以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、液晶プロジェクション装置10の全体構成図である。図1に矢印で示すXYZをXYZ方向とする。X方向を水平方向として、Y方向を鉛直方向とする。図1に示すように、液晶プロジェクション装置10は、液晶プロジェクタ14と、波長選択性偏光ローテータ16と、光学装置18とを有する。液晶プロジェクション装置10は、液晶プロジェクタ14によって生成された複数の偏光方向を有する偏光を含む画像を、光学装置18に出射して、スクリーン12に画像を投影して表示する。液晶プロジェクタ14の内部において、矢印Arで示すように、画像Gは上から下へと順に形成される。
図2は、液晶プロジェクション装置10の内部構成図である。図2に示すように、液晶プロジェクタ14は、光源20と、ダイクロイックミラー22、24と、反射ミラー26、28、30と、集光レンズ32と、青用液晶パネル34と、緑用液晶パネル36と、赤用液晶パネル38と、偏光ビームスプリッタ40と、投影レンズ44とを備える。青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36及び赤用液晶パネル38は、液晶画像生成部の一例であって、ライトバルブとして機能する。
光源20は、非偏光または偏光の3原色を含む光を出射して、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、及び、赤用液晶パネル38に3原色の光を提供する。光源20の一例は、非偏光のUHP(Ultra High Power)ランプ及びLEDランプ、偏光のレーザ等である。
ダイクロイックミラー22は、光源20の光の出射方向の下流側に配置されている。ダイクロイックミラー22は、光源20から出射された3原色のうち、青色の光BLを透過するとともに、緑色の光GL及び赤色の光RLをダイクロイックミラー24の方向へと反射する。
ダイクロイックミラー24は、ダイクロイックミラー22の光の反射方向に配置されている。ダイクロイックミラー24は、赤色の光RLを透過するとともに、緑色の光GLを、緑用液晶パネル36及び偏光ビームスプリッタ40へと反射する。
反射ミラー26は、光源20の光の出射方向であって、ダイクロイックミラー22の下流側に配置されている。反射ミラー26は、ダイクロイックミラー22を透過した青色の光BLを青用液晶パネル34へと反射する。
反射ミラー28は、ダイクロイックミラー22の光の反射方向であって、ダイクロイックミラー24よりも下流側に配置されている。反射ミラー28は、ダイクロイックミラー24を透過した赤色の光RLを反射ミラー30に反射する。
反射ミラー30は、反射ミラー28の光の反射方向に配置されている。反射ミラー30は、反射ミラー28によって反射された赤色の光RLを赤用液晶パネル38の方向へと反射する。
集光レンズ32は、反射ミラー28と反射ミラー30との間に配置されている。集光レンズ32は、反射ミラー28によって反射された赤色の光RLを反射ミラー30へと集光する。
青用液晶パネル34は、2次元のマトリックス状に配置された複数の画素を有する。各画素は、光の偏光方向を制御して、特定の偏光方向の光を透過または遮断する。図2の例において、偏光ビームスプリッタ40の周囲に矢印で示すように、青用液晶パネル34の各画素が透過する偏光の偏光方向は、水平方向である。青用液晶パネル34は、反射ミラー26によって反射された青色の光BLのうち、表示する画像に基づいて、一部の画素に入射した光BLを偏光にした状態で透過して偏光ビームスプリッタ40へと進行させ、他の画素に入射した光BLを遮断する。
緑用液晶パネル36は、青用液晶パネル34と同様の画素を有する。緑用液晶パネル36は、ダイクロイックミラー24によって反射された緑色の光GLのうち、表示する画像に基づいて、一部の画素に入射した光GLを偏光にした状態で透過して偏光ビームスプリッタ40へと進行させ、他の画素に入射した光GLを遮断する。緑用液晶パネル36から出射される光の偏光方向は、鉛直方向である。従って、緑用液晶パネル36から出射される光の偏光方向は、青用液晶パネル34から出射される光の偏光方向に対して直交する。図2の例において、偏光ビームスプリッタ40の周囲に矢印で示すように、緑用液晶パネル36の各画素が透過する偏光の偏光方向は、鉛直方向である。
赤用液晶パネル38は、青用液晶パネル34と同様の画素を有する。赤用液晶パネル38は、反射ミラー30によって反射された赤色の光RLのうち、表示する画像に基づいて、一部の画素に入射した光RLを偏光にした状態で透過して偏光ビームスプリッタ40へと進行させ、他の画素に入射した光RLを遮断する。赤用液晶パネル38から出射される偏光の偏光方向は、水平方向であって、青用液晶パネル34から出射される光の偏光方向と平行である。
偏光ビームスプリッタ40は、三角柱状のプリズムが組み合わされた直方体形状に形成されている。偏光ビームスプリッタ40の一面には、青用液晶パネル34が対向して配置されている。偏光ビームスプリッタ40の他の面には、緑用液晶パネル36が対向して配置されている。青用液晶パネル34が対向して配置される偏光ビームスプリッタ40の一面と対向する面には、赤用液晶パネル38が対向して配置されている。偏光ビームスプリッタ40は、投影レンズ44の入射側に配置されている。
偏光ビームスプリッタ40は、一の偏光方向の光を反射して、他の偏光方向の光を透過する。具体的には、偏光ビームスプリッタ40は、偏光方向が水平方向である青色の光BL及び赤色の光RLを反射して、これらの光と偏光方向が直交する緑色の光GLを透過する。これにより、偏光ビームスプリッタ40は、青用液晶パネル34を透過した青色の光BLにより構成される画像を投影レンズ44へと反射する。偏光ビームスプリッタ40は、緑用液晶パネル36を透過した緑色の光GLにより構成される画像を透過して、投影レンズ44へと進行させる。偏光ビームスプリッタ40は、赤用液晶パネル38を透過した赤色の光RLにより構成される画像を投影レンズ44へと反射する。
即ち、偏光ビームスプリッタ40は、3方向から入射した3原色の画像を投影レンズ44の方向へと出射する。これにより、偏光ビームスプリッタ40は、3原色の画像を結合させた画像を投影レンズ44へと出射するコンバイナとして機能する。偏光ビームスプリッタ40に代えて、波長毎に光を反射または透過するクロスダイクロイックプリズムを用いてもよい。クロスダイクロイックプリズムは、図2の偏光ビームスプリッタ40に代えて配置する場合、緑色の光GLを透過して、青色の光BL及び赤色の光RLを反射するように設定される。
投影レンズ44は、偏光ビームスプリッタ40によって結合された3原色の光による画像を、波長選択性偏光ローテータ16を介して、光学装置18へと拡大して出射する。
波長選択性偏光ローテータ16は、偏光変換部材の一例である。波長選択性偏光ローテータ16は、投影レンズ44の出射側に配置されている。波長選択性偏光ローテータ16には、偏光ビームスプリッタ40からカラーを構成する3原色である青色、緑色、赤色の偏光によって構成される画像が入射される。波長選択性偏光ローテータ16は、緑色の波長を有し、鉛直方向を偏光方向とする偏光の偏光方向を90度回転させて出射する。従って、緑色の偏光は、水平方向を偏光方向として波長選択性偏光ローテータ16から出射される。一方、波長選択性偏光ローテータ16は、青色及び赤色の波長を有する偏光は偏光方向を変調させることなく、透過する。従って、波長選択性偏光ローテータ16は、入射する複数の偏光方向の偏光である赤色、緑色、及び、青色の偏光方向を水平方向に変換して、光学装置18に出射する。尚、波長選択性偏光ローテータ16として、カラーリンクジャパン社製の「カラーセレクト(登録商標)」を適用することができる。また、波長選択性偏光ローテータ16には、特表平11−504441号公報に記載の積層リタデーションフィルムの技術を適用できる。
