JP5736327B2 - 隣接する地下構造物の探査装置と探査方法 - Google Patents
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Description
例えば、両トンネルを合流させる場合、2本のトンネルを平行させて構築する場合、あるいは一時的に接近して後に離れる場合などである。
その場合に、先行したトンネルとの間隔を設計通りの距離に維持して、後行トンネルを施工することが必要である。
そのために従来は各トンネルを別々に測量してその間の距離を計算して図上で確認する方法、あるいは一方のトンネルから他方に向けてボーリングを行い探査棒を挿入して検知する方法、あるいは電磁レーダーなどによって検知する方法などが採用されている。
<1> いずれの方法であっても、掘進機が一定距離だけ前進した後に両者の位置関係を確認する方法であるから、掘進機の前進と同時にその場で瞬時に両者間の距離を知るということができなかった。
<2> 水位以下の地中では電磁波の減衰が大きく、探査できる範囲が限定される。
<3> 探査棒を挿入して当たりを取る方法は、単発的であり、探査できる距離も限られている。
<4> このように、現在では数mから数十mの範囲にある隣接シールドトンネルの位置をリアルタイムに探る方法が存在しないのが現状である。
<5> 以上の問題は既設トンネルに限らず、既設の地下構造物にシールド機を接近させる場合にも存在する問題であった。
<1> 掘進中のシールド掘進機から探査棒を突き出して隣接する地下構造物の位置を探査する単発的な方法と異なり、連続的に、かつ瞬時に探査、確認することができる。
<2> 音波の発信、受信制御や楕円を利用する演算はプログラム化することができるので、測定に人手は不要となり経済的である。
<3> 音波の音波発信器、受振器は小型軽量なので、小口径のシールド掘進機にも設置することができる。
<4> 土中音波発信器の性能は高いので、掘進するシールド掘進機と隣接地下構造物との距離が50m以上離れている場合でも探査することができる。この点で特に地下水以下の地中では減衰が大きい電磁波による探査に比較して高い利用価値がある。
<5> 隣接地下構造物が円形のシールドトンネルであればその曲率から土中音速を得て探査を行うことができるが、隣接地下構造物が駅舎、地下街などの地下構造物の場合には、土中音速を別途測定することで本発明の探査方法をそのまま利用することができる。
本発明の探査装置、探査方法は図1に示すように既設のシールドトンネルなどに接近して新たにシールド掘進機で掘進を行う場合に採用する装置、方法である。
図では既設の構造物としてシールドトンネルを例に説明するが、掘進中のシールド掘進機に隣接する駅舎、地下街、その他の地下構造物を対象として利用することができる。
シールド掘進機の外郭には、2か所に音波発信器を設置する。
この音波発信器から地中に向けて音波を発信することができる。
音波は土の中では大きな減衰を受けて、特に周波数が高いほど伝わりにくいと考えられている。
しかし実際には地中には地下水に満たされているから、完全な水中ほどではなくとも遠方まで伝播してゆく。
この音波発信器は、シールド掘進機において、想定される隣接地下構造物の存在する側に設置する。
音波発信器としては、土中での音波位置測定では低周波で大出力,かつ高耐圧(水圧)の音波発信器であることが好ましい。
そのためにマグネチック型で、深度100mの土中で探査距離100m以上の地点でも受信波形が明瞭に認識できるようなマグネチック駆動部を強化した製品が開発されているので、そのような機種を利用する。
シールド掘進機の外郭にはさらに2か所に音波受信器を設置する。
その位置も音波発信器と同様に想定される隣接地下構造物の側であり、図の実施例では前記の2か所の音波発信器よりも、外郭面で上下に離れた位置に設置してある。
この音波受信器は、前記した2か所の音波発信器から発信した音波を、2か所の音波受信器で受信するための装置である。
この音波受信器としては、例えばセラミック型、あるいがマグネチック型の受信機を採用することができる。
特に市販されているセラミック型のハイドロフォンを防護した構造のものが、あるいはマグネチック型では発振器に準じた材質と構造のものが開発されており、それらの音波受信器では、深度100mでも受信可能である。
音波発信器の発信アンプ、および受信アンプは発振器,受信器に接続するための専用の発信アンプ、受信アンプを利用する。
発信アンプとしては,本システムで使用する発信器に合わせて,周波数0.5kHz〜16kHz,最大出力振幅電圧±25V,最大出力電流10A,遅延時間40μS 以下、波形歪みの少ない直線増幅器を利用することができる。
