JP5731794B2 - 高濃度シリカ含有水の凝集処理方法 - Google Patents

高濃度シリカ含有水の凝集処理方法 Download PDF

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本発明は、シリカ成分を高濃度に含有する水から懸濁物質、コロイド状物質、色度の原因となる鉄、マンガン等を除去し、風味を損なうことなく清澄な処理水を得るための凝集処理方法に関する。
各種工業用に利用される水、特に食品製造用水には、一般に、清澄で、飲料に適した水質が求められる。
しかしながら、工業用の原水として広く用いられている井戸水等には、着色や濁質の原因となる鉄、マンガン、フミン質等を含む場合が多く、このような水を工業用に利用する場合、酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム等)、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)、pH調整剤(硫酸等)を併用し、原水中の被処理物質を酸化、凝集分離することで、清澄な処理水を得る方法が広く実施されている。
しかし、上記方法では凝集剤による凝集効果を最適化するため、硫酸等の無機酸をpH調整剤として添加することが必須であり、処理水を食品製造用水として使用する場合には風味に影響を与えることがあった。
その対応策として、特開2002−326091号公報(特許文献1)によって、硫酸を添加することなく次亜塩素酸ナトリウムのみを注入して攪拌混和した後に、凝集剤を注入して凝集処理することにより、鉄、マンガン、アンモニウムイオン、フミン質等を除去する方法が提案されている。しかし、この提案された方法では、シリカ濃度の高い原水の場合、鉄、マンガンの除去性能を十分に得ることができない。
また、特開2005−334703号公報(特許文献2)では、あらかじめ酸を添加したポリ塩化アルミニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを併用することで、シリカなどのコロイダル物質や凝集困難な成分を多く含む水であっても、凝集処理が可能であるとしている。
しかしながら、この方法では、やはり酸を併用することから、処理水の風味を損なう恐れが大きく、そのため、広く汎用できる方法ではなかった。
特開2002−326091号公報 特開2005−334703号公報
本発明は、上記問題を解決する、すなわち、シリカ濃度が高い水であっても、凝集効果が高く、大きいフロックを生じさせることができ、懸濁物質、コロイド状物質、色度の原因となる鉄やマンガン等、高濃度シリカ含有水に含まれる被処理物質を確実に除去可能であり、しかも、処理水の風味を損なうことなく、飲料に適した水質の処理水が得られる、高濃度シリカ含有水の凝集処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記のような高濃度シリカ含有水の凝集処理方法を得るために種々の検討を行った。具体的には、シリカを高濃度に含有する井戸水中の鉄およびマンガンを、酸添加によるpH調整を行うことなしに、酸化、凝集分離する方法について、実験室での基礎検討やモデルプラントを用いた実験を繰り返し行った。その結果、一見、同一条件と考えられる実験系で、何回かに1回、満足のいく処理水が得られることを偶然見出した。
本発明者等は、上記実験条件の違いについて、詳細に検討を重ねた結果、酸化剤の添加量、ポリ塩化アルミニウムの添加量、反応pH、反応時間、反応温度、攪拌条件等、何れの条件にも違いが認められなかったが、添加したポリ塩化アルミニウムの調製過程に違いがあることを発見した。すなわち、満足のいく処理水が得られる条件では、ポリ塩化アルミニウムを、酸化アルミニウム換算で0.1重量%の濃度に希釈し、さらに一定時間以上放置した後に使用していたことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は、請求項1に記載の通り、高濃度シリカ含有水に、ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加して、該高濃度シリカ含有水に含まれる被処理物質を、酸添加によるpH調整を行うことなしに凝集処理する凝集処理方法であって、前記高濃度シリカ含有水が、シリカを50mg/L以上含有する水であり、前記ポリ塩化アルミニウム水溶液として、調製後、1時間以上エイジングを行った、酸化アルミニウム換算の濃度が0.01重量%以上0.5重量%以下の、ポリ塩化アルミニウム水溶液を用いることを特徴とする高濃度シリカ含有水の凝集処理方法である。
また、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は請求項2に記載の通り、請求項1に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法において、前記ポリ塩化アルミニウム水溶液が、酸化アルミニウム換算の濃度が10重量%以上のポリ塩化アルミニウムに希釈水を添加して調製されたものであることを特徴とする。
