JP5701614B2 - 培養細胞の評価方法 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、2009年1月23日付け出願の日本国特許出願2009−013385号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
本発明は培養細胞の評価方法において、特に培養された骨形成性細胞の新たな評価方法に関する。
欠損した生体組織の再生をはかる再生医療の実現が求められている。再生医療は、本来生体が持っている治癒能力では回復できなくなった生体組織を、細胞、生体材料、細胞成長因子を使って元の組織と同じような形態や機能を作り出す医療技術である。
再生医療には、一般的に間葉系幹細胞が用いられている。この間葉系幹細胞は、脂肪細胞や骨芽細胞等のさまざまな細胞に分化誘導することができることが知られているが、得られた細胞が目的とする機能を有しているかを事前に判断することは困難であった。
また、骨の再生医療においても、骨髄由来の間葉系幹細胞が中心として用いられており、このほか脂肪由来幹細胞、骨膜由来幹細胞、滑膜由来幹細胞などの報告がある。中でも骨髄由来の間葉系幹細胞、あるいは骨髄間質細胞は、採取が比較的容易であり、きわめて高い骨形成能を持つことから、現在ほとんどすべての骨再生の臨床応用に用いられている。
しかしながら、これまでの本発明者らの報告で、ヒト由来の骨形成性細胞では、細胞の個体差が大きいことが明らかとなった。また、骨形成能は培養により速やかに失われることが明らかとなった。したがって、実際に移植する細胞が骨形成能を有するかどうかの検討は重要であるが、これまで報告されている方法では十分ではないことが判明した。特に従来は細胞のアルカリフォスファターゼ活性(ALP活性)(特許文献1)、骨系マーカーの遺伝子発現(非特許文献1)などが用いられている。ALP活性は骨形成性細胞に有用な評価であるが、それのみでは骨形成性細胞を定義することは困難である。また、骨系マーカーの遺伝子発現も有用な評価であるが、本発明者らの研究の結果からは発現には個体差が大きく、評価として用いる場合には困難な場合も認められた。特に、個体差の大きいヒト由来細胞の評価のためには、一つの基準では十分でなく、複数の評価法を組み合わせることで、信頼性を高めることが重要と考えられるが、そのような評価法はこれまでに報告されていない。
骨形成性細胞とは、骨芽細胞などの骨形成に必須な細胞と定義するが、ここでは特に、異所性に骨形成をすることのできる細胞を骨形成性細胞と定義している。異所性とは本来骨のない部分で骨を形成することのできる能力である。異所性の骨形成能は例えばヒト細胞を保持する担体とともに免疫不全動物の皮下へと移植することによって検証される。実際に骨再生が期待される部位は骨の近傍ではあるが、骨のない部分に向かって骨再生を行う必要があるため、本来骨再生に必要とされる能力はこの異所性の骨形成能が最も適切な評価法と考えられる。しかし、これまでそのような観点で作製された細胞の評価方法はない。
特開2005−58225号公報
Nishimura et al., J Bone Miner Metab. 26, 203-212
すなわち移植により骨形成を行うためには、図1に示すような工程を経る。図1に示すように、移植材料、例えば擬似骨顆粒とともに骨形成性細胞を共存させ、移植部位において破骨細胞により擬似骨顆粒を分解させ、一方で骨芽細胞などにより真性骨を再生させる。この際、骨形成性細胞の移植材料中での数はもちろん重要な因子であるが、一方で適正な骨形成能が維持されていることが重要である。仮にこれらの骨形成性細胞の数が少なく、あるいは骨形成能が劣化した細胞を用いた場合には、適正な骨形成は行われないが、実際の骨形成の確認には相当の長期間が必要となる。もし骨形成が適正に行われていない場合には、再度、間葉系幹細胞の採取、培養から移植手術、再生確認を行わなければならず、数ヶ月の期間を無駄にすることになるばかりでなく、移植手術等の患者に負担をかける処置を繰り返すこととなる。したがって、培養細胞の機能を適切に評価することが肝要である。
一方、細胞の培養中に骨形成能の判定を行うにあたっても、分化誘導中の検査については要する時間も数週間となるため、安易に繰り返すことはできない。
しかし、従来行われていた目的とする細胞、例えば骨形成性細胞であるかの評価は、前述したように単一の判定手法により行われており、評価基準を上げてしまえば移植後の再生率はある程度高くなるものの、本来使用可能であった培養細胞を不適と判定してしまうことが考えられ、一方で評価基準を下げてしまえば骨形成不能の培養細胞を移植に用いてしまうことになる。さらに、本発明者らの研究により、ヒト細胞においてはほぼすべての検査値に個体間でのばらつきが大きく、一定の基準値のみ、あるいは単一の判定基準のみでは正確な判断が困難であり、現実的な判定すら困難であることが明らかとなってきた。
