JP5737088B2 - 燃料電池冷却液の温度及び流量制御装置 - Google Patents
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Description
図1に示す燃料電池搭載車両100には、複数の単一燃料電池セルを直列接続で積層してなる燃料電池スタック1が搭載されており、この燃料電池スタック1は、水素タンク4a、4bから水素管7を通して供給される水素と、空気管8を通して供給される酸素とを化学反応させることにより電力を発生するように構成されている。燃料電池スタック1の発生電力は、インバータ4を介してモータ3を回転駆動し、該モータ3に直結されている前輪6aを回転駆動するようになっている。なお、インバータ4には電力回線9を介して二次電池5が連結され、該二次電池5によりインバータ4に電力が供給され、あるいはインバータ4から二次電池5に電力が供給されるようになっている。
このような燃料電池冷却液は、燃料電池スタック1内を連通して流れており、燃料電池冷却液に導電性があると、電池の短絡や漏電のおそれがあるため、燃料電池冷却液には、イオン交換水(導電率は1μS/cm以下)や低導電性不凍液(例えば、導電率10μS/cm以下)が用いられている。
さらに、燃料電池冷却液は、グリコールの熱劣化による有機酸生成や冷却系部品材料からのイオン溶出により導電率が上昇するため、冷却液系統中にイオン交換樹脂を設置してイオンを除去し、導電率値による冷却液の管理を行っている。
(2)燃料電池冷却液の流量制御は、燃料電池の冷却を主目的とした燃料電池冷却液の温度管理がなされるため、イオン交換樹脂の最適使用温度よりも通液温度が高くなり、熱劣化によりイオン交換樹脂の寿命が短縮される可能性が高い。
すなわち、イオン交換樹脂としては、マクロポーラス型やゲル型のものが使用されているが、特に陰イオン交換樹脂はマクロポーラス型、ゲル型のいずれの場合も高熱に弱く、従って60℃以下での使用が推奨されている。
また、常時、空間速度を20〜50の範囲での最低流量に保持することができる。
さらに、イオン交換器内のイオン交換樹脂に通液する燃料電池冷却液の温度を低下させることができ、これによりイオン交換樹脂の熱劣化を効果的に防止できる。したがって、イオン交換樹脂の寿命を延ばすことが可能となり、ランニングコストを低減させることができる。
図1に示されるように、固体高分子型(PEM型)燃料電池を用いた燃料電池搭載車両100においては、燃料電池スタック1の発熱反応による温度上昇を抑えるため、燃料電池スタック1内にポンプで燃料電池冷却液、つまり、グリコール系冷却液(例えば、エチレングリコール/純水/インヒビタ混合溶液、初期導電率=2μS/cm)を循環させ、燃料電池スタック1と冷却液入口管11及び冷却液出口管10を介して連結されたラジエータ2の放熱によって、燃料電池スタック1の作動温度が80℃程度の最適温度となるように燃料電池冷却液の流量制御を行っている。
必要放熱量Q(W)=燃料電池冷却液の流量(m3/s)×比熱(J/kg・K)×密度(kg/m3)×ラジエータ出入口温度差(ΔK)
なお、図1に示す燃料電池搭載車両100の他の構成は、従来技術の項で述べたものと同様である。
かかる燃料電池冷却液は、燃料電池スタック1内を連通して流れており、燃料電池冷却液に導電性があると、電池の短絡や漏電の可能性があるため、燃料電池冷却液には、イオン交換水(導電率は1μS/cm以下)や低導電性不凍液(例えば導電率10μS/cm以下)が用いられている。
また、車両走行直後等の燃料電池冷却液の温度が高い(例えば70℃以上)ときには、第1の流量制御弁13により第1のバイパス管19には燃料電池冷却液を流さず、ラジエータ2側のみに燃料電池冷却液を流すように設定されている。
このイオン交換器15には、イオン交換樹脂が交換器本体のハウジング内に密封充填されているが、この密封充填物の圧力損失が高いため、燃料電池冷却液系統つまり燃料電池入口管11の系統には設置できず、燃料電池冷却液系統の第2のバイパス管20に設置されている。なお、第1の流量制御弁13及び第2の流量制御弁14としては、電磁式三方流量制御弁が用いられている。
