JP5714089B2 - 照明装置および照明装置の作動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプ光源と、ポンプ光の少なくとも一部を変換光に変換するための蛍光体装置と、変換光をスペクトルフィルタリングするためのフィルタ装置とを有する照明装置に関する。本発明はまた、このような照明装置の作動方法に関する。このような照明装置は特に、プロジェクタ、例えばビデオプロジェクタまたはデータプロジェクタのための光発生ユニットとして使用することができる。
従来技術から、投影用途用に、1つ又は複数の蛍光体を持った蛍光体装置を有する照明装置が知られている。これらの照明装置はポンプ光源を含み、そのポンプ光源はポンプ光波長とは異なる波長を持った光を放出するため蛍光体を励起する(蛍光体によるポンプ光の波長変換)。ポンプ光及び蛍光体から放出された光(変換光)の適切な方向変換によって、これら両光線は共線的に集められ、画像生成システムに導くことができる。
ポンプ光源としてはレーザダイオードが好んで使用される。この場合、この技術はLARP(レーザ活性化リモート蛍光体(Laser Activated Remote Phosphor))という名でも知られている。レーザ出力を時間的平均でより大きい面積上に分配するため、及びしたがってその他蛍光体の熱的消滅を減少させるため、少なくとも1つの蛍光体は作動中に回転するホイール上に取り付けられているのが通常である。照明装置は従って、スペクトル的にさまざまの変換光及び場合によってはさらに加えてポンプ光の逐次的順序としての光を放射し、それらの光は順序が十分に早い場合には混合光としてないしは画像生成ユニットと組み合わせてカラー映像として知覚される。
プロジェクタはさまざまに利用され、その利用には光発生ユニットの光の照明光学的性質に対する要求が異なる。この光のスペクトル組成は、その演色性及びそれによって表現し得る色空間を決定する。データ投影に対しては、とりわけテキスト又はグラフィック表現の場合明白色の背景が重要であり、演色における妥協が許容可能である。それに反し家庭用映写機の場合には、輝かしい色によるできるだけ良好な演色をめざして努力がなされている。それ故意図された(主たる)利用に適合した蛍光体ホイールを持った特有のプロジェクタが提供される。その際プロジェクタの個々の光色のスペクトル(色チャネル)は、蛍光体ホイール及びそれに同期して回転するフィルタホイールのスペクトル特性によって決定されかつ確定される。色チャネルの光束成分は、蛍光体ホイール上におけるさまざまな蛍光体の部分分け及びフィルタホイール上におけるフィルタセグメントによって確定される。プロジェクタのスペクトル特性の変換は作動中は不可能である。適合させることは、通例蛍光体ホイール及びフィルタホイールの少なくともいずれかの交換を介してのみ可能である。したがって家庭用映写機に利用するためのプロジェクタは、より大きな赤色蛍光体セグメント及び加えて深紅色方向へのフィルタリングの少なくともいずれかを必要とする。これに反してデータ投影に対してはより大きな緑色蛍光体セグメント及び黄色蛍光体セグメントの少なくともいずれかが通常である。
プロジェクタ用として、ポンプレーザと、ポンプレーザ光を変換光に波長変換するための蛍光体ホイールと、変換光をスペクトルフィルタリングするためのフィルタホイールとを備える照明装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。そのポンプレーザ光は、ダイクロイックミラーを用いて蛍光体ホイール上へ向けられる。蛍光体ホイールによって反射された変換光はダイクロイックミラーを通過し、フィルタホイールに当たる。蛍光体ホイールにおける透明セグメントを通してポンプレーザ光は通過することができ、ラップアラウンドループを介してダイクロイックミラーに導かれる。ダイクロイックミラーはポンプレーザ光をフィルタホイールに反射する。フィルタホイール及び蛍光体ホイールは共通の軸線上に配置されており、したがって同じ速度で回転する。
中国特許出願公開第102385233号明細書
本発明の課題は、照明装置、特に投影用途用の照明装置を提示することにあり、その照明装置は、作動中に光技術特性、特に光束と光のスペクトル組成との変更を可能にするものである。
この課題は、ポンプ光源と、蛍光体装置とを備え、蛍光体装置は少なくとも1つの蛍光体要素を有し、蛍光体要素はポンプ光源のポンプ光を照射可能であり、さらにこのポンプ光を少なくとも部分的に波長変換して再び放射し、かつ蛍光体装置はポンプ光源の光路内で動かし得るように配置され、
フィルタ装置を備え、フィルタ装置は波長変換された光を照射可能な少なくとも1つのフィルタ要素を有し、かつフィルタ装置は波長変換された光の光路内に可動的に配置され、
蛍光体装置及びフィルタ装置を少なくとも1つの蛍光体要素と少なくとも1つのフィルタ要素との間の固定の位相関係で動かすように構成されている運動ユニットと、
少なくとも1つの可動の蛍光体要素と少なくとも1つの可動のフィルタ要素との間の位相関係を制御するための位相制御ユニットとを備える
ことによって解決される(請求項1)
特に有利な実施形態は次の通りである
・可動の蛍光体装置は回転可能な蛍光体ホイールとして形成され、可動のフィルタ装置は回転可能なフィルタホイールとして形成されている(請求項2)。
・位相制御ユニットは蛍光体ホイールとフィルタホイールとの間の位相関係を制御するために構成されている(請求項3)。
・少なくとも1つのフィルタ要素はロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドストップフィルタ又はバンドパスフィルタとして構成されている(請求項4)
・1つ又は複数の別のフィルタ要素を備え、それらのフィルタ要素はロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドストップフィルタ又はバンドパスフィルタとしてとして構成されている(請求項5)
