JP5724782B2 - 点火装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に形成される燃焼室内の混合気に点火する点火装置に関する。
従来、中心電極及び接地電極間にギャップを形成する点火プラグと、これら中心電極及び接地電極間に電圧を印加することにより、燃焼室内の混合気に点火する火花放電をギャップに生じさせる電気回路とを備える点火装置が知られている。このような点火装置の一種として、例えば特許文献1に開示の構成では、中心電極及び接地電極間に電圧を印加する電気回路に、定電圧素子としてのバリスタが設けられている。
以上のような点火装置において、点火プラグのギャップに生じる火花放電について詳しく説明する。中心電極及び接地電極間に電気回路によって電圧が印加されることにより、ギャップに遇存していた電子及びプラスイオンは、プラス極となる接地電極及びマイナス極となる中心電極にそれぞれ移動を開始する。移動を開始した電子は、加速した後、空気の分子に衝突することで新たな電子とプラスイオンを生じさせる。加えて、移動を開始したプラスイオンは、中心電極に衝突することにより、当該電極から熱電子を放出させる。このような現象の繰り返しにより、多数の電子及びプラスイオンをギャップに存在させた状態(以下、「放電可能状態」という)が形成される。以上により、中心電極及び接地電極間に印加された電圧によって、多数の電子及びプラスイオンに火花放電となる電流が流れる。
特許文献1に開示の点火装置において、電気回路に設けられたバリスタは、点火プラグの中心電極及び接地電極間に印加する電圧を、所定の電圧に維持する。故に、放電可能状態となるまで、中心電極及び接地電極間に印加される電圧は、維持される。以上により、放電可能状態となるまでの時間が変動したとしても、火花放電時における電圧のばらつきは、低減され得る。
特公平6−80313号公報
さて、近年の内燃機関では、燃焼室に吸入される空気量を増大させる過給器の採用、及び高圧縮比等によって、点火プラグに火花放電を生じさせる点火時期での燃焼室の内圧が上昇傾向にある。特に、高負荷条件での内燃機関の稼動時には、燃焼室の内圧の上昇が顕著となる。故に、点火時期の燃焼室には、空気の分子が高密度で存在するようになる。
すると、特許文献1に開示のような点火装置では、プラス極となる接地電極に移動を開始した電子は、十分に加速できないまま空気の分子に衝突してしまうので、新たな電子及びプラスイオンを生じさせ難い。加えて、中心電極は、接地電極よりも燃焼室内の混合気の燃焼によって温度上昇し難く、当該接地電極よりも低温になり易い。故に、プラスイオンが中心電極へ衝突しても、熱電子の放出は、生じ難い。これらにより、放電可能状態を形成するために要する時間が長くなる。すると、バリスタの作用によって所定の電圧が維持されていても、放電可能状態の形成されないまま、電気回路による点火プラグへの電圧の印加は、終了してしまう。
このような点火プラグの失火を抑制するために、仮に、電気回路によって点火プラグに印加される電圧が高められたとする。すると、火花放電を実施し得たとしても、火花放電を生じさせるために印加される高い電圧は、点火プラグを消耗させてしまう。故に、このような印加電圧の上昇は、点火プラグの寿命を短くしてしまうおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、確実な火花放電の実施によって失火を抑制しつつ、点火プラグに印加される電圧を抑えることにより、点火プラグの長寿命化を可能とする点火装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、内燃機関に形成される燃焼室内の混合気に点火する点火装置であって、燃焼室に突出する第一電極、及び第一電極の突出方向にて当該第一電極と対向する第二電極、を有し、第一電極及び第二電極間に放電ギャップを形成する点火プラグと、第一電極及び第二電極間に電圧を印加することにより、混合気に点火する火花放電を放電ギャップに生じさせ、第一電極及び第二電極間に印加する電圧の極性を変更可能な電圧印加手段と、内燃機関の負荷が所定の設定値よりも高くなる高負荷条件が予め規定され、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するとき、第一電極をマイナス極とし第二電極をプラス極とするマイナス放電電圧を電圧印加手段によって印加させ、高負荷条件にて内燃機関が稼動するとき、第一電極をプラス極とし第二電極をマイナス極とするプラス放電電圧を電圧印加手段によって印加させる極性変更手段とを、備える点火装置とする。
この発明によれば、内燃機関の負荷が所定の設定値よりも高くなる予め規定された高負荷条件にて内燃機関を稼動させるとき、第一電極の突出方向において当該第一電極と対向する第二電極は、燃焼室内の混合気の燃焼に晒されて、第一電極よりも高温となり易い。この高負荷条件において、極性変更手段は、第一電極をプラス極とし第二電極をマイナス極とするプラス放電電圧を、電圧印加手段によって点火プラグに印加させる。故に、第一電極及び第二電極間の放電ギャップに遇存していたプラスイオンは、マイナス極である第二電極に衝突する。第一電極よりも高温な第二電極では、プラスイオンの衝突による熱電子放出が生じ易い。以上により、電子及びプラスイオンが放電ギャップにて増加し易くなるので、放電可能状態の形成されるまでの時間は、短くなる。これにより、燃焼室内の高圧化により電子及びプラスイオンの発生し難い高負荷条件下においても、電圧印加手段の印加する電圧による火花放電は、確実に実施され得る。
