JP5699454B2 - 負の熱膨張係数を有するフィルム、その製造方法および積層体 - Google Patents

負の熱膨張係数を有するフィルム、その製造方法および積層体 Download PDF

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Description

本発明は負の熱膨張係数を有するフィルム、その製造方法および積層体に関する。
芳香族ポリアミド(以下「アラミド」ということがある)やポリイミドに代表されるフィルムは、これらを絶縁材料として用いたフレキシブル回路基板などの回路基板として広く利用されている。近年、電子回路配線の微細化や、シリコンなど低熱膨張係数素材と複合して利用する用途の拡大に伴い低熱膨張係数の要求が大きくなっている。
フィルムは接着剤や各種コーティング膜等と積層して使用されることが多いため、フィルムの熱膨張係数をシリコンなどに整合させ、0〜5ppm/℃とする要求と共に、フィルムの熱膨張係数はさらに小さく、例えば負の値とし、接着層などを含めた基板全体の熱膨張係数を小さくする要求も出てきた(特許文献1)。
この要求に対し、特許文献2には熱収縮を含んだ値ではあるが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンとピロメリット酸二無水物からなるポリアミック酸をイソイミド化した後に延伸、イミド化して得られる、負の熱膨張係数を有するポリイミドの開示がある。しかしながら、このフィルムは、その構成成分ポリマとして剛直構造単位のみにしか言及しておらず、溶媒への溶解性向上、他素材との密着性向上、伸度向上などを目的に屈曲性構造の導入が求められていた。また、特許文献2に記載の方法では、ポリアミック酸からイソイミドへの転換、イソイミドからポリイミドへの転換と、多段階の転換反応が必要なため、工程が煩雑になったり、イソイミド化剤、イミド化剤として多くの薬品が必要となる問題があった。
また、たとえば特許文献1や特許文献3に開示の液晶ポリエステルなどの異方性フィルムは、一方向に延伸を行うと延伸方向のみ負の熱膨張係数を得るが、延伸方向と直交する方向の熱膨張係数を負の値とすることは実現できていない。フィルム面内の熱膨張係数が方向によって大きく異なると、他の素材と積層した際に反りを生じる原因となる。熱膨張係数はフィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても負の熱膨張係数を有することが強く求められている。
特開2004−111945号公報 特開2007−56198号公報 特開2007−254663号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は屈曲性構造を有しかつ、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても負の熱膨張係数を有するフィルムを得ることにある。
上記目的を達成するための本発明は、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在し、化学式(VI)〜(X)で示される群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含み、化学式(VI)で表される構造単位のモル分率をa、化学式(VII)で表される構造単位のモル分率をb、化学式(VIII)で表される構造単位のモル分率をc、化学式(IX)で表される構造単位のモル分率をd、化学式(X)で表される構造単位のモル分率をeとしたとき、a、b、c、dおよびeが次式(1)〜(5)を満足するフィルムを特徴とするものである。
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:O、SO 、C(CF 、またはO-Ph-SO -Ph-O
Figure 0005699454
:H、ClまたはF
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:フェニル基、置換フェニル基またはメチル基
1≦b≦10 ・・・(1)
0≦d≦40 ・・・(2)
a+b=50 ・・・(3)
e=0 ・・・(4)
(c+d)/(a+b)=1.0 ・・・(5)
Figure 0005699454
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:O、SO、C(CF、またはO-Ph-SO-Ph-O
Figure 0005699454
:H、ClまたはF
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:フェニル基、置換フェニル基またはメチル基
1≦b≦10 ・・・(1)
0≦d≦40 ・・・(2)
a+b=50 ・・・(3)
e=0 ・・・(4)
c+d)/(a+b)=1.0 ・・・(5)
本願発明によれば、特定の構造単位(屈曲性構造単位)を1mol%以上含み、かつフィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在するフィルムを提供できる。これにより、平均熱膨張係数を本発明のフィルム単体として−50ppm/℃以上0ppm/℃未満に、あるいは接着剤などの他素材と複合した積層体として、−50ppm/℃以上の任意の値に制御することが可能となる。シリコン、ITOやガラスなどは平均熱膨張係数が0〜10ppm/℃と小さく、従来のフィルムは平均熱膨張係数が大きく、これらと複合した時に界面に大きな応力が発生してカールやクラックの問題があったが、本発明のフィルムを用いると、シリコン、ITOやガラスなどとの界面での応力を抑制でき、カールやクラックの発生を大幅に低減することが可能となる。
本発明のフィルムを構成するポリマは、その主鎖構造に以下の(I)および(II)に示す群から選ばれる少なくとも1種の構造単位(以下、屈曲性構造単位ということがある)を1mol%以上含んでいる。
Figure 0005699454
〜R:H、OH,炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、シリル基、フェニル基、または、置換フェニル基。それぞれ同一の置換基であっても異なっていてもよい。
Figure 0005699454
なお、化学式(II)で示される構造単位は、それらが連続あるいは複合した構造、たとえばデカリン構造、ノルボルネン構造、アダマンタン構造などであってもよい。
〜Rは、好ましくはH、炭素数1〜5の炭化水素基、フッ素、炭素数1〜5のハロゲン化炭化水素基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、より好ましくはH、メチル基、エチル基、プロピル基、フッ素、−CF、フェニル基である。RおよびRは、−CFの場合、得られるフィルムの光線透過率に優れるため好ましい。R〜Rは好ましくはH、メチル基、エチル基である。
熱膨張係数は、加熱による膨張の大きさを示す値であり、特許文献2に挙げた極めて特殊なフィルムを除いてフィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、負の値を持つものは知られていない。また熱膨張係数は、その分子構造の屈曲性が大きいほど大きくなることが知られている。屈曲性は「自由度」あるいは「柔軟性」とも表現され、分子鎖長の変動幅を示す。たとえば、剛直な構造であるポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記すことがある)は分子鎖の屈曲性がほとんど無く、熱膨張係数は小さい。一方、エーテルなど屈曲性構造を持つ分子はエーテル部の回転、変角によって、その分子鎖長が大きく変化し、熱膨張係数は大きい。
