JP5697945B2 - 多剤型半導体基板用洗浄剤、それを用いた洗浄方法及び半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、ゲート絶縁膜や基板などへの影響が少なく、より安全性に優れた洗浄技術が求められており、その一つとして、例えば、炭酸ガス雰囲気下で、炭酸アンモニウムを含有し、pHが7以上8.6未満である水溶液を用いる、アッシング残渣の洗浄方法が提案されていた(特許文献1)。
(2)さらに炭酸塩を組み合わせて用いることを特徴とする(1)に記載の半導体基板用洗浄剤。
(3)前記第1剤と第2剤との混合により第1剤のアミン化合物と第2剤の酸化剤とを反応させて発熱させて炭酸アルキレンないし炭酸塩からの炭酸発泡を促すことを特徴とする(1)又は(2)に記載の半導体基板用洗浄剤。
(4)さらに界面活性剤を組み合わせて用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(5)前記炭酸アルキレンとして炭酸エチレン又は炭酸プロピレンを用いることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(6)前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることを特徴とする(4)に記載の半導体基板用洗浄剤。
(7)前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、およびグアニジン炭酸塩からなる群から選ばれる炭酸塩であることを特徴とする(2)に記載の半導体基板用洗浄剤。
(8)混合後の半導体基板用洗浄剤全量に対して、前記炭酸塩の濃度が、0.1〜30質量%であることを特徴とする(2)に記載の半導体基板用洗浄剤。
(9)前記アミン化合物が、グアニジン、1,1,3,3-トリメチルグアニジン、モノエタノールアミン、グリコールアミン、エチレンジアミン、ジグリコールアミン、プロパノールアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、キシリレンジアミンからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(10)前記酸化剤が、過酸化水素、硝酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、及び過マンガン酸塩からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(11)さらにアセチル基を含む化合物を組み合わせて用いることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(12)前記アミン化合物を第1剤全量に対して1〜50質量%で含有させる(1)〜(11)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(13)前記炭酸アルキレンを第1剤全量に対して1〜99.5質量%で含有させる(1)〜(12)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(14)前記第1剤および第2剤の混合液全量に対して前記酸化剤を0.01〜30質量%で含有させる(1)〜(13)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(15)水の含有量が前記炭酸アルキレン100質量部に対して0.05〜50質量部の範囲である(1)〜(14)のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
(16)半導体基板の洗浄時に少なくとも第1剤と第2剤とを混合して使用する多剤型洗浄剤による洗浄方法であって、前記第1剤がアミン化合物と炭酸アルキレンとを含有し、前記第2剤が酸化剤と水とを含有し、前記酸化剤を前記アミン化合物100質量部に対して10〜500質量部で用いることを特徴とする半導体基板の洗浄方法。
(17)レジストの除去に用いる(16)に記載の半導体基板の洗浄方法。
(18)前記レジストがイオン注入されている(17)に記載の半導体基板の洗浄方法。
(19)前記レジストがKrFレジストである(17)または(18)に記載の半導体基板の洗浄方法。
(20)金属配線、ゲート絶縁膜、またはその両者の損傷を抑制する(16)〜(19)のいずれか1項に記載の半導体基板の洗浄方法。
(21)(16)〜(20)のいずれか1項に記載された洗浄方法を介して半導体素子を製造することを特徴とする半導体素子の製造方法。
(アミン化合物)
本願発明において半導体洗浄剤を構成する第1剤は、アミン化合物を含有する。使用されるアミン化合物は特に限定されないが、グアニジン、1,1,3,3-トリメチルグアニジン、モノエタノールアミン、グリコールアミン、エチレンジアミン、ジグリコールアミン、プロパノールアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、キシリレンジアミンなどの1級アミンが挙げられる。第1剤中におけるアミン化合物の含有量は特に制限されず、第2剤の酸化剤と反応して十分な発熱量を得られるように設定することが好ましい。具体的には、該含有量は、第1剤全量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
