以下、本発明の遊技機を手段として区分して示し、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技球が飛翔する遊技実行領域(遊技領域)を備え、前記遊技実行領域に設けられた入球口(上側作動口35a,下側作動口35b,一般入賞口33等)に遊技球が入球したことに基づいて遊技者に特典(大当たり判定、遊技球の払出等)を付与する遊技機において、
前記遊技実行領域に、回転可能に軸支される第1回転部材(第2風車101)と、回転可能に軸支される第2回転部材(第2風車102)とを、水平方向に並ぶように配置するとともに、前記各回転部材が少なくとも特定角度位置(初期角度位置、第3角度位置、第4角度位置等)となった場合に、水平方向における前記第1回転部材の所定部(第1〜第3羽部101c〜101e)と前記第2回転部材の所定部(第1〜第3羽部102c〜102e)との最短距離が前記遊技球の直径以下となるように配置したことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、遊技領域には、第1回転部材と第2回転部材が回転可能に軸支されており、これら回転部材は、水平方向に並ぶように配置されるとともに、各回転部材が少なくとも特定角度位置となった場合に、水平方向における第1回転部材の所定部と第2回転部材の所定部との最短距離が遊技球の直径以下となるように配置されている。かかる構成とすることにより、各回転部材が特定角度位置となった場合に、第1回転部材と第2回転部材の間を落下しようとする遊技球を第1回転部材と第2回転部材の少なくとも一方に衝突させた上で落下させることが可能となる。この結果、遊技球の落下速度を低減させることが可能となり、遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
なお、「角度位置」とは、回転部材を予め定めた基点位置から所定の向きに回転させた位置のことを言う。また、「入球口」とは、遊技球を実際に入球させるもののみならず、遊技球を通過させるものも含む。以下も同じである。
手段2.上記手段1において、前記第1回転部材と前記第2回転部材を、前記各回転部材が第1規定角度位置(第3角度位置等)となった場合に、水平方向における前記第1回転部材の所定部と前記第2回転部材の所定部との最短距離が前記遊技球の直径より短くなり、前記各回転部材が第2規定角度位置(第2角度位置、第5角度位置、第6角度位置等)となった場合に、水平方向における前記第1回転部材の所定部と前記第2回転部材の所定部との最短距離が前記遊技球の直径より長くなる位置に配置したことを特徴とする遊技機。
手段2によれば、第1回転部材と第2回転部材は、各回転部材が第1規定角度位置となった場合に、水平方向における第1回転部材の所定部と第2回転部材の所定部との最短距離が遊技球の直径より短くなり、各回転部材が第2規定角度位置となった場合に、水平方向における第1回転部材の所定部と第2回転部材の所定部との最短距離が遊技球の直径より長くなる位置に配置されている。かかる構成とすることにより、第1回転部材と第2回転部材の間を落下しようとする遊技球の落下速度を十分に低減させつつ、第1回転部材と第2回転部材の間で球詰まりが起こる不具合を回避することが可能となる。各回転部材が第1規定角度位置となった場合に、前記遊技球を必ず少なくとも一方の回転部材と衝突させて落下速度を低減させることができ、各回転部材が第1規定角度位置から第2規定角度位置へと回転することで、前記遊技球を落下させることができるからである。
手段3.上記手段1又は手段2において、前記各回転部材は、軸支部(軸部101a,102a)と、前記軸支部から外方に向かって突出する突出部(第1〜第3羽部101c〜101e,102c〜102e)とを備え、前記所定部は前記突出部であることを特徴とする遊技機。
手段3によれば、各回転部材は、軸支部と、軸支部から外方に向かって突出する突出部とを備えている。かかる構成とすることにより、水平方向における第1回転部材と第2回転部材との最短距離を各回転部材の角度位置によって変化させることができる。
手段4.上記手段3において、前記各回転部材に、前記突出部を複数設けたことを特徴とする遊技機。
手段4によれば、各回転部材には、突出部が複数設けられている。かかる構成とすることにより、各回転部材が特定角度位置となる機会をより多く発生させることが可能となり、第1回転部材と第2回転部材の間を落下しようとする遊技球の落下速度を好適に低減させることが可能となる。また特に、これら突出部を軸支部に対して等間隔に設ける構成とすれば、遊技球が回転部材に衝突する頻度が回転部材の角度位置によってばらつくことを抑制することが可能となり、遊技球の落下速度を好適に低減させることが可能となる。
手段5.上記手段1乃至手段4のいずれかにおいて、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を、遊技球が衝突した際に生じる外力によって回転する構成としたことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、第1回転部材及び第2回転部材は、遊技球が衝突した際に生じる外力によって回転する。かかる構成とすることにより、比較的簡易な構成で第1回転部材と第2回転部材の間を落下しようとする遊技球の落下速度を低減させることが可能となる。
手段6.上記手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を、互いに独立して回転する構成としたことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、第1回転部材及び第2回転部材は、互いに独立して回転する。かかる構成とすることにより、第1回転部材の所定部と第2回転部材の所定部との位置関係を多様化させることが可能となる。この結果、第1回転部材と第2回転部材の間を落下する遊技球の向きを多様化させることが可能となり、遊技球の挙動を多様化させることが可能となる。
手段7.上記手段1乃至手段6のいずれかにおいて、前記遊技実行領域には、前記第1回転部材の上方に、前記第2回転部材側に傾斜する第1障害部(第1傾斜部105)を設け、前記第2回転部材の上方であって前記第1障害部と水平方向に対向する位置に、前記第1回転部材側に傾斜する第2障害部(第2傾斜部106)を設けたことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、遊技実行領域には、第1回転部材の上方に、第2回転部材側に傾斜する第1障害部が設けられており、第2回転部材の上方であって第1障害部と水平方向に対向する位置に、第1回転部材側に傾斜する第2障害部が設けられている。かかる構成とすることにより、第1障害部又は第2障害部と衝突した遊技球を、第1回転部材と第2回転部材の間に落下させることが可能となる。故に、第1障害部又は第2障害部によって遊技球の落下速度を低減させつつ、第1回転部材と第2回転部材の少なくとも一方によって前記遊技球の落下速度をさらに低減させることが可能となる。
手段8.上記手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記遊技実行領域に、前記第1回転部材と前記第2回転部材の間を落下した遊技球を前記通過口に案内することが可能な案内部(案内釘)を設けたことを特徴とする遊技機。
手段8によれば、遊技実行領域には、第1回転部材と第2回転部材の間を落下した遊技球を通過口に案内することが可能な案内部が設けられている。かかる構成とすることにより、第1回転部材と第2回転部材によって遊技球の落下速度を低減させた上で通過口へと案内することが可能となり、通過口を通過するか否かという遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
手段9.上記手段8において、前記遊技実行領域には、前記案内部の上流側に、前記第1回転部材と前記第2回転部材の間を落下した遊技球を前記案内部側又はその逆側へと振り分ける振り分け部材(第1風車39)を設けたことを特徴とする遊技機。
