JP5731645B2 - スライドファスナー - Google Patents
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Description
本発明は、スライドファスナーに関し、特に、防水性を有するスライドファスナーに関する。
左右一対の防水性ファスナーテープの対向縁部に複数のファスナーエレメントを、合成樹脂材を射出成形して左右一対のファスナーストリンガーとし、左右のファスナーストリンガー間に左右のファスナーエレメント間を噛合及び解除させるためのスライダーを摺動可能に挿通させ、更に、ファスナーエレメントの下端に下止を、上端に上止をそれぞれ合成樹脂材の射出成形により取付けて構成される防水性のスライドファスナーが知られている。下止を合成樹脂材で射出成形する技術は、実開平02−107309号公報等に開示されている。このようなスライドファスナーは、各ファスナーエレメントが、噛合頭部と、基部と、噛合頭部と基部を連結する首部と、首部の両側面から翼片状に延びる一対の肩部とを有し、噛合頭部は、ファスナーテープの対向縁から突出する表裏二つの突出部を含む。そして、スライダーにより上下に隣り合う左右のファスナーエレメント同士を噛み合わせることにより、一方のファスナーエレメントの肩部が他方の噛合頭部の表裏二つの突出部間(上記実開平02−107309号公報では係合溝部)に嵌り込むと共に、左右のファスナーテープの端面同士が密着することにより、左右のファスナーストリンガー間が液密に封止され、これにより防水性が得られる。
ところが、最下端のファスナーエレメントと下止との間の領域には、ファスナーエレメントが存在せず、ファスナーエレメント同士が噛み合う力が発生しないことから、ファスナーエレメント同士が噛み合う領域に比べて左右のファスナーテープ間の密着力が弱い。そのため、水圧等が加わった際に、最下端のファスナーエレメントと下止との間の領域から水等が漏れる場合がある。このような水漏れを防止するため、特開2007−215819号公報は、最下端のファスナーエレメントと下止との間の領域を防水性のシート部材で封止する技術を開示している。別の手段としては、下端部のファスナーエレメントを、下止の射出成形時に下止で覆ってしまうことで、下止周辺の防水性を向上させる技術も知られている。
しかしながら、特許文献2に記載されたスライドファスナーでは、長期間の使用によりシート部材が剥がれる場合がある。一方、下端部のファスナーエレメントを下止で覆う方法では、溶融した樹脂が、射出成形時の圧力により金型から、ファスナーエレメントの噛合頭部の表裏二つの噛合頭部間の隙間から上方に漏出し、バリを形成してスライドファスナーの製造を困難にしたり、漏れ出た樹脂が下端付近のファスナーエレメント間の噛合及び解除を不能にする場合があった。なお、下止の射出成形時における金型からの湯漏れを完全に防ぐには、金型を高精度に製作しなければならず、この場合、スライドファスナーの製造コストが過度に高くなる。
上記問題点を鑑み、本発明は、コスト的に有利に下止付近の防水性を向上させることができるスライドファスナーを提供する。
上記問題点を解決するために、本発明は、一側面において、防水構造を有するスライドファスナーであって、左右一対の防水性のファスナーテープの対向縁部に沿ってそれぞれ列設された複数のファスナーエレメントを有する左右一対のファスナーストリンガーと、左右のファスナーエレメント間を噛合及び解除するスライダーと、ファスナーエレメントの列の下端に、左右のファスナーテープに跨って形成された下止とを備え、各ファスナーエレメントは、噛合頭部と、基部と、噛合頭部と基部とを連結する首部と、首部の両側面から翼片状に延びる一対の肩部とを含み、前記下止は、ファスナーエレメント列の最下端又は最下端付近のファスナーエレメントである第1ファスナーエレメントの少なくとも下半部全域を覆うと共に、左右一方の第1ファスナーエレメントの上方に隣り合う左右他方のファスナーエレメントである第2ファスナーエレメントの少なくとも一部を覆い、前記下止の上方側には、下方に窪む凹部が設けられるスライドファスナーを提供する。
