JP5736896B2 - 疲労予き裂の導入方法 - Google Patents

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本発明は、疲労予き裂の導入方法、特に、スポット溶接された鋼板の溶接継手のナゲット部における、破壊靭性値の測定に供するに好適の、破壊靭性試験片を作製するために必須となる適切な疲労予き裂を導入する方法に関するものである。
近年、地球温暖化を防止する措置として、自動車のCO排出ガスを抑制する動きが高まっている。併せて、石油資源の枯渇が危惧されていることから、自動車の燃費向上が求められている。両者の問題を解決するためには、車体重量の軽量化が必須であるため、自動車の主要部材には、590MPa以上の引張強度を有する高強度薄鋼板を使用する頻度が増えている。
一方、自動車構造における溶接の大半はスポット溶接である。上記のような高強度薄鋼板においては、引張強度を向上させるために、C、Si、Mn等の元素の添加量を増加させている。しかし、このような元素の添加量を増加させると、例えば、JIS Z3137に規定される静的な十字引張力(Cross Tension Strength:以下、「CTS」と示す)が低下することが知られている。これは、上記元素の添加量を増加させると、溶接継手のナゲット領域(以下、「ナゲット部」と称する)が硬化し、その破壊靱性値が低下するためと考えられる。このナゲット部の破壊靭性値の低下により界面破断が発生しやすくなり、CTSが低下するのである。このため、ナゲット部の破壊靱性値を定量化する試験方法の確立や、この試験に供するナゲット部の破壊靱性試験片の製造方法の確立が希求されている。
これまで、スポット溶接継手の破壊靭性値については、様々な研究が報告されている。例えば、非特許文献1および2において、疲労強度は、鋼板強度、板厚、ナゲット径および溶接継手の形式に依存せず、混合モードを考慮した折線方向応力最大説を前提としたパラメータ:ΔKθmaxによりほぼ整理される、と結論づけられている。
しかし、非特許文献2に記載されているように、き裂は、必ずしもナゲット部ではなく、溶接継手の熱影響領域(以下、「HAZ部」と示す)や母材に進展している場合が多く、ナゲット部の破壊靭性値の測定に最適な、ナゲット部をほぼ直進するき裂のΔKθmaxについては明らかではない。また、ΔKθmaxは有限要素法(Finite Element Method:以下、「FEM」と示す)に基づく解析により得られる値であり、その計算には膨大な時間とコストがかかる。
一方、特許文献1には、母材の引張強度、試験片幅、板厚、ナゲット径等により破断強度パラメータを求め、有限要素解析(以下、「FEM解析」と示す)により、破断強度パラメータをクライテリオンとして、CTSを予測する方法について記載されている。
しかし、破断強度パラメータは、各種要因(母材の引張強度、試験片幅、板厚、ナゲット径等)のフィッティングにより求めたものであり、多分に経験的なパラメータであると言え、ナゲット部そのものの破壊限界値を求める手法とは言い難い。また、FEM解析には膨大なる時間とコストがかかる。
同様に、特許文献2には、母材引張強度、板厚、全伸び、試験片幅、ナゲット径などから求めた破壊ひずみパラメータをクライテリオンとして、FEM解析によりCTSを予測する方法について記載されている。
しかし、破壊ひずみパラメータを求めるには、経験的に求めた種々の補正係数が必要であり、特許文献1に記載された技術と同様に、ナゲット部そのものの破壊限界値を求める手法とは言い難い。また、FEM解析には膨大なる時間とコストがかかる。
その他、非特許文献3〜5に記載されているように、混合モードの応力拡大係数範囲やJ積分範囲を指標として疲労強度を予測する技術があるが、これらのパラメータは、溶接継手の疲労強度を求める指標であり、非特許文献1および2に記載された方法と同様に、その指標がナゲット部そのものの破壊限界値を示しているとは言い難い。さらに、FEM解析には膨大なる時間とコストがかかる。
上述したように、ナゲット部の破壊靱性値を求めることができれば、自動車の構造安全性を評価でき、多大なる利点があるにも拘わらず、上記の通り、現在までに、ナゲット部の破壊靱性値を直接的に求める方法は存在していないのが実状である。それ以前に、ナゲット部の破壊靱性値を定量的に測定するための破壊靱性試験片についても、その詳細な製造方法は確立されていない。特に、破壊靭性試験片に、破壊靭性値の測定に必要な、疲労予き裂を導入する際に必要となる応力拡大係数や引張荷重の最大値を、FEM解析を行うことなしに求めることは困難であり、FEM解析に変わる手段が希求されていた。
特許第4150383号公報 特開2007−304005号公報
スポット溶接継手疲労強度データ集、(社)自動車技術会 結城良治 他、「スポット溶接継手の疲労強度の破壊力学的解析・評価」、日本機械学会論文集(A編)、51巻、467号、pp.1772−1779、1985 S.Zhang,"Stress intensities at spot welds", International Journal of Fracture, 88,pp.167−185,1997 M.H.Swellam et al.,"A fatigue design parameter for spot welds",Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures,Vol.17,No.10,pp.1197−1204,1994 P.C.Wang and K.W.Ewing,"A J−integral approach to fatigue resistance of a tensile−shear spot weld", SAE Technical Paper Series 880373,1988
本発明の目的は、例えば、高強度薄鋼板のスポット溶接継手に、ナゲット部の破壊靭性値の測定に好適な疲労予き裂を導入する方法について提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討を行った。まず、FEM解析により、種々の引張強度、板厚ならびにナゲット部の直径(以下、「ナゲット直径」と示す)を有する鋼板のスポット溶接継手において、疲労予き裂が進展する際の開口モード(モードI)の応力拡大係数の最大値KImaxおよび引張荷重の最大値Pmaxを求めた。得られた結果を詳細に検討した結果、ナゲット部内を直進する疲労予き裂を導入するためには、開口モード(モードI)の応力拡大係数の最大値:KImaxが、15[MPa・m1/2]以下を満足することが肝要であることを見出した。更に、KImaxとPmaxとの間には線形の関係があり、溶接された鋼板に負荷する引張荷重は、上記範囲のKImaxを設定することにより得られるPmaxを上限とすることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち、本発明の疲労予き裂の導入方法は、鋼板を板厚方向に複数枚重ね合わせて鋼板相互をスポット溶接し、該スポット溶接継手の鋼板板厚方向に引張荷重を繰り返し負荷して溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入するに当たり、前記引張荷重は、前記ナゲット部の直径、開口モードの応力拡大係数の最大値および前記鋼板の厚みから決定される値を上限とし、前記開口モードの応力拡大係数の最大値K Imax は15[MPa・m 1/2 ]以下であり、前記引張荷重の上限P max [N]は、下記の式(A)に従うことを特徴とするものである。

ただし、
ここで、ND:前記ナゲット部の直径[mm]、t:前記鋼板の厚み[mm]、H:0.05〜0.15の任意の定数である。
また、本発明の疲労予き裂の導入方法において、前記応力拡大係数を2[MPa・m1/2]以上10[MPa・m1/2]以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の疲労予き裂の導入方法。
本発明によれば、FEM解析を行うことなく疲労予き裂を導入するための引張荷重の最大値を容易に求めることができ、破壊靭性値の測定に供するに好適の、破壊靭性試験片を作製するために必須となる適切な疲労予き裂を溶接継手のナゲット部に導入することができる。
