JP5702969B2 - 洗浄ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、洗浄ブラシに関し、更に詳しくは、洗浄ブラシのブラシ基板の材質として樹脂発泡体を採用することにより、洗浄水による腐食や劣化を防止し、且つ、軽量化がなされた洗浄ブラシに関する。
食品類(例えば、野菜や果物)を洗浄する洗浄ブラシとして、ロールブラシや平板ブラシ(図1、図2参照)が知られている。ロールブラシは、回転軸に円筒状のブラシ基板を取り付けブラシ基板にブラシ毛を植毛したものであり、平板ブラシは、直方体形状のブラシ基板にブラシ毛を植毛したものである。いずれにおいても、従来はブラシ基板の材質として安価な木材が使用されていた。
また、この種の従来技術として、特許文献1の洗浄ブラシが知られている。特許文献1の洗浄ブラシは、被洗浄面に付着した塵埃の清掃用ブラシであり、回転軸(又は基台)及びブラシ片より構成され、回転軸(又は基台)の表面には塗装皮膜が形成されている。特許文献1の洗浄ブラシは、塗装皮膜の材料として、油性塗料、繊維素誘導体塗料、合成樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、酒精塗料、電気絶縁塗料又は導電性塗料が適用可能であり、回転軸(基台)の材質として、木、紙、天然樹脂発泡体、合成樹脂発泡体、天然繊維、化学繊維、天然樹脂、合成樹脂、天然ゴム又は合成ゴムが適用可能である。この構成により、特許文献1の洗浄ブラシは、回転軸(基台)を軽量化し、水分が付着したり、所定時間放置したときであっても、劣化したり、錆が発生しないという効果が得られる。
特開2004−16773
しかしながら、従来の上記いずれの洗浄ブラシでも、それらのブラシ基板(回転軸や基台も含む)を木製とすると洗浄水がかかることにより基板が腐食し、強度低下やブラシ毛が抜けるという問題があった。そのため、従来の洗浄ブラシは、耐久性が悪く、ブラシ基板にカビが発生する等、衛生的ではないという問題があった。
また、特許文献1では、合成樹脂発泡体によって回転軸(基台)を構成する点に言及するが、具体的な材質は全く開示していない。従って、ブラシ毛が抜けやすいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、ブラシ基板の洗浄水による腐食や劣化を防止することにより耐久性を高めるとともに、ブラシ基板の軽量化を図ることによりランニングコストを抑えることができる洗浄ブラシを提供することにある。
本発明の第二の目的は、ブラシ基板からブラシ毛が抜けにくい洗浄ブラシを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る洗浄ブラシは、
ブラシ毛をブラシ基板に植毛した洗浄ブラシであって、
前記ブラシ基板が、
ポリスチレンとポリブタジエン・スチレン重合体との混合物を90重量部以上100重量部以下と、
顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数に発泡剤を添加したものを0超10重量部以下と、を含有するものを発泡倍率1.8以上2.0以下で発泡させた樹脂発泡体からなることを要旨とする。
(削除)
前記ブラシ基板に形成される植毛穴は直径0.5〜20mm、深さ1〜50mmが好ましく、前記ブラシ毛はナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニール、PET、PPS、動物繊維、植物繊維、直径0.01〜5mm、毛丈2〜500mm、折返本数2〜10000本が好ましく、丸線材質はステンレス製が好ましい。
本発明に係る洗浄ブラシは、そのブラシ基板が、
(1)ポリスチレンとポリブタジエン・スチレン重合体との混合物を90重量部以上100重量部以下と、
(2)顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数に発泡剤を添加したものを0超10重量部以下と、を含有するものを発泡倍率1.2以上2.5以下で発泡させた樹脂発泡体からなるものであるため、
(1)ブラシ基板の洗浄水による腐食や劣化が防止され、耐久性が高まるという効果、
(2)ブラシ基板の軽量化が実現し、これにより、ランニングコストを抑えることができるという効果、
(3)ブラシ基板からブラシ毛が抜けにくいという効果、がある。
本発明の一実施形態に係るロールブラシ10の(a)正面図、及び、(b)側面図である。 本発明の一実施形態に係る平板ブラシ20の(a)正面図、及び、(b)側面図である。
10 ロールブラシ
12 回転軸
14,24 ブラシ基板
14a,24a 植毛穴
16,26 ブラシ毛束
