JP5708724B2 - 音響再生装置及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明は音響再生装置及びプログラムに関し、例えば、特定のエリア内でのみ音情報を再生する場合に適用し得るものである。
音情報を特定の空間(エリア)内にのみ伝達する技術は、騒音やプライバシーなどの問題に対処するために必要とされている。エリア内のみに音情報を再生する手法として、スピーカアレイを用いた信号処理による音場制御がある。この手法は、境界音場制御理論に基づき、各スピーカから出力する音の遅延と周波数特性を制御することで、エリアの境界上の音圧を消去する手法である(特許文献1参照)。
また、エリア内のみに音情報を再生する他の手法として、特定の方向に鋭い指向性を持つ超指向性スピーカを利用する方法もある。代表的な超指向性スピーカとしてパラメトリックスピーカが挙げられる。パラメトリックスピーカとは、超音波を利用することで、鋭い指向性を形成し、かつ、遠くまで音を減衰させずに伝達するスピーカである(非特許文献1参照)。このような超指向性スピーカを、例えば天井に下を向けて設置すれば、真下のエリアにのみ音情報を伝達することができる。
鎌倉友男、酒井新一著、"パラメトリックスピーカの実用化"、日本音響学会誌62巻11号(2006),pp.791−797
上述した従来技術を用いれば、特定のエリア内のみに音情報を伝達することができる。しかし、実際に使用する際には、様々な課題が残っている。
スピーカアレイを用いた音場制御技術では、一つのエリアに対して膨大な数のスピーカが必要となる上、多チャンネルフィルタ処理の計算量が多く、動作させるためにはかなりのマシンパワーを必要とする。
また、超指向性スピーカを天井に設置する方法は、設置できる場所に制限がある。例えば、屋外で設置するためには専用の機材が必要となり、室内でも天井の形状に左右されることになる。さらに、ひとたび設置すると、別のエリアに移動させることが難しいという問題もある。
そのため、適用スピーカに対する数や位置等の少ない制約で、しかも、軽い処理負荷で、特定のエリア内のみに音情報を伝達することができる音響再生装置及びプログラムが望まれている。
第1の本発明の音響再生装置は、(1)与えられた当該スピーカ用の音響信号に基づいて放音動作して音響を送出する、送出した音響が所定の再生エリアを通過する複数のスピーカと、(2)上記再生エリアに伝達すべき入力された再生音源から、当該再生音源の一部の情報を含む、上記各スピーカ用の音響信号であって、全ての上記スピーカ用の音響信号が重畳したと仮定したときに上記再生音源と等価な信号が得られる、上記各スピーカ用の音響信号を形成するスピーカ別信号形成手段と、(3)上記スピーカ別信号形成手段が形成した上記各スピーカ用の音響信号をそれぞれ、対応する上記スピーカに与えて放音させるスピーカ別信号出力手段とを有し、(3’)上記スピーカ別信号形成手段は、上記再生音源を少なくとも時間軸方向に分割し、分割により得られた再生音源区間を分配することにより、上記各スピーカ用の音響信号を形成することを特徴とする。
第2の本発明の音響再生プログラムは、与えられた当該スピーカ用の音響信号に基づいて放音動作して音響を送出する、送出した音響が所定の再生エリアを通過する複数のスピーカにそれぞれ与える音響信号を形成する装置に搭載されたコンピュータを、(1)上記再生エリアに伝達すべき入力された再生音源から、当該再生音源の一部の情報を含む、上記各スピーカ用の音響信号であって、全ての上記スピーカ用の音響信号が重畳したと仮定したときに上記再生音源と等価な信号が得られる、上記各スピーカ用の音響信号を形成するものであって、上記再生音源を少なくとも時間軸方向に分割し、分割により得られた再生音源区間を分配することにより、上記各スピーカ用の音響信号を形成するスピーカ別信号形成手段と、(2)上記スピーカ別信号形成手段が形成した上記各スピーカ用の音響信号をそれぞれ、対応する上記スピーカに与えて放音させるスピーカ別信号出力手段として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、適用スピーカに対する数や位置等の少ない制約で、しかも、軽い処理負荷で、特定のエリア内のみに音情報を伝達することができる音響再生装置及びプログラムを提供することができる。
(A)各実施形態に共通する技術思想
本発明による音響再生装置及びプログラムの第1〜第6の実施形態を説明する前に、第1〜第6の実施形態に共通する技術思想(以下、共通技術思想と呼ぶ)を簡単に説明する。
本発明による音響再生装置及びプログラムの第1〜第6の実施形態を説明する前に、第1〜第6の実施形態に共通する技術思想(以下、共通技術思想と呼ぶ)を簡単に説明する。
共通技術思想では、放音(発音)された音響が直線上に進行する複数の超指向性スピーカを用い、各超指向性スピーカを異なる位置に設置する。各超指向性スピーカの指向性は、音情報を再生させるエリア(以下、再生エリアと呼ぶ)を通るように選定されている。言い換えると、どの超指向性スピーカから放音された音響も再生エリアは通過するが、再生エリア以外に、複数の超指向性スピーカから放音された音響が共に通過するエリアは存在しない。
また、共通技術思想では、再生エリアで再生させる音情報の音源(再生音源)の信号(以下、信号を略して単に再生音源と呼ぶ)を、所定の観点から、超指向性スピーカの数だけ分割し、各分割再生音源を、対応する超指向性スピーカから放音させる。各分割再生音源は、元の再生音源を超指向性スピーカの数に分割したものであるので、各分割再生音源をそれぞれ聴取しても、音情報を認識できないか、若しくは、音情報の認識にかなりの苦労を伴う。共通技術思想においては、再生エリアでは、全ての分割再生音源が流れるので、分割する前の再生音源が流れたと同じ状態となる。従って、再生エリアで聴取した場合には、再生音源が意図している音情報を聴取者は認識できる。
再生音源を分割する観点は、1つに限定されず、再生エリアで全ての分割再生音源が流れた際に聴取者が情報を認識できる観点であれば良い。例えば、時分割を適用できる。また例えば、帯域分割を適用できる。さらに例えば、音量分割を適用できる。複数の観点の分割を組み合わせる分割方法であっても良い。例えば、時分割と帯域分割との組み合わせを適用できる。
以下、共通技術思想の具体的なイメージを、分割の観点が時分割である場合を例に、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、2つの超指向性スピーカ(第1及び第2の超指向性スピーカ)SP1及びSP2の配置位置と、各超指向性スピーカSP1、SP2の指向性とを示している。第1及び第2の両超指向性スピーカSP1及びSP2の指向性が交差しているエリアが再生エリアである。図2(A)に示すような再生音源は、時間方向に分割される。0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、…の各期間での信号を含む、図2(B)に示す第1の分割再生音源は、第1の超指向性スピーカSP1から放音される。一方、t1〜t2、t3〜t4、…の各期間での信号を含む、図2(C)に示す第2の分割再生音源は、第2の超指向性スピーカSP2から放音される。
例えば、再生音源が「あのやまをのぼればうみがみえる」であった場合において、時分割(かな文字を単位とした時分割を仮定)により、第1の分割再生音源として「あ・や・を・ぼ・ば・み・み・る」(・は無音区間を表す)が得られ、第2の分割再生音源として「・の・ま・の・れ・う・が・え・」が得られ、それぞれ、対応する超指向性スピーカSP1、SP2から放音されたとする。
両超指向性スピーカSP1及びSP2の指向線上にない箇所では、両超指向性スピーカSP1及びSP2が放音しても、何ら情報は聴取されない。再生エリアを除いた第1の超指向性スピーカSP1の指向線上の箇所では「あ・や・を・ぼ・ば・み・み・る」が聴取されるが、「あ・や・を・ぼ・ば・み・み・る」は意味不明であり、当初の情報「あのやまをのぼればうみがみえる」は認識されない。同様に、再生エリアを除いた第2の超指向性スピーカSP2の指向線上の箇所では「・の・ま・の・れ・う・が・え・」が聴取されるが、「・の・ま・の・れ・う・が・え・」は意味不明であり、当初の情報「あのやまをのぼればうみがみえる」は認識されない。