手段9によれば、案内部の上流側には、第1回転部材と第2回転部材の間を落下した遊技球を案内部側又はその逆側へと振り分ける振り分け部材が設けられている。かかる構成とすることにより、案内部側に遊技球が振り分けられるか否かという遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前扉枠13を開いた状態の斜視図、図4はパチンコ機10の本体枠12を開いた状態の斜視図である。なお、図1〜図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
図1〜図4に示すように、パチンコ機10は、取付対象としての外枠11を備えており、該外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方に開放できるようになっている。なお、外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。
本体枠12の前面側には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方に開放できるようになっている。前扉枠13には、その中央部に略円形状の窓部14が形成されている。本体枠12には、窓部14と対応する位置に、遊技盤15が着脱可能に装着されている。そして、遊技盤15の前面部の略中央部分だけが前扉枠13の窓部14を通じて視認可能な状態となっている。本実施の形態では、これら本体枠12、前扉枠13、遊技盤15等により遊技機本体が構成されている。
前扉枠13には、手前側へ膨出した第1膨出部16が窓部14の下方に設けられており、その第1膨出部16内側には、上方に開口した上皿17が設けられている。上皿17は、第1払出口18より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら下流側(本実施の形態では右側)へ導くための球受皿である。第1膨出部16には、上皿17の下流側に球抜きスイッチ19が設けられるとともに、上皿17の前方に貸球操作部20が配設されている。球抜きスイッチ19は、上皿17に貯留された遊技球を排出するために操作されるものである。貸球操作部20には、球貸しボタン21と、返却ボタン22と、度数表示部23とが設けられている。球貸しボタン21は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン22は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部23は、カード等の残額情報を表示するものである。また、第1膨出部16の前面側中央部には、遊技者により操作可能なプッシュ式の選択スイッチ24が設けられている。選択スイッチ24には図示しないランプが内蔵されており、選択操作が有効とされる状況下ではランプが点灯表示され、選択操作が無効とされる状況下ではランプが消灯表示されるようになっている。そして、当該ランプが点灯表示されている状況下で選択スイッチ24を操作された場合、図柄表示装置41の表示モードが変更されるようになっている。
前扉枠13の下部位置には、手前側へ膨出した第2膨出部25が設けられており、その第2膨出部25内側には、上方に開口した下皿26が設けられている。下皿26は、第2払出口27より払い出された遊技球を一旦貯留するための球受皿である。下皿26には、例えば球抜きレバー19を操作された場合、上皿17に貯留された遊技球が第2払出口27より排出されるようになっている。第2膨出部25前面側には、下皿26に貯留された遊技球を下方に排出するための球抜きレバー28が設けられている。また、第2膨出部25の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル29が設けられている。遊技球発射ハンドル29は、本体枠12の背面側に設けられた遊技球発射装置30(図4参照)に連結されており、上皿17に貯留された遊技球は、遊技者が遊技球発射ハンドル29を回転させることにより、遊技盤15に形成された遊技領域に向けて発射される。
次に、遊技盤15の構成を図5に基づいて説明する。遊技盤15には、遊技球発射装置30より発射された遊技球を遊技盤15上部に案内する内レール31と外レール32が設けられている。内レール31は右上方の約1/2ほどを除いて略半円環状に形成され、外レール32は内レール31の上方開放領域を囲むようにかつ内レール31の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。本実施の形態では、遊技盤15のうち内レール31と外レール32によって囲まれた領域が、遊技球の流下可能な遊技領域となっている。
遊技盤15には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。遊技盤15の表面には、各開口部と対応する位置に、一般入賞口33、可変入賞装置34、作動口装置35、スルーゲート36及び可変表示ユニット37等がそれぞれ取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット37が遊技盤15の略中央に配置され、その下方に作動口装置35が配置され、さらにその下方に可変入賞装置34が配置されている。また、可変表示ユニット37の左右両側にスルーゲート36が配置され、遊技盤15の下部両側に一般入賞口33がそれぞれ複数配置されている。作動口装置35には、上側作動口35aと下側作動口35bとが設けられ、更に下側作動口35bには所定条件下で開放状態となる電動役物(図示略)が設けられている。電動役物は左右一対の可動片より構成されており、電動役物の閉鎖状態では遊技球が下側作動口35bに入賞できず、電動役物が開放状態となった場合に限って遊技球が下側作動口35bに入賞可能となるようになっている。前記一般入賞口33、可変入賞装置34及び作動口35a,35bに遊技球が入賞すると、遊技盤15の背面側に設けられた検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿17(場合によっては下皿26)に対し所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤15の最下部にはアウト口38が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口38を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤15には、遊技球の落下方向を適宜分散させたり落下速度を適宜低減させたりするため、多数の釘が植設されている。加えて、遊技盤15には、可変表示ユニット37の左右両側方に、落下してきた遊技球を作動口装置35側又はその逆側へと分散させる第1風車39がそれぞれ配設されており、各第1風車39の上方に、第1風車39より小さな外径を有する第2風車101及び第3風車102が、水平方向に並ぶようにして配設されている。なお、これら風車39,101,102の詳細については後述することとする。
可変表示ユニット37には、作動口35a,35bへの入賞をトリガとして図柄を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット37には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の右上部には、所定の識別情報を表示するための第1特定ランプ部43aと第2特定ランプ部43bが横並びの状態で設けられている。センターフレーム42の左上部には、役物ランプ部44と、該役物ランプ部44に対応した役物保留ランプ45が設けられている。遊技球がスルーゲート36を通過した回数は最大4回まで保留され、役物保留ランプ45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。また、センターフレーム42の左下部には、第1特定ランプ部43a及び図柄表示装置41に対応した第1保留ランプ46aが設けられており、センターフレーム42の右下部には、第2特定ランプ部43b及び図柄表示装置41に対応した第2保留ランプ46bが設けられている。遊技球が作動口35a,35bに入賞した個数はそれぞれ最大4個まで保留され、対応する保留ランプ46a,46bの点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。すなわち、上側作動口35aに遊技球が入賞した場合には第1保留ランプ46aが点灯され、下側作動口35bに遊技球が入賞した場合には第2保留ランプ46bが点灯されるようになっている。
