JP5735247B2 - 割線錠の姿勢統一化装置 - Google Patents
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Description
割線錠のなかでもスナップ(Snap)錠と呼ばれるものは、より割り易いように割線の形態を工夫したものであり、例えば、図11(a)に示すように、錠剤200の片側の面に深く幅広いV溝201を割線として設けたものが知られている。このような割線錠は、図11(b)に示すように、平面100の上に該錠剤200を置いて、割線が設けられた面を指300で押すだけで容易に割ることができる。
また、該割線錠の姿勢を区別して述べるために、割線を上側にして(即ち、割線面を上方に向けて)面上に横たわっている姿勢を「表向き」とも呼び、それとは逆向きに、割線を下側にして(即ち、割線面を下方に向けて)横たわっている姿勢を「裏向き」とも呼び、割線錠がその外周の側面にて立っている姿勢を「縦向き」とも呼ぶ。
PTPは、プラスチックシートに設けられた凹状の収容部屋に錠剤を一つ一つ収容し、アルミ箔で封をした公知のパッケージである。使用の際には、図11(c)に示すように、個々の収容部屋を外側(凸状の側)から強く押し潰すことによって、錠剤がアルミ箔を破って外部に出る。
従って、割線錠をPTPに包装するに際しては、図11(c)に示すような表裏ランダムな向きではなく、PTPの収容部屋の外側から割線面を押圧できるように、全ての割線錠の表裏を同じ向きに揃えて包装することが好ましい態様となる。よって、そのために、割線錠を表裏の向きを揃えて送り出す装置が求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、単位時間に表裏方向を統一して出力できる数(処理能力)が未だ十分ではない。また、錠剤を傷つけないようにしながらも、十分な処理量にて、割線錠の表裏方向を個別に認識し反転させる機構を構築しようとすると、装置が複雑になり、大掛かりになる。
(1)片面に割線の入った割線錠の姿勢を統一する装置であって、
割線錠が進行するように振動する帯状の通路を有し、
該通路は、少なくとも幅方向に傾斜しており、該通路の両側の縁部のうち、低い側の縁部である第一縁部には壁面が設けられ、高い側の縁部である第二縁部には壁面が無く、第二縁部を超えた割線錠が落下する構成となっており、
割線錠を割線の方向に沿って見たときの該割線錠の幅をAとし、割線の開口部の幅をBとし、通路の幅をWとして、該通路の幅は、(A/2)≦W≦〔(A+B)/2〕を満たすように決定されており、
上記構成によって、割線錠が横たわった姿勢にて該通路上を進行するとき、該割線錠の外周の側面と壁面とが接触することで該割線錠は自転しながら進行し、割線が下側にある場合には、割線が第二縁部と平行になったときに重心が移動して、該割線錠は第二縁部から落下し、割線が上側にある場合には、重心が移動することはなく、該割線錠は通路上を進行するようになっている、
姿勢統一化装置。
(2)上記通路の幅方向の傾斜の角度θ1が、20度〜30度である、上記(1)記載の姿勢統一化装置。
(3)上記割線錠の幅Aが、6.0mm〜7.0mmであり、割線の開口部の幅Bが、2.5mm〜3.5mmであるとき、
上記通路の幅Wが、〔(A/2)+0.3mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.
