JP5721319B2 - 軟骨細胞培養基材及び培養方法 - Google Patents

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本発明は、軟骨細胞を培養する基材、及び、軟骨細胞を培養する方法に関するものである。
関節は骨端部を覆う関節軟骨、その周囲を取り囲む関節包とその裏打ちをする関節滑膜より構成されており、その内腔は滑液で満たされている。このうち関節軟骨は白色、平滑で弾性を有する厚さ1〜5 mm程度の結合組織の一種であり、軟骨細胞と細胞外マトリックス(ECM:Extracellular matrix)から構成されている。ECMの主成分はアグリカンとII型コラーゲンであり、軟骨全体での重量組成は細胞が1〜2%、水分が70〜80%、アグリカンが8〜10%、II型コラーゲンが10〜20%となっている。
アグリカンは、220kDaのコアタンパク質にコンドロイチン硫酸などの多数の硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG:Sulfated glycosaminoglycan)と、少量のN−、O−結合型オリゴ糖が共有結合した複合体である。軟骨組織のsGAGの大部分を占めるコンドロイチン硫酸はグルクロン酸(GlcA:glucuronic acid)とN−アセチルガラクトサミン(GalNAc:N-acetylgalactosamine)からなる二糖の繰り返し構造を基本とし、GalNAcの4位の位置に硫酸基が付加したものがコンドロイチン硫酸A(CSA:Chondroitin sulfate A)、6位の位置に硫酸基が付加したものがコンドロイチン硫酸C(CSC:Chondroitin sulfate C)と呼ばれている。正常な軟骨組織中での両者の割合は、CSAが約10%、CSCが約90%であるが、変形性関節症の軟骨では正常な軟骨に比べてCSCの割合が低くなることが報告されている。
軟骨の内部ではII型コラーゲン細線維はIX、XI型コラーゲンと共に網目構造を形成し、その間隙には高度に水和したアグリカンとヒアルロン酸、リンクタンパクからなる巨大会合体が含まれている。このような三次元構造が形成されているため、軟骨組織は高い含水率と粘弾性(抗圧縮性)を持ち、体重の数倍もの荷重に耐えることができる。また、滑膜や軟骨細胞から分泌された潤滑物質ヒアルロン酸によって軟骨表面の摩擦係数は低く関節の円滑な運動が可能となり、さらに軟骨そのものの磨耗も抑えられている。しかし、豊富なECMのために周囲の組織からの細胞の浸潤が困難である上に、血管、神経、リンパ管を欠き栄養分の供給も遅いため、軟骨は自己修復能力の非常に乏しい組織である(非特許文献1、2参照)。
局所的な物理的負荷などによる外傷によって軟骨組織が変性してしまう変形性関節症や、関節リウマチなどの疾患により軟骨組織が不可逆的なダメージを負った場合、軽度の損傷であれば欠損部周辺の細胞が増殖しECMを産生することで改善が見込めるが、重度の場合では正常な自己修復は困難である。例えば、軟骨下骨をも貫通する深い損傷を負った場合は骨髄からの出血が生じ、骨髄内の間葉系細胞及び各種サイトカインの供給がなされるため欠損部は軟骨様組織で修復され短期的には良好な回復を示すが、修復された組織は本来の硝子軟骨とは異なる繊維軟骨となる。繊維軟骨は主としてバーシカンのようなプロテオグリカンやI型コラーゲンで構成されており、抗圧縮性の点では硝子軟骨に劣るため、欠損部が繊維軟骨で修復されることにより周囲の硝子軟骨が変性し、長期的にはさらなる変性へ進行することが多い。従って、重度の疾患に対しては人工関節置換術などの外科的手法を取らなければならないが、人工関節は生体組織ではないため長期の使用の結果、繰り返し応力による磨耗やゆるみが生じ耐用年数が限られてしまう。そのため再手術によって人工関節を交換しなければならないが、患者への負担が大きいため、人工関節の適用は高齢者のみとなっている。また、その他にも人工関節には細菌感染に弱いことや、脱臼しやすいなどの欠点もみられる。