ただし、剛直な構造であるPPTAであっても、主鎖を構成するC−C結合やフェニル基はわずかに分子伸長し、また有機溶媒に不溶なためパッキングが粗となり、熱膨張係数は2ppm/℃と正の値を持ち(「最新ポリイミド」NTS社刊、日本ポリイミド研究会編 p579「アラミカ」の主要性能)、さらに、エーテルやスルホンなど屈曲性基を有するフィルムは10〜100ppm/℃の大きな正の熱膨張係数を持つ。
即ち、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、熱膨張係数が負の値を持つフィルムを得ることは通常極めて困難であり、さらに熱膨張係数の増大要因として知られる屈曲性単位を導入してなお、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、負の値を持つフィルムを得ることは不可能と考えられていた。
一方で、フィルムの製造や使用において屈曲性単位の導入による物性改良の要求は強い。たとえば、ガラスやシリコン基板と積層して利用される用途においては、これらとの密着性向上を目的にSiを有する化合物(一般に「シランカップリング剤」と総称される)を別途添加したり、分子構造に導入する要求がある。あるいは、金属や接着剤など他素材との密着性向上を目的に−SO−を導入する要求がある。また光線透過率向上、吸湿率低減や誘電率低減を目的に脂肪族基、脂環族基を導入する要求がある。さらにフィルムは、その製造、加工時の搬送において10%以上の破断点伸度を持つことが好ましい。破断点伸度が10%未満の場合、搬送張力を吸収できずフィルムが割れたり破れたりすることがある。破断点伸度向上には屈曲性単位の導入が効果的であり、この目的においても屈曲性単位導入の要求は強い。また、溶液製膜法によって製膜されるフィルムの場合、溶液への溶解度が重要であるが、屈曲性単位導入は溶解度向上に寄与するため、この目的においても屈曲性単位導入の要求は強い。
なお、これらの要求項目のうち、破断点伸度向上および溶解度向上についてはポリマの主鎖に屈曲性単位を導入することが効果発現には必須であり、他の項目についても側鎖の修飾ではなく、主鎖構造に屈曲性単位を導入することが好ましい。
屈曲性構造単位はその目的に応じて選ばれるべきであるが、熱膨張係数増大への影響が小さく、フィルムの破断点伸度向上および溶解度向上に寄与することから、化学式(I)に示した構造単位(屈曲性構造単位)を少なくとも1mol%以上含むことが好ましい。中でも、−O−、−SO−、置換メチレン、フルオレンが好ましく、−SO−、ジ(トリフロロメチル)メチレンがより好ましく、最も好ましくは−SO−である。
化学式(II)に示した構造単位(脂環構造単位)は、その環構造によって、変角や回転の自由度は制限されているため平均熱膨張係数が著しく増大することなく、ある程度の自由度を与えることができる。例えばシクロヘキサンであれば、椅子型および船型のように、コンフォメーションの自由度があるため屈曲性を付与することができる。化学式(II)に示した構造単位の中では好ましくは、シクロヘキサン構造、シクロペンタン構造であり、より好ましくはシクロヘキサン構造である。また、化学式(II)に示した構造単位が連続または複合した構造であることも好ましく、具体的にはアダマンタン構造、ノルボルネン構造、デカリン構造などの複合環構造などが挙げられ、より好ましい構造はアダマンタン構造、ノルボルネン構造である。
本発明のフィルムはフィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在している。
100℃〜200℃の平均熱膨張係数が上述の直交する2方向について−50ppm/℃以上0ppm/℃未満に制御されていることにより、平均熱膨張係数が大きい接着剤などと積層して、積層体としても積層体全体の平均熱膨張係数を小さく制御できる。このため、シリコン、ガラスあるいはITOなど熱膨張係数が4〜6ppm/℃と小さい材料と積層したときにもカールや割れが生じにくくなる。また、電気回路の微細化によって、加熱時に寸法が変化しない、即ち熱膨張係数が0ppm/℃の素材も切望されており、本発明のフィルムを好適に用いることができる。100℃〜200℃の平均熱膨張係数は、上述の直交する2方向について好ましくは−10ppm/℃以上0ppm/℃未満、より好ましくは−5ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−3.5ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−3.0ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−2ppm/℃以上0ppm/℃未満、である。
また、平均熱膨張係数が一方向のみではなく、直交する2方向について制御されていることにより、カールや割れが少なくなる。熱膨張係数が制御された方向は、フィルムの製膜方向(「長手方向」または「MD方向」という事がある)と、その直交方向(「幅方向」または「TD方向」ということがある)の組であることが好ましい。また、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向の平均熱膨張係数の差は5ppm/℃以下であることが好ましい。平均熱膨張係数の差はより好ましくは3ppm/℃以下、さらに好ましくは1ppm/℃以下、最も好ましくは0.5ppm/℃以下である。
なお、本発明において、「平均熱膨張係数」とは温度T1から温度T2までの熱膨張係数の平均を指し、「熱膨張係数」とはある温度Tでの熱膨張係数を意味する。
100℃〜200℃の平均熱膨張係数は250℃まで昇温した後の降温過程において測定する。25℃、75RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数は以下の式で求められる。
平均熱膨張係数(ppm/℃)
=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
この測定は250℃まで昇温した後の降温過程(2サイクル目以降の過程を含む)において測定することが重要である。最初の昇温工程では延伸等で生じた歪みを緩和するため「熱収縮」と呼ばれる収縮が生じ、平均熱膨張係数を正確に測定することができない。これに対し、昇温後の降温過程、あるいは昇温と降温を繰り返した場合の2サイクル目以降の測定では熱収縮を排除した平均熱膨張係数を測定できる。なお、特許文献2に開示のフィルムは1サイクル目の昇温(1)、降温(2)および2サイクル目の昇温(3)、降温(4)という(1)〜(4)合計4点の平均値を採用しているため熱収縮を含む1サイクル目の昇温(1)のデータを含んでいる。熱収縮の影響を除外した平均熱膨張係数の値を求める目的においては(2)〜(3)で得られるデータのみを採用する必要がある。他の文献においても同様に熱収縮率を含む値を採用していたり、一方向だけの値を採用し、これと面内で直交する方向の値を開示していないことがあるため、注意が必要である。
同様に200℃〜300℃の平均熱膨張係数は305℃まで昇温した後の降温過程において測定する。25℃、75RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数は以下の式で求められる。
平均熱膨張係数(ppm/℃)
=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