図柄表示装置41は液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置62により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合には、大当たり発生としてそれ以降の遊技状態が特別遊技状態としての大当たり状態に移行する。なお、図柄表示装置41は、液晶表示装置の他に、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部43a及び第2特定ランプ部43bには、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDが配設されている。各特定ランプ部43a,43bは、対応する作動口35a,35bへの入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。第1特定ランプ部43aを例として具体的に説明すると、上側作動口35aへの入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部43aには、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たり発生としてそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行し、青色が停止表示された場合には、大当たり発生とならず大当たり状態に移行しない。第2特定ランプ部43bについても同様であり、下側作動口35bへの入賞をトリガとして、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たり発生としてそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行し、青色が停止表示された場合には、大当たり発生とならず大当たり状態に移行しない。
役物ランプ部44には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDが配設されている。この役物ランプ部44は、スルーゲート36の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート36を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、役物ランプ部44には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、下側作動口35bに設けられた電動役物35cが開放状態に切り替えられるようになっている。電動役物35cは、予め定めた閉鎖条件が成立するまで開放状態が継続されるようになっている。
可変入賞装置34は、通常状態において遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、大当たり状態に移行すると遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り替えられるようになっている。より詳しくは、可変入賞装置34が開放状態となると、可変入賞装置34の大入賞口に遊技球が入賞し易い状態となる。そして、可変入賞装置34は、開放時間(例えば29.5秒)の経過又は所定数(例えば9個)の遊技球が入賞した場合に閉鎖状態に切り替えられる。大当たり状態は、可変入賞装置34が開閉されたことを1ラウンドとして、15ラウンドの開閉が行われるまで継続する。なお、可変入賞装置34の閉鎖状態を、遊技球が入賞できない状態ではなく遊技球が入賞し難い状態としてもよい。
前扉枠13の説明に戻り、前扉枠13にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり状態下や所定のリーチ演出時等において点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部14の上部周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した電飾部51が設けられ、電飾部51の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部52が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部52が大当たりランプとして機能し、大当たり状態下で点灯や点滅を行うことにより大当たり状態に移行していることを報知する。また、第1膨出部16にも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部53が設けられている。さらに、前扉枠13には、電飾部51を挟むようにして左右一対のスピーカカバー部54が形成されており、当該スピーカカバー部54の後方に設置されたスピーカ55の出力音がスピーカカバー部54を通じて前方に発せられるようになっている。
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6は遊技盤15の背面図、図7はパチンコ機10の背面図である。なお、理解を容易なものとするため、先ず遊技盤15の背面の構成を説明する。
遊技盤15の背面側には、可変表示ユニット37及び図柄表示装置41を覆うようにして合成樹脂製のフレームカバー61が設けられており、そのフレームカバー61の後端(図6においては手前側)には、図柄表示装置41と前後に重なるようにして表示制御装置62が着脱可能に取り付けられている。また、フレームカバー61には、表示制御装置62を覆うようにしてサブ制御装置ユニット63が取り付けられている。サブ制御装置ユニット63は、取付台64を有し、該取付台64にサブ制御装置65が搭載されている。サブ制御装置65は、後述する主制御装置71からの指令に基づいて、表示制御装置62や電飾部51等の制御を行う。サブ制御装置ユニット63は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて遊技盤15の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、サブ制御装置ユニット63によって覆われることとなる表示制御装置62等を容易に確認することを可能とするための工夫である。具体的に説明すると、サブ制御装置ユニット63には遊技盤15の背面から見て右端部に支軸部66が設けられ、その支軸部66による軸線を中心にサブ制御装置ユニット63が回動可能となっている。また、サブ制御装置ユニット63には、支軸部66の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部67が設けられており、この締結部67によってサブ制御装置ユニット63が遊技盤15(フレームカバー61)の裏面に沿った状態で保持されるようになっている。
遊技盤15の裏面であって可変表示ユニット37の下方には、集合板ユニット68が設けられている。集合板ユニット68には、各種入賞口に入賞した遊技球やアウト口38を通過した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
