JP5711948B2 - 固相担持型sh基選択的標識試薬 - Google Patents

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Description

本発明はSH基(チオール基、スルフヒドリル基、メルカプト基)を有する有機化合物(アミノ酸、ペプチド、タンパク質、抗体、ヌクレオチド、ヌクレオシド等の生体由来の有機化合物、高分子有機化合物、低分子有機化合物等)に対し選択的に標識物質(ビオチンに代表される特異的な機能を有する分子、フルオレセイン誘導体に代表される蛍光分子)を導入するための試薬に関する。
従来、タンパク質、ペプチド又は核酸等の生体分子の解析や検出等において、当該生体分子に結合する標識物質を用いて、標識体とする事が生物学や分子生物学等の分野で多用されている。分子標識の具体例としてビオチン標識がある。種々のアッセイ系や生理活性物質の精製において、その感度を高める目的でアビジンとビオチンの強力な親和性を利用したシステムが開発されている。そして、ビオチン標識物質はこの系において必須である。(非特許文献1を参照)ビオチン標識を含む標識分子の導入は、一般に生理活性物質中の数種の官能基に対し、反応性を有する標識試薬を用いて行われる。その官能基の例としてはアミノ基、ヒドロキシル基、イミダゾリル基、そしてチオール基などが挙げられる。あるいは、いずれか一つの官能基に選択的に標識ができる試薬もある。たとえば、SH基を選択的に標識する試薬が挙げられる。SH基を選択的に標識することは、ペプチドやタンパク質の場合ではシステイン残基を選択的に標識することを意味する。システインの有するSH基やシステインにより形成されるジスルフィドは、タンパク質の立体構造やタンパク質の酵素活性に、大きく影響していることが知られ、その位置を同定することは、タンパク質の構造又は活性を解析する際に重要である。実際にSH基に結合する蛍光物質を用い、タンパク質中のSH基を標識しタンパク質中の所在を同定する方法が知られている。また、システインやその誘導体への適用に限らず、SH基に標識を行っている例として、サイクリン依存性キナーゼ(以下CDKという)の活性を測定する方法が知られている(特許文献1を参照)。この測定方法では、まず、CDK及びアデノシン5´−O−(3−チオトリホスフェート)を用いて、CDKの基質にSH基を導入する。次に、基質に導入されたSH基を、SH基に選択的に結合する標識物質で標識する。そして、標識された基質を測定することで、CDKの活性測定が完成される。
これらのSH基を選択的に標識するために用いる試薬は、次の様な性質が必要とされる。1つ目にSH基のみに標識を行い、他の官能基に影響を与えないこと。2つ目に標識した分子のみが単離・精製可能で、標識から精製に至るまでが簡便な操作により行われることである。SH基への標識のみならず、他の官能基や構造にも作用してしまうと、本来の目的である活性測定や部位の同定の正確性を損なう。最近でもSH基への選択的標識を特徴とした試薬が複数報告されている(特許文献2及び3を参照)。
しかし、これらの試薬による標識操作は、標識試薬を過剰に用いることが多く、大抵の場合未反応の試薬あるいは試薬の分解物が残存する。このため、通常では標識反応の後に過剰な標識試薬及び副生成物を除去する操作が必要となる。
特開2002-335997号公報 特開2004-530885号公報 特開2010-51289号公報
「化学大辞典1」共立(昭42-9-10)
本発明は、SH基を有する化合物を標識物質で標識するために用いられる試薬及び該試薬を用いた化合物の標識方法の提供を目的とする。
タンパク質や抗体のように標識対象が高分子の場合には、『過剰に投入した標識試薬』の除去に分子量の差を利用するゲル濾過やメンブランフィルターによる(遠心)限外濾過が利用可能である。しかし、低分子化合物の標識の場合には、これらの手法は適用出来ず、類似した分子量を有する試薬残渣の除去には、より煩雑なクロマトグラフィーなどによる精製が必要となる。
このため、低分子有機化合物への標識を必要とするスクリーニングにおいて、より簡便な標識手法が望まれるところであった。
本発明は、従来の分子標識の手法に対し固相化学の手法を組み合わせ用いる事により、上記課題を解決する。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、遊離SH基と選択的に非対称ジスルフィド結合を形成する2−ジスルファニルピリジン骨格を固相担体上に担持させ、標識物質の効率的な導入を可能とする化合物を創出した。また、この化合物をSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH選択的標識試薬として用いることにより、実際に低分子化合物に対しても煩雑な精製の手段を踏まず標識する手法を確立した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
固相化学は最近の種々の化学において汎用される手法であるが、最も有意義な点は、反応後の試薬除去や生成物精製が容易なことである。本発明により得られる新規固相担持型標識試薬においても試薬自体が樹脂等の固相担体に固定されているため、前述のクロマトグラフィー等の煩雑な除去操作が不要で単純な濾過操作により除去が可能であり、過不足無くSH基含有標的分子を標識できる。
