以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る燃料電池発電装置に備えられる改質器について図1および図2を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る改質器を横から見た場合の概略構成を示す側面図である。図2は、同実施形態に係る改質器を上から見た場合の概略構成を示す上面図である。
なお、当該改質器において蒸発器外周断熱材8aが配置される側の面を「前面」と呼び、PROX4dが配置される側の面を「後面」と呼び、前面から見て左側の面(改質器左側面断熱材8gが配置される側の面)を「左側面」と呼び、前面から見て右側の面(改質器右側面断熱材8hが配置される側の面)を「右側面」と呼ぶ。
矩形の蒸発器2は、改質器の最も前面側に配置され、高温側が改質器外周に向かう面に配され、低温側が反対側に配される。その後面側に円筒形の改質部1が配置され、その後面側に矩形の予熱器3が、高温側が改質部1に配され低温側が反対側に配されるよう配置される。予熱器3の後面側に低温反応部4が配置される。低温反応部4の内部では、脱硫器4aが最も前面側に配置され、その後面側に低温シフト反応器第一段4b、低温シフト反応冷却器4e、低温シフト反応器第二段4c、PROX4dがこの順に配置されている。これらの下方に給水予熱器5が配置される。
改質器外周と蒸発器2との間には、蒸発器外周断熱材8aが配置される。蒸発器2と改質部1との間には蒸発器−改質部間断熱材8bが配置される。改質部1と予熱器3との間には改質部−予熱器間断熱材8cが配置される。予熱器3と脱硫器4aとの間には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。改質器左側面外周から、蒸発器2、予熱器3及び低温反応部4の左端部までの間には改質器左側面断熱材8gが配置される。改質器右側面外周から、蒸発器2、予熱器3及び低温反応部4の右端部までの間には改質器右側面断熱材8hが配置される。改質部1左側面と改質器左側面断熱材8gとの間には、改質部左側面断熱材8eが配置される。改質部1右側面と改質器右側面断熱材8hとの間には、改質部右側面断熱材8fが配置される。
図1および図2から分かるように、蒸発器2、改質部1、予熱器3、および低温反応部4は、この順序で配列している。ここで、当該配列の方向である第1の方向と直交する第2の方向における改質部1の幅は、上記第2の方向における蒸発器2の幅もしくは予熱器3の幅の少なくとも一方よりも小さくなるように構成される。図2の例では、蒸発器2、予熱器3、および低温反応部4のそれぞれの幅は同じであり、改質部1の幅はそれらよりも小さくなっている。このようにする構成することにより、改質部1の左側および右側に、改質器左側面断熱材8gおよび改質器右側面断熱材8hに加えて、改質部左側面断熱材8eおよび改質部右側面断熱材8fを更に配置することが可能となるため、左側面および右側面から外部への無駄な放熱を極力抑えることができ、また、改質部1からの放熱を蒸発器2もしくは予熱器3へ効果的に伝えて回収させることができる。
図1に示されるように、改質燃料6aは低温反応部4に含まれる脱硫器4aに導入され、含有される硫黄系有機化合物が分解され、吸着除去された後、蒸発器2で発生した水蒸気と混合され、予熱器3の低温側に導入される。予熱器3に導入された改質燃料6aは、高温側を流通する水素リッチガスと熱交換し昇温された後、改質部1の改質反応部1cに導入される。改質反応部1cではバーナ燃焼空間1bからの加熱により改質燃料を水素リッチガスに変換する次式、
CnHm+nH2O→nCO+(m/2+n)H2
に示される改質反応が進行する。改質部1から導出された水素リッチガスは予熱器3の高温側に導入され、改質燃料6aと水蒸気の混合ガスを予熱した後、低温シフト反応器第一段4bに導入される。
ここで、
CO+H2O→CO2+H2
の水性ガスシフト反応により、燃料電池に有害なCOを減じ、燃料電池の燃料であるH2を増やす。低温シフト反応器第一段4bから導出された水素リッチガスは、低温シフト反応器第二段4cに導入され、低温シフト反応冷却器4eに冷却されながら、更にCOを減じH2を増加させた後、シフト反応器出口ガス6cとして導出される。シフト反応器出口ガス6cはPROX空気6dと混合された後、PROX入口ガス6eとしてPROX4dに導入される。PROX4dでは
CO+1/2O2→CO2
の選択酸化反応が進行し、燃料電池に有害なCOを10ppm以下まで減じ、改質器出口ガス6fとして導出する。選択酸化反応で発生する熱は、図示しない空冷冷却ファンなどの冷却手段により適切に除去し、温度が過剰に上昇することにより副反応が進行するリスクを防ぐ。
一方、改質水6bは給水予熱器5の低温側に導入され、バーナ排ガスとの熱交換により予熱された後、蒸発器2の低温側に導入され、蒸発器2での熱交換により過熱水蒸気となった後、脱硫器4aを通過した改質燃料6aと混合される。
バーナ空気7aおよびバーナ燃料7bは、円筒形の改質部1に組み込まれているバーナ1aに導入され、バーナ燃焼空間1bにて燃焼される。バーナ排気ガスは改質反応部1c内の触媒層を加熱した後、蒸発器2に導入され、改質水を加熱して水蒸気を発生し過熱させる。蒸発器2から導出されたバーナ排気ガスは低温シフト反応冷却器4eを通過し、低温シフト反応器第二段4cを通過する水素リッチガスとの熱交換により昇温される。低温シフト反応冷却器4eから導出されたバーナ排気ガスは給水予熱器5の高温側に導入され、改質水6bとの熱交換により温度が低下した後、改質器バーナ出口ガス7cとして改質器外に排出される。
次に、各流体の流れに沿って反応器の温度について説明する。
まず、改質燃料6aの流れに沿って説明すると、脱硫器4aは硫黄系有機化合物を分解、吸着除去する反応を発生させるため、200〜300℃の温度を維持することが必要であり、これを予熱器3及び低温シフト反応器第一段4bからの伝熱により維持している。脱硫器4aの下流に位置する予熱器3の低温側は、脱硫器4aからの改質燃料と蒸発器2からの水蒸気が混合されて導入される。改質燃料は200〜300℃であり、水蒸気は150〜350℃なので、予熱器3の入口温度は150〜350℃である。改質燃料と水蒸気の混合ガスは、予熱器3での熱交換により改質反応が開始する350〜450℃にまで昇温される。
改質燃料と水蒸気の混合ガスは改質部1の改質反応部1c内の改質触媒層に導入された後、バーナ排気ガスからの伝熱により、出口に向かって昇温されながら吸熱反応である改質反応が進み、水素リッチガスに変換される。改質反応部1cのガス相温度は入口で400〜500℃だが、出口では改質反応に好適な600〜700℃にまで昇温される。改質触媒層から導出された600〜700℃の水素リッチガスは、改質触媒層の外側かつ改質部1の外表面の内側に配置された再生室1dを改質触媒層と熱交換しながら降温し、400〜500℃で導出される。このため、改質部の外表面の温度は、再生室1d入口で600〜700℃、出口で400〜500℃になる。
再生室1dから導出された400〜500℃の水素リッチガスは、予熱器3の高温側に導入され、低温側を流通する改質燃料と水蒸気の混合ガスと熱交換し、200〜300℃に降温する。
予熱器3の高温側から導出された200〜300℃の水素リッチガスは、低温シフト反応器第一段4bに導入される。低温シフト反応器第一段4bでは水性ガスシフト反応による発熱があるが、隣接する脱硫器4a及び低温シフト反応冷却器4eへの伝熱により、出口温度は200〜300℃に保たれる。
低温シフト反応器第一段4bから導出された200〜300℃の水素リッチガスは、低温シフト反応器第二段4cに導入される。低温シフト反応器第二段4cでは水性ガスシフト反応による発熱があるが、隣接する低温シフト反応冷却器4e及びPROX4dへの伝熱により、出口温度は100〜250℃に降温する。
低温シフト反応器第二段4cから導出された100〜250℃のシフト反応器出口ガス6cは、図示しない冷却器で100℃以下に冷却された後、PROX空気6dと混合され、PROX入口ガス6eとしてPROX4dに導入される。PROX4d入口でのガス温度は100℃以下であり、出口では選択酸化反応の発熱により100〜200℃に昇温された後、改質器出口ガス6fとして導出される。
