JP5716365B2 - 基地局装置、通信方法、および、通信システム - Google Patents

基地局装置、通信方法、および、通信システム Download PDF

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Description

本発明は、基地局装置、その基地局装置を用いた通信方法、および、その基地局装置が動作する通信システムに関する。
第3世代移動通信システムの普及に伴い、移動端末を用いた通信でも、動画や音声などを含むマルチメディアサービスが提供されるようになってきている。動画や音声などのパケットは、リアルタイムに配信されることが望ましい。一方、リアルタイム性が求められないサービスに用いられるパケットもある。このため、パケットに含まれるデータの性質に応じた制御、すなわち、適切なQuality of Service(QoS)制御が行われることが望ましい。
Long Term Evolution(LTE)システムでは、送受信されるパケットがパケットに含まれるデータの種類などに応じて複数のQoSクラスに分類され、QoSクラスごとの優先度や許容される遅延時間(Packet Delay Budget、PDB)などが規定されている。LTEシステムに含まれるPacket Data Node gateway(PDNゲートウェイ、PGW)、サービングゲートウェイ(Serving Gateway、SGW)、基地局(eNodeB、eNB)などは、QoSクラスに応じた優先制御を行う。このとき、システムに含まれるある装置から他の装置までの区間に、オペレータが遅延時間を割り当て、各装置は、配分された遅延時間を満たすように制御するシステムが検討されている。例えば、各装置は、配分されている遅延時間内に処理できないパケットを廃棄することにより、遅延時間を満たすようにパケットを制御することができる。
関連する技術として、各装置に対し受信したパケットの他の装置への転送にかかる時間の許容値を配分した上で、受信したパケットの転送にかかる時間と配分された許容値が等しくなるように装置間の無線回線の容量を設定するシステムが知られている。また、ゲートウェイと基地局との間における情報の遅延時間を基地局ごとに算出し、最大の遅延時間と各基地局の遅延時間との差である遅延時間差を対応する基地局に通知するシステムも知られている。他に、複数の基地局の間での伝送遅延時間を考慮して求めた送信時間にデータを送信することにより、複数の無線基地局から同一のタイミングで端末にデータを送信する方法も考案されている。さらに、少なくとも1つの端点によって測定された遅延が所定値を超えるときに、サービスを低下させるシステムも提案されている。
特開2002−247041号公報 特開2009−38444号公報 特開2008−98758号公報 特表2002−541723号公報
3GPP TS 23.401 V10.0.0 (2010-06)
移動通信システムでは、送受信されるパケットの量の偏りや変動が大きく、ネットワーク中の各基地局についてパケットの処理量を予測することはできない。このため、各基地局に対して要求されるパケットの処理量に合わせて遅延時間の許容量を適切に設定することは困難である。設定された遅延時間の許容量が適切でない場合、通信効率が低下する原因となる場合がある。また、遅延時間の許容量が小さすぎると、廃棄されるパケットの量が増大してしまい、サービスの品質が低下する恐れもある。背景技術では、例としてLTEを採用したシステムについて説明したが、動画や音声などのリアルタイム性が求められるデータの送受信に用いられる任意のシステムにおいて、遅延時間の許容量の設定が困難であり、同様の問題が発生し得る。
本発明では、ネットワークに含まれる装置に割り当てられる遅延時間の許容量を適切な値に調整することを目的とする。
ある実施形態にかかる基地局装置は、受信部、記憶部、測定部、算出部、および、送信部を備える。受信部は、送信装置から送信された送信パケットを受信する。記憶部は、前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが前記端末に到達するまでにかかる時間の上限値を記憶する。測定部は、送信時刻が記録されている測定パケットを用いて、前記測定パケットが前記送信装置から送信されてから前記受信部で受信されるまでの遅延時間を測定する。算出部は、前記上限値から前記遅延時間を差し引いた値である許容時間を算出する。送信部は、前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する。
ネットワークに含まれる装置に割り当てられる遅延時間の許容量が柔軟に調整される。
あるネットワークで遅延時間を分配配分した場合の例を説明する図である。 基地局の構成の一例を示す図である。 基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。 ネットワークの例を示す図である。 QCI値と送信パケットの特性の関係の例を説明する図である。 測定パケットの構成の例を示す図である。 測定パケットに含まれるRTPペイロードの特性の例を説明するテーブルである。 QCIに対応するDSCPの設定値の例を示す図である。 基地局と測定パケット送信装置の間でのパスの設定方法の例を説明するフローチャートである。 測定パケットの生成と送信が行われるときの動作を説明するフローチャートである。 許容時間の計算の例を説明する図である。 あるQCIについての遅延量の時間変化の例を示す図である。 あるQCIについての許容時間の時間変化の例を示す図である。 判定部が保持するデータの例を表すテーブルである。 帯域割り当て部の動作の例を説明する図である。 測定パケットを受信したときの基地局の動作の例を説明するフローチャートである。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、あるネットワークで遅延時間を分配配分した場合の例を説明する図である。図1のネットワークには、パケットデータネットワーク1、PDNゲートウェイ2、サービングゲートウェイ3、基地局10が含まれ、基地局10と端末4が通信しているものとする。なお、図1は、LTEシステムでのインタフェースも示している。S1−Uは、基地局10とサービングゲートウェイ3の間のインタフェースである。また、SGiは、パケットデータネットワーク1とPDNゲートウェイ2の間のインタフェースを表す。さらに、Uuは、無線ネットワークのインタフェースを表す。
以下の説明では、PDNゲートウェイ2から端末4までの間で規定されている遅延時間をPDB0であるとする。オペレータ等は、PDN0を、第1の予測時間(PDB1)と第2の予測時間(PDB2)とに分ける。第1の予測時間は、送信パケットが基地局10に受信されてから端末4に送信されるまでにかかると予測される時間である。一方、第2の予測時間は、PDNゲートウェイ2から送信されたパケットが基地局10に受信されるまでにかかると予測される時間である。基地局は、PDB1とPDB2の各々の値を記憶する。ただし、第2の予測時間は、PDNゲートウェイ2から基地局10まで送信されたパケットを削除する基準として用いられない。すなわち、基地局10は、第2の予測時間よりも長い時間をかけて基地局10に到達したパケットも端末4に向けて送信する。
基地局10は、PDNゲートウェイ2から送信された測定パケットを受信し、測定パケットを受信した時刻を確認する。ここで、測定パケットには、測定パケットが送信された時刻が記録されているものとする。そこで、基地局10は、測定パケットの送信時刻と、基地局10が測定パケットを受信した時刻から、測定パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかった遅延時間を求める。
ここで、測定パケットの送信にかかる遅延時間は通信に用いられるデータパケット(送信パケット)の送信にかかる遅延時間と同じであるとする。すると、送信パケットは、遅延時間だけかけてPDNゲートウェイ2から基地局10に到達することになる。また、
PDB0=PDB1+PDB2
であるので、遅延時間がPDB2より短い基地局は、送信パケットを端末4に送信するためにPDB1より長い時間をかけることができる。すなわち、基地局10は、PDB2から測定パケットでの遅延時間を差し引いた値と、PDB1とを合わせた時間だけかけてパケットを端末に送信しても、規定された遅延時間PDB0の間にPDNゲートウェイ2から端末までパケットが到達する。そこで、基地局10は、PDB2から測定パケットでの遅延時間を差し引いた値と、PDB1とを合わせた時間を、端末へのパケットを送信するまでの遅延量に設定する。
このように、有線ネットワークでの遅延時間に合わせて無線ネットワークでの遅延時間の許容量を調整することにより、通信量に合わせて遅延時間の許容量を柔軟に調整することができる。
<装置構成>
以下、基地局10の動作について詳しく説明する。以下の説明では、基地局10と通信している端末に向けて送信されるパケットのことを「送信パケット」と記載するものとする。送信パケットは、端末4で処理される。また、送信パケットは、含まれている情報の種類や優先度などにより、QoSクラス識別子(QCI、QoS Class Identifier)のいずれかに対応付けられている。送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間を予測するために、測定パケットが用いられるものとする。測定パケットは、その測定パケットがPDNゲートウェイ2から送信された時刻をタイムスタンプに記録しているものとする。測定パケットも、QCIのいずれかに対応付けられており、測定パケットは、対応付けられたQCIと同じQCIに対応付けられている送信パケットの遅延時間を予測するために用いられる。また、測定パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかった時間を「遅延時間」と記載することがある。さらに、送信パケットが送信されてからその送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値をPDB0とする。