・フィルタ装置は、ポンプ光及び波長変換された光に対して透明な透明要素を有する(請求項6)
・少なくとも1つの蛍光体要素及び少なくとも1つのフィルタ要素は扇形又は円環形の蛍光体要素ないしフィルタセグメントとして形成されている(請求項7)
・少なくとも1つのフィルタセグメントは、少なくとも1つの蛍光体要素の角度範囲と同じ大きさの角度範囲を取る(請求項8)
・少なくとも1つのフィルタセグメントの角度範囲は別の蛍光体要素の角度範囲より小さい(請求項9)
・ポンプ光源のポンプ光は、青色レーザ光線及び青紫色レーザ光線及び紫外色レーザ光線の内の少なくとも1つの光線を含む(請求項10)
・蛍光体装置は少なくとも1つの蛍光体を含み、その蛍光体は緑色及び赤色及び黄色及び青色の内の少なくともいずれかの波長範囲にある主波長を含む(請求項11)
さらに、本発明に従う照明装置を作動する方法に関する課題は、少なくとも2つの異なる選択可能な作動モード
作動モードA:位相制御ユニットによって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素と、この蛍光体要素に同期して動く少なくとも1つのフィルタ要素との間に第1の位相関係を設定する作動モード
作動モードB:位相制御ユニットによって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素と、この蛍光体要素に同期して動く少なくとも1つのフィルタ要素との間に第1の位相関係とは異なる第2の位相関係を設定する作動モード
を備える照明装置の作動方法によって解決される(請求項12)
照明装置の作動方法に関する実施態様は次の通りである
・第1の位相関係は少なくとも1つの可動の蛍光体要素とこの蛍光体要素に同期して動く可動の少なくとも1つのフィルタ要素との間の第1の時間的重なりに相応し、第2の位相関係は両要素間の他の時間的重なりに相応するか又は時間的重なりに相応せず、時間的重なりの期間中、少なくとも1つの蛍光体要素から放出される光は前記フィルタ要素を通過し得る(請求項13)

以下に本発明に従う照明装置及びその可能な実施形態に対し記述された特徴及びそれらの利点は、適用可能な限り、本発明に従う方法に対しても対応して通用し、またその逆も同様である。
本発明の根本理念は、可動の蛍光体装置、例えば回転する蛍光体ホイールと、それに同期して(即ち時間的に一定の位相関係を持って)動く可動のフィルタ装置、例えば回転するフィルタホイールとの間の位相関係を、光技術特性、特に照明装置の光のスペクトル組成の所望の変更のために利用することにある。蛍光体ホイールとフィルタホイールとの間の位相関係の変更によって、本発明に従えば、それぞれの変換光色(変換光の色)のスペクトルと割合つまりパワーとの一方または両方を制御することができる。
位相関係の制御は、特に、少なくとも1つの可動の蛍光体要素とそれに同期して動く可動のフィルタ要素との時間的な重なりの変更を含む。位相関係の変更は、変更後そもそも初めて蛍光体要素とフィルタ要素との間の時間的重なりが存在するか又は時間的重なりがもはや存在しないことにもある。1つの蛍光体要素がフィルタ要素と時間的に重なっている間、蛍光体から放出される光は今挙げたフィルタ要素を通過し、従って相応にスペクトルフィルタリングされる。適切な運動ユニットおよび位相制御ユニットを用いて蛍光体ホイールとフィルタホイールとの間の新しい位相関係が約2秒以内に作り上げられることが示された。したがってプロジェクタの輝度及び表現し得る色空間を、それぞれの描出状況に対し需要に即応して、例えばユーザが利用にできる操作メニューを介して設定することができる。輝度及び表現し得る色空間の可能な変更の品質及び分量は、蛍光体ホイール及びフィルタホイールの位相変更及び具体的な実施形態によって形成可能である。
そのため少なくとも1つのフィルタ要素は、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、バンドパスフィルタ又はバンドストップフィルタとして構成することができる。上述のフィルタは組み合わせて備えられることもでき、即ちフィルタ装置は1つより多い、例えば2つ又は3つのフィルタ要素を有する。2つの空間的に分離したフィルタ要素は同種のフィルタとして構成してもよい。さらにフィルタ装置はポンプ光及び波長変換された光(変換光)に対し透明の透明要素を有することができる。透明要素はしたがって少なくともポンプ光及び変換光に対して、又は全可視スペクトルに対しても、スペクトルフィルタ特性を示さず、いつも同じ高い透過度、好ましくは100%近くの透過度を有する。
原則的に、種々の実施形態及び運動形態がフィルタ装置及び蛍光体装置に対し適している。フィルタ要素ないし蛍光体要素の動きが同期しており、両要素の位相関係を制御し得ることが決定的に重要である。フィルタ装置及び蛍光体装置は例えば直線運動するように構成することができる。そのためフィルタ要素ないし蛍光体要素は例えばそれぞれ入射光線に対して横方向に動くキャリッジ上に配置されることができる。
蛍光体装置及びフィルタ装置は、回転する運動用としても構成することができる。例えば蛍光体装置及びフィルタ装置はそれぞれローラとして形成することができる。蛍光体要素及びフィルタ要素はこの場合対応するローラ上に配置されている。
蛍光体装置及びフィルタ装置は、蛍光体ホイール及びフィルタホイールとして構成されているのが好ましい。そうすれば少なくとも1つの蛍光体要素及び少なくとも1つのフィルタ要素は扇形又は円環形の蛍光体セグメントないしフィルタセグメントとして形成することができる。その場合蛍光体ホイールとフィルタホイールとの間の位相関係は、例えば、ホイールの回転方向に見て、蛍光体セグメントないしフィルタセグメントの始点に関連させられることができる。従って、蛍光体セグメントの始点及びフィルタセグメントの始点が同時に、それぞれ入射するポンプ光線ないし変換光線を横切るように回転すると、位相差は0である(蛍光体セグメント及びフィルタセグメントの最大の時間的重なり、即ち最大のスペクトルフィルタリング)。これに対し、蛍光体セグメントがすでに完全にポンプ光線を横切っているときに初めてフィルタセグメントが変換光線を横切るように回転を始める場合には、位相差は最大である(蛍光体セグメント及びフィルタセグメントの時間的重なりはなし、即ちスペクトルフィルタリングなし)。もちろん位相関係については必要により所望のフィルタ作用に相応して任意の中間値に設定することができる。さらに、蛍光体ホイールとフィルタホイールと間の位相関係は違ったやり方で確定し調節することもできる。このことは特に、複数の蛍光体セグメント及び複数のフィルタセグメントの一方または両方が備えられている場合に重要である。