また、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は請求項3に記載の通り、請求項2に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法において、前記希釈水が、シリカを50mg/L以上含有するものであることを特徴とする。
また、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法において、前記被処理物質が、懸濁物質、コロイド状物質、及び、前記高濃度シリカ含有水に含まれる鉄及び/またはマンガンを酸化剤により処理することで生じる不溶性の金属酸化物のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
また、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法において、前記凝集処理が、飲料または食品製造用に用いられる水を得るための凝集処理であることを特徴とする。
本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法によれば、シリカ濃度が高い水であっても充分な量の、しかも大きいフロックを生じさせることができ、懸濁物質、コロイド状物質、色度の原因となる鉄、マンガン等の、高濃度シリカ含有水に含まれる被処理物質を確実に除去可能であり、夾雑物がなく、清澄で飲料に適した水質の処理水を得ることができる。さらに、凝集処理時に酸添加によるpH調整を行わなくても、良好な凝集処理効果が得られるので、処理水の風味を損なうことがない。
図1は実施例の検討5の実機テストで用いた装置を示すモデル図である。
本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法は、上述のように、高濃度シリカ含有水に、ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加して、該高濃度シリカ含有水に含まれる被処理物質を凝集処理する凝集処理方法であって、前記ポリ塩化アルミニウム水溶液として、調製後、一定時間以上エイジング(熟成)を行った、酸化アルミニウム換算の濃度が0.5重量%以下のポリ塩化アルミニウム水溶液を用いる。
ここで、ポリ塩化アルミニウムは、一般に、JIS K1475規格適合品、日本水道協会(JWWA)規格適合品、工業用グレード品などの各種グレード品が、通常、酸化アルミニウム換算の濃度が10〜11重量%の液体品として、あるいは、酸化アルミニウム換算のアルミニウム含有濃度が30重量%以上の粉体として市販されている。このようなポリ塩化アルミニウムは、昭和化学工業社、セントラル硝子社、大明化学工業社、高杉製薬社、多木化学社、南海化学社などの各社から入手できる。また、上記において酸化アルミニウム換算の濃度とは、JIS K1475に記載の通り、製品中のアルミニウム含有濃度を測定し、その値を酸化アルミニウム濃度に換算した値である。
ここで、上記のような市販のポリ塩化アルミニウム10〜11重量%の液体品に共通する取り扱い上の注意点として、希釈すると沈殿を生ずる恐れがあり、そのとき効力が低下するとされている。このため、従来の凝集処理では、使用者は上記ポリ塩化アルミニウムを、粉体の場合は、酸化アルミニウム換算で10重量%程度の水溶液として、酸化アルミニウム換算の濃度が10〜11重量%の液体の場合は希釈せずにそのまま、ポンプ等により凝集処理目的の水に添加して使用してきた。
しかしながら、本発明では、ポリ塩化アルミニウム水溶液として、調製後一定時間以上エイジングを行った、酸化アルミニウム換算の濃度が0.5重量%以下のポリ塩化アルミニウム水溶液を用いることが必要である。好ましい濃度は、酸化アルミニウム換算で0.01重量%以上0.3重量%以下であり、より好ましい濃度は、酸化アルミニウム換算で0.05重量%以上0.25重量%以下である。酸化アルミニウム換算の濃度が0.5重量%より大きく、10重量%未満の範囲では、本発明の効果が得られず、あるいは、白濁が激しく、すぐに分離、沈殿を生じたり、ゲル化したりして、通常の薬注ポンプでの注入が困難になるので好ましくない。また、酸化アルミニウム換算の濃度として0.01重量%未満に希釈した場合には、本発明の効果は得られるものの、希釈用のタンクや、ポリ塩化アルミニウム水溶液を高濃度シリカ含有水に添加するためのポンプが大型化するので現実的でない。
上記ポリ塩化アルミニウム水溶液は、市販の、酸化アルミニウム換算の濃度が10〜11重量%のポリ塩化アルミニウムの液体品に希釈水を添加して、所定の濃度に希釈するか、あるいは、酸化アルミニウム換算のアルミニウム含有濃度が30重量%以上のポリ塩化アルミニウムの粉体を希釈水に溶解して所定の濃度とすることで調製する。勿論、上記以外の濃度のポリ塩化アルミニウムであっても、希釈水を用いて酸化アルミニウム換算の濃度を0.5重量%以下の所定の濃度に希釈調製し、一定時間以上のエイジングを行えば、本発明の効果が得られるようになる。
ポリ塩化アルミニウム水溶液の調製に用いる希釈水は、当然のことながら、清澄なものであることが好ましい。さらに、効果的にフロックの生成が行われるので、シリカを50mg/L以上含有する水を用いて調製することが好ましい。