また、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するとき、例えば内燃機関の始動時や低温稼動時等では、燃焼室に突出することにより混合気に冷却され易い第二電極は、第一電極よりも低温になり易い。この高負荷条件を外れたときには、極性変更手段は、第一電極をマイナス極とし第二電極をプラス極とするマイナス放電電圧を、電圧印加手段によって点火プラグに印加させる。故に、放電ギャップに遇存していたプラスイオンは、マイナス極であって、第二電極よりも高温であることにより熱電子を放出し易い第一電極に衝突する。以上により、放電可能状態の形成されるまでの時間は、短くなる。これにより、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するときにおいて、火花放電を生じさせるために印加される電圧の上昇は、抑制され得る。
したがって、点火装置は、確実な火花放電の実施によって失火を抑制しつつ、点火プラグに印加される電圧を抑えることにより、点火プラグの長寿命化を可能とする。
請求項2に記載の発明では、電圧印加手段は、点火プラグと接続され、第一電極及び第二電極間に電圧を印加する第一巻線と、点火装置の外部の電源と接続され、通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、第一電極及び第二電極間にプラス放電電圧が印加されるように第一巻線に電圧を誘導する第二巻線と、電源と接続され、通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、第一電極及び第二電極間にマイナス放電電圧が印加されるように第一巻線に電圧を誘導する第三巻線とを、有することを特徴とする。
この発明によれば、第二巻線の通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、点火プラグと接続された第一巻線には電圧が誘導される。第二巻線によって誘導される電圧により、第一巻線は、第一電極をプラス極とし第二電極をマイナス極とするプラス放電電圧を、これらの電極間に印加する。また、第三巻線の通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、第一巻線には電圧が誘導される。第三巻線によって誘導される電圧により、第一巻線は、第一電極をマイナス極とし第二電極をプラス極とするマイナス放電電圧を、これらの電極間に印加する。以上の構成では、第二巻線及び第三巻線の通電を制御することにより、第一電極及び第二電極間に印加する電圧の極性は、迅速且つ確実に変更され得る。故に、内燃機関の負荷に応じて電圧の極性を適宜変更可能な電圧印加手段が、確実に実現可能となる。
また、上述の電圧印加手段を用いる形態では、請求項3に記載の発明のように、極性変更手段は、高負荷条件にて内燃機関が稼動するとき、第三巻線の通電をオフ状態としつつ、第二巻線の通電のオン状態及びオフ状態を切り換えることにより、プラス放電電圧を第三巻線によって印加させるのがよい。
この発明によれば、高負荷条件にて内燃機関が稼動するとき、第三巻線への通電がオフ状態とされ、第二巻線の通電のオン状態及びオフ状態が切り換わる。以上により、電圧印加手段の第一巻線は、第三巻線によって電圧を誘導されることなく、第二巻線によって誘導される電圧により、第一電極及び第二電極間にプラス放電電圧を確実に印加し得る。故に、火花放電の実施の確実性は、さらに向上する。したがって、点火プラグにおける失火は、さらに抑制可能となる。
さらに、上述の電圧印加手段を用いる形態では、請求項4に記載の発明のように、極性変更手段は、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するとき、第二巻線の通電をオフ状態としつつ、第三巻線の通電のオン状態及びオフ状態を切り換えることにより、マイナス放電電圧を第三巻線によって印加させるのがよい。
この発明によれば、高負荷条件を外れて内燃機関が稼働するとき、第二巻線への通電がオフ状態とされつつ、第三巻線の通電のオン状態及びオフ状態が切り換わる。以上により、第一巻線は、第二巻線によって電圧を誘導されることなく、第三巻線によって誘導される電圧により、第一電極及び第二電極間にマイナス放電電圧を確実に印加し得る。故に、内燃機関の高負荷条件を外れたときに点火プラグに印加される電圧の抑制作用は、確実に発揮され得る。したがって、点火プラグの寿命は、さらに延長可能となる。
請求項5に記載の発明では、第二電極には、第一電極に向かって突出し当該第一電極との間で放電ギャップを形成する突起部、が設けられることを特徴とする。
この発明によれば、高負荷条件にて内燃機関を稼動させるとき、第二電極に形成される突起部は、第一電極に向かって突出する形状により、混合気の燃焼によって高温になり易い。故に、プラス放電電圧の印加によって移動を開始したプラスイオンは、第二電極部において特に高温の突起部に衝突することにより、当該突起部から熱電子を放出させる。以上により、放電可能状態の形成されるまでの時間がさらに短くなるので、火花放電の実施の確実性は、いっそう向上する。
