JP5722762B2 - 光学的アセンブリおよび物品のためのマイクロレンズの形成方法 - Google Patents

光学的アセンブリおよび物品のためのマイクロレンズの形成方法 Download PDF

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Description

関連出願の説明
本願は、その全内容が引用されて本明細書に組み入れられる2008年3月28日付けで提出された米国特許出願第12/079,804号の優先権を主張した出願である。
本発明は、概略的には光通信およびオプトエレクトロニクスに関し、特に光学的アセンブリに用いられるマイクロレンズの形成に関するものである。
光通信およびオプトエレクトロニクスの分野において、光ファイバからの光を別の光学素子に結合するためにマイクロレンズを用いることは周知である。例えば、光ファイバアレイを他の光ファイバアレイに結合したり、ダイオードアレイを光ファイバアレイに結合したりする等である。一般的にマイクロレンズは、透明な平らな基板(一般にガラスまたは樹脂)上において凸状領域または凹状領域として形成され、概して約1mm以下の直径を有する。いくつかの用途においては、複数のマイクロレンズが上記基板上に配列されて、一次元的または二次元的なマイクロレンズアレイを形成する。
マイクロレンズおよびマイクロレンズアレイの製造に関しては、上記基板にレンズをスタンプまたはモールドする方法、上記基板をエッチングする方法、上記基板にレンズを接着する方法等の種々の方法が知られている。上記基板は、特定の用途に対して必要とされる、例えば光学的、機械的および化学的特性を満足されるように選ばれた特定の基板材料からなる樹脂またはガラスである。マイクロレンズは、意図する用途に応じて、開口数(NA)、曲率半径、直径等の広い範囲内のパラメータで形成される。
マイクロレンズおよびマイクロレンズアレイの使用に伴う一つの問題は、光ファイバ、ダイオード等と光学的に結合させるための整合および正確な位置決めである。その他の問題は、非球面レンズが一般的に要求される、最高の可能な結合効率を得ることである。しかしながら、非球面レンズの作製は費用のかかる工程であることが多い。費用効率的なマイクロレンズの作製方法、ならびにレンズを光ファイバ、ダイオード等に対して正確に整合させる方法があれば有益である。
本発明の一つの態様は、1枚の基板上に1個のマイクロレンズを形成する方法である。一つの実施の形態において、この方法は、一つの表面を有する1枚の基板を提供し、この場合、上記基板は、動作波長範囲内の波長に対しては第1の吸収性を有し、かつ上記動作波長範囲外の波長に対しては第2の吸収性を有しており、かつこの第2の吸収性が上記第1の吸収性よりも大であり、次に1本の導波路を上記動作波長範囲外の波長を有する処理光ビームに結合し、上記基板の表面上に1個のマイクロレンズを形成するために、次に上記導波路を通じて上記処理光ビームを上記基板に導いてこの基板を局部的に加熱して、この基板に局部的膨張を生じさせ、そして上記マイクロレンズを固定するために、次に上記処理光ビームの放射を終了させて上記基板の加熱を止める諸ステップを含む。
本発明の他の態様は、1個のレンズアレイの形成方法である。一つの実施の形態において、この方法は、一つの表面を有する1枚の基板を提供し、この場合、上記基板は動作波長範囲内の波長に対しては第1の吸収性を有し、かつ上記動作波長範囲外の波長に対しては第2の吸収性を有しており、かつこの第2の吸収性は上記第1の吸収性よりも大であり、次に複数本の導波路を上記動作波長範囲外の波長を有する処理光ビームに結合し、次に上記基板の表面上に複数のマイクロレンズを形成するために、上記複数本の導波路を通じて上記処理光ビームを上記基板に導いてこの基板を局部的に加熱して、この基板に局部的膨張を生じさせる諸ステップを含み、上記複数本の導波路のそれぞれが上記複数のマイクロレンズの一つに対応する1本を形成している。
