JP5742056B2 - リン脂質誘導体およびpH応答性リポソーム - Google Patents

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Description

本発明は、新規なリン脂質誘導体に関する。またドラッグデリバリーシステム(DDS)として特定pHで内部に封入された物質を放出できるpH応答性を有するリポソームに関する。
薬物をベクター(担体)に担持させた薬物担体は、薬物を目的病巣部位の細胞内に確実、安全にかつ効率よく送達するためのドラッグデリバリーシステム(以下、「DDS」と記載する)として注目されており盛んに研究されている。特に、薬物がタンパク質、DNA(遺伝子)、アンチセンス分子などの細胞内で活性を発現する生理活性物質であるとき、これらを有効に働かせるためには細胞質中に導入する必要があるが、細胞膜は多くの水溶性物質、高分子を透過させないため、薬物を細胞質まで送達するためのベクター(担体)を必要とする。ベクターにはウイルスベクターと合成ベクターがあるがウイルスベクターは安全性に問題があるため、安全で高機能の合成ベクターの開発が切望され、リポソーム、エマルジョン、リピッドマイクロスフェアなどの脂質膜小胞の利用が検討されている。
上記合成ベクターとして、特にリポソームなどの小胞を薬物担体としてDDSに応用しようとする研究が行われている。これら小胞は一般的にリン脂質あるいはその誘導体、またはステロールやリン脂質以外の脂質などを基本膜構成成分として調製される。しかしながら、これらの基本構成成分のみでは、小胞同士の凝集、体内における滞留性の低下などの問題を解決することが難しく、DDS製剤として目的の部位、例えば標的臓器や細胞にリポソーム内の薬物を送達させることは困難である。そこでこれらの問題を解決するために、ポリグリセリンリン脂質誘導体を用いてリポソームを形成することによって血液成分や血球細胞、血管内皮細胞との相互作用を回避することが報告されている(例えば特許文献1)。しかし、この技術によっては、血液中の滞留性は維持されるものの、水溶性高分子の存在が障壁となり、かえって薬物が作用する臓器、細胞への接近、接触などが抑制され、薬物の細胞内への導入率が低くなる問題がある。
そこで、生体膜と相互作用を示す物質をリポソーム膜に修飾することで細胞への導入を促進する研究も行われている。例えば、弱酸性下で膜融合性を示すポリグリセリンのスクシニル化誘導体(以下、SucPGと示す)が報告されている(例えば特許文献2)。また、SucPGとは炭化水素鎖長が異なり、かつ分岐した構造を持つ3−メチルグルタル酸をポリグリセリンに誘導化したものとカチオン化修飾剤であるアミジン誘導体とで修飾された脂質膜の担体粒子に、薬物を担持した薬物担体が、遺伝子導入活性を有することについても報告されている(例えば特許文献3)。しかしながらこれらの誘導体では、ポリグリセリンへの炭化水素基の導入がランダムであって任意の位置に導入できないことから、リポソームをはじめとした脂質膜からなる担体粒子の構成物質としてこれらの誘導体を用いた場合、アンカー部分である炭化水素基が複数の位置でランダムに脂質膜に組み込まれる。したがって親水性であるポリグリセリン鎖が拘束されてリポソーム表面からあまり離れることができず、水和層を広げることができないので、安定なリポソームが形成しにくいという問題がある。
国際公開2004/060899号パンフレット 特開2004−352619号公報 特開2008−120728号公報
上記のように、病巣部位を確実にターゲッティングし、薬物を効率良く目的部位に送達しうるDDSのための薬物担体が望まれている。特に薬物が細胞内で薬理作用を示す生理活性物質の場合には、薬物を効率良く細胞内で発現するために、細胞導入率がより一層向上された薬物担体の開発が強く望まれている。
このため本発明は、タンパク質、アンチセンス分子、核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその類縁体などの細胞内で活性を発現する生理活性物質の細胞へのトランスフェクションを、安全にかつ効率良く行うことができる導入システムを達成できるベクターとして有効な薬物担体としてのpH応答性を有するリポソーム、またたとえば腎ガン、肺ガン、肝ガン、膵ガンなどの癌、リンパ腫、肺炎、肝炎、腎炎、血管内皮損傷部位などの病巣部位を確実にターゲッティングし、該部位に、治療および/または診察するための薬物を安全にかつ効率良く送達するDDS療法の運搬体として有効なpH応答性を有するリポソーム、さらにはそのような薬物担体を形成するために有用なリン脂質誘導体を提供することを目的としている。
このような課題に直面した本発明者らは、下記一般式(1)
(式中の各記号は、明細書に記載のとおりである)で表されるリン脂質誘導体を含んでなるリポソームが、pHが低くなると膜が不安定化して細胞膜との融合能を持つことを初めて解明した。
本発明者らはこれらの知見に基づいてさらに鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
[1]下記一般式(1)
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、炭素数8〜24のアシル基または炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基を示し、
は、炭素数2〜12で分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基を示し、
aは、0〜5の整数を示し、
Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を示し、
PGは、ポリグリセリン由来の残基を示し、k1は、2〜50の整数を示し、k2≧k3、k2+k3=k1+1を満たす)
で示されるリン脂質誘導体(以下、「リン脂質誘導体(1)」と記載する場合がある);
[2]RおよびRが、それぞれ独立して、炭素数12〜20のアシル基もしくは炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基である、[1]に記載のリン脂質誘導体;
[3]Rが、炭素数3〜8で分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基である、[1]または[2]に記載のリン脂質誘導体;
[4]Rが、2−メチルプロピレン基、または1,2−シクロヘキセン基である、[1]〜[3]のいずれか一に記載のリン脂質誘導体;
[5][1]〜[4]のいずれか一に記載のリン脂質誘導体を含んでなる、リポソーム;
[6]pH応答性である、[5]に記載のリポソーム;
などに関する。
本発明のリン脂質誘導体は、ポリグリセリン鎖中に導入された二塩基酸によって、pHが低くなるとプロトン化されて疎水性が強くなる性質を持つ。
このため、本発明のリン脂質誘導体を含んでなる薬物担体としての本発明のリポソームは、pH応答性であり、従来用いられてきたリポソームと異なり、エンドソーム中のpH低下により膜が不安定化され膜融合能を持つことができる。よって、本発明のリポソームは、エンドソーム膜と効率よく融合し、リポソーム内の内包物を細胞質中に効率良く移行させることができることから、公知の薬物担体よりも向上された細胞導入率を示す。
このような本発明のpH応答性リポソームは、病巣部位で膜融合性を発現することができ、病患部もしくは細胞内への薬物導入を効率よくかつ安全に行うことができる。したがって、薬理的活性物質、生理的活性物質または診断用物質を封入した本発明のpH応答性リポソームは、治療および診断目的のDDSとして有用である。
図1は、本発明のリポソームがpHに応答してリポソーム内の物質を放出することを示す図である。 図2は、本発明のDSPE−MGluPG8Gからなるリポソームが細胞内に取り込まれ、リポソーム内の物質を放出することを示す図である。 図3は、本発明のDSPE−CHexPG8Gからなるリポソームが細胞内に取り込まれ、リポソーム内の物質を放出することを示す図である。 図4は、本発明のリポソームが細胞内に取り込まれ、リポソーム内の物質を放出することを示す図である。 図5は、OVAを封入したリポソーム分散液による腫瘍拒絶試験の結果を示す図である。
1.リン脂質誘導体
リン脂質誘導体(1)において、〔PG〕k1で表される基は、平均重合度k1の「ポリグリセリン由来の残基」を示す。
本明細書中、PGで示される「ポリグリセリン由来の残基」とは、ポリグリセリンのグリセリン繰返し単位における全ての水酸基を除いた残部からなる基を意味する。k1は、具体的にはポリグリセリンの繰返し単位を表し、特に限定されないが、k1が2未満の場合には、後述する本発明のリポソームを作成した場合の水和層の形成が不十分であり、50を超えるとリン脂質骨格に対して親水性のポリグリセリン骨格が大きいことから、本発明のリポソームの形成が困難であるか、または形成できた場合の本発明のリポソームの安定性に劣る。したがって、k1として好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜20であり、特に好ましくは3〜12である。