本発明の一実施形態による点火装置を示す構成図である。 本発明の一実施形態による点火装置に用いられる点火プラグの要部を拡大して示す拡大図である。 本発明の一実施形態による点火装置の低負荷モードにおける作動を説明するための図(a)及び(b)である。 本発明の一実施形態による点火装置の高負荷モードにおける作動を説明するための図(a)及び(b)である。 本発明の一実施形態による点火装置において、点火コイルに印加される放電電圧の極性を変更するエンジン制御装置の制御を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による点火装置において、点火プラグの各電極間にマイナス放電電圧が印加された場合の火花放電を説明するための図(a)〜(g)である。 本発明の一実施形態による点火装置において、各電極間に印加されるマイナス放電電圧の推移を説明するための図である。 本発明の一実施形態による点火装置において、点火プラグの各電極間にプラス放電電圧が印加された場合の火花放電を説明するための図(a)〜(g)である。 本発明の一実施形態による点火装置において、各電極間に印加されるプラス放電電圧の推移を説明するための図である。 本発明の一実施形態による点火装置において、プラス放電を実施した場合の放電電圧とマイナス放電を実施した場合の放電電圧とを比較して示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態による点火装置100を示している。点火装置100は、ガソリンエンジン等の火花点火式方式の内燃機関に適用されて当該内燃機関に形成される燃焼室90内の混合気に点火する装置である。点火装置100は、内燃機関の燃焼サイクルのうち、圧縮行程後半の点火時期において、燃焼室90内にて圧縮された混合気に火花放電によって点火する。点火装置100は、点火プラグ20、点火制御回路40、及びエンジン制御装置70等によって構成されている。
点火プラグ20は、点火制御回路40と接続されており、内燃機関のシリンダヘッドに形成されたプラグホールに収容及び固定されている。点火プラグ20は、点火制御回路40から印加される放電電圧により、内燃機関の燃焼室90にて圧縮された混合気に、火花放電によって点火する。点火プラグ20は、中心電極21及び接地電極23に加えて、中心電極21を点火制御回路40に電気的に接続するための接続部、並びに中心電極21及び接地電極23間を絶縁する碍子部を有している。点火プラグ20は、中心電極21及び接地電極23間に放電ギャップ25を形成している。
図1及び図2に示されるように、中心電極21は、円柱状に形成された碍子部の中心部分から燃焼室90に突出することにより、当該燃焼室90内に露出している。中心電極21には、中心突起部22が設けられている。中心突起部22は、円柱状に形成された中心電極21の本体部分から、接地電極23に向かって針状に突出している。中心電極21は、例えばニッケル合金、イリジウム合金、及び白金等によって形成されている。
接地電極23は、碍子部によって中心電極21と絶縁されており、シリンダヘッドに接地されている。接地電極23は、中心電極21の側方となる碍子部の外周側から燃焼室90に突出している。接地電極23は、中心電極21の突出方向に向かって湾曲することにより、中心電極21の突出方向にて当該中心電極21と対向している。接地電極23には、中心電極21の中心突起部22との間で放電ギャップ25を形成する接地突起部24が設けられている。接地突起部24は、湾曲状を呈する接地電極23の本体部分から、中心電極21に向かって針状に突出している。接地電極23の本体部分は、例えばニッケル鋼等によって形成されている。また、接地突起部24は、白金等によって形成されている。
図1に示されるように、点火制御回路40は、点火プラグ20の中心電極21及び接地電極23間に放電電圧を印加することにより、混合気に点火する火花放電を放電ギャップ25に生じさせる回路である。点火制御回路40は、中心電極21及び接地電極23間に印加する放電電圧の極性を変更可能である。具体的には、点火制御回路40は、中心電極21をプラス極とし接地電極23をマイナス極とするプラス放電電圧と、中心電極21をマイナス極とし接地電極をプラス極とするマイナス放電電圧とを切り換えて、各電極21,23間に印加することができる。
点火制御回路40は、二つの一次コイル31,33及び二次コイル35を有する点火コイル30、並びに第一イグナイタ50及び第二イグナイタ60等によって構成されている。
各一次コイル31,33は、銅等の導電性の材料によって形成された線材に絶縁性の塗料を焼き付けてなるエナメル電線を円筒状に巻回することにより、形成されている。各一次コイル31,33は、点火装置100の外部のバッテリ10と接続されており、当該バッテリ10からの電流を通電可能である。一次コイル31,33は、二次コイル35と磁気的に結合されており、当該二次コイル35との間において相互誘導可能である。一次コイル31,33のうちの一方は、他方の内周側に配置されている。加えて、一次コイル31,33のそれぞれの仮想の中心軸線が同軸となるように、これら一次コイル31,33は配置されている。さらに、一次コイル31巻線方向が一次コイル33の巻線方向と逆方向となるように、これら一次コイル31,33は配置されている。故に、一次コイル31,33のうち一方への導通により形成される磁界の方向は、他方への導通により形成される磁界の方向と逆向きとなる。
