNA及びRGFP−mRNA成熟の放出が決定される。RGFP遺伝子はまた、複数のエキソンのスプライシング促進剤(ESE)も提供し、RNAスプライシングの正確性と効果とを向上させる。
もう一つの好ましい実施例では(図3B)、本発明は合成RNAスプライシング及び、5’スプライス部位、分枝点のモチーフ(BrP)、ポリピリミジン領域(PPT)、及び3’−スプライス部位のような処理要素を使用するための遺伝子工学法を提供し、アンチセンスRNA、低分子ヘアピンRNA(shRNA)及び/またはマイクロRNA(miRNA)の製造のための、少なくとも一つの所望のRNA挿入物を含む人工のSpRNAiイントロンを形成する。DNA合成装置はこれらの要素を化学的に製造したり、結合したりすることができる。代わりに、これらの要素の連結は、酵素の制限と連結によって実現できる。こうして得られたイントロンは、関係のある細胞へのトランスフェクションのために直接に使用できるか、或いは、Pol−IIによる遺伝子転写(即ちpre−mRNA)との共同発現のために細胞遺伝子への更なる取り込みができる。RNAスプライシング及びmRNA成熟時において、所望のRNA挿入物は、細胞内スプライセオソームとNMDメカニズムによって切除されて放出される。そして、所望の遺伝子機能の発現のため、組み換え遺伝子転写のエキソンが一緒に連結されて成熟mRNAを形成する時、挿入RNA配列へ、特定の遺伝子転写に対する所望の遺伝子サイレンシングの高相補性効果を引き起こす。ここで、所望の遺伝子機能とは、赤色/緑色蛍光タンパク質(RGFP/EGFP)、発光酵素、lac−Z及びそれらの誘導型類似体からなる群より選択されたレポータ又はマーカタンパク質の翻訳のようなものである。レポータ/マーカタンパク質の存在は、影響を受けた細胞内に挿入shRNA/miRNA分子の生成物を配置するのに有用であり、所望の遺伝子サイレンシング/RNAi効果の識別を容易にする。
本発明によれば、エキソンの連結により形成された成熟mRNAは、また、障害のある、或いは欠失した遺伝子機能の置き換え、又は特定の遺伝子発現の増加について従来の遺伝子治療においても有用である。別の態様において、本発明は、標的遺伝子機能の阻害に有用である、アンチセンス型遺伝子ノックアウト又はRNA干渉(RNAi)効果のいずれかを引き出すように、イントロンRNAスプライシング及びプロセッシングのメカニズムによって遺伝子サイレンシング分子の細胞製造を誘導するための新規な組成物及び手段を提供する。こうして得られたイントロン由来の遺伝子サイレンシング分子は、アンチセンスRNA、リボザイム、短い一時的なRNA(stRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、非常に低分子のノンコーディングRNA(tncRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)及びRNAi関連性前駆体RNA構築物(pri−/pre−miRNA)を含む。これらイントロンRNA由来の遺伝子サイレンシング薬剤の使用は、病原性導入遺伝子、ウイルス遺伝子、変異体遺伝子、発ガン遺伝子、疾病関連低分子RNA遺伝子及びその他任意のタンパク質コーディング遺伝子並びにその他任意のノンコーディング遺伝子から構成される群より選択された不必要な遺伝子のターゲティングとサイレンシングにとって有力なツールとなる。
本発明のこのPol−II媒介型SpRNAi−RGFP発現系を利用することにより、本発明者らは、ヒトの前立腺ガンLNCaP、ヒトの子宮頚ガンHeLa及びラットの神経幹HCN−A94−2細胞において、(Lin他、Methods Mol Biol.、第342巻、第295−312頁、2006年a)、及びゼブラフィッシュ、ニワトリ及びマウスのインビボにおいて(Lin他、Methods Mol Biol.、第342巻、第321−334頁、2006年b)、完全な遺伝子サイレンシングキャパシティを備えた成熟shRNA及びmiRNA分子の生成に成功した。緑色EGFP並びにゼブラフィッシュ及び種々のヒト細胞系内の他の細胞遺伝子発現を標的とする異なるpre−miRNA挿入構築物を試験し、効果的な遺伝子サイレンシングmiRNAsは、5’スプライス部位と分枝点との間のイントロン配列の5’近傍性(proximity)に由来することを確認した。図3Cに示されるように、強い遺伝子サイレンシング効果は、アンチEGFP pre−miRNA挿入物(レーン4)のトランスフェクションにおいてのみ発生する一方、左から右へのレーン(1:ブランクのベクタ対照(Ctl)、2:HIV−p24を標的とするpre−miRNA挿入物(mock)、3:ヘアピンループ構造を備えていないアンチセンスEGFP挿入物(anti)、及び5:アンチEGFP pre−miRNA(miR*)に対して完全に相補性を有する逆pre−miRNA配列、によって示された他の挿入物からは、効果はまったく検知されない。マーカRGFPとハウスキーピングβアクチンのような標的ではない遺伝子に対する効果は検知されておらず、このようなイントロンmiRNA媒介型RNA干渉(RNAi)は非常に標的特定性であることを示唆している。イントロンRNAi効果におけるRNAスプライシングの役割を更に確認するために、発明者らは、左から右へのレーン(1:任意のpre−miRNA挿入物が存在しないでベクタイントロンフリーRGFPを発現するベクタ、2:イントロンアンチEGFP pre−miRNA挿入物が存在した状態でベクタRGFPを発現するベクタ、3:2の構築物に類似するがSpRNAiイントロンにおける欠損5’スプライス部位を有するベクタ)により、図3Dで示されるような、3つの異なるSpRNAi−RGFP発現系も試験した。結果として、ノーザンブロット分析は、成熟miRNAは、図3CのアンチEGFP pre−miRNA挿入物を備えたSpRNAiベクタ構築物と同一のものであるベクタ2構築物のスプライスされたイントロンからのみ開放されたことを示し、ベクタ、イントロンmiRNA生物発生のために細胞RNAスプライシングが必要であることを示している。
上述のような理解の後に、本発明者らは、最大の遺伝子サイレンシング効果を誘導するためにpre−miRNA挿入物の最適な構造設計を決定し、強い構造バイアス(bias)は、RNAiエフェクタ、RNA誘導型遺伝子サイレンシング複合体(RISC)のアセンブリ時に、成熟miRNA鎖の細胞選択に存在することを確認した(Lin他、Gene、第356巻、第32−38頁、2005年)。RISCはタンパク質RNA複合体であり、RNAiメカニズムにより標的遺伝子転写物の分解又は翻訳抑制のいずれかを誘導する。siRNA二本鎖体の形成は、siRNA関連RISCのアセンブリにおいて主要な役割を果たしている。siRNA二本鎖体の2つの鎖は機能的に非対称的になっている。しかしながら、RISC複合体へのアセンブリはただ一つの鎖に対して優先的である。このような優先性は、鎖中の各5’末端塩基対の熱力学安定性によって決定される。このsiRNAモデルに基づきmiRNAの形成及びその相補的miRNA(miRNA*)二本鎖体の形成は、miRNA関連RISCのアセンブリにおいて必要な工程と考えられた。これが事実であれば、機能バイアスはpre−miRNAのステムループ構造においてはまったく観察されないであろう。それにもかかわらず、本発明者らは、イントロンpre−miRNAのステムループ定位が、ゼブラフィッシュ内のRISCアセンブリのための成熟miRNAに関する鎖の選択に関連していることを観察した。
図4Aに示されるように、本発明者らは一対の対称pre−miRNA構築物、即ちmiRNA*ステムループmiRNA[1]及びmiRNAステムループmiRNA*[2]をぞれぞれ含む、2つの異なるイントロンmiRNA挿入型SpRNAi−RGFP発現ベクタを構築した。2つのpre−miRNAとも、同一の二本鎖ステムアーム構造を含んでいる。その構造はEGFPヌクレオチドの第280−302番の配列に対して誘導される。ここでの定義については、miRNAは成熟マイクロRNAの正確に完全な配列を意味しており、一方、miRNA*は、成熟マイクロRNA配列に対して相補的な逆ヌクレオチド配列を意味している。これらのmiRNA発現SpRNAi−RGFPベクタ(それぞれ60μg)を2週齢のゼブラフィッシュ稚魚へ24時間リポソームトランスフェクションさせた後(Lin他、2005年、前出)、本発明者らはmiRNA単離カラム(Ambion,Austin,TX)を使用してゼブラフィッシュの低分子RNAを単離し、次いで、標的EGFP領域と一致する可能性のあるmiRNAを全て、標的配列を含むラテックスビーズにより沈殿させた。シークエンシング後、1つの効果的なmiRNA同一物であるmiR−EGFP(280−302)が、図4Aに示されるように、5’−miRNAステムループmiRNA*−3’構築物[2]のトランスフェクションにおいて活性であることを確認した(灰色で陰影付けられた配列)。成熟miRNAは、[2]5’−miRNAステムループmiRNA*−3’構築物によってトランスフェクションされたゼブラフィッシュにおいてのみ検知されるので、miRNA関連RISCは[1]pre−miRNAよりはむしろ、構築物[2]と好ましくは相互作用をする必要があり、そのことはイントロンmiRNA−RISCアセンブリのための構造バイアスの存在を立証する。この実験において、本発明者らはアクチンプロモータ誘導性のTg(UAS:gfp)種のゼブラフィッシュ、即ちTg(アクチンGAL4:UAS−gfp)を使用しており、Tgは殆どの細胞タイプの魚体内にて緑色蛍光EGFPタンパク質を構成的に発現する。図4Bに示されるように、これらのゼブラフィッシュ内のSpRNAi−RGFPベクタのトランスフェクションは、標的EGFPをサイレンシングさせ、赤色蛍光マーカタンパク質RGFPを共に発現し、影響を受けた細胞内においてイントロンmiRNA生成の陽性指標として使用される。消化管内の遺伝子サイレンシング効果はおそらくこの領域内のRNaseの高活性により他の組織より幾分低くなっている。更に、ウエスタンブロット分析(図4C)に基づけば、指標であるRGFPタンパク質発現は、5’−miRNA*ステムループmiRNA−3’又は5’−miRNAステムループmiRNA*−3’ pre−miRNAのいずれかでトランスフェクトされた魚の両方において検知される。一方、標的EGFP発現(緑色)の遺伝子サイレンシングは、5’−miRNAステムループmiRNA*−3’pre−miRNA構築物[2]でトランスフェクトされた魚においてのみ検知され、そのことは図4Bの結果を実証する。両方のpre−miRNA構築物の5’末端ステムアームの耐熱性は同じであるので、本発明者らは、イントロンpre−miRNAのステムループはRISCアセンブリ時において、成熟miRNA配列の鎖の選択に関わっているとの結論に達した。ステムアームにおけるダイサーの切断部位は成熟miRNAの鎖の選択を決定するものとして知られている(Lee他、Nature、第425巻、第415−419頁、2003年)と仮定した場合、イントロンpre−miRNAのステムループは、特別な切断部位を識別するための決定要素として機能するであろう。
前述の設計において、天然のpre−miRNAステムループ構造の多くはサイズが大きすぎて効率的な発現のためのSpRNAi−RGFP発現ベクタに適していないため、本発明者らは、天然のpre−miRNAループに代えて、短いtRNAmetループ(即ち、5’−(A/U)UCCAAGGGGG−3’)(配列番号26)を使用する必要がある。tRNAmetループは、同一のRan−GTP及びExportin−5の輸送メカニズムを介して核から細胞質への設計されたmiRNAsの輸出を効率的に促進することが示されている(Lin他、2005年、前出)。現在のところ、本発明は手動で改良されたpre−mir−302ループ(即ち、5’−GCTAAGCCAGGC−3’(配列番号1)及び5’−GCCTGGCTTAGC−3’(配列番号2))の対を使用しており、それらは、tRNA輸送を干渉せずに、天然pre−miRNAと同様の核輸送効率を提供する。これらの新しいpre−miRNAループに関する設計は、mir−302sの短いステムループの模擬修正に基づいており、それは、他の分化組織細胞内ではなく、ES細胞において高度に発現される。このため、これらの人工pre−miRNAループの使用は、我々の体内の天然miRNA経路に干渉を与えないであろう。
pre−miRNA挿入については、組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子のイントロン挿入部位はその5’及び3’末端のそれぞれにおいてPvuI及びMluIの制限部位に隣接しているので、イントロン一次挿入物は、一致する付着末端を有する種々の遺伝子特異的pre−miRNA挿入物(例えば、抗EGFP及びアンチTyr pre−miRNA)により簡単に除去されたり、置き換えられたりされる。異なる遺伝子転写物に誘導されるpre−miRNA挿入物を変更することにより、このイントロンmiRNA生成システムは、インビトロ及びインビボにおいて標的遺伝子サイレンシングを誘導するための、有力なツールとして機能を発揮することができる。正確な挿入サイズを確認するため、pre−miRNA挿入SpRNAi−RGFP遺伝子(10ng)は、94℃、52℃、そして、70℃のそれぞれの温度で各一分間での25サイクルの条件で、一対のオリゴヌクレオチドプライマー(即ち、5’−CTCGAGCATG GTGAGCGGCC TGCTGAA−3’(配列番号21)及び5’−TCTAGAAGTT GGCCTTCTCG GGCAGGT−3’(配列番号22))を用いてポリメラーゼの連鎖反応(PCR)によって増幅され得る。得られたPCR製品は2%のアガロースゲル上にて分画化され、そして、配列を確認するためのゲル抽出キット(Qiagen,CA)を用いて抽出及び精製される。
本発明はPol−II媒介型SpRNAi−RGFP発現システムの原理検証設計を採用しており、スキンケア向けの新規化粧品の開発のために、その設計を使用している。一つの好ましい実施形態において、本発明は、非天然由来のイントロンとその構成成分を使用する方法を提供しており、その構成成分は、皮膚細胞によって短鎖ヘアピンRNA(shRNA)及び/又はマイクロRNA(miRNA)分子にプロセッシングされ、皮膚色素関連遺伝子及び/又は細胞内の老化を引き起こす遺伝子に対する、特異的遺伝子サイレンシング効果を誘導するものである。同方法は、a)i)標的遺伝子を発現する皮膚基質とii)イントロンエンコーディングRNA一次転写物を製造することが可能な組換え遺伝子を含む発現可能な組成物と、を提供する工程であって、同転写物が、次に細胞内RNAスプライシング及びプロセッシングメカニズムによりコード化されたイントロンから予め設計された遺伝子サイレンシング分子を生成可能であり、その後皮膚基質内で、標的遺伝子発現を破壊するか、又は標的遺伝子機能を抑制することが可能である工程と、b)皮膚基質内の標的遺伝子機能が阻害されるような条件下にて同組成物で皮膚基質を治療する工程と、を含む。皮膚基質は、インビトロ、生体外(ex vivo)又はインビボのいずれかにて標的遺伝子を発現することができる。一態様において、RNAスプライシング及びプロセッシングにて生成された遺伝子サイレンシング分子は、組み換え遺伝子のイントロン領域内に位置するヘアピン様pre−miRNA挿入物であり、チロシナーゼ(Tyr)、ヒアルロニダーゼ(Hyal)、ヒアルロナンレセプターであるCD44及びCD168、NFカッパB、並びに他の色素関連及び/又は老化関連の遺伝子及び発ガン遺伝子から構成された群から選択された標的遺伝子をサイレンシングにする能力を有する。代わりに、このようなpre−miRNA挿入物は、皮膚において細胞遺伝子のイントロン領域へ、人工的に組み込むことができる。一般には、この種のイントロン挿入技術は、プラスミドのような導入遺伝子トランスフェクション、相同的組み換え、トランスポゾン送達、ジャンピング遺伝子組み込み及びレトロウイルス感染を含んでいる。
