JP5702255B2 - アドホックネットワーク通信端末およびアドホックネットワーク通信端末の制御方法 - Google Patents

アドホックネットワーク通信端末およびアドホックネットワーク通信端末の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、アドホックネットワーク通信端末、アドホックネットワーク通信端末の制御方法、およびアドホックネットワーク通信システムに関するものであり、具体的には、アドホックネットワークでのデータの送信優先度に関する時間変化に対応した通信精度の制御を可能とする技術に関する。
アドホックネットワーク通信システム(以下、アドホックネットワーク)は、通信端末同士が自律的にネットワーク接続し、相互の通信を可能とする通信システムである。このアドホックネットワークにおいては、従来の通信経路決定手法とは異なり、通信端末の使用者による通信経路の設定作業や、サーバやルータなどの通信管理を行う専用の通信機器や通信インフラを必要としない。このアドホックネットワーク(マルチホップ自律的ネットワークとも呼ばれる)については、IETF(Internet Engineering Task Force)のMANET(Mobile Ad−hoc Networks)ワーキンググループや、ROLL(Routing Over Low power and Lossy networks)を中心に仕様検討および標準化が進められている。
アドホックネットワークにおける通信経路の決定手法としては、通信開始時点で通信経路を決定するReactiveや、予めルーティングテーブル(経路表)を定期的な情報交換によって作成しておくProactiveなどの手法がある。アドホックネットワークに属する各通信端末の間は、こうした手法で決定された通信経路により結ばれることになる。一方、こうしたアドホックネットワークでは、ネットワークを構成する通信端末の移動などに伴い、ネットワークへの端末の加入や離脱が生じ、通信可能な通信端末同士の組み合わせが変化する。またネットワークに加入している通信端末同士であっても、通信経路の構成によっては直接通信できない場合がある。このような通信端末同士の通信に際しては、他の端末を中継器としたマルチホップ通信が行われる。
マルチホップ通信のネットワークでは、物理的な環境の変動、通信回路の特性などが複雑に組み合わさり、通信品質が変動する。そのため、データの送信元から最終宛先までの通信時間や通信の成功/不成功の頻度が変動し、通信が一定の精度を保つことが困難である。このような環境下での通信精度を向上する方法として、例えば、通信の安定化、電波干渉による影響回避、およびネットワーク資源の有効活用を図るとの課題の下、通信品質が高い経路を動的に探索して通信する技術(特許文献1参照)が提案されている。この従来技術においては、無線マルチホップ通信環境下で通信品質や最終宛先までのホップ数で経路変更を動的に行う。
特許4222188号公報
上述したアドホックネットワークを用いると、例えばセンサネットワークなど、数百台単位の多数の通信端末から構成されるネットワークを構築することも容易である。一方、そうした多数の通信端末が、通信帯域が狭く通信速度が遅いネットワーク環境下にある場合、TDMA(Time Division Multiple Access)のような送信タイミング制御手法を適用して、通信端末間でデータ送信タイミングを調整することになる。
ここで、通信端末が送信するデータは、その鮮度が重要であって一定時間経過後の古いものは不要となる場合や、逆に時間経過と共に重要度が増していく場合など、データの種類や該当データ送信の契機となったイベント等に応じて、その送信優先度が時間変化する。しかし、通信端末間でのデータ送信タイミングを調整することはあっても、各通信端末において送信するデータについて、その送信優先度の時間的変化を考慮する技術は提案されていない。
また、アドホックネットワークではユーザ都合や通信環境の変化などにより通信端末の増減が容易に生じる。ネットワークに属する通信端末の数が一定時間内で大きく変動すれば、該当ネットワークにおける通信量も急変することになる。ネットワークでの通信量の変動は、通信端末からのデータ送信の成功率を変化させるが、そうした通信量の急変に対応してデータの送信優先度を制御する技術は提案されていない。
以上のことから、他データより高い優先度が設定されているデータは、時間的に変化する価値と無関係に、送信成功するまで再送が繰り返され、ネットワーク上に該当データのパケットが滞留する事態が生じる。或いは、時間と共に優先度すなわち価値が増大するデータであるにもかかわらず、一定時間まで又は再送上限回数までに送信成功しなかった場合、該当データのパケットが破棄される事態が生じることもある。また、ネットワークにおける通信量が激増するにも関わらずデータの送信優先度を固定的に運用し、狭い通信帯域でのデータ再送を繰り返したり、それによる送信遅延を頻発させる事態を招くこともある。
そこで本発明の目的は、アドホックネットワークでのデータの送信優先度に関する時間変化に対応した通信精度の制御を可能とする技術を提供することにある。
上記課題を解決する本発明のアドホックネットワーク通信端末は、アドホックネットワークにおける通信機能を備えた通信端末であり、他通信端末とパケットの授受を行うネットワークインターフェイスと、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた送信優先度の時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する処理と、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの間での送信順をより早いものとする決定を行う処理と、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数をより多いものとする決定を行う処理と、次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理を実行する演算装置と、を備えることを特徴とする。
また、本発明のアドホックネットワーク通信端末の制御方法は、アドホックネットワークにおける通信機能と、他通信端末とパケットの授受を行うネットワークインターフェイスとを備えた通信端末が、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた送信優先度の時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する処理と、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの間での送信順をより早いものとする決定を行う処理と、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数をより多いものとする決定を行う処理と、次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理と、を実行することを特徴とする。