なお、この酸性化合物に限らず、本明細書において化合物というときには、当該化合物そのものに加え、その塩、そのイオンを含む意味に用い、典型的には、当該化合物及び/又はその塩を意味する。
本発明の半導体基板用洗浄剤において、その第1剤の溶媒としては、後述する炭酸アルキレンを用いることができる。炭酸アルキレン以外の溶媒としては、水が一般的である。その他の溶媒として、有機溶媒(例えば、極性溶媒であるDMSO、DMF、NMP等)を用いたり、これを組み合わせて含有していたりしてもよい。
溶媒の含有量は特に限定されないが、通常、第1剤全量に対して、1〜99.5質量%が好ましく、10〜99.0質量%がより好ましい。
第1剤が水を含みpHで評価しうる場合には、特に限定されないものの、そのpHにおいて7.5以上であることが好ましく、8.0以上であることがより好ましい。上限値は特に限定されないが、12.0以下であることが好ましく、11.0以下であることがより好ましい。
(酸化剤)
本発明の半導体用洗浄剤においては、第2剤として、酸化剤を含有する。酸化剤は上記第1剤のアミン化合物と反応して発熱して系内を加熱する効果がある。他方、特に、本発明においては、酸化剤がもつ洗浄作用も利用することができ、上記混合液中での発泡による付着物の剥離と相俟って、高い洗浄効果を得ることができる。使用される酸化剤は特に制限されないが、例えば、過酸化物(例えば、過酸化水素)、硝酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩などが挙げられる。なかでも、付着物の剥離性に優れ、かつ、取扱いが容易である点から、過酸化水素が好ましい。
第2剤は必要に応じて溶媒を含んでいてもよい。使用される溶媒は酸性化合物が溶解すれば特に制限されないが、通常、水が使用される。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、有機溶媒(例えば、極性溶媒であるDMSO、DMF、NMP等)を含有していてもよい。第2剤中における溶媒の含有量は特に限定されないが、通常、第2剤全量に対して、1〜99.5質量%が好ましく、10〜99.0質量がより好ましい。
本発明の半導体基板用洗浄剤において、上記第1剤に含有させて炭酸アルキレンを用いる。
炭酸アルキレンとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレンが挙げられ、なかでも炭酸エチレンを用いることが好ましい。炭酸アルキレンが保存温度において固化している場合には、これを暖めて融解させることにより好適な溶媒として用いることができる。この炭酸アルキレンは、炭酸塩を溶解する溶媒としての機能だけではなく、第1剤中でそれ自体が発泡成分として機能しうる。すなわち第1剤と第2剤とを混合したことにより発熱により分解して発泡し、付着物等を破壊し、高い洗浄作用を発揮しうる。炭酸アルキレンを溶媒とするときに、該溶媒には水を含有させてもよく、水を含む場合には、前記炭酸アルキレン100質量部に対して水0.05〜50質量部の範囲であることが好ましく、1〜30質量部の範囲であることがより好ましい。その他の溶媒として、上述のように有機溶媒(例えば、極性溶媒であるDMSO、DMF、NMP等)を含有していてもよい。
本発明の半導体基板用洗浄剤においては、炭酸塩を組み合わせて使用してもよい。該炭酸塩は、上記第1剤と第2剤との混合時の発熱により分解発泡させてもよく、あるいは上記酸性化合物を組み合わせて用いた場合にはその作用により炭酸ガスを生じてもよい。
使用される炭酸塩は、炭酸を生じる塩化合物であれば特に限定されないが、主に、正塩、酸性塩(炭酸水素塩)、塩基性塩(炭酸水酸化物塩)などが挙げられる。例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や炭酸水素塩、または炭酸アンモニウム塩などが挙げられる。より具体的に、炭酸塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、または、グアニジン炭酸塩などが挙げられる。また、無水塩、水和塩、またはこれらの混合物などを用いることもできる。なかでも、付着物の剥離性に優れ、かつ、取扱い性が容易である点から、炭酸水素アンモニウムまたは炭酸アンモニウムが好ましく、炭酸アンモニウムがより好ましい。なお、炭酸塩は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<酸性化合物>
本発明の多剤型半導体基板用洗浄剤においては、酸性化合物を組み合わせて用いてもよい。酸性化合物とは、そのままで、またはその水溶液が酸性を示す化合物を意味する。該化合物が上述した炭酸塩に作用して、炭酸ガスを生じさせると共に、酸性化合物自体が洗浄作用を発揮し付着物の剥離性にも寄与する。
使用される酸性化合物は特に制限はされないが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、またはスルファミン酸などが挙げられる。なお、酸性化合物は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
該水溶性カルボン酸の具体例としては、例えば、プロピオン酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。
<界面活性剤>
