JP5729417B2 - 熱間プレス鋼板部材の製造方法 - Google Patents

熱間プレス鋼板部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、自動車のボデー構造部品、足回り部品等を始めとする機械構造部品等に使用される、熱間プレス鋼板部材の製造方法に関する。
近年、自動車の軽量化のため、鋼材の高強度化を図ることによって使用重量を減ずるこ
とが推進されている。自動車に広く使用される鋼板においては、強度の増加に伴ってプレ
ス成形性が低下し、複雑な形状を製造することが困難になってきている。具体的には、延
性が低下して加工度が高い部位で破断が生じたり、スプリングバックや壁反りが大きくな
って寸法精度が劣化したりする、といった問題が発生する。したがって、高強度、特に7
80MPa級以上の引張強さ(以下、「TS」とも表記する。)を有する鋼板を用いて、
プレス成形により鋼板部材を製造することは容易ではない。
これらを克服する近年の技術として、例えば特許文献1に開示されるように、加熱した
鋼板をプレス成形する熱間プレスと呼ばれる方法が実用化されている。熱間プレスは、鋼
板を高温に加熱し、軟質で高延性の状態でプレス加工を施すため、複雑な形状を寸法精度
よく成形することが可能である。さらに、鋼板をオーステナイト域に加熱しておき、金型
内で急冷(焼入れ)することにより、マルテンサイト変態による鋼板部材の高強度化が同
時に達成できる。
英国特許公報1490535号
このような熱間プレス法は、鋼板の成形性を高めるとともに得られる鋼板部材の高強度
化を同時に達成できる優れた成形方法である。ここで、熱間プレス工程における加工性の
観点からは、熱間プレス前の機械特性は特に要求されない。しかし、熱間プレスに供する
前に、素材である鋼板に冷間成形や切断や平坦矯正といった加工を施す際には、低強度か
つ高延性であることが要求される。しかし、強度が低過ぎても、例えばコイル潰れ、トリ
ム端面やピアス端面が荒れやすいといった鋼板の取り扱いに不都合が生じる。したがって
、熱間プレス用鋼板には、適度な強度と高い延性を有することが求められる。
本発明は、最適な強度と高い延性とを兼ね備える熱間プレス用鋼板を用いた熱間プレス鋼板部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、熱間プレスに供される前
の取り扱い性の観点から熱間プレス用鋼板に要求される機械特性を明らかにし、かかる機
械特性を有する熱間プレス用鋼板が、鋼板の化学組成および鋼組織を適正化することによ
り得られることを知見した。また、このような熱間プレス用鋼板を得るのに好適な製造方
法を見出した。さらに、このような熱間プレス用鋼板を用いる場合の好適な熱間プレス鋼
板部材の製造方法も見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
本発明は、質量%で、C:0.15%以上0.45%以下、Mn+Cr:0.5%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Si:0.5%以下、Al:1%以下および下記式(2)を満たす量のTiを含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、
フェライト中に炭化物が分散した鋼組織であって、前記フェライトの平均粒径D(μm)が3μm以上13μm以下、分散した前記炭化物の平均すきま間隔λ(μm)が5μm以下で、かつ下記式(1)を満足する鋼組織を有分散した前記炭化物の平均すきま間隔λ(μm)は、前記炭化物の個々の面積を測定した後、円相当径に換算し、それらの値を平均化して平均直径dを求め、炭化物の体積分率fを下記式(3)により算出することによって、下記式(4)によって求められ、
0.2%耐力が310MPa以上400MPa以下、引張強さが400MPa以上、均一伸びが12%以上および全伸びが20%以上である機械特性を有する熱間プレス用鋼板を1℃/秒以上1000℃/秒以下の平均加熱速度でAc点以上(Ac点+200℃)以下の温度域まで加熱し、該温度域で10分間以上120分間以下保持し、次いで、熱間プレスを施すとともに上部臨界冷却速度以上の冷却速度で冷却することを特徴とする熱間プレス鋼板部材の製造方法である。
D<90λ ・・・・・・・・・(1)
3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5 ・・・・・・・(2)
ここで、式中のTiおよびNは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
Figure 0005729417
Figure 0005729417
本発明は、最適な強度と高い延性とを兼ね備える熱間プレス用鋼板を用いた熱間プレス鋼板部材の製造方法を提供することを目的とする。