二次コイル35は、銅等の導電性の材料によって形成された線材に絶縁性の塗料を焼き付けてなるエナメル電線であって、一次コイル31,33を形成するエナメル電線よりも線径の小さいものを円筒状に巻回することにより、形成されている。二次コイル35は、点火プラグ20と接続されており、当該二次コイル35に誘導される電圧によって、中心電極21及び接地電極23間に放電電圧を印加する。
以上の構成において、一方の一次コイル31(図1にてP.Coil1と記載)は、プラス放電用の一次コイルである。プラス放電用の一次コイル31は、バッテリ10からの通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、中心電極21及び接地電極23間にプラス放電電圧が印加されるように、二次コイル35に電圧を誘導する。他方の一次コイル33(図1にてP.Coil2と記載)は、マイナス放電用の一次コイルである。マイナス放電用の一次コイル33は、バッテリ10からの通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、中心電極21及び接地電極23間にマイナス放電電圧が印加されるように、二次コイル35に電圧を誘導する。
第一イグナイタ50及び第二イグナイタ60は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等のスイッチング素子を実装した回路基板を、絶縁性の樹脂材料によってモールドすることにより、形成されている。各イグナイタ50,60のIGBTのベースは、エンジン制御装置70と接続されている。イグナイタ50,60は、エンジン制御装置70からベースに入力される点火制御信号に基づいて、コレクタ及びエミッタ間における電流の導通及び遮断を切り換える。第一イグナイタ50は、プラス放電用の一次コイル31と接続されており、点火制御信号に基づいて、バッテリ10から当該一次コイル31への通電のオン状態及びオフ状態を切り換える。また、第二イグナイタ60は、マイナス放電用の一次コイル33と接続されており、点火制御信号に基づいて、バッテリ10から当該一次コイル33への通電のオン状態及びオフ状態を切り換える。
エンジン制御装置70は、例えばマイクロコンピュータを主体に構成され、記憶領域としてのフラッシュメモリ、演算処理の作業領域としてのRAMを有する制御装置である。エンジン制御装置70は、内燃機関及び当該内燃機関を搭載する車両に設けられた種々のセンサと接続されており、これらのセンサから検出結果を取得する。エンジン制御装置70の取得する検出結果としては、例えば、内燃機関の出力軸の回転速度、冷却水の温度、燃焼室90に吸入される吸入空気量、吸入空気の圧力、燃焼室内の圧力(筒内圧)、及び運転者の操作入力に基づくスロットル開度等である。
エンジン制御装置70は、取得した検出結果、予め構築された制御用のプログラム、及び予め規定された制御用のマップ等に基づいて、内燃機関の稼動を制御する。このようなエンジン制御装置70による制御の一つが、点火制御回路40及び点火プラグ20による混合気への点火の制御である。エンジン制御装置70は、点火コイル30の一次コイル31,33への通電を制御する点火制御信号を、各イグナイタ50,60に出力する。
以上のエンジン制御装置70は、特徴部分として、内燃機関の負荷が所定の設定値よりも高くなる高負荷条件が予め規定された負荷条件マップを、制御用のマップの一つとしてフラッシュメモリに記憶している。この負荷条件マップにおける所定の設定値には、上述した検出結果として取得される情報が用いられる。例えば、スロットル開度及び吸入吸気量が所定の設定値よりも大きくなると、エンジン制御装置70は、制御用のマップに基づいて高負荷条件であると判定し、高負荷条件での稼動に適した制御に切り換える。
具体的には、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するとき、点火制御回路40によって点火プラグ20にマイナス放電電圧が印加されるように、エンジン制御装置70は各イグナイタ50,60に点火制御信号を出力する。また、高負荷条件にて内燃機関が稼動するとき、点火制御回路40によって点火プラグ20にプラス放電電圧が印加されるように、エンジン制御装置70は各イグナイタ50,60に点火制御信号を出力する。尚、マイナス放電電圧が印加されるように点火制御信号が出力される状態を「低負荷モード」といい、プラス放電電圧が印加されるように点火制御信号が出力される状態を「高負荷モード」という。
ここまで説明した構成において、点火プラグ20に印加される電圧がプラス放電電圧とマイナス放電電圧との間で変更される作動を、図3及び図4に基づいて詳細に説明する。
図3に示されるのは、点火装置100が低負荷モードにて作動している状態である。低負荷モードのとき、プラス放電用の一次コイル31への通電は、第一イグナイタ50によってオフ状態とされる。故に、二次コイル35は、一次コイル31によって電圧を誘導されない。一方で、低負荷モードのとき、マイナス放電用の一次コイル33の通電のオン状態及びオフ状態が切り換わる。詳記すると、点火時期に先立って、エンジン制御装置70は、一次コイル33の通電を第二イグナイタ60によってオフ状態からオン状態へと切り換える(図3(a)参照)。すると、バッテリ10から一次コイル33を経て、第二イグナイタ60に向かう電流imが流れる。