このように調製されたポリ塩化アルミニウム水溶液は、調製後、そのまますぐに用いても、本発明の効果を得ることができない。すなわち、本発明では調製後一定時間以上エイジングを行った、すなわち、調製後時間が経過したポリ塩化アルミニウム水溶液を用いる必要がある。ここで、このエイジング時間として、少なくとも1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは12時間以上放置することが、良好な凝集効果を得るために必要である。ただし、12時間を大きく越えてエイジングを行っても、時間の延長による効果の増大は殆ど得られない。
上記エイジングは静置状態で行っても構わないが、希釈濃度や放置温度、放置時間によって、ポリ塩化アルミニウム水溶液が白濁、分離を起こすことがあるので、攪拌しながらエイジングを行うことが望ましい。ただし、ここで生じる白濁は凝集性能に影響することはなく、仮に白濁が生じていても、均一分散したポリ塩化アルミニウム水溶液を高濃度シリカ含有水に添加することで、良好な凝集効果を得ることができる。
このように、調製後に一定時間以上エイジングを行ったポリ塩化アルミニウム水溶液を、高濃度シリカ含有水に薬注ポンプなどを用いて添加することにより、本発明では、シリカ濃度が50mg/L以上の水であっても、酸添加によるpH調整なしに、十分なフロックを生成し、効果的に被処理物質を除去することが可能となる。
高濃度シリカ含有水にポリ塩化アルミニウム水溶液を添加した後、必要に応じて攪拌を行い、十分にフロックを生成させた後、常法、すなわち、沈殿分離、急速濾過、緩速濾過、膜分離等によってフロックを除去する。
本発明の高濃度シリカ含有水の処理方法は、懸濁物質、コロイド状物質の凝集分離に有効であると共に、前記ポリ塩化アルミニウム水溶液の添加前、添加と同時、あるいは添加後に、高濃度シリカ含有水に、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加する酸化処理工程を備えることにより、着色や濁質の原因となる鉄、マンガンなどの成分を酸化させて、フロックとして効果的に除去することができる。
以下に、本発明の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法の実施例について具体的に説明する。なお、以下の実施例に記載されたポリ塩化アルミニウムの濃度は、全て酸化アルミニウム換算の濃度である。
<検討1:被処理水のシリカ濃度と凝集処理時のpHの影響についての検討>
被処理水のシリカ濃度と凝集処理時のpHが凝集性能に及ぼす影響について検討を行った。
つくば市水道水(A)、つくば市工業用水(C)、これらの1:1混合水(B)、東北地方某所の井戸水(D)の4種類の試験水に、懸濁物質としてカオリンを30mg/Lとなるように添加した後、濃度0.5mol/Lの硫酸を添加して、それぞれpHを6.0、6.5、あるいは、6.8に調整したサンプル、および、pH未調整サンプルを準備した。これら、各サンプルに対して、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を、上記東北地方某所の井戸水(D)で100倍に希釈した後、24時間室温でエイジング(静置)して得た0.1重量%のポリ塩化アルミニウム水溶液を、それぞれ、ポリ塩化アルミニウム濃度が1.5mg/Lとなるように添加した。ポリ塩化アルミニウム添加後、直ちにマグネチックスターラーを用いて、200rpmで10分間攪拌し、攪拌停止直後の凝集状況を観察した。
凝集性能の評価は、充分な量のフロックが生成し、しかもフロックが大きく沈降が早い(「◎」として評価)、充分な量のフロックが生成し、沈殿する(「○」として評価)、少量のフロックが生成し、沈殿する(「△」として評価)、フロックが生成せず、微細粒子のまま(「×」として評価)の4段階で行った。また、比較として、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を希釈せずに(但し、試験条件をそろえるために、希釈したものと同一条件でエイジングして)そのまま添加した試験も併せて実施した。結果を表1に示す。なお、上記試験に使用した4種類の試験水の水質を表2に示した。
Figure 0005731794
Figure 0005731794
表1より、従来技術(10重量%のポリ塩化アルミニウムを直接添加)では、高濃度シリカ含有水(試験水C、D)を凝集処理するためには、pHを6.5以下に調整する必要があり、酸添加の影響で、処理水の風味を損なう恐れがあることが、一方、本発明の実施例である、24時間エイジングした0.1重量%のポリ塩化アルミニウムを使用した場合には、試験水のシリカ濃度に関係なく、pH調整を行わなくても良好な凝集効果が得られることが判る。また、特に高濃度シリカ含有水を試験水とした場合には、本発明の凝集処理方法は、従来技術と比較して明らかに大きなフロックを生成する優れた凝集処理方法であり、凝集剤添加量の低減等が図れるので、有用であることも理解される。
<検討2:ポリ塩化アルミニウム濃度の影響について、及び、ポリ塩化アルミニウム水溶液の安定性についての検討>