少なくとも1つのフィルタセグメントは、少なくとも1つの蛍光体セグメントが覆う角度範囲と等しい大きさの角度範囲を覆うことができる。フィルタセグメントと蛍光体セグメントとの間の位相関係が適切な場合には、フィルタセグメントの位相は蛍光体セグメントの位相と時間的に重なる。即ち、ポンプ光が蛍光体ホイールの蛍光体セグメントに当たり変換される間、この変換光は同期して回転するフィルタホイールのフィルタセグメントに当たる。
さらに、また別の蛍光体セグメントが備えられることができ、その角度範囲は少なくとも1つのフィルタセグメントの角度範囲及びまた別のフィルタセグメントの角度範囲の一方または両方と等しい大きさか又はそれより大きい。
変換光へのポンプ光の変換は、比較的短い波長から比較的長い波長へ有利に行われる(下方変換)。というのはこのことは追加のエネルギーを必要としないからである。ポンプ光の波長はしたがってこの場合変換光の波長より短い。そのためポンプ光源のポンプ光は青色レーザ光線と青紫色レーザ光線と紫外色レーザ光線との内の少なくとも1つの光線を含むことができる。
ポンプ光としての青色レーザ光線は、一部が変換されないで青色光として共に用いることができるという利点を持っている。蛍光体装置は、緑色、赤色、黄色および青色の内の少なくとも1つの色の波長範囲に主波長を有する少なくとも1つの蛍光体を含むのが好ましい。光色(色光)の光の主波長は、CIE色度図(標準色表)において、白色点から色光の確定された色位置を介して延ばされた直線とCIE色度図のごく手近の縁のスペクトル軌跡との交点によって定義されている。例えば効率の良い赤色蛍光体は約600nmの主波長を有する。
蛍光体とは、波長変換を可能とするすべての、特に固体の、物質を意味し得る。波長変換は例えば蛍光または燐光に基づくことができる。
上に説明された照明装置を作動するための本発明に従う方法は、好ましくは、以下の方法ステップを有する少なくとも2つの異なる選択可能な作動モードA及びBを含む。すなわち、
作動モードA:位相制御ユニットによって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素とこの蛍光体要素に同期して可動の少なくとも1つのフィルタ要素との間に第1の位相関係を設定する。
作動モードB:位相制御ユニットによって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素とこの蛍光体要素に同期して動く可動の少なくとも1つのフィルタ要素との間に第2の位相関係を設定する。第2の位相関係は第1の位相関係とは異なる。
第1の位相関係は、少なくとも1つの可動の蛍光体要素と、この蛍光体要素に同期して動く可動の少なくとも1つのフィルタ要素との間の第1の時間的重なりに相応する。第2の位相関係は、その第1の時間的重なりとは異なる時間的重なりか又は時間的重なりがないことに相応する。作動モードAは例えばデータ投影用として用いることができ、作動モードBは家庭用映写機用として用いることができ、またはその逆である。
異なる作動モード間の制御は、1ステップで、または徐々に増やしながらでも、または連続的に経過する移行によっても行うことができる。
さらに、異なる作動モード間の制御は、プロジェクタの画像生成ユニットから与えられる画像情報又はその他の信号によって開始することもできる。
本発明のさらに別の利点、特徴及び詳細は、請求項、好ましい実施形態の以下の説明から及び図に基づいて明らかとなる。
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。図は模式的に描出したものを示す。
蛍光体ホイール及びフィルタホイールを持った本発明に従う照明装置の実施例を示す。 図1の照明装置に従う、第1の位相差を有する蛍光体ホイールとフィルタホイールとについての第1の実施形態を示す。 図2aと同様であるが、第2の位相差を有する実施形態を示す。 図2a、bに従う蛍光体ホイールと第1の位相関係にあるフィルタホイールについての第2の実施形態を示す。 図3aと同様であるが、第2の位相差を有する実施形態を示す。 図3aと同様であるが、第3の位相差を有する実施形態を示す。 第1の位相関係にある蛍光体ホイールとフィルタホイールに対する第3の実施形態を示す。 図4aと同様であるが、第2の位相差を有する実施形態を示す。 第1の位相関係にある蛍光体ホイールとフィルタホイールに対する第4の実施形態を示す。 図5aと同様であるが、第2の位相差を有する実施形態を示す。 第1の位相関係にある蛍光体ホイールとフィルタホイールに対する第5の実施形態を示す。 図6aと同様であるが、第2の位相関係を有する実施形態を示す。 赤色蛍光体の放出曲線及びロングパスフィルタのフィルタ曲線の模式的推移を示す。 緑色蛍光体の放出曲線及びショートパスフィルタのフィルタ曲線の模式的推移を示す。 レーザダイオード及び赤色蛍光体の放出曲線及びバンドストップフィルタのフィルタ曲線の模式的推移を示す。 蛍光体ホイールとフィルタホイールを有する本発明に従う照明装置の別の実施例を示す。
同じか又は同様の特徴は、以下では簡単にするため同符号で表記されているものもある。
図1は、本発明の実施例に従う照明装置1の概略図を示す。
