JP5726721B2 - ポリオレフィンの製造方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィンの製造方法およびその装置に関し、さらに詳しくは、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造するに際し、製造される各成分の組成および/または量を短時間に精密に制御して、短時間および低コストにて精密に製品の物性を管理および制御することができる製造方法およびその装置に関する。
一般にポリオレフィンの物性は、分子量、化学組成、立体規則性等の分子構造のいずれかまたは全てによって影響を受ける。特に化学組成は、剛性や透明性や耐熱性等の物性に大きく影響する。従って、ポリオレフィンを製造する際には、化学組成を精度良く制御することが品質管理上重要であり、そのためには製品の化学組成を精密にかつ迅速に分析し製造条件にフィードバックすることが求められる。さらに、製品の製造工程内において、上記分析およびフィードバックをリアルタイムかつオンラインにて行うこと、また、上記分析がより精密であることが、所望物性の製品の製造および製造コスト上、好ましい。
二種以上のポリオレフィンからなる混合物を製造する場合、例えば、二基以上の反応器を用いて重合することにより混合物を製造する場合、原料の供給と消費からなる物質収支から各反応器で製造されている成分の組成や量比を推測し製造条件を制御するのが一般的であるが、製造条件を変更する場合や製造条件が不安定な場合は、製造された製品を都度分析し、製造条件にフィードバックすることが必要になる。
しかし、製造された製品の物性等を都度分析する方法は、数日という期間が必要になる。
そこで、従来、ポリオレフィンの化学組成を分析する手段として赤外吸収分光法が広く用いられている。そして、上記赤外吸収分光法を、リアルタイムに工程管理に使用する方法も知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、分析対象が二種以上のポリオレフィンからなる混合物であった場合、赤外吸収分光法によって求まる組成は混合物としての平均値であり、混合物を構成している各々の成分の組成や量比を知ることは出来なかった。赤外吸収分光法以外の分析手段として、密度を用いることができるが、この場合も赤外吸収分光法と同様に混合物を構成している各々の成分の組成や量比を得ることは出来なかった。
また、近年、二種以上のポリオレフィンからなる混合物の製造においては、例えば、各成分が高度に混合した、所望の物性を持つ高品位の製品を得るために、各成分の組成が似通ったものが設計される等、各成分の組成および量比が高度に制御された製品が製造されることが行われている。この場合は、特に、各成分において所望の組成のものを短時間で製造すること、および、各成分の量比を高度に短時間で管理することが必要であるが、このように、製造において工程管理を精度よく短時間で行うこと、つまり、制度の良い分析結果を短時間に得てオンラインにて製造条件にフィードバックすることにより品質制御および品質管理を行うことは、高品質製品の製造および製造コスト上、より重要になっている。
以上のとおり、二種以上のポリオレフィンからなる混合物を製造する場合、製造された混合物を構成する各成分の組成および/または量を、精密に短時間に分析する手法はなく、それゆえ、分析結果を短時間で得てオンラインにて製造条件にフィードバックすることも行われていなかった。
したがって、組成の異なる複数のポリオレフィンを含む組成物の組成分布を精密に且つ短時間に分析する手法およびその分析手法によって得られた分析結果を短時間に得てオンラインにて製造条件にフィードバックすることにより、製造される組成物の組成分布を精度良く制御し、より高品質の製品を、より経済的に製造する製造方法が望まれていた。
新版 高分子分析ハンドブック,((社)日本分析化学会 高分子分析研究懇談会編,紀伊國屋書店,p.589〜594、616、618〜619など)
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造するに際し、製造される各成分の組成および/または量を短時間に精密に制御して、短時間および低コストにて精密に製品の物性を管理および制御することができる製造方法およびその装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、二種以上の成分からなるポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行い、該分析により得られた分析結果を用いて品質管理または品質制御を行うポリオレフィンの製造方法およびその装置により、精密に且つ短時間に各成分の組成および/または量を得ることができ、これに基づきオンラインにて製造条件にフィードバックすることにより、短時間に化学組成を精度良く管理・制御し、高品質製品を経済的に製造する製造方法およびその装置を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、フィードバック工程(B)は、分析工程(A)により得られた分析結果と、予め用意した溶出プロファイルとを用いて、得られたポリオレフィンの成分の組成および/または量を決定するフィッティング工程(b−1)を含むことを特徴とする記載のポリオレフィンの製造方法。