入賞検知機構について簡単に説明すると、集合板ユニット68には、遊技盤15表側の一般入賞口33と対応する位置に入賞口スイッチが設けられ、可変入賞装置34と対応する位置にカウントスイッチが設けられている。カウントスイッチは、可変入賞装置34に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口装置35の上側作動口35aと対応する位置には当該上側作動口35aへの遊技球の入賞を検知する上側作動口スイッチが設けられ、下側作動口35bと対応する位置には当該下側作動口35bへの遊技球の入賞を検知する下側作動口スイッチが設けられている。さらに、スルーゲート36と対応する位置にはスルーゲート36の遊技球の通過を検知するゲートスイッチが設けられている。入賞口スイッチ、ゲートスイッチ及びカウントスイッチは、図示しない中継基板を介して後述する主制御装置71に接続されており、上側作動口スイッチと下側作動口スイッチは、中継基板を介することなく直接主制御装置71に接続されている。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置71に取り込まれ、該主制御装置71よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置94に送信される。そして、払出制御装置94の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。
集合板ユニット68の裏面には、主制御装置ユニット69が取り付けられている。主制御装置ユニット69は、主制御取付台70を有し、該主制御取付台70に主制御装置71が搭載されている。主制御装置71は、遊技に関わる主たる制御を行う。主制御装置ユニット69は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて遊技盤15の裏面に対して展開できる構成となっている。具体的に説明すると、主制御装置ユニット69には遊技盤15の背面から見て左端部に支軸部72が設けられ、その支軸部72による軸線を中心に主制御装置ユニット69が回動可能となっている。また、主制御装置ユニット69には、その右端部すなわち支軸部72の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部73が設けられており、この締結部73によって主制御装置ユニット69が遊技盤15(集合板ユニット68)の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
本体枠12には、上述した遊技盤15が裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数の係止固定具によって後方へ脱落しないように固定されている。また、例えば図4等に示すように、本体枠12の開放端側には、施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠76と、その基枠76に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆77とを備え、基枠76の下部にシリンダ錠78が一体化されている。当該施錠装置75は、シリンダ錠78だけが本体枠12の前方に突出するとともにパチンコ機10前面に露出するように、本体枠12に設けられている。シリンダ錠78は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを一方に回すと外枠11に対する本体枠12の施錠が解除され、キーを他方に回すと本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除されるようになっている。本体枠12には、施錠装置75側の下部に、遊技球発射装置30が設けられている。
本体枠12の背面側には、当該本体枠12を覆うようにして裏セット機構81が取り付けられている。裏セット機構81は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12の裏面に対して展開できる構成となっている。具体的に説明すると、裏セット機構81には本体枠12の背面から見て右端部に支軸部82が設けられ、その支軸部82による軸線を中心に裏セット機構81が回動可能となっている。また、裏セット機構81には、支軸部82の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部83が設けられるとともに、本体枠12には、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部が設けられており、これら締結部83及び係止部によって裏セット機構81が本体枠12の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
裏セット機構81には、遊技盤16の背面側を覆うようにして、より具体的には、サブ制御装置ユニット63と主制御装置ユニット69の一部とを覆うようにして、透明樹脂材料にて成形された防護カバー84が設けられている。
また、裏セット機構81には、防護カバー84を迂回するようにして払出機構部85が配設されている。すなわち、裏セット機構81の最上部には上方に開口した貯留タンク86が設けられており、貯留タンク86には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。貯留タンク86の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール87が連結され、タンクレール87の下流側には、上下方向に延びるケースレール88が連結されている。ケースレール88の下流側には、払出装置89が設けられている。払出装置89は、遊技球を下流側に払い出すための払出モータ、払出モータの回転を検出する払出回転センサ、払い出される遊技球数をカウントする払出カウントスイッチ等を有する。当該払出装置89は、払出制御装置94からの払出指令により払出モータを駆動し、必要個数の遊技球の払出を適宜行う。払出装置89より払い出された遊技球は、図示しない払出通路等を通じて上皿17又は下皿26に供給される。払出装置89の下方には、裏セット中継基板90が設けられている。裏セット中継基板90は、払出制御装置94から払出装置89への払出指令信号を中継する機能と、外部より例えば交流24ボルトの主電源を取り込む機能とを有する。裏セット中継基板90には電源スイッチ91が設けられており、当該電源スイッチ91を切替操作することで電源ONと電源OFFとを切り替えることができる。
裏セット機構81には、防護カバー84の下方に電源・発射制御装置92が設けられている。電源・発射制御装置92は、裏セット機構81が本体枠12の裏面に沿った状態で保持された場合に、主制御装置71の下方に位置するように設けられている。電源・発射制御装置92は、各種制御装置等で要する所定の電源を生成して出力するとともに、遊技球発射ハンドル29が操作された場合に遊技球の打ち出しの制御を行う。また、電源・発射制御装置92には、RAM消去スイッチ93が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。しかしながら、RAM消去スイッチ93を押しながら電源を投入した場合には、RAMデータが初期化されるようになっている。電源・発射制御装置92の背面側には、当該電源・発射制御装置92と前後に重なるようにして払出制御装置94が設けられている。払出制御装置94は、賞球や貸出球を払い出す制御を行う。
ここで、遊技盤15に配設された第1〜第3風車39,101,102について説明する。これら各風車39,101,102は同様の構成をしているため、ここでは第2風車101を例に挙げて図8等に基づいて説明する。