本発明では、下止が最下端又は最下端付近の第1ファスナーエレメントの少なくとも下半部全域と第1ファスナーエレメントの上方に隣り合う第2ファスナーエレメントの少なくとも一部を覆うため、第1ファスナーエレメントと第2ファスナーエレメントが下止により噛合状態で固定され、第1及び第2ファスナーエレメント間の液密性が保たれる。また、本発明では、下止の上方側から窪む凹部を設けている。そのため、下止成形用の金型から湯漏れが多少あっても凹部内にとどまり、スライドファスナーの製造に悪影響を及ぼすことがない。
下止は、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、又は、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系もしくは塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーを射出成形することにより形成され得る。ファスナーエレメントは、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成され得る。
本発明では、前記凹部に、前記第1ファスナーエレメントの上方の肩部の少なくとも一部が配置され得る。このように下止の凹部を、第1ファスナーエレメントの上方の肩部の少なくとも一部がかかるように形成することにより、下止成形用の金型からの湯漏れを凹部内にとどめることができる。
本発明の一実施形態において、前記下止は、前記第1ファスナーエレメントを、その噛合頭部の上方側部分を除いて覆うと共に、前記第2ファスナーエレメントの基部の下方側部分を覆い、前記凹部に、前記第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分とが配置される。この場合、第1ファスナーエレメントの、噛合頭部の上方側部分を除く部分と、第2ファスナーエレメントの基部の下方部分とが下止による被覆範囲内となる。また、凹部において第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分とが噛合状態にあるため、これらの間の液密性が保たれる。
本発明の一実施形態において、前記下止は、前記第1ファスナーエレメントを、その上方の肩部の少なくとも一部を除いて覆うと共に、前記第2ファスナーエレメントの下半部全域を覆う。この場合、第1ファスナーエレメントの、上方の肩部の少なくとも一部を除く部分と、第2ファスナーエレメントの下半部全域とが下止による被覆範囲内となる。
本発明に係るスライドファスナーは、一実施態様において、前記凹部において、第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分とを連結する連結部が設けられ、前記連結部は下止と同じ材料から成る。これにより、第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分との間が連結部により埋められるため、これらの間の液密性が一層向上する。
本発明に係るスライドファスナーは、一実施態様において、前記連結部は第1ファスナーエレメントの噛合頭部から第1ファスナーエレメントの上方の肩部まで延びる。また、本発明に係るスライドファスナーは、一実施態様において、前記下止は、前記第1ファスナーエレメントより下方にある少なくとも一つのファスナーエレメントを完全に覆う。
本発明では、下止の上方側から窪む凹部を設けたため、下止成形用の金型からファスナーエレメント列方向への湯漏れの量が少なくでき、スライドファスナーの製造に悪影響を及ぼすことがない。また、湯漏れの量が少ないため、湯漏れが凹部内にとどまる。そのため、高精度で高価な金型を使用する必要がない。
また、凹部において第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分とが噛合状態にあるため、これらの間の液密性が保たれる。従って、コスト的に有利に下止付近の防水性を向上させることができる。
また、凹部において第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分とが噛合状態にあるため、これらの間の液密性が保たれる。従って、コスト的に有利に下止付近の防水性を向上させることができる。