リン脂質誘導体(1)において、k2は、〔PG〕k1で表される平均重合度k1の「ポリグリセリン由来の残基」に結合した、式(2)
(式中、Rは、明細書(後述)記載のとおりである)で表される二塩基酸由来の置換基の平均個数を表す。k2は、通常2〜51である。
またリン脂質誘導体(1)において、k3は、〔PG〕k1で表される平均重合度k1の「ポリグリセリン由来の残基」に結合した、水酸基の平均個数を表す。k3は、通常0〜25である。
k1、k2とk3の関係はk2+k3=k1+1を満たすものである。
またk2とk3の関係は、k2≧k3を満たす。k3がk2よりも大きい場合にはpH応答性が不十分となる。本発明のリポソームが充分なpH応答性を発現させる点からは、k2≧1.25×k3であることが好ましく、k2≧1.5×k3であることがさらに好ましく、k2≧2×k3であることが特に好ましい。
本発明のリン脂質誘導体は、ポリグリセリン鎖中に導入された二塩基酸によってpHが低くなるとプロトン化されて疎水性が強くなる性質を持つ。すなわちエンドソームとリポソームが膜融合して内包物を放出するpHは二塩基酸の導入率によって変化する。
本発明者らは、リポソーム組成が同じ場合、リン脂質誘導体(1)に導入された二塩基酸の導入率が低くなるほど、pH応答性領域が酸性側に移行することを見出した。また二塩基酸導入率が同じ場合、リポソーム組成においてリン脂質誘導体(1)の配合量が少なくなるほど、pH応答性領域が酸性側に移行することも見出した。
後述するように、本発明のリポソームは、物質が血中から細胞内に移行する際にエンドソームによって取り込まれる機構を利用している。血中のpHは7.4付近であり、この付近のpHではリポソームが安定に存在し、かつ薬物保持能を有する必要がある。さらにエンドソーム内では、プロトンポンプの作用などによりpHが5〜6付近まで低下していることが知られている(例えば、Taylor&Francis Inc、Bruce Alberts、Molecular Biology of the Cell、第3版、610−611頁参照)。よってリポソームからの内包物の放出を考えた場合、少なくともpH5〜7の範囲で膜融合能を有するリポソームを製造することが好ましいのである。
上記リン脂質誘導体(1)を含む本発明のリポソームは、pH5〜7の範囲で膜融合能を有するリポソーム有している。さらに本発明のリポソームは、二塩基酸導入率を低くすること、またはリポソームに含まれるリン脂質誘導体(1)の配合量を少なくすることでpH応答性領域を酸性側に移行することができるように、pH応答性領域の調整が可能なリポソームである。
リン脂質誘導体(1)における、二塩基酸導入率は以下の数式で表される。
数式の導入率が50%以下の場合にはpH応答性が不十分となるので、リン脂質誘導体(1)において、k2/(k2+k3)×100>50であることが望ましい。特に本発明のリポソームが充分なpH応答性を発現させる点からは、二塩基導入率が56%以上であることが好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、67%以上であることが特に好ましい。
リン脂質誘導体(1)において、aは0〜5の整数を示す。aが5を超えると疎水性が強まって、本発明のリポソームが形成しがたくなる。本発明のリポソームの製造の容易さの点から、aは2〜4であることが好ましく、2または3であることがさらに好ましく、3であることが特に好ましい。
リン脂質誘導体(1)において、Mは、水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を示す。
本明細書中、「アルカリ金属」としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
リン脂質誘導体(1)の保存安定性に優れる点からは、Mはアルカリ金属またはアンモニウムであることが好ましく、ナトリウムまたはアンモニウムであることがより好ましい。
リン脂質誘導体(1)において、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数8〜24のアシル基または炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基を示す。なかでも、より本発明のリポソームを形成しやすくする点から、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数12〜20のアシル基または炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数14〜18のアシル基または炭素数14〜18の脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
およびRをアシル基とした場合には、エステル結合部分が加水分解されやすいため、本発明のリポソームを治療または診断に用いた場合人体から代謝されやすくなり、一方でRおよびRを炭化水素基とした場合には、耐加水分解性に優れる本発明のリポソームが得られ、したがってリポソーム液の保存安定性に優れることから、RおよびRは、本発明のリポソームとして所望の特性に応じて任意に選択することができる。
本明細書中、「炭素数8〜24のアシル基」としては、飽和または不飽和である炭素数8〜24のアシル基が挙げられ、このような基としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘネイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ヘキサデカジエン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサヘキサエン酸等から水酸基を除いてなる残基が挙げられる。
なかでも、取扱いのしやすさ、および脂質膜の形成性の強さなどの点から炭素数12〜20のアシル基が好ましく、炭素数14〜18のアシル基がより好ましい。なかでも、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリストレイン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ヘキサデカジエン酸、またはリノール酸から水酸基を除いてなる残基がより好ましい。
本明細書中、「炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基」としては、直鎖状、分岐鎖状または環状であって、1つ以上の不飽和結合を有していてもよい脂肪族炭化水素基が挙げられ、このような基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、エイコシル基、ヘキサジエニル基、リノレイル基、エイコセニル基、エルシル基、γ−リノレニル基、エイコサトリエニル基、などが挙げられる。なかでも、取扱いのしやすさ、および脂質膜の形成性の強さなどの点から、炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数14〜18の脂肪族炭化水素基がより好ましい。なかでも、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノレイル基がより好ましい。
リン脂質誘導体(1)において、Rは、炭素数2〜12で、分岐鎖状または環状の、二価の脂肪族炭化水素基を示す。当該基において炭素数が2より小さいと、本発明のリポソームのpH応答性が得難くなり、一方で炭素数が12を超えると、疎水性が強いために本発明のリポソームの形成性に劣る。
本明細書中、「炭素数2〜12で、分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基」としては、分岐鎖状または環状の二価の基であって、1つ以上の不飽和結合を有していてもよい炭素数2〜12の炭化水素基が挙げられ、このような基としては、例えば、メチルメチレン基、エチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−メチレンエチレン基、2−メチレンエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−ヘキセン−1−イルエチレン基、2−ヘキセン−1−イルエチレン基、1−オクテニルエチレン基、2−オクテニルエチレン基、1−アリルエチレン基、2−アリルエチレン基、1−ブチルエチレン基、2−ブチルエチレン基、1−デシルエチレン基、2−デシルエチレン基、1−フェニルエチレン基、2−フェニルエチレン基、1−n−オクチルエチレン基、2−n−オクチルエチレン基、1−ノネニルエチレン基、2−ノネニルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3,3−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基、3−エチルプロピレン基、1−エチル−1−メチルプロピレン基、1,3−ジエチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基、2−エチルブチレン基2−プロピルブチレン基、2−(t−ブチル)ブチレン基、2,2,6,6−テトラメチルペンテン基などの分岐鎖状の脂肪族炭化水素基;1,2−シクロヘキセン基、1,3−シクロヘキセン基、1,4−シクロヘキセン基、1−メチレン−2,3−シクロプロペン基、1,2−シクロブテン基、1,1−シクロブテン基、1,1−シクロプロペン基、3,4−ビシクロ(2.2.1)ヘプテン基、2,2−ビシクロ(2.2.1)ヘプテン基、2,3−ビシクロ(2.2.1)ヘプテン基、9,10−トリシクロ[4.2.1.1(2,5)]デセン基、2,4−(1−メチル−3−フェニル)ビシクロ(1.1.0)ブテン基、9,10−(4−メチル)ペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デセン基、9,10−ペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デセン基、2,4−ペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デセン基、4,4’−ビフェニレン基、2,3−(シス−5−ノルボルネン)イル基、1,3−アダマンタンイル基などの脂環式炭化水素基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,2−(3−メチル)フェニレン基、1,2−(4−メチル)フェニレン基、1,2−(4−エチル)フェニレン基、1,2−(4−プロピル)フェニレン基、1,2−(4−n−ブチル)フェニレン基、ジブチル−1,2−フェニレン基、1,2−(4−イソブチル)フェニレン基、1,3−(5−メチル)フェニレン基、1,3−(5−エチル)フェニレン基、1,3−(5−n−ブチル)フェニレン基、1,3−(5−イソブチル)フェニレン基、1,3−(5−t−ブチル)フェニレン基、1,2−(4−t−ブチル)フェニレン基、1,2−ナフタレニル基、1,4−ナフタレニル基、2,3−ナフタレニル基、2,6−ナフタレニル基、1,8−ナフタレニル基などの芳香族炭化水素基;が挙げられる。Rとして好ましくは炭素数3〜8で分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基であり、さらに好ましくは2−メチルプロピレン基または1,2−シクロヘキセン基である。
リン脂質誘導体(1)において、Rは、炭素数2〜12で、分岐鎖状または環状の、二価の脂肪族炭化水素基を示す。当該基において炭素数が2より小さいと、本発明のリポソームのpH応答性が得難くなり、一方で炭素数が12を超えると、疎水性が強いために本発明のリポソームの形成性に劣る。
なおリン脂質誘導体(1)におけるRは、式(2)
で表される二塩基酸由来の置換基における二つのカルボキシル基を除いた部分である。
上記Rの起源となり得る二塩基酸としては、例えば、メチルマロン酸、エチルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、メチレンコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−ヘキセン−1−イルコハク酸、2−オクテニルコハク酸、アリルコハク酸、ブチルコハク酸、デシルコハク酸、フェニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、ノネニルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、2−エチルグルタル酸、3−エチルグルタル酸、2−エチル−2−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、3−エチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、3−エチルアジピン酸、3−プロピルアジピン酸、3−(t−ブチル)アジピン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸などの分岐鎖状の炭化水素基を有する二塩基酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1−メチレンシクロプロパン−2,3−ジカルボン酸、3−メチレンシクロプロパン−1,2−ジカルボン酸、シクロブタン−1,2−ジカルボン酸、シクロブタン−1,1−ジカルボン酸、シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸、ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−3,4−ジカルボン酸、ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−2,2−ジカルボン酸、ビシクロ(2.2.1)ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、トリシクロ[4.2.1.1(2,5)]デカン−9,10−ジカルボン酸、1−メチル−3−フェニル−ビシクロ(1.1.0)ブタン−2,4−ジカルボン酸、4−メチルペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デカン−9,10−ジカルボン酸、ペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デカン−9,10−ジカルボン酸、ペンタシクロ[4.4.0.0(2,5).0(3,8).0(4,7)]デカン−2,4−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、シス−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸などの脂環式炭化水素基を有する二塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、3−メチルフタル酸、4−メチルフタル酸、4−エチルフタル酸、4−プロピルフタル酸、4−n−ブチルフタル酸、ジブチルフタル酸、4−イソブチルフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−エチルイソフタル酸、5−n−ブチルイソフタル酸、5−イソブチルイソフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4−t−ブチルフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族炭化水素基を有する二塩基酸;が挙げられる。なかでも、炭素数5〜10(Rにおいては、炭素数3〜8となり得る)の二塩基酸が好ましく、3−メチルグルタル酸または1,2−シクロヘキサンジカルボン酸がより好ましい。
2.リン脂質誘導体(1)の製造方法
リン脂質誘導体(1)の製造方法は特に限定されるものではないが、下記一般式(3)
(式中、各記号は、前記したとおりである)で表される、1,2−ジアシルまたは1,2−ジアルキルホスファチジルエタノールアミンポリグリセリン誘導体(以下、「化合物(3)」と記載する場合がある)と、二塩基酸またはその無水物とを、有機溶媒中、反応させることで製造することができる。
なお化合物(3)は、当業者であれば自体公知の化合物から適宜合成することが可能である。
化合物(3)に反応させる二塩基酸としては、前記「Rの起源となり得る二塩基酸」で挙げた二塩基酸を好ましく用いることができる。反応には二塩基酸またはその無水物のいずれを用いても良いが、反応条件を穏和にでき望ましくない副反応などを抑制することができる点から二塩基酸無水物を用いることが好ましい。
化合物(3)と上記二塩基酸またはその無水物との反応において使用する有機溶媒としては、水酸基等の官能基を有しないものであれば特に制限することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ベンゼンまたはトルエンなどが挙げられる。これらの中ではジメチルスルホキシド、クロロホルムまたはトルエンが好ましい。
本反応における反応温度は特に限定されないが、通常20〜90℃であり、好ましくは30〜80℃である。
化合物(3)に対する、二塩基酸またはその無水物の仕込みモル比率は、目的とするリン脂質誘導体(1)のkに対して1倍以上であることが好ましく、2倍から10倍の範囲にあることがさらに好ましく、2倍から5倍の範囲にあることが特に好ましい。
本反応に際しては、さらにエステル化反応に通常用いられる触媒を用いても良い。触媒の種類としては特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジメチル−4−アミノ−2−メチルピリジン、4−ピロリジノピロリジン酢酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ほう酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム等の比較的穏和な塩基性触媒が好適に用いられる。
このようにして、本発明のリン脂質誘導体(1)を製造することができる。得られたリン脂質誘導体(1)は、クロマトグラフィー、透析、再結晶など自体公知の方法で精製することが可能である。