このように、本発明で得られる固相担持型SH基選択的標識試薬は、標的分子の分子量の大小を問わず、現在行われている種々の分子標識を利用した精製・解析に極めて有利に利用できる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記式(I)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、SH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬:
Figure 0005711948
[式中a,m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し;L及びLはそれぞれ独立した、化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
[2] 下記式(II)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、[1]のSH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬:
Figure 0005711948
[式中a及びmはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し;Lは化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素分子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
[3] 下記式(III)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、[1]のSH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬:
Figure 0005711948
[式中a及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し;Lは化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
[4] Rがポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、デキストラン、アクリルアミド及びポリエチレングリコールからなる群から選択され、Qがd−ビオチン誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミン、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ及びペルオキシダーゼからなる群から選択される、[1]〜[3]のいずれかのSH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬。
[5] Yがニトロ基であり、Qがd−ビオチン誘導体又はフルオレセイン誘導体である、[1]〜[4]のいずれかのSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬。
[6] 下記式(IV)で表される、SH基選択的ビオチニル化試薬である、[5]のSH基を有する化合物を標識物質Qで標識するためのSH基選択的標識試薬。
Figure 0005711948
[式中mは0〜6の整数を表し、LはC1〜6の直鎖アルキルを表し、Xはポリスチレン樹脂を表し、PEGはポリエチレングリコールを表し、Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体である。]
[7] [1]〜[5]のいずれかのSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和することを含む、SH基を有する化合物を標識物質Qで標識する方法。
[8] [6]のSH基選択的ビオチニル化試薬とSH基を有する化合物を混和することを含む、SH基を有する化合物をd−ビオチンで標識する方法。
[9] [1]〜[5]のいずれかのSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和し、SH基を有する化合物を標識物質Qで標識した後に、濾過によりSH基選択的標識試薬と標識化化合物を分離することを含む標識化化合物を製造する方法。
[10] [6]のSH基選択的ビオチニル化試薬とSH基を有する化合物を混和し、SH基を有する化合物をd−ビオチンで標識した後に、濾過によりSH基選択的標識試薬とd−ビオチンを分離することを含むビオチニル化化合物を製造する方法。
[11] 下記式(VI)で表される、SH基を有する化合物を標識物質Qで標識するための化合物:
Figure 0005711948
[式中a,m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表し;L及びLはそれぞれ独立した、化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