3mm}である、上記(1)または(2)記載の姿勢統一化装置。
(4)上記割線錠の幅Aが、6.6mm〜7.6mmであり、割線の開口部の幅Bが、2.9mm〜3.9mmであるとき、
上記通路の幅Wが、〔(A/2)+0.4mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.4mm}である、上記(1)または(2)記載の姿勢統一化装置。
(5)上記通路の局所的な区間において、壁面には、上記割線錠が微量だけ入り込むことができる窪みが設けられている、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(6)上記通路が、振動式直進フィーダー上に形成された1列以上の直線状の通路である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(7)上記通路が、振動式ボウルフィーダーの円筒状ボウル内に、該ボウルと同心状に形成された1列以上の円弧状の通路である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(8)2つの通路を1組として、複数組の通路が平行に設けられており、
各組の2つの通路は1つの壁部を挟んで平行に設けられ、かつ、それら通路は該壁部の側が第一縁部であり該壁部の側へ下るように傾斜しており、該壁部の壁面が各通路の第一縁部に設けられる上記壁面となっている、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(9)上記通路の上流側には、障害物が壁面から通路の上方へと突き出しており、
該障害物は、該障害物の下を単独で横たわった姿勢の割線錠だけが通過し得るように、通路面から所定の間隔をおいて配置された構成を少なくとも有している、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(10)上記通路の第二縁部の外側には帰還路が下方に設けられており、該帰還路上に落下した割線錠が、上記通路の入口へと戻され該通路に再び入る構成となっている、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(11)上記通路の入口には、流れてくる多数の割線錠を1つずつ通路へ導入するための漏斗状の導入部が設けられており、
該導入部は、割線錠を受け入れるための導入口と、割線錠が通路に渡るように通路の入口に接続される接続口とを有し、導入口は接続口よりも幅が広く、接続口は割線錠が横たわった姿勢にて1つだけ通過し得る幅となっている、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の姿勢統一化装置。
(12)上記通路の入口には、流れてくる多数の割線錠を1つずつ通路へ導入するための漏斗状の導入部が上記2つの通路からなる各組毎に1つ設けられており、
各組の導入部は、割線錠を受け入れるための導入口と、割線錠が上記2つの通路に渡るように2つの通路の入口に接続される接続口とを有し、
導入口は接続口よりも幅が広く、接続口は上記2つの通路の入口を包含する幅となっており、各組の壁部に接続される仕切り板が接続口の幅の中心に設けられ、該仕切り板は、接続口側から導入部の内部まで延びており、該仕切り板の導入口側の先端はテーパー状となっており、該導入部内に入った割線錠が2つの通路へと振り分けられる構成となっている、上記(8)記載の姿勢統一化装置。
(イ)図1(b)に示すように、帯状の通路1が幅方向に傾斜しており、通路1の両側の縁部のうち、低い側の縁部である第一縁部に壁面2が設けられている構成。
この構成によって、先ず、割線錠Mが横たわった姿勢にて通路1の上を進行するとき、割線錠Mは、図1(b)、(c)に示すように、壁面側(第一縁部の側)に片寄った状態となり、壁面が通路幅Wの基準面となり得る。
また、この構成によって、図1(b)、(c)に示すように、割線錠Mが横たわった姿勢にて通路上を進行するとき(同図では、紙面に垂直に紙面のおもて面から裏面へ向かう方向に進行している)、割線錠の外周の側面(外周面)Msが壁面1に接触しながら進行するため、同図に太い矢印で示すように、割線錠が自転しながら進行することになる。
割線錠が自転しながら進行するという挙動が、本発明では重要であり、これによって、各割線錠(とりわけ、裏向きの割線錠)は、下記(ロ)の構成による選別を受ける位相へと回転することができる。