本発明においては、界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤が含まれることにより、後述する第1剤と第2剤との混合液中で発生する炭酸ガスによって生じる気泡の大きさがより制御され、結果としてレジストなどの付着物の剥離性能が向上する。
使用される界面活性剤は特に限定されないが、例えば、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが例示される。特に、付着物の剥離性能がより優れ、かつ、基板表面から剥離した不純物の基板表面への再付着などが抑制される点で、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤がより好ましく、効果がより優れる点でノニオン性界面活性剤が特に好ましい。なお、界面活性剤は、直鎖状、分岐状のいずれも使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
なかでも、付着物の剥離性能がより優れる点で、ポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤が好ましい。具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミドなどが挙げられる。より具体的には、アルキレン部が、エチレンまたはプロピレンである、界面活性剤が挙げられる。
R2O−(R1O)p−H 一般式(1)
一般式(1)中、R1は、エチレン基、またはプロピレン基を表し、pは2以上の整数を表す(なお、好ましくは30以下、より好ましくは10以下の整数である)。複数のR1は、同一であっても異なっていてもよい。
R2は、水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜20)を表し、本発明の効果がより優れる点で、水素原子が好ましい。なお、アルキル基は、アミノ基などの置換基を有していてもよいが、フェニル基を置換基として含まないことが好ましい。
HO−(EO)x−(PO)y−(EO)z−H 一般式(2)
HO−(PO)x−(EO)y−(PO)z−H 一般式(3)
一般式(2)および一般式(3)中、EOはオキシエチレン基を、POはオキシプロピレン基を表す。x、y、zは、それぞれ独立して、1以上の整数を表す(なお、好ましくは10以下の整数である)。
本発明の洗浄剤においては、その第1剤または第2剤、あるいはその他の組み合わせる剤に、アセチル基を含む化合物を含有させて用いることが好ましい。アセチル基を含む化合物としては、アセチルコリン、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、アセチル安息酵酸、N-アセチルグリシン、N-アセチル-β-アラニン、N-アセチル-L-システイン、N-アセチル-シトシン、N-アセチルエタノールアミン、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-L-グルタミン酸、N-アセチル-DL-メチオニン、 N-アセチルモルホリン、N-アセチルピペラジン、N-アセチルピリジン、などが挙げられる。アセチル基を含む化合物を適用する量は特に限定されないが、より高性能の除去性を達成する観点から、第1剤もしくは第2剤全量に対して、0.01〜15質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜8質量%が特に好ましい。なお、後述する第1剤と第2剤との混合物中の酸性化合物の含有量は、同様の観点より、混合液全量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
本発明の多剤型半導体基板用洗浄剤は、少なくとも第1剤と第2剤とから構成され、半導体基板の洗浄時に両者を混合して使用する。混合液の温度は混合前の温度T1と混合後の温度T2で十分な差があることが好ましく、温度T1と温度T2との差(ΔT=温度T2−温度T1)が10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。温度差ΔTの上限は特にないが、130℃以下であることが実際的である。第1剤と第2剤との混合液を含む反応系は外部からヒーター等で加熱されていてもよく、好ましい外部加熱温度(通常は、上記混合前の温度T1と一致する)は、付着物の剥離性がより優れ、基板やゲート絶縁膜などへのダメージがより軽減される点から、25〜80℃となるように温度制御することが好ましく、30〜75℃がより好ましい。混合液の温度が上記上限値以下であることで、炭酸ガスの発泡を瞬間的に起こさせず、付着物の剥離性および取扱い性が良好で有り好ましい。混合液の温度が上記下限値以上であることで付着物の除去の時間を短縮でき好ましい。また、発泡を効果的に促すために、混合後の温度T2が80℃を超えることが好ましく、80℃を超え150℃以下であることがより好ましい。
なお、上述したように半導体基板が浸漬された第1剤(または第2剤)に、第2剤(または第1剤)を加える際、混合液の温度が上記範囲内にとどまるように添加速度を制御することがより好ましい。
本発明の多剤型半導体基板用洗浄剤を用いて半導体基板を洗浄する方法は特に限定されないが、少なくとも第1剤および第2剤を半導体基板に供給して、pH7.5未満を示す、第1剤と第2剤との混合液中で半導体基板を洗浄する方法が好ましい。一般的に、イオン注入後のレジスト(フォトレジスト)は炭化するため、薬品では剥離・除去しづらくなるが、上記洗浄剤を使用することにより、炭化したレジスト残渣を半導体基板から容易に剥離・除去することが可能となる。