本発明によれば、アドホックネットワークでのデータの送信優先度に関する時間変化に対応した通信精度の制御が可能となる。
本実施形態におけるアドホックネットワークシステムの構成例を示す図である。 本実施形態における接続端末管理テーブルの例を示す図である。 本実施形態における通信経路表の例を示す図である。 本実施形態におけるアドホックネットワーク通信経路表の例を示す図である。 本実施形態における送信タイミング管理テーブルの例を示す図である。 本実施形態におけるパケットデータテーブルの例を示す図である。 本実施形態のアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例1を示すフロー図である。 本実施形態のアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例2を示すフロー図である。 本実施形態のアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例3を示すフロー図である。 本実施形態のアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例4を示すフロー図である。 本実施形態における送信優先度の時間変化例を示す図である。
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のアドホックネットワーク通信システム10の構成例を示す図である。図1に示すアドホックネットワーク通信システム10(以下、システム10)は、アドホックネットワークでのデータの送信優先度に関する時間変化に対応した通信精度の制御を可能とするコンピュータシステムである。
図1に例示した本実施形態のシステム10は、あるアドホックネットワーク通信端末100(以下、通信端末100)が、他のアドホックネットワーク通信端末101(以下、他の通信端末101)とアドホックネットワークを構成したセットが多数存在する通信ネットワークとなっている。こうした通信ネットワークとしては、具体的には、マルチホップ通信を前提とした無線ネットワークである、センサネットワークをイメージ出来る。また、本実施形態のシステム10には、アドホックネットワークではない外部ネットワークであるネットワーク130、131らを介して、各通信端末100とサーバ140、141とが結ばれている。
通信端末100(他の通信端末101も同様)のハードウェア構成は以下の如くとなる。通信端末100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶装置114、RAMなど揮発性記憶装置で構成される内部メモリ112、記憶装置114などに保持されるプログラム102を内部メモリ112に読み出すなどして実行し端末自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUなどの中央演算装置111、他の通信端末101とのアドホックネットワーク通信や、ネットワーク130、131を介したサーバ140,141との通信を行う通信機器制御部113、を備える。なお、記憶装置114には、本実施形態のアドホックネットワーク通信端末100として必要な機能を実装する為のプログラム102の他、アドホックネットワーク通信経路表118、および送信タイミング管理テーブル119が少なくとも記憶されている。
なお、上述した通信機器制御部113が接続するネットワーク130、131は、たとえば、携帯電話通信網や光回線網や公衆無線LANネットワークなどである。これらのネットワーク130、131は、それぞれサーバ140又はサーバ141に接続可能である。
また、上述した通信機器制御部113は、アドホックネットワークを構成する他の通信端末101との通信インターフェイス(ネットワークインターフェイス)、及び携帯電話通信網や光回線網や公衆無線LANネットワークなど前記ネットワーク130、131との通信インターフェイスを備えている。この通信機器制御部113は、こうした通信インターフェイスを介して、複数のネットワーク130〜131への選択的な接続、切断、他の通信端末101とのパケット送受信、通信可否判定、通信量の測定などといった通信制御を実行する。なお、通信機器制御部113は、アドホックネットワークを構成する他の通信端末101との通信インターフェイスとして、例えば無線LANのアドホックモードや、特定小電力無線通信に対応した機器、もしくは所定の無線通信プロトコルに対応した専用のネットワーク機器を備えるとしてもよい。
続いて、本実施形態の通信端末100(他の通信端末101も同様)が備える機能について説明する。上述したように、以下に説明する機能は、例えば通信端末100が備えるプログラム102を実行することで実装される機能と言える。但し、通信端末100が備える機能はプログラムにより実装される例だけでなく、該当機能に対応した専用のハードウェア装置により実現するとしても良い。
通信端末100は、通信機器制御部113を介して受信した他通信端末101からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた送信優先度の時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する機能を有する。なお、次回パケット送信時刻は、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access)のような送信タイミング制御手法により、各通信端末毎にスケジューリングされたデータ送信タイミングとなる。勿論、こうしたデータ送信タイミングの割当手法としてはTDMAだけに限定されず、その他の手法を採用してもよい。また、送信優先度の時間変化関数については後述する。
また通信端末100は、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの間での送信順を、記憶装置114のパケットデータテーブル120において、より早いものとする決定を行う機能を備えている。
また通信端末100は、次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を行う機能を備えている。
なお、通信端末100の記憶装置114において、パケット種類別の送信優先度の時間変化関数を予め記憶しているとしてもよい。この場合、通信端末100は、パケットの送信優先度を算定する処理において、通信機器制御部113を介して受信した他通信端末101からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた時間変化関数を記憶装置114で選択し、該当時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、該当パケットの送信優先度を算定する機能を備えているとすれば好適である。