そして、点火時期を迎えると、エンジン制御装置70は、一次コイル33の通電を第二イグナイタ60によってオン状態からオフ状態に切り換える(図3(b)参照)。これによる電流imの消失により、二次コイル35には、電圧が誘導される。二次コイル35は、一次コイル33によって誘導された電圧により、点火プラグ20の中心電極21をマイナス極とし接地電極23をプラス極とするマイナス放電電圧を、これらの電極21,23間に印加する。
図4に示されるのは、点火装置100が高負荷モードにて作動している状態である。高負荷モードのとき、マイナス放電用の一次コイル33への通電は、第二イグナイタ60によってオフ状態とされる。故に、二次コイル35は、一次コイル33によって電圧を誘導されない。一方で、高負荷モードのとき、プラス放電用の一次コイル31の通電のオン状態及びオフ状態が切り換わる。詳記すると、点火時期に先立って、エンジン制御装置70は、プラス放電用の一次コイル31の通電を第一イグナイタ50によってオフ状態からオン状態へと切り換える(図4(a)参照)。すると、バッテリ10から一次コイル31を経て、第一イグナイタ50に向かう電流ipが流れる。
そして、点火時期を迎えると、エンジン制御装置70は、一次コイル31の通電を第一イグナイタ50によってオン状態からオフ状態に切り換える(図4(b)参照)。これによる電流ipの消失により、二次コイル35には、電圧が誘導される。一次コイル31の巻線方向が一次コイル33の巻線方向と逆方向であることにより、二次コイル35に誘導される電圧は、低負荷モードの場合とは逆の極性となる。二次コイル35は、一次コイル31によって誘導された電圧により、点火プラグ20の中心電極21をプラス極とし接地電極23をマイナス極とするプラス放電電圧を、これら電極21,23間に印加する。
以上の構成による点火装置100において、エンジン制御装置70が取得する検出結果に応じて点火プラグ20に印加する放電電圧の極性を変更する処理を、図5に基づいて詳細に説明する。図5のフローチャートに示される処理は、内燃機関を始動させる始動要求をエンジン制御装置70が取得することにより、当該エンジン制御装置70によって開始される。図5の処理は、内燃機関を停止させる停止要求をエンジン制御装置70が取得することにより、終了される。
S101では、点火制御信号の出力状態を低負荷モードに設定して、S102に進む。S102では、各センサから検出結果を取得し、S103に進む。S103では、負荷条件マップを参照し、S104に進む。S104では、S102にて取得した検出結果及びS103にて参照した負荷条件マップに基づいて、現在の内燃機関における稼動の負荷状態について判定する。
S104にて、現在、予め規定された高負荷条件を外れて内燃機関が稼動していると判定する場合、S102に戻り、S102〜S104の処置を繰り返す。これにより低負荷モードが継続されるので、点火プラグ20にはマイナス放電電圧の印加が繰り返し実施される。一方、S104において、現在、予め規定された高負荷条件にて内燃機関が稼動していると判定する場合、S105に進む。
S105では、点火制御信号の出力状態を高負荷モードに設定して、S106に進む。S106では、S102と同様に各センサから検出結果を取得し、S107に進む。S107では、S103と同様に負荷条件マップを参照し、S108に進む。S108では、S106にて取得した検出結果及びS107にて参照した負荷条件マップに基づいて、現在の内燃機関における稼動の負荷状態について判定する。
S108において、現在、予め規定された高負荷条件にて内燃機関が稼動していると判定する場合、S106に戻り、S106〜S108の処置を繰り返す。これにより高負荷モードが継続されるので、点火プラグ20にはプラス放電電圧の印加が繰り返し実施される。一方、S108にて、現在、予め規定された高負荷条件を外れて内燃機関が稼動していると判定する場合、S101に戻る。以上の動作を燃焼サイクル毎に行う。
次に、ここまで説明した点火装置100の作動により点火プラグ20に生じる火花放電について、図3(b),図4(b),図6〜9に基づいて詳細に説明する。
まず、低負荷モードにおける火花放電について、図3(b),図6,及び図7に基づいて説明する。圧縮された燃焼室90内には、電子、プラスイオン、及び空気の分子が含まれている(図6(a)参照)。上述した第二イグナイタ60の導通遮断により、中心電極21及び接地電極23間には、点火コイル30によってマイナス放電電圧の印加が開始される(図7 t1参照)。すると、放電ギャップ25に遇存していた電子及びプラスイオンは、移動を開始する(図6(b)参照)。
電子は、プラス極となる接地電極23に向かって移動を開始し、加速した後、空気の分子に衝突する。このようにして電子は、新たな電子とプラスイオンとを生じさせる(以下、「α作用」という、図6(c)参照)。また、プラスイオンは、マイナス極となる中心電極21に向かって移動し、当該中心電極21に衝突する。このようにしてプラスイオンは、中心電極21から熱電子を放出させる(以下、「γ作用」という、図6(d)参照)。これらのα作用及びγ作用が放電ギャップ25にて繰り返し生じることにより(図6(e)参照)、プラズマ状態である多数の電子及びプラスイオンを放電ギャップ25に存在させた状態(以下、「放電可能状態」という、図6(f)参照)が形成される。そして、各電極21,23間に印加される放電電圧の上昇で放電ギャップ25の絶縁が破壊されることにより(図7 t2参照)、マイナス極である中心電極21を放電の起点とする電流が、プラズマ化したイオンを伝って中心電極21から接地電極23へと流れる(図6(g)参照)。
