以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
図1は,本実施の形態による席替え推測装置の構成例を示す図である。
図1に示す席替え推測装置10は,コンセント20等の電源供給部で計測される消費電力から,ユーザの席替えを推測する装置である。席替え推測装置10は,電力情報取得部11,対応情報記憶部12,電力情報統合部13,電力情報記憶部14,推測部15,通知部16を備える。
電力情報取得部11は,消費電力の計測対象となっている各コンセント20から,消費電力の情報を取得する。コンセント20は,電気機器に電力を供給する電力供給部の一例である。
対応情報記憶部12は,コンセント情報を記憶する記憶部である。コンセント情報は,消費電力の計測対象となっている各コンセント20の管理情報である。本実施の形態のコンセント情報では,コンセント20とそのコンセント20を使用するユーザとが対応付けされている。すなわち,対応情報記憶部12に記憶されたコンセント情報は,ユーザと電力供給部であるコンセント20との対応情報でもある。
電力情報統合部13は,取得された消費電力の情報に,その消費電力の情報が計測されたコンセント20の識別情報や,日時等の情報を対応付けて,電力情報記憶部14に記憶する。電力情報記憶部14は,電力情報を記憶する記憶部である。電力情報は,電力供給部で計測された消費電力の情報が記録された情報である。
推測部15は,電力情報記憶部14に記憶された電力情報から,ユーザの席替えを推測する。推測部15は,検出部151,比較判断部152,判定部153,ユーザ管理情報記憶部156を備える。
検出部151は,コンセント20ごとに,電力情報記憶部14に記憶された電力情報から,消費電力が所定値以下の状態を検出する。ここでの所定値は,コンセント20の消費電力が0Wである状態,すなわちコンセント20からの電力供給が行われていない状態を検出できる値である。さらに,検出部151は,同じユーザに対応付けられた,席替え推測の対象とするすべてのコンセント20における消費電力が所定値以下の状態を検出する。
比較判断部152は,同じユーザに対応付けられた,席替え推測の対象とするすべてのコンセント20において消費電力が所定値以下の状態が検出された場合に,当該ユーザに対応付けられた,席替え推測の対象とする各コンセント20について,所定値以下の状態の前の消費電力と所定値以下の状態の後の消費電力とを比較する。比較判断部152は,比較の結果から,消費電力が所定値以下の状態の前後におけるコンセント20に電源接続された電気機器の変更を判断する。
判定部153は,比較判断部152で判断された,各コンセント20における電気機器の変更の判断結果から,ユーザの席替えを推測する。
判定部153は,例えば,接続数照合部154,組み合わせ判定部155などを備える。接続数照合部154は,消費電力が所定値以下の状態の前後で,処理対象のユーザに対応付けられたコンセント20に電源接続された電気機器の数に変更があるかを判定する。組み合わせ判定部155は,消費電力が所定値以下の状態の前後で,処理対象のユーザに対応付けられたコンセント20に電源接続された電気機器の組み合わせが同じであるかを判定する。
判定部153は,例えば,接続数照合部154による判定の結果や,組み合わせ判定部155による判定の結果を用いて,ユーザの席替えを推測する。また,判定部153は,例えば,ユーザ管理情報記憶部156に記憶された情報を参照し,席替えありと推測された他のユーザがあるかの判定の結果を用いて,処理対象のユーザの席替えを推測する。
ユーザ管理情報記憶部156は,ユーザごとに,対応するすべてのコンセント20における消費電力が所定値以下の状態の検出状況や,席替えの有無の推測状況を管理する情報を記憶する記憶部である。
通知部16は,席替えの推測結果を通知する。例えば,通知部16は,消費電力の監視システムの管理者が操作する情報機器に対して,推測部15により席替えがあったと推測されたユーザを通知する。
図2は,本実施の形態による席替え推測装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図1に示す本実施の形態の席替え推測装置10を実現するコンピュータ1は,例えば,CPU(Central Processing Unit )2,主記憶となるメモリ3,記憶装置4,通信装置5,媒体読取・書込装置6,入力装置7,出力装置8等を備える。記憶装置4は,例えばHDD(Hard Disk Drive )などである。媒体読取・書込装置6は,例えばCD−R(Compact Disc Recordable )ドライブやDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable )ドライブなどである。入力装置7は,例えばキーボード・マウスなどである。出力装置8は,例えばディスプレイ等の表示装置などである。