そこで上記の問題を解決するために、自家細胞移植による組織再生が有効であると考えられ、患者本人の関節軟骨組織あるいはそこから分離した軟骨細胞の移植が試みられている。例えば、重量負荷の少ない他の部位から少量の軟骨片を採取しそれらを欠損部に移植するモザイク移植法(Mosaicplasty)が臨床的に行われているが、移植できる軟骨に量的な限界があるため大きな欠損には適用できないという欠点がある(非特許文献3、4参照)。そこで現在、このモザイク移植法のもつ欠点を解消するための新たな手法として、少量の軟骨片から酵素処理にて分離した軟骨細胞を単層培養した後に移植する自家培養軟骨細胞移植法(CarticelTM)が試みられている。この方法では細胞を一旦単層培養することで細胞を大幅に増殖させることが可能であるが、軟骨細胞は単層培養の過程において容易に脱分化し、本来の軟骨細胞の性質とは大きくかけ離れた繊維芽様細胞へと変化してしまうため、移植後も癒着、繊維化、肥大化が生じてしまうなどの問題点がある(非特許文献5、6参照)。従って、CarticelTMによる欠損部の軟骨組織再生を成功させるためには、2次元培養において軟骨細胞が脱分化しないように増殖させる技術の開発が必要である。
2次元培養において軟骨細胞が脱分化しないように増殖させる方法として、紀ノ岡等は、ガラス表面に4工程を経て還元アミノ化したグルコースを提示し、軟骨細胞を培養する方法を報告している(非特許文献7参照)。彼等によれば、グルコースを提示した培養表面上では、軟骨細胞は球状の形態を示すものが多く、軟骨細胞の分化形質を保っている。しかし、グルコースの提示方法が煩雑であり、細胞の栄養補給に関わるグルコーストランスポーターを塞ぐ為、長期間に渡る細胞培養では問題が生じる可能性を残している。
我々は、簡単に合成出来、かつ、多種類の糖鎖構造を持った人工糖脂質を提供して来た(特許文献1、2参照)。この人工糖脂質を疎水性材料の表面上にコーティングすることにより糖鎖が提示されることは、レクチンを用いた実験等により確認され、さらに、この人工糖脂質をコーティングした培養基材を用いて、肝細胞や造血前駆細胞の培養が検討されている(特許文献3、4、及び、非特許文献8〜10参照)。しかし、この人工糖脂質をコーティングした培養基材の軟骨細胞に対する適用例は無かった。
特開2001−122889号公報 特開2002−30091号公報 特開2002−27977号公報 特開2004−256413号公報
骨と軟骨のバイオロジー 基礎から臨床への展開、金原出版株式会社、87-112(2002) Tissue. Eng.、12、1971-1984(2006) Clin. Orthop. Relat. Res.、401、170-184(2002) J. Bone Joint Surg. Am.、85、223-230(2003) J. Bone Joint Surg. Am.、88、503-507(2006) J. Bone Joint Surg. Am.、86、286-295(2004) Biomaterials、28、1680-1688 (2007) J. Artificial Organs、4、315-319 (2001) J. Biosci. Bioeng.、93、437-439 (2002) J. Artificial Organs、7、194-202 (2004)
本発明の課題は、軟骨細胞を培養する為の基材、及び、軟骨細胞を培養する方法を提供することにある。
上記課題に関して鋭意検討した結果、本発明者らは、糖脂質をコーティングするだけの簡便な手法で、軟骨細胞形質を維持した培養が可能であることを見出し、さらに、グルコースばかりでなく、ガラクトースあるいはN−アセチルグルコサミンを表面に提示した細胞培養基材を用いても同様の効果があることを発見して、本発明を完成するに至った。
すなわち、表面に糖鎖(但し、グルコースを除く)を提示した軟骨細胞を培養する基材、より詳しくは、表面にガラクトースまたはN−アセチルグルコサミンを提示した軟骨細胞を培養する基材、あるいは、糖脂質を疎水表面上にコーティングした軟骨細胞を培養する基材、より詳しくはガラクトースまたはN−アセチルグルコサミンを末端とする糖脂質を疎水表面上にコーティングした軟骨細胞を培養する基材、及び、これらの基材を用いることを特徴とする軟骨細胞を培養する方法、さらに、この培養法を用いて培養された軟骨細胞を提供する。