また、前記凹部において、第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方部分とを連結する、下止と同じ材料から成る連結部を設けることにより、第1ファスナーエレメントの噛合頭部の上方側部分と、第2ファスナーエレメントの噛合頭部及び首部の下方側部分との間が連結部により埋められ、これらの間の液密性が一層向上する。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化する構成を単に例示するものであって、この発明の技術的思想の具体的構成は下記のものに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るスライドファスナー1の全体構成例を長手方向(紙面上下方向)に破断して示す平面説明図である。スライドファスナー1は、図1に示すように、左右一対のファスナーテープ10、10の対向縁部11、11に沿ってそれぞれ列設された複数のファスナーエレメント3を有するファスナーストリンガー2と、左右のファスナーエレメント3間を噛合及び噛合解除するスライダー7とを備える。ファスナーエレメント3の列の下端には、左右のファスナーテープ10、10に跨って形成された下止4が配置される。ファスナーエレメント3の列の上端には、上止6が設けられている。図1において、スライダー7より下方の左右のファスナーエレメント3は噛合状態にあり、スライダー7より上方の左右のファスナーエレメント3は非噛合状態(分離状態)にある。以下の説明においては、別の定義が明示されない限り、ファスナーテープ10の長手方向(図1の紙面上下方向)を「(テープ)上下方向」と定義する。特に、スライダー7がファスナーエレメント3の列を噛合させるためにファスナーエレメント3の列に対して相対的に移動する方向を「上方」とし、ファスナーエレメント3の列を分離させるために移動する方向を「下方」とする。また、ファスナーテープ10の表裏面に沿う、上下方向に垂直な方向を「(テープ)幅方向」もしくは「左右方向」とする。
図2は、スライドファスナー1の下止4の周辺付近を一部透視して示す部分拡大図であり、図3は、下止4の周辺付近の水平断面説明図である。更に、図4は、図3のA−A線矢視断面図である。なお、図4において、ファスナーエレメント3、3bに関する参照番号は、ファスナーテープ10の表裏一方にのみ付しているが、表裏他方にも同じ参照番号部分が存在する(この点は、図5におけるファスナーエレメント3a、3b及び下止4に関する参照番号についても同様である)。ファスナーテープ10は、防水構造を有している。ファスナーテープ10としては、例えば、織成又は編成した帯状部材12(図4参照)の周囲を、天然又は合成ゴム材料や各種の合成樹脂からなるエラストマー材料からなる防水層13で被覆した防水テープが好適に用いられる。防水層13は、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系もしくは塩化ビニル系の熱可塑性エラストマーにより形成され得る。なお、本実施形態において「防水構造」とは、ファスナーエレメント3が噛合した状態で、図4に示すように左右のファスナーテープ10、10の端面11a同士が密接し、左右のファスナーテープ10、10間が隙間無く、液密に封止されている構造を意味する。ファスナーテープ10は帯状部材12の周囲が防水層13で被覆されているため、防水層13の端面同士が密接することにより、左右のファスナスーテープ10、10間に防水性すなわち液密性が得られる。なお、同時に気密性も得られる。なお、防水層は帯状部材の片面のみに形成するものであってもよい。
各ファスナーエレメント3は、ファスナーテープ10の表裏面に対し、熱可塑性樹脂等の合成樹脂による射出成形により表裏同形状に形成される。図示はしないが、ファスナーテープ10には、その対向縁部11に沿って、ファスナーエレメント3の製造に用いられる溶融樹脂が通過できる程度に十分な大きさをもつ貫通穴が、各ファスナーエレメント3の取付位置に一つずつ設けられている。そのため、各ファスナーエレメント3は、貫通穴を介してファスナーテープ10の表裏面上に一体融着される。なお、後述する下止4も、ファスナーテープ10の貫通穴(図示せず)を介してファスナーテープ10の表裏面に熱可塑性樹脂等を射出成形して形成されるが、この射出成形は、ファスナーエレメント3の形成後に行われる。