この本発明に係る熱間プレス用鋼板では、化学組成が、Feの一部に代えて、Ni:4
%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれ
る1種または2種以上を含有することが、好ましい。
これらの本発明に係る熱間プレス用鋼板では、化学組成が、Feの一部に代えて、Nb
:1.0%以下およびMo:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種を含有
することが好ましい。
これらの本発明に係る熱間プレス用鋼板では、化学組成が、Feの一部に代えて、Ca:0.005%以下を含有することが好ましい
本発明により、最適な強度と高い延性とを兼ね備えることから、例えば、自動車のボデー構造部品、足回り部品等を始めとする機械構造部品等に好適に使用される、熱間プレス鋼板部材の製造方法を提供することができる
まず、本発明における熱間プレス用鋼板の限定理由について説明する。
(化学組成)
本発明における熱間プレス用鋼板の化学組成は以下のように規定する。なお、以下の説
明において合金元素の含有量を示す「%」は「質量%」を意味する。
[C:0.15%以上0.45%以下]
Cは、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を主に決定する、非常に重要な元素
である。C含有量が0.15%未満では焼入れ後の強度で1.2GPa以上のTSを確保
することが困難となる。したがって、C含有量は0.15%以上とする。好ましくは、0
.20%以上である。一方、C含有量が0.45%を超えると、焼入れ後の強度が高くな
り過ぎ、靱性劣化が著しくなる。したがって、C含有量は0.45%以下とする。好まし
くは、0.33%以下である。
[Mn+Cr:0.5%以上3.0%以下]
MnおよびCrは、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保するの
に非常に効果のある元素である。しかし、MnおよびCrの合計含有量(以下、「(Mn
+Cr)含有量」ともいう。)が0.5%未満ではその効果は十分ではない。したがって
、(Mn+Cr)含有量は0.5%以上とする。好ましくは0.8%以上である。一方、
(Mn+Cr)含有量が3.0%を超えるとその効果は飽和し、却って安定した強度確保
が困難となる。したがって、(Mn+Cr)含有量は3.0%以下とする。好ましくは2
.0%以下である。
[P:0.05%以下、S:0.03%以下、Si:0.5%以下、Al:1%以下]
これらの元素は、一般に不純物として、あるいは脱酸後の残留元素として含有されるが
、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保する作用を有する元素でも
あるので、積極的に含有させてもよい。しかし、上記上限値を超えて含有させてもその作
用により得られる効果は小さく、かついたずらにコストの増加を招く。このため、各元素
の含有量は上述の範囲とする。なお、Alについては、その含有量を0.1%以下とする
ことが好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Pについては0.0
05%以上、Sについては0.001%以上、Siについては0.01%以上、Alにつ
いては0.02%以上含有させることが好ましい。
次に、必要に応じて含有することができる任意元素を説明する。
[Ni:4%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびB:0.01%以下からなる
群から選ばれる1種または2種以上]
Niは、任意元素であり、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保
するのに有効な元素である。しかし、4%を超えてNiを含有させてもその効果は小さく
、いたずらにコストの増加を招く。このため、Niを含有する場合にはその含有量は4%
以下とすることが好ましい。上述した効果をより確実に得るには、Ni含有量を0.01
%以上とすることが好ましい。
Cuは、任意元素であり、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保
するのに有効な元素である。しかし、1%を超えてCuを含有させてもその効果は小さく
、いたずらにコストの増加を招く。このため、Cuを含有する場合にはその含有量は1%
以下とすることが好ましい。上記効果をより確実に得るには、Cu含有量を0.01%以
上とすることが好ましい。
Vは、任意元素であり、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保す
るのに有効な元素である。しかし、1%を超えてVを含有させてもその効果は小さく、い
たずらにコストの増加を招く。このため、Vを含有する場合にはその含有量は1%以下と