(ロ)帯状の通路1の幅Wが、割線錠Mに対して特定の範囲に限定されており、図1(a)に示すように、割線錠を割線の方向に沿って見たときの該割線錠の幅をAとし、割線の開口部の幅をBとするとき、該通路1の幅Wが、次式(I):
(A/2)≦W≦〔(A+B)/2〕 (I)
を満たすように決定されている構成。
通路1の幅Wが上記式(I)を満たすように決定されていることによって、割線錠が通路上を横たわった姿勢にて進行するとき、割線錠が表向きの場合には、図1(b)に示すように、該割線錠がどのように回転しても、割線錠は裏面の中心付近で通路面と接し、重心が通路から逸脱することはない。一方、割線錠が裏向きの場合には、割線錠は、割線の両側の2点で通路面と接するが、該割線が第二縁部と平行になるまで自転すると、図1(c)に示すように、割線錠と通路との接点は壁面側の1点のみとなり、同図に細線で示すように、割線錠はバランスを崩し、第二縁部がV溝内に入り込むように傾いて、重心が第二縁部を逸脱し、該割線錠は第二縁部から外側へと落下する。
以上のように、上記(イ)、(ロ)の2つの構成が協働することで、横たわった全ての割線錠は、割線が第二縁部と平行になるまで自転し、その瞬間において、裏向きの割線錠は落下して排除され、表向きの割線錠は落下せず自転しながら通路を進行し、結果、表向きの割線錠だけを通路の出口から取り出すことができる。
先ず、割線錠をPTPの個々の収容部屋に1つずつ入れる包装工程などでは、図10(a)に示すように、割線錠が1つずつ通過し得る細い管路400を用いて、該割線錠を同じ姿勢のままPTPまでガイドする場合がある。
該管路400の断面形状は、各割線錠が1つ1つ通過できるように、割線錠の厚さと直径にクリアランスを加えたものとなっている。しかし、通常の割線錠では表裏面が球状に膨らんでいるため、各割線錠は、図10(a)に示すように、球状に膨らんだ主面を滑らせて進行方向に微量だけ傾きながら押し合った状態となり得る。
そのような状態において、表裏の向きが互いに異なった割線錠が隣り合った場合、同図の割線錠M1、M2のように割線の端部が互いに隣接していない物同士は、一点鎖線の円m1で示すように、互いの外周面同士が接触し合っており、各割線錠は元の姿勢に自由に戻ることができる。従って、管路内の流れに障害が生じることはない。
しかし、同図の割線錠M3、M4のように、割線の方向がほぼ一線上に一致し、割線の端部が互いに隣接する物同士では、割線(および該割線の両端部において割線肩部に大きく加えられた面取り)によって外周面が大きく欠落しているので、一点鎖線の円m2で示すように、割線錠M3の割線面が割線錠M4の割線面に乗り上げて互いに噛みあうように食い込み、2つの割線錠が管路内で重なり突っ張って動けない状態(ブリッジ状態)となる。
このようなブリッジ状態による割線錠の詰まりが、本発明者等が見出した上記問題である。
この問題に対して、図10(b)のM5〜M8のように、割線錠の表裏の向きを全て揃えると、各割線錠がどのように回転しても、2つの割線錠がブリッジ状態となることがそもそも無く、管路内での割線錠の詰まりが無くなる。
図1は、当該姿勢統一化装置の構成とそれによる表裏判別(裏向き排除)の原理を簡単に示した図である。同図に示すように、当該装置は、割線錠Mを送るための帯状の通路1を有している。同図の例では、通路1は、紙面に垂直に延びている。該通路1には、従来公知の振動式パーツフィーダーの推進力である送り振動(捩り振動とも呼ばれる)が振動源(図示せず)から付与され、該振動によって、割線錠は通路上を紙面のおもて側から裏面側へと移動する構成となっている。
通路1は、図1(b)に示すように、少なくとも幅方向に傾斜しており、該通路1の両側の縁部のうち、低い側の縁部である第一縁部には壁面2が設けられている。一方、高い側の縁部である第二縁部には壁面が無く、割線錠が第二縁部を超えて落下する構成となっている。
通路1の傾きと壁面の存在とによって、上記〔発明の効果〕でも述べたとおり、割線錠Mが横たわった姿勢にて通路1の上を進行するとき、割線錠Mは、図1(b)、(c)に示すように、壁面側(第一縁部の側)に片寄った状態となり、壁面が通路幅Wの基準面となる。また、その場合、割線錠Mは、自体の外周面(側面)Msを壁面に接触させながら通路1の上を進行し、よって、該割線錠は自転しながら進行することになる。
