図1は、連携処理システム300の概略的な特徴部と特徴部の実装形態を説明する図の一例である。この連携処理システム300は2つのMFP(Multifunction Peripheral)100が連携可能な連携処理システムである。
MFP(区別する場合、MFP1、2という)100はそれぞれが記憶する電子データの差分情報管理データを有している。差分情報管理データには、各電子データ毎に、画像処理が施される前の電子データと施された画像処理(差分情報)が登録されている。
MFP2がMFP1が管理する電子データdocA(A00001)、docA (A00002)、docA (A00003)をバックアップする場合、MFP2はこれらの電子データを自機で再作成可能か否かを判定し、適切な態様で各電子データをバックアップする。
例えば、docA(A00001)は新規作成された電子データなので、再作成できないため、MFP2は、docA(A00001)の電子データそのものをバックアップする。
docA(A00002)は、docA(A00001)に対し差分情報1の画像処理が施されているので、MFP2は該画像処理が自機で可能か否かを判定し、可能であれば差分情報1のみをバックアップする。可能でなければdocA(A00002)そのものをバックアップする。
docA(A00003)は、docA(A00001)に対し差分情報1と2の画像処理が施されているので、MFP2はこれらの画像処理が自機で可能か否かを判定し、可能であればdocA(A00001)と差分情報1、2をバックアップする。この時、すでにdocA(A00001)をバックアップしていればdocA(A00001)のバックアップは省略することができる。可能でなければdocA(A00003)そのものをバックアップする。
このように、MFP2は、MFP1の電子データの差分情報と自機の機能を考慮して、電子データのみ、差分情報のみ、又は、電子データ及び差分情報の3つの態様のいずれかで電子データをバックアップする。これにより、MFP2のHDDのリソースを浪費することなくMFP1の電子データをバックアップすることが可能になる。
MFP2は、仮にMFP1が故障した場合、バックアップしたデータからMFP1の電子データを再作成することができる。したがって、あるMFP100の記憶領域が使用できない場合でも、他のMFPは、使用できない記憶領域に記憶されたデータを利用することができる。
なお、差分情報については後述するが、差分情報とは、着目している電子データに対し施された画像処理の内容である。また、MFP100の故障とは、HDDやSSD(Solid State Drive)などストレージデバイスの故障だけでなく、MFP100が電子データを提供できなくなる故障をいうものとする。また、バックアップとは他の機器が電子データを再生可能な態様で記憶することをいう。また、電子データとはMFP100が取り扱う最小の情報単位(ファイル)であればよいが、本実施形態では何らかの画像データであるものとして説明する。
図2は、連携処理システム300の全体構成図の一例を示す図である。ネットワーク99を介して2台のMFP100が接続されている。各MFP100は、少なくともHDDに代表されるストレージデバイスを有していればよい。また、連携処理システム300の少なくとも1台は、画像処理機能を有している。MFP100は、例えば、プリンタ、蓄積機能、複写機能、スキャナ機能、又は、送信機能(FAX送信、SCAN To Email)を有している。
また、ネットワーク99は、社内LAN、LANスイッチを介して接続された複数のVLAN、LAN同士が専用線を介して接続されたWAN、又は、インターネットを含むネットワークである。
図2ではMFP1,2が蓄積機能(HDD)を有している。MFP1はMFP2が記憶する電子データのバックアップを取ることができ、MFP2はMFP1がHDDに記憶するバックアップを取ることができる(以下、単に「MFPをバックアップする」という場合がある)。バックアップを取るタイミングは、
ユーザによるバックアップ操作を受け付けた時、
ユーザが予め指定した日時(ワンタイム)、
ユーザが予め指定した時刻(毎日)、日時(毎週又は毎月)
ユーザが連携処理システムを使い電子データを作成した時
等である。
図3は、MFP100のハードウェア構成図の一例を示す。MFP100は、コントローラ120と、操作パネル130と、FCU(ファクシミリコントロールユニット)140と、スキャナエンジン150及びプロッタエンジン160が有する。
コントローラ120は、CPU101と、ASIC113と、NB(ノースブリッジ)102と、SB(サウスブリッジ)106と、MEM−P(システムメモリ)103と、MEM−C(ローカルメモリ)104と、HDD105と、メモリカードスロット111と、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)107と、USBデバイス108と、IEEE1394デバイス109と、セントロニクスデバイス110とを有する。
CPU101は、種々の情報処理を実行するためのICであり、アプリケーションプログラムやサービスを提供するプログラムをUNIX(登録商標)等のOSによりプロセスを並列的に実行する。ASIC113は、画像処理用のICである。NB102は、CPU101とASIC113を接続するためのブリッジである。SB106は、NB102と周辺機器等を接続するためのブリッジである。ASIC113とNB102は、AGP(Accelerated Graphics Port)を介して接続されている。
MEM−P103は、NB102に接続されたメモリである。MEM−C104は、ASIC113に接続されたメモリである。HDD105は、ASIC113に接続されたストレージであり、画像データ(電子データ)の蓄積、フォントデータの蓄積、を行うために使用される。図ではHDD105にプログラム115のみ示した。プログラム115は本実施形態の特徴的な処理を提供する。
メモリカードスロット112は、SB106に接続され、メモリカード112をセット(挿入)するために使用される。メモリカード112は、USBメモリ等のフラッシュメモリであり、プログラム115を配布するために使用される。また、プログラム115は所定のサーバからMFP100にダウンロードして配布することもできる。
NIC107は、ネットワーク99等を介してMACアドレス等を使用したデータ通信を行うためのコントローラである。USBデバイス108は、USB規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス109は、IEEE1394規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス110は、セントロニクス仕様に準拠したパラレルポートを提供するためのデバイスである。NIC107と、USBデバイス108と、IEEE1394デバイス109と、セントロニクスデバイス110と、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを介してNB102とSB106に接続されている。
操作パネル130は、ユーザがMFP100に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、MFP100がオペレータに可視情報を提供するためのハードウェア(表示部)である。操作パネル130は、ASIC113に接続されている。FCU140と、スキャナエンジン150と、プロッタエンジン160は、PCIバスを介してASIC113に接続されている。
スキャナエンジン150は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して画像処理を施し、所定の解像度のデジタルデータ(以下、画像データという)を生成する。
プロッタエンジン160は、例えばタンデム型の感光ドラムを有し、上記の画像データやユーザPCから受信したPDLデータに基づきレーザビームを変調し感光ドラムを走査して潜像を形成する。潜像にトナーを付着して現像した1ページ毎の画像を用紙に熱と圧力で転写する。
FCU140は、NIC107を介してネットワーク99に接続し例えばT.37,T.38の規格に対応した通信手順、又は、公衆通信網に接続し例えばG3、G4規格に対応した通信手順、に従い画像データの送受信を行う。また、MFP100の電源がOFFのときに画像データを受信しても、プロッタエンジン160を起動して画像データを用紙に印刷することができる。
図4は、MFP100の機能ブロック図の一例を示す。ネットワーク通信部19は、MFP同士がネットワーク99を介して通信するための通信手段であり、例えば上記のNIC、上位の通信プロトコル(TCP/IP)を担うプロトコルスタック、さらにFTP、HTTPなどのプロトコル処理を担うアプリケーションの一部の機能である。
処理要求受信部18は、ネットワーク経由で他のMFP100又はクライアントPCから処理依頼を受信する。また、処理要求受信部18は、操作パネル130が受け付けたユーザの操作に基づき処理依頼を取得することができる。