することが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、V含有量を0.001
%以上とすることが好ましい。
Bは、任意元素であり、鋼板の焼入れ性を高め、かつ焼入れ後の強度を安定して確保す
るのに有効な元素である。また、粒界に偏析して粒界強度を高め、靱性を向上させる点で
も重要な元素である。さらに、熱間プレスに供する際の加熱過程におけるオーステナイト
粒成長抑制効果も高く、これにより熱間プレス鋼板部材の靭性を向上させるので、このよ
うな観点からも非常に有効な元素である。しかし、B含有量が0.01%を超えるとその
効果は飽和し、かつコストの増加を招く。したがって、Bを含有する場合にはその含有量
は0.01%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0030%以下である。
Bによる上記効果をより確実に得るには、B含有量を0.0001%以上とすることが好
ましく、0.0010%以上とすることがさらに好ましい。
[Nb:1.0%以下およびMo:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2
種]
Nbは、任意元素であり、熱間プレス用鋼板をAc点以上に加熱して熱間プレスに供
する際に、再結晶を抑制し、さらに微細な炭化物を形成して粒成長を抑制し、オーステナ
イト粒を細粒にする。このため、熱間プレス鋼板部材の靱性を大きく改善する効果を有す
る。しかし、Nb含有量が1.0%超になると、その効果は飽和し、いたずらにコストの
増加を招く。したがって、Nbを含有する場合にはその含有量は1.0%以下とすること
が好ましい。より好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.10%以下である。
上記効果をより確実に得るには、Nb含有量を0.02%以上とすることが好ましく、0
.04%以上とすることがさらに好ましい。
Moは、任意元素であり、熱間プレス用鋼板をAc点以上に加熱して熱間プレスに供
する際に、微細な炭化物を形成して粒成長を抑制し、オーステナイト粒を細粒にする。こ
のため、熱間プレス鋼板部材の靱性を大きく改善する効果を有する。しかし、Mo含有量
が1.0%超になると、その効果は飽和し、いたずらにコストの増加を招く。したがって
、Moを含有する場合にはMo含有量は1.0%以下とすることが好ましい。より好まし
くは、0.2%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。上記効果をより確
実に得るには、Mo含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.04%以上とす
ることがさらに好ましい。
NbまたはMoは、単独で含有してもよく、あるいは複合して含有してもよい。
[3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5を満たす量のTi]
Tiは、任意元素であり、熱間プレス用鋼板をAc点以上に加熱して熱間プレスに供
する際に、再結晶を抑制し、さらに微細な炭化物を形成して粒成長を抑制し、オーステナ
イト粒を細粒にする。このため、熱間プレス鋼板部材の靱性を大きく改善する効果を有す
る。Tiを含有する場合には、上記効果をより確実に得るには、Ti含有量を(3.42
N+0.001)以上とすることが好ましい。より好ましくは、(3.42N+0.02
)以上である。一方、Ti含有量が(3.42N+0.5)超になると、その効果は飽和
し、いたずらにコストの増加を招く。したがって、Ti含有量を(3.42N+0.5)
以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、(3.42N+0.08)以下である。
[Ca:0.005%以下]
Caは、任意元素であり、鋼中の介在物を微細化し、焼入れ後の靱性を向上させる効果
を有する。しかし、Ca含有量が0.005%を超えるとその効果は飽和していたずらに
コストの増加を招く。したがって、Caを含有する場合にはその含有量は0.005%以
下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.004%以下である。上記効果をより確
実に得るにはCa含有量を0.001%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0
.002%以上である。
上記以外は、Feおよび不純物である。
(鋼組織)
鋼組織は、主相であるフェライト中に炭化物が分散したものであり、上記フェライトの
平均粒径D(μm)を3μm以上13μm以下、分散した上記炭化物の平均すきま間隔λ
(μm)を5μm以下、かつ下記式(1)を満足するものとする。
D<90λ ・・・・・・・・・(1)