本発明は上記課題に鑑み行われたものであり、目的とする細胞であることを判定できる信頼し得る評価方法を提供することを目的とする。本発明にかかる評価方法は、骨形成性細胞について好適に使用できるが、ヒト細胞の持つばらつきの問題は、骨形成性細胞以外にも広く再生医療や細胞治療の対象となる多くの細胞に共通の問題と考えられる。したがって、本発明の効果は骨形成性細胞のみでなく、広くヒト細胞を用いた細胞治療において、得られた細胞が目的とする細胞であるかどうか、そして治療に必要な機能を有するかどうかに対する有効な評価方法を提供するものである。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を行った結果、培養細胞から目的とする細胞を判定するために、培養細胞の複数の検査値あるいは指標を測定し、それらを組み合わせることにより信頼できる評価方法を作成し得ることを見出した。また、骨形成性細胞(骨形成(+)細胞)については、図2に示すような骨形成能検査手法を開発し、移植後に骨形成が適正に行われるかどうかの予測、評価を移植手術前に適正かつ精度よく行うことにより、有用な骨形成性細胞の評価方法を作成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明にかかる培養細胞の評価方法は、培養細胞から目的とする細胞を判定するために、培養細胞の複数の検査値あるいは指標を測定し、それらの組み合わせにより、精度よく細胞の機能を予測、判定するための評価方法であって、
それぞれの検査値について、一定の適合する範囲を指定するのみでなく、適応範囲から外れたサンプルであっても、他の検査値あるいは指標を参照することで目的とする細胞であることを判定可能であることを特徴とする。
また、本発明の培養された骨形成性細胞の評価方法は、1次判定基準と、2次判定基準と、3次判定基準を有する培養細胞の評価方法において、
1次判定を行った細胞を、さらに2次判定を行うことにより骨形成(+)細胞を判定し、
骨形成(+)細胞かどうか判断し難い細胞を、さらに3次判定を行うことにより骨形成(+)細胞を判定することを特徴とする。
前記1次判定において、判定基準はALP活性(アルカリフォスファターゼ活性)、ALPインデックス(分化誘導群のALP活性/非分化誘導群のALP活性)、細胞増殖能(分化誘導後の細胞数/初期播種細胞数)のいずれかが1次判定の基準値以上を満たすかどうかであることが好適である。
前記2次判定において、判定基準はALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能のすべてが2次判定の基準値以上を満たすかどうかであって、
1次判定、2次判定双方の基準を満たした細胞を骨形成(+)細胞と判定し、
1次判定で基準を満たさなかったが2次判定で基準を満たした細胞については3次判定基準へと移行し、
2次判定で基準を満たさなかった細胞を骨形成(−)細胞と判定することが好適である。
前記3次判定において、判定基準はフローサイトメトリーによる表面抗原(HLA−DR)解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色のいずれかが基準を満たすかどうかであって、
この基準を満たした細胞を骨形成(+)細胞、満たさなかった細胞を骨形成(−)細胞と判定することが好適である。
前記1次判定において、基準値は骨形成(−)細胞の各(平均値+2SD)であることが好適である。
前記2次判定において、基準値は骨形成(+)細胞の各(平均値−2SD)または骨形成(+)細胞の各測定値の下限値であることが好適である。
前記3次判定において、表面抗原(HLA−DR)解析の基準は、測定されたHLA−DR陽性細胞が約6%以上であることが好適である。
前記1次判定において、ALP活性の基準値は約166単位(μmol
p-nitrophenol produced/min/μg protein)であることが好適である。
前記1次判定において、ALPインデックスの基準値は約3.95であることを特徴とする培養された骨形成性細胞の評価方法。
前記1次判定において、細胞増殖能の基準値は約9.7であることが好適である。
前記2次判定において、ALP活性の基準値は約67単位(μmol
p-nitrophenol produced/min/μg protein)であることが好適である。
前記2次判定において、ALPインデックスの基準値は約1.01であることが好適である。
前記2次判定において、細胞増殖能の基準値は約5.6であることが好適である。