3.リン脂質誘導体(1)を含むリポソーム
本発明のリン脂質誘導体(1)は、膜形成能を有する公知の脂質と同様にリポソームの構成成分として用いることが可能である。本発明のリン脂質誘導体(1)を含むリポソーム(以下、「本発明のリポソーム」と記載する)は、従来用いられてきたリポソームと異なり、細胞内におけるエンドソーム内の低pH(pH5〜7付近)環境に接触したとき、リポソーム膜が不安定化されてエンドソーム膜と効率よく融合し、リポソーム内の内包物を細胞質中に効率良く移行させることができる。したがって本発明のリポソームはpH応答性を有し、それゆえに公知の薬物担体よりも向上された細胞導入率を示すリポソームでありうる(このことから、本発明のリポソームを「本発明のpH応答性リポソーム」と記載する場合もある)。
リン脂質誘導体(1)と共に本発明のリポソームを構成する脂質は、膜形成能を有するものであれば、リン脂質であってもリン脂質以外の脂質であってもよく、このような脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、ジセチルリン酸、ステアリルアミン、スフィンゴミエリン(SPM)、カルジオリピン等の天然あるいは合成のリン脂質、またはこれらの部分もしくは完全水素添加物;これらの混合物である大豆レシチン、コーンレシチン、綿実油レシチン、卵黄レシチンなどの天然レシチン;および水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、これらのリン脂質にポリエチレングリコールやアミノグリカン類や蛍光性基を導入したリン脂質誘導体などが挙げられる。これらの脂質を構成する炭化水素基としては1−位、2−位が同種もしくは異種どちらでも良く、上記の炭素数8〜24のアシル基や、炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基等で構成されている。以上の脂質のうち、1種又は2種以上が混合して用いられる。
本発明のリポソームは、さらに安定化剤として、ステロール、またはグリセロール、シュクロースなどの糖類を配合することにより、膜の流動性を抑制し、さらにリポソーム自体の経時安定性を高めることができる。上記ステロールとしては、例えば、コレステロール、フィトステロール、ジヒドロコレステロール、ステアリン酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル等が挙げられる。ステロールとして好ましくは、コレステロール、フィトステロール、ステアリン酸コレステリルである。
また酸化防止剤として、トコフェロール同族体すなわちビタミンEなどをリポソームに配合してもよい。トコフェロールには、α、β、γ、δの4個の異性体が存在するが、本発明においてはいずれのトコフェロールも使用できる。
本発明のリポソームには、薬理活性を高める目的で、更にデンドロン脂質を配合することもできる。デンドロン脂質はプロトンスポンジ効果を持つため、これによりエンドソームからの脱出が促進され遺伝子導入活性が高められる。
本発明のリポソームにおいては、リン脂質誘導体(1)が、リポソーム製造時の原料全体の1〜50モル%配合されていることが好ましく、2〜30モル%配合されていることがさらに好ましい。
特に、式(1)中のRが2−メチルプロピレン基である場合は、8〜30モル%配合されていることが好ましく、10〜30モル%配合されていることが特に好ましい。また、Rが2−シクロヘキセン基である場合は、2〜20モル%配合されていることが好ましく、2〜12モル%配合されていることが特に好ましい。リン脂質誘導体(1)の配合割合がリポソーム全体の1〜50モル%にあると、リポソーム形成性に優れ、かつ得られたリポソームのpH応答性が良好となる。
本発明のリポソームは、例えば、リン脂質誘導体(1)と、脂質(例えば、リン脂質)と、そして任意の上記配合成分とを、リポソームを作製するための公知の技術により混合し、超音波処理法、フレンチプレス法、逆相蒸発法、界面活性剤法、エクストルージョン法、カルシウム−EDTAキレート法、凍結融解法などの方法や、真空乳化機、高圧ホモミキサー、マイクロフルイダイザー、マントンゴーリンなどの乳化機で処理することにより、製造することができる。
また、これらのリポソームをフィルターやゲルろ過などのサイジング操作を行うことにより、粒径のそろったリポソームを選択的に得ることができ、それによりリポソームの安定性をさらに高めることもできる。
上記したようにリポソームの粒径はリポソームの安定性にも影響を与えるため、本発明のリポソームは、上記操作により粒径をそろえることが望ましい。リポソームの粒子径の表示方法には、重量平均粒子径と個数平均粒子径が一般に用いられるが、リポソームの保持容量の観点からは重量平均粒子径で表わすことが望ましい。本発明のリポソームの重量平均粒子径は、通常20nm〜800nm、好ましくは40〜500nm、より好ましくは80nm〜400nmである。
上記の所望の粒径を得るためには、予め決められたポアサイズを有するフィルターを通して大きい粒径のリポソームを濾過する押出濾過法などを使用すればよい。
このようにして得られるリポソームに任意の薬理的活性物質や診断用薬剤を封入することで、細胞内へ薬理的活性物質や診断用薬剤を容易に輸送することができる。薬理的活性物質や診断用薬剤の封入方法は特に限定されず、自体公知の封入方法を適宜設定することができるが、通常、リポソーム形成時に薬理的活性物質や診断用薬剤を大過剰混合し、リポソームを形成させることで薬理的活性物質や診断用薬剤が封入されたリポソームが得られる。
本発明のリポソームに内包し得る薬理的活性物質としては、リポソームの形成を損ねない限り特に限定されないが、核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその類縁体、グリコサミノグリカンおよびその誘導体、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体、タンパク質およびペプチドなどの生理活性的物質;抗炎症剤、ステロイド剤、抗癌剤、酵素剤、抗生物質、抗酸化剤、脂質取り組み阻害剤、ホルモン剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、ケミカルメディエーターの遊離抑制剤、血管内皮細胞の増殖または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウィルス剤、抗凝固剤、血管拡張剤、メイラード反応抑制剤、アミロイドーシス阻害剤、NOS阻害剤、AGEs阻害剤およびラジカルスカベンジャーなどが挙げられる。
本発明のリポソームに内包し得る診断用薬剤としては、リポソームの形成を損ねないかぎり特に限定されないが、たとえばX線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬などの体内診断薬や、水溶性蛍光色素などの標識剤が挙げられる。
生体のpHは通常は7以上(例えば、血液中のpHは約7.4)であるが、細胞内のエンドソーム内では酸性条件(通常pH5〜7、好適にはpH5〜6)になるため、本発明のリポソームは膜融合性を示す。特に本発明のリポソームはpH5〜7で疎水性を増して不安定となり、膜融合しやすくなるというpH応答性を示す。したがって本発明のリポソームがエンドサイトーシスによって細胞に取り込まれた場合、プロトンポンプの作用でリポソーム周囲のpHがpH5〜7付近まで低下し、そのとき本発明のリポソームは膜融合性を発現してエンドソーム膜と融合する。その結果、リポソームが内包する物質が細胞室内へ放出される。
すなわち、本発明のリポソームはpH応答性を示すリポソームであるばかりか、生体細胞へのDDS担体としての役割を担うリポソームでもあり得る。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
《リン脂質誘導体(1)の製造》
本発明のリポソームの重要な構成成分である、本発明のリン脂質誘導体(1)は以下のように製造した。
実施例1:オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン3−メチルグルタル酸誘導体(以下DSPE−MGluPG8Gと記載する)の合成(二塩基酸導入率58.9%)
オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(日油株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−PG8G)2.0g(1.38mmol)に、溶媒としてジメチルホルムアミド20mLを加えて、80℃にて溶解させた。次いで、3−メチルグルタル酸無水物4.78g(37.3mmol)を加えて、攪拌しながら80℃で反応を6時間行った。反応溶液を濃縮乾固し、得られた結晶をイオン交換水175mL、メタノール30mLで分散させた。
分散溶液を透析膜Spectra/Pro6(Spectrum Laboratories Inc.社製)に仕込んで、イオン交換水8Lによる透析を三日間行った。イオン交換水は一日毎に交換した。透析後の溶液を凍結乾燥して、目的のDSPE−MGluPG8G 1.4gを得た。
