JP5734598B2 - 液体加熱装置 - Google Patents

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本発明は、例えば食器洗浄機に使用される温水を加熱しておくための液体加熱装置に関する。
食器洗浄機は、洗浄液での食器洗浄後に、80℃程度の高温の温水を供給してすずぎを行うようにしている。業務用の食器洗浄機においては、そのすずぎのための温水を高温状態で溜めておくブースターと呼ばれる液体加熱装置が備えられている。
この液体加熱装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の液体加熱装置(食器洗浄機用ブースター)は、貯水槽(貯蔵湯沸部)の下方に燃焼室(ガス燃焼装置)が設けられるとともに、貯水槽の内部に燃焼室に連通する加熱室(突出部)が下方から突出するように設けられ、その加熱室に排気筒が接続されている。また、加熱室内には、複数本のフィンチューブ型の熱交換器が左右側面を貫通することにより、貯水槽に連通状態に設けられ、この熱交換器内を流通する水が、加熱室を経由する燃焼ガスとの間で熱交換して加熱される構成である。
また、特許文献2に記載の液体加熱装置は、水槽内に複数本の伝熱管が水平方向に沿って平行に設けられており、水槽下方の燃焼室で生じた燃焼ガスを伝熱管内を経由させて煙突から放出し、伝熱管の周囲の水を加熱する構成である。
特開2001−299663号公報 特開2002−243277号公報
特許文献1記載の液体加熱装置においては、水槽内の水をチューブ状の熱交換器内に流通させて加熱するものであるため、水槽内の水全体を加熱するには時間がかかる。このため、熱交換器を傾斜させて流通し易くしているが、狭い熱交換器内を流通させる構造であることには変わらず、熱交換器内の流量不足により局部的な突沸現象が生じるおそれもある。
一方、特許文献2記載の液体加熱装置は、特許文献1記載のものとは逆に、水槽内の伝熱管に燃焼ガスを流通させる構成であるから、水の突沸現象の発生防止には有効であるが、複数本の伝熱管が平行に設けられているので、これら伝熱管の間が狭い空間となり、清掃等のメンテナンスが煩雑になるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、短時間で速やかに加熱するとともに、突沸現象を生じさせることがなく、しかも清掃等のメンテナンスも容易な液体加熱装置を提供することを目的とする。
本発明の液体加熱装置は、液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の下方に設けられた燃焼室とを備え、前記燃焼室から前記貯留槽内を経由して上方に延びる排気筒を上下方向に沿って立設し、該排気筒の内壁面にフィンを設けており、前記貯留槽は、水平横断面が矩形に形成されるとともに、前記排気筒は、水平横断面が長方形をなす偏平角筒状に形成され、その長辺方向が前記貯留槽の一辺と平行に配置され、短辺方向に相互に間隔をおいて複数立設されることにより、これら排気筒の長辺方向の側面どうしが対向しており、これら側面どうしの間の空間の両端方向の前記貯留槽の一側面に給液口が設けられ、反対側面に排液口が設けられ、かつ、前記フィンは、帯状の板材を矩形波状に複数回折り曲げて形成されたフィン部材が、前記排気筒の前記長辺方向の両側面にそれぞれ固着され、前記短辺方向に突出し、前記排気筒の短辺方向の中間位置で対向していることを特徴とする。
この液体加熱装置は、排気筒が貯留槽内を上下方向に沿って立設され、その内壁面にフィンが設けられた構成であるから、排気筒の外周面が平坦で、その周囲の空間が上方に開放状態とされる。したがって、排気筒の周囲に貯留される液体の対流が阻害されることなく、排気筒周囲の液体全体で対流が円滑に行われ、短時間で速やかに加熱される。また、上方が開放した広い空間内で加熱されるため、突沸現象の発生も確実に防止することができ、さらに、貯留槽の上方から液体貯留空間内を容易に目視点検でき、また手を入れて清掃することも容易であり、メンテナンス性にも優れる。
また、この液体加熱装置においては、矩形横断面の貯留槽内に、偏平角筒状の排気筒が並列に立設されることになり、貯留槽内の液体は、隣接する排気筒の広い側面間で速やかに加熱され、しかも、排気筒の間が上方に開放されているので、その点検、清掃等のメンテナンス作業も容易である。
さらに、偏平角筒状の排気筒の広い表面積を有する側面にフィンが設けられているから、その広い表面積の側面がフィンを介して効率的に加熱され、その周囲の液体を広い表面積で速やかに加熱することができ、極めて熱効率が高い。