図2〜4を参照して、ファスナーエレメント3(3a、3b)は、平面視でテープ上下方向に長い略長円形状を有する噛合頭部30と、噛合頭部30からテープ上下方向に狭まるようにテープ幅方向に延びる首部32と、首部32からテープ上下方向に拡張しつつ更に幅方向に延びる基部33とを備える。首部32のテープ上下方向の両側面には、テープ上下方向に翼片状にそれぞれ延びる一対の肩部34(図6参照)が設けられる。図4から分かるように、肩部34のファスナーテープ10の表裏面からの高さは、噛合頭部30、首部32及び基部33の高さに比べて約1/3〜1/4程度に薄くされる。一つのファスナーエレメント3の噛合頭部30は、ファスナーテープ10の端面11aから相手側のファスナーテープ10側へとテープ幅方向に突出する表裏二つの突出部31(図4における突出部31bに対応)を含み、この二つの突出部31間に、相手側のファスナーテープ10の対向縁部11と、該一つのファスナーエレメント3に上下に隣り合う相手側のファスナーエレメント3の肩部34とが噛合状態において嵌り込む。これにより、ファスナストリンガー2、2の表裏から水圧等を受けても、噛合状態のファスナーエレメント3、3間が解かれるようなことがなく、ファスナーテープ10、10の端面11a、11a間の密接状態が保たれる。ファスナーエレメント3には更に、基部33から噛合頭部30とは反対側に、股部35を介して分岐する二本の脚部36が設けられる。脚部36のファスナーテープ10の表裏面からの厚さは肩部34と同程度である。このような二本の脚部36が設けられることにより、図1に示すスライダー7がファスナーエレメント3の列方向に摺動する際、スライダー7が脚部36に接触して摺動するので、摺動操作が軽くなる。ファスナーエレメント3(3a、3b)の噛合頭部30、首部32は、そのファスナーエレメントの上方に位置する対向するファスナーエレメントと噛合する上方側部分と、そのファスナーエレメントの下方に位置する対向するファスナーエレメントと噛合する下方側部分とを有する。また、基部33および肩部34においても、テープ上下方向において、上方側部分と下方側部分とを有する。
下止4は、ファスナーエレメント3の列が形成された後のファスナーストリンガー2に対し、図示しない金型のキャビティ内で熱可塑性樹脂等を射出成形することにより、左右のファスナーテープ10の表裏面に同形状で形成される。本実施形態の下止4は、図2及び3に示すように、噛合状態でのファスナーエレメント3の列の最下端のファスナーエレメント3cを完全に覆い、最下端から2番目のファスナーエレメントである第1ファスナーエレメント3aを、その噛合頭部30aの上半部分を除いて覆い、かつ、最下端から3番目のファスナーエレメントである第2ファスナーエレメント3bの基部33の下半部分を覆う。下止4は、平面視が略矩形(略正方形)であるが、左右の上端辺4a、4b間において下方に窪む凹部40を有する。つまり、下止4の上側の幅方向中央に、下方に窪む凹部40を有し、この凹部40を挟んで左右両側に上端辺4a、4bを有する。最下端のファスナーエレメント3cを完全に覆うように下止を成形することで、最下端のファスナーエレメント3cと第1エレメント3aとが噛合うことで、第1エレメント3aと第2エレメント3bとの噛み合いによる、ファスナーテープ同士の密接状態を保持することができるので、より液密性を発揮しやすくできる。以下、第1ファスナーエレメント3aを「第1エレメント3a」といい、第2ファスナーエレメント3bを「第2エレメント3b」という。下止4に凹部40を設けず、下止4をその上端辺が直線状に連続するように形成する場合、成形用の金型から第2エレメント3bの噛合頭部30bの表裏二つの突出部31b、31b間の隙間を通じて上方に湯漏れが生じ、第2エレメント3bと、第2エレメント3bの直ぐ上のファスナーエレメント3とが噛合解除不能に連結してしまうおそれがある。また、このような金型からの湯漏れを完全に防ぐために金型を高精度に製作する場合、スライドファスナー1の製造コストが過度に高くなるという問題がある。スライドファスナー1には、下止4の凹部40内において、第1エレメント3aの噛合頭部30a及び首部32aと第2エレメント3bの噛合頭部30b及び首部32bとの間に下止4と同じ樹脂材から成る連結部41が設けられる。連結部41は、図2において、その部分を明瞭にするため便宜的に黒塗りで示される。連結部41は、例えば、下止4の形成時に、下止4の成形用の金型から、溶融樹脂を、第1エレメント3aの噛合頭部30a及び首部32aと第2エレメント3bの噛合頭部30b及び首部32bとの間へと意図的に流し込むことによって形成され得る。