以下に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の第一の実施形態に係るロールブラシ10の外観図であり、同図(a)が正面図、同図(b)が側面図である。これらの図において、ロールブラシ10は、回転軸12と、回転軸12の周囲に密着又は固定して取り付けられる円筒状のブラシ基板14と、ブラシ基板14に植毛されたブラシ毛束16とからなる。
回転軸12は、特にその材質は限定されないが、例えば、金属製、プラスチック製のものを用いることができるが、軽量材質が好ましい。回転軸12は、洗浄水による腐食や劣化を防止するステンレス製にしてもよい。
ブラシ基板14は、
(1)ポリスチレンとポリブタジエン・スチレン重合体との混合物を90重量部以上100重量部以下と、
(2)顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数に発泡剤を添加したものを0超10重量部以下と、を含有するものを発泡倍率1.2以上2.5以下で発泡させた樹脂発泡体からなるものが好ましい。
樹脂発泡体は、顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数を含む発泡ポリスチレン(発泡スチロール(EPS),ポリスチレンペーパー(PSP),押出ポリスチレン(XPS),耐衝撃性ポリスチレン(HIPS))、発泡アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂(ABS)、発泡ポリ塩化ビニル(PVC)、発泡高密度ポリエチレン(HDPE)及び発泡アクリロニトリルエチレンスチレン共重合合成樹脂(AES)からなる群から選ばれるいずれかからなるものでもよい。
ブラシ基板14には、植毛穴14aが形成される。植毛穴14aは、直径0.5〜20mm、深さ1〜50mmが好ましい。ブラシ毛束16は、ナイロン、ポリプロピレン、PET、PPS、動物繊維、植物繊維が好ましいが特に限定されない。ブラシ毛束16は、直径0.01〜5mm、毛丈2〜500mm、本数1〜5000本(折り返し本数で2〜10000本)が好ましい。ブラシ毛束16を植毛穴14aに植毛するための丸線材質はステンレス製、鉄線、鉄メッキ線が好ましいが特に限定されない。
図2は本発明の第二の実施形態に係る平板ブラシ20の外観図であり、同図(a)が正面図、同図(b)が側面図である。これらの図において、平板ブラシ20は、ブラシ基板24と、ブラシ基板24に植毛されたブラシ毛束26とからなる。ブラシ基板24は、形状が直方体形であること以外はブラシ基板14と同様であるため、その説明を省略する。ブラシ毛束26は、ブラシ毛束16と同様であるため、その説明を省略する。
本発明の実施例及び比較例について説明する。
(ブラシ基板の作製)
各実施例及び各比較例のうち、発泡処理を実施したものについては、
(1)表1〜表3に示す成分組成となるように各原料を計量し混合し、
(2)各原料を混練した後、十分に練り込み、押出し成型する、
(3)発泡成形及び冷却処理等を行って、
(4)直方体形状(平板)又は円柱形状(ロール)に裁断加工を行った。
以上の手順を実施することにより、ブラシ基板を得た。
発泡処理を実施しなかったもののうち、比較例9,10については、木材であるため当該木材をブラシ基板の形状になるように裁断加工を行って、ブラシ基板を得た。比較例11については、発泡成形を行わなかった以外は、実施例と同様にしてブラシ基板を得た。
Figure 0005702969
PS:ポリスチレン、BR−PS重合体:ポリブタジエン・スチレン重合体
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系
Figure 0005702969
PS:ポリスチレン、BR−PS重合体:ポリブタジエン・スチレン重合体
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系
Figure 0005702969
PS:ポリスチレン、BR−PS重合体:ポリブタジエン・スチレン重合体
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系
(ブラシの作製)
各実施例及び各比較例の各ブラシ基板に植毛穴(サイズφ5mm×深さ10mm)を5穴形成した。植毛穴に打ち込むブラシ毛として、毛丈30mmの66ナイロンブラシ直径0.5の中心をステンレス製の丸線で35本(折り返し本数70本)束ねたもの(以下単に「ブラシ毛束」という)を用いた。ブラシ毛束を丸線の先端部分から手打ち植毛(ハンマーで5回打ち込む)により植毛穴に植毛した。