また、通信端末100は、算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数を、記憶装置114のパケットデータテーブル120において、より多いものとする決定を行う機能を備えているとすれば好適である。この場合、通信端末100は、次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理を実行するとすれば好適である。
また、通信端末100は、通信機器制御部113を介して、アドホックネットワーク上の他通信端末101または所定装置たるサーバ140、141らより所定イベントの発生通知を受信するか、または当該通信端末100が所定イベントの発生を検知した場合、該当イベントの種類に応じて、送信優先度の時間変化関数における送信優先度の時間当たり変化量を所定分だけ増減させて時間変化関数を変化させる機能を備えているとすれば好適である。通信端末100が受信ないし検知するイベントとしては、例えば、ある通信端末群が所定時刻に停止する(或いは、停止した)、或いは所定時刻からアドホックネットワークに加わる(或いは、加わった)といったものが挙げられる。こうしたイベントが生じると、アドホックネットワークにおける通信量に大きな変動が生じる。そこでイベントに伴う通信量変動に対応し、通信端末100らが送信するパケットの送信優先度について、その時間変化関数を動的に変更し、アドホックネットワーク中に流れるパケットの管理を効率的なものとすれば好適なのである。
また、通信端末100は、通信機器制御部113を介して、アドホックネットワーク上の他通信端末101または所定装置たるサーバ140、141らより、使用すべき時間変化関数のデータを受信した場合、通信機器制御部113を介して受信した他通信端末101からの各パケットに関し、使用すべきものとして受信した時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、該当パケットの送信優先度を算定する機能を備えているとしてもよい。
また、通信端末100は、送信優先度を算定する処理において、通信機器制御部113を介して受信した他通信端末101からの各パケットに関し、パケットが含んでいる送信優先度および時間変化関数の各データを読み取り、読み取った時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して送信優先度の時間変化分を算定し、算定した時間変化分を、パケットから読み取った送信優先度の値に加算して、該当パケットの送信優先度を算定する機能を備えているとしてもよい。
また、通信端末100は、算定したパケットの送信優先度が所定値を示すか判定し、送信優先度が所定値を示す場合、その送信優先度は無効であると判定し該当パケットを破棄する機能を備えているとしてもよい。
なお、通信端末100は、アドホックネットワーク通信端末として、アドホックネットワーク構築のための通信制御、具体的には、他の通信端末101の検知、経路計算、経路構築の機能を当然備えている。このアドホックネットワークの為の基本的な機能については従来技術を採用すればよい。また通信端末100は、他の通信端末101からのパケットを受信し、このパケットおよび当該パケットが示す各種データを記憶装置114のパケットデータテーブルに格納する機能も備えている。また通信端末100は、アドホックネットワーク通信を行う端末として当然ながら、自身が発信するパケットの作成を行うと共に、作成したパケットと当該パケットに関する各種データを記憶装置114のパケットデータテーブルに格納する機能も備えている。
一方、図1に示すサーバ140(サーバ141も同様)は、通信端末100と同様に、中央演算処理装置151、内部メモリ152、通信機器制御部153、および記憶装置154を有する一般的なコンピュータとしての構成を備えている。サーバ140は、中央演算装置151が記憶装置154または内部メモリ152に格納されているプログラムを実行することにより、その機能を遂行する。
またサーバ140の通信機器制御部153が接続するネットワーク130は、インターネットまたはイントラネットであり、物理的には携帯電話通信網や公衆無線LANネットワークなどでもよい。通信機器制御部153は、ネットワーク130への接続、切断、パケット送信、パケット受信、通信可否判定、通信量の測定などの通信制御を実行する。
記憶装置154には、通信制御部155をプログラムとして格納している。また記憶装置154は、通信経路表156、接続端末管理テーブル158、およびデータ蓄積部157を格納している。
サーバ140における通信制御部155は、通信経路表156を作成し、この通信経路表156を用いて、ネットワーク130を介したIPネットワークの制御のような一般的な通信制御を実行する。通信経路表156の作成手法については従来技術を採用すればよい。
なお、通信端末100、101やサーバ140、141における各プログラムは、予めそれぞれの記憶装置に格納されていても良いし、必要に応じて、利用可能な記憶媒体や通信媒体を介して、他の装置から記憶装置に格納されるとしてもよい。
−−−データ構造例−−−
次に、本実施形態の通信端末100やサーバ140らが用いるテーブルにおけるデータ構造例について説明する。図2は本実施形態における接続端末管理テーブル158の例を示す図である。図2に例示する接続端末管理テーブル158は、通信端末100、101の情報を格納するテーブルであり、サーバ140が管理している。この接続端末管理テーブル158は、サーバ140が管理する通信端末100らの識別子である端末名1201、該当通信端末の状態を示す端末状況1202、該当通信端末に関して格納した情報の有効時間1203といったデータで構成されている。この接続端末管理テーブル158は、アドホックネットワークを構成する通信端末に関して、ネットワーク管理者がデータ入力して生成されたものであるか、或いはサーバ自身がアドホックネットワークにおいて通信端末100らと通信を確立する中で情報を取得して生成したものであることが想定できる。
図3は本実施形態における通信経路表156の例を示す図である。図3に例示する通信経路表156は、サーバ140が接続可能なすべての通信端末100らに対する通信経路情報を格納したテーブルである。本例の通信経路表156は、IPアドレスを用いたルーティンテーブルに準じている。この通信経路表156は、通信端末100らの通信アドレスを格納する宛先アドレス1301、宛先アドレス1301に到達するために最初に送信すべきアドレスである次ホップアドレス1302、宛先アドレス1301に到達するために通信するインターフェイス名であるインターフェイス1303といったデータで構成されている。この通信経路表156についても、従来技術により生成すればよい。