が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、フィードバック工程(B)は、フィッティング工程(b−1)により決定された、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)により、製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を含むことを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、分析工程(A)および/またはフィードバック工程(B)は、オンラインにて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記製造条件は、原料の供給量、触媒成分の供給量、反応器温度、圧力、濃度、撹拌速度および滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の終了温度との差である逐次冷却開始温度差が、3℃以上10℃以下であることを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作において、カラムの冷却速度および加熱速度が、7℃/min以上25℃/min以下であることを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記結晶化工程(b)の終了時において、前記試料溶液は40℃以下となっていることを特徴とするポリオレフィンの製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明のポリオレフィンの製造方法を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造装置が提供される。
本発明のポリオレフィンの製造方法およびその装置によれば、二種以上の成分からなるポリオレフィンを製造するに際し、昇温溶出分別法を工程管理に用いることにより、製造される各成分の組成および/または量を短時間に極めて精密に制御して、短時間にて精密に製品の物性を管理および制御することができるという効果がある。したがって、無駄を生じることなく所望の組成分布を持つ二種以上の成分からなるポリオレフィンを製造できるため、経済的に有利であるという効果がある。
また、分析は短時間で行われ、該分析とこれを用いた製造条件へのフィードバックは、オンラインにて行うことができるため、より経済的に所望の物性を持つ製品を製造することができるという効果がある。
また、分析は短時間で行われ、該分析とこれを用いた製造条件へのフィードバックは、リアルタイムにて行うことができるため、さらに、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利であるという効果がある。
また、所望のポリオレフィンを得る際には、所望のポリオレフィンを精度よく短時間で得ることができ、さらに、引き続き、別の組成からなるポリオレフィンを連続して製造する場合においても、短時間で上記別の組成からなるポリオレフィンを製造することができ、的確に製造条件の変更を行うことができるため、ロスが少なく、経済的に有利であるという効果がある。
図1は、本発明の好ましい一実施態様における結晶化工程および溶出工程のカラムの温度プロファイルを示した概念図である。 図2は、本発明の好ましい一実施態様における分析装置を示した概念図である。 図3は、実施例1における温度制御図である。 図4は、実施例1における各種ポリプロピレン(PP)の溶出プロファイルである。 図5は、実施例1における各種PPの溶出ピーク温度と組成との関係を示した図である。 図6は、実施例1におけるターゲットの溶出プロファイルである。 図7は、実施例1における製品1の溶出プロファイルとターゲットの溶出プロファイルの比較を示した図である。 図8は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図9は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図10は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図11は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図12は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図13は、実施例1におけるデータベースを用いたフィッティングの結果を示した図である。 図14は、実施例1における製品2の溶出プロファイルとターゲットの溶出プロファイルの比較を示した図である。 図15は、実施例2におけるターゲットの溶出プロファイルである。 図16は、実施例2における製品3の溶出プロファイルとターゲットの溶出プロファイルの比較を示した図である。 図17は、実施例2における製品4の溶出プロファイルとターゲットの溶出プロファイルの比較を示した図である。
11 溶媒タンク
12 ポンプ
13 試料注入口
14 カラム
15 恒温槽および温度制御装置
16 検出器
17 廃液
以下、本発明のポリオレフィンの製造方法およびその装置について、各項目ごとに詳細に説明する。