フェライトの平均粒径D(μm)が13μm超であったり、炭化物の平均すきま間隔λ
(μm)が5μm超であったりすると、熱間プレス用鋼板の強度が低くなりすぎて、鋼板
の取り扱いに不都合が生じる場合がある。このため、フェライトの平均粒径D(μm)は
13μm以下とする。好ましくは10μm以下である。また、炭化物の平均すきま間隔λ
(μm)は5μm以下とする。好ましくは、3μm以下である。
一方、フェライトの平均粒径D(μm)が3μm未満であったり、フェライトの平均粒
径D(μm)と炭化物の平均すきま間隔λ(μm)が上記式(1)を満足しなかったりす
ると、フェライト粒界による強化や炭化物分散による強化が高くなりすぎて、熱間プレス
に供する前の熱間プレス用鋼板について目標とする特性が得られなくなる場合がある。し
たがって、フェライトの平均粒径D(μm)を3μm以上とし、さらに、フェライトの平
均粒径D(μm)と炭化物の平均すきま間隔λ(μm)が上記式(1)を満足するものと
する。
(鋼板の機械特性)
熱間プレス用鋼板の機械特性は、0.2%耐力が310MPa以上400MPa以下、
引張強さが400MPa以上、均一伸びが12%以上および全伸びが20%以上である。
熱間プレス用鋼板の強度が高すぎると、熱間プレスに供する前に冷間成形、切断、平坦
矯正等の加工を施すことが困難となる。一方、熱間プレス用鋼板の強度が低すぎると、コ
イル潰れが生じたり、トリム加工やピアス加工を施した際の端面が荒れやすくなったりす
るなどして、鋼板の取り扱いに不都合が生じる。したがって、熱間プレス用鋼板には、適
度な強度と高い延性を有することが求められる。
そこで、鋼板の取り扱いに不都合が生じない強度として、0.2%耐力を310MPa
以上400MPa以下、引張強さを400MPa以上とする。好ましくは、0.2%耐力
が320MPa以上380MPa以下、引張強さが430MPa以上である。
また、熱間プレスに供する前の加工性の観点から、均一伸びを12%以上、全伸びを2
0%以上とする。延性についてはできるだけ高延性であることが望ましいので、好ましく
は、均一伸びが15%以上、全伸びが22%以上である。
なお、熱間プレス用鋼板には、耐食性付与等を目的として鋼板表面にめっき被膜を備え
ることができる。めっき被膜としては、Zn系めっき、Al系めっき等が挙げられる。
次に、熱間プレス用鋼板の好適な製造方法について説明する。
(熱間圧延)
上述した化学組成を有する鋼塊または鋼片を1050℃以上1300℃以下とした後に
熱間圧延を施し、800℃以上950℃以下で熱間圧延を完了し、500℃以上700℃
以下で巻取りを行う。
鋼塊または鋼片には、熱間プレス用鋼板の加工性を劣化させる原因となる非金属介在物
を含有する場合がある。したがって、鋼塊または鋼片を熱間圧延に供する際に、これらの
非金属介在物を十分に固溶させることが好ましい。上記化学組成の鋼塊または鋼片につい
ては、熱間圧延に供する際に1050℃以上とすることで上記非金属介在物の固溶が促進
される。したがって、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度は1050℃以上とする。
一方、1300℃超としても非金属介在物の固溶による熱間プレス用鋼板の加工性改善効
果が飽和するばかりか、スケールロスが増加して歩留まりの低下を招く。したがって、熱
間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度は1300℃以下とする。好ましくは1250℃以
下であり、さらに好ましくは1200℃以下である。
なお、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度が1050℃以上1300℃以下であれ
ばよく、1050℃未満となった鋼塊または鋼片を加熱して1050℃以上1300℃以
下とする場合のみならず、連続鋳造後の鋼塊又は分塊圧延後の鋼片を1050℃未満に低
下させることなく熱間圧延に供する場合も含まれる。
熱間圧延完了温度は、Ar点未満にならないようにする。Ar点未満で熱間圧延を
施すと、熱間圧延鋼板において加工フェライトが残存してしまい、その結果、熱間プレス
用鋼板の延性が大幅に劣化してしまうからである。上述した化学組成の鋼板では、熱間圧
延完了温度を800℃以上とすれば、このような問題は生じない。したがって、熱間圧延
完了温度は800℃以上とする。一方、熱間圧延完了温度が950℃超になるとスケール
噛み込み等の表面欠陥を生じる場合がある。したがって、熱間圧延完了温度は950℃以
下とする。
巻取温度が低すぎると、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトといった低温変態組
織が多く生成し、フェライト組織が減少するため、熱間圧延鋼板の強度が高くなり、後工
程で実施される冷間圧延が困難となる。したがって、巻取温度は500℃以上とする。好