図4は本実施形態におけるアドホックネットワーク通信経路表118の例を示す図である。図4に例示するアドホックネットワーク通信経路表118は、通信端末100が備えるものであり、アドホックネットワーク通信プロトコルで通信を確立する通信経路を管理および記録するテーブルとなる。このアドホックネットワーク通信経路表118は、通信端末の識別子である端末名1401、通信可否状態を示すリンク状態1402、端末名1401にパケット送信する場合に何回転送が必要か示すホップ数1403、および該当アドホックネットワークの通信品質1403といったデータで構成されている。
図5は本実施形態における送信タイミング管理テーブル119の例を示す図である。図5に例示する送信タイミング管理テーブル119は、通信端末100が備えるものであり、該当通信端末がどの時刻にパケット送信可能であるかを管理および記録するテーブルとなる。この送信タイミング管理テーブル119は、パケット送信を開始する時刻である送信開始時刻1501、送信開始時刻1501からどれだけの時間分データを送信するかを表す送信時間1502、こうした送信時刻等に関する情報の有効時間を表す有効時間1503といったデータで構成されている。送信タイミング管理テーブル119が含むデータは、上述のようにTDMA(Time Division Multiple Access)のような送信タイミング制御手法により、各通信端末毎にスケジューリングされたデータ送信タイミングとなる。こうしたスケジューリングを行う主体は、通信端末100らと通信可能に接続された専用の管理装置であってもよいし、サーバ140、141などであってもよい。いずれにせよ、この送信タイミング管理テーブル119は、通信端末100が予め具備している。
図6は本実施形態におけるパケットデータテーブル120の例を示す図である。図6に例示するパケットデータテーブル120は、通信端末100らが備えるものであり、他の通信端末101から受信したパケット、或いは自身が送信予定のパケットごとに、9項目のデータ201〜209とパケット本体210を格納したテーブルとなる。また、図6では、1番目からN番目までN個のパケットに関するデータがパケットデータテーブル120に格納されている状況を示している。
このパケットデータテーブル120において、最終送信先201には、所定パケットの最終送信先アドレスが格納されている。また、次送信先202には、自通信端末101から見て前記パケットを次に送信すべきアドレスが格納されている。また、最終送信先201および次送信先202のアドレスは、通信端末100がサーバ140の備える通信経路表156より取得する場合や、受信したパケットより抽出する場合がある。また、送信元203には、該当パケットを送信してきた元々の通信端末のアドレスが格納されている。この送信元203のアドレスは、受信したパケットに格納されている。
また、現在の優先度204には、パケット受信時点での該当パケットの送信優先度を示す数値が格納されている。また、現在の優先度係数205には、パケット受信時点での該当パケットの送信優先度が時間経過に対してどのように変化するかを示した係数である。この係数は時間変化関数が一次関数(例:Y=aX+b、Xは経過時間、bは初期値)の場合、該当数式における傾きaの値を想定できる。従って、本発明における時間変化関数は、この現在の優先度係数205の格納値であるとみなせる。なお、現在の優先度204と現在の優先度係数205の各値は、受信したパケットに格納されている場合や、パケット受信時に通信端末100が新規に設定する場合がある。
また、新規優先度206には、パケット送信前に、現在の優先度204と現在の優先度係数206に基づき通信端末100が計算した数値が格納されている。また、新規優先度係数207は、パケット送信前に、通信端末100が、現在の優先度係数206と、発生イベント等に基づき動的に変更した値が格納されている。
また、最大送信回数208には、パケット送信前に、通信端末100が、新規優先度206に基づき計算した、再送回数の限度すなわち最大再送回数の値が格納されている。また、現在の送信回数209は、該当パケットの送信処理(再送含む)毎に通信端末100が「1」インクリメントした値が格納されている。この、現在の送信回数209は、パケット再送が必要な場合に、通信端末100が最大送信回数208と比較し、再送を行うべきか否か判断する際に利用するデータとなる。
−−−処理手順例1−−−
以下、本実施形態におけるアドホックネットワーク通信端末の制御方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するアドホックネットワーク通信端末の制御方法に対応する各種動作は、前記システム10を構成する通信端末100らがそれぞれ内部メモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図7は、本実施形態におけるアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例1を示すフロー図である。ここではまず、通信端末100が実行する主たる処理を説明する。この場合、通信端末100は、自分自身で新しくパケットを作成する必要があるか否か判断する(301)。自分心でパケットを作成する必要がある場合は、該当通信端末100が発信元となってパケット送信を行う場合である。
ここで通信端末100は、例えば新たな測定値(例:通信端末100に付帯するセンサが測定した所定事象の測定値)を得て、これをサーバ140まで送信する規定イベントが発生したことを検知し、これによりパケット生成が必要であると判断し(ステップ301:Yes)、新規パケット作成処理を実行する(320)。
この新規パケット作成処理(320)において、通信端末100は、アドホックネットワーク通信のプロトコルに沿ったパケット作成処理、次いで、作成したパケットとその情報をパケットデータテーブル120へ格納する処理を実行する。通信端末100は、パケットデータテーブル120において、生成パケットのレコードを生成し、そのレコードにおける最終送信先201、次送信先202の各欄に、サーバ140の通信経路表156や他の通信端末101等に問い合わせて得た値(例:“最終送信先”のサーバ等のIPアドレスや、当該通信端末100から“最終送信先”にパケットを送るマルチホップ中における、当該通信端末100からの最初のホップ先となる他の通信端末101のIPアドレス=“次送信先”)を格納する。また通信端末100は、パケットデータテーブル120における送信元203欄には、自分自身のアドレスを格納する。また通信端末100は、パケットデータテーブル120において、現在の優先度204、現在の優先度係数205、新規優先度206、新規優先度係数207の各欄には、後述する処理にて特定した値を格納する。
