JP5730133B2 - 直流給電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電力を機器へ供給する直流給電装置に関する。
例えば各種コンピュータ(メインフレーム、サーバー等)やデータ通信装置等が設置されて運用されるIDS(インターネットデータセンター)等の情報通信設備には、給電装置から各機器に電力を給電する給電システムが設けられる。このような給電システムとしては、交流給電装置を用いた交流給電システムが一般的に採用されている。
情報通信設備においては、例えば機器の起動時の突入電流や機器の処理負荷の急激な変動等に起因して、消費電力が瞬間的に大きく増減変動することがある。そのため給電システムとしては、そのような瞬間的な消費電力の最大ピークに対応可能な電力量を供給可能な構成とする必要が生ずる。しかし情報通信設備における消費電力の平均値は、最大ピークの電力値よりはるかに小さい場合が多い。つまり従来の給電システムは、瞬間的な消費電力の最大ピークに対応するために、本来的に必要な電力を大幅に超える電力を供給可能な構成とする必要があり、給電装置が必要以上に大型化してしまうという課題が生ずる。
このような課題を解決することを目的とした従来技術の一例としては、交流ピークカット電源装置を備えた交流給電システムが公知である(例えば特許文献1を参照)。この交流ピークカット電源装置は、商用交流電力を負荷機器へ供給するとともに、商用交流電力をインバータで直流電力に変換して蓄電池に充電する。そして瞬間的に負荷電流が増加したときには、商用交流電力に加えて、さらに蓄電池に蓄えられた直流電力がインバータで交流電力に変換されて負荷機器へ供給される。蓄電池の充電と放電の切り換えは、商用交流電力の位相に対するインバータの誘起電圧の位相を調整することによって行われる。当該従来技術によれば、交流給電システムにおいて、瞬間的な消費電力の増加に対応しつつ交流給電装置を大幅に小型化することが可能になる。
特開平4−178807号公報
情報通信設備で一般的に採用されている交流給電システムにおいては、まず商用交流電力が直流電力に変換され、情報通信設備のUPS(無停電電源システム)のバッテリに充電される。またその直流電力は、AC100〜200Vの交流電力に変換されて各機器に分配される。各機器は、分配された交流電力を直流電力に変換し、さらにその直流電力を所望の電圧の直流電力に変換する。つまり交流給電システムにおいては、合計4回の電力変換が必要になるため、電力変換による電力損失が大きいという課題がある。
近年は、情報通信設備における消費電力を削減するために、高電圧直流給電(HVDC)技術を用いた直流給電システムが注目されつつある。直流給電システムは、商用交流電力を直流電力に変換した後、その直流電力をそのまま各機器に分配するため、電力変換の回数は2回で済むことになる。つまり直流給電システムは、交流給電システムと比較して、電力を変換する回数を少なくすることができるため、電力変換時の損失が減少し、電力の利用効率を向上させることができる。
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、直流給電システムにおいて、瞬間的な消費電力の増加に対応しつつ直流給電装置を小型化することにある。
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、商用交流電力を直流電力に変換する電力変換装置と、前記電力変換装置が出力する直流電力を蓄電池に充電する充電回路と、前記蓄電池の電圧を任意の電圧に変換して出力する直流電圧変換装置と、前記電力変換装置が出力する直流電力と前記直流電圧変換装置が出力する直流電力とを合成して出力するダイオードOR回路と、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態では、前記直流電圧変換装置の出力電圧を前記電力変換装置の出力電圧より低い電圧に設定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態では、前記直流電圧変換装置の出力電圧を前記電力変換装置の出力電圧以上の電圧に設定する制御装置と、を備える直流給電装置である。
ここで許容電力量とは、電力変換装置が供給可能な電力量の定格、すなわち電力変換装置が定格電圧で供給可能な単位時間当たりの電力量の最大量、又は商用交流電力の定格、すなわち商用交流電力が定格電圧で供給可能な単位時間当たりの電力量の最大量を意味する。
電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態では、電力変換装置が出力する直流電力だけで負荷機器への電力供給を十分に行うことができる。この状態では制御装置は、直流電圧変換装置の出力電圧を電力変換装置の出力電圧より低い電圧に設定する。電力変換装置が出力する直流電力と直流電圧変換装置が出力する直流電力とは、ダイオードOR回路で合成されて出力される。よって直流給電装置は、電力変換装置が出力する直流電力がダイオードOR回路を介して負荷機器へ供給され、蓄電池に蓄えられた電力はほとんど負荷機器へ供給されない状態となる。
他方、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態では、電力変換装置が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない可能性が生ずる。この状態では制御装置は、直流電圧変換装置の出力電圧を電力変換装置の出力電圧以上の電圧に設定する。それによって直流給電装置は、電力変換装置が出力する直流電力に加えて、さらに直流電圧変換装置が出力する直流電力(蓄電池に予め蓄えられた電力)がダイオードOR回路を介して負荷機器へ供給される状態となる。
