JP5726721B2 - ポリオレフィンの製造方法およびその装置 - Google Patents
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しかし、製造された製品の物性等を都度分析する方法は、数日という期間が必要になる。
そこで、従来、ポリオレフィンの化学組成を分析する手段として赤外吸収分光法が広く用いられている。そして、上記赤外吸収分光法を、リアルタイムに工程管理に使用する方法も知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、分析対象が二種以上のポリオレフィンからなる混合物であった場合、赤外吸収分光法によって求まる組成は混合物としての平均値であり、混合物を構成している各々の成分の組成や量比を知ることは出来なかった。赤外吸収分光法以外の分析手段として、密度を用いることができるが、この場合も赤外吸収分光法と同様に混合物を構成している各々の成分の組成や量比を得ることは出来なかった。
が提供される。
が提供される。
また、分析は短時間で行われ、該分析とこれを用いた製造条件へのフィードバックは、オンラインにて行うことができるため、より経済的に所望の物性を持つ製品を製造することができるという効果がある。
また、分析は短時間で行われ、該分析とこれを用いた製造条件へのフィードバックは、リアルタイムにて行うことができるため、さらに、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利であるという効果がある。
また、所望のポリオレフィンを得る際には、所望のポリオレフィンを精度よく短時間で得ることができ、さらに、引き続き、別の組成からなるポリオレフィンを連続して製造する場合においても、短時間で上記別の組成からなるポリオレフィンを製造することができ、的確に製造条件の変更を行うことができるため、ロスが少なく、経済的に有利であるという効果がある。
12 ポンプ
13 試料注入口
14 カラム
15 恒温槽および温度制御装置
16 検出器
17 廃液
本発明のポリオレフィンの製造方法は、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行うことを特徴とする。
本発明のポリオレフィンの製造方法は、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程を含むものである。したがって、二種以上の結晶性ポリオレフィン成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法であれば、問題が生じない限り、いずれの方法にも適用することができる。したがって、本発明の製造方法は、多段重合法によって、連続的にポリオレフィンを製造する際に適用することができる。
ポリオレフィンとしては、二種以上の結晶性ポリオレフィン成分からなり、連続的に製造されるものであれば、いずれでも適用することができる。
すなわち、本発明のポリオレフィンの製造方法において、製造するポリオレフィンとしては結晶性ポリオレフィンであれば特に限定されないが、特に二種以上のポリオレフィンを含むポリオレフィン組成物であることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)、ポリブテン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物であるブロックポリプロピレン並びにこれらの混合物などが挙げられる。
また、好ましくは、前記ポリオレフィンは、同種のポリオレフィンを二種以上含むポリオレフィン組成物である。ここで、同種とは、構造や融点が比較的近いポリオレフィンのことであり、例えば、ホモPPとランダムPPとの混合物や、組成の異なるランダムPPの混合物等が挙げられる。
特に、所望する物性により、前記二種の成分が、高度に混合されているポリオレフィンを製造する際には、該二種の成分を混合しやすくするため、両者の組成分布が近いものを製造する場合があり、こういった場合には、両者の組成分布および量を精度よく管理することができる本発明の方法を好適に用いることができる。
本発明のポリオレフィンの製造方法は、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法(以下、「TREF」ともいう。)による分析を行う分析工程(A)を含む。
TREFによる組成分布分析方法は、一般的に、以下のような工程により行なわれる。
(i)溶媒を用いてポリオレフィン試料を加熱溶解し試料溶液を作製する(試料溶液作製工程)。
(ii)(i)で作製したポリオレフィン試料を含む試料溶液をカラムに充填する(充填工程)。
(iii)前記カラムの温度を下降させて、試料溶液をカラム内で結晶化させる(結晶化工程)。
(iv)前記カラムの温度を上昇させて、ポリオレフィン試料を溶出させる(溶出工程)。