次に、改質水の流れに沿って温度を説明する。給水予熱器5の低温側入口の温度は給水される水の温度だが、多くの場合給水予熱器5内で沸騰が始まるので、出口では流路の圧力に対応する沸点まで温度が上昇し、100℃強に達する。続いて蒸発器2に導入されると、入口から途中までは沸騰のため100℃強一定だが、沸騰が完了し過熱され始めると温度が上昇する。ここで、水蒸気が十分過熱されず、二相流のまま蒸発器2から導出されると、脱硫器4aに水が逆流して脱硫器4aの機能を阻害する可能性がある。一方で、水蒸気の温度が高いことは、昇温のため多くのバーナ燃料4bを投入していることを意味し、エネルギー効率の上で望ましくない。このため、改質器の運転条件を適切に設定することで、過熱された水蒸気の温度が150〜350℃の間になるよう調整することが望ましい。
次に、バーナ排気ガスの流れに沿って温度を説明する。バーナ燃焼空間1bで燃焼されたバーナ排気ガスは、改質触媒層との熱交換により降温し、改質部1出口では300〜500℃になる。改質部1から導出されたバーナ排気ガスは、蒸発器2の高温側に導入され、改質水と熱交換し沸騰させることにより100℃強にまで冷却される。蒸発器2の高温側から導出された100℃強のバーナ排気ガスは、低温シフト反応冷却器4eに導入され、低温シフト反応器第一段4b及び低温シフト反応器第二段4cとの熱交換により150〜200℃にまで昇温される。低温シフト反応冷却器4eから導出された150〜200℃のバーナ排気ガスは、給水予熱器5の高温側に導入され、改質水と熱交換し沸騰を開始させることにより100℃強まで冷却された後、改質器バーナ出口ガス7cとして導出される。
次に、各反応器の表面温度を説明する。各反応器の表面温度は内部を流通する流体の温度に相当している。
矩形である蒸発器2の、蒸発器外周断熱材8aに面する高温側の表面温度は、バーナ排気ガスの入口が300〜500℃、出口が100℃強である。蒸発器2の、蒸発器−改質部間断熱材8bに面する低温側の表面温度は、改質水の入口が100℃強、出口が150〜350℃である。
円筒形である改質部1の、蒸発器−改質部間断熱材8bに接する面の表面温度は、再生室1dのガス温度に相当する。従って、再生室1d入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。改質部−予熱器間断熱材8cに接する面の表面温度も同様に、再生室1d入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。
矩形である予熱器3の、改質部−予熱器間断熱材8cに面する側は、高温側である。従って、水素リッチガスの入口側が400〜500℃、出口側が200〜300℃である。予熱器3の、予熱器−低温反応部間断熱材8dに面する側は、低温側である。従って、表面温度は、改質燃料と水蒸気の混合ガスの入口側が150〜350℃、出口側が350〜450℃である。
矩形である脱硫器4aの、予熱器−低温反応部間断熱材8dに面する側の表面温度は、内部のガス温度と同様200〜300℃である。
矩形である低温シフト反応器第一段4bの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入出口とも200〜300℃である。
矩形である低温シフト反応器第二段4cの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入口側が200〜300℃、出口側が100〜250℃である。
矩形であるPROX4dの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入口側が100℃以下、出口側が100〜200℃である。
給水予熱器5は、高温側であるバーナ排気ガス流路を、低温側である改質水の水室が囲う構成である。このため、表面温度は沸騰している改質水温度と同様、100℃強である。
各反応器の温度は上記の通りであり、改質部1表面が最も高温である。流通する流体が改質部1に供給する蒸発器2と予熱器3を改質部1前後に配置することにより、改質部1からの伝熱を回収しエネルギー効率を上げることができる。また、蒸発器外周断熱材8a、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−予熱器間断熱材8c、予熱器−低温反応部間断熱材8dを配置することで、それぞれの反応器を適正な温度に保つことができる。
次に、各断熱材の表面温度を説明する。断熱材の表面温度は、隣接する反応器の表面温度に相当する。
蒸発器外周断熱材8aの前面側表面温度は改質器外表面温度だが、後面側表面温度は蒸発器2の高温側表面温度と同様でありバーナ排気ガスの入口が300〜500℃、出口が100℃強である。従って、蒸発器外周断熱材8aの厚み方向の温度差は、改質器外表面温度を50℃としてバーナ排気の入口が250〜450℃、出口が約50℃になる。
蒸発器−改質部間断熱材8bの前面側表面温度は、蒸発器2の低温側表面温度と同様、改質水の入口が100℃強、出口が150〜350℃である。後面側表面温度は、再生室1dの入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。図1から明らかなように、蒸発器2の改質水流路は入口が下側で出口が上側、再生室1dは入口が下側で出口が上側なので、蒸発器−改質部間断熱材8bの厚み方向温度差は、下側で500〜600℃、上側で50〜350℃である。
改質部−予熱器間断熱材8cの前面側表面温度は改質部1表面温度と同様であり、再生室1dの入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。後面側表面温度は、予熱器3高温側の表面温度と同様であり、水素リッチガスの入口側が400〜500℃、出口側が200〜300℃である。図1から明らかなように、再生室1dは入口が下側で出口が上側、予熱器3高温側流路は入口が上側で出口が下側なので、改質部−予熱器間断熱材8cの厚み方向温度差は、下側で300〜500℃、上側で0〜100℃である。
予熱器−低温反応部間断熱材8dの前面側表面温度は、予熱器3低温側の表面温度と同様であり、燃料と水蒸気の混合ガスの入口側が150〜350℃、出口側が350〜450℃である。後面側表面温度は、脱硫器4aの表面温度と同様であり、200〜300℃である。従って、予熱器−低温反応部間断熱材8dの厚み方向温度差は、予熱器3側を高温として−50〜250℃である。
改質器左側面断熱材8gの右側面表面温度は各反応器により相違し、最高は予熱器3高温側の上部400〜500℃、最低はPROX5入口の100℃以下である。内部に最大400℃の温度差があるので、左側面表面温度も場所によって変わるが、表面温度が高温であると外部への放熱が増大しエネルギー効率の上で不利となるので、各反応器間の温度の相違に関わらず雰囲気温度+15℃〜35℃となるよう、断熱材厚みを調整することが通例である。これは改質器右側面断熱材8hについても同様である。
改質部左側面断熱材8eの右面側表面温度は、改質部1表面温度と同様であり、下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。左側表面温度は、改質器左側面断熱材8gの右側面表面温度に等しい。改質器左側面断熱材8gの左側面において、改質部1に相当する位置がほかの部分より高温となり、放熱源となることはエネルギー効率の上で不利となる。従って、改質器左側面断熱材8g左側面の改質部1に相当する位置の温度は、他の反応器と同じかより低いことが望ましい。よって、全点で予熱器3高温側の上部400〜500℃と同じか、より低温であることが望ましい。これは改質部右側面断熱材8fについても同様である。
本実施形態における望ましい各断熱材の厚みの相関関係について説明する。
まず、改質部1に着目する。改質部1は蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−予熱器間断熱材8c、改質部左側面断熱材8e、改質部右側面断熱材8fで囲まれている。