つまり本発明に係る直流給電装置は、負荷機器において生ずる瞬間的な消費電力の最大ピーク等により、電力変換装置が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない状態では、その不足分の電力を蓄電池から供給することができる。それによって瞬間的な消費電力の最大ピークに柔軟に対応しつつ、直流給電装置が必要以上に大型化してしまうことを抑制することができる。
これにより本発明の第1の態様によれば、直流給電システムにおいて、瞬間的な消費電力の増加に対応しつつ直流給電装置を小型化することができるという作用効果が得られる。
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出回路をさらに備え、前記制御装置は、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧が電圧閾値より高いことを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態と判定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧が前記電圧閾値以下であることを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定する、ことを特徴とした直流給電装置である。
電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えて増加していくと、それに伴って、電力変換装置が出力する直流電力の電圧が低下していくことになる。したがって電力変換装置が出力する直流電力の電圧が電圧閾値以下に低下したことを条件として、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定することができる。この電圧閾値は、直流給電装置から電力を供給される負荷機器が安定的に動作する状態を維持する観点から、その負荷機器が安定的に動作可能な最低電圧から直流給電装置が出力する直流電力の定格電圧の範囲内で任意の電圧に設定すればよい。
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流を検出する電流検出回路をさらに備え、前記制御装置は、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流が電流閾値より小さいことを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態と判定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流が前記電流閾値以上であることを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定する、ことを特徴とした直流給電装置である。
電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が増加していくと、それに伴って、電力変換装置が出力する直流電力の電流も増加していくことになる。したがって電力変換装置が出力する直流電力の電流が一定の電流値以上流れていることを条件として、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定することができる。そして上記の一定の電流値としての電流閾値は、例えば電力変換装置が出力する直流電力の定格電圧と許容電力量との関係から導出することができる。つまり電流閾値は、直流給電装置から電力を供給される負荷機器が安定的に動作する状態を維持する観点から、例えば電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量に達した状態における電流値を目安に任意の値に設定すればよい。
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流を検出する電流検出回路とをさらに備え、前記制御装置は、前記電圧検出回路が検出する電圧及び前記電流検出回路が検出する電流に基づいて、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を演算する、ことを特徴とした直流給電装置である。
このような特徴によれば、電力変換装置が出力する直流電力の電圧と電流を実測し、その実測値から単位時間当たりの電力量を演算して求めるので、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を高精度に特定することができる。したがって電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態か否かを高精度に特定することができる。それによって直流電圧変換装置の出力電圧の制御をより高精度に行うことができるので、負荷機器へ供給する電力が不足する状態が生ずる虞をさらに低減させることができる。
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を検出する電力検出回路をさらに備える、ことを特徴とした直流給電装置である。
このような特徴によれば、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を電力検出回路で実測するので、その単位時間当たりの電力量を高精度に特定することができる。したがって電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態か否かを高精度に特定することができる。それによって直流電圧変換装置の出力電圧の制御をより高精度に行うことができるので、負荷機器へ供給する電力が不足する状態が生ずる虞を低減させることができる。また上記特徴によれば、電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を制御装置で演算して求める必要がないので、制御装置の処理負荷を低減させることができる。