200℃〜300℃の平均熱膨張係数は、好ましくは−50ppm/℃以上0ppm/℃未満、より好ましくは−10ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−5.0ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−3.0ppm/℃以上0ppm/℃未満、さらに好ましくは−2ppm/℃以上0ppm/℃未満である。
本発明のフィルムは10質量%以下の無機化合物を含有していることも好ましい。従来、熱膨張係数低減を目的に50質量%あるいはそれを超えるシリカなど無機粒子を添加する技術があったが、フィルムの機械強度が低下するなどの問題があった。本発明のフィルムは無機化合物を含まず、構成成分ポリマ100質量%の場合においても負の平均熱膨張係数を有するため、熱膨張係数の低減を目的に敢えて無機粒子などの無機化合物を添加する必要は基本的にはない。一方で、表面形成、加工性改善などを目的とする場合は、10質量%以下の範囲で無機化合物を含有させてもよい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、グラファイト、ダイヤモンド、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。たとえば、表面形成を目的にした場合、SiOの添加が好ましい。含有せしめる量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。
また、有機粒子を、無機化合物との合計量で10質量%以下の範囲内で含有させてもよく、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子が使用可能である。また、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子を用いてもよい。
本発明のフィルムの主な用途である表示材料、回路基板あるいは光電複合回路基板は半田リフロー工程を有することが多く、280℃での耐熱性が求められる。また、ITO等の透明電極やガスバリア層の形成はスパッタリングで行われることが多く、これら工程および、これら工程後の熱処理工程に耐えることが必要である。このため、本発明のフィルムは、構成成分としてポリアミド、ポリアゾール系樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステルおよびこれらの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいることが好ましい。
さらに好ましくは芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリオキサジアゾール、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエステル(以下「ポリアリレート」と言うことがある)またはこのいずれかを含む共重合体である。中でも好ましくは芳香族ポリアミドである。最も好ましくは全パラ配向性の全芳香族ポリアミドである。
本発明のフィルムはヘイズが1.5%以下であることが好ましい。より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.8%以下、最も好ましくは0.7%以下である。
ヘイズが大きいと表示材料用途での利用が困難になるばかりでなく、フィルムを他素材と積層したときに界面状態の観察が困難になりやすい。
本発明のフィルムは400nmの波長の光の光線透過率が70%以上であることも好ましい。より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは83%以上である。
光線透過率が70%を下回ると、表示材料用途での利用が困難になるばかりでなく、UV硬化性の接着剤を使用した場合にフィルムの反対面からUVを照射してもフィルムに吸収されてしまい硬化しづらくなる問題がある。
なお、従来から知られている耐熱性高分子は黄色や茶色に着色しており、400nmの光線透過率は極めて小さいものであった。一方で光線透過率が向上したポリイミドやアラミドの検討も行われているが、それらは屈曲性単位を主たる構成成分としており、熱膨張係数が著しく大きいものである。
また、本発明のフィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断点伸度が10%以上、より好ましくは15%以上であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。さらに好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、最も好ましくは32%以上である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。また、製膜方向(MD方向)と製膜方向と直交する方向(TD方向)の破断点伸度の差は30%以内であることが好ましい。より好ましくは20%以内、最も好ましくは10%以内である。
本発明のフィルムは、臭化リチウムを5質量%含むN−メチル−2−ピロリドン溶液に5質量%以上溶解可能であることが好ましい。ここで「臭化リチウムを5質量%含むN−メチル−2−ピロリドン溶液に5質量%以上溶解可能である」ということ(以下「溶解性が「○」」ということがある)は、臭化リチウム5質量%以下含有のN−メチル−2−ピロリドンにポリマを5質量%以上溶解し、その後25℃で2週間放置後も流動性を保つことをいう。なお、臭化リチウム5質量%未満で溶解性が「○」であった場合は臭化リチウム5質量%においても「○」である。また、ポリマを5質量%を超えて溶解せしめて溶解性が「○」の場合は5質量%においても溶解性が「○」である。
なお、「流動性を保つ」とは、25℃において容量100mlのビーカーにポリマ溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
臭化リチウムはポリマを溶解しやすくする「溶解助剤」として作用するが、好ましくは臭化リチウムを2質量%含むN−メチル−2−ピロリドン溶液に5質量%以上溶解可能であることであり、より好ましくは臭化リチウムを含まないN−メチル−2−ピロリドン溶液に5質量%以上溶解可能であることである。
同一構造のポリマにおいて、固有粘度は分子量と相関があり、固有粘度が大きいと分子量も大きい。分子量が小さいポリマは脆かったり、破断伸度が小さいことがある。このため分子量、即ち固有粘度を大きくすることが求められる。
固有粘度を大きくする方法として、たとえばジアミンとカルボン酸ジクロライドを原料とする低温重合法では原料の純度を向上する、ジアミンとカルボン酸ジクロライドの比率を100:100(mol%)に近づける、重合時に副反応が起こらないように低温で攪拌を十分に行う、等が挙げられる。
本発明のフィルムの固有粘度は2.0(dl/g)以上であることが好ましい。固有粘度が低くなれば、溶解性も向上するが、得られるフィルムは脆く、伸度の低いものとなってしまう。本発明に用いられるポリマは、化学式(I)または化学式(II)に示す群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を1mol%以上含むため、固有粘度を2.0以上としても溶解性があり、高伸度のフィルムを得ることが可能である。固有粘度はより好ましくは2.5(dl/g)以上、さらに好ましくは2.7(dl/g)以上、さらに好ましくは3.0(dl/g)以上である。固有粘度の上限はないが、10(dl/g)以下が好ましく、より好ましくは8(dl/g)以下、さらに好ましくは7(dl/g)以下である。