[12] [11]の化合物を固相担体に結合させることを含む、[1]〜[6]のいずれかのSH基選択的標識試薬を製造する方法。
本発明で得られる固相担持型SH選択的標識試薬は標識に関与する化合物自体が樹脂等の固相担体に固定されているため、単純濾過のみで固相担持型SH選択的標識試薬と標識化化合物との分離が可能である。そのため、本発明の固相担持型SH選択的標識試薬を用いれば短時間で簡便に標識対象となる目的物のSH基を、選択的に標識する方法及び試薬が提供される。また、本発明で提供される試薬の利用により、これまで煩雑な精製を余儀なくされた低分子への標識にも簡便な標識方法が提供される。
固相担持型SH基選択的ビオチニル化試薬の合成手順を示す図である。 固相担持型SH基選択的ビオチニル化試薬を用いた、カプトリルをビオチンで標識する手順を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の、化合物をSH基を介して選択的に標識する、SH基を有する化合物を標識するための固相担持型のSH基選択的標識試薬は、下記式(I):
Figure 0005711948
で表される2−ジスルファニルピリジン骨格が固相に担持された試薬である。ここで、固相担持型とは選択的標識を担う化合物が固相に結合し、担持されていることをいう。また、SH基選択的標識とは、SH基を有する化合物のSH基に選択的に標識物質を結合させることをいう。式中aは1〜10の整数を表す。式中m及びnはそれぞれ独立に0〜10の数字を表し、数字が0の場合は該当する括弧内構造を省略できる。式中L及びLはそれぞれ独立した、化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択される。より好ましい態様によれば、L及びLはそれぞれ独立にC2〜6の直鎖アルキルで、m及びnはそれぞれ独立に0〜2であることが望ましい。式中Rは高分子固相担体を表す。固相担体として、例えば樹脂が挙げられる。より詳しくは一般的な生化学、有機化学などに用いられる固相担体を指し、固相有機合成に用いられる樹脂、生化学に用いられるゲル、免疫化学に用いられるビーズなどを例示することができる。樹脂の素材、形状、粒径に制限はないが、好ましくは溶媒または水溶液により膨潤する素材であり、特に好ましくはポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、デキストラン、アクリルアミド、ポリエチレングリコールなどの樹脂である。樹脂の形状は球状がより望ましい。好ましい樹脂の平均粒径は、100〜400 meshの粒径が望ましい。
Qは標的分子であるSH基を有する化合物を標識するための標識物質を表す。用いる標識物質は、式(I)で表される試薬と結合を形成した状態で標識物質としての特性を保つものであればその種類は限定されない。本発明において、適用可能な標識物質の例として、ビオチン−アビジンの特異的相互作用に関連したd−ビオチンやその誘導体、蛍光標識物質、酵素標識物質等が挙げられる。蛍光標識物質としては、フルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミンやそれらの誘導体などが挙げられ、例えば、フルオレセインイソチオシアネートより誘導される物質が挙げられる。また、酵素標識物質としては、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ等が挙げられる。式中Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステル等の官能基を示す。更にXとして好ましくは-COOH、-CONH2、-OH又は水素原子が挙げられる。式中Yは芳香環上の置換基であり、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはニトロ基、ハロゲン、又は水素原子であり、特に好ましくはニトロ基である。
本発明のSH基選択的標識試薬の一例として、下記式(II)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005711948
式中、a、m、L1、Q及びRは上記式(I)と同じである。
さらに、本発明のSH基選択的標識試薬として、下記式(III)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005711948
式中、a、n、L2、Q及びRは上記式(I)と同じである。
例えば、本発明のSH基選択的標識試薬として、下記式(IV)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005711948
式中、m、L1及びRは上記式(I)と同じである。
式(IV)で表されるものは、式(I)のQとしてd−ビオチンを有しており、固相担体にリンカーとしてのPEGを介して担持されている。この試薬を用いることによりSH基を有する化合物をビオチンで標識、すなわちビオチニル化することができる。
式(IV)の一例として、下記式(V)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005711948