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第1〜第5の態様のいずれかにおいて、前記直流電圧変換装置の出力インピーダンスが前記電力変換装置の出力インピーダンスより低く設定されている、ことを特徴とした直流給電装置である。
このような特徴によれば、直流電圧変換装置の出力電圧を電力変換装置の出力電圧以上の電圧に設定した状態において、より多くの直流電力を蓄電池から供給することが可能になるので、瞬間的な消費電力の増加に対し、より柔軟かつ確実に対応することができる。
本発明によれば、直流給電システムにおいて、瞬間的な消費電力の増加に対応しつつ直流給電装置を小型化することができるという作用効果が得られる。
本発明に係る直流給電装置の全体構成図。 制御装置による電力制御の第1実施例を図示したフローチャート。 制御装置による電力制御の第2実施例を図示したフローチャート。 制御装置による電力制御の第3実施例を図示したフローチャート。 PSU及びBBUの出力電圧及び出力電流の変化を図示したタイミングチャート。 直流給電装置が供給する電力量の時間軸に対する変化を図示したグラフ。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<直流給電装置の構成>
本発明に係る直流給電装置の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、直流給電装置100の全体構成図である。
本発明に係る直流給電装置100は、PSU(Power Supply Unit)10、BBU(Battery Backup Unit)20、ダイオードOR回路30、電力検出回路40及びPDU(電力分配装置:Power Distribution Unit)50を備える。
「電力変換装置」としてのPSU10は、商用交流電力(例えばAC200V)を直流電力に変換する装置であり、フィルタ回路11、整流平滑回路12及びスイッチング回路13を含む。フィルタ回路11は、供給される商用交流電力に含まれるノイズ成分を除去する。整流平滑回路12は、フィルタ回路11を通過した商用交流電力を整流及び平滑して直流電力に変換する。スイッチング回路13は、例えば昇圧チョッパ回路等を含み、整流平滑回路12が出力する直流電力の電圧を昇圧して定格電圧(例えばDC250V〜400V)に変換する。
BBU20は、充電回路21、蓄電池22、DC/DCコンバータ23及び制御装置24を含む。充電回路21は、PSU10が出力する直流電力を蓄電池22に充電する回路であり、制御装置24によって制御される。蓄電池22は、例えばニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池等である。「直流電圧変換装置」としてのDC/DCコンバータ23は、蓄電池22の電圧を任意の電圧に変換して出力する。制御装置24は、いわゆるマイコン制御装置やPLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)であり、予め記憶された制御プログラムを実行するCPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)等を含む。
ダイオードOR回路30は、二つのダイオードD1、D2を含む。ダイオードD1のアノード端子は、スイッチング回路13の出力端子に接続されている。ダイオードD2のアノード端子は、DC/DCコンバータ23の出力端子に接続されている。ダイオードD1のカソード端子は、ダイオードD2のカソード端子に接続されており、この接続点がPDU50に接続されている。つまりダイオードOR回路30は、PSU10が出力する直流電力(スイッチング回路13が出力する直流電力)とBBU20が出力する直流電力(DC/DCコンバータ23が出力する直流電力)とを合成してPDU50へ出力する回路である。例えば商用交流電力にいわゆる瞬停が発生した場合には、その瞬停の間、PSU10からの電力供給は停止するが、BBU20からの電力供給によって負荷機器への電力供給が維持される。
電力検出回路40は、電流検出用トランス(カレントトランス)CT、二つの抵抗R1、R2及びA/Dコンバータ41を含む。「電流検出回路」としての電流検出用トランスCTは、PSU10の出力ラインに直列に接続されており、PSU10が出力する直流電力の電流を検出する。電流検出用トランスCTの出力端子は、制御装置24の入力ポートに接続されている。この「電流検出回路」としては、電流検出用トランスCTの他、例えばシャント抵抗器等を用いることもできる。抵抗R1、R2及びA/Dコンバータ41は、PSU10が出力する直流電力の電圧を検出する「電圧検出回路」を構成する。抵抗R1の一端側は、スイッチング回路13の出力端子に接続されている。抵抗R1の他端側は、抵抗R2の一端側に接続されている。抵抗R2の他端側はグランドに接続されている。抵抗R1と抵抗R2の接続点は、A/Dコンバータ41の入力端子に接続されている。A/Dコンバータ41の出力端子は、制御装置24の入力ポートに接続されている。PSU10が出力する直流電力の電圧は、抵抗R1と抵抗R2の抵抗比に応じた分圧比で分圧され、A/Dコンバータ41でデジタル信号に変換されて制御装置24へ出力される。
PDU50は、ダイオードOR回路30が出力する直流電力を複数の負荷機器(図示せず)に分配する装置である。
<制御装置24による電力制御の第1実施例>