本発明のポリオレフィンの製造方法は、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行うことを特徴とする。
1.ポリオレフィンの製造
本発明のポリオレフィンの製造方法は、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程を含むものである。したがって、二種以上の結晶性ポリオレフィン成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法であれば、問題が生じない限り、いずれの方法にも適用することができる。したがって、本発明の製造方法は、多段重合法によって、連続的にポリオレフィンを製造する際に適用することができる。
ポリオレフィンとしては、二種以上の結晶性ポリオレフィン成分からなり、連続的に製造されるものであれば、いずれでも適用することができる。
すなわち、本発明のポリオレフィンの製造方法において、製造するポリオレフィンとしては結晶性ポリオレフィンであれば特に限定されないが、特に二種以上のポリオレフィンを含むポリオレフィン組成物であることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)、ポリブテン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物であるブロックポリプロピレン並びにこれらの混合物などが挙げられる。
また、好ましくは、前記ポリオレフィンは、同種のポリオレフィンを二種以上含むポリオレフィン組成物である。ここで、同種とは、構造や融点が比較的近いポリオレフィンのことであり、例えば、ホモPPとランダムPPとの混合物や、組成の異なるランダムPPの混合物等が挙げられる。
製造方法としては、例えば、具体的には、二槽の重合器が連結された製造装置を用いて、多段重合法により、一段目において、特定のプロピレン・エチレンランダム共重合体を製造し、引き続き、二段目において、一段目とは化学組成がことなるプロピレン・エチレンランダム共重合体を製造することにより、プロピレン・エチレン重合体を製造する方法、同様にプロピレン・ブテン共重合体を製造する方法、同様にエチレン・ヘキセン共重合体を製造する方法などに適用することができる。
特に、所望する物性により、前記二種の成分が、高度に混合されているポリオレフィンを製造する際には、該二種の成分を混合しやすくするため、両者の組成分布が近いものを製造する場合があり、こういった場合には、両者の組成分布および量を精度よく管理することができる本発明の方法を好適に用いることができる。
2.分析工程(A)
本発明のポリオレフィンの製造方法は、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法(以下、「TREF」ともいう。)による分析を行う分析工程(A)を含む。
TREFによる組成分布分析方法は、一般的に、以下のような工程により行なわれる。
(i)溶媒を用いてポリオレフィン試料を加熱溶解し試料溶液を作製する(試料溶液作製工程)。
(ii)(i)で作製したポリオレフィン試料を含む試料溶液をカラムに充填する(充填工程)。
(iii)前記カラムの温度を下降させて、試料溶液をカラム内で結晶化させる(結晶化工程)。
(iv)前記カラムの温度を上昇させて、ポリオレフィン試料を溶出させる(溶出工程)。
この後、溶出されたポリオレフィン成分を、赤外分光器等の検出器を用いて検出し、さらに、昇温時の温度とその温度で溶出したポリオレフィン量またはポリオレフィンの相対濃度をプロットすることにより、試料の組成分布や結晶性分布等と密接に相関する温度上昇分別曲線が得られる。また、試料ポリオレフィン種の組成や結晶性と試料が溶出する温度との相関を捉えれば、温度上昇分別曲線を組成分布や結晶性分布に変換することができる。
したがって、TREFによる分析からなる分析工程により、得られたポリオレフィンの成分の組成分布を得ることができ、これにより、製造されたポリオレフィンの物性を推測することができる。
本発明においては、好ましくは、前記昇温溶出分別法は、前記ポリオレフィンを含む溶液をカラムに充填する充填工程(a)と、前記溶液をカラム内で結晶化させる結晶化工程(b)と、前記カラムの温度を上昇させて結晶化されたポリオレフィンを溶出させる溶出工程(c)とを含み、かつ、前記結晶化工程(b)は、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を少なくとも1回行うことが好ましい。
従来は、結晶化工程において試料溶液をカラム内で結晶化させる際に、連続して冷却して結晶化が行われていたため、結晶化工程においてカラムを加熱することはなかった。
これに対し、本発明においては、結晶化工程においてカラムを加熱する操作を含むことを特徴とするものである。すなわち、結晶化工程において、試料が充填されたカラムをある程度冷却した後、引き続き、カラムをある程度加熱するといった一連の操作を1回以上含むことを特徴とする。そして、前記一連の操作を複数回繰り返すことにより、平均的にはカラムが冷却されていき、結晶化工程の終了時にはカラム内の試料が十分結晶化される温度まで冷却されるものである。
本発明に用いられる分析の原理を好ましい一実施態様である概念図(図1)を用いて以下に説明する。
(1)試料溶液作製工程
結晶性ポリオレフィン試料を溶媒と混合し、加熱して均一な試料溶液にする(試料溶液作製工程)。
溶液濃度は、低くすぎると測定精度が低下し、高すぎると溶液の粘度が高くなり閉塞の原因となるので、0.1mg/ml〜10mg/mlが好ましい。加熱温度は、分析対象となるポリマーにより適宜選択して決められるが、例えばポリプロピレンの場合は140℃程度が好ましい。使用できる溶媒としては、具体的には、ハロゲン置換されていても良い芳香族炭化水素、例えばオルトジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン等;脂肪族直鎖または分岐炭化水素、例えばn−オクタン、n−デカン等を挙げることができ、これらいずれか1種類でも複数の混合物でも良く、またアルコール類等を含んでいても良い。好ましくは、オルトジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼンから選択される。また、酸化防止剤、例えば、BHT(ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、Irganox1010(テトラキス−[メチレン−(3,5−ジ−第3ブチル−4−ハイドロキシ−ハイドロシンナメート)ブタン])等を溶媒に添加することも出来る。
調製した試料溶液を試料注入口にて、装置系内に所定量を保持する。インジェクターの温度は、ポリマーが析出しない程度の高温に保っている必要があり、例えば、ポリプロピレンの場合は140℃程度が好ましい。注入量は、最低でもサンプルループの容量分を必要とする。また、サンプルループの容量は検出器の感度に依存する。例えば、検出器に赤外分光光度計を用い、ポリプロピレンを試料に用いた場合、サンプルループ容量は5μL以上であることが好ましい。
移動相は、溶液調製に用いたものと同一のものでも良く、異なっていても良い。好ましくは、オルトジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼンから選択される。
(2)充填工程(a)
装置系内に保持された試料溶液は、ポンプによって溶媒を送液することによって、カラムに保持する(充填工程)。
本発明において、充填工程は、特に限定はなく、通常行われる方法で行うことができる。サンプルループからカラムまでの配管の容量分を送液し、更にカラムの容量半分程度送液してカラムの中央付近に試料溶液を送り込む必要がある。例えば配管容量が0.1ml、カラム容量が1mLである場合、充填時間は0.5ml/分にて溶媒を送液すると30秒程度を要する。
(3)結晶化工程(b)
続いて、保持した試料は恒温槽により一定の割合で加熱および冷却を反復し、結晶化工程終了時にはカラム内の試料が十分結晶化される温度まで冷却されることにより、試料溶液をカラム内で結晶化させる(結晶化工程)。
本発明において、前記結晶化工程は、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を少なくとも1回行うことを必要とする。
図1は、カラム温度の経時変化の一例を概念的に示したものであるが、ここでは、結晶化工程においてカラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が、所定の温度設定に従って、規則的に、5回程度繰り返されている。上記加熱操作において、加熱終了時の温度は、加熱直前に行われる冷却操作における冷却開始時の温度を超えないため、上記一連の操作が繰り返されることにより、結晶化工程終了時には、カラム内の試料溶液が一定以下に冷却される。
結晶化工程における好ましい温度範囲は、分析対象となるポリマーにより適宜選択して決められるが、結晶性ポリオレフィン全般としては、カラム内の試料溶液を80℃以上の高温から、結晶化工程終了時には40℃以下の低温に冷却するのが好ましい。例えば、ポリオレフィン試料が、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物であるブロックポリプロピレンとの混合物の場合は、140℃から−15℃まで冷却するのが好ましい。
本発明の結晶化工程における好ましい温度条件等を以下に示す。
まず、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、前記冷却に引き続き行われる加熱の開始温度との差である反復温度差が、35℃以上として行うことが好ましい。尚、好ましい反復温度差は、40℃以上100℃以下であり、より好ましい手法は45℃以上80℃以下である。尚、冷却および加熱を複数回反復する結晶化工程において、カラムの冷却の開始温度と、前記に続き冷却後加熱を開始する温度との差が35℃より下回ると、分離性能が悪化する。
また、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の終了温度との差である逐次冷却開始温度差が、3℃以上10℃以下で行うことが好ましいが、より好ましい手法は、4℃以上8℃以下であり、さらに好ましくは5℃以上7℃以下である。
カラムの冷却開始温度と、この冷却に引き続き行われる加熱を終える加熱終了温度との差が3℃より下回ると分離性能が悪化し、また測定時間を著しく要し、効率を損なう。また、カラムの冷却開始温度と、この冷却に引き続き行われる加熱を終える加熱終了温度との差が10℃より上回ると、分離性能が悪化する。