屈曲性構造単位を1mol%以上含みながらも、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在する本発明のフィルムを得るためには、(1)剛直な構造単位を主たる構成単位とし、(2)分子鎖が並びやすいポリマ構造あるいは分子鎖が並びやすい製膜方法を用いることが好ましい。なお屈曲性構造単位は主に通常は溶解性等の向上を図るために導入し、直接的には熱膨張係数に関しては増大要因となる。ただし、溶解性向上に寄与するため、溶媒不溶だったポリマを溶液製膜可能にせしめたり、伸度向上に寄与するため高倍率の延伸を可能にせしめる効果がある。屈曲成構造単位の導入量に上限はないが、10mol%以下であることが好ましい。より好ましくは7.5mol%以下、さらに好ましくは5mol%以下である。10mol%を超えると100℃〜200℃の平均熱膨張係数が0ppm/℃以上となることがある。即ち、剛直な構造単位は90mol%以上であることが好ましく、92.5mol%以上が好ましく、より好ましくは95mol%以上である。
剛直な構造単位の例について化学式(XI)に示す、1,4−フェニレン残基、4,4’−ビフェニル残基、p−ターフェニル残基、ポリベンゾアゾール構造単位、ピロメリットイミド構造単位などが例示できる。これらは置換基を有していてもよい。
Figure 0005699454
10:OまたはS
これら化学式(XI)に示した剛直な構造はそれ自体が剛直であると共に、完全に直線状となるため、回転による分子鎖長の変化を生じないため好ましい。これらの中でもより好ましくは置換基を有するかまたは有さない1,4−フェニレン残基、4,4’−ビフェニル残基である。
また、分子鎖が並びやすい構造について、たとえばメソゲン基の導入、アミド基の導入や溶液製膜法の採用が挙げられる。メソゲン基としては化学式(XI)に示した4,4’−ビフェニル残基、p−ターフェニル残基などが挙げられる。メソゲン基を導入することで、フィルム全体としては液晶性を示さないまでも微視的には秩序構造を形成すると考えられる。また、アミド基は分子間相互作用が強く、分子間で水素結合すると考えられている。さらに、アミド基は理論上、熱膨張係数が負と考えられているため、屈曲成分に由来する正の熱膨張係数を打ち消してポリマ全体の熱膨張係数を負にすることが可能と考えられる。このため、ポリマの構成成分としてアミド基を有することが好ましい。
分子鎖が並びやすい製膜方法について有機溶媒を溶媒に用いた溶液製膜法が挙げられる。分子運動が可能な溶液状態で支持体上に展開されるため分子が整列しやすい。しかしながら、剛直な構造を持つポリマは有機溶媒に不溶となることが多い。このため前駆体状態で溶液製膜したり、ポリマにハロゲンまたはハロゲン化炭化水素など、バルキーな基を導入したり、単位長の異なる構造、たとえば1,4−フェニレン残基と4,4’−ビフェニル残基を共重合するなどして、分子間のパッキングを阻害することも好ましい。
具体的な直線状の剛直な構造単位として、化学式(III)〜(V)が挙げられる。本発明のフィルムは化学式(III)〜(V)で示される群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含んでいることも好ましい。
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:H、ClまたはF
Figure 0005699454
これらは全てフェニレン残基またはビフェニル残基がアミド基のみで結合した極めて剛直な構造単位である。これら剛直な構造単位の少なくとも1種を含み、さらには1mol%以上の屈曲性構造単位を有することが、負の平均熱膨張係数を持つフィルムを得るために有効である。
さらに化学式(III)〜(V)で示される構造単位が、化学式(VI)、(VIII)、(IX)で示される構造単位であることがより好ましい。また、本願発明をのポリマとして化学式(VI)〜(X)で示される群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含むことも好ましい。
化学式(VI)で示される2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル残基は低い熱膨張係数と高い光線透過率に寄与する。屈曲性構造単位としては化学式(VII)で表される構造単位であることが好ましい。化学式(VII)で表される構造単位は熱膨張係数を著しく増大することなく、屈曲性を付与することが可能である。化学式(VII)において、Rは、O、SO、C(CF)、またはO-Ph-SO-Ph-Oが好ましく用いられる。延伸によって非常に大きな複屈折を得る目的ではO-Ph-SO-Ph-Oが選ばれ、吸湿率を小さくする目的ではC(CF)が選ばれる。さらに好ましくは化学式(VII)において、RがSOで示されるスルホン酸基の場合である。この場合、溶解性、熱膨張係数と機械強度の全てが良好となるため好ましい。
化学式(IX)で示される4,4’−ビフェニルジカルボン酸残基は化学式(VIII)で示される置換または非置換テレフタル酸残基と同様に剛直構造であるため、負の熱膨張係数と大きいヤング率に寄与し、さらに分子長が化学式(VIII)で示される構造と異なるために分子間のパッキングを阻害し、溶媒に対する溶解性を向上する効果があると考えられる。ここで化学式(VIII)のRはH、ClまたはFである。Hは原料が安価という利点がある。また、より溶解性を向上し吸水率を低減する目的ではFが好ましい。ポリマの末端を化学式(X)で示す成分を用いて末端封止していることが好ましい。末端封止を行わない場合、特に膜厚の大きいフィルムを得る場合や、フィルムを屋外で使用する場合などは不安定な末端部位が加熱などによって着色することがある。
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:O、SO、C(CF、またはO-Ph-SO-Ph-O
Figure 0005699454
:H、ClまたはF
Figure 0005699454
Figure 0005699454
:フェニル基、置換フェニル基またはメチル基
上記において化学式(VI)で表される構造単位のモル分率をa、化学式(VII)で表される構造単位のモル分率をb、化学式(VIII)で表される構造単位のモル分率をc、化学式(IX)で表される構造単位のモル分率をd、化学式(X)で表される構造単位のモル分率をeとしたとき、a、b、c、dおよびeが次式(1)〜(5)を満足することがさらに好ましい。
1≦b≦10 ・・・(1)
0≦d≦40 ・・・(2)
a+b=50 ・・・(3)
0≦e≦ 5 ・・・(4)
0.9≦(c+d)/(a+b)≦1.1 ・・・(5)
より好ましくはa、b、c、dおよびeが次式(6)〜(10)を満足することである。
1≦b≦ 5 ・・・(6)
0≦d≦20 ・・・(7)
a+b=50 ・・・(8)
0≦e≦ 1 ・・・(9)
0.9≦(c+d)/(a+b)≦1.1 ・・・(10)
式(1)および式(6)に規定したbは化学式(VII)で示した屈曲性構造単位の導入量を示し、1以上であることが好ましい。1未満の場合は破断点伸度が不十分になり、製膜時や使用時に破れる傾向がある。一方、bが10を超えると平均熱膨張係数が増大し、正の値となりやすい。
式(2)および式(7)に規定したdは化学式(IX)で示した構造単位の導入量を示す。化学式(IX)で示される4,4’−ビフェニルジカルボン酸残基は化学式(VIII)で示される置換または非置換テレフタル酸残基と同様に剛直構造であるため、負の熱膨張係数と大きいヤング率に寄与し、さらに分子長が化学式(VIII)で示される構造と異なるために分子間のパッキングを阻害し、溶媒に対する溶解性を向上する効果があると考えられる。化学式(VII)で示した構造単位の導入によっても溶解性が付与されるため下限は0である。また、上限は40であり、より好ましくは5以上10以下である。このような範囲であるとき、分子間のパッキング阻害効果が発現し、溶解性が向上する。