別の態様において、本発明の組み換え遺伝子は、pre−mRNA構造を連想させる構造物を発現する。組み換え遺伝子は主に2つの部分:エキソンとイントロンから構成されている。エキソン部分はRNAスプライシングの後に連結されて、イントロンRNA放出を識別するために、機能性mRNA及びタンパク質を形成する。一方、イントロン部分は組み換え遺伝子転写物からスプライスアウトされ、更に所望のイントロンRNA分子にプロセッシングされ、アンチセンスRNA、miRNA、shRNA、siRNA、dsRNA及びそれらの前駆体(即ち、pre−miRNA及びpre−piRNA)を含む遺伝子サイレンシングエフェクタとして機能する。これら所望のイントロンRNA分子は、5’−GCTAAGCCAG GC−3’(配列番号1)又は5’−GCCTGGCTTA GC−3’(配列番号2)と相同性の配列モチーフを含むヘアピン様ステムループ構造からなり、イントロンから所望のRNA分子を正確に切除するのみならず、細胞質への所望のRNA分子の核移動も促進する。また、これらのイントロン由来RNA分子のステムアームは、標的遺伝子又は標的遺伝子遺伝子転写物のコード配列に対する相同性又は相補性或いはその両方を含んでいる。所望のRNA分子の相同的又は相補的な配列は、約15〜1,500ヌクレオチド塩基にサイズ化されており、最も好ましくは約18〜27ヌクレオチド塩基である。標的遺伝子配列に対する所望のイントロンRNA分子の相同性及び/又は相補性の割合は約30〜100%の範囲であるが、より好ましくは、所望のヘアピン様(hairpin−like)イントロンRNAに対しては35〜49%であり、線形イントロンRNA分子に対しては90〜100%である。
加えて、非天然由来イントロンの5’末端は、5’−GTAAGAGK−3’(配列番号3)及びGU(A/G)AGUモチーフ(即ち、5’−GTAAGAGGAT−3’(配列番号27)、5’−GTAAGAGT−3’、5’−GTAGAGT−3’及び5’−GTAAGT−3’)のいずれかと相同性を有する供与スプライス部位を含む一方、その3’末端は、GWKSCYRCAG(配列番号4)又はCT(A/G)A(C/T)NGモチーフ(即ち、5’−GATATCCTGC AG−3’(配列番号28)、5’−GGCTGCAG−3’及び5’−CCACAG−3’)のいずれかと相同性を有する受容スプライス部位である。その上、分枝点の配列は5’及び3’スプライス部位の間に位置しており、5’−TACTAAC−3’及び5’−TACTTAT−3’のような5’−TACTWAY−3’(配列番号5)モチーフとの相同体を含んでいる。分枝点配列のアデノシン“A”ヌクレオチドは、殆ど全てのスプライセオソーム型イントロン内の細胞性(2’−5’)オリゴアデニル酸合成酵素及びスプライセオソームによって(2’−5’)連結型ラリアットイントロンRNAの一部を形成する。更に、ポリピリミジン領域は、分枝点と3’スプライス部位との間に近接して位置しており、5’−(TY)m(C/−)(T)nS(C/−)−3’(配列番号6)又は5’−(TC)nNCTAG(G/−)−3’(配列番号7)モチーフのいずれかと相同性を有するT又はCを多く含むオリゴヌクレオチド配列を含んでいる。ここで、記号“m”及び“n”は、複数の繰り返しが1以上であることを示しており、最も好ましくは、mは1〜3に等しく、nは7〜12に等しい。記号“−”は配列内の空白のヌクレオチドを意味している。これら全てのイントロン構成要素を連結するためのリンカーヌクレオチド配列も存在している。ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用される符号と様式のための37CFR 1.822ガイドラインに基づいて、符号Wはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Kはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Sはシトシン(C)又はグアニン(G)を意味し、符号Yはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Rはアデニン(A)又はグアニン(G)を意味し、符号Nはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味する。
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、組み換え遺伝子組成物は、遺伝子トランスフェクションのための発現可能なベクタにクローン化される。発現可能なベクタは、以下から成る群から選択されるものである:プラスミド、コスミド、ファージミド、イースト人工染色体、ジャンピング遺伝子、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、レトロウイルスベクタ、レンチウイルスベクタ、ラムダベクタ、アデノウイルス(AMV)ベクタ、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクタ、改良型肝炎ウイルス(HBV)ベクタ、サイトメガロウイルス(CMV)関連ウイルスベクタ、そして、タバコモザイクウイルス(TMV)、トマトモザイクウイルス(ToMV)、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)及びポプラモザイクウイルス(PopMV)のような植物関連モザイクウイルス。SpRNAi−RGFP遺伝子のトランスフェクション時、異なるイントロン遺伝子サイレンシングエフェクタを発現する複数のベクタは、一つの遺伝子又は複数の標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング効果を実現するために使用されることがある。代わりに、複数の遺伝子サイレンシングエフェクタは、複数の遺伝子サイレンシング効果を提供するためにSpRNAi−RGFP遺伝子のイントロンヘアピンRNA挿入物から生成され得る。この戦略の長所は、ベクタに基づく導入遺伝子トランスフェクション及びウイルス感染の使用による送達安定性にあり、特定の遺伝子サイレンシングに関する安定且つ比較的に長期の効果を提供する。一態様において、細胞RNAスプライシング及びプロセッシングメカニズムを利用した本発明は、細胞内において、遺伝子特異的RNAプロモータプロモータ(例えば、II型RNAポリメラーゼ(Pol−II)プロモータ及びウイルスプロモータ、又はそれら両方)の管理の下で、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)及び/又は短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を含むRNAi関連の遺伝子サイレンシング分子を製造し得る。ウイルスプロモータは、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルス長鎖末端領域(LTR)、B型肝炎ウイルス(HBV)、アデノウイルス(AMV)、アデノ関連ウイルス(AAV)及び植物関連のモザイクウイルスから単離されたRNAプロモータ及びその誘導体を含み得る。例えば、レンチウイルスLTRプロモータは、各細胞につき、最大5×10コピーまでの成熟していないmRNAを提供するのに十分である。発現率を管理するために、レンチウイルスプロモータの前に薬剤感受性リプレッサーを挿入することは可能である。リプレッサーは、G418、テトラサイクリン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン及びそれらの誘導体などからなる群より選択された化学薬剤や抗生物質により阻害され得る。
本願にて発明されたスキンケアの利用に加え、本発明の潜在的な応用は、疾病関連の遺伝子の抑制による皮膚治療、ウイルス遺伝子に対して誘導される表皮の予防接種、微生物関連の病原体に関する外用治療、皮膚内の信号形質導入経路に関する研究、及びマイクロアレイ技術などと連携する遺伝子機能のハイスループットスクリーニングなどを含んでいる。本発明はまた、皮膚内遺伝子機能の研究、或いはスキンタイプの特徴を変更するための組成物及び方法を提供するためのツールとして利用され得る。スキンタイプは、正常な皮膚、病原性の皮膚、癌化した皮膚、ウイルス感染した皮膚、微生物感染した皮膚、生理的に疾患を有する皮膚、遺伝的に異変された動物又はヒトの皮膚からなる群より選択され得る。
本発明は、RNAスプライシング及びプロセッシングメカニズムによりインビボ及び細胞内のイントロンRNA分子を製造する新規な手法を提供し、好ましくは、RNAi/PTGS関連遺伝子サイレンシング効果が誘導できる成熟siRNA、miRNA及びshRNA分子を生成することである。所望のsiRNA、miRNA及び/又はshRNA分子は、細胞メカニズムが本発明のイントロン前駆体miRNA/shRNA挿入物を如何に発現及び加工するかに応じて、単一単位又は複数単位において製造され得る。例えば、既に報告されたように、図3Aに示されるように、ゼブラフィッシュ内の一つの抗EGFP pre−miRNA挿入型イントロンの異所性発現は確実に、miR−EGFP(282/300)及びmiR−EGFP(280−302)のようなサイズの異なる2つの成熟マイクロRNAを生成し、SpRNAiイントロンの遺伝子サイレンシングRNA挿入物の1つが、1つ以上の遺伝子サイレンシングRNAエフェクタを生成できることを示している。同じ、又は異なるスプライスされたRNAエフェクタは、標的遺伝子転写物に対して相補性を有する、センス形態又はアンチセンス形態のいずれか、或いは、両方において生成され得る。特定の場合、スプライスされたRNA分子は、二次RNAi/PTGS効果を引き起こすための二本鎖RNA(dsRNA)を形成するために標的遺伝子転写物(即ち、mRNA)とハイブリダイズされ得る。イントロンsiRNA、miRNA及び/又はshRNAは、本発明の発現可能なベクタによって常に形成され、それは、インビボにて適用するための迅速な低分子RNAの分解に対する関心を軽減させる。
代替的に、本発明は更に、皮膚細胞内の標的マイクロRNA(miRNA)遺伝子に対して誘導されるアンチセンスマイクロRNA(miRNA*)の製造に関する新規な手段を提供しており、結果的に、標的miRNA機能の抑制ができる。miRNAは通常に、RNAi関連の遺伝子サイレンシングにおいて機能するため、miRNA*はこの遺伝子サイレンシング効果を中和し、miRNA抑制型遺伝子の機能を回復し得る。完全に一致したsiRNAと異なり、miRNA*のmiRNAへの結合は、RNase切断及び分解のためのミスマッチ塩基対領域を作製する。このようなミスマッチ塩基対領域は、miRNA前駆体(pre−miRNA)のステムアーム領域の中央又はステムループ構造内のいずれかに位置していると好ましい。既に示されたように、siRNAの中央にあるミスマッチ塩基対は、siRNAの遺伝子サイレンシング効果を阻害している(Holen他、Nucleic Acid Res.、第30巻、第1757−1766頁、2002年;Krol他、J.Biol.Chem.、第279頁、第42230−42239頁、2004年)。多分、植物内のイントロン媒介型増強効果(IME)現象と同様に、シロイヌナズナ種及びタバコ種に関する以前の研究では、イントロン挿入物は、特定の遺伝子発現の増強とサイレンシングの両方のために、転写後の遺伝子変調において重要な役割を果たすことが示された(Rose A.B.、RNA、第8巻、第1444−1451頁、2002年;Stoutjesdijk他、Plant Physiol.、第129巻、第1723−1730頁、2002年)。IMEメカニズムは、標的遺伝子に対して相補的であるmiRNAを標的化することにより、2倍から10倍以上、標的遺伝子発現を回復することができる。
以上本発明によれば、細胞内の皮膚色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子の少なくとも一方に対し、特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導することができる、組み換え型核酸組成物、同組成物を含む化粧品が提供される。
図1は天然イントロンマイクロRNA(miRNA)の生物発生を表している。それは、連結されたエキソンがタンパク質合成のために成熟メッセンジャーRNA(mRNA)となる時に、Pol−IIによって前駆体メッセンジャーRNA(pre−mRNA)と共に共同転写され、RNAスプライシングによってpre−mRNAが切除される論理である。アンチセンス又はヘアピン様の二次構造を有するスプライスされたイントロンmiRNAは更に、RNAi関連の遺伝子サイレンシング効果を引き起こすことが可能な成熟miRNAにプロセッシングされる。そのため、本発明者らは、天然イントロンmiRNA(図3A及び3B)の生物発生を模擬して、少なくとも1つの前駆体マイクロRNA(pre−miRNA)構造、いわゆるSpRNAiを含む人工イントロンを設計した。SpRNAiは、Pol−II又はウイルスRNAプロモータ(P)のいずれかの制御に基づいてII型RNAポリメラーゼ(Pol−II)で発現される細胞又は組み換え遺伝子へと取り込まれる。細胞内転写にて、このように製造された遺伝子転写物はRNAスプライシング及びプロセッシング操作を受け、トランスフェクションされた細胞内の予め設計されたイントロンRNA分子を放出する。ある実施形態において、所望のRNA分子は遺伝子ノックダウンのためのアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブとしての提供可能なアンチセンスRNA構造物である。他の実施形態において、所望のRNA分子は低分子のアンチセンスRNAフラグメント及び低分子のセンスRNAフラグメントから構成され、RNAi誘導のための二本鎖siRNAとして機能する。更に別の実施形態において、所望のRNA分子はRNAi関連遺伝子サイレンシング効果を引き起こすことが可能なヘアピン様RNA構築物である。
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態を例示のみの目的にて示すものであり、本発明を制限するものではない。種々の変更及び修正は当業者には自明であり、このような変更及び修正は、本発明の精神並びに範囲を逸脱するものではないとみなされ、更に特許請求の範囲内に含まれるものである。