式中、Rは式(I)と同じである。PEGはポリエチレングリコールを指し、リンカーとして用いられる。
上記のSH基選択的標識試薬は、例えば、下記式(VI)で表される2−ジスルファニルピリジン骨格を有する化合物を固相担体に結合させることにより得ることができる。
Figure 0005711948
式中、a、m、n、L、L、Q、X及びYは、式(I)と同じである。
固相担体への上記化合物の結合は、好ましくはリンカーを介して行われる。これらの固相担体上に担持されたリンカー部分の末端には官能基を有する。固相担体として、例えば樹脂が挙げられる。より詳しくは一般的な生化学、有機化学などに用いられる固相担体を指し、固相有機合成に用いられる樹脂、生化学に用いられるゲル、免疫化学に用いられるビーズなどを例示することができる。樹脂の素材、形状、粒径に制限はないが、好ましくは溶媒または水溶液により膨潤する素材であり、特に好ましくはポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、デキストラン、アクリルアミド、ポリエチレングリコールなどの樹脂である。樹脂の形状は球状がより望ましい。好ましい樹脂の平均粒径は、100〜400 meshである。2−ジスルファニルピリジン骨格を有する化合物と固相担体を連結させる固相担体上のリンカーに制限はないが、好ましくは固相担体に親水性を有することが望ましい。固相担体上のリンカーは、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、環状炭化水素鎖、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド及びケトンからなる群から選択される。好ましくは親水性を有する構造であり、特にポリエーテル鎖又はペプチドを有する事が望ましい。ポリエーテル鎖は、好ましくはポリエチレングリコール鎖又はポリプロピレングリコール鎖である。固相担体末端の官能基は、カルボニルと化学的に安定な結合を形成する官能基であれば特に制限はない。官能基の例を挙げると、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基等が挙げられる。特に好ましくはアミノ基である。
本発明の標識試薬は、固相に結合し、固相に担持されており、SH基を有する化合物においてSH基を介して選択的に標識物質で標識し得るので、固相担持型SH基選択的標識試薬という。例えば、標識物質としてビオチンを用いる場合、固相担持型ビオチニル化試薬という。
本発明の試薬を用いて標識する、標的となる標識対象化合物は、SH基(チオール基、スルフヒドリル基、メルカプト基)を有する化合物である。化合物は有機化合物であり、有機化合物としては、例えばアミノ酸、ペプチド、タンパク質、抗体、ヌクレオチド、ヌクレオシド等の生体由来の有機化合物、高分子有機化合物、低分子有機化合物等が挙げられる。
本発明の固相担持型SH基選択的標識試薬を用いて、以下の手順によりSH基を有する標識対象化合物の標識が達成される。
(1)標識対象化合物を溶媒に溶解させる。好ましい態様によれば、標識対象化合物を水、又は1%以上の水を含む有機溶媒に溶解させる。また、この際のpHは中性付近が望ましく、pH6.5〜8.5が望ましい。また、水に代えて緩衝液を用いることができ、水、緩衝液及び有機溶媒のいずれかを組み合わせ用いることもできる。一方、有機溶媒を組み合わせ用いる場合は、水と混和する有機溶媒が望ましく、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド、アルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
(2)上記(1)で調製した標識対象物質の溶液と固相担持型SH基選択的標識試薬を混和する。この際、溶液の入った容器に固相担持型SH基選択的標識試薬を添加してもよいし、固相担持型SH基選択的標識試薬の入った容器に溶液を添加してもよい。尚、容器の形態、材質は限定されないが、好ましくはフィルター付きチューブ等の濾過用フィルターの付いた攪拌可能な容器が望ましい。混和は容器を静置しておいても良いが、振とうや、固相合成用振とう機、マグネチックスターラー、ボルテックスミキサー、スリーワンモーター等による攪拌により行う事が望ましい。
(3)上記(2)の混和により起こる反応により、通常5分〜2時間でSH基標識反応を行うことが出来る。この反応で用いられる固相担持型SH基選択的標識試薬の添加量は、標識対象化合物の量に応じて増減すればよい。例えば、標識対象化合物1等量に対し、固相担持型SH基選択的標識試薬の量は過剰量用いるのが望ましく、より好ましくは2当量から10等量用いる。この反応において、固相担持型SH基選択的標識試薬化合物中の2−ジスルファニルピリジン骨格がSH基を有する化合物のSH基と選択的に非対称ジスルフィド結合を形成することにより、固相担持型SH基選択的標識試薬化合物中の標識物質が標識対象化合物に結合し、標識対象化合物が標識され、標識化化合物が生成する。
