JP2015034996A - プロジェクター - Google Patents

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Abstract

【課題】光学的な手法によって見掛け上の画素数を増加させることで、画像の全領域にわたる高精細化を実現し得るプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクター1は、第1サブフレームに対応する画像データと第2サブフレームに対応する画像データを交互に線順次に書き込む液晶ライトバルブ6R,6G,6Bと、複数の切替領域にわたって第1、第2偏光状態を線順次に切り替える偏光切替素子9と、入射光の光路をその偏光状態に応じて変更する複屈折光学素子11と、液晶ライトバルブからの光を偏光切替素子で略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、を備え、第1、第2画像データ書き込み領域の境界位置に対応する中間像上の境界位置の移動に略同期して、第1、第2偏光状態の切替領域の境界位置を移動させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロジェクターに関し、より詳しくは、光学的な手法によって画素数を増加させることで高精細な投写画像の表示が可能なプロジェクターに関する。
高精細画像の普及に伴って、より高精細な画像をより高輝度で表示できるプロジェクターへの要求が高まっている。表示画像を高精細化するには、例えば液晶ライトバルブ等の光変調素子の画素数を増やすことが一つの方策である。しかしながら、画素サイズを変えずに画素数を増やすと、光変調素子が大型化し、製造コストが高騰する。それに加えて、光変調素子から射出される画像光を扱う光学系も大型化するため、製造コストの高騰が避けられない。逆に、光変調素子のサイズを変えずに画素数を増やそうとすると、画素サイズを縮小する必要がある。ところが、光変調素子に設けるスイッチング素子や配線等の小型化は難しく、限界がある。そのため、画素サイズの縮小に伴って開口率が低下し、画像光の光強度が低下する結果、表示画像が暗くなる。
そこで、光変調素子の物理的な画素数を増やすことなく、光学的な手法を用いて見掛け上の画素数を増やすことで表示画像の高精細化を図る方策が提案されている(下記の特許文献1参照)。特許文献1に記載の表示装置では、画像光を生成する液晶ディスプレイ(LCD)の射出側に偏波面回転素子と複屈折光学素子とを配置し、これらの素子を透過する画像光の光路をシフトさせる構成となっている。特許文献1には、時間軸上で連続するフィールド毎に画像光の光路をシフトさせ、異なる位置に画像を表示して見掛け上の画素数を倍増させることにより、低解像度の表示素子でも高精細な画像の表示が可能になる、と記載されている。
特開平8−29779号公報
ところで、一般に液晶を用いた光変調素子(以下、液晶型光変調素子と称する)は、画像データを保持する画像メモリーを画素毎に備えていない。そのため、液晶型光変調素子では、画像データが行毎に順次書き込まれて最終的に1フレームの画像が形成される方式、いわゆる線順次方式が一般に採用されている。すなわち、表示画像においては、現行のサブフレームの画像が行単位で次のサブフレームの画像に常に書き換えられている。したがって、液晶型光変調素子によって形成される画像は、ある時点において、現行のサブフレームの画像と新たに書き換えられた次のサブフレームの画像とが1つの画面の中に併存している。
上述の特許文献1に記載の表示装置では、偏波面回転素子を用いて、LCDから射出された画像光の偏波面をフィールド毎に所定のタイミングで画像全体にわたって一括して回転させている。この場合、LCDにより画像データを行毎に連続的に書き換える動作と、偏波面回転素子と複屈折光学素子とにより画像全体にわたって画像光の光路をあるタイミングで同時にシフトさせる動作と、を同期させることができない。そのため、画像の全領域にわたる高精細化を実現できず、場所によっては画像が二重化して画質劣化を生じることとなる。
また、特許文献1には、偏波面回転素子を構成する強誘電液晶セルの電極を複数本(具体的には5本)のライン電極に分割し、各ライン電極に対応する領域毎に画像光の光路をシフト可能とすることで画素数増加の効果を高められると記載されている。しかしながら、LCDから射出された画像光は発散光であり、LCDと離間して配置された偏波面回転素子に画像光が入射する段階では光束径が大きく拡がっている。そのため、仮に偏波面回転素子の電極の分割数をLCDの画素の行数と一致させたとしても、現行のサブフレームの画像と次のサブフレームの画像との境界と、異なる偏波面を有する領域同士の境界と、を一致させることができない。そのため、画像の全領域にわたる高精細化は実現できず、画質劣化を十分に回避することはできない。
なお、以上の説明では、液晶型光変調素子における一般的な画像データの書き込み方式である線順次方式の例を挙げた。しかしながら、液晶型光変調素子には画像データを画素毎に順次書き換える方式、いわゆる点順次方式の書き込みを採用する場合もある。上記の問題は点順次方式を採用したプロジェクターにも共通する問題である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光変調素子の物理的な画素数を増加させることなく、光学的な手法によって見掛け上の画素数を増加させることで、画像の全領域にわたる高精細化を実現し得るプロジェクターを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のプロジェクターは、光源と、マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に線順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する光変調素子と、入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の線状の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替える偏光切替素子と、前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、前記偏光切替素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替えることを特徴とする。
すなわち、本実施形態のプロジェクターは光伝達光学系を備えており、光伝達光学系が光変調素子からの射出光を偏光切替素子に伝達し、偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する。これにより、光変調素子と偏光切替素子とが離間した位置にあり、かつ、光変調素子からの射出光が発散光であっても、光変調素子の所定の画素から射出した投写光を偏光切替素子の所定の場所に精度良く入射させることができる。また、偏光切替素子は、制御部によって制御されており、光変調素子上の第1画像データの書き込み領域と第2画像データの書き込み領域との境界位置に対応する中間像上の境界位置の移動に略同期して、偏光切替素子の第1偏光状態とされた切替領域と第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、第1偏光状態と第2偏光状態とを線順次に切り替える。これにより、光変調素子での各画像データの書き換えと偏光切替素子での偏光状態の切り替えとを空間的にも時間的にも確実に同期させることができる。そして、偏光切替素子から射出された光が複屈折光学素子に入射されると、光の偏光状態に応じて光路が変更し、各サブフレームで画像光が複屈折光学素子の異なる位置から射出されることで見掛け上の画素数が増える。このようにして、画面の全領域にわたって高精細の投写画像を得ることができる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数と前記光変調素子における前記複数の画素の行数とが同一である構成を採用できる。
この構成によれば、光変調素子での各画像データを書き込む行方向の画素群と偏光切替素子での線状の切替領域とが1対1で対応する。この場合、光変調素子での各画像データの書き込みの境界位置と偏光切替素子での偏光状態の切り替えの境界位置とを空間的、時間的に略完全に同期できる。そのため、画面の全領域にわたってより高精細の画像を得ることができる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数が、前記光変調素子における前記複数の画素の行数よりも少ない構成を採用できる。