また通信端末100は、パケットの受信処理の要否を判断する(302)。この処理は、通信端末100が他の通信端末101からパケットを受信した際には「要」と判断し、パケットを受信していない場合には「不要」と判断するものである。他の通信端末101からパケットを受信した場合、通信端末101は、受信処理が必要であると判断し(302:Yes)、後述するパケット受信処理(312)を実行する。
続いて通信端末101は、パケットデータテーブル120において、送信優先度の数値順に各パケットのレコードを並べ替える必要があるか否か判断する(303)。上述のパケット受信処理(312)によりパケットの送信優先度が設定された場合、パケットデータテーブル120において他のパケットとの関係で、送信優先度の順位に変動が生じるため、この並べ替えの要否判断の処理が実行されることになる。通信端末101は、並べ替えが必要であると判断した場合(303:Yes)、パケット並び替え処理(313)を実行する。このパケット並び替え処理(313)については後述する。
次に通信端末100は、パケットを送信する必要があるか否か判断する(304)。当該通信端末100がパケット送信を実行できる時刻(例:TDMAに基づきサーバ140等から事前に割り当てられた時刻)になった場合や、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)で他の通信キャリアがなく送信可能と判断した場合など、パケット送信が必要(可能)である場合、通信端末100はパケット送信処理(314)を実行する。このパケット送信処理314については後述する。以上が、本発明の通信端末100が実行する主たる処理フローとなる。以降、この主たる処理フローを構成する各処理について順次説明することとする。
−−−処理手順例2−−−
次に、上述したパケット受信処理(312)について説明する。図8は、本実施形態におけるアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例2を示すフロー図である。この場合、通信端末100は、他の通信端末101から受信したパケットに格納された送信優先度と係数(時間変化関数)が適切か不適切か判断する(401)。ここで、「不適切」とは、受信したパケットに送信優先度や係数の数値が格納されていなかったり、格納されていた数値が、アドホックネットワーク通信システム10で規定している数値範囲を超えている場合、などを想定できる。そこで通信端末100は、受信パケットに関して、送信優先度や係数の格納有無の確認、ないし、送信優先度や係数の格納値と所定の基準値との比較を行って、送信優先度や係数の適切性判断を実行する。
通信端末100は、受信パケットが示す送信優先度や係数の数値が不適切であると判断した場合(401:No)、予め記憶装置114に保持している標準の送信優先度と係数を、該当パケットの送信優先度や係数としてパケットデータテーブル120に格納する(411)。なお、送信優先度や係数の標準の値としては、パケットの種別に依らず一律である場合や、パケット種別やアプリケーション(通信端末が実行するアプリケーション)ごとに異なる場合を想定できる。
ステップ401で、他の通信端末101から受信したパケットに格納された送信優先度と係数(時間変化関数)が適切であったか(401;Yes)、或いは、ステップ411で標準の送信優先度と係数を、該当パケットの送信優先度や係数としてパケットデータテーブル120に格納した後、通信端末100は、該当パケットについて新規に送信優先度の計算を実行する(402)。
この新規の送信優先度の計算処理に際し、通信端末100は、他通信端末101から受信したパケットに関し、該当パケットが含んでいた係数(時間変化関数)に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を乗算して、該当パケットにおける新規の送信優先度を算定する。例えば、係数が“1.5”(この場合、1ミリ秒毎の送信優先度の時間変化量とする)であり、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間が“1ミリ秒”であったとすれば、送信優先度の値を“1.5×1=1.5”と算定できる。
また、記憶装置114において、パケット種類別の係数(時間変化関数)を予め記憶している場合(パケット種別係数テーブル121)、通信端末100は、受信パケットが示すパケット種類(例:パケットのヘッダーに含まれているIDなど)に応じた係数(時間変化関数)を記憶装置114で選択し、該当係数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を乗算して、該当パケットの新規の送信優先度を算定するとしてもよい。
また、アドホックネットワーク上の他通信端末101または所定装置たるサーバ140、141らより、使用すべき係数(時間変化関数)のデータを受信した場合、通信端末100は、受信パケットに関し、使用すべきものとして受信した係数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、該当パケットの送信優先度を算定するとしてもよい。
また通信端末100は、受信パケットが含んでいる送信優先度および係数(時間変化関数)の各データを読み取り、読み取った係数に、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して送信優先度の時間変化分を算定し、算定した時間変化分を、パケットから読み取った送信優先度の値に加算して、該当パケットの送信優先度を算定するとしてもよい。例えば、受信パケットから読み取った送信優先度が“2”、係数が“1.5”(この場合、1ミリ秒毎の送信優先度の時間変化量とする)であり、パケット受信時刻から当該通信端末100における次回パケット送信時刻までの経過時間が“1ミリ秒”であったとすれば、送信優先度の時間変化分を“1.5×1=1.5”と算定し、これに送信優先度“2”を加算して、新たな送信優先度の値を、“3.5”などと算定できる。
ここで送信優先度の時間変化について説明しておく。図11は本実施形態における送信優先度の時間変化例を示す図である。アドホックネットワーク通信におけるパケットの送信優先度は、時間経過とともに変化すると本実施形態では前提を置いている。図11におけるグラフを示す関数が時間変化関数であり、このグラフの傾きが上述してきた「係数」である。いずれも一次関数で表せるグラフとなっている。
グラフ701の示す時間変化関数は、時間経過とともに送信優先度が減少する関数となっている。こうした時間変化関数の適用が想定されるのは、送信時からより短時間で最終送信先にパケットが届くほど価値があるパケットとなる。例えば、センサネットワークにおけるイベントデータ、状態変化を通知するデータ、などがそれに該当する。
一方、グラフ702の示す時間変化関数は、時間経過とともに送信優先度が上昇し、特定の時間で優先度が「0」となる関数となっている。こうした時間変化関数の適用が想定されるのは、特定の時間内に最終送信先にパケットを送信すべきパケットとなる。例えば、センサネットワークにおけるセンサデータ、定期送信されるデータ、などがそれに該当する。