機器制御部16は、全体的な制御を行うと共に、処理要求受信部18からの処理通知を受けて各構成部品に実行指示を与える。機器制御部16は、連携処理のための機器情報23の交換などを行う。
分散処理決定部15は、機器情報23を用いて、処理要求をネットワーク99内のどのMFPに実行させるかを決定する。
処理要求送信部17は、分散処理決定部15が他のMFPに処理要求の依頼を出す際、処理要求を生成し、ネットワーク通信部19を介して送信する。
データ出力処理実行部14は、原稿の印刷やFAX送信などの処理を実行する。データ出力処理実行部14は画像処理部141を有し、画像処理部141は両面集約、白黒、スタンプ印字、TIFF化などMFP100が有する機能に応じた画像処理を施す。
データ記憶処理実行部13は、クライアントPCから受信した電子データやスキャンした電子データを、データ記憶部12に記憶させる。データ記憶部12は、電子データ26を保存するストレージデバイスであり、図3ではHDD105が相当する。データ記憶部12には、差分情報管理データ27やバックアップデータ25も記憶される。
差分情報管理部20は、差分情報の生成や一覧画面の画面情報を生成するため、差分情報生成部21及び一覧画面生成部22を有する。差分情報生成部21は、差分情報や差分情報管理データを生成する。生成方法については後述する。一覧画面生成部22は差分情報管理データを用いて電子データの差分情報の一覧を表示するための画面情報を生成する。データ履歴表示部11は、電子データの差分情報の一覧を表示する手段で、例えば図3の操作パネル130に後述する差分情報一覧画面を表示する。
蓄積データバックアップ処理部24は、機能特定部28とバックアップ実行部29を有する。機能特定部28はバックアップに必要な機能を特定して、バックアップ実行部29は電子データのバックアップに適切なバックアップ態様を決定し、決定したバックアップ方法でバックアップを行う。バックアップされた電子データや差分情報はバックアップデータ25としてデータ記憶部12に記憶される。
〔連携処理システムの動作概略〕
まず、各MFPが記憶する電子データの生成について説明する。電子データが生成されると差分情報も生成されることになる。
<差分情報の作成>
図5は、電子データの印刷と電子データの蓄積を実行するシーケンス図の一例である。
S1−1:ユーザは、操作パネル130を操作して、スキャンさせた原稿の電子データの蓄積、又は、印刷(複写)と蓄積を要求する。また、ユーザは不図示のクライアントPCを操作して例えば「プリンタに保存して印刷」を選択することで、一度に印刷と蓄積を要求できる。なお、ユーザは、印刷の操作の後に蓄積を要求してもよい。ユーザがクライアントPCを操作した場合、処理要求受信部18はネットワーク通信部19を介して処理要求を受信する。
このように、元の電子データが新たに登録された電子データは「新規作成」された電子データになる。
S1−2:処理要求受信部18は、印刷と蓄積の処理要求を受け付けたことを機器制御部16に通知する。
S1−3:機器制御部16は、連携処理のために他のMFP100から機器情報23を取得する。機器情報23の取得はどのように行ってもよい。例えば、機器情報23を取得するタイミングとして、図のように連携処理の直前以外にも、MFP100の起動後に定期的に機器情報23を取得しておくことができる。また、機器制御部16が機器情報23を取得する他のMFPについて、ユーザが予め他のMFP100のIPアドレスやMACアドレスを自機に登録しておいてもよいし、同報的に連携処理が可能なMFP100を問い合わせることで機器情報23を取得する他のMFP100をリストアップしてもよい。
図6は、機器制御部16が取得した他のMFP100の機器情報23の一例を示す。機器情報23は、各MFP100が有する機能を示す。搭載機能は機能の大分類であり、詳細機能は機能の小分類であるが、このように分類しなくてもよい。搭載機能は例えば「コピー」「ドキュメントボックス」「プリンタ」「スキャナ」「ファックス」「その他」である。
MFP1は、コピーに対し「白黒」「2色」「カラー」「両面集約」の詳細機能を、「ドキュメントボックス」に対し「文書読み取り」の詳細機能を、「プリンタ」に対し「試し印刷」「保留印刷」の詳細機能を、「スキャナ」に対し「Scan To Email」「Scan To Folder」の詳細機能を、「その他」に対し「スタンプ印字」「QRコード」「Tiff」の詳細機能を有している。
MFP2は、コピーに対し「白黒」「2色」「フルカラー」「両面集約」の詳細機能を、「ドキュメントボックス」に対し「文書読み取り」の詳細機能を、「ファックス」に対し「IPファックス」、「その他」に対し「OCR」「高圧縮PDF」「暗号化PDF」「スタンプ印字」「Tiff」「製本」の詳細機能を有している。
S1−4:図5に戻り、機器制御部16は分散処理決定部15に分散処理を依頼する。
S1−5:分散処理決定部15は印刷と蓄積の処理要求のうち、自機で実行可能な処理を特定する。分散処理決定部15は、予め定められた選択ポリシーに基づき、自機で実行する処理と他機で実行する処理を仕分ける。MFP100には以下のような選択ポリシーが登録されている。
・自機が有する機能で可能な処理は自機で行う(自機がジョブを実行中の場合など処理負荷が大きい場合を含む)。
・自機が有さない機能が必要な処理は、その機能を有するMFPのうちHDD105の空き容量が多いMFP100を優先して選択する。
なお、このようにMFP100が自動的に処理を依頼する他のMFP100を決定するのでなく、ユーザが処理を要求する他のMFP100をマニュアルで選択可能としてもよい。
図5の手順では、自機であるMFP100が印刷機能と蓄積機能を有しているものとして、分散処理決定部15は印刷と蓄積の両方を自機で実行すると判定する。
S1−6:まず、分散処理決定部15は、データ出力処理実行部14にデータ出力を依頼する。これにより、データ出力処理実行部14は、スキャンした画像データ、又は、クライアントPCから送信された電子データ(PDLデータ)を描画処理(ラスタライズ)して、プロッタエンジン160に印刷させる。
S1−7:次に、分散処理決定部15は、データ記憶処理実行部13に電子データの記憶を依頼する。
S1−8:データ記憶処理実行部13は差分情報生成部21に差分情報の生成を依頼する。
S1−9:差分情報生成部21は、処理した電子データについて差分情報を生成する。図5の手順では、電子データが新規作成されたので差分情報は「新規作成」となる。差分情報の生成については後述する。
S1−10:差分情報生成部21は、差分情報をデータ記憶処理実行部13に送出する。
S1−11:データ記憶処理実行部13は、電子データと差分情報を対応づけて、データ記憶部12に記憶する。具体的には、新しい文書識別子と差分情報を差分情報管理データの1レコードとしてデータ記憶部12に保管する。差分情報管理データについては後述する。
なお、図7のシーケンス図では、印刷と蓄積の両方を自機が実行するが、分散処理決定部15が他のMFPに処理を依頼した場合、機器制御部16が処理要求送信部17に対してネットワーク99上の他機器に処理を依頼するように通知する。例えば、点線の処理は、蓄積を他のMFPに依頼する場合、データ記憶処理実行部13が他のMFPに電子データと差分情報を送信する処理を意味している。
<差分情報>
差分情報について説明する。差分情報とは、直前の電子データに対し施された画像処理の内容である。図7は、差分情報が生成される手順の概略を説明する図の一例である。
図7(a)ではまず、スキャンにより又はクライアントPCにより電子データが蓄積される。蓄積された直後の電子データは「新規作成」扱いとなり、新規作成された電子データには差分情報は存在しないので、便宜上「新規作成」という差分情報が付与される。差分情報と電子データは、蓄積機能を有するMFP100が記憶する。
次に、新規作成された電子データに、ユーザが暗号化PDFという処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データを、いずれかのMFPで読み出し暗号化されたPDFに変換するという操作を行う。すると電子データは暗号化PDFとなり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。
この場合、新規作成された電子データに対し、暗号化PDFという画像処理が施されたことになるので、差分情報は暗号化PDFとなる。
図7(b)についても同様である。新規作成までの手順は図7(a)と同様であるが、新規作成された電子データに、ユーザがTIFF化という処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データを、いずれかのMFPで読み出しTIFFという画像データのフォーマットに変換するという操作を行う。すると電子データはTIFF化された画像データとなり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。したがって、差分情報はTIFF化となる。