また、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作において、カラムの冷却および加熱速度を7℃/min以上25℃/min以下にて実施することが好ましい。尚、好ましい冷却および加熱速度は、11℃/min以上20℃/min以下であり、より好ましい手法は12℃以上18℃以下である。カラムの冷却および加熱速度を7℃/minより下回ると、測定時間を著しく要し、効率を損なう。また、カラムの冷却および加熱速度を25℃/minより上回ると、分離性能が悪化する。
前記に示した反復温度差、逐次冷却開始温度差並びに冷却および加熱速度は反復制御中、必ずしも一定値で保持する必要は無く、例えば階段状であっても構わないが、データ処理上は測定中に速度を変えないほうが扱いやすく、好ましい。
また、冷却および加熱の一連の操作の繰り返し回数は、特に限定されないが、逐次冷却開始温度差と反復開始温度および反復終了温度により決まる。逐次冷却開始温度差は、3℃以上10℃以下で行うことが好ましい。また反復開始温度は80℃〜140℃で行うことが好ましいが、より好ましい手法は、100℃〜130℃であり、さらに好ましくは110℃〜125℃である。反復終了温度は−15℃〜40℃で行うことが好ましい。これらの条件で行う際の繰り返し回数は、4〜52回であることが好ましい。なお、反復開始温度とは、カラムの冷却および加熱からなる一連の操作の第1回目の操作における冷却開始温度のことであり、反復終了温度とは、結晶化工程終了時の温度のことである。また、図1の概念図に示すように、結晶化工程において、カラムは、反復終了温度より低い温度に冷却しないことが好ましい。
また、上記冷却と加熱とからなる一連の操作の操作毎の時間は、特に限定されないが、反復温度差と逐次冷却開始温度差並びに冷却および加熱速度により決まる。反復温度差は、35℃以上155℃以下で行うことが好ましい。逐次冷却開始温度差は、3℃以上10℃以下で行うことが好ましい。また冷却および加熱速度は7℃/min以上25℃/min以下にて行うことが好ましい。これらの条件で行う際の一連の操作の操作毎の時間は、5分〜44分であることが好ましい。
したがって、結晶化工程は、試料が溶融した試料溶液を一定以下に冷却するために、
好ましくは6分間〜19時間4分、より好ましくは19分間〜7時間8分、さらに好ましくは32分間〜4時間22分行われる。
(4)溶出工程(c)
結晶化工程(b)が終了した後、カラムの温度を上昇させて、ポリオレフィン試料を溶出させる(溶出工程)。
本発明において、溶出工程は、特に限定はなく、通常行われる方法で行うことができる。例えば、ポンプにて溶媒を送液しつつ、必ずしも一定速度で昇温する必要は無く、例えば階段状であっても構わないが、データ処理上は測定中に速度を変えないほうが扱いやすく、好ましい。
3.分析工程(A)における分析装置
本発明の分析工程(A)における分析装置は、上述のポリオレフィンの結晶性分布分析方法を行う装置であって、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を所定の条件で繰り返す温度制御手段を含む。
本発明の分析工程(A)における、好ましい一実施態様の分析装置の概念図を図2に示す。図2において、結晶性分布分析装置は、移動相を貯留する溶媒タンク11、溶媒を連続的にカラムへ送入するためのポンプ12、試料を導入する試料注入口13、結晶性ポリオレフィンを分離するカラム14、カラムの温度を制御する恒温槽並びに温度制御装置15、結晶性ポリオレフィンを検出する検出器16から成る。尚、前記以外の機器や設備が付随していても良い。また、通常は試料を溶液とするための設備が別途必要である。各構成手段を以下に説明する。
移動相を貯留する溶媒タンクとしては、形状および大きさに限定は無いが、使用する溶媒による腐食が無い材質のものが用いられる。例えば、ガラス製やステンレススチール製が好ましい。
溶媒を連続的にカラムへ送入するためのポンプは、形には特に制限はなく、回転式、往復式等の容量ポンプ、遠心式、軸流式、斜流式などのターボ型ポンプ等を用いることができ、特に、流量精度の高い液体クロマトグラフィー用ポンプなどが好適に用いられる。
試料溶液をカラムへ注入するための手段は、インジェクターであり、インジェクターとしては、耐熱性を持った4方バルブ、6方バルブ等を用いたものが良く、サンプルループは1ml以上の容量を持っているものが好ましい。また、オートサンプラーを組み合わせたものでも良い。
結晶性ポリオレフィンを分離するカラムは、耐熱性に問題が無ければ、特に形状および大きさに制限はない。実効容積が0.01ml〜1mlとなるようにガラスビーズやクロモソルブ(珪藻土)などの担体を充填した小型のカラムが好ましい。また、恒温槽からの熱の伝わりを高めるために、カラムの表面積を大きくした方が良く、カラム体積1立方センチメートルあたりカラム表面積3〜50平方センチメートルとなることが好ましく、細長い管をU字やS字やスパイラル状の形状としたものが好ましい。
カラムの温度を制御する恒温槽は、形状と大きさに限定は無いが、毎分1℃〜30℃程度の割合で変化させるには、出来るだけ小さなものとすることが好ましい。ガスクロマトグラフィー装置の空気恒温槽のようなものを使用することも出来るが、迅速な冷却と制御精度に劣るため、あまり実用的とは言えない。恒温槽としては好ましくは、本体となるアルミブロックに加熱手段としてヒーター、および冷却手段としてペルチェ冷却素子を装着したものが好ましい。また、液体窒素などの冷媒を冷却手段として用いることも出来る。