蒸発器−改質部間断熱材8bの厚み方向の温度差は、前述の通り下側で500〜600℃、上側で50〜350℃である。一方、改質部−予熱器間断熱材8cの厚み方向温度差は、下側で300〜500℃、上側で0〜100℃である。蒸発器−改質部間断熱材8bの温度差は、改質部−予熱器間断熱材8cに比べて大きい。
改質部1側の表面温度に大きな相違があると、周方向に応力が発生して耐久性に影響するリスクがあるため、大きな差がないよう設計することが望ましい。
従って、蒸発器−改質部間断熱材8bの熱抵抗を、改質部−予熱器間断熱材8cと同じか、より高くする必要がある。改質部−予熱器間断熱材8cの最小厚みを、蒸発器−改質部間断熱材8bの最小厚みと同じかより小さくすることで、改質部1の表面温度の周方向の差を抑えることができる。
蒸発器−改質部間断熱材8bを通過する改質部1からの伝熱は、蒸発器2の低温側を加熱し、水蒸気の熱として改質部1に戻る。また、改質部−予熱器間断熱材8cを通過する伝熱は、予熱器3の高温側を加熱し、予熱器3の低温側への伝熱により改質部1に戻るか、低温シフト反応器第一段4b入口温度を上昇させて反応温度の維持に使用される。
一方、改質部左側面断熱材8eもしくは改質部右側面断熱材8fを通過する改質部1からの伝熱は、改質器左側面断熱材8gもしくは改質器右側面断熱材8hを通過して改質器外に放熱される。エネルギー効率の上から、改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの熱抵抗が、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−予熱器間断熱材8cの熱抵抗より大きく、厚い必要がある。図2から明らかなように、改質部左側面断熱材8eの厚みと改質部右側面断熱材8fの厚みの和は、蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅から改質部1の最大直径を引いた値に等しい。これらを定式化すると、次のようになる。
(蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅)−(改質部1の最大直径)
=(改質部左側面断熱材8e厚み)+(改質部右側面断熱材8f厚み)
≧2×min((改質部左側面断熱材8e厚み),(改質部右側面断熱材8f厚み))
>2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−予熱器間断熱材8c厚み))
更にこれを変形して整理すると、次のようになる。
(蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅)
>(改質部1の最大直径)+2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−予熱器間断熱材8c厚み))
すなわち、蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅が、改質部1の最大直径に、蒸発器−改質部断熱材8b厚みもしくは改質部−予熱器間断熱材8c厚みのいずれか大きい方の2倍を加えた値より大きいことが、改質部1から改質器外への放熱を抑えるための必要条件である。
次に、蒸発器2に着目する。蒸発器2の前面側には蒸発器外周断熱材8aが配置され、後面側には蒸発器−改質部間断熱材8bが配置される。
蒸発器2の熱収支では、蒸発器−改質部間断熱材8bを通じて熱を受け取り、蒸発器外周断熱材8aを通じて放熱する。蒸発器2での水蒸気発生と過熱を維持するためには、入熱に比べて放熱を抑える必要がある。蒸発器−改質部間断熱材8b最小厚みを、蒸発器外周断熱材8a最小厚みより小さくすることで、蒸発器外周断熱材8aの熱抵抗を蒸発器−改質部間断熱材8bの熱抵抗より大きくでき、蒸発器1からの放熱を入熱より低く抑えることができる。
次に、予熱器3に着目する。予熱器3の前面側には改質部−予熱器間断熱材8cが配置され、後面側には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。
予熱器3の熱収支では、改質部−予熱器間断熱材8cを通じて熱を受け取り、予熱器−低温反応部間断熱材8dを通じて放熱する。改質反応部1cに供給するガスの温度を400〜500℃に維持するためには、予熱器3温度を維持する必要があり、入熱に比べて放熱を抑える必要がある。改質部−予熱器間断熱材8c最小厚みを、予熱器−低温反応部間断熱材8d最小厚みより小さくすることで、予熱器−低温反応部間断熱材8dの熱抵抗を改質部−予熱器間断熱材8cの熱抵抗より大きくでき、予熱器3からの放熱を入熱より低く抑えることができる。
第1の実施形態によれば、例えば改質部1を矩形の蒸発器2と予熱器3で挟みこむ構成において次のような利点がある。第一に蒸発器2及び予熱器3の左右幅の範囲で改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保できるので、改質器外周の左右幅は蒸発器2及び予熱器3の幅で決まり、改質部1の断熱が原因で改質器全体の左右幅が増大することがない。第二に改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保しても、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−予熱器間断熱材8cの厚み増大につながらないため、改質部1の断熱が原因で改質器全体の前後長さが増大することはない。上記のような構成により、必要な断熱を確保しながら改質器全体の表面積増大を抑えて改質器外表面からの放熱を抑制し、エネルギー効率を増大させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る燃料電池発電装置に備えられる改質器について図3を参照して説明する。なお、前述の各実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図3は、第2の実施形態に係る改質器を上から見た場合の概略構成を示す上面図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態と比べ、給水予熱器5が配置される位置が異なる。
給水予熱器5は、改質部1の、蒸発器2にも予熱器3にも面しない位置に配置される。
図3の例では、給水予熱器5が改質部1の左側面に配置されているが、右側面に配置されてもよい。給水予熱器5の改質部1に向かう面は低温側であり、改質器外周に向かう面は高温側である。
給水予熱器5を第2の実施形態のように配置すると、第1の実施形態の場合に比べ、給水予熱器5の形状に上下方向の制約が少なく配置しやすいこと、配管接続のための空間が取りやすいため、本実施形態では図示しないがシフト反応器出口ガス6cを追加熱源として利用することが可能であること、後述する改質部1からの伝熱を利用することでエネルギー効率の上昇が見込めることが利点として挙げられる。
改質器外周と蒸発器2との間には、蒸発器外周断熱材8aが配置される。蒸発器2と改質部1との間には蒸発器−改質部間断熱材8bが配置される。改質部1と予熱器3との間には改質部−予熱器間断熱材8cが配置される。予熱器3と脱硫器4aとの間には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。改質器左側面外周から、蒸発器2、予熱器3、低温反応部4及び給水予熱器5の左端部までの間には改質器左側面断熱材8gが配置される。改質器右側面外周から、蒸発器2、予熱器3及び低温反応部4の右端部までの間には改質器右側面断熱材8hが配置される。改質部1左側面と給水予熱器5との間には、改質部左側面断熱材8e’が配置される。改質部1右側面と改質器右側面断熱材8hとの間には、改質部右側面断熱材8fが配置される。
第2の実施形態においては、各反応器の温度は第1の実施形態と同様であるが、給水予熱器5については相違がある。改質部1に向かう低温側の温度は第1の実施形態と同様100℃強である。第1の実施形態では水室内部に位置していた高温側は、第2の実施形態では改質器外周に向かっている。高温側表面温度は内部を流通するバーナ排気ガス温度により、上側にある入口で150〜200℃、下側にある出口で100℃強である。