この構成の場合、光変調素子での各画像データを書き込む行方向の画素群と偏光切替素子での線状の切替領域とが1対1で対応しない。そのため、光変調素子での各画像データの書き込みの境界位置と偏光切替素子での偏光状態の切り替えの境界位置とを完全には同期できない。よって、画像光の偏光状態が局所的に乱れる、つまり所定の偏光状態にならないことにより、見掛け上の画素数の増加による投写画像の高精細化が局所的に実現されないことになる。しかしながら、偏光状態の乱れが生じる領域、すなわち、高精細化が実現されない領域の大きさが画像全体の大きさに比べてごく僅かであれば、実用上ほとんど問題とならない。また、この構成によれば、偏光切替素子の駆動素子や駆動回路を簡素にでき、低コスト化が図れる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数が、前記光変調素子における前記複数の画素の行数よりも多い構成を採用できる。
この構成の場合、光変調素子での各画像データを書き込む行方向の1つの画素群に対して偏光切替素子での複数の切替領域が対応する。例えば光変調素子として液晶素子を用いた場合、液晶素子によっては素子の構造や液晶の物性等に依存して画像データの書き替えに長い時間を要する、いわゆる応答時間が長い場合がある。この場合、例えば、画像データの書き替えの過渡期間に偏光切替素子の複数の切替領域を対応させて細かな切り替えを行うことにより、画像光の偏光状態を高い精度で所定の偏光状態となるように制御でき、見掛け上の画素数を適切に増やした高精細な投写画像を得ることができる。
本発明のプロジェクターは、光源と、マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に点順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する光変調素子と、入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替える偏光切替素子と、前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、前記偏光切替素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替えることを特徴とする。
上述のプロジェクターが線順次方式の画像データ書き込みを採用したものであったのに対し、本プロジェクターは点順次方式の画像データ書き込みを採用したものである。このプロジェクターにおいても、光変調素子での各画像データの書き込みと偏光切替素子での偏光状態の切り替えとを空間的にも時間的にも同期できるため、画像光の偏光状態を高い精度で所定の偏光状態となるように制御でき、見掛け上の画素数を適切に増やした高精細な投写画像を画面の全領域にわたって得ることができる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記光伝達光学系は、少なくとも前記光変調素子側にテレセントリック性を有することが望ましい。前記光変調素子側と前記偏光切替素子側の双方にテレセントリック性を有するものであれば、より望ましい。
テレセントリック性を有する光学系とは、主光線が像側焦点あるいは物体側焦点を通る光学系のことである。このような光学系からなる光伝達光学系を用いることにより、光変調素子や偏光切替素子が光軸方向に位置ずれを生じても、伝達される画像の寸法および形状が変わらない。そのため、光変調素子と偏光切替素子との位置合わせが容易であり、正確な画像の伝達を実現できる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記光伝達光学系が等倍伝達光学系である構成を採用できる。
この構成によれば、光変調素子の画素領域と同一寸法、同一形状の偏光切替領域を有する偏光切替素子を用いることにより、正確な画像の伝達を実現できる。
本発明のプロジェクターにおいて、前記光伝達光学系が縮小伝達光学系である構成を採用できる。
この構成によれば、偏光切替素子や投写光学系を小型化でき、プロジェクター全体の小型化、低コスト化が図り易い。
本発明のプロジェクターにおいて、前記光伝達光学系が拡大伝達光学系である構成を採用できる。
この構成によれば、偏光切替素子に伝達された中間像と偏光切替素子との位置合わせが容易となり、偏光切替素子の配置精度を確保し易い。
本発明のプロジェクターにおいては、前記光伝達光学系と前記偏光切替素子との間の光路上に、偏光状態の乱れを補償する偏光補償光学系を備えた構成を採用できる。あるいは、前記偏光切替素子の入射側に配置された光吸収型あるいは光反射型の偏光素子を備えた構成を採用できる。
これらの構成によれば、偏光切替素子に入射する偏光の偏光度を高められるため、偏光切替素子で画像光の偏光状態を正確に切り替えることができ、画質に優れた高精細画像表示を実現できる。
本発明の第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。 第1実施形態のプロジェクターの偏光切替素子を示す図である。 偏光切替素子と画像光との対応関係を説明するための図である。 複屈折光学素子による画素数倍増の効果を説明するための図である。 複屈折光学素子の作用を説明するための図である。 光伝達光学系のいくつかの構成例を示す図である。 光伝達光学系に光路長補正光学系を付加した構成例を示す図である。 光伝達光学系において光路長を補正する他の構成例を示す図である。 光伝達光学系に偏光補償光学系を付加した構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態のプロジェクターの偏光切替素子を示す図である。 本発明の第3実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態では、光変調素子として透過型の液晶ライトバルブを3組使用した、いわゆる3板式の液晶プロジェクターを例示する。また、本実施形態のプロジェクターは、画像データの書き込み方式として線順次方式を採用している。
図1は本実施形態のプロジェクターの概略構成図である。図2(A)、(B)は本実施形態のプロジェクターの領域分割型偏光切替素子を示す図であり、図2(A)はz軸方向から見たxy平面図、図2(B)はx軸方向から見たyz平面断面図である。図3(A)〜(C)は領域分割型偏光切替素子と画像光との対応関係を説明するための図である。図4(A)、(B)は複屈折光学素子による画素数倍増の効果を説明するための図である。図5(A)、(B)は複屈折光学素子の作用を説明するための図である。図6(A)〜(E)は光伝達光学系のいくつかの構成例を示す図である。図7は光伝達光学系に光路長補正光学系を付加した構成例を示す図である。図8は光伝達光学系において光路長を補正する他の構成例を示す図である。図9は光伝達光学系に偏光補償光学系を付加した構成例を示す図である。
なお、以下の全ての図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
本実施形態を含め、以下の実施形態では、光透過領域を複数の領域に分割し、個々の領域毎に通過する光の偏光状態を切り替えられる構成として、偏光状態を切り替えるためのスイッチング素子を領域毎に備えた偏光切替素子、あるいは領域を順次選択して偏光状態を切り替える走査回路を外部に備えた偏光切替素子、いわゆる「領域分割型偏光切替素子」を用いる。ただし、領域分割型偏光切替素子を単に「偏光切替素子」と記載する。
本実施形態のプロジェクター1は、図1に示すように、光源2と、インテグレーター光学系3と、色光分離光学系4と、光路長補正用リレー光学系5と、各色光を変調する3つの液晶ライトバルブ6R,6G,6B(光変調素子)と、色光合成光学系7と、光伝達光学系8と、偏光切替素子9と、複屈折光学素子11と、投写光学系10と、を主に備えている。なお、本実施形態の構成では、2つの光伝達光学系が存在するため、照明光路の光路長を補正する目的で用いる方を「光路長補正用リレー光学系5」、液晶ライトバルブが生成した画像光を偏光切替素子に伝達する目的で用いる方を「光伝達光学系8」(特許請求の範囲の「光伝達光学系」に相当)と呼称して区別する。
以下、プロジェクター1の各構成要素について説明する。
光源2は、超高圧水銀ランプやキセノンランプ等からなり、白色光を射出する光源ランプ12と、光源ランプ12からの光を反射してインテグレーター光学系3に向けて射出させるリフレクター13と、を有している。インテグレーター光学系3は、フライアイレンズ等からなる第1レンズアレイ14および第2レンズアレイ15と、重畳レンズ16と、を有している。インテグレーター光学系3は、光源2から射出された光の照度分布を各液晶ライトバルブ6R,6G,6B上で略均一化する機能を有している。