光学装置18は、液晶プロジェクタ14の出射側に配置されている。光学装置18は、平板状である。光学装置18の形状の一例は、鉛直方向の長さが10cm、水平方向の長さが15cmの四角形状である。光学装置18の主面は、液晶プロジェクタ14に画像の出射方向に対して、略垂直に配置されている。光学装置18は、投影レンズ44から出射された画像を透過または遮断する液晶シャッタとして機能する。光学装置18は、偏光変調機50と、出射側偏光板52とを有する。偏光変調機50は、入射側偏光板54と、液晶パネル56とを有する。
図3は、光学装置18の分解斜視図である。図3を参照して、光学装置18の詳細を説明する。
入射側偏光板54は、光学部材の一例である。入射側偏光板54は、光学装置18において、最も入射側に配置されている。入射側偏光板54は、四角形の板状に形成されている。入射側偏光板54は、矢印で示すように、水平方向の透過軸を有する。入射側偏光板54は、波長選択性偏光ローテータ16から出射される画像を構成する偏光の偏光方向と同じ方向の透過軸を有する。従って、入射側偏光板54は、水平方向を偏光方向とする直線偏光を出射する。入射側偏光板54を構成する材料の一例は、染料系、または、顔料系の材料である。
液晶パネル56は、入射側偏光板54の出射側に配置されている。液晶パネル56は、入射側偏光板54と略同形状の四角形状に形成されている。液晶パネル56は、入射側偏光板54と略平行に配置されている。液晶パネル56の上辺は、液晶プロジェクタ14から投影される画像の上辺と略一致するように設定されている。また、液晶パネル56の下辺は、液晶プロジェクタ14から投影される画像の下辺と略一致するように設定されている。液晶パネル56は、入射側基板58と、6枚の入射側透明電極60a〜60fと、液晶部材62と、出射側透明電極64と、出射側基板66とを有する。尚、6枚の入射側透明電極60のいずれかを特定する必要がない場合、符号を「60」とする。
入射側基板58は、光学的に等方で光を透過可能な材料からなる。入射側基板58は、例えば、ガラスからなる。入射側基板58は、複数の入射側透明電極60を保持する。
入射側透明電極60は、光を透過するとともに、導電性を有する材料からなる。入射側透明電極60を構成する材料の一例は、ITO(Indium Tin Oxide)である。入射側透明電極60は、入射側基板58の出射側に設けられている。6枚の入射側透明電極60は、伸長方向の一例である水平方向に伸びる長方形状に形成されている。入射側透明電極60の水平方向の長さは、入射側基板58と略同じである。入射側透明電極60a〜60fは、伸長方向と交差する鉛直方向に沿って、順に配列されている。入射側透明電極60bから60eの鉛直方向の長さは、入射側基板58の鉛直方向の長さの1/6よりもやや短い。尚、液晶プロジェクタ14から投影される画像よりも、入射側透明電極60が設けられている液晶パネル56の有効エリアを大きくしてもよい。この場合、入射側透明電極60a及び入射側透明電極60fの鉛直方向の長さを、他の入射側透明電極60bから60eよりも大きくすればよい。これにより、液晶プロジェクタ14から投影される画像に対する液晶パネル56の鉛直方向の位置合わせが容易になる。隣接する入射側透明電極60間には、絶縁用のギャップ68があけられる。ギャップ68は、水平方向に延びる。即ち、ギャップ68は、入射側偏光板54の透過軸、及び、入射する偏光の偏光方向と略平行な方向に延びる。ここでいう略平行とは、ギャップ68の伸長方向と、入射する偏光の偏光方向との間の角度が、±38.65度の範囲内、好ましくは、±37.6度の範囲内、より好ましくは±15度の範囲内である。当然に、略平行は、平行を含む。ギャップ68の水平方向の長さは、入射側基板58と略同じである。これにより、光学装置18は、フレア光を抑制できる。
液晶部材62は、入射側透明電極60と出射側透明電極64との間に封止されて配置されている。液晶部材62は、高電圧が印加されると、光学的等方状態(アイソトロピック)となる。液晶部材62は、低電圧が印加されると、λ/2位相差板として機能する。従って、液晶部材62は、低電圧が印加されると、水平方向を偏光方向とする偏光の偏光方向を90度回転させて、鉛直方向とする。液晶部材62は、反応性の速さからπモード型のベンド配向型液晶を用いることが好ましい。尚、液晶部材62は、OCB型等のベンド配向型液晶、スーパーツイストネマティック型液晶、ツイストネマティック型液晶、スメクチック型液晶のいずれかであってもよい。
出射側透明電極64は、例えば、ITOからなる。出射側透明電極64は、入射側基板58及び出射側基板66と略同形状の四角形状に形成されている。出射側透明電極64は、出射側基板66の全面にわたって形成されている。従って、出射側透明電極64には、ギャップが形成されていない。出射側透明電極64は、共通電極として機能する。出射側透明電極64は、液晶部材62を挟み、6枚の入射側透明電極60と対向して、6枚の入射側透明電極60より出射側に配置されている。
出射側基板66は、光学的に等方で光を透過可能な材料からなる。出射側基板66は、例えば、ガラスからなる。出射側基板66の入射側の面は、出射側透明電極64を保持する。出射側基板66と入射側基板58の間には、液晶部材62を封止する空間が形成される。
出射側偏光板52は、光学装置18において、液晶パネル56の出射側であって、最も出射側に配置されている。出射側偏光板52は、四角形の板状に形成されている。出射側偏光板52は、矢印で示すように、鉛直方向の透過軸を有する。換言すれば、出射側偏光板52は、低電圧が印加された液晶パネル56から出射される画像を構成する偏光の偏光軸と同じ方向の透過軸を有する。尚、ギャップ68と入射側偏光板54の透過軸及び入射する偏光の偏光方向との間の角度が、上記範囲内であって、平行ではない場合、液晶部材62による偏光方向の回転角度が適宜設定され、出射側偏光板52の透過軸も適宜設定される。
図4は、光学装置18の液晶部材62の近傍を拡大した縦断面図である。図4に示すように、隣接する入射側透明電極60間には、ギャップ68が形成されている。ギャップ68の鉛直方向の長さの一例は、15μmである。液晶部材62の偏光の進行方向の厚みの一例は、3μmから6μmである。
図5は、液晶プロジェクション装置10の制御系を説明するブロック図である。図5に示すように、液晶プロジェクタ14は、受信部70と、プロジェクタ制御部72と、青用液晶駆動部74と、緑用液晶駆動部76と、赤用液晶駆動部78とを更に有する。
受信部70は、外部の機器、例えば、パーソナルコンピュータから画像情報を受信する。受信部70は、受信した画像情報をプロジェクタ制御部72へと出力する。
プロジェクタ制御部72は、光源20のオン・オフを切り替える。プロジェクタ制御部72は、画像を生成する間、光源20をオン状態にして、それ以外の間は光源20をオフ状態にする。
プロジェクタ制御部72は、受信部70から画像情報を取得すると、画像情報に含まれる青色、緑色及び赤色の画像情報を抽出する。プロジェクタ制御部72は、青色の画像情報に基づいて、青用液晶駆動部74に駆動信号を出力する。同様に、プロジェクタ制御部72は、緑色及び赤色の画像情報に基づいて、緑用液晶駆動部76及び赤用液晶駆動部78に駆動信号を出力する。ここで、プロジェクタ制御部72は、動画の各コマの画像を連続して2回生成するように、駆動信号を出力する。これにより、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38の液晶部材の劣化が低減される。プロジェクタ制御部72は、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38のそれぞれの上から下に画像を生成するように、青用液晶駆動部74、緑用液晶駆動部76、赤用液晶駆動部78に駆動信号を出力する。