式(3)、(4)、(5)、(8)、(9)および(10)はジアミン残基、ジカルボン酸残基および末端封止基のモル分率を規定している。式(3)および(8)に規定したとおり、a+b=50とした時、ジカルボン酸残基とジアミン残基の比、即ち(c+d)/(a+b)は式(5)および式(10)で規定したとおり0.9以上1.1以下であることが好ましい。0.9未満の場合、ジアミン残基が過剰となり重合度が十分に上がらず、得られる固有粘度が低く脆いフィルムとなる傾向がある。一方、1.1を超える場合はジカルボン酸残基が過剰となり重合度が十分に上がらず、得られる固有粘度が低く脆いフィルムとなりやすい。さらに末端封止基は式(4)および式(9)で規定したとおり0以上5以下が好ましく、0以上1以下がより好ましい。5を超えると重合度が十分に上がらず、得られる固有粘度が低く脆いフィルムとなる傾向にある。
上記した本発明のフィルムは、積層体を構成するフィルムとして少なくとも1層含んだ積層体とすることが好ましい。積層体とする場合は、本発明のフィルムと、後述する他の素材とが積層された構造を有することとなる。本発明のフィルムを用いた積層体の利点は大きく2点ある。
(a)熱膨張係数の小さい素材と積層した場合、熱膨張係数の差が小さいため積層界面の応力が小さく、カールの発生が抑制される。
(b)積層体全体の熱膨張係数は積層体を構成する各層の熱膨張係数によって決定されるが、ヤング率が小さく、熱膨張係数の大きい素材と積層した場合、本発明のフィルムが熱膨張係数を抑制し、積層体全体としての熱膨張係数を小さくすることが可能である。
まず(a)について詳細に説明する。熱膨張係数の小さい素材とは、具体的には少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が20ppm/℃以下の素材を示す。シリコン基板、ガラス、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)、酸化ケイ素、窒化ケイ素などガスバリア膜、銅箔、ステンレス箔などの金属箔等が例示できる。従来これら素材と同程度に熱膨張係数の小さい透明耐熱素材は存在しなかった。本発明のフィルムは特にシリコン基板、ガラス、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)、酸化ケイ素、窒化ケイ素などガスバリア膜のような、少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が10ppm/℃以下の素材と積層した場合にカール等の問題が生じにくいため好ましい。
本発明のフィルムと熱膨張係数の小さい素材を積層する方法としては、接着剤や粘着剤を用いる方法、および蒸着、スパッタなど直接積層する方法などが例示出来る。接着剤や粘着剤は一般に熱膨張係数が大きいため熱膨張係数の小さい素材との界面に応力が生じる。このため、蒸着、スパッタなど直接積層する方法が好ましい。熱膨張係数の小さい素材は、用途に応じて適宜選択されるが、本発明のフィルムの高耐熱、高透明と低熱膨張係数という特徴を活かす用途としてITOとの積層体が挙げられる。ITOは製膜後の加熱処理によって抵抗値を下げることが可能である。この処理は200℃以上、好ましくは220℃以上の温度が好ましいが、従来のフィルムを用いた場合、耐熱性が不十分だったり、熱膨張係数が大きいため加熱時に大きくカールする問題があった。本発明のフィルムとITOの積層体の場合、熱膨張係数の差が小さいため200℃以上の温度での熱処理が可能である。
ITO,酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラスなどの無機化合物は引張り応力に対してはクラック(割れ)が生じやすいが、圧縮応力に対してはクラック(割れ)が生じにくい。本発明の負の熱膨張係数を持つフィルムは、これら素材より小さい熱膨張係数を有するため、積層体とした時、ITO等には加熱時に圧縮応力が生じ、冷却時に圧縮応力が緩和されるのみで、引張り応力は生じないためクラックが生じにくく好ましい。
次に(b)について詳細に説明する。エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂などに代表される熱硬化樹脂、光硬化樹脂、熱可塑樹脂などの素材(以後、「樹脂A」と言うことがある)は接着性、成形性などの利点を持つ一方、一般に熱膨張係数が大きい問題がある。樹脂Aを本発明のフィルムと積層すると、樹脂Aの利点を維持しつつ、積層体全体の熱膨張係数を抑制することが可能である。この目的の場合は本発明のフィルムと樹脂Aの熱膨張係数に大きな差があるため、樹脂A/本発明のフィルム/樹脂Aという3層構成とすることが好ましい。さらに好ましくは樹脂Aの層は同じ厚みであることが好ましい。樹脂A/本発明のフィルムの2層構成であったり、3層構成であっても樹脂A層の厚みが異なると、積層体がカールする場合がある。
樹脂Aは目的に応じて適宜選択されるが、例えば樹脂Aとして熱硬化樹脂、光硬化樹脂、熱可塑樹脂を用いた積層体が例示できる。この積層体はインプリント成形体として好適に利用できる。ここで本発明のフィルムはインプリント成形体の支持基板の役割を果たす。近年、「ナノインプリント」と呼ばれる成形方法が広く提案されている。熱硬化性あるいは、熱可塑性樹脂を用いた熱インプリント、紫外線硬化樹脂などの光硬化樹脂を用いた光インプリントなどがあるが、ここで用いられる樹脂はいずれも熱膨張係数が50ppm/℃程度と大きい。また、ヤング率は本発明のフィルムと比較して非常に小さい。このため、本発明のフィルムを樹脂Aと積層すると、本発明のフィルムの負の熱膨張係数と、高ヤング率により、積層体全体の熱膨張係数が小さく抑制できる。
好ましくは、少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が20ppmを超える素材と上記した本発明のフィルムとを積層した積層体とすることである。これにより、上記したような利点を得ることが可能となる。このような素材として、前述の樹脂Aを用いることができることはいうまでもない。
このように、平均熱膨張係数が20ppmを超える素材と本発明のフィルムとの積層体の具体例としては、例えば電子ペーパー用途などが考えられる。
上記した本発明の積層体は、カールが5mm以下であることが好ましい。ここでカールは、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置した35mm×120mmの試料を水平な台に置いて、4角の台からの浮きを測定し、これを平均した値をカールの値とした。カールの方向は本発明のフィルムを上にしたとき凹になるカールをプラス、逆に本発明のフィルムを上にしたとき凸になるカールをマイナスと表記する。
本発明の積層体は積層体全体の、少なくとも一方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が20ppm/℃以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは表示材料、表示材料基板、回路基板、光電複合回路基板、光導波路基板、半導体実装用基板、多層積層回路基板、透明導電フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、コンデンサー、プリンターリボン、音響振動板、太陽電池、光記録媒体、磁気記録媒体のベースフィルム、包装材料、粘着テープ、接着テープ、加飾材料等種々の用途に好ましく用いられる。