これに対して、再生エリアでは、第1の超指向性スピーカSP1が放音した「あ・や・を・ぼ・ば・み・み・る」と第2の超指向性スピーカSP2が放音した「・の・ま・の・れ・う・が・え・」とが聴取される。2種類の聴取音響の一方が有音期間では他方が無音区間であって無音期間を補うので、2種類の聴取音響を合成されて聴取される。すなわち、当初の再生音源である「あのやまをのぼればうみがみえる」が聴取され、再生エリアでは、再生音源が意図した情報が正しく伝達される。
以下、以上のような共通技術思想が具現化された、音響再生装置及びプログラムについての各実施形態を順次説明する。
(B)第1の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第1の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第1の実施形態を、図面を参照して説明する。
(B−1)第1の実施形態の構成
図3は、第1の実施形態に係る音響再生装置の構成を示すブロック図である。超指向性スピーカを除く図1に示す部分は、ハードウェア的に各種回路を接続して構築されても良く、また、CPU、ROM、RAMなどを有する汎用的な装置若しくはユニットが所定のプログラムを実行することで該当する機能を実現するように構築されても良く、いずれの構築方法を採用した場合であっても、機能的には、図3で表すことができる。
図3は、第1の実施形態に係る音響再生装置の構成を示すブロック図である。超指向性スピーカを除く図1に示す部分は、ハードウェア的に各種回路を接続して構築されても良く、また、CPU、ROM、RAMなどを有する汎用的な装置若しくはユニットが所定のプログラムを実行することで該当する機能を実現するように構築されても良く、いずれの構築方法を採用した場合であっても、機能的には、図3で表すことができる。
図3において、第1の実施形態の音響再生装置10は、N(Nは2以上の整数)台の超指向性スピーカSP1〜SPN、音響信号入力部11、音響信号分割部12、音響信号分配部13、遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16及び音響信号出力部17を備える。
超指向性スピーカSP1〜SPNはそれぞれ、上述したように、超音波を利用することで、鋭い指向性を形成し、かつ、遠くまで音を減衰させずに伝達するスピーカである。各超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性は、再生エリアを通るようになされている。図3では、超指向性スピーカSP1〜SPNが直線上に配置されているように見えるが、この配置は、紙面の都合による配置であり、実際の配置ではない(同様に、後述するブロック図における超指向性スピーカの配置も実際の配置ではない)。
第1の実施形態の説明では、再生エリアが固定されていて、超指向性スピーカSP1〜SPNも所定位置に固定されているとして説明する。
しかし、同一の音響再生装置で、複数の再生エリアのうち、その時点で選択されている再生エリアに対応できるようにしても良い。このような場合には、例えば、各超指向性スピーカSP1〜SPNをそれぞれ、水平角方向及び仰角方向の少なくとも一方にモータ等の駆動力によって揺動し得る揺動部材に取り付け、選択された再生エリアに応じて、制御部がモータを制御して、超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性の向きを変更するようにすれば良い。また、再生エリア毎に動作する超指向性スピーカを定めておき、選択された再生エリアに応じて定まる複数の超指向性スピーカから放音させ、他の超指向性スピーカからの放音を停止するようにしても良い。
音響信号入力部11は、再生音源(音響信号と呼ぶこともある)を取込むものであり、その取込み方法は、後述の例のように限定されるものではない。ここで、音響信号は、オーディオ信号に限定されず、音声信号など他の音信号であっても良く、要は、再生エリアに音を以て伝達したい情報の信号であれば良い。音響信号入力部11は、各種収音装置からリアルタイムに音響信号を取込むものであっても良く、また、当該音響再生装置10に関連して設けられている装置の記憶媒体上のデータファイルから音響信号を取込んだり、インターネット上の配信サーバから音響信号を取込んだりするなど、過去に収音されてデータファイル化された音響信号を取込むものであっても良い。取込んだ音響信号がアナログ信号の場合には、音響信号入力部11は、デジタル信号に変換する機能をも担う。
第1の実施形態の音響信号分割部12は、音響信号入力部11が取込んだ音響信号を、時間方向に分割するものである。分割する時間間隔は、一定であっても良く、また、ランダムな間隔であっても良く、さらに、対象としている音響信号の特徴に応じて決定されるようにしても良い。
一定の時間間隔の場合、その時間間隔は、最長でも、単語として聴取できない間隔であることが好ましい。また、超指向性スピーカの数(N)が2であれば300ミリ秒、超指向性スピーカの数(N)が3であれば200ミリ秒というように、設置する超指向性スピーカの数(N)が多ければ多いほど時間間隔を短くするようにしても良い。適用する一定の時間間隔も1種類に限定されない。例えば、2種類の時間間隔をT1及びT2とした場合、T1、T1、T2、T2、T1、T2、T1、T2、…というような間隔で音響信号を任意に分割するようにしても良い。
ランダムな間隔で分割する場合、例えば、0.5から1.5の範囲でランダムな値を得た後、予め定められている一定時間にランダム値を掛けて、ランダムな時間間隔を決定するようにしても良い。また、予め複数の異なる時間間隔を定めておき、そのいずれを適用するかの選択に乱数を利用し、分割する時間間隔の系列がランダムに変化するようにしても良い。
分割する時間間隔の決定に利用できる音響信号の特徴量として、自己相関係数やケプストラムを適用することができる。自己相関係数(自己相関が最も大きくなる時間)に予め定められている定数を乗算して、適用する時間間隔を得るようにしても良い。また、自己相関係数やケプストラム等の特徴量の範囲と、適用する時間間隔とを対応付けたテーブルを用意しておき、今回計算された特徴量が属する範囲の時間間隔を、分割で適用する時間間隔とするようにしても良い。
音響信号分割部12は、音響信号を分割する際、音響信号をそのまま分割しても良いが、クロスフェード(終了する側の時間間隔はフェードアウトすると共に、新たに開始する側の時間間隔はフェードインする処理)を掛けるように分割することが好ましい。クロスフェードの区間は、例えば、分割時点を中心とした前後合わせて10ミリ秒間とする。クロスフェードの採用により、各超指向性スピーカからの出力音(放音音)を再生エリア内で聞いた際、異音を発生させず自然な再生音源にすることができる。
音響信号分配部13は、音響信号分割部12において時間分割された音響信号を超指向性スピーカの数(N)に応じて分配し、各超指向性スピーカ用の音響信号(時分割音響信号や放音音響信号と呼ぶこともある)を作成するものである。音響信号分配部13は、各時分割音響信号における当初の音響信号を有する区間がクロスフェードの区間を除いて重ならないように、各時分割音響信号に作成する(上述した図2参照)。
時間分割された音響信号の各区間を過去側から1、2、3、…と順番を付けた場合、音響信号分配部13は、例えば、a×N+1番目(aは0、1、…の整数)の音響信号区間を有する時分割音響信号を第1の超指向性スピーカSP1用の時分割音響信号とし、a×N+2番目の音響信号区間を有する時分割音響信号を第2の超指向性スピーカSP2用の時分割音響信号とし、以下同様にして、第3〜第Nの超指向性スピーカSP3〜SPN用の時分割音響信号を作成する。また例えば、1番目〜N番目の音響信号区間を、乱数等を用いて第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に振分け、N+1番目〜2×N番目の音響信号区間を、乱数等を用いて第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に振分け、以下同様に、乱数等を用いた振分けを行って、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を完成させるようにしても良い。