図2は、基地局10の構成の一例を示す図である。基地局10は、ネットワークインタフェース11、識別部12、格納部13、QoSバッファ14、アンテナ15、遅延調整部20、スケジューラ30、送信部40、および、無線信号受信部50を備える。ネットワークインタフェース11は、受信部16と送信部17を備える。遅延調整部20は、測定部21、記憶部22、算出部23、統計部24、および、タイマ25を備える。スケジューラ30は、判定部31、帯域割り当て部32を備える。送信部40は、符号化処理部41、Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)変調部42、無線変調部43を備える。無線信号受信部50は、無線復調部51、OFDM復調部52、復号化処理部53を備える。
基地局10は、受信部16を介してPDNゲートウェイ2、サービングゲートウェイ3、Mobility Management Entity(MME)5などからパケットを受信する。また、基地局10は、送信部17を介して、PDNゲートウェイ2、サービングゲートウェイ3、MME5などに向けてパケットを送信する。
識別部12は、ネットワークインタフェース11から受信したパケットの種類が送信パケットと測定パケットのいずれであるかを識別して、種類に応じた出力先に出力する。識別部12は、パケットのGTP−U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)ヘッダに含まれるTunnel Endpoint Identifier(TEID)を用いて、送信パケットと測定パケットを区別する。なお、送信パケットに用いられるTEIDと測定パケットに用いられるTEIDは予め別の値に設定されており、識別部12は、TEIDの値とTEIDに対応付けられているパケットの種類を予め記憶しているものとする。また、TEIDとパケットの種類の組み合わせは記憶部22に記憶されてもよい。この場合、識別部12は、記憶部22を参照して、パケットを識別する。また、測定パケットの識別は、送信パケットと測定パケットに用いられるGTP−Uパケットを運ぶIPアドレスを、別の値に設定することによっても可能である。識別部12は、測定パケットを受信すると、測定部21に出力する。一方、送信パケットを受信すると、識別部12は、各々のパケットのQCIを取得する。識別部12で行われるQCIの取得方法については、後述する。識別部12は、送信パケットをQCI値に応じてQoSバッファ14に出力する。
格納部13は、基地局10と通信している端末に向けて送信される送信パケットを格納する。格納部13は、複数のQoSバッファ14(14a〜14c)を備えている。QoSバッファ14は、QCIと一意に対応付けられており、各々のQoSバッファ14は、対応付けられたQCIの送信パケットを格納する。例えば、QoSバッファ14aは、QCI=1の送信パケットを格納し、QoSバッファ14bはQCI=2の送信パケットを格納する。また、図2に示した例では、格納部13はN個のQoSバッファ14を備えているが、格納部13が備えるQoSバッファ14の数は実装に応じて任意に変更することができる。
測定部21は、測定パケットに含まれているタイムスタンプと、その測定パケットの受信時刻との差を計算することにより、測定パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかった時間を算出する。先に述べたとおり、個々の測定パケットはQCIのいずれかと対応付けられているので、測定部21は、処理対象の測定パケットが対応付けられているQCIの測定パケットについての遅延時間を求めることができる。さらに、測定パケットを用いて算出された遅延時間は、処理対象の測定パケットと同じQCIの送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかった時間とほぼ同じ時間となるものとする。従って、測定部21は、遅延時間の算出に用いた測定パケットに対応付けられているQCIと同じQCIに対応付けられている送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間を求めているともいえる。例えば、測定部21は、QCI=1に対応付けられた測定パケットを用いて得られた遅延時間を、QCI=1に対応付けられた送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間とすることができる。
記憶部22は、第1の予測時間と第2の予測時間を記憶する。ここで、第1および第2の予測時間は、予めオペレータによりQCIごとに独立して決定されているものとする。また、記憶部22は、測定部21の算出結果など、基地局10の処理に用いられるデータやプログラムなどを記憶することができる。さらに、記憶部22は、送信パケットがPDNゲートウェイ2から端末4に到達するまでに許容されている時間(PDB0)も記憶することができる。また、記憶部22は、算出部23が算出したデータなども記憶することができる。
算出部23は、第2の予測時間と測定部21が求めた遅延時間との差を算出する。以下の説明では、算出部23は、測定パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかった時間の実測値から、第2の予測時間を差し引いた値(ΔPDB2)を算出するものとする。従って、ΔPDB2が負の場合、予測されていた時間よりも測定パケットの送信にかかる時間が短いことを示す。すなわち、PDNゲートウェイ2から基地局10までの間の有線ネットワークでは予想よりも早くパケットが送信されることを示している。一方、得られた差が正の場合、予測されていた時間よりも測定パケットの送信にかかる時間が長いことを示す。PDNゲートウェイ2から基地局10までの間の有線ネットワークでは予想よりもパケットの送信に時間がかかることを示している。
さらに、算出部23は、−ΔPDB2を第1の予測時間に加えて、基地局10から端末に送信パケットを送信するまでに許容される時間を算出する。以下の説明では、基地局10から端末に送信パケットを送信するまでに許容される時間のことを「許容時間」と記載することがある。ここで、許容時間の計算は、QCIごとに行われるものとする。
算出部23は、算出した結果を判定部31や記憶部22に通知する。統計部24は、記憶部22の変更の頻度や許容時間の時間変化を統計的に処理し、オペレータにフィードバックするためのデータを生成する。統計部24は、ネットワークインタフェース11を介して、適宜、生成したデータをオペレータにより運用される装置に通知することができ、オペレータは、通知に応じて第1および第2の予測時間を変更することができる。タイマ25は、時刻情報を保持し、適宜、測定部21などに時刻情報を通知する。例えば、測定部21は、タイマ25を参照して、測定パケットが受信された時刻を取得することができる。
判定部31は、各QCIについて、送信パケットの送信レートを取得する。さらに判定部31は、算出部23から通知された許容時間と送信レートとを用いて、許容時間内にQoSバッファ14に格納されている送信パケットを端末に向けて送信することができるかを判定する。判定部31は、判定結果を帯域割り当て部32に出力する。
帯域割り当て部32は、判定部31から入力された判定結果を用いて、基地局10と通信している端末4にリソースブロックを割り当てる。ここで、リソースブロックは、端末への周波数帯域の割り当ての単位であり、1つのリソースブロックは、一定の数の連続したサブキャリアについての、連続した一定の時間を表すものとする。例えば、12個の連続したサブキャリアについての連続した0.5ミリ秒の間を1つのリソースブロックとすることができる。また、帯域割り当て部32は、リソースブロックを割り当てた端末ごとに符号化率や変調方式を決定して、送信部40に通知する。帯域割り当て部32は、符号化率と変調方式の決定が終わると、リソースブロックを割り当てた端末へ送信される送信パケットを送信部40に出力する。
符号化処理部41は、帯域割り当て部32から通知された符号化率により、入力された送信パケットを符号化する。OFDM変調部42は、符号化処理部41から入力されたデータをOFDM変調し、得られた信号を無線変調部43に出力する。無線変調部43は、OFDM変調部42から入力されたI/Q信号を、直交変調した後、搬送周波数に変調してアンテナ15に出力する。アンテナ15を介して、基地局10は、端末に送信パケットを送信する。
無線復調部51は、アンテナ15を介して入力された信号から搬送波を除去し、復調する。無線復調部51は、復調したデータをOFDM復調部52に出力する。OFDM復調部52は、無線復調部51から入力されたデータをOFDM復調し、復号化処理部53に出力する。復号化処理部53は、OFDM復調部52から入力されたデータを復号化する。復号化処理部53により復号化されたデータは、適宜、呼制御処理部65(図3を参照)などにより処理される。