各反応器の温度は第1の実施形態と同様で、改質部1表面が最も高温である。流通する流体が改質部1に供給する蒸発器2と予熱器3を改質部1前後に配置することにより、改質部1からの伝熱を回収しエネルギー効率を上げることができる。また、蒸発器外周断熱材8a、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−予熱器間断熱材8c、予熱器−低温反応部間断熱材8dを配置することで、それぞれの反応器を適正な温度に保つことができる。
第2の実施形態における各断熱材の表面温度は第1の実施形態と同様であるが、改質部左側面断熱材8e’については前述の改質部左側面断熱材8eと相違がある。右面側表面温度は、第1の実施形態と同様下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。左側表面温度は、給水予熱器5低温側表面温度に等しく、100℃強である。改質部左側面断熱材8e’の厚み方向温度差は、下側が500〜600℃、上側が300〜400℃である。
第2の実施形態における、各断熱材の厚みの相関関係について説明する。
まず、改質部1に着目する。改質部1は蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−予熱器間断熱材8c、改質部左側面断熱材8e’、改質部右側面断熱材8fで囲まれている。
蒸発器−改質部間断熱材8bの厚み方向の温度差は、下側で500〜600℃、上側で50〜350℃である。一方、改質部−予熱器間断熱材8cの厚み方向温度差は、下側で300〜500℃、上側で0〜100℃である。また、給水予熱器5低温側の表面温度は水の沸点相当の100℃強で一定であるため、改質部左側面断熱材8e’の厚み方向の温度差は、下側で500〜600℃、上側で300〜400℃である。
蒸発器−改質部間断熱材8bの温度差は改質部−予熱器間断熱材8cに比べて大きく、また、改質部左側面断熱材8e’の温度差は蒸発器−改質部間断熱材8bの温度差より大きい。改質部1側の表面温度に大きな相違があると、周方向に応力が発生して耐久性に影響するリスクがあるため、大きな差がないよう設計することが望ましい。従って、蒸発器−改質部間断熱材8bの熱抵抗を、改質部−予熱器間断熱材8cと同じかより高くし、かつ改質部左側面断熱材8e’の熱抵抗を、蒸発器−改質部間断熱材8bの熱抵抗と同じかより高くする必要がある。改質部−予熱器間断熱材8cの最小厚みを、蒸発器−改質部間断熱材8bの最小厚みと同じかより小さくし、蒸発器−改質部間断熱材8bの最小厚みを、改質部左側面断熱材8e’の最小厚みと同じかより小さくすることで、改質部1の表面温度の周方向の差を抑えることができる。
蒸発器−改質部間断熱材8bを通過する改質部1からの伝熱は、蒸発器2の低温側を加熱し、水蒸気の熱として改質部1に戻る。また、改質部−予熱器間断熱材8cを通過する伝熱は、予熱器3の高温側を加熱し、予熱器3の低温側への伝熱により改質部1に戻るか、低温シフト反応器第一段4b入口温度を上昇させて反応温度の維持に使用される。また、改質部左側面断熱材8e’を通過する伝熱は、給水予熱器5の低温側を加熱し、水蒸気の熱として改質部1に戻る。一方、改質部右側面断熱材8fを通過する改質部1からの伝熱は、改質器右側面断熱材8hを通過して改質器外に放熱される。エネルギー効率の上から、改質部右側面断熱材8fの熱抵抗が、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−予熱器間断熱材8c及び改質部左側面断熱材8e’の熱抵抗より大きい必要があり、より厚みが大きい必要がある。
図3から明らかなように、改質部左側面断熱材8e’の厚みと改質部右側面断熱材8fの厚みの和は、蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅から改質部1の最大直径と給水予熱器5の左右方向幅を引いた値に等しい。また、改質部左側面断熱材8e’の厚みは、蒸発器−改質部間断熱材8bもしくは改質部−予熱器間断熱材8cと等しいかより大きい。これらの関係を定式化すると、次のようになる。
(改質部右側面断熱材8f厚み)
=(蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅)−(改質部1の最大直径)−(給水予熱器5の左右の幅)−(改質部左側面断熱材8e’厚み)
>(改質部左側面断熱材8e’厚み)
≧max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−予熱器間断熱材8c厚み))
更にこれを変形して整理すると、次のようになる。
(蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅)
≧(改質部1の最大直径)+ (給水予熱器5の左右の幅)+2×(改質部左側面断熱材8e’厚み)
>(改質部1の最大直径)+2×(改質部左側面断熱材8e’厚み)
≧(改質部1の最大直径)+2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−予熱器間断熱材8c厚み))
すなわち、第1の実施形態と同様、蒸発器2及び予熱器3の左右方向幅が、改質部1の最大直径に、蒸発器−改質部間断熱材8b厚みもしくは改質部−予熱器間断熱材8c厚みのいずれか大きい方の2倍を加えた値より大きいことが、改質部1から改質器外への放熱を抑えるための必要条件である。
蒸発器2の前後に関する断熱材厚みの相関、及び予熱器3の前後に関する断熱材厚みの相関関係は、第1の実施形態に同じである。
第2の実施形態によれば、例えば改質部1を矩形の蒸発器2と予熱器3で挟みこみ、かつ改質部1の蒸発器2にも予熱器3にも面しない位置に給水予熱器5を配する構成において次のような利点がある。第一に、給水予熱器5の左右方向厚みを適切な値に抑えれば、蒸発器2及び予熱器3の左右幅の範囲で改質部左側面断熱材8e’及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保できるので、改質器外周の左右幅は蒸発器2及び予熱器3の幅で決まり、改質部1の断熱が原因で改質器全体の左右幅が増大することがない。本構成にかかる給水予熱器5は流速を上げて伝熱を促進するため、高温側のバーナ排気ガス流路、低温側の改質水流路とも左右方向の幅を狭めて製作することが通例なので、上記の構成に適合する。第二に改質部左側面断熱材8e’及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保しても、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−予熱器間断熱材8cの厚み増大につながらないため、改質部1の断熱が原因で改質器全体の前後長さが増大することはない。上記のような構成により、必要な断熱を確保しながら改質器全体の表面積増大を抑えて改質器外表面からの放熱を抑制し、エネルギー効率を増大させることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る燃料電池発電装置に備えられる改質器について図4及び図5を参照して説明する。なお、前述の各実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4は、第3の実施形態に係る改質器を横から見た場合の概略構成を示す側面図である。図5は、同実施形態に係る改質器を上から見た場合の概略構成を示す上面図である。
第3の実施形態は、第1の実施形態と比べ、高温シフト反応器9が更に配置されている点が異なる。
矩形の蒸発器2は、改質器の最も前面側に配置され、高温側が改質器外周に向かう面に配され、低温側が反対側に配される。その後面側に円筒形の改質部1が配置され、その後面側に高温シフト反応器9が配置される。高温シフト反応器9で発生する水性ガスシフト反応は低温ほど平衡上有利だが、反応速度は高温ほど速い。300℃以下で動作する低温シフト反応器第一段4b及び低温シフト反応器第二段4cの上流に高温シフト反応器9を設置することで、シフト反応器全体の体積を減らす設計が可能である。