図7(a)(b)では新規作成された電子データに対する差分情報を説明したが、何らかの画像データが施された電子データにさらに1つ以上の画像処理が施された場合も、差分情報を定義できる。
図7(c)では、すでに両面集約という画像処理が施された電子データに、ユーザがPDF化という画像処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データ(両面集約されている)を、いずれかのMFPで読み出しPDF化した。すると電子データは両面集約された状態でPDF化された電子データになり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。したがって、着目している電子データの差分情報はPDF化であり、新規作成された電子データに対しては、両面集約とPDF化という2つの差分情報が定義される。
なお、一度に(一台のMFPで)、複数の画像処理が施された場合は、その複数の画像処理の全てで1つの差分情報である。
差分情報は、MFPにおいてユーザが設定した画像処理そのものである。したがって、差分情報生成部21にとって差分情報はユーザの操作及び受け付けた画像処理の内容として明らかである。
<差分情報管理データ>
画像処理により画像処理の前の電子データと、画像処理後の電子データは別のファイルとなるので、データ記憶処理実行部13は、重複しない文書識別子を画像処理後の電子データに付与する。図7などで説明したように、元の電子データに様々な画像処理が施され、複数のMFPに分散して記憶される状況が生じうるが、文書識別子により、新規作成された元の電子データから画像処理により派生した複数の電子データをMFP100は識別することができる。
例えば、次のように差分情報と文書識別子が管理される場合、
文書名:文書識別子(変更前):文書識別子(変更後):差分情報
新規作成された電子データには、
「文書識別子(変更前)=文書識別子(変更後)」のように変更の前後で同じ文書識別子が付与される。したがって、文書識別子(変更前)=文書識別子(変更後)であれば、その電子データは新規作成されたものであることがわかる。なお、このような文書識別子は一例であり、新規作成されたことが分かる文書識別子であればよい。
以下、差分情報を管理するための1レコード又はレコードの集合を差分情報管理データという。電子データの差分情報管理データは複数のMFP100に散在するが、文書識別子(変更後)は、連携処理するネットワーク上のMFPにとってユニークであることが保証されている。
図8は、差分情報生成部21が、差分情報管理データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。なお、図8の手順は電子データが新規作成される際の差分情報管理データの生成をカバーしている。
まず、MFPが電子データに何らかの画像処理を施すと、差分情報生成部21が画像処理に基づき差分情報を生成する(S110)。ステップS10の処理は、例えば図5のS1−9に対応している。
次に、差分情報生成部21は、同一ネットワーク99上に蓄積されている差分情報管理データを取得する(S120)。差分情報生成部21にとって、連携処理システム300の他のMFPは図8に示すようなMFPの機器情報23により既知となっている。差分情報生成部21は、例えばIPアドレスで連携処理システム300のMFPを指定して、各MFPから差分情報管理データを取得する。
差分情報生成部21は、連携処理システム300の全てのMFPから差分情報管理データを取得するまで差分情報管理データの取得を繰り返す(S130)。
差分情報生成部21は、全てのMFPから差分情報管理データを取得すると、取得した差分情報管理データの中から、画像処理を施した電子データのレコードを特定する。差分情報生成部21は、例えば、差分情報管理データの文書識別子(変更後)が、画像処理を施した電子データの文書識別子と同じものを特定する(S140)。
画像処理を施した電子データが新規作成されたもの又はすでに何らかの画像処理が施されたものの場合、いずれかのMFPに差分情報管理データが登録されている。一方、図5のように印刷された段階の電子データは、新規作成されたもののまだ差分情報管理データがどのMFPにも登録されていない。
画像処理を施した電子データの文書識別子と一致する文書識別子(変更後)が差分情報管理データに含まれている場合(S150のYes)、差分情報生成部21は、新たなレコードを作り、差分情報管理データに含まれている文書識別子(変更後)を、新たに生成したレコードの文書識別子(変更前)のフィールドに記録する(S160)。
そして、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの文書識別子(変更後)のフィールドに新しい文書識別子を記録する(S170)。この文書識別子は、各MFPのどの文書識別子(変更後)とも重複しないことが必要なため、差分情報生成部21は、ステップS120〜S130で取得した差分情報管理データの文書識別子と重複しない文書識別子を生成する。
次に、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの「差分情報」のフィールドに、ステップS2−7で生成した差分情報を記録する(S180)。なお、文書名については、ユーザが新たな文書名を付与しなければ画像処理の前の文書名が引き継がれ、ユーザが新たな文書名を付与した場合はその文書名が差分情報管理データに記録される。
一方、ステップS150にて、自MFPが画像処理を施した電子データの文書識別子と一致する文書識別子(変更後)が差分情報管理データに含まれていない場合(S150のNo)、差分情報生成部21は、新たなレコードを作り、新たに生成したレコードの文書識別子(変更前)と文書識別子(変更後)のフィールドに同じ新しい文書識別子を記録する(S190)。すなわち、この場合、電子データは新規作成されたものになる。
なお、新規作成の場合、ステップS150の判定の時点では画像処理を施した電子データの文書識別子は決まっていないので、S150でNoと判定されることは、画像処理を施した電子データに文書識別子が与えられていないと判定されること同様の意味となる。
次に、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの「差分情報」のフィールドに、ステップS1−9で生成した差分情報、すなわち「新規作成」を記録する(S200)。なお、文書名については、クライアントPCから送信された電子データのファイル名となる。ユーザが新たな文書名を付与することも可能である。
図9は、差分情報管理データの一例を示す図である。上記のように、差分情報管理データは複数のMFPが記憶しうる。図9(a)はMFP1の、図9(b)はMFP2のそれぞれの差分情報管理データである。
MFP1の差分情報管理データには、documentAの4つの電子データの差分情報が登録されている。MFP1の差分情報管理データのレコード1は、文書識別子(変更前)と文書識別子(変更後)が同じ"A0001"なので、差分情報は「新規作成」となる。
レコード2は、文書識別子(変更前)が"A0001"なので、レコード2の差分情報"両面集約、白黒"は、レコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"A0002"である。
レコード3は、文書識別子(変更前)が"A0002"なので、レコード3の差分情報"スタンプ印字+2色"は、レコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"A0003"である。
レコード4は、文書識別子(変更前)が"A0001"なので、レコード4の差分情報"TIFF化"は、レコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"A0004"である。
MFP2の差分情報管理データには、documentBの1つの差分情報と、documentCの1つの差分情報とが登録されている。
MFP2の差分情報管理データのレコード1は、文書識別子(変更前)が"A0003"なので、レコード1の差分情報"暗号化PDF"は、MFP1の差分情報管理データのレコード3の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"A0005"である。
レコード2は、文書識別子(変更前)が"A0003"なので、レコード2の差分情報"高圧縮PDF+OCR"は、MFP1の差分情報管理データのレコード3の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"A0006"である。