照明装置1はレーザダイオードマトリックスとして形成されたポンプ光源2を含み、そのポンプ光源は複数のレーザダイオード3(ここではそれぞれ一次レンズを含めて)含む。ポンプ光源2は青色スペクトル範囲の光を放出するように形成されており、というのはこのことは一方では大抵の蛍光体に対し適切な励起波長を構成するからである。他方においてこのことは、変換されない青色レーザ光を青色光チャネル(B)として、例えばRGB投影ユニットのために使用することを可能にする。それ故レーザダイオード3はこの実施例では、それが例えば約400〜470nmの放出波長を持った青色レーザ光線IBとしてのポンプ光を放射するように選ばれている。
レーザダイオード3に付設された方向転換ミラー4を介して、このレーザダイオード3の青色レーザ光は蛍光体ホイール5として形成された蛍光体装置へ向けて導かれ、そこでレーザ光は他の主波長を持った光、例えば緑色スペクトル範囲にある光IGに変換される。そのため蛍光体ホイール5は1つ又は複数のさまざまな蛍光体を有し、それらは蛍光体ホイール5の円環形のセグメントに配置されており、蛍光体ホイール5の回転によって、時間的に連続して順次ポンプ光IBによって照射され、波長変換された光の放出のために励起され得るようになっている。レーザマトリックス2から放出された青色ポンプ光IBは光学系6によって、回転する蛍光体ホイール5の蛍光体セグメントへ集束される。ポンプ光点の下方を通り過ぎ回転する蛍光体セグメントによって反射し波長変換された光は、この光学系6によって平行にされ、ダイクロイックミラー7を介して反射によって出射する。そのためダイクロイックミラー7はポンプ光源2と蛍光体ホイール5との間において光路に対し45°の傾斜位置に配置されている。さらにダイクロイックミラー7はそのため青色スペクトル範囲にある光を透過し、青色スペクトル範囲にない光は反射するように構成されている。それによって青色ポンプ光IBは一方ではダイクロイックミラー7を通って蛍光体ホイール5に達し、他方ではダイクロイックミラー7は波長変換された、したがって例えば緑色光IGをポンプ光の光路から垂直に出射させる。ダイクロイックミラー7はここではしたがって波長選択の光分配器(ビームスプリッタ)として利用される。
さらに蛍光体ホイール5は青色ポンプ光IBに対し透明な領域、例えば材料のない空いた箇所を備え、その箇所を通って青色ポンプ光IBは蛍光体ホイール5との相互作用なしに蛍光体ホイール5を通過することができる。それに代えて、空いた箇所は透明の材料で満たされていてもよい。透過され別の光学系8によって平行にされた青色ポンプ光IBは、3つの方向転換ミラー9、10、11を介していわゆる「ラップアラウンド」分路へ方向転換され、ダイクロイックミラー7へ戻される。
「ラップアラウンド」分路から到来する変換されない青色ポンプ光線IBはダイクロイックミラー7を通過する。そのため時間的に連続して順次ダイクロイックミラー7の反対側に当たる変換された(=波長変換された)光線IGは、これに対しダイクロイックミラー7によって反射される。ポンプ光線IB及び変換光線IGは互いに垂直にかつダイクロイックミラー7の正反対の両側にそれぞれ45°で当たるから、このようにして最終的には両光線路は共線的に集められ、また別の集束レンズ系6´を介してフィルタホイール12上へ集束される。フィルタホイール12を通過後、ポンプ光IB及び変換光IGは空間的重なり会い(混ぜ合わせ)のため例えば投影モジュールのインテグレータ13に達する。フィルタホイール12は、蛍光体によって波長変換された光(変換光)の通例極めて広いスペクトルをスペクトル的に狭めないしは変え、そのようにして例えばそれぞれの投影用途のための色空間を最適化するために、少なくとも1つのフィルタセグメントを有する。
レーザダイオードマトリックス2の後にはさらに、蛍光体ホイール5の蛍光体上への青色レーザ光線IBのできるだけ一様なパワー密度分布を達成するため、ホモジナイザ14が出力側に配置されている。それによって、いわゆるクエンチング(消光)ができるだけ避けられるないしは最小限に抑えられる。クエンチングは、パワー密度が高められることに基づく蛍光体の変換効率の低下(強度クエンチング)と、温度が高められることに基づく蛍光体の変換効率の低下(熱的クエンチング)との一方または両方である。理想は蛍光体上のポンプ光のプラトー状(台地状)のパワー密度分布であろう。
さらに、蛍光体ホイール5を変換されずに通過する青色ポンプ光IBを変換光IGと結合する前にさらに均質化するために、ないしはもしできるなら使用中に発生するスペックルパターンを低減するために、第3の方向転換ミラー11とダイクロイックミラー7との間に第2のホモジナイザ15が配置されている。これらのホモジナイザは、光線整形のための光学的要素を含むこともできる。
蛍光体ホイール5及びフィルタホイール12は、位相制御ユニット16を介して同期的に、即ち固定の位相関係で制御され、蛍光体ホイール5とフィルタホイール12との間の位相差は設定可能である。蛍光体ホイール5もフィルタホイール12も2つの部分からなる駆動ユニット17を介して同期回転する、したがって同じ回転数で回転する。
図1に示される照明装置の変形例(図示せず)においては、青色成分が、他の色光成分はどうあろうと、蛍光体変換によって発生される場合には、ラップアラウンドループはやめることもできる。この場合、蛍光体ホイールはポンプ光に対し透明な領域の代わりに青色蛍光体セグメントを有する。ポンプ光を照射した際に青色蛍光体によって生じる青色光及び他の蛍光体セグメントによって時間的に連続して順次発生される他の色光成分は、ダイクロイックミラーによってフィルタホイールに向かって出射される。従って、ラップアラウンドループのためにのみ必要な光学的要素、即ち、図1において蛍光体ホイール5の後方に配置されたコリメーション光学系8、続く3つの45°方向転換ミラー9〜11及び第2のホモジナイザ15は、不必要である。さらに、必要とあれば、ダイオードマトリックス2のレーザダイオードの波長は青色蛍光体の励起のため適切に調整され得る。例えば青紫色レーザ波長が適切である。ダイクロイックミラーの被覆は、同様に相応して調整され得る、すなわちその結果広帯域の青色変換光も反射され、狭帯域の青紫色レーザ光は透過される。
