(実施例1)
図1は、実施例1の光偏向装置10の各構成要素の配置を概念的に示す斜視図である。図1に示すように、光偏向装置10は、第1電磁石20と、第2電磁石40と、ミラー支持部30とを備えている。尚、図1では、ミラー支持部30の詳細な構造は図示を省略している。
図1に示すように、第1電磁石20は、C字形状の鉄心201と、鉄心201に巻き付けられている第1コイル203a,203bを備えている。鉄心201は、x軸方向においてミラー支持部30を挟んで対向する第1磁極部201aと第2磁極部201bとを備えている。第1磁極部201aの面と第2磁極部201bの面とは同じ面積であり、y軸に平行な2辺とz軸に平行な2辺によって囲まれた長方形状であり、x軸に対して垂直である。
第2電磁石40は、C字形状の鉄心401と、鉄心401に巻き付けられている第2コイル403a,403bを備えている。鉄心401は、y軸方向においてミラー支持部30を挟んで対向する第1磁極部401aと第2磁極部401bとを備えている。第1磁極部401aの面と第2磁極部401bの面とは同じ面積であり、x軸に平行な2辺とz軸に平行な2辺によって囲まれた長方形状であり、y軸に対して垂直である。
第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に、主としてx軸方向に磁束が発生する。第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に、主としてy軸方向に磁束が発生する。
第1電磁石20の第1磁極部201aの面の中心と第2磁極部201bの面の中心、および第2電磁石40の第1磁極部401aの面の中心と第2磁極部401bの面の中心は、いずれもz軸に対して垂直な同一平面内に位置している。
図2は、図1に示す光偏向装置10のミラー支持部30の近傍を示す平面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図であり、図4は、図2のIV−IV線断面図である。図2〜図4に示すように、ミラー支持部30は、中心基板301と、中心基板301から伸びている1対の第1ねじり梁303a,303bと、1対の第1ねじり梁303a,303bによって支持されている第1傾動部305と、第1傾動部305から伸びている1対の第2ねじり梁309a,309bと、1対の第2ねじり梁309a,309bによって支持されている第2傾動部311と、第2傾動部311の上面に固定されているミラー315とを備えている。図2に図示されているミラー支持部30の構造は、例えば半導体基板を材料として、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって一体に形成することができる。ミラー支持部30は、図1に示す第1電磁石20および第2電磁石40に対して、ミラー315が向いている方向がz軸の正方向となるように配置される。ミラー支持部30は、中心基板301に固定されている下部基板302と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bを備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。中心基板301と延在部302cとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302bは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bは、延在部302cに設置されている。延在部302cの第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bが設置される面は、第1電磁石20の第1磁極部201aの面の中心と第2磁極部201bの面の中心、および第2電磁石40の第1磁極部401aの面の中心と第2磁極部401bの面の中心を含む平面に一致するように配置されている。第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bは、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bzを検出し、Bzに比例する電圧を外部に設けられた演算回路(図示しない)に出力する。第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bは、半導体製造技術を用いて、延在部302cに形成したものであってもよい。
図2に示すように、本実施例の光偏向装置10は、中心基板301と第1ねじり梁303aの接続点と、中心基板301と第1ねじり梁303bの接続点を結ぶ線がy軸方向と一致し、第1傾動部305と第2ねじり梁309aの接続点と,第1傾動部305と第2ねじり梁309bの接続点を結ぶ線がx軸方向と一致するように、構成されている。xy平面に直交する方向はz軸方向と一致しており、第2傾動部311のz軸が正となる上面側にミラー315が設置されている。
第1ねじり梁303a,303bは、中心基板301からy軸方向に伸びているとともに、第1傾動部305に連接している。第2ねじり梁309a,309bは、第1傾動部305からx軸方向に伸びているとともに、第2傾動部311に連接している。y軸とx軸は基板に平行な面内で直交している。第1ねじり梁303a,303bおよび第2ねじり梁309a,309bが捩れていない状態であって、第1傾動部305、第2傾動部311が中心基板301および下部基板302に対して傾いていない場合に、y軸とx軸が直交する面と、第1傾動部305、第2傾動部311とは平行となる。
第1傾動部305は、第1ねじり梁303a,303bによって、中心基板301に対してy軸(第1傾動軸)を中心に傾動可能に支持されており、第2傾動部311は、第2ねじり梁309a,309bによって、第1傾動部305に対してx軸(第2傾動軸)を中心に傾動可能に支持されている。これによって、第2傾動部311は、中心基板301に対して、y軸(第1傾動軸)とx軸(第2傾動軸)の周りに独立に傾動することが可能となっている。
第1傾動部305には、x軸について互いに対称となる位置に第1磁石307a,307bが固定されており、第2傾動部311には、y軸について互いに対称となる位置に第2磁石313a,313bが固定されている。第1磁石307a,307b、第2磁石313a,313bは、ネオジム磁石(Nd2Fe14B)等を材料とする永久磁石で構成されている。ネオジム磁石に代えて、サマリウムコバルト磁石(SmCo5(1−5系)、Sm2Co17(2−17系)等)や、フェライト磁石を用いることもできる。第1磁石307aと307bは、同一の大きさで、同一形状である。第2磁石313aと313bは、同一の大きさで、同一形状である。第1磁石307a,307bは、第1電磁石20の第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に位置している。第2磁石313a,313bは、第2電磁石40の第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に位置している。