以上の手順により、各実施例及び各比較例についてブラシ(ブラシ基板にブラシ毛束を植毛したもの)を作製し、引張試験及び密度測定の試験片とした。
(引張試験)
引張試験は、ブラシ毛束をイマダ卓上型プッシュ・プル計のクランプを用いて引っ張ることにより、その時に要したブラシ引き抜き力を測定することにより実施した。引き抜き力が全て100N超を示したものを合格とした。一つでも100N以下だと洗浄物を洗浄中摩擦によりブラシ毛束が抜けてしまいブラシ基板に錆びや劣化がなくてもブラシ交換が必要となり耐久性に問題があると判断したためである。そのため、上記の範囲を合格とした。その結果を表1〜表3に併せて示す。これらの表において、引張試験1〜引張試験5とあるのは、5穴形成した植毛穴に対応している。
(密度測定)
試験片の密度を測定した。その結果を表1〜表3に併せて示す。
(腐食試験)
密度測定及び引張試験の結果が良かったもの(各実施例)につき、ブラシの試験片を用いて温度30℃、湿度70%の環境で食品類を洗浄し、洗浄後は試験片を放置することを毎日続けて実施し、カビ発生の有無を調べた。その結果、実施例1〜3はカビ発生が無かった。
(試験結果及び考察)
実施例1〜3は引張試験及び密度測定において良好な結果を示した。引張試験によればブラシ毛束がブラシ基板から抜けにくいことが判明し、密度測定によれば重量軽量化が実現されていたためランニングコストが抑えられることが判明した。このような結果からブラシ基板の発泡倍率は、1.6以上2.2以下が好ましく、1.8以上2.0以下がより好ましいことがわかった。従って、樹脂発泡体としては、ポリスチレンとポリブタジエン・スチレン重合体との混合物を90重量部以上100重量部以下と、顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数に発泡剤を添加したものを0超10重量部以下と、を含有するものを発泡倍率1.6以上2.2以下で発泡させたものが好ましいことがわかる。尚、実用化の可能性のあるブラシ基板の発泡倍率は、実施例1〜3の組成によれば1.2以上2.5以下と考えられる。下限の1.2は発泡されていれば良いことを意味し、上限の2.5は生産技術の都合によるものである。更に、含有量については、樹脂原料について95重量部、添加材について5重量部を実施したため、実現可能性のある含有量としては樹脂原料が90重量部以上100重量部以下、添加材が0超10重量部以下と考えられる。
ちなみに、実施例1によれば、紫外線吸収剤を適量含有させると効果があることがわかる。また、実施例はいずれもカビが発生しなかったため、樹脂発泡体によれば衛生上の問題(洗浄水による腐食や劣化)も同時に解決できることが判明した。
一方、実施例1〜3以外の材質のもの、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンはブラシ基材としては柔らかすぎるため不適切であることがわかった。引張試験で100N以下のものがあったからである。また、木材(MDF、カポール)や、未発泡のものは、ブラシ基材としては硬すぎるため不適切であることがわかった。また、木材の場合、腐食の問題もある。難燃材の添加も好ましくないこともわかった。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
本発明に係る洗浄ブラシは、ブラシ基板として樹脂発泡体を用いたので、洗浄水による腐食や劣化が防止されるとともに、軽量化が実現できる。従って、衛生管理を厳重に実施することが必要な食品類の洗浄に極めて好適である。

Claims (2)

  1. ブラシ毛をブラシ基板に植毛した洗浄ブラシであって、
    前記ブラシ基板は、
    ポリスチレンとポリブタジエン・スチレン重合体との混合物を90重量部以上100重量部以下と、
    顔料、紫外線吸収剤、カーボンブラック及び酸化鉄からなる群から選ばれるいずれか又は複数に発泡剤を添加したものを0超10重量部以下と、を含有するものを発泡倍率1.8以上2.0以下で発泡させた樹脂発泡体からなることを特徴とする洗浄ブラシ。
  2. 前記ブラシ基板に形成される植毛穴は、直径0.5〜20mm、深さ1〜50mmであり、前記ブラシ毛はナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニール、PET、PPS、動物繊維、植物繊維、直径0.01〜5mm、毛丈2〜500mm、折返本数2〜10000本、丸線材質はステンレス製、鉄線、鉄メッキ線であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄ブラシ。
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