本発明は、イントロン由来のRNAを使用して皮膚細胞の遺伝子特性を変更するための新規な組成物及び方法を提供する。いかなる特定の論理にも拘束されることなく、関心となる細胞又は生物において、少なくとも1つのスプライシング可能なイントロン、いわゆるSpRNAi、を含む組み換え遺伝子のトランスフェクションによって引き起こされた、新しく発見されたイントロン媒介型遺伝子サイレンシングメカニズムによってそのような遺伝子特性の変更が誘導される。SpRNAiイントロンは更に、イントロンRNA挿入物を保持し、同イントロンRNA挿入物は、細胞内RNAスプライシング及びプロセッシング機構により放出され得、そして、イントロンRNA挿入物に対して非常に相補性が大きい標的遺伝子転写物に対するRNAi/PTGS関連の遺伝子サイレンシング効果を引き起こす。一般的に、図4乃至7に示されるように、組み換え遺伝子は化学的に変換されたり、リポソームにてトランスフェクションされたり、又は皮膚細胞へのウイルス感染で導入されたりする場合に、イントロンRNA挿入物がPol−IIにより組み換え遺伝子とともに転写され、その後、スプライセオソーム及びナンセンス変異依存性分解(NMD)システムのような、RNAスプライシング及びプロセッシング機構によって組み換え遺伝子転写物から放出される。RNAスプライシングの後、イントロンRNAはラリアットRNAを形成し、更に、低分子一時的RNA(stRNA)、アンチセンスRNA,、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)及び/又はそれらの前駆体RNAのような、低分子遺伝子サイレンシングエフェクタRNAにプロセッシングされる。結果として、これらの遺伝子サイレンシングエフェクタRNAは、機能アセンブリ及びRNA導入型サイレンシング複合体(RISC)及び/または転写サイレンシング(RITS)のRNAi誘導型イニシエーターの作用によって標的遺伝子転写物を減少するか、標的遺伝子転写物のタンパク質翻訳を抑制する。
天然のpre−mRNAスプライシング及びプロセッシングメカニズムを模擬して、本発明者らは、細胞内スプライセオソームとNMD機構とを使用して本発明者らが発明したSpRNAi−RGFP発現システムのイントロン除去及びプロセッシングに触媒作用を及ぼす。複数のSpRNAiイントロン(例えば、snRNP U1、U2及びU4/U6.U5tri−snRNPのための結合部位)のsnRNP識別要素への細胞内スプライセオソーム構成要素の連続アセンブリによって、SpRNAiイントロンは放出され、更に、低分子遺伝子サイレンシングエフェクタへとプロセッシングされる。本発明のSpRNAiイントロンへ合成snRNP識別要素を取り込み、次いでSpRNAiを組み換えRGFP遺伝子へ取り込む方法は、実施例1−2においてそれぞれ記載されている。スプライセオソームイントロンについて、スプライセオソームsnRNPsのそれらの関連する識別部位へ連続的にアセンブリする様式は、全ての真核生物において種属特有の順序になっている(Lewin B.、Genes,Seventh Edition,Oxford University press、第688−690頁、2000年)。種々の種の細胞内RNAスプライシング及びプロセッシングメカニズムが多種にわたるため、Lewin B.はよく知られている事実、即ち、「スプライス部位は属の特有のものである。(中略)そして、スプライシングのための器官は組織特異的ではない(中略)」と述べた。これは、全てのスプライセオソームイントロンの一般的な特性といわれている。実際に、イントロンRNAスプライシングプロセスの連続順序は次のように起こる:最初にU1 snRNPを5’−イントロンスプライシング結合(5’−ドナースプライス部位)へ結合してからU2 snRNPを分枝点モチーフへ結合し、そして、最後に、U1及びU2 snRNPsへU4/U6.U5tri−snRNPを結合させる。それにより、5’スプライシング結合の正確な切断のための早期スプライシング複合体が形成される。5’スプライシングイントロン結合のスプライシング放出後、3’スプライシングイントロン結合(3’−受容スプライス部位)は続いてU5 snRNP及びいくつかの他のスプライシングタンパク質で形成された後期のスプライシング複合体によって切断される。しかしながら、真核生物のtri−snRNP内においてU4/U6とU5 snRNPとの構成要素を架橋するタンパク質/タンパク質相互作用及びRNA/タンパク質相互作用については殆ど知られていないし、U4/U6及びU5 snRNPにおけるタンパク質の結合部位に関する知識は不明なところが未だに多い。
インビボでイントロンRNA媒介型遺伝子サイレンシング効果を誘導できる、Pol−II媒介型人工組み換えSpRNAi−RGFP遺伝子発現システムに関する設計、構造および評価。
インビボにおいて所望の細胞内RNAスプライシング及び/又はプロセッシングを誘導する遺伝子サイレンシングメカニズムを誘発するための戦略は、本発明のPol−II転写型組み換え遺伝子ベクタ、いわゆるSpRNAi−RGFPを使用して既に試験した。同SpRNAi−RGFPは、マイクロRNA(miRNA)及びヘアピン様shRNAのようなイントロン遺伝子サイレンシングRNAエフェクタ(図3A及びB)を発現するための人工のスプライシング可能なイントロン(SpRNAi)を含んでいる。SpRNAiイントロンを赤色にシフトした蛍光タンパク質遺伝子(RGFP)に取り込むことは、実施例1−2にて示されるように、複数の合成DNA配列の連続したライゲーションで遺伝的にプロセッシングされる。SpRNAiイントロンは前駆体miRNA又はshRNA挿入物を含んでおり、スプライセオソーム及びNMDシステム構成要素のような細胞内RNAスプライシング及びプロセッシング機構によって放出され得、その後、成熟miRNA又はshRNAの遺伝子サイレンシングエフェクタの生成によってイントロンRNA媒介型遺伝子サイレンシング機構を誘引する。本発明者らは組み換え遺伝子転写物の細胞内RNAスプライシング及びプロセッシングによって標的遺伝子サイレンシングを誘導するモデルをここで示したが、同じ原理は、主としてI型RNAポリメラーゼ(Pol−I)によって転写されるリボソーム前駆体RNA(pre−rRNA)のRNAプロセッシングを介して機能するイントロン遺伝子サイレンシングRNA挿入物の設計と製造に適用できる。SpRNAiイントロンの発現及びプロセッシングに使用できる他のRNA転写物は、hnRNA、rRNA、tRNA、snoRNA、snRNA、ウイルスRNA及びそれらの前駆体と誘導体とを含む。
実施例1及び2並びに図3Aに示されるように、SpRNAiイントロンが合成され、かつイントロンフリーの赤色にシフトした蛍光タンパク質遺伝子(RGFP又はrGFP)に組み込まれた。赤色にシフトした蛍光タンパク質遺伝子(RGFP又はrGFP)は、Heteractis crispaのHcRed1色素タンパク質から変異したものである。挿入されたSpRNAiイントロンは、RGFPの機能的な蛍光タンパク質構造を分裂させたため、本発明者らは、成功裏にトランスフェクションされた細胞や器官において570nmの波長における赤色の蛍光放出の再現により、イントロン除去及びRGFP遺伝子転写物のmRNA成熟を検出することができた。この組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子の構造は、前駆体メッセンジャーRNA(pre−mRNA)内のスプライセオソームイントロンの天然構造に基づいたものであった。SpRNAiイントロンの主要な構成要素は、末端部に正確な切断のための5’−供与スプライス部位(DS)及び3’−受容(AS)スプライス部位、スプライシング識別のための分枝点モチーフ(BrP)、スプライセオソーム相互作用のためのポリピリミジン領域(PPT)、所望のイントロン挿入のためにこれらの構成要素の各々といくつかの制限/クローニング部位とを連結するためのリンカーのような、複数のsnRNP識別部位及びリンカーを含んでいる。図3Bに示されるように、構造的に、5’から3’末端までに、本発明のSpRNAiイントロンは5’スプライス部位、抗(標的遺伝子)イントロン挿入物、分枝点モチーフ(BrP)、ポリピリミジン領域(PPT)、及び機能的なスプライセオソームアセンブリのための3’−受容(AS)スプライス部位を含んでいる。その上、いくつかの翻訳終了コドン(Tコドン)はSpRNAiイントロンの3’スプライス部位に近いリンカー配列において位置することがある。
一般的に、5’−供与スプライス部位は、5’−GTAAGAGK−3’(配列番号3)又は(5’−GTAAGAGGAT−3’(配列番号27)、5’−GTAAGAGT−3’、5’−GTAGAGT−3’及び5’−GTAAGT−3’のような)GU(A/G)AGUモチーフのいずれかを含むか、又はいずれかと相同性を有するヌクレオチド配列であり、一方、3’−受容スプライス部位は、GWKSCYRCAG(配列番号4)又は(5’−GATATCCTGC AG−3’(配列番号28)、5’−GGCTGCAG−3’及び5’−CCACAG−3’のような)CT(A/G)A(C/T)NGモチーフのいずれかを含むか、又はいずれかと相同性を有するヌクレオチド配列である。その上、分枝点配列は5’スプライス部位と3’スプライス部位との間に位置しており、5’−TACTAAC−3’及び5’−TACTTAT−3’のような5’−TACTWAY−3’(配列番号5)モチーフとの相同性を有するものである。分枝点配列のアデノシン“A”ヌクレオチドは、殆ど全てのスプライセオソームイントロン内の細胞性(2’−5’)−オリゴアデニル酸合成酵素及びスプライセオソームにより(2’−5’)連結型ラリアットイントロンRNAの一部を形成している。更に、ポリピリミジン領域は、分枝点と3’スプライス部位との間に近接して位置しており、5’−(TY)m(C/−)(T)nS(C/−)−3’(配列番号6)又は5’−(TC)nNCTAG(G/−)−3’(配列番号7)モチーフのいずれかと相同性を有するとともにT又はCを多く含むオリゴヌクレオチド配列を含んでいる。符号「m」及び「n」は1以上の複数の反復を示しており、最も好ましくは、mは1〜3に等しく、かつn数字は7〜12に等しい場合である。符号「−」は、配列内の空白ヌクレオチドを意味している。これら全てのイントロン構成要素を連結するために複数のリンカーヌクレオチド配列も存在している。ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用される符号と様式のための37CFR 1.822ガイドラインに基づいて、符号Wはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Kはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Sはシトシン(C)又はグアニン(G)を意味し、符号Yはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Rはアデニン(A)又はグアニン(G)を意味し、符号Nはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味する。上記した全てのスプライセオソーム識別構成要素について、デオキシチミジン(T)ヌクレオチドはウリジン(U)で置き換え可能である。
スプライスされたSpRNAi挿入物の機能を試験するために、種々のオリゴヌクレオチド薬剤を組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子構築物の抗(標的遺伝子)イントロン挿入部位にクローニングされ得る。抗(標的遺伝子)イントロン挿入部位は、複数の制限部位及びクローニング部位を含んでおり、それらは、AatII、AccI、AflII/III、AgeI、ApaI/LI、AseI、Asp718I、BamHI、BbeI、BclI/II、BglII、BsmI、Bsp120I、BspHI/LU11I/120I、BsrI/BI/GI、BssHII/SI、BstBI/U1/XI、ClaI、Csp6I、DpnI、DraI/II、EagI、Ecl136II、EcoRI/RII/47III、EheI、FspI、HaeIII、HhaI、HinPI、HindIII、HinfI、HpaI/II、KasI、KpnI、MaeII/III、MfeI、MluI、MscI、MseI、NaeI、NarI、NcoI、NdeI、NgoMI、NotI、NruI、NsiI、PmlI、Ppu10I、PstI、PvuI/II、RsaI、SacI/II、SalI、Sau3AI、SmaI、SnaBI、SphI、SspI、StuI、TaiI、TaqI、XbaI、XhoI、XmaIエンドヌクレアーゼ及びそれらの組み合わせからなる群より選択された制限酵素で識別されるものである。これらのイントロンオリゴヌクレオチド挿入物は、ラリアット形RNA、短鎖の一時的なRNA(stRNA)、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi干渉RNA(piRNA)、リボザイム及びそれらの前駆体及び誘導体であって、それらのセンス形態又はアンチセンス形態若しくは両方、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択された高度に構造的なRNAをコードするDNAテンプレートである。
関心のある細胞又は生物における遺伝子の送達及び活性化に好都合であるように、本発明の組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子は、プラスミド、コスミド、ファージミド、イースト人工染色体、トランスポゾン、ジャンピング遺伝子、ウイルスベクタ及びそれらの組み合わからなる群より選択された発現可能なベクタに好ましくはクローニングされ得る。こうして得られたベクタは、リポソームトランスフェクション、化学的トランスフェクション、化学形質変換、エレクトロポレーション、トランスポゾン組替え、ジャンピング遺伝子挿入、ウイルス感染、マイクロ注射、遺伝子銃浸透及びそれらの組み合わせからなる群より選択された高効率的な遺伝子送達法により細胞又は生物に導入される。その上、ベクタは、SpRNAi−RGFP遺伝子を発現するための少なくともひとつのウイルス又はII型RNAポリメラーゼ(Pol−II)プロモータ、あるいは両方と、真核生物細胞において翻訳効率を上げるためのKozak共通翻訳開始部位と、組み換え遺伝子転写物の3’末端をプロセッシングするためのSpRNAi−RGFP遺伝子の下流側にある複数のSV40ポリアデニル化信号と、原核細胞内の増殖のための複製pUC起源と、SpRNAi−RGFP遺伝子をベクタに取り込むための少なくとも2つの制限/クローニング部位と、SV40 T抗原を発現する哺乳類細胞内の複製のための選択的なSV40起源と、複製可能な原核細胞内の抗生物質耐性遺伝子を発現するための選択的なSV40初期プロモータと、を含んでいる。抗生物質耐性遺伝子の発現は、成功裏にトランスフェクションにされたクローン又は感染されたクローンを探すための選択的なマーカとして機能するために使用され、ペニシリンG、アンピシリン、ネオマイシン、ピューロマイシン(paromycin)、カナマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、スペクトロマイシン(spectromycin)、フォフォマイシン(phophomycin)、テトラサイクリン、リファピシン(rifapicin)、アムホテリシンB、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール、セファロチン、チロシン及びそれらの組み合わせからなる群より選択された抗生物質に対して抵抗性を有する。