本発明の別の態様は、1個のマイクロレンズに1本の導波路を整合させる方法である。一つの実施の形態において、この方法は、1本の導波路の第1の端部を1枚のガラス基板の近傍に位置決めし、上記導波路の第2の端部を1本の処理光ビームに結合し、かつ上記導波路を通じて上記処理光ビームを導いて、上記導波路の第1の端部近傍の上記基板を局部的に照射することを含み、上記導波路の上記第1の端部近傍のかつこの第1の端部に整合せしめられた上記基板の表面上に1個のマイクロレンズを形成するために、上記基板は、上記処理光ビームの波長に対して、上記基板の局部的加熱および膨張を生じさせるのに十分な吸収性を有する。
本発明の別の態様は一つの光学的アセンブリである。一つの実施の形態において、光学的アセンブリは、第1の光学素子および1枚の基板を備え、この基板は、この基板の対応する少なくとも一つの部位における局部的な加熱による膨張によってこの基板上に形成された少なくとも1個のマイクロレンズを有し、上記第1の光学素子は上記少なくとも1個のマイクロレンズに自己整合せしめられている。
さらなる特徴が後述の詳細な説明に記載されており、その説明から当業者には特徴の一部が直ちに明らかになり、かつ後述の詳細な説明、請求項および添付図面を含んで説明されている実施の形態の実施によって認識されるであろう。
上述の概要説明および後述の本発明による実施の形態の詳細説明は、請求項に規定された本発明の性質および特徴を理解するための概観および骨組みを提供することを意図したものである。添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために備えられたものであって、本明細書に組み入れられかつその一部を構成するものである。図面は、本発明による種々の実施の形態を示し、記述内容とともに本発明の原理および動作の説明に資するものである。
本発明による一つの実施の形態におけるマイクロレンズを形成するための典型的なシステムの概略図 1本の導波路を通じて導かれる1本の処理光ビームを用いて形成される個々のマイクロレンズの概略図 複数本の導波路を通じて導かれる処理光ビームを用いて形成される複数のマイクロレンズからなるアレイの概略図 1本の処理光ビームを用いて形成される個々のマイクロレンズおよび1本の導波路を通じて導かれる1本の動作光ビームの概略図 1本の処理光ビームを用いて形成される複数のマイクロレンズからなるアレイおよび複数本の導波路を通じて導かれる1本の動作光ビームの概略図 本発明により形成されたマイクロレンズの近似球面形状を示すグラフ 本発明により形成されたマイクロレンズの近似球面形状を示すグラフ 基板および本発明により形成されたマイクロレンズにおける屈折率の変化を示す顕微鏡写真 本発明によるマイクロレンズまたはマイクロレンズアレイの形成方法を示すフローチャート 本発明により形成されたマイクロレンズを利用した光学的アセンブリの概略図
ここで、添付図面に実施例が示されている本発明による実施の形態について詳細に説明する。全図を通じて、同一または類似の部品には、可能な限り同一の参照番号が用いられている。
説明のために、図面における本明細書においては、図示の実施の形態の方位に関して、「上方」、「下方」、「右方」、「左方」、「後方」、「前方」、「垂直」、「水平」ならびにそれらの派生語が用いられている。しかしながら、実施の形態は、そうでない場合はないと明記されていない限り、代わり得る種々の方位および工程順序を想定し得ることを理解すべきである。また、添付図面に示されかつ後述の詳細な説明に記載されている特定の装置および方法は、添付の請求項に規定された本発明のコンセプトの実施の形態であることをも理解すべきである。それ故に、ここに開示された実施の形態に関する寸法およびその他の物理的特徴は、請求項にそれ以外はないと明示されていない限り、限定と考えてはならない。
本明細書で用いられている「マイクロレンズ」なる用語は、1枚の基板上に形成され、この基板の表面上に形成され、この基板と一体でかつこの基板の材料とほぼ同一の材料からなり、かつ約1mm以内の直径を有し、電磁輻射線を再度導く(例えば、合焦させる、一点集中させる、収斂させる、コリメートさせる等)のに適した光学的構造体を含むものと広く理解される。