H−NMR(重クロロホルム/重メタノール=4/1重量比溶媒)より、δ 0.88にステアロイル基末端メチル基プロトン(積分値6.0)、δ 1.04に3−メチルグルタル酸の分岐したメチル基のプロトン(積分値16.0)、δ 1.26にステアロイル基のメチレン基プロトン(積分値60.0)、δ 2.2〜2.5に3−メチルグルタル酸由来の−CHCH(CH)CH−のメチレン基、メチン基プロトン、ステアロイル基メチレン基プロトン−CHCHCOO−、グルタル酸残基メチレン基プロトン−NHCO−CHCHCHCOO−(積分値33.6)、δ 3.2〜4.5にオクタグリセロール由来のメチレン基、メチン基プロトン、エタノールアミン部分のメチレン基プロトン−OCHCH−NH−、DSPE骨格に含まれるメチレン基プロトン−CH−CH−OPO−(積分値53.1)を確認した。
δ 1.04のメチル基プロトンの積分値が16であることから、オクタグリセリン骨格に含まれる水酸基9つのうち平均5.3個が3−メチルグルタル酸により置換されていることを確認した。すなわち上記式(4)におけるk2およびk3はそれぞれ5.3および3.7であった。したがって、二塩基酸導入率は5.3/9×100=58.9%である。
実施例2:オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン3−メチルグルタル酸誘導体(以下DSPE−MGluPG8Gと記載する)の合成(二塩基酸導入率100%)
オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(日油株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−PG8G)2.0g(1.38mmol)に、溶媒としてトルエン(47mL)を加えて40℃にて溶解させた。ここに3−メチルグルタル酸無水物2.39g(18.7mmol)、N−メチルモルホリン2.08mL(18.9mmol)を加え、攪拌しながら40℃で5時間反応を行った。反応溶液にアセトニトリル200mLを添加して氷冷化にて結晶を析出させた。その後上澄み液を除去し、得られた結晶をアセトニトリル200mLで二回洗浄し、乾燥することで、目的のDSPE−MGluPG8G 1.9gを得た。
実施例1と同様に二塩基酸導入率を算出したところ、k2およびk3はそれぞれ9.0および0であった。したがって、導入率は9/9×100=100%である。
実施例3:オクタグリセロールグルタリル ジステアリルホスファチジルエタノールアミン 1,2−シクロヘキサンジカルボン酸誘導体(以下DSPE−CHexPG8Gと記載する)の合成(導入率56.7%)
オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(日油株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−PG8G)2.0g(1.38mmol)に、溶媒としてトルエン(47mL)を加えて50℃にて溶解させた。ここにシクロヘキサンジカルボン無水物2.01g(13.0mmol)、酢酸ナトリウム1.1g(13.0mmol)を加え、攪拌しながら30℃で1時間反応を行った。反応溶液をクロロホルム200mLにて希釈し、濾過により酢酸ナトリウムを除いた。さらに濾液を濃縮乾固して得られた結晶を、クロロホルム50mLで溶解し、ここにアセトニトリル200mLを添加して結晶を析出させた。その後上澄み液を除去し、得られた結晶をアセトニトリル200mLで二回洗浄し、乾燥することで、目的のDSPE−CHexPG8G 2.1gを得た。
H−NMR(重クロロホルム溶媒)より、δ 0.88にステアロイル基末端メチル基プロトン(積分値6.0)、δ 1.26にステアロイル基のメチレン基プロトン(積分値59.0)、δ 1.3〜2.2にシクロヘキサンジカルボン酸由来のメチレン基プロトンステアロイル基メチレン基プロトン−CH CHCOO−、グルタル酸残基メチレン基プロトン−NHCO−CH CH CHCOO−(積分値51.8)、δ 2.6〜3.0にシクロヘキサンジカルボン酸由来のメチン基プロトン(積分値10.1)を確認した。
δ 2.6〜3.0のメチン基プロトンの積分値が10.1であることから、オクタグリセロール骨格に含まれる水酸基9つのうち平均5.1個が、シクロヘキサンジカルボン酸により置換されていることを確認した。すなわち、上記式(5)で示されるk2およびk3はそれぞれ5.1および3.9であった。したがって、二塩基酸導入率は5.1/9×100=56.7%である。
実施例4:オクタグリセロールグルタリル ジステアリルホスファチジルエタノールアミン 1,2−シクロヘキサンジカルボン酸誘導体(以下DSPE−CHexPG8Gと記載する)の合成(導入率95.6%)
オクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(日油株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−PG8G)3.0g(2.06mmol)に、溶媒としてトルエン(70mL)を加えて50℃にて溶解させた。ここにシクロヘキサンジカルボン無水物8.62g(55.9mmol)、酢酸ナトリウム4.7g(55.9mmol)を加え、攪拌しながら50℃で6時間反応を行った。TLCにて新たに反応生成物のスポットが得られた事を確認し、原料であるオクタグリセロールグルタリル ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンの消失を確かめ反応を終了した。反応溶液をクロロホルム300mLにて希釈し、濾過により酢酸ナトリウムを除いた。さらに濾液を濃縮乾固して得られた結晶を、クロロホルム100mLで溶解し、ここにアセトニトリル300mLを添加して結晶を析出させた。その後上澄み液を除去し、得られた結晶をアセトニトリル300mLで二回洗浄し、乾燥することで、目的のDSPE−CHexPG8G 3.45gを得た。
実施例3と同様に、導入率を算出したところ、k2およびk3はそれぞれ8.6および0.4であった。したがって二塩基酸導入率は8.6/9×100=95.6%である。
《リポソームの調製》
実施例1〜4で得られたリン脂質誘導体を利用して、リポソームを調製した。
実施例5:EYPC/DSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)=50/50(wt)[73/27(mol)]リポソームの調製
卵黄フォスファチジルコリン(日油株式会社製、COATSOME NC−50、以下、「EYPC」と記載する)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて、濃度10mg/mlのEYPC溶液を得た。これとは別に実施例1で得られたDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて、濃度10mg/mlのDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液を得た。
上記で得られたEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液500μlを10mlナス型フラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去してEYPC/DSPE−MGluPG8G(73:27(モル比))薄膜を形成させた。
次に、水溶性蛍光色素である8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウム塩(以下、パイラニン)18.9mg、その消光剤分子であるp−キシレン−ビス−ピリジウムブロミド(DPX)23.8mg、およびリン酸水素二ナトリウム9.9mgを蒸留水0.98mlに溶解させ、さらに1N水酸化ナトリウム水溶液0.02mlを加えpH7.4にして蛍光消光水溶液を得た。この蛍光消光水溶液0.85mlを前記EYPC/DSPE−MGluPG8G薄膜を形成させたナス型フラスコ内に投入し、バス型超音波照射装置により30秒間超音波照射して脂質膜を分散させ分散液を得た。この分散液に対して凍結−融解処理を三回行うことで、リポソームを形成させた後に、孔径100nmのポリカーボネート膜を装着したエクストルーダー処理を行ってリポソームの粒子径を100nmに揃えた。これをアガロースゲル(GEヘルスケアジャパン株式会社製、グルタチオンセファロース4B)を充填させたカラムにより精製し、パイラニンおよびDPX内包EYPC/DSPE−MGluPG8G(73:27(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.87mmol/lであった。
実施例6:EYPC/DSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)=75/25(wt)[89/11(mol)]リポソームの調製