第1磁石307a,307bは、第1傾動部305をz軸方向に貫通している。第2磁石313a,313bは、第2傾動部311をz軸方向に貫通している。第1磁石307a,307bの側面と第1傾動部305との間には接着剤が塗布されており、接着剤の接着力によって、第1磁石307a,307bは第1傾動部305に固定されている。同様に、第2磁石313a,313bは、接着剤によって第2傾動部311に固定されている。第1磁石307a,307bおよび第2磁石313a,313bは、z軸の正方向(ミラー315が設置されている側であり、中心基板301の上面側)がN極であり、z軸の負方向(中心基板301の下面側)がS極となるように固定されている。
図1に示す第1電磁石20の第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁極部201aと第2磁極部201bとの間に主としてx軸方向に伸びる磁界が発生し、この間に設置されているミラー支持部30の第1磁石307a、307bに対して、磁気力が作用する。これによって、第1ねじり梁303a、303bがy軸の周りに捩れる。
第1磁極部201aと第2磁極部201bの間に発生するx軸方向の磁束は、第2磁石313a,313bにも、第2傾動部311をy軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第2ねじり梁309a,309bはx軸の周りには容易に捩れる一方で、y軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第2傾動部311に生じるトルクによって第2ねじり梁309a,309bが変形して第2傾動部311が第1傾動部305に対して傾くことがない。第1傾動部305に生じるトルクと、第2傾動部311に生じるトルクは同じ方向であるため、第1傾動部305と第2傾動部311の全体が一体となって、第1ねじり梁303a、303bの周りに傾動する。第1傾動部305と、第2ねじり梁309a,309bと、第2傾動部311と、ミラー315とが一体となってy軸の周りに傾動する。
例えば、第1磁極部201aがN極、第2磁極部201bがS極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1磁石307a,307bのN極は、第1磁極部201aから斥力を受け、第2磁極部201bから引力を受ける。第1磁石307a,307bのS極は、第1磁極部201aから引力を受け、第2磁極部201bから斥力を受ける。その結果、第1ねじり梁303a、303bが捩れ、第1傾動部305と、第2ねじり梁309a,309bと、第2傾動部311と、ミラー315は、第1磁極部201a側が上方に傾き、第2磁極部201b側が下方に傾く。逆に、第1磁極部201aがS極、第2磁極部201bがN極となるように第1コイル203a,203bに電流を流すと、第1傾動部305と、第2ねじり梁309a,309bと、第2傾動部311と、ミラー315は、第1磁極部201a側が下方に傾き、第2磁極部201b側が上方に傾く。
図1に示す第2電磁石40の第2コイル403a,403bに電流を流すと、第1磁極部401aと第2磁極部401bとの間に主としてy軸方向に磁束が発生し、この間に設置されている第2磁石313a、313bに対して、磁気力が作用する。これによって、第2ねじり梁309a、309bが捩れ、第2傾動部311と、ミラー315とが一体となってx軸の周りに傾動する。
第1磁極部401aと第2磁極部401bの間に発生するy軸方向の磁束は、第1磁石307a,307bにも、第1傾動部305をx軸の周りに回転させるトルクを発生させる。第1ねじり梁303a,303bはy軸の周りには容易に捩れる一方で、x軸周りに回転させるトルクに対しては変形しにくく設計されている。このため、第1傾動部305に生じるトルクによって、第1ねじり梁303a,303bが変形して第1傾動部305が中心基板301にx軸の周りに傾くことはない。
例えば、第2電磁石40の第1磁極部401aがN極、第2磁極部401bがS極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2磁石313a,313bのN極は、第1磁極部401aから斥力を受け、第2磁極部401bから引力を受ける。その結果、第2ねじり梁309a、309bが捩れ、第2傾動部311と、ミラー315は、第1磁極部401aの側が上方に傾き、第2磁極部401bの側が下方に傾く。逆に、第1磁極部401aがS極、第2磁極部401bがN極となるように第2コイル403a,403bに電流を流すと、第2傾動部311と、ミラー315とは、第1磁極部401aの側が下方に傾き、第2磁極部401bの側が上方に傾く。
第1磁気センサ510aおよび第3磁気センサ520aは、第2磁石313aの近傍に配置されており、第2磁石313aからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ510aと第3磁気センサ520aは、第2磁石313aを挟んで、第1傾動軸(y軸)に垂直であり第2傾動軸(x軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第2磁気センサ510bおよび第4磁気センサ520bは、第2磁石313bの近傍に配置されており、第2磁石313bからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第2磁気センサ510bと第4磁気センサ520bは、第2磁石313bを挟んで、第1傾動軸(y軸)に垂直であり第2傾動軸(x軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bには、x軸方向の定電流が流れており、z軸方向の磁界が作用すると、y軸方向に電圧が発生する。y軸方向に発生した電圧を検出することによって、z軸方向の磁束密度を検出することができる。
図5は、ホール素子である第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bの動作原理を説明する図である。ホール素子の厚さがdHであり、ホール素子をx軸方向に流れる定電流がIcである場合に、ホール素子の位置においてz軸方向の磁束密度成分がBzである磁束が発生すると、ホール素子のy軸方向の両端に、下記の式(1)に示すホール電圧VHが発生する。
ここで、RHはホール定数であり、電子の電荷e、ホール素子のキャリア濃度nを用いて、RH=1/(en)と表すことができる。
図6に示すように、第1傾動部305および第2傾動部311が中心基板301に対してy軸の周りに傾動すると、第2磁石313aは第1磁気センサ510a、第3磁気センサ520aに近づき、第2磁石313bは第2磁気センサ510b、第4磁気センサ520bから遠ざかる。これによって、第1磁気センサ510aおよび第3磁気センサ520aで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bzは増大し、第2磁気センサ510bおよび第4磁気センサ520bで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bzは減少する。