図2〜5に関して、以下に蛍光体ホイール5及びフィルタホイール12についての異なる実施形態が説明され、さらに模範的に蛍光体ホイール5とフィルタホイール12との間の異なる位相差が、合成された有効光のスペクトル組成になす作用が説明される。蛍光体ホイール5はより具体的にわかりやすくするためフィルタホイール12内に、それぞれ位相制御ユニット16によって設定された位相差で示されている。それによって、蛍光体ホイール5上のある位置から反射され対応する蛍光体によって変換された光線、及びラップアラウンドループを介して変換されなかった光線が、フィルタホイール12にどの位置及びどの時間に当たるかを簡単に読み取ることができる。図2a及び図2bにおいては、わかりやすく具体例に即して、蛍光体ホイール5上の青色ポンプ光点IB及びフィルタホイール12上の変換光点IRが描かれている。この概略図は、その限りにおいて必ずしも実際の寸法比に一致しておらず、第一義的に蛍光体ホイール5とフィルタホイール12との間のその時その時の位相関係の簡単な具体的説明に役立つものである。説明を簡単にするため、さらに蛍光体ホイール及びフィルタホイールの角速度が等しいことから出発し、それゆえ蛍光体ホイール及びフィルタホイールの照射された領域の同じ角度範囲、同じ照射時間が対応する。以下の考察は、本発明に従う照明装置に対し、ラップアラウンドループを持ったものにも、持たないものにも適用される。
図2aは、図1に従う照明装置1における蛍光体ホイール5及びフィルタホイール12に対する第1の実施形態を概略図で示す。蛍光体ホイール5は4つの円環形セグメントを有し、これらのセグメントはこの順序で緑色蛍光体G、赤色蛍光体R及び黄色蛍光体Yで被覆されている。4番目のセグメントT/Bは、透明体Tであり、したがって青色ポンプ光IBをラップアラウンドループに対し妨げることなく通過させるか、又は青色蛍光体Bで被覆されている(ラップアラウンドループなしの変形例)。フィルタホイール12は、2つの円環形セグメント、つまりロングパスフィルタセグメントr及び透明セグメントtを有する。ロングパスフィルタrのフィルタ作用に関しては、図7及びその説明が参照される。赤色蛍光体セグメントR及びロングパスフィルタセグメントrのそれぞれの時間的長さ(=扇形部分の角度範囲α)は、それらの時間的長さがそれらのセグメントの上を通り過ぎる光線の同じ時間に一致する(蛍光体ホイールとフィルタホイールが同じ角速度の場合同じ角度範囲)ように互いに調整されている、つまり互いに合わせられている。さらに位相は位相制御ユニット16(図1参照)によって、ポンプ光線IBが赤色蛍光体セグメントR上を通り過ぎる間、反射された赤色変換光IRの短波長の成分が同時にロングパスフィルタセグメントrによってフィルタリング除去されるように互いに調整されている、つまり互いに合わせられている。赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの間の位相差はこの例ではしたがって零である。それによって、主波長は長い波長の赤色に向かってずれる。この位相同期化の際、フィルタホイール12のロングパスフィルタセグメントrは、したがって赤色蛍光体セグメントRによって変換された赤色光に対するロングパスフィルタとして働く。赤色蛍光体セグメントRはしたがってフィルタホイール12のロングパスフィルタセグメントrによって完全に覆われる。残りの光色、したがって変換されなかった(ラップアラウンドループあり)ないしは変換された(ラップアラウンドループなし)青色光と、黄色蛍光体セグメントYならびに緑色蛍光体セグメントGにより変換された黄色光ならびに緑色光とは、フィルタホイール12の透明セグメントtを通過し、したがってスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。蛍光体ホイール5とフィルタホイール12とのこの位相設定の場合には(つまり同相、すなわち赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの間の位相差は零である)、したがって赤色成分は減少され(長波長成分のみがロングパスフィルタを通過し得るから)、しかしそのほかに全光束は最大にとどまる。
図2bは、図2aに対し変更された位相関係を表す。ここでは蛍光体ホイール5の赤色蛍光体セグメントRから到来する赤色光IRはフィルタホイール12の透明セグメントtを通過し、したがってスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。ロングパスフィルタセグメントrは反対に赤色蛍光体セグメントRにすぐ続く黄色蛍光体セグメントYで始まり、それ故緑色光の短波長部分をフィルタリング除去する。緑色蛍光体セグメントYはしかしロングパスフィルタセグメントrより時間的に長いので(黄色蛍光体セグメントYに属する扇形部分の角度範囲βは角度範囲αより大きい)、黄色光相の一部のみがフィルタリングされる。赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの位相のこの設定においては(すなわちここでは回転方向に移相されているので赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとは覆い合わない)、図2aに示される位相設定に対し、全光束は減少されている。もちろん赤色成分は比較的高い。残りの光色、したがって変換されない(ラップアラウンドループあり)ないし変換された(ラップアラウンドループなし)青色光と、緑色蛍光体セグメントGにより変換された緑色光とは、透明セグメントtを通過し、したがって赤色光と同じようにスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。
図3a〜3cに模式的に示された構成においては、蛍光体ホイール5は変えられていない。しかしフィルタホイール12上にロングパスフィルタセグメントrと向かい合ってさらにショートパスフィルタセグメントgが配置されている。ショートパスフィルタgのフィルタ作用に関しては図8及びその説明が参照される。