図3は、基地局10のハードウェア構成の一例を示す図である。基地局10は、Central Processing Unit(CPU)60、スイッチ62、メモリ70、Digital Signal Processor(DSP)75、Radio Frequency(RF)回路80を備える。スイッチ62は、例えば、レイヤ2スイッチとすることができ、識別部12として動作する。RF回路80は、無線変調部43および無線復調部51として動作する。DSP75は、符号化処理部41、OFDM変調部42、OFDM復調部52、および、復号化処理部53として動作する。メモリ70は、格納部13および記憶部22として動作する。
CPU60は、ネットワークインタフェース11、遅延調整部20、スケジューラ30、U/Cプレーン多重部63、U/Cプレーン分離部64、呼制御処理部65、装置制御部66として動作する。U/Cプレーン多重部63は、制御プレーン(C-plane)に分類される信号とユーザプレーン(U-plane)に分類される信号を多重化し、得られた信号をスケジューラ30に出力する。U/Cプレーン分離部64は、復号化処理部53から入力された信号を、制御プレーンに分類される信号とユーザプレーンに分類される信号に分離する。
呼制御処理部65は、基地局10に接続を要求した端末と基地局10との間で送受信される信号や、基地局10が形成するセル内に位置する端末への発呼に応じて送受信される信号などの処理を行う。また、呼制御処理部65は、基地局10とPDNゲートウェイ2の間のパスを設定する。装置制御部66は、ネットワークインタフェース11、遅延調整部20、スケジューラ30、スイッチ62、U/Cプレーン多重部63、U/Cプレーン分離部64、呼制御処理部65などの動作を監視し、適宜、制御を行う。なお、図3は、基地局10のハードウェア構成の一例であり、例えばCPU60やDSP75の数は任意に変更することができる。複数のCPU60を備える基地局では、例えばネットワークインタフェース11、遅延調整部20、スケジューラ30などが異なるCPU60により実現される場合がある。
<実施形態>
図4は、ネットワークの例を示す図である。図4に示すネットワークは、測定パケット送信装置90を備える。測定パケット送信装置90は、PDNゲートウェイ2とパケットデータネットワーク1とに接続されている。基地局10が起動されると、基地局10と測定パケット送信装置90の間のパスが設定される。パスが設定されると、測定パケット送信装置90は、測定パケットを適切なサービングゲートウェイ3を経由して基地局10に向けて送信する。測定パケット送信装置90は、測定パケット生成部91、タイマ92、および、記憶部93を備える。測定パケット生成部91は測定パケットを生成する。タイマ92は時刻情報を保持し、適宜、測定パケット生成部91に測定パケットの生成のタイミングを通知する。記憶部93は、測定パケットを生成する間隔などの情報を記憶している。測定パケットの構成や生成方法の例については後述する。
PDNゲートウェイ2は、U−プレーン処理部94を備える。PDNゲートウェイ2が測定パケットを受信すると、U−プレーン処理部94は、測定パケットをユーザデータとして処理する。すなわち、測定パケットは、PDNゲートウェイ2から端末4に送信される送信パケットと同様に処理される。PDNゲートウェイ2は、測定パケットや送信パケットを含むユーザデータを基地局10に向けて送信する。ネットワーク中に複数の基地局10(10a〜10f)がルータ7と接続されている場合、ルータ7は、送信パケットや測定パケットを宛先の基地局10に送信する。基地局10は、サービングゲートウェイ3やルータ7を介して測定パケットを受信し、測定パケットを用いて得られた遅延時間に基づいて、基地局10から端末4に送信パケットを送信するときの許容時間を調整する。
図5は、QCI値と送信パケットの特性の関係の例を説明する図である。図5を参照しながら、PDNゲートウェイ2から端末4に向けて送信される送信パケットと、送信パケットに対応付けられているQCI値について説明する。図5の例では、送信パケットは、その送信パケットに含まれるデータの種類や優先度に応じて9種類に分けられており、QCI値は1〜9のいずれかをとる。また、送信パケットは、保証型ビットレート(guaranteed bit rate、GBR)と非保証型ビットレート(Non-GBR)のいずれかで送信されるものとする。保証型ビットレートで送信される場合、ビットレートが規定された最小値以上の値をとるように、送信パケットは、予約された帯域を用いて送信される。一方、非保証型ビットレートで送信される場合、ビットレートの最小値は規定されておらず、送信パケットの送信に用いられる帯域も予約されていない。例えば、QCIが1〜4の送信パケットは予め予約された帯域を用いて送信されるが、QCIが5〜9の送信パケットは予約された帯域により送信されない。また、送信パケットの優先度はQCIごとに異なり、優先度の欄の数値が小さいQCIほど、優先度が高いものとする。例えば、QCI=5の送信パケットの優先度はQCI=1〜9の中で最も高い。同様に、QCI=1の送信パケットの優先度はQCI=5の測定パケットに次いで2番目に高い。
図5(a)のテーブルのPDB0は、送信パケットがPDNゲートウェイ2から端末4に到達するまでにかけることができる時間を示す。PDB0の値は、送信パケットのQCI値に応じて異なる。図5(b)は、QCI値が1の場合のパケットについて、PDNゲートウェイ2から端末4に到達するまでにかけることができる時間(PDB0)の例を示す図である。オペレータは、予め、PDB0の値に合わせてQCIごとに第1および第2の予測時間を決定することができる。PDB0の値と第1および第2の予測時間は、QCI値と対応付けて記憶部22に記憶されるものとする。なお、図5(b)に示すように、ネットワークには、Mobility Management Entity(MME)5やPolicy and Charging Enforcement Function(PCRF)6がさらに含まれる場合がある。また、S1−MME、S11、S5、Gx、Rxは、インタフェースの名称である。
図5(a)のテーブルのサービス例の欄は、送信パケットに含まれているデータの種類の例を示す。例えば、QCI=1の送信パケットによって音声データが送信され、QCI=2〜4、6〜9の送信パケットによって、画像データと音声データが送信されることがある。また、QCI=5の送信パケットは、IP Multimedia Subsystem(IMS)シグナリングに用いられる。送信パケットは、QCIに応じて送信処理の優先度などが異なるため、基地局10に受信されると図2に示すように、送信パケットのQCIに応じて異なるQoSバッファ14に格納される。従って、基地局10で受信されてから端末4に送信されるまでの時間がQCIごとに異なる場合がある。
次に、測定パケットの種類と構造の例について説明する。送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間はQCIごとに異なる場合があるため、送信パケットの遅延時間はQCIごとに測定される。さらに、測定パケットと送信パケットとの間で、パケットに含まれているデータの種類や大きさの違いが小さいほど、測定パケットを用いて求められた遅延時間は、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間に近くなる。そこで、遅延時間を測定する送信パケットのQCIごとに測定パケットに含まれるデータは異なる。測定パケットに含まれるデータの種類等の具体例については、後述する。
図6は、測定パケットの構成の例を示す図である。いずれのQCIの送信パケットの遅延時間を測定する測定パケットの構成も、図6(a)に示すとおりである。測定パケットは、Internet Protocol(IP)ヘッダ101、User Datagram Protocol(UDP)ヘッダ102、Real-time Transport Protocol(RTP)ヘッダ103、および、RTPペイロード104を備える。IPヘッダ101は、送信元アドレス、宛先アドレス、サービスタイプ(Type Of Service、TOS)フィールドなどを含む。ここで、TOSフィールドは8ビットのフィールドであり、上位6ビットが後述するように、differentiated services code point(DSCP)として用いられる。DSCPには、QCIを特定するための情報が格納される。DSCPの設定値の例については後述する。なおIPv6の場合、TOSフィールドの代わりにTraffic ClassフィールドがIPヘッダ101に含まれる。UDPヘッダ102は、送信元ポート番号と宛先ポート番号を含む。
図6(b)は、RTPヘッダ103の構成の例を示す。RTPヘッダ103には、タイムスタンプが含まれている。タイムスタンプは、測定パケットが測定パケット送信装置90から送信された時刻を表す情報を記録している。従って、測定部21は、RTPヘッダ103のタイムスタンプを参照することにより、測定パケットの送信時刻を取得することができる。タイムスタンプに含まれる情報は、時刻を示すことができる任意の形式にすることができる。例えば、タイムスタンプが図6(b)に示すように32ビットの領域に記録される場合、タイムスタンプの値は、125μsごと(8kHz)に1つインクリメントされてもよい。この場合、タイムスタンプのデータをリセットするタイミングを測定パケット送信装置90と基地局10が予め記憶しているものとする。例えば、毎日午前0時にタイムスタンプがリセットされることを、測定パケット送信装置90と基地局10の両方が記憶している。なお、測定パケット送信装置90からPDNゲートウェイ2に測定パケットが送信されるためにかかる時間は、第2の遅延時間に対して無視できる長さであるとする。また、タイムスタンプに、PDNゲートウェイ2から測定パケットが送信される時間が記録されても良い。