図1に示す席替え推測装置10および席替え推測装置10が備える各機能部は,コンピュータ1が備えるCPU2,メモリ3等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって実現することが可能である。コンピュータ1が実行可能なプログラムは,記憶装置4に記憶され,その実行時にメモリ3に読み出され,CPU2により実行される。
コンピュータ1は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ1は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,このプログラムは,コンピュータ1で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
図3は,本実施の形態による席替え推測装置が備える各機能部をコンピュータで実現する例を示す図である。
図3に示すように,例えば,席替え推測装置10が備える検出部151,比較判断部152,判定部153は,コンピュータ1のCPU2等によって実現される。また,例えば,席替え推測装置10が備える対応情報記憶部12,ユーザ管理情報記憶部156は,コンピュータ1のメモリ2等によって実現される。また,例えば,席替え推測装置10が備える電力情報記憶部14は,コンピュータ1の記憶装置4等によって実現される。
以下,本実施の形態による席替え推測装置10の動作について,より具体的な例を用いて説明する。
ここでは,席替え推測装置10は,ユーザごとの消費電力を監視するシステムの一部であるものとする。ユーザごとの消費電力を監視するシステムは,例えば,企業のオフィスにおいて,従業員であるユーザごとに,使用した電気機器による消費電力を計測し,記録するシステムである。各ユーザのデスクには,それぞれ使用が割り当てられたコンセント20が設置されている。
席替え推測装置10において,電力情報取得部11は,各コンセント20から消費電力の情報を取得する。本実施の形態において,電力情報取得部11が各コンセント20から取得する消費電力の情報は,各コンセント20で計測された消費電力の情報である。電力情報取得部11が消費電力の情報を取得するタイミングや,消費電力の情報の取得単位は,任意である。例えば,電力情報取得部11は,10秒ごとに,その時点で計測された消費電力の情報を取得する。
図1に示す本実施の形態のコンセント20は,電気機器に電力を供給する電力供給部の一例である。コンセント20には,消費される電力をセンシングする電力センサが取り付けられている。コンセント20に取り付けられた電力センサは,コンセント20から供給された電力,すなわちコンセント20に電源接続されて使用された電気機器の消費電力を計測する。
電力センサ付きのコンセント20は,例えばEthernet(登録商標)やUSB,無線などの通信機能を持つ。それらの通信機能を使用して,電力情報取得部11は,各コンセント20から電力情報を収集する。電力センサ付きのコンセント20を備える機器としては,例えば,複数のコンセント20を持つ電源タップなどが考えられる。
電力情報統合部13は,取得された消費電力の情報を電力情報記憶部14に記憶する。このとき,電力情報統合部13は,対応情報記憶部12に記憶されたコンセント情報や,コンピュータ1の時計機能(図示省略)等を参照し,消費電力の情報に,その消費電力の情報が計測されたコンセント20の識別情報や,計測された日時などを対応付ける。
図4は,本実施の形態によるコンセントデータの例を示す図である。
図4に示すコンセントデータ120は,対応情報記憶部12に記憶されたコンセント情報の一例である。コンセントデータ120は,コンセントID,ユーザID,設置場所,電気機器等の情報を持つ。
コンセントIDは,電力供給部であるコンセント20を一意に識別する識別情報である。消費電力を計測する対象のコンセント20には,コンセントIDが割り当てられる。