本明細書で用いられている「光学素子」という用語は、光ファイバ、導波路、レンズ、マイクロレンズ、回折格子、ビームスプリッタ等のあらゆる形式の光学部品を意味するものと広く理解される。同様に、本明細書で用いられている「光学的アセンブリ」という用語は、光学素子のみを備えたシステムまたは構造体、ならびに、電気的素子、光電素子、電気機械的素子、または機械的素子等の他の形式の素子と組み合わせられた光学素子を備えたシステムまたは構造体の全てを含む。
「光」という用語は、紫外光、近紫外光、可視光、近赤外光、および赤外光波長を含むがこれらに限定されない全ての形式の電磁輻射線を意味すると広く理解される。「光吸収性基板」という用語は、紫外光、近紫外光、可視光、近赤外光、および赤外光波長を含むがこれらに限定されない吸収波長または吸収波長範囲における電磁輻射線を吸収する基板を意味すると理解され、その場合、一つまたは複数の吸収波長における吸収による電磁輻射線の局部的吸収が上記基板を加熱する。光吸収性基板は、波長スペクトルに亘る高低の吸収帯域を有する可能性がある。
図1を参照すると、本発明によるマイクロレンズを形成するための典型的な作製システムが概略的に示されている。作製システム10は、適当な導波路14の一端に結合された処理光源12を備え、導波路14の他端は、光源12によって発生せしめられた処理光を、処理光ビーム20によって示されているように、基板18の表面16に導くように構成されかつ位置決めされている。表面16は、少なくとも1個のマイクロレンズがそこに形成される表面であり、基板18は、波長選択的吸収特性を有する光吸収性材料を含む。光源12によって発生せしめられた処理光ビーム20は、適切な波長において発生せしめられた場合、基板18によって吸収されて、基板18の局部的加熱を惹起する。本実施の形態において、このことは、処理光ビーム20によって基板18の表面16上に形成されたビームスポット22によって画成されているような基板18の局部領域に処理光ビーム20を導くことを含む。一つの例示的実施の形態においては、処理光ビーム20が導波路14を出るにつれて拡散する。
基板18による処理光ビーム20からの光の吸収は、基板18を局部的に加熱し、基板の照射された部分の温度を処理光ビーム20の強度に比例して上昇させる。処理光ビーム20が基板18によって局部的に吸収されるのにつれて、内部での温度変化が基板18の溶融および密度の減少を生じさせて、限定された膨張ゾーン24(図2)が生成される。膨張ゾーン24は、この膨張ゾーン24を取り巻く基板18の固体領域によって拘束されるので、膨張ゾーン24内の溶融された材料は表面16に向かって押し出され、これにより、表面16上に「マイクロバンプ(微小突起)」を形成する。このマイクロバンプが光に対する屈折性マイクロレンズとして機能する。マイクロレンズ30は、急冷によって固定される。一つの例示的実施の形態において、これは処理光ビーム20による基板18の照射を終了させることによって達成される。
ガラス基板上におけるマイクロバンプの形成に関する方法および装置の詳細説明は、「GLASS-BASED MICROPOSITION SYSTEMS AND METHODS」と題する2007年8月30日付けで公開された米国特許出願公開第2007/0201797号明細書に記載されており、その全内容が引用されて本明細書に組み入れられる。
図1に示されているような一つの実施の形態において、導波路14および処理光ビーム20に対して基板18の表面が所望の位置に配置されるように、基板18は、X−Y可動台等の位置決め機構40に取り付けられる。この位置決め機構40は、ビームスポット22のサイズ、したがってマイクロレンズ30の直径をコントロールするために、必要に応じてZ軸可動台をも備える。位置決め機構40および随意的に処理光源12を操作するための適当なコントロ−ラ44が備えられる。