また、恒温槽の冷却効率を上げる目的で、恒温槽に装着された冷却手段に、更に冷却手段を付帯させることが好ましい。例えば、恒温槽の冷却手段としてペルチェ素子を用いた場合、ペルチェ素子を冷却するために、その放熱側に冷却媒体により冷却する手段を備えることができる。冷却手段に用いられる冷却媒体としては、水、塩水、アルコール類およびそれらの混合物が好ましい。好ましくはエチレングリコールと水の混合物が用いられる。また、ペルチェ素子の放熱側を別のペルチェ素子で冷却する方法もあり、冷却媒体との組み合わせによる多層構造でも良い。
温度制御手段を実現する装置である温度制御装置としては、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を所定の条件で繰り返すためのものであることが好ましく、例えば、プログラム温度調節器などが用いられる。
カラムを通過した溶液の濃度変化を連続的に検出するための手段としては、分析対象となるポリマーにより適宜選択して決められるが、例えば、赤外分光光度計、ラマン分光光度計、示差屈折計、差圧粘度計、光散乱検出器、蒸発光散乱検出器などが用いられる。また、複数の検出器を組み合わせて用いることも出来る。
上記のTREFを含む分析工程(A)により、極めて短時間で、得られたポリオレフィンの組成分布を得ることができる。また、分析工程(A)は連続製造装置に組み込むことができるため、製造されているポリオレフィンの組成分布をオンラインにて、短時間に、好ましくはリアルタイムに、得ることができる。
4.フィードバック工程(B)
本発明のポリオレフィンの製造方法は、分析工程(A)により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)を含む。
分析工程(A)によって得られる分析結果を製造条件にフィードバックする方法としては、例えば以下のような工程により行なわれる。
(i)製造するターゲットの組成(各成分の組成と量比)を決める。
(ii)製品を分析し各成分の組成と量比を求める(フィッティング工程(b−1)、比較工程(b−2))。
(iii)ターゲットと製品との組成の差異を製造条件にフィードバックする(製造条件変更工程(b−3))。
ここで、「ターゲット」とは、これから製造する所定の各成分の組成および量比を持つポリオレフィンを意味する。また、ここでいう「製品」とは、得られたポリオレフィンを意味する。
すなわち、本発明において、好ましくは、フィードバック工程(B)は、分析工程(A)により得られた分析結果と、予め用意した溶出プロファイルとを用いて、得られたポリオレフィンの成分の組成および/または量を決定するフィッティング工程(b−1)を含む。そして、好ましくは、フィッティング工程(b−1)により決定された、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)を含む。さらに、フィードバック工程(B)は、比較工程(b−2)により求められた、得られたポリオレフィンの成分の組成および量と、所望のポリオレフィンの成分の組成および量との差分により、製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を含むことが好ましい。
(1)フィッティング工程(b−1)、比較工程(b−2)
ターゲットと製品とを比較する際には、あらかじめ製造の可能性のある各成分の溶出プロファイルをデータベースとして用意しておき、ターゲットの溶出プロファイルと製品の溶出プロファイルを比較して差分を求める方法を用いても良い(フィッティング工程(b−1))。すなわち、製品の各成分の組成と量比を求める際には、溶出プロファイルのデータベースを用いて各種組み合わせによりフィッティングを行うフィッティング工程(b−1)により決定することができる。前記溶出プロファイルにおいては、二種以上の成分、すなわち、三種類または四種類以上の成分であっても、本発明の効果を損なうことなく適用することができる。溶出プロファイルをデータベースとして用意する際に、製造の可能性のある各成分を得るためには、実際に製造に使用する反応器を用いて重合しても良いが、同様のものが得られるならば異なる反応器を用いても良い。
フィッティング工程(b−1)に引き続き、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)が行われることが好ましい。
(2)製造条件変更工程(b−3)
引き続き、比較工程(b−2)により求められた、得られたポリオレフィンの成分の組成および量と、所望のポリオレフィンの成分の組成および量との差分により、現在の製造条件を維持するかまたは製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を行うことができる。
維持または変更される製造条件としては、通常製造する際に設定する製造条件を決定することができるが、各成分を製造する各反応器における、各種原料の供給量、触媒成分の供給量、反応器温度、圧力、濃度、撹拌速度および滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つとすることができる。例えば、各種原料の供給量において、原料間の供給量比(つまりモノマー組成)を変更することにより、製造されるポリオレフィンの組成が変更されることが知られているため、それらの製造条件を変更することにより、所望のポリオレフィンを得ることができる。