凝集剤として添加するポリ塩化アルミニウム水溶液の濃度が凝集性能に及ぼす影響について検討を行った。
つくば市工業用水(C)にカオリンを30mg/Lとなるように添加した試験水に対して、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を、東北地方某所の井戸水(D)を用いて、ポリ塩化アルミニウム濃度が0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.5重量%、1重量%となるように希釈した後、24時間室温でエイジング(静置)して得た、5種類の濃度のポリ塩化アルミニウム水溶液を、それぞれ、ポリ塩化アルミニウム濃度が1.5mg/Lとなるように添加し、検討1と同様に凝集性能の評価を行った。また、比較として、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を希釈せずに(但し、試験条件をそろえるために、希釈したものと同一条件でエイジングして)そのまま添加した試験も併せて実施した。結果を表3に示す。なお、1重量%のポリ塩化アルミニウム水溶液については、エイジング終了時点で水溶液が部分的にゲル化し、分離してしまったので、添加実験を行うことができなかった(「−」として評価)。
Figure 0005731794
表3より、濃度が0.5重量%以下のポリ塩化アルミニウム水溶液を用いることで、高濃度シリカ含有水であっても凝集効果が得られることが理解できる。また、凝集効果は、0.3重量%以下で良好、0.2重量%以下でさらに良好となることが判る。
ここで、上記で調製した5種類の濃度のポリ塩化アルミニウム水溶液、及び、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)について、それぞれ5℃、20℃、あるいは、35℃に48時間保ち、その後、目視で液の状態を観察した。これは所定の濃度に調製したポリ塩化アルミニウム水溶液を調製後48時間内で使用し終えることを想定して行った、ポリ塩化アルミニウム水溶液の安定性の確認試験である。観察時に明らかに白濁または分離していた場合を「×」、薄い白濁が見られた場合を「△」、やや曇った状態の場合を「○」、清澄な場合を「◎」としてそれぞれ評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005731794
表4より、ポリ塩化アルミニウム水溶液の濃度が0.2重量%以下であれば、実用上問題のないレベルの安定性を有していることが、また、0.3〜0.5重量%の濃度であれば、実用に耐えうる安定性を有していることが理解される。一方、1重量%水溶液は、安定性が低く実用的でない。
<検討3:エイジング時間についての検討>
上記検討1および検討2では、希釈後24時間静置してエイジングを行ったポリ塩化アルミニウム水溶液を用いたが、次に、エイジング時間が凝集性能に及ぼす影響について検討を行った。
希釈水として、つくば市工業用水(C)およびイオン交換水を用い、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を、それぞれ100倍に希釈した後、0時間(希釈直後)、1時間、3時間、5時間、12時間、24時間、72時間、室温でエイジング(静置)して0.1重量%のポリ塩化アルミニウム水溶液を調製した。東北地方某所の井戸水(D)にカオリンを30mg/Lとなるように添加した後、上記各ポリ塩化アルミニウム水溶液を、ポリ塩化アルミニウム濃度が1.5mg/Lとなるように添加し、検討1と同様に凝集性能の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005731794
表5より、ポリ塩化アルミニウムの希釈水として、つくば市工業用水を用いることで、イオン交換水を用いた場合よりも短いエイジング時間で高い凝集効果が得られることが判る。必要なエイジング時間は、つくば市工業用水(シリカ濃度65mg/L)で希釈した場合には最低1時間、イオン交換水(シリカ濃度1mg/L未満)で希釈した場合には最低3時間である。また、12時間以上エイジングを行っても、時間の延長による凝集効果の増大は殆ど得られないことも理解される。
<検討4:希釈水のシリカ濃度の影響についての検討>
上記検討3によって、ポリ塩化アルミニウム水溶液を調製する際に用いる希釈水の水質が凝集性能に影響することが判ったため、希釈水の水質のうち、シリカ濃度が凝集性能に及ぼす影響について検討を行った。
すなわち、希釈水としてイオン交換水、イオン交換水にシリカ濃度が30mg/Lとなるようにモノケイ酸を添加したもの(「30mg/Lモノケイ酸溶液」)、イオン交換水にシリカ濃度が50mg/Lとなるようにモノケイ酸を添加したもの(「50mg/Lモノケイ酸溶液」)、及び、東北地方某所の井戸水(D)の4種類を用い、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を、それぞれ100倍に希釈した後、12時間室温でエイジング(静置)して0.1重量%のポリ塩化アルミニウム水溶液を調製した。東北地方某所の井戸水(D)にカオリンを30mg/Lとなるように添加した後、上記各ポリ塩化アルミニウム水溶液を、ポリ塩化アルミニウム濃度が1.5mg/Lとなるように添加し、検討1と同様に凝集性能の評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 0005731794