ユーザIDは,ユーザを一意に識別する識別情報である。図4のコンセントデータ120に示すように,各コンセント20のコンセントIDに,そのコンセント20の使用が割り当てられたユーザのユーザIDが対応付けされている。このように,コンセントデータ120は,ユーザと電力供給部であるコンセント20との対応情報でもある。
設置場所は,コンセント20の設置場所を示す。設置場所は,例えば,オフィスにおいて,コンセント20が設置されたデスクの位置を示す情報などである。なお,図4に示すコンセントデータ120では図示されていないが,設置場所の情報には,ネットワークへの配線接続やIP(Internet Protocol )アドレスなどの情報も含まれる。
電気機器は,コンセント20に電源接続する電気機器を示す。本実施の形態では,ユーザは,コンセント20に電源接続する電気機器を,あらかじめシステムに登録しておくものとする。
例えば,ユーザのデスクに,4つのコンセント20を持つ電源タップが1つ配置されているものとする。この場合,コンセントデータ120では,ユーザと4つのコンセント20とが対応付けされる。このとき,本実施の形態によってユーザの席替えを推測した結果は,ユーザとそのユーザが使用する電源タップとの対応の変更を推測した結果となる。図4に示すコンセントデータ120の例には示されていないが,コンセントデータ120において,例えば,コンセントIDに,該当コンセント20が配置された電源タップの識別情報を対応付けることも可能である。
電力情報統合部13は,例えば,図4に示すコンセントデータ120を参照し,コンセント20から取得された消費電力の情報に,該コンセント20のコンセントIDを付与して,電力情報記憶部14に記憶する。
図5は,本実施の形態による電力データの例を示す図である。
図5に示す電力データ140は,電力情報記憶部14に記憶された電力情報の一例である。電力データ140は,コンセントID,日付,時刻,消費電力等の情報を持つ。
コンセントIDは,消費電力が計測されたコンセント20の識別情報である。日付,時刻は,消費電力が計測された日時を示す。消費電力は,該当日時に,該当コンセント20で計測された消費電力を示す。
図5に示す例では,各コンセント20から取得された消費電力の情報をまとめて管理する電力データ140の例を示しているが,例えば,コンセント20ごと,日付ごとのファイルで消費電力の情報を管理するようにしてもよい。
推測部15は,例えば,図5に示す電力データ140から,ユーザの席替えの有無を推測する。推測部15は,所定の周期で,席替え推測の処理を行う。ここでは,1日分の電力情報がまとまるごとに,1日に1回,推測部15が,各ユーザの席替え推測の処理を行うものとする。
推測部15は,対応情報記憶部12のコンセントデータ120を参照し,処理対象のユーザに割り当てられたコンセント20を特定する。例えば,ユーザID“user01”のユーザの席替え推測処理を行う場合に,推測部15は,図4に示すコンセントデータ120を参照し,ユーザID“user01”のユーザに割り当てられたコンセント20のコンセントID“outlet01”,“outlet02”,“outlet03”,“outlet04”を取得する。
推測部15において,検出部151は,処理対象のユーザに割り当てられたコンセント20ごとに,電力情報記憶部14の電力データ140を参照し,消費電力が0Wの状態の検出を行う。例えば,検出部151は,処理対象のユーザに対応するコンセント20のコンセントIDで,図5に示す電力データ140を参照し,検索対象の1日分の消費電力の情報から,消費電力が0Wの状態を検出する。
図6は,本実施の形態によるコンセントに電源接続される電気機器の状態を説明する図である。
図6に示す消費電力グラフは,あるコンセント20のある日付における消費電力の時間変遷をグラフで表したものである。
図6に示す消費電力グラフにおいて,消費電力が25W前後で推移している時間帯は,コンセント20に電源接続された電気機器が通常に使用されている状態を示している。この状態は,例えば,電源接続されたパソコンの主電源がONとなっており,ユーザがそのパソコンを使用している状態などである。以下では,このような状態を通常使用状態と呼ぶものとする。
図6に示す消費電力グラフにおいて,消費電力が4W前後で推移している時間帯は,コンセント20に電源接続された電気機器が使用されずに待機している状態を示している。この状態は,例えば,電源接続されたパソコンの主電源がOFFとなっており,待機電力が発生している状態などである。例えば,コンセント20に電気機器のプラグが差し込まれている状態では,ある程度の待機電力が発生するケースが多い。以下では,このような状態を待機状態と呼ぶものとする。