ここで、図1(a)に示すように、割線錠を割線の方向に沿って見たときの該割線錠の幅をAとし、割線の開口部の幅をBとして、本発明では、通路1の幅Wが、上記式(I)を満たすように決定されている。
以上の構成によって、裏向きの割線錠Mは、自転によって割線が第二縁部と平行になったときに、図1(c)に示すようにバランスを崩し、重心が第二縁部の外側へと移動して第二縁部から落下する。一方、表向きの割線錠Mは、自転によって割線の方向が変わっても、図1(b)に示すように、常に裏面の中心点が通路面に接しており、バランスが崩れることがなく、該割線錠は通路上を進行する。以上のように、裏向きの割線錠は排除され、表向きの割線錠だけが通路を出口まで進行し取り出される。
以下、外周形状が円形の割線錠を例として装置各部の好ましい態様や寸法を説明するが、楕円形や多角形など、自転し得る外周形状の割線錠に対しては、自転と落下が適正になるように、通路の傾きと幅を適宜修正すればよい。
V字溝の断面形状であるV字形の内側の角度αに関しては、本発明の装置は、該角度αがどのような値であっても原理上は表裏を分別し得る。V字形の内側の角度αは、90度〜110度程度が好ましく、その一例として100度±0.5度が特に好ましい。そのようなスナップ錠に対しては、本発明の装置はより精度の高い表裏分別能力を示すことができる。ただし、角度αは、最も好ましい値が1つだけ存在するというものではなく、割線の開口幅との関連によって、選別に都合のよい角度αは数多く存在する。
割線錠の幅A(=外径)は、特に限定はなく、服用することを目的とした割線錠から、割線を持ったチュアブル錠まで、該幅Aがどのような値であっても、本発明による姿勢統一化装置は、原理上、表裏を分別し得る。服用することを目的とした円形の割線錠では、一般的に、幅(=外径)Aは、5.0mm〜9.0mm程度であって、それぞれに、様々な開口幅と角度αを持った割線が設けられる。
具体的な割線錠の実例を挙げると:
〔割線錠の幅A(=外径)6.0mm〜7.0mm、割線の開口部の幅Bが2.5mm〜3.5mm、V字形の内側の角度α=90度〜110度〕、
〔割線錠の幅A(=外径)6.6mm〜7.6mm、割線の開口部の幅Bが2.9mm〜3.9mm、V字形の内側の角度α=90度〜110度〕、
といったものが存在する。これらの実例は、本発明の装置の表裏判別能力が好ましく示される種々の割線錠の中から、具体的な数値を外径とV字溝との関係を示すために抜き出した例であって、本発明の装置の対象となる割線錠を限定するものではない。
図2(b)は、図2(a)のX−X断面図であって、割線であるV字溝を部分的に拡大した断面図である。同図に示すように、本発明でいう開口部の幅とは、割線錠の中央(中心)における、V字溝の斜面の延長線と、割線面の表面の延長線との交点P1、P2間の距離である。実際の割線錠では、開口部の肩には、滑らかな曲面による面取りが施されているので、開口部の幅は、設計上の寸法を利用してもよく、実測により作図的に交点P1、P2を求め、開口部の幅を算出してもよい。
上記のような割線錠の場合に、傾斜の角度θ1が20度を下回ると、傾斜が緩やか過ぎるために、割線錠と壁面との接触力が小さくなり、割線錠の回転が不十分となり、その結果、割線が第二縁部と平行にならない場合が生じ、裏向きの割線錠が落下せず、表裏の判定精度が低下する。一方、傾斜の角度θ1が30度を上回ると、割線錠と壁面との接触力が大きくなるので割線錠の回転は得られるが、傾斜が急であり過ぎるために、裏向きの割線錠がバランスを崩しても重心が第二縁部を越え難くなり、割線内に第二縁部が嵌まり込んで落下しないという現象が多発するようになる。
尚、割線錠の各部の寸法やバランスが変わると、それに応じて好ましい傾斜角度も変化するので、取り扱う割線錠に応じて最も好ましい回転と落下が得られる傾斜角度となるように、適宜調節すればよい。
例えば、割線錠の幅A(=外径)が、上記で具体的な実例を挙げた6.0mm〜7.0mmであって、割線の開口部の幅Bが2.5mm〜3.5mmであるような割線錠に対しては、通路の幅Wは、〔(A/2)+0.3mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.3mm}が好ましい範囲である。そのなかでもさらに具体的な例を挙げると、割線錠の幅Aが6.45±0.05mmであり、割線の開口部の幅Bが3.08±0.05mmであるようなスナップ錠に対しては、通路の幅Wは、3.7mm〜4.3mmが好ましい範囲であり、3.9mm〜4.1mmがより好ましい範囲である。