また、グラフ703の示す時間変化関数は、時間経過に関係なく送信優先度が高い値で固定している関数となっている。こうした時間変化関数の適用が想定されるのは、ある限られた優先パケットとなる。或いは、時間経過に関係なく送信優先度が低い値で固定された関数であれば、ベストエフォートにおけるパケットが適用対象となる。なおグラフ703が示す時間変化関数では、優先度が0となる部分を省略しているが、パケットが永久に転送を繰り返すことを防止するため、ある一定時間経過後はパケットは破棄されるものとする。なお、当該グラフ703の例で、固定した送信優先度の値は、とにかく迅速なパケット送信が求められる緊急モード、通常求められる早さでのパケット送信がなされればよい通常モード、所定のパケットを一定の優先的で送信し経路の状況を判定するメンテナンスモードといった具合に、状況別に高低を設定しておくとしてもよい。
また、グラフ704の示す時間変化関数は、時間経過で係数が変化している関数となっている。こうした時間変化関数は、ネットワーク環境の変化に応じて係数を変更することでネットワーク全体の通信効率を向上させる場合に使用する。センサネットワークでは、1ネットワーク上の通信端末数が急激に増加した場合や、特定のパケットを優先して送信させるためにそれ以外のパケット優先度を下げる場合、などにこの時間変化関数を使用する。時間変化関数における係数の動的変化については後述する。
通信端末100は、受信パケットについて算定した新たな送信優先度の値を、パケットデータテーブル120における対応レコードにて格納する。
続いて通信端末100は、上記までの処理で算定した新規の送信優先度が「0」であるか判定する(403)。新規の送信優先度が「0」であった場合(403:Yes)、通信端末100は該当パケットを破棄し、パケットデータテーブル120における該当レコードを削除する(431)。
最後に通信端末100は、上記までの処理で得られている受信パケットのデータ(パケットデータテーブル120におけるデータ項目に対応したもの)を、パケットデータテーブル120に格納し(404)、処理を終了する。この格納では、単純に、受信順にパケットのレコードがパケットデータテーブル120において格納されることになる。
−−−処理手順例3−−−
次に、上述したパケット並び替え処理(313)について説明する。図9は、本実施形態におけるアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例3を示すフロー図である。通信端末100は、パケットデータテーブル120での係数を変更する必要があるか否か判定する(501)。変更の必要がある場合とは、ネットワークシステムを管理しているサーバからの係数変更指示があった場合や、予め係数変更タイミングとして定められた特定時刻の到来を検知した場合(つまり通信端末自身でイベント発生を検知した場合)などが想定できる。
サーバ等からの係数変更指示としては、所定イベントの発生通知に伴うものがあげられる。ある通信端末群が停電等で所定時刻に一斉に停止する(或いは、停止した)、或いは所定時刻からアドホックネットワークに一斉に加わる(或いは、加わった)といったイベントがそれにあたる。こうしたイベントが生じると、アドホックネットワークにおける通信量に大きな変動が生じる。そこでイベントに伴う通信量変動に対応し、通信端末100らが送信するパケットの送信優先度について、その時間変化関数(の傾きである係数)を動的に変更し、アドホックネットワーク中に流れるパケットの管理を効率的なものとするのである。
また、通信端末100が係数を変更する場合、全パケットに関する係数を一律に変更する場合や、パケットを扱うアプリケーションの種類等に基づいて特定のパケットに関する係数のみを変更する場合などがある。
係数の変更が必要であると判断した場合(501:Yes)、通信端末100は、係数変更と優先度再計算を実行する(511)。係数変更の処理に際し通信端末100は、例えば該当イベントの種類に応じて、或いは全パケット一律に、係数(すなわち時間変化関数における送信優先度の時間当たり変化量)を所定分だけ増減させて時間変化関数を変更することとなる。例えば、当初の係数は“1.5”であったところ、イベント発生により“1.0”に低減させる、といった処理が想定できる。図11にて示したグラフ704の時間変化関数で、ある時刻からグラフの傾きが変化しているが、これはすなわち係数が動的に変更されたことを意味している。
通信端末100は、変更した係数の値をパケットデータテーブル120における新規優先度係数206に格納すると共に、係数変更を行った該当パケットに関して新たに送信優先度の値を算定し、パケットデータテーブル120における新規優先度206に格納する。送信優先度の算定処理については既に上で述べたとおりである。
続いて通信端末100は、上記ステップ511で計算した新たな送信優先度の値がゼロか否か判定する(502)。この処理は、パケットデータテーブル120において、新規優先度206の値が「0」であるレコードを検索し、この検索でレコードが特定できた場合、該当レコードおよび該当レコードに対応したパケットの破棄を実行する(521)。
次に通信端末100は、送信優先度に基づくパケット並び替え処理を実行する(503)。この処理において通信端末100は、パケットデータテーブル120における各パケットに関するレコードを、新規優先度206の値の高い順番で並び替える。後のパケット送信処理は、この並び替えた順番でパケットの送信が事項される。
また通信端末100は、最大送信回数設定処理を実行する(504)。この処理に際し通信端末100は、上述の新規優先度206の値に基づき、パケットの再送回数の限度、すなわち最大送信回数を決定する。この最大送信回数の決定は、送信優先度の値ごとに一律に回数を決定する場合が想定できる。例えば、送信優先度が“1”〜“3”までのパケットについては最大送信回数を“3”とし、送信優先度が“4”〜“5”までのパケットについては最大送信回数を“4”とするといった決定ロジックとなる。また、最大送信回数の決定は、他にも、1回のパケット送信時の時間長(TDMAで割当された長さ)とパケットデータテーブル120における全パケット数に基づき、前記時間長を全パケット数で除算した値を各パケットの最大送信回数として計算するといった場合などもある。
最後に通信端末100は、上記までの処理で得られた各値を、パケットデータテーブル120における該当レコードに格納し(505)、処理を終了する。
−−−処理手順例4−−−
次に、上述した送信処理(314)について説明する。図10は、本実施形態におけるアドホックネットワーク通信端末の制御方法の処理手順例4を示すフロー図である。この場合、TDMAで割当されたパケット送信タイミングの到来に応じて通信端末100がパケットデータテーブル120の各パケットを送信する処理となる。