本発明にかかる骨形成性細胞の評価方法において、判定基準として用いられるALP活性は、骨形成性細胞、例えば骨芽細胞に高い活性が認められる。分化誘導後のALP活性が低い場合には骨形成性細胞を含まない、あるいは骨形成能を持たない細胞である可能性が考えられるが、本発明者らの研究により、分化誘導群と非分化誘導群のALP活性の割合であるALPインデックスが上昇する場合には、骨形成性細胞であり、かつ骨形成能を有する場合があることが示されている。一方、ALP活性が十分に高ければ骨形成性細胞の分化誘導は良好である可能性がきわめて高い。しかし、仮にALP活性が高くても、細胞増殖能が失われていれば、骨移植後に十分な骨形成を期待できない。
そこで、本発明にかかる評価方法では、細胞増殖能の評価も行っている。
上記3つの評価(ALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能)を組み合わせても、骨形成性細胞の有無を判断し難いグループに対しては、より慎重な評価が必要となる。本発明者らは、このようなグループに対しては、さらにフローサイトメトリーによる表面抗原(HLA−DR)の解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色の結果を用い、いずれか陽性(フローサイトメトリーによるHLA−DR分画陽性、TRAP陽性、アリザリンレッド陽性)を持って補助的に骨形成性細胞ありと判断することで、ほぼすべての個体差をもったサンプルに妥当な根拠を与えるものである。
このHLA−DR陽性細胞と骨形成能の直接的な関係は不明であるが、本発明者らが確認したところ、HLA−DR活性と骨形成能には明確な相関が示された。また、TRAP染色(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ染色)は破骨細胞マーカーとして用いられているが、破骨前駆細胞から破骨細胞への成熟には骨芽細胞(骨形成性細胞)とのインタラクションが必要なため、幹細胞が骨形成性細胞へと分化する過程の間接的な指標として用いることができるものと思われる。また、アリザリンレッド染色は、in vitroにおける石灰化能を表し、カルシウムの沈着を染色したものである。本発明者らが確認したところ、骨形成能を示す細胞ではアリザリンレッド染色陽性となり、骨形成能が多くの細胞で失われる継代が進んだ細胞では染色陰性となることが示された。
このように本発明においては、比較的簡易で明確な手法であるALP活性評価、ALPインデックス、細胞増殖能判定により明らかに骨形成能を有するものと骨形成能を有しないものを選択し、これらの評価では明確でなかった群については、HLA−DR解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色を行い、骨形成能が十分に期待できるのにもかかわらず「骨形成能なし」として破棄されてしまうことを防止しているのである。
本発明によれば、個体によるばらつきがあるために一定の基準では判断が困難であった目的とする細胞の種類および機能を評価できる方法を提供することができる。また、骨形成性細胞の評価を行う場合、培養細胞の骨形成能について、ほぼ確実に評価することが可能となり、細胞を用いた治療に必須である評価に関する方法を提供することができる。
骨形成能検査スケジュール。 本発明にかかる骨形成性細胞の評価方法を示すフローチャート。 本発明が好適に適用される骨形成性細胞の培養工程、分化誘導工程の説明図。 ヒト培養骨芽細胞様細胞のALP活性の分布を示した図。 ヒト培養骨芽細胞様細胞のALPインデックスの分布を示した図。 ヒト培養骨芽細胞様細胞の増殖能の分布を示した図。 ALP活性測定結果。 細胞増殖能測定結果。 フローサイトメトリーによる表面抗原解析結果。 TRAP染色測定結果。 アリザリンレッド染色結果。
10…骨髄液
12…細胞培養用フラスコ
14…多孔質擬似骨顆粒
16…深底容器
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。以下、目的とする細胞が骨形成性細胞である場合を例として説明を行う。はじめに、本発明の骨形成性細胞の評価方法により効果的に治療への応用が可能である顆粒型培養骨の製造方法について、図3を用いて説明する。顆粒型培養骨は、骨髄液の採取、骨髄由来間葉系幹細胞の培養、間葉系幹細胞の播種、培養骨芽細胞様細胞への分化誘導を行うことにより製造することができる。
なお、以下の工程は、骨髄由来細胞を用いた形態を示しているが、本発明の評価方法は、骨髄以外にも、骨膜、脂肪、末梢血等から分離培養し、同様の方法で培養骨芽細胞様細胞へと分化誘導することによって作製される顆粒型培養骨においても、好適に使用することができる。
・骨髄液の採取