したがって、MFP1がMFP2の差分情報管理データを取得すると、MFP2が記憶している電子データを文書識別子(変更後)により特定することができる。MFP2がMFP1の差分情報管理データを取得した場合も同様である。MFP1及びMFP2は、文書識別子(変更後)に対応づけられた文書識別子(変更前)を参照することで、画像処理前の電子データを順番に辿ることができる。画像処理された電子データの直前の電子データを派生元の電子データという場合があり、また、画像処理により紐付けられる電子データ間の関係を派生関係という場合がある。
後述するように、機能特定部28は、新規作成の電子データから派生関係に含まれる差分情報に基づき再作成に必要な機能を特定する。バックアップ実行部29はこの機能と機器情報23に基づき、バックアップ態様を決定しバックアップする。なお、差分情報が"新規作成"の電子データは、この電子データから派生した全ての電子データの元(ルート)になるので、ルートデータと称する場合がある。
〔差分情報一覧〕
図10は、差分情報一覧の画面情報の生成をより詳細に説明する手順を示すフローチャート図の一例である。
まず、ユーザの操作を受け付けたMFPの一覧画面生成部22は、自機のデータ記憶部12から差分情報管理データを読み出す(S210)。
次に、ユーザの操作を受け付けたMFPの一覧画面生成部22は、連携処理システム300に接続されたMFPから差分情報管理データを取得する(S220)。
一覧画面生成部22にとって、連携処理システム300の他のMFPは図9に示すようなMFPの機器情報23により既知となっている。一覧画面生成部22は、例えばIPアドレスで連携処理システム300のMFPを指定して、各MFPから差分情報管理データを取得する。
一覧画面生成部22は、連携処理システム300の全てのMFPから差分情報管理データを取得するまで差分情報管理データの取得を繰り返す(S230)。
一覧画面生成部22が全てのMFPから差分情報管理データを取得すると、一覧画面生成部22が取得した差分情報管理データの中から「差分情報」が"新規作成"のレコードを全て検索する(S240)。
"新規作成"のレコードを特定したら、一覧画面生成部22は"新規作成"のレコードから各レコードを辿って、"新規作成"の電子データから派生した各電子データを特定する(S250)。
具体的には、新規作成の文書識別子(変更前)を起点に、文書識別子(変更後)と同じ文書識別子の文書識別子(変更前)を、レコード順に次々と辿っていく。例えば、図9を例にすると、新規作成から始めて次のように辿れることが分かる。(i)〜(iv)は派生の階層を示す。
・より具体的な手順としては、最上位の階層(新規作成)から始めて、文書識別子(変更後)と同じ文書識別子の文書識別子(変更前)を差分情報管理データから全て抽出し、(i)の階層とする。
・次に、(i)の階層の、右側の文書識別子(変更後)と同じ文書識別子(変更前)を差分情報管理データから全て抽出し、(ii)の階層とする。
・最終的にレコードが辿れなくなるまで階層の抽出を繰り返す。
(i) A0001(新規作成)について
A0001→A0002
A0001→A0004
(ii) A0002について
A0002→A0003
(ii) A0004について
なし
(iii)A0003について
A0003→A0005
A0003→A0006
(iv)A0005について
なし
(iv)A0006について
なし
階層毎に矢印で結ばれた1つの派生関係を辿ることで、任意の電子データに施された一連の画像処理を特定できる。
"新規作成"の電子データから派生した全ての電子データを特定したら、一覧画面生成部22は図10の処理を終了する。
<差分情報一覧画面>
図11は、差分情報一覧画面の一例を示す図である。この差分情報一覧画面は、電子データの変更履歴を、派生した各電子データをツリー形状に配置することで表示する。ユーザは、各電子データの派生状況を視覚的に一目で把握することができる。図10の手順により、各電子データが新規作成の電子データから派生した履歴は抽出されている。矢印で結ばれた1行が任意の電子データに施された一連の画像処理である。
・A0001→A0002→A0003→A0005
・A0001→A0002→A0003→A0006
・A0001→A0004
なお、同じ文書識別子(変更後)の電子データは1つ表示すればよいので、データ履歴表示部11は同じ文書識別子(変更後)の電子データを1つのアイコン405にて表示したり、文字で表示した後、派生順を示す矢印で電子データ間を結ぶ。こうすることで図11のような差分情報一覧画面が表示される。なお、アイコン405には少なくとも文書名が表示され、さらに、文書識別子、生成日時、作成者等を表示することができる。
また、この差分情報一覧画面は、派生元の電子データから派生後の電子データに向かう矢印の近くに、差分情報が表示されている。このような表示であれば、ユーザは、各電子データの派生状況を視覚的に一目で把握できるだけでなく、電子データ間の差分情報(画像処理)を一目で把握することができる。ユーザは一覧表示された電子データの中から、印刷したり、さらに画像処理を施したい電子データを特定することができる。
〔バックアップ処理〕
図11に示すように、MFP1とMFP2がそれぞれ電子データを記憶する際に、MFP1又はMFP2が故障しても、故障していないMFP1又はMFP2が故障した機器の電子データを再作成できるように、MFP1及びMFP2が互いに電子データをバックアップする。
図12は、MFP1がMFP2の電子データをバックアップする処理の一例を示す図である。MFP1がMFP2の電子データ(斜線側)をバックアップする場合、MFP1の蓄積データバックアップ処理部24は、MFP2に対し、MFP1が記憶している差分情報管理データを取得する。図ではMFP2は、docB(A00005)とdocC(A00006)の差分情報管理データを記憶している。これにより図12の派生関係が得られる。図12の派生関係は図11の派生関係のと同じものなので説明は省略する。
蓄積データバックアップ処理部24の各MFP100に共通した手順は、図13のフローチャート図に示すようになる。
S1:バックアップ対象のMFPが記憶する電子データを、ルートデータに近い側から順に着目する。
S2:差分情報管理データを参照して着目している電子データのルートデータを記憶するMFPを特定する。
S3:差分情報管理データを参照してルートデータから着目している電子データまでの差分情報(以下、「再生必要差分情報」という)を全て特定する。
S4:自機の機器情報(又は、バックアップ対象のMFP以外のMFPが有する機器情報)23を参照して、再生必要差分情報の画像処理が可能か否かを判定する。
S5:バックアップ態様を決定する。
再生必要差分情報の画像処理が可能な場合、ルートデータと再生必要差分情報を自機にバックアップする。なお、同じMFPには同じルートデータは一度しか記憶されない。再生必要差分情報の画像処理が不可能な場合、着目している電子データそのものを自機にバックアップする。
以上の処理により、バックアップには以下の3つの態様が生じる。
態様1:電子データ(ルートデータ、又は、ルートデータ以外の電子データの場合がある)そのもの
態様2:ルートデータと再生必要差分情報
態様3:差分情報(再生必要差分情報)のみ
具体例を用いて説明する。
・MFP1→MFP2
MFP1の機能特定部28は、差分情報一覧を作成した際と同様の手順で、docB(A00005)とdocC(A00006)の派生関係を抽出する。こうすることで、docB(A00005)とdocC(A00006)のルートデータを特定することができる。
機能特定部28は、docB(A00005)とdocC(A00006)のうちルートデータに近い方を特定する。ルートデータに近い電子データは、再生必要差分情報の数が少ない電子データである。図12を例にすれば、docB(A00005)とdocC(A00006)では再生必要差分情報の数は同じである。このような場合は、文書識別子の若い方をルートデータに近い電子データに決定する。
これにより、機能特定部28はdocB(A00005)に着目し、docB(A00005)のルートデータを特定する。docB(A00005)のルートデータは、docA(A00001)である。次に、機能特定部28は、docB(A00005)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docB(A00005)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」+「暗号化PDF」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP1は暗号化PDFを有していないので、再生必要差分情報の画像処理を実行できない。このため、バックアップ実行部29は、docB(A00005)の電子データそのものをバックアップすると判定する。
機能特定部28がdocB(A00006)に着目した場合、docB(A00005)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」+「高圧縮PDF、OCR」である。
バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP1は高圧縮PDFとOCRのいずれも有していないので、再生必要差分情報の画像処理を実行できない。このため、バックアップ実行部29は、docB(A00006)の電子データそのものをバックアップすると判定する。
図14は、2台の機器間におけるバックアップ手順を示すフローチャート図の一例である。
まず、蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ対象のMFPから差分情報管理データを取得する(S10)。取得するタイミングは、上述したバックアップのタイミングと同じでもよいし、差分情報管理データだけ予め取得しておき、バックアップ処理の際に使用してもよい。例えば、MFP1が定期的にネットワーク内のMFPに対し同報的に取得要求を送信してもよいし、他のMFPから起動通知を受信した場合に該MFPに取得要求を送信してもよい。
蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ対象のMFPから受信した差分情報管理データに登録された文書識別子(変更後)の電子データをバックアップ対象の電子データとする。
蓄積データバックアップ処理部24は、ルートデータを特定してルートデータに近い電子データから順番にバックアップを行う。
まず、蓄積データバックアップ処理部24は、着目しているバックアップ対象の電子データがルートデータか否かを判定する(S20)。ルートデータか否かは、差分情報が"新規作成"か否かにより判定される。差分情報が"新規作成"の電子データは、派生元の電子データがないので再作成できない。
このため、バックアップ対象の電子データがルートデータの場合(S20のYes)、蓄積データバックアップ処理部24は電子データそのものをバックアップすると判定する(S60)。これにより、蓄積データバックアップ処理部24は着目している電子データを自機のデータ記憶部12にコピーする。
バックアップ対象の電子データがルートデータでない場合(S20のNo)、機能特定部28はバックアップ対象の電子データとルートデータの間の再生必要差分情報を抽出する(S30)。
そして、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照して再生必要差分情報に相当する機能を有しているか否か、換言すると、自機が再生必要差分情報の画像処理を行うことが可能か否かを判定する(S40)。
自機が再生必要差分情報の画像処理を行うことができる場合(S40のYes)、バックアップ実行部29はルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する(S50)。これにより、蓄積データバックアップ処理部24はルートデータと再生必要差分情報を自機のデータ記憶部12にコピーする。
自機が再生必要差分情報の画像処理を行うことができない場合(S40のNo)、バックアップ実行部29は着目している電子データそのものをバックアップすると判定する(S60)。これにより、バックアップ実行部29は電子データと差分情報を自機のデータ記憶部12にコピーする。
蓄積データバックアップ処理部24は以上の処理を、バックアップ対象のMFPが記憶する電子データの1つ1つについて繰り返す。なお、図14の処理の際、蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ管理テーブルを作成する。
図15(a)はMFP1がMFP2をバックアップする際に生成されたバックアップ管理テーブルの一例を示す図である。バックアップ管理テーブルは、「バックアップ対象」「ルートデータ」「再生必要差分情報」「ルートデータ記憶フラグ」「電子データ記憶フラグ」の各項目(フィールド)を有する。「バックアップ対象」は、着目した電子データの文書識別子(変更後)であり、「ルートデータ」は「バックアップ対象」の電子データのルートデータであり、「再生必要差分情報」はルートデータから「バックアップ対象」の電子データの間の再生必要差分情報であり、「ルートデータ記憶フラグ」は「バックアップ対象」の電子データのためにルートデータを記憶したか否かを示し、「電子データ記憶フラグ」は「バックアップ対象」の電子データそのものをバックアップしたか否かを示す。
蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ管理テーブルを参照することで、各電子データを再生することができる。「電子データ記憶フラグ」が「記憶あり」の場合、自機に記憶された電子データそのものが再生物である。
「電子データ記憶フラグ」が「記憶なし」の場合、必ず1つのルートデータが記憶されているはずなので、蓄積データバックアップ処理部24はルートデータと再生必要差分情報を用いて電子データをバックアップすることができる。
また、蓄積データバックアップ処理部24は、「ルートデータ記憶フラグ」に「記憶あり」と登録した後、同じルートデータは自機にバックアップする必要がないと判定することができる。
図15(a)に示すように、MFP1がdocB(A00005)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。MFP1がdocB(A00006)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
図16(a)は、各バックアップ対象の電子データ毎にバックアップされる情報を模式的に示す図の一例である。点線で囲まれた電子データがバックアップ対象の電子データを、その電子データと点線の矢印で接続された実線で囲まれた電子データ又は差分情報がバックアップされる情報である。
<MFP2がMFP1をバックアップする場合>
続いて、MFP2によるMFP1の電子データのバックアップについて説明する。
図17は、MFP2がMFP1の電子データをバックアップする際の手順を説明する図の一例である。手順はMFP1がMFP2をバックアップする際と同様である。
(1)まず、MFP2はMFP1の差分情報管理データを取得する。
(2)その後、MFP2は電子データのバックアップを実行する。
MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、MFP1から取得した差分情報管理データに基づき、MFP1が記憶する電子データを特定する。MFP1は、docA(A00001)、docA(A00002)、docA(A00003)、docA(A00004)、の電子データを記憶している。電子データの派生関係は図12と同じなので説明を省略する。
MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、差分情報一覧を作成した際と同様の手順で、docA(A00001)、docA(A00002)、docA(A00003)、docA(A00004)の派生関係を抽出する。こうすることで、docA(A00001)、docA(A00002)、docA(A00003)、docA(A00004)のルートデータを特定することができる。
蓄積データバックアップ処理部24は、最もルートデータに近い電子データからバックアップ処理を開始する。
まず、機能特定部28はdocA(A00001)に着目し、docA(A00001)のルートデータを特定する。docA(A00001)自身がルートデータであるが、ルートデータであることは、画像処理により他の電子データから再生することが可能でないことを意味するので、バックアップ実行部29はdocA(A00001)そのものをバックアップすると判定する。
図15(b)は、MFP2が管理するバックアップ管理テーブルの一例を示す。ルートデータをバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶あり"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
次に、機能特定部28はdocA(A00002)に着目し、docA(A00002)のルートデータを特定する。docA(A00002)のルートデータは、docA(A00001)である。次に、機能特定部28は、docA(A00002)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docA(A00002)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「両面集約、白黒」という機能を有しているので、再生必要差分情報の画像処理を実行できる。このため、バックアップ実行部29は、docA(A00002)のルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する。
そして、バックアップ管理テーブルを参照すると、docA(A00002)のルートデータであるdocA(A00001)はすでにMFP2に記憶されている(バックアップされている)ので、バックアップ実行部29は、docA(A00002)のルートデータは記憶する必要がないと判定する。したがって、バックアップ実行部29は、バックアップ対象がdocA(A00002)の場合、再生必要差分情報のみを記憶する。