また、割線錠の幅A(=外径)が、上記で具体的な実例を挙げた6.6mm〜7.6mmであって、割線の開口部の幅Bが2.9mm〜3.9mmであるような割線錠に対しては、通路の幅Wは、〔(A/2)+0.4mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.4mm}が好ましい範囲である。そのなかでもさらに具体的な例を挙げると、割線錠の幅Aが7.15±0.05mmであり、割線の開口部の幅Bが3.41±0.05mmであるようなスナップ錠に対しては、通路の幅Wは、4.2mm〜4.8mmが好ましい範囲であり、4.4mm〜4.6mmがより好ましい範囲である。
また、図3(a)に示すように、第二縁部Eから下方に向かう通路側面3は、垂直に降下する面であってもよいが、通路1が傾斜しているので、通路面と通路側面3とのなす角度θ3が鋭角となり、錠剤を傷つけるといった問題がある。よって、第二縁部のエッジの面取りのために、また、通路幅を正確な寸法に仕上げるための加工の点からも、本発明では、図3(b)に示すように、通路側面3を斜面とすることで鋭角を緩和し、角度θ3を90度程度とすることを推奨する。
尚、壁面2と斜面3とを平行な平面とすることで、壁面2を基準面とした斜面3の加工が容易となり、通路の幅を容易にかつ正確に加工することが可能になる。
前記のように、通路側面3を斜面とする場合、図3(b)に示すように、通路側面3の斜面の長さを0.5mm〜1mm程度とし、そこから垂直降下する側面4を設けるのが、全体の幅をコンパクトにする点では好ましい態様である。
このような問題を解消すべく、本発明者等が鋭意研究を行った結果、通路の局所的な区間において、壁面に、割線錠が微量だけ入り込むことができる窪みを設けることによって、割線錠の回転が促進されることをさらに見出した。
図4は、壁面の窪みの具体的な一例を示しており、割線錠は、同図の左から右へと進行している。同図に示すように、通路の特定の区間L1に窪みが設けられ、壁面2が、下り斜面21にて窪みの底へと下った後、登り斜面22にて元の壁面へと戻っている。割線錠は、この窪みに沿って、太い矢印で示すように進行コースを曲げながら進行する。
本発明の装置では通路が傾斜しているので、壁面に窪みがあると、割線錠は重力によって窪みの底(最も奥)へと下り斜面21に沿ってころがり落ち、その後、登り斜面22に沿って元の壁面2まで登ろうとする。この一連の動作において、割線錠が登り斜面22を登るときが重要であって、このときに、割線錠の回転が強力に促進される。
即ち、登り斜面22は、進行する割線錠に対して前側に接触するので、割線錠の前に立ちはだかる一種の障害物として作用する。よって、壁面2や下り斜面21では自転することなくスライド的に進行していた割線錠であっても、登り斜面22と接触すると激しく回転するようになる。
窪みの深さや登り斜面22の勾配の取り方によって、該割線錠が登り斜面22を登る間に180度程度の自転を行わせることが可能であり、その間に、割線が第二縁部と平行になり、裏向きの割線錠は落下するのである。
壁面に窪みを設ける場合、該窪みの内部の面は、平面、曲面、凹凸面であってよいが、割線錠が窪みの中で滑りながら移動したのでは、割線の方向が変わらないので、割線錠がより多く自転しながら移動するように、窪みの内面のあらさや凹凸を大きくしておくことが好ましい。
先ず、同図の第二通路と第三通路のように、1つの通路部材10に、2つの通路が1組となって平行に設けられている。この2つの通路(第二通路、第三通路)は、中央の1つの壁部を挟んで平行に設けられており、かつ、中央の壁部の側を第一縁部として、それぞれ中央の側へ下るように傾斜し、中央の壁部に、それぞれの通路の壁面2が形成されている。この態様によって、2つの通路(第二通路、第三通路)は、互いに表裏一体となって接近し、通路の製作も容易である。
さらに、同図の(第一通路と第二通路)、(第三通路と第四通路)の各組のように、2つの通路の第二縁部が向かい合っており、割線錠が落下する空間を共有している。これによって、各組の通路は、互いに向かい合って接近し、全体がコンパクトになっている。