制御装置24による電力制御の第1実施例について、図2、図5及び図6を参照しながら説明する。
尚、当該実施例においては、PSU10が出力する直流電力の電流を検出する「電流検出回路」(電流検出用トランスCT、シャント抵抗器等)を設ける必要はない。
図2は、制御装置24による電力制御の第1実施例を図示したフローチャートである。当該フローチャートに図示した制御手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。
図5は、PSU10が出力する直流電力及びBBU20が出力する直流電力の電圧及び電流の変化を図示したタイミングチャートであり、図5(a)は電圧の変化、図5(b)は電流の変化をそれぞれ図示したものである。図6は、直流給電装置100が供給する電力量の時間軸に対する変化を図示したグラフである。
まずPSU10が出力する直流電力の電圧V1(以下、「PSU電圧V1」という。)をA/Dコンバータ41が出力する信号から演算し、そのPSU電圧V1が電圧閾値Vtより高いか否かを判定する(ステップS1)。ここで電圧閾値Vtは、直流給電装置100から電力を供給される負荷機器が安定的に動作する状態を維持する観点から、その負荷機器が安定的に動作可能な最低電圧から直流給電装置100が出力する直流電力の定格電圧の範囲内で任意の電圧に設定すればよい。
PSU電圧V1が電圧閾値Vtより高い場合には(ステップS1でYes)、PSU10が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量P1(以下、「PSU電力量P1」という。)が許容電力量Pt以下である状態と判定する。ここで許容電力量Ptとは、PSU10が供給可能な電力量の定格、すなわちPSU10が定格電圧で供給可能な単位時間当たりの電力量の最大量、又は商用交流電力の定格、すなわち商用交流電力が定格電圧で供給可能な単位時間当たりの電力量の最大量を意味する。
PSU電力量P1が許容電力量Pt以下である状態では、PSU10が出力する直流電力だけで負荷機器への電力供給を十分に行うことができる。したがってPSU電圧V1が電圧閾値Vtより高い場合には(ステップS1でYes)、BBU20のDC/DCコンバータ23の出力電圧V2(以下、「BBU電圧V2」という。)をPSU電圧V1より低い電圧に設定する(ステップS2)。それによって直流給電装置100は、PSU10が出力する直流電力がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給され、蓄電池22に蓄えられた電力はほとんど負荷機器へ供給されない状態となる。
他方、PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えて増加していくと、それに伴ってPSU電圧V1が低下していくことになる(図5のタイミングT1)。したがってPSU電圧V1が電圧閾値Vt以下である場合には(ステップS1でNo)、PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態と判定する(図5のタイミングT2)。
PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態では、PSU10が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない可能性が生ずる。したがってPSU電圧V1が電圧閾値Vt以下である場合には(ステップS1でNo)、BBU電圧V2をPSU電圧V1以上の電圧に設定する(ステップS3)。それによってPSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態では、PSU電力量P1に加えて、さらにBBU20のDC/DCコンバータ23が出力する直流電力(蓄電池22に予め蓄えられた電力)の単位時間当たりの電力量P2(以下、「BBU電力量P2」という。)がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給される状態となる(図6)。
このときBBU電圧V2は、PSU電力量P1の電力不足分がBBU電力量P2としてBBU20から供給されるように設定する。より具体的には、例えばPSU電圧V1、PSU10の出力インピーダンス(スイッチング回路13の出力インピーダンス)、BBU20の出力インピーダンス(DC/DCコンバータ23の出力インピーダンス)等に基づいて、PSU電力量P1とBBU電力量P2とが所望の比率となるようにBBU電圧V2を設定すればよい。
また直流給電装置100の構成としては、BBU20の出力インピーダンス(DC/DCコンバータ23の出力インピーダンス)がPSU10の出力インピーダンス(スイッチング回路13の出力インピーダンス)より低く設定されているのが好ましい。それによってBBU電圧V2をPSU電圧V1以上の電圧に設定した状態において、より多くの直流電力を蓄電池22から供給することが可能になるので、瞬間的な消費電力の増加に対し、より柔軟かつ確実に対応することができる。さらに直流給電装置100の構成としては、DC/DCコンバータ23に出力インピーダンス制御回路を設け、制御装置24がDC/DCコンバータ23の出力インピーダンスを増減調整可能な構成とするのが好ましい。それによってPSU電力量P1とBBU電力量P2との比率をより柔軟かつ高精度に設定することが可能になる。
以上説明したように本発明に係る直流給電装置100は、負荷機器において生ずる瞬間的な消費電力の最大ピーク等により、PSU10が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない状態では、その不足分の電力を蓄電池22から供給することができる。それによって瞬間的な消費電力の最大ピークに柔軟に対応しつつ、直流給電装置100が必要以上に大型化してしまうことを抑制することができる。
