JP5697243B2 - 回転軸組立体およびこれを備えた遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
遠心圧縮機100は、ケーシング101と、ケーシング101内に収容されたロータシャフト103と、ロータシャフト103に固定された複数(同図では6つ)のインペラ105とを備えている。ロータシャフト103は、両端のジャーナル軸受107にて回転自由に支持されるとともに、一端(同図では左端)に設けたスラスト軸受109によってスラスト支持されている。ガスは、ケーシング101に設けられた吸入口111から流入し、上流側(同図において右側)のインペラ105から順次圧縮され、複数段(同図では6段)の圧縮過程を経た後に吐出口113から流出する。
例えば、高分子量ガスを圧縮する場合には、30,000〜40,000rpm程度の回転数で所望の圧縮比が得られるので、ジャーナル軸受等価剛性を1.3E+5程度になる軸受と選定すれば、曲げ1次モードが運転回転数の範囲に現れることがなく、曲げ1次と剛体2次のモードの間で運転することになる。このような場合には、剛体1次モード及び剛体2次モードのみを対策すれば良いので、バランシングマシーンによってLSB(Low Speed Balance)を行えば振動を容易に抑えることができる。
しかし、水素ガス等の低分子量ガスを圧縮する場合には、所望の圧縮比を得るためには、50,000〜60,000rpm(例えば54,000rpm)まで増速する必要がある。この様な場合には、曲げ1次モードや曲げ2次モードを超えて運転する必要があり、いわゆるスーパークリティカルとなる。このように曲げモードが現れる場合には、LSBやSLSB(Super Low Speed Balance)による対策を行ったとしても、全ての振動モードを抑えるようにロータバランシングを行うことは困難である。
すなわち、本発明にかかる回転軸組立体は、ガスを圧縮するインペラが固定される回転軸部を複数備え、これら回転軸部の端部同士が連結部によって接続されて一軸とされた50,000rpmを超える回転数で回転する回転軸組立体であって、前記連結部は、前記回転軸部よりも低い曲げ剛性とされていることを特徴とする。
また、剛体バランスに近い振動モードとなるので、バランシングマシーンによるロータバランシングがLSB(Low Speed Balance)と同等レベルの回転数で行うことができ、容易にロータバランシングを行うことができる。
また、回転軸部単体の長さは全体の回転軸組立体の長さに比べて短くなるので、回転軸部単体の曲げ1次固有値を必要回転数よりも高くすることが可能となり、高速運転が可能となる。
複合材料としては、典型的には、一方向に強度を上げた繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)が挙げられ、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)やGRFP(Glass Fiber Reinforced Plastics)が好適に用いられる。
また、回転軸部を中空円筒形状とし、さらに軽量化を図ることとしても良い。
また、連結部には、一方向に強度を上げた繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)等の複合材料を用いて軽量化を図ることが好ましい。
また、高速回転が可能とされた回転軸組立体を用いるので、回転軸組立体の両端にて2点支持するインライン構成が可能となる。
また、インペラを複合材料として軽量化し、及び/又は、回転軸部や連結部を複合材料として軽量化すれば、回転軸線を水平にした横置きだけでなく、回転軸線を鉛直方向にした縦置きも可能となる。
図1には、本実施形態にかかる遠心圧縮機1の縦断面が示されている。
遠心圧縮機1は、水素等の低分子量ガスを高圧まで圧縮するものである。遠心圧縮機1は、例えば中空円筒形とされたケーシング組立体3と、ケーシング組立体3内に収容され、図示しない駆動力によってその軸線回りに回転する回転軸組立体5と、回転軸組立体5の各位置に固定された複数のインペラ7とを備えている。
インペラ7についても、強度を保持しつつ軽量化を図るため、CRFPやGFRPのように一方向に強度を上げた繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)等の複合材料によって構成されている。
また、他のモジュール2A,2B,2Cと同様にダイヤフラム16が設けられており、これにより、ガス流入口18から流入したガスが上流側流路を通り、インペラ7によって圧縮された後に下流側流路を通りガス吐出口20へと導かれるようになっている。
回転軸部5aには、ガスをシールするためのラビリンスシール22が設けられている。このラビリンスシール22は、入口側モジュール2Aと同様に、その固定側(ハウジング側)と回転側(回転軸部5a側)との隙間が調整可能とされたアクティブシールとされていることが好ましい。
連結部26は、回転軸部5aよりも低い曲げ剛性とされている。具体的には、ベローズ形状またはダイヤフラム形状とされている。
ベローズ形状の場合には、山数を適宜調整することによって所望の曲げ剛性とする。ダイヤフラム形状の場合には、膜体となるダイヤフラム径および膜厚を適宜調整することによって所望の曲げ剛性とする。
また、連結部には、CRFPやGFRPのように一方向に強度を上げた繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)等の複合材料を用いて軽量化を図ることが好ましい。