ここで図3を参照すると、複数のマイクロレンズ30が一次元的または二次元的アレイとして作製される場合には、複数の導波路14−1〜14−n(導波路14の集合)が、図1に示されているように、1個または複数個の光源12に結合される。次に上述と同じ態様で、処理光ビーム20が複数の波路14を通じて基板18に導かれて、基板18を局部的に加熱しかつ膨張させて、基板18の表面16上に複数のマイクロレンズ30−1〜30−n(マイクロレンズ30の集合)を形成する。一つの実施の形態において、複数の導波路14−1〜14−nのそれぞれが複数のマイクロレンズ30−1〜30−nの対応する一つを形成する。
上述のようにして形成されたマイクロレンズ30は、一般的に光学的システムまたは光学的アセンブリとして利用され、その場合、この光学的システムまたは光学的アセンブリは、上記基板18(したがってマイクロレンズ30)の材料が実質的に透過性である動作波長においてまたは動作波長範囲内において作動される。ここで「実質的に透過性」とは、動作波長におけるまたは動作波長範囲内における上記基板による電磁輻射線の局部的吸収が、マイクロレンズ30の光学的特性を変えるのに十分な程基板18を局部的に加熱しないように十分に低いことを意味すると理解される。すなわち、処理波長は、動作波長範囲外にある。
ここで図4を参照すると、マイクロレンズ30を形成するための一つの実施の形態において、導波路14が、処理光ビーム20および動作光ビーム52(すなわち、動作波長における光ビーム)の双方を基板18に導くように、導波路14は処理光源12および動作光源50の双方に連結されている。一つの実施例において、処理光ビーム20および動作光ビーム52は導波路14を通って連続的に導かれる。別の実施例において、処理光ビーム20および動作光ビーム52は導波路14を通って同時に導かれる。導波路14を処理光源12および動作光源50に同時に結合することは、マイクロレンズ30が形成されるときに、マイクロレンズ30を通して動作光源50の伝達をモニターすることを可能にする。動作光源50の伝達をモニターすることは、例えば別の導波路64によってマイクロレンズ30に結合された光検出器60等の使用によって達成される。一つの実施の形態において、処理光源12の動作は、マイクロレンズ30を通過した動作光ビーム52の伝達に応答するコントローラ62によって制御される。この態様で、一つの実施例においては、マイクロレンズ30が所望の形状に達したことを、マイクロレンズ30を通過した動作光ビーム52が示している場合に、処理光源12およびこれに付随する処理光ビーム20の動作が終了せしめられる。別の実施例においては、基板18へのエネルギー注入量を変えてマイクロレンズ30に所望の形状(例えば非球面形状)を提供するために、マイクロレンズ30の形成中に処理光ビーム20が制御される。一つの実施の形態においては、最初の処理光ビーム出力(例えば5W)においてマイクロレンズ30を形成し、次いで、より低い処理光ビーム出力(例えば50mW)においてマイクロレンズ30の特性をモニターするという態様で、マイクロレンズ30を透過する処理光ビーム20の伝達を光検出器60がモニターする。
図5を参照すると、一つの実施の形態において、複数のマイクロレンズ30が基板18上に形成される場合には、各導波路14が処理光ビーム20および動作光ビーム52(すなわち、動作波長の光ビーム)の双方を基板18上の対応する部位に導くように、1個または複数個の導波路14が処理光源12および動作光源50の双方に結合される。一つの実施の形態においては、処理光ビーム20および動作光ビーム52が、個々の導波路14を通じて連続的に導かれる。別の実施の形態においては、処理光ビーム20および動作光ビーム52が、個々の導波路14を通じて同時に導かれる。導波路14を処理光源12および動作光源50に同時に結合することは、マイクロレンズ30が形成されるときに、マイクロレンズ30を通して動作光源50の伝達をモニターすることを可能にする。動作光源50の伝達をモニターすることは、例えば別の導波路64によってマイクロレンズ30に結合された光検出器60等の使用によって達成される。一つの実施の形態において、処理光源12の動作は、マイクロレンズ30を通過した動作光ビーム52の伝達に応答するコントローラ62によって制御される。この態様で、一つの実施例においては、マイクロレンズ30が所望の形状に達したことを、マイクロレンズ30を通過した動作光ビーム52が示している場合に、処理光源12およびこれに付随する処理光ビーム20の動作が終了せしめられる。別の実施例においては、基板18へのエネルギー注入量を変えてマイクロレンズ30に所望の形状(例えば非球面形状)を提供するために、マイクロレンズ30の形成中に処理光ビーム20が制御される。