遅延算出部14、空間座標データ保持部15及び遅延器16は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNが自己への時分割音響信号に応じて放音した音響が、再生エリアへ同期して到達するようにするために設けられたものである。
空間座標データ保持部15は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNの位置情報と、伝播遅延時間の算出に必要な他の情報(遅延算出情報)とを保持しているものである。例えば、遅延算出情報として、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性の方向の情報を挙げることができる。また例えば、遅延算出情報として、再生エリアの位置情報を挙げることができる。
遅延算出部14は、空間座標データ保持部15に保持されている情報に基づいて、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNから再生エリアまでの伝播遅延時間を算出した後、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に付与する遅延時間を算出するものである。遅延算出情報が、各超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性の方向情報の場合には、遅延算出部14は、各超指向性スピーカSP1〜SPNの位置情報と指向性の方向情報とから再生エリアの位置を算出して、各超指向性スピーカSP1〜SPNから再生エリアまでの伝播遅延時間を算出する。遅延算出情報が再生エリアの位置情報の場合には、遅延算出部14は、各超指向性スピーカSP1〜SPNの位置情報と再生エリアの位置情報とから、各超指向性スピーカSP1〜SPNから再生エリアまでの伝播遅延時間を算出する。遅延算出部14は、例えば、最小の伝播遅延時間を捉え、各超指向性スピーカSP1〜SPNの伝播遅延時間の、最小の伝播遅延時間からの時間差を遅延時間として算出する。
遅延器16は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号のそれぞれに対し、遅延算出部14が算出した遅延時間だけ遅延を付与するものである。
再生エリアが固定であり、超指向性スピーカSP1〜SPNも固定設置の場合には、再生エリアへの情報伝達毎に遅延時間を算出する構成に代え、遅延時間を保持する遅延時間保持部を設けて、遅延器16が遅延時間保持部に保持されている遅延時間を第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に付与するようにしても良い。
また、再生エリアが円の中心位置にあり、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNが同一半径の円周上に配置されているような場合など、伝播遅延時間の時間差が問題とならない状況に設けられる音響再生装置であれば、遅延算出部14、空間座標データ保持部15及び遅延器16を省略することができる。
音響信号出力部17は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号をそれぞれ、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNへ出力するものである。なお、上述した伝播遅延時間の時間差が問題とならない音響再生装置であれば、音響信号出力部17は、時分割音響信号を出力する超指向性スピーカをランダムに選択することもできる。
(B−2)第1の実施形態の動作
次に、上述した構成を有する第1の実施形態に係る音響再生装置10の動作を説明する。図4は、第1の実施形態に係る音響再生装置10の処理を示すフローチャートである。
次に、上述した構成を有する第1の実施形態に係る音響再生装置10の動作を説明する。図4は、第1の実施形態に係る音響再生装置10の処理を示すフローチャートである。
放音対象の音響信号は、音響信号入力部11によって、音響再生装置10内に取り込まれる(ステップS1)。
音響信号入力部11が取込んだ音響信号は、音響信号分割部12において、予め定められている分割方法に従って、時間間隔(区間)の境界ではクロスフェードを掛けるように時間方向に分割される(ステップS2)。
音響信号分割部12において時間分割された音響信号は、音響信号分配部13において、超指向性スピーカの数(N)に応じて分配され、各超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号が作成される(ステップS3)。
各超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号はそれぞれ、遅延器16において、遅延算出部14が空間座標データ保持部15に保持されている情報を利用して算出した遅延時間分だけ遅延が付与される(ステップS4)。
遅延付与後の各超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号はそれぞれ、音響信号出力部17によって、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNへ与えられ、超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性の方向へ放音される(ステップS5)。
音響再生装置10の動作から離れるが、各超指向性スピーカSP1〜SPNから放音された全ての時分割音響は再生エリアで重なり、再生エリアにいる聴取者は、全ての時分割音響を聴取することができる。時分割音響の一つ一つは情報が欠落していても他の時分割音響が欠落区間の情報を埋め合わせるので、その結果、聴取者は、当初の再生音源と同じ情報を聴取することができる。
再生エリア以外の他のエリアのうち、いずれの超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性の方向上にないエリアでは、一つの時分割音響をも聴取することができず、当然に、当初の再生音源が有する情報を聴取できない。
また、再生エリア以外の他のエリアのうち、超指向性スピーカSP1〜SPNのいずれか一つの指向性の方向上にあるエリアでは、一つの時分割音響を聴取することができる。しかし、一つの時分割音響は、当初の再生音源が有する情報のごくごく一部しか含まれておらず、聴取しても、当初の再生音源が有する情報を聴取者は認識することができない。
上記説明では、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号が全て異なる場合を示したが、同じ時分割音響信号を複数の超指向性スピーカ用の信号とするようにしても良い。この場合には、例えば、同じ数の逆数だけ、時分割音響信号のレベルを小さくし、再生エリアで混合されたときに、元のレベルに戻るようにすることを要する(後述する第4の実施形態参照)。
(B−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、複数の超指向性スピーカを再生エリアだけで指向性が重なるように配置し、再生音源(音響信号)を時間分割し、各超指向性スピーカに分配して放音させるという簡単な処理により、音情報を再生エリアだけに伝達することができる。
第1の実施形態によれば、複数の超指向性スピーカを再生エリアだけで指向性が重なるように配置し、再生音源(音響信号)を時間分割し、各超指向性スピーカに分配して放音させるという簡単な処理により、音情報を再生エリアだけに伝達することができる。
かかる効果を奏するための超指向性スピーカの数は2個であっても良く、超指向性スピーカ数を少なく抑えることができる。