(4)標識反応後、固相担持型SH基選択的標識試薬と標識された標識化化合物は濾過により分別される。濾過には使用器具、濾過手法にとらわれない。器具として濾紙、グラスファイバー、濾過助剤、濾布による濾過や、メンブランフィルター、グラスフィルター等が挙げられる。濾過手法としても、自然濾過、吸引ろ過、遠心分離等があげられ、それぞれ用途や反応スケールに応じて適宜選択できる。
本発明によるSH基選択的標識試薬を用いることで、標的物質の分子量を問わず樹脂等の固相担体を濾過するだけで標識化化合物を単離して得ることができる。本発明により低分子化合物に対しても煩雑なクロマトグラフィーによる精製を経ずに純粋な標識化化合物を得る事が可能である。
以下、標識物質の例としてd−ビオチンを用いた場合を示す。下記式(V)に示す固相担持型SH基選択的ビオチニル化試薬(固相担持型ビオチニル化試薬)を図1に示す合成手順により合成し、図2に示す手順により低分子化合物であるカプトプリルへのビオチン標識を行った。
Figure 0005711948
式中Rはポリスチレンを基材とした、樹脂部分(固相担体)である。図中のPEGはRと結合したポリエチレングリコール鎖である。
尚、本発明は、以下の実施例で具体的に示す物質や反応方法、反応条件などに限定されるものではなく、技術的思想の範囲内において、適宜その他の物質や使用器具、反応条件などに置き換えることができる。
上記式(V)で示した固相担持型ビオチニル化試薬(図1の化合物9)の合成プロセスの一例を説明する。
図1に示す化合物2の合成:
200mlのナスフラスコに化合物1(14g, 0.101mol)を入れ、発煙硝酸(1.52)(70ml)を加えた。攪拌を行いながら油浴を用いて徐々に加熱を行い、50℃の温度条件下7時間攪拌を行った。続けて80℃迄加熱を行い、80℃の温度条件下12時間攪拌を行った。加熱を止め、室温まで放冷した後に反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣に対し、メタノールを溶媒として再結晶にて図1に示す化合物2(4.57g)を得た。
図1に示す化合物3の合成:
100mlのナスフラスコにオキシ塩化リン(30.0g)、五塩化リン(13.0g)、図1に示す化合物2(4.0g)を加えた。油浴を用いて徐々に加熱を行い、100℃の温度条件下3時間攪拌を行った。溶液を室温まで放冷後、50℃の水浴とエバポレーターを用いて濃縮した。反応残渣を氷浴にて冷却し、メタノール(30ml)を加えた。溶媒を減圧下留去し、蒸留水を加え、酢酸エチルにより抽出を行った。有機層を蒸留水、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去した後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)で精製し、図1に示す化合物3(2.54g)を得た。
図1に示す化合物4の合成:
100mlのナスフラスコにメタノール(15ml)を入れ、攪拌しながら図1に示す化合物3(2.54g)とベンジルメルカプタン(2.18g)を加え、溶解させた。原料が完全に溶解した事を確認した上でトリエチルアミン(2.46ml)を加えた。油浴を用いて外温60℃に設定し、還流下5時間攪拌した。反応液を室温まで放冷した後、溶媒を減圧下留去し得られる残渣に蒸留水を加え、酢酸エチルにより抽出を行った。有機層を蒸留水、飽和食塩水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去した後、溶媒を減圧下留去し得られた固体をヘキサンと酢酸エチルから再結晶を行い図1に示す化合物4(3.27g)を得た。
図1に示す化合物5の合成:
500mlのナスフラスコに化合物4(3.27g)を入れ、メタノール(210ml)を加え氷浴を用いて冷却した。次に水酸化リチウム・一水和物(902mg)と純水(180ml)を加え、氷浴下10分攪拌の後、室温へと昇温し15時間攪拌した。更に水酸化リチウム・一水和物(225mg)を純水(5ml)に溶かした溶液を加え、4時間半攪拌した。溶液が澄明になったのを確認し、減圧下メタノールを留去した。残った水溶液に10%クエン酸水溶液をpHが3になるまで添加した。得られた水溶液に対し、酢酸エチルを用いて抽出を行い、有機層を水、飽和食塩水にて洗浄した後に無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去し、次に減圧下溶媒を留去し、真空下乾燥する事で、図1に示す化合物5(3.1g)を得た。
図1に示す化合物6の合成:
500mlのナスフラスコに化合物5(3.1g)、ジクロロメタン(83.3ml)、β-アラニンt-ブチルエステル塩酸塩(2.33g)、トリエチルアミン(1.30g)、4-(4,6-ジメトキシ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-4-メチル-モルホリニウムクロリド(4.21g,水分15.7%含む)を順に加え、室温で14時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、純水を加え、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を10%クエン酸水溶液、蒸留水、飽和炭酸ナトリウム、蒸留水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え、乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンと酢酸エチルから再結晶を行い、濾取、乾燥を行うことで図1に示す化合物6(3.43g)を得た。