本発明は、単糖を細胞培養基材表面に提示する簡単な処理によって、軟骨細胞形質を維持しながら軟骨細胞を培養することが可能な培養基材とそれを用いた培養方法を提供するものである。
顕微鏡観察した培養軟骨細胞 A(左):コントロール B(中):N−アセチルグルコサミン提示 C(右):ガラクトース提示 単糖提示の細胞形態に対する影響 A:面積による評価 B:形状による評価 抗タイプIIコラーゲン抗体で染色した培養軟骨細胞 A(左上)、B(右上):コントロール(細胞像、染色像) C(左中)、D(右中):N−アセチルグルコサミン提示(細胞像、染色像) E(左下)、F(右下):ガラクトース提示(細胞像、染色像) 単糖提示のII型コラーゲン産生能に対する影響
本発明では、糖鎖を細胞培養基材に提示するが、糖鎖とは、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、フコース、キシロース、シアル酸、グルクロン酸、イズロン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン等の単糖、2糖以上の単糖の組み合わせからなるオリゴ糖、糖蛋白質に含まれるN−及びO−結合型糖鎖の糖鎖部分、グルコサミノグリカンに含まれる糖鎖、糖脂質に含まれる糖鎖、多糖及びその限定分解物等を含む。
糖鎖を細胞培養基材の表面に提示する方法は、糖鎖が基材の細胞培養に用いられる面に提示されれば、如何なる手法を用いても構わない。例えば、天然の糖脂質、あるいは、人工の糖脂質をコーティングする方法、天然の多糖を直接コーティングする方法、人工の糖鎖提示高分子をコーティングする方法、金属で表面処理した後に単層膜を用いて糖鎖提示化合物を結合する方法等が知られている。
例えば、下の式1で示される人工糖脂質のエタノール溶液を、細胞培養に用いるプラスチックディッシュの上に注いだ後、風乾することにより、簡便に作成することが出来る。(J. Carbohydr. Chem.、23、375-388 (2004)参照)
Figure 0005721319
(式1)
(但し、図中で、Rは糖鎖を示す。)
上記の糖鎖を提示する方法に従って、本発明の軟骨細胞を培養する基材を作成することが出来る。糖鎖がガラクトースであれば、ガラクトースを提示した培養基材が、糖鎖がN−アセチルグルコサミンであれば、N−アセチルグルコサミンを提示した培養基材が得られる。
本発明によって、複数の糖鎖を組み合わせて提示した培養基材を提供することも可能であり、例えば、ガラクトースとグルコースを同時に提示した培養基材や、グリコサミノグリカンの複数の部分構造を提示した培養基材等を提供することが出来る。
また、本発明の軟骨細胞培養の方法は、上記で作成した軟骨細胞培養用の基材を用いれば、他の条件は、通常の軟骨細胞培養に用いる方法を適用することが可能である。さらに、本発明の軟骨細胞は、その培養方法によって得られる。
以下に、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記述に限定されるものではない。
[細胞]
ブタ関節軟骨細胞は、生後160〜180日のブタの大腿骨顆部から分離した初代軟骨細胞を凍結保存せず用いた。初めに、70%エタノールを噴霧しながらブタ後足膝部分の筋肉を調理用ハサミで切り落とし、関節包を切り取って下肢を切り離し、大腿骨顆部の軟骨組織を露出させた。クリーンベンチ内で、膝蓋面、内側顆、外側顆部分の軟骨組織をメス(FEATHER、Surgical Blade、Stainless Steel)で削り取り、10%FBS(Gibco、10099-141)含有DMEM(Gibco、31600-034)20 mlの入った50 ml容遠沈管(SUMILON、MS-56500)に入れた。DMEMを捨て、採取した軟骨片を滅菌済みの板の上に移し、メスで細かく刻んだ。刻んだ軟骨片を50 ml容遠沈管に入れなおし、PBSを20 ml入れ、20℃、2000 rpmで5分間遠心分離し洗浄した。