色光分離光学系4は、ダイクロイックミラー18,19と、反射ミラー20と、を有している。ダイクロイックミラー18,19は、例えばガラス表面に誘電体多層膜を積層したものであり、入射した白色光に含まれる所定の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる特性を有している。ダイクロイックミラー18は、緑色光LGと青色光LBとを反射させ、赤色光LRを透過する。ダイクロイックミラー19は、ダイクロイックミラー18で反射した色光のうち、緑色光LGを反射させ、青色光LBを透過する。反射ミラー20は、ダイクロイックミラー18を透過した赤色光LRを赤色光変調用液晶ライトバルブ6Rの平行化レンズ21に向けて反射させる。
光路長補正用リレー光学系5は、入射側レンズ23と、リレーレンズ24と、反射ミラー25,26と、を有しており、青色光LBが他の色光LR,LGに比べて液晶ライトバルブ6Bまでの光路長が長いことによる光損失を補正する機能を有している。入射側レンズ23は、リレーレンズ24に光を効率良く入射させる機能を有している。リレーレンズ24は、入射側レンズ23近傍の光を平行化レンズ21を経て青色光変調用液晶ライトバルブ6Bに伝達する機能を有している。光路長補正用リレー光学系5により、入射側レンズ23に入射した青色光LBは、光強度分布が略保存された状態で光損失を殆ど伴うことなく、空間的に離れた液晶ライトバルブ6Bに伝達される。
各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bは、一対の基板と基板間に挟持された液晶とを備え、透過率を独立に制御可能な複数の画素がマトリクス状に配列された構成を有している。光透過領域には複数の走査線と複数のデータ線とが互いに交差して設けられ、複数のデータ線に画像データを供給する一方、複数の走査線を一方から他方に線順次に走査することにより、各走査線に対応する行方向に並ぶ複数の画素(画素群)に画像データが書き込まれる。例えば、赤色光変調用の液晶ライトバルブ6Rは、平行化レンズ21によって略平行化されて入射した赤色光を画像データに基づいて光変調し、光学像を内包した画像光を射出する。緑色光変調用の液晶ライトバルブ6G、青色光変調用の液晶ライトバルブ6Bの作用も、赤色光変調用の液晶ライトバルブ6Rと同様である。
本実施形態の場合、画像データは2つのサブフレーム毎に線順次方式で書き込まれる。以下の説明では、第1サブフレームに対応する画像データを「第1画像データ」と称し、第1サブフレームの次の第2サブフレーム(第1サブフレームに時間的に隣接するサブフレーム)に対応する画像データを「第2画像データ」と称する。すなわち、第1画像データは第1サブフレーム(第1期間)に線順次方式で書き込まれ、第2画像データは第1サブフレームの次のサブフレームである第2サブフレーム(第2期間)に線順次方式で書き込まれる。各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bは、書き込まれた第1画像データまたは第2画像データに基づいて光変調を行う。
第1画像データによる画像と第2画像データによる画像とは、後述するように、画素の列方向(データ線の延在方向)の1/2ピッチ分ずれた位置に投写され、これら2つの画像で画素数が2倍となった1フレーム分の画像が形成される。すなわち、第1サブフレーム、第2サブフレームの2つのサブフレームで1フレームが構成されている。また、1フレームの表示周波数は60Hz、1サブフレームの表示周波数は120Hzに設定することが望ましい。その理由は、表示周波数がこれより小さいと、観察者が投写画像を観察したときに画質劣化につながるフリッカーを感じる虞があるからである。
色光合成光学系7は、クロスダイクロイックプリズム28と、波長選択位相板29と、を有している。クロスダイクロイックプリズム28は、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、クロスダイクロイックプリズム28の選択反射面になる。クロスダイクロイックプリズム28の内面に、赤色光LRが反射し緑色光LGが透過する選択反射面と、青色光LBが反射し緑色光LGが透過する選択反射面と、が互いに直交して形成されている。クロスダイクロイックプリズム28に入射した緑色光LGは、選択反射面を通ってそのまま射出され、赤色光LR、青色光LBは、選択反射面で選択的に反射して、緑色光LGの射出方向と同じ方向に射出される。
波長選択位相板29は、入射光のうち、特定の波長帯域の色光の偏光状態を選択的に変換するものであり、例えばColor Select(Color Link社の商品名)等を用いることができる。すなわち、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出される画像光は射出側偏光板(図示せず)を透過した直線偏光であり、色光合成光学系7であるクロスダイクロイックプリズム28での効率を考慮して、緑色光LGはP偏光、赤色光LRおよび青色光LBはS偏光の状態でクロスダイクロイックプリズム28に入射し、カラー画像を形成する画像光に合成されて射出される。クロスダイクロイックプリズム28から射出された画像光は、波長選択位相板29に入射し、緑色光LGの偏光方向のみが90度回転してS偏光となり、偏光状態が揃った3つの色光で構成された画像光となって波長選択位相板29から射出される。このように全ての色光でその偏光状態を揃えた場合には、後述する光伝達光学系8において色光間で伝達特性を揃えやすく、高い伝達効率を実現しやすい。勿論、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出側偏光板(図示せず)を透過して射出される各色光LR,LG,LBが、全て同じ状態の直線偏光(例えば、S偏光)となる構成を採用することもできる。その場合には、波長選択位相板29は不要である。
光伝達光学系8は、入射側レンズ31と、リレーレンズ32と、射出側レンズ33と、を有している。光伝達光学系8は、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出された画像光を偏光切替素子9に伝達し、偏光切替素子9において結像させて中間像を形成する機能を有している。本実施形態の光伝達光学系8は等倍伝達光学系を採用するが、縮小伝達光学系や拡大伝達光学系を採用しても良い。光伝達光学系8の結像倍率については後述する。
入射側レンズ31は、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bとクロスダイクロイックプリズム28との間に配置されている。入射側レンズ31は、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光をリレーレンズ32に効率良く入射させる機能を有している。リレーレンズ32は、入射側レンズ31近傍の画像光を、クロスダイクロイックプリズム28を介して一つに合成しつつ、偏光切替素子9上で結像させ、中間像が形成されるように伝達する機能を有している。なお、クロスダイクロイックプリズム28の色光合成特性は入射角依存性を有するため、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの射出側には入射側レンズ31を配置せず、一つの入射側レンズをクロスダイクロイックプリズム28の射出端面に近接させて配置しても良い。その構成とした場合、色光合成時に発生し易い色ムラを低減することができる。射出側レンズ33は、リレーレンズ32から射出された画像光を偏光切替素子9に効率良く入射させる機能を有している。
光伝達光学系8は、例えば歪曲収差や倍率色収差などの光学収差の発生が少ない光学系であることが望ましく、リレーレンズ32においても同様である。この観点から、リレーレンズ32を複数のレンズで構成する、非球面レンズを使用する、低分散性の硝材を用いるなどの手段を採用するのが効果的である。また、レンズに限定することなく、反射ミラーなどを用いた構成、もしくはレンズと反射ミラーとを組み合わせた構成としても良い。なお、入射側レンズ31や射出側レンズ33は、光伝達効率を向上させる面で有効であるが、必須の光学要素ではなく、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出される画像光の特性や光伝達光学系の構成によっては備えなくても良い。
光伝達光学系8は光学収差の発生が少ない光学系であることが望ましいと述べたが、より詳しくは、画像伝達特性の波長依存性が小さい光学系であることが望ましい。その理由は、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bでは波長域の異なる光によって赤色光用画像、緑色光用画像、青色光用画像が形成され、それらの画像が一つの光伝達光学系8で扱われるためである。そのためには、ゼロ分散や低分散性の光学材料を用いて構成することが望ましい。