通信端末100は、まず、送信残時間確認の処理を実行する(601)。この処理は、事前に割り当てられた時間帯のうち、パケット送信可能な時間がまだ残っているか確認する処理となる。残り時間がないと判断した場合(601:No)、通信端末100は送信処理実行を終了する。
一方、残り時間がある場合(601;Yes)、通信端末100は、パケットデータ取得処理を実行する(602)。この処理に際し通信端末100は、パケットデータテーブル120における最初のレコード、すなわち新規優先度206の値が最大のレコードに該当するパケットを取得する。
続いて通信端末100は、送信時間の確認処理を実行する(603)。この処理に際し通信端末100は、上述のパケットデータ取得処理(602)で取得したパケットのパケット長と、アドホックネットワーク通信経路表118における該当パケット送信先(最初のホップ先)となる通信端末の通信速度(通信品質1403の値)から、該当パケットの送信時間を計算し、残っている送信時間(ステップ601で確認した時間)内に、1回のパケット送信が完了するか判断する。完了できないと判断した場合(603:No)、通信端末100は送信処理実行を終了する。一方、パケット送信が完了できると判断した場合(603:Yes)、通信端末100は、送信処理を実行する(604)。この処理に際し通信端末100は、ステップ602で取得した該当パケットの送信を実行する。
続いて通信端末100は、送信成功可否の判断処理を実行する(605)。この処理において通信端末100は、上記ステップ604で送信処理したパケットが、送信に成功したか確認することとなる。送信確認の処理は、パケット送信先の通信端末からackの応答があったか否かで判定するといった従来手法を採用すればよい。パケット送信に成功した場合(605:Yes)、通信端末100はデータパケット削除処理を実行する(651)。この処理に際し通信端末100は、パケットデータテーブル120から該当パケットのデータを削除する。他方、パケット送信が不成功であった場合(605:No)、通信端末100は、送信回数増加処理を実行する(606)。この処理に際し通信端末100は、パケットデータテーブル120の該当パケットに関するレコードにおいて、現在送信回数209の値を「1」増加させる。
続いて通信端末100は、送信回数確認処理を実行する(607)。この処理に際し通信端末100は、パケットデータテーブル120の該当パケットに関するレコードにおいて、現在送信回数209の値が、最大送信回数208の値以上であるか確認する。現在送信回数209の値が最大送信回数208の値以上である場合(607:Yes)、通信端末100は該当パケットとそれに関するデータを、パケットデータテーブル120で削除する(608)。
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、アドホックネットワークでのデータの送信優先度に関する時間変化に対応した通信精度の制御が可能となる。
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、前記アドホックネットワーク通信端末において、前記記憶装置が、パケット種類別の送信優先度の時間変化関数を予め記憶しており、前記演算装置は、前記送信優先度を算定する処理において、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた前記時間変化関数を記憶装置で選択し、該当時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定するものである、としてもよい。
また前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数をより多いものとする決定を行う処理と、次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理を実行するものである、としてもよい。
また、前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より所定イベントの発生通知を受信するか、または当該通信端末が所定イベントの発生を検知した場合、該当イベントの種類に応じて、前記時間変化関数における送信優先度の時間当たり変化量を所定分だけ増減させて時間変化関数を変化させる処理を実行するものである、としてもよい。
また前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より、前記時間変化関数のデータを受信した場合、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、前記データを受信した時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定するものである、としてもよい。
また前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記送信優先度を算定する処理において、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが含んでいる送信優先度および前記時間変化関数の各データを読み取り、読み取った時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して送信優先度の時間変化分を算定し、算定した時間変化分を前記読み取った送信優先度の値に加算して、前記パケットの送信優先度を算定するものである、としてもよい。
また前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記算定したパケットの送信優先度が所定値を示すか判定し、前記送信優先度が所定値を示す場合、送信優先度は無効と判定し該当パケットを破棄する処理を実行するものである、としてもよい。
また前記アドホックネットワーク通信端末において、前記演算装置は、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示す送信優先度または前記時間変化関数を所定データと比較することで、該当パケットが不適切か否か判定し、該当パケットが不適切なものであった場合に該当パケットを破棄する処理を実行するものである、としてもよい。
10 アドホックネットワーク通信システム
100 アドホックネットワーク通信端末
101 (他の)アドホックネットワーク通信端末
102 プログラム
111 中央演算装置(演算装置)
112 内部メモリ
113 通信機器制御部(ネットワークインターフェイス含む)
114 記憶装置
118 アドホックネットワーク通信経路表
119 送信タイミング管理テーブル
120 パケットデータテーブル
121 パケット種別係数テーブル
130、131 ネットワーク
140、141 サーバ
151 中央演算装置
152 内部メモリ
153 通信機器制御部
154 記憶装置