マイクロレンズの形成およびそれに起因するマイクロレンズの特性(物理的および光学的の双方)に影響を与えるパラメータは、処理光ビーム20の波長および出力密度、および照射光の露光期間とともに、主として基板18の組成(例えば、熱機械的特性、処理光ビームの波長における基板18の吸収性等)、開口数(NA)、および表面16上のビームスポット22のサイズに左右される。これらの要因の一つまたは複数を単独にまたは組み合わせて変えることによって、種々のサイズ、形状および光学的特性を有するマイクロレンズを作製することができる。例えば、広範囲のマイクロレンズの直径、焦点距離、曲率半径、および高さを有するものを得ることができる。本発明の複数の実施の形態によれば、マイクロレンズの直径は、約10μm未満から約1000μm(1mm)まで変化し、焦点距離は無限大から約20μm以下まで変化し、曲率半径は約10μm未満から約1mmまで変化し、高さは約10μm未満から約500μm以上まで変化し。マイクロレンズ30の曲率半径は、その高さおよび直径に関連している。露光時間が長いと、マイクロレンズ30の高さが減少し、かつ開口数(NA)が減少する。したがって、露光時間、光源12の出力、および/または処理光ビーム20の直径を変えることによって、広範囲のマイクロレンズを得ることができる。
形成の初期においては、形成過程が小滴形成に関連するので、マイクロレンズ30の形状は一般的に球面である。図6Aおよび図6Bは、図6Aにおける曲率半径R=64μmおよび図6BにおけるR=694μmを有するマイクロレンズに関する、全周を備えたマイクロレンズの適合線走査の結果を示す。実線は実際の曲線、破線は円形適合曲線である。図6Aおよび図6Bは、ここで説明されている方法を用いて形成されたマイクロレンズの完全に近い球面形状を示す。
表面16の形状変更に加えて、図7に示されているように、マイクロレンズ30内に生成された応力もある。この応力はマイクロレンズ30を形成する基板18の部分(例えば膨張ゾーン24内の材料)の屈折率に影響を与え、レンズ収差を発生させる可能性がある。しかしながら、マッハ・ツェンダー顕微鏡による測定では、この応力により生成される屈折率の変化はバルク材料の屈折率値の約0.1%に過ぎず、したがってマイクロレンズの光学的特性には無視し得る影響しか与えないことを示している。
いくつかの実施の形態において、例えば処理光ビーム20の強度、ビームスポット22のサイズおよび/または形状、および/またはマイクロレンズ30が形成されるときの照射時間を調整することによって、マイクロレンズの特性が、単一マイクロレンズ30に関する形成工程中に制御または変化される。これに加えて、基板18に対する処理光ビーム20の二次的照射によって、マイクロレンズのパラメータを変更することができる。例えば、先ず直径が比較的大きいマイクロレンズを作製し、次にこの初めに形成された大直径のマイクロレンズ上に一個または複数の小直径のマイクロレンズを形成することによって、複雑なマイクロレンズ輪郭を形成することができる。
一つの実施の形態においては、処理光源12および動作光源50がそれぞれは、少なくとも1個のレーザー、レーザーダイオード、ダイオード・バー、またはその他の形式の電磁波輻射源を備えている。別の実施の形態においては、処理光源12および動作光源50がそれぞれ、少なくとも一つの紫外光(UV)波長(UVA,UVBおよびUVC波長を含む)、可視光波長、近赤外光(NIR)波長、および赤外光(IR)波長を提供する。一つの実施の形態において、紫外光波長は約400nm未満、可視光波長は約400nmから約750nmまで、NIR波長は約750nmから約1100nmまで、そしてIR波長は約1100nmから約1680nmまでの範囲内の波長を含む。一つの実施の形態において、処理光源12は、例えば10.6μmにおける輻射線を放射するCOレーザー等のIR波長を有する処理光ビーム20を提供する。別の実施の形態においては、処理光源12は近赤外光(例えば810nm)を提供する。