図1に示す化合物7の合成:
35mlのナスフラスコにアルゴン雰囲気下で化合物6(214.8mg)をジクロロエタン1.6mlとピリジン20μlの混合溶液に溶解させ、塩化スルフリル(76.2mg)を加え、室温で2時間攪拌した。2時間後、塩化スルフリル(38.1mg)を追加し、更に1時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣にヘキサン10mlを添加、混合の後、桐山ロートを用いて濾過した。得られた固体をヘキサンで3度洗浄し、黄色固体を得た。得られた固体をジクロロメタン(35ml)で溶解させた。次に、(2-トリチルスルファニル-エチル)-カルバミン酸t-ブチルエステル(215.7mg)を加え、室温で一晩攪拌した。溶液を分液ロートに移し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、純水、飽和食塩水を順に用いて有機相を洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過により乾燥剤を除いた。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、図1に示す化合物7(133.0mg)を得た。
図1に示す化合物8の合成:
25mlナスフラスコにアルゴン雰囲気下図1に示す化合物7(12.5mg)を入れ、トリフルオロ酢酸(2ml)を加え、室温下20分攪拌した。減圧下トリフルオロ酢酸を留去し、ジエチルエーテルによる共沸を2度行った。乾燥し、黄色個体を得た。10mlのナスフラスコにアルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド(1ml)に黄色固体を溶解させ、D-ビオチン-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(99.1mg)とトリエチルアミン(182.9mg)を加え、室温で24時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルで混和し、桐山ロートを用いて濾過した。濾紙上に残った固体を酢酸エチルで洗浄し、濾液を取り除いた。洗浄後の固体はメタノールで懸濁させ、メタノールで洗浄しながら桐山ロートを用いて濾過を行った。メタノール洗浄した濾液を回収し、減圧下溶媒を留去し、得られた固体を乾燥することで図1に示す化合物8(132.0mg)が得られた。
固相担持型ビオチニル化試薬(図1に示す化合物9)の合成:
アミノ-PEG-樹脂(図1中、H2N-PEG-Xで表される。官能基置換率0.43mmol/g) 100mgをポリプロピレン製フィルター付10mlチューブに取り、ジメチルホルムアミド(4ml)を加え、振とう攪拌固相合成機KMS−3(国産化学株式会社製)に取り付け、振とう攪拌を15分行った。溶媒を濾去し、ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、30秒振とうの後濾去する操作を3度行った。図1に示す化合物8(23.7mg)を25mlナスフラスコに取り、ジメチルホルムアミド(2ml)とジイソプロピルカルボジイミド(33.3μl)を加え、1分間振とう攪拌を行った。得られた溶液を、前述のアミノ-PEG-樹脂の入ったポリプロピレン製フィルター付チューブに加えた。ジメチルホルムアミド(2ml)を用いて溶液の入っていたナスフラスコを洗い、ポリプロピレン製フィルター付チューブに加えた。ポリプロピレン製フィルターにジメチルアミノピリジン(1.3mg)を加え、24時間振とう攪拌を行い、溶液を濾去した後、ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、30秒振とうの後濾去する操作を3度行い、固相担持型ビオチニル化試薬(図1に示す化合物9)を得た。
次に、図2に示すように、得られた固相担持型ビオチニル化試薬を用いるビオチン標識法の例を示す。
固相担持型ビオチニル化試薬(図2の化合物9)(200mg)をポリプロピレン製フィルター付10mlチューブに取り、振とう攪拌固相合成機KMS−3(国産化学株式会社製)に取り付けた。10mlナスフラスコにカプトプリル(図2の化合物10、2.35mg)をとり、ジメチルホルムアミド(2ml)と、pH=7の、りん酸緩衝液(1ml)の混合溶媒に溶解させ、チューブに加え、30分の振とう攪拌を行った。溶液を逆相HPLC分析することで、反応前後でカプトプリルは消失し、ビオチン標識されたカプトプリル(図2の化合物11)へと転換された事を確認した。また、溶液中には化合物11のみが含まれ、化合物9や化合物12に起因する物質の溶解は見られなかった。この溶液をチューブのフィルターより濾過することで、化合物11の溶液を得た。さらに、得られた化合物11をTOF-MSにて分析する事で期待される結果が得られる事を確認した。(HRMS(ES+)calcd for C21H35N4O5S3 [M]+519.1770. found m/z 519.1745.)。