図6において、VはRTPのバージョン番号、Pはパディング、Xは拡張ヘッダのデータの有無を示すフラグ、CCは複数のデータ源のデータを1つのRTPパケットにしたときの個々のデータ源の識別子、Mはマーカフラグを表す。シーケンス番号はパケットの順序を示す。PTはRTPペイロード104に含まれるデータの種類を示し、Synchronization Source(SSRC)識別子およびContributing Sources(SCRC)識別子はデータの送信元を示す。
図7は、測定パケットに含まれるRTPペイロード104の特性の例を説明するテーブルである。先に述べたように、測定パケットに含まれるデータの種類は、遅延時間の測定対象の送信パケットと同じであるため、測定パケットに含まれるRTPペイロード104は、測定対象の送信パケットのQCIごとに異なる。例えば、QCI=1、7の測定パケットのRTPペイロード104には音声データが含まれることがあり、QCI=2〜4、6〜9の測定パケットのRTPペイロード104には、画像データと音声データが含まれることがある。
図7に示すように、RTPペイロード104のペイロード長も、測定対象の送信パケットが分類されているQCIごとに異なる。例えば、QCIが5の測定パケットにはRTPペイロード104が含まれない。一方、RTPペイロード104の長さは、QCI=1の測定パケットでは30バイト、QCI=2の測定パケットでは100バイト、QCI=3の測定パケットでは200バイト、QCI=4および7では500バイトとされることがある。同様に、QCI=6、8、9の場合は、測定パケットのRTPペイロード104は1000バイトとされる場合がある。
さらに、送信パケットが予約された帯域を用いて送信されるパケットである場合、その送信パケットについての遅延時間を測定するために用いられる測定パケットも予約された帯域で送信される。例えば、QCIが1の送信パケットでの遅延時間を測定するための測定パケットは、QCI=1の送信パケットの送信のために予約された帯域を介して、PDNゲートウェイ2から基地局10に送信される。一方、QCIが5〜9の送信パケットの送信に用いられる帯域は予約されていないので、QCI=5〜9の送信パケットの遅延時間を測定するための測定パケットは、予約された帯域を介さずにPDNゲートウェイ2から基地局10に送信される。
なお、図7に示すテーブルは、適宜、記憶部93に記憶されており、測定パケット生成部91は、測定パケットを生成する際に記憶部93を参照することができるものとする。また、図7の例ではQCIが1〜9の9段階に分けられている場合について説明したが、QCIの数は任意に変更される場合がある。
図8は、QCIに対応するDSCPの設定値の例を示す図である。記憶部93は、図8に示す情報を記憶しており、測定パケットに対応付けられているQCIに応じてDSCPの値が設定される。図8の例では、Expedited Forwarding(EF)クラス、Assured Forwarding(AF)クラス、Best Effort(BE)クラスの3種類のクラスが用いられている。優先度は、EFクラス>AFクラス>BEクラスの順に低くなる。また、図8の表では、設定されるクラスとそのクラスを示すDSCPの設定値が、QCIに対応付けられている。さらに、図8は、設定されたクラスに応じて得られる優先度も、DSCPの設定値に対応付けて表されている。例えば、QCI=5の測定パケットはEFクラスに設定され、その測定パケットのDSCPの設定値は0b101110である。同様に、QCI=1の測定パケットはAF42クラスに分類され、DSCPの設定値は0b100100である。このように、DSCPがQCIなどに対応付けて設定されているため、識別部12や測定部21は、測定パケットのDSCPの設定値を参照することにより、その測定パケットに対応付けられているQCIや測定パケットの優先度を取得することができる。
なお、図8を参照しながら測定パケットのDSCPの設定について説明したが、送信パケットについても測定パケットと同様にQCIに応じてDSCPの値が設定される。また、記憶部22は、図8のテーブルを記憶することができる。従って、識別部12は、送信パケットのDSCPを参照することにより、送信パケットのQCIを識別することができる。なお、図8の設定値は例であり、DSCPの値によりQCIを一意に識別できるように、DSCPの設定値を任意に変更することができる。
図6〜図8を参照して説明した測定パケットは、測定パケット送信装置90で生成される。以下、測定パケット送信装置90での測定パケットの生成方法の例を説明する。ここで、測定パケット送信装置90は、図7および図8に示すテーブルを記憶部93に記憶しているものとする。
(1)タイマ92からあるQCIに対応付けられた測定パケットを送信するタイミングの通知を受けると、測定パケット生成部91は、測定パケットのRTPペイロード104を生成する。このとき、測定パケット生成部91は、図7のテーブルを参照して、測定パケットのQCIに対応付けられているペイロード長と、RTPペイロード104に含まれるデータの種類を取得する。例えば、QCI=1の測定パケットが生成される場合、測定パケット生成部91は、記憶部93を参照して、RTPペイロード104を30バイトの音声データとすることができることを認識する。測定パケット生成部91は、記憶部93から取得した情報に従って、RTPペイロード104を生成する。
(2)測定パケット生成部91は、タイマ92から時刻情報を取得して、RTPヘッダ103のタイムスタンプを設定する。その後、測定パケット生成部91は、RTPペイロード104にタイムスタンプを設定したRTPヘッダ103を付加してRTPパケットを生成する。
(3)測定パケット生成部91は、RTPパケットにUDPヘッダ102を付加して、UDPパケットを生成する。
(4)測定パケット生成部91は、記憶部93を参照して、IPヘッダ101のDSCP値に設定する値を取得する。例えば、QCI=1の場合、図8に示すように、AF42クラスで送信されることを取得する。そこで、測定パケット生成部91は、DSCPを01b100100に設定する。さらに、測定パケット生成部91は、基地局10の宛先アドレスなどを設定し、RTPパケットにIPヘッダ101を付加する。
次に、測定パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでの時間を測定し、許容時間を求める方法の例について説明する。以下の説明では、PDB0の値は、図5(a)に示すとおりであるものとする。また、以下の説明では、ネットワークはNetwork Time Protocol(NTP)サーバ(図9を参照)を含むか、もしくは、基地局10や測定パケット送信装置90がNTPサーバにアクセスできるものとする。基地局10と測定パケット送信装置90は、NTPサーバにアクセスすることにより時刻情報を更新することができる。さらに、以下の説明では、測定パケット送信装置90は、生成される測定パケットに対応付けられるQCIの種類の数と同数のタイマ92を備えているものとする。
図9は、基地局10と測定パケット送信装置90の間でのパスの設定方法の例を説明するフローチャートである。基地局10が起動されると、基地局10は、NTPサーバにアクセスして、タイマ25が保持する時刻情報をNTPサーバから得られた時刻情報に更新する(ステップS1、S2)。一方、測定パケット送信装置90も起動された後で、NTPサーバにアクセスしてタイマ92の時刻情報とNTPサーバの時刻情報を同期する(ステップS3、S4)。測定パケット送信装置90は、個々のタイマ92に、測定パケットを送信する時間間隔を設定する(ステップS5)。このとき、個々のタイマ92は、互いに異なるQCIの測定パケットの送信間隔に設定されるものとする。例えば、測定パケット送信装置90がタイマ92a〜92dの4個のタイマ92を備えているとする。この場合、タイマ92aにQCI=1、タイマ92bにQCI=2、タイマ92cにQCI=3、タイマ92dにQCI=4の測定パケットの送信間隔が設定される。この場合、タイマ92aは、QCI=1の測定パケットを送信するタイミング毎にタイムアップする。同様に、タイマ92bはQCI=2の測定パケットの送信タイミング、タイマ92cはQCI=3の測定パケットの送信タイミング、タイマ92dはQCI=4の測定パケットの送信タイミングにタイムアップする。なお、タイマ92に設定されるタイミングは、基地局10の処理負荷と通信量の変動などに応じた任意の値に設定され得るが、例えば、基地局10から端末4に送信されるパケットの送信周期より短いタイミングに設定される場合がある。タイマ92がタイムアップしたときの測定パケット送信装置90の動作は後述する。
基地局10は、遅延時間の測定を開始するために、基地局10のIPアドレスなど、基地局10を識別する識別子を、測定パケット送信装置90に通知する(ステップS6)。基地局10は、識別子を通知した後は、測定パケットを受信するまで待機する。一方、測定パケット送信装置90は、基地局10の識別子を受信すると、受信した識別子を記憶部93に登録する(ステップS7)。なお、測定パケット送信装置90は、複数の基地局10に測定パケットを送信することもできるので、測定パケットを送信する基地局10の数を認識している。以下、測定パケットを送信する基地局10の総数をMとする。そこで、測定パケット送信装置90は、ステップS7において基地局10の識別子を登録すると、Mの値を1つインクリメントする。さらに、測定パケット送信装置90は、測定パケット送信装置90と基地局10の間にベアラを設定する(ステップS8)。