図7に示すように、第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対してx軸の周りに傾動すると、第2磁石313aの磁化方向に沿って伸びる軸は、第1磁気センサ510aに近づき、第3磁気センサ520aから遠ざかる方向に傾く。同様に、第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対してx軸の周りに傾動すると、第2磁石313bの磁化方向に沿って伸びる軸は、第2磁気センサ510bに近づき、第4磁気センサ520bから遠ざかる方向に傾く。これによって、第1磁気センサ510aおよび第2磁気センサ510bで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bzは増大し、第3磁気センサ520aおよび第4磁気センサ520bで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bzは減少する。
第2傾動部311が中心基板301に対してx軸およびy軸のそれぞれの周りに同時に傾動すると、第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bでの検出値は、x軸周りの傾動とy軸周りの傾動の双方の影響を受けて変動する。本実施例の光偏向装置10では、第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bz1、Bz2、Bz3、Bz4を組み合わせて用いることで、x軸周りの傾動角度とy軸周りの傾動角度を独立して検出することができる。以下では第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bで検出されるz軸方向の磁束密度成分Bz1、Bz2、Bz3、Bz4を、単にそれぞれの磁気センサの検出値と表記する。
x軸周りの傾動角度φを検出する際には、y軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ510aでの検出値Bz1と第3磁気センサ520aでの検出値Bz3の差分Bz1−Bz3を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。同様に、第2磁気センサ510bでの検出値Bz2と第4磁気センサ520bでの検出値Bz4の差分(Bz2−Bz4)を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。しかしながら、図6に関連して説明したように、第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りにも傾動している場合、第1磁気センサ510aでの検出値Bz1および第3磁気センサ520aでの検出値Bz3は増加するように影響を受けており、第2磁気センサ510bでの検出値Bz2および第4磁気センサ520bでの検出値Bz4は減少するように影響を受けている。従って、演算回路によって上記した2つの差分Bz1−Bz3、Bz2−Bz4の和を算出することで、y軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置10では、第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)に基づいて、x軸周りの傾動角度φを検出することができる。
上記のようにx軸周りの傾動角度φを検出する際には、評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響についても排除することができる。ここで用いる基準値は、第2傾動部311のx軸およびy軸周りの傾動に起因しては大きく変動しないが、第2磁石313a、313bの温度に起因して変動するものを用いる。このような基準値としては、例えばBz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値を用いることができる。演算回路によって上記のような演算を行うことによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響についても排除することができる。
y軸周りの傾動角度θを検出する際には、x軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ510aでの検出値Bz1と第2磁気センサ510bでの検出値Bz2の差分Bz1−Bz2を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。同様に、第3磁気センサ520aでの検出値Bz3と第4磁気センサ520bでの検出値Bz4の差分(Bz3−Bz4)を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。しかしながら、図7に関連して説明したように、第2磁石313aが発生させる磁束に関しては、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第1磁気センサ510aでの検出値Bz1は増加し、第3磁気センサ520aでの検出値Bz3は減少する。同様に、第2磁石313bが発生させる磁束に関しては、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第2磁気センサ510bでの検出値Bz2は増加し、第4磁気センサ520bでの検出値Bz4は減少する。従って、演算回路によって上記した2つの差分Bz1−Bz2、Bz3−Bz4の和を算出することで、x軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置10では、第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)に基づいて、y軸周りの傾動角度θを検出することができる。
上記のようにy軸周りの傾動角度θを検出する際にも、評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などの基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響を排除することができる。
なお、本実施例の光偏向装置10では、第1磁気センサ510a、第2磁気センサ510b、第3磁気センサ520a、第4磁気センサ520bが、第1電磁石20および第2電磁石40のz軸方向の中央の高さに配置されている。従って、第1電磁石20および第2電磁石によって発生する磁束のz軸方向の密度成分を検出することがない。
(実施例2)
以下では実施例2の光偏向装置12について、実施例1の光偏向装置10と相違する箇所を中心に説明する。実施例1の光偏向装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図8は、実施例2の光偏向装置12のミラー支持部32の近傍を示す平面図であり、図9は、図8のIX−IX線断面図であり、図10は、図8のX−X線断面図である。図8〜図10に示すように、本実施例のミラー支持部32は、中心基板301に固定されている下部基板302および上部基板304と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ530aおよび第3磁気センサ540aと、上部基板304に設置されている第2磁気センサ540bおよび第4磁気センサ530bを備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。上部基板304は、枠体部304aと、枠体部304aに固定された延在部304bとを備えている。図10に示すように、上部基板304の延在部304bには、ミラー315への投射光とミラー315からの反射光が通過する開口が形成されている。延在部304bの開口は、ミラー315が第2傾動部311とともに傾動した場合でもミラー315への投射光とミラー315からの反射光が延在部304bに遮られることがないように、十分な大きさに形成されている。中心基板301と延在部302c、304bとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302b、304aは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540b、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bは、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bzを検出し、Bzに比例する電圧を外部の演算回路(図示しない)に出力する。