また、入口側モジュール2Aのインペラ7と第1モジュール2Bのインペラ7とは、互いのハブ側が向かい合うように(インペラ7が背中合わせとなるように)配置されている。これにより、圧縮したガスによって回転軸部5aの軸線方向に生じるスラスト力をキャンセルできるようになっている。同様に、第2モジュール2Cのインペラ7と出口側モジュール2Dのインペラについても、スラスト力をキャンセルするように、互いのシュラウド側が向かい合うように配置されている。
図3に示されているように、回転軸部5aは中空形状とされており、軽量化が図られている。また、連結部26には、ベローズ形状が採用されている。
図4には、本実施形態のように回転軸組立体5が両端にて2点支持された場合の各振動モードが示されている。回転軸組立体5の回転数が増大するにつれて、1次モード、2次モード、3次モード、4〜5次モード、6次モードが現れる。これらのモードは、図8に示したモードと対応させると、1次モードが図8の剛体1次モード、2次モードが図8の剛体2次モード、3次モードが図8の曲げ1次モード、4〜5次モードが図8の曲げ2次モード、6次モードが図8の曲げ3次モードに対応する。これらを対比させれば明らかなように、図8では回転軸に曲げが生じる曲げ1次モードであっても、本実施形態では中央の連結部26のみが変形して回転軸部5aには曲げが生じない3次モードとなっている。また、図8では回転軸に曲げが生じる曲げ2次モードであっても、本実施形態では左右の連結部26のみが変形して回転軸部5aには曲げが生じない4〜5次モードとなっている。そして、図8の曲げ3次モードに対応する6次モードになって初めて回転軸部5aに曲げが生じる曲げ1次モードが現れるようになっている。すなわち、本実施形態では、6次モードのみが回転軸部5aに曲げが生じる曲げ1次モードとされ、他のモードは回転軸部5aに曲げが生じない剛体モードとされる。
また、1次乃至4〜5次モードは、剛体モードとされているので、バランシングマシーンによるロータバランシングがLSB(Low Speed Balance)と同等レベルの回転数で行うことができ、容易にロータバランシングを行うことができる。
回転軸部5aよりも曲げ剛性が低い連結部26によって隣り合う回転軸部5aを接続して一軸とすることとしたので、回転時に生じる曲げモードでは連結部26が曲げ変形し、回転軸部5aには曲げ変形が生じないようにすることができる。したがって、回転軸部5a単体での曲げモード変化によるアンバランス発生が回避され、安定した超高速回転が可能となる。
また、回転軸部5a単体の長さは全体の回転軸組立体5の長さに比べて短くなるので、回転軸部5a単体の曲げ1次固有値を必要回転数(定格回転数)よりも高くすることが可能となり、高速運転が可能となる。
また、回転軸組立体5の両端を支持するジャーナル軸受12を流体軸受または磁気軸受とすることによって、転がり軸受やすべり軸受に比べて支持剛性を小さくし、柔に回転軸組立体5を支持することとしたので、固有値を下げることができ、高速回転化を図ることができる。
また、回転軸部5aおよびこの回転軸部5aに固定されたインペラ7をケーシング部3aに収容してモジュール構成とし、各ケーシング部3a同士を接続することによって遠心圧縮機を構成することとした。これにより、1モジュールについて設計の共通化を図ることができ、また所望の圧縮比に応じて任意に段数を設定することができる。
また、圧縮対象となるガスは水素が好適であるが、ヘリウムといった他の低分子量ガスであっても良く、あるいは、他の化学組成を有したガスであっても本発明の遠心圧縮機を利用することができる。
3 ケーシング組立体
3a ケーシング部
5 回転軸組立体
5a 回転軸部
7 インペラ
12 ジャーナル軸受
22 ラビリンスシール
26 連結部
Claims (6)
- ガスを圧縮するインペラが固定される回転軸部を複数備え、これら回転軸部の端部同士が連結部によって接続されて一軸とされた50,000rpmを超える回転数で回転する回転軸組立体であって、
前記連結部は、前記回転軸部よりも低い曲げ剛性とされ、
前記回転軸部は、複合材料によって構成されていることを特徴とする回転軸組立体。 - 前記連結部は、ベローズ形状またはダイヤフラム形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の回転軸組立体。
- 請求項1または2に記載された回転軸組立体と、
各前記回転軸部に固定されたガスを圧縮するインペラと、
前記回転軸組立体の両端にて回転自由に支持する軸受と、
を備え、
各前記回転軸部に設けた前記インペラによってガスを順次圧縮する遠心圧縮機であって、
前記軸受は、流体軸受または磁気軸受とされていることを特徴とする遠心圧縮機。 - 各前記回転軸部および該回転軸部に固定された前記インペラは、それぞれ別個のケーシングに収容され、一の前記ケーシングが他の前記ケーシングに対して接続されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心圧縮機。
- 各前記回転軸部は、前記インペラによって圧縮されたガスによって生じるスラスト力が互いにキャンセルされる向きに接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載の遠心圧縮機。
- 前記回転軸部には、ラビリンスシールが設けられ、
該ラビリンスシールは、その固定側と回転側との隙間が調整可能とされたアクティブシールとされていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の遠心圧縮機。
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JP2011040584A JP5697243B2 (ja) | 2011-02-25 | 2011-02-25 | 回転軸組立体およびこれを備えた遠心圧縮機 |
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