プロジェクタ制御部72は、光学装置18の光学装置制御部80へ信号を出力可能に接続されている。プロジェクタ制御部72は、画像書き込み周期と、画像書き込み開始タイミングと、液晶応答完了時間とを光学装置制御部80へと出力する。画像書き込み周期は、1コマの画像の書き込みに必要な時間である。画像書き込み周期の例は、1/120秒または1/240秒である。画像書き込み開始タイミングは、各コマの画像の書き込みを開始するタイミングのことである。換言すれば、画像書き込み開始タイミングは、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38の最上列の水平画素列へ電圧印加を開始するタイミングである。液晶応答完了時間は、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38の水平画素列の液晶に電圧が印加されてから、当該水平画素列の液晶の応答が完了する液晶応答完了タイミングまでの時間である。プロジェクタ制御部72は、画像書き込み開始タイミングを、各コマの画像を書き込む毎に出力する。プロジェクタ制御部72は、液晶応答完了時間を、液晶プロジェクタ14と光学装置18とが接続されたたときに一度出力する。尚、画像書き込み周期は、画像書き込み開始タイミングと画像書き込み開始タイミングとの間隔から算出してもよい。
青用液晶駆動部74、緑用液晶駆動部76、赤用液晶駆動部78は、プロジェクタ制御部72から取得した駆動信号に基づいて、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38のそれぞれを駆動して、画像を生成する。
光学装置18は、光学装置制御部80と、格納部82とを更に有する。光学装置制御部80は、プロジェクタ制御部72から画像書き込み開始タイミングを画像書き込み毎に取得する。光学装置制御部80は、液晶プロジェクタ14と接続されたときに、プロジェクタ制御部72から画像書き込み周期と、液晶応答完了時間とを取得して、格納部82に格納する。光学装置制御部80は、取得した画像書き込み周期と、画像書き込み開始タイミングと、液晶応答完了時間とに基づいて、6枚の入射側透明電極60の高電圧状態及び低電圧状態を切り替える。尚、光学装置制御部80による入射側透明電極60の制御の詳細について、後述する。
次に、液晶プロジェクション装置10の動作について説明する。まず、プロジェクタ制御部72は、受信部70を介して、外部機器から画像情報を取得する。プロジェクタ制御部72は、光源20をオン状態にするとともに、画像情報に基づいて、青用液晶駆動部74、緑用液晶駆動部76、赤用液晶駆動部78に駆動信号を出力する。青用液晶駆動部74、緑用液晶駆動部76、赤用液晶駆動部78は、駆動信号に基づいて、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38のそれぞれを駆動する。
これにより、光源20は、複数の原色の光を含む光を出射する。複数の原色を含む光は、ダイクロイックミラー22、24によって、3原色に分割される。分割された青色の光BL、緑色の光GL及び赤色の光RLは、反射ミラー26、28、30によって反射されて、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、及び、赤用液晶パネル38に入射される。青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、及び、赤用液晶パネル38は、青用液晶駆動部74、緑用液晶駆動部76、赤用液晶駆動部78から取得した駆動信号に基づいて、それぞれに入射した3原色の光の一部を偏光にして透過させて、偏光ビームスプリッタ40へと入射する。偏光ビームスプリッタ40は、3方向から入射された3原色の光の画像を結合させ、投影レンズ44を介して、波長選択性偏光ローテータ16へと入射する。
波長選択性偏光ローテータ16は、青色及び赤色の偏光の偏光方向は回転させることなく、緑色の偏光の偏光方向を90度回転させて水平方向として出射する。これにより、波長選択性偏光ローテータ16から出射される青色、緑色及び赤色の偏光の偏光方向は、略水平方向に統一されて、光学装置18に入射する。
光学装置18に入射した略水平方向を偏光方向とする偏光の振動成分のうち、鉛直方向の振動成分が遮断される。これにより、偏光の偏光方向は、入射側偏光板54によって、水平方向に更に統一される。偏光方向が統一された青色、緑色及び赤色の偏光は、入射側基板58、入射側透明電極60を透過して、液晶部材62に入射する。ここで、偏光の偏光方向は、入射側透明電極60及び入射側透明電極60間のギャップ68と略平行なので、フレア光がほとんど生じない。尚、フレア光がほとんど生じない理由については後述する。光学装置制御部80によって、高電圧状態となっている入射側透明電極60の出射側の領域の液晶部材62は、水平方向を偏光方向とする偏光を変調することなく、出射側透明電極64及び出射側基板66を介して出射する。水平方向を偏光方向とする偏光は、鉛直方向を透過軸とする出射側偏光板52によって遮光される。一方、低電圧状態となっている入射側透明電極60の出射側の領域の液晶部材62は、λ/2位相差板として機能するので、水平方向を偏光方向とする偏光の偏光方向を90度回転させ、出射側透明電極64及び出射側基板66を介して出射する。鉛直方向を偏光方向とする偏光は、出射側偏光板52を透過して、スクリーン12に達する。スクリーン12に達した偏光は、反射されて、画像をユーザに提供する。
次に、フレア光を抑制できる理由について説明する。図6は、高電圧印加状態でのフレア光の発生を説明するための比較形態の光学装置1018の一部の図である。図7は、低電圧印加状態でのフレア光の発生を説明するための比較形態の光学装置1018の一部の図である。
比較形態の光学装置1018は、入射側偏光板55と、出射側偏光板53とが、光学装置18と異なる。入射側偏光板55の透過軸は、鉛直方向である。従って、入射側偏光板55の透過軸は、入射側透明電極60及びギャップ68の長手方向と直交する。出射側偏光板53の透過軸は、水平方向である。尚、比較形態では、入射側偏光板55に鉛直方向を偏光方向とする偏光が入射される。それ以外の比較形態の光学装置1018の構成は、光学装置18と同様である。
図6に示すように、高電圧印加状態では、液晶部材62は光学的等方状態となっている。この状態において、比較形態の光学装置1018では、鉛直方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板55から出射されて、入射側基板58を透過する。この後、ギャップ68以外の領域、即ち、入射側透明電極60を透過する偏光PLは、液晶部材62によって偏光状態を変調されることなく、出射側透明電極64及び出射側基板66を透過した後、出射側偏光板53によって遮断される。
ここで、偏光は、電場の振動方向と交差するギャップを通過すると、振動方向に回折することが知られている。従って、ギャップ68を透過する偏光PLは、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。更に、ギャップ68で回折して傾斜した方向に進行する偏光PL1は、高電圧が印加されず配向が乱れている領域の液晶部材62を透過するので、当該偏光PL1は楕円偏光となる。この後、ギャップ68を透過した偏光PL1は、出射側透明電極64及び出射側基板66を透過した後、出射側偏光板53に達する。この偏光PL1は楕円偏光となっているので、偏光の一部が出射側偏光板53を透過して、フレア光となる。
図7に示すように、低電圧状態では、液晶部材62はλ/2位相差板として機能する。この状態において、比較形態の光学装置1018では、鉛直方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板55から出射されて、入射側基板58及び入射側透明電極60を透過する。ギャップ68以外の領域、即ち、入射側透明電極60を透過する偏光PLは、液晶部材62によって偏光方向が90度回転された水平方向となる。この水平方向を偏光方向とする偏光PLは、出射側透明電極64及び出射側基板66を透過した後、出射側偏光板53も透過して出射されて画像を形成する。