このようにして本発明によれば、直流給電システムにおいて、瞬間的な消費電力の増加に対応しつつ直流給電装置100を小型化することができる。
<制御装置24による電力制御の第2実施例>
制御装置24による電力制御の第2実施例について、図3、図5及び図6を参照しながら説明する。
尚、当該実施例においては、PSU10が出力する直流電力の電圧を検出する「電圧検出回路」(抵抗R1、R2及びA/Dコンバータ41等)を設ける必要はない。
図3は、制御装置24による電力制御の第2実施例を図示したフローチャートである。当該フローチャートに図示した制御手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。
まずPSU10が出力する直流電力の電流I1(以下、「PSU電流I1」という。)を電流検出用トランスCTが出力する信号から演算し、そのPSU電流I1が電流閾値Itより小さいか否かを判定する(ステップS11)。ここで電流閾値Itは、例えばPSU10が出力する直流電力の定格電圧と許容電力量Ptとの関係から導出することができる。つまり電流閾値Itは、PSU10から電力を供給される負荷機器が安定的に動作する状態を維持する観点から、例えばPSU電力量P1が許容電力量Ptに達した状態における電流値を目安に任意の値に設定すればよい。
PSU電流I1が電流閾値Itより小さい場合には(ステップS11でYes)、PSU電力量P1が許容電力量Pt以下である状態と判定する。PSU電力量P1が許容電力量Pt以下である状態では、PSU10が出力する直流電力だけで負荷機器への電力供給を十分に行うことができる。したがってPSU電流I1が電流閾値Itより小さい場合には(ステップS11でYes)、BBU電圧V2をPSU電圧V1より低い電圧に設定する(ステップS12)。それによって直流給電装置100は、PSU10が出力する直流電力がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給され、蓄電池22に蓄えられた電力はほとんど負荷機器へ供給されない状態となる。
他方、PSU電力量P1が増加していくと、それに伴ってPSU電流I1も増加していくことになる(図5(b))。したがってPSU電流I1が電流閾値It以上流れている場合には(ステップS11でNo)、PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態と判定する(図5のタイミングT2)。
PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態では、PSU10が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない可能性が生ずる。したがってPSU電流I1が電流閾値It以上流れている場合には(ステップS11でNo)、BBU電圧V2をPSU電圧V1以上の電圧に設定する(ステップS13)。それによって負荷機器には、PSU電流I1に加えて、BBU20のDC/DCコンバータ23からの電流I2(以下、「BBU電流I2」という。)が流れることになる(図5(b))。すなわちPSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態では、PSU電力量P1に加えて、さらにBBU電力量P2がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給される状態となる(図6)。
このような態様でも本発明は実施可能であり、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
<制御装置24による電力制御の第3実施例>
制御装置24による電力制御の第3実施例について、図4〜図6を参照しながら説明する。
図4は、制御装置24による電力制御の第3実施例を図示したフローチャートである。当該フローチャートに図示した制御手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。
まずA/Dコンバータ41が出力する信号からPSU電圧V1を演算し、電流検出用トランスCTが出力する信号からPSU電流I1を演算し、このPSU電圧V1及びPSU電流I1に基づいてPSU電力量P1を演算する(ステップS21)。つづいて演算して求めたPSU電力量P1が許容電力量Pt以下であるか否かを判定する(ステップS22)。
PSU電力量P1が許容電力量Pt以下である場合には(ステップS22でYes)、PSU10が出力する直流電力だけで負荷機器への電力供給を十分に行うことができるので、BBU電圧V2をPSU電圧V1より低い電圧に設定する(ステップS23)。それによって直流給電装置100は、PSU10が出力する直流電力がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給され、蓄電池22に蓄えられた電力はほとんど負荷機器へ供給されない状態となる。
他方、PSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている場合には(ステップS22でNo)、PSU10が出力する直流電力だけでは負荷機器への電力供給を十分に行うことができない可能性が生ずるので、BBU電圧V2をPSU電圧V1以上の電圧に設定する(ステップS24)。それによってPSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態では、PSU電力量P1に加えて、さらにBBU電力量P2がダイオードOR回路30を介して負荷機器へ供給される状態となる(図6)。