図6に示す消費電力グラフにおいて,消費電力がほぼ0Wの状態で推移している時間帯は,例えば,コンセント20に電気機器が電源接続されていない状態を示している。例えば,コンセント20から電気機器のプラグが引き抜かれると,待機電力が発生しなくなる。以下では,このような消費電力が0Wの状態を,0W状態と呼ぶものとする。なお,コンセント20に電気機器のプラグが差し込まれた状態であっても,停電などにより消費電力が計測されないケースもある。
ここで説明した状態以外にも,消費電力の情報から推定される電気機器の状態としては,例えば,充電池を備える電気機器に対する充電状態や,電気機器が省電力モードで動作する状態などがある。このような電気機器の状態は,計測される消費電力の特性から推測することが可能である。例えば,過去に計測された消費電力の蓄積データに対する統計解析の結果や,公表された定格消費電力などの情報からの推定が可能である。
なお,コンセント20に電気機器が電源接続されていない状況でも,ノイズとしてわずかな消費電力が検出される場合がある。このような状況を考慮して,検出部151は,電力データ140からコンセント20の消費電力が0Wの状態を検出する際に,消費電力が所定の閾値以下の状態の検出を行う。所定の閾値は,コンセント20に取り付けられた電力センサの精度等に応じて,任意の値が設定可能である。
さらに,検出部151は,処理対象のユーザに対応するすべてのコンセント20で同時刻に0W状態が検出されたかをチェックする。このチェック処理の対象となるすべてのコンセント20は,例えば,ユーザに使用が割り当てられ,ユーザのデスクに設置されたすべてのコンセント20である。以下では,処理対象のユーザに対応するすべてのコンセント20で同時刻に0W状態が検出された状態を,全コンセント0W状態と呼ぶ。
図7は,本実施の形態による全コンセント0W状態と全コンセント0W状態前後における接続機器変更の判断を説明する図である。
図7には,図4に示すコンセントデータ120において,ユーザID“user01”のユーザに割り当てられた各コンセント20のある日付における消費電力グラフの例が示されている。なお,図7に示す各コンセント20の消費電力グラフでは,消費電力の時間変遷を電気機器の状態ごとに平均化した直線で表している。
図7に示す例では,時刻t1 から時刻t2 の間で,すべてのコンセント20から0W状態が検出される全コンセント0W状態となっている。このような全コンセント0W状態が検出されたユーザは,席替えをした可能性がある。
一般に,席替えを行うユーザは,席替え元のデスクのコンセント20からすべての電気機器のプラグを抜いてから,席替え先のデスクに荷物の移動を行い,席替え先のデスクのコンセント20に移動した電気機器のプラグを差し込んで電源接続を行う。そのため,席替え時には,席替えを行うユーザのデスクに設置されたすべてのコンセント20の消費電力が,同時に0W状態となる可能性が高い。
検出部151は,全コンセント0W状態が検出された場合に,ユーザ管理情報記憶部156に記憶されたユーザ管理情報に,処理対象のユーザについて全コンセント0W状態が検出された旨を記録する。
図8は,本実施の形態によるユーザフラグデータの例を示す図である。
図8に示すユーザフラグデータ159は,ユーザ管理情報記憶部156に記憶されたユーザ管理情報の一例である。ユーザフラグデータ159は,ユーザID,全コンセント0W状態フラグ,席替えフラグの情報を持つ。
ユーザIDは,ユーザを一意に識別する識別情報である。全コンセント0W状態フラグは,該当ユーザについて,全コンセント0W状態が検出されたか否かを示すフラグである。“1”は,全コンセント0W状態が検出されたことを示し,“0”は,全コンセント0W状態が検出されなかったことを示す。席替えフラグは,該当ユーザについて,席替えありと推測されたか否かを示す。“1”は,席替えありと推測されたことを示し,“0”は,席替えありと推測されなかったことを示す。
例えば,図7に示す例では,ユーザID“user01”のユーザについて,全コンセント0W状態が検出されている。このとき,検出部151は,ユーザID“user01”のユーザについて,図8に示すユーザフラグデータ159における全コンセント0W状態を“1”に更新する。