すなわち、燃料電池冷却液の熱劣化による有機酸生成や冷却系部品からのイオンの溶出により燃料電池冷却液の導電率が設定値(例えば、5μS/cm)以上になった場合には、第2の流量制御弁14により第2のバイパス管20及びイオン交換器15に燃料電池冷却液を流し、イオン交換樹脂により燃料電池冷却液中のイオンを除去するように設定されている。
なお、導電率が設定値(例えば、5μS/cm)以下の場合は、第2の流量制御弁14により第2のバイパス管20を閉じ、第2のバイパス管20及びイオン交換器15に燃料電池冷却液を流さず、ラジエータ2側のみに燃料電池冷却液を流すように設定されている。
空間速度SV=イオン交換器15への燃料電池冷却液の流量(Q1)/イオン交換器15の容量(W0)
すなわち、イオン交換樹脂容量設定部17においては、イオン交換器15のイオン交換樹脂容量(W0)を例えば300mLに設定する。そして、冷却液量算出部18では、そのときの第2の流量制御弁14の開度からイオン交換器15に供給される燃料電池冷却液の量(Q1)を算出する。
また、空間速度算出部16では、上記式により空間速度SV(イオン交換器15への燃料電池冷却液の流量(Q1)/イオン交換器15の容量(W0))を算出する。
空間速度設定部21では、かかる空間速度SVの適正値を、予めSV=20〜50となるように設定する。
また、空間速度コントローラ231は、イオン交換器15に供給される燃料電池冷却液の導電率が極端に高い場合(例えば数十μS/cm)には、燃料電池保護の観点から第2のバイパス管20への通液量を多くするため、SV=50となるような流量制御を行う。
さらに、イオン交換器15に供給される燃料電池冷却液の冷却液温度は低いが、導電率が高い場合には、早期暖気およびポンプ動力低減の観点から第2のバイパス管20への通液量がSV=20になるような流量制御を行う。
第1の流量制御弁13は開で燃料電池冷却液の循環流量=必要最低流量、
ラジエータ2側は閉となりラジエータ2側の流量はゼロ(0)
第2の流量制御弁14は閉で、燃料電池冷却液のイオン交換器15側の流量=ゼロ(0)
(2)温度測定値T<70℃と変わらず、導電率測定値U>5μS/cmと多くなったとき、
第1の流量制御弁13は開で、燃料電池冷却液の循環流量=必要最低流量、ラジエータ2側は閉となりラジエータ2側の流量はゼロ(0)
第2の流量制御弁14は開で、燃料電池冷却液のイオン交換器15側の流量は、SV=20〜50の範囲での最低流量
(3)温度測定値T>70℃と上昇し,導電率測定値U<5μS/cmのように小さくなったとき、
第1の流量制御弁13は閉で燃料電池冷却液の循環流量=ゼロ(0)
ラジエータ2側は開となりラジエータ2側の流量=必要最低流量
第2の流量制御弁14は閉で、燃料電池冷却液のイオン交換器15側の流量=ゼロ(0)
(4)温度測定値T>70℃と上昇し,導電率測定値U>5μS/cmも大きくなったとき、
第1の流量制御弁13は閉で燃料電池冷却液の循環流量=ゼロ(0)
ラジエータ2側は開となりラジエータ2側の流量=必要最低流量
前記第2の流量制御弁14は開で、燃料電池冷却液のイオン交換器15側の流量は、SV=20〜50の範囲での最低流量
燃料電池スタック1の作動温度は80℃程度、燃料電池冷却液の温度も80℃程度であるため、燃料電池冷却液をそのままイオン交換器15に通液すると、イオン交換樹脂を熱劣化させることになる。そのため、本実施形態の燃料電池冷却系統では、イオン交換器15への導入管部分に放熱部31を設けて、燃料電池冷却液の温度を低下させるように構成されている。
放熱部31としては、アルミニウム等の熱伝導率が高い材質の配管に放熱フインを設ける手段、あるいは放熱部にベルチェ素子を貼り付ける手段等がある。
・前提条件:イオン交換樹脂容量=500mL
SV=20設定時流量=0.16L/min
SV=50設定時流量=0.4L/min
流路:燃料電池スタック1出口→第1の流量制御弁13→第1のバイパス管19→第2の流量制御弁14→第2のバイパス管20→イオン交換器15→燃料電池スタック1入口