一方、ギャップ68を透過する偏光PLは、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。この後、ギャップ68で回折して傾斜した方向に進行する偏光PL1は、低電圧が印加されず配向が乱れている領域の液晶部材62を透過するので、当該偏光PL1は楕円偏光となる。この後、ギャップ68を透過した偏光PL1は、出射側透明電極64及び出射側基板66を透過した後、出射側偏光板53に達する。この偏光PL1は楕円偏光となっているので、偏光PL1の一部が出射側偏光板53を透過する。偏光PL1は傾斜した方向に進行するので、偏光PLが達する領域とは鉛直方向にずれた領域に達する。この結果、偏光PL1は、フレア光となる。
図8は、上述した高電圧印加状態での光学装置18の一部の図である。図9は、上述した低電圧印加状態での光学装置18の一部の図である。
図8に示すように、高電圧印加状態では、液晶部材62は光学的等方状態となっている。この状態において、実施形態の光学装置18では、水平方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板54から出射される。この偏光PLは、入射側基板58及び入射側透明電極60を透過した後、偏光方向を液晶部材62によって回転されることなく、出射側偏光板52まで達して遮光される。また、水平方向を偏光方向とする偏光PLは、入射側透明電極60間のギャップ68を透過しても、ほとんど回折することがない。これにより、偏光PLは、進行方向が維持される。この結果、光学装置18は、フレア光を抑制できる。
図9に示すように、低電圧印加状態では、液晶部材62はλ/2位相差板として機能する。この状態において、水平方向を偏光方向とする偏光PLは、偏光方向を液晶部材62によって90度回転されて鉛直方向となった状態で、出射側偏光板52まで達する。この後、偏光PLは出射側偏光板52を透過して出射されて画像を形成する。低電圧印加状態においても、入射側透明電極60に入射する偏光方向が、水平方向なので、偏光PLはほとんど回折しない。これにより、偏光PLは、進行方向が維持される。この結果、光学装置18は、フレア光を抑制できる。
次に、上述した実施形態の光学装置18の効果を証明した実験結果について説明する。図10は、上述した実施形態によって投影された四角の画像である。図11は、上述した比較形態によって投影された四角の画像である。
即ち、図10は、入射側偏光板54の透過軸及び入射側偏光板54から出射された偏光の偏光方向と、入射側透明電極60及びギャップ68の長手方向とが平行な光学装置18により投影された画像である。一方、図11は、入射側偏光板54の透過軸及び入射側偏光板54から出射された偏光の偏光方向と、入射側透明電極60及びギャップ68の長手方向とが直交する光学装置1018により投影された画像である。
図10に示すように、実施形態の光学装置18によって投影された画像にはフレア光はほとんど見られない。一方、図11に示すように、比較形態の光学装置1018によって投影された画像には、四角の画像から鉛直方向に延びるフレア光が明確に見える。この結果、上述した実施形態の効果が証明された。
次に、入射側偏光板54を垂線の周りで回転させて、入射側偏光板54の透過軸及び入射側偏光板54から出射された偏光の偏光方向と、入射側透明電極60及びギャップ68の長手方向との間の相対角度を0度〜90度まで変化させて、フレア光について調べた。
図12は、相対角度と、(フレア光/実像明るさ[%])との関係を調べた実験結果である。図13は、相対角度と、フレア光の鮮明度との関係を調べた実験結果である。フレア光の鮮明度は、「フレア光の鮮明度=(フレア光輝度−背景輝度)/(フレア光輝度+背景輝度)」によって算出される。尚、フレア光の輝度は、フレア光のうち最も明るい領域の輝度である。背景輝度は、上記フレア光の測定領域と同じ領域において、フレア光の元となる白表示の画像を消して全領域を黒表示としたときの輝度である。各近似曲線は、図に示すとおりである。
図12に示すように、相対角度が大きくなるにつれて、「フレア光/実像明るさ」は、部分的に減少することはあるが、全般的に上昇していることがわかる。図12の近似曲線から変曲点での相対角度が±37.6度であることがわかる。また、図13に示すように、相対角度が大きくなるにつれて、「フレア光の鮮明度」が上昇していることがわかる。図13の近似曲線から変曲点での相対角度が、±38.65度であることがわかる。この結果、相対角度は、±38.65度の範囲内が好ましく、±37.6度の範囲内がより好ましいことがわかる。更に、図12及び図13において、「フレア光/実像明るさ」及び「フレア光の鮮明度」は、相対角度が15度のとき最小値となることがわかる。この結果、相対角度は±15度の範囲内がより好ましいことがわかる。
次に、液晶プロジェクタ14及び光学装置18の動作タイミングを説明する。図14は、液晶プロジェクタ14及び光学装置18の動作タイミングの図である。図14において、横軸は時間を示す。図14における上3段の動作タイミングは、液晶プロジェクタ14に関する。図14における最下段の動作タイミングは、光学装置18に関する。
図14の最上段の「画像書換え周期」の動作タイミングに示すように、液晶プロジェクタ14の画像書換え1周期の間に、同じ画像が2コマ書き込まれる。例えば、最初の画像の画像書換え周期において、上から2段目の「画像書き込み」の動作タイミングに示すように、画像G1aと、画像G1aと同じ画像G1bとが順に書き込まれる。画像G1aと、画像G1bは、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38に印加される電圧の正負が逆転するが、同じ画像である。画像書き込みの動作タイミングに示す縦軸は、水平画素列の鉛直方向の位置に対応する。ここで、画像Gは、上から順に書き込まれる。従って、画像書き込みの動作タイミングに示す、画像書き込み開始の矢印は、一の水平画素列の画像書き込みを開始するタイミングとなる。画像G1a、G1bが書き込まれた後、次の画像G2a、G2bが書き込まれる。画像書き込み周期は、1コマの画像の書き込みに必要な時間であって、1コマ目の書き込みが開始してから次のコマの書き込みが開始するまでの時間である。上から3段目の「液晶応答完了」の矢印で示す動作タイミングは、電圧が印加された各水平画素列の液晶が応答して表示切り替えが終了するタイミングを示す。例えば、画像G1aの書き込みにおいて、水平画素列の最上列の液晶の応答が完了するタイミングが「Teu」であって、水平画素列の最下列の液晶の応答が完了するタイミングが「Ted」である。更に、画像G1aのうち、入射側透明電極60aに入射する画像を生成する最上部の水平画素列の全ての液晶の応答が完了するタイミングは、「Teu」から「時間dT」経過した後である。ここで、入射側透明電極60aは、鉛直方向において、入射する画像G1aの約1/6の長さを有するので、「時間dT=画素書き込み周期/6」となる。尚、入射側透明電極60の段数が、n枚の場合、「時間dT=画素書き込み周期/n」となる。
「透過・非透過切替動作」に示す動作タイミングは、光学装置18の液晶パネル56の入射側透明電極60a〜60fへの電圧印加のタイミングを示す。これにより、液晶プロジェクタ14から出射された画像の透過と非透過の切り替えのタイミングが制御される。例えば、最上段の入射側透明電極60aは、入射側透明電極60aに入射する画像を生成する最上部の複数の水平画素列の液晶応答完了タイミング後に、低電圧が印加されて、透過状態となる。入射側透明電極60bは、入射側透明電極60aに高電圧が印加された後、切替時間が経過すると低電圧が印加されて、透過状態となる。切り替え時間は、「画像書き込み周期/入射側透明電極の段数」である。「入射側透明電極の段数」は、本実施形態では「6」である。この後、入射側透明電極60c〜60fは、切替時間経過後に順に低電圧が印加されて、透過状態となる。
その後、最上段の入射側透明電極60aは、次の画像G2aの書き込みが開始されると、高電圧が印加されて非透過状態となる。入射側透明電極60bは、入射側透明電極60aに高電圧が印加された後、切替時間が経過すると高電圧が印加されて、非透過状態となる。この後、入射側透明電極60c〜60fは、切替時間経過後に順に高電圧が印加されて、非透過状態となる。この非透過状態では、画像が投影されないので、黒表示となる。この黒表示が、画像と画像との間に挿入されることにより、動画ぼけが低減される。これにより、青用液晶パネル34、緑用液晶パネル36、赤用液晶パネル38の液晶の応答性に起因する残像及び画像ボケを抑制することができる。
