JP5696327B2 - 摩擦材造粒物および摩擦材の製造方法 - Google Patents
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摩擦材に摩擦作用を与え且つ摩擦性能を調整する材料として、一般に摩擦調整材、固体潤滑材、充填材等と呼ばれる種々の固体粉末状の材料が用いられている。これらはそれぞれの特徴があり、通常2種類以上のものを組み合わせて摩擦材に使用されている。
本発明は更に、繊維基材で補強しなくても十分な機械的強度に優れる摩擦材を、材料凝集や製造プロセス内での壁面付着や粉塵の発生等がなく、プロセスの簡易化が可能な方法で製造する、優れた摩擦材の製造方法を提供するものである。
(2)上記(1)記載の方法により得られた摩擦材用造粒物を成形して摩擦材を得ることを特徴とする摩擦材の製造方法。
そのため、本発明におけるチタン酸カリウム粒子の平均粒径は、0.1〜0.5μmが好ましく、より好ましいのは0.1〜0.3μmである。この範囲のチタン酸カリウム粒子を使用することにより、300℃以上の高温域での機械的強度の向上が可能である。なお、平均粒径の測定方法は、レーザー回折式、あるいは動的光散乱式粒度分布計により測定される値である。また、熱硬化性樹脂組成物の他の粉体についても同様である。
湿式粉砕機としては、ジェットミル、ビーズミル等が挙げられ、特にビーズミルが好ましい。分散媒としては、処理によりチタン酸カリウム粒子の構造、及び分散性に悪影響を与えないものであれば特に制限なく用いることができるが、イソプロピルアルコール、エタノール等が好ましいものとして挙げられる。
また、ビーズミルに用いるビーズとしては、ジルコニア、アルミナ等が挙げられ、ビーズ直径を0.05〜0.3mmから選択することが好ましい。また、この場合、ビーズの充填率、処理時間等を組み合わせることにより、所定の平均粒径を有したチタン酸カリウム粒子を得ることができる。
チタン酸カリウム粒子は、熱硬化性樹脂組成物全体(固形分)に対して5〜25質量%が好ましく、10〜20質量%が更に好ましく、本発明の効果を有効に発揮することができる。5質量%未満では、添加効果が小さく、25質量%を超えると、それ以上の向上効果が発現しない。
用いられる未架橋ゴムの例としては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、IIR(ブチルゴム)、NR(天然ゴム)、IR(合成天然ゴム)、BR(ブタジエンゴム)、ACM(アクリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、及びそれらの変性体(アミノ基、カルボキシル基などの官能基を導入したもの)などが挙げられ、所望の特性(モノマー配合率)を示すものを適宜選択して、単独または2種以上組み合わせて用いる。この場合、種類が同じものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。例えば、NBRとしては、高ニトリルタイプあるいは中高ニトリルタイプが好ましい。ここで、高ニトリルタイプとは、結合アクリロニトリル含有量が、NBRに対し36〜42質量%のものを意味し、中高ニトリルタイプとは、結合アクリロニトリル含有量が、NBRに対し31〜35質量%のものを意味する。
熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂組成物(固形分)に対して40〜92質量%が好ましく、50〜80質量%が更に好ましく、この範囲において、本発明の効果を有効に発揮することができる。
有機溶媒は、熱硬化性樹脂および未架橋ゴムを均一に溶解できるものであれば特に制限されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系化合物等が挙げられ、これらのうち、ケトン系化合物が好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンがさらに好ましい。これらの単独あるいは混合溶媒中に未架橋ゴム、及び熱硬化性樹脂並びに粉砕処理されたチタン酸カリウムまたはそのスラリーを添加し、未架橋ゴムと熱硬化性樹脂を溶解させるとともに粉砕処理されたチタン酸カリウム粒子を分散させた熱硬化性樹脂組成物含有溶液を調製することができる。この際、有機溶媒中に上記材料を添加した初期および終了期に各々5〜15分間超音波照射処理を行うことが好ましい。これにより、チタン酸カリウム粒子の凝集を効果的に防止することができる。
この水溶性ないし水分散性結合材としては、水溶性ないし水分散性高分子化合物を好ましく挙げることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキシド、可溶性デンプン、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどを例示することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の摩擦材用造粒物を流動層で造粒する場合には、前記のようにして調製した原材料混合物と熱硬化性樹脂組成物含有溶液を用い、前記原材料混合物を当該熱硬化性樹脂組成物含有溶液の存在下に流動層で造粒することにより一次造粒物を得、さらに続けて該一次造粒物を水溶性または水分散性結合材の存在下に流動層で造粒することにより、摩擦材用造粒物(二次造粒物)を製造することができる。
この造粒に使用する流動層造粒機としては、下部から吹き込まれる気体によって、流動層を形成し得る造粒機であればよく、特に制限されず、従来公知の各種流動層造粒機、例えば通常流動層造粒機、循環流型流動層造粒機、強制循環流型流動層造粒機、噴流層造粒機などいずれも用いることができる。