こうして得られたSpRNAi−RGFPベクタ構築物は、Tg(アクチン−GAL4:USA−gfp)種ゼブラフィッシュのその緑色EGFP遺伝子発現に対する標的をインビボにて試験した。実施例3及び図3Cに示されるように、SpRNAi−RGFPプラスミド構築物(レーン4)内の、抗EGFP pre−miRNA挿入物のリポソームトランスフェクションは、非常に強いEGFP遺伝子サイレンシング効果(>80%遺伝子ノックダウン)を示す一方、左から右へのレーンによって示されたそれらの他の挿入物では効果が全く認められなかった。これらのレーンとは1:ブランクのベクタ対照(Ctl)、2:HIV−p24を標的とするpre−miRNA挿入物(mock)、3:ヘアピンループ構造を備えていないアンチセンスEGFP挿入物(anti)、及び5:アンチEGFP pre−miRNA(miR*)に対して完全に相補性を有する逆pre−miRNA配列である。マーカRGFPとハウスキーピングβアクチンのような標的ではない遺伝子に対する効果は検知されておらず、このようなイントロンmiRNA媒介型RNA干渉(RNAi)は非常に標的特定性であることを示唆している。更に、低ストリンジェントなノーザンブロット分析(図3D)を使用することによって、本発明者らは、所望のSpRNAi−RGFP遺伝子転写物(中央のレーン2)からのみ効果的な低分子イントロンRNAの生成及び放出を観察したが、イントロンを備えていないRGFPの天然の転写物(左のレーン1)又は機能的な5’スプライス部位を備えていない欠損SpRNAi−RGFP構築物の転写物からは観察できなかった。一方スプライスされたRGFPエクソンは、機能的な赤色蛍光タンパク質合成のための成熟RNAを形成するために共に結合された。
インビボにおける効果的なイントロンマイクロRNA(miRNA)構築物に関する評価
前述の実験は、イントロンmiRNAがインビボにおいて標的遺伝子発現をサイレンシングするための効果的な手段を提供するという事実を確立した。本発明者らは、イントロンmiRNA媒介型遺伝子サイレンシングに関する有効性を最初に評価し、ついで、最適な遺伝子サイレンシング効果を誘導可能なイントロンpre−miRNA挿入物のための最適な構造設計を決定した。これらの研究に基づき、本発明者らは、RNAi関連型遺伝子サイレンシングエフェクタの細胞内アセンブリのための成熟miRNAの鎖、即ち、RNA導入型遺伝子サイレンシング複合体(RISC)の選択において、強い構造的な優先性が存在していることを確認した。RISCはタンパク質RNA複合体であり、RNA干渉(RNAi)又は転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)メカニズムにより標的遺伝子転写物の分解又は翻訳の抑制のいずれかを誘導する。
ゼブラフィッシュでは、pre−miRNAのステムループ構造は、周知のsiRNA関連のRISCアセンブリとは異なって(Lin他、Gene、第356巻、第32−38頁、2005年)、RISCアセンブリに対して成熟miRNA配列を決定することが観察された。siRNA二本鎖体形成は、siRNAに関連したRISCのアセンブリにおいて重要の役割を果たしている。siRNA二本鎖体の2つの鎖は機能的に非対称であるが、RISC複合体へのアセンブリは一方の鎖のみに優先的である。このような優先性は、siRNA二本鎖体の鎖におけるそれぞれの5’末端塩基対の熱力学安定性によって決定される。このsiRNAモデルに基づき、miRNA及びその相補的miRNA(miRNA*)二本鎖体の形成は、miRNAに関連したRISCのアセンブリのための必須の工程であると考えられる。これが事実であれば、機能的なバイアス(bias)はpre−miRNAのステムループ構造からはまったく観察されないはずである。しかしながら、イントロンpre−miRNAのステムループは、細胞内RISCアセンブリのための成熟miRNAの鎖の選択と係わりがあることが観察された。
実験では、実施例1−2に記載されるような抗EGFP miRNA発現SpRNAi−RGFPベクタを構築し、2つの対称pre−miRNA、即ちmiRNA*ステムループmiRNA[1]及びmiRNAステムループmiRNA*[2]をDNA合成装置にて合成し、予め作製された組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子ベクタへそれぞれ挿入した。pre−miRNA構築物はいずれも同じ二本鎖ステムアーム領域を含んでおり、同領域は、EGFPヌクレオチド(nt)280−302配列に対して誘導されたものである。SpRNAi−RGFP遺伝子のイントロン挿入部位は、5’−及び3’末端のそれぞれにおいてPvuI及びMluI制限/クローニング部位に隣接しているので、一次挿入物は付着性末端を有する種々の抗遺伝子挿入物(例えば、抗EGFP、抗Tyr又は抗Hyal)により容易に除去され、かつ置換される。異なる遺伝子転写物に対して誘導されたSpRNAi挿入物における変更を可能にすることにより、このイントロンmiRNA発現系は、インビボにおいてmiRNA関連の遺伝子応用の開発において価値のあるツールを提供する。
設計されたpre−miRNAの構造的な優先性を決定するために、mirVana miRNA単離フィルタコラム(Ambion、Austin、TX)によりゼブラフィッシュの低分子RNAを単離し、標的配列を含むラテックスビーズにより標的EGFPと相補的である全ての潜在的なmiRNA配列を沈殿させた。1つの完全長miRNA、miR−EGFP(280−302)は、図4A(灰色で陰影付けられた配列)に示されるように、5’−miRNAステムループmiRNA*−3’構築物のトランスフェクションにおいて活性であることが確認された。この効果的な成熟miRNAは、5’−miRNAステムループmiRNA*−3’構築物[2]でトランスフェクションされたゼブラフィッシュにおいてのみ検知されるので、miRNA関連RISCは、[1]pre−miRNA構造よりも望ましくは構築物[2]と相互作用する傾向があった。標的遺伝子サイレンシング及びmiRNA遺伝子発現との間の相関関係の視覚的表示のために(図4B)、Tg(アクチンGAL4:UAS−gfp)種のゼブラフィッシュを使用した。同ゼブラフィッシュは、ゼブラフィッシュの殆ど全ての細胞に存在する通常のβ−アクチンプロモータによって誘導される緑色蛍光EGFPタンパク質を構造的に発現する一方、ゼブラフィッシュへの抗EGFP SpRNAi−RGFP遺伝子ベクタのトランスフェクションでは赤色蛍光タンパク質RGFPを共に発現し、影響を受けた細胞におけるmiRNA生成のための陽性マーカ指標として提供される。FuGene陽イオンリポソーム型試薬(Roche,IN)により封入されたSpRNAi−RGFPベクタを魚(ゼブラフィッシュ)に適用後、試験された全てのベクタが、24時間以内に2週齢のゼブラフィッシュ稚魚に完全に浸透されたことが確認され、鱗と骨を除いては、ベクタの完全に全身的な送達を提供することが明らかとなった。
マーカRGFP(赤)は、全てのベクタでトランスフェクションされたゼブラフィッシュから検知されたがが、標的EGFP発現(緑色)のサイレンシングは、5’−miRNAステムループmiRNA*−3’[2]pre−miRNAによってトランスフェクションされた魚から観察された。図4Cに示されるように、ウエスタンブロット分析はこの遺伝子サイレンシングの結果を定量的に確認し、[2]のトランスフェクションされたゼブラフィッシュにおいては>85%RGFPノックダウンを示した。しかしながら、消化管(GI)における遺伝子のサイレンシング効果は他の組織より低くなっており、それはこの領域でのRNaseの高活性に起因していると考えられる。同じ5’末端の熱的安定性が両方の抗EGFP pre−miRNAステムアームに適用されるため、pre−miRNAのステムループ構造は機能性RISCアセンブリのための成熟miRNAにおける鎖の選択に関与していることを提案する。ステムアーム内のダイサーの切断部位は成熟miRNAの鎖の選択を決定付けることが周知であると仮定すると、pre−miRNAのステムループは特定の切断部位の認識のための決定要素として機能するのかもしれない。従って、種々の天然のmiRNA種における天然ステムループ構造の広範な不均質性に基づき、これらの実験において本発明者らは手動で改良されたpre−mir−302ループ対を選択的に使用した。同ループ対は、例えば、5’−GCTAAGCCAGGC−3’(配列番号1)及び5’−GCCTGGCTTAGC−3’(配列番号2)であり、これらのものは、本発明のために最適なRISCアセンブリ効果を提供するべく試験された。
マウス皮膚におけるイントロンマイクロRNA媒介型チロシナーゼ及びヒアルロニダーゼ遺伝子サイレンシング
以上の研究に基づき、マウス皮膚にある不必要な色素沈着関連型遺伝子Tyr又は老化関連型遺伝子HyalをサイレンシングするためのmiR−Tyr又はmiR−Hyalのpre−miRNA挿入物のいずれかを用いて、最適なSpRNAi−RGFP遺伝子構築物を設計し、試験した。これらの手動に設計されたmiR−Tyr pre−miRNA及びmiR−Hyalpre−miRNAは、ヒト及びマウスの両方のTy遺伝子及びHyal遺伝子にある高度に保存される領域(>98%の相同性)をそれぞれ標的とする。ヒト及びマウスはいずれも、インビボにて皮膚でのこれらの最適なSpRNAi−RGFP遺伝子構築物に関する有効性及び安全性を試験するために有用な動物モデルを提供している。実際のところ、色素沈着遺伝子サイレンシングのためにヒトチロシナーゼ(Tyr;2082bp)を標的とすることができる54の天然のmiRNAが存在しており、それらとしては、mir−1、mir−15a、mir−16、mir−31、mir−101、mir−129、mir−137、mir−143、mir−154、mir−194、mir−195、mir−196b、mir−200b、mir−200c、mir−206、mir−208、mir−214、mir−221、mir−222、mir−292−3p、mir−299−3p、mir−326、mir−328、mir−381、mir−409−5p、mir−434−5p、mir−450、mir−451、mir−452、mir−464、mir−466、mir−488、mir−490、mir−501、mir−522、mir−552、mir−553、mir−570、mir−571、mir−582、mir−600、mir−619、mir−624、mir−625、mir−633、mir−634、mir−690、mir−697、mir−704、mir−714、mir−759、mir−761、mir−768−5p及びmir−804が含まれる。miRBase::配列プログラム(http://microrna.sanger.ac.uk)のmiR標的検索データベースに従えば、これら全ての抗Tyr miRNAはTyr遺伝子転写物(NCBI受託番号NM000372)の最初の300ヌクレオチドの領域に対して誘導される。その上、老化遺伝子サイレンシングのためのヒアルロニダーゼ(Hyal;2518bp、NCBI受託番号NM007312)を標的とすることが可能な9つの天然のmiRNAがあり、それらとしては、mir−197、mir−349、mir−434−5p、mir−549、mir−605、mir−618、mir−647、mir−680、mir−702、and mir−763が含まれる。これら天然のmiRNAのうちで、mir−434−5pは、ヒトのTyr遺伝子及びHyal遺伝子の両方を標的とする唯一のものであり、且つTyr及びHyal以外の標的遺伝子ではない遺伝子を最小に標的化する最も効率的なmiRNAのひとつでもある。しかしながら、殆ど全ての天然のmiRNAは、数個から50個以上の標的を有し、それらはその他のものよりもより強力な幾つかの標的遺伝子と結合する傾向にあるので、これら天然のmiRNAの使用は特異的ではなく、かつスキンケアの目的のためには十分に安全ではないであろう。
miRNAの介在による皮膚の美白の実現可能性を試験するために、本発明のSpRNAi−RGFP発現システムを使用してマウス皮膚にある天然のpre−mir−434−5pを発現させた。図5に示されるように、メラニン−ノックダウンしたマウス(W−9黒)の修復されたアルビノ(白)皮膚は、チロシナーゼ(Tyr)に対して導入されたpre−mir−434−5p発現ベクタ(50μg)の連続した皮膚内(i.c.)形質導入(4日間で合計200μg)により作製された。Tyr、I型膜タンパク質及び銅含有酵素は、肌と髪内のメラニン(黒色素)の生合成におけるチロシンヒドロキシル化に関する重要且つ律速段階を触媒する。最初のi.c.注射後の約2週間から開始し、肌と髪のメラニンはpre−miRNAトランスフェクションにおいてのみ、顕著に消失されたことが観察された。一方、ブランクの対照及びPol−III(U6)誘導型siRNAトランスフェクションは同様の使用量ではこのような効果が現れなかった。pre−mir−434−5pトランスフェクションの毛包から単離されたmRNAを使用したノーザンブロット分析では、トランスフェクションの2日後にTyrの発現が76.1%±5.3%の減少を示す一方、ランダム遺伝子転写物の穏やかな非特異的分解がsiRNAトランスフェクションされた皮膚から検出された(ハウスキーピング対照GAPDH及び標的Tyr mRNAの両方の不鮮明なパターンを参照)。Grimm他(2006年)は、Pol−III誘導性RNAiシステムにより生成された高濃度のsiRNA/shRNAが細胞マイクロRNA経路を過飽和し、全体的なmiRNAの調節不全を引き起こすと報告している。この結果は、siRNA経路が皮膚組織内の天然のmiRNA経路とは相容できないことを示している。従って、miRNAの使用は、スキンケアのためにより効率的であり、適合性があり、かつ安全な手法を提供できると考えられる。しかしながら、天然のmir−434−5pはまた、細胞遺伝子サイレンシングのための他の5つの細胞遺伝子(TRPS1、PITX1、LCOR、LYPLA2及びHyalを含む)を標的にしているため、この天然のpre−mir−434−5pトランスフェクションのオフターゲット効果は未だに決定されていない。