図10は、測定パケットの生成と送信が行われるときの動作を説明するフローチャートである。図10のフローチャートでは、変数mが用いられる。変数mは、測定パケット送信装置90がタイマ92のタイムアップ後に測定パケットを送信した基地局10の数を表すものとする。QCI=nの測定パケットを送信する間隔に設定されているタイマ92がタイムアップすると、測定パケット生成部91は、変数mを1に設定する(ステップS11)。測定パケット生成部91は、QCI=nの測定パケットのRTPペイロード104を生成する(ステップS12)。ここで、RTPペイロード104の生成方法は、図7、図8を参照しながら述べたとおりである。測定パケット生成部91は、RTPペイロード104にRTPヘッダ103を付加してRTPパケットを生成し、さらに、RTPパケットにUDPヘッダ102、IPヘッダ101を付加する。このとき、測定パケット生成部91は、IPヘッダ101のDSCPを設定し、記憶部93に格納する。(ステップS13)。測定パケット生成部91は、生成された測定パケットをコピーして、そのIPヘッダ101に、m番目の基地局10のIPアドレスを宛先アドレスとして設定する(ステップS14)。さらに、測定パケット生成部91は、RTPヘッダ103に含まれているタイムスタンプの値を設定する(ステップS15)。その後、測定パケット送信装置90は、生成された測定パケットをm番目の基地局10に送信する(ステップS16)。測定パケットを送信した後、測定パケット生成部91は、mの値を1つインクリメントし、変数mが測定パケットを送信する基地局10の総数(M)以上であるかを確認する(ステップS17、S18)。変数mがM未満の場合、測定パケット生成部91は、ステップS14〜S18を繰り返す。なお、2回目以降のステップS14〜S18の処理では、ステップS13で生成されたIPパケットのコピーが用いられる。また、変数mが定数M以上になると、測定パケット生成部91は、ステップS13で生成したパケットを記憶部93から削除する。
基地局10が受信部16を介して測定パケットを受信すると、識別部12は、測定パケットを識別して、測定部21に出力する(ステップS19)。測定部21は、タイマ25を参照して、測定パケットの受信時刻を取得し、受信時刻とRTPヘッダ103のタイムスタンプの値から、測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでの遅延時間を算出する(ステップS20)。算出部23は、得られた遅延時間と第2の予測時間(PDB2)との差を算出し、さらに、算出した差を用いて、許容時間を求める。許容時間の求め方については、後述する。さらに、算出部23は、記憶部22に記憶されている許容時間を更新する(ステップS21)。
図10を参照しながら説明したように、タイマ92がタイムアップするたびに測定パケットが生成され、測定パケットを用いて許容時間が更新される。また、図10のフローチャートは、QCI=nのタイマ92がタイムアップした場合について示しているが、nは送信パケットが分類されるQCIの数以下の任意の数である。従って、図5に示したように、QCIが1〜9に分類されている場合は、QCI=1〜9の各々にタイマ92が設定されている。また、1つのタイマ92がタイムアップするごとに、タイムアップしたタイマ92で送信間隔が計測されていたQCIの測定パケットが送信される。
図11は、許容時間の計算の例を説明する図である。図11のテーブルは記憶部22に格納されているデータの一部を表している。以下、図11を参照しながら、基地局10で行われる許容時間の算出方法について説明する。
図11(a)は、基地局10が起動されてから測定パケットを受信していない場合に、記憶部22が保持するデータの一部を示している。オペレータは、図5に示したPDB0の値に応じて、PDB1とPDB2の値を決定し、記憶部22に記憶させる。また、予め、基地局10での処理にかかる時間も求めて、記憶部22に記憶させる。以下の説明では、基地局10での処理にかかる時間を「基地局処理遅延」と記載することがある。図11(a)に、1〜NのそれぞれのQCIについてPDB1、PDB2、基地局処理遅延の例を示す。
PDB1と基地局処理遅延が記憶されると、算出部23は、PDB1から基地局処理遅延を差し引いて得られた時間を、1〜NのそれぞれのQCIについての許容時間Aの初期値とする。基地局処理遅延は基地局10の処理にかかる時間であるので、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間がPDB1である場合、基地局10は、送信パケットを許容時間Aの間だけQoSバッファ14に格納できる。図11(a)には、1〜NのそれぞれのQCIについて計算された許容時間Aの初期値も示されている。
測定パケット送信装置90から測定パケットを受信すると、識別部12により、測定パケットは、測定部21に出力される。測定部21は、基地局10が測定パケットを受信した時刻をタイマ25から取得する。測定部21は、測定パケットのRTPヘッダ103に含まれているタイムスタンプを参照することにより、測定パケットが測定パケット送信装置90から送信された時刻を求める。さらに、測定部21は、測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでにかかった遅延時間Dを(1)式から求める。
D=Trec−Tstamp ・・・(1)
ここで、Trecは測定パケットが基地局10に受信された時刻であり、Tstampは測定パケットに含まれているタイムスタンプが示す時刻であるものとする。測定部21は、算出した遅延時間を算出部23に出力する。
算出部23は、遅延時間を取得すると、第2の予測時間と測定部21が求めた遅延時間との差を求める。ここで、第2の予測時間と遅延時間との差をΔPDB2とすると、ΔPDB2は(2)式で表わされる。
ΔPDB2=D−PDB2 ・・・(2)
次に、算出部23は、ΔPDB2、第1の予測時間、および、基地局処理遅延から、許容時間Aの更新値を計算する。許容時間は、(3)式に従って求められる。
A=PDB1−ΔPDB2−Dbase ・・・(3)
式(3)において、Dbaseは基地局処理遅延を表すものとする。なお、後述するように、基地局処理遅延の影響が無視できる場合がある。算出部23は、算出した許容時間を記憶部22と判定部31に出力する。
例えば、QCI=1の測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでに20msかかったとする。図11(a)に示すようにQCI=1でのPDB2は50msであるため、ΔPDB2は次のようになる。
ΔPDB2=D−PDB2=20ms−50ms=−30(ms)
そこで、算出部23は、(3)式を用いて許容時間を求める。
A=PDB1−ΔPDB2−Dbase
=50ms−(−30ms)−5ms=75ms
つまり、QCI=1の測定パケットの遅延時間が20msの場合、QCI=1の送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するためにかかる時間は、第2の予測時間よりも30ms短い。従って、基地局10は、測定パケットの遅延時間がPDB2と同じ値である場合よりも、30ms長い間、送信パケットをQoSバッファ14aに格納することができる。従って、許容時間の初期値は図11(a)に示すように45msであるのに対して、QCI=1の送信パケットについて基地局10がQoSバッファ14aに格納することができる時間は75msとなる。QCI=1の測定パケットを用いて求めた許容時間の計算結果を図11(b)に示す。
一方、QCI=2の測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでに90msかかったとする。図11(a)に示すようにQCI=2でのPDB2は70msであるため、ΔPDB2は次のようになる。
ΔPDB2=90ms−70ms=20(ms)
そこで、算出部23は、(3)式を用いて許容時間を求める。
A=80ms−20ms−5ms=55ms
つまり、QCI=2の測定パケットの遅延時間が第2の予測時間よりも20ms長い場合、基地局10は、測定パケットの遅延時間がPDB2と同じ値である場合よりも、20ms短い間しか、送信パケットをQoSバッファ14bに格納できない。従って、QCI=2の送信パケットについての許容時間の初期値は図11(a)に示すように75msであったのに対して、許容時間の更新値では、20ms短い55msとなる。
同様に、QCI=3の測定パケットは10msで送信されているが、PDB2は20msであるので、測定パケットは、予測されたよりも10ms早く基地局10に到達している。すると、許容時間は、図11(a)に示されているように許容時間の初期値である25msよりも10ms長い35msとなる。測定パケットを用いて求めた許容時間の計算結果を図11(b)に示す。
測定パケット送信装置90は、QCI=1〜Nの各々について、基地局10から端末4に送信パケットが到達するまでの許容時間を求める。また、許容時間の算出などは、測定パケットが送信されるごとに行われる。2回目以降に測定パケットを受信した場合、算出部23は、図11(b)に示すようなテーブルを参照しながら許容時間を求め、得られた値を記憶部22に記憶させて許容時間を更新する。