表6より、シリカを50mg/L以上の濃度で含有する水をポリ塩化アルミニウムの希釈水として用いることで、凝集効果が高くなることが確認された。
<検討5:実機での確認テスト>
東北地方某所の井戸水(水質を表7に示す)に設置した除鉄、除マンガン処理装置(モデル的に図1に示す)において、実装置による確認試験を下記の通り行った。
Figure 0005731794
(1)酸化処理工程
第1工程として行った酸化処理工程では、処理対象の井戸水(被処理水)に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を添加濃度が30mg/Lとなるように添加した。
(2)PAC添加工程
第2工程のPAC添加工程では、酸化処理工程を通過した被処理水に、ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加した。
10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を希釈せずに、あるいは、図1に示す装置の処理水を希釈水として、10重量%のポリ塩化アルミニウム(JIS K1475規格適合品)を、ポリ塩化アルミニウムの濃度が0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%となるように希釈した後、12時間エージング(PAC槽内で攪拌)を行ったポリ塩化アルミニウム水溶液を用い、被処理水へのポリ塩化アルミニウムの添加濃度が1.5mg/L、または、3.0mg/Lとなるように添加した。
(3)フロック除去工程
最終工程であるフロック除去工程では、濾過筒によるフロックの除去を行った。
上記試験の処理条件、及び、処理水の鉄、マンガン及びアルミニウムの分析結果を、各項目の水質基準値(水道法)とともに表8に示す。
Figure 0005731794
表8より、以下のことが判る。
10重量%のポリ塩化アルミニウムを希釈せずに、ポリ塩化アルミニウムの添加濃度が1.5mg/Lとなるよう添加した処理条件1では、水道法の水質基準値を満足するレベルまで鉄及びマンガンを除去処理することができず、また、凝集効果が弱いために添加したポリ塩化アルミニウム自体も処理水にリークして、アルミニウム濃度も飲料不適の値になってしまう。
10重量%のポリ塩化アルミニウムを希釈せずに、ポリ塩化アルミニウムの添加濃度が3.0mg/Lとなるよう添加した処理条件2の場合、鉄、マンガンの除去処理効果は上がり、水道法の水質基準値を満足するようになるが、アルミニウム濃度は依然高いままである。これは、凝集効果は改善されているが、ポリ塩化アルミニウムの添加量を倍増させたため、その一部が処理水にリークしたものと推定される。
これに対して本発明に係る処理条件3〜5では、鉄、マンガン、アルミニウム共に水質基準値を満たし、良好な処理水が得られる。ポリ塩化アルミニウム水溶液の濃度として、0.2重量%以下のものを使用すると、特に良好な処理水質となる。

Claims (5)

  1. 高濃度シリカ含有水に、ポリ塩化アルミニウム水溶液を添加して、該高濃度シリカ含有水に含まれる被処理物質を、酸添加によるpH調整を行うことなしに凝集処理する凝集処理方法であって、前記高濃度シリカ含有水が、シリカを50mg/L以上含有する水であり、前記ポリ塩化アルミニウム水溶液として、調製後、1時間以上エイジングを行った、酸化アルミニウム換算の濃度が0.01重量%以上0.5重量%以下の、ポリ塩化アルミニウム水溶液を用いることを特徴とする高濃度シリカ含有水の凝集処理方法。
  2. 前記ポリ塩化アルミニウム水溶液が、酸化アルミニウム換算の濃度が10重量%以上のポリ塩化アルミニウムに希釈水を添加して調製されたものであることを特徴とする請求項1に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法。
  3. 前記希釈水が、シリカを50mg/L以上含有するものであることを特徴とする請求項2に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法。
  4. 前記被処理物質が、懸濁物質、コロイド状物質、及び、前記高濃度シリカ含有水に含まれる鉄及び/またはマンガンを酸化剤により処理することで生じる不溶性の金属酸化物のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法。
  5. 前記凝集処理が、飲料または食品製造用に用いられる水を得るための凝集処理であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高濃度シリカ含有水の凝集処理方法。
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