再度PBSで洗浄した後に、0.25%トリプシン(SIGMA、T-8003)/PBS 20 mlを加え、37℃、30 min、160 spmで往復振とう(振巾3 cm、東京理科器械、UNITHERMO SHAKER NTS-220)した。20℃、2000 rpmで5 min遠心分離し上清を吸引した後、PBS 20 mlで洗浄した。上清を吸引後、900 unit/mlコラゲナーゼtype2 (Worthington Biochemistry、4176)/10%FBS含有DMEM 35 mlを加え、37℃、5 h、160 spmで往復振とうした。上清をセルストレーナー(メッシュサイズ100 μm、 BD Falcon、352360)で濾過した後、濾液を15 ml容遠沈管(SUMILON、MS-56150)に分注し、20℃、2000 rpmで10 min遠心分離した。上清を吸引して取り除き、10%FBS含有MEM(Gibco、61100-061) 10 mlで2回洗浄した。10%FBS含有MEMを適量加えて細胞懸濁液とした。1.5 mlエッペンチューブに細胞懸濁液100 μlを取り分け、トリパンブルー染色法によって細胞数と生存率を計算した。
ヒト皮膚繊維芽細胞は、市販の正常ヒト皮膚繊維芽細胞(成人皮膚由来)(KURABO、KF-4109)を使用した。
[培地]
軟骨細胞の培養には軟骨細胞用培地を、繊維芽細胞の培養には繊維芽細胞用培地をそれぞれ用いた。軟骨細胞用培地の組成を表1に、繊維芽細胞用培地の組成を表2に示した。
Figure 0005721319
Figure 0005721319
[添加因子]
軟骨細胞を培養する際、表3に示した添加因子を軟骨細胞用培地にそれぞれ加えた。これらの添加因子を培地中での濃度の200倍になるように純水(SIGMA、W-3500)に溶かした後(10 g/l)、0.22 μmシリンジフィルター(Millipore、SLGP033RS)を用いて濾過除菌し、添加液とした。添加液は使用直前に調製し、この添加液を最終培地液量の200分の1量を培地に加えた。(最終濃度 50 mg/l)。
Figure 0005721319
[糖脂質のコーティング]
式2で示される人工糖脂質を99.5%エタノール(純正、17065-0382)に溶かした溶液を9.6 cm2の接着培養用35 Φディッシュ(FALCON、353001)におよそ1 ml加えた。このディッシュをクリーンベンチ内に静置して20℃で通気し、遮光しながら揮発させた。コーティング濃度は、糖脂質1分子が占める面積を5.0×10-19 m2と考えた際に、ディッシュ上の全面でモノレイヤーにコーティングされると考えられる0.33 nmol/cm2とした。
Figure 0005721319
(式2)
(但し、図中でRは、ガラクトースまたはN−アセチルグルコサミンを示す。)
[単層培養方法]
軟骨細胞もしくは繊維芽細胞を播種密度1.0×104 cells/cm2で接着培養用35 Φディッシュ(9.6 cm2:FALCON、353001)に播種し、液量2 ml、37℃、5% CO2雰囲気下で静置培養した。
[細胞数の測定]
ディッシュから培地を除去し、PBSで洗浄後、トリプシン-EDTA溶液(Sigma、T-3924)を用いてディッシュ中の接着細胞を剥離した。得られた細胞懸濁液はトリパンブルー(GIBCO、15250-061)で染色し細胞数を測定した。
[I型、II型コラーゲン免疫染色]
ディッシュから培地を除去し、PBS 2 mlで洗浄後、4% パラホルムアルデヒド溶液(20% パラホルムアルデヒド溶液(Wako、064-00406)をPBSで希釈)2 mlを入れ、室温で20分以上反応させ、細胞を固定した。その後PBS 2 mlで洗浄した。次にディッシュに0.2% Triton X-100溶液(Triton X-100溶液(Wako、168-11805)をPBSで希釈)1 mlを入れ、室温で5分間反応させて、細胞を賦活化した。その後PBS 2 mlで洗浄した。さらにディッシュに1% ウシ血清アルブミン溶液(ウシ血清アルブミン(Sigma、A-4503)をPBSで希釈)1 mlを入れ、室温で30分間反応させ、不要なタンパク質をブロッキングした。その後PBS 2 mlで3回洗浄した。