次に、上述した実施形態の一部を変更した実施形態について説明する。
図15は、透明電極を変更した光学装置118の分解斜視図である。図16は、偏光変調機150の一部を拡大した縦断面図である。図15では、他の部材で隠れている出射側透明電極164の一部を点線で示している。本実施形態においては、鉛直方向を偏光方向とする偏光が、光学装置118に入射する。図15及び図16に示すように、光学装置118は、偏光変調機150と、出射側偏光板152とを有する。偏光変調機150は、入射側偏光板154と、液晶パネル156とを有する。
入射側偏光板154は、鉛直方向の透過軸を有する。従って、入射側偏光板154は、鉛直方向を偏光方向とする直線偏光を出射する。
液晶パネル156は、入射側偏光板154の出射側に配置されている。液晶パネル156は、入射側基板158と、入射側透明電極160と、液晶部材162と、6枚の出射側透明電極164a〜164fと、出射側基板166とを有する。尚、6枚の出射側透明電極164のいずれかを特定する必要がない場合、符号を「164」とする。入射側基板158、液晶部材162及び出射側基板166は、それぞれ入射側基板58、液晶部材62及び出射側基板66と同様の構成である。
入射側透明電極160は、入射側基板158の一面の全体にわたって形成されている。即ち、入射側透明電極160は、入射側基板158と略同形状である。従って、入射側透明電極160には、ギャップが形成されていない。液晶部材162は、入射側透明電極160と6枚の出射側透明電極164との間に配置されている。
6枚の出射側透明電極164は、液晶部材162を挟み、入射側透明電極160と対向して、入射側透明電極160より出射側に配置されている。出射側透明電極164は、出射側基板166の入射側に設けられている。出射側透明電極164は、伸長方向の一例である水平方向に伸びる長方形状に形成されている。出射側透明電極164の水平方向の長さは、出射側基板166と略同じである。出射側透明電極164a〜164fは、伸長方向と交差する方向である鉛直方向に沿って、順に配列されている。出射側透明電極164の鉛直方向の長さは、出射側基板166の鉛直方向の長さの1/6よりもやや短い。隣接する出射側透明電極164間には、絶縁用のギャップ168があけられている。ギャップ168は、水平方向に延びる。ギャップ168の水平方向の長さは、出射側基板166と略同じである。
出射側偏光板152は、液晶パネル156の出射側に配置されている。出射側偏光板152の透過軸は、水平方向である。従って、出射側偏光板152は、水平方向を偏光方向とする偏光を出射する。即ち、出射側偏光板152の透過軸、及び、出射する偏光の偏光方向は、ギャップ168と略平行な方向に延びる。ここでいう略平行とは、ギャップ168の伸長方向と、出射側偏光板152の透過軸との間の角度が、±45.2度の範囲内、好ましくは±37.14度の範囲内、より好ましくは±10度の範囲内である。当然に、略平行は、平行を含む。これにより、光学装置118は、フレア光を抑制できる。
次に、フレア光を抑制できる理由について説明する。図17は、高電圧印加状態でのフレア光の発生を説明するための比較形態の光学装置1118の一部の図である。図18は、低電圧印加状態でのフレア光の発生を説明するための比較形態の光学装置118の一部の図である。
比較形態の光学装置1118は、出射側偏光板153が、光学装置118と異なる。出射側偏光板153の透過軸は、鉛直方向である。それ以外の比較形態の光学装置1118の構成は、光学装置118と同様である。
図17に示すように、高電圧印加状態では、液晶部材162は光学的等方状態となっている。この状態において、比較形態の光学装置1118では、鉛直方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板154から出射される。偏光PLは、入射側基板158、入射側透明電極160、及び、液晶部材162を変調されることなく透過する。ギャップ168以外の領域、即ち、出射側透明電極164を透過する偏光PLは、出射側透明電極164、出射側基板166、及び、出射側偏光板153を透過して、画像を形成する。
一方、ギャップ168に入射する偏光PLは、高電圧が印加されず配向が乱れている領域の液晶部材162を透過しているので、当該偏光PLは楕円偏光となる。従って、ギャップ168を透過する偏光PLは、鉛直方向の振動成分を含むので、偏光PLの一部は、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。この後、傾斜した方向に進行する偏光PL1は、出射側基板166を透過した後、出射側偏光板153に達する。この偏光PL1は鉛直方向に振動するので、鉛直方向の透過軸を有する出射側偏光板153を透過する。この出射側偏光板153を透過した偏光PL1は、水平方向から傾斜した方向に進行してフレア光となる。
図18に示すように、低電圧状態では、液晶部材162はλ/2位相差板として機能する。この状態において、比較形態の光学装置1118では、鉛直方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板154から出射される。偏光PLは、入射側基板158及び入射側透明電極160を透過した後、液晶部材162によって偏光方向が90度回転される。ギャップ168以外の領域、即ち、出射側透明電極164を透過する偏光PLは、出射側透明電極164、出射側基板166を透過した後、出射側偏光板153によって遮断される。
ギャップ168に入射する偏光PLは、低電圧が印加されず配向が乱れている領域の液晶部材162を透過しているので、偏光方向が完全に90度回転されず、当該偏光PLは楕円偏光となる。従って、ギャップ168を透過する偏光PLは、鉛直方向の振動成分を含むので、偏光PLの一部は、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。この後、傾斜した方向に進行する偏光PL1は、出射側基板166を透過した後、出射側偏光板153に達する。この偏光PL1は鉛直方向に振動するので、鉛直方向の透過軸を有する出射側偏光板153を透過する。この出射側偏光板153を透過した偏光PL1は、水平方向から傾斜した方向に進行してフレア光となる。
図19は、上述した実施形態における高電圧印加状態での光学装置118の一部の図である。図20は、上述した実施形態における低電圧印加状態での光学装置118の一部の図である。
図19に示すように、高電圧印加状態では、液晶部材162は光学的等方状態となっている。この状態において、実施形態の光学装置118では、鉛直方向を偏光方向とする偏光PLが、入射側偏光板154から出射される。この偏光PLは、偏光方向を液晶部材162によって回転されることなく、出射側偏光板152によって遮断される。
ここで、出射側透明電極164間のギャップ168に達する偏光PLは、高電圧が印加されていない領域の液晶部材162を透過するので、楕円偏光となる。従って、ギャップ168を透過する偏光PLは、鉛直方向の振動成分を含むので、偏光PLの一部は、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。この後、傾斜した方向に進行する偏光PL1は、出射側基板166を透過した後、出射側偏光板152に達する。この偏光PL1は鉛直方向に振動するので、水平方向の透過軸を有する出射側偏光板152によって遮断される。この結果、光学装置118は、フレア光を抑制できる。
図20に示すように、低電圧印加状態では、液晶部材162はλ/2位相差板として機能する。この状態において、鉛直方向を偏光方向とする偏光は、偏光方向を液晶部材162によって90度回転されて水平方向となった状態で、出射側偏光板152まで達する。この後、偏光は出射側偏光板152を透過して出射されて、画像を形成する。