第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540b、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bは、いずれも第2磁石313aの近傍に配置されており、第2磁石313aからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ530aと第2磁気センサ540bは、第2傾動軸(x軸)に関して対称な位置に配置されている。第3磁気センサ540aと第4磁気センサ530bも、第2傾動軸(x軸)に関して対称な位置に配置されている。第1磁気センサ530aと第3磁気センサ540aは、第1傾動軸(y軸)に垂直であり第2傾動軸(x軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第2磁気センサ540bと第4磁気センサ530bは、第1傾動軸(y軸)に垂直であり第2傾動軸(x軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。以下では第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540b、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bで検出されるz軸方向の磁束密度成分を、単にそれぞれの磁気センサの検出値と表記し、それぞれBz1、Bz2、Bz3、Bz4と表記する。
第1傾動部305および第2傾動部311が中心基板301に対して第1傾動軸(y軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aは第1磁気センサ530a、第3磁気センサ540aに近づき、第2磁気センサ540b、第4磁気センサ530bから遠ざかる。これによって、第1磁気センサ530aおよび第3磁気センサ540aの検出値Bz1,Bz3は増大し、第2磁気センサ540bおよび第4磁気センサ530bの検出値Bz2,Bz4は減少する。
第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対して第2傾動軸(x軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aの磁化方向に沿って伸びる軸は、第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540bに近づき、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bから遠ざかる方向に傾く。これによって、第1磁気センサ530aおよび第2磁気センサ540bの検出値Bz1,Bz2は増大し、第3磁気センサ540aおよび第4磁気センサ530bの検出値Bz3,Bz4は減少する。
x軸周りの傾動角度φを検出する際には、y軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ530aでの検出値Bz1と第3磁気センサ540aでの検出値Bz3の差分Bz1−Bz3を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。同様に、第2磁気センサ540bでの検出値Bz2と第4磁気センサ530bでの検出値Bz4の差分(Bz2−Bz4)を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りにも傾動している場合、第1磁気センサ530aでの検出値Bz1および第3磁気センサ540aでの検出値Bz3は増加するように影響を受けており、第2磁気センサ540bでの検出値Bz2および第4磁気センサ530bでの検出値Bz4は減少するように影響を受けている。従って、演算回路によって上記した2つの差分Bz1−Bz3、Bz2−Bz4の和を算出することで、y軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置12では、第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540b、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)に基づいて、x軸周りの傾動角度φを検出することができる。
上記のようにx軸周りの傾動角度φを検出する際には、評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の基準値で除することによって、第2磁石313aの温度依存性の影響についても排除することができる。ここで用いる基準値としては、例えばBz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などを用いることができる。
y軸周りの傾動角度θを検出する際には、x軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ530aでの検出値Bz1と第2磁気センサ540bでの検出値Bz2の差分Bz1−Bz2を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。同様に、第3磁気センサ540aでの検出値Bz3と第4磁気センサ530bでの検出値Bz4の差分(Bz3−Bz4)を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第1磁気センサ530aでの検出値Bz1および第2磁気センサ540bでの検出値Bz2は増加し、第3磁気センサ540aでの検出値Bz3および第4磁気センサ530bでの検出値Bz4は減少する。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz2、Bz3−Bz4の和を算出することで、x軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置12では、第1磁気センサ530a、第2磁気センサ540b、第3磁気センサ540a、第4磁気センサ530bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)に基づいて、y軸周りの傾動角度θを検出することができる。