この後、溶出されたポリオレフィン成分を、赤外分光器等の検出器を用いて検出し、さらに、昇温時の温度とその温度で溶出したポリオレフィン量またはポリオレフィンの相対濃度をプロットすることにより、試料の組成分布や結晶性分布等と密接に相関する温度上昇分別曲線が得られる。また、試料ポリオレフィン種の組成や結晶性と試料が溶出する温度との相関を捉えれば、温度上昇分別曲線を組成分布や結晶性分布に変換することができる。
したがって、TREFによる分析からなる分析工程により、得られたポリオレフィンの成分の組成分布を得ることができ、これにより、製造されたポリオレフィンの物性を推測することができる。
従来は、結晶化工程において試料溶液をカラム内で結晶化させる際に、連続して冷却して結晶化が行われていたため、結晶化工程においてカラムを加熱することはなかった。
これに対し、本発明においては、結晶化工程においてカラムを加熱する操作を含むことを特徴とするものである。すなわち、結晶化工程において、試料が充填されたカラムをある程度冷却した後、引き続き、カラムをある程度加熱するといった一連の操作を1回以上含むことを特徴とする。そして、前記一連の操作を複数回繰り返すことにより、平均的にはカラムが冷却されていき、結晶化工程の終了時にはカラム内の試料が十分結晶化される温度まで冷却されるものである。
(1)試料溶液作製工程
結晶性ポリオレフィン試料を溶媒と混合し、加熱して均一な試料溶液にする(試料溶液作製工程)。
溶液濃度は、低くすぎると測定精度が低下し、高すぎると溶液の粘度が高くなり閉塞の原因となるので、0.1mg/ml〜10mg/mlが好ましい。加熱温度は、分析対象となるポリマーにより適宜選択して決められるが、例えばポリプロピレンの場合は140℃程度が好ましい。使用できる溶媒としては、具体的には、ハロゲン置換されていても良い芳香族炭化水素、例えばオルトジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン等;脂肪族直鎖または分岐炭化水素、例えばn−オクタン、n−デカン等を挙げることができ、これらいずれか1種類でも複数の混合物でも良く、またアルコール類等を含んでいても良い。好ましくは、オルトジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼンから選択される。また、酸化防止剤、例えば、BHT(ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、Irganox1010(テトラキス−[メチレン−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ハイドロキシ−ハイドロシンナメート)ブタン])等を溶媒に添加することも出来る。
装置系内に保持された試料溶液は、ポンプによって溶媒を送液することによって、カラムに保持する(充填工程)。
本発明において、充填工程は、特に限定はなく、通常行われる方法で行うことができる。サンプルループからカラムまでの配管の容量分を送液し、更にカラムの容量半分程度送液してカラムの中央付近に試料溶液を送り込む必要がある。例えば配管容量が0.1ml、カラム容量が1mLである場合、充填時間は0.5ml/分にて溶媒を送液すると30秒程度を要する。
続いて、保持した試料は恒温槽により一定の割合で加熱および冷却を反復し、結晶化工程終了時にはカラム内の試料が十分結晶化される温度まで冷却されることにより、試料溶液をカラム内で結晶化させる(結晶化工程)。
本発明において、前記結晶化工程は、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を少なくとも1回行うことを必要とする。
図1は、カラム温度の経時変化の一例を概念的に示したものであるが、ここでは、結晶化工程においてカラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が、所定の温度設定に従って、規則的に、5回程度繰り返されている。上記加熱操作において、加熱終了時の温度は、加熱直前に行われる冷却操作における冷却開始時の温度を超えないため、上記一連の操作が繰り返されることにより、結晶化工程終了時には、カラム内の試料溶液が一定以下に冷却される。
結晶化工程における好ましい温度範囲は、分析対象となるポリマーにより適宜選択して決められるが、結晶性ポリオレフィン全般としては、カラム内の試料溶液を80℃以上の高温から、結晶化工程終了時には40℃以下の低温に冷却するのが好ましい。例えば、ポリオレフィン試料が、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物であるブロックポリプロピレンとの混合物の場合は、140℃から−15℃まで冷却するのが好ましい。
まず、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、前記冷却に引き続き行われる加熱の開始温度との差である反復温度差が、35℃以上として行うことが好ましい。尚、好ましい反復温度差は、40℃以上100℃以下であり、より好ましい手法は45℃以上80℃以下である。尚、冷却および加熱を複数回反復する結晶化工程において、カラムの冷却の開始温度と、前記に続き冷却後加熱を開始する温度との差が35℃より下回ると、分離性能が悪化する。