ましくは550℃以上である。一方、巻取温度が高すぎると、酸化スケールが厚くなり、
後工程で脱スケール処理を施す場合には、脱スケール処理が困難となる。したがって、巻
取温度は700℃以下とする。好ましくは650℃以下である。
熱間圧延後は、通常、酸洗、ショットブラスト、研削等の処理により、表面に生成した
スケールの除去を行う。
(冷間圧延・焼鈍・調質圧延)
上記熱間圧延により得られた熱間圧延鋼板に、冷間圧延を施して冷間圧延鋼板とし、この冷間圧延鋼板に(Ac点−100℃)以上(Ac点+30℃)以下の温度域に1時間以上24時間以下保持した後に、1℃/時以上50℃/時以下の平均冷却速度で室温まで冷却する焼鈍を施し、さらに調質圧延を施す。この際に、冷間圧延における圧下率Red(%)と調質圧延における伸び率SK(%)とが下記式()または()を満足するようにする。
Red≧20SK+38 ・・・・・・・(
Red≧−40SK+68 ・・・・・・・(
焼鈍における保持温度が(Ac点−100℃)より低い場合には、熱間プレス用鋼板
の強度が十分に低下しない場合がある。一方、焼鈍における保持温度が(Ac点+30
℃)より高い温度では、炭化物の再固溶やオーステナイトへの逆変態が進行し過ぎてしま
い、その後の冷却過程で低温変態相が生成し、熱間プレス用鋼板の強度が高くなってしま
う場合がある。したがって、焼鈍における保持温度は(Ac点−100℃)以上(Ac
点+30℃)以下とする。
また、焼鈍における保持時間が1時間未満では、熱間プレス用鋼板の強度が十分に低下
しない場合がある。一方、焼鈍における保持時間を24時間超としても熱間プレス用鋼板
の強度の低減効果は飽和し、いたずらにエネルギーの浪費を招く。したがって、焼鈍にお
ける保持時間は1時間以上24時間以下とする。
焼鈍後の室温までの平均冷却速度が1℃/時未満では、生産性の低下が著しくなる。一
方、焼鈍後の室温までの平均冷却速度が50℃/時超では、低温変態相が生成しやすくな
って、熱間プレス用鋼板の強度が十分に低下しない場合がある。したがって、焼鈍後の室
温までの平均冷却速度は1℃/時以上50℃/時以下とする。
なお、焼鈍処理時の炉内雰囲気は、窒素ガスの混入が少なく、露点ができるだけ低い、水素を95容積%以上含むガスとすることが好ましい。
冷間圧延における圧下率Red(%)と調質圧延における伸び率SK(%)との関係が上記式()または上記式()を満足しない場合には、熱間プレス用鋼板の0.2%耐力が低くなりすぎて、鋼板の取り扱いに不都合が生じる場合がある。したがって、冷間圧延における圧下率Red(%)と調質圧延における伸び率SK(%)とは、上記式()または上記式()を満足するようにする。
冷間圧延における圧下率は、通常、20%以上80%以下で実施されるが、好ましくは
50%以上60%以下である。なお、調質圧延時の伸び率は、0%以上2.0%以下とす
る。好ましくは、0.5%以上1.0%以下である。
次に、熱間プレス鋼板部材の好適な製造方法について説明する。
熱間プレス鋼板部材の製造方法としては、上述した本発明に係る熱間プレス用鋼板を1
℃/秒以上1000℃/秒以下の平均加熱速度でAc点以上(Ac点+200℃)以
下の温度域まで加熱し、前記温度域で10分間以上120分間以下保持し、次いで、熱間
プレスを施すとともに上部臨界冷却速度以上の冷却速度で冷却する。
熱間プレス用鋼板の平均加熱速度が1℃/秒未満では、生産性の低下が著しくなる。一
方、熱間プレス用鋼板の平均加熱速度を1000℃/秒超とするには、加熱設備のコスト
が著しく嵩む。したがって、熱間プレス用鋼板の平均加熱速度は1℃/秒以上1000℃
/秒以下とする。好ましくは5℃/秒以上100℃/秒以下であり、さらに好ましくは、
5℃/秒以上50℃/秒以下である。なお、加熱方法としては、どのような方法を採用し
てもよい。例えば、炉加熱、高周波加熱法や通電加熱法、水蒸気加熱法等が挙げられる。
熱間プレスに供する前の熱間プレス用鋼板の保持温度がAc点未満では、熱間プレス
における焼入れによる強度向上作用を十分に得られず、高い強度の熱間プレス鋼板部材が
得られない。一方、この保持温度が(Ac点+200℃)超では、酸化スケールロスが
大きくなり歩留りの低下を招いたり、オーステナイトの粗大化により熱間プレス鋼板部材
の靭性劣化を招いたりする場合がある。したがって、上記保持温度は、Ac点以上(A
点+200℃)以下とする。好ましくはAc点以上(Ac点+150℃)以下、
さらに好ましくはAc点以上(Ac点+100℃)以下である。
熱間プレス用鋼板の上記温度域における保持時間が10分間未満では、炭化物の固溶が
十分に進行せずに、熱間プレス鋼板部材の強度を十分に向上させることができない場合が
ある。したがって、上記保持時間は10分間以上とする。好ましくは15分間以上、さら
に好ましくは20分間以上である。一方、上記保持時間が120分間超では、生産性の低