測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでの時間を用いて許容時間を調整することにより、基地局10は、機器の間で許容される遅延量を、ネットワークでの通信量に応じて柔軟に変更することができる。例えば、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に送信されるまでの遅延量が第2の予測時間を下回ると、基地局10での許容時間を増大させることにより、基地局10から送信されるデータ量を増大させることができる。このため、無線ネットワークを有効に活用することができる。一方、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に送信されるまでの遅延量が第2の予測時間を上回っても、基地局10での許容時間を減少させることにより、有線ネットワークでのデータの廃棄を防ぐことができる。
図12は、あるQCIについての遅延量の時間変化の例を示す図である。図12(a)に含まれている曲線Tra2は、PDNゲートウェイ2から端末4に送信されたQCI=1の送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間の変化の例を示すものとする。以下の説明では、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間は、通信料の変動などによって、曲線Tra2に示すように変動するものとする。図12(a)の破線は、PDB2、すなわち、第2の予測時間を示す。図12(a)の例では、時刻T1〜T7と、時刻T11〜T12の送信パケットの遅延量は、第2の遅延時間より短い。一方、時刻T8〜T10での送信パケットの遅延量は第2の予測時間を越えている。
測定パケット送信装置90は、時刻T1、T2、T3など、時刻Tn(nは1以上の任意の整数)にQCI=1の測定パケットを基地局10に向けて送信しているものとする。ここで、時刻T1〜T12で観測された遅延時間は、時刻T1〜T12での測定パケットの遅延時間と等しいと考えられる。例えば、時刻T1に送信された測定パケットの遅延時間は、Tra2の時刻T1での値に等しくなる。時刻T1〜T12に送信された測定パケットにより得られた遅延時間を、図12(a)に直線で示す。
ある測定パケットの遅延時間が求められてから、次の測定パケットの遅延時間が求められるまでの間は、遅延時間が変動しないと仮定すると、遅延時間の変動は図12(b)に示す棒グラフで表すことができる。例えば、時刻T1〜T2の遅延時間は、時刻T1に送信された測定パケットより得られた遅延時間であり、時刻T2〜T3の遅延時間は、時刻T2に送信された測定パケットより得られた遅延時間である。他の遅延時間についても同様である。
算出部23で計算しているΔPDB2は、PDB2から図12(b)の棒グラフの値を差し引いた値になる。図12(c)は、−ΔPDB2の値を時間の関数として表した図である。図12(c)に示すように時刻T1〜T8と、時刻T11〜T12は、−ΔPDB2の値は正である。従って、時刻T1〜T8と、時刻T11〜T12では、基地局10は、送信パケットを端末4に送信するまでに、予め決められている第1の予測時間(PDB1)よりも長い時間をかけることができる。一方、時刻T8〜T11では、−ΔPDB2の値は負である。時刻T8〜T11では、基地局10は、送信パケットを端末4に送信するまでに、予め決められている第1の予測時間(PDB1)よりも短い時間しかかけることができない。
図13(a)は、PDB1の値に図12(c)の棒グラフで示す値を加えて得られた許容時間を示す。図13(a)に示すように、時刻T1〜T8と、時刻T11〜T12では、許容時間はPDB1よりも長い。従って、図13(b)に示すように、基地局10は、時刻T1〜T8では、送信パケットを受信してから端末4に送信するまでに、許容時間より短い時間であれば、PDB1を超える時間をかけることができる。一方、時刻T8〜T11では、送信パケットを受信してから端末4に送信するまでに、基地局10は、PDB1より短い時間しかかけることができない。従って、基地局10から端末4に送信パケットが送信されるときの遅延量が図13(b)の曲線Tra1に示すような場合、全ての送信パケットが端末4に送信されることになる。
このように、基地局10は、測定パケットを用いて求めた遅延時間を使って、遅延時間を調整することができるため、基地局10を含むシステムでは、有線および無線のネットワークを有効に活用して効率的な通信が行われる。例えば、PDNゲートウェイ2から基地局10までの遅延時間が第2の予測時間を越えていても、PDNゲートウェイ2から端末4の間で許容される遅延時間内であれば、送信パケットは廃棄されず、端末4に送信される。すなわち、基地局10が用いられるシステムでは、装置に配分された遅延を超えても、基地局10が自律的に遅延時間を再配分する。このため、個々の装置に最初に配分された遅延量を超えてもパケットの廃棄やconnection admission control(CAC)での受付中断などを行わずに、全ての送信パケットを送信することができる場合がある。
図11〜図13を参照しながら説明したように許容時間が計算されると、計算された許容時間は、スケジューラ30に通知される。次に、許容時間の計算値が通知されたときにスケジューラ30で行われる動作について説明する。
判定部31は、帯域割り当て部32によりQCIの各々に割り当てられている送信レートを取得する。判定部31が保持するデータの例を表すテーブルを図14に示す。判定部31は、QCIに対応付けて、算出部23から通知された許容時間と送信レートとを記憶する。
判定部31は、各々のQoSバッファ14に格納されているデータ量を送信レートで割って、各QCIの送信パケットの送信にかかる時間を算出する。判定部31は、送信にかかる時間と許容時間を比較し、QoSバッファ14に含まれているデータの送信にかかる時間が許容時間以下である場合、許容時間以内にQoSバッファ14に格納されている送信パケットを端末に向けて送信することができると判定する。一方、QoSバッファ14に含まれているデータの送信にかかる時間が許容時間より長い場合、許容時間以内にQoSバッファ14に格納されている送信パケットを端末に向けて送信できないと判定する。判定部31は、判定結果を帯域割り当て部32に出力する。
図15は、帯域割り当て部32の動作の例を説明する図である。図15(a)は、許容時間以内にパケットが送信できると判定された場合にQoSバッファ14に格納されているパケットの量と送信にかかる時間の関係の例を表す。キュー状態の欄には、QoSバッファ14に格納されている送信パケット110(110a〜110f)の例を示す。図15(a)の例では、許容時間は60msであるとする。QoSバッファ14に保持されている送信パケット110は、現在から送信予定時間の欄に記載されている時間が経過するまでの間に、端末4に向けて送信される。例えば、送信パケット110aは、現在から10ms以内に送信され、送信パケット110fは、現在から50ms以内に送信される。送信パケット110a〜110fのいずれも、現在から60ms以内に送信される予定になっているので、図15(a)の場合、帯域割り当て部32は、送信レートを変更しない。
図15(b)は、許容時間以内にパケットが送信できないと判定された場合のQoSバッファ14に格納されているパケットの量と送信にかかる時間の関係の例を表す。ここで、図15(b)に表されているQoSバッファ14は、QCI=1の送信パケットを格納するQoSバッファ14aであるものとする。また、PDB0が100msであったのに対し、測定パケットが測定パケット送信装置90から基地局10に到達するまでに60msかかったため、許容時間は40msであるものとする。送信パケット110a〜110eは、40ms以内に送信されるが、送信パケット110fは、許容時間以内には送信できない。
そこで、帯域割り当て部32は、QCI=1よりも優先度が低いQCIに分類されている送信パケット110の送信に割り当てられる帯域を減らして、QCI=1の送信パケット110の送信に割り当てる。ここで、記憶部22は、図5に示す送信パケット110の特性を記録したテーブルを記憶しており、帯域割り当て部32は、適宜、そのテーブルを参照できるものとする。例えば、QCI=9の送信パケット110の優先度は9番目に高いので、QCI=1の送信パケット110よりも優先度が低い。そこで、帯域割り当て部32は、QCI=9のデータについて、単位時間当たりにQoSバッファ14からスケジューラ30に出力されるデータの量を減らす。さらに、帯域割り当て部32は、QCI=1のデータの単位時間当たりの送信量を、単位時間当たりに、QCI=9について減らしたデータの量以下の範囲で増大させる。例えば、QCI=1のデータについて、単位時間当たりに出力されるデータが25%増大すると、図15(c)に示すように、40msの間にQoSバッファ14aに格納されている送信パケット110a〜110fが送信できる。
さらに、帯域割り当て部32は、複数のQCIの送信パケットの送信に用いられる帯域を減らして、1つ以上のQCIの送信パケットに用いられる帯域を増大させることもできる。例えば、QCI=6〜9の各々の送信に割り当てられる帯域を減少させて、QCI=1の送信パケットの送信に用いる帯域を増大させることもできる。また、帯域割り当て部32は、非保障ビットレートで送信されるデータに用いられる帯域を減少させても帯域が不足している場合、保障ビットレートで送信されるQCIの帯域を減少させることもできる。ただし、保障ビットレートで送信されるか、非保証ビットレートで送信されるかに関わらず、帯域が減少されるQCIの優先度は、帯域が増大されるQCIの優先度よりも低いものとする。