あるいは、他の手段として、図7に示すように、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの射出側に光路長補正光学系35を配置して光路毎に光路長を補正する、図8に示すように、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bと偏光切替素子9との間の距離DR,DG,DBを変えて光路毎に光路長を補正する、などの方策が有効である。図7では光路長補正光学系の一例として、レンズ特性(例えば曲率、材質)が異なる3つの平凸レンズ35R,35G,35Bを光路毎に用いた場合を示す。光路毎にレンズ特性を最適化することで画像伝達時の波長依存性を小さくできる。なお、図8では図面を見易くするため、距離DR,DG,DBを示す矢印を各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出光軸までのみ描いた。
さらに、複数の液晶ライトバルブを備えた構成では、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの画像光を正確に重畳しつつ偏光切替素子9に確実に伝達しなければならない。そのためには、上述の光伝達光学系8の光学特性を考慮しつつ、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bと偏光切替素子9との間の光学距離を所定の関係に設定する必要がある。すなわち、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの投写光軸方向における位置を正確に設定する必要がある。ところが、これは容易なことではない。そこで、少なくとも液晶ライトバルブ6R,6G,6B側の片側に、好ましくは、液晶ライトバルブ6R,6G,6B側と偏光切替素子9側の両側にテレセントリック性を有する光伝達光学系を用いることが望ましい。テレセントリック性を有する光学系とは、主光線が像側焦点あるいは物体側焦点を通る光学系である。このような光学系を用いることにより、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bや偏光切替素子9が光軸方向に位置ずれを生じても、伝達される画像の寸法および形状が変わらない。そのため、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bと偏光切替素子9との位置合わせが容易であり、正確な画像伝達を実現できる。
このようなテレセントリック性を有する光伝達光学系のいくつかの例を図6(A)〜(E)に示す。図6(A)は、レンズ方式の両側テレセントリックの光伝達光学系の例であり、2つのレンズ37A,37Bと1つの光学絞り38とを備えている。図6(B)は、ミラー方式の両側テレセントリックの光伝達光学系の例であり、3つの反射ミラー39A,39B,39Cを備えている。図6(C)は、レンズ・ミラー併用方式の両側テレセントリックの光伝達光学系の例であり、2つのミラー40A,40B,41A,41Bの対が2対と1つのレンズ42とを備えている。図6(D)は、両側テレセントリックの縮小伝達光学系の例であり、2つのレンズ43A,43Bと1つの光学絞り44とを備えている。図6(E)は、物体側テレセントリックの光伝達光学系の例であり、1つのレンズ45と1つの光学絞り46とを備えている。
なお、色光合成光学系7であるクロスダイクロイックプリズム28も、光伝達光学系8と同様、光学収差の発生が少ない素子とすることが望ましく、ゼロ分散や低分散性の光学材料を用いて構成することが望ましい。
偏光切替素子9は、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから入射した光の偏光状態を、S偏光(第1偏光状態)とP偏光(第2偏光状態)とに時間的に切り替える複数の線状の切替領域を有しており、複数の切替領域にわたってS偏光とP偏光とを線順次に切り替えるものである。偏光切替素子9は、図2(A)、(B)に示すように、各々が透明電極43,44を備えた一対の透明基板45,46間に液晶47が所定の配向状態で封入された液晶素子によって構成されている。本実施形態において、偏光切替素子9は、直線偏光を入射させて入射時とは異なる直線偏光を射出させる必要があるため、1/2波長板として機能させる必要がある。よって、偏光切替素子9に適用可能な液晶素子の種類としては、例えばパイセル液晶素子、強誘電性液晶素子、TN液晶素子等の液晶素子が挙げられる。また、偏光切替素子9には、極力応答速度の速い液晶素子を用いることが望ましい。
一方の透明基板45には、透明導電膜からなる細長い矩形状の複数のライン電極43が形成されている。各ライン電極43の形成領域が、入射光の偏光状態を、S偏光とP偏光とに時間的に切り替える個々の切替領域に対応する。各ライン電極43(切替領域)の寸法および形状は、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの行方向(走査線の延在方向)に並ぶ複数の画素全体の寸法および形状に対応している。また、ライン電極43(切替領域)の数は、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向(データ線の延在方向)に並ぶ画素の数(行数)と一致している。他方の透明基板46には、透明導電膜からなる対向電極44が全面に形成されている。
ライン電極43の行方向の寸法は、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの行方向に並ぶ全ての画素の両端部間の寸法よりも若干大きく設定されている。したがって、図2(A)に示すように、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光が伝達される領域Gはライン電極43の長手方向の両端部よりも内側に位置する。偏光切替素子9は、x軸方向、y軸方向、z軸方向の全ての方向に位置調整が可能なホルダー(保持部材)で保持することが望ましい。液晶ライトバルブ6R,6G,6Bに形成された画像の行方向に並ぶ画素群と偏光切替素子9のライン電極43とが1対1で対応するように、光伝達光学系8は液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの画像を偏光切替素子9の所定の位置に正確に伝達する必要がある。この場合、上述の位置調整機構を備えることにより、光伝達光学系8や偏光切替素子9の位置調整が容易になる。
偏光切替素子9は、図1に示すように、駆動素子や駆動回路(ともに図示せず)を含む制御部49を備えている。制御部49は、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの垂直方向への線順次走査に同期させて、偏光切替素子9のライン電極43と対向電極44との間に電圧を順次印加して、ライン電極43と対向電極44とで挟まれた個々の切替領域における液晶の配向状態を制御する。これにより、特定のライン電極43に対応する切替領域に入射した偏光の偏光状態をS偏光からP偏光に線順次に切り替え、例えば図2(A)の矢印Eの方向に走査しながら射出することができる。勿論、偏光切替素子9にP偏光を入射させる構成とすることもでき、その場合には切替領域に入射した偏光の偏光状態をP偏光からS偏光に切り替えることになる。具体的には、例えば直線偏光であるS偏光(あるいはP偏光)を偏光切替素子9に入射させたとき、偏光方向を90度回転させてP偏光(あるいはS偏光)として射出させたり、偏光方向を回転させずにS偏光(あるいはP偏光)のまま射出させたりすることができる。
多くの液晶ライトバルブでは、線順次方式の画像データの書き込み形態が採用されている。すなわち、行方向に並ぶ画素群の全てに対して画像データが同時に書き込まれ、その画素群が列方向に順次移動することで全ての画素に画像データが書き込まれ、最終的に1サブフレームの画像が完成する。したがって、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの線順次書き込み方式に対応させ、行方向に並ぶ画素群の全てに対して1本のライン電極43が対応するように偏光切替素子9を構成している。
偏光切替素子9に入射した液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光が、偏光切替素子9によって所定の偏光状態を有する画像光に変換されて射出される様子を、以下、図3(A)〜(C)を用いて説明する。