より具体的には、表面上に被エッチング層(ゲート絶縁膜および/またはゲート電極層)が形成された半導体基板(例えば、p型またはn型シリコン基板)を準備する工程(被エッチング層形成工程)と、該被エッチング層の上部にフォトレジストパターンを形成する工程(レジスト形成工程)と、フォトレジストパターンをエッチングマスクに用いて被エッチング層を選択的にエッチングする工程(エッチング工程)と、イオン注入を行う工程(イオン注入工程)を経て得られる半導体基板に、本発明の洗浄剤を適用することが好ましい。
なお、イオン注入工程は公知の方法で実施することができ、アルゴン、炭素、ネオン、砒素などのイオンを利用して、1015〜1018atoms/cm2のドーズ量で行うことができる。
また、上記の洗浄方法は、同一基板に対して繰り返し実施してもよい。例えば、洗浄回数を2回以上行う(例えば、2回、3回)などの処理によって、1度での洗浄以上の効果が得られる。
第1剤または第2剤への半導体基板の浸漬時間は特に制限されないが、浸漬時間が長いほど含まれる成分が、半導体基板上のレジスト残渣などの付着物の周りに付着して、付着物の除去効率が向上する。付着物の剥離性の向上の観点から、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。なお、生産性および効果が飽和する点から、30分以内が好ましい。
なお、上記洗浄方法においては、発明の効果を損なわない範囲で、第1剤および第2剤以外の成分(例えば、純水)を合わせて添加してもよい。
上記洗浄処理の洗浄対象物である半導体基板(半導体素子用基板)としては、上記製造工程におけるいずれの段階の半導体基板も用いることができる。洗浄対象物として好適には、その表面上にレジスト(特に、イオンインプランテーション(イオン注入)が施されたレジスト)を備える半導体基板が挙げられる。なお、本発明の洗浄剤を使用することにより、上記レジスト(またはパターンレジスト)以外にも、アッシング時に生じる残渣(アッシング残渣)や、エッチング時に生じる残渣(エッチング残渣)、その他不純物を表面に有する基板から、これらを剥離・除去することができる。
本発明で使用される半導体基板は、レジスト以外にも、シリコン酸化膜、シリコン窒化
膜等の絶縁膜や、窒化タンタル層(TaN)、窒化チタン層(TiN)、酸化ハフニウム層(HfO2)、酸化ランタン層(La2O3)、酸化アルミニウム層(Al2O3)ポリシリコン、ドープ(アルゴン、炭素、ネオン、砒素等)シリコンなどをその表面の一部または全面に有していてもよい。
なお、本明細書において半導体基板とは半導体素子を製造する中間体(前駆体)の総称として用い、シリコンウエハのみならず、そこに絶縁膜や電極等が付された実装前の中間製品を含む意味である。
また、本発明の洗浄方法によれば、従来の洗浄薬品であるSPM溶液を使用した場合と異なり、半導体基板自体(例えば、シリコン基板)や、半導体基板の表面上に堆積されるアルミニウムなどの金属配線や、窒化チタン層(TiN)、酸化ハフニウム層(HfO2)、酸化ランタン層(La2O3)などのゲート絶縁膜に対する腐食などの影響を抑えることができる。
Al2O3層、TiN層、HfO2層、SiGe40%を、シリコンウェハ上に厚さ500Åになるように成膜して、4種類のウエハを用意した。
下記表1に示す洗浄剤成分を用いて、レジスト剥離性、基板への影響について評価した。まず、上記で用意した半導体基板試料または未処理のシリコンウェハを、洗浄剤中に所定時間(5分間)浸漬させた。その後、基板を取り出し、下記の評価を実施した。なお、表1中の処理温度は、洗浄剤(混合液)中の温度を意味する。
以下の基準に沿って評価した。実用上Cを超えることが必要である。
顕微鏡で観察した基板表面上(面積:3.0×3.0μm)中での:
AAA:レジストが残存している部分が5%未満である場合
AA: レジストが残存している部分が5%以上10%未満である場合
A: レジストが残存している部分が10%以上30%未満である場合
B: レジストが残存している部分が30%以上50%未満である場合
B’: レジストが残存している部分が50%以上80%未満である場合
C: レジストが残存している部分が80%以上である場合
5keV 1e15の条件下で0度のインプラ処理をしたレジスト(硬化層や変質層がほとんど生成していないレジスト)を意味する。
「硬化層除去」はKrFレジストにAsを
5keV 1e15の条件下で45度のインプラ処理をしたレジスト(硬化層や変質層が大量に生成しているレジスト)を意味する。
各洗浄液を用いて、処理前後の膜厚差から各膜へのエッチング速度(EtchingRate:ER)を算出した。実用上、上記エッチング速度が、50Å/min未満であることが好ましく、10Å/min未満であることが更に好ましい。
実施例で未処理のシリコンウェハを使用した場合のウエハ表面上の損失厚み(洗浄によって削れた厚み)を、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置、SHIMADZU社製)にて測定した後、膜厚に換算した値(Å)である。実用上、該値が10Å未満であることが好ましい。
実施例で未処理のシリコンウェハを使用した場合のウエハ表面上に形成される酸化ケイ素層の厚みを、エリプソメトリー(J.A.Woollam社製、VASE)にて測定した値(nm)である。実用上、該値が10Å未満であることが好ましい。