疲労荷重の上限値とナゲット部の直径と板厚との積と、モードIの応力拡大係数との関係を示す図である。 ナゲット部の直径と板厚との積と、図1における直線の傾きαとの関係を示す図である。 (a)十字形引張疲労試験片の模式図、および(b)疲労予き裂導入後の溶接継手のナゲット部の断面観察結果である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明の溶接継手への疲労予き裂の導入方法は、複数枚の鋼板を板厚方向に重ね合わせて鋼板相互をスポット溶接し、該スポット溶接継手の鋼板板厚方向に引張荷重を繰り返し負荷して溶接継手のナゲット部に予き裂を導入する。その際、引張荷重は、ナゲット部の直径、開口モードの応力拡大係数の最大値および鋼板の厚みから決定される値を上限とすることが肝要である。この引張荷重の上限Pmax[N]は、開口モードの応力拡大係数の最大値KImax:15[MPa・m1/2]以下において、下記の式(1)に従う。
ただし、
ここで、ND:溶接継手のナゲット部の直径[mm]、t:鋼板の厚み[mm]、H:0.05〜0.15の任意の定数である。
従来、ナゲット部の破壊靭性値の測定に好適な、ナゲット部内を直進する疲労予き裂を溶接継手に導入するための指針は存在しなかった。また、引張荷重の最大値Pmaxは、上述のようにFEM解析を行って求める必要があり、時間およびコストの上昇を招いていた。そこで発明者らは、鋭意検討した結果、ナゲット部内を直進する疲労予き裂を導入するためには、開口モード(モードI)の応力拡大係数の最大値:KImaxが、15[MPa・m1/2]以下を満足することが肝要であることを見出したのである。更に、PmaxおよびKImaxは、上記式(1)に示す線形の関係があり、上記範囲内にあるKImaxが設定されれば、溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入するための引張荷重の最大値PmaxをFEM解析なしに求めることができることを見出したのである。以下、この知見を得るに至った実験結果について説明する。
発明者らは、FEM解析により、種々の引張強度:TS、板厚:tならびにナゲット直径:NDを有する十字形引張疲労試験片について、モードIの応力拡大係数の最大値KImax[MPa・m1/2]および引張荷重Pmax[N]を求めた。FEM解析は、スポット溶接継手の1/4軸対称ソリッドモデルを作製し、ABAQUS(Ver.6.9.2)にて行った。このモデルでは、コロナボンドをき裂と仮定し、また、治具で固定されている部分を剛体と仮定した。そして、継手の一方を固定して、他方に静的な強制変位を与えて解析した。その際、入力したS−Sカーブは、母材のS−Sカーブから、硬さ比(HAZ部又はナゲット/母材)でYS、TSおよび一様伸びを変化(硬さ比が上昇すると、YSおよびTSが増加し、一様伸びは減少する。また、硬さ比が減少すると、YSおよびTSが低下し、一様伸びが増加する)させたものとした。また、応力拡大係数は、き裂(コロナボンド)先端のJ積分値から換算した値とした。得られた応力拡大係数は、例えば、非特許文献1に示された値と同等であることが確認された。なお、このFEM解析は、上記ABAQUSばかりでなく、MARC等の汎用ソフトを用いて行うこともできる。
得られた結果を詳細に検討した結果、KImaxが15[MPa・m1/2]を超えると、疲労予き裂がHAZ部内へ進展したり、溶接継手が破断したりすることが明らかとなった。従って、破壊靭性値の測定に供するに好適の、破壊靭性試験片を作製するために必須となる適切な疲労予き裂を導入するためには、KImaxが15[MPa・m1/2]以下を満足することが肝要となるのである。
更に解析を進めたところ、KImaxおよびPmax×ND×tは、図1に示すように、線形の関係にあることが分かった。即ち、KImaxが決定されれば、溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入するための引張荷重の最大値Pmaxが求まるのである。