骨髄液は、手術の約1ヶ月前に採取する。まず、骨髄液採取部に局所麻酔を行い、後上腸骨稜より無菌的に吸引して回収する。
・骨髄由来間葉系幹細胞の培養
細胞培養用培地で4倍希釈した骨髄液10を細胞培養用フラスコ12に播いて、図3(A)のように培養を始め、培養開始後4日目に全量培地替えを行う。なお、細胞培養用培地には、一次培養、分化培養ともに、血清入りαMEMまたは無血清培地のいずれも使用できる。
培養過程における一般細菌および真菌に感染していないことの確認は、培地交換毎の培地の観察(感染していれば培地が濁る)により行うとともに、培養開始時、分化誘導前および培養骨芽細胞様細胞の回収時に無菌試験(日本薬局方の基準を満たすかどうか)で確認する。
その後、週2回全量培地交換を行う。継代のタイミングは細胞の状態を見て判断するが、培養開始から約21〜28日後に行う。継代時には生細胞数を計測する。
・間葉系幹細胞の播種
継代は以下のように行う。フラスコの培地を吸い取った後、ダルベコリン酸バッファー(D−PBS)にて洗浄し、その後、D−PBSを吸い取り、細胞解離剤を加え、37℃で10分間培養する。細胞がはがれていることを確認したのち、D−PBSまたは培地を加え細胞を回収した後、遠心する。培地に再サスペンドして細胞数を計測する。計測後、図3(B)のような多孔質擬似骨顆粒14があらかじめ投入された深底容器16に培養した骨髄液10を投入する。骨髄液10を擬似骨顆粒12の入った深底容器16に投入すると、図3(C)のように骨髄液10および擬似骨顆粒12は浮遊する。
・培養骨芽細胞様細胞への分化誘導
多孔質擬似骨顆粒14に細胞を播種してから細胞の機能回復のために一晩静置する。1日後には、図3(D)のように骨形成に関与する細胞等の細胞および多孔質擬似骨顆粒14は深底容器16の下部に沈んでいる。このことを確認した後、培地を分化誘導培地に交換する。分化誘導期間は1〜3週間で、培地交換は週2回程度行う。分化誘導が進むと、図3(E)のように、擬似骨顆粒14のまわりに付着した培養骨芽細胞様細胞の形態が変化し、骨基質タンパクを分泌し、一塊となっていく。
一方、この過程と平行して評価のために細胞を12ウエルの培養皿に播種する。細胞は1ウエルあたり2×10とする。
以下、本発明にかかる骨形成性細胞の評価方法について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2に示されるように、骨形成性細胞は、1次判定基準、2次判定基準、3次判定基準をもとに判定される。なお、図2の括弧内の割合は当初の細胞に対する割合を示す。しかし、これらの割合は一例であって、特に限定されるものではなく、用いる細胞の選択により異なる。
1次判定基準
1次判定は、ALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能をもとに行われる。
1次判定において、前記3つの評価方法のいずれかの基準値を超える場合に、細胞は1次判定基準(○)であると決定され、全ての基準値を超えない場合に、細胞は1次判定基準(×)であると決定される。
2次判定基準
2次判定も、1次判定と同じくALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能をもとに行われる。しかし、下記に示すように、これらの評価基準値は1次判定と異なっている。
1次判定基準(○)細胞は、2次判定において、前記3つの評価方法の全てで基準値を超える場合に、細胞は骨形成(+)細胞であると判定され、いずれかの基準値を超えない場合は、細胞は骨形成(−)細胞であると判定される。
1次判定基準(×)細胞は、2次判定において、前記3つの評価方法の全てを満たす場合に、細胞は3次判定基準に移行され、いずれかの基準値を超えない場合は、細胞は骨形成(−)細胞であると判定される。
3次判定基準
3次判定は、フローサイトメトリーによる表面抗原解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色をもとに行われる。
3次判定基準において、いずれかが陽性である場合に、細胞は骨形成(+)細胞であると判定され、全て陰性である場合に、細胞は骨形成(−)細胞であると判定される。
本発明にかかる骨形成性細胞の評価方法では、このように複数の判定基準を組み合わせて骨形成(+)細胞かどうかを判定している。これらの方法を組み合わせることの重要性は以下の通りである。
前述のように、これまでの骨形成能の確認にも、ALP活性が用いられてきた。しかし、図4に示すように、ALP活性の分布には骨形成能を持つ細胞と持たない細胞で近接しており、明確な境界を設定することは困難であった。低く設定すれば骨形成能を持たない細胞を多く混入させてしまい、高く設定すれば骨形成能を持つ細胞を除外してしまう。