図3aに示された位相関係は、基本的には図2aのそれに対応し、即ち赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの間の位相差は零である。ショートパスフィルタセグメントgは、同時に蛍光体ホイール5の透明領域T/B(青色光セグメントに対応)と同じ角度範囲αを覆う。ショートパスフィルタセグメントgは短波長の青色光を妨げられることなく通過させるので、青色光はスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。全作用はそれ故図2aのそれに対応する。
図3bに示される蛍光体ホイール5とフィルタホイール12との位相の設定は、赤色領域に対し図2bに示される設定に対応する。それ故赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとに関する作用は同様に同じである。ただし補足すると、緑色光の長波長部分は、緑色相の一部分の期間(角度範囲αに相当)ショートパスフィルタセグメントgによってフィルタリング除去される。それによって、緑色の変換光の主波長はより短波長になる。緑色光相の残りの期間中(角度範囲β−αに相当)、緑色光はフィルタホイール12の透明領域tを通過し、したがってフィルタリングされないままにとどまる。全作用において、全体として、フィルタリングされた緑色成分、しかしより多くの赤色成分を持ち図3aに比べてよりわずかの光束が生じる。
最後に図3cには、赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの間の位相差が図3aないし図3bに示された設定の中間設定に相当する設定が示されている。赤色蛍光体セグメントRとロングパスフィルタセグメントrとの時間的重なりは、重なっている扇形部分の角度範囲γに相当する。この重なった角度範囲γは、赤色蛍光体セグメントRないしロングパスフィルタセグメントrに対応する扇形部分の全角度範囲αより小さい。ロングパスフィルタセグメントrの全角度範囲αの残りの部分α−γは、黄色蛍光体セグメントYの対応する部分と重なる。そのような中間設定は、もちろんただ1つのフィルタセグメントを持った図2a、bに示される変形例においても設定され得る。ショートパスフィルタセグメントgは、角度範囲δで緑色蛍光体セグメントGと重なる。ショートパスフィルタセグメントgの全角度範囲αの残りの部分α−δは青色蛍光体セグメントT/Bの対応する部分と重なる。全作用において、全体として、一時的にフィルタリングされた赤色成分、黄色成分および緑色成分を持った光束が生じる。
図4a及び4bに模式的に示された構成において、フィルタホイール12は図3a〜cにおけると同じように、透明セグメントtのほかにロングパスフィルタセグメントr並びにショートパスフィルタセグメントgを有する。もちろん両フィルタセグメントr,gは向き合っているのではなく、相並んで配置されている。蛍光体ホイール5は、赤色蛍光体セグメントRと、黄色蛍光体セグメントYと、透明な青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bとのみを有する。
図4aは、共に同じ角度範囲εをとる赤色蛍光体セグメントR及びロングパスフィルタセグメントrが時間的に完全に重なる位相関係を示す。それに直ぐ続き角度範囲ηをとるショートパスフィルタセグメントgは、蛍光体ホイール5の方位角の大部分(角度範囲μはε+ηより大)を占める黄色蛍光体セグメントYの一部分と重なる。緑色蛍光体セグメントYの残りの部分と、青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bとは、フィルタホイール12の透明セグメントtに面し、したがってスペクトルフィルタリングを受けない。全作用において、この設定では全体として、減らされた赤色成分並びに一時的にフィルタリングされた黄色成分を持った最大の光束が生じる。
図4bに示された位相関係の場合、ロングパスフィルタセグメントrは赤色蛍光体セグメントRの終了後に初めて始まる、即ち赤色成分はフィルタリングされないままにとどまる。そのためロングパスフィルタセグメントrは黄色蛍光体セグメントYの一部分と重なる。それに直ぐ続くショートパスフィルタセグメントgは同様に黄色蛍光体セグメントYの一部分と重なる。したがって黄色光束の一部分につきロングパスフィルタセグメントrないしショートパスフィルタセグメントgによってフィルタリングされる。したがって全作用において全体として、この設定では図4aに示された設定に比べて減らされた光束が、しかし照射された光のより大きな赤色成分を持って生じる。
図5a及び5bに模式的に示された構成において、フィルタホイール12は原則的に図4a,bに示されたものに相当する。もちろんここではショートパスフィルタセグメントgはフィルタホイール12の半分に広がる、即ちその角度範囲は180°である。隣接するロングパスフィルタセグメントrは、フィルタホイール12の残る透明セグメントtが蛍光体ホイールホイール5の青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bと同じ角度範囲λを覆うように設計されている。蛍光体ホイール5の残り、即ち角度範囲360°−λは黄色蛍光体セグメントYによって覆われる。したがってここでは蛍光体ホイール5はBY蛍光体ホイールである。
図5aに示された位相関係の場合、ショートパスフィルタセグメントgは蛍光体ホイール5の青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bで始まり、黄色蛍光体セグメントYの第1の部分に広がる。黄色蛍光体セグメントYの残る180°の角度範囲は、ロングパスフィルタセグメントrによって角度範囲λを除き重ねられる。したがって黄色蛍光体セグメントYのうち、角度範囲λのみはスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。青色光セグメントT/Bのあいだショートパスフィルタセグメントgへ当たる短波長の青色光は、スペクトルフィルタリングされることなくショートパスフィルタを通過する。全作用においてこの設定では全体として、一時的にショートパスフィルタセグメントgないしロングパスフィルタセグメントrによってフィルタリングされた黄色成分を持った最大の光束が生じる。