ここで、出射側透明電極164間のギャップ168に達する偏光は、低電圧が印加されていない領域の液晶部材162を透過するので、楕円偏光となる。従って、ギャップ168を透過する偏光PLは、鉛直方向の振動成分を含むので、偏光PLの一部は、鉛直方向に回折して、点線で示す偏光PL1のように水平方向から傾斜した方向に進行する。この後、傾斜した方向に進行する偏光PL1は、出射側基板166を透過した後、出射側偏光板152に達する。この偏光PL1は鉛直方向に振動するので、水平方向の透過軸を有する出射側偏光板152によって遮断される。この結果、光学装置118は、フレア光を抑制できる。
次に、上述した実施形態の光学装置118の効果を証明した実験結果について説明する。実験は、図10及び図11に示した四角形状の画像を投影することによって行った。この実験では、出射側偏光板152を垂線の周りで回転させて、出射側偏光板152の透過軸及び出射側偏光板152から出射される偏光の偏光方向と、出射側透明電極164及びギャップ168の長手方向との間の相対角度を0度〜90度まで変化させて、フレア光について調べた。
図21は、相対角度と、「フレア光/実像明るさ[%]」との関係を調べた実験結果である。図22は、相対角度と、フレア光の鮮明度との関係を調べた実験結果である。各近似曲線は、図に示すとおりである。
図21に示すように、相対角度が大きくなるにつれて、「フレア光/実像明るさ」は、部分的に減少することはあるが、全般的に上昇していることがわかる。図21の近似曲線から変曲点での相対角度が±45.2度であることがわかる。また、図22に示すように、相対角度が大きくなるにつれて、「フレア光の鮮明度」が上昇していることがわかる。図22の近似曲線から変曲点での相対角度が±37.14度であることがわかる。この結果、相対角度は、±45.2度の範囲内が好ましく、±37.14度の範囲内がより好ましいことがわかる。図21及び図22において、「フレア光/実像明るさ」及び「フレア光の鮮明度」は、相対角度が10度のときに最小値となることがわかる。この結果、相対角度は±10度の範囲内がより好ましいことがわかる。
次に、一部を変更した光学装置について説明する。図23は、光学装置218の分解斜視図である。本実施形態においては、水平方向を偏光方向とする偏光が、光学装置218に入射する。図23に示すように、光学装置218は、偏光変調機250と、出射側偏光板52とを有する。偏光変調機250は、入射側偏光板54と、液晶パネル256とを有する。
入射側偏光板54は、水平方向の透過軸を有する。従って、入射側偏光板54は、水平方向を偏光方向とする偏光を出射する。
液晶パネル256は、入射側基板58と、6枚の入射側透明電極60a〜60fと、液晶部材62と、6枚の出射側透明電極164a〜164fと、出射側基板166とを有する。尚、6枚の入射側透明電極60a〜60f及び6枚の出射側透明電極164a〜164fのいずれかを特定する必要がない場合、符号を「60」及び「164」とする。
光学装置218においては、入射側偏光板54の透過軸及び出射する偏光の偏光方向は、入射側透明電極60間のギャップ68と平行である。また、出射側偏光板52の透過軸、及び、出射側偏光板52から出射する偏光の偏光方向は、出射側透明電極164間のギャップ168と平行な方向に延びる。これにより、光学装置218は、上述した実施形態と同様にフレア光を抑制できる。
図24は、一部を変更した光学装置318の分解斜視図である。図24に示すように、光学装置318は、偏光ローテータ382を更に備える。偏光ローテータ382は、入射側偏光板54の入射側に配置されている。尚、偏光ローテータ382は、波長選択性偏光ローテータ16等の偏光方向が統一された偏光を出射する部材の出射側に配置される。偏光ローテータ382は、水平方向から45度傾斜した遅相軸を有する。偏光ローテータ382は、鉛直方向を偏光方向とする偏光を90度回転させて、水平方向を偏光方向とする偏光として出射する。これにより、光学装置318は、鉛直方向を偏光方向とする偏光を出射する液晶プロジェクタ14または波長選択性偏光ローテータ16に対応できる。偏光ローテータ382の遅相軸または進相軸の方向は、入射する偏光の偏光方向、及び、入射側偏光板54の透過軸の方向に合わせて、適宜変更してよい。尚、図3に示す光学装置18に偏光ローテータ382を追加する例を示したが、図15及び図23に示す光学装置118、218に、遅相軸または透過軸の方向が適切に設定された偏光ローテータ382を追加してもよい。
図25は、一部を変更した光学装置418の分解斜視図である。図25に示すように、光学装置418は、偏光ローテータ452と、液晶パネル456とを更に備える。
偏光ローテータ452は、出射側偏光板52の出射側に配置されている。偏光ローテータ452は、λ/2位相差板として機能する。偏光ローテータ452は、水平方向から45度傾斜した遅相軸を有する。従って、偏光ローテータ452は、出射側偏光板52から出射された鉛直方向を偏光方向とする偏光を90度回転させて、水平方向を偏光方向とする偏光として出射する。
液晶パネル456は、偏光切替部の一例である。液晶パネル456は、偏光ローテータ452の出射側に配置されている。液晶パネル456は、入射側基板458と、6枚の入射側透明電極460a〜460fと、液晶部材462と、出射側透明電極464と、出射側基板466とを備える。隣接する入射側透明電極460間には、ギャップ468が形成されている。入射側基板458と、6枚の入射側透明電極460a〜460fと、液晶部材462と、出射側透明電極464と、出射側基板466は、液晶パネル56の入射側基板58と、6枚の入射側透明電極60a〜60fと、液晶部材62と、出射側透明電極64と、出射側基板66と略同様の構成なので説明を省略する。
液晶パネル456の入射側透明電極460及び出射側透明電極464間に高電圧が印加されると、液晶部材は、光学的等方状態となる。従って、液晶パネル456は、高電圧印加状態では、出射側偏光板52から出射され、偏光ローテータ452によって回転された水平方向を偏光方向とする偏光を回転させることなく、出射する。入射側透明電極460及び出射側透明電極464間に低電圧が印加されると、液晶部材はλ/2位相差板として機能する。従って、液晶パネル456は、低電圧印加状態では、偏光ローテータ452によって回転された水平方向を偏光方向とする偏光を90度回転させて、鉛直方向を偏光方向とする偏光を出射する。光学装置418は、液晶パネル456を設けることにより、例えば、鉛直方向の透過軸を有する左目用レンズ及び水平方向の透過軸を有する右目用レンズを備える眼鏡490をかけたユーザに立体画像を提供できる。更に、液晶パネル456は、6枚の入射側透明電極460a〜460fを個別に高電圧状態及び低電圧状態に制御することにより、液晶パネル56から出射された偏光の偏光方向を領域ごとに切り替えて出射することができる。尚、図3に示す光学装置418に液晶パネル456を追加する例を図25に示したが、図15、図23及び図24に示す光学装置118、218、318に、遅相軸または透過軸の方向が適切に設定された偏光ローテータ452及び液晶パネル456を追加してもよい。
次に、光学装置418を備えるプロジェクション装置の制御系について説明する。図26は、光学装置制御部480を有する光学装置418を備えるプロジェクション装置410のブロック図である。
プロジェクション装置410のプロジェクタ制御部72は、図1の矢印Arで示すように、画像を上から下へと順に書き換える。この上から下の方向が、画像書換方向の一例である。図26に示すように、プロジェクタ制御部72は、光学装置制御部480と信号を入出力可能に接続されている。プロジェクタ制御部72は、画像書き込み周期と、画像書き込み開始タイミングと、液晶応答完了時間とを光学装置418へと出力する。