図16は、測定パケットを受信したときの基地局10の動作の例を説明するフローチャートである。図16の例では、算出部23は、前回の遅延時間をQCIごとに記憶しており、測定部21から取得した遅延時間と比較するものとする。ここで、遅延時間が変化しない場合、許容時間の更新は行われない。ただし、例えば、ステップS34をステップS33の前に行う、もしくは、ステップS35とステップS36の順序を変更するなど、基地局10の動作は、変更される場合がある。
識別部12は、ネットワークインタフェース11を介して受信したパケットのTEIDとIPアドレスを参照して測定パケットを識別し、測定部21に出力する(ステップS31)。測定部21は、測定パケットが受信された時刻と測定パケットのタイムスタンプの値から、遅延時間を算出する(ステップS32)。測定部21は算出した遅延時間と測定パケットのQCIを算出部23に通知する。算出部23は、第2の予測時間(PDB2)と遅延時間の差を算出する(ステップS33)。算出部23は、前回の遅延時間と測定部21から通知された遅延時間とを比較する(ステップS34)。
前回の遅延時間と最新の遅延時間が異なる場合、算出部23は、記憶部22に遅延時間を記録する(ステップS34でYes、ステップS35)。さらに、算出部23は、最新の遅延時間をQCIと共に判定部31に通知する(ステップS36)。判定部31は、更新された許容時間でQoSバッファ14に格納されている送信パケットが送信できるかを判定する(ステップS37)。更新された許容時間でQoSバッファ14に格納されている送信パケットが送信できないと判定されると、帯域割り当て部32は、帯域の割り当てを変更して送信レートを変更する(ステップS37でYes、ステップS38)。一方、更新された許容時間でQoSバッファ14に格納されている送信パケットが送信できると判定されると、帯域の割り当ての変更は行われない(ステップS37でNo、ステップS38)。また、ステップS34で前回の遅延時間と最新の遅延時間が同じであると判定された場合、ステップS35〜S38の処理が行われずに送信パケットが送信される。
図15、図16を参照しながら説明したように、許容時間が基地局10から端末4への送信にかかると予測された時間よりも短い場合、優先度の高い送信パケットが規定された時間内に送信されるように帯域の割り当てが調整される。このため、優先度の高い送信パケットが、規定された時間内に端末4に送信される可能性が高くなる。
また、基地局10を用いると、図12、図13などを参照しながら説明したように、ネットワークに含まれる機器に到達するまでの遅延量を、ネットワークでの通信量に応じて柔軟に変更することができる。移動通信システムでは、端末4がユーザの移動と共に移動するため、固定通信システムに比べて通信量の偏りや変化が大きい。例えば、オフィスなどがあるビジネス街と住宅地では通信量が異なる。また、同じ位置であっても、時間帯や季節、イベントなどの開催状況に応じても、ユーザの分布が異なるため、端末4の数や通信量が大きく変動する。しかし、基地局10を用いたシステムを形成すると、通信量の変動に応じた遅延量の設定が可能である。すなわち、基地局10が含まれるシステムでは、PDNゲートウェイ2から基地局10までの有線ネットワークと基地局10から端末4までの無線ネットワークの両方の遅延量を効率的に変更させて、効率的に通信が行われる。
<その他>
なお、実施形態は上記に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
基地局処理遅延は、基地局によって変化するが、PDB0、PDB1、PDB2のいずれに対しても無視できる程度の時間である場合がある。この場合、(3)式は
A=PDB1−ΔPDB2・・・(4)
となる。PDB1+PDB2=PDB0であるので(2)式より、(4)式を次のように変形できる。
A=PDB1−D+PDB2=PDB0−D
従って、基地局処理遅延がPDB0、PDB1、PDB2に対して無視できる大きさの場合、許容時間は、PDB0から遅延時間を差し引いた値である。
基地局処理遅延の影響が無視できる場合、オペレータは、第1および第2の予測時間を決定しなくてもよい。この場合、記憶部22は、QCIごとに送信パケットがPDNゲートウェイ2から端末4まで到達するまでにかかる時間の許容量(PDB0)を記憶している。次に、測定部21は、測定パケットを用いて、送信パケットがPDNゲートウェイ2から基地局10に到達するまでにかかる時間を求める。ここで、測定パケットから遅延時間を求める方法は、前述のとおりである。算出部23は、測定部21から遅延時間を通知されると、PDB0から遅延時間を差し引いた値を許容時間とする。許容時間が求められた後の処理は、前述のとおりである。
測定パケット送信装置90は、PDNゲートウェイ2の中に含められる場合がある。この場合、測定パケットは、PDNゲートウェイ2から基地局10に向けて送信される。
測定パケット送信装置90は、CPUとメモリを備え、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実現することにより、測定パケット生成部91、タイマ92、および、記憶部93として動作することができる。
図1、図4、図5などに示したネットワークの例はLTEが採用されたネットワークであるが、基地局10は、LTEに対応していないネットワークでも用いられることがある。基地局10は、LTEに対応していないネットワークにおいても、これまでに説明したように許容時間を求め、許容時間以内に送信パケットを端末4に送信する。
なお、以上の説明では、送信パケットがPDNゲートウェイ2から端末4に到達するまでの時間の上限値が規定されている場合を例として述べたが、上限値が設定される区間は変更される場合がある。例えば、送信パケットを送信する送信装置から端末4に到達するまでの時間が上限値とされる場合もあり得る。この場合、測定部21は、測定パケットを用いて、送信パケットが送信パケットの送信装置から基地局10に到達するまでの時間を求める。
さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
送信装置から送信された送信パケットを受信する受信部と、
前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値を記憶する記憶部と、
送信時刻が記録されている測定パケットを用いて、前記測定パケットが前記送信装置から送信されてから前記受信部で受信されるまでの遅延時間を測定する測定部と、
前記上限値から前記遅延時間を差し引いた値である許容時間を算出する算出部と、
前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する送信部
を備えることを特徴とする基地局装置。
(付記2)
前記記憶部は、前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末にむけて送信されるまでにかかると予測される第1の予測時間と、前記送信パケットが送信されてから前記受信部で受信されるまでにかかると予測される第2の予測時間とを記憶し、
前記算出部は、前記第2の予測時間から前記遅延時間を差し引いて得られた値を前記第1の予測時間に加えることにより、前記許容時間を算出する
ことを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記3)
前記送信パケットを格納する格納部と、
一定の時間に送信される送信パケットの量と前記格納部に格納されている送信パケットの量とから、前記格納部に格納された送信パケットが前記許容時間以内に前記端末に送信されるかを判定する判定部と、
前記許容時間以内に送信できないと判定された場合、前記端末への帯域の割り当てを増加させて前記一定の時間に前記端末に送信される送信パケットを増大させる帯域割り当て部
をさらに備えることを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記4)
第1の優先度に設定された第1の送信パケットを格納する第1の格納部と、
前記第1の優先度よりも低い第2の優先度に設定された第2の送信パケットを格納する第2の格納部と、
前記測定パケット、前記第1の送信パケット、および、前記第2の送信パケットを識別するとともに、前記測定パケットを前記測定部、前記第1の送信パケットを第1の格納部、前記第2の送信パケットを第2の格納部に出力する識別部、
をさらに備え、
前記測定部は、前記第1の優先度に設定された第1の測定パケットを用いて、第1の遅延時間を測定すると共に、前記第2の優先度に設定された第2の測定パケットを用いて、第2の遅延時間を測定し、
前記算出部は、前記第1の遅延時間を用いて前記第1の送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末に送信されるまでの第1の許容時間を算出すると共に、前記第2の遅延時間を用いて前記第2の送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末に送信されるまでの第2の許容時間を算出し、
前記送信部は、前記第1の送信パケットが受信されてから前記第1の許容時間が経過する前に、前記第1の送信パケットを前記端末に送信し、前記第2の送信パケットが受信されてから前記第2の許容時間が経過する前に、前記第2の送信パケットを前記端末に送信する
ことを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の基地局装置。