次にディッシュに1次抗体としてウサギ抗ブタI型コラーゲン抗体(Novotec、201911)をPBSで20倍に希釈した溶液、またはマウス抗ブタII型コラーゲン抗体(Chemicon、MAB1330)をPBSで5倍に希釈した溶液0.5 mlを入れ、室温で1時間反応させた後、PBS 2 mlで3回洗浄した。さらに2次抗体として 抗I型コラーゲン1次抗体にはローダミン標識ヤギ抗ウサギI型コラーゲン抗体(EMD Bioscience、401321)をPBSで40倍に希釈した溶液、抗II型コラーゲン1次抗体にはFITC標識ヒツジ抗マウスII型コラーゲン抗体(MP Biomedicals、55516)をそれぞれ0.5 ml加え、室温で30分間反応させた後、PBS 2 mlで3回洗浄した。
免疫染色した細胞を蛍光顕微鏡(IX-FLA;OLYMPUS)を用いて明視野及び暗視野で100倍で観察した。それぞれの画像を露出1秒に固定して撮影し、TIFFファイル形式で記録した。暗視野の観察では、ローダミンの蛍光検出にWIGキューブ(BP520-550)、FITCの蛍光検出にMNIBAキューブ(BP460-490)を使用した。
[画像解析]
ImageJ ver1.41(パブリックドメインの画像処理ソフトウエア)を用いて、光学顕微鏡、位相差顕微鏡で得た画像から細胞の接着面積や外周の長さ、染色度の指標である平均輝度値を求めた。また、細胞の形態を定量的に調べるため、Ra=(4πAc)/(lp2で定義される円形度というパラメーターを用いた。Raは円形度、Acは細胞の接着面積、lpは細胞の外周の長さを示す。この値が 1 に近ければ、測定した細胞の形態が円形に近いことを示している。
[単糖提示の効果]
ポリスチレンディッシュに人工糖脂質をコーティングした後、軟骨細胞を播種し、培養した。その結果、初代培養(P0)の3週間において、コーティング無しの培養では伸展し、紡錘状や星状といった形の細胞が多かったのに対し、人工糖脂質をコーティングした培養では円形状、多角形状の細胞が多くなった(図1)。これらの細胞の顕微鏡画像を解析した結果、1細胞当りの平均接着面積は、コーティング無しの培養では2.8×10-3 mm2だったのに対し、N−アセチルグルコサミンを提示した培養では1.0×10-4 mm2、ガラクトースを提示した培養では3.5×10-4 mm2と、コーティング無しの培養の各々0.36倍、0.13倍であった(図2A)。細胞の平均円形度は、コーティング無しの培養では0.19だったのに対し、N−アセチルグルコサミンを提示した培養では0.69、ガラクトースを提示した培養では0.66であり、有意に大きかった(図2B)。
次に、P0の3週間目の細胞をII型コラーゲン免疫染色した。その結果、コーティング無しの培養ではほとんど染色されなかったのに対し、人工糖脂質をコーティングの培養では円形の細胞を中心に強く染色された(図3)。これらの細胞の蛍光平均輝度値は、コーティング無しの培養では7.2だったのに対し、N−アセチルグルコサミンを提示した培養では25.3、ガラクトースを提示した培養では26.9であり、コーティング無しの各々3.3倍、3.4倍と有意に大きかった(図4)。
このように、人工糖脂質をコーティングしたディッシュで培養した場合、P0 3週間目のコーティング無しの培養に比べて細胞形態に明確な変化が見られ、面積がより小さく、平均円形度がより大きい伸展の少ない円形状、多角形状の細胞となった。また、II型コラーゲンの蓄積量もコーティングにより増大した。
本発明は、簡便な軟骨細胞形質を維持する培養基材及び培養方法を提供するものであり、軟骨の再生医療分野に利用可能である。

Claims (3)

  1. 疎水表面に糖がガラクトースまたはN−アセチルグルコサミンの単糖である糖脂質をコーティングした軟骨細胞を培養する基材。
  2. 疎水表面に糖がガラクトースまたはN−アセチルグルコサミンの単糖である糖脂質をコーティングした軟骨細胞を形質維持して培養する基材。
  3. 請求項1または2に記載した基材を用いることを特徴とする軟骨細胞の培養方法。
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