本発明の液体加熱装置は、排気筒が貯留槽内を上下方向に沿って立設され、その内壁面にフィンが設けられているので、排気筒の外周面が平坦で、その周囲の空間が上方に開放状態とされて、円滑に対流を生じさせて、短時間で速やかに加熱することができるとともに、貯留液体の突沸現象の発生も防止することができ、また、点検、清掃等のメンテナンス作業も容易にすることができる。
本発明の液体加熱装置の一実施形態について一部を透視して模式的に示した斜視図である。 図1の液体加熱装置の縦断面図である。 図2のA−A線に沿う矢視図である。 図2のB−B線に沿う矢視図である。 図1の液体加熱装置に設置される排気筒の内部を透視し一部を省略して示した部分拡大図である。
以下、本発明の液体加熱装置の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図面に示した液体加熱装置1は、図示略の食器洗浄機用のブースターとして用いられるものであり、食器洗浄機に隣接して設置される。
この液体加熱装置1は、上方を開放状態としたハウジング2の内部に、その内部空間を上下二つの空間に区画する仕切り板3が設けられ、ハウジング2の下部が燃焼室4、上部が貯留槽5とされている。ハウジング2は、全体としては直方体状に形成され、横断面が矩形に形成されている。燃焼室4は、内部にバーナー6が設けられている。仕切り板3は、ハウジング2の内周面に液密に固定されており、中央部に、仕切り板3の下面を凹状に屈曲形成させることにより、上方に突出するように横断面矩形の棚部7が形成されている。ハウジング2の横断面と棚部7の横断面とはほぼ相似形の矩形に形成されている。また、燃焼室4のバーナー6は、この棚部7の下方に配置されて、棚部7の内側に燃焼ガスを送り込むようになっている。そして、この棚部7の上に、三つの排気筒8が垂直に立設されている。
これら排気筒8は、その横断面が矩形をなす偏平な角筒状に形成されており、奥行方向寸法が薄く、幅方向寸法が棚部7の幅方向寸法より若干小さい程度の幅寸法を有し、奥行方向が短辺、幅方向が長辺とされている。また、高さ寸法は、棚部7の上に立設状態でハウジング2の上端よりもわずかに上方に突出する大きさに形成されている。
また、三つの排気筒8は、その長辺方向をハウジング2の幅方向に揃え、奥行方向(短辺方向)に間隔をおいて並べられており、長辺方向の広い側面11どうしが対向するように相互に平行に配置されている。したがって、これら排気筒8の側面11の間に、対向する側面11間で挟まれた上下方向に広い空間Sが形成される。
また、各排気筒8内には、フィン12が設けられている。このフィン12は、図5に示す例では、一つの排気筒8に対して四つのフィン部材13を固定することによって構成されている。これらフィン部材13は、帯状の板材を矩形波状に複数回折り曲げて形成されたものであり、その矩形波によって形成される溝が相互に平行に配置されている。具体的には、相互に平行な複数の側板部14の一側縁どうし及び他の側縁どうしを平板部15によって交互に連結させた構造とされる。また、各フィン部材13は、その長さは排気筒8の幅方向の内寸と同じであるが、矩形波の高さ(側板部14の高さ)が排気筒8の短辺方向の内寸の半分以下の寸法とされ、また、全体の高さ(側板部14の長さ)も排気筒8の高さの半分以下の寸法に設定されている。そして、排気筒8の広い側面11の内側に、両側板部14の一側縁どうしを連結している平板部15がろう付け等によって固着されている。
この場合、各フィン部材13の側板部14が排気筒8の高さ方向に沿って配置されていることにより、矩形波による溝が排気筒8の高さ方向に沿って配置される。また、四つのフィン部材13のうちの二つずつを排気筒8の側面11の同じ高さ位置となるように固着することにより、排気筒8の奥行方向の中間位置でフィン部材13どうしが対向するように配置されている。また、高さ方向では、排気筒8の高さの途中位置に空間を開けて上下二段にフィン部材13が固着されている。
このような配置でフィン部材13が固着されることにより、排気筒8の内方に各フィン部材13が突出し、これらフィン部材13の矩形波によって排気筒8の内部空間が複数の小空間に区画され、各小空間が排気筒8の高さ方向に沿って配置された状態となる。
また、ハウジング3の貯留槽5には、その一側面の下部に給液口21が設けられるとともに、他の側面の上部に排液口22が設けられている。これら給液口21及び排液口22は、貯留槽5の幅方向の両端部に配設されることにより、貯留槽5内に平行に配置されている排気筒8の間の空間Sの両端方向にそれぞれ設けられている。したがって、ハウジング2の一側面下部の給液口21から供給された水は、貯留槽5内で各排気筒8の間の空間Sを図4の矢印で示すように経由して反対側面上部の排液口22から排出されるようになっている。排液口22から排出される温水は、この液体加熱装置1が隣接する図示略の食器洗浄機内に供給される。