従って、横たわった姿勢の割線錠だけを選択的に通過させる障害物を通路の上流側に配置することが好ましい。割線錠の様々な姿勢や状態のなかでも、排除の対象とすべき代表的なものは、縦向きの姿勢(またはそれに近い姿勢)のもの、および、横たわった姿勢の割線錠の上に他の割線錠が任意の姿勢にて積み重なった状態のものである。
よって、該障害物は、壁面から通路の上方へと突き出して、単独で横たわった姿勢の割線錠だけがその下を通過し得るように、通路面から所定の間隔をおいた構成を少なくとも有するものが好ましい。また、その突き出す方向や壁面からのせり出し方に変化を加えて、縦向きの姿勢のものに対しては、通路上から排除する(第二縁部から落とす)か、横たわった姿勢へと倒すように構成し、また、積み重なった状態のものに対しては、上に乗った割線錠を払い落して下のものだけを通過させるように構成するのがより好ましい態様である。
前記障害物は、板状物や棒状物などで構成してよい。
図6(a)、(b)に示すように、障害物Gは、通路部材10の壁面の上部を除去して配置され、壁面2から通路1の上方へと突き出している。同図の例では、該障害物Gは、先頭斜面5と、側面6と、下面7とを持った立体的な板状物である。先頭斜面5は、壁面から斜めに比較的急峻に張り出した斜面となっており、それに続いて、側面6が壁面2から徐々に張り出量を増している。下面7と通路1の路面とは、平行であって、横たわった姿勢にて進行する割線錠だけが1つ通過し得るよう、割線錠の厚さに適当なクリアランスを加えた間隔hをおいている。
この構成によって、図6(b)のように、縦向きの姿勢にて進行する割線錠は、先ず、壁面にもたれた状態から先頭斜面5によって壁面から離されまたは起こされ、次いで、側面6に誘導されて通路面上に倒されるか、または、第二縁部から通路の外側へと誘導されて落下する。また、積み重なった状態の割線錠では、上のものが払い落とされ、下のものだけが障害物の下を通過して先に進むことができる。その場合、上の割線錠は、例えば、下の割線錠の前方側に斜めに寄りかかったような状態であっても、先頭斜面5および側面6によって徐々に払い落とされて行くので、該障害物Gの下に食い込んで通路を塞ぐといったトラブルが抑制される。
図5の例では、通路1の第二縁部の下方には帰還路11が設けられており、該帰還路11上に落下した割線錠が、通路の入口へと戻され、該通路に再び入る構成となっている。帰還路11上を進行する割線錠の向きは、割線錠が通路の入口の方へ戻ることを示唆しているだけであって、実際の装置構成とは異なっていてもよい。
帰還路11を通路の入口に接続して、割線錠の流れをフィードバックさせるための全体的な流れの構成については後述する。
該漏斗状の導入部では、ランダムな姿勢で流れてくる割線錠同士が詰まらないように、緩やかにしだいに狭くなっていくような漏斗状とすることが好ましい。
さらに、各組の中央の壁部に接続される仕切り板9が接続口82の幅の中心に設けられている。該仕切り板9は、接続口82の側から導入部の内部まで延びており、その先端はテーパー状となっている。
詰まりを起こさせずに割線錠を通路に送り込むためには、仕切り板9によって分割された接続口の幅が重要である。この接続口の幅は、割線錠の外径や厚さによっても異なるが、概ね割線錠の直径+0.5mm〜+1.0mm程度が好ましい値である。
以上の構成によって、図7(b)に示すように、ランダムな姿勢で塊りになっている割線錠Mの集団は、該導入部8によって誘い込まれ、内部で仕切り板9によって2つの通路へと振り分けられ、詰まることなく、2つの通路内に1つずつ送り込まれる。
図8は、振動式ボウルフィーダーの円筒状ボウル内に、通路を同心状に10列形成した例を示す概略図である。また、図9は、割線錠が進行する様子を判り易く直線状に展開し、側方から見た断面図である。
これらの図の態様では、図5と同様に、通路1と帰還路11とが、上下2段に重なった構造となっており、帰還路11に落ちた割線錠が、再び、通路1に登って入る構成となっている。帰還路11は、複数の通路の下に広がる、1つの広い平面となっている。
図8に示すように、割線錠Mが、供給フィーダー(直進フィーダー)Hから大量にかつランダムに、振動式ボウルフィーダーの円筒状ボウル内に投入される。