実際にALP活性を用いて判定基準を考える場合、たとえば骨形成を示した細胞のALP活性の平均値−2SDで境界を設定することが考えられる。ALP活性の値が正規分布をすると想定した場合、実際に骨形成能を持つ細胞の95.45%が回収できるはずであるが、図4を見ると、その一方で、骨形成能を持たない細胞もほとんど回収してしまう可能性がある。
また、骨形成(+)細胞の下限値と設定することも考えられる。しかし、図4を見ると、骨形成(+)細胞の下限値以上でも、骨形成能を持たない細胞も多数存在する。
前述のように、本発明者らにより骨形成能の判定にALPインデックスの有用性が報告されている。しかし、図5を見ると、ALPインデックスの分布も、骨形成能を持つ細胞と持たない細胞で近接しており、明確な境界を設定することは困難であった。
また、これまで骨形成能の判定には使われていないが、本発明者らにより、細胞増殖能のうち特に分化誘導時の増殖能が骨形成能と関係があることが明らかとなっている。しかし、図6を見ると、細胞増殖能の分布も、骨形成能を持つ細胞と持たない細胞で近接しており、明確な境界を設定することは困難であった。
以上のことから、従来用いられてきた指標やその単純な組み合わせでは、骨形成(+)細胞の適切な判定は困難であることがわかる。
したがって、本発明者らは、上記の判定方法では骨形成(+)細胞と骨形成(−)細胞のデータの重なりの部分が多いため、骨形成(+)細胞のみが回収できる厳しい基準(1次判定基準)をはじめに設けているのである。
しかし、1次判定基準では選択されなかった部分に骨形成(+)細胞を多く含んでしまうため、2次判定基準および3次判定基準を用いてそれらの救済を行っている。
また、1次判定基準を満たす細胞にも、わずかに骨形成(−)細胞が含まれる可能性がある。このため、これらの細胞についても、2次判定基準を行っている。
このように本発明にかかる骨形成性細胞の評価方法では、1次判定〜3次判定が行われるが、その結果として判定された骨形成(+)細胞は、本発明者らにより、ほぼ100%骨形成(+)細胞ということが明らかになっている。
次に、1次判定および2次判定で用いられる基準について説明する。はじめに、基準値、評価方法(ALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能)について詳細に説明する。
本発明において、1次判定の基準値は、骨形成(−)細胞の各(平均値+2SD)と設定した。このとき、標本のデータが正規分布をすると仮定した場合、骨形成能を持たない細胞が誤って含まれる確率は(100−95.45)/2=2.275%である。
また、2次判定の基準値は骨形成(+)細胞の各(平均値−2SD)または骨形成(+)細胞の各測定値の下限値と設定した。
上記の基準値は、細胞を採取する患者の母集団(性別、年齢、人種等)によって変化することも考えられる。すなわち、基準値は、患者に合った適切な値を選択することが重要である。したがって、以下に示す基準値は、本発明者らが採取した患者の細胞により決定されたものであり、これらに限定されるものではない。さらに多くのデータにより、この数値をより厳密に設定することも可能である。
なお、以下に示す2次判定の具体的な基準値は、骨形成(+)細胞の各測定値の下限値を例に挙げているが、骨形成(+)細胞の各(平均値−2SD)を用いても妥当な結果が得られる。
・ALP活性
ALP活性の測定には、たとえばp−ニトロフェニルフォスフェート錠剤セット(Sigma-Aldrich社)と細胞集計キットであるWST−8(同仁化学研究所社)を用いることができる。
以下、ALP活性測定を前記の製品で行う場合を例に測定方法を示す。まずWST−8溶液を各ウエルに100μlずつ添加する。炭酸ガスインキュベーター内で1〜4時間呈色反応を行った後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度を測定する。WST−8分析後、細胞膜タンパクを溶解抽出し、その溶解液にp−ニトロフェ二ルフォスフェート溶液を加え、室温で10分間静置後、反応をNaOHで止め、p−ニトロフェノール(p−ニトロフェニルフォスフェートのALPによる分解産物)の吸光度を測定する。ALP活性は、時間あたりのp−ニトロフェノールのモル数/タンパク質の質量(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)で表される。あるいは、p−ニトロフェノール吸光度(OD;405nm)/WST−8吸光度(OD;450nm)として表すこともできる。
図7にALP活性測定結果の例を示す。