比較判断部152は,処理対象のユーザについて全コンセント0W状態が検出された場合に,そのユーザに対応する各コンセント20について,電力情報記憶部14に記憶された電力データ140を参照し,全コンセント0W状態の前後の消費電力を比較する。比較判断部152は,全コンセント0W状態の前後で消費電力の特性が異なるコンセント20については,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の変更があったと判断する。比較判断部152は,全コンセント0W状態の前後で消費電力の特性が同じコンセント20については,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の変更がなかったと判断する。
例えば,ユーザID“user01”のユーザに割り当てられた各コンセント20における消費電力の時間変遷が,図7に示す通りであったものとする。このとき,比較判断部152は,コンセントID“outlet01”,“outlet02”,“outlet03”,“outlet04”の各コンセント20について,全コンセント0W状態の前後の消費電力の比較を行う。
ここでは,比較判断部152は,各コンセント20について,全コンセント0W状態の前後の通常使用状態における平均消費電力の比較を行うものとする。例えば,比較判断部152は,全コンセント0W状態の前後の通常使用状態における平均消費電力の値の差が2W以内である場合に,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の変更がなかったと判断する。
例えば,図7において,コンセントID“outlet01”のコンセント20について,全コンセント0W状態の前後の通常使用状態における平均消費電力を比較すると,全コンセント0W状態の前後で値が2W以上離れている。比較判断部152は,全コンセント0W状態の前後の通常使用状態における平均消費電力の値の差が2W以上離れているので,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の変更があったと判断する。コンセントID“outlet02”,“outlet03”,“outlet04”の各コンセント20についても同様に,全コンセント0W状態の前後の通常使用状態における平均消費電力の値の差が2W以上離れているので,電源接続された電気機器の変更があったと判断される。
なお,全コンセント0W状態の前後の消費電力については,全コンセント0W状態が検出された当日の電力データ140で確認できない場合がある。例えば,ユーザが席替えで荷物だけを移動し,席替え先でのコンセント20への電気機器の電源接続は,翌日以降に行うというケースも考えられる。
このとき,比較判断部152は,全コンセント0W状態が検出された日の前後の所定期間の電力データ140を用いて,全コンセント0W状態の前後の消費電力の比較を行う。全コンセント0W状態が検出された日の前後の所定期間については,例えば,全コンセント0W状態が検出された日の前後の2日間など,任意の設定が可能である。全コンセント0W状態が検出された日の前後の所定期間の電力データ140を用いても,0W状態以外の消費電力が検出されない場合には,比較判断部152は,該当コンセント20に電源接続された電気機器はないと判断する。
ここでは,コンセント20に電源接続された電気機器の変更の判断に用いる消費電力の特性として,通常使用状態における平均消費電力を用いた例を説明したが,判断に用いる消費電力の特性については,任意の設計が可能である。例えば,コンセント20に電源接続された電気機器の変更の判断に用いる消費電力の特性として,通常使用状態における平均消費電力と待機状態における平均消費電力とを用いるなどしてもよい。
判定部153は,処理対象ユーザに対応する各コンセント20に電源接続された電気機器の変更の状況から,処理対象ユーザの席替えの有無を判定する。コンセント20に電源接続された電気機器の変更の状況に基づいた,ユーザの席替え有無の判定については,様々な設計が可能である。ここでは,その一例を説明する。
判定部153は,処理対象ユーザに対応する各コンセント20について,全コンセント0W状態の前後で,各コンセント20に電源接続された電気機器の変更があるかを判定する。すべてのコンセント20で,電源接続された電気機器の変更が見られない場合には,判定部153は,処理対象のユーザについて,席替えなしと判定する。例えば,全コンセント0W状態の前後で,コンセント20に電源接続された電気機器の変更が見られない場合には,停電や一時的に電源接続を切っただけなど,席替え以外の理由による全コンセント0W状態の検出である可能性が高いと判断できる。いずれかのコンセント20に電源接続された電気機器の変更が見られた場合には,席替えによる全コンセント0W状態の検出である可能性がある。