なお、図3(A)は偏光切替素子9に入射する画像光の状態を示し、図3(B)は偏光切替素子9の状態を示し、図3(C)は偏光切替素子9から射出する画像光の状態を示している。
偏光切替素子9に入射した画像光を仔細に見ると、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの垂直方向への線順次走査での画像データの書き込みに対応して、その画像はライン単位で連続的に書き換えられている。すなわち、偏光切替素子9に入射した画像光によって形成される中間像は、図3(A)に示すように、ある時点において、第1サブフレーム(前のサブフレーム)の画像(前画像)と新たに書き換えられた第2サブフレーム(現行のサブフレーム)の画像(現画像)とが所定の走査線(所定の境界位置X)を挟んで併存している。ただし、この段階では、第1サブフレームの画像と第2サブフレームの画像を構成する画像光はともにS偏光である。
ここで、制御部49は、この走査線(境界位置X)の垂直方向への移動に同期させて、図3(B)に示すように、偏光切替素子9の複数のライン電極43に対して所定の電圧を線順次に印加し、液晶の偏光状態がS偏光にある切替領域とP偏光にある切替領域との境界位置X1が移動するように、液晶の配向状態を所定の状態に順次切り替える。ここでは、境界位置X1より下側のライン電極43の電圧をオフとし、この切替領域に入射するS偏光の偏光方向を回転させずにS偏光のまま射出させる。一方、境界位置X1より上側のライン電極43の電圧をオンとし、この切替領域に入射するS偏光の偏光方向を回転させてP偏光として射出させる。
これにより、偏光切替素子9を透過した画像光は、図3(C)に示すように、その境界位置X1の上下で異なる偏光状態を取ることができ、図3(A)の走査線(境界位置X)を跨いで同じ偏光状態が続くことがない。例えば、図3(C)に示すように、第1サブフレームの画像についてはその偏光状態を変えることなくS偏光のままで射出され、第2サブフレームの画像についてはその偏光状態が変換され、P偏光となって射出される。なお、偏光切替素子9では、その構成に依存して、透過する偏光の偏光状態を電圧オン時に変換する形式、透過する偏光の偏光状態を電圧オフ時に変換する形式、のいずれかを採用することができる。いずれを採用するかは、偏光切替素子に入射する画像光の偏光状態や後述する複屈折光学素子11の光学軸の配置関係により適切な形式を選択すれば良い。
複屈折光学素子11は、例えば方解石や水晶、あるいは液晶を配向させた液晶セル、高分子配向体等で構成されており、屈折率異方性を有している。すなわち、複屈折光学素子11は、入射する光の偏光状態に応じて異なる屈折作用を発現する。この作用により、複屈折光学素子11は、偏光切替素子9から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、入射された光を射出端面の異なる位置から射出させる。なお、図1では図面の見やすさの観点から、偏光切替素子9と複屈折光学素子11とを互いに離して描いてあるが、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光による中間像は偏光切替素子9上に結像されるため、複屈折光学素子11は偏光切替素子9の極近傍に、例えば密接させて配置することが望ましい。これにより、中間像の極近傍で光路を変更できるため、投写表示時の画質劣化を抑えられ、高画質な高精細画像表示を実現できる。
ここで、複屈折光学素子11に入射した画像光の振る舞いについて、図5を用いて説明する。図5(A)、(B)において、複屈折光学素子11の光学軸P1は紙面に平行な面内に配置されているものとする。また、図5(A)において、複屈折光学素子11に入射する偏光L1はS偏光であり、その偏光方向Psは紙面に垂直である。図5(B)において、複屈折光学素子11に入射する偏光L2はP偏光であり、その偏光方向Ppは紙面に平行である。
図5(A)に示すように、入射する偏光L1の偏光面(偏光方向Psと入射光の中心軸とを含む面)内に複屈折光学素子11の光学軸P1が存在しない場合には、入射した偏光L1はその光路を変えずに射出される。一方、図5(B)に示すように、入射する偏光L2の偏光面(偏光方向Ppと入射光の中心軸とを含む面)内に複屈折光学素子11の光学軸P1が存在する場合には、複屈折光学素子11の常光屈折率と異常光屈折率との差に起因する偏向角θに応じて、入射した偏光L2はその光路を変えて射出される。したがって、この例では、S偏光はその光路を変えずに射出され、P偏光はその光路を変えて射出される。
ここで、厚みTの複屈折光学素子11の入射端面11aと射出端面11bとが平行な状態で形成されている場合には、入射端面11aから入射した偏光はその光路がシフト量Dだけ平行シフトした状態で射出端面11bから射出される。シフト量Dは偏向角θと厚みTに依存し、D=T・tanθで表される。
したがって、図4(A)に示すように、例えば境界位置X1より下側で第1サブフレームの画像光がS偏光で射出され、境界位置X1より上側で第2サブフレームの画像光がP偏光で射出されたとき、図4(B)に示すように、S偏光の状態で複屈折光学素子11に入射した第1サブフレームの画像は、その光路を変えずに射出される。一方、P偏光の状態で複屈折光学素子11に入射した第2サブフレームの画像は、その光路をシフト量Dだけ平行シフトさせた状態で射出される。このシフト量Dを液晶ライトバルブ6R,6G,6Bにおける列方向(y軸方向)の画素ピッチの半分に設定しておけば、第1サブフレームの画像と第2サブフレームの画像とが液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向(y軸方向)、すなわち画面の垂直方向の画素ピッチの半分だけずれた位置に表示されることになる。
なお、本実施形態では、第1サブフレームの画像と第2サブフレームの画像とは画面の水平方向(x軸方向)にはずれないが、図4(B)では、図面を見やすくするために、第1サブフレームの画像と第2サブフレームの画像を画面の水平方向(x軸方向)にもずらして描いている。
このように、本実施形態のプロジェクター1によれば、各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光を偏光切替素子9上に結像させて中間像を形成する光伝達光学系8を備えているので、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bと偏光切替素子9とが離れた位置にあり、かつ、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの画像光が発散光であっても、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの所定の画素から射出した画像光を偏光切替素子9の所定の切替領域に精度良く入射させることができる。また、偏光切替素子9においては、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの各サブフレームの画像の境界位置の垂直方向への移動に同期して、液晶の偏光状態がS偏光にある切替領域とP偏光にある切替領域との境界位置が移動するので、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bでの各画像データの書き込みと偏光切替素子9での偏光状態の切り替えとを空間的にも時間的にも同期させることができる。以上により、本実施形態のプロジェクター1においては、画面の全領域にわたって画面の垂直方向(y軸方向)の見掛け上の画素数が2倍となった高精細の画像表示を実現できる。
本実施形態では、光伝達光学系8として等倍伝達光学系を用いたため、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの画素領域と同一寸法、同一形状の偏光切替領域を有する偏光切替素子9を用いることにより、正確な画像伝達を実現できる。しかしながら、光伝達光学系の構成として、等倍伝達光学系に代えて、縮小伝達光学系や拡大伝達光学系を採用しても良い。縮小伝達光学系、すなわち、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bで形成された画像を縮小して偏光切替素子9に伝達する構成では、偏光切替素子9、複屈折光学素子11、投写光学系10等を小型化できるため、プロジェクター全体の小型化、低コスト化が図り易い。これに対して、拡大伝達光学系、すなわち、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bで形成された画像を縮小して偏光切替素子9に伝達する構成では、偏光切替素子9に伝達された中間像と偏光切替素子9との位置合わせが容易となり、偏光切替素子9の配置精度を確保し易い。