高温シフト反応器9の後面側に矩形の予熱器3が、高温側が高温シフト反応器9に配され低温側が反対側に配されるよう配置される。予熱器3の後面側に低温反応部4が配置される。低温反応部4の内部では、脱硫器4aが最も前面側に配置され、その後面側に低温シフト反応器第一段4b、低温シフト反応冷却器4e、低温シフト反応器第二段4c、PROX4dがこの順に配置されている。これらの下方に給水予熱器5が配置される。
改質器外周と蒸発器2との間には、蒸発器外周断熱材8aが配置される。蒸発器2と改質部1との間には蒸発器−改質部間断熱材8bが配置される。改質部1と高温シフト反応器9との間には改質部−高温シフト反応器間断熱材8jが配置される。高温シフト反応器9と予熱器3との間には高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kが配置される。予熱器3と脱硫器4aとの間には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。改質器左側面外周から、蒸発器2、高温シフト反応器9、予熱器3及び低温反応部4の左端部までの間には改質器左側面断熱材8gが配置される。改質器右側面外周から、蒸発器2、高温シフト反応器9、予熱器3及び低温反応部4の右端部までの間には改質器右側面断熱材8hが配置される。改質部1左側面と改質器左側面断熱材8gとの間には、改質部左側面断熱材8eが配置される。改質部1右側面と改質器右側面断熱材8hとの間には、改質部右側面断熱材8fが配置される。
図4に示されるように、改質燃料6aは脱硫器4aを通過した後、蒸発器2で発生した水蒸気と混合され、予熱器3の低温側に導入される。予熱器3に導入された改質燃料6aは、昇温された後、改質部1の改質反応部1cに導入され、水素リッチガスに変換される。再生室1dを通じて改質部1から導出された水素リッチガスは高温シフト反応器9に導入され、水性ガスシフト反応により燃料電池に有害なCOを減じ、燃料電池の燃料であるH2を増やす。高温シフト反応器9から導出された水素リッチガスは予熱器3の高温側に導入され、改質燃料6aと水蒸気の混合ガスを予熱する。その後低温シフト反応器第一段4bに導入され、続いて低温シフト反応器第二段4cに導入され、低温シフト反応冷却器4eに冷却されながら、更にCOを減じH2を増加させた後、シフト反応器出口ガス6cとして導出される。シフト反応器出口ガス6cはPROX空気6dと混合された後、PROX入口ガス6eとしてPROX4dに導入され、選択酸化反応により燃料電池に有害なCOを10ppm以下まで減じ、改質器出口ガス6fとして導出する。
一方、改質水6bは給水予熱器5の低温側に導入され、バーナ排ガスとの熱交換により予熱された後、蒸発器2の低温側に導入され、蒸発器2での熱交換により過熱水蒸気となった後、脱硫器4aを通過した改質燃料6aと混合される。
バーナ空気7aおよびバーナ燃料7bはバーナ1aに導入され、バーナ燃焼空間1bにて燃焼される。バーナ排気ガスは改質部1から導出された後、蒸発器2に導入されて水蒸気発生に利用される。蒸発器2から導出されたバーナ排気ガスは低温シフト反応冷却器4eを通過した後、給水予熱器5の高温側に導入されて改質水6bの予熱に使われた後、改質器バーナ出口ガス7cとして改質器外に排出される。
次に、各流体の流れに沿って反応器の温度について説明する。
まず、改質燃料6aの流れに沿って説明すると、脱硫器4aは反応のため200〜300℃の温度を維持することが必要であり、これを予熱器3及び低温シフト反応器第一段4bからの伝熱により維持している。脱硫器4aの下流に位置する予熱器3の低温側は、脱硫器4aからの改質燃料と蒸発器2からの水蒸気が混合されて導入される。改質燃料は200〜300℃であり、水蒸気は150〜350℃なので、予熱器3の入口温度は150〜350℃である。出口は改質部1での改質反応が開始する350〜450℃にまで昇温されて、改質反応部1c内の改質触媒層に導入される。入口では予熱器3低温側出口と同様350〜450℃だが、出口では改質反応に好適な600〜700℃にまで昇温され、再生室1dに導入される。再生室1dを通過することで400〜500℃でまで降温された後、高温シフト反応器9に導入される。高温シフト反応器9では水性ガスシフト反応による発熱で400〜500℃の温度を保った後、予熱器3の高温側に導入され、低温側と熱交換し、200〜300℃に降温する。
予熱器3の高温側から導出された200〜300℃の水素リッチガスは、低温シフト反応器第一段4bに導入される。低温シフト反応器第一段4bでは水性ガスシフト反応による発熱があるが、隣接する脱硫器4a及び低温シフト反応冷却器4eへの伝熱により、出口温度は200〜300℃に保たれる。
低温シフト反応器第一段4bから導出された200〜300℃の水素リッチガスは、低温シフト反応器第二段4cに導入される。低温シフト反応器第二段4cでは水性ガスシフト反応による発熱があるが、隣接する低温シフト反応冷却器4e及びPROX4dへの伝熱により、出口温度は100〜250℃に降温する。
低温シフト反応器第二段4cから導出された100〜250℃のシフト反応器出口ガス6cは、図示しない冷却器で100℃以下に冷却された後、PROX空気6dと混合され、PROX入口ガス6eとしてPROX4dに導入される。PROX4d入口でのガス温度は100℃以下であり、出口では選択酸化反応の発熱により100〜200℃に昇温された後、改質器出口ガス6fとして導出される。
改質水6bの流れに沿って説明すると、給水予熱器5の低温側入口の温度は給水される水の温度だが、多くの場合給水予熱器5内で沸騰が始まるので、出口では流路の圧力に対応する沸点まで温度が上昇し、100℃強に達する。続いて蒸発器2に導入されると、入口から途中までは沸騰のため100℃強一定だが、沸騰が完了し過熱され始めると温度が上昇する。ここで、水蒸気が十分過熱されず、二相流のまま蒸発器2から導出されると、脱硫器4aに水が逆流して脱硫器4aの機能を阻害する可能性がある。一方で、水蒸気の温度が高いことは、昇温のため多くのバーナ燃料4bを投入していることを意味し、エネルギー効率の上で望ましくない。このため、改質器の運転条件を適切に設定することで、過熱された水蒸気の温度が150〜350℃の間になるよう調整することが望ましい。
次に、バーナ排気ガスの流れに沿って温度を説明する。バーナ燃焼空間1bで燃焼されたバーナ排気ガスは、改質触媒層との熱交換により降温し、改質部1出口では300〜500℃になる。改質部1から導出されたバーナ排気ガスは、蒸発器2の高温側に導入され、改質水と熱交換し沸騰させることにより100℃強にまで冷却される。蒸発器2の高温側から導出された100℃強のバーナ排気ガスは、低温シフト反応冷却器4eに導入され、低温シフト反応器第一段4b及び低温シフト反応器第二段4cとの熱交換により150〜200℃にまで昇温される。低温シフト反応冷却器4eから導出された150〜200℃のバーナ排気ガスは、給水予熱器5の高温側に導入され、改質水と熱交換し沸騰を開始させることにより100℃強まで冷却された後、改質器バーナ出口ガス7cとして導出される。
次に、各反応器の表面温度を説明する。各反応器の表面温度は内部を流通する流体の温度に相当している。
矩形である蒸発器2の、蒸発器外周断熱材8aに面する高温側の表面温度は、バーナ排気ガスの入口が300〜500℃、出口が100℃強である。蒸発器2の、蒸発器−改質部間断熱材8bに面する低温側の表面温度は、改質水の入口が100℃強、出口が150〜350℃である。
円筒形である改質部1の、蒸発器−改質部間断熱材8bに接する面の表面温度は、再生室1dのガス温度に相当する。従って、再生室1d入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。改質部−高温シフト反応器間断熱材8jに接する面の表面温度も同様に、再生室1d入口近傍の表面が600〜700℃、出口近傍の表面が400〜500℃になる。