上記のようにy軸周りの傾動角度θを検出する際にも、評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などの基準値で除することによって、第2磁石313aの温度依存性の影響を排除することができる。
(実施例3)
以下では実施例3の光偏向装置14について、実施例1の光偏向装置10と相違する箇所を中心に説明する。実施例1の光偏向装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図11は、実施例3の光偏向装置14のミラー支持部34の近傍を示す平面図であり、図12は、図11のXII−XII線断面図であり、図13は、図11のXIII−XIII線断面図である。図11〜図13に示すように、本実施例のミラー支持部34は、中心基板301に固定されている下部基板302および上部基板304と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ550aおよび第4磁気センサ550bと、上部基板304に設置されている第2磁気センサ560aおよび第3磁気センサ560bを備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。上部基板304は、枠体部304aと、枠体部304aに固定された延在部304bとを備えている。図示は省略するが、実施例2と同様に、上部基板304の延在部304bには、ミラー315への投射光とミラー315からの反射光が通過する開口が形成されている。延在部304bの開口は、ミラー315が第2傾動部311とともに傾動した場合でもミラー315への投射光とミラー315からの反射光が延在部304bに遮られることがないように、十分な大きさに形成されている。中心基板301と延在部302c、304bとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302b、304aは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ550a、第2磁気センサ560b、第3磁気センサ560a、第4磁気センサ550bは、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bzを検出し、Bzに比例する電圧を外部の演算回路(図示しない)に出力する。
第1磁気センサ550a、第2磁気センサ560aは、第2磁石313aの近傍に配置されており、第2磁石313aからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ550aと第2磁気センサ560aは、第2傾動軸(x軸)に関して対称な位置に配置されている。第3磁気センサ560b、第4磁気センサ550bは、第2磁石313bの近傍に配置されており、第2磁石313bからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第3磁気センサ560bと第4磁気センサ550bは、第2傾動軸(x軸)に関して対称な位置に配置されている。第1磁気センサ550aと第3磁気センサ560bは、第1傾動軸(y軸)に関して対称な位置に配置されている。第2磁気センサ560aと第4磁気センサ550bは、第1傾動軸(y軸)に関して対称な位置に配置されている。以下では第1磁気センサ550a、第2磁気センサ560a、第3磁気センサ560b、第4磁気センサ550bで検出されるz軸方向の磁束密度成分を、単にそれぞれの磁気センサの検出値と表記し、それぞれBz1、Bz2、Bz3、Bz4と表記する。
第1傾動部305および第2傾動部311が中心基板301に対して第1傾動軸(y軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aは第1磁気センサ550aに近づき、第2磁気センサ560aから遠ざかる。また、第2磁石313bは第3磁気センサ560bに近づき、第4磁気センサ550bから遠ざかる。これによって、第1磁気センサ550aおよび第3磁気センサ560bの検出値Bz1,Bz3は増大し、第2磁気センサ560aおよび第4磁気センサ550bの検出値Bz2,Bz4は減少する。
第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対して第2傾動軸(x軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aの磁化方向に沿って伸びる軸は、第1磁気センサ550aおよび第2磁気センサ560aに近づく方向に傾く。また、第2磁石313bの磁化方向に沿って伸びる軸は、第3磁気センサ560b、第4磁気センサ550bから遠ざかる方向に傾く。これによって、第1磁気センサ550aおよび第2磁気センサ560aの検出値Bz1,Bz2は増大し、第3磁気センサ560bおよび第4磁気センサ550bの検出値Bz3,Bz4は減少する。
x軸周りの傾動角度φを検出する際には、y軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ550aでの検出値Bz1と第3磁気センサ560bでの検出値Bz3の差分Bz1−Bz3を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。同様に、第2磁気センサ560bでの検出値Bz2と第4磁気センサ550bでの検出値Bz4の差分(Bz2−Bz4)を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りにも傾動している場合、第1磁気センサ550aでの検出値Bz1および第3磁気センサ560bでの検出値Bz3は増加するように影響を受けており、第2磁気センサ560aでの検出値Bz2および第4磁気センサ550bでの検出値Bz4は減少するように影響を受けている。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz3、Bz2−Bz4の和を算出することで、y軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置14では、第1磁気センサ550a、第2磁気センサ560a、第3磁気センサ560b、第4磁気センサ550bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)に基づいて、x軸周りの傾動角度φを検出することができる。
上記のようにx軸周りの傾動角度φを検出する際には、評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響についても排除することができる。ここで用いる基準値としては、例えばBz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などを用いることができる。