次に、高負荷モードにおける火花放電について、図4(b),図8,及び図9に基づいて説明する。高負荷条件の際も、圧縮された燃焼室90内には、電子、プラスイオン及び空気の分子が含まれている(図8(a)参照)。上述した第一イグナイタ50の導通遮断により、中心電極21及び接地電極23間には、点火コイル30によってプラス放電電圧の印加が開始される(図9 t3参照)。すると、放電ギャップ25に遇存していた電子及びプラスイオンは、移動を開始する(図8(b)参照)。
電子は、プラス極となる中心電極21に向かって移動を開始し、α作用によって、新たな電子とプラスイオンとを生じさせる(図8(c)参照)。特に、中心突起部22及び接地突起部24の先端部分であって、電界の集中する部分において、α作用は、活発に発揮される。また、プラスイオンは、マイナス極となる接地電極23に衝突し、γ作用によって接地電極23から熱電子を放出させる(図8(d)参照)。このとき、質量の重いプラスイオンは、当該中心電極21近傍に滞留することで、火花放電を妨げ得る。しかし、放電ギャップ25におけるα作用に加えて、高温の接地電極23において繰り返し生じるγ作用により(図8(e)参照)、中心電極21及び接地電極23の放電可能状態が形成される(図8(f)参照)。そして、各電極21,23間に印加される放電電圧の上昇で放電ギャップ25の絶縁が破壊されることにより(図9 t4参照)、マイナス極である接地電極23を放電の起点とする電流が、プラズマ化したイオンを伝って接地電極23から中心電極21へと流れる。
以上の点火装置100では、プラズマ化したイオンを伝って放電ギャップ25に流れる電流により、火花放電が生じる。この火花放電の熱により中心電極21及び接地電極23の中間部分にて活性化される混合気に、燃焼の起点となる火炎核が発生する。この火炎核が周囲の混合気に燃え広がることにより、混合気への着火は実現される。
ここまで説明した点火装置100について、内燃機関であるガソリンエンジンを諸条件にて稼動させた際に、プラス放電電圧を印加した場合の放電電圧とマイナス放電電圧を印加した場合の放電電圧とを、図10にて比較する。尚、図8に示される試験にて用いられるガソリンエンジンは、排気量を低減したうえで、過給器の過給によって吸入空気量を維持する、所謂ダウンサイジングコンセプトに基づくものである。
例えば、車両の走行抵抗を付加した状態(Road Load;R/L)での毎時100km巡航を想定した条件、急勾配の登坂を想定した条件(3000rpm 1/2負荷)、及び4000rpm及び5000rpmでのスロットル全開(Wide Open Throttle;WOT)条件では、マイナス放電電圧を印加するよりも、プラス放電電圧を印加する方が、放電電圧の最大値を低減できる。これらのように高負荷な条件にて内燃機関を稼動させるとき、燃焼室90内の作動ガスの温度が非常に高くなるので、燃焼室90内の燃焼に晒される接地電極23は、中心電極21よりも高温となり易い。故に、接地電極23では、γ作用が生じ易くなる(図8(d)参照)ので、放電ギャップ25に放電可能状態の形成されるまでの時間は、短縮され得る。以上により、プラス放電電圧の印加により、高負荷条件における放電電圧は、抑制可能となる。
一方で、例えば、低温(例えば−10℃)での始動時、常温での始動時、アイドル条件、R/Lでの毎時40km巡航を想定した条件では、プラス放電電圧を印加するよりも、マイナス放電電圧を印加する方が、放電電圧の最大値を低減できる。これらのように高負荷を外れた条件にて内燃機関を稼動させるとき、接地電極23は、混合気に冷却され易く、中心電極21より格段に高い温度になり難い。故に、仮にプラス放電を実施した場合には、接地電極23の温度上昇によるγ作用の増大が期待できない。加えて、プラス放電が実施された場合、前述の如く、質量の重いプラスイオンの中心電極21近傍への滞留に起因して、放電電圧が高くなる。以上のような高負荷条件を外れた場合に放電電圧が上昇し易いプラス放電の実施から、マイナス放電の実施に切り換えられることにより、高負荷条件を外れた場合における放電電圧は、抑制可能となる。
ここまで説明した本実施形態において、高負荷条件では、燃焼室90の内圧の上昇が顕著となる。故に、点火時期の燃焼室90には、空気の分子が高密度で存在するようになる。すると、電子は、十分に加速できないまま空気の分子に衝突してしまうので、α作用を生じさせ難くなる。しかし、このような放電可能状態の形成され難い高負荷条件下においても、プラス放電電圧の印加によってγ作用を効果的に生じさせることにより、放電電圧は、抑制される。これにより、火花放電は、確実に実施され得る。加えて、高負荷条件を外れて内燃機関が稼動するときには、マイナス放電の実施により、放電電圧の上昇は、抑制される。これらにより、点火装置100は、確実な火花放電の実施によって失火を抑制しつつ、点火プラグに印加される放電電圧を抑えることにより、点火プラグの長寿命化を可能とする。