また、再生エリアだけで指向性が重なるように複数の超指向性スピーカを配置すれば良く、再生エリアだけで指向性が重なるという条件さえ満たせば、各超指向性スピーカの位置は任意の位置で良い。
(C)第2の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第2の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第2の実施形態を、図面を参照して説明する。
上述した第1の実施形態の音響再生装置10は、N台(2台以上)の超指向性スピーカSP1〜SPNによって、1つの再生エリアにおける情報伝達を行うものであった。
この第2の実施形態の音響再生装置10Aは、固定設置のN台の超指向性スピーカSP1〜SPNによって、複数の再生エリアにおける情報伝達を可能としたものである。このような複数の再生エリアにおける情報伝達を可能とするため、第2の実施形態の音響再生装置10Aでは、直線上に進行している音響を所定方向に反射する反射部材を利用する。因みに、超指向性スピーカから放音された音響は直進性が強く、遮蔽物にぶつかると反射するという性質があり、反射部材を利用可能である。
図5(A)は、反射部材REFを利用することにより、2つの超指向性スピーカSP1及びSP2によって、3つの再生エリアAR1〜AR3に音響情報を伝達できることの説明図である。図5(B)は、図5(A)との比較のための図であり、反射部材REFを利用しない3つの再生エリアを作成する場合を示している(なお、図5(B)も本発明の一つの実施形態となっている)。図5を用いた説明では、指向性方向に進行する音響を音響ビームと呼ぶこととする。
反射部材REFは、第1の超指向性スピーカSP1からの音響ビームを2分し、一方の分離音響ビーム(第1の反射音響ビームと呼ぶ)を、入力された音響ビームの進行方向から時計回りに135度だけ異なる進行方向を有するように反射すると共に、他方の分離音響ビーム(第2の反射音響ビームと呼ぶ)を、入力された音響ビームの進行方向から反時計回りに135度だけ異なる進行方向を有するように反射するものである。
第1の再生エリアAR1は、反射部材REFに至る前の第1の超指向性スピーカSP1からの音響ビームと、第2の超指向性スピーカSP2からの音響ビームとが共に通過するエリアである。第2の再生エリアAR2は、第1の反射音響ビームと、第2の超指向性スピーカSP2からの音響ビームとが共に通過するエリアである。第3の再生エリアAR3は、第2の反射音響ビームと、第2の超指向性スピーカSP2からの音響ビームとが共に通過するエリアである。第1の超指向性スピーカSP1からの音響ビームにおける音響が含まれている有効区間や、第2の超指向性スピーカSP2からの音響ビームにおける音響が含まれている有効区間を適宜制御することにより、第1〜第3の再生エリアAR1〜AR3のいずれかで再生音源の情報を伝達させることができる。
以上のように、反射部材REFを用いて音響を反射させることにより、複数の再生エリアを作り出すことができる。図5(A)及び図5(B)の比較から明らかなように、同数の再生エリアを作成する場合、反射部材を利用する方が超指向性スピーカの数を少なくすることができる。
ここで、反射部材REFは、音響ビームを反射する材質であれば、どのような材質のもの使用しても良い。また、反射部材を複数配置し、一度反射した音響ビームを別の反射部材でさらに反射させるようにしても良い。このような反射部材の利用により、障害物が存在する空間において、障害物を避けて音響ビームを進行させるようなこともできる。以上の説明では、反射部材REFも、第1及び第2の超指向性スピーカSP1及びSP2と同様に固定設置されているように説明したが、例えば、反射部材REFを水平角方向に回動できるように設け、第2及び第3の再生エリアAR2及びAR3の位置を変更できるようにしても良い。
図6は、複数の超指向性スピーカに加えて反射部材を設置して複数の再生エリアに再生音源を伝達する、第2の実施形態に係る音響再生装置10Aの構成を示すブロック図である。図6において、第1の実施形態に係る図3との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
図6において、第2の実施形態の音響再生装置10Aは、N台の超指向性スピーカSP1〜SPN、音響信号入力部11、音響信号分割部12、音響信号分配部13、遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16及び音響信号出力部17に加え、遅延器16と音響信号出力部17との間に音響信号混合部18を備える。
音響信号入力部11は、再生エリアの数と同じ数(m)だけ、再生音源(音響信号)SIG1〜SIGmを取込むものである。異なる再生エリアに伝達する音響信号が同じでも良い場合には、音響信号の取り込み数は、再生エリアの数より少なくても良い。
音響信号分割部12は、音響信号入力部11が取り込んだ各音響信号SIG1〜SIGmに対する並列処理で、第1の実施形態と同様に、音響信号を時間方向に分割する。
音響信号分配部13は、時間分割後の各音響信号に対する並列処理で、第1の実施形態と同様に、時間分割された音響信号を超指向性スピーカの数(N)に応じて分配し、各超指向性スピーカ用の音響信号を作成するものである。
後述する音響信号混合部18が、音響信号毎の第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を、同一の超指向性スピーカから放音させる信号毎に混合したとき、混合後のどの超指向性スピーカ用の音響信号も概ね時分割多重信号となっているように、音響信号分割部12の時間方向の分割と、音響信号分配部13の分配とを行うようにすれば良い。3種類の音響信号をA、B、Cとし、同じ間隔でそれぞれ3分割し、A1〜A3、B1〜B3、C1〜C3になったとする。後述する混合されたときに(後述する遅延付与はここでは無視する)、第1の超指向性スピーカSP1用の混合信号はA1、B2及びC3を含み、第2の超指向性スピーカSP2用の混合信号はB1、C2及びA3を含み、第3の超指向性スピーカSP3用の混合信号はC1、A2及びB3を含むように、音響信号分配部13が分配すれば良い。このようにしたときには混合後信号における無信号期間を最小限に抑えることが可能となる。
空間座標データ保持部15は、例えば、各超指向性スピーカSP1〜SPNの位置及び指向性方向、各反射部材の位置及び反射面の向き等の再生エリアを算出できる情報を保持している。また、空間座標データ保持部15は、原点の位置情報や、原点を通る基準線の情報も備えている。
遅延算出部14は、空間座標データ保持部15に保持されている情報に基づき、各再生エリアの位置を算出した後、各超指向性スピーカから放音された音響が各再生エリアに到達するまでの時間差を算出する。遅延算出部14は、各再生エリアを原点からの距離に基づいて(距離が同じ場合には、基準線と、原点及び再生エリアを結ぶ線がなす角度に基づいて)、再生エリアに、音響信号入力部11が取り込んだ各音響信号SIG1〜SIGmに対応付ける番号を付与する。なお、第1の実施形態でも言及したように、再生エリアの位置を算出するのではなく、空間座標データ保持部15に再生エリアの位置情報を格納しておくようにしても良く、この場合には、音響信号との対応情報をも、空間座標データ保持部15に保持しておくようにしても良い。
遅延器16は、各再生エリアに対応する各音響信号に対する並列処理で、遅延時間の付与を行う。ある再生エリアに対する音響信号を認識すると、遅延器16は、音響信号分配部13から出力されたその音響信号についての第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号のそれぞれに対し、遅延算出部14が算出した該当する再生エリアについての遅延時間だけ遅延を付与する。