y軸周りの傾動角度θを検出する際には、x軸周りの傾動に起因する検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ550aでの検出値Bz1と第2磁気センサ560aでの検出値Bz2の差分Bz1−Bz2を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。同様に、第3磁気センサ560bでの検出値Bz3と第4磁気センサ550bでの検出値Bz4の差分(Bz3−Bz4)を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第1磁気センサ550aでの検出値Bz1および第2磁気センサ560aでの検出値Bz2は増加し、第3磁気センサ560bでの検出値Bz3および第4磁気センサ550bでの検出値Bz4は減少する。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz2、Bz3−Bz4の和を算出することで、x軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置14では、第1磁気センサ550a、第2磁気センサ560a、第3磁気センサ560b、第4磁気センサ550bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)に基づいて、y軸周りの傾動角度θを検出することができる。
上記のようにy軸周りの傾動角度θを検出する際にも、評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などの基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響を排除することができる。
(実施例4)
以下では実施例4の光偏向装置16について、実施例1の光偏向装置10と相違する箇所を中心に説明する。実施例1の光偏向装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図14は、実施例4の光偏向装置16のミラー支持部36の近傍を示す平面図であり、図15は、図14のXV−XV線断面図であり、図16は、図14のXVI−XVI線断面図である。図14〜図16に示すように、本実施例のミラー支持部36は、中心基板301に固定されている下部基板302および上部基板304と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ570a、第2磁気センサ570bおよび第3磁気センサ580aと、上部基板304に設置されている第4磁気センサ580bを備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。上部基板304は、枠体部304aと、枠体部304aに固定された延在部304bとを備えている。図示は省略するが、実施例2と同様に、上部基板304の延在部304bには、ミラー315への投射光とミラー315からの反射光が通過する開口が形成されている。延在部304bの開口は、ミラー315が第2傾動部311とともに傾動した場合でもミラー315への投射光とミラー315からの反射光が延在部304bに遮られることがないように、十分な大きさに形成されている。中心基板301と延在部302c、304bとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302b、304aは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ570a、第2磁気センサ570b、第3磁気センサ580a、第4磁気センサ580bは、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bzを検出し、Bzに比例する電圧を外部の演算回路(図示しない)に出力する。
第1磁気センサ570a、第3磁気センサ580aおよび第4磁気センサ580bは、第2磁石313aの近傍に配置されており、第2磁石313aからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第2磁気センサ570bは、第2磁石313bの近傍に配置されており、第2磁石313bからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ570aと第2磁気センサ570bは、第2傾動軸(x軸)に垂直であり第1傾動軸(y軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第1磁気センサ570aと第3磁気センサ580aは、第2磁石313aを挟んで、第1傾動軸(y軸)に垂直であり第2傾動軸(x軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第3磁気センサ580aと第4磁気センサ580bは、第2傾動軸(x軸)に関して対称な位置に配置されている。第2磁気センサ570bと第4磁気センサ580bは、第1傾動軸(y軸)に関して対称な位置に配置されている。以下では第1磁気センサ570a、第2磁気センサ570b、第3磁気センサ580a、第4磁気センサ580bで検出されるz軸方向の磁束密度成分を、単にそれぞれの磁気センサの検出値と表記し、それぞれBz1、Bz2、Bz3、Bz4と表記する。
第1傾動部305および第2傾動部311が中心基板301に対して第1傾動軸(y軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aは第1磁気センサ570aおよび第3磁気センサ580aに近づき、第4磁気センサ580bから遠ざかる。また、第2磁石313bは第2磁気センサ570bから遠ざかる。これによって、第1磁気センサ570aおよび第3磁気センサ580aの検出値Bz1,Bz3は増大し、第2磁気センサ570bおよび第4磁気センサ580bの検出値Bz2,Bz4は減少する。
第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対して第2傾動軸(x軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aの磁化方向に沿って伸びる軸は、第1磁気センサ570aに近づき、第3磁気センサ580aおよび第4磁気センサ580bから遠ざかる方向に傾く。また、第2磁石313bの磁化方向に沿って伸びる軸は、第2磁気センサ570bに近づく方向に傾く。これによって、第1磁気センサ570aおよび第2磁気センサ570bの検出値Bz1,Bz2は増大し、第3磁気センサ580aおよび第4磁気センサ580bの検出値Bz3,Bz4は減少する。
x軸周りの傾動角度φを検出する際には、y軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ570aでの検出値Bz1と第3磁気センサ580aでの検出値Bz3の差分Bz1−Bz3を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。同様に、第2磁気センサ570bでの検出値Bz2と第4磁気センサ580bでの検出値Bz4の差分(Bz2−Bz4)を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りにも傾動している場合、第1磁気センサ570aでの検出値Bz1および第3磁気センサ580aでの検出値Bz3は増加するように影響を受けており、第2磁気センサ570bでの検出値Bz2および第4磁気センサ580bでの検出値Bz4は減少するように影響を受けている。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz3、Bz2−Bz4の和を算出することで、y軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置16では、第1磁気センサ570a、第2磁気センサ570b、第3磁気センサ580a、第4磁気センサ580bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)に基づいて、x軸周りの傾動角度φを検出することができる。