第2風車101は、円柱状の軸部101aを有しており、該軸部101aには、軸部101aの中心軸線方向に貫通する貫通孔(図示略)が形成されている。また、軸部101aには、該軸部101aの先端から径方向外側に向かって延びる円板状の装飾パネル101bと、装飾パネル101bの裏面から軸部101aの他端に向かって延びる3つの羽部101c,101d,101eが形成されている。これら羽部101c,101d,101eは、同一形状を有し、軸部101aの外周面において等間隔となるように、すなわち軸部101aの中心軸線方向から視認した場合に120度間隔となるように配置されている。そして、第2風車101は、軸部101aの貫通孔より若干小さな外径を有するピン部材103が前記貫通孔に挿通され、このピン部材103が遊技盤15に植設されることにより、遊技盤15に回転自在に軸支されるようになっている。
次に、各風車39,101,102の取付関係及び作用について、図9〜図14を用いて説明する。なお、図9〜図14においては、理解を容易なものとするため、各風車の装飾パネルを取り外した状態を示す。また、説明の便宜上、第2風車102及び第3風車103の3つの羽部をそれぞれ区別し、図9において軸部101a,102aから上方に延びる羽部101c,102cを第1羽部、軸部101a,102aから右斜め下方に延びる羽部101d,102dを第2羽部、軸部101a,102aから左斜め下方に延びる羽部101e,102eを第3羽部と記載することとする。
図9に示すように、第1風車39の上方には、第1風車39より小さな外径を有する第2風車101及び第3風車102が、水平方向に並ぶようにして配設されている。また、第2風車101と第3風車102は、両風車101,102が0度の角度位置、すなわち第1羽部101c,102cが時計文字盤の12時を指し、第2羽部101d,102dが時計文字盤の4時を指し、第3羽部101e,102eが時計文字盤の8時を指す角度位置にある場合に、第2風車101の第2羽部101dと第3風車102の第3羽部102eとの距離r1が、遊技球Qの直径Qdと等しくなるように配置されている。つまり、第2風車101と第3風車102は、両風車101,102が0度の角度位置にある場合に、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が遊技球Qの直径と等しくなるように配置されている。以下では、第2風車101と第3風車102が共に0度の角度位置にある場合を初期角度位置にあると言う。
また、第2風車101の上方には、複数の釘が連なるように植設されることにより、第3風車102側に下り傾斜する第1傾斜部105が形成されており、第3風車102の上方には、複数の釘が連なるように植設されることにより、第1傾斜部105と対向するとともに第2風車101側に下り傾斜する第2傾斜部106が形成されている。したがって、遊技領域に発射されるとともに第1傾斜部105と第2傾斜部106の間を落下した遊技球Qは、第2風車101と第3風車102の間を通過するように落下する。そして、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合には、第2風車101の第2羽部101dと第3風車102の第3羽部102eとの距離r1が遊技球Qの直径Qdと等しいため、第2風車101の第2羽部101dと第3風車102の第3羽部102eの少なくとも一方に遊技球が衝突した上で第1風車39側に落下する。
ここで、第1傾斜部105と第2傾斜部106の間を落下した遊技球Qが第2風車101又は第3風車102と衝突した場合、衝突された風車は遊技球Qから受けた外力によって所定の向きに回転する。より詳しくは、遊技球Qが第2風車101の第1羽部101cと衝突した場合、第2風車101は反時計回りに回転し、第2羽部101dと衝突した場合、第2風車101は時計回りに回転する。遊技球Qが第3風車102の第1羽部102cと衝突した場合、第3風車102は時計回りに回転し、第3羽部102eと衝突した場合、第3風車102は反時計回りに回転する。但し、第2風車101は、鉛直方向における軸部101aと第1傾斜部105の下端釘との距離が、遊技球Qの直径Qdより短く羽部の長さより長くなる位置に配置されており、第3風車102は、鉛直方向における軸部102aと第2傾斜部106の下端釘との距離が、遊技球Qの直径Qdより短く羽部より長くなる位置に配置されている。このため、遊技球Qが第2風車101の第1羽部101cと衝突した場合、当該遊技球Qは、第2風車101の左方に落下するのではなく、その後に第2風車101の第2羽部101dや第3風車102の第3羽部102e等と衝突しつつ第2風車101と第3風車102の間を落下する。遊技球Qが第3風車102の第1羽部102cと衝突した場合についても同様である。
図10は、初期角度位置から第2風車101が時計回りに30度回転し、第3風車102が反時計回りに30度回転した状態を示す図である。つまり、第2風車101は30度の角度位置にあり、第3風車102は330度の角度位置にある。かかる状態においては、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が、第2風車101の第1羽部101cと第3風車102の第1羽部102c、及び第2風車101の第2羽部101dと第3風車102の第3羽部102eによって規定されることとなり、このときの最短距離r2は遊技球Qの直径Qdよりも長くなる。したがって、第2風車101が30度の角度位置にあり、第3風車102が330度の角度位置にある場合には、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合と比して、遊技球Qが第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する頻度が低下する。以下では、第2風車101が30度の角度位置にあり、第3風車102が330度の角度位置にある場合を第2角度位置にあると言う。
図11は、第2角度位置から第2風車101が時計回りに60度回転し、第3風車102が反時計回りに60度回転した状態を示す図である。つまり、第2風車101は90度の角度位置にあり、第3風車102は270度の角度位置にある。かかる状態においては、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が、第2風車101の第1羽部101cと第3風車102の第1羽部102cによって規定されることとなり、このときの最短距離r3は遊技球Qの直径Qdよりも短くなる。したがって、第2風車101が90度の角度位置にあり、第3風車102が270度の角度位置にある場合には、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合と比して、遊技球Qが第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する頻度が増加する。また、第2風車101と第3風車102のうち少なくとも一方を回転させなければ遊技球Qは落下できないため、遊技球Qの落下速度を十分に低減させることができる。以下では、第2風車101が90度の角度位置にあり、第3風車102が270度の角度位置にある場合を第3角度位置にあると言う。
なお、第2風車101と第3風車102は、ピン部材103によって軸支されているのみであり、遊技球が衝突するとそれぞれが個別に独立して回転する。このため、第2風車101と第3風車102の角度位置は、上述したような第2風車101と第3風車102が逆向きに等角度で回転した状況に限らず、種々の状況が生じる。
図12は、初期角度位置から第2風車101が時計回りに180度回転し、第3風車102が回転していない状態を示す図である。つまり、第2風車101は180度の角度位置にあり、第3風車102は0度の角度位置にある。かかる状態においては、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が、第2風車101の第3羽部101eと第3風車102の第3羽部102eによって規定されることとなり、このときの最短距離r4は遊技球Qの直径Qdと等しくなる。つまり、第2風車101が180度の角度位置にあり、第3風車102が0度の角度位置にある場合、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合と最短距離が等しくなる。したがって、かかる状況においても、第2風車101の第2羽部101dと第3風車102の第3羽部102eの少なくとも一方に遊技球が衝突した上で第1風車39側に落下する。以下では、第2風車101が180度の角度位置にあり、第3風車102が0度の角度位置にある場合を第4角度位置にあると言う。
