JP5722466B2 - 太陽電池セルの特性測定用プローブ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池セルの出力特性を測定する際に用いる特性測定用プローブ装置に関する。
太陽電池は、再生可能エネルギ源としてその重要性がますます高くなってきており、近年、その需要が大幅に増大している。このように需要の増大に伴って太陽電池が広く流通するに当たり、その出力特性を公正に測定し確認する技術が重要となってきている。
太陽電池セルの出力特性を測定する場合、実際の太陽光を使用することは天候などに影響されて特性変動が生じるため、ソーラシミュレータからの擬似太陽光を太陽電池セルに照射した状態で出力特性を測定することが行われる。このように、ソーラシミュレータを用いて太陽電池セルの出力特性を公正かつ正確に測定する場合にも、太陽電池セルの集電電極に電気的に接触する特性測定用プローブの接触抵抗が低くかつ安定していることが必要である。
特許文献1には、その従来技術として、受光面側に設けられた太陽電池セルの電極に圧縮コイルばねによって付勢される複数の針状のピンプローブを接触させて出力信号を取り出す太陽電池セルの特性測定装置が開示されている。
特許第4386783号公報
特許文献1に開示されているごとき従来の特性測定装置では、太陽電池セルの受光面に設けられた集電電極に沿って一列に配列された複数の針状プローブが圧縮コイルばねによって付勢され、これら集電電極に電気的に接触することによって出力信号を低接触抵抗で取り出している。
このように集電電極への接触抵抗を低く抑えかつ安定させるためには、針状プローブを押圧する圧縮コイルばねの弾性力に耐えるだけの強度及び大きさを有する支持部材を設ける必要があり、また、各プローブと電気的接続を行うワイヤを配線する必要がある。しかしながら、これら支持部材及び配線ワイヤはその寸法が大きくなることからその支持部材及び配線ワイヤにより照射される擬似太陽光の一部が遮られてしまい、太陽電池セル上にそれらの影が生じ、これが正確な光電変換特性の測定の大きな障害となっていた。
従って本発明の目的は、測定すべき太陽電池セルの電極への接触抵抗を安定して低く抑えられ、かつ、その受光面への擬似太陽光の照射がほとんど遮られることのない太陽電池セルの特性測定用プローブ装置を提供することにある。
本発明によれば、太陽電池セルの特性測定用プローブ装置は、導電性金属材料で形成された弾力性を有するアーチ形状の第1のワイヤ接触子と、この第1のワイヤ接触子の少なくとも1端を固定する固定支持部とを備えている。第1のワイヤ接触子は、測定すべき太陽電池セルの表面電極に沿って伸長すると共に太陽電池セルの受光面に対向しており、表面電極に押し当てられた際に変形し表面電極に沿って導通するように構成されている。
アーチ形状の第1のワイヤ接触子は、表面電極に沿って太陽電池セルの受光面に対向しており、表面電極に押し当てられた際に変形してその表面電極に沿って伸長して接触し導通する。その結果、特性測定用プローブ装置の接触抵抗を安定して低く保つことができ、しかも、太陽電池セルの受光面上に特性測定用プローブ装置の影が生ぜず、擬似太陽光の照射がほとんど遮られることがなくなるから、太陽電池セルの変換効率をほとんど低下させることなく特性測定を行うことができる。
固定支持部は、第1のワイヤ接触子の両端を固定するように構成されていることが好ましい。
固定支持部は、前記第1のワイヤ接触子の一端のみを固定するように構成されており、第1のワイヤ接触子の他端はその軸方向に移動自在に構成されていることも好ましい。
太陽電池セルと固定支持部とは、両者の間隔を変化させるために相対的に移動可能に構成されていることが好ましい。
第1のワイヤ接触子は電流検出用端子であり、表面電極の両端部に当接するように固定支持部に固定された電圧検出用端子である第2のワイヤ接触子をさらに備えていることも好ましい。
第1のワイヤ接触子は電流検出及び電圧検出の共用端子であることも好ましい。
第1のワイヤ接触子は、表面電極の幅より小さい幅を有していることも好ましい。
第1のワイヤ接触子は、単一の導電線、互いに撚り合わされた複数の導電線、又は周囲に導電線を巻回した鋼線から構成されていることも好ましい。この導電線は、隣青銅、青銅、黄銅、白銅、洋白銅又は銅の線材から構成されていること、さらに、この線材表面に金めっき又はニッケルめっきを施した線であることも好ましい。
本発明によれば、特性測定用プローブ装置の接触抵抗を安定して低く保つことができ、しかも、太陽電池セルの受光面上に特性測定用プローブ装置の影が生ぜず、擬似太陽光の照射がほとんど遮られることがなくなるから、太陽電池セルの変換効率をほとんど低下させることなく特性測定を行うことができる。