加えて本実施形態では、プラス放電用の一次コイル31及びマイナス放電用の一次コイル33の通電を制御するとういう簡素な構成によって、放電電圧の極性は、迅速且つ確実に変更され得る。故に、内燃機関の負荷に応じて放電電圧の極性を適宜変更可能な点火制御回路40が、確実且つ低コストに実現可能となる。
さらに本実施形態では、高負荷条件にて内燃機関が稼動するとき、マイナス放電用の一次コイル33への通電はオフ状態とされる。故に、点火コイル30の二次コイル35は、一次コイル33によって電圧を誘導されることなく、プラス放電用の一次コイル31によって誘導される電圧により、各電極21,23間にプラス放電電圧を確実に印加し得る。以上により、高負荷条件における火花放電の実施の確実性がさらに向上するので、点火プラグ20における失火は、さらに抑制可能となる。
また加えて本実施形態では、高負荷条件を外れて内燃機関が稼働するとき、プラス放電用の一次コイル31への通電はオフ状態とされる。故に、点火コイル30の二次コイル35は、一次コイル31によって電圧を誘導されることなく、マイナス放電用の一次コイル33によって誘導される電圧により、各電極21,23間にマイナス放電電圧を確実に印加し得る。以上により、高負荷条件を外れたときに点火プラグに印加される放電電圧の抑制作用は、確実に発揮され得る。したがって、点火プラグ20の寿命は、さらに延長可能となる。
さらに加えて本実施形態では、接地突起部24は、中心電極21に向かって突出する形状により、混合気の燃焼によってさらに高温になり易い。故に、プラスイオンの接地突起部24への衝突によって生じるγ作用により、熱電子は、さらに効果的に接地突起部24から放出され得る。以上により、放電可能状態の形成されるまでの時間がさらに短くなるので、高負荷条件における火花放電の実施の確実性は、さらに向上する。したがって、点火プラグ20における失火は、さらに抑制可能となる。
またさらに本実施形態のように、ダウンサイジングされたガソリンエンジンでは、熱効率を高めるために、一般に、高い圧縮比が維持されている。故に、点火時期における燃焼室90の内圧は、高負荷条件にてさらに顕著に上昇し易くなる。すると、高密度に存在する空気の分子に加速を妨げられる電子は、α作用を生じさせ難くなる。しかし、上述したようなγ作用を効果的に生じさせることによれば、放電電圧は、抑制可能である。したがって、高負荷条件にてプラス放電電圧を印加する点火装置100は、ダウンサイジングによって火花点火の困難となり易いガソリンエンジンに用いられることにより、失火の抑制と点火プラグ20の長寿命化とに顕著に貢献できるのである。
尚、本実施形態において、バッテリ10が特許請求の範囲の「電源」に相当し、中心電極21が特許請求の範囲の「第一電極」に相当し、接地電極23が特許請求の範囲の「第二電極」に相当し、接地突起部24が特許請求の範囲の「突起部」に相当し、プラス放電用の一次コイル31が特許請求の範囲の「第二巻線」に相当し、マイナス放電用の一次コイル33が特許請求の範囲の「第三巻線」に相当し、二次コイル35が特許請求の範囲の「第一巻線」に相当し、点火制御回路40が特許請求の範囲の「電圧印加手段」に相当し、エンジン制御装置70が特許請求の範囲の「極性変更手段」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
上記実施形態において、一次コイル31,33は、互いの巻線方向を逆方向とすることにより、極性の異なる電圧を二次コイル35に誘導可能であった。しかし、二次コイルに誘導される電圧の極性を異ならせることが可能であれば、一組の一次コイルの構成は、上記のものに限定されない。例えば、点火コイルは、巻線方向の同じ一組の一次コイルを有する。そして、これらの一次コイルに異なる方向の電流が導通されるようにする。以上の構成でも、極性の異なる電圧を二次コイル35に誘導することが可能となる。加えて、一組の一次コイルの配置は、適宜変更されてよい。例えば、一組の一次コイルは、二次コイルと並列となるように当該二次コイルの軸方向に沿って並べられる形態であってもよい。
上記実施形態において、高負荷条件を規定した負荷条件マップが、エンジン制御装置70に記憶された。しかし、例えば高負荷条件を規定した数式等が、エンジン制御装置に記憶されていてもよい。以上の形態によるエンジン制御装置は、センサによる検出結果と数式とに基づいて、高負荷モートの点火制御信号を出力するか否かを決定する。
加えて、エンジン制御装置は、複数の負荷条件マップを記憶していてもよい。例えば、図5に示されるフローチャートにて、S103で参照される負荷条件マップを、S107で参照される負荷条件マップと異ならせる。具体的には、S107にて参照される負荷条件マップの所定の設定値を、S103にて参照される負荷条件マップの所定の設定値よりも緩和する。これにより、低負荷モードと高負荷モードとの頻繁な入れ替わりは、抑制可能となる。さらに、例えば冷却水の温度等、センサから取得する検出結果に基づいて、エンジン制御装置は、参照する負荷条件マップを変更してもよい。
上記実施形態において、高負荷条件を規定するための所定の設定値として、内燃機関の現在の負荷に係わる吸入空気量と、内燃機関の出力調整を指示するスロットル開度とが用いられていた。しかし、エンジン制御装置によって取得可能な種々の検出結果を、高負荷条件を規定するための所定値として用いることができる。例えば、筒内圧を計測可能な形態であれば、当該筒内圧の特定の値を、高負荷条件を規定するための設定値として用いることができる。