155 通信制御部
156 通信経路表
157 データ蓄積部
158 接続端末管理テーブル

Claims (10)

  1. アドホックネットワークにおける通信機能を備えた通信端末であり、
    他通信端末とパケットの授受を行うネットワークインターフェイスと、
    前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた送信優先度の時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する処理と、
    前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの間での送信順をより早いものとする決定を行う処理と、
    前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数をより多いものとする決定を行う処理と、
    次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理を実行する演算装置と、
    を備えることを特徴とするアドホックネットワーク通信端末。
  2. 前記演算装置は、
    前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より所定イベントの発生通知を受信するか、または当該通信端末が所定イベントの発生を検知した場合、該当イベントの種類に応じて、前記時間変化関数における送信優先度の時間当たり変化量を所定分だけ増減させて時間変化関数を変化させる処理を実行するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載のアドホックネットワーク通信端末。
  3. 前記演算装置は、
    前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より、前記時間変化関数のデータを受信した場合、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、前記データを受信した時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載のアドホックネットワーク通信端末。
  4. 前記演算装置は、
    前記送信優先度を算定する処理において、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが含んでいる送信優先度および前記時間変化関数の各データを読み取り、読み取った時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して送信優先度の時間変化分を算定し、算定した時間変化分を前記読み取った送信優先度の値に加算して、前記パケットの送信優先度を算定するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載のアドホックネットワーク通信端末。
  5. 前記演算装置は、
    前記算定したパケットの送信優先度が所定値を示すか判定し、前記送信優先度が所定値を示す場合、送信優先度は無効と判定し該当パケットを破棄する処理を実行するものである、
    ことを特徴とする請求項1記載のアドホックネットワーク通信端末。
  6. アドホックネットワークにおける通信機能と、他通信端末とパケットの授受を行うネットワークインターフェイスとを備えた通信端末が、
    前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが示すパケット種類に応じた送信優先度の時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する処理と、
    前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの間での送信順をより早いものとする決定を行う処理と、
    前記算定したパケット毎の送信優先度の高さに応じて、送信予定の各パケットの再送回数をより多いものとする決定を行う処理と、
    次回パケット送信時刻の到来に際し、前記決定した送信順に基づいて、送信予定の各パケットの送信を実行すると共に、当該送信の失敗時に、前記決定した再送回数を限度に再送を行う処理と、
    を実行することを特徴とするアドホックネットワーク通信端末の制御方法。
  7. 前記通信端末が、
    前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より所定イベントの発生通知を受信するか、または当該通信端末が所定イベントの発生を検知した場合、該当イベントの種類に応じて、前記時間変化関数における送信優先度の時間当たり変化量を所定分だけ増減させて時間変化関数を変化させる処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のアドホックネットワーク通信端末の制御方法。
  8. 前記通信端末が、
    前記ネットワークインターフェイスを介して、アドホックネットワーク上の他通信端末または所定装置より、前記時間変化関数のデータを受信した場合、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、前記データを受信した時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して、前記パケットの送信優先度を算定する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のアドホックネットワーク通信端末の制御方法。
  9. 前記通信端末が、
    前記送信優先度を算定する処理において、前記ネットワークインターフェイスを介して受信した他通信端末からの各パケットに関し、パケットが含んでいる送信優先度および前記時間変化関数の各データを読み取り、読み取った時間変化関数に、パケット受信時刻から当該通信端末における次回パケット送信時刻までの経過時間を適用して送信優先度の時間変化分を算定し、算定した時間変化分を前記読み取った送信優先度の値に加算して、前記パケットの送信優先度を算定する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のアドホックネットワーク通信端末の制御方法。
  10. 前記通信端末が、
    前記算定したパケットの送信優先度が所定値を示すか判定し、前記送信優先度が所定値を示す場合、送信優先度は無効と判定し該当パケットを破棄する処理を実行する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のアドホックネットワーク通信端末の制御方法。
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