一つの実施の形態において、導波路14は光ファイバを含む。一つの実施の形態においては、導波路14が単一モード(SM)光ファイバを含む。別の実施の形態においては、導波路14が多モード(MM)光ファイバを含む。一つの実施の形態においては、導波路14が約125μmの光ファイバを含む。一つの実施の形態においては、導波路14が約4μmから約80μmまでのコアサイズを有する光ファイバを含む。一つの典型的な光ファイバは,コーニング社から「SMF-28」の商品名で市販されている。
一つの実施の形態において、基板18を形成する光吸収性材料はガラスである。別の実施の形態においては、基板18を形成する光吸収性材料がポリマー(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA))である。一つの実施の形態において、基板18は、約30から約120までの範囲内の熱膨張計数(CTE)を有する。一つの実施の形態において、基板18は、約900℃未満のアニール点を有する。一つの実施の形態において、基板18は、約500℃から約800℃までの範囲内のアニール点を有する。一つの実施の形態において、基板18による処理光ビーム波長の吸収率は約30%を超え、一つの実施の形態においては、約30%から約80%までの範囲内である。一つの実施の形態においては、約800nmから約1100nmまでの範囲内の処理光波長において、基板18が約50%から約80%までの範囲内の吸収率を有する。一つの実施の形態においては、処理光波長において1mm当たり約1dBを超える吸収性を有する。一つの実施の形態において、基板18を用いて形成されたマイクロレンズ30は、動作波長において、反射損失を含めて約0.1dB以下の損失しか有しない。
一つの実施の形態において、基板18は、選択された波長を吸収するための波長選択性添加物を含有する。例えば、一つの実施の形態において、基板18は、任意の部位が急加熱された場合に基板に局部的な膨張を生じさせる劇的かつ局部的な密度低下を招来する、例えばCu,Fe,CoおよびV等の金属添加物のようなIR吸収種を含有する。一つの実施の形態において、膨張ゾーン24の深さは、基板18内の吸収材料の濃度を調整することによって変えられまたは選択可能になる。一つの実施の形態において、基板18は、米国ニューヨーク州コーニング所在のコーニング社から「3996」および「4602」の商品名で市販されている赤外(IR)光吸収性ガラスである。
本発明によるマイクロレンズまたはマイクロレンズアレイの作製方法の一つの実施の形態が図8に示され、かつ参照番号70によって概略的に示されている。この方法は、動作波長範囲内においては第1の吸収性を有し、かつ動作波長範囲外においては第2の吸収性を有するガラス基板を提供することを特徴とする第1ステップ72を含み、この場合、上記第2の吸収性は上記第1の吸収性よりも大きい。第2ステップ74は、動作波長範囲外の波長を有する処理光ビームを1個または複数の導波路に結合することを特徴とする。第3ステップ76は、上記基板の表面上に1個または複数のマイクロレンズを形成するために、上記導波路を通じて処理光ビームを上記基板に導いてこの基板を局部的に加熱し、上記基板に局部的膨張を生じさせることを特徴とする。第4ステップ78は、上記マイクロレンズを固定するために、処理光の照射を終了させて上記基板の加熱を止めることを特徴とする。
図9を参照すると、一つの実施の形態において、1個または複数のマイクロレンズが上述のように形成された後、上面にマイクロレンズ30を有する基板18が、光学的アセンブリ80内の光学素子として利用され、この場合、光学的アセンブリ80は、基板18(したがってマイクロレンズ30)の材料が実質的に透過性である動作波長においてまたは動作波長範囲内で作動される。例えば、マイクロレンズ30または複数のマイクロレンズ30からなるアレイは、マイクロレンズの形成に用いられた処理波長とは異なる動作波長を有する光を合焦させまたはコリメートするために、所望により他の光学素子または光電素子82(例えば、レーザーダイオード、光検出器、ファイバ・カプラ等)と一体化させることができる。一つの実施の形態において、光学素子82は、さらなる入力端子および/または出力端子84を有する。