図13は、第4角度位置から第2風車101が時計回りに30度回転し、第3風車102が反時計回りに30度回転した状態を示す図である。つまり、第2風車101は210度の角度位置にあり、第3風車102は330度の角度位置にある。かかる状態においては、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が、第2風車101の第3羽部101eと第3風車102の第1羽部102c(第3羽部102e)によって規定されることとなり、このときの最短距離r5は遊技球Qの直径Qdよりも長くなる。但し、第2風車101の第3羽部101e先端は、第2風車101が初期角度位置にある場合の第2羽部101d先端よりも第3風車102側に位置するため、かかる状態における最短距離r5は、第2風車101と第3風車102が第2角度位置にある場合の最短距離r2(図10参照)よりも短くなる。したがって、第2風車101が210度の角度位置にあり、第3風車102が330度の角度位置にある場合には、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合と比して、遊技球Qが第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する頻度が低下する一方、第2風車101と第3風車102が第2角度位置にある場合と比して、前記頻度が増加する。以下では、第2風車101が210度の角度位置にあり、第3風車102が330度の角度位置にある場合を第5角度位置にあると言う。
図14は、第5角度位置から第2風車101が時計回りに60度回転し、第3風車102が反時計回りに60度回転した状態を示す図である。つまり、第2風車101と第3風車102が共に270度の角度位置にある。かかる状態においては、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が、第2風車101の第2羽部101d(第3羽部101e)と第3風車102の第1羽部102cによって規定されることとなり、このときの最短距離r6は遊技球Qの直径Qdよりも長くなる。但し、第3風車102の第1羽部102c先端は、第3風車102が初期角度位置にある場合の第3羽部101e先端よりも第2風車101側に位置するため、かかる状態における最短距離r6は、第2風車101と第3風車102が第2角度位置にある場合の最短距離r2(図10参照)よりも短くなり、第2風車101と第3風車102が第5角度位置にある場合の最短距離r5(図13参照)と等しくなる。したがって、第2風車101と第3風車102が共に270度の角度位置にある場合には、第2風車101と第3風車102が初期角度位置にある場合と比して、遊技球Qが第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する頻度が低下する一方、第2風車101と第3風車102が第5角度位置にある場合と等しい頻度で遊技球Qが第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する。以下では、第2風車101と第3風車102が共に270度の角度位置にある場合を第6角度位置にあると言う。
以上のようにして、第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突し、落下速度が低減された上で第1風車39側に落下した遊技球は、さらに第1風車39の羽部と衝突して落下速度が低減される。そして、当該遊技球は、第1風車39が回転することで作動口装置35側又はその逆側の向きに落下し、作動口装置35側の向きに落下した遊技球は、第1風車39から作動口装置35に向けて連なるように植設された釘(案内釘)によって形成される下り傾斜の案内部により、作動口装置35近傍へと案内される。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
第1風車39の上方には、水平方向に並ぶようにして第2風車101と第3風車102を配置した。また、第2風車101と第3風車102を、初期角度位置にある場合に第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が遊技球の直径と等しくなるように配置した。かかる構成とすることにより、第2風車101と第3風車102の間を落下しようとする遊技球を第2風車101と第3風車102の少なくとも一方に衝突させた上で落下させることが可能となる。この結果、遊技球の落下速度を低減させることが可能となり、遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
確かに、第2風車101と第3風車102を設けるのではなく、第1傾斜部105と第2傾斜部106を形成する釘の数をそれぞれ増加し、水平方向における第1傾斜部105の下端釘と第2傾斜部106の下端釘との距離が遊技球の直径と等しくなる構成とすれば、遊技球が第1風車39に至る前段階で落下速度を十分に低減させることが可能である。しかしながら、かかる構成とした場合、第1傾斜部105の下端釘と第2傾斜部106の下端釘との距離が一定のままであるため、当該位置で球詰まりの起こる可能性が高くなる。上記懸念は、遊技球が所定間隔で繰り返し発射され、第1傾斜部105と第2傾斜部106の間を複数の遊技球が落下している状況においてより顕著なものとなる。一方、羽部を有する第2風車102と第3風車103を配置した本構成においては、少なくとも一方の風車101,102が回転することにより、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離を遊技球の直径より長くすることができる。故に、第2風車101と第3風車102の間で球詰まりが起こる不具合を回避しつつ、第2風車101と第3風車102の間を落下する遊技球の落下速度を低減させることが可能となる。
第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が最も短くなる第3角度位置においては、最短距離が遊技球の直径より短くなる構成とした。かかる構成とすることにより、第2風車101と第3風車102の間を落下しようとする遊技球が第2風車101と第3風車102の少なくとも一方に衝突する頻度を高めるとともに、前記遊技球の落下速度を十分に低減させることが可能となる。
第2風車101及び第3風車102には、同一形状を有する羽部101c〜101e,102c〜102eを、軸部101a,102aの外周面において等間隔となるように配置した。かかる構成とすることにより、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が遊技球の直径以下となる機会を多く発生させることが可能となる。例えば第2風車101と第3風車102を第3角度位置から回転させて再度第3回転位置とする場合(図11参照)に、両風車101,102を360度回転させるのではなく120度回転させれば第3角度位置とすることができるからである。
第2風車101と第3風車102を、それぞれが独立して回転する構成としたため、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との位置関係を多様化させることが可能となる。この結果、第2風車101と第3風車102の間を落下する遊技球の向きを多様化させることが可能となり、遊技球の挙動を多様化させることが可能となる。