表示材料について、一般に表示材料基板としてはガラスが用いられているが、本発明のフィルムを表示材料基板として用いると、薄膜化、軽量化、割れないという大きなメリットを有する表示材料を得ることができる。本発明の表示材料の種類は特に限定は無いが、薄膜、軽量がメリットとなる薄膜ディスプレイ、あるいは薄膜表示体であることが好ましい。薄膜ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーなどが例示できる。液晶ディスプレイの基板として用いる場合は、延伸により位相差を小さく制御することが好ましい。また、任意の位相差を付与して位相差付き基板とすることも好ましい。位相差付き基板として用いる場合は、波長550nmの光の位相差が137.5nmの整数倍±50nmの範囲であることが好ましい。これは波長550nmの光の位相差が波長の1/4すなわち、137.5nmや1/2すなわち275nmのものが、それぞれλ/4位相差板、λ/2位相差板として有用であるためである。また、位相差は組み合わされる液晶などによって正確にλ/4やλ/2ではなく、±50nmの範囲で調整されることも好ましい。
さらには、液晶セルの内側に偏光板を配置した構成のインナーセル型液晶ディスプレイとすると、基板の位相差はディスプレイの品位に全く影響しないため好ましい。薄膜表示体としてはポスター、発光POP(Point of purchase advertising)広告、ネオンサインなどが例示できる。
回路基板として用いる場合、本発明のフィルムは平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満に制御されていることにより、接着剤など他素材と積層して積層体としても、熱膨張係数を小さく制御することが可能となり、シリコン、ガラスあるいはITOなど熱膨張係数が4〜6ppm/℃である材料と積層したときにカールや割れが生じないため好ましい。また、電気回路の微細化によって、加熱時に寸法が変化しない、即ち熱膨張係数が0ppm/℃の素材も切望されており、本発明のフィルムを好適に用いることができる。電気回路基板としては、本発明のフィルムと金属箔とをエポキシなどの接着剤で接着した3層フレキシブル回路基板(以下「FPC」という)や、本発明のフィルムに金属を蒸着、スパッタやメッキした2層FPC、金属箔上に本発明のフィルムを形成したものや、半導体チップを直接実装する基板、ビルドアップ基板、インターポーザー、光導波路、光電複合回路、ITOなど透明導電基板などに好適に利用できる。
また、400nmの波長の光の光線透過率を70%以上とした場合には、透明な回路を作成することができる。このため、光導波路や光電複合回路では基板に貫通孔を設けることなく、基板の一方の面から他方の面へ光信号を通過させることが可能である。
さらには、本発明のフィルムと他素材との積層体において、本発明のフィルム側から紫外光、可視光、レーザー光などを照射し、積層された他方の素材のみを加工することが可能である。例えば紫外光硬化や、可視光硬化の接着剤を本発明のフィルムと半導体や金属箔などの間に挟み、これを紫外光や可視光で硬化せしめる作成方法も適用可能となる。
以下に本発明のフィルムを、芳香族ポリアミドを例にポリマの製造方法やフィルムを製造する例を説明する。もちろん、本発明はこれに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法つまり酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
2種類以上のジアミンを用いて重合を行う場合、ジアミンは1種類ずつ添加し、該ジアミンに対し10〜99モル%の酸ジクロライドを添加して反応させ、この後に他のジアミンを添加して、さらに酸ジクロライドを添加して反応させる段階的な反応方法、およびすべてのジアミンを混合して添加し、この後に酸ジクロライドを添加して反応させる方法などが利用可能である。また、2種類以上の酸ジクロライドを利用する場合も同様に段階的な方法、同時に添加する方法などが利用できる。いずれの場合においても全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は95〜105:105〜95が好ましく、この値を外れた場合、成形に適したポリマ溶液を得ることが困難となる。
本発明の芳香族ポリアミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。さらにはポリマの溶解を促進する目的で溶媒には50質量%以下のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩を溶解助剤として添加することができる。この溶解助剤としては臭化リチウム、塩化リチウムなどが例示できる。
ここで、上記したポリマ溶液を調製する際の「溶解」とはゲル状物を生じることなく流動性を保ったポリマが溶媒に分散している状態が25℃で24時間以上継続することをいう。なお、このポリマの溶解工程においては0℃以上100℃以下の温度で加熱撹拌することが可能である。
次にフィルム化について説明する。本発明で用いる芳香族ポリアミドは有機溶媒に可溶であるため、PPTAのように濃硫酸を用いた特殊な製膜方法は必ずしも必要としない。
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。本発明の目的、即ち「屈曲性構造単位を含みながらも熱膨張係数を負の値にする」ためには、(1)剛直な構造単位を主たる構成単位とし、(2)分子鎖が並びやすいポリマ構造あるいは分子鎖が並びやすい製膜方法を用いることが好ましい。この目的に対し、溶液製膜法を用いると、溶媒の蒸発に伴い徐々にポリマ濃度が上がり、ポリマ鎖が整列しやすい。もちろんポリマ鎖が一方向に整列してしまうとMD方向とTD方向の物性が大きく異なるフィルムとなるが、本発明のフィルムは屈曲性構造単位を有することにより、ポリマ鎖が一方向に揃ってしまうことを阻害し、MD方向とTD方向の物性を等方化していると考えられる。
溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの方法で製膜されても差し支えないが、本発明の芳香族ポリアミドは溶解性に優れるため、製膜工程の制御が容易な乾湿式法での製膜が可能である。ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金からドラム、エンドレスベルト、支持フィルム等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は例えば、室温〜220℃、60分以内の範囲で行うことができる。仮に溶解度の不十分なポリマ溶液を用いると、この工程で白濁してしまう。またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルト、支持フィルムの表面は平滑であればあるほど表面の平滑なフィルムが得られる。乾式工程を終えたフィルム(シート)は支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれてフィルムとなる。
通常の延伸法を用いた場合、例えばMD方向に延伸した後にTD方向に延伸すると、TD延伸工程で先のMD延伸の効果は緩和されてしまう。これに対し、乾湿式法は2種類の環境の異なる条件下での延伸が可能となるため、TD延伸工程で先のMD延伸が緩和されにくい利点がある。