なお、貯留槽5には、水の量を検知する水位センサと、内部の水の温度を測定する温度センサ(いずれも図示略)とが設けられており、貯留槽5内の水位に応じて給液口21からの給液が制御されるとともに、温度センサで水の温度を検知しながら、バーナー6の燃焼及び消火が制御されるようになっている。
このように構成した液体加熱装置1は、貯留槽5内に水Wを満たした状態で、燃焼室4のバーナー6に点火すると、その燃焼ガスは、燃焼室4から仕切り板3中央部の棚部7を経由して各排気筒8内に導かれるとともに、仕切り板3及び棚部7が加熱されることにより、これらの上面付近の水が加熱される。また、各排気筒8内では、その内壁面が直接燃焼ガスによって加熱されるとともに、内方に突出しているフィン12が燃焼ガスによって加熱されることにより、このフィン12を介して排気筒8の壁が加熱され、これらの熱が排気筒8の壁を経由して周囲の水に伝わって、その周辺の水を加熱する。この場合、排気筒8は、偏平な角筒状に形成され、その広い側面11どうしが対向して配置されているので、これら側面11の間の空間S内の水が広い側面11全体から熱を受け、速やかに加熱される。この場合、排気筒8の間の空間Sは、上下方向に開放状態とされているので、加熱された水の対流が阻害されることはなく、速やかに温度上昇させられる。
貯留槽5内の水Wが所定の温度、例えば80℃に達したことが温度センサで検知されると、バーナー6が消火又はパイロットバーナーのみが点火した状態とされる。そして、加熱された水は、必要に応じて食器洗浄機に向けて排出される。また、食器洗浄機への供給により貯留槽5内の水位が下がると、水位センサの作動により、給液口21から貯留槽5内に新たな水が供給され、それに伴い水温が低下すると、水温センサの作動によりバーナー6が点火して再び加熱される。
このようにして、貯留槽5内に貯留された所定量の水Wを加熱しておき、必要時に加熱状態の温水が食器洗浄機に排出され、水位の低下した貯留槽5内には新たな水が補給されて加熱される。この水の供給、その加熱、加熱した温水の排出という連続した処理において、貯留槽5内の排気筒8により水温を短時間で急速に高めることができるので、貯留槽5内の温度を常に一定温度に維持して、食器洗浄機に安定して高温の温水を提供することができる。
また、従来技術のような細い管内で水を加熱するのではなく、上下方向に広く開放した空間で水を加熱する構成であるから、加熱時の突沸現象の発生も防止できる。
また、この液体加熱装置1の保守点検の際には、貯留槽5内は、排気筒8の周囲の空間が上方に開放状態とされているので、排気筒8の周囲を上方から目視することが容易であり、また、排気筒8の間に手を入れて、排気筒8の下部、仕切り板3及び棚板7の上面等を清掃することも容易である。したがって、この液体加熱装置1は、保守点検等のメンテナンス性にも優れている。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、食器洗浄機に供給される温水を加熱するためのブースターに適用したが、水以外にも、油等の液体を加熱する装置、例えばフライヤ等にも本発明を適用することができる。また、排気筒の本数等は一例であり、少なくとも一つの排気筒を有するものに適用できる。また、排気筒内に複数のフィン部材を上下に分けて設ける場合、実施形態のように上下のフィン部材の側板部を上下に揃えた状態に配置してもよいが、側板部のピッチの半分程度水平方向にずらして配置するようにしてもよい。
1 液体加熱装置
2 ハウジング
3 仕切り板
4 燃焼室
5 貯留槽
6 バーナー
7 棚部
8 排気筒
11 側面
12 フィン
21 給液口
22 排液口

Claims (1)

  1. 液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽の下方に設けられた燃焼室とを備え、前記燃焼室から前記貯留槽内を経由して上方に延びる排気筒を上下方向に沿って立設し、該排気筒の内壁面にフィンを設けており、前記貯留槽は、水平横断面が矩形に形成されるとともに、前記排気筒は、水平横断面が長方形をなす偏平角筒状に形成され、その長辺方向が前記貯留槽の一辺と平行に配置され、短辺方向に相互に間隔をおいて複数立設されることにより、これら排気筒の長辺方向の側面どうしが対向しており、これら側面どうしの間の空間の両端方向の前記貯留槽の一側面に給液口が設けられ、反対側面に排液口が設けられ、かつ、前記フィンは、帯状の板材を矩形波状に複数回折り曲げて形成されたフィン部材が、前記排気筒の前記長辺方向の両側面にそれぞれ固着され、前記短辺方向に突出し、前記排気筒の短辺方向の中間位置で対向していることを特徴とする液体加熱装置。
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