光学装置制御部480は、画像書き込み周期、及び、液晶応答完了時間を取得すると、格納部482に格納する。光学装置制御部480は、画像書き込み周期、画像書き込み開始タイミング及び液晶応答完了時間に基づいて、液晶パネル56及び液晶パネル456を含む光学装置418を制御する。例えば、光学装置制御部480は、液晶パネル56の入射側透明電極60a〜60fと出射側透明電極64との間に印加する電圧を高電圧と低電圧とで切り替えて、透過状態及び非透過状態を制御する。ここで、光学装置制御部480は、画像書き込み開始タイミングに対応させて、6枚の入射側透明電極60a〜60fに電圧を印加するタイミングを制御する。また、光学装置制御部480は、6枚の入射側透明電極60a〜60fに電圧を印加する時間を、液晶応答完了時間に対応させて制御する。例えば、光学装置制御部480は、液晶応答完了時間が短くなるにつれて、6枚の入射側透明電極60a〜60fに低電圧を印加する状態を長くするとともに、高電圧を印加する状態を短くする。これにより、光学装置制御部480は、液晶応答完了時間が短くなるにつれて、透過状態の時間である透過時間を長くして、非透過状態の時間である非透過時間を短くする。また、光学装置制御部480は、液晶パネル456の入射側透明電極460a〜460fと出射側透明電極464との間に印加する電圧を高電圧と低電圧とで切り替えて、出射される偏光の偏光方向を制御する。
次に、液晶プロジェクタ14及び光学装置418の動作タイミングを説明する。図27は、液晶プロジェクタ14及び光学装置418の動作タイミングの図である。図27において、横軸は時間を示す。図27における上3段の動作タイミングは、液晶プロジェクタ14に関する。図27における下2段の動作タイミングは、光学装置418に関する。
図27において、上4段は、画像G1a、G1bが左目用画像G3a、G3bに変わり、画像G2a、G2bが左目用画像G4a、G4bに変わった以外は図14と同様なので説明を省略する。
「偏光切替動作」は、液晶パネル456から出射される偏光の偏光方向の切替タイミングを示す。例えば、偏光状態PAは、光学装置制御部480が液晶パネル456に高電圧を印加した状態であって、液晶パネル456は、偏光ローテータ452から入射する水平方向を偏光方向とする偏光を回転させることなく、透過させる。
偏光状態PBは、光学装置制御部480が液晶パネル456に低電圧を印加した状態であって、液晶パネル456は、偏光ローテータ452から入射する水平方向を偏光方向とする偏光を90度回転させて、鉛直方向を偏光方向とする偏光として出射する。
光学装置制御部480は、偏光状態PAと偏光状態PBとを画像書換え周期で切り替える。換言すれば、光学装置制御部480は、画像、例えば、左目用画像G3aを書き込みに必要な時間の2倍の周期で偏光状態PAと偏光状態PBとを切り替える。
ここで、光学装置制御部480は、偏光状態PAと偏光状態PBとを画像書換え周期に対して半周期ずらして、切り替える。即ち、光学装置制御部480は、2回書き込まれる同じ画像のうち、2回目の画像の書き込み開始と同じタイミングで、偏光状態PAと偏光状態PBとを切り替える。
また、図27に示す最初の偏光状態PA1の開始時点では、右目用画像がユーザに見えている。この状態から偏光状態PA1では、左目用画像G3aが水平画素列の上から順に書き込まれる。しかし、偏光状態PA1では、偏光変調機50から出射された水平方向を偏光方向とする偏光が、出射側偏光板52によって、水平画素列の上から順に遮断される。従って、最初の偏光状態PA1の間、画像は上から順に黒表示となる。
次の偏光状態PB1では、偏光変調機50から出射された鉛直方向を偏光方向とする偏光が、水平画素列の上から順に出射側偏光板52を透過した後、偏光ローテータ452によって偏光方向を90度回転されて水平方向となる。当該偏光は、液晶パネル456によって90度回転されて、鉛直方向を偏光方向とする偏光として出射される。従って、当該偏光は、鉛直方向を透過軸とする左目用レンズを透過して、ユーザの左目に達する。これにより、偏光状態PB1が開始すると、ユーザは、水平画素列の上から順に、左目で左目用画像を見ることができる。
次の、偏光状態PB2では、偏光変調機50から出射された水平方向を偏光方向とする偏光が、出射側偏光板52によって、水平画素列の上から順に遮断される。従って、偏光状態PB2が開始すると、画像は、上から順に黒表示となる。
次の偏光状態PA2では、偏光変調機50から出射された鉛直方向を偏光方向とする偏光が、水平画素列の上から順に出射側偏光板52を透過した後、偏光ローテータ452によって偏光方向を90度回転されて水平方向となる。当該偏光は、液晶パネル456によって回転されることなく、水平方向を偏光方向とする偏光として出射される。従って、当該偏光は、水平方向を透過軸とする右目用レンズを透過して、ユーザの右目に達する。これにより、偏光状態PA2が開始すると、ユーザは、水平画素列の上から順に、右目で右目用画像を見ることができる。
図28は、一部が変更された液晶プロジェクタ14及び光学装置418の動作タイミングの図である。図28に示す形態では、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期よりも長い。
図28の透過・非透過切替動作に示すように、入射側透明電極60aの透過時間の開始タイミングが、最上列の水平画素列の液晶応答完了タイミングTeuから上述した時間dT経過した後である。従って、図28に示す透過・非透過切替動作における非透過時間が、図27に示す形態に比べて、液晶応答完了時間に合わせて長くなる。これにより、非透過時間が、透過時間に比べて長くなる。一方、偏光切替動作は、図28に示す形態と同様に制御される。
このように偏光変調機50及び液晶パネル456を制御しても、左目用画像は、ユーザの左目に達し、右目用画像は、ユーザの右目に達する。尚、図28において、ユーザが左目用画像及び右目用画像を見ることができる時間は、図27における当該時間よりも短い。
図27及び図28に示すように、非透過時間が、画像書き込み周期以上の場合、換言すれば、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期以上の場合、光学装置制御部480は、複数の分割領域に分割することなく、液晶パネル456を全域で一度に制御する。即ち、光学装置制御部480は、入射側透明電極460a〜460fを一度に高電圧状態、低電圧状態に切り替える。
図29は、一部が変更された液晶プロジェクタ14及び光学装置418の動作タイミングの図である。図29に示す形態では、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期の1/3である。従って、例えば、入射側透明電極60aに画像を投影する液晶プロジェクタ14の水平画素列の最上列の水平画素列に電圧が印加されてから、入射側透明電極60aに画像を投影する液晶プロジェクタ14の水平画素列の最下列の水平画素列の液晶の応答が完了するまでの時間Tf1は、次の式で算出できる。
Tf1=(画像書き込み時間/3)+(dT)=画像書き込み周期/2
図29に示すように、透過・非透過切替動作における非透過時間が、液晶応答完了時間に合わせて、短くなる。これにより、非透過時間が、透過時間に比べて短くなる。具体的には、非透過時間は、上述した時間Tf1に一致させればよいので、「画像書き込み時間/2」となる。従って、非透過時間と透過時間の関係は、「非透過時間:透過時間≒1:3」である。
図29においても、偏光切替動作は、画像書き込み周期の2倍で偏光状態PAと偏光状態PBとが切り替えられる。また、偏光切替動作は、液晶パネル456の上半分の入射側透明電極460a〜460cと、下半分の入射側透明電極460d〜460fとが画像書き込み周期の半周期ずれて制御される。
液晶パネル456の上半分の先の偏光状態PB11は、偏光変調機50の入射側透明電極60aの透過状態の開始と同じタイミングで開始する。この状態では、左目用画像が上から順にユーザに達する。液晶パネル456の下半分の先の偏光状態PB12は、偏光変調機50の入射側透明電極60dの透過状態の開始と同じタイミングで開始する。この状態では、左目用画像が、下半分の上から順にユーザに達する。これにより、ユーザは、偏光状態PB11、PB12の間、左目用画像を見ることができる。
液晶パネル456の次の偏光状態PB21、PB22では、偏光変調機50が上から順に非透過状態となることにより、上から順に黒表示となる。ここで、偏光変調機50の非透過状態の入射側透明電極60aの開始タイミングは、偏光状態PB21、PB22の開始タイミングより遅い。従って、光学装置418は、ユーザにより長い時間、画像を提供できる。