本実施形態の場合、偏光切替素子9は投写光学系10の焦点位置に配置され、偏光切替素子9と投写光学系10との間には空気以外の介在物が存在しないため、バックフォーカス長が極めて短い投写光学系を用いることができる。バックフォーカス長が短くなる程、F値が小さく大口径であるにもかかわらず、高性能な投写光学系をより容易に実現できる。したがって、光伝達光学系8における画像伝達の倍率を等倍以外に設定した場合でも、この構成に対応する投写光学系10を比較的容易に実現できる。
偏光切替素子9のライン電極43(切替領域)の数は、本実施形態のように、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向に並ぶ画素数と同じであることが望ましいが、これに限定されるものではない。偏光切替素子9のライン電極43(切替領域)の数が液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向に並ぶ画素数と一致しない場合には、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの行方向の画素群と偏光切替素子9の切替領域とが1対1で対応しないため、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bでの各画像データの境界位置と偏光切替素子9での異なる偏光状態の境界位置とを完全には同期できない。そのため、例えば境界位置の近傍で本来S偏光となるべき光束がP偏光として射出される等、画像光の局所的な偏光状態の乱れ(所定の偏光状態にならないこと)が若干生じることになる。しかしながら、偏光状態の乱れが生じる領域、すなわち、高精細化が実現されない領域の大きさが画像全体の大きさに比べてごく僅かであれば、実用上ほとんど問題とならない。
したがって、偏光切替素子9のライン電極43(切替領域)の数が液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向に並ぶ画素数よりも少ない構成としても良い。液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向の画素数に対して、その1/2程度以上の数のライン電極43が形成されていれば、偏光切替素子9としてほぼ所望の効果を得られる。偏光切替素子9のライン電極43(切替領域)の数が液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向に並ぶ画素数よりも少ない構成の場合、偏光切替素子9の駆動素子や駆動回路を簡素にでき、低コスト化が図れる。
逆に、偏光切替素子9のライン電極43(切替領域)の数が液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの列方向に並ぶ画素数よりも多い構成としても良い。この構成を採用した場合、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bにおける行方向の1行の画素群に対して偏光切替素子9における複数のライン電極43(切替領域)が対応する。例えば、光変調素子を構成する液晶素子によっては素子の構造や液晶の物性等に依存して画像データの書き替えに長い時間を要する、いわゆる応答時間が長い場合がある。この場合、例えば、画像データの書き替えの過渡期間に偏光切替素子9の複数の切替領域を対応させて細かな切り替えを行うことにより、画像光の偏光状態を高い精度で所定の偏光状態となるように制御でき、見掛け上の画素数を適切に増やした高精細な投写画像を得ることができる。
また、偏光切替素子9で画像光の偏光状態を正確に切り替えるためには、偏光切替素子9に入射する画像光は偏光度が高い直線偏光であることが望ましい。光変調素子である液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出された画像光は偏光度が高い直線偏光であるが、偏光切替素子9に至る途中に存在する色光合成光学系7(例えば、誘電体多層膜で形成されたダイクロイック膜を有するクロスダイクロイックプリズム)や光伝達光学系8(曲率を有するレンズ類を備える)によって、偏光が乱され、偏光度が低下する。
そこで、偏光切替素子9に入射する画像光の偏光度を高める方策として、図9に示すように、色光合成光学系7や光伝達光学系8に起因して生じる偏光の乱れを補償する偏光補償光学系53を、光伝達光学系8のリレーレンズ32と偏光切替素子9との間の光路上に配置する構成を採用できる。偏光補償光学系53では、不要な偏光特性の光を補償して有用な偏光特性の光に大きな光損失を伴うことなく変換できるため、画像光の光量低下を小さく抑えることができる。この構成によれば、偏光切替素子9に入射する偏光の偏光度を高められるため、偏光切替素子9によって投写光の偏光状態を正確に切り替えることができ、画質に優れた高精細画像表示を実現できる。
偏光補償光学系53としては、周知のレクチファイアを用いることができる。レクチファイアは1/2波長板71と屈折力の無いレンズ72から構成される。屈折力の無いレンズ72は、一対の強い屈折面を持つ凸レンズ73と凹レンズ74の組み合わせで構成される。屈折力の無いレンズ72は、透過光線のP偏光成分とS偏光成分に透過率差を生じさせ、偏光面を回転させることができる。その曲面の曲率半径、ガラス屈折率を調整することで、偏光の回転の度合いを広範囲に調節することが可能である。さらに、1/2波長板71の表面や、屈折力の無いレンズ72の各面に所望のリターデーションを発生する誘電体多層膜を形成することで、透過光線に所望のリターデーションを付与することができる。
液晶ライトバルブ6R,6G,6Bから射出された各色の偏光がクロスダイクロイックプリズム28、リレーレンズ32を透過することで生じる偏光変化は完全に同一ではない。クロスダイクロイックプリズム28においては、緑色光(G光)はR光反射面およびB光反射面を透過する。赤色光(R光)はR光反射面で反射しB光反射面を透過する。青色光(B光)はB光反射面を透過しB光反射面で反射する。したがって、各色光がR光反射面、B光反射面の誘電体多層膜(R光反射ダイクロイック膜、B光反射ダイクロイック膜)で受けるリターデーションは異なる。また、リレーレンズ32においてはガラス屈折率の色分散により、偏光面の回転度合いが色光毎に異なる。
以上の理由により、レクチファイアで全波長域にわたって完全に偏光変化を元に戻すことは難しく、それを実現するためには偏光補償光学系の大型化、複雑化、大幅なコストアップを招く虞がある。この場合、例えば人間の視感度の最も高いG光の偏光補償を重視してレクチファイアを構成しても良い。具体的には、G光の受けるリターデーションおよび偏光面の回転を最小にするように、レクチファイアの誘電体多層膜と屈折力の無いレンズ72の曲率半径、ガラス材料を調整する。このようにすることで、偏光補償光学系53(レクチファイア)の大型化、複雑化、コストアップを避けながらも最も効果的に画像光の偏光状態を補償して、画質に優れた高精細画像を表示することができる。なお、光源2として超高圧水銀ランプ等の水銀ランプを使用する場合は、G光波長域で最も強度の高いe線(546.1nm)付近でリターデーションおよび偏光面回転を最小にすることが望ましい。
偏光補償光学系53が配置可能な場所は、スペースの制約等から各液晶ライトバルブ6R,6G,6Bからの色光がクロスダイクロイックプリズム28で合成された以降(偏光切替素子9側)であって、偏光切替素子9に近い位置に限定される。また、赤色光、緑色光、青色光の各光路では、介在するダイクロイック素子等の光学特性が異なり、使用される光学材料が波長分散性を有する等の理由により、各光路における偏光度の低下の度合いが一様ではない。そのため、偏光切替素子9に入射する画像光の偏光度を全波長域にわたって補償することはできない。そこで、本構成では、偏光度の低下が最も大きい色光に合わせて偏光補償量を設定する方策を採用することが望ましい。あるいは、偏光度の低下が3色の色光間で平均化されるように偏光補償量を設定する方策を採用することが望ましい。
なお、本例においては、クロスダイクロイックプリズム28、リレーレンズ32で発生するリターデーションを補償するための誘電体多層膜を、レクチファイアを構成する光学素子の少なくとも1面以上に形成していたが、誘電体多層膜の形成位置はレクチファイアに限定されることはなく、同等の機能を果たすのであれば他の光学素子の面に形成してもよい。具体的には、クロスダイクロイックプリズム28の光射出面や、リレーレンズ32の各レンズ面があげられる。さらには、これらの面には通常反射防止膜が形成されているが、これらの面の少なくとも一面に反射防止膜を形成しないことで効果的に補償用のリターデーションを発生させることも可能である。