miRNA薬剤の標的特異性及び安全性を向上させるために、mir−434−5pの種配列を改めて設計してTyrヌクレオチド3−25(いわゆる、miR−Tyr)又はHyalヌクレオチド459−482(いわゆる、miR−Hyal)のいずれかと結合する高度に適合した領域を形成した。Tyr遺伝子サイレンシング(pre−miR−Tyr)のためのpre−miRNA挿入物配列は、5’−GTCCGATCGT CGCCCTACTC TATTGCCTAA GCCGCTAAGC CAGGCGGCTT AGGCAATAGA GTAGGGCCGA CGCGTCAT−3’(配列番号8)であり、これはスプライシングの後にヘアピン様RNAを形成し、更に、5’−GCCCTACTCT ATTGCCTAAG CC−3’(配列番号9)を含むか、又はそれと相同性を有する成熟miR−TyrマイクロRNA(miRNA)配列にプロセッシングされる。代替的に、Hyal遺伝子サイレンシング(pre−miR−Hyal)のためのpre−miRNA挿入物は、5’−GTCCGATCGT CAGCTAGACA GTCAGGGTTT GAAGCTAAGC CAGGCTTCAA ACCCTGACTG TCTAGCTCGA CGCGTCAT−3’(配列番号10)であり、スプライシングの後に異なる種類のヘアピン様RNAを形成し、更に5’−AGCTAGACAG TCAGGGTTTG AA−3’(配列番号11)を含むか、又はそれと相同性を有する成熟miR−Hyal miRNA配列にプロセッシングされる。pre−miR−Tyr構築物及びpre−miR−Hyal構築物のいずれも、同じmir−434−5p骨格及びmir−302ステムループに基づいて再設計され、そのようにして得られた成熟miR−Tyr及び成熟miR−Hyalは互いに全く異なっている。図6に示されるように、マウス皮膚におけるmiR−Tyr及びmiR−Hyalのトランスフェクション発現は、標的とされたTyr遺伝子(90%以上の減少)及びHyal遺伝子(67%以上の減少)を、交差によるオフターゲット効果を伴うことなくそれぞれに特異的に抑制した。成熟miR−TyrマイクロRNA及び成熟miR−HyalマイクロRNAの発現レベルは、ノーザンブロット分析により直接測定されるが、標的とされたTyr及びHyalの遺伝子製造物(タンパク質)のノックダウン率はウエスタンブロット分析によって決定される。
ヒト皮膚細胞内のmiR−Tyr及びmiR−HyalのマイクロRNA媒介型遺伝子サイレンシングに関する標的特異性及び安全性
本発明によって設計されたイントロンmiR−Tyr及びmiR−Hyal RNAiエフェクタに関する最適な遺伝子サイレンシング効果を理解した後、本発明者らは、スキンケアのための、miR−Tyr pre−miRNA又はmiR−Hyal pre−miRNAのいずれかを用いて、ヒト皮膚細胞内及び組織内のこれらのSpRNAi−RGFP遺伝子構築物に関する有効性、標的特異性及び安全性を継続して試験した。ヒト皮膚表面の細胞層にベクタが効率的にトランスフェクションされるために、1μg/mlのSpRNAi−RGFPベクタ溶液を、1mlのオートクレーブで処理されたddHO中の100μgの精製したSpRNAi−RGFPベクタと、99mlの100%のデオキシリボヌクレアーゼを含まないグリセリン(又はグリセロルと称される)と、を混合することにより調製した。デオキシリボヌクレアーゼを含まないグリセリンは、皮膚深部への送達及び細胞膜浸透の目的にて、miR−Tyrを封入するために使用した。これは皮膚に美白と明るさを与える製品に使われる主要成分のベースを形成する。この後、より多く他の化粧品成分が、最終的な化粧品の色、香り、効果及び/又は安定性を増加するために添加され得る。図7Aに示されるように、上記したmiR−Tyr(右側)を発現するこの主要成分ベースの2mlで処理されたアジア系男性の腕の皮膚を、いかなるmiRNA挿入物も含まないブランクのSpRNAi−RGFPベクタ(グリセリン対照、左側)で処理された同皮膚の部分と比較した。miR−Tyr処置により得られた皮膚の美白の結果(黒色素−メラニンの減少)は、同図にて示されるように、一日2回の処置後、3日間観察した。
次に、皮膚細胞の一次培養物を、個人の同意(全ての治療はこの同意に基づいたものである)を得た上で試験されたドナーからのトリプシン分離性(trypsin−dissociated)皮膚の移植片によって得た。皮膚一次培養物におけるベクタトランスフェクションは、実施例3及び6(合計60μg)に記載されるように実施された。図7Bに示されるように、標的チロシナーゼタンパク質とその基質メラニンの損失に関するウエスタンブロット分析は、生物統計的に有意である(p>0.001)。皮膚におけるチロシナーゼタンパク質とその基質メラニンの減少量は、miR−Tyr発現ベクタの処置された濃度に比例しており、miR−Tyr処置の増加と標的チロシナーゼタンパク質及び基質メラニンの損失との間における正の相関関係を示している。いかなるmiRNA挿入物をも含まないブランクのSpRNAi−RGFPベクタ(グリセリン)及び抗EGFP pre−miRNA挿入物(miR−gfp)を発現するSpRNAi−RGFPベクタのようなベクタでのその他の処置では何の効果も発見されていない。1μg/mlのmiR−Tyr発現ベクタトランスフェクションの濃度にて、最大のTyr遺伝子サイレンシング率は、チロシナーゼに対しては約55%−60%であり、メラニンに対しては30%−45%である一方、非標的ハウスキーピング対照βアクチンの発現はmiR−Tyr処置による影響を受けておらず、このことは、この人工マイクロRNA分子の高い標的特異性を示すものである。図7Cは更に、皮膚メラニンレベルは皮膚細胞一次培養物の明視野(BF)の写真(上のパネル)に示されるように、明らかに減少する一方、メラニン(細胞核の周りの黒い点)はmiR−Tyr処置のない正常な皮膚細胞(即ち、ブランクとグリセリのみ)では非常に発現されていること、を示している。miR−Tyr処置後の皮膚細胞は、メラニンの蓄積は抑えられていることを示しており、インビボにおける有効な皮膚美白効果を立証している。皮膚メラニンのこの減少に関しては、免疫細胞化学(ICC)染色分析(図7Cの下方パネル)にて確認されているように、標的チロシナーゼ発現がmiR−Tyr処置後の皮膚細胞において同時に低減されている。従って、図7A乃至図7Cの全体結果に基づいて、設計されたmiR−TyrマイクロRNAは、インビボにおけるヒトの皮膚において、チロシナーゼ発現を抑制させて、メラニンの生成を成功裏に阻止するために使用され得る。
ヒト皮膚においてmiR−Tyrの遺伝子サイレンシングの有効性が確立された後、本発明者らは、上述のmiR−Tyrでトランスフェクションされた皮膚細胞一次培養物と、処置されていない皮膚細胞の一次培養物における32,668以上のヒト遺伝子発現の変化を評価するために遺伝子マイクロアレイ分析(GeneChip U133A&Bアレイ,Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用した。そして天然のmir−434の使用と比較して、遥かに多くの標的特異性を有し、かつ標的遺伝子以外の遺伝子に対してはより少ない遺伝子サイレンシング効果を示した。試験された各細胞培養物からの全RNAは、RNeasyスピンカラム(Qiagen,Valencia,CA)を使用して単離した。図8A(左側)に示されるように、処置されていない(miR−)皮膚細胞一次培養物及びmiR−Tyrでトランスフェクションされた(miR+)皮膚細胞一次培養物でのマイクロアレイ分析結果は、標的チロシナーゼ(Tyr)及びそれに関連したTRP1遺伝子を含む2つのみの遺伝子が1.5倍(>遺伝子発現の50%の変化)よりも多く変化を受けたこと(図8B)を示し、miR−Tyr媒介型遺伝子サイレンシング効果は標的Tyrに対して非常に特異的であることを示している。その上、細胞毒性やインターフェロン媒介型PKR/2−5A経路に関連した遺伝子が影響を受けることはなく、このことは、スキンケア処置に対してこの遺伝子サイレンシング効果は安全であることを示唆している(図8B)。本発明者らは又、ノーザンブロット分析を使用してこれらのマイクロアレイ確認型遺伝子の遺伝子発現レベルを比較及び評価し(図8C)、図8A及び図8Bと同様の結果であることを確認した。天然のmir−434−5pトランスフェクション(図8A、右側)の結果を用いて行った更なる比較では、相関関係係数(CC)の比率は、miR−Tyrでトランスフェクションされた(miR+)細胞においては32,668の遺伝子発現のうちの99.8%という高い比率が変更しないままであることを示すが、77.6%のCCという低い比率がmir−434−5pでトランスフェクションされた細胞において発見された。このことは、わずか65のみの細胞遺伝子の発現パターンが設計されたmiR−Tyrトランスフェクションで変更されることを意味している。これに対し、7,317個以上の遺伝子が天然のmir−434−5pでのトランスフェクションで変更されている。それらのミスマッチステムアームにより殆どすべての天然のマイクロRNA(miRNA)は複数の細胞遺伝子を標的にしていることが周知であるため、本発明者らの発明は、これらmiRNAの標的特異性の遺伝子サイレンシング応用における安全な使用において、これらステムアーム領域の再設計が必要であることを示す。
従って、本発明のイントロンヘアピン様マイクロRNA(miRNA)/shRNA発現ベクタの使用は、インビボにおいてスキンケア特に、色素沈着の治療と老化予防のための強力な新しい戦略を提供する。同様の処置において、Pol−IIで転写されたイントロンmiRNAは検知され得る細胞毒性を全く引き起こさないが、Pol−III誘導性siRNAは以前に報告されたような非特異的なmRNA分解を誘導した(Sledz他、前出;Lin他、2004b年、前出)。これは、イントロンmiRNAが、二本鎖siRNAの潜在的細胞毒性の影響を全く受けることなく、インビボで効果的且つ標的特異性であるという事実を強調している。このようなイントロンmiRNA媒介型遺伝子サイレンシング経路は、Pol−II転写、RNAスプライシング及びNMDプロセッシングを含む複数の細胞内調整系でよく協調されているため、イントロンmiRNAの遺伝子サイレンシング効果は、既に知られている3つのRNAi経路の全てにおいて、最も効率的であり、特異的であり、かつ安全であると考えられる。再設計されたイントロンmiRNAの使用は、スキンケアの用途において比較的に長期的、効果的、特異的かつ安全な遺伝子操作アプローチを提供し、従来のsiRNA方法で示されたように、非特異的な遺伝子、即ちオフターゲット遺伝子に対するサイレンシング細胞毒性を阻止することができる。
A.定義
本発明について理解しやすくするため、いくつかの用語は次のように定義される:
ヌクレオチド:糖部分(ペントース)、リン酸及び窒素系複素環式塩基から構成されたDNAやRNAの単量体の単位である。その塩基は、グリコシド炭素(ペントースの1’の炭素)を介して糖部分に連結されており、塩基及び糖の組み合わせがヌクレオシドである。ペントースの3’又は5’位に結合された少なくとも一つのリン酸基を含むヌクレオシドがヌクレオチドである。
オリゴヌクレオチド:2つ以上の、好ましくは3つ以上の、そして通常は10個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドからなる分子である。正確な大きさは種々の要素に依存するが、それらはまたオリゴヌクレオチドの最終的な機能又は使用に依存する。オリゴヌクレオチドは、任意の方法で生成されるが、同方法は化学合成、DNA複製、逆転写、あるいはそれらの組み合わせを含んでいる。
核酸:ヌクレオチドのポリマーであり、一本鎖又は二本鎖のいずれでも良い。
ヌクレオチド類似体:A、T、G、C又はUとは構造的に異なっているプリンやピリミジンヌクレオチドであるが、核酸分子内の通常のヌクレオチドのための代替物に十分に類似している。
遺伝子:そのヌクレオチド配列がRNA及び/又はポリペプチド(タンパク質)をコードする核酸である。遺伝子はRNA又はDNAのいずれでも良い。
塩基対(bp):二本鎖DNA分子においてアデニン(A)とチミン(T)、又はシトシン(C)とグアニン(G)の対関係である。RNAではウラシル(U)がチミンに代わっている。一般に、その対関係は水素結合によりなされている。
前駆体メッセンジャーRNA(pre−mRNA):遺伝子のリボヌクレオチド一次転写物であり、転写と称される細胞内メカニズムにより真核細胞内のII型RNAポリメラーゼ(Pol−II)機構により生成される。pre−mRNA配列は5’末端非翻訳領域、3’末端非翻訳領域、エキソン及びイントロンを含んでいる。
イントロン:非タンパク質読み取り枠をコード化する遺伝子転写配列の一部又は複数の部分である。
エキソン:タンパク質読み取り枠をコード化する遺伝子転写配列の一部又は複数の部分である。
メッセンジャーRNA(mRNA):pre−mRNAエキソンのアセンブリであり、細胞内スプライセオソーム機構によるイントロン除去の後に形成され、タンパク質合成のためのタンパク質コーディングRNAとして使用される。
cDNA:一本鎖DNAであり、mRNA配列に対して相補的であり、イントロン配列をまったく含んでいない。
センス:相同性mRNAと同じ配列順序及び組成である核酸分子である。このセンスの形態は「+」、「s」又は「sense」の符号で示される。
アンチセンス:各mRNA分子に相補的な核酸分子である。アンチセンスの形態は、「−」の符号、或いは、DNA又はRNAの前に「a」又は「antisense」をつけて示され、例えば、「aDNA」又は「aRNA」である。
5’末端:1つのヌクレオチドの5’−水酸基がホスホジエステル結合で次のヌクレオチドの3’−水酸基に結合された連続したヌクレオチドの5’位においてヌクレオチドが欠けている末端である。1つ以上のリン酸塩のような他の官能基が末端に存在し得る。
3’末端:1つのヌクレオチドの5’−水酸基がホスホジエステル結合で次のヌクレオチドの3’−水酸基に結合された連続したヌクレオチドの3’位においてヌクレオチドが欠けている末端である。末端に他の官能基、多くの場合は水酸基が存在し得る。
テンプレート:核酸ポリメラーゼでコピーされる核酸分子である。テンプレートは、ポリメラーゼに依存して、一本鎖、二本鎖、或いは、部分的に二本鎖のいずれでもよい。合成されたコピーは、テンプレート、或いは、二本鎖又は部分的な二本鎖のテンプレートの少なくとも一方の鎖と相補的である。RNA及びDNAのいずれも、5’から3’の方向に合成される。核酸二本鎖体の2本の鎖は2本の鎖の5’末端が二本鎖体の反対側の末端となるように常に整列されている(そして、必要に応じ、3’末端も同様である)。
核酸テンプレート:DNA−RNA又はRNA−DNAハイブリッド、或いは、一本鎖DNA又はRNA分子のような、二本鎖DNA分子、二本鎖RNA分子、ハイブリッド分子である。
保存:予め選択された配列の正確な相補物と非ランダムにハイブリダイズされる場合、ヌクレオチド配列は予め選択された(参照された)配列に対して保存される。
