JP2009165356A - ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(fipv)の予防及び治療剤 - Google Patents
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Abstract
(dsRNA)分子およびそれを用いたFIPVの増殖を阻害するための組成物の提供。
【解決手段】FIPVのマトリックス遺伝子(M遺伝子)のmRNAを標的とするdsRNA分子であ
って、該dsRNA分子の一方の鎖はFIPVのM遺伝子配列またはその一部に同一な塩基配列を
有するセンス鎖であり、他方の鎖は該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、上記dsRNA分子およびそれを用いたFIPVの増殖を阻害するための組
成物。
【選択図】なし
Description
る。症例の多い「ウエットタイプ」は、発熱や下痢、貧血などとともに腹部や胸部にひどい血管炎を起こし、腹水や胸水がたまって腹部が膨れたり、呼吸困難がみられる。「ドライタイプ」は、腹部にリンパ腫のような、大きなしこりができる。さらにこのタイプは脳内に炎症を起こして、麻痺や痙攣などの神経症状を引き起こすこともある。
ベロープの形成に必須のタンパク質である。また、Mタンパク質は、Nタンパク質に結合して、ウイルスヌクレオカプシッドをウイルス粒子に取り込ませる機能を有する(J. Virology, 75: 1312-1324, 2001, J. Virology, 75: 9059-9067, 2001, J. Virology, 76: 4987-4999, 2002)。
せるに至った。
[1] ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)のマトリックス遺伝子(M遺伝子)のmRNAを
標的とする二本鎖RNA(dsRNA)分子であって、一方の鎖が配列番号1で表されるM遺伝子配列中の少なくとも19個以上の連続した塩基を有する配列に同一なセンス鎖であり、他方の鎖が該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、dsRNA分子。
番目の塩基を有する配列、527〜549番目の塩基を有する配列、および400〜422番目の塩基を有する配列からなる群から選択されるいずれかの塩基配列に同一なセンス鎖であり、他方の鎖が該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、[1]のdsRNA分子。
ンス鎖、配列番号4で表されるセンス鎖と配列番号5で表されるアンチセンス鎖、および配列番号8で表されるセンス鎖と配列番号9で表されるアンチセンス鎖からなる群より選択されるいずれかの塩基対からなる、[2]のdsRNA分子。
[4] センス鎖とアンチセンス鎖がリンカー分子を介して連結されている、[1]〜[3]のいずれかのdsRNA分子。
[6] FIPVの複製を阻害するための、[1]〜[4]のいずれかのdsRNA分子を1つま
たは複数含む組成物。
[7] FIPVの複製を阻害するための、[5]のベクターを含む組成物。
き、それによってFIPVの複製を阻害することができる。本発明のdsRNAは、ネコFIPの予防または治療剤として用いることができる。
、該dsRNA分子の一方の鎖はFIPVのM遺伝子配列またはその一部に同一な塩基配列を有す
るセンス鎖であり、他方の鎖は該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、上記dsRNA分子に関する。
子の発現を抑制するRNA干渉(RNAi)を引き起こすことができる。
ングを有する21〜27塩基のsiRNA(small interfering RNA)分子を生じ得る。このsiRNA
分子が、RISC(RNA-induced silencing complex)と呼ばれるタンパク質複合体に取り込ま
れ、M遺伝子 mRNAをsiRNA分子との相同性により認識し分解し、発現抑制を行う。
本発明のdsRNA分子の塩基数は、特に限定されないが、15〜50塩基、好ましくは19塩基
以上、さらに好ましくは19〜35塩基、特に好ましくは21塩基である。
発明のdsRNA分子を構成するセンス鎖は、M遺伝子の遺伝子配列と同一であることが望ま
しいが、実質的に同一、すなわち相同な配列であってもよい。すなわち、dsRNA分子のセ
ンス鎖と実際に標的となるM遺伝子のmRNA配列がハイブリダイズする限り1または複数、すなわち、1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは、1〜3個、2個もしくは1個のミスマッチがあってもよい。したがって、本発明のdsRNA分子のセンス鎖配列と