図5は、図3のB−B線矢視断面図である。下止4の幅方向断面(図5の断面)の外形は矩形状であり、下止4のファスナーテープ10の表裏面からの高さ(厚さ)及びテープ幅方向の長さは、第1及び第2エレメント3a、3bのそれらを上回る。なお、連結部41のファスナーテープ10の表裏面からの高さは第1及び第2エレメント3a、3bとほぼ同じである。再び図2を参照して、下止4の左方の上端辺4aは、幅方向に平行(上下方向に垂直)な直線状であり、第1エレメント3aの基部32cを超えて上方に延び、第2エレメント3bのテープ上下方向の中間まで達している。右方の上端辺4bも幅方向に平行な直線状で、左方の上端辺4aの延長線と合致する上下方向位置にあり、第2エレメント3bの基部33bの上下方向中間まで達する。下止4の凹部40は、左方の上端辺4aの右端から右方かつ下方に傾斜する傾斜側部40aと、右方の上端辺4bの左端から下方に上下方向にほぼ平行に延びる垂直側部40bと、傾斜側部40aと垂直側部40bとを連結する底側部40cとによって規定される。底側部40cは、傾斜側部40aの下端から右方へと幅方向にほぼ平行に延びた後、上方へと湾曲しながら垂直側部40bの下端に繋がる。凹部40の範囲、すなわち上端辺4a、4bの延長線から下方で、傾斜側部40aと垂直側部40bと底側部40cとに囲まれる領域には、第1エレメント3aの噛合頭部30aの上半部と、第2エレメント3bの噛合頭部30b及び首部32bの各下半部がかかる。また、図3の一部拡大図である図6にも示すように、凹部40の範囲において、上述した連結部41が第1エレメント3aと第2エレメント3bとの間を埋める。図6において、参照番号34aは第1エレメント3aのテープ上方側の肩部であり、肩部34aは、第2エレメント3bの噛合頭部30bの表裏の突出部31b間に嵌り込んでいる。また、参照番号34bは第2エレメント3bのテープ下方側の肩部であり、肩部34bは、第1エレメント3bの噛合頭部30aの表裏の突出部31a間に嵌り込んでいる。連結部41は、下止4と同じ材料で、前記凹部40において、下止4の右方部分から、第1エレメント3aの噛合頭部30aの上方側部分と、第2ファスナーエレメント3bの噛合頭部30b及び首部32bの下方側部分との間へと連続的に延び、ここから更に、第2エレメント3bの頭部30bと第1エレメント3aの基部33aの首部32a側部分へと延び、ここで第1エレメント3aの上方の肩部34aの表面まで連結する。連結部41を設けたことにより、凹部40内の第1及び第2エレメント間の液密性が一層向上する。
図7は、第1エレメント3aと第2エレメン3bとの間に連結部41を設けない例を示す部分拡大説明図である。このように連結部41が第1及び第2エレメント3a、3b間に存在しなくても、第1エレメント3a及び第2エレメント3bの肩部34a、34bが噛合頭部30b、30aの表裏二つの突出部31b、31a間に互いに嵌り込んでいるため、第1及び第2エレメント3a、3b間はしっかりと噛合した液密封止状態にある。図8は、下止4内に上述したファスナーエレメント3cが存在せず、第1エレメント3aが最下端のファスナーエレメントとなる例を示す部分拡大説明図である。
なお、図示はしないが、下止4に完全に被覆されるファスナーエレメント、すなわち第1エレメント3aより下方のファスナーエレメントが二つ以上存在してもよい。なお、ファスナーエレメント列の下方の左右のファスナーエレメントが下止4に入り込んでおり、その上端辺4a、4bは第1エレメント3aと第2エレメント3bとの噛合する部分より上方に位置するため、左右のファスナーテープを引き離す方向に横引き力が加わった際にも、その噛合する部分には、直接横引き力が作用せず、液密性に維持できる。