本発明の第1の実施形態として、太陽電池セルの特性測定装置における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示す斜視図である。 第1の実施形態における電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブの構成を概略的に示す側面図である。 本発明の第2の実施形態として、太陽電池セルの特性測定装置における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態として、太陽電池セルの特性測定装置における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示す斜視図である。 第3の実施形態における電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブの構成を概略的に示す側面図である。 従来技術、第1の実施形態及び第3の実施形態の技術を用いた太陽電池セルの特性測定装置によって測定した特性を示すグラフである。
図1は本発明の第1の実施形態における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示しており、図2は本実施形態における電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブの構成を概略的に示している。本実施形態の特性測定用プローブ装置は、互いに独立した電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブを利用して4端子法によって太陽電池セルの出力特性測定を行う装置である。
図1及び図2において、10は特性を測定すべき太陽電池セル、11はこの太陽電池セル10が固定される固定台をそれぞれ示している。太陽電池セル10は、その裏面が固定台11の表面に当接するようにこの固定台11上に真空又は他の機械的手段によって固定されており、その表面である受光面にソーラシミュレータからの擬似太陽光が、受光面に略垂直に照射される。
固定台11は導電性の金属材料板から形成されており、図1に示す支持部材12に機械的に固着されて支持されている。支持部材12は、本実施形態においては、静止位置に固定されており、従って、固定台11も静止位置に固定されている。この固定台11は、太陽電池セル10の裏面電極に接触して導通する裏面端子の役割と、太陽電池セル10を一定温度に保つべく冷却する恒温パネルの役割とを兼用している。図2に示すように、この固定台11には、裏面電極用電流端子13及び裏面電極用電圧端子14が電気的に共通に接続されている。ただし、これら裏面電極用電流端子13及び裏面電極用電圧端子14から測定機器に接続される配線については、図示が省略されている。また、固定台11を冷却する手段についても図示が省略されている。
太陽電池セル10の受光面には、セル本体と、セル本体の起電力を集電する本実施形態の例では2つの表面電極(バスバー)10aとが形成されている。2つの表面電極10aは、互いに平行に直線状に伸長している。特性測定時には、図1及び図2に示すように、各表面電極10aに、表面電極用電流端子である電流測定用プローブ15と、表面電極用電圧端子である電圧測定用プローブ16とがそれぞれ押し当てられて導通がなされる。表面電極(バスバー)が3つ以上の場合は、その数に対応した電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16が設けられる。
電流測定用プローブ15は、本発明の第1のワイヤ接触子に対応しており、導電性金属材料で形成された弾力性を有するアーチ形状のワイヤから構成されている。この電流測定用プローブ15は、太陽電池セル10の受光面に対向した状態でこの表面電極10aに沿って伸長し、この表面電極10aに当接して電気的に接続されており、その両端は固定支持部17によって固定されている。
電圧測定用プローブ16は、本発明の第2のワイヤ接触子に対応しており、導電性金属材料で形成された弾力性を有する1対のワイヤから構成されている。各電圧測定用プローブ16の一端は太陽電池セル10の表面電極10aの一端部に当接して電気的に接続されており、その他端は固定支持部17に固定されている。
これら電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16は、本実施形態では直径0.5mmの洋白銅の3本の導電線を互いに撚り合わして構成されている。撚り合わせることにより、表面電極10aとの接触面積が大きくなる。本実施形態の変更態様においては、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16は、単一の導電線、互いに撚り合わされた2本若しくは4本以上の複数の導電線、又は周囲に導電線を巻回した鋼線から構成される。また、導電線としては、隣青銅、青銅、黄銅、白銅又は銅の線材が用いられ、さらにこれら線材の表面に金めっき又はニッケルめっきを施した線であっても良い。このような表面処理を行うことにより、導電性がより向上する。また、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16の幅は、太陽電池セル10の表面電極10aの幅より小さい幅となるように構成されている。