フィルムの製造方法としては、フィルムの長手方向(製膜搬送方向。以下MDということがある)と、幅方向(フィルム面内で長手方向と直行する方向。以下TDということがある)ともに1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率にて延伸することが好ましい。MD方向の延伸倍率は好ましくは1.05倍以上1.20倍以下、より好ましくは1.05倍以上1.15倍以下、さらに好ましくは1.05倍以上1.13倍以下、もっとも好ましくは1.06倍以上1.12倍以下である。TD方向の延伸倍率は好ましくは1.05倍以上1.50倍以下、より好ましくは1.10倍以上1.30倍以下、さらに好ましくは1.15倍以上1.30倍以下、もっとも好ましくは1.20倍以上1.26倍以下である。また、MD方向の延伸倍率に対し、TD方向の延伸倍率が1.0倍以上、1.2倍以下が好ましい。より好ましくは1.05倍以上、1.15倍以下、最も好ましくは1.1倍以上、1.13倍以下である。
なお、MD延伸とTD延伸は異なった環境下で行うことが好ましい。特に、10質量%未満のポリマと10質量%以上90質量%以下の溶媒とを含むシートを、0℃以上100℃以下の温度で長手方向または幅方向に1.05倍以上2.00倍未満の延伸倍率で延伸する第一の工程と、第一の工程により得られたシートを250℃以上600℃以下の温度で第一の延伸方向と直交する方向に1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率にて延伸する第二の工程とを含む製法を採用することが好ましい。第一の工程については、好ましくは20℃以上80℃以下、さらに好ましくは30℃以上70℃以下の温度で、空気中および/または溶液中で延伸することが好ましい。ここで用いる溶液は水が最も好ましい。
延伸によって、延伸方向の熱膨張係数を小さくせしめることは可能だが、同じ環境で延伸を行う従来の技術ではフィルム面内で延伸方向と直行する方向の熱膨張係数が大きくなる問題があった。このため、MD延伸を行うとTDの熱膨張係数が大きくなり、引き続いてTD延伸を行うと(逐次二軸延伸)、先に小さくせしめたMDの熱膨張係数が大きくなってしまう問題があった。また、MD方向、TD方向をともに延伸すると(逐次または同時二軸延伸)、MD、TDともに正の大きな平均熱膨張係数となってしまう問題があった。
そこで、本発明においては、上述したように、環境の異なる延伸方法を用いて逐次二軸延伸を行うことが特に好ましい。たとえば0℃以上100℃以下の温度で、10質量%以上90質量%以下のポリマと、10質量%以上90質量%以下の溶媒とを含むシートを、MDまたはTD方向に1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率でまず延伸し(第一の工程)、次いで250℃以上600℃以下の温度で、第一の工程で得られたシートを、第一の延伸方向と直交する方向に1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率にて延伸する(第二の工程)ことが好ましい。この方法では第一の工程において、溶媒を含んだゲル状のシートを延伸し(ゲル延伸)、その後ガラス転移点温度前後の温度で熱延伸を行うこととなる。MD方向にゲル延伸したシートをTD方向にゲル延伸すると、MD延伸の効果が減殺されることがあるが、環境の異なる延伸方法を用いることによって、MD延伸の効果を一部または全部保持したままTD延伸の効果を発現できる。ゲル延伸、熱延伸およびこれらの組み合わせによる延伸方法を、メソゲンとしての効果を持つビフェニル部位、負の熱膨張係数を持つと考えられるアミド基および、より高倍率の延伸を可能にせしめる屈曲性構造単位を導入したポリマ(シート)に適用することによって、フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満となる方向の組が少なくとも1組存在する極めて新規なフィルムを得ることが可能となる。
フィルムの構造は、その原料によって決定される。原料が不明であるフィルムの構造分析を行う場合は、質量分析、核磁気共鳴法による分析、分光分析などを用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ヤング率、引張強度、破断伸度
ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて、温度23℃、相対湿度65%において測定した。試験片は製膜方向またはバーコーターの移動方向をMD方向、これと直交する方向をTD方向として、MD方向またはTD方向について幅10mmで長さ50mmの試料とした。引張速度は300mm/分である。但し、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
(2)吸湿率
フィルムを約0.5g採取し、脱湿のため150℃で2時間の加熱を行った後、窒素気流下で25℃まで降温し、その降温後の質量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の質量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の質量を測定し、これをW1として、以下の式を用いて吸湿率を求めた。
吸湿率(%)=((W1−W0)/W0)×100
(3)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用い、臭化リチウム2.5質量%を含有するN−メチル−2−ピロリドン(NMP)100ml中にサンプル0.5gを溶解し、温度30℃にて下記式より計算した。
固有粘度=ln(t/t0)/0.5 (dl/g)
t0:臭化リチウム5質量%含有のNMPの流下時間(秒)
t:サンプルを溶解した溶液の流下時間(秒)
(4)透明性(光線透過率)
下記装置を用いて測定した。
透過率(%)=(T1/T0)×100
ただしT1は試料を通過した光の強度、T0は試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm(うち、400nmの値を利用)
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(6)溶解性
臭化リチウム5質量%含有のN−メチル−2−ピロリドンにポリマを5質量%溶解し、25℃で2週間放置後も流動性を保つものを溶解性「○」と評価した。
なお、「流動性を保つ」とは、25℃において100mlのビーカーにポリマ溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
(7)100℃〜200℃の平均熱膨張係数
平均熱膨張係数はJIS K7197−1991に準拠して250℃まで昇温した後の降温過程に於いて測定した。23℃、65RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数を以下の式で求めた。なお、T2=100(℃)、T1=200(℃)である。
熱膨張係数(ppm/℃)=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
昇温、降温速度:5℃/min
試料幅:4mm
荷重:フィルム厚み10μmの時44.5mN。フィルム厚みに比例して荷重は変更する。
(8)200℃〜300℃の平均熱膨張係数
平均熱膨張係数はJIS K7197−1991に準拠して305℃まで昇温した後の降温過程に於いて測定した。23℃、65RH%における初期試料長をL0、温度T1の時の試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とするとT1からT2の平均熱膨張係数を以下の式で求めた。なお、T2=200(℃)、T1=300(℃)である。
熱膨張係数(ppm/℃)=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
昇温、降温速度:5℃/min
試料幅:4mm
荷重:フィルム厚み10μmの時44.5mN。フィルム厚みに比例して荷重は変更する。
(9)カール