(1)一次造粒物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物により表面被覆された構造を有するため、熱硬化時において、造粒物同士の接着性に優れており、繊維基材を用いずとも十分な強度の摩擦材を得ることができる。また、フェノール樹脂等の成形用結合材粉末が不要であるため、熱硬化時における成形用結合材の軟化による移動が小さく、造粒物の構造を反映した摩擦材が得られる。また、各原料の分離・偏析を抑制することができ、各成分を均質に分散させることができる。
(2)更に水溶性または水分散性結合材含有溶液を用いて二次造粒するため、上記一次造粒において十分に成長できなかった微細な粒子があっても、十分に粒子成長させた二次造粒物を得ることができ、粉塵発生等を抑制することができ、しかも、上記利点を阻害しない。
1)チタン酸カリウム微粒子の作製
ビーズミルによる湿式粉砕処理により、動的光散乱式粒度分布測定(日機装株式会社製ナノトラックUPA)にて平均粒子径117nmのチタン酸カリウム粒子を2−プロパノール中に分散させたスラリーを得た。
表1に記載のとおりの配合の熱硬化性樹脂組成物を、下記の手順により調製した。
NBRは、高ニトリルタイプを使用し、フェノール樹脂はノボラックタイプを用い、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを10質量%添加したものを用いた。まずNBRとフェノール樹脂を2−ブタノン中に溶解させ、次いで上記で調製した2−プロパノール中に分散させたチタン酸カリウム微粒子を混合した後、超音波照射を行うことにより、チタン酸カリウム微粒子を分散させた熱硬化性樹脂組成物を得た。この際、2−ブタノン中の熱硬化性樹脂組成物固形分は30質量%に調製して、複合型流動層の造粒用結合材溶液として用いた。
部分けん化型ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、GH−20)を用い、イオン交換水中に固形分濃度6質量%に調製したポリビニルアルコール水溶液を作製した。
1)一次造粒物の作製
複合型流動層(フロイント産業(株)製SFC−MINI)を用い、表2の一次造粒物の欄に示す摩擦調整材を同欄に示すとおりの量で流動層内に投入し、上記の通りに調製して得た固形分30質量%の熱硬化性樹脂組成物含有溶液を摩擦材に対する固形分の添加割合が10質量%となるように噴霧して、原材料の造粒と乾燥を行い、一次造粒物を作製し、ふるい分け法により粒度分布を測定した。
一次造粒物に対して、該造粒物に対するポリビニルアルコール固形分添加量が0.7質量%となるように、上記ポリビニルアルコール水溶液を噴霧して、造粒、乾燥を行い、二次造粒物を作製し、上記と同様にして粒度分布を測定した。
得られた二次造粒物(摩擦材用造粒物)を熱成形型へ直接投入し、150℃、40MPaの条件で5分間加熱加圧成形を行い、220℃で3時間熱処理することにより、摩擦材を作製した。
実施例1において、二次造粒物の作製において、一次造粒物に対してポリビニルアルコール固形分添加量が1.3質量%となるようにポリビニルアルコール水溶液を噴霧した以外は実施例1と同様にして、摩擦材を作製した。
実施例1において、二次造粒物の作製において、一次造粒物に対してポリビニルアルコール固形分添加量が1.7質量%となるようにポリビニルアルコール水溶液を噴霧した以外は実施例1と同様にして、摩擦材を作製した。
熱硬化性樹脂組成物を用いずに、摩擦材用結合材としてフェノール樹脂を使用し、造粒用結合材として上記水溶性結合材含有溶液を用いて造粒して摩擦材用造粒物を作製した以外は、実施例1と同様にして摩擦材を作製した。
すなわち、上記と同様の複合型流動層(フロイント産業(株)製SFC−MINI)を用い、表2の比較例1の欄に示す摩擦調整材を同欄に示すとおりの量で流動層内に投入し、上記の通りに調製して得た固形分6質量%のポリビニルアルコール水溶液を、摩擦材に対する添加割合が1.3質量%になるように噴霧して、原材料の造粒と乾燥を行って、摩擦材用造粒物を作製し、これを実施例1と同様にして熱成形型へ直接投入して加熱加圧成形及び熱処理を行い、摩擦材を作製した。
上記の実施例1〜3及び比較例1で得られた各摩擦材の最大応力についての測定結果を表2に示す。ここで、最大応力は、万能試験機(島津製作所製AG−X、10kN)を用いて試験片サイズを8×8×10mm(成形加圧方向が10mm)に加工し、これを300℃にて30分間保持した条件下で圧縮し、破壊に至るまでの最大応力を求めたものである。
また、実施例2および3の結果から、ポリビニルアルコールの添加量の増大により摩擦材の機械的強度が低下することから、ポリビニルアルコールが成形バインダとして機能していないことが推認されるが、一般的に摩擦材の成形バインダとして使用されるフェノール樹脂を結合材として用い、水溶性バインダを造粒用結合材として用いて作製した摩擦材(比較例1)の機械的強度よりも十分に高く、本発明の熱硬化性樹脂組成物による成形体の機械的強度向上効果を十分に発現させていることが分かる。
Claims (3)
- 摩擦調整用粒子材料を、平均粒径が0.1〜0.5μmのチタン酸カリウム粒子、未架橋ゴム及び熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物含有溶液の存在下で造粒し、得られた造粒物を、水溶性または水分散性結合材含有溶液の存在下で造粒することを特徴とする摩擦材用造粒物の製造方法。
- 請求項1記載の方法により得られた摩擦材用造粒物を成形して摩擦材を得ることを特徴とする摩擦材の製造方法。
- 摩擦調整用粒子材料を、平均粒径が0.1〜0.5μmのチタン酸カリウム粒子、未架橋ゴム及び熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物含有溶液の存在下で造粒し、得られた造粒物を、水溶性または水分散性結合材含有溶液の存在下で造粒して得た摩擦材用造粒物を成形して得た摩擦材。
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