(付記5)
前記第1の格納部に格納されている第1の送信パケットが前記第1の許容時間以内に送信できないと判定された場合、前記帯域割り当て部は、前記第2の送信パケットの送信に用いられる帯域を小さくして前記第1の送信パケットの送信に用いられる帯域を増大させる
ことを特徴とする付記4に記載の基地局装置。
(付記6)
基地局装置は、送信パケット送信装置から送信された送信パケットを受信し、
測定パケット送信装置は、送信時刻が記録されている測定パケットを生成すると共に、前記送信パケット送信装置を介して前記基地局装置に前記測定パケットを送信し、
前記基地局装置は、前記測定パケットが送信されてから前記基地局装置で受信されるまでの遅延時間を測定し、
前記基地局装置は、前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値から前記遅延時間を差し引いて、前記送信パケットを前記基地局が前記端末に送信するまでに許容される許容時間を算出し、
前記基地局装置は、前記送信パケットが前記基地局装置に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する
ことを特徴とする通信方法。
(付記7)
端末で処理される送信パケットを前記端末に送信する送信パケット送信装置と、
前記送信パケットを中継する基地局装置と、
送信時刻が記録されている測定パケットを生成すると共に、前記送信パケット送信装置を介して前記基地局装置に前記測定パケットを送信する測定パケット送信装置を備え、
前記基地局装置は、
前記送信パケットおよび前記測定パケットを受信する受信部と、
前記測定パケットが送信されてから前記受信部で受信されるまでの遅延時間を測定する測定部と、
前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値から前記遅延時間を差し引いて、前記送信パケットを前記基地局装置が前記端末に送信するまでに許容される許容時間を算出する算出部と、
前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する送信部、
を備えることを特徴とする通信システム。
1 パケットデータネットワーク
2 PDNゲートウェイ
3 サービングゲートウェイ
4 端末
5 MME
6 PCRF
7 ルータ
10 基地局
11 ネットワークインタフェース
12 識別部
13 格納部
14 QoSバッファ
15 アンテナ
16 受信部
17 送信部
20 遅延調整部
21 測定部
22、93 記憶部
23 算出部
24 統計部
25、92 タイマ
30 スケジューラ
31 判定部
32 帯域割り当て部
40 送信部
41 符号化処理部
42 OFDM変調部
43 無線変調部
50 無線信号受信部
51 無線復調部
52 OFDM復調部
53 復号化処理部
60 CPU
62 スイッチ
63 U/Cプレーン多重部
64 U/Cプレーン分離部
65 呼制御処理部
66 装置制御部
70 メモリ
75 DSP
80 RF回路
90 測定パケット送信装置
91 測定パケット生成部
101 IPヘッダ
102 UDPヘッダ
103 RTPヘッダ
104 RTPペイロード
110 送信パケット

Claims (6)

  1. 送信装置から送信された送信パケットを受信する受信部と、
    前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値を記憶する記憶部と、
    複数のサービスクラスのうち前記送信パケットのサービスクラスに対応する送信間隔に基づく送信時刻が記録されており、前記送信パケットのサービスクラスに対応するペイロード長のデータを含む測定パケットを用いて、前記測定パケットが前記送信装置から送信されてから前記送信パケットのサービスクラスに対応するビットレートが保証された転送により前記受信部で受信されるまでの遅延時間を測定する測定部と、
    前記上限値から前記遅延時間を差し引いた値である許容時間を算出する算出部と、
    前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する送信部
    を備えることを特徴とする基地局装置。
  2. 前記記憶部は、前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末にむけて送信されるまでにかかると予測される第1の予測時間と、前記送信パケットが送信されてから前記受信部で受信されるまでにかかると予測される第2の予測時間とを記憶し、
    前記算出部は、前記第2の予測時間から前記遅延時間を差し引いて得られた値を前記第1の予測時間に加えることにより、前記許容時間を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記送信パケットを格納する格納部と、
    一定の時間に送信される送信パケットの量と前記格納部に格納されている送信パケットの量とから、前記格納部に格納された送信パケットが前記許容時間以内に前記端末に送信されるかを判定する判定部と、
    前記許容時間以内に送信できないと判定された場合、前記端末への帯域の割り当てを増加させて前記一定の時間に前記端末に送信される送信パケットを増大させる帯域割り当て部
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
  4. 第1の優先度に設定された第1の送信パケットを格納する第1の格納部と、
    前記第1の優先度よりも低い第2の優先度に設定された第2の送信パケットを格納する第2の格納部と、
    前記測定パケット、前記第1の送信パケット、および、前記第2の送信パケットを識別するとともに、前記測定パケットを前記測定部、前記第1の送信パケットを第1の格納部、前記第2の送信パケットを第2の格納部に出力する識別部、
    をさらに備え、
    前記測定部は、前記第1の優先度に設定された第1の測定パケットを用いて、第1の遅延時間を測定すると共に、前記第2の優先度に設定された第2の測定パケットを用いて、第2の遅延時間を測定し、
    前記算出部は、前記第1の遅延時間を用いて前記第1の送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末に送信されるまでの第1の許容時間を算出すると共に、前記第2の遅延時間を用いて前記第2の送信パケットが前記受信部に受信されてから前記端末に送信されるまでの第2の許容時間を算出し、
    前記送信部は、前記第1の送信パケットが受信されてから前記第1の許容時間が経過する前に、前記第1の送信パケットを前記端末に送信し、前記第2の送信パケットが受信されてから前記第2の許容時間が経過する前に、前記第2の送信パケットを前記端末に送信する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基地局装置。
  5. 基地局装置は、送信パケット送信装置から送信された送信パケットを受信し、
    測定パケット送信装置は、複数のサービスクラスのうち前記送信パケットのサービスクラスに対応する送信間隔に基づく送信時刻が記録されており、前記送信パケットのサービスクラスに対応するペイロード長のデータを含む測定パケットを生成すると共に、前記送信パケット送信装置を介して前記基地局装置に前記測定パケットを送信し、
    前記基地局装置は、前記測定パケットが送信されてから前記送信パケットのサービスクラスに対応するビットレートが保証された転送により前記基地局装置で受信されるまでの遅延時間を測定し、
    前記基地局装置は、前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値から前記遅延時間を差し引いて、前記送信パケットを前記基地局装置が前記端末に送信するまでに許容される許容時間を算出し、
    前記基地局装置は、前記送信パケットが前記基地局装置に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する
    ことを特徴とする通信方法。
  6. 端末で処理される送信パケットを前記端末に送信する送信パケット送信装置と、
    前記送信パケットを中継する基地局装置と、
    複数のサービスクラスのうち前記送信パケットのサービスクラスに対応する送信間隔に基づく送信時刻が記録されており、前記送信パケットのサービスクラスに対応するペイロード長のデータを含む測定パケットを生成すると共に、前記送信パケット送信装置を介して前記基地局装置に前記測定パケットを送信する測定パケット送信装置
    を備え、
    前記基地局装置は、
    前記送信パケットおよび前記測定パケットを受信する受信部と、
    前記測定パケットが送信されてから前記送信パケットのサービスクラスに対応するビットレートが保証された転送により前記受信部で受信されるまでの遅延時間を測定する測定部と、
    前記送信パケットが送信されてから前記送信パケットが端末に到達するまでにかかる時間の上限値から前記遅延時間を差し引いて、前記送信パケットを前記基地局装置が前記端末に送信するまでに許容される許容時間を算出する算出部と、
    前記送信パケットが前記受信部に受信されてから前記許容時間が経過する前に、前記送信パケットを前記端末に送信する送信部、
    を備えることを特徴とする通信システム。
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