投入された割線錠Mは、図8、図9に示すように、区間S1において、斜面を上の階(通路の高さ)まで登り、区間S2において、漏斗状の導入部によって通路へと1つずつ誘い込まれ、区間S3において、障害物Gによって縦向きの姿勢のものや重なったものが排除されて、単独で横たわったものだけが先へ進行し、区間S4において、表裏の判定を受けて、表向きのものだけが区間S5の出口へと進み、管路400内に入って、同じ方向を向いた姿勢でPTPへと送られる。
一方、通路から帰還路11へと落下した割線錠は、送り振動にて、通路の進行方向と同じ方向へと送られ、図8、図9に示すように、区間S6を進んで、前記供給フィーダーHから投入される割線錠と合流し、再び、通路内に入るべく、区間S1に向かう。
また、管路400内に入れずにオーバーフローした表向きの割線錠は、斜面を下って、区間S6へと進み、他の割線錠と合流する。
本実施例では、下記仕様の円形の片面割線錠を対象として、通路の好ましい傾斜角度を調べる実験を行った。
(割線錠の仕様)
直径6.45(誤差±0.05)mm、厚さ2.75(誤差±0.1)mm、割線のV字溝の角度100度、開口の幅3.08mm。
通路幅は、いずれも4.0mmとし、通路面と壁面とのなす角度は90度とした。また、通路面1と第二縁部の外側下方の側面3とのなす角度θ3は90度とした。
製作した各傾斜角度の通路部材10に送り振動を伝え、前記割線錠を投入し、割線錠の挙動と判定状況を観察したところ、下記の結果が得られた。
〔通路の傾斜角度15度〕:錠剤の回転が不安定であり、表裏判定ミスが多発した。
〔通路の傾斜角度20度〕:錠剤の回転が多少不安定であり、それに伴い表裏判定ミスが多少含まれていた。
〔通路の傾斜角度25度〕:錠剤の回転が安定し、それに伴い表裏判定ミスはほとんどなかった。
〔通路の傾斜角度30度〕:錠剤は回転したが、裏向きの錠剤のなかには、第二縁部のエッジに割線がはまり込んで落下しないものが含まれていた。
以上の結果から、用いた割線錠に関しては、いずれの傾斜角度でも本発明の原理に沿って表裏選別が行われるが、通路の傾斜角度は25度付近が最適であることがわかった。
本実施例では、下記仕様の円形の片面割線錠を対象として、図8および図9に示すボウルフィーダーを製作し、そこから姿勢統一されて出力された割線錠を、PTP充填機へと送り、充填テストを行ない、結果物の表裏のようすを観察した。
(割線錠の仕様)
直径7.15(誤差±0.05)mm、厚さ3.25(誤差±0.1)mm、割線のV字溝の角度100度、開口の幅3.41mm。
(装置の主要部分の仕様)
通路の幅4.5mm、通路の傾き25度。
通路面と壁面とのなす角度、通路面と第二縁部の外側下方の側面とのなす角度は、実施例1と同様に90度とした。また、通路の上流部分には図6の障害物を設け、通路の下流部分の壁面には、図4に示す窪みを設けた。
更に、前記のような表裏方向違いが極めて希少に存在したとしても、撮像カメラを用いた画像処理判定など、さらなるチェック工程を加えることによって、裏面となったPTPシートを簡単に排除することができ、表裏方向を100%統一したPTP包装品が容易に製造し得るようになる。
また、本発明の姿勢統一化装置によって、細い管路内で割線錠同士が食い込み合うブリッジ状態が無くなり、管路の詰まりが解消されるようになった。
よって、そのような目視検査においても、本願発明の装置を割線錠の供給に用いれば、表裏方向を統一した状態にて目視検査を行うことが可能になり、錠剤の割線面だけを目視する検査員、裏面だけを目視する検査員というように、検査員を専用化することにより、外観についての目視検査精度や速度が向上する事が期待できる。
また、錠剤の表面に文字等を印字する工程においても、表裏が統一されることにより、錠剤の裏面に識別番号等を印刷することが可能となり、印刷による錠剤識別の管理が飛躍的に向上する。
2 壁面
A 割線錠を割線の方向に沿って見たときの該割線錠の幅
B 割線の開口部の幅
M 割線錠
W 通路の幅
Claims (12)
- 片面に割線の入った割線錠の姿勢を統一する装置であって、
割線錠が進行するように振動する帯状の通路を有し、
該通路は、少なくとも幅方向に傾斜しており、該通路の両側の縁部のうち、低い側の縁部である第一縁部には壁面が設けられ、高い側の縁部である第二縁部には壁面が無く、第二縁部を超えた割線錠が落下する構成となっており、
割線錠を割線の方向に沿って見たときの該割線錠の幅をAとし、割線の開口部の幅をBとし、通路の幅をWとして、該通路の幅は、(A/2)≦W≦〔(A+B)/2〕を満たすように決定されており、