上記実施の形態では、第2風車101と第3風車102をそれぞれが独立して回転する構成としたが、第2風車101と第3風車102を連動して回転する構成としても良い。そこで以下では、第2の実施の形態として、第2風車101と第3風車102を連動して回転させる構成を図15〜図17を用いて説明する。なお、同一構成を有する部材については、同一番号を付与して説明を省略することとする。
図15に示すように、遊技盤15には、遊技球の落下方向を適宜分散させたり落下速度を適宜低減させたりするため、多数の釘が植設されている。加えて、遊技盤15には、可変表示ユニット37の左右両側方に、落下してきた遊技球を作動口装置35側又はその逆側へと分散させる連動風車装置110が設けられている。
連動風車装置110は、図16及び図17に示すように、逆三角形状に形成された取付部110aを有している。取付部110aには、第1風車39,第2風車101及び第3風車102を取り付けるための取付孔110bが形成されるとともに、当該取付部110aを遊技盤15に固定する際に用いられる挿通孔110cが形成されている。
取付部110aの下部には、第1風車39が回転自在に取り付けられている。第1風車39は、軸部の貫通孔より若干小さな外径を有するピン部材が、第1風車39の貫通孔及び取付部110aの取付孔110bに挿通され、取付部110aの裏面側から図示しない固定部材により固定されることにより、取付部110aに回転自在に軸支されるようになっている。
第1風車39の上方には、水平方向に並ぶようにして第2風車101と第3風車102が回転自在に取り付けられている。第2風車101の貫通孔には、シャフト部材111が挿通されている。シャフト部材111は、第2風車101の貫通孔と同一径を有するとともに、連動風車装置110を遊技盤15に取り付けた際にシャフト部材111の先端部が遊技盤15の裏面に突出する長さを有している。また、シャフト部材111の基端部には、第2風車101と係合する係合爪が形成されており、シャフト部材111の先端部には、歯車113が固定されるようになっている。つまり、第2風車101は、シャフト部材111及び歯車113と一体的に回転するようになっている。第3風車102の貫通孔にも、第2風車101と同様にシャフト部材112が挿通されている。シャフト部材112は、第3風車102の貫通孔と同一径を有するとともに、第2風車101に挿通されるシャフト部材111と同一長さを有している。また、シャフト部材112の基端部には、第3風車102と係合する係合爪が形成されており、シャフト部材112の先端部には、第2風車101側に取り付けられる歯車113と噛み合う歯車114が固定されるようになっている。歯車114は、第2風車101側の歯車113と同数の歯数を有しており、第3風車102は、シャフト部材112及び歯車114と一体的に回転するようになっている。
連動風車装置110を遊技盤15に取り付ける際には、先ず第1風車39を取付部110aに取り付け、その後に取付部110aの挿通孔110cに固定ねじを挿通させて取付部110aを遊技盤15に固定する。その後、第2風車101が係合されたシャフト部材111を取付部110aの取付孔110bに挿通し、シャフト部材111の先端部を遊技盤15の裏面に露出させる。そして、遊技盤15の裏面側から歯車113をシャフト部材111に取り付ける。この結果、第2風車101が遊技盤15に回転自在に軸支されることとなる。第2風車101を取り付けた後、第3風車102が係合されたシャフト部材112を取付部110aの取付孔110bに挿通し、シャフト部材112の先端部を遊技盤15の裏面に露出させる。そして、第3風車102の各羽部が第2風車101の各羽部と左右対称となるように、すなわち第3風車が第2風車101に対して逆向きに等角度回転させた角度位置となるように第3風車102の角度位置を調整し、遊技盤15の裏面側から歯車114をシャフト部材112に取り付ける。これにより、第2風車101側の歯車113と第3風車102側の歯車114が噛み合い、両歯車113,114によって第2風車101と第3風車102の角度位置が保持される。
第2風車101又は第3風車102の一方に遊技球が衝突した場合、このときに生じる外力が他方の風車の歯車に伝達され、第2風車101と第3風車102が一体的に回転する。より詳しくは、遊技球が第2風車101と第3風車102の間から落下する場合には、第2風車101が時計回りに回転し、第3風車102が反時計回りに回転する。このとき、第2風車101と第3風車102は、上記実施の形態にて説明した初期角度位置→第2角度位置→第3角度位置→初期角度位置(図9〜図11参照)というように、第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右対称な位置関係を保持したまま一体的に回転する。このときの第2風車101と第3風車102の羽部の変位を説明すると、第2風車101の第1羽部101cが270度の位置から時計回りに90度の位置まで変位する場合には、第3風車102の第1羽部102cが90度の位置から反時計回りに270度の位置まで変位する。つまり、第2風車101の第1羽部101cが第3風車102に近づく側に変位する場合には、第3風車102の第1羽部101cも第2風車101に近づく側に変位する。一方、第2風車101の第1羽部101cが90度の位置から時計回りに270度の位置まで変位する場合には、第3風車102の第1羽部102cが270度の位置から反時計回りに90度の位置まで変位する。つまり、第2風車101の第1羽部101cが第3風車102から遠ざかる側に変位する場合には、第3風車102の第1羽部101cも第2風車101から遠ざかる側に変位する。
かかる構成とした場合には、第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右対称な位置関係を保持したまま一体的に回転するため、各風車101,102が独立して回転する構成と比して遊技球の落下する向きを限定することが可能となる。
第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右対称な位置関係を保持する構成としたため、遊技球が第2風車101と第3風車102の両方に衝突する頻度を高めるとともに、直下に落下する頻度を高めることが可能となる。故に、遊技球の落下速度を十分に低減させることが可能となる。
第2風車101と第3風車102が逆向きに回転する構成としたため、第2風車101と第3風車102の間で球詰まりが起こる不具合を回避することが可能となる。仮に第2風車と第3風車を同じ向きに回転させる構成とした場合、他方の風車と対向する側においては、第2風車と第3風車が逆向きに回転することとなる。このため、例えば第3角度位置(図11参照)において遊技球が第2風車の羽部と第3風車の羽部に共に接触している状態となった場合、第3風車の回転が遊技球によって規制されることに伴い第2風車も回転することができなくなり、当該位置で球詰まりが起こってしまうからである。
上記第2の実施の形態では、第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右対称な位置関係を保持したまま一体的に回転する構成について説明したが、以下では、第3の実施の形態として第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右非対称な位置関係を保持したまま一体的に回転する構成について説明する。なお、基本構成は上記第2の実施の形態と同じため、作用及び効果について説明する。
本実施の形態では、図12に示すように、第3風車102が第2風車101の角度位置に対して180度回転させた角度位置となるように第3風車102の角度位置が調整され、両歯車113,114が噛み合わされている。