液晶パネル456の先の偏光状態PA11、PA12では、上述の動作と同様に、上から順にユーザに右目用画像が達する。一方、液晶パネル456の次の偏光状態PA21、PA22では、偏光変調機50が上から順に非透過状態となることにより、上から順に黒表示となる。
図30は、一部が変更された液晶プロジェクタ14及び光学装置418の動作タイミングの図である。図30に示す形態では、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期の1/6である。従って、例えば、入射側透明電極60aに画像を投影する液晶プロジェクタ14の水平画素列の最上列の水平画素列に電圧が印加されてから、入射側透明電極60aに画像を投影する液晶プロジェクタ14の水平画素列の最下列の水平画素列の液晶の応答が完了するまでの時間Tf2は、次の式で算出できる。
Tf2=(画像書き込み時間/6)+(dT)=画像書き込み周期/3
図30に示すように、透過・非透過切替動作における非透過時間が、液晶応答完了時間に合わせて、短くなる。これにより、非透過時間が、透過時間に比べて短くなっている。具体的には、非透過時間は、上述した時間Tf2に一致させればよいので、「画像書き込み時間/3」となる。従って、非透過時間と透過時間の関係は、「非透過時間:透過時間≒1:5」である。
図30においても、偏光切替動作は、画像書き込み周期の2倍で偏光状態PAと偏光状態PBとが切り替えられる。また、偏光切替動作は、液晶パネル456の上部の1/3の領域の入射側透明電極460a、460bと、中部の1/3の領域の入射側透明電極460c、460dと、下部の1/3の領域の入射側透明電極460e、460fとが1/3画像書き込み周期ずつずれて制御される。
図30に示す形態の動作は、図29に示す形態の動作と略同様なので、省略する。尚、図30に示す形態では、図29に示す形態よりも黒表示の時間を短くして、ユーザが画像を見れる時間をより長くすることができる。
図29及び図30に示すように、偏光切替動作において、タイミングを同時に制御できる液晶パネル456の分割領域の分割数が、次の式で表せることがわかる。尚、画像書き込み周期は、1コマの画像を書き込む周期のことである。
分割数=画像書き込み周期/非透過時間 ・・・(1)
従って、非透過時間が、画像書き込み周期よりも短い場合、換言すれば、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期よりも速い場合、光学装置制御部480は、式(1)で示される分割数によって液晶パネル456を複数の分割領域に分割して、分割領域ごとに高電圧状態及び低電圧状態を制御する。尚、入射側透明電極460が鉛直方向に沿って分割されているので、分割領域は、画像書換方向である鉛直方向に沿って配列される。これにより、分割数を低減して制御を簡易化しつつ、黒表示の時間を低減して、光利用効率を向上できる。尚、式(1)から算出された分割数が、小数点以下の端数を含む場合、当該端数は切り捨てる。
尚、液晶応答完了時間が既知の場合、液晶応答完了時間に合わせて入射側透明電極460を形成してもよい。例えば、液晶応答完了時間が、画像書き込み周期と略等しい場合、入射側透明電極460を分割することなく、1枚で形成してもよい。
図31は、一部を変更した光学装置518の分解斜視図である。光学装置518は、液晶パネル556と、液晶パネル557とを備える。液晶パネル556は、入射側基板558と、6枚の入射側透明電極560a〜560fと、液晶部材562と、出射側透明電極564と、出射側基板566とを備える。隣接する入射側透明電極560間には、ギャップ568が形成されている。液晶パネル557は、入射側基板559と、6枚の入射側透明電極561a〜561fと、液晶部材563と、出射側透明電極565と、出射側基板567とを備える。隣接する入射側透明電極561間には、ギャップ569が形成されている。
液晶パネル556は、出射側偏光板52及び偏光ローテータ452の出射側に配置されている。液晶パネル556は、入射側透明電極560と出射側透明電極564との間に高電圧が印加されると、光学的等方状態となる。液晶パネル556は、入射側透明電極560と出射側透明電極564との間に低電圧が印加されると、水平方向から45度傾斜した遅相軸を有するλ/4位相差板として機能する。従って、液晶パネル556は、低電圧状態で、偏光ローテータ452から出射された水平方向を偏光方向とする偏光が入射されると、円偏光、例えば、右回りの円偏光を出射する。
液晶パネル557は、液晶パネル556の出射側に配置されている。液晶パネル557は、入射側透明電極561と出射側透明電極565との間に高電圧が印加されると、光学的等方状態となる。液晶パネル557は、入射側透明電極561と出射側透明電極565との間に低電圧が印加されると、水平方向から45度傾斜した遅相軸を有するλ/4位相差板として機能する。尚、低電圧状態における液晶パネル556の遅相軸と液晶パネル557の遅相軸は、直交している。また、液晶パネル557が、低電圧状態の場合、液晶パネル556は、高電圧状態となる。従って、液晶パネル557は、低電圧状態で、偏光ローテータ452から出射された水平方向を偏光方向とする偏光が入射されると、液晶パネル556が出射する円偏光とは逆回りの円偏光、例えば、左回りの円偏光を出射する。
光学装置518は、液晶パネル556、557を設けることにより、例えば、右回りの円偏光を透過する右目用レンズ及び左回りの円偏光を透過する左目用レンズを備える眼鏡590をかけたユーザに立体画像を提供できる。右回りの円偏光を透過する右目用レンズ、及び、左回りの円偏光を透過する左目用レンズは、例えば、円偏光を直線偏光に変換するλ/4位相差板と、λ/4位相差板によって変換された直線偏光と平行な透過軸を有する偏光板とが積層された構成を有する。
尚、光学装置518の偏光変調機50、液晶パネル556、557の動作タイミングは、図27〜図30に示す形態と同様に制御すればよい。従って、本実施形態においても、液晶パネル556、557の分割数は、式(1)で表せることができる。これにより、本実施形態でも、分割数を低減して制御を簡易化しつつ、黒表示の時間を低減できる。
図3に示す光学装置18に偏光ローテータ452及び液晶パネル556、557を追加する例を図31に示したが、図15、図23及び図24に示す光学装置118、218、318に、偏光ローテータ452及び液晶パネル556、557を追加してもよい。
上述した各実施形態の構成の形状、配置、個数等の数値は適宜変更してよい。また、上述した各実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、波長選択性偏光ローテータ16は、光学装置18、118等に組み込んでもよく、液晶プロジェクタ14に組み込んでもよい。波長選択性偏光ローテータ16を光学装置18、118等に組み込む場合、入射側偏光板54、154を省略してもよい。
また、上述の実施形態では、入射側透明電極60等及び出射側透明電極164等が、水平方向に伸び、鉛直方向に配列された例を示したが、入射側透明電極60等及び出射側透明電極164等が、他の方向に伸びていてもよい。例えば、画像が水平方向に沿って書換えられる場合、入射側透明電極60等及び出射側透明電極164が、鉛直方向に伸び、水平方向に配列されていてもよい。
また、上述の実施形態では、光学装置制御部80、480が、プロジェクタ制御部72から液晶応答完了時間を取得して、格納部82、482に格納する例を示したが、液晶応答完了時間は予め格納部82、482に格納されていてもよい。例えば、光学装置18、418の出荷時に液晶応答完了時間を格納部82、482に格納してもよい。
また、図28、図29、図30の透過・非透過の切り替えタイミングの制御を、図3の光学装置18、及び、図15の光学装置118等の2次元画像を投影する形態に適用してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。