JP5702703B2 - コンクリート打継面の評価装置 - Google Patents
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Description
この打継面が構造物の弱点とならないように、硬化したコンクリート面をワイヤブラシや高圧水で目粗しを行う。
この目粗しの程度を判定する基準として、あらかじめ施工者と検査官が同一の打継面処理の状況を確認し、写真撮影することで決定している。
施行者はその写真を基準にして打継面処理を行い、検査官による立会検査を受け、「深め」「浅間」「最適」などの表現を用いて判断している。
あるいは装置や解析手法が複雑で高価であるという問題もあった。
特にダムコンクリートにおいては、打継面処理の良否が一体性や水密度、強度に大きく影響することから、簡便でかつ客観的な判定方法が求められている。
さらに本発明のコンクリート打継面の評価方法は、上記の評価装置を使用し、ラインレーザーを打継面に平面視一直線の照射線を形成するように照射してその照射線を斜め方向から撮影し、撮影映像のレンズ補正を行い、レンズ補正を行った照射線の幅を平均化して平均照射線を抽出し、平均照射線が含んでいるうねり曲線を、フィルタによって抽出して除去して粗さ曲線を抽出し、粗さ曲線を数値評価して行うことを特徴とするものである。
<1> コンクリート打継面の凹凸形状を計測してその計測値から凹凸具合を数値評価することができるから、従来のような担当者の主観的な判断とは異なって、きわめて客観的な評価を行うことができる。
<2> 構成している部品は市販の安価なものであり、それらを組み合わせただけの装置であるから、簡易で経済的であり、メンテナンスも容易である。
<3> ラインレーザーとデジタルカメラとを固定枠に設置すれば、どの現場であっても打継面とデジタルカメラの距離、角度を一定に維持することができるから、装置の据え付けに細かい調整が不要で、迅速に評価装置を設置して評価を行うことができる。
本発明のコンクリート打継面の評価装置は前記したように、先行して打設したコンクリートの表面に新たなコンクリートを打設する打継面の評価を行うための装置である。
打継面は水平面に限らず鉛直方向の面なども測定、評価の対象とすることができる。
本発明の装置は、市販のラインレーザー1とデジタルカメラ2および、解析用のパソコン3によって構成する。
ラインレーザー1は、市販のものを利用することができる。
このラインレーザー1は、直線状のレーザー光線をレンズを通すことによって扇型に広げて細い1本のライン状の光線に変形し、それをコンクリート打継面4に照射できる装置である。
このラインレーザー1をコンクリート打継面4に照射すると、1本の線状の照射線41を打継面4の表面に形成することができる。
デジタルカメラ2は、市販のデジタルカメラ2をそのまま利用することができる。
このデジタルカメラ2で、打継面4に照射した照射線41を撮影してデータとして解析用パソコン3に入力することができる。
図8に示すようにXYZ軸を定義するときにななめ方向からデジタルカメラ2で撮影するために、撮影映像の座標系にはX´、Y´、Z´のようなズレが生じる。
そのために画像データの高さと、実際の打継面4の表面の凹凸の高さが一致しない。
そこで図2に示すようにラインレーザー1と同一の断面に座標基準板5を立て、その基準板5が画像に映る状態で撮影を行う。
座標基準板5として例えばXY座標線を正確に直角に交わらせた長方形、正方形を多数描いた格子板を利用できる。
この基準板5を斜め方向から撮影すればゆがんだ格子が画像データとして現れる。(図3左図)
この格子が正確な長方形、正方形になるように画像処理することで、レンズ収差および座標系のズレを補正することができる。(図3右図)
このような補正は、市販のソフトを利用して行うことができる。
レーザー光線には太さがあるから、ラインレーザー1で照射した照射線41にも一定の幅がある。(図4)
そこでその平均値を代表値として抽出する必要がある。
その方法を以下に説明する。
まず、画像データはM×N画素の集合であるため、照射線41は二次元の直交座標系で表現できる。
照射線41の画像をX軸とY軸で図4のように定義すると、任意の点XnにおいてYnの値は、レーザー線の幅に応じて最大値(Ynmax)と最少値(Ynmin)の幅を持つことになる。