実施例5に記載のEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液500μlの溶液量を、EYPC溶液750μl、DSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液250μlにそれぞれ変更し、EYPC/DSPE−MGluPG8G(89:11(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例5に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−MGluPG8G(89:11(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ4.32mmol/lであった。
実施例7:EYPC/DOPE/DSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)=25/25/50(wt)[36/38/26(mol)]リポソーム液の調製
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(日油株式会社製COATSOME ME−8181、以下DOPC)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度10mg/mlのDOPE溶液を得た。
実施例5に記載のEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液500μlの代わりに、EYPC溶液250μl、DOPE溶液250μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液500μlを用いて、EYPC/DOPE/DSPE−MGluPG8G(36:38:26(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例3に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DOPE/DSPE−MGluPG8G(36:38:26(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ 1.69mmol/lであった。
実施例8:EYPC/DSPE−MGluPG8G(導入率100%)=45/55(wt)[73/27(mol)]リポソームの調製
実施例2で得られたDSPE−MGluPG8G(導入率100%)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて、濃度10mg/mlのDSPE−MGluPG8G(導入率100%)溶液を得た。
実施例5に記載のEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液500μlの代わりに、EYPC溶液450μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率100%)溶液550μlを用いて、EYPC/DSPE−MGluPG8G(73:27(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例5に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−MGluPG8G(73:27(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.16mmol/lであった。
実施例9:EYPC/DSPE−MGluPG8G(導入率100%)=71/29(wt)[89/11(mol)]リポソームの調製
実施例5に記載のEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率58.9%)溶液500μlの代わりに、EYPC溶液710μlおよびDSPE−MGluPG8G(導入率100%)溶液290μlを用いて、EYPC/DSPE−MGluPG8G(89:11(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例5に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−MGluPG8G(89:11(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ2.48mmol/lであった。
実施例10:EYPC/DSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)=74/26(wt)[89/11(mol)]リポソーム液の調製
実施例3で得られたDSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度10mg/mlのDSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)溶液を得た。
実施例5に記載の濃度10mg/mlのEYPC溶液740μlおよび上記のDSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)溶液260μlを10mlナス型フラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去してEYPC/DSPE−CHexPG8G(89:11(モル比))薄膜を形成させた。次にパイラニン18.9mg、DPX 23.8mg、リン酸水素二ナトリウム9.9mgを蒸留水に溶解させ、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0にし全量を1mlとして蛍光消光水溶液を得た。次いで前記内容以外は実施例5に記載の手順に従いパイラニン内包EYPC/DSPE−CHexPG8G(89:11(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ3.32mmol/lであった。
実施例11:EYPC/DSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)=82/18(wt)[93/7(mol)]リポソーム液の調製
実施例10に記載のEYPC溶液740μlおよびDSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)溶液260μlの溶液量を、EYPC溶液820μl、DSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)溶液180μlに変更し、EYPC/DSPE−CHexPG8G(93:7(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例10に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−CHexPG8G(93:7(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ3.32mmol/lであった。
実施例12:EYPC/DSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)=79/21(wt)[93/7(mol)]リポソーム液の調製
実施例4で得られたDSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度10mg/mlのDSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)溶液を得た。
実施例10に記載のEYPC溶液740μlおよびDSPE−CHexPG8G(導入率58.9%)溶液260μlの代わりに、EYPC溶液790μl、DSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)溶液210μlを用いて、EYPC/DSPE−CHexPG8G(93:7(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例10に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−CHexPG8G(93:7(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.91mmol/lであった。
実施例13:EYPC/DSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)=90/10(wt)[97/3(mol)]リポソーム液の調製
実施例10に記載のEYPC溶液790μlおよびDSPE−CHexPG8G(導入率56.7%)溶液210μlの代わりに、EYPC溶液900μl、DSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)溶液100μlを用いて、EYPC/DSPE−CHexPG8G(97:3(モル比))薄膜を形成させた以外は実施例10に記載の手順に従い、パイラニン内包EYPC/DSPE−CHexPG8G(97:3(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ2.61mmol/lであった。