音響信号混合部18は、遅延器16から出力された音響信号毎の第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を、同一の超指向性スピーカから放音させる信号毎に混合するものである。例えば、音響信号がm種類の場合、遅延器16から出力された第1の超指向性スピーカSP1用の時分割音響信号もm個あるが、音響信号混合部18は、これらm個の第1の超指向性スピーカSP1用の時分割音響信号を混合し、一つの第1の超指向性スピーカSP1用の信号にまとめ上げる。他の第2〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に対しても、音響信号混合部18は、同様な処理を行う。
音響信号出力部17は、混合処理後の第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号をそれぞれ、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNへ与えて放音させる。
第2の実施形態によれば、複数の再生エリアに対して異なる再生音源を同時に伝達することができ、しかも、再生音源に対応している再生エリア以外では伝達のセキュリティを確保することができる。
第2の実施形態の変形実施形態として、例えば、以下のものを挙げることができる。
図5(B)に示すような反射部材を用いずに複数の再生エリアへの異なる再生音源の伝達にも、図6に示すブロック構成を適用することができる。但し、混合する信号の数や音響信号の分配方法などは、上述の場合と異なる。しかし、これらについては、容易に理解できるので、その説明は省略する。
第2の実施形態の音響再生装置10Aは、複数の再生エリアに対して異なる再生音源を同時に伝達するものであったが、各再生エリアに択一的にその再生エリア対応の再生音源を伝達するようにしても良い。
(D)第3の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第3の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第3の実施形態を、図面を参照して説明する。
第1及び第2の実施形態の音響再生装置は共に、各超指向性スピーカから放音される音響は、単独で聞いても意味をなさない。しかし、その放音音響の聴取者によって、なんらかの音声情報であると認識されて注意を惹いた場合、不快感を与えてしまう可能性がある。
そこで、第3の実施形態の音響再生装置では、背景雑音(例えば、再生エリアが存在する空間の背景雑音)を、各超指向性スピーカからの放音音響に重畳してマスクすることにより、再生エリア以外で聴取した者が、各超指向性スピーカからの情報伝達用の放音音響の存在を気付き難くしようとしたものである。
図7は、第3の実施形態に係る音響再生装置10Bの構成を示すブロック図である。図7において、第1の実施形態に係る図3との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
図7において、第3の実施形態の音響再生装置10Bは、N台の超指向性スピーカSP1〜SPN、音響信号入力部11、音響信号分割部12、音響信号分配部13、遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16及び音響信号出力部17に加え、雑音捕捉用マイクロホンMIC、背景雑音収音部19、雑音データ保持部20及び雑音混合部21を備える。なお、第3の実施形態の場合、超指向性スピーカSP1〜SPNの数Nは2以上の偶数であることが好ましい。
雑音捕捉用マイクロホンMICは、例えば、全指向性マイクロホンであり、再生エリアを含む空間の背景雑音を捕捉するものである。雑音捕捉用マイクロホンMICは、超指向性スピーカSP1〜SPNの指向性に入らない位置に設置する。また、雑音捕捉用マイクロホンMICは、複数設置されても良く、択一的、若しくは、並行的(重畳的)に捕捉した背景雑音を入力するようにしても良い。
雑音データ保持部20は、背景雑音のデータを保持しているものである。雑音データ保持部20が保持している背景雑音データは、雑音捕捉用マイクロホンMICが捕捉して得たものであっても良く、図示しないマイクロホンが捕捉したものであっても良い。言い換えると、再生エリアが存在する空間の背景雑音であっても良く、再生エリアに無関係な空間の背景雑音であっても良い。
背景雑音収音部19は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に重畳(混合)させる背景雑音を遅延器16に与えるものである。背景雑音収音部19は、例えば、図示しない外部(選択キーなど)から与えられた選択制御信号に応じて、雑音捕捉用マイクロホンMICからの背景雑音、又は、雑音データ保持部20が保持している背景雑音のデータを選択して遅延器16に与える。なお、雑音捕捉用マイクロホンMICからの背景雑音を選択する場合には、背景雑音収音部19は、アナログ信号でなる背景雑音をデジタル信号に変換することを要する。図7では、雑音捕捉用マイクロホンMIC及び雑音データ保持部20を共に備える音響再生装置10Bを示しているが、雑音捕捉用マイクロホンMIC又は雑音データ保持部20の一方のみを備えるものであっても良い。
第3の実施形態の場合、遅延器16は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に対する遅延付与に加え、背景雑音収音部19から与えられた背景雑音に対する遅延付与を行う。背景雑音に対する遅延付与機能は、以下の通りである。遅延器16は、入力された背景雑音をN分岐し(なお、レベル低下が生じないようにN分岐する)、分岐されたそれぞれに対し、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に付与する遅延時間だけ遅延を付与し、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の背景雑音を形成する。
雑音混合部21は、情報伝達用の音響信号と背景雑音とを混合する。雑音混合部21は、再生エリアの外においては、情報伝達用の音響信号と背景雑音のパワーが等しい、若しくは、背景雑音のパワーの方が大きくなるように混合する。言い換えると、再生エリア外における混合比率が、例えば、SN比で表すと0dB、若しくは、それ以下となるようにする。例えば、雑音混合部21は、まず、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の背景雑音のうち、偶数番目(第2、第4、…)の超指向性スピーカSP2、SP4、…用の背景雑音を反転させて逆位相の信号とするが、奇数番目(第1、第3、…)の超指向性スピーカSP1、SP3、…用の背景雑音をそのままとする。その後、同一の超指向性スピーカ用の時分割音響信号と背景雑音とを合成し、背景雑音付き時分割音響信号を形成して音響信号出力部17に与える。
なお、超指向性スピーカSP1〜SPNの数Nは3以上の奇数の場合には、再生エリアにおいて、混合された背景雑音が存在しないと同様になるように、偶数番目用と、位相反転されている奇数番目用とで異なる重み係数を適用し、背景雑音のパワーを変更するようにしても良い。
音響信号出力部17は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の背景雑音付きの時分割音響信号をそれぞれ、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNへ与えて放音させる。
各超指向性スピーカSP1〜SPNから放音された全ての背景雑音付きの時分割音響は再生エリアで重なる。偶数番目の超指向性スピーカから放音された背景雑音付きの時分割音響における背景雑音は、奇数番目の超指向性スピーカから放音された背景雑音付きの時分割音響における背景雑音と逆位相となっているので、両背景雑音は相殺され、全ての時分割音響だけが残り、聴取者は全ての時分割音響を聴取することができる。その結果、第1の実施形態で説明したのと同様に、聴取者は、当初の再生音源と同じ情報を聴取することができる。
再生エリア以外の他のエリアのうち、超指向性スピーカSP1〜SPNのいずれか一つの指向性の方向上にあるエリアでは、背景雑音と共に一つの時分割音響を聴取することができる。背景雑音が存在するため、時分割音響に強弱があっても、聴取者は、その時分割音響をさほど意識することなく聴取する。