カラムの冷却開始温度と、この冷却に引き続き行われる加熱を終える加熱終了温度との差が3℃より下回ると分離性能が悪化し、また測定時間を著しく要し、効率を損なう。また、カラムの冷却開始温度と、この冷却に引き続き行われる加熱を終える加熱終了温度との差が10℃より上回ると、分離性能が悪化する。
また、上記冷却と加熱とからなる一連の操作の操作毎の時間は、特に限定されないが、反復温度差と逐次冷却開始温度差並びに冷却および加熱速度により決まる。反復温度差は、35℃以上155℃以下で行うことが好ましい。逐次冷却開始温度差は、3℃以上10℃以下で行うことが好ましい。また冷却および加熱速度は7℃/min以上25℃/min以下にて行うことが好ましい。これらの条件で行う際の一連の操作の操作毎の時間は、5分〜44分であることが好ましい。
したがって、結晶化工程は、試料が溶融した試料溶液を一定以下に冷却するために、
好ましくは6分間〜19時間4分、より好ましくは19分間〜7時間8分、さらに好ましくは32分間〜4時間22分行われる。
結晶化工程(b)が終了した後、カラムの温度を上昇させて、ポリオレフィン試料を溶出させる(溶出工程)。
本発明において、溶出工程は、特に限定はなく、通常行われる方法で行うことができる。例えば、ポンプにて溶媒を送液しつつ、必ずしも一定速度で昇温する必要は無く、例えば階段状であっても構わないが、データ処理上は測定中に速度を変えないほうが扱いやすく、好ましい。
本発明の分析工程(A)における分析装置は、上述のポリオレフィンの結晶性分布分析方法を行う装置であって、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を所定の条件で繰り返す温度制御手段を含む。
本発明の分析工程(A)における、好ましい一実施態様の分析装置の概念図を図2に示す。図2において、結晶性分布分析装置は、移動相を貯留する溶媒タンク11、溶媒を連続的にカラムへ送入するためのポンプ12、試料を導入する試料注入口13、結晶性ポリオレフィンを分離するカラム14、カラムの温度を制御する恒温槽並びに温度制御装置15、結晶性ポリオレフィンを検出する検出器16から成る。尚、前記以外の機器や設備が付随していても良い。また、通常は試料を溶液とするための設備が別途必要である。各構成手段を以下に説明する。
また、恒温槽の冷却効率を上げる目的で、恒温槽に装着された冷却手段に、更に冷却手段を付帯させることが好ましい。例えば、恒温槽の冷却手段としてペルチェ素子を用いた場合、ペルチェ素子を冷却するために、その放熱側に冷却媒体により冷却する手段を備えることができる。冷却手段に用いられる冷却媒体としては、水、塩水、アルコール類およびそれらの混合物が好ましい。好ましくはエチレングリコールと水の混合物が用いられる。また、ペルチェ素子の放熱側を別のペルチェ素子で冷却する方法もあり、冷却媒体との組み合わせによる多層構造でも良い。
本発明のポリオレフィンの製造方法は、分析工程(A)により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)を含む。
分析工程(A)によって得られる分析結果を製造条件にフィードバックする方法としては、例えば以下のような工程により行なわれる。
(i)製造するターゲットの組成(各成分の組成と量比)を決める。
(ii)製品を分析し各成分の組成と量比を求める(フィッティング工程(b−1)、比較工程(b−2))。
(iii)ターゲットと製品との組成の差異を製造条件にフィードバックする(製造条件変更工程(b−3))。
ここで、「ターゲット」とは、これから製造する所定の各成分の組成および量比を持つポリオレフィンを意味する。また、ここでいう「製品」とは、得られたポリオレフィンを意味する。
ターゲットと製品とを比較する際には、あらかじめ製造の可能性のある各成分の溶出プロファイルをデータベースとして用意しておき、ターゲットの溶出プロファイルと製品の溶出プロファイルを比較して差分を求める方法を用いても良い(フィッティング工程(b−1))。すなわち、製品の各成分の組成と量比を求める際には、溶出プロファイルのデータベースを用いて各種組み合わせによりフィッティングを行うフィッティング工程(b−1)により決定することができる。前記溶出プロファイルにおいては、二種以上の成分、すなわち、三種類または四種類以上の成分であっても、本発明の効果を損なうことなく適用することができる。溶出プロファイルをデータベースとして用意する際に、製造の可能性のある各成分を得るためには、実際に製造に使用する反応器を用いて重合しても良いが、同様のものが得られるならば異なる反応器を用いても良い。
フィッティング工程(b−1)に引き続き、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)が行われることが好ましい。
引き続き、比較工程(b−2)により求められた、得られたポリオレフィンの成分の組成および量と、所望のポリオレフィンの成分の組成および量との差分により、現在の製造条件を維持するかまたは製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を行うことができる。