骨形成(−)細胞のALP活性平均値+2SDは、2.31{p−ニトロフェノール吸光度(OD;405nm)/WST−8吸光度(OD;450nm)}であった。この値は166単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)に相当する。このため、本発明者らは、ALP活性の1次判定の基準値を約166単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)と設定した。すなわち、ALP活性の1次判定の基準値は166±5単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)であることが好適である。
この細胞あたりのALP活性の単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)への換算式は、本研究に用いた細胞により、本発明者らにより求められたものである。
骨形成(+)細胞のALP活性測定値の下限値は、0.93{p−ニトロフェノール吸光度(OD;405nm)/WST−8吸光度(OD;450nm)}であった。この値は67単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)に相当する。このため、本発明者らは、ALP活性の2次判定の基準値を約67単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)と設定した。すなわち、ALP活性の2次判定の基準値は67±5単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)であることが好適である。
・ALPインデックス
ALPインデックスは、分化誘導培地を添加した細胞(分化誘導群)と、コントロールとして通常培地をいれた細胞(非分化誘導群)についてALP活性を測定し、(分化誘導群のALP活性/非分化誘導群のALP活性)により算出される。
骨形成(−)細胞のALPインデックス平均値+2SDは、3.95であった。このため、本発明者らは、ALPインデックスの1次判定の基準値を約3.95と設定した。すなわち、ALPインデックスの1次判定の基準値は3.95±0.15であることが好適である。
また、骨形成(+)細胞のALPインデックス測定値の下限値は、1.01であった。このため、本発明者らは、ALPインデックスの2次判定の基準値を約1.01と設定した。すなわち、ALPインデックスの2次判定の基準値は1.01±0.15であることが好適である。
・細胞増殖能
細胞増殖能は、培養前後での細胞数の割合、すなわち(分化誘導後の細胞数/初期播種細胞数)により求めることができる。実際には、分化誘導期間終了後に細胞数を測定することにより得られるが、播種した細胞を一定にすることで、(回収された細胞数/播種した細胞数)として算出することが可能である。ここでは、分化誘導期間中の細胞増殖率をもって細胞増殖能と定義する。また、例えば前記の細胞集計キット(WST−8)のOD値の比を持って判定することができる。すなわち、前記の呈色反応を行った後、450nmの吸光度(OD値)を測定し、分化誘導前の細胞数に対するWST−8のOD値で除することで、分化誘導中の細胞増殖率を求めることができる。なお、本発明にかかる細胞増殖能判定は、1継代から4継代までについて適用することができる。
図8に細胞増殖能測定結果の例を示す。
骨形成(−)細胞の増殖能平均値+2SDは、9.7であった。このため、本発明者らは、細胞増殖能の1次判定の基準値を約9.7と設定した。すなわち、細胞増殖能の1次判定の基準値は9.7±0.3であることが好適である。
また、骨形成(+)細胞の増殖能測定値の下限値は、5.6であった。このため、本発明者らは、細胞増殖能の2次判定の基準値を約5.6と設定した。すなわち、細胞増殖能の1次判定の基準値は5.6±0.3であることが好適である。
次に、3次判定で用いられる基準、評価方法(フローサイトメトリーによる表面抗原(HLA−DR)解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色)について詳細に説明する。
本発明において、3次判定の基準は、表面抗原(HLA−DR)陽性細胞が6%以上、TRAP陽性、アリザリンレッド陽性と設定した。
・フローサイトメトリーによる表面抗原解析
6色フローサイトメトリー分析は、既存のフローサイトメーターを使用することができるが、ここではFACS Ariaフローサイトメーター(BDIS社)を使用した。
抗体には、以下の物質が使われた。蛍光イソチオシアネート複合体(FITC-)、フィコエリトリン複合体(PE-)、ペリディニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP-Cy5.5-)、アロフィコシアニン複合体(APC-)、Alexa Fluor 405複合体が使われた。