上記のとおり、本発明は、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行うことを特徴とする。
本発明において、品質管理および品質制御を行うとは、得られるポリオレフィンの成分の組成および/または量の管理および制御を行うことであって、具体的には、例えば、分析工程(A)において所望のポリオレフィンが得られている場合は、その際の製造条件を継続する品質管理、および分析工程(A)において所望のポリオレフィンが得られていない場合は、その際の製造条件を変更する品質制御をいう。
そして、本発明においては、分析工程(A)、フィードバック工程(B)は、オンラインにて行うことが好ましい。これにより、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利である。
また、分析工程(A)、フィードバック工程(B)は、リアルタイムにて行うことができる。これにより、さらに、迅速に製造条件を変更することができ、経済的に有利である。
したがって、本発明によれば、所望のポリオレフィンを得る際に、所望のポリオレフィンを精度よく短時間で得ることができる。さらに、引き続き、別の組成からなるポリオレフィンを連続して製造する場合においても、短時間で上記別の組成からなるポリオレフィンを製造するように、的確に製造条件の変更を行うことができるため、ロスが少なく、経済的に有利である。さらに、二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法全体をとおして、オンラインにて本発明の方法を行うことにより、工程数減少につながり、経済的に有利である。
5.ポリオレフィンの製造装置
本発明の製造装置は、本発明のポリオレフィンの製造方法を行うことを特徴とする。上記のTREFを含む分析工程(A)により、極めて短時間で、得られたポリオレフィンの組成分布を得ることができる。また、分析工程(A)および/またはフィードバック工程(B)は、連続製造装置に組み込むことができるため、製造されているポリオレフィンの組成分布をオンラインにて、短時間に、好ましくはリアルタイムに、得ることができ、さらに、該組成分布を用いて、所望する組成のポリオレフィンを、オンラインにて、短時間に経済的に製造することができる。
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[測定方法]
(1)分析装置
装置概略図は図2に示したとおりである。
溶媒タンク:DURAN製ガラスボトル 5L
ポンプ:センシュー科学社製 SSC−3461
インジェクター:バルコ社製 6ポート(サンプルループ:10μl)
カラム:内径1mmφ、長さ1.5m ステンレスカラム、ガラスビーズ(80/100mesh)充填
恒温槽:50mm×100mm×100mmアルミブロック、上下面に面ヒーターとペルチェ素子(水冷)を積層
温度制御装置:チノー社製 KP1000
検出器:Polymer Char社製 IR−4
(2)分析条件
溶液濃度:5mg/ml
溶媒:オルトジクロロベンゼン(BHT0.25mg/ml添加)
注入量:2ml
流速:0.5ml/分
温度制御条件は以下のとおりである。温度制御概略図は図1に、また温度制御図は図3に示した。
試料注入温度:140℃
反復開始温度:125℃
反復終了温度:30℃
反復温度差:50℃
逐次冷却開始温度差:5℃
反復冷却速度:16℃/分
反復加熱速度:16℃/分
溶出昇温速度:9.2℃/分
ここで、「反復開始温度」とは、図1に示すように、結晶化工程において、カラムの冷却および加熱からなる一連の操作の第1回目の操作における、冷却開始温度のことである。
また、「反復終了温度」とは、結晶化工程終了時の温度である。
(実施例1)
[データベースの作成]
PP−1:エチレン含量0.4%のランダムPP
PP−2:エチレン含量2.1%のランダムPP
PP−3:エチレン含量3.2%のランダムPP
PP−4:エチレン含量4.0%のランダムPP
図4に上記PP−1〜4の溶出プロファイルを示す。また、ピーク温度と組成(エチレン含量)との関係を図5に示す。
[ターゲットの決定]
ターゲット1は、反応器2基を直列に連続して用い、第一の反応器で成分Aを製造し、第二の反応器で成分Bを製造し、各々の組成と量比は以下になるように製造することを目標とした。
成分A:エチレン含量0.4%のランダムPP
成分B:エチレン含量3.2%のランダムPP
成分A/成分B=50/50
図6にデータベースを用いて求めたターゲット1の溶出プロファイルを示す。
[製品の分析]
図7に反応器2基を直列に連続して用いて製造した製品1の溶出プロファイル(分析値)とターゲット1の溶出プロファイルの比較を示す。第二の反応器で製造した成分Bに組成のずれが見られた。なお、分析装置は、2基目の反応器より後流側に設置した。
図8〜13に示すように、製品1の溶出プロファイルに対し、データベースをもとにしたcase1〜case6の組み合わせについてフィッティングを行い、その中でもっとも一致性の良かった以下のcase3の結果を製品1の組成とした。
ここで、「残差」とは、製品1の溶出プロファイル(分析値)と予め得ていた各成分の組み合わせの溶出プロファイルとの差分を積分して数値化したものである。この残差が最も少ないものを、一致性が良いとした。