燃料電池冷却液流量:1L/min程度
第1の流量制御弁13:主流路全閉、第1のバイパス管19側全開→可能
第2の流量制御弁14:主流路、第2のバイパス管20側を分流比率制御→可能
Sv=20設定時:主流路流量0,84L/min、第2の流量制御弁14側流量0.16L/min
SV=50設定時:主流路流量0,6L/min、第2の流量制御弁14側流量0.4L/min
・第2の流量制御弁14に分解能0.2%以下の性能を持つ三方流量制御弁を使用することで実現可能
流路:燃料電池スタック1出口→第1の流量制御弁13→ラジエータ2→第2の流量制御弁14→第2のバイパス管20→イオン交換器15→燃料電池スタック1入口
燃料電池冷却液流量:80L/min程度
第1の流量制御弁13:主流路全開、第1のバイパス管19側全閉→可能
第2の流量制御弁14:主流路、第2のバイパス管20側を分流比率制御→可能
SV=20設定時:主流路流量78.84L/min、第2の流量制御弁14側流量0.16L/min
SV=50設定時:主流路流量79.6L/min、第2の流量制御弁14側流量0.4L/min
第2の流量制御弁14に分解能0.2%以下の性能を持つ三方流量制御弁を使用することで実現可能
以上のように、SVの適正値をSV=20〜50とした本発明の実際のシステムにおいて、実現可能であった。
2 ラジエータ
3 モータ
4 インバータ
4a,4b 水素タンク
5 二次電池
7 水素管
8 空気管
10 冷却液出口管
11 冷却液入口管
12 導電率測定部
13 第1の流量制御弁
14 第2の流量制御弁
15 イオン交換器
16 空間速度算出部
17 イオン交換樹脂容量設定部
18 冷却液量算出部
19 第1のバイパス管
20 第2のバイパス管
21 空間速度設定部
22 冷却液温度測定部
21 空間速度設定部
23 コントローラ
31 放熱部
210 ポンプ
220 モータ
231 空間速度コントローラ
SV 空間速度
Q1 イオン交換器への燃料電池冷却液の流量
W0 イオン交換器の容量
Claims (1)
- 燃料電池と、該燃料電池を冷却する燃料電池冷却液の放熱を行うラジエータと、前記燃料電池の出口と前記ラジエータとを接続する冷却液出口管と、前記ラジエータと前記燃料電池の入口とを接続する冷却液入口管とを備えた燃料電池冷却液の温度及び流量制御装置において、
前記冷却液出口管から分岐し、前記冷却液出口管と前記冷却液入口管とを前記ラジエータの上流側で短絡して接続する第1のバイパス管と、前記冷却液出口管に設けられ、前記冷却液出口管内の前記燃料電池冷却液を前記第1のバイパス管を通して前記冷却液入口管に流すように制御される第1の流量制御弁と、前記冷却液入口管の流路の一部が前記冷却液入口管から分岐して迂回する第2のバイパス管と、該第2のバイパス管に設けられたイオン交換器と、前記冷却液入口管と前記第2のバイパス管との分岐部に設けられ、前記冷却液入口管内の前記燃料電池冷却液を前記第2のバイパス管を通して前記イオン交換器に流すように制御される第2の流量制御弁とを備え、
前記冷却液入口管の前記第2のバイパス管の合流部よりも下流側には、前記燃料電池冷却液の温度を検出する冷却液温度測定部と、前記燃料電池冷却液の導電率を検出する導電率測定部が設置され、
前記冷却液温度測定部によって検出された前記燃料電池冷却液の温度が所定の温度未満であるとき、前記冷却液出口管内の前記燃料電池冷却液を前記第1のバイパス管を通して前記冷却液入口管に流すように前記第1の流量制御弁を制御し、前記導電率測定部によって検出された前記燃料電池冷却液の導電率が所定の導電率を超えるとき、前記燃料電池冷却液の空間速度が所定値範囲内となるように、前記第2の流量制御弁によって前記イオン交換器への前記燃料電池冷却液の流量を制御する空間速度コントローラを備え、
前記第2のバイパス管の前記イオン交換器の上流側には、前記燃料電池冷却液の温度を降下させる放熱部が設けられていることを特徴とする燃料電池冷却液の温度及び流量制御装置。
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