「相補的」、「相補性(complementarity)」、又は「相補性(complementation)」:塩基対の規則により関連付けられたポリヌクレオチド(即ち、ヌクレオチドの配列)を参照して使用される。例えば、配列「A−G−T」は配列「T−C−A」に対し相補的であり、又、「T−C−U」に対しても相補的になっている。相補性は、2つのDNAの鎖の間、DNAとRNAの鎖の間、或いは、2つのRNAの鎖の間のいずれにもあり得る。相補性は「一部」又は「完全」或いは「総計」のいずれでも良い。一部の相補性(complementarity)又は相補性(complementation)は、いくつかの核酸塩基が塩基対ルールに従って対称になる時のみ、起きる。完全又は総計の相補性(complementarity)又は相補性(complementation)は、塩基が核酸の鎖の間において完全に対称であるとき起きる。核酸の鎖の間の相補性の程度は、核酸の鎖の間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に対して明らかな効果がある。これは増幅反応において特に重要である。また、核酸間の結合に従う検出法においても同じく重要である。相補性(complementarity)又は相補性(complementation)の百分率は、核酸の1つの鎖の合計塩基に対するミスマッチ塩基の数を参照する。従って、50%の相補性(complementation)は、塩基の半分はミスマッチであり、塩基の半分は一致していることを意味している。2つの鎖の塩基数が違っている場合でも2つの鎖は相補性となり得る。この状況では、相補性(complementation)は、短いほうの鎖の塩基と対をなす対応する長い方の鎖の塩基との間でも起こる。
「相同の」又は「相同性」:遺伝子やmRNA配列との類似性を有するポリヌクレオチド配列を意味する。核酸配列は例えば、特定の遺伝子またはmRNA配列に対して部分的に又は完全に相同性を有し得る。相同性は、ヌクレオチドの総数に対して類似するヌクレオチドの数により決定された百分率で表すことができる。
相補性塩基:DNAやRNAが二本鎖構成を取り入れる時、通常に対になっているヌクレオチドである。
相補性ヌクレオチド配列:DNA又はRNAの一本鎖分子におけるヌクレオチドの配列であり、2つの鎖の間で引き続く水素結合により特異的にハイブリダイズするもう1つの一本鎖と十分に相補性である配列である。
「ハイブリダイズする」及び「ハイブリダイゼーション」:塩基対を介して複合体を成形するのに十分に相補性を有するヌクレオチド配列の間に二本鎖体を形成すること。プライマー(或いは、スプライステンプレート)が標的(テンプレート)と「ハイブリダイズ」する場合、このような複合体(或いは、混成物)は十分に安定であり、DNA合成を開始するために、DNAポリメラーゼにより必要とされるプライミング機能を提供する。競合的に阻害される二つの相補的ポリヌクレオチドの間には、特異的な、即ち、非ランダム的な相互作用が存在する。
RNA干渉(RNAi):真核生物における転写後の遺伝子サイレンシング機構であり、マイクロRNA及び低分子干渉RNAのような低分子RNA分子により引き起こされる。これらの低分子RNA分子は通常、遺伝子サイレンサーとして機能し、低分子RNAに対して完全な相補物又は部分的な相補物のいずれかを含む細胞内遺伝子の発現を干渉する。
マイクロRNA(miRNA):miRNAに対して部分的な相補物を有する標的遺伝子転写物に連結可能な一本鎖RNAである。miRNAは通常、約17−27個のオリゴヌクレオチド長であり、miRNAとその標的mRNAとの間の相補性に従い、細胞内mRNA標的物を直接分解するか、又は標的mRNAのタンパク質翻訳を直接抑制するかのいずれかを行うことができる。天然miRNAは、殆ど全ての真核生物から見出され、ウイルス感染からの防御として機能し、植物及び動物の発達時に遺伝子発現の調整を可能にする。
Pre−miRNA:マイクロRNA配列に対して相補性を有する一つ又は複数の標的遺伝子をサイレンシングすることができる1つ又は複数のマイクロRNAを生成するために細胞内RNaseIIIエンドリボヌクレアーゼと相互作用をするためのヘアピン様一本鎖RNAであって、ステムアーム及びステムループ領域を含んでいる。pre−miRNAのステムアームは、完全な(100%)又は部分的な(ミスマッチを含む)ハイブリダイズされた二本鎖体の形態のいずれかを形成する一方、ステムループはサイクル又はヘアピンループ形態を形成するべくステムアーム二本鎖体の一方の端部に連結されている。
低分子干渉RNA(siRNA):約18−25の完全な塩基対のリボヌクレオチド二本鎖体にサイズ化され、かつ殆ど完全に相補性である標的遺伝子転写物を分解することができる短い二本鎖RNA。
低分子、又は短鎖ヘアピンRNA(shRNA):ヘアピン様構造を形成するために、一致していないループオリゴヌクレオチドで分割された一対の部分的に一致した、又は完全に一致したステムアームヌクレオチド配列を含む一本鎖RNA。多くの天然miRNAはヘアピン様RNA前駆体、いわゆる前駆体マイクロRNA(pre−miRNA)から由来する。
ベクタ:異なる遺伝子環境にて移動及び滞在ができる組み換え型DNA(rDNA)のような組み換え型核酸分子。一般的に、もう1つの核酸は有効に連結されている。ベクタは細胞内での自己複製ができ、その場合に、ベクタ及び取り付けられたセグメントは複製される。一種の好ましいベクタはエピソーム、即ち、染色体外の複製が可能な核酸分子である。好ましいベクタは、自己複製及び/または、それらが連結している核酸の発現が可能なものである。一つ以上のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を誘導することができるベクタは本明細書では、「発現ベクタ」と称される。特に重要なベクタは、逆転写酵素を使用して生成されたmRNAからcDNAのクローニングを可能にする。
シストロン:アミノ酸残基の配列をコードするDNA分子ヌクレオチドの配列であり、上流及び下流DNA発現制御要素を含んでいる。
プロモータ:ポリメラーゼ分子が識別し、恐らく結合し、そして合成を開始する核酸。本発明の目的のために、プロモータは、既知のポリメラーゼ結合部位、エンハンサー等、所望のポリメラーゼで合成を開始することができる任意の配列であり得る。
抗体:予め選択されたリガンドを結合することが可能なレセプタをコードする予め選択された保存ドメイン構造を有するペプチド又はタンパク質分子。
B.組成物
RNAスプライシング及び/またはプロセッシングに関連した遺伝子サイレンシングを導入するための組み換え型核酸組成物はa)少なくとも1つのイントロンであって、複数のエキソンと隣接して並び、かつ細胞内RNAスプライシング及び/またはプロセッシング機構によってエキソンから切断され得るイントロンと、b)所望の機能を備える遺伝子を形成するよう連結され得る複数のエキソンと、を含む。
以上の組み換え型核酸組成物は更にa)少なくとも1つの制限/クローニング部位であって、皮膚細胞内の組み換え型核酸組成物のRNA一次転写物を発現するための発現可能なベクタに同組み換え型核酸組成物を取り込むために使用される制限/クローニング部位と、b)複数の転写及び翻訳終了部位であって、組み換え型核酸組成物の正確な大きさのRNA転写物を生成するために使用される転写及び翻訳終了部位と、を含む。
上記した組み換え型核酸組成物のイントロンは更に、a)標的遺伝子に対して相補的であるか、又は相同性を有する遺伝子サイレンシングエフェクタ挿入物と、b)5’供与スプライス部位と、c)3’受容スプライス部位と、d)スプライセオソーム型識別のための分枝点モチーフと、e)スプライセオソーム相互作用のためのポリピリミジン領域と、f)以上の構成要素を連結するための複数のリンカーと、を含む。
5’−供与スプライス部位は、5’−GTAAGAGK−3’(配列番号3)又は(5’−GTAAGAGGAT−3’(配列番号27)、5’−GTAAGAGT−3’、5’−GTAGAGT−3’及び5’−GTAAGT−3’のような)GU(A/G)AGUモチーフのいずれかを含むか、又はいずれかと相同性を有するヌクレオチド配列であり、一方、3’−受容スプライス部位は、GWKSCYRCAG(配列番号4)又は(5’−GATATCCTGC AG−3’(配列番号28)、5’−GGCTGCAG−3’及び5’−CCACAG−3’のような)CT(A/G)A(C/T)NGモチーフのいずれかを含むか、又はいずれかと相同性を有するヌクレオチド配列である。その上、分枝点配列は5’スプライス部位と3’スプライス部位との間に位置しており、5’−TACTAAC−3’及び5’−TACTTAT−3’のような5’−TACTWAY−3’(配列番号5)モチーフとの相同性を有するものである。分枝点配列のアデノシン“A”ヌクレオチドは、殆ど全てのスプライセオソームイントロン内の細胞性(2’−5’)−オリゴアデニル酸合成酵素及びスプライセオソームにより(2’−5’)連結型ラリアットイントロンRNAの一部を形成している。更に、ポリピリミジン領域は、分枝点と3’スプライス部位との間に近接して位置しており、5’−(TY)m(C/−)(T)nS(C/−)−3’(配列番号6)又は5’−(TC)nNCTAG(G/−)−3’(配列番号7)モチーフのいずれかと相同性を有するとともにT又はCを多く含むオリゴヌクレオチド配列を含んでいる。符号「m」及び「n」は1以上の複数の反復を示しており、最も好ましくは、mは1〜3に等しく、かつn数字は7〜12に等しい場合である。符号「−」は、配列内の空白ヌクレオチドを意味している。これら全てのイントロン構成要素を連結するために複数のリンカーヌクレオチド配列も存在している。ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用される符号と様式のための37CFR 1.822ガイドラインに基づいて、符号Wはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Kはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Sはシトシン(C)又はグアニン(G)を意味し、符号Yはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味し、符号Rはアデニン(A)又はグアニン(G)を意味し、符号Nはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)を意味する。上記した全てのスプライセオソーム識別構成要素について、デオキシチミジン(T)ヌクレオチドはウリジン(U)で置き換え可能である。
C.方法
ヒト皮膚細胞内のRNAスプライシング及びプロセッシングに関連した遺伝子サイレンシング効果を導入するためのインビボでの方法は、a)エキソンに隣接する遺伝子サイレンシングエフェクタをコード化するスプライセオソーム型イントロンを含む組み換え型核酸組成物を構築する工程であって、同イントロンがヘアピン様RNA構造をコード化し、RNA媒介型遺伝子サイレンシングを誘導するためにエキソンから切断され得ることを含む、工程と、b)組み換え型核酸組成物を発現可能なベクタにクローニングする工程と、c)同ベクタをインビボにて複数の皮膚細胞に導入する工程であって、同皮膚細胞は、組み換え型核酸組成物の複数のRNA一次転写物を生成し、かつ同皮膚細胞はRNA一次転写物からイントロンをスプライスして、遺伝子サイレンシングエフェクタに対して相同性を有するか、又は相補的な配列を含む遺伝子に対して遺伝子サイレンシング効果を提供することと、エキソンがタンパク質をコード化するために共に連結され得ることと、を含む工程と、からなる。
実施例
以下の実施例は、特定の好ましい実施形態及び本発明の態様を例示するものであるが、本発明の範囲を制限するものではない。
以下の実験において、以下の略語が使用されている:M(モルの)、mM(ミリモル)、μm(マイクロモル)、mol(モル)、pmol(ピコモル)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、ng(ナノグラム)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、℃(摂氏温度)、cDNA(コピー又は相補的DNA)、DNA(デオキシリボ核酸)、ssDNA(一本鎖DNA)、dsDNA(二本鎖DNA)、dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸)、RNA(リボ核酸)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、NaCl(塩化ナトリウム)、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸)、HBS(HEPES緩衝生理食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris−HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩)及びATCC(American Type Culture Collection,Rockville,MD)。
SpRNAi含有組み換え遺伝子(SpRNAi−RGFP)の構築
センス挿入物、アンチセンス挿入物又はヘアピン−EGFP挿入物を含む三種の異なるSpRNAiイントロンの生成に使用された合成核酸配列は以下のものを含む:N1センス、5’−pGTAAGAGGAT CCGATCGCAG GAGCGCACCA TCTTCTTCAA GA−3’(配列番号12)、N1アンチセンス、5’−pCGCGTCTTGA AGAAGATGGT GCGCTCCTGC GATCGGATCC TCTTAC−3’(配列番号13)、N2センス、5’−pGTAAGAGGAT CCGATCGCTT GAAGAAGATG GTGCGCTCCT GA−3’(配列番号14)、N2アンチセンス、5’−pCGCGTCAGGA GCGCACCATC TTCTTCAAGC GATCGGATCC TCTTAC−3’(配列番号15)、N3センス、5’−pGTAAGAGGAT CCGATCGCAG GAGCGCACCA TCTTCTTCAA GTTAACTTGA AGAAGATGGT GCGCTCCTGA−3’(配列番号16)、N3アンチセンス、5’−pCGCGTCAGGA GCGCACCATC TTCTTCAAGT TAACTTGAAG AAGATGGTGC GCTCCTGCGA TCGGATCCTC TTAC−3’(配列番号17)、N4センス、5’−pCGCGTTACTA ACTGGTACCT CTTCTTTTTT TTTTTGATAT CCTGCAG−3’(配列番号18)、N4アンチセンス、5’−pGTCCTGCAGG ATATCAAAAA AAAAAGAAGA GGTACCAGTT AGTAA−3’(配列番号19)。それに加え、2つのエキソンフラグメントは、赤色蛍光RGFP遺伝子(配列番号20)の208個目のヌクレオチド(nt)部位でのDraII制限酵素切断によって生成され、そして、5’フラグメントは更にT4 DNAポリメラーゼによって終端が平滑化された。RGFPは赤色にシフトした新規な蛍光変異色素タンパク質遺伝子を意味し、それはHeteractis crispa.(BD Biosciences,CA)からのHcRed1色素タンパク質の69個目のアミノ酸(a.a.)部位に更なるアスパラギン酸塩を挿入することによって生成され、570nmの波長にて、会合の少ないほぼ2倍の強い近赤外蛍光放射を示す。又、XhoIとXbaI制限酵素によりpHcRed1−N1/1プラスミド(BD Biosciences,CA)を切断し、2%のアガロースゲル電気泳動により単離された完全長の769−bp RGFP遺伝子フラグメント及び3,934−bpのブランクプラスミドをそれぞれ精製した。