矩形である高温シフト反応器9の表面は、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jに向かう面と高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kに向かう面のいずれも、内部を流通するガスの温度相当の400〜500℃である。
矩形である予熱器3の、高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kに面する側は、高温側である。従って、水素リッチガスの入口側が400〜500℃、出口側が200〜300℃である。予熱器3の、予熱器−低温反応部間断熱材8dに面する側は、低温側である。従って、表面温度は、改質燃料と水蒸気の混合ガスの入口側が150〜350℃、出口側が350〜450℃である。
矩形である脱硫器4aの、予熱器−低温反応部間断熱材8dに面する側の表面温度は、内部のガス温度と同様200〜300℃である。
矩形である低温シフト反応器第一段4bの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入出口とも200〜300℃である。
矩形である低温シフト反応器第二段4cの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入口側が200〜300℃、出口側が100〜250℃である。
矩形であるPROX4dの表面温度は、内部のガス温度と同様、水素リッチガスの入口側が100℃以下、出口側が100〜200℃である。
給水予熱器5は、高温側であるバーナ排気ガス流路を、低温側である改質水の水室が囲う構成である。このため、表面温度は沸騰している改質水温度と同様、100℃強である。
各反応器の温度は上記の通りであり、改質部1表面が最も高温である。流通する流体が改質部1に供給する蒸発器2と予熱器3を、改質部1及びその直下流にあたる高温シフト反応器9の前後に配置することにより、改質部1からの伝熱を回収しエネルギー効率を上げることができる。また、蒸発器外周断熱材8a、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j、予熱器−低温反応部間断熱材8dを配置することで、それぞれの反応器を適正な温度に保つことができる。
次に、各断熱材の表面温度を説明する。断熱材の表面温度は、隣接する反応器の表面温度に相当する。
蒸発器外周断熱材8aの表面温度は第1の実施形態と同様であり、前面側表面温度は約50℃、後面側表面温度は入口が300〜500℃、出口が100℃強である。従って、蒸発器外周断熱材8aの厚み方向の温度差は、改質器外表面温度を50℃としてバーナ排気の入口が250〜450℃、出口が約50℃になる。
蒸発器−改質部間断熱材8bの表面温度は第1の実施形態と同様であり、前面側下側が100℃強、上側が150〜350℃である。後面側表面温度は、下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。蒸発器−改質部間断熱材8bの厚み方向温度差は、下側で500〜600℃、上側で50〜350℃である。
改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの前面側表面温度は改質部1表面温度と同様であり、下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。後面側表面温度は高温シフト反応器9表面温度と同様であり、下側上側とも400〜500℃である。改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの厚み方向温度差は、下側で100〜300℃、上側で0〜100℃である。
高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kの前面側表面温度は高温シフト反応器9表面温度と同様であり、下側上側とも400〜500℃である。後面側表面温度は、予熱器3高温側の表面温度と同様であり、上側にあたる入口側が400〜500℃、下側にあたる出口側が200〜300℃である。高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kの厚み方向温度差は、下側で100〜300℃、上側で0〜100℃である。
予熱器−低温反応部間断熱材8dの前面側表面温度は、予熱器3低温側の表面温度と同様であり、上側に位置する入口が150〜350℃、同じく上側に位置する出口が350〜450℃である。後面側表面温度は、脱硫器4aの表面温度と同様であり、200〜300℃である。従って、予熱器−低温反応部間断熱材8dの厚み方向温度差は、予熱器3側を高温として−50〜250℃である。
改質器左側面断熱材8gの右側面表面温度は各反応器により相違し、最高は高温シフト反応器9及び予熱器3高温側の上部400〜500℃、最低はPROX5入口の100℃以下である。内部に最大400℃の温度差があるので、左側面表面温度も場所によって変わるが、表面温度が高温であると外部への放熱が増大しエネルギー効率の上で不利となるので、各反応器間の温度の相違に関わらず雰囲気温度+15℃〜35℃となるよう、断熱材厚みを調整することが通例である。これは改質器右側面断熱材8hについても同様である。
改質部左側面断熱材8eの右面側表面温度は、改質部1表面温度と同様であり、下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。左側表面温度は、改質器左側面断熱材8gの右側面表面温度に等しい。改質器左側面断熱材8gの左側面において、改質部1に相当する位置がほかの部分より高温となり、放熱源となることはエネルギー効率の上で不利となる。従って、改質器左側面断熱材8g左側面の改質部1に相当する位置の温度は、他の反応器と同じかより低いことが望ましい。よって、全点で予熱器3高温側の上部400〜500℃と同じか、より低温であることが望ましい。これは改質部右側面断熱材8fについても同様である。
第3の実施形態における、各断熱材の厚みの相関関係について説明する。
まず、改質部1に着目する。改質部1は蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j、改質部左側面断熱材8e、改質部右側面断熱材8fで囲まれている。
蒸発器−改質部間断熱材8bの厚み方向の温度差は、下側で500〜600℃、上側で50〜350℃である。一方、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの厚み方向温度差は、下側で100〜300℃、上側で0〜100℃である。蒸発器−改質部間断熱材8bの温度差は、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jに比べて大きい。
改質部1側の表面温度に大きな相違があると、周方向に応力が発生して耐久性に影響するリスクがあるため、大きな差がないよう設計することが望ましい。従って、蒸発器−改質部間断熱材8bの熱抵抗を、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jと同じか、より高くする必要がある。改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの最小厚みを、蒸発器−改質部間断熱材8bの最小厚みと同じかより小さくすることで、改質部1の表面温度の周方向の差を抑えることができる。
蒸発器−改質部間断熱材8bを通過する改質部1からの伝熱は、蒸発器2の低温側を加熱し、水蒸気の熱として改質部1に戻る。また、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jを通過する伝熱は、高温シフト反応器9の温度を維持した後予熱器3の高温側に伝熱され、予熱器3の低温側への伝熱により改質部1に戻るか、低温シフト反応器第一段4b入口温度を上昇させて反応温度の維持に使用される。