M遺伝子の遺伝子配列は、90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは95、96、97、98もしくは99%以上の配列相同性を有する。
合成や、プロモーターおよびRNAポリメラーゼを用いた転写系によってin vitroで合成す
ることができる。また、適当な発現ベクターに当該アンチセンス鎖およびセンス鎖の鋳型DNAを導入し、当該ベクターを適当な宿主細胞内に投与することによってin vivoで合成することも可能である。合成されたセンス鎖およびアンチセンス鎖のアニーリングは、当業者に公知である一般的な方法によって行うことができる。合成したセンス鎖およびアンチセンス鎖をそれぞれdsRNA用アニーリングバッファーに溶解し、等量(等モル数)を混合
し、二本鎖が解離するまで温度を加熱し、その後徐々に冷却してインキュベートすることによって行う。アニーリング条件は、例えば、90℃にて1分間、続いて37℃にて1時間静置することによって行う。その後、フェノール/クロロホルム抽出・エタノール沈殿を行うことによって、dsRNA分子を得ることができる。
番号3で表されるアンチセンス鎖、配列番号4で表されるセンス鎖と配列番号5で表されるアンチセンス鎖、および配列番号8で表されるセンス鎖と配列番号9で表されるアンチセンス鎖からなる群より選択されるいずれかの塩基対からなり、特に配列番号2で表されるセンス鎖と配列番号3で表されるアンチセンス鎖および配列番号8で表されるセンス鎖と配列番号9で表されるアンチセンス鎖からなるdsRNA分子が好ましい。
子を介して連結され、そのリンカー部でループ構造を形成し折りたたまれたshRNA(short hairpin RNA)分子として提供され得る。shRNA分子もまた、ダイサーによってプロセッシングされ、siRNA分子を生じ得る。
プ構造を形成し得る限り、ポリヌクレオチドリンカーであっても、非ポリヌクレオチドリンカーであってもよく、特に限定しないが、当業者に公知であるポリヌクレオチドリンカーが好ましい。
ーハングを有していてもよく、該オーバーハングの塩基の種類、数は限定されず、例えば、1〜5、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1もしくは2塩基からなる配列が挙げら
れ、例えば、TTT、UUやTTが挙げられる。本発明において、オーバーハングとは、dsRNA分子の一方の鎖の末端に付加された塩基であって、もう一方の鎖の対応する位置に相補的に結合し得る塩基が存在しない塩基をいう。オーバーハングはDNAを構成する塩基であって
もよい。さらに、dsRNA分子を構成するセンス鎖またはアンチセンス鎖は、遺伝子の配列
決定など種々の実験操作を円滑に行うために、siRNA活性に対して影響を与えない範囲で
必要に応じて1〜3塩基、さらに好ましくは1もしくは2塩基の置換、付加、欠失をさらに含んでも良い。
また、一実施形態において、本発明は、上記shRNA分子を発現するベクターに関する。
よび/またはその他の制御配列を連結してベクターに組み込むことを意味する。ベクターに組み込むことができるプロモーターおよび/またはその他の制御配列は特に限定されないが、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、時期特異的プロモーター、その他の調節エレメントなど、当該分野で公知のプロモーターおよび/またはその他の制御配列を適宜選択することが可能である。
分子を含む組成物および本発明のベクターを含む組成物に関する。本発明の組成物は、本発明のdsRNA分子またはベクターを1種または複数種を組み合わせて含んでも良い。例え
ば、配列番号2で表されるセンス鎖と配列番号3で表されるアンチセンス鎖、配列番号4で表されるセンス鎖と配列番号5で表されるアンチセンス鎖、または配列番号8で表されるセンス鎖と配列番号9で表されるアンチセンス鎖からなるdsRNA分子の1種、2種、ま
たは3種を含んでも良い。本発明の組成物はまた、本発明のdsRNA分子またはベクターと
共に、適当なキャリア、希釈剤、エマルジョンなどを含んでも良い。例えば、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、および緩衝生理食塩水などを組成物中に含めることができる。本発明の組成物が、医薬的組成物として用いられる場合には、組成物は、経口ルート、ならびに静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射または非経腸的ルートで投与することに適した形態で調製することが可能である。