この直線の傾きαについて詳細な検討を重ねた結果、ND×tを横軸に、αを縦軸にプロットすると、図2のようになり、ND×tとαとの間には式(2)に示す関係があることが分かった。ここで、式(2)における係数Hは、0.05〜0.15の範囲の値である。この値は、上述のように、種々の引張強度:TS、板厚:tならびにナゲット直径:NDを有する鋼板を用いたFEM解析から得られており、現在の高強度薄鋼板のスポット溶接継手においては、係数Hの値は0.05〜0.15の範囲から逸脱することはないと考えられる。
以上の知見から、15[MPa・m1/2]以下のKImaxを設定すれば、上記式(1)および(2)から引張荷重の最大値Pmaxが求まり、得られたPmaxを上限として鋼板の溶接継手に引張荷重を繰り返し負荷することにより、ナゲット部の破壊靭性値の測定に好適な、ナゲット部内を直進する疲労予き裂を溶接継手に導入することができるのである。以下、疲労予き裂を導入する際の各要件について説明する。
ナゲット部内を直進する適切な疲労予き裂を導入する方法は、JIS Z 3138に準拠した十字形引張疲労試験の場合、応力拡大係数の最大値KImax、引張荷重の最大値Pmax、板厚t、およびナゲット直径NDが、上記した式(1)の関係を満足するのであれば、特に限定されない。即ち、上記方法以外に、ナゲット部に疲労予き裂を導入する方法として、各種曲げ疲労試験、引張疲労試験などがあるが、引張荷重の最大値が、ナゲット部の直径、開口モードの応力拡大係数の最大値、鋼板の厚みと関連性を有していれば、本発明の範囲内にあることに注意する。
溶接継手のナゲット部に導入される疲労予き裂の長さ:a[mm]は、任意に設定することができ、溶接継手に疲労予き裂の導入を、以下の式(3)から求まる疲労予き裂を導入する回数:Nだけ繰り返すことにより、長さa[mm]の疲労予き裂を導入することができる。
ここで、Hは、0.05〜0.15の任意の定数である。また、Cおよびmは材料定数であり、それぞれ5×10−14〜1×10−11、0.67〜4.21の範囲の値をとることが明らかになっている。即ち、Cおよびmの値が上記範囲にない場合には、鋼でないことを意味する。
なお、疲労予き裂導入回数が極端に増加すると、単位時間当たりの人的あるいは実験コストの増加が顕著となるため、Nの上限は1000万回とする。
Imaxの値は、上述の通り、15[MPa・m1/2]以下とする。疲労予き裂の進展の直進性を向上させる点から、KImaxの値は、2[MPa・m1/2]以上10[MPa・m1/2]以下とすることが好ましい。
溶接された鋼板の引張強度は590[MPa]以上であることが好ましい。これは、590[MPa]未満の引張強度を有する鋼板は、従来使用されているように、CTSの低下は深刻ではなく、本発明は590[MPa]以上の引張強度を有する鋼板にとりわけ有効である。また、引張強度の上限は特に限定されないが、実用的に使用可能な2000[MPa]以下で十分である。
また、スポット溶接継手に供する鋼板の枚数は2枚以上とする。上限は特に限定されないが、溶接可能な枚数である5枚以下が好ましい。
なお、疲労予き裂を閉口させないために、応力比(荷重比)(=Pmax/Pmin)に関しては、0以上とすることが好ましい。ここで、Pminは、スポット溶接された鋼板に負荷される引張荷重の最小値である。また、応力比(荷重比)の上限は特に問わないが、1未満であることが好ましい。
こうして、FEM解析を行うことなく疲労予き裂を導入するための引張荷重の最大値を容易に求め、破壊靭性値の測定に供するに好適の、破壊靭性試験片を作製するために必須となる適切な疲労予き裂を溶接継手のナゲット部に導入することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す、種々の引張強度:TSおよび板厚:tを有する高強度薄鋼板を用いて、ナゲット直径を2√t〜7√tの間で変化させて、図3(a)に示すような、2枚重ねのJIS Z 3138に準拠する十字引張疲労試験片を作製し、室温、大気中にて、溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入した。
まず、疲労予き裂を導入するためのKImaxを設定し、式(1)から、十字引張疲労試験片に負荷する引張荷重の最大値:Pmaxを求めた。
次いで、疲労予き裂の長さ:a[mm]を設定し、表1に示した材料定数Cおよびmを用いて、上記式(3)から疲労予き裂の導入回数:Nを求めた。