上記のようにx軸周りの傾動角度φを検出する際には、評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響についても排除することができる。ここで用いる基準値としては、例えばBz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などを用いることができる。
y軸周りの傾動角度θを検出する際には、x軸周りの傾動に起因する検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ570aでの検出値Bz1と第2磁気センサ570bでの検出値Bz2の差分Bz1−Bz2を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。同様に、第3磁気センサ580aでの検出値Bz3と第4磁気センサ580bでの検出値Bz4の差分(Bz3−Bz4)を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第1磁気センサ570aでの検出値Bz1および第2磁気センサ570bでの検出値Bz2は増加し、第3磁気センサ580aでの検出値Bz3および第4磁気センサ580bでの検出値Bz4は減少する。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz2、Bz3−Bz4の和を算出することで、x軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置16では、第1磁気センサ570a、第2磁気センサ570b、第3磁気センサ580a、第4磁気センサ580bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)に基づいて、y軸周りの傾動角度θを検出することができる。
上記のようにy軸周りの傾動角度θを検出する際にも、評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などの基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響を排除することができる。
(実施例5)
以下では実施例5の光偏向装置18について、実施例1の光偏向装置10と相違する箇所を中心に説明する。実施例1の光偏向装置10と同様の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図17は、実施例5の光偏向装置18のミラー支持部38の近傍を示す平面図であり、図18は、図17のXVIII−XVIII線断面図であり、図19は、図17のXIX−XIX線断面図である。図17〜図19に示すように、本実施例のミラー支持部38は、中心基板301に固定されている下部基板302および上部基板304と、下部基板302に設置されている第1磁気センサ590aおよび第2磁気センサ590bと、上部基板304に設置されている第3磁気センサ600aおよび第4磁気センサ600bを備えている。下部基板302は、上下に配置された枠体部302a,302bと、枠体部302aと枠体部302bとの間に挟みこむように固定された延在部302cとを備えている。上部基板304は、枠体部304aと、枠体部304aに固定された延在部304bとを備えている。図示は省略するが、実施例2と同様に、上部基板304の延在部304bには、ミラー315への投射光とミラー315からの反射光が通過する開口が形成されている。延在部304bの開口は、ミラー315が第2傾動部311とともに傾動した場合でもミラー315への投射光とミラー315からの反射光が延在部304bに遮られることがないように、十分な大きさに形成されている。中心基板301と延在部302c、304bとは、同じ材料基板(例えば、シリコン基板等の半導体基板)によって形成されている。枠体部302a,302b、304aは同じ材料基板(例えばガラスエポキシ基板等の絶縁性の基板)によって形成されている。第1磁気センサ590a、第2磁気センサ590b、第3磁気センサ600a、第4磁気センサ600bは、ホール素子であり、その設置位置に発生するz軸方向の磁束密度成分Bzを検出し、Bzに比例する電圧を外部の演算回路(図示しない)に出力する。
第1磁気センサ590aおよび第4磁気センサ600bは、第2磁石313aの近傍に配置されており、第2磁石313aからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第2磁気センサ590bおよび第3磁気センサ600aは、第2磁石313bの近傍に配置されており、第2磁石313bからの磁束のz軸方向の磁束密度を検出することができる位置および向きに設置されている。第1磁気センサ590aと第2磁気センサ590bは、第2傾動軸(x軸)に垂直であり第1傾動軸(y軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第3磁気センサ600aと第4磁気センサ600bは、第2傾動軸(x軸)に垂直であり第1傾動軸(y軸)を含む平面に関して対称な位置に配置されている。第1磁気センサ590aと第3磁気センサ600aは、第1傾動軸(y軸)に関して対称な位置に配置されている。第2磁気センサ590bと第4磁気センサ600bは、第1傾動軸(y軸)に関して対称な位置に配置されている。以下では第1磁気センサ590a、第2磁気センサ590b、第3磁気センサ600a、第4磁気センサ600bで検出されるz軸方向の磁束密度成分を、単にそれぞれの磁気センサの検出値と表記し、それぞれBz1、Bz2、Bz3、Bz4と表記する。
第1傾動部305および第2傾動部311が中心基板301に対して第1傾動軸(y軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aは第1磁気センサ590aに近づき、第4磁気センサ600bから遠ざかる。また、第2磁石313bは第3磁気センサ600aに近づき、第2磁気センサ590bから遠ざかる。これによって、第1磁気センサ590aおよび第3磁気センサ600aの検出値Bz1,Bz3は増大し、第2磁気センサ590bおよび第4磁気センサ600bの検出値Bz2,Bz4は減少する。
第2傾動部311が中心基板301および第1傾動部305に対して第2傾動軸(x軸)の周りに傾動すると、第2磁石313aの磁化方向に沿って伸びる軸は、第1磁気センサ590aに近づき、第4磁気センサ600bから遠ざかる方向に傾く。また、第2磁石313bの磁化方向に沿って伸びる軸は、第2磁気センサ590bに近づき、第3磁気センサ600aから遠ざかる方向に傾く。これによって、第1磁気センサ590aおよび第2磁気センサ590bの検出値Bz1,Bz2は増大し、第3磁気センサ600aおよび第4磁気センサ600bの検出値Bz3,Bz4は減少する。