各固定支持部17は各連結部材18に機械的に固着されており、この連結部材18は、取り付け枠19の溝19aにボルト20等により機械的に固着されている。ボルト20等は、溝19aに沿って移動可能に構成されており、これにより、連結部材18及び固定支持部17を溝19aに沿って移動させて電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16を表面電極10aの中心線上に正確に位置合わせすることができる。
取り付け枠19は上下移動部材21に固着されており、この上下移動部材21は固定柱部材22に対して上下方向に昇降可能に構成されている。これにより、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16と太陽電池セル10の表面電極10aとの間隔を変化させることができる。
太陽電池セル10の出力特性測定時は、上下移動部材21を下降させることにより、電流測定用プローブ15を表面電極10aに押し当てて変形させ、表面電極10a全体に渡って電気的に接触させて導通させると共に、電圧測定用プローブ16を表面電極10aの一部に電気的に接触させて導通させる。これにより、太陽電池セル10の出力を測定することが可能となる。なお、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16から測定機器に接続される配線については、図1では表示が省略されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16を表面電極10a上に押し当てて導通させ、しかも電流測定用プローブ15が表面電極10a全体に渡って電気的に接触させているため、多点接触状態と同等の機能を得ることができる。即ち、特性測定用プローブ装置としての接触抵抗を安定して低く保つことができ、しかも、太陽電池セル10の受光面上にこれらプローブの影が生ぜず、擬似太陽光の照射がほとんど遮られることがなくなるから、太陽電池セル10の変換効率をほとんど低下させることなく特性測定を行うことができる。因みに、本願出願人による従来の特性測定用プローブ装置に比して、変換効率が2.3%向上した。
なお、上述した実施形態は、電流測定用プローブ15及び電圧測定用プローブ16を取り付けた取り付け枠19が昇降可能であり太陽電池セル10を固定した固定台11が静止した構成としているが、取り付け枠19が静止し、固定台11側が昇降可能とした構成としても良いことは明らかである。
図3は本発明の第2の実施形態における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示している。本実施形態の特性測定用プローブ装置は、共用プローブ35を利用して電流測定及び電圧測定を行う太陽電池セルの出力特性測定装置である。本実施形態において、図1及び図2の実施形態の場合と同様の構成要素については、同一の参照番号を使用し説明を省略する。
本実施形態においては、特性測定時には、図3に示すように、各表面電極10aに、電流測定及び電圧測定の両方に用いられる共用プローブ35が押し当てられて導通がなされる。
共用プローブ35は、本発明の第1のワイヤ接触子に対応しており、導電性金属材料で形成された弾力性を有するアーチ形状のワイヤから構成されている。この共用プローブ35は、太陽電池セル10の受光面に対向した状態でこの表面電極10aに沿って伸長し、この表面電極10aに当接して電気的に接続されており、その両端は固定支持部17によって固定されている。
共用プローブ35は、本実施形態では直径0.5mmの洋白銅の3本の導電線を互いに撚り合わして構成されている。撚り合わせることにより、表面電極10aとの接触面積が大きくなる。本実施形態の変更態様においては、共用プローブ35は、単一の導電線、互いに撚り合わされた2本若しくは4本以上の複数の導電線、又は周囲に導電線を巻回した鋼線から構成される。また、導電線としては、隣青銅、青銅、黄銅、白銅又は銅の線材が用いられ、さらにこれら線材の表面に金めっき又はニッケルめっきを施した線であっても良い。このような表面処理を行うことにより、導電性がより向上する。また、共用プローブ35の幅は、太陽電池セル10の表面電極10aの幅より小さい幅となるように構成されている。
以上述べた第2の実施形態におけるその他の構成及び作用効果は図1及び図2に示した第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