図15(b)に示すように、docA(A00002)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"両面集約、白黒"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶なし"となる。
次に、蓄積データバックアップ処理部24はdocA(A00004)に着目し、docA(A00004)のルートデータを特定する。docA(A00004)のルートデータはdocA(A00001)である。次に、機能特定部28は、docA(A00004)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docA(A00004)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「Tiff化」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「Tiif化」という機能を有しているので、再生必要差分情報の画像処理を実行できる。このため、バックアップ実行部29は、docA(A00004)のルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する。
そして、バックアップ管理テーブルを参照すると、docA(A00004)のルートデータであるdocA(A00001)はすでにMFP2に記憶されている(バックアップされている)ので、バックアップ実行部29は、docA(A00004)のルートデータは記憶する必要がないと判定する。したがって、バックアップ実行部29は、バックアップ対象がdocA(A00004)の場合、再生必要差分情報のみを記憶する。
図15(b)に示すように、docA(A00004)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"Tiif化"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶なし"となる。
次に、蓄積データバックアップ処理部24はdocA(A00003)に着目し、docA(A00003)のルートデータを特定する。docA(A00003)のルートデータはdocA(A00001)である。次に、機能特定部28は、docA(A00003)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docA(A00003)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」という機能を有しているので、再生必要差分情報の画像処理を実行できる。このため、バックアップ実行部29は、docA(A00003)のルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する。
そして、バックアップ管理テーブルを参照すると、docA(A00003)のルートデータであるdocA(A00001)はすでにMFP2に記憶されている(バックアップされている)ので、バックアップ実行部29は、docA(A00004)のルートデータは記憶する必要がないと判定する。したがって、バックアップ実行部29は、バックアップ対象がdocA(A00003)の場合、再生必要差分情報のみを記憶する。
図15(b)に示すように、docA(A00003)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"両面集約、白黒+スタンプ印字、2色"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶なし"となる。
図16(b)は、各バックアップ対象の電子データ毎にバックアップされる情報を模式的に示す図の一例である。点線で囲まれた電子データがバックアップ対象の電子データを、その電子データと点線の矢印で接続された実線で囲まれた電子データ又は差分情報がバックアップされる情報である。
以上説明したように、連携処理システム300のMFP100は、電子データの差分情報と自機の機能を考慮して、適切な態様で電子データをバックアップすることができる。これにより、MFP2のHDDのリソースを浪費することなくバックアップすることが可能になる。
本実施例では、MFP1〜3の3台のMFP100が連携する連携処理システム300のバックアップ処理について説明する。3台のMFP100が連携する連携処理システム300では、バックアップの主体となるMFPが差分情報に対応する機能を有していなくても、バックアップ対象外のMFPが該差分情報に対応する機能を有していれば、再生可能と判定できる点が特徴の1つである。
<バックアップ形態>
まず、図18〜図20を用いていくつかのバックアップ形態について説明する。
図18は、3台の機器間でのデータバックアップを実行する手順を模式的に説明する図の一例である。MFPが3台ある場合、1つのMFPが2回、バックアップ処理を行えば、1つのMFPのバックアップを2台のMFPが行うことができる。
(i)MFP1がMFP2とMFP3をバックアップする(図18(a))。
(ii)MFP2がMFP3とMFP1をバックアップする(図18(b))。
(iii)MFP3がMFP1とMFP2をバックアップする(図18(c))。
この場合、MFP1のバックアップデータはMFP2とMFP3に記憶され、MFP2のバックアップデータはMFP3とMFP1に記憶され、MFP3のバックアップデータはMFP1とMFP2に記憶される。
しかしながら、複数台のMFPがバックアップデータを記憶することはリソースの浪費になるので、行えば図19のように簡略化することができる。
(i)MFP2がMFP1とMFP3をバックアップする。
(ii)MFP3がMFP2をバックアップする。
MFP1が故障した場合、MFP2がMFP1の電子データを再作成することができ、MFP2が故障した場合、MFP3がMFP2の電子データを再作成することができ、MFP3が故障した場合、MFP2がMFP3の電子データを再作成することができる。なお、(i)において、MFP1がMFP2とMFP3をバックアップしても、MFP3がMFP1とMFP2をバックアップしてもよい。また、(ii)において、MFP1がMFP2をバックアップしてもよい。
また、行えば図20のように簡略化することもできる。
(i)MFP1がMFP3をバックアップする。
(ii)MFP3がMFP2をバックアップする。
(iii)MFP2がMFP1をバックアップする。
MFP1が故障した場合、MFP2がMFP1の電子データを再作成することができ、MFP2が故障した場合、MFP3がMFP2の電子データを再作成することができ、MFP3が故障した場合、MFP1がMFP3の電子データを再作成することができる。なお、同様のバックアップ関係は以下のようにバックアップ関係を替えても得られる
(i)MFP1がMFP2をバックアップする。
(ii)MFP2がMFP3をバックアップする。
(iii)MFP3がMFP1をバックアップする。
<バックアップ手順>
以下では、図19のバックアップ形態でバックアップ手順を説明する。バックアップ形態に関わらず、バックアップの手順は同様である。
(1)まず、MFP2は、バックアップ対象のMFP(MFP1又はMFP3)を定める。
(2)MFP2は、全てのMFPから差分情報管理データを、バックアップ対象以外のMFPから機器情報23を取得する。バックアップ対象以外とするのは、バックアップ対象のMFPが故障した場合に備えることが電子データのバックアップの目的だからである。バックアップ対象以外の全てのMFPから機器情報23を取得するのは、MFP2は、連携処理システム300の特徴として自機以外のMFPの機能を利用して差分情報に対応する画像処理が可能だからである。よって、MFP2はMFP3及びMFP1の差分情報管理データを、及び、MFP3(MFP1をバックアップ対象とする場合)又はMFP1(MFP3をバックアップ対象とする場合)の機器情報23を取得する。
(3)その後、MFP2は電子データのバックアップを実行する。
このように、MFP2がMFP1(又は3)の電子データのバックアップのためにMFP3(又は1)の機器情報23を利用することが、連携処理システム300が3台以上のMFP100を有する場合の利点である。
<機器情報>
図21は、MFP1〜3の機器情報23の一例を示す。MFP1,2の機器情報23は図6と同じなので説明を省略する。
MFP3は、コピーに対し「モノクロ」「カラー」の詳細機能を、「ドキュメントボックス」に対し「文書読み取り」の詳細機能を、「プリンタ」に対し「機密印刷」の詳細機能を、「その他」に対し「QRコード」「ステープル」「パンチ」「ソート」の詳細機能を有している。
<差分情報管理データ>