また、上記した複合体の他に、抗体として、HLA-ABC、HLA-DR、CD3、CD14、CD19、CD34、CD73、CD90、CD106、CD146、マウス−IgG1k、マウス−IgMに対するビオチン化抗体(すべてBD Pharmingen社)、CD10およびCD29に対するビオチン化抗体(Dako社)、CD45に対するビオチン化抗体(インビトロジェン社)も使われた。FITCを共有結合させたCD105抗体(Immunotech社)も使われた。前記のビオチン化抗体は、ストレプトアビジンパシフィックブルー(インビトロジェン社)または、ストレプトアビジンPerCP-Cy5.5(BD Pharmingen社)複合体により検出された。
STRO-1抗体(R&D Systems社)は、PE-結合抗マウスIgMで検出された。また、ヨウ化プロピジウム(同仁化学研究所社)が死細胞を検出するために用いられた。
前記の数十種類の抗体を用いてフローサイトメトリーによる表面抗原解析を行った。本発明者らが検討した結果、骨髄由来の間葉系幹細胞には、同じ手法で培養されても、骨形成能を有する細胞が得られる場合と得られない場合があることが明らかとなったが、HLA−DRに対する抗体以外の上記の抗体の発現において、骨形成能を有する細胞と有しない細胞では差が現れなかった。しかし、唯一HLA−DRに対する抗体の発現のみ有意差があることが明らかとなった。このため、本発明にかかる表面抗原解析では、抗体として、HLA−DRに対するビオチン化抗体を使用している。
以下、本発明に好適なHLA−DRに対するビオチン化抗体を用いた場合の表面抗原解析方法について示す。継代数0および3での細胞は、トリプシン−EDTAにより検出され、1×10の細胞は50μlの氷冷したリン酸緩衝生理食塩水(PBS;日水製薬社)中に懸濁された。次に、細胞は、氷上で20分間、HLA−DRに対するビオチン化抗体とともに培養された。その後、細胞は洗浄され、氷上で20分間ストレプトアビジン複合体とともに培養された。最後に、細胞は洗浄され、200μlの氷冷したPBSに再懸濁され、ヨウ化プロピジウムで染色され、フローサイトメーターにより分析された。データの分析はFlowJoソフトウエア(TreeStar社)を用いて行った。
図9はフローサイトメトリーによる表面抗原解析結果を示している。図9のX軸、Y軸は異なる抗体(それぞれHLA−DR、CD14)に対する反応を見ている。右下の数値はY軸の抗体(CD14)陰性、X軸の抗体(HLA−DR)陽性の分画を表している。
図9(A)に示すように、測定されたHLA−DR陽性細胞が6%以上の場合、骨形成(+)細胞を含む細胞分画と判定される。しかし、図9(B)に示すように、測定されたHLA−DR陽性細胞が6%未満の場合、骨形成(+)細胞を含まない可能性が高い分画として判定される。
このHLA−DR陽性細胞の6%という下限値は、本発明者らが数多くの被験者で見出した経験的に決めた値であるが、本発明はこの数値に限定されるものではない。すなわち、さらに多くのサンプルのデータにより、この数値をより厳密に設定することは可能であり、その場合には具体的には骨を形成した細胞の平均値から2SD等を減じた値と、骨を形成しなかった細胞の平均値に2SD等を加えた値のうち、より高い数値として近似できる。
・TRAP染色
TRAP染色は、例えば、固定液が50mM酒石酸含有緩衝液(pH5.0、発色基質30mg/vial)であるTRAP染色キット(和光純薬工業社)を使用することができる。以下に、前記したTRAP染色キットを用いた場合のTRAP染色評価方法を示す。
まず、D−PBSをウォーターバスで温め、α−MEMに10%血清、1%ペニシリンストレプトマイシン、1%アムホテリシンBとデキサメタゾン、βグリセロリン酸、アスコルビン酸を含む分化誘導培地で培養を行う。
さらに厳密さを得るためには、上記の培地以外に培地としてOsteo Clast
precursor Basal Medium M-CSF(−)、RANKL(−)、Osteo Clast precursor Basal Medium M-CSF(+)、RANKL(+)を使用し、結果を比較することが好ましい。
次に、培養中の96well plateの培地を除去し、D−PBSを250μl/wellずつ加え洗浄し、D−PBSを除去する。次にTRAP染色キットの固定液を50μl/wellずつ加え、5分間固定を行う。5分後、固定液を除去し、蒸留水を250μl/wellずつ加え洗浄し、蒸留水を除去する。この蒸留水での洗浄を3回繰り返し行う。3回目の蒸留水を除去する前に、クリーンベンチの電気を消し、TRAP染色キットの発色基質に50mM酒石酸含有緩衝液を5ml加え、ボルテックスで混合し、発色基質の調製を行う。発色基質の調製後、蒸留水を除去して発色基質を100μl/wellずつ加え、CO 5%、37℃(湿度95%rH以上)で1時間インキュベートを行う。インキュベート後、発色基質を除去し、蒸留水を250μl/wellずつ加え洗浄し、蒸留水を除去する。この蒸留水での洗浄を2回繰り返し行う。洗浄後、蒸留水を50μl/wellずつ加え顕微鏡下で染まっている細胞があるか検鏡し、細胞写真の撮影を行う。