図4は本発明の第3の実施形態における特性測定用プローブ装置の構成を概略的に示しており、図5は本実施形態における電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブの構成を概略的に示している。本実施形態の特性測定用プローブ装置は、互いに独立した電流測定用プローブ及び電圧測定用プローブを利用して4端子法によって太陽電池セルの出力特性測定を行う装置である。
図4及び図5において、10は特性を測定すべき太陽電池セル、11はこの太陽電池セル10が固定される固定台をそれぞれ示している。太陽電池セル10は、その裏面が固定台11の表面に当接するようにこの固定台11上に真空又は他の機械的手段によって固定されており、その表面である受光面にソーラシミュレータからの擬似太陽光が、受光面に略垂直に照射される。
固定台11は導電性の金属材料板から形成されており、図示しない支持部材に機械的に固着されて支持されている。支持部材は、本実施形態においては、静止位置に固定されており、従って、固定台11も静止位置に固定されている。この固定台11は、太陽電池セル10の裏面電極に接触して導通する裏面端子の役割と、太陽電池セル10を一定温度に保つべく冷却する恒温パネルの役割とを兼用している。図5に示すように、この固定台11には、裏面電極用電流端子13及び裏面電極用電圧端子14が電気的に共通に接続されている。ただし、これら裏面電極用電流端子13及び裏面電極用電圧端子14から測定機器に接続される配線については、図示が省略されている。また、固定台11を冷却する手段についても図示が省略されている。
太陽電池セル10の受光面には、セル本体と、セル本体の起電力を集電する本実施形態の例では2つの表面電極(バスバー)10aとが形成されている。2つの表面電極10aは、互いに平行に直線状に伸長している。特性測定時には、図4及び図5に示すように、各表面電極10aに、表面電極用電流端子である電流測定用プローブ45と、表面電極用電圧端子である電圧測定用プローブ46とがそれぞれ押し当てられて導通がなされる。表面電極(バスバー)が3つ以上の場合は、その数に対応した電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46が設けられる。
電流測定用プローブ45は、本発明の第1のワイヤ接触子に対応しており、導電性金属材料で形成された弾力性を有するアーチ形状のワイヤから構成されている。この電流測定用プローブ45は、太陽電池セル10の受光面に対向した状態でこの表面電極10aに沿って伸長し、この表面電極10aに当接して電気的に接続されており、その一端は固定支持部47にねじ等で固定されており、他端はワイヤの軸方向に自由に移動可能に支持部48によって支持されている。このように本実施形態においては、電流測定用プローブ45は、その一端のみが固定され、他端が軸方向に移動自在となっているため、表面電極10aに接触させた際に、その中央部の浮きや左右方向のずれが軸方向の移動によって吸収され、均一に表面電極10aに接触させることができ、より良好な電気的接続を得ることができる。
電圧測定用プローブ46は、本発明の第2のワイヤ接触子に対応しており、導電性金属材料で形成された弾力性を有するワイヤから構成されている。各電圧測定用プローブ46の一端は太陽電池セル10の表面電極10aの一端部に当接して電気的に接続されており、その他端は固定支持部49にねじ等で固定されている。本実施形態においては、電圧測定用プローブ46は、各表面電極10aについて1つのみ設けられている。もちろん、電圧測定用プローブ46を各表面電極10aについてその両端部に計2つ設けても良い。
これら電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46は、本実施形態では直径0.5mmの洋白銅の3本の導電線を互いに撚り合わして構成されている。撚り合わせることにより、表面電極10aとの接触面積が大きくなる。本実施形態の変更態様においては、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46は、単一の導電線、互いに撚り合わされた2本若しくは4本以上の複数の導電線、又は周囲に導電線を巻回した鋼線から構成される。また、導電線としては、隣青銅、青銅、黄銅、白銅又は銅の線材が用いられ、さらにこれら線材の表面に金めっき又はニッケルめっきを施した線であっても良い。このような表面処理を行うことにより、導電性がより向上する。また、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46の幅は、太陽電池セル10の表面電極10aの幅より小さい幅となるように構成されている。