を発症しているネコに投与することにより、FIPVの感染を予防し、感染したFIPVの増殖を抑制しFIPVの発症を予防し、またはFIPV感染症を治療することができる。該予防または治療剤の投与量は限定されないが、例えば、腸上皮細胞やマクロファージなどの場合、一細
胞あたり少なくとも1コピーのdsRNA分子が導入されるように投与することができ、例え
ば1投与単位あたり、dsRNA分子量で1nM〜100μM、好ましくは10nM〜50μM、より好まし
くは100nM〜20μMである。投与量は、患者ネコの状態、年齢、性別、重篤度などに応じて変化させることができ、専門獣医の判断により決定される。さらに、本発明は上記dsRNA
分子または発現ベクターをネコに投与してネコFIPVを予防または治療する方法を提供し得る。
限定さないがHydrodynamic法、カルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃を用いた方法などを用いて細胞や組織に導入することが可能である。被験体が動物個体である場合には、dsRNA分子および発現ベクターは
、適当なキャリア、希釈剤、エマルジョンなどと共に含む組成物の形態で、経口ルート、ならびに静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射または非経腸的ルートで投与することが可能である。
導入前の)細胞や組織、および個体におけるM遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量と比較して低下していることを指標にして評価することが可能である。ここで測定されるM遺伝子は、予めおよび/または同時に導入されたM遺伝子を発現する発現ベクターより発現されたものであっても、FIPV感染により検出されるものであってもよい。発現量が低下しているとは、対照と比較して9割以上発現量が減少している場合のみならず、5割以上あるいは1割以上発現量が減少している場合も含まれる。測定対象がmRNAである場合には、
ノザンハイブリダイゼーション、RT-PCR、in situ hybridizationなどによって測定する
ことができる。また、測定対象がタンパク質である場合には、ウエスタンブロッティング、ELISA、抗体を結合させたプロテインチップを用いた測定、タンパク質の活性測定などによって測定することができる。検出されるM遺伝子が、予めおよび/または同時に導入したベクターに由来するものである場合には、当該ベクターにM遺伝子と共に検出可能な標識(例えば、EGFPなど)遺伝子を組み込み、M遺伝子と該標識からなる発現された融合タンパク質を適当な手段で検出して、比較することができる。
FIPVは、腸コロナウイルスの変異株でありその多くは公知である。このうち、FIP 79-1146系統は感染性が強く、日本国内でいちばん発症しているFIPの原因ウイルスと同じ血清型であると考えられている。そこで本実施例では、感染性が強く、日本国内で多発するFIPの原因ウイルスと同血清型のFIP79-1146株の遺伝子を用いて、実験を行った。FIP79-1146株のM遺伝子(配列番号1:AY994055)の配列を基に、FLAG tag 配列および制限酵素(NheIおよびBamHI)認識配列を含む以下のプライマーを作製し:
[Nhe-FLAG FW] 5'-CCCGCTAGCATGGTGGACTACAAGGACGACGATGACAAGAAGTACATTTTGCTAATAC
-3' (配列番号10)
[FIP79-1146M-Bam RV] 5'-GCGGGATCCCACCATATGTAATAATTTTT-3' (配列番号11)
これらプライマーと鋳型DNAとしてpBRDI-1(Peter J. M. Rottier博士(Utrecht University, Netherlands)より分与された(J. Virol. 77 (8), 4528-4538 (2003)))を用いてPCRを行い、M遺伝子をクローニングした。クローニングしたM遺伝子を、NheIおよびBamHIで制限酵素処理し、断片を精製した後、pACGFP1-N1(タカラバイオ株式会社製)のNheI- BamHI 部位にクローニングした。当該ベクターより発現されたM遺伝子タンパク質は、EGFPとの融合体であるため、蛍光顕微鏡下で可視化できる。
FIP79-1146株のM遺伝子配列(配列番号1:AY994055)
を基に、M遺伝子を特異的標的とする以下のセンス鎖およびアンチセンス鎖からなる4種類のsiRNAをコンピュータープログラムにより選定し(RNAi社に委託)、それぞれ合成し
た(PROLIGO社に委託)。
siRNA1:標的遺伝子領域695〜717塩基
センス鎖 :GCUUACUACGUAAAAUCUAAA (配列番号2)
