JP5711948B2 - 固相担持型sh基選択的標識試薬 - Google Patents
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Description
本発明は、従来の分子標識の手法に対し固相化学の手法を組み合わせ用いる事により、上記課題を解決する。
[1] 下記式(I)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、SH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬:
本発明の、化合物をSH基を介して選択的に標識する、SH基を有する化合物を標識するための固相担持型のSH基選択的標識試薬は、下記式(I):
本発明のSH基選択的標識試薬の一例として、下記式(II)で表されるものが挙げられる。
式(IV)の一例として、下記式(V)で表されるものが挙げられる。
(1)標識対象化合物を溶媒に溶解させる。好ましい態様によれば、標識対象化合物を水、又は1%以上の水を含む有機溶媒に溶解させる。また、この際のpHは中性付近が望ましく、pH6.5〜8.5が望ましい。また、水に代えて緩衝液を用いることができ、水、緩衝液及び有機溶媒のいずれかを組み合わせ用いることもできる。一方、有機溶媒を組み合わせ用いる場合は、水と混和する有機溶媒が望ましく、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、アルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
(2)上記(1)で調製した標識対象物質の溶液と固相担持型SH基選択的標識試薬を混和する。この際、溶液の入った容器に固相担持型SH基選択的標識試薬を添加してもよいし、固相担持型SH基選択的標識試薬の入った容器に溶液を添加してもよい。尚、容器の形態、材質は限定されないが、好ましくはフィルター付きチューブ等の濾過用フィルターの付いた攪拌可能な容器が望ましい。混和は容器を静置しておいても良いが、振とうや、固相合成用振とう機、マグネチックスターラー、ボルテックスミキサー、スリーワンモーター等による攪拌により行う事が望ましい。
(3)上記(2)の混和により起こる反応により、通常5分〜2時間でSH基標識反応を行うことが出来る。この反応で用いられる固相担持型SH基選択的標識試薬の添加量は、標識対象化合物の量に応じて増減すればよい。例えば、標識対象化合物1等量に対し、固相担持型SH基選択的標識試薬の量は過剰量用いるのが望ましく、より好ましくは2当量から10等量用いる。この反応において、固相担持型SH基選択的標識試薬化合物中の2−ジスルファニルピリジン骨格がSH基を有する化合物のSH基と選択的に非対称ジスルフィド結合を形成することにより、固相担持型SH基選択的標識試薬化合物中の標識物質が標識対象化合物に結合し、標識対象化合物が標識され、標識化化合物が生成する。
(4)標識反応後、固相担持型SH基選択的標識試薬と標識された標識化化合物は濾過により分別される。濾過には使用器具、濾過手法にとらわれない。器具として濾紙、グラスファイバー、濾過助剤、濾布による濾過や、メンブランフィルター、グラスフィルター等が挙げられる。濾過手法としても、自然濾過、吸引ろ過、遠心分離等があげられ、それぞれ用途や反応スケールに応じて適宜選択できる。
図1に示す化合物2の合成:
200mlのナスフラスコに化合物1(14g, 0.101mol)を入れ、発煙硝酸(1.52)(70ml)を加えた。攪拌を行いながら油浴を用いて徐々に加熱を行い、50℃の温度条件下7時間攪拌を行った。続けて80℃迄加熱を行い、80℃の温度条件下12時間攪拌を行った。加熱を止め、室温まで放冷した後に反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に対し、メタノールを溶媒として再結晶にて図1に示す化合物2(4.57g)を得た。
100mlのナスフラスコにオキシ塩化リン(30.0g)、五塩化リン(13.0g)、図1に示す化合物2(4.0g)を加えた。油浴を用いて徐々に加熱を行い、100℃の温度条件下3時間攪拌を行った。溶液を室温まで放冷後、50℃の水浴とエバポレーターを用いて濃縮した。反応残渣を氷浴にて冷却し、メタノール(30ml)を加えた。溶媒を減圧下留去し、蒸留水を加え、酢酸エチルにより抽出を行った。有機層を蒸留水、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去した後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)で精製し、図1に示す化合物3(2.54g)を得た。
100mlのナスフラスコにメタノール(15ml)を入れ、攪拌しながら図1に示す化合物3(2.54g)とベンジルメルカプタン(2.18g)を加え、溶解させた。原料が完全に溶解した事を確認した上でトリエチルアミン(2.46ml)を加えた。油浴を用いて外温60℃に設定し、還流下5時間攪拌した。反応液を室温まで放冷した後、溶媒を減圧下留去し得られる残渣に蒸留水を加え、酢酸エチルにより抽出を行った。有機層を蒸留水、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去した後、溶媒を減圧下留去し得られた固体をヘキサンと酢酸エチルから再結晶を行い図1に示す化合物4(3.27g)を得た。
500mlのナスフラスコに化合物4(3.27g)を入れ、メタノール(210ml)を加え氷浴を用いて冷却した。次に水酸化リチウム・一水和物(902mg)と純水(180ml)を加え、氷浴下10分攪拌の後、室温へと昇温し15時間攪拌した。更に水酸化リチウム・一水和物(225mg)を純水(5ml)に溶かした溶液を加え、4時間半攪拌した。溶液が澄明になったのを確認し、減圧下メタノールを留去した。残った水溶液に10%クエン酸水溶液をpHが3になるまで添加した。得られた水溶液に対し、酢酸エチルを用いて抽出を行い、有機層を水、飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去し、次に減圧下溶媒を留去し、真空下乾燥する事で、図1に示す化合物5(3.1g)を得た。
500mlのナスフラスコに化合物5(3.1g)、ジクロロメタン(83.3ml)、β-アラニンt-ブチルエステル塩酸塩(2.33g)、トリエチルアミン(1.30g)、4-(4,6-ジメトキシ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-4-メチル-モルホリニウムクロリド(4.21g,水分15.7%含む)を順に加え、室温で14時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、純水を加え、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を10%クエン酸水溶液、蒸留水、飽和炭酸ナトリウム、蒸留水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンと酢酸エチルから再結晶を行い、濾取、乾燥を行うことで図1に示す化合物6(3.43g)を得た。