維持または変更される製造条件としては、通常製造する際に設定する製造条件を決定することができるが、各成分を製造する各反応器における、各種原料の供給量、触媒成分の供給量、反応器温度、圧力、濃度、撹拌速度および滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つとすることができる。例えば、各種原料の供給量において、原料間の供給量比(つまりモノマー組成)を変更することにより、製造されるポリオレフィンの組成が変更されることが知られているため、それらの製造条件を変更することにより、所望のポリオレフィンを得ることができる。
本発明において、品質管理および品質制御を行うとは、得られるポリオレフィンの成分の組成および/または量の管理および制御を行うことであって、具体的には、例えば、分析工程(A)において所望のポリオレフィンが得られている場合は、その際の製造条件を継続する品質管理、および分析工程(A)において所望のポリオレフィンが得られていない場合は、その際の製造条件を変更する品質制御をいう。
そして、本発明においては、分析工程(A)、フィードバック工程(B)は、オンラインにて行うことが好ましい。これにより、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利である。
また、分析工程(A)、フィードバック工程(B)は、リアルタイムにて行うことができる。これにより、さらに、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利である。
したがって、本発明によれば、所望のポリオレフィンを得る際に、所望のポリオレフィンを精度よく短時間で得ることができる。さらに、引き続き、別の組成からなるポリオレフィンを連続して製造する場合においても、短時間で上記別の組成からなるポリオレフィンを製造するように、的確に製造条件の変更を行うことができるため、ロスが少なく、経済的に有利である。さらに、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法全体をとおして、オンラインにて本発明の方法を行うことにより、工程数減少につながり、経済的に有利である。
本発明の製造装置は、本発明のポリオレフィンの製造方法を行うことを特徴とする。上記のTREFを含む分析工程(A)により、極めて短時間で、得られたポリオレフィンの組成分布を得ることができる。また、分析工程(A)および/またはフィードバック工程(B)は、連続製造装置に組み込むことができるため、製造されているポリオレフィンの組成分布をオンラインにて、短時間に、好ましくはリアルタイムに、得ることができ、さらに、該組成分布を用いて、所望する組成のポリオレフィンを、オンラインにて、短時間に経済的に製造することができる。
[測定方法]
(1)分析装置
装置概略図は図2に示したとおりである。
溶媒タンク:DURAN製ガラスボトル 5L
ポンプ:センシュー科学社製 SSC−3461
インジェクター:バルコ社製 6ポート(サンプルループ:10μl)
カラム:内径1mmφ、長さ1.5m ステンレスカラム、ガラスビーズ(80/100mesh)充填
恒温槽:50mm×100mm×100mmアルミブロック、上下面に面ヒーターとペルチェ素子(水冷)を積層
温度制御装置:チノー社製 KP1000
検出器:Polymer Char社製 IR−4
溶液濃度:5mg/ml
溶媒:オルトジクロロベンゼン(BHT0.25mg/ml添加)
注入量:2ml
流速:0.5ml/分
温度制御条件は以下のとおりである。温度制御概略図は図1に、また温度制御図は図3に示した。
試料注入温度:140℃
反復開始温度:125℃
反復終了温度:30℃
反復温度差:50℃
逐次冷却開始温度差:5℃
反復冷却速度:16℃/分
反復加熱速度:16℃/分
溶出昇温速度:9.2℃/分
ここで、「反復開始温度」とは、図1に示すように、結晶化工程において、カラムの冷却および加熱からなる一連の操作の第1回目の操作における、冷却開始温度のことである。
また、「反復終了温度」とは、結晶化工程終了時の温度である。
[データベースの作成]
PP−1:エチレン含量0.4%のランダムPP
PP−2:エチレン含量2.1%のランダムPP
PP−3:エチレン含量3.2%のランダムPP
PP−4:エチレン含量4.0%のランダムPP
図4に上記PP−1〜4の溶出プロファイルを示す。また、ピーク温度と組成(エチレン含量)との関係を図5に示す。
[ターゲットの決定]
ターゲット1は、反応器2基を直列に連続して用い、第一の反応器で成分Aを製造し、第二の反応器で成分Bを製造し、各々の組成と量比は以下になるように製造することを目標とした。
成分A:エチレン含量0.4%のランダムPP
成分B:エチレン含量3.2%のランダムPP
成分A/成分B=50/50
図6にデータベースを用いて求めたターゲット1の溶出プロファイルを示す。
[製品の分析]
図7に反応器2基を直列に連続して用いて製造した製品1の溶出プロファイル(分析値)とターゲット1の溶出プロファイルの比較を示す。第二の反応器で製造した成分Bに組成のずれが見られた。なお、分析装置は、2基目の反応器より後流側に設置した。