N1センスをN1アンチセンスへの、N2センスをN2アンチセンスへの、N3センスをN3アンチセンスへの、そして、N4センスをN4アンチセンスへのハイブリダイゼーションは、センス配列及びアンチセンス配列が1:1の各相補混合物を、94℃で2分間加熱し、次に1xPCR緩衝液(例えば、25℃にてpH9.2の50mMTris−HCl、16mM(NHSO、1.75mM MgCl)に70℃で10分間の加熱をすることによりそれぞれ実施した。続いて、N1、N2又はN3混成物のいずれかをN4混成物と順次ライゲーションし、N1−N4混成物、N2−N4混成物又はN3−N4混成物(いずれも、1:1)の混合物のそれぞれを50℃から1時間わたって10℃まで徐々に冷却し、T4リガーゼと相対的な緩衝液(Roche,IN)とを同混合物に12℃にて12時間の間混合し、適切な末端を備えたエキソンに挿入するためのイントロンを得た。RGFPエキソンフラグメントを反応物(1:1:1)に加えた後、T4リガーゼ及び緩衝液は更に12℃にて12時間の間、ライゲーションを繰り返すために同様に調整された。正確なサイズの組み換え型RGFP遺伝子をクローニングするために、10ngのライゲーションされたヌクレオチド配列を、RGFPに特異的なプライマー対である5’−CTCGAGCATG GTGAGCGGCC TGCTGAA−3’(配列番号21)及び5’−TCTAGAAGTT GGCCTTCTCG GGCAGGT−3’(配列番号22)を用いて、94℃で1分間、52℃で1分間、そして68℃で2分間を30サイクル実施して、PCR増幅を行った。結果として得られたPCR生成物は、2%のアガロースゲル上で分画化され、そして、〜900−bpヌクレオチド配列がゲル抽出キット(Qiagen,CA)で抽出かつ精製された。この〜900bp SpRNAi含有RGFP遺伝子の構成は更にシークエンシングによって確認された。
組み換え遺伝子は、5’末端及び3’末端のそれぞれに、XhoI及びXbaI制限部位を所有するので、XhoI及びXbaIクローニング部位への付着末端を有するベクタに容易にクローニングされ得る。ベクタは、プラスミド、コスミド、ファージミド、イースト人工染色体、ジャンピング遺伝子、トランスポゾン及びウイルスベクタからなる群より選択された皮膚親和性で、発現可能な生物又はや下位有機体でなければならない。その上、イントロン内の挿入物はまた、その5’末端及び3’−末端のそれぞれにおいて、PvuI制限部位及びMluI制限部位と隣接して並んでいるので、その挿入物を、PvuIクローニング部位及びMluIクローニング部位への付着末端を有する別の異なる挿入配列を用いて除去及び置換が可能である。挿入される配列は、蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、発光酵素遺伝子、lac−Z遺伝子、ウイルス遺伝子、細菌遺伝子、植物遺伝子、動物遺伝子及びヒト遺伝子からなる群より選択された遺伝子標的に対して高い相補性を有するヘアピン様遺伝子サイレンシングエフェクタであることが好ましい。遺伝子サイレンシングエフェクタ挿入物とその標的遺伝子との間の相補率及び/または相同率は約30%−100%の範囲にあるが、ヘアピンshRNA挿入物に対しては35%−49%、センス−stRNA及びアンチセンス−siRNA挿入物の両方に対しては90%−100%の範囲にあることがより好ましい。
SpRNAi含有遺伝子の発現可能なベクタへのクローニング
組み換え型SpRNAi−RGFP遺伝子はその5’末端及び3’−末端のそれぞれにXhoI及びXbaI制限部位を有するので、XhoI及びXbaIクローニング部位への付着末端を有するベクタにて容易にクローニングされ得る。本発明者らは、SpRNAi−RGFP遺伝子を直線化された3,934−bpのブランクのpHcRed1−N1/1プラスミドと1:16(w/w)の割合にて混合し、得られた混合物を50分間にわたり65℃から15℃まで冷却し、次にライゲーションを実施するために、12℃にて12時間の間、T4リガーゼ及び相対緩衝液を加えた。これによりSpRNAi−RGFP発現ベクタが形成され、同ベクタは50μg/mlカナマイシン(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を含むE.coli DH5α LB培養物中において増殖され得る。陽性クローンは、94℃で1分間、次いで68℃で2分間を30サイクルで、RGFP特異的プライマー対(配列番号21及び配列番号22)を用いたPCR、及び引き続くシークエンシングにて確認した。ウイルスベクタへのクローニングについては、XhoI/XbaI−直線化pLNCX2レトウイルスのベクタ(BD)を代わりに使用することを除いては、同様なライゲーション工程にて実施され得る。SpRNAiイントロン内の挿入物は、その5’末端及び3’末端のそれぞれにてPvuI及びMluI制限部位と隣接して並んでいるので、抗EGFP shRNA挿入物を除去して、PvuI及びMluIクローニング部位への付着末端を有するmiR−Tyr又はmiR−Hyal挿入配列で置き換えることができる。
miR−Tyr挿入物又はmiR−Hyal挿入物のいずれかを含む種々のSpRNAiイントロンの生成に使用される合成核酸配列は、以下の通りである:miR−Tyrセンス、5’−GTCCGATCGT CGCCCTACTC TATTGCCTAA GCCGCTAAGC CAGGCGGCTT AGGCAATAGA GTAGGGCCGA CGCGTCAT−3’(配列番号8)、miR−Tyrアンチセンス、5’−ATGACGCGTC GGCCCTACTC TATTGCCTAA GCCGCCTGGC TTAGCGGCTT AGGCAATAGA GTAGGGCGAC GATCGGAC−3’(配列番号23)、及びmiR−Hyalセンス、5’−GTCCGATCGT CAGCTAGACA GTCAGGGTTT GAAGCTAAGC CAGGCTTCAA ACCCTGACTG TCTAGCTCGA CGCGTCAT−3’(配列番号10)、miR−Hyalアンチセンス、5’−ATGACGCGTC GAGCTAGACA GTCAGGGTTT GAAGCCTGGC TTAGCTTCAA ACCCTGACTG TCTAGCTGAC GATCGGAC−3’(配列番号24)。これらの挿入物は、miR−TyrセンスのmiR−Tyrアンチセンスへのハイブリダイゼーション及びmiR−HyalセンスのmiR−Hyalアンチセンスへのハイブリダイゼーションのそれぞれにて形成した。こうして得られたこれらのmiR−Tyr−発現ベクタ及びmiR−Hyal発現ベクタは、50μg/mlカナマイシン(pHcRed1−N1/1プラスミドベースのベクタに対して)又は100μg/mlアンピシリン(pLNCX2ウイルスベクタに対して)のいずれかを含むE.coli DH5α LB培養物において増殖され得る。増殖されたSpRNAi−RGFPベクタは、Mini−prep又はMaxi−prepプラスミド抽出キット(Qiagen, CA)を製造業者の指示に従って使用することにより、単離及び精製され得る。pLNCX2ベクタに関しては、伝染性があって複製不能なウイルスを製造するために、パッケージング細胞株PT67(BD)を使用してもよい。トランスフェクションされたPT67細胞は、37℃かつ5%COの条件を用いて、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、100μg/mlのストレプトマイシン硫酸塩及び50μg/mlのネオマイシン(Sigma Chemical,MO)を含む10%胎児ウシ血清で補充された1xDMEM培地において培養された。PT67細胞で生成されたウイルスの力価は、トランスフェクションの前では、少なくとも10cfu/mlであると決定された。
インビボでのベクタトランスフェクション
細胞培養、稚魚及びマウス皮膚へのベクタトランスフェクションについて、最初に、抗EGFP、miR−Tyr挿入物又はmiR−Hyal pre−miRNA挿入物のいずれかを含むSpRNAi−RGFP発現プラスミドベクタとFuGene試薬(Roche,IN)とを製造業者の指示に従って混合した。そして、その混合物を、細胞培養物(即ち、ヒト皮膚の一次培養物)、稚魚又はマウス皮膚のそれぞれに直接適用した。HIV gag−p24遺伝子に対して挿入物を含まないRGFP遺伝子及びpre−miRNA挿入物を備えたSpRNAi−RGFP遺伝子を含むベクタを陰性の対照として使用した。組織又は細胞の形態及び蛍光画像を最初のトランスフェクション後の、0時間、24時間、48時間、及び72時間の時点にて撮影した。インビボでのヒト皮膚へのトランスフェクションについては、予め作製されたSpRNAi−RGFPベクタ溶液は、1ml中のオートクレーブ処理されたddHOに抗EGFP、miR−Tyr又はmiR−Hyalのpre−miRNA挿入物のいずれかを含んだ、又は含まない所定量(即ち、1−1000μg)の精製したSpRNAi−RGFPベクタを、デオキシリボヌクレアーゼを完全に含まないグリセリン(又はグリセロール)と混合することにより形成した。ついでこの溶液を皮膚に直接適用し、3分間軽くマッサージした。
ノーザンブロット分析
RNA(20μgの全RNA又は2μgのポリ[A]RNA)は1%のホルムアルデヒドアガロースゲル上にて分画化され、かつナイロン膜(Schleicher & Schuell,Keene,NH)に移された。RGFP 5’−エキソンと、抗EGFP pre−miRNA挿入物又はmiR−Tyr(配列番号9)との間に隣接する75塩基対の接合配列か、又は、miR−Hyal(配列番号10)のいずれかに対して相補性を有する合成プローブを[32P]−dATP(>3000Ci/mM,Amersham International,Arlington Heights,IL)の存在下にてランダムプライマー伸長法によって、Prime−It IIキット(Stratagene,La Jolla,CA)を用いてラベルし、10bp−カットオフのマイクロバイオスピンクロマトグラフィカラム(Bio−Rad,Hercules,CA)で精製した。50%の新鮮な脱イオンホルムアミド(pH7.0)、5xDenhardt’s溶液、0.5%SDS、4xSSPE及び250mg/mLの変性したサケ精液DNAフラグメント(18時間、42℃)の混合物中にてハイブリダイゼーションを実施した。オートラジオグラフィーを実施する前に、2xSSC、0.1%SDS(15分間25℃)にて2回、0.2xSSC、0.1%SDS(45分間37℃)にて1回、膜を順次洗浄した。
SDS−PAGE及びウエスタンブロット分析
標的タンパク質の免疫ブロット法については、成長培地から除去後の単離された細胞を氷冷したPBSにて洗浄し、プロテアーゼ抑制剤、ロイペプチン、TLCK、TAME及びPMSFを補充されたCelLytic−M溶解/抽出試薬(Sigma,MO)を製造業者の指示に従って使用し、処理した。細胞は室温の振盪器上にて15分間培養され、マイクロチューブ内に播種され、5分間、12,000xgで遠心分離して、細胞の残屑をペレット化した。タンパク質含有の細胞溶解物を回収し、使用時まで−70℃にて保存した。タンパク質の決定は、E−maxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)にてSOFTmaxソフトウエアパッケージを用いて測定した。30μgの各細胞溶解物を50mM DTTと共に(還元される)、又は50mM DTTを使用しないで(還元されない)SDS−PAGEサンプル緩衝液に加え、8%のポリアクリルアミドゲル上に装填される前に3分間沸騰し、一方、対照のレーンには2〜3μlの分子量マーカ(Bio−Rad)を装填した。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、標準プロトコル(Molecular Cloning,3rd ED)に従って実施した。タンパク質分画物をニトロセルロース膜上にエレクトロブロットし、オデッセイブロッキング試薬(Li−Cor Biosciences,Lincoln,NB)を用いて1〜2時間、室温中においてブロックした。ついで、EGFP(1:5,000;JL−8,BD)、RGFP(1:10,000;BD)、Tyr(1:2,000;Santa Crutz)又はHyal(1:2,000;Santa Crutz)のいずれかに対して誘導される一次抗体を使用して、タンパク質発現を一晩中4℃で評価した。タンパク質ブロットは、TBS−Tを用いて3回洗浄し、二次抗体である、Alexa Fluor 680反応性染料を含むヤギ抗マウスIgGコンジュゲート(1:2,000、分子ブローブ)に、1時間、室温にてさらした。更にTBS−Tで3回洗浄後、Li−Corオデッセイ赤外線撮像装置及びオデッセイソフトウエアv.10(Li−Cor)を用いてスキャニング及び画像分析を行った。
ゼブラフィッシュのイントロンRNA媒介型遺伝子サイレンシング
Tg(アクチンGAL4:UAS−gfp)種のゼブラフィッシュ稚魚は、トランスフェクション時、10 mlの0.2x無血清RPMI 1640培地を用いて魚用容器にて飼育した。トランスフェクションプレミックス(pre−mix)は、1mlの1x無血清RPMI1640培地に、60μlのFuGeneリポソームトランスフェクション試薬(Roche Biochemicals,Indianapolis,IN)を静かに溶解することにより調製した。実施例1及び2にて記載されているように、抗EGFP pre−miRNA挿入物を含む、又は含まないSpRNAi−RGFPベクタ(20μg)をプレミックス溶液とともに混合し、氷上にて30分間静置し、容器内のTg(アクチンGAL4:UAS−gfp)魚に直接適用した。合計3つの用量を12時間の間隔(合計60μg)で与えた。サンプルは、最初のトランスフェクションの60時間後に採取した。
インビボでのマウス皮膚のイントロンmir−434−5p及びmiR−Tyr媒介型遺伝子サイレンシング
メラニンノックダウンマウス(W−9黒系の)のパッチドアルビノ(白)皮は、4日間(合計200μg)にわたり天然のmir−434−5p pre−miRNA挿入物を含む単離されたSpRNAi−RGFP遺伝子発現ベクタの連続的な皮膚内注射(i.c.)により、或いは、6日間にわたり、一日2回(合計240μg)、設計されたmiR−Tyr pre−miRNA挿入物を含むリポソーム封入SpRNAi−RGFP遺伝子発現ベクタの皮膚への直接導入により、作製した。天然のmir−434−5p pre−miRNA挿入物を含むSpRNAi−RGFP遺伝子 発現ベクタの生成に関しては、イントロン挿入に対して合成mir−434−5p pre−miRNA(即ち、5’−GTCCGATCGT CUCGACUCUG GGUUUGAACC AAAGCUCGAC UCAUGGUUUG AACCAUUACU UAAUUCGUGG UUUGAACCAU CACUCGACUC CUGGUUCGAA CCAUCCGACG CGTCAT−3’(配列番号25))を使用することを除いては、実施例2に記載の手順に従った。標的組織へ効率的に送達するために、その構築物を、実施例3及び6に記載された同様のプロトコルに従って、FuGeneリポソーム型トランスフェクション試薬(Roche,IN)と混合した。