上記実施形態において、点火プラグ20の中心電極21及び接地電極23のそれぞれには、本体部分から突出する中心突起部22及び接地突起部24が設けられていた。しかし、種々の形態の点火プラグが、点火装置の構成として適用することができる。例えば、上記実施形態のような中心突起部22及び接地突起部24の少なくとも一方を省略した形態の点火プラグが点火装置に用いられていてもよい。さらに、複数の接地電極を備える形態の点火プラグが用いられていてもよい。
上記実施形態では、所定のプログラムを実施するエンジン制御装置70によって、特許請求の範囲に記載の「極性変更手段」の機能は、果たされていた。しかし、「極性変更手段」は、上記実施形態のエンジン制御装置70に、限定されない。例えば、ガソリンエンジンの稼動を制御するエンジン制御装置とは別に、「極性変更手段」の機能を果たす回路又は装置が、設けられていてもよい。又は、エンジン制御装置とは異なる車載された他の回路又は装置が、「極性変更手段」の機能を兼ねていてもよい。さらに、これらの回路又は装置は、上記実施形態のエンジン制御装置70のようなプログラムの実施によって所定の機能を果たす構成であってもよく、又はプログラムによらないで所定の機能を果たす構成であってもよい。
上記実施形態では、ダウンサイジングされたガソリンエンジンに用いられる点火装置100に本発明を適用した例を説明したが、本発明の適用対象は、上記の点火装置に限定されない。例えば、自然吸気のガソリンエンジンに用いられる点火装置、及び圧縮比の低減された過給器付きのガソリンエンジンに用いられる点火装置等に、本発明は、適用できる。さらに、車両に搭載されるガソリンエンジンに限らず、コージェネレーション及びガス圧送用ポンプ等の内燃機関に用いられる点火装置に、本発明は、適用可能である。
10 バッテリ(電源)、20 点火プラグ、21 中心電極(第一電極)、22 中心突起部、23 接地電極(第二電極)、24 接地突起部(突起部)、25 放電ギャップ、30 点火コイル、31 プラス放電用の一次コイル(第二巻線)、33 マイナス放電用の一次コイル(第三巻線)、35 二次コイル(第一巻線)、40 点火制御回路(電圧印加手段)、50 第一イグナイタ、60 第二イグナイタ、70 エンジン制御装置(極性変更手段)、90 燃焼室、100 点火装置、im,ip 電流

Claims (5)

  1. 内燃機関に形成される燃焼室内の混合気に点火する点火装置であって、
    前記燃焼室に突出する第一電極、及び前記第一電極の突出方向にて当該第一電極と対向する第二電極、を有し、前記第一電極及び前記第二電極間に放電ギャップを形成する点火プラグと、
    前記第一電極及び前記第二電極間に電圧を印加することにより、前記混合気に点火する火花放電を前記放電ギャップに生じさせ、前記第一電極及び前記第二電極間に印加する電圧の極性を変更可能な電圧印加手段と、
    前記内燃機関の負荷が所定の設定値よりも高くなる高負荷条件が予め規定され、前記高負荷条件を外れて前記内燃機関が稼動するとき、前記第一電極をマイナス極とし前記第二電極をプラス極とするマイナス放電電圧を前記電圧印加手段によって印加させ、前記高負荷条件にて前記内燃機関が稼動するとき、前記第一電極をプラス極とし前記第二電極をマイナス極とするプラス放電電圧を前記電圧印加手段によって印加させる極性変更手段とを、
    備えることを特徴とする点火装置。
  2. 前記電圧印加手段は、
    前記点火プラグと接続され、前記第一電極及び前記第二電極間に電圧を印加する第一巻線と、
    前記点火装置の外部の電源と接続され、通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、前記第一電極及び前記第二電極間に前記プラス放電電圧が印加されるように前記第一巻線に電圧を誘導する第二巻線と、
    前記電源と接続され、通電がオン状態からオフ状態に切り換わることにより、前記第一電極及び前記第二電極間に前記マイナス放電電圧が印加されるように前記第一巻線に電圧を誘導する第三巻線とを、
    有することを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
  3. 前記極性変更手段は、前記高負荷条件にて前記内燃機関が稼動するとき、前記第三巻線の通電をオフ状態としつつ、前記第二巻線の通電のオン状態及びオフ状態を切り換えることにより、前記プラス放電電圧を前記第三巻線によって印加させることを特徴とする請求項2に記載の点火装置。
  4. 前記極性変更手段は、前記高負荷条件を外れて前記内燃機関が稼動するとき、前記第二巻線の通電をオフ状態としつつ、前記第三巻線の通電のオン状態及びオフ状態を切り換えることにより、前記マイナス放電電圧を前記第三巻線によって印加させることを特徴とする請求項2又は3に記載の点火装置。
  5. 前記第二電極には、前記第一電極に向かって突出し当該第一電極との間で前記放電ギャップを形成する突起部、が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の点火装置。
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