図8〜13に示すように、製品1の溶出プロファイルに対し、データベースをもとにしたcase1〜case6の組み合わせについてフィッティングを行い、その中でもっとも一致性の良かった以下のcase3の結果を製品1の組成とした。
ここで、「残差」とは、製品1の溶出プロファイル(分析値)と予め得ていた各成分の組み合わせの溶出プロファイルとの差分を積分して数値化したものである。この残差が最も少ないものを、一致性が良いとした。
case3(製品1の組成):
成分A:エチレン含量0.4%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=47/53
以上の結果を製造条件にフィードバックし、成分Bの組成を補正し製品2を得た。図14に製品2の溶出プロファイルとターゲット1の溶出プロファイルの比較を示す。
[データベースの作成]
実施例1と同様にデータベースを作成した。
[ターゲットの決定]
ターゲット2は、反応器2基を直列に連続して用い、第一の反応器で成分Aを製造し、第二の反応器で成分Bを製造し、各々の組成と量比は以下になるように製造することを目標とした。
成分A:エチレン含量2.1%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=70/30
図15にデータベースを用いて求めたターゲット2の溶出プロファイルを示す。
[製品の分析]
図16に反応器2基を直列に連続して用いて製造した製品3の溶出プロファイルとターゲット2の溶出プロファイルの比較を示す。
実施例1と同様に、製品3の溶出プロファイルに対し、データベースをもとにフィッティングを行い、以下の組成を得た。なお、実施例1と同様に、分析装置は、2基目の反応器より後流側に設置した。
製品3の組成:
成分A:エチレン含量2.1%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=33/67
以上の結果を製造条件にフィードバックし、成分Aと成分Bの量比を補正し製品4を得た。図17に製品4の溶出プロファイルとターゲット2の溶出プロファイルの比較を示す。
Claims (9)
- 二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行い、前記昇温溶出分別法は、前記ポリオレフィンを含む溶液をカラムに充填する充填工程(a)と、前記溶液をカラム内で結晶化させる結晶化工程(b)と、前記カラムの温度を上昇させて結晶化されたポリオレフィンを溶出させる溶出工程(c)とを含み、かつ、前記結晶化工程(b)は、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を2回以上行い、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の開始温度との差である反復温度差が、35℃以上であることを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
- フィードバック工程(B)は、分析工程(A)により得られた分析結果と、予め用意した溶出プロファイルとを用いて、得られたポリオレフィンの成分の組成および/または量を決定するフィッティング工程(b−1)を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィンの製造方法。
- フィードバック工程(B)は、フィッティング工程(b−1)により決定された、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)により、製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を含むことを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 分析工程(A)および/またはフィードバック工程(B)は、オンラインにて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 前記製造条件は、原料の供給量、触媒成分の供給量、反応器温度、圧力、濃度、撹拌速度および滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の終了温度との差である逐次冷却開始温度差が、3℃以上10℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作において、カラムの冷却速度および加熱速度が、7℃/min以上25℃/min以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 前記結晶化工程(b)の終了時において、前記試料溶液は40℃以下となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造装置。
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