その後、Pmaxを十字引張疲労試験片にN回繰り返して負荷し、溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入した。ここで、Nは1000万回を上限とした。
疲労予き裂導入後の疲労予き裂長さの実測値:a を、後に示す図3のように、ナゲット部中央において切断した断面観察から求めた。a 、および所望の疲労予き裂長さaが得られたか否かの判定結果を表1に示す。ここで、a /aが0.7以上1.3以下の場合に、所望の疲労予き裂長さaが得られたものと判定して○とし、上記範囲外にある場合には×とした。
以上の条件に従って疲労予き裂を導入したところ、表1に示すように、発明例1〜22の全ての場合について、a */aは上記範囲内にあり、所望の長さaを有する疲労予き裂を導入することができた。図3(b)は、発明例11の鋼板を用いて作製した十字引張疲労試験片に疲労予き裂を導入した後に、ナゲット部の中央で切断し、疲労予き裂の進展状況を調べた断面観察結果である。図に示すように、先鋭化された疲労予き裂がナゲット部内へ、板厚方向とほぼ垂直(長軸方向)に進展していることが分かる。即ち、本発明の疲労予き裂導入方法により、ナゲット部内に直進する疲労予き裂を導入できることが分かる。
一方、比較例1の場合には、KImaxが本発明において規定した範囲の上限を超えており、疲労予き裂を導入の際、Pmaxが大きいために溶接継手が破断し、疲労予き裂を導入することができなかった。
また、比較例2では、Cが本発明において規定した範囲の下限を下回っているため、実際に疲労予き裂を導入した際に、数十万回で疲労破壊し、疲労予き裂を導入することができなかった。
同様に、比較例3では、mが本発明において規定した範囲の下限を下回っているため、式(3)より計算されるNが1000万回を超えた。しかし、疲労予き裂を導入すると、Pmaxが大きいために数十万回で溶接継手が破断し、疲労予き裂を導入することができなかった。
比較例4では、KImaxが本発明において規定した範囲の下限を下回っているため、式(3)より計算されるNが1000万回を超えたが、1000万回行っても所望の長さaを有する疲労予き裂を導入することができなかった。
比較例5では、Cが本発明において規定した範囲の上限を超えているため、式(3)より計算されるNが2回となり、疲労予き裂を導入することができなかった。
比較例6では、mが本発明において規定した範囲の上限を超えているため、式(3)より計算されるNが135回となり、疲労予き裂を導入することができなかった。
比較例7では、Hが本発明において規定した範囲の上限を超えているため、式(3)より計算されるNが1000万回を超えており、1000万回行っても所望の長さaを有する疲労予き裂を導入することができなかった。
比較例8では、Hが本発明において規定した範囲の下限を下回っているため、式(1)より計算されるPmaxの値が大きくなり、引張荷重を負荷した直後に溶接継手が破断し、疲労予き裂を導入することができなかった。

Claims (2)

  1. 鋼板を板厚方向に複数枚重ね合わせて鋼板相互をスポット溶接し、該スポット溶接継手の鋼板板厚方向に引張荷重を繰り返し負荷して溶接継手のナゲット部に疲労予き裂を導入するに当たり、
    前記引張荷重は、前記ナゲット部の直径、開口モードの応力拡大係数の最大値および前記鋼板の厚みから決定される値を上限とし、
    前記開口モードの応力拡大係数の最大値K Imax は15[MPa・m 1/2 ]以下であり、
    前記引張荷重の上限P max [N]は、下記の式(A)に従うことを特徴とする疲労予き裂の導入方法。

    ただし、
    ここで、ND:前記ナゲット部の直径[mm]、t:前記鋼板の厚み[mm]、H:0.05〜0.15の任意の定数である。
  2. 前記応力拡大係数を2[MPa・m1/2]以上10[MPa・m1/2]以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の疲労予き裂の導入方法。
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