本発明の固相担持型SH基選択的標識試薬を用いることにより、SH基を有する化合物を効率的に製造し、単離することができ、化合物の検出等に有利に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記式(I)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、SH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
    Figure 0005711948
    [式中aは1〜10の整数を表し、m及びnはそれぞれ独立に〜10の整数を表し;L及びLはそれぞれ独立した、化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
  2. 下記式(II)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、請求項1記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
    Figure 0005711948
    [式中aは1〜10の整数を表し、mは〜10の整数を表し;Lは化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素分子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
  3. 下記式(III)で表される、2−ジスルファニルピリジン骨格が固相担持された、請求項1記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬:
    Figure 0005711948
    [式中aは1〜10の整数を表し、nは〜10の整数を表し;Lは化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Rは樹脂、ゲル及びビーズからなる群から選択される固相担体であり;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
  4. Rがポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、デキストラン、アクリルアミド及びポリエチレングリコールからなる群から選択され、Qがd−ビオチン誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセイン、クマリン、エオシン、フェナントロリン、ピレン、ローダミン、βガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ及びペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬。
  5. Yがニトロ基であり、Qがd−ビオチン誘導体又はフルオレセイン誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のSH基を有する化合物を標識物質で標識するためのSH基選択的標識試薬。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和することを含む、SH基を有する化合物を標識物質で標識する方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬とSH基を有する化合物を混和し、SH基を有する化合物を標識物質で標識した後に、濾過によりSH基選択的標識試薬と標識化化合物を分離することを含む標識化化合物を製造する方法。
  8. 下記式(VI)で表される、SH基を有する化合物を標識物質で標識するための化合物:
    Figure 0005711948
    [式中aは1〜10の整数を表し、m及びnはそれぞれ独立に〜10の整数を表し;L及びLはそれぞれ独立した、化学的に安定な構造を有するリンカーを表し、直鎖又は分枝鎖であり得るC1〜10のアルキル鎖、C1〜10のアルケン鎖、C1〜10のアルキン鎖、C1〜10の環状炭化水素鎖、ハロゲン、芳香環、ヘテロ環、アミン、アミド、エーテル、エステル、スルフィド、ケトン、イミン、ニトリル、カルボン酸、スルホン酸及びそれらの塩からなる群から選択され;Qは標識物質を表し;Xは官能基を有するC1〜C10のアルキル基もしくは水素原子であり、官能基としては、-COOH、-CONH2、-OH、-SH、-NO2、-SO3H、-SO2NH2、ハロゲン、アルケニル、アルキニル、C1〜C6のアルコキシ、カルボニル、C1〜C6エステルの官能基からなる群から選択され;Yはニトロ基、ハロゲン及び水素原子からなる群から選択される電子吸引性基である。]
  9. 請求項に記載の化合物を固相担体に結合させることを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のSH基選択的標識試薬を製造する方法。
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