次に上記の装置を使用して行う、隣接地下構造物の探査方法について説明する。
上記の探査装置の音波発信器の内で、図3に示すように、音波発信器1から音波を発信する。
この音波は、隣接地下構造物のどこかに衝突して2か所の音波受信器、すなわち音波受信器1と音波受信器2に到達する。
そうすれば各音波受信器ごとに発信時から受信時までの時間差、すなわち音波発信器1から隣接地下構造物に到達するまでの時間と、隣接地下構造物から音波受信器1、音波受信器2へ到達するまでの合計時間が分かる。
この時間に仮定した土中音速を掛けると、音波の往復の合計距離を出すことができる。
仮定した土中音速とは、まだその地盤での実際の土中音速が分かっていないためである。
まず音波発信器1と音波受信器1との関係から、第1の楕円を作図する。
楕円とは、平面上のある2定点である焦点からの距離の和が一定となるような点の集合から作られる曲線である。
そこで音波発信器1と音波受信器1とを焦点とすれば、図4で1a+1b=1c+1d=「音波の往復の合計距離」であるから、それらの点の集合を作れば第1の楕円を描くことができる。
ただしこの段階では、土中音速が仮定の数値であるから、第1の楕円は既設のトンネルの外面の位置を無視して勝手に描いた楕円である。
音波発信器1から発信した音波は、音波受信器2にも到達している。
そこで前記と同様に音波発信器1と音波受信器2を焦点とし、1e+1d=1g+1hの点の集合を作れば第2の楕円を描くことができる。
この第2の楕円もまた土中音速が仮定の数値であるから、第1の楕円は既設のトンネルの外面の位置を無視して勝手に描いた楕円である。
次に音波発信器2から音波を発信し、音波受信器1、音波受信器2を利用して上記と同様に第3、4の楕円の作図を行う。
これらもすべて既設のトンネルの外面の位置を無視して勝手に描いた楕円である。
隣接地下構造物が円形のシールドトンネルである場合、その外面の曲率は分かっている。
そこで上記の4つの楕円、少なくとも3つの楕円において、仮定した土中音速を変更して楕円の形状を変えてゆく。
するとある土中音速において、少なくとも前記の3つの楕円に外接する円の曲率が、隣接するシールドトンネルの外側面の曲率と一致する値を見つけることができる。
その結果、掘進中のシールド掘進機と隣接するシールドトンネルとの距離を求めることができる。
隣接地下構造物が円形のシールドトンネルではなく、地下の駅舎や地下街の外壁である場合にも本発明の探査方法を利用することができる。
その場合には別に土中音速を計測する。
その土中音速を使用して音波発信器から音波受信器までの音波の往復の距離から楕円を作図する。
すると曲率が無限大の鉛直壁面に外接する4つの楕円を作図することができるから、両者間の距離を求めることができる。
2:掘進中のシールド掘進機
3a、3b:音波発信器
4a、4b:音波受信器
Claims (4)
- 掘進中のシールド掘進機から、外面の形状の曲率が分かっている地中の既設構造物の位置を探査する装置であって、
掘進中のシールド掘進機の2か所に設けた音波発信器と、
2か所に設けた音波受信器とによって構成し、
2か所の音波発信器から発信した音波を2か所の音波受信器で受信して、仮定した音速を掛けて4つの楕円を描き、
仮定した音速を変更して楕円の形状を変えてゆき、
少なくとも3つの楕円に外接する曲率が、地中の構造物の外側面の曲率に一致する値を見つけるように構成した
隣接する地下構造物の探査装置。 - 請求項1記載の探査装置を使用し、
1か所の音波発信器からの音波を2か所の音波受信器で受信して、2か所の音波受信器での受信時刻の差を測定し、
仮定した土中音速から算出した距離で、1か所の音波発信器の点と2か所の音波受信器の点を楕円の焦点として2つの楕円を描き、
同様にして他の音波発信器からの音波を2か所の音波受信器で受信して同様に2つの楕円を描き、
前記で仮定した土中音速を変更して少なくとも前記の3つの楕円と隣接地下構造物の外側面との接触点を隣接地下構造物の外側面の曲率と一致させ、
その結果シールド掘進機と隣接する地下構造物との距離を探査する隣接する地下構造物の探査方法。 - 請求項2記載の探査方法において、
変更する土中音速は、
隣接地下構造物が円形である場合には、その外側面の曲率から得ることを特徴とする、
隣接する地下構造物の探査方法。 - 請求項2記載の探査方法において、
変更する土中音速は、別途測定した土中音速から得ることを特徴とする、
隣接する地下構造物の探査方法。
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