また、レクチファイアの配置位置は、リレーレンズ32の後段(光射出側)に限らず、リレーレンズ32の前段(光入射側)でもよい。この場合、例えば、図9に示したレクチファイアのうちの、屈折率の無いレンズ72を前段に配し、1/2波長板71を後段に配するとよい。
上述のように、偏光補償光学系53を使用することにより、光損失を殆ど伴うことなく偏光の乱れを補償できる。これに対し、偏光補償光学系53を使用せず、図1に示すように、光吸収型あるいは光反射型の偏光素子75を偏光切替素子9の入射側に配置する構成を採用してもよい。偏光素子75としては、高分子素材の延伸フィルムを用いた光吸収型偏光素子、光吸収性の微粒子を配向させた光吸収型偏光素子、構造複屈折性を利用した光反射型偏光素子あるいは光吸収型偏光素子などを用いることができる。これらの構成によれば、低いコストで偏光の乱れを補償することができる。
ここで、これらの偏光素子75を偏光切替素子9の直前(液晶ライトバルブ6R,6G,6B側)に配置することが望ましい。これらの偏光素子75はいずれも不要な偏光成分の光を吸収あるいは反射して排除する素子である。したがって、偏光切替素子9に入射する直線偏光の偏光度が高められ、偏光切替素子9で画像光の偏光状態を正確に切り替えることができ、画質に優れた高精細画像を実現できる。
また、偏光素子75を偏光切替素子9の入射端面に密着させて配置しても良い。特に、光吸収型の偏光素子75を使用すれば、設置スペースが限られる場合に有効である。もしくは、光反射型の偏光素子75を用いて不要な偏光成分の光を透過により排除し、反射光である画像光を偏光切替素子9に入射させる構成としても良い。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と同様であり、液晶ライトバルブの画像データの書き込み方式のみが第1実施形態と異なるため、その点について説明する。
図10は本実施形態のプロジェクターの偏光切替素子を示す図であり、図1におけるz軸方向から見たxy平面図である。
第1実施形態の場合、液晶ライトバルブ6R,6G,6Bの画像データの書き込み形態が線順次方式であるとして説明した。ところが、液晶ライトバルブの中に、画像データの書き込み方式として点順次方式を採用しているものがある。本実施形態のプロジェクターは、光変調素子として、点順次方式の画像データ書き込みを採用した液晶ライトバルブを用いている。点順次方式の液晶ライトバルブでは、マトリクス状に配置された画素の一つ一つを順次選択して画像データを書き込み、最終的に1フレームの画像を完成させる。
このような書き込み形態の液晶ライトバルブを使用する場合には、第1実施形態のライン電極43と異なり、図10に示すように、液晶ライトバルブの画素配列と対応するように複数の画素状電極60をマトリクス状に備えた偏光切替素子59を用いる必要がある。本実施形態においても、偏光切替素子59上に形成される中間像は、ある時点において、前のサブフレームの画像と新たに書き換えられた現行のサブフレームの画像とが所定の境界位置を挟んで併存している。
ところが、本実施形態の場合、この境界位置は、垂直方向へのみ移動するのではなく、所定の行の画素群に対して水平方向に矢印E1で示す向きに移動した後、垂直方向に矢印E2で示す向きに移動し、次の行の画素群に対して再度水平方向に移動するというように、水平方向、垂直方向の双方に移動する。これに伴って、制御部は、偏光切替素子59の複数の画素状電極60に対して所定の電圧を点順次に印加し、液晶がS偏光(第1偏光状態)にある切替領域とP偏光(第2偏光状態)にある切替領域との境界位置が、データ書き込みの境界位置の移動に同期して移動するように、液晶の配向状態を順次所定の状態に切り替える。
本実施形態においても、液晶ライトバルブでの各画像データの書き込みと偏光切替素子での偏光状態の切り替えとを空間的にも時間的にも同期できるため、画像光の偏光状態を高い精度で所定の偏光状態となるように制御でき、見掛け上の画素数を適切に増やした高精細な投写画像を画面の全領域にわたって得ることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
さらに本実施形態の場合、図5(A)、(B)に示した紙面に平行な面内に光学軸P1が配置された複屈折光学素子11に加えて、紙面に垂直な面内に光学軸が配置された第2の複屈折光学素子を備え、2つの複屈折光学素子を備えた構成としても良い。この構成によれば、第1の複屈折光学素子によって画面の垂直方向(y軸方向)の見掛け上の画素数を2倍にするとともに、第2の複屈折光学素子によって画面の水平方向(x軸方向)の見掛け上の画素数を2倍にすることができる。したがって、見掛け上の画素数が4倍となった高精細画像表示を実現できる。
勿論、第1実施形態のプロジェクターにおいても、複屈折光学素子11に加えて上述のように第2の複屈折光学素子を配置することにより、見掛け上の画素数が4倍となった高精細画像表示を実現できる。この場合、従来の1つのフレームを表示する時間内に第1〜第4の4つのサブフレームを表示する構成とし、第1サブフレームに対して第2サブフレームはその画面を垂直方向(y軸方向)のみに、第3サブフレームはその画面を水平方向(x軸方向)のみに、第4サブフレームはその画面を垂直方向(y軸方向)と水平方向(x軸方向)の両方向に同時に、各々シフトさせる構成とすればよい。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図11を用いて説明する。
第1実施形態では、光変調素子として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、本実施形態のプロジェクターでは、光変調素子として反射型の液晶ライトバルブを用いた構成例を挙げて説明する。
図11は本実施形態のプロジェクターの概略構成図である。図11において、第1実施形態の図1と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のプロジェクター61においては、図11に示すように、インテグレーター光学系3を構成する重畳レンズ16の射出側に、色光分離光学系62であるダイクロイックミラー63,64が備えられている。ダイクロイックミラー63は、緑色光LGと青色光LBとを反射させ、赤色光LRを透過する。ダイクロイックミラー64は、緑色光LGと青色光LBとを透過し、赤色光LRを反射させる。また、ダイクロイックミラー63で反射した緑色光LGおよび青色光LBの光路上に、反射ミラー65と、ダイクロイックミラー66と、が備えられている。ダイクロイックミラー66は、ダイクロイックミラー63で反射された緑色光LGおよび青色光LBのうち、緑色光LGを反射させ、青色光LBを透過する。
ダイクロイックミラー64で反射した赤色光LRは、反射ミラー67で反射し、平行化レンズ21を経て偏光分離プリズム68に入射する。偏光分離プリズム68は例えばP偏光を透過してS偏光を反射させる偏光分離面を備えており、赤色光LRは、偏光分離面によって特定の偏光状態、例えばP偏光となって反射型の液晶ライトバルブ69Rに入射する。液晶ライトバルブ69Rで異なる偏光状態に変調された光、例えばS偏光は、偏光分離プリズム68の偏光分離面で反射し、色光合成光学系であるダイクロイックプリズム28に入射する。ダイクロイックミラー66で反射した緑色光LG、およびダイクロイックミラー66を透過した青色光LBの振る舞いは赤色光LRと同様であり、説明を省略する。その他の構成および作用は第1実施形態と同様である。
なお、本構成例では、光伝達光学系8の入射側レンズ31を偏光分離プリズム68とクロスダイクロイックプリズム28との間に配置しているが、偏光分離プリズム68と液晶ライトバルブ69R,69G,69Bとの間に配置しても良い。さらには、3枚の入射側レンズ31を集約してクロスダイクロイックプリズム28の射出側に1枚配置しても良い。
本実施形態においても、液晶ライトバルブ69R,69G,69Bでの各画像データの書き込みと偏光切替素子9での偏光状態の切り替えとを空間的にも時間的にも同期できるため、画像光の偏光状態を高い精度で所定の偏光状態となるように制御でき、見掛け上の画素数を適切に増やした高精細な投写画像を画面の全領域にわたって得ることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施形態では、偏光切替素子として液晶素子を採用したが、偏光状態を局所的かつ時間的に高速で切り替え可能な素子であれば、液晶素子に限定されることはない。また、光変調素子としては、透過型液晶ライトバルブ、反射型液晶ライトバルブの他、線順次方式もしくは点順次方式の画像データの書き込みを用いる他の光変調素子を採用しても良い。その他、上記実施形態のプロジェクターの各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