x軸周りの傾動角度φを検出する際には、y軸周りの傾動に起因する各磁気センサの検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ590aでの検出値Bz1と第3磁気センサ600aでの検出値Bz3の差分Bz1−Bz3を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。同様に、第2磁気センサ590bでの検出値Bz2と第4磁気センサ600bでの検出値Bz4の差分(Bz2−Bz4)を算出することで、x軸周りの傾動角度φを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してy軸周りにも傾動している場合、第1磁気センサ590aでの検出値Bz1および第3磁気センサ600aでの検出値Bz3は増加するように影響を受けており、第2磁気センサ590bでの検出値Bz2および第4磁気センサ600bでの検出値Bz4は減少するように影響を受けている。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz3、Bz2−Bz4の和を算出することで、y軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置18では、第1磁気センサ590a、第2磁気センサ590b、第3磁気センサ600a、第4磁気センサ600bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)に基づいて、x軸周りの傾動角度φを検出することができる。
上記のようにx軸周りの傾動角度φを検出する際には、評価値(Bz1−Bz3)+(Bz2−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響についても排除することができる。ここで用いる基準値としては、例えばBz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などを用いることができる。
y軸周りの傾動角度θを検出する際には、x軸周りの傾動に起因する検出値の増減の影響を排除する必要がある。第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動していない場合には、第1磁気センサ590aでの検出値Bz1と第2磁気センサ590bでの検出値Bz2の差分Bz1−Bz2を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。同様に、第3磁気センサ600aでの検出値Bz3と第4磁気センサ600bでの検出値Bz4の差分(Bz3−Bz4)を算出することで、y軸周りの傾動角度θを感度良く検出することができる。しかしながら、上述したように、第2傾動部311が中心基板301に対してx軸周りに傾動すると、第1磁気センサ590aでの検出値Bz1および第2磁気センサ590bでの検出値Bz2は増加し、第3磁気センサ600aでの検出値Bz3および第4磁気センサ600bでの検出値Bz4は減少する。従って、上記した2つの差分Bz1−Bz2、Bz3−Bz4の和を算出することで、x軸周りの傾動の影響を相殺することができる。すなわち、本実施例の光偏向装置18では、第1磁気センサ590a、第2磁気センサ590b、第3磁気センサ600a、第4磁気センサ600bのそれぞれの検出値を組み合わせた評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)に基づいて、y軸周りの傾動角度θを検出することができる。
上記のようにy軸周りの傾動角度θを検出する際にも、評価値(Bz1−Bz2)+(Bz3−Bz4)を、Bz1、Bz2、Bz3、Bz4の平均値などの基準値で除することによって、第2磁石313a、313bの温度依存性の影響を排除することができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上記の実施例では、一対の第1ねじり梁303a、303bによって第1傾動部305が支持されている構成について説明したが、単一の第1ねじり梁によって第1傾動部305が支持されている構成とすることもできる。同様に、上記の実施例では、一対の第2ねじり梁309a、309bによって第2傾動部311が支持されている構成について説明したが、単一の第2ねじり梁によって第2傾動部311が支持されている構成とすることもできる。
上記の実施例では、傾動角度を検出するために用いる磁束源として、第2傾動部311をy軸方向に傾動させるアクチュエータを構成する第2磁石313a、313bを用いている。これとは異なり、傾動角度を検出するための磁束源をアクチュエータとは別に設ける構成としてもよい。
上記の実施例では、傾動角度を検出するための磁束源として、永久磁石である第2磁石313a、313bを用いる場合について説明した。これとは異なり、傾動角度を検出するための磁束源としては、例えば鉄などの軟磁性体を磁化したものを用いてもよいし、傾動角度の検出時にのみ通電して磁束を発生させる電磁石を用いてもよい。
上記の実施例では、第1傾動部305および第2傾動部311を傾動させるアクチュエータとして、ミラー支持部30の外部に設けられた第1電磁石20、第2電磁石40と、第1傾動部305に設けられた第1磁石307a、307bと、第2傾動部311に設けられた第2磁石313a、313bを備える、いわゆるムービングマグネット方式のアクチュエータを用いる場合について説明した。これとは異なり、例えば第1電磁石20と第2電磁石40をそれぞれ永久磁石で置き換え、第1磁石307a、307bと第2磁石313a、313bをそれぞれ電磁石で置き換えた、いわゆるムービングコイル方式のアクチュエータを用いてもよい。あるいは、第1傾動部305および第2傾動部311を傾動させるアクチュエータとして、第1傾動部305および第2傾動部311のそれぞれに一対の可動電極を設け、下部基板302の延在部302cに各可動電極に対応した固定電極を設け、可動電極と固定電極の間に電圧を印加して静電引力によって第1傾動部305および第2傾動部311にトルクを印加する、いわゆる静電形のアクチュエータを用いても良い。あるいは、第2傾動部311の四方をピエゾ薄膜を介して中心基板301が支持する構成として、ピエゾ薄膜に電圧を印加することで第2傾動部311を傾動させる、いわゆるピエゾ形のアクチュエータを用いてもよい。上記のいずれの代替形態においても、第2傾動部311の傾動角度を検出するための磁束源は、アクチュエータとは別個に設けておく必要がある。
上記の実施例では、各磁気センサがz軸方向の磁束密度成分Bzを検出する構成について説明したが、第1傾動軸および第2傾動軸周りの傾動に伴って磁束密度成分が変動する方向であれば、他の方向の磁束密度成分を各磁気センサが検出する構成としてもよい。例えば、実施例1−実施例5の各構成において、各磁気センサがx軸方向の磁束密度成分Bxを検出する構成としても、第1傾動軸および第2傾動軸周りの傾動角度をそれぞれ検出することができるし、各磁気センサがy軸方向の磁束密度成分Byを検出する構成としても、第1傾動軸および第2傾動軸周りの傾動角度をそれぞれ検出することができる。なおこれらの場合には、各磁気センサが検出する磁束の極性が正反対となって磁気センサの検出値の正負が反転しないように、各磁気センサの配置方向に留意する必要がある。
上記の実施例では、磁気センサの一例としてホール素子を例示して説明したが、磁気センサの具体的な構成としてはこれに限定されない。例えば、磁気抵抗素子等のホール素子以外の磁気センサを用いることも可能である。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。