第3の実施形態によれば、再生エリアに対してのみ再生音源を伝達するという伝達のセキュリティを確保した上で、そのための時分割音響が背景雑音に埋もれて、再生エリア外で聴取者に不快感を与えることを軽減することができる。
上記では、第1の実施形態の構成をベースとし、第3の実施形態の特徴を導入したものを示したが、第2の実施形態の構成をベースとし、第3の実施形態の特徴を導入するようにしても良い。
(E)第4の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第4の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第4の実施形態を、図面を参照して説明する。
第4の実施形態の音響再生装置も、上述した第3の実施形態の音響再生装置10Bと同様に、再生エリア外で各超指向性スピーカから放音された音響を聴取した聴取者に、不快感を与えることを防止しようとしたものである。しかし、不快感を与えることを防止するための具体的な方法が、第3の実施形態の音響再生装置10Bとは異なっている。第4の実施形態の音響再生装置は、再生エリア外では各超指向性スピーカから放音された音響のレベルが背景雑音レベルに埋もれるようにして、聴取者に不快感を与えることを防止する。
図8は、第4の実施形態に係る音響再生装置10Cの構成を示すブロック図である。図8において、第1の実施形態に係る図3や第3の実施形態に係る図7との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
図8において、第4の実施形態の音響再生装置10Cは、N台の超指向性スピーカSP1〜SPN、音響信号入力部11、音響信号分割部12、音響信号分配部13、遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16、音響信号出力部17、雑音捕捉用マイクロホンMIC及び背景雑音収音部19に加え、音響信号減衰部22を備える。
第4の実施形態の音響信号分配部13も、分配処理により、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を形成する。しかし、第1の実施形態の音響信号分配部13とは異なり、N個の時分割音響信号全てが異なるものではなく、同じ時分割音響信号が異なる複数の超指向性スピーカに対応付けられるように、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を形成する。例えば、Nが5の場合において、第1及び第2の超指向性スピーカSP1及びSP2用の時分割音響信号として同じ時分割音響信号を形成し、第3〜第5の超指向性スピーカSP3〜SP5用の時分割音響信号として同じ時分割音響信号を形成する。ここで、前者の時分割音響信号と、後者の時分割音響信号とは異なっている。例えば、第1及び第2の超指向性スピーカSP1及びSP2用の時分割音響信号として同じ時分割音響信号を形成した場合、形成後の時分割音響信号のレベル(有音区間のレベル)は、分配前の音響信号のレベルと同じであっても良く、また、分配前の音響信号のレベルの1/2であっても良い(分母の「2」は、同じ時分割音響信号の放音に供する超指向性スピーカの数である)。以下では、前者であるとして説明する。
遅延算出部14、空間座標データ保持部15及び遅延器16はそれぞれ、第1の実施形態のものと同様なものである。
雑音捕捉用マイクロホンMIC及び背景雑音収音部19はそれぞれ、第3の実施形態のものと同様なものである。なお、第4の実施形態の音響再生装置10Cの場合、第3の実施形態とは異なり、雑音データ保持部20が設けられていないので、背景雑音収音部19は、常時、雑音捕捉用マイクロホンMICが捕捉した背景雑音を取込む。
音響信号減衰部18は、背景雑音収音部19で取得した背景雑音のレベル(例えば、所定時間当たりのサンプル値の2乗和)を算出し、その値に基づいて、遅延器16から与えられた第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号に対する減衰量を決定し、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の時分割音響信号を減衰する。例えば、各時分割音響信号を放音する超指向性スピーカの数が異なる場合には、再生エリアで足し合わさったとき、各時分割音響の音量が同じになるように調節する。つまり、時分割音響信号AAを第1及び第2の超指向性スピーカSP1及びSP2が放音し、時分割音響信号BBを第3〜第5の超指向性スピーカSP3〜SP5が放音する場合、第1及び第2の超指向性スピーカSP1及びSP2からの放音音響を足し合わせた音量と、第3〜第5の超指向性スピーカSP3〜SP5を足し合わせた音量が等しく、かつ、全てのSN比が0dB以下になるように減衰する。
例えば、以下の手順により、減衰量等を定める。まず最初に、同一の時分割音響信号を放音する超指向性スピーカの数が最も少ない時分割音響信号を認識し、その時分割音響信号のレベルをスピーカ数で割った減衰後のレベルを推定する。この推定された減衰後の時分割音響信号レベルが、背景雑音レベルに埋もれているか否かを確認する(背景雑音レベルの所定倍以下になっているか否かを確認する)。埋もれていれば、推定された減衰後の時分割音響信号レベルになるように減衰する。埋もれていない場合には、埋もれるような減衰率を決定する。決定された減衰率を適用した時分割音響信号レベルに基づき、再生エリアでの、その時分割音響信号に放音音量のレベルを計算し、他の時分割音響信号での再生エリアの放音音量レベルに設定し、他の時分割音響信号の減衰率を決定する。
第4の実施形態によれば、放音される時分割音響信号のレベルを下げると共に、同じ時分割音響信号を複数の超指向性スピーカから同時に放音させるようにしたので、再生エリアに対してのみ再生音源を伝達するという伝達のセキュリティを確保した上で、そのための時分割音響が背景雑音に埋もれて、再生エリア外で聴取者に不快感を与えることを軽減することができる。
上記では、第1の実施形態の構成をベースとし、第4の実施形態の特徴を導入したものを示したが、第2の実施形態の構成をベースとし、第4の実施形態の特徴を導入するようにしても良い。
上記では、背景雑音のレベルを、分配された後の時分割音響信号の減衰率に反映させるものを示したが、これに代え(若しくは、これに加え)、音響信号分配部13に背景雑音のレベルを与えて、同じ時分割音響信号を放音する超指向性スピーカの数を、背景雑音のレベルに応じて変更するようにしても良い。
(F)第5の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第5の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第5の実施形態を、図面を参照して説明する。
第1〜第4の実施形態の音響再生装置は、超指向性スピーカから、当初の音響信号(再生音源)をそのまま含む区間(有音区間)と、当初の音響信号(再生音源)を一切含まない区間(無音区間)とを時間方向に含む、レベル変化が2段階の時分割音響信号を放音するものであった。クロスフェードを適用しているとはいえ、レベル変化の飛び跳ねが大きく、この観点で、再生エリア外で聴取した聴取者に不快感を与える恐れが大きいものであった。第5の実施形態の音響再生装置は、レベル変化を3段階以上とし、レベル変化の飛び跳ね量を抑えようとしたものである。
図9は、第5の実施形態に係る音響再生装置10Dの構成を示すブロック図である。図9において、第1の実施形態に係る図3との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
図9において、第5の実施形態の音響再生装置10Dは、第1の実施形態の音響再生装置10に比較すると、音響信号分割部12が音響信号分岐部23に置き換えられ、音響信号分配部13が段階ゲイン乗算部24に置き換えられている。
音響信号分岐部23は、入力された音響信号を超指向性スピーカSP1〜SPNの数に分岐するものである。各分岐音響信号のレベルは、入力された音響信号のレベルと同じであっても良く、また、入力された音響信号のレベルの1/Nであっても良い。以下では、前者であるとして説明する。