なお、図示はしないが、下止4に完全に被覆されるファスナーエレメント、すなわち第1エレメント3aより下方のファスナーエレメントが二つ以上存在してもよい。なお、ファスナーエレメント列の下方の左右のファスナーエレメントが下止4に入り込んでおり、その上端辺4a、4bは第1エレメント3aと第2エレメント3bとの噛合する部分より上方に位置するため、左右のファスナーテープを引き離す方向に横引き力が加わった際にも、その噛合する部分には、直接横引き力が作用せず、液密性に維持できる。
図9は下止の別の例を示す平面説明図であり、図10は図9の下止104の周辺付近を一部透視して示す部分拡大説明図である。なお、下止104以外の構成は、既述したものと共通するため、同じ参照番号を付す。この実施形態の下止104は、最下端のファスナーエレメント3cを完全に覆い、最下端から2番目の第1エレメント3aを、その上方の肩部34aの、基部33a側の一部34bを除いて覆い、かつ、最下端から3番目の第2エレメント3bの下半部全域を覆う。つまり、前記第2エレメント3bの下半部をテープ幅方向の全体に亘って覆っている。下止104は、幅方向に平行で同じ上下方向高さにある左右の上端辺104a、104b間において下方に窪む凹部140を有し、凹部140に上記肩部34aの一部34bがかかる(存在する)。凹部140の右方の上端辺104bは、第2エレメント3bの噛合頭部30bの最左端で終端し、左方の上端辺104aの右端は、幅方向において第1エレメント3aの基部33aと首部32aとの境界付近にある。凹部140は、右方の上端辺104bの左端から下方に第2エレメント3bの噛合頭部30bの輪郭に沿って延びる右側部140bと、左方の上端辺104aの右端から湾曲しつつ下方かつ右方に延びる左側部140aと、右側部140bの下端と左側部140aとを連結する底側部140cとによって規定される。左側部140aは、左方の上端辺104aの右端から第1エレメント3aの基部33aと首部32aとの境界付近まで延びる左側上方部140aaと、左側上方部140aaの下端から第1エレメント3aの上方の首部32aの輪郭に沿って延びる左側下方部140abとに区分され、左側上方部140aaと左側下方部140abとは140〜160度程度の鈍角をなす。底側部140cは、凹部140内における上記肩部34aの一部34bの端面(輪郭)とほぼ平行に右上へと傾斜し、第1エレメント3aの上方の首部32aの幅方向中間よりもわずかに左方にある。この実施形態では、下止104の凹部140を、下止成形用の金型からの湯漏れをとどめることができる最小の大きさとしつつ、第1エレメント3aのほぼ全域と第2エレメント3bの下半部全域とを下止104で覆って、第1及び第2エレメント3a、3b間を液密封止することができる。なお、下止104の右方の上端辺104bは、最下端から3番目の第2エレメント3bの、噛合頭部30bの最左端から首部32b上と基部33b上を通るようにして、直線状に形成される。
1 スライドファスナー
2 ファスナーストリンガー
3 ファスナーエレメント
3a 第1ファスナーエレメント
3b 第2ファスナーエレメント
30、30a、30b 噛合頭部
31、31a、31b 突出部
32、32a、32b 首部
33、33a、33b 基部
34、34a、34b 肩部
4、104 下止
40、140 凹部
41 連結部
2 ファスナーストリンガー
3 ファスナーエレメント
3a 第1ファスナーエレメント
3b 第2ファスナーエレメント
30、30a、30b 噛合頭部
31、31a、31b 突出部
32、32a、32b 首部
33、33a、33b 基部
34、34a、34b 肩部
4、104 下止
40、140 凹部
41 連結部
Claims (10)
- 防水構造を有するスライドファスナー(1)であって、
左右一対の防水性のファスナーテープ(10)の対向縁部(11)に沿ってそれぞれ列設された複数のファスナーエレメント(3)を有する左右一対のファスナーストリンガー(2)と、
左右のファスナーエレメント(3)を噛合及び解除するスライダー(7)と、
ファスナーエレメント(3)の列の下端に、左右のファスナーテープ(10)に跨って形成された下止(4、104)とを備え、
各ファスナーエレメント(3)は、噛合頭部(30)と、基部(33)と、噛合頭部(30)と基部(33)を連結する首部(32)と、首部(32)の両側面から翼片状に延びる一対の肩部(34)とを含み、