かかる構成の場合、第2風車101と第3風車102は、上記実施の形態にて説明した第4角度位置→第5角度位置→第6角度位置→第4角度位置(図12〜図14参照)というように一体的に回転する。このとき、第2風車101と第3風車102の各羽部は、他方の風車の隣り合う羽部の間隙を埋めるようにして変位する。より詳しくは、第2風車101の第1羽部101cが270度の位置から時計回りに90度の位置まで変位する場合には、第3風車102の第1羽部102cが270度の位置から反時計回りに90度の位置まで変位する。つまり、第2風車101の第1羽部101cが第3風車102に近づく側に変位する場合には、第3風車102の第1羽部101cが第2風車101から遠ざかる側に変位する。一方、第2風車102の第1羽部101cが90度の位置から時計回りに270度の位置まで変位する場合には、第3風車102の第1羽部102cが90度の位置から反時計回りに270度の位置まで変位する。つまり、第2風車101の第1羽部101cが第3風車102から遠ざかる側に変位する場合には、第3風車102の第1羽部101cが第2風車101に近づく側に変位する。
このように、第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが左右非対称な位置関係を保持する構成とした場合には、遊技球が第2風車101又は第3風車102に選択的に衝突する頻度を高めることが可能となる。故に、遊技球の落下する向きを、第1風車39に到達する前段階で作動口装置35側(第3風車102側)又はその逆側(第2風車101側)に振り分けることが可能となり、遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102が共に羽部を3つ有する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、羽部の数は任意である。羽部の数を減少させた場合には、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との水平方向における最短距離の変化を大きくすることができ、羽部の数を増加させた場合には、前記変化を大きくすることができる。
(2)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102が共に羽部を3つ有する構成としたが、異なる数の羽部を有する構成としても良い。また、羽部を軸部の外周面において等間隔となるように配置したが、等間隔に配置しなくても良いことは言うまでもない。
(3)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102が時計回りと反時計回りのいずれの向きにも回転可能に軸支される構成としたが、一方の向きにのみ回転可能に軸支される構成としても良い。つまり、第2風車101を時計回りにのみ回転可能に軸支される構成とするとともに、第3風車102を反時計回りにのみ回転可能に軸支される構成とする。かかる構成とした場合には、第2風車101又は第3風車102に衝突した遊技球を、確実に第2風車101と第3風車102の間から落下させることが可能となる。
(4)上記第1及び第2の実施の形態では、第2風車101の羽部が水平方向の第3風車102側に位置し、第3風車102の羽部が水平方向の第2風車101側に位置する場合(第3角度位置にある場合)の最短距離が遊技球の直径より短くなるよう、第2風車101と第3風車102を配置する構成としたが、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部が前記位置関係となる場合の最短距離が遊技球の直径と等しくなるよう、第2風車101と第3風車102を配置しても良い。つまり、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部が特定の位置関係にある場合に、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との最短距離が遊技球の直径以下となる構成であれば良い。
(5)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102を第1風車39の上方に配置し、第1風車39に落下する遊技球の落下速度を低減させる構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば上側作動口35aの上方に配置する構成としても良いし、スルーゲート36や一般入賞口33の上方に配置する構成としても良い。
(6)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102の間を落下した遊技球は、第1風車39によって作動口装置35側又はその逆側に振り分けられる構成としたが、第2風車101と第3風車102の下方に、作動口装置35側に傾斜するようにして複数の釘を植設し、第2風車101と第3風車102の間を落下した遊技球がそのまま作動口装置35近傍に案内される構成としても良い。かかる構成とした場合であっても、第2風車101と第3風車102によって遊技球の落下速度が低減されるため、作動口装置35近傍における遊技球の挙動を楽しませることが可能となる。
(7)上記各実施の形態では、第2風車101と第3風車102に同一形状を有する羽部を複数設ける構成としたが、形状の異なる羽部を設ける構成としても良い。例えば、軸部の中心軸線方向から視認した場合に、軸部周方向における幅が異なる羽部を設ける構成とする。或いは、軸部径方向における長さが異なる羽部を設ける構成とする。これら構成とした場合であっても、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
(8)上記第2及び第3の実施の形態では、第1〜第3風車39,101,102を備えた連動風車装置110について説明したが、第2風車101と第3風車102を備えていれば良く、第1風車39等の他の構成については任意である。
(9)上記第2及び第3の実施の形態では、遊技球が第2風車101又は第3風車102に衝突することによって第2風車101と第3風車102が共に回転する構成としたが、モータ等の駆動装置を第2風車101及び第3風車102に接続し、第2風車101と第3風車102が遊技球の衝突有無に関わらず回転している構成としても良い。
(10)上記第2及び第3の実施の形態では、第2風車101の各羽部と第3風車102の各羽部とが相対的な位置関係を保持したまま一体的に回転する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、一方の風車が回転する場合に他方の風車も連動して回転する構成であれば良い。例えば、第2風車と第3風車に歯数の異なる歯車を取り付け、一方の風車が複数回回転した場合に他方の風車が1回転する構成とする。
(11)上記第3の実施の形態では、第2風車101の羽部と第3風車102の羽部との水平方向の最短距離が最も短くなる第4角度位置において、前記最短距離と遊技球の直径とが等しくなるよう、第2風車101と第3風車102を配置する構成としたが、第2風車101の羽部が水平方向の第3風車102側に位置する場合(第5角度位置にある場合)の最短距離が遊技球の直径と等しくなるよう、第2風車101と第3風車102を配置しても良い。かかる構成とした場合には、第4角度位置において前記最短距離が遊技球の直径より短くなるため、遊技球が第2風車101と第3風車102の少なくとも一方と衝突する頻度を高めることが可能となる。
(12)上記各実施の形態では、第2風車101及び第3風車102が装飾パネル101b,102bを有する構成としたが、装飾パネル101b,102bを有さない構成としても良いことは言うまでもない。
(13)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等に適用しても良いことは言うまでもない。例えば、作動口を遊技球が通過したことを契機として第1抽選を行い、この第1抽選に当選すると特別装置が所定の開放状態となり、特別装置の特定領域に遊技球が入ると大当たり発生となるタイプのパチンコ機に適用しても良い。また、図柄表示装置を備えないパチンコ機や遊技者に払い出すべき賞球を仮想遊技媒体として貯留記憶する貯留記憶手段を備えたパチンコ機に適用しても良い。