段階ゲイン乗算部24は、各分岐音響信号に対して、超指向性スピーカSP1〜SPN毎に定まっている段階状のゲインを乗算して、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号を形成するものである。
図10は、超指向性スピーカSP1〜SPNの数Nが5の場合の段階状ゲインの一例を示している。図10に示す段階状ゲインは、時間Tを周期として繰り返すものであり、1周期を8等分した時間T/8ごとにゲインを0.0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.3、0.2、0.1と変化させるものである。ここで、第1〜第5の超指向性スピーカSP1〜SPN用の段階状ゲインの形状は同じであるが、位相が異なっており、第1〜第5の超指向性スピーカSP1〜SPN用の段階状ゲインの和は常時1.0になるようになされている。例えば、第1の超指向性スピーカSP1用の段階状ゲインが5番目のT/8の0.4をとっている同じ時間で、第2の超指向性スピーカSP2用の段階状ゲインが4番目のT/8の0.3をとり、第3の超指向性スピーカSP3用の段階状ゲインが3番目のT/8の0.2をとり、第4の超指向性スピーカSP4用の段階状ゲインが2番目のT/8の0.1をとり、第5の超指向性スピーカSP5用の段階状ゲインが1番目のT/8の0.0をとる。第1〜第5の超指向性スピーカSP1〜SPN用の段階状ゲインは、このようなT/8ずつ異なるという位相関係を保って変化する。
遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16及び音響信号出力部17は、第1の実施形態のものと同様である。
段階状ゲインが乗算され、さらに、遅延が付与された各超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号が、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNから放音されたとする。
各超指向性スピーカSP1〜SPNから放音された全ての音響は再生エリアで重なり、再生エリアにいる聴取者は、全ての音響を聴取することができる。再生エリアに到達した音響の一つ一つのゲインは異なるが、全ての音響のゲインは1であるので、その結果、聴取者は、当初の再生音源と同じ情報を聴取することができる。
再生エリア以外の他のエリアのうち、超指向性スピーカSP1〜SPNのいずれか一つの指向性の方向上にあるエリアでは、一つの音響を聴取することができる。しかし、聴取される音響は、最大レベルでも、当初の再生音源が有するレベルよりかなり小さく(図10の例の場合、0.4)、しかも、段階状に変化していて認識できないレベルも多くの期間でとるので、聴取しても、当初の再生音源が有する情報を聴取者は認識することができない。また、聴取される音響は段階状のレベル変化しているため、レベルの切替り時における飛び跳ねも小さく、聴取者に不快感を与えることを抑制することができる。
上記では、第1の実施形態の構成をベースとし、第5の実施形態の特徴を導入したものを示したが、第1の実施形態以外の既述した実施形態の構成をベースとし、第5の実施形態の特徴を導入するようにしても良い。
(G)第6の実施形態
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第6の実施形態を、図面を参照して説明する。
次に、本発明による音響再生装置及びプログラムの第6の実施形態を、図面を参照して説明する。
第1〜第4の実施形態の音響再生装置は、再生音源(音響信号)の情報を、複数の超指向性スピーカに振り分ける観点が時分割のものであり、第5の実施形態の音響再生装置は、再生音源(音響信号)の情報を、複数の超指向性スピーカに振り分ける観点が音量分割のものであった。この第6の実施形態に係る音響再生装置は、再生音源(音響信号)の情報を、複数の超指向性スピーカに振り分ける観点が帯域分割のものである。
図11は、第6の実施形態に係る音響再生装置10Eの構成を示すブロック図である。図11において、第1の実施形態に係る図3や第5の実施形態に係る図9との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
図11において、第6の実施形態の音響再生装置10Eは、第1の実施形態の音響再生装置10に比較すると、音響信号分割部12が音響信号分岐部23に置き換えられ、音響信号分配部13が音響帯域制限部25に置き換えられている。
音響信号分岐部23は、第5の実施形態のものと同様に、入力された音響信号を超指向性スピーカSP1〜SPNの数に分岐するものである。以下では、各分岐音響信号のレベルは、入力された音響信号のレベルと同じであるとして説明する。
音響帯域制限部25は、各分岐音響信号に対して、超指向性スピーカSP1〜SPN毎に定まっている帯域制限を行って、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号(音響信号成分)を形成するものである。音響帯域制限部25は、例えば、超指向性スピーカSP1〜SPNの数Nと同じ数のデジタルフィルタ(低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、高域通過フィルタのいずれかとして機能する;低域通過フィルタ又は高域通過フィルタに代えて帯域通過フィルタを適用するようにしても良い)を備え、各分岐音響信号を対応するデジタルフィルタを通過させることで異なる帯域成分だけを有する第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号を形成する。第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号の帯域が異なるが、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号の全ての帯域を併せると、当初の音響信号(再生音源)が有する全帯域をカバーするように、音響帯域制限部25は、帯域制限処理を行う。上述したデジタルフィルタの部分は、アナログ的なフィルタを適用するようにしても良い。
上記では、帯域制限フィルタを用いて、担当帯域が異なる第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号(音響信号成分)を形成するものを示したが、他の方法によって、担当帯域が異なる第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号を形成するようにしても良い。例えば、FFT(高速フーリエ変換)を利用して、担当帯域が異なる第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号を形成するようにしても良い。
図12は、FFT(高速フーリエ変換)を利用する変形例の音響再生装置の一部構成を示すブロック図である。図12は、音響信号入力部11から遅延器16に至るまでの構成を示しており、遅延器16以降の構成は、図11と同様である。
図12に示す音響再生装置10Fは、音響信号入力部11から遅延器16までの間に、FFT処理部26、FFTポイント分配部27及び逆FFT処理部28を有する。
FFT処理部26は、入力された音響信号(再生音源)をFFTにより周波数軸上の信号(以下、FFT信号と呼ぶ)に変換するものである。ここで、例えば、FFT信号のFFTポイント数は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPNの数Nの整数倍が好ましい。