図10(A)のように、測定されたTRAP染色が陽性の場合、骨形成(+)細胞を含む分画と判定される。
しかし、図10(B)のように、測定されたTRAP染色が陰性の場合、骨形成(+)細胞を含まない可能性が高い分画と判定される。
・アリザリンレッド染色
アリザリンレッド染色を行うために、細胞を2.0×104/wellの密度で12wellディッシュに播種する。翌日、分化誘導培地へと交換し、以後培地は週に2回ずつ交換し、3週間分化誘導を行う。
次に、培地を吸引し、細胞をD−PBSで2回洗浄する。その後、固定液(70%エタノール)によってマイナス20度で1時間細胞を固定する。固定液を吸引し、蒸留水にて2回洗浄を行う。
次に、アリザリンレッドS溶液(40mM、pH4.2)を加え、室温で10分間染色を行う。pHは25%アンモニウム水溶液にて調整する。染色液を吸引し、細胞を蒸留水にて非特異的染色が完全になくなるまで洗浄する。その後、マクロおよび顕微鏡写真を撮影する。
図11にアリザリンレッドの染色結果を示す。なお、左側は、分化誘導を行っていない試料(コントロール)、右側は分化誘導後の試料である。
図11(A)のように、測定されたアリザリンレッド染色が陽性の場合、骨形成(+)細胞を含む分画と判定される。
しかし、図11(B)のように、測定されたアリザリンレッド染色が陰性の場合、骨形成(+)細胞を含まない可能性の高い分画と判定される。
本発明にかかる培養細胞の評価方法では、複数の検査値、あるいは指標に対する適応順序、判定基準を設けた上で、それらをフローチャート化することで、経験の有無を問わず精度良く細胞の骨形成能を判定することが好適である。特に少なくとも3以上の検査値、指標を含み、それらの組み合わせにより統計学的な根拠を持って、精度よく細胞の機能を予測、判定することが好適である。本発明では、ばらつきを持ったヒト細胞に対して、複数の検査値、指標をフローチャート化して評価することで、ばらつきの影響を臨床上問題ない程度まで改善することを可能としている。
また、本発明にかかる培養細胞の評価方法では、それぞれの検査値について、適応範囲に含まれるサンプルであっても、他の指標を参照することで目的とする細胞ではないことが判定されることもある。

Claims (1)

  1. 1次判定基準と、2次判定基準と、3次判定基準を有する培養細胞の評価方法において、
    1次判定を行った細胞を、さらに2次判定を行うことにより骨形成(+)細胞を判定し、
    骨形成(+)細胞かどうか判断し難い細胞を、さらに3次判定を行うことにより骨形成(+)細胞を判定する、培養された骨形成性細胞の評価方法であって、
    前記の1次判定において、判定基準はALP活性(アルカリフォスファターゼ活性)、ALPインデックス(分化誘導群のALP活性/非分化誘導群のALP活性)、細胞増殖能(分化誘導後の細胞数/初期播種細胞数)のいずれかが1次判定の基準値以上を満たすかどうかであり、各基準値は、それぞれ、166±5単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)、3.95±0.15、9.7±0.3であり、
    前記の2次判定において、判定基準はALP活性、ALPインデックス、細胞増殖能のすべてが2次判定の基準値以上を満たすかどうかであり、各基準値は、それぞれ、67±5単位(μmol p-nitrophenol produced/min/μg protein)、1.01±0.15、5.6±0.3であり、
    1次判定、2次判定双方の基準を満たした細胞を骨形成(+)細胞と判定し、
    1次判定で基準を満たさなかったが2次判定で基準を満たした細胞については3次判定基準へと移行し、
    2次判定で基準を満たさなかった細胞を骨形成(−)細胞と判定し、
    前記の3次判定において、判定基準はフローサイトメトリーによる表面抗原(HLA−DR)解析、TRAP染色、アリザリンレッド染色のいずれかが基準を満たすかどうかであって、各基準は、それぞれ、測定されたHLA−DR陽性細胞が6%以上、陽性、陽性であって、
    この基準を満たした細胞を骨形成(+)細胞、満たさなかった細胞を骨形成(−)細胞と判定することを特徴とする培養された骨形成性細胞の評価方法。
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