比較例1:EYPCリポソーム液の調製
実施例5に記載のEYPC溶液500μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液500μlの代わりに、EYPC溶液1000μlをナス型フラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去してEYPC薄膜を形成させた。以降は実施例5に記載の手順に従いパイラニン内包EYPCリポソーム液を得た。得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.56mmol/lであった。
《リポソームのpH応答性測定試験》
実施例5〜13および比較例1で調製したリポソームを用いて、pH応答性の測定試験を行った。
実施例14:実施例5で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液にリン酸緩衝生理食塩水(以下「PBS」と記載)を加えてリポソームの脂質濃度が1.6mmol/lになるように調整した。石英セルに、1N塩酸で所定のpHに調整したPBSを2469μl入れ、37℃においてリポソーム分散液を31μl加え、脂質濃度を20μmol/lとして15分間37℃でインキュベートした後、蛍光強度(F15min)を読み取り、また、10%トリトンX−100(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)水溶液を25μl加えて撹拌し蛍光強度(Fmax)を読み取った。
Release(%)は下記式により求めた。
実施例15:実施例6で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例6で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例16:実施例7で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例7で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例17:実施例8で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例8で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例18:実施例9で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例9で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例19:実施例10で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例10で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例20:実施例11で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例11で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例21:実施例12で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例12で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例22:実施例13で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに実施例13で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
比較例2:比較例1で得られたリポソームのpH応答性測定
実施例5で得られたリポソーム液の代わりに比較例1で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例14と同様に行い、所定のpHにおけるRelease%を測定した。
実施例14〜22および比較例2で用いたリポソーム液(それぞれ、実施例5〜13および比較例1で得られたリポソーム液に由来する)の脂質組成は、以下の各表に示すとおりである。
実施例14、実施例16、実施例22および比較例2におけるpH応答性測定の結果は、図1に示すとおりである。
その結果、比較例1のリポソームはpHに応答することなくリポソーム内の蛍光物質を放出しなかったが、実施例5、実施例7および実施例13のリポソームはいずれもpHに応答してリポソーム内の蛍光物質を放出した。特に本発明のリン脂質誘導体(1)を高い割合で含むリポソームは、低pHにおけるpH応答性を示した。
実施例14〜15、実施例17〜18および比較例2のpH応答性測定の結果は、図2に示すとおりである。
その結果、比較例1のリポソームはpHに応答することなくリポソーム内の蛍光物質を放出しなかったが、実施例5〜6および実施例8〜9のリポソームはいずれもpHに応答してリポソーム内の蛍光物質を放出した。
二塩基酸導入率58.9%において実施例14と15とを、二塩基酸導入率100%において実施例17と18とを比較した場合、同じ二塩基酸導入率ではリポソームの脂質組成が減少するほどpH応答領域が酸性側に移行した。また、脂質組成27モル%の実施例1と17とを、11モル%の実施例15と18とを比較した場合、同じリポソームの脂質組成では、二塩基酸導入率が低いほどpH応答性領域が酸性側に移行した。
実施例19〜22のpH応答性測定の結果は、図3に示すとおりである。
その結果、実施例10〜13のリポソームはいずれもpHに応答してリポソーム内の蛍光物質を放出した。
導入率56.7%において実施例19と20とを、95.6%において実施例21と22とを比較した場合、同じ導入率ではリポソームの脂質組成が減少するほどpH応答領域が酸性側に移行した。また、脂質組成7モル%の実施例20と21とを比較した場合、同じリポソームの脂質組成では導入率が低いほどpH応答領域が酸性側に移行した。
また、表2の実施例15と表3の実施例19とを比較すると、DSPE−CHexPG8GのほうがpH応答性能が強かった。
リポソーム液の細胞取り込み能測定》
本発明のリポソームが細胞への取り込み能を有することを、以下の実験により確認した。
実施例23:EYPC/DSPE−MGluPG8G=50/50(wt)+Rh−PE 0.1mol%リポソーム液の調製
卵黄フォスファチジルコリン(日油株式会社製COATSOME NC−50、以下、EYPC)100mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度10mg/mlのEYPC溶液を得た。N−リサミンローダミンBスルホニル ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(Avanti Polar Lipids Inc.社製、以下Rh−PE)10mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度1mg/mlのRh−PE溶液を得た。これとは別に実施例1で得られたDSPE−MGluPG8G 100mgをクロロホルム10mlに溶解させて濃度10mg/mlのDSPE−MGluPG8G溶液を得た。
EYPC溶液500μl、Rh−PE溶液10μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液500μlを50mlナス型フラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターでクロロホルムを減圧留去してEYPC/DSPE−MGluPG8G/Rh−PE薄膜を形成させた。次に、パイラニン18.9mg、DPX 23.8mg、リン酸水素二ナトリウム9.9mgを蒸留水0.98mlに溶解させ、さらに1N水酸化ナトリウム水溶液0.02mlを加えpH7.4にして蛍光消光水溶液を得た。
この蛍光消光水溶液0.85mlを前記EYPC/DSPE−MGluPG8G薄膜を形成させたナス型フラスコ内に投入し、バス型超音波照射装置により30秒間超音波照射して脂質膜を分散させ分散液を得た。この分散液に対して凍結−融解処理を三回行い、リポソームを形成させた後に、孔径100nmのポリカーボネート膜を装着したエクストルーダーで処理してリポソームの粒子径を100nmに揃えた。これをアガロースゲル(GEヘルスケアジャパン株式会社製、セファロース4B)を充填させたカラムにより精製し、蛍光消光水溶液内包EYPC/DSPE−MGluPG8G/Rh−PE(73:27:0.1(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.50mmol/lであった。
実施例24:EYPC/DSPE−MGluPG8G=70/30(wt)+Rh−PE 0.1mol%リポソーム液の調製