図5bに示された位相関係の場合、蛍光体ホイール5の青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bと、同じ角度範囲λを覆うフィルタホイール12の透明セグメントtとが完全に重なる。それによって黄色蛍光体セグメントYもその全角度範囲(360°−λ)にわたってショートパスフィルタセグメントg及びそれに直接続くロングパスフィルタセグメントrと重なり合う。全作用においてしたがって全体として、図5aに示される設定の場合よりわずかな光束が、しかしながらより多い緑色成分を持って生じる。
図6a及び6bに模式的に示された構成において、フィルタホイール12は透明セグメントt、ショートパスフィルタセグメントg及びバンドストップフィルタoを有する。バンドストップフィルタoのフィルタ作用に関しては図9及びその説明が参照される。蛍光体ホイール5は、図5a、bに示されたものに対しさらに緑色蛍光体セグメントGを有する。したがって蛍光体ホイール5はBYG蛍光体ホイールである。
図6aに示された位相関係の場合、ショートパスフィルタセグメントgは緑色蛍光体セグメントGと完全に重なり、青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bと部分的に重なる。したがって全緑色相はフィルタリングされる。短波長の青色光はショートパスフィルタもバンドストップフィルタも通過し、したがってスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。続く黄色光相の一部分はバンドストップフィルタによってフィルタリングされる。黄色光相の残りは、フィルタホイールの続く透明セグメントtによってスペクトルフィルタリングされないままにとどまる。全体としてこの位置においては、多くの黄色成分を持った最大の光束が生じる。
図6bに示された位相関係の場合、黄色蛍光体セグメントYは完全にバンドストップフィルタoと重なりかつショートパスフィルタgの大部分と重なる、即ち黄色光相は完全にフィルタリングされる。透明セグメントtは完全に緑色蛍光体セグメントGと重なりかつ青色光セグメントつまり青色蛍光体セグメントT/Bの大部分と重なる、即ち緑色光相も青色光相もスペクトル的にはフィルタリングされないままにとどまる。全体としてこの位置では、図6aに比べてよりわずかな光束が、黄色成分なしで、しかしながらより多くの赤色及び緑色を含んで生じる。
図7は赤色蛍光体の放出曲線20及びロングパスフィルタの理想化されたフィルタ曲線21を示す。そのためY軸上には赤色蛍光体より放出される光パワーLRが波長λについて模式的に記入されている。フィルタ曲線21については、理想化された透過度Tが波長λの関数として記入されている。この模範的な例において、ロングパスフィルタは赤色蛍光体の放出スペクトル20の短波長部分を遮断し、長波長部分のみを透過させることが認められる。その場合実際のフィルタはもちろん理想化されたステップ関数を有しない。このことは以下の図8、9の例に対しても当てはまる。
図8は模式的に緑色蛍光体の放出曲線22及びロングパスフィルタのフィルタ曲線23を示す。ここではショートパスフィルタは赤色蛍光体の放出スペクトル22の長波長部分を遮断し、短波長部分のみを透過させることが認められる。
図9は模式的に青色レーザダイオード及び赤色蛍光体の放出曲線24、25並びにバンドストップフィルタのフィルタ曲線26を示す。ここでは、バンドストップフィルタは短波長の青色レーザ光24及び赤色蛍光体の放出スペクトル25の長波長部分を透過させ、基本的に赤色蛍光体の放出スペクトル25の短波長部分と一致する狭い波長範囲のみを遮断する。
図10は、本発明に従う照明装置の図1に示された実施例の変形例100の概略図を示す。この変形例は、ポンプ光源2(方向転換ミラー及び第1のホモジナイザを含むレーザダイオードマトリックス)及びフィルタホイール12(集束レンズ系6´及び光学的インテグレータ13を含む)の位置が交換されていることによって、図1に示される実施例と基本的に異なっている。さらに、ダイクロイックミラー107の被覆は相応に調整されている、すなわち青色レーザ光線IBに対して反射性に、変換光例えば緑色光IGに対しては透過性にされている。青色レーザ光IBはそれによりダイクロイックミラー107によって蛍光体ホイール5へ反射される。そこから到来する変換光IGはダイクロイックミラー107を通過し、集束レンズ系6´を用いてフィルタホイール12へ集束される。ラップアラウンドループから到来する青色レーザ光IBはダイクロイックミラー107によってフィルタホイール12へ集束される。フィルタホイール12の後、それぞれの色光成分は時間的に連続して順次光学的インテグレータ13又は他の光学系に達する。図10に示される照明装置の残りの要素及びそれらの配置は、図1に示される照明装置1のそれと異なるところはない。特に蛍光体ホイール5とフィルタホイール12との間の位相制御ユニット16を用いた位相制御も変わるところはない。そのかぎりにおいて、図2a〜6bに示される蛍光体ホイール5及びフィルタホイール12の実施例並びにそれらのさまざまな位相関係も図10に示される照明装置100に対し利用することができる。
蛍光体ホイール及びフィルタホイールの上述の実施形態並びにそれぞれ示された位相関係は単に模範的な性格を持ち、さらにまた別の変形であって、それにもかかわらず請求された保護範囲に属するものが可能であることは自明である。フィルタホイールは蛍光体ホイールの反射側のすぐ前に配置されることもできる。フィルタホイール及び蛍光体ホイールは、両ホイール間の位相関係の制御が可能である限り、同じ回転軸上に配置されていることもできる。複数のフィルタホイールが、蛍光体ホイール及び他のフィルタホイールの少なくともいずれかに対する別々に設定可能な位相関係を持って直列配置的に設けられていることも可能である。