一つの実施の形態において、マイクロレンズ30からなるアレイは、ダイオードアレイからの出力を1点に集めるために、ダイオードアレイ(例えばレーザーダイオード・バー)と結合させることができる。特に、レーザーダイオード・バー構造は、1本の直線に沿った配列された多数の比較的幅広い縞模様に光を放射する。例えば、一般的なレーザーダイオード・アレイは、20個またはそれよりも多い発光セグメントを備えた約1.0cmの全幅を有し、各発光セグメントは断面が約1μm×4μmである。いたがって、レーザーダイオード・アレイからの出力ビームは、望ましくない非対称性および拡散性を有する。上記マイクロレンズ30からなるアレイは、上記非対称性を是正しかつダイオードアレイの出力を合焦させる。
一つの実施の形態において、複数の導波路14のうちの1本または複数本は、マイクロレンズ30の形成後にマイクロレンズ30と組になった光学的アセンブリ80の光学素子でもあり、複数の導波路14は、動作波長の光を提供する動作光源50に結合される。すなわち、同じ導波路14が、処理光源12からの処理光ビーム20と、動作光源50からの動作光ビーム52との双方を基板18に導くのに用いられる。処理光ビーム20と動作光ビーム52との双方を基板18に導くために導波路14を用いることは、各導波路14と対応するマイクロレンズ30とを精密に自己整合させることができる利点がある。一つの実施の形態において、導波路14と基板18とは、マイクロレンズ30の形成に先立って一体に固定される。
ここで説明されている方法は、対応するマイクロレンズに対する導波路の精密な整合を実質的に簡単にするものである。このことは、多数のレンズからなる大型のアレイが作製される場合に特に効果がある。それに加えて、ここで説明されている方法は、自由空間ビーム放射に依存しないために生産性を高めることができる。なぜならば、導波路は如何なる所望の態様にも配置されることができ、したがってビームの送出路が束縛されないからである。
ここに提供された記載内容から、説明されている方法および工程を用いれば、如何なる所望のマイクロレンズの配置も達成されることが明らかである。例えば、一つの実施の形態において、二面を持つマイクロレンズを形成するためには、基板18の両面にマイクロレンズを配置すればよい。さらに、上述のように形成されたマイクロレンズに対し、同一または異なる処理光源パラメータを用いたさらなる処理によって、またはマイクロレンズに対する微整形によって、非球面形状のレンズを生成させる等の追加の処理を施してもよいことは、上述の記載から明らかである。さらにマイクロレンズの形成が、真空中または、溶融された基板材料の冷却速度および/またはその他のパラメータに影響を与えるために選択された雰囲気中で行なうことができることも本明細書を読むことによって実現される。
下記の実施例によって、本発明の態様がさらに理解されかつ明白になるであろう。
実施例1
1120nmで動作する10ワットのラーマンYbファイバーレーザー(IPGフォトニクス社から市販されている)が長さ約200cmのSMF−28光ファイバ(コーニング社から市販されている)を通じてCYRガラス基板(同じくコーニング社から市販されている)上に導かれた。処理レーザーの1120nmに対して上記基板は約50〜80%の吸収率を有していた。上記光ファイバの出力端は、上記基板の表面から約1.0mm離れた位置に配置された。3秒の露光時間を用いて、図6Aの輪郭を有するマイクロレンズが形成された。
実施例2