一方、改質部左側面断熱材8eもしくは改質部右側面断熱材8fを通過する改質部1からの伝熱は、改質器左側面断熱材8gもしくは改質器右側面断熱材8hを通過して改質器外に放熱される。エネルギー効率の上から、改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの熱抵抗が、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの熱抵抗より大きく、厚い必要がある。図5から明らかなように、改質部左側面断熱材8eの厚みと改質部右側面断熱材8fの厚みの和は、蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅から改質部1の最大直径を引いた値に等しい。これらを定式化すると、次のようになる。
(蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅)−(改質部1の最大直径)
=(改質部左側面断熱材8e厚み)+(改質部右側面断熱材8f厚み)
≧2×min((改質部左側面断熱材8e厚み),(改質部右側面断熱材8f厚み))
>2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−高温シフト反応器間断熱材8j厚み))
更にこれを変形して整理すると、次のようになる。
(蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅)
>(改質部1の最大直径)+2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−高温シフト反応器間断熱材8j厚み))
すなわち、蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅が、改質部1の最大直径に、蒸発器−改質部間断熱材8b厚みもしくは改質部−高温シフト半の器間断熱材8j厚みのいずれか大きい方の2倍を加えた値より大きいことが、改質部1から改質器外への放熱を抑えるための必要条件である。
蒸発器2に着目した場合の蒸発器外周断熱材8aと蒸発器−改質部間断熱材8bとの相関は第1の実施形態と同様である。
次に、予熱器3に着目する。予熱器3の前面側には高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kが、後面側には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。予熱器3低温側から改質反応部1cに供給するガスの温度を350〜450℃に維持するためには、前面の高温シフト反応器9からの入熱に比べ、後面の低温反応部4への放熱を低く抑える必要がある。従って、前面側の高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kの最小厚みは、後面側の予熱器−低温反応部間断熱材8dの最小厚みと等しいかより小さいことが望ましい。なお、高温シフト反応部は予熱器3の高温側に隣接するだけでなく、直上流に位置するので、両者は一体として取り扱うことができる。従って、予熱器4の設計によっては、高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kを削除し高温シフト反応器9と予熱器3を接触させることもできる。
次に、高温シフト反応器9と予熱器3に着目する。高温シフト反応器9と予熱器3を一体として扱うと、前面側には改質部−高温シフト反応器間断熱材8jが配置され、後面側には予熱器−低温反応部間断熱材8dが配置される。
高温シフト反応部9及び予熱器3の熱収支では、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jを通じて熱を受け取り、予熱器−低温反応部間断熱材8dを通じて放熱する。予熱器3低温側から改質反応部1cに供給するガスの温度を350〜450℃に維持するためには、予熱器3温度を維持する必要があり、入熱に比べて放熱を抑える必要がある。改質器−高温シフト反応器間断熱材8j最小厚みを、予熱器−低温反応部間断熱材8d最小厚みより小さくすることで、予熱器−低温反応部間断熱材8dの熱抵抗を改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの熱抵抗より大きくでき、予熱器3からの放熱を入熱より低く抑えることができる。
第3の実施形態によれば、例えば改質部1を矩形の蒸発器2と高温シフト反応器9で挟みこみ、高温シフト反応器9の後面側に予熱器3を配置する構成において次のような利点がある。第一に蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右幅の範囲で改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保できるので、改質器外周の左右幅は蒸発器2及び高温シフト反応器9の幅で決まり、改質部1の断熱が原因で改質器全体の左右幅が増大することがない。第二に改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保しても、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの厚み増大につながらないため、改質部1の断熱が原因で改質器全体の前後長さが増大することはない。上記のような構成により、必要な断熱を確保しながら改質器全体の表面積増大を抑えて改質器外表面からの放熱を抑制し、エネルギー効率を増大させることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る燃料電池発電装置に備えられる改質器について図6を参照して説明する。なお、前述の各実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6は、第4の実施形態に係る改質器を横から見た場合の概略構成を示す側面図である。
第4の実施形態は、第3の実施形態と比べ、高温シフト反応器9と予熱器3に代わり、高温側の一部に高温シフト触媒9’を充填した高温シフト反応器付予熱器3aが設置されている点が異なる。高温シフト反応器付予熱器3aの前面側には改質部−予熱器間断熱材8cが設置され、後面側には予熱器−低温反応部間断熱材8dが設置されている。
第3の実施形態で説明したように、高温シフト反応器9と予熱器3は、改質部1と低温反応部4との伝熱において一体として扱える。高温シフト反応器付予熱器3aとして一体化することで配管が削減され、かつ水性ガスシフト反応による発熱を低温側への伝熱に利用することで、改質反応部1cへのガス供給温度をより容易に350〜450℃に維持できる。
高温シフト反応器付予熱器3aの高温側は、入口側から途中まで高温シフト触媒9’を充填し、出口側は充填しないことが望ましい。予熱器3高温側出口温度は低温シフト反応器第一段4bでの反応のため、200〜300℃に低下させることが望ましいが、高温シフト触媒9’では水性ガスシフト反応による発熱でガス温度が400〜500℃に維持されるため、高温側出口の高温シフト触媒9’が充填されない領域を確保し熱交換で温度を低下させることが望ましい。
各反応器の温度及び断熱材表面の温度は第1の実施形態と同様である。
また、各断熱材の厚みの相関関係も第1の実施形態と同様である。
第4の実施形態によれば、例えば改質部1を矩形の蒸発器2と高温シフト反応器付予熱器3aで挟みこむ構成において次のような利点がある。第一に蒸発器2及び高温シフト反応器付予熱器3aの左右幅の範囲で改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保できるので、改質器外周の左右幅は蒸発器2及び高温シフト反応器付予熱器3aの幅で決まり、改質部1の断熱が原因で改質器全体の左右幅が増大することがない。第二に改質部左側面断熱材8e及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保しても、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−予熱器間断熱材8cの厚み増大につながらないため、改質部1の断熱が原因で改質器全体の前後長さが増大することはない。また、第3の実施形態に比べて配管構成が簡素化され、改質器全体の前後長さを縮小することが可能である。上記のような構成により、必要な断熱を確保しながら改質器全体の表面積増大を抑えて改質器外表面からの放熱を抑制し、エネルギー効率を増大させることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る燃料電池発電装置に備えられる改質器について図7を参照して説明する。なお、前述の各実施形態と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図7は、第5の実施形態に係る改質器を上から見た場合の概略構成を示す上面図である。