このような態様でも本発明は実施可能であり、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。また第3実施例においては、実測したPSU電圧V1とPSU電流I1からPSU電力量P1を演算して求めるので、PSU電力量P1を高精度に特定することができる。したがってPSU電力量P1が許容電力量Ptを越えている状態か否かを高精度に特定することができる。それによってBBU20のDC/DCコンバータ23の出力電圧の制御をより高精度に行うことができるので、負荷機器へ供給する電力が不足する状態が生ずる虞をさらに低減させることができる。
<他の実施例、変形例>
本発明は、上記説明した実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であること言うまでもない。
例えば第3実施例において電力検出回路40は、電流検出用トランスCT、抵抗R1、抵抗R2及びA/Dコンバータ41に代えて、PSU電力量P1を実測して検出する電力計等を用いてもよい。このような態様でも本発明は実施可能であり、PSU電力量P1を制御装置24で演算して求める必要がないので、制御装置24の処理負荷を低減させることができる。
また第1〜第3実施例の制御手順(図2〜図4に図示したフローチャートの手順)をコンピュータに実行させる制御プログラム、この制御プログラムを格納した記憶媒体も本発明の対象となり得る。
10 PSU(Power Supply Unit)
11 フィルタ回路
12 整流平滑回路
13 スイッチング回路
20 BBU(Battery Backup Unit)
21 充電回路
22 蓄電池
23 DC/DCコンバータ
24 制御装置
30 ダイオードOR回路
40 電力検出回路
41 AC/DCコンバータ
50 PDU(電力分配装置:Power Distribution Unit)
100 直流給電装置
CT 電流検出用トランス

Claims (6)

  1. 商用交流電力を直流電力に変換する電力変換装置と、
    前記電力変換装置が出力する直流電力を蓄電池に充電する充電回路と、
    前記蓄電池の電圧を任意の電圧に変換して出力する直流電圧変換装置と、
    前記電力変換装置が出力する直流電力と前記直流電圧変換装置が出力する直流電力とを合成して出力するダイオードOR回路と、
    前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態では、前記直流電圧変換装置の出力電圧を前記電力変換装置の出力電圧より低い電圧に設定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態では、前記直流電圧変換装置の出力電圧を前記電力変換装置の出力電圧以上の電圧に設定する制御装置と、を備え
    前記直流電圧変換装置の出力インピーダンスが前記電力変換装置の出力インピーダンスより低く設定されている、直流給電装置。
  2. 請求項1に記載の直流給電装置において、前記直流電圧変換装置の出力インピーダンスを増減調整する出力インピーダンス制御回路をさらに備える、ことを特徴とした直流給電装置。
  3. 請求項1又は2に記載の直流給電装置において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出回路をさらに備え、
    前記制御装置は、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧が電圧閾値より高いことを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態と判定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧が前記電圧閾値以下であることを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定する、ことを特徴とした直流給電装置。
  4. 請求項1又は2に記載の直流給電装置において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流を検出する電流検出回路をさらに備え、
    前記制御装置は、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流が電流閾値より小さいことを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量以下である状態と判定し、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流が前記電流閾値以上であることを条件として、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量が許容電力量を越えている状態と判定する、ことを特徴とした直流給電装置。
  5. 請求項1又は2に記載の直流給電装置において、前記電力変換装置が出力する直流電力の電圧を検出する電圧検出回路と、前記電力変換装置が出力する直流電力の電流を検出する電流検出回路とをさらに備え、
    前記制御装置は、前記電圧検出回路が検出する電圧及び前記電流検出回路が検出する電流に基づいて、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を演算する、ことを特徴とした直流給電装置。
  6. 請求項1又は2に記載の直流給電装置において、前記電力変換装置が出力する直流電力の単位時間当たりの電力量を検出する電力検出回路をさらに備える、ことを特徴とした直流給電装置。
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