上記構成によって、割線錠が横たわった姿勢にて該通路上を進行するとき、該割線錠の外周の側面と壁面とが接触することで該割線錠は自転しながら進行し、割線が下側にある場合には、割線が第二縁部と平行になったときに重心が第二縁部を逸脱して、該割線錠は第二縁部から落下し、割線が上側にある場合には、重心が通路から逸脱することはなく、該割線錠は通路上を進行するようになっている、姿勢統一化装置。 - 上記通路の幅方向の傾斜の角度θ1が、20度〜30度である、請求項1記載の姿勢統一化装置。
- 上記割線錠の幅Aが、6.0mm〜7.0mmであり、割線の開口部の幅Bが、2.5mm〜3.5mmであるとき、
上記通路の幅Wが、〔(A/2)+0.3mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.3mm}である、請求項1または2記載の姿勢統一化装置。 - 上記割線錠の幅Aが、6.6mm〜7.6mmであり、割線の開口部の幅Bが、2.9mm〜3.9mmであるとき、
上記通路の幅Wが、〔(A/2)+0.4mm〕≦W≦{〔(A+B)/2〕−0.4mm}である、請求項1または2記載の姿勢統一化装置。 - 上記通路の局所的な区間において、壁面には、上記割線錠が微量だけ入り込むことができる窪みが設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。
- 上記通路が、振動式直進フィーダー上に形成された1列以上の直線状の通路である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。
- 上記通路が、振動式ボウルフィーダーの円筒状ボウル内に、該ボウルと同心状に形成された1列以上の円弧状の通路である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。
- 2つの通路を1組として、複数組の通路が平行に設けられており、
各組の2つの通路は1つの壁部を挟んで平行に設けられ、かつ、それら通路は該壁部の側が第一縁部であり該壁部の側へ下るように傾斜しており、該壁部の壁面が各通路の第一縁部に設けられる上記壁面となっている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。 - 上記通路の上流側には、障害物が壁面から通路の上方へと突き出しており、
該障害物は、該障害物の下を単独で横たわった姿勢の割線錠だけが通過し得るように、通路面から所定の間隔をおいて配置された構成を少なくとも有している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。 - 上記通路の第二縁部の外側には帰還路が下方に設けられており、該帰還路上に落下した割線錠が、上記通路の入口へと戻され該通路に再び入る構成となっている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。
- 上記通路の入口には、流れてくる多数の割線錠を1つずつ通路へ導入するための漏斗状の導入部が設けられており、
該導入部は、割線錠を受け入れるための導入口と、割線錠が通路に渡るように通路の入口に接続される接続口とを有し、導入口は接続口よりも幅が広く、接続口は割線錠が横たわった姿勢にて1つだけ通過し得る幅となっている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の姿勢統一化装置。 - 上記通路の入口には、流れてくる多数の割線錠を1つずつ通路へ導入するための漏斗状の導入部が上記2つの通路からなる各組毎に1つ設けられており、
各組の導入部は、割線錠を受け入れるための導入口と、割線錠が上記2つの通路に渡るように2つの通路の入口に接続される接続口とを有し、
導入口は接続口よりも幅が広く、接続口は上記2つの通路の入口を包含する幅となっており、各組の壁部に接続される仕切り板が接続口の幅の中心に設けられ、該仕切り板は、接続口側から導入部の内部まで延びており、該仕切り板の導入口側の先端はテーパー状となっており、該導入部内に入った割線錠が2つの通路へと振り分けられる構成となっている、請求項8記載の姿勢統一化装置。
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