下が著しくなる。したがって、上記保持時間は120分間以下とする。好ましくは90分
間以下であり、さらに好ましくは60分間以下である。
冷却速度は、熱間プレス鋼板部材の鋼組織をマルテンサイト組織にするために、上部臨
界冷却速度以上で冷却すればよく、水冷や油冷により60℃/秒以上とすれば、本発明に
係る熱間プレス用鋼板では十分である。
以下に本発明の実施例について説明する。
実験室にて溶製した表1に示す化学組成を有するスラブを、表2に示す条件で加熱した
後、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍処理および調質圧延を施して、板厚:1.6mmの供試鋼
板No.1〜14を製造した。なお、焼鈍時の加熱速度は30℃/時、冷却速度は10℃
/時とした。
これらの供試鋼板No.1〜14から、引張試験片(JIS13号A試験)を採取し、引張試験に供して、各供試鋼板の機械特性を調査した。また断面組織観察を行い、切断法によるフェライト粒径測定、炭化物の平均直径測定結果より平均すきま間隔を算出した。具体的な算出方法を次に示す。炭化物の個々の面積を測定した後、円相当径に換算し、それらの値を平均化し、平均直径dを求めた。そして、炭化物の体積分率fを下記式()により算出し、炭化物の平均すきま間隔に相当する平均自由行程λを、下記式()により算出した。
Figure 0005729417
Figure 0005729417
試験結果を表2にあわせて示す。表2における供試鋼板No.1〜11は本発明の条件
を全て満足する本発明例であり、供試鋼板No.12〜14は本発明の条件を満足しない
比較例である。
表1に示す結果から理解されるように、本発明で規定する条件を全て満足することによ
り、熱間プレス用鋼板に要求される良好な特性が維持されることがわかる。
Figure 0005729417
Figure 0005729417

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.15%以上0.45%以下、Mn+Cr:0.5%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Si:0.5%以下、Al:1%以下および下記式(2)を満たす量のTiを含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、
    フェライト中に炭化物が分散した鋼組織であって、前記フェライトの平均粒径D(μm)が3μm以上13μm以下、分散した前記炭化物の平均すきま間隔λ(μm)が5μm以下で、かつ下記式(1)を満足する鋼組織を有分散した前記炭化物の平均すきま間隔λ(μm)は、前記炭化物の個々の面積を測定した後、円相当径に換算し、それらの値を平均化して平均直径dを求め、炭化物の体積分率fを下記式(3)により算出することによって、下記式(4)によって求められ、
    0.2%耐力が310MPa以上400MPa以下、引張強さが400MPa以上、均一伸びが12%以上および全伸びが20%以上である機械特性を有する熱間プレス用鋼板を1℃/秒以上1000℃/秒以下の平均加熱速度でAc点以上(Ac点+200℃)以下の温度域まで加熱し、該温度域で10分間以上120分間以下保持し、次いで、熱間プレスを施すとともに上部臨界冷却速度以上の冷却速度で冷却することを特徴とする熱間プレス鋼板部材の製造方法。
    D<90λ ・・・・・・・・・(1)
    3.42N+0.001≦Ti≦3.42N+0.5 ・・・・・・・(2)
    ここで、式(1)中のTiおよびNは鋼中の各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
    Figure 0005729417
    Figure 0005729417
  2. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ni:4%以下、Cu:1%以下、V:1%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1に記載された熱間プレス鋼板部材の製造方法。
  3. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Nb:1.0%以下およびMo:1.0%以下からなる群から選ばれる1種または2種を含有する請求項1または請求項2に記載された熱間プレス鋼板部材の製造方法。
  4. 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.005%以下を含有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された熱間プレス鋼板部材の製造方法。
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