いずれかのコンセント20に電源接続された電気機器の変更が見られた場合に,判定部153の接続数照合部154は,全コンセント0W状態の前後で,処理対象のユーザに対応するコンセント20に電源接続された電気機器の数の変更をチェックする。
図9は,本実施の形態によるコンセントに電源接続された電気機器の数に変更があった例を説明する図である。
図9に示す例は,図4に示すコンセントデータ120において,ユーザID“user01”のユーザに割り当てられた各コンセント20について,全コンセント0W状態の前後における平均消費電力の変化の例を示している。
図9に示す例において,全コンセント0W状態の前では,4つのコンセント20のすべてに電気機器の電源接続が確認されている。これに対して,全コンセント0W状態の後では,コンセントID“outlet04”のコンセント20について,電気機器の電源接続が確認されていない。このとき,接続数照合部154は,全コンセント0W状態の前後で,コンセント20に電源接続された電気機器の数に変更があったと判定する。
判定部153は,電源接続された電気機器の数に変更があったと判定された際に,全コンセント0W状態の前後で電気機器の電源接続が確認されたコンセント20について,電気機器の変更があるかを判定する。このとき,電気機器の変更が見られれば,判定部153は,処理対象のユーザについて,席替えありと判定する。
電気機器の変更が見られなければ,席替えは行われずに,追加で電気機器を電源接続しただけのケースや,電源接続された電気機器を取り外しただけのケースも考えられる。図9に示す例が,電気機器の変更が見られない例である。このとき,判定部153は,例えば,ユーザ管理情報記憶部156に記憶されたユーザフラグデータ159を参照し,処理対象ユーザ以外のユーザに席替えありと判定されたユーザがいるかを判定する。
他のユーザに席替えありと判定されたユーザがいれば,判定部153は,処理対象のユーザについて,席替えありと判定する。転勤や退社などによって席を失うようなケースを除いて,席替えは複数のユーザの間で行われる。他のユーザに席替えありと判定されたユーザがいれば,処理対象のユーザに席替えがあった可能性が高くなる。
他のユーザに席替えありと判定されたユーザがいなければ,判定部153は,処理対象のユーザについて,席替えなしと判定する。この場合は,追加で電気機器を電源接続しただけのケースや,電源接続された電気機器を取り外しただけのケースの可能性が高いと判断できる。
全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の数に変更がない場合,判定部153の組み合わせ判定部155は,全コンセント0W状態の前後で,処理対象のユーザに対応するコンセント20に電源接続された電気機器の組み合わせが同じであるかを判定する。
図10は,本実施の形態によるコンセントに電源接続された電気機器の組み合わせが同じである例を説明する図である。
図10に示す例は,図4に示すコンセントデータ120において,ユーザID“user01”のユーザに割り当てられた各コンセント20について,全コンセント0W状態の前後における平均消費電力の変化の例を示している。
図10に示す例において,全コンセント0W状態の前におけるコンセントID“outlet01”のコンセント20と,全コンセント0W状態の後におけるコンセントID“outlet01”のコンセント20に電源接続された電気機器は,平均消費電力の値から,同じ電気機器である可能性が高いと判断できる。同様に,
前:コンセントID“outlet02” → 後:コンセントID“outlet03”
前:コンセントID“outlet03” → 後:コンセントID“outlet04”
前:コンセントID“outlet04” → 後:コンセントID“outlet02”
の関係で,コンセント20に電源接続された電気機器が,全コンセント0W状態の前後で同じ電気機器である可能性が高いと判断できる。このような場合に,組み合わせ判定部155は,全コンセント0W状態の前後で,処理対象ユーザに対応するコンセント20に電源接続された電気機器の組み合わせが同じであると判定する。
判定部153は,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の組み合わせが同じであると判定された際に,処理対象のユーザについて,席替えなしと判定する。この場合は,ユーザが,自身に割り当てられたコンセント20の範囲内で,電気機器の電源接続を入れ替えただけの可能性が高いと判断できる。