第5の実施形態は、第3の実施形態と比べ、給水予熱器5が改質部1の下部ではなく、改質部1の側面に配置される点が異なる。図7では給水予熱器5は改質部1の左側面に給水予熱器5が配置されているが、右側面に配置されてもよい。給水予熱器5の改質部1に向かう面は低温側であり、改質器外周に向かう面は高温側である。
このように給水予熱器5を配置すると、第2の実施形態で説明した利点と同様の利点がある。
断熱材の配置は第3の実施形態と同様であるが、改質部左側面断熱材8e’は改質部1と給水予熱器5低温側との間に配置される。
第5の実施形態においては、各反応器の温度は第3の実施形態と同様であるが、給水予熱器5については相違がある。改質部1に向かう低温側の温度は第3の実施形態と同様100℃強である。第3の実施形態では水室内部に位置していた高温側は、第5の実施形態では改質器外周に向かっている。高温側表面温度は内部を流通するバーナ排気ガス温度により、上側にある入口で150〜200℃、下側にある出口で100℃強である。
各反応器の温度は第3の実施形態と同様で改質部1表面が最も高温である。流通する流体が改質部1に供給される蒸発器2と予熱器3を、改質部1及びその直下流にあたる高温シフト反応器9の前後に配置することにより、改質部1からの伝熱を回収しエネルギー効率を上げることができる。また、蒸発器外周断熱材8a、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j、予熱器−低温反応部間断熱材8dを配置することで、それぞれの反応器を適正な温度に保つことができる。
第5の実施形態における各断熱材の表面温度は第3の実施形態と同様であるが、改質部左側面断熱材8e’については前述の改質部左側面断熱材8eと相違がある。右面側表面温度は、第1の実施形態と同様下側が600〜700℃、上側が400〜500℃になる。左側表面温度は、給水予熱器5低温側表面温度に等しく、100℃強である。改質部左側面断熱材8e’の厚み方向温度差は、下側が500〜600℃、上側が300〜400℃である。
第5の実施形態における、各断熱材の厚みの相関関係について説明する。
改質部1に着目すると、改質部1は蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j、改質部左側面断熱材8e’、改質部右側面断熱材8fで囲まれている。
蒸発器−改質部間断熱材8bと改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの厚みの相関関係は、第3の実施形態での説明と同様で、蒸発器−改質部間断熱材8bの最小厚みは改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの最小厚みと同じかより大きいことが望ましい。また、第2の実施形態での説明と同様で、エネルギー効率の上から、改質部右側面断熱材8fの熱抵抗は、蒸発器−改質部間断熱材8b、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j及び改質部左側面断熱材8e’の熱抵抗より大きい必要があり、より厚みが大きい必要がある。
改質部左側面断熱材8e’の厚みと改質部右側面断熱材8fの厚みの和は、蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅から改質部1の最大直径と給水予熱器5の左右方向幅を引いた値に等しい。また、改質部左側面断熱材8e’の厚みは、蒸発器−改質部間断熱材8bもしくは改質部−高温シフト反応器間断熱材8jと等しいかより大きい。これらの関係を定式化すると、次のようになる。
(改質部右側面断熱材8f厚み)
=(蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅)−(改質部1の最大直径)−(給水予熱器5の左右の幅)−(改質部左側面断熱材8e’厚み)
>(改質部左側面断熱材8e’厚み)
≧max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−高温シフト反応器間断熱材8j厚み))
更にこれを変形し整理すると、次のようになる。
(蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅)
≧(改質部1の最大直径)+ (給水予熱器5の左右の幅)+2×(改質部左側面断熱材8e’厚み)
>(改質部1の最大直径)+2×(改質部左側面断熱材8e’厚み)
≧(改質部1の最大直径)+2×max((蒸発器−改質部間断熱材8b厚み),(改質部−高温シフト反応器間断熱材8j厚み))
すなわち、第3の実施形態と同様、蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右方向幅が、改質部1の最大直径に、蒸発器−改質部間断熱材8b厚みもしくは改質部−高温シフト反応器間断熱材8j厚みのいずれか大きい方の2倍を加えた値より大きいことが、改質部1から改質器外への放熱を抑えるための必要条件である。
蒸発器2に着目した場合の蒸発器外周断熱材8aと蒸発器−改質部間断熱材8bとの相関は第一から第4の実施形態と同様で、蒸発器−改質部間断熱材8bの厚みは蒸発器外周断熱材8aの厚みより小さいことが望ましい。
予熱器3に着目した場合の、高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kと予熱器−低温反応部間断熱材8dとの相関は第3の実施形態と同様で、高温シフト反応器−予熱器間断熱材8k最小厚みを、予熱器−低温反応部間断熱材8d最小厚みより小さくすることが望ましい。予熱器3設計によっては高温シフト反応器−予熱器間断熱材8kを削除し高温シフト反応器9と予熱器3を接触させても良い。
高温シフト反応器9と予熱器3に着目した場合の、改質部−高温シフト反応器間断熱材8jと予熱器−低温反応部間断熱材8dとの相関は第3の実施形態と同様で、改質部−高温シフト反応器間断熱材8j最小厚みを、予熱器−低温反応部間断熱材8d最小厚みより小さくすることが望ましい。
第5の実施形態によれば、例えば改質部1を矩形の蒸発器2と高温シフト反応器9で挟みこみ、かつ改質部1の蒸発器2にも高温シフト反応器9にも面しない位置に給水予熱器5を配する構成において次のような利点がある。第一に、給水予熱器5の左右方向厚みを適切な値に抑えれば、蒸発器2及び高温シフト反応器9の左右幅の範囲で改質部左側面断熱材8e’及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保できるので、改質器外周の左右幅は蒸発器2及び高温シフト反応器9の幅で決まり、改質部1の断熱が原因で改質器全体の左右幅が増大することがない。本構成にかかる給水予熱器5は流速を上げて伝熱を促進するため、高温側のバーナ排気ガス流路、低温側の改質水流路とも左右方向の幅を狭めて製作することが通例なので、上記の構成に適合する。第二に改質部左側面断熱材8e’及び改質部右側面断熱材8fの厚みを確保しても、蒸発器−改質部間断熱材8b及び改質部−高温シフト反応器間断熱材8jの厚み増大につながらないため、改質部1の断熱が原因で改質器全体の前後長さが増大することはない。上記のような構成により、必要な断熱を確保しながら改質器全体の表面積増大を抑えて改質器外表面からの放熱を抑制し、エネルギー効率を増大させることができる。
以上詳述したように各実施形態によれば、改質効率を向上させることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。