固定支持部47は取り付け枠50に固着されている連結部材51に図示しないボルト等で脱着可能に固定されている。この連結部材51は、例えば2枚のストリップ状板部材を対向させて固定することによって間に、太陽電池セル10の幅方向の溝(図示なし)を形成したものであり、各固定支持部47は、この連結部材51の溝にボルト等により機械的に固定される。ボルトは、この溝に沿って移動可能に構成されており、これにより、固定支持部47を溝に沿って移動させて電流測定用プローブ45を表面電極10aの中心線上に正確に位置合わせすることができる。また、支持部48は取り付け枠50に固着されている連結部材52に図示しないボルト等で脱着可能に固定されている。この連結部材52は、例えば2枚のストリップ状板部材を対向させて固定することによって間に、太陽電池セル10の幅方向の溝(図示なし)を形成したものであり、各支持部48は、この連結部材52の溝にボルト等により機械的に固定される。ボルトは、この溝に沿って移動可能に構成されており、これにより、支持部48を溝に沿って移動させて電流測定用プローブ45を表面電極10aの中心線上に正確に位置合わせすることができる。
固定支持部49は取り付け枠50に固着されている連結部材53に図示しないボルト等で脱着可能に固定されている。この連結部材53は、例えば2枚のストリップ状板部材を対向させて固定することによって間に、太陽電池セル10の幅方向の溝(図示なし)を形成したものであり、各固定支持部49は、この連結部材53の溝にボルト等により機械的に固定される。ボルトは、この溝に沿って移動可能に構成されており、これにより、固定支持部49を溝に沿って移動させて電圧測定用プローブ46を表面電極10aの中心線上に正確に位置合わせすることができる。
取り付け枠50は上下移動部材54に固着されており、この上下移動部材54は固定柱部材55に対して上下方向に昇降可能に構成されている。これにより、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46と太陽電池セル10の表面電極10aとの間隔を変化させることができる。
太陽電池セル10の出力特性測定時は、上下移動部材54を下降させることにより、電流測定用プローブ45を表面電極10aに押し当てて変形させ、表面電極10a全体に渡って電気的に接触させて導通させると共に、電圧測定用プローブ46を表面電極10aの一部に電気的に接触させて導通させる。これにより、太陽電池セル10の出力を測定することが可能となる。なお、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46から測定機器に接続される配線については、図4では表示が省略されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46を表面電極10a上に押し当てて導通させ、しかも電流測定用プローブ45が表面電極10a全体に渡って電気的に接触させているため、多点接触状態と同等の機能を得ることができる。特に本実施形態では、電流測定用プローブ45の一端のみが固定され、他端が軸方向に移動自在となっているため、表面電極10aに接触させた際に、その中央部の浮きや左右方向のずれが軸方向の移動によって吸収され、均一に表面電極10aに接触させることができ、より良好な電気的接続を得ることができる。即ち、特性測定用プローブ装置としての接触抵抗を安定してより低く保つことができ、しかも、太陽電池セル10の受光面上にこれらプローブの影が生ぜず、擬似太陽光の照射がほとんど遮られることがなくなるから、太陽電池セル10の変換効率をほとんど低下させることなく特性測定を行うことができる。
なお、上述した実施形態は、電流測定用プローブ45及び電圧測定用プローブ46を取り付けた取り付け枠50が昇降可能であり太陽電池セル10を固定した固定台11が静止した構成としているが、取り付け枠50が静止し、固定台11側が昇降可能とした構成としても良いことは明らかである。
3つの表面電極(バスバー)を有する6インチの単結晶シリコン太陽電池セルについて、特許文献1に記載されたばねによって付勢される一列配列の複数の針状プローブを有する従来技術の特性測定装置、両端固定のより線による第1の実施形態の電流測定用プローブを有する特性測定装置、一端のみ固定の単線による第3の実施形態の電流測定用プローブを有する特性測定装置を用いてI−V特性(電流電圧特性)及びP−V特性(電力電圧特性)を実際に測定した。表1はその測定条件及び測定結果を示しており、図6は実際に測定したI−V特性及びP−V特性を示している。ただし、図6において、aは従来技術の特性測定装置によって測定したI−V特性、bは第1の実施形態の特性測定装置によって測定したI−V特性、cは第3の実施形態の特性測定装置によって測定したI−V特性、dは従来技術の特性測定装置によって測定したP−V特性、eは第1の実施形態の特性測定装置によって測定したP−V特性、fは第3の実施形態の特性測定装置によって測定したP−V特性をそれぞれ示している。