1 照明装置
2 ポンプ光源
3 レーザダイオード
4 方向転換ミラー
5 蛍光体ホイール(蛍光体装置)
6 光学系
6´集束レンズ系
7 ダイクロイックミラー
8 光学系
9 方向転換ミラー
10 方向転換ミラー
11 方向転換ミラー
12 フィルタホイール(フィルタ装置)
13 インテグレータ
14 ホモジナイザ
15 ホモジナイザ
16 位相制御ユニット
17 駆動ユニット(運動ユニット)
100 照明装置
R 赤色蛍光体要素(赤色蛍光体セグメント)
G 緑色蛍光体要素(緑色蛍光体セグメント)
B 青色蛍光体要素(青色蛍光体セグメント)
Y 黄色蛍光体要素(黄色蛍光体セグメント)
T 透明セグメント
r ロングパスフィルタセグメント
g ショートパスフィルタセグメント
t 透明セグメント
o バンドストップフィルタ
B 青色ポンプ光
G 緑色光
R 赤色光

Claims (12)

  1. a.ポンプ光源(2)と、
    b.蛍光体装置(5)とを備え、
    i.蛍光体装置(5)は少なくとも1つの蛍光体要素(R、G、B、Y)を有し、蛍光体要素(R、G、B、Y)はポンプ光源(2)のポンプ光を照射可能であり、さらにこのポンプ光を少なくとも部分的に波長変換して再び放射し、
    ii.蛍光体装置(5)はポンプ光源(2)の光路内に可動的に配置され、かつ
    iii.可動の蛍光体装置は回転可能な蛍光体ホイール(5)として形成され、
    c.フィルタ装置(12)を備え、
    i.フィルタ装置(12)は波長変換された光を照射可能な少なくとも1つのフィルタ要素(r、g)を有し、
    ii.フィルタ装置(12)は波長変換された光の光路内に可動的に配置され、かつ
    iii.可動のフィルタ装置は回転可能なフィルタホイール(12)として形成されており、
    d.蛍光体装置(5)及びフィルタ装置(12)を少なくとも1つの蛍光体要素(R、G、B、Y)と少なくとも1つのフィルタ要素(r、g)との間の固定の位相関係で動かすように構成されている運動ユニット(17)と、
    e.少なくとも1つの可動の蛍光体要素(R、G、B、Y)と少なくとも1つの可動のフィルタ要素(r、g)との間の位相関係を制御するための位相制御ユニット(16)とを備え、位相制御ユニット(16)は蛍光体ホイール(12)とフィルタホイール(5)との間の位相関係を変更するために構成されている
    照明装置。
  2. 少なくとも1つのフィルタ要素はロングパスフィルタ(r)、ショートパスフィルタ(g)、バンドストップフィルタ(o)又はバンドパスフィルタとして構成されている請求項記載の照明装置。
  3. 1つ又は複数の別のフィルタ要素を備え、それらのフィルタ要素は請求項に挙げられたフィルタ群からのフィルタとして構成されている請求項記載の照明装置。
  4. フィルタ装置(12)は、ポンプ光及び波長変換された光に対して透明な透明要素(t)を有する請求項1又は2記載の照明装置。
  5. 少なくとも1つの蛍光体要素及び少なくとも1つのフィルタ要素は扇形又は円環形の蛍光体要素(R、G、B、Y)ないしフィルタセグメント(r、g)として形成されている請求項からのいずれか1項に記載の照明装置。
  6. 少なくとも1つのフィルタセグメント(r)は、少なくとも1つの蛍光体要素(R)の角度範囲(α、ε)と同じ大きさの角度範囲(α、ε)を取る請求項記載の照明装置。
  7. 少なくとも1つのフィルタセグメント(r)の角度範囲(α)は別の蛍光体要素(Y)の角度範囲(β)より小さい請求項または記載の照明装置。
  8. ポンプ光源(2)のポンプ光は、青色レーザ光線及び青紫色レーザ光線及び紫外色レーザ光線の内の少なくとも1つの光線を含む請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
  9. 蛍光体装置(5)は少なくとも1つの蛍光体を含み、その蛍光体は緑色(G)及び赤色(R)及び黄色(G)及び青色(B)の内の少なくともいずれかの波長範囲にある主波長を含む請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
  10. 少なくとも2つの異なる選択可能な作動モード、
    a.作動モードA:位相制御ユニット(16)によって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素(R)と、この蛍光体要素(R)に同期して動く少なくとも1つのフィルタ要素(r)との間に第1の位相関係を設定する作動モード、
    b.作動モードB:位相制御ユニット(16)によって、少なくとも1つの可動の蛍光体要素(R)と、この蛍光体要素(R)に同期して動く少なくとも1つのフィルタ要素(r)との間に第1の位相関係とは異なる第2の位相関係を設定する作動モード
    を備える請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置の作動方法。
  11. 第1の位相関係は少なくとも1つの可動の蛍光体要素(R)とこの蛍光体要素(R)に同期して動く可動の少なくとも1つのフィルタ要素(r)との間の第1の時間的重なりに相応し、第2の位相関係は両要素(R、r)間の他の時間的重なりに相応するか又は時間的重なりに相応せず、時間的重なりの期間中、少なくとも1つの蛍光体要素(R)から放出される光(IR)は前記フィルタ要素(r)を通過し得る請求項10記載の方法。
  12. 請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置をプロジェクタにおいて使用する方法。
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