1,61…プロジェクター、2…光源、6R,6G,6B,69R,69G,69B…液晶ライトバルブ(光変調素子)、8…光伝達光学系、9,59…偏光切替素子、10…投射光学系、11…複屈折光学素子、49…制御部、53…偏光補償光学系。
上記の目的を達成するために、本発明のプロジェクターは、光源と、マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に線順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する、異なる色の複数の色光に対応した複数の光変調素子と、入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の線状の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替える偏光切替素子と、前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、前記偏光切替素子を制御する制御部と、前記複数の光変調素子により変調された複数の色光を合成する色光合成光学系と、を備え、前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替え、前記光伝達光学系は、前記色光合成光学系と前記偏光切替素子との間に設けられたリレーレンズを備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターは、光源と、マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に点順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する、異なる色の複数の色光に対応した複数の光変調素子と、入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替える偏光切替素子と、前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、前記偏光切替素子を制御する制御部と、前記複数の光変調素子により変調された複数の色光を合成する色光合成光学系と、を備え、前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替え、前記光伝達光学系は、前記色光合成光学系と前記偏光切替素子との間に設けられたリレーレンズを備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターにおいては、前記光伝達光学系と前記偏光切替素子との間の光路上に、偏光状態の乱れを補償する偏光補償光学系を備えた構成を採用できる。あるいは、前記偏光切替素子の入射側に配置された光吸収型あるいは光反射型の偏光素子を備えた構成を採用できる。
これらの構成によれば、偏光切替素子に入射する偏光の偏光度を高められるため、偏光切替素子で画像光の偏光状態を正確に切り替えることができ、画質に優れた高精細画像表示を実現できる。
また、本発明のプロジェクターにおいて、前記光伝達光学系は、前記複数の光変調素子と前記色光合成光学系との間に設けられた複数の入射側レンズと、前記色光合成光学系と前記偏光切替素子との間に設けられた射出側レンズと、をさらに備え、前記複数の入射側レンズのレンズ特性が異なっていてもよい。もしくは、前記複数の光変調素子と前記偏光切替素子との間の光路長が光路毎に異なっていてもよい。

Claims (11)

  1. 光源と、
    マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に線順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する光変調素子と、
    入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の線状の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替える偏光切替素子と、
    前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、
    前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、
    前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、
    前記偏光切替素子を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを線順次に切り替えることを特徴とするプロジェクター。
  2. 前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数と前記光変調素子における前記複数の画素の行数とが同一であることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
  3. 前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数が、前記光変調素子における前記複数の画素の行数よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
  4. 前記偏光切替素子における前記複数の切替領域の数が、前記光変調素子における前記複数の画素の行数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
  5. 光源と、
    マトリクス状に配列された複数の画素に対して、第1サブフレームに対応する第1画像データと、前記第1サブフレームに時間的に隣接する第2サブフレームに対応する第2画像データと、が交互に点順次に書き込まれ、書き込まれた前記第1画像データまたは前記第2画像データに基づいて前記光源からの光を変調する光変調素子と、
    入射された光の偏光状態を、第1偏光状態と第2偏光状態とに時間的に切り替える複数の切替領域を有し、前記複数の切替領域にわたって前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替える偏光切替素子と、
    前記偏光切替素子から入射された光の光路をその偏光状態に応じて変更し、前記光を異なる位置から射出させる複屈折光学素子と、
    前記光変調素子によって変調された光を前記偏光切替素子に伝達し、前記偏光切替素子において略結像させて中間像を形成する光伝達光学系と、
    前記偏光切替素子に形成された前記中間像を投写する投写光学系と、
    前記偏光切替素子を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記光変調素子上の前記第1画像データが書き込まれた領域と前記第2画像データが書き込まれた領域との境界位置に対応する前記中間像上の境界位置の移動に略同期して、前記偏光切替素子の前記第1偏光状態とされた切替領域と前記第2偏光状態とされた切替領域との境界位置が移動するように、前記第1偏光状態と前記第2偏光状態とを点順次に切り替えることを特徴とするプロジェクター。
  6. 前記光伝達光学系が、少なくとも前記光変調素子側にテレセントリック性を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  7. 前記光伝達光学系が、等倍伝達光学系であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  8. 前記光伝達光学系が、縮小伝達光学系であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  9. 前記光伝達光学系が、拡大伝達光学系であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  10. 前記光伝達光学系と前記偏光切替素子との間の光路上に、偏光状態の乱れを補償する偏光補償光学系を備えたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のプロジェクター。
  11. 前記偏光切替素子の入射側に配置された光吸収型あるいは光反射型の偏光素子を備えたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のプロジェクター。
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