実施例23に記載のEYPC溶液500μl、Rh−PE溶液10μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液500μlの代わりに、EYPC溶液700μl、Rh−PE溶液13μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液300μlを用いてEYPC/DSPE−MGluPG8G/Rh−PE薄膜を形成させた以外は実施例23と同様の手順により、蛍光消光水溶液内包EYPC/DSPE−MGluPG8G/Rh−PE(87:13:0.1(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ1.76mmol/lであった。
比較例3:EYPC+Rh−PE(0.1mol%)リポソーム液の調製
実施例23に記載のEYPC溶液500μl、Rh−PE溶液13μlおよびDSPE−MGluPG8G溶液500μlの代わりに、EYPC溶液1000μlおよびRh−PE溶液16μlを用いてEYPC薄膜を形成させた以外は実施例23と同様の手順により蛍光消光水溶液内包EYPC/Rh−PE(100:0.1(モル比))リポソーム液を得た。
得られたリポソーム液の脂質濃度をテストワコー(和光純薬工業株式会社製)により測定したところ3.85mmol/lであった。
実施例25:実施例23で得られたリポソーム液の細胞取り込み能測定
実施例23で得られたリポソーム液にリン酸緩衝生理食塩水を加えてリポソームの脂質濃度が1mmol/lとなるよう調整した後に孔径200nmの酢酸セルロース膜を通じて希釈リポソーム液を得た。これとは別に、ハンクス生理食塩水(Hank’s Balanced Salt Solution)で2回洗浄したDC2.4細胞10万個にmedium(RPMI1640, 10% FBS)500μlを加えたものを2日間培養したものに前記希釈リポソーム液500μlを加えて温度37℃で4時間インキュベートさせることで、リポソームを細胞に取り込ませた。この後に顕微鏡観察ならびに蛍光強度をフローサイトメータ(FCM)により測定した。
リポソームを打ち込んでから15分後の蛍光強度を読み取り、Release(%)は最後にトリトンを加えたときの蛍光強度を100%として算出した。
実施例26:実施例24で得られたリポソーム液の細胞取り込み能測定
実施例23で得られたリポソーム液の代わりに実施例24で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例25と同様に行い、細胞取り込み能を測定した。
比較例4:比較例3で得られたリポソーム液の細胞取り込み能測定
実施例23で得られたリポソーム液の代わりに比較例3で得られたリポソーム液を用いた以外は実施例25と同様に行い、細胞取り込み能を測定した。
実施例25および26、ならびに比較例4で得られた細胞取り込み能の測定結果を図4および表4に示す。
本発明のリン脂質誘導体(1)を含まない比較例3のリポソームを用いた場合は、リポソーム膜由来の蛍光物質(ローダミンB)だけでなく、リポソーム内の蛍光物質(パイラニン)も細胞内に取り込まれるものは僅かであったが、本発明のリン脂質誘導体(1)を含む実施例23および24のリポソームを用いた場合は、いずれの蛍光物質も細胞内に取り込まれた。
リポソームを用いたドラッグデリバリーによる腫瘍拒絶試験》
本発明のリポソームがドラッグデリバリー能を有することを、以下の実験により確認した。
実施例27:腫瘍拒絶試験に用いるリポソーム分散液の調製
卵黄ホスファチジルコリン(EYPC)、及び実施例2に記載のDSPE−MGluPG8G(導入率100%)のクロロホルム溶液もしくは実施例4に記載のDSPE−CHexPG8G(導入率95.6%)のメタノール溶液を所定のモル比(EYPCのみ,EYPC/DSPE−MGluPG8G=69/31,EYPC/DSPE−CHexPG8G=97/3,mol/mol)になるようフラスコに取り、そこへモノホスホリルリピッドA(MPLA,Sigma)のクロロホルム溶液を4g/mol lipidsとなるよう加えた。ロータリーエバポレーターにより溶媒を減圧留去した後、高真空下に2時間置き、残存有機溶媒を除去した。
得られた混合薄膜へ、オボアルブミン(OVA,Sigma)を4mg/mlで溶解させたダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH 8.0)を4mg OVA/10μmol lipidsとなるよう加え、氷冷下でボルテックスミキサーを用いて激しく撹拌し、薄膜を剥がした。この際、適宜溶液のpHを測定し、常にpH7.4以上となるよう、必要な場合はNaOH水溶液を加えた。凍結−融解を5回行い、エクストルーダーを用いて孔径100nmのポリカーネート膜を通し、リポソームの粒径を揃えた。
ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH 7.4)で平衡化したSepharose 4Bカラムに通し、リポソームを精製した後、テストワコーCにより脂質濃度を定量した。また脂質分散液中のOVA濃度は、脂質分散液40μlに対して、60μlの2−イソプロパノールを加え、リポソームを溶解させた分散液について、Coomassie Protein Assay Kit(Pierce)を用いて定量した。Optima TLX(Beckman coulter)を用いて55000rpmで氷冷下3時間遠心し、100μg OVA/100μlとなるようにバッファーを加え、リポソーム分散液の濃度を調整した。
実施例28:リポソーム分散液によって免疫感作されたマウスの腫瘍拒絶試験
7週齢のC57BL/6雌マウスはオリエンタル酵母工業株式会社より購入した。マウス背部皮下に、マウス一匹当たり100μgでOVA/100μlの実施例27で得られたリポソーム分散液、OVA/PBS溶液を一週間毎に2回加えた。1週間後、OVA発現がん細胞E.G7−OVA細胞を、背部皮下に10/mouceとなるよう投与し、腫瘍の成長の経時変化をモニターした。腫瘍体積は、以下の式より求めた。
また、未処理のマウスに対しても、E.G7−OVA細胞を播種し、腫瘍成長のコントロールとして用いた。
腫瘍拒絶試験の結果は、図5に示すとおりである。
その結果、EYPC、EYPC/DSPE−MGluPG8G=69/31、EYPC/DSPE−CHexPG8G=97/3の3つのリポソーム分散液を比較して、本発明のリン脂質誘導体(1)を含むEYPC/DSPE−MGluPG8G、EYPC/DSPE−CHexPG8Gにおいて腫瘍が増大しない結果を与え、皮下免疫により腫瘍が拒絶されることが分かった。特にEYPC/DSPE−CHexPG8Gにおいては腫瘍が完全に拒絶された。
本発明のリポソームは、エンドソーム膜と効率よく融合し、リポソーム内の内包物を細胞質中に効率良く移行させることができることから、公知の薬物担体よりも向上された細胞導入率を示す。
本発明のpH応答性リポソームは、病巣部位で膜融合性を発現することができ、病患部もしくは細胞内への薬物導入を効率よくかつ安全に行うことができる。したがって、薬理的活性物質、生理的活性物質または診断用物質を封入した本発明のpH応答性リポソームは、治療および診断目的のDDSおよびワクチンとして有用である。
本出願は、日本で出願された特願2009−260398(出願日:2009年11月13日)を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)

    (式中、
    およびRは、それぞれ独立して、炭素数8〜24のアシル基または炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基を示し、
    は、炭素数2〜12で分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基を示し、
    aは、0〜5の整数を示し、
    Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を示し、
    PGは、ポリグリセリン由来の残基を示し、k1は、2〜50の整数を示し、k2≧k3、k2+k3=k1+1及びk2/(k2+k3)×100≧67を満たす)
    で示されるリン脂質誘導体。
  2. およびRが、それぞれ独立して、炭素数12〜20のアシル基もしくは炭素数12〜20の脂肪族炭化水素基である、請求項1に記載のリン脂質誘導体。
  3. が、炭素数3〜8で分岐鎖状または環状の、二価の炭化水素基である、請求項1または2に記載のリン脂質誘導体。
  4. が、2−メチルプロピレン基、または1,2−シクロヘキセン基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリン脂質誘導体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のリン脂質誘導体を含んでなる、リポソーム。
  6. pH応答性である、請求項5に記載のリポソーム。
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