FFTポイント分配部27は、FFT信号の全てのポイントをN個に分配し、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用のFFT信号を形成する。例えば、FFT処理部26によって得られたFFT信号のポイント数がp×Nの場合、FFTポイント分配部27は、p×Nポイントから抽出したpポイントの情報により、第1の超指向性スピーカSP1用のFFT信号を形成し、残ったp×(N−1)ポイントから抽出したpポイントの情報により、第2の超指向性スピーカSP1用のFFT信号を形成し、以下、同様にして、第3〜第Nの超指向性スピーカSP3〜SPN用のFFT信号を形成する。ここで、抽出するpポイントは、連続するpポイントであっても良く、飛び飛びで計pポイントであっても良い。
逆FFT処理部28は、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用のFFT信号のそれぞれに対して、逆FFT処理を施して、第1〜第Nの超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号(音響信号成分)を得る。
遅延算出部14、空間座標データ保持部15、遅延器16及び音響信号出力部17は、第1の実施形態のものと同様である。
帯域制限され、さらに、遅延が付与された各超指向性スピーカSP1〜SPN用の音響信号が、対応する超指向性スピーカSP1〜SPNから放音されたとする。
各超指向性スピーカSP1〜SPNから放音された全ての帯域制限されている音響は再生エリアで重なり、再生エリアにいる聴取者は、全ての帯域制限されている音響を聴取することができる。再生エリアに到達した音響の一つ一つは担当帯域は異なるが、全ての音響を併せた帯域は当初の再生音源の帯域と同様であるので、その結果、聴取者は、当初の再生音源と同じ情報を聴取することができる。
再生エリア以外の他のエリアのうち、超指向性スピーカSP1〜SPNのいずれか一つの指向性の方向上にあるエリアでは、一つの音響を聴取することができる。しかし、聴取される音響は、一部の帯域しか備えないので、聴取しても、当初の再生音源が有する情報を聴取者は認識することができない。
上記では、第1の実施形態の構成をベースとし、第6の実施形態の特徴を導入したものを示したが、第1の実施形態以外の既述した実施形態の構成をベースとし、第6の実施形態の特徴を導入するようにしても良い。
(H)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
上記各実施形態では、超指向性スピーカへの音響信号を形成する分割方法が、時分割、音量分割、帯域分割のいずれかであるものを示したが、これら3種類の分割方法の2以上を組み合わせる分割方法を適用するようにしても良い。例えば、N個の超指向性スピーカを2つのグループに分け、各グループの音響信号を時分割によってそれぞれ形成し、グループ内の超指向性スピーカ用の音響信号を、音量分割若しくは帯域分割によって形成するようにしても良い。
上記各実施形態では、再生エリアを通過した音響ビーム(複数の再生エリアを通過する音響ビームの場合は最後の再生エリアを通過した音響ビーム)に対して、何ら処理を施さないものであったが、不要な反射を防止すべく、吸音部材に音響ビームを衝突させるようにしても良い。
上記各実施形態では、全てのスピーカに超指向性スピーカを適用したものを示したが、適用するスピーカは、超指向性スピーカに限定されるものではない。例えば、全指向性の一般的なスピーカを適用することができる。ここで、全てのスピーカを一般的なスピーカとしても良く、超指向性スピーカと一般的なスピーカとが混在するようにしても良い。後者の場合においては、伝達情報の分配比率が超指向性スピーカと一般的なスピーカとで異なるようにしても良い。例えば、超指向性スピーカと一般的なスピーカとが1個ずつの場合における時分割分配において、分配された総時間が超指向性スピーカと一般的なスピーカとで2対1にするようにしても良い。
上記各実施形態では、再生エリアにいる者(聴取者)に情報を伝達する用途の場合を説明したが、他の目的のために、再生エリアに音響信号を再生させるようにしても良い。例えば、再生音源として、人間(若しくは他の動物)が不快感を感じていたたまれないものを適用し、再生エリアにいる人間、再生エリアに入ってきた人間等を、他のエリアに移動させるために、本発明の音響再生装置を適用するようにしても良い。
SP1〜SPN…超指向性スピーカ、MIC…雑音捕捉用マイクロホン、10、10A〜10E…音響再生装置、11…音響信号入力部、12…音響信号分割部、13…音響信号分配部、14…遅延算出部、15…空間座標データ保持部、16…遅延器、17…音響信号出力部、18…音響信号混合部、19…背景雑音収音部、20…雑音データ保持部、21…雑音混合部、22…音響信号減衰部、23…音響信号分岐部、24…段階ゲイン乗算部、25…音響帯域制限部、26…FFT処理部、27…FFTポイント分配部、28…逆FFT処理部。
Claims (7)
- 与えられた当該スピーカ用の音響信号に基づいて放音動作して音響を送出する、送出した音響が所定の再生エリアを通過する複数のスピーカと、
上記再生エリアに伝達すべき入力された再生音源から、当該再生音源の一部の情報を含む、上記各スピーカ用の音響信号であって、全ての上記スピーカ用の音響信号が重畳したと仮定したときに上記再生音源と等価な信号が得られる、上記各スピーカ用の音響信号を形成するスピーカ別信号形成手段と、
上記スピーカ別信号形成手段が形成した上記各スピーカ用の音響信号をそれぞれ、対応する上記スピーカに与えて放音させるスピーカ別信号出力手段とを有し、
上記スピーカ別信号形成手段は、上記再生音源を少なくとも時間軸方向に分割し、分割により得られた再生音源区間を分配することにより、上記各スピーカ用の音響信号を形成する
ことを特徴とする音響再生装置。 - 上記スピーカ別信号形成手段は、時間軸方向の分割点近傍でクロスフェードを掛けることを特徴とする請求項1に記載の音響再生装置。
- 上記スピーカ別信号形成手段は、上記各スピーカから放音された音響が上記再生エリアに到達するタイミングが同期するように、形成した少なくとも一部の上記各スピーカ用の音響信号の位相を操作するタイミング調整部を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響再生装置。
- 上記スピーカ別信号形成手段は、上記各スピーカから放音された音響が上記再生エリアに到達して合成された際には、合成音響が背景雑音から浮かび上がるように、形成した上記各スピーカ用の音響信号に背景雑音の成分を混合するスピーカ別雑音混合部を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音響再生装置。
- 上記スピーカ別信号形成手段は、上記各スピーカから放音された音響が上記再生エリアに到達して合成された際には、合成音響が背景雑音から浮かび上がるように、再生エリアを含む空間の背景雑音のレベルに応じて、形成した上記各スピーカ用の音響信号を減衰する音響信号減衰部を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音響再生装置。
- いずれかの上記スピーカから送出された音響を反射させ、上記再生エリアに進行させる反射部材をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の音響再生装置。
- 与えられた当該スピーカ用の音響信号に基づいて放音動作して音響を送出する、送出した音響が所定の再生エリアを通過する複数のスピーカにそれぞれ与える音響信号を形成する装置に搭載されたコンピュータを、
上記再生エリアに伝達すべき入力された再生音源から、当該再生音源の一部の情報を含む、上記各スピーカ用の音響信号であって、全ての上記スピーカ用の音響信号が重畳したと仮定したときに上記再生音源と等価な信号が得られる、上記各スピーカ用の音響信号を形成するものであって、上記再生音源を少なくとも時間軸方向に分割し、分割により得られた再生音源区間を分配することにより、上記各スピーカ用の音響信号を形成するスピーカ別信号形成手段と、
上記スピーカ別信号形成手段が形成した上記各スピーカ用の音響信号をそれぞれ、対応する上記スピーカに与えて放音させるスピーカ別信号出力手段と
して機能させることを特徴とする音響再生プログラム。
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