35mlのナスフラスコにアルゴン雰囲気下で化合物6(214.8mg)をジクロロエタン1.6mlとピリジン20μlの混合溶液に溶解させ、塩化スルフリル(76.2mg)を加え、室温で2時間攪拌した。2時間後、塩化スルフリル(38.1mg)を追加し、更に1時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣にヘキサン10mlを添加、混合の後、桐山ロートを用いて濾過した。得られた固体をヘキサンで3度洗浄し、黄色固体を得た。得られた固体をジクロロメタン(35ml)で溶解させた。次に、(2-トリチルスルファニル-エチル)-カルバミン酸t-ブチルエステル(215.7mg)を加え、室温で一晩攪拌した。溶液を分液ロートに移し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、純水、飽和食塩水を順に用いて有機相を洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過により乾燥剤を除いた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、図1に示す化合物7(133.0mg)を得た。
25mlナスフラスコにアルゴン雰囲気下図1に示す化合物7(12.5mg)を入れ、トリフルオロ酢酸(2ml)を加え、室温下20分攪拌した。減圧下トリフルオロ酢酸を留去し、ジエチルエーテルによる共沸を2度行った。乾燥し、黄色個体を得た。10mlのナスフラスコにアルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(1ml)に黄色固体を溶解させ、D-ビオチン-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(99.1mg)とトリエチルアミン(182.9mg)を加え、室温で24時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルで混和し、桐山ロートを用いて濾過した。濾紙上に残った固体を酢酸エチルで洗浄し、濾液を取り除いた。洗浄後の固体はメタノールで懸濁させ、メタノールで洗浄しながら桐山ロートを用いて濾過を行った。メタノール洗浄した濾液を回収し、減圧下溶媒を留去し、得られた固体を乾燥することで図1に示す化合物8(132.0mg)が得られた。
アミノ-PEG-樹脂(図1中、H2N-PEG-Xで表される。官能基置換率0.43mmol/g) 100mgをポリプロピレン製フィルター付10mlチューブに取り、ジメチルホルムアミド(4ml)を加え、振とう攪拌固相合成機KMS−3(国産化学株式会社製)に取り付け、振とう攪拌を15分行った。溶媒を濾去し、ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、30秒振とうの後濾去する操作を3度行った。図1に示す化合物8(23.7mg)を25mlナスフラスコに取り、ジメチルホルムアミド(2ml)とジイソプロピルカルボジイミド(33.3μl)を加え、1分間振とう攪拌を行った。得られた溶液を、前述のアミノ-PEG-樹脂の入ったポリプロピレン製フィルター付チューブに加えた。ジメチルホルムアミド(2ml)を用いて溶液の入っていたナスフラスコを洗い、ポリプロピレン製フィルター付チューブに加えた。ポリプロピレン製フィルターにジメチルアミノピリジン(1.3mg)を加え、24時間振とう攪拌を行い、溶液を濾去した後、ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、30秒振とうの後濾去する操作を3度行い、固相担持型ビオチニル化試薬(図1に示す化合物9)を得た。
固相担持型ビオチニル化試薬(図2の化合物9)(200mg)をポリプロピレン製フィルター付10mlチューブに取り、振とう攪拌固相合成機KMS−3(国産化学株式会社製)に取り付けた。10mlナスフラスコにカプトプリル(図2の化合物10、2.35mg)をとり、ジメチルホルムアミド(2ml)と、pH=7の、りん酸緩衝液(1ml)の混合溶媒に溶解させ、チューブに加え、30分の振とう攪拌を行った。溶液を逆相HPLC分析することで、反応前後でカプトプリルは消失し、ビオチン標識されたカプトプリル(図2の化合物11)へと転換された事を確認した。また、溶液中には化合物11のみが含まれ、化合物9や化合物12に起因する物質の溶解は見られなかった。この溶液をチューブのフィルターより濾過することで、化合物11の溶液を得た。さらに、得られた化合物11をTOF-MSにて分析する事で期待される結果が得られる事を確認した。(HRMS(ES+)calcd for C21H35N4O5S3 [M]+519.1770. found m/z 519.1745.)。
Claims (9)
- 下記式(I)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、SH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
- 下記式(II)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、請求項1記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
- 下記式(III)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、請求項1記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
- Rがポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、デキストラン、アクリルアミド及びポリエチレングリコールからなる群から選択され、Qがd−ビオチン誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミン、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ及びペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬。
- Yがニトロ基であり、Qがd−ビオチン誘導体又はフルオレセイン誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和することを含む、SH基を有する化合物を標識物質で標識する方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和し、SH基を有する化合物を標識物質で標識した後に、濾過によりSH基選択的標識試薬と標識化化合物を分離することを含む標識化化合物を製造する方法。
- 下記式(VI)で表される、SH基を有する化合物を標識物質で標識するための化合物:
- 請求項8に記載の化合物を固相担体に結合させることを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬を製造する方法。
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