判定部153は,全コンセント0W状態の前後でコンセント20に電源接続された電気機器の組み合わせが異なると判定された際に,処理対象のユーザについて,席替えありと判定する。全コンセント0W状態の後で,全コンセント0W状態の前にいずれのコンセント20にも電源接続されていない電気機器が電源接続されている場合には,席替えがあった可能性が高いと判断できる。
判定部153は,席替えありと判定した場合に,例えば,図8に示すユーザフラグデータ159における処理対象ユーザの席替えフラグを,“1”に更新する。
通知部16は,図8に示すユーザフラグデータ159において,席替えフラグが“1”のユーザがいる場合に,その旨を,消費電力の監視システムの管理者が操作する情報機器に対して通知する。消費電力の監視システムの管理者が操作する情報機器に対する通知は,電子メールを利用した通知や,メッセンジャーを利用した通知など,任意の設計が可能である。
席替え推測装置10からの通知を見た管理者は,例えば,席替えありと推測されたユーザと電話で直接に連絡を取るなどして,実際に席替えがあったかを確認する。実際に席替えがあったことを確認できた場合には,管理者は,コンセントデータ120におけるコンセント20とユーザとの対応を更新するなどの対処を行う。
このように,本実施の形態による席替え推測装置10によって,ユーザの席替えの有無を自動で推測することが可能となる。これにより,例えば消費電力の監視システムの管理者などは,速やかにかつ容易にユーザの席替えを認知して,ユーザの席替えに応じたデータ更新などの対処を行うことが可能となる。
以下では,図11,図12に示すフローチャートを用いて,本実施の形態の席替え推測装置10による席替え推測処理の流れの例を説明する。なお,以下では,コンセント20に電源接続された電気機器を,接続機器とも呼ぶものとする。
図11は,本実施の形態の席替え推測装置による席替え推測処理フローチャートである。
ここでは,図11に示す席替え推測処理が,1日に一回,その日の最後に実行されるものとする。なお,席替え推測処理を実行するタイミングについては,任意の設計が可能である。
席替え推測装置10において,推測部15は,処理対象のユーザを1人選択する(ステップS10)。推測部15は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザの全コンセント0W状態フラグが“1”であるかを判定する(ステップS11)。全コンセント0W状態フラグが“1”であれば(ステップS11のYES),推測部15は,ステップS15の処理に進む。
全コンセント0W状態フラグが“1”でなければ(ステップS11のNO),検出部151は,処理対象ユーザに対応するコンセント20ごとに,その日の電力データ140から,0W状態を検出する(ステップS12)。検出部151は,処理対象ユーザに対応するすべてのコンセント20について同時刻に0W状態が検出されたか,すなわち処理対象ユーザについて全コンセント0W状態が検出されたかを判定する(ステップS13)。
全コンセント0W状態が検出されなければ(ステップS13のNO),推測部15は,ステップS18の処理に進む。ここでは,全コンセント0W状態が検出されない場合には,処理対象ユーザが席替えした可能性は薄いと判断している。
全コンセント0W状態が検出されれば(ステップS13のYES),検出部151は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザの全コンセント0W状態フラグを“1”に設定する(ステップS14)。ここでは,全コンセント0W状態が検出された場合には,処理対象ユーザが席替えした可能性があると判断している。
推測部15は,処理対象ユーザに対応するすべてのコンセント20について,全コンセント0W状態後に消費電力が検出されたかを判定する(ステップS15)。
すべてのコンセント20で全コンセント0W状態後に消費電力が検出されていなければ(ステップS15のNO),推測部15は,ステップS18の処理に進む。ここでは,すべてのコンセント20で全コンセント0W状態後に消費電力が検出されるまでは,席替えの判定ができないと判断している。なお,図11のフローチャートでは省略しているが,電気機器の電源接続がないケースも考慮し,全コンセント0W状態検出後,所定期間が経過していれば,消費電力が検出されていないコンセント20があっても,ステップS16の処理に進むものとする。