1120nmで動作する10ワットのラーマンYbファイバーレーザー(IPGフォトニクス社から市販されている)が長さ約200cmのSMF−28光ファイバ(コーニング社から市販されている)を通じてCYRガラス基板(同じくコーニング社から市販されている)上に導かれた。理レーザーの1120nmに対して上記基板は約50〜80%の吸収率を有していた。上記光ファイバの出力端は、上記基板の表面から約1.5mm離れた位置に配置された。3秒の露光時間を用いて、図6Bの輪郭を有するマイクロレンズが形成された。
本発明の精神および範囲から離れることなしに、種々の変形および変更が可能なことは、当業者には明らかであろう。したがって本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内で行なわれた本発明の変形および変更をカバーすることを意図するものである。
10 マイクロレンズ作製システム
12 処理光源
14,64 導波路
16 基板の表面
18 基板
20 処理光ビーム
22 ビームスポット
24 膨張ゾーン
30 マイクロレンズ
40 位置決め機構
44 コントローラ
50 動作光源
52 動作光ビーム
60 光検出器
62 コントローラ
80 光学的アセンブリ
82 光学素子

Claims (3)

  1. マイクロレンズの形成方法であって、
    表面を有する基板を提供する工程であって、該基板は、動作波長範囲内の波長に対しては第1の吸収性を有し、かつ前記動作波長範囲外の波長に対しては第2の吸収性を有し、該第2の吸収性は前記第1の吸収性よりも大であるステップ、
    導波路を前記動作波長範囲外の波長を有する処理光ビームに結合するステップ、
    前記基板の表面上にマイクロレンズを形成するために、前記導波路を通じて前記処理光ビームを前記基板に導いて該基板を局部的に加熱して、該基板に局部的膨張を生じさせるステップ、および
    前記マイクロレンズを固定するために、前記処理光ビームの放射を終了させて前記基板の加熱を止めるステップ、
    を含み、
    前記基板と前記導波路は、前記マイクロレンズの形成に先立って一体に固定されること、および、
    前記処理光ビームは、前記基板に達したときに拡散していることを特徴とする、マイクロレンズの形成方法。
  2. レンズアレイの形成方法であって、
    表面を有する基板を提供するステップであって、該基板は動作波長範囲内の波長に対して第1の吸収性を有し、かつ前記動作波長範囲外の波長に対して第2の吸収性を有し、該第2の吸収性は前記第1の吸収性よりも大であるステップ、
    複数本の導波路を前記動作波長範囲外の波長を有する処理光ビームに結合するステップ、および
    前記基板の表面上に複数のマイクロレンズを形成するために、前記複数本の導波路を通じて前記処理光ビームを前記基板に導いて該基板を局部的に加熱して、該基板に局部的膨張を生じさせるステップであって、前記複数本の導波路のそれぞれが前記複数のマイクロレンズの一つに対応する1本を形成しているステップ、
    を含み、
    前記基板と前記複数の導波路は、前記複数のマイクロレンズの形成に先立って一体に固定されること、および、
    前記処理光ビームは、前記基板に達したときに拡散していることを特徴とする、レンズアレイの形成方法。
  3. マイクロレンズに導波路を整合させる方法であって、
    導波路の第1の端部をガラス基板の近傍に位置決めし、
    前記導波路の第2の端部を処理光ビームに結合し、そして
    前記導波路を通じて前記処理光ビームを導いて、前記導波路の第1の端部近傍の前記基板を局部的に照射することを含み、
    前記基板は、前記導波路の前記第1の端部近傍のかつ該第1の端部に整合せしめられた前記基板の表面上にマイクロレンズを形成するために、前記処理光ビームの波長に対して、前記基板の局部的加熱および膨張を生じさせるのに十分な吸収性を有するものであり、
    前記ガラス基板と前記導波路は、前記マイクロレンズの形成に先立って一体に固定されること、および、
    前記処理光ビームは、前記基板に達したときに拡散していることを特徴とする、マイクロレンズに導波路を整合させる方法。
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