図22は、MFP1〜3の差分情報管理データの一例を示す。図22(a)はMFP11の、図22(b)はMFP2の、図22(c)はMFP3の差分情報管理データである。MFP2の差分情報管理データは図9と同じなので説明を省略する。
MFP1の差分情報管理データには、図9の差分情報管理データに加え、新たにdocumentXを含む5つの電子データの差分情報が登録されている。MFP1の差分情報管理データのレコード5は、文書識別子(変更前)が"B00002"なので、レコード5の差分情報"製本"は、MFP3のレコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"B00005"である。
MFP3の差分情報管理データには、documentXの3つの電子データの差分情報が登録されている。MFP3の差分情報管理データのレコード1は、文書識別子(変更前)と文書識別子(変更後)が同じ"B00001"なので、差分情報は「新規作成」となる。
レコード2は、文書識別子(変更前)が"B00001"なので、レコード2の差分情報"QRコード"は、レコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"B00002"である。
レコード3は、文書識別子(変更前)が"B0002"なので、レコード3の差分情報"ソート"は、レコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。また、この差分情報に対応する画像処理が施された電子データの文書識別子(変更後)は"B00003"である。
図23(a)は、3台のMFPの差分情報管理データの派生関係を模式的に示す図の一例である。以下、バックアップ手順を説明する。
・MFP2→MFP1
まず、MFP2はMFP1をバックアップ対象に定め、MFP1の電子データdocA(A00001)〜docA(A00004)、docX(B00005)をバックアップする。この処理のうちdocA(A00001)〜docA(A00004)のバックアップについてはすでに説明したので省略する。
なお、MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、MFP1及びMFP3の差分情報管理データ及びMFP3の機器情報23を取得している。
MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、docX(B00005)に着目し、docX(B00005)のルートデータを特定する。docX(B00005)のルートデータはdocX(B00001)である。次に、機能特定部28は、docX(B00005)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docX(B00005)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「QRコード」+「製本」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とMFP3の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「QRコード」という機能を有していないが、MFP3が有している。また、MFPは「製本」という機能を有している。このため、MFP2は、再生必要差分情報の画像処理を実行できる。このため、バックアップ実行部29は、docX(B00005)のルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する。
そして、バックアップ管理テーブルを参照すると、docX(B00005)のルートデータであるdocX(B00001)はまだMFP2に記憶されていない(バックアップされていない)ので、バックアップ実行部29は、docX(B00005)のルートデータを記憶すると判定する。したがって、バックアップ実行部29は、バックアップ対象がdocX(B00005)の場合、ルートデータと再生必要差分情報を記憶する。
図24(a)はMFP2がMFP1をバックアップした際のバックアップ管理データの一例を示す。docX(B00005)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"QRコード+製本"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶あり"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶なし"となる。
図23(b)は、各バックアップ対象の電子データ毎にバックアップされる情報を模式的に示す図の一例である。点線で囲まれた電子データがバックアップ対象の電子データを、その電子データと点線の矢印で接続された実線で囲まれた電子データ又は差分情報がバックアップされる情報である。
・MFP2→MFP3
次に、MFP2はMFP3の電子データをバックアップする。MFP2からMFP3の電子データをバックアップする場合、MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、MFP1及びMFP3の差分情報管理データ及びMFP1の機器情報23を取得している。
MFP3が保存しているdocX(B00001)、docX(B00002)、docX(B00003)を含む電子データの派生関係は図23(a)に示したとおりである。
MFP3:docX(B00001)→docX(B00002) →docX(B00003)
MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、最もルートデータに近い電子データからバックアップ処理を開始する。
まず、蓄積データバックアップ処理部24はdocX(B00001)に着目し、docX(B00001)のルートデータを特定する。docX(B00001)自身がルートデータであるが、ルートデータであることは、画像処理により他の電子データから再生することが可能でないことを意味するので、バックアップ実行部29はdocX(B00001)そのものをバックアップすると判定する。
図24(b)は、MFP2がMFP3をバックアップした際のバックアップ管理テーブルの一例を示す。docX(B00001)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶あり"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
次に、蓄積データバックアップ処理部24はdocX(B00002)に着目し、docX(B00002)のルートデータを特定する。docX(B00002)のルートデータは、docX(B00001)である。次に、機能特定部28は、docX(B00002)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docX(B00002)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「QRコード」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とMFP1の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「QRコード」という機能を有していないがMFP1が「QRコード」という機能を有しているので、再生必要差分情報の画像処理を実行できる。このため、バックアップ実行部29は、docX(B00002)のルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する。
そして、バックアップ管理テーブルを参照すると、docX(B00002)のルートデータであるdocX(B00001)はMFP2に記憶されている(バックアップされている)ので、バックアップ実行部29は、docX(B00002)のルートデータを記憶しないと判定する。したがって、バックアップ実行部29は、バックアップ対象がdocX(B00002)の場合、再生必要差分情報のみを記憶する。
図24(b)に示すように、docX(B00002)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"QRコード"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶なし"となる。
次に、蓄積データバックアップ処理部24はdocX(B00003)に着目し、docX(B00003)のルートデータを特定する。docX(B00003)のルートデータは、docX(B00001)である。次に、機能特定部28は、docX(B00003)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docX(B00003)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「QRコード」+「ソート」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とMFP1の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP2は「QRコード」という機能を有していないがMFP1が「QRコード」という機能を有している。しかし、MFP2もMFP1も「ソート」を有していないので、MFP2は再生必要差分情報の画像処理を実行できない。このため、バックアップ実行部29は、docX(B00003)そのものをバックアップすると判定する。
図24(b)に示すように、docX(B00003)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
図25(a)は、各バックアップ対象の電子データ毎にバックアップされる情報を模式的に示す図の一例である。点線で囲まれた電子データがバックアップ対象の電子データを、その電子データと点線の矢印で接続された実線で囲まれた電子データ又は差分情報がバックアップされる情報である。
・MFP3→MFP2
次に、MFP3はMFP2の電子データdocB(A00005)、docC(A00006)をバックアップする。MFP3からMFP2の電子データをバックアップする場合、MFP3の蓄積データバックアップ処理部24は、MFP1及びMFP2から差分情報管理データを、MFP1から機器情報23をそれぞれ取得する。
MFP2が保存しているdocB(A00005)、docC(A00006)を含む電子データの派生関係は図22(a)に示したとおりである。
MFP2の蓄積データバックアップ処理部24は、最もルートデータに近い電子データからバックアップ処理を開始する。2台のMFPが連携する連携処理システム300にて説明したように、ルートデータに近いのはdocB(A00005)である。
まず、蓄積データバックアップ処理部24はdocB(A00005)に着目し、docB(A00005)のルートデータを特定する。docB(A00005)のルートデータは、docA(A00001)である。次に、機能特定部28は、docB(A00005)とルートデータの間の再生必要差分情報を特定する。docB(A00005)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」+「暗号化PDF」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とMFP1の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。MFP3は「両面集約」という機能を有していないがMFP1が「両面集約」という機能を有している。MFP3は「白黒」という機能を有していないがMFP1が「白黒」という機能を有している。MFP3は「スタンプ印字」という機能を有していないがMFP1が「スタンプ印字」という機能を有している。MFP3は「2色」という機能を有していないがMFP1が「2色」という機能を有している。しかし、MFP3もMFP1も「暗号化PDF」という機能を有していない。このため、バックアップ実行部29は、docB(A00005)の電子データそのものを記憶すると判定する。
図24(c)に示すように、docB(A00005)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
次に、蓄積データバックアップ処理部24はdocC(A00006)に着目し、docC(A00006)のルートデータを特定する。docC(A00006)のルートデータは、docA(A00001)である。docC(A00006)とルートデータの間の再生必要差分情報は、「両面集約、白黒」+「スタンプ印字、2色」+「高圧縮PDF、OCR」である。
次に、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とMFP1の機器情報23を参照してこの再生必要差分情報に対応する機能を有しているか否かを判定する。最終的にMFP3は、MFP3もMFP1も「高圧縮PDF、OCR」という機能を有していない。このため、バックアップ実行部29は、docC(A00006)の電子データそのものを記憶すると判定する。
図24(c)に示すように、docC(A00006)をバックアップした場合、「再生必要差分情報」は"なし"、「ルートデータ記憶フラグ」は"記憶なし"、「電子データ記憶フラグ」は"記憶あり"となる。
図25(b)は、各バックアップ対象の電子データ毎にバックアップされる情報を模式的に示す図の一例である。点線で囲まれた電子データがバックアップ対象の電子データを、その電子データと点線の矢印で接続された実線で囲まれた電子データ又は差分情報がバックアップされる情報である。
図26は、3台の機器間におけるバックアップ手順を示すフローチャート図の一例である。図25において図14と同様のステップは簡単に説明する。
まず、蓄積データバックアップ処理部24は、連携処理システム300の全てのMFPから差分情報管理データを取得する(S12)。
蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ対象のMFPから受信した差分情報管理データに登録された文書識別子(変更後)の電子データをバックアップ対象の電子データとする。蓄積データバックアップ処理部24は、ルートデータを特定してルートデータに近い電子データから順番にバックアップを行う。
次に、蓄積データバックアップ処理部24は、バックアップ対象のMFP以外の全てのMFPの機器情報23を取得する(S15)。
まず、蓄積データバックアップ処理部24は、着目しているバックアップ対象の電子データがルートデータか否かを判定する(S20)。
バックアップ対象の電子データがルートデータの場合(S20のYes)、蓄積データバックアップ処理部24は電子データそのものをバックアップすると判定する(S60)。これにより、蓄積データバックアップ処理部24は着目している電子データを自機のデータ記憶部12にコピーする。
バックアップ対象の電子データがルートデータでない場合(S20のNo)、機能特定部28はバックアップ対象の電子データとルートデータの間の再生必要差分情報を抽出する(S30)。
そして、バックアップ実行部29は、自機の機器情報23とバックアップ対象のMFP以外のMFPの機器情報23を参照して再生必要差分情報に相当する機能を有しているか否か、換言すると、連携処理システム300が再生必要差分情報の画像処理を行うことが可能か否かを判定する(S42)。
連携処理システム300が再生必要差分情報の画像処理を行うことができない場合(S42のNo)、バックアップ実行部29は着目している電子データそのものをバックアップすると判定する(S60)。これにより、蓄積データバックアップ処理部24は電子データと差分情報を自機のデータ記憶部12にコピーする。
連携処理システム300が再生必要差分情報の画像処理を行うことができる場合(S42のYes)、バックアップ実行部29はルートデータと再生必要差分情報をバックアップする。3台のMFPが連携する連携処理システム300では、バックアップ対象のMFPがルートデータを記憶しているとは限らない。このため、バックアップ実行部29は、ルートデータがバックアップ対象のMFPに記憶されているか否かを判定する(S70)。
ルートデータがバックアップ対象のMFPに記憶されている場合(S70のYes)、バックアップ実行部29はバックアップ対象のMFPに記憶されているルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する(S80)。
ルートデータがバックアップ対象のMFPに記憶されていない場合(S70のNo)、バックアップ実行部29はバックアップ対象以外のMFPに記憶されているルートデータと再生必要差分情報をバックアップすると判定する(S90)。
蓄積データバックアップ処理部24は以上の処理を、バックアップ対象のMFPが記憶する電子データの1つ1つについて繰り返す。
このように3台以上のMFPが連携する連携処理システム300では、自機以外の機器からも機器情報23を取得してバックアップすることが可能なため、電子データそのものをバックアップすることが少なくなり、HDDの容量を圧迫することを低減できる。
なお、本実施例では、バックアップの主体のMFPがバックアップデータを記憶すると説明したが、バックアップの主体のMFP以外のMFPがバックアップデータを記憶することもできる。
例えば、MFP2のHDDの空き容量が所定値以下の場合、MFP2は連携処理システム300内の機器にHDDの空き容量を問い合わせ、最も空き容量が多い機器にバックアップデータの記憶を依頼することができる。依頼の対象はバックアップ対象以外の機器である。
また、MFP2のHDDの空き容量が所定値以下でなくても、最も空き容量が多い機器にバックアップデータの記憶を依頼しておけば、バックアップデータをさらにバックアップすることもできる。