すべてのコンセント20で全コンセント0W状態後に消費電力が検出されていれば(ステップS15のYES),比較判断部152は,全コンセント0W状態前後の電力データ140を比較して,処理対象ユーザに対応する各コンセント20の接続機器の変更を判断する(ステップS16)。判定部153は,席替え判定処理を行う(ステップS17)。席替え判定処理の詳細については,後述する。このとき,判定部153は,処理対象ユーザの全コンセント0W状態フラグを“0”に戻しておく。
推測部15は,すべてのユーザについて処理が終了したかを判定する(ステップS18)。まだすべてのユーザについて処理が終了していなければ(ステップS18のNO),推測部15は,ステップS10の処理に戻って,次の処理対象ユーザの処理に進む。
すべてのユーザについて処理が終了していれば(ステップS18のYES),通知部16は,席替えの推測結果を,消費電力を監視するシステムの管理者の情報処理装置に通知する(ステップS19)。ユーザフラグデータ159において,席替えフラグが“1”であるユーザについては,席替えありの推測結果が通知される。席替え推測装置10は,処理を終了する。
図12は,本実施の形態の判定部による席替え判定処理フローチャートである。
判定部153は,処理対象ユーザに対応するコンセント20のいずれかに,全コンセント0W状態の前後で接続機器の変更があるかを判定する(ステップS20)。
接続機器の変更がなければ(ステップS20のNO),判定部153は,処理対象ユーザの席替えなしと判定し(ステップS25),処理を終了する。
接続機器の変更があれば(ステップS20のYES),判定部153は,処理対象ユーザに対応するコンセント20において,全コンセント0W状態の前後で接続機器の数に変更があるかを判定する(ステップS21)。
接続機器の数の変更がなければ(ステップS21のNO),判定部153は,処理対象ユーザに対応するコンセント20において,全コンセント0W状態の前後で接続機器の組み合わせが同じかを判定する(ステップS22)。
接続機器の組み合わせが同じであれば(ステップS22のYES),判定部153は,処理対象ユーザの席替えなしと判定し(ステップS25),処理を終了する。
接続機器の組み合わせが同じでなければ(ステップS22のNO),判定部153は,処理対象ユーザの席替えありと判定する(ステップS26)。判定部153は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザの席替えフラグを“1”に設定し(ステップS27),処理を終了する。
接続機器の数の変更があれば(ステップS21のYES),判定部153は,全コンセント0W状態の前後で接続機器が検出されたコンセント20について,全コンセント0W状態の前後で接続機器がすべて同じかを判定する(ステップS23)。
いずれかのコンセント20で接続機器が同じでなければ(ステップS23のNO),判定部153は,処理対象ユーザの席替えありと判定する(ステップS26)。判定部153は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザの席替えフラグを“1”に設定し(ステップS27),処理を終了する。
接続機器がすべて同じであれば(ステップS23のYES),判定部153は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザ以外のユーザに,席替えフラグが“1”のユーザがいるかを判定する(ステップS24)。
席替えフラグが“1”のユーザがいれば(ステップS24のYES),判定部153は,処理対象ユーザの席替えありと判定する(ステップS26)。判定部153は,ユーザフラグデータ159において,処理対象ユーザの席替えフラグを“1”に設定し(ステップS27),処理を終了する。
席替えフラグが“1”のユーザがいなければ(ステップS24のNO),判定部153は,処理対象ユーザの席替えなしと判定し(ステップS25),処理を終了する。
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
例えば,本実施の形態では,ユーザに対応するすべてのコンセントを,ユーザの席替え推測時に比較判断する対象とした例を説明したが,これに限るものではない。例えば,各コンセントごとにユーザの利用実績の有無を表すフラグを設けておき,当該フラグが設定されているコンセントを,ユーザの席替え推測時に比較判断する対象としてもよい。