ヒト皮膚におけるイントロンmiR−Tyr媒介型遺伝子サイレンシング
ヒトの複数細胞層へ効率的にベクタをトランスフェクションするために、1μg/ml SpRNAi−RGFPベクタ溶液を、オートクレーブで処理された1mlのddHO中の100μgの精製したSpRNAi−RGFPベクタとデオキシリボヌクレアーゼを全く含まないグリセリン99ml(グリセロールとも称される)とを混合することにより作製した。デオキシリボヌクレアーゼを全く含まないグリセリンは皮膚深部への送達及び細胞膜浸透を目的として、miR−Tyrを封入するために使用した。これにより、本発明による皮膚を美白にするとともに明るくするための主要成分のベースが形成された。次に、発明者の腕の一方(左腕)において、その右側の部分には設計されたmiR−Tyrを発現するこの主要成分のベース溶液の2mlが直接適用され、比較としてその左側の部分には、miRNA挿入物を含まないブランクのSpRNAi−RGFPベクタの別の2mlが直接塗布された。miR−Tyr処置による皮膚美白の効果は(黒色素メラニンの減少)は一日に2回の処置後3日間観察した。
免疫細胞化学染色(ICC)法
免疫化学染色キットはImgenex(San Diego,CA)から入手して、製造業者の指示に従って使用した。標本を、最初にPBSにて3回洗浄し、ツェラー溶液(10mMTris、100mM MgCl、5%胎児の子牛血清、1%BSA及び0.5%トゥイーン20,pH7.4)で30分間培養した。次に、それらの標本を、4℃の加湿室で一次抗体(ツェラー溶液で希釈されている)とともに一晩培養した。その後、それらの標本をTBSTで3回水洗し、ビオチン化ヤギ抗ウサギ抗体又はウマ抗マウス抗体を二次抗体(Chemicon,Temecula,CA)として使用して2時間培養した。その後、標本を一度TBSTで洗浄し、また、ストレプタビジン−HRPを三次抗体として更に2時間使用した。続いて、それらの標本をPBTで1回洗浄し、結合抗体をDAB基質で検出した。陽性の結果は、全範囲のスキャニングを用いた100倍の顕微鏡下で観察され、100倍及び400倍の倍率(倒立顕微鏡TE2000定量システム)で記録された。
マイクロアレイ分析
マイクロアレイハイブリダイゼーションのための標識化されたプローブを調製するために、抽出された全RNA(2μg)を、Superscript Choiceシステムキット(Gibco/BRL,Gaithersburg,MD)を使用して、修飾されたオリゴ(dT)24−T7プロモータプライマー(例えば、5’−GGCCAGTGAA TTGTAATACG ACTCACTATA GGGAGGCGG−(dT)24−3’)(配列番号33)を用いて、製造業者のプロトコルに従って、二本鎖cDNAへと変換した。二本鎖cDNAを、フェノール/クロロホルム抽出にて精製し、エタノールで沈殿させ、ピロ炭酸ジエチル(DEPC)処理されたddHOの0.5μg/μlの濃縮液で再懸濁した。フェーズロックゲル(5’Prime→3’Prime,Inc.,Boulder,CO)を全ての有機抽出において使用し、回収率を増大した。インビトロでの転写はT7 RNAポリメラーゼと、1μgのcDNA、7.5mMのラベル化されていないATP及びGTPと、5mMのラベルされていないUTP及びCTPと、2mMのビオチンでラベルされたCTP及びTP(ビオチン−11−CTP、ビオチン−16−UTP、Enzo Diagnostics)と、を用いて実施した。反応は37℃にて4時間実施し、cRNAをRNeasyスピンカラム(Qiagen,CA)にて精製した。サンプルは、サイズ範囲を確認するために1%のアガロースゲル上にて分離され、ついで、μg単位のcRNAを、40mMのトリスアセテート、pH8.0、100mM KOAc/30mM MgOAcにおいて94℃にて35分間を加熱することにより、50塩基の平均サイズにランダムにフラグメント化した。
合計32,668の遺伝子を含む1組の4つのオリゴヌクレオチドマイクロアレイ(GeneChip U133A&B arrays,Affymetrix,Santa Clara,CA)をハイブリダイゼーションのために使用した。ハイブリダイゼーションは、40℃にて16時間、一定に混合しながら200μlのAFFY緩衝液(Affymetrix)において完了した。ハイブリダイゼーション後、アレイは200μlの6xSSPE−T緩衝液(1×0.25Mの塩化ナトリウム/15mMのリン酸ナトリウム、pH7.6/1mM EDTA/0.005%のトリトン)を用いて3回洗浄し、その後200μlの6xSSPE−Tを用いて1時間、50℃にて水洗した。アレイは、0.5XSSPE−Tで2回洗浄し、0.5xSSPE−Tを用いて50℃にて15分間、水洗した。染色は、6xSSPE−T(pH7.6)中の2μg/mlのストレプトアビジン−フィコエリトリン(Molecular Probes)及び1mg/mlのアセチル化のBSA(Sigma)を用いて実施した。アレイは、共焦点スキャナ(Mokecular Dynamics)を使用して7.5μmで読み取られ、Affymetrix Microarray Suiteバージョン4.0のソフトウエアにより分析された。サンプルは、完全にマッチしたプローブとミスマッチプローブとの間の平均の差異の合計を使用することにより正規化された。2倍より大きく誘導された差分信号が収集された。
統計分析
結果を平均±SEとして示した。データの統計分析は、一元配置分散分析(One−way ANOVA)で行われた。主たる効果が有意である場合、Dunnettの多重比較(post−hoc)検定を使用して、対象から有意に異なる群を識別した。2つの治療群の間を一対ごとに比較するために、両側(two−tailed)スチューデントT検定を使用した。2つ以上の治療群を含む実験については、ANOVAは多重比較の多重範囲検定に従って実施した。p<0.05の確立値は有意であると考えた。全てのp値は両側試験にて決定した。
本明細書に記載された実施例及び実施形態は例示のみの目的にてなされたものであり、種々の修正又は変更が当業者に示唆され、それらの修正又は変更も添付された特許請求の範囲に記載されているように本発明の精神及び範囲内に包含されるものであることが理解される。本明細書において引用された全ての刊行物及び特許は、その全体が参照の目的にて援用される。
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天然イントロンマイクロRNA(miRNA)生物発生の細胞内メカニズムを示す。 siRNA、エキソン型(遺伝子間の)マイクロRNA及びイントロンマイクロRNA経路の間の異なる生物発生メカニズムを示す。 A乃至Dは、発現可能なベクタ組成物(A)(配列番号29)におけるSpRNAi取り込み型組み換え遺伝子(SpRNAi−RGFP)構築物に関する好ましい実施形態、及び、天然イントロンmiRNAの生物発生を模擬し、人工マイクロRNAを生成するこの組成物を使用する戦略(B)を示す。魚の緑色EGFPに対して誘導されたSpRNAi−RGFP発現組成物のインビボ試験は、ウエスタンブロット分析(C)にて決定されるように、特に、標的EGFP遺伝子発現において85%以上の抑制(knock down)効果を示した。イントロン由来抗EGFPマイクロRNA及びそのスプライスされた前駆体は、ノーザンブロット分析後、1%のホルムアルデヒドアガロースゲル電気泳動の上で観察された(D)。 A乃至Cは、効果的なマイクロRNA生物発生及びゼブラフィッシュの標的とされる緑色蛍光タンパク質(EGFP)発現の得られる遺伝子スプライシングのためのSpRNAi−RGFP構築物内のイントロンRNA挿入物に関する異なる設計を示し、[1]5’−miRNA*ステムループmiRNA−3’構築物(配列番号30)のトランスフェクション及び[2]5’−miRNAステムループmiRNA*−3’ヘアピンRNA構築物(配列番号31、配列番号32)のトランスフェクション間のRISCアセンブリにおける非対称優先性の選択を立証する(A)。インビボでの遺伝子サイレンシングは、[1]の構築物ではなく、[2]のpre−miRNA構築物のトランスフェクションにおいてのみ観察された。EGFP及びRGFPの色の組み合わせは(深いオレンジ色にて示されるように)緑色よりも赤く表示しているので、標的EGFP(緑色)の発現レベルは、ベクタの指標であるRGFP(赤)が全てのベクタトランスフェクションにおいて均等的に存在している場合、[2]のpre−miRNAトランスフェクションにおいて明らかに低減されている(B)。EGFPタンパク質レベルのウエスタンブロット分析は、[2]のpre−miRNAトランスフェクションに関する特異的サイレンシングの結果を確認している(C)。検知可能な遺伝子サイレンシングは、リポソームのみ(Lipo)、挿入物なしのブランクのベクタ(Vctr)及びsiRNA(siR)のような他の処置ではまったく検知されていない。 本発明により発現された天然mir−434のマウスの皮膚脱色におけるチロシナーゼ(Tyr)遺伝子サイレンシング効果を示し、本発明を用いてインビボにて局所皮膚遺伝子変調が実施可能であることを示す。 本発明により発現された改良型人工抗Tyr pre−miRNA(miR−Tyr)挿入物のマウス皮膚における使用の結果を示し、標的とされるチロシナーゼ(Tyr)に対し、より特異的であり、かつオフターゲット遺伝子に対してはより影響の少ない遺伝子サイレンシング効果を示している。 A乃至Cは、図6の方法とは同様であるが、本発明により発現された改良型人工抗Tyr pre−miRNA(miR−Tyr)挿入物のヒトの腕の皮膚(A)及び初代皮膚細胞培養物(B及びC)における使用の結果を示し、チロシナーゼ(Tyr)発現において50%以上のノックダウン率を示す。 A乃至Cは、上記した人工抗Tyr pre−miRNAでトランスフェクションされた初代皮膚細胞培養物中の変更された遺伝子発現の遺伝子マイクロアレイ分析(アフィメトリクスヒトGeneChip U133A&B,CA)の結果を示し、mir−434のような天然マイクロRNAの使用に比べ、遥かに標的特異性が高く、かつオフターゲット遺伝子に対してはより影響の少ない遺伝子サイレンシング効果を示している。

Claims (13)

  1. RNAスプライシング/プロセッシングに関連した遺伝子サイレンシングを導入するための組み換え型核酸組成物であって、スキンケアのための化粧品を生成する方法に使用するための組み換え型核酸組成物において、前記組み換え型核酸組成物は、
    (a)哺乳動物の皮膚細胞において、色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子の少なくとも1つにおいて特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導するマイクロRNA又はshRNAをコードするイントロン挿入物を含む少なくとも1つのイントロンであって、前記イントロンは、エキソンに隣接し且つ、細胞内RNAスプライシング及びプロセッシングの少なくとも一方を行う機構によって前記エキソンから切断され得るイントロンと、
    (b)複数のエキソンであって、前記エキソンは所望の機能を備えた遺伝子を形成するよう連結されるエキソンと、を含み、
    前記イントロン挿入物は、配列番号8又は配列番号10の配列を有するマイクロRNA又はshRNAをコードするものである、組み換え型核酸組成物。
  2. 請求項に記載の組み換え型核酸組成物は、
    (a)前記組み換え型核酸組成物のRNA転写物を発現するための発現可能なベクタを用いてライゲーションするために使用される少なくとも1つの多重制限/クローニング部位と、
    (b)前記組み換え型核酸組成物の正確な大きさのRNA転写物を生成するために使用される複数の転写及び翻訳の少なくとも一方のための複数の終了部位と、を更に含む、組み換え型核酸組成物。
  3. 前記イントロンは、
    (a) 供与スプライス部位及び受容スプライス部位と、
    (b) 分枝点ドメインと、
    (c) 少なくとも1つのポリピリミジン領域と、をさらに含む、請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  4. 前記色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子のうちの少なくとも1つは、チロシナーゼ遺伝子、ヒアルロニダーゼ遺伝子、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも1つの遺伝子であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  5. 前記イントロン挿入物は、配列番号1の配列を有する機能性ステムループ構造を含むヘアピン様核酸であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  6. 前記分枝点は、配列番号5の配列を含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドであることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  7. 前記分枝点は、5’−TACTAAC−3’の配列を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドモチーフを含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドであることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  8. 前記ポリピリミジン領域は、配列番号6又は配列番号7の配列を含むT又はCを高含量にて含む核酸配列であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  9. 前記供与スプライス部位は、配列番号3の配列を含む核酸配列であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  10. 前記供与スプライス部位は、5’−GTAAG−3’の配列を含む核酸配列であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  11. 前記受容スプライス部位は、配列番号4の配列を含む核酸配列であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  12. 前記受容スプライス部位は、5’−CTGCAG−3’の配列を含む核酸配列であることを特徴とする請求項に記載の組み換え型核酸組成物。
  13. 美白の肌及び明るい肌とするための化粧品であって、前記化粧品は、皮膚色素に関連する遺伝子及び老化を引き起こす遺伝子のうちの少なくとも一方に対して特定の遺伝子サイレンシング効果を誘導するための組み換え型核酸組成物を含み、
    前記組み換え核酸組成物は、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の組み換え核酸組成物である、化粧品。
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