前記下止(4、104)は、ファスナーエレメント列の最下端又は最下端付近のファスナーエレメント(3)である第1ファスナーエレメント(3a)の少なくとも下半部全域を覆うと共に、左右一方の第1ファスナーエレメント(3a)の上方に隣り合う左右他方のファスナーエレメント(3)である第2ファスナーエレメント(3b)の少なくとも一部を覆い、
前記下止(4、104)の上方側には、下方に窪む凹部(40、140)が設けられ、
前記下止(4、104)は、前記凹部(40、140)により上端辺が連続せず、左方の上端辺(4a、104a)と右方の上端辺(4b、104b)とを有し、前記凹部(40、140)は、左方の上端辺(4a、104a)の右端から下方に窪むと共に、右方の上端辺(4b、104b)の左端から下方に窪むスライドファスナー。 - 前記凹部(40、140)に、前記第1ファスナーエレメント(3a)の上方の肩部(34a)の少なくとも一部が配置される請求項1のスライドファスナー。
- 前記下止(4)は、前記第1ファスナーエレメント(3a)を、その噛合頭部(30a)の上方側部分を除いて覆うと共に、前記第2ファスナーエレメント(3b)の基部(33b)の下方側部分を覆い、
前記凹部(40)に、前記第1ファスナーエレメント(3a)の噛合頭部(30a)の上方側部分と、第2ファスナーエレメント(3b)の噛合頭部(30b)及び首部(32b)の下方側部分とが配置される請求項1又は2のスライドファスナー。 - 前記下止(104)は、前記第1ファスナーエレメント(3a)を、その上方の肩部(34a)の少なくとも一部(34b)を除いて覆うと共に、前記第2ファスナーエレメント(3b)の下半部全域を覆う請求項1又は2のスライドファスナー。
- 前記凹部(40)において、第1ファスナーエレメント(3a)の噛合頭部(30a)の上方側部分と、第2ファスナーエレメント(3b)の噛合頭部(30b)及び首部(32b)の下方側部分とを連結する連結部(41)が設けられ、前記連結部(41)は下止(4)と同じ材料から成る請求項1又は2のスライドファスナー。
- 前記連結部(41)は、第1ファスナーエレメント(3a)の噛合頭部(30a)から第1ファスナーエレメント(3a)の上方の肩部(34)まで延びる請求項5のスライドファスナー。
- 前記下止(4、104)は、前記第1ファスナーエレメント(3a)より下方にある少なくとも一つのファスナーエレメント(3c)を完全に覆う請求項1又は2のスライドファスナー。
- 下止(4、104)は、合成樹脂を射出成形して形成される請求項1又は2のスライドファスナー。
- 前記右方の上端辺(104b)は、第2ファスナーエレメント(3b)の噛合頭部(30b)の左端で終端する請求項1又は2のスライドファスナー。
- 前記凹部(140)は、右方の上端辺(104b)の左端から下方に第2ファスナーエレメント(3b)の噛合頭部(30b)の輪郭に沿って延びる右側部(140b)と、左方の上端辺(104a)の右端から下方に延びる左側部(140a)と、右側部(140b)の下端と左側部(140a)の下端とを連結する底側部(140c)とによって形成される請求項9のスライドファスナー。
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JP2013521479A JP5731645B2 (ja) | 2011-06-24 | 2012-01-27 | スライドファスナー |
Applications Claiming Priority (4)
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JPPCT/JP2011/064557 | 2011-06-24 | ||
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JP2007215819A (ja) * | 2006-02-17 | 2007-08-30 | Ykk Corp | 防水性スライドファスナーの下止 |
-
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- 2012-01-27 JP JP2013521479A patent/JP5731645B2/ja active Active
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