また、表1における短絡電流密度Jscは短絡電流Iscを太陽電池セルの発電部分の面積で除した値、短絡電流Iscは太陽電池セルの出力端子を短絡したときのその端子間を流れる電流、開放電圧Vocは太陽電池セルの出力端子を開放したときのその端子間電圧、最大出力Pmaxは短絡電流Isc及び開放電圧Vocの間のI-V特性の中で電流×電圧が最大となる太陽電池セルの出力、最大出力動作電流Ipmは太陽電池セルの出力が最大となるときの電流、最大出力動作電圧Vpmは太陽電池セルの出力が最大となるときの電圧、曲線因子FFは最大出力Pmaxを短絡電流Isc及び開放電圧Vocの積で除した値、セル変換効率Effは最大出力Pmaxを太陽電池セルのセル面積に入射する放射束で除した値、放射照度Irrは照射光の放射照度であり、その単位Sunは1Sun=1000W/mである。
Figure 0005722466
表1及び図6より、従来技術の特性測定装置に比して第1の実施形態の電流測定用プローブを有する特性測定装置はセル変換効率Effが0.827%向上しており、第3の実施形態の電流測定用プローブを有する特性測定装置はセル変換効率Effが1.29%向上している。従って、本発明の電流測定用プローブを有する特性測定装置によれば、接触抵抗を安定してより低く保つことができ、しかも、擬似太陽光の照射がほとんど遮られることがなくなるから、太陽電池セルの変換効率をほとんど低下させることなく特性測定できることが分かる。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明は、太陽電池セルに光照射した状態でその集電電極から電気信号を取り出す特性測定用プローブを備えた、例えばソーラシミュレータ等の測定機器に適用可能である。
10 太陽電池セル
10a 表面電極
11 固定台
12 支持部材
13 裏面電極用電流端子
14 裏面電極用電圧端子
15、45 電流測定用プローブ
16、46 電圧測定用プローブ
17、47、48、49 固定支持部
18、51、52、53 連結部材
19、50 取り付け枠
19a 溝
20 ボルト
21、54 上下移動部材
22、55 固定柱部材
35 共用プローブ

Claims (9)

  1. 導電性金属材料で形成された弾力性を有するアーチ形状の第1のワイヤ接触子と、該第1のワイヤ接触子の少なくとも1端を固定する固定支持部とを備えており、前記第1のワイヤ接触子は、測定すべき太陽電池セルの表面電極に沿って伸長すると共に該太陽電池セルの受光面に対向しており、該表面電極に押し当てられた際に変形し該表面電極に沿って導通するように構成されており、前記第1のワイヤ接触子は、単一の導電線、互いに撚り合わされた複数の導電線、又は周囲に導電線を巻回した鋼線から構成されていることを特徴とする太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  2. 前記固定支持部は、前記第1のワイヤ接触子の両端を固定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  3. 前記固定支持部は、前記第1のワイヤ接触子の一端のみを固定するように構成されており、該第1のワイヤ接触子の他端はその軸方向に移動自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  4. 前記太陽電池セルと前記固定支持部とは、両者の間隔を変化させるために相対的に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  5. 前記第1のワイヤ接触子は電流検出用端子であり、前記表面電極の両端部に当接するように前記固定支持部に固定された電圧検出用端子である第2のワイヤ接触子をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  6. 前記第1のワイヤ接触子は電流検出及び電圧検出の共用端子であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  7. 前記第1のワイヤ接触子は、前記表面電極の幅より小さい幅を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  8. 前記導電線は、隣青銅、青銅、黄銅、白銅、洋白銅又は銅の線材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
  9. 前記導電線は、前記線材表面に金めっき又はニッケルめっきを施した線であることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池セルの特性測定用プローブ装置。
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