アンチセンス鎖:UAGAUUUUACGUAGUAAGCCC (配列番号3)
siRNA2:標的遺伝子領域527〜549塩基
センス鎖 :GUUACCCUUACUCUACUUUCA (配列番号4)
アンチセンス鎖:AAAGUAGAGUAAGGGUAACAC (配列番号5)
siRNA3:標的遺伝子領域253〜275塩基
センス鎖 :GCUGAUCAUGUGGCUAUUAUG (配列番号6)
アンチセンス鎖:UAAUAGCCACAUGAUCAGCAU (配列番号7)
siRNA4:標的遺伝子領域400〜422塩基
センス鎖 :GAGAUCUGUUCAGCUAUAUAG (配列番号8)
アンチセンス鎖:AUAUAGCUGAACAGAUCUCAC (配列番号9)
ネガティブコントロール(非対象siRNA):対応部位なし
センス鎖 :CACACAGGUUGAGAUGAUUGA (配列番号12)
アンチセンス鎖:AAUCAUCUCAACCUGUGUGUC (配列番号13)
上記4種類の各siRNA分子をM遺伝子−EGFP発現ベクターとともに、培養細胞にトラン
スフェクションし、各siRNA分子によるM遺伝子発現抑制効果を以下の解析系を用いて調
べた。
(i)M遺伝子−EGFP発現ベクターおよび各siRNA分子の導入
AD293細胞株を、10%ウシ胎児血清(FCS)含有Dulbecco’s modified Eagle’s medium
(D-MEM)中で37℃,5% CO2環境下にて培養及び維持した。当該細胞株を、6ウェルプレートに4×105/wellの密度で播き、20時間後細胞が80〜90%コンフルエントの状態になったところで、培地を1 mlの5% FCS 含有D-MEMに置換し、上記M遺伝子−EGFP発現ベクターと各種siRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションは以下の通りに行った:M遺
伝子−EGFP発現ベクターを1.0μgと各種siRNA 1.0μl (終濃度50 nM)およびDsRed発現ベ
クター(pDsRed2-N1ベクター,Clontech)0.5μgを0pti-MEM 50μlに混合し、一方、Lipofectamine 2000(Invitrogen) 4μlと50μlのOpti-MEM 培地を混合して、それぞれ5分間室温で静置した後に両者を混合し、20分間室温でインキュベートした。この混合液を各ウェルに添加し、37℃にて培養した。
a.共焦点レーザー顕微鏡によるM遺伝子タンパク質の発現量低下の確認
M遺伝子−EGFP融合タンパク質の発現量を、EGFPの蛍光強度を共焦点レーザー顕微鏡によって解析することによって調べた結果を図2に示す。siRNA分子を導入していない系の
蛍光強度に比べて、各種siRNA分子を導入した系では蛍光強度が低下していることが観察
された。特に、siRNA1分子またはsiRNA4分子を導入した系では顕著に蛍光強度が低下した。
M遺伝子−EGFP融合タンパク質の発現量を、EGFPの蛍光強度をFACSよって定量解析した結果を、図3に示す。この定量解析から、siRNA分子を導入していない系と比較して、各
種siRNA分子を導入した系では検出されるM遺伝子−EGFP融合タンパク質量が減少してい
ることが示された。特にsiRNA1およびsiRNA4を導入した系では、siRNA分子を導入してい
ない系と比べてM遺伝子−EGFP融合タンパク質の発現量が約70%抑制されることが示された。
AD293細胞を4×105/wellの密度で12ウェルプレートに播き、16時間後に、各ウェルあ
たり、1.0μgのM遺伝子−EGFP発現ベクターおよび1.0μl(終濃度50 nM)の各種siRNAを
上記(I)(i)と同様の方法で細胞にトランスフェクションした。
遺伝子導入から20時間後に共焦点レーザー顕微鏡 (Leica)にて79-1146株M遺伝子の発
現を確認し、その後、細胞の回収を行った。培養上清を捨てて、各ウェルにISOGEN (ニッポンジーン)を1ml加え、シリンジと18 G 針を用いてウェル内の細胞を良く溶かした。そ
の後1.5 mlチューブにサンプルを回収し、再度細胞を良く溶かし室温にて5分間静置した
。チューブにクロロホルム(Wako)を200μl加え攪拌し室温にて2分間静置した後、14000rpm、4℃、15分間遠心分離をし、水層を別の1.5mlチューブに移した。これにイソプロパノール(Wako)を500μl加え、静かに転倒混和をした後室温にて5〜10分間静置した。14000rpm、4℃、10分間遠心分離をして上清を除去した。残ったペレットを70%エタノール1000μlにて2回洗い、最後に4℃、5分間、14000rpmにて遠心分離後、上清を除去しペレットを自然乾燥した。このペレットに、DEPC処理水を16μl、DNaseI Enzyme (Wako)を1μl、10×DNase buffer(Wako)を2μl、RNase out (Wako)を1μl加えてペレットを溶かし37℃にて15分間静置した後、STOP solution (Wako)を1μl加えて氷上に置いた。これにDEPC処理水を80 μl、フェノール(Wako)を50μl加えた後、1分間攪拌し、12000rpm、23℃、1分間遠心分離を行い、別の1.5 mlチューブに水層を回収した。その後エタノール沈殿により得られたペレットにDEPC処理水を20 μl加えた後、RNA濃度測定を行った。