25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置した35mm×120mmの試料を水平な台に置いて、4角の台からの浮きを測定し、これを平均した値をカールの値とした。カールの方向は本発明のフィルムを上にしたとき凹になるカールをプラス、逆に本発明のフィルムを上にしたとき凸になるカールをマイナスと表記した。
(合成例1)
攪拌機を備えた700L重合槽にN−メチル−2−ピロリドン674.68kg、無水臭化リチウム10.59kg(シグマアルドリッチジャパン社製)、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(東レファインケミカル社製「TFMB」)33.28kg、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(和歌山精化株式会社製「44DDS」)2.87kgを入れ窒素雰囲気下、15℃に冷却、攪拌しながら330分かけてテレフタル酸ジクロライド(東京化成社製)18.49kg、4,4’−ビフェニルジカルボニルクロライド(東レファインケミカル社製「4BPAC」)6.35kgを5回に分けて添加した。60分間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマ溶液を得た。また、このポリマ溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。
(実施例1)
合成例1で得られたポリマ溶液の一部を最終のフィルム厚みが5μmになるようにTダイを用いて120℃のエンドレスベルト上に流延(流延時のポリマ溶液の厚みは123μmと試算)し、ポリマ濃度が40質量%になる様に乾燥してエンドレスベルトから剥離した。次に溶媒を含んだフィルムを40℃の大気中でMD方向に1.08倍延伸し、50℃の水で水洗して溶媒を除去した(第一の工程)。さらに340℃の乾燥炉でTD方向に1.20倍延伸し(第二の工程)、厚み5.0μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
延伸倍率、フィルム厚みを変更する以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの物性を測定し、表1に示した。
(実施例8)
実施例7で得たフィルムの一方の面に厚み50nmになるようにITOをスパッタ成膜した。表面抵抗は500Ω/□だった。ITO単体の100℃〜200℃の平均熱膨張係数は6ppm/℃である。得られた積層体のカールは0mmだった。積層体全体の100℃〜200℃の平均熱膨張係数はMD:−2.3ppm/℃、TD:−0.1ppm/℃だった。
Figure 0005699454

Claims (18)

  1. ィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、100℃〜200℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在し、化学式(VI)〜(X)で示される群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含み、化学式(VI)で表される構造単位のモル分率をa、化学式(VII)で表される構造単位のモル分率をb、化学式(VIII)で表される構造単位のモル分率をc、化学式(IX)で表される構造単位のモル分率をd、化学式(X)で表される構造単位のモル分率をeとしたとき、a、b、c、dおよびeが次式(1)〜(5)を満足するフィルム。
    Figure 0005699454
    Figure 0005699454
    :O、SO、C(CF、またはO-Ph-SO-Ph-O
    Figure 0005699454
    :H、ClまたはF
    Figure 0005699454
    Figure 0005699454
    :フェニル基、置換フェニル基またはメチル基
    1≦b≦10 ・・・(1)
    0≦d≦40 ・・・(2)
    a+b=50 ・・・(3)
    e=0 ・・・(4)
    c+d)/(a+b)=1.0 ・・・(5)
  2. フィルム面内の1方向およびこれと直交する方向のいずれの方向についても、200℃〜300℃の平均熱膨張係数が−50ppm/℃以上0ppm/℃未満である方向の組が少なくとも1組存在する請求項1に記載のフィルム。
  3. 無機化合物を10質量%以下の割合で含む、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. ヘイズが1.5%以下である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  5. 400nmの波長の光の光線透過率が70%以上である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  6. 少なくとも1方向の破断点伸度が10%以上である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  7. 臭化リチウムを5質量%含むN−メチル−2−ピロリドン溶液に5質量%以上溶解可能である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  8. 固有粘度が2.0(dl/g)以上である、請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムを少なくとも1層含む積層体。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムと、少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が20ppm/℃以下である素材とを積層した積層体。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムと、少なくとも1方向の100℃〜200℃の平均熱膨張係数が20ppm/℃を超える素材とを積層した積層体。
  12. カールが5mm以下である、請求項11のいずれかに記載の積層体。
  13. 積層体全体の熱膨張係数が20ppm/℃以下である、請求項12のいずれかに記載の積層体。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムを用いた表示材料。
  15. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムを用いた回路基板。
  16. 請求項1〜のいずれかに記載のフィルムを用いた光電複合回路基板。
  17. 長手方向(フィルムの製膜搬送方向)と幅方向(長手方向に直交する方向)のいずれにも1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率にてシートを延伸する、請求項1〜のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
  18. 10質量%以上90質量%以下のポリマと10質量%以上90質量%以下の溶媒とを含むシートを、0℃以上100℃以下の温度で長手方向または幅方向に1.05倍以上2.00倍未満の延伸倍率で延伸する第一の工程と、第一の工程により得られたシートを250℃以上600℃以下の温度で第一の延伸方向と直交する方向に1.05倍以上2.00倍以下の延伸倍率にて延伸する第二の工程とを含む、請求項17に記載のフィルムの製造方法。
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