case3(製品1の組成):
成分A:エチレン含量0.4%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=47/53
以上の結果を製造条件にフィードバックし、成分Bの組成を補正し製品2を得た。図14に製品2の溶出プロファイルとターゲット1の溶出プロファイルの比較を示す。
(実施例2)
[データベースの作成]
実施例1と同様にデータベースを作成した。
[ターゲットの決定]
ターゲット2は、反応器2基を直列に連続して用い、第一の反応器で成分Aを製造し、第二の反応器で成分Bを製造し、各々の組成と量比は以下になるように製造することを目標とした。
成分A:エチレン含量2.1%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=70/30
図15にデータベースを用いて求めたターゲット2の溶出プロファイルを示す。
[製品の分析]
図16に反応器2基を直列に連続して用いて製造した製品3の溶出プロファイルとターゲット2の溶出プロファイルの比較を示す。
実施例1と同様に、製品3の溶出プロファイルに対し、データベースをもとにフィッティングを行い、以下の組成を得た。なお、実施例1と同様に、分析装置は、2基目の反応器より後流側に設置した。
製品3の組成:
成分A:エチレン含量2.1%のランダムPP
成分B:エチレン含量4.0%のランダムPP
成分A/成分B=33/67
以上の結果を製造条件にフィードバックし、成分Aと成分Bの量比を補正し製品4を得た。図17に製品4の溶出プロファイルとターゲット2の溶出プロファイルの比較を示す。
本発明によれば、昇温溶出分別法による分析工程を含む製造方法により、従来では成し得なかった組成の精密な制御を短時間で行うことが出来、産業上非常に有用である。

Claims (9)

  1. 二種以上の成分からなるポリオレフィンを連続的に製造する方法において、得られたポリオレフィンに対して昇温溶出分別法による分析を行う分析工程(A)および該分析工程により得られた分析結果を用いて製造条件を決定するフィードバック工程(B)により、品質管理および品質制御を行い、前記昇温溶出分別法は、前記ポリオレフィンを含む溶液をカラムに充填する充填工程(a)と、前記溶液をカラム内で結晶化させる結晶化工程(b)と、前記カラムの温度を上昇させて結晶化されたポリオレフィンを溶出させる溶出工程(c)とを含み、かつ、前記結晶化工程(b)は、カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作を2回以上行い、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の開始温度との差である反復温度差が、35℃以上であることを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
  2. フィードバック工程(B)は、分析工程(A)により得られた分析結果と、予め用意した溶出プロファイルとを用いて、得られたポリオレフィンの成分の組成および/または量を決定するフィッティング工程(b−1)を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィンの製造方法。
  3. フィードバック工程(B)は、フィッティング工程(b−1)により決定された、得られたポリオレフィンの成分のおよび/または量と、所望のポリオレフィンの成分のおよび/または量との比較を行う比較工程(b−2)により、製造条件の変更内容を決定する製造条件変更工程(b−3)を含むことを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィンの製造方法。
  4. 分析工程(A)および/またはフィードバック工程(B)は、オンラインにて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
  5. 前記製造条件は、原料の供給量、触媒成分の供給量、反応器温度、圧力、濃度、撹拌速度および滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
  6. 前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作が2回以上行われるとき、それぞれの操作毎における冷却の開始温度と、引き続き行われる加熱の終了温度との差である逐次冷却開始温度差が、3℃以上10℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
  7. 前記カラムの冷却と加熱とからなる一連の操作において、カラムの冷却速度および加熱速度が、7℃/min以上25℃/min以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
  8. 前記結晶化工程(b)の終了時において、前記試料溶液は40℃以下となっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリオレフィンの製造方法を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造装置。
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