硫酸の濃度 98質量%
過酸化水素水の濃度 30質量%
有機酸水溶液の濃度 20質量%
また、各剤の混合形態は、表中2列目の第1剤と3列目の第2剤とに分けて準備しておき、第1剤と第2剤とを混合して洗浄剤(2剤型)を調製した。具体的に試料101でいうと、グアニジン、純水、及び炭酸エチレンを含有する第1剤と、過酸化水素水からなる第2剤とを準備し、洗浄時に混合して使用したことを意味する。なお、両剤は混合前に70℃に加温した。
界面活性剤W1:H(CH2CH2O)a(CH2CH2CH2O)b(CH2CH2O)c-H・・・a=3、b=5、c=3
界面活性剤W2:C10H20O(CH2CH2O)5H
界面活性剤W3:Ph-C10H20O(CH2CH2O)9H (Ph:フェニル基)
Claims (21)
- 半導体基板の洗浄時に少なくとも第1剤と第2剤とを混合して使用する多剤型洗浄剤であって、前記第1剤がアミン化合物と炭酸アルキレンとを含有し、前記第2剤が酸化剤と水とを含有し、前記酸化剤を前記アミン化合物100質量部に対して10〜500質量部で用いることを特徴とする半導体基板用洗浄剤。
- さらに炭酸塩を組み合わせて用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記第1剤と第2剤との混合により第1剤のアミン化合物と第2剤の酸化剤とを反応させて発熱させて炭酸アルキレンないし炭酸塩からの炭酸発泡を促すことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板用洗浄剤。
- さらに界面活性剤を組み合わせて用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記炭酸アルキレンとして炭酸エチレン又は炭酸プロピレンを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ランタン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸ストロンチウム、アミノグアニジン炭酸塩、およびグアニジン炭酸塩からなる群から選ばれる炭酸塩であることを特徴とする請求項2に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 混合後の半導体基板用洗浄剤全量に対して、前記炭酸塩の濃度が、0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項2に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記アミン化合物が、グアニジン、1,1,3,3-トリメチルグアニジン、モノエタノールアミン、グリコールアミン、エチレンジアミン、ジグリコールアミン、プロパノールアミン、エタノールアミン、ベンジルアミン、キシリレンジアミンからなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記酸化剤が、過酸化水素、硝酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、及び過マンガン酸塩からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- さらにアセチル基を含む化合物を組み合わせて用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記アミン化合物を第1剤全量に対して1〜50質量%で含有させる請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記炭酸アルキレンを第1剤全量に対して1〜99.5質量%で含有させる請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 前記第1剤および第2剤の混合液全量に対して前記酸化剤を0.01〜30質量%で含有させる請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 水の含有量が前記炭酸アルキレン100質量部に対して0.05〜50質量部の範囲である請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体基板用洗浄剤。
- 半導体基板の洗浄時に少なくとも第1剤と第2剤とを混合して使用する多剤型洗浄剤による洗浄方法であって、前記第1剤がアミン化合物と炭酸アルキレンとを含有し、前記第2剤が酸化剤と水とを含有し、前記酸化剤を前記アミン化合物100質量部に対して10〜500質量部で用いることを特徴とする半導体基板の洗浄方法。
- レジストの除去に用いる請求項16に記載の半導体基板の洗浄方法。
- 前記レジストがイオン注入されている請求項17に記載の半導体基板の洗浄方法。
- 前記レジストがKrFレジストである請求項17または18に記載の半導体基板の洗浄方法。
- 金属配線、ゲート絶縁膜、またはその両者の損傷を抑制する請求項16〜19のいずれか1項に記載の半導体基板の洗浄方法。
- 請求項16〜20のいずれか1項に記載された洗浄方法を介して半導体素子を製造することを特徴とする半導体素子の製造方法。
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