そこでこのような幅を持つ照射線41を数値化するために平均値をとって平均照射線42を得る。
すなわちYn=(Ynmax+Ynmin)/2として、平均照射線42を決定する。
太さのある照射線41を平均化して抽出した平均照射線42は、その段階では骨材による凹凸だけでなく、打継面のうねりによる曲線も含んでいる。
すなわち平均照射線42は、骨材の凹凸による「粗さ曲線」と、打継面のうねりによる「うねり曲線」の合成曲線である。(図5の上図)
しかし本発明の目的は骨材の凹凸を評価するための方法であるから、うねり曲線は不要であり、合成曲線から取り除く必要がある。
そこで、ローパスフィルタによって合成曲線からうねり曲線のみを抽出し、これを合成曲線からマイナスして取り除く。(図5の下図)
こうして合成曲線からうねり曲線を取り除いた、粗さ曲線のみを取り出すことができる。
ここで、ローパスフィルタとはフィルタ回路の一種で、低周波を良く通し、ある遮断周波数より高い周波数の帯域を通さないフィルタのことである。
その場合の遮断周波数は、フィルタの設計者が任意に選ぶことができるから、信号に含まれる必要のない高周波成分を取り除くのに有用なフィルタとして多くの種類のものが市販されている。
こうして、照射線41から抽出した粗さ曲線を、座標データに変換する。
座標データに変換したデータを、例えばJISB0610で規定している表面粗さの指標に適用して表面の凹凸状態を数値評価することができる。
上記のラインレーザー1やデジタルカメラ2を固定枠6に取り付ける。
この固定枠6は例えばA字形に開脚する枠体61を2組対向して設置し、両者の頂部を水平材62で連結した門型の枠体を利用できる。
この水平材62の適宜の箇所にラインレーザー1とデジタルカメラ2を取り付ける。
すると、打継面4とデジタルカメラ2の距離、角度が常に一定であるように設置することができる。
そのために測定を開始する場合に、測定装置の固定枠6をコンクリート打継面4に置くだけでその設置を完了するから、ただちに測定作業を開始することができる。
上記の評価方法の順序を再度説明すると、まずラインレーザー1とデジタルカメラ2を備えた枠体を、打継予定のコンクリート打継面4に設置する。
そしてラインレーザー1からライン状のレーザー光線をコンクリート打継面4に照射し、平面視一直線状態の照射線41を形成する。
この照射線41をデジタルカメラ2で撮影する。
そして、まず撮影データのレンズ補正を行う。
次に幅のある照射線41の幅を平均化して平均照射線42を抽出する。
この平均照射線42には「うねり曲線」も含まれているので、ローパスフィルタによってうねり曲線を抽出して取り除き、粗さ曲線だけを取り出して座標データとする。
このような解析過程を経て、ラインレーザー1から照射した照射線41を、図6に示すような座標データに変換する。
座標データに変換したデータを、例えばJISB0610で規定している表面粗さの指標に適用して表面の凹凸状態を数値評価することができる。
こうして本発明によれば、従来主観的な判断がなされていたコンクリート表面の評価を、客観的に行うができるようになった。
Claims (3)
- 先行して打設したコンクリートの表面に新たなコンクリートを打設する打継面の評価を行う装置であって、
ラインレーザーとデジタルカメラと解析用パソコンによって構成し、
ライン状のレーザー光線を平面視一直線の照射線を形成するようにコンクリート打継面に照射し、
その照射線をデジタルカメラで斜め方向から撮影し、
画像解析することで打継面を座標データとして抽出する、
コンクリート打継面の評価装置。 - 請求項1記載のラインレーザーとデジタルカメラを固定枠に固定し、
打継面とデジタルカメラの距離、角度が常に一定に設置することができるよう構成した、
コンクリート打継面の評価装置。 - 請求項1記載の評価装置を使用し、
ラインレーザーを打継面に平面視一直線の照射線を形成するように照射してその照射線を斜め方向から撮影し、
撮影映像のレンズ補正を行い、
レンズ補正を行った照射線の幅を平均化して平均照射線を抽出し、
平均照射線が含んでいるうねり曲線を、フィルタによって抽出して除去して粗さ曲線を抽出し、
粗さ曲線を数値評価して行う、
コンクリート打継面の評価方法。
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