PrimeScriptTM cDNA合成キット(Takara Bio)を用いてcDNA合成を行った。まず1μg
分のRNAを含むようにDEPC処理水にてRNAを希釈した。希釈した液を65℃にて3分反応させ
、その後すぐに氷上にて2分間急冷した。その後、2×RT Reaction Mixを2 μl、RT Enzyme Mix を0.5μl、Oligo (dT) primer を0.5μl、Random primer を0.5μl を加えて混和後、25℃にて10 分、50℃にて30 分、85℃にて5 秒間反応させた後、速やかに氷上に静置した。
合成したcDNAと、2×Premix EXTaq (Takara Bio)、Forwardプライマー(10 pmol/μl)、Reverseプライマー(10 pmol/μl)、プローブ (5 pmol/μl)、Rox dye II(原液)、RNase
free water を以下の容量で混合した。
順方向プライマー:AATGCTGATCATGTGGCTATTATGG(配列番号14)
逆方向プライマー:AAATACATCATCCAAAGTGCAAACG(配列番号15)
プローブ:GTGCACCTGCAACACTAAAGCCGAACA(配列番号16)
反応させた。反応条件として、初期変性として95℃にて10秒ののち、95℃にて5秒、60℃
にて34秒を40サイクル行った。
解析は、Real Time PCR SystemのSDS システムソフトウェアを用いて行った。
M遺伝子−EGFP mRNAの発現量を、リアルタイムPCR法によって定量解析した結果を、図4に示す。この定量解析から、siRNA分子を導入していない系と比較して、各種siRNA分子を導入した系では検出されるM遺伝子−EGFP融合タンパク質量が減少していることが示された。特にsiRNA1、siRNA2およびsiRNA4を導入した系では、siRNA分子を導入していない
系と比べてM遺伝子−EGFP mRNAの発現量が有意に抑制されることが示された。
に予防および/または治療することができる。
Claims (7)
- ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)のマトリックス遺伝子(M遺伝子)のmRNAを標的とする二本鎖RNA(dsRNA)分子であって、一方の鎖が配列番号1で表されるM遺伝子配列中の少なくとも19個以上の連続した塩基を有する配列に同一なセンス鎖であり、他方の鎖が該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、dsRNA分子
。 - dsRNA分子が、一方の鎖が配列番号1で表されるM遺伝子配列の695〜717番目の
塩基を有する配列、527〜549番目の塩基を有する配列、および400〜422番目の塩基を有する配列からなる群から選択されるいずれかの塩基配列に同一なセンス鎖であり、他方の鎖が該センス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖である、請求項1記載のdsRNA分子。 - dsRNA分子が、配列番号2で表されるセンス鎖と配列番号3で表されるアンチセンス鎖
、配列番号4で表されるセンス鎖と配列番号5で表されるアンチセンス鎖、および配列番号8で表されるセンス鎖と配列番号9で表されるアンチセンス鎖からなる群より選択されるいずれかの塩基対からなる、請求項2記載のdsRNA分子。 - センス鎖とアンチセンス鎖がリンカー分子を介して連結されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のdsRNA分子。
- 請求項4に記載のdsRNA分子の鋳型DNAを含み該dsRNA分子を発現するベクター。
- FIPVの複製を阻害するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載されるdsRNA分子を
1つまたは複数含む組成物。 - FIPVの複製を阻害するための、請求項5に記載されるベクターを含む組成物。
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