JP5691826B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置に関し、更に詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機エレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いることのできる化合物に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。
無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子および正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、例えば、プリンストン大より、M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年)に記載のように、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされ、以来、米国特許第6,097,147号明細書、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)などに記載のように、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
更に、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
例えば、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討がなされており、例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)に記載のように、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)の発光層に使用されている。
このように大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかと共に、リン光発光材料自身の発光性を如何に向上させるが、素子の効率・寿命の面から、重要な技術的な課題となっている。
青色リン光ドーパントでは、例えばフェニルピリジンにフッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基等の電子吸引基を置換基として導入すること、配位子としてピコリン酸やピラザボール系の配位子を導入することが知られている。
しかしながら、これらの配位子を用いた錯体では発光波長が短波化して青色発光は実現され、高効率の発光を達成できる一方、素子の発光寿命は非常に短く、発光波長の短波化と発光寿命のトレードオフの改善が求められていた。
一方、配位子としてフェニルピラゾールを有する金属錯体が青色リン光発光に適用できることが知られている。
しかしながら、単純なフェニルピラゾールのイリジウム錯体は室温では全く発光せず、バンドギャップを小さくするような置換基を導入してはじめて発光するようになることが知られている(特許文献1参照)。
配位子としてフェニルイミダゾールを有する金属錯体が青色リン光材料として、長寿命であることが知られている(特許文献2,3参照)が、白色素子を作製する場合に、組み合わせる緑〜赤色のドーパントの性能に大きく左右されうる。緑〜赤色に発光するドーパントとしては、フェニルピリジン、フェニルイソキノリン等を配位子とする金属錯体が知られている。赤色に発光するドーパントとしては、オスミウム錯体も知られている(非特許文献1参照)。
三座配位子としては、中心金属としてイリジウム、白金、オスミウム等の金属錯体が知られており、配位子を制御することにより、青色から赤色までの発光を実現できることがわかっている(特許文献4参照)。
国際公開第2004/085450号パンフレット 国際公開第2009/060757号パンフレット 特開2010−135467号公報 特表2010−540656号公報
Applied.Physics.Letters.,第80巻、5号、713ページ(2002年)
しかしながら、現況においては、いずれの化合物を用いても、発光効率が高く、低駆動電圧であり、発光寿命の長い有機EL素子を提供するという観点からは、いまだに不十分であり、更なる解決方法が模索されている。
したがって、本発明の主な目的は、発光効率が高く、低駆動電圧であり、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにあり、併せて当該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた照明装置および表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明によれば、
少なくとも1つの発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記発光層には一般式(1)で表される化合物が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
Figure 0005691826
式(1)中、「A1」、「B1」は炭素原子または窒素原子を表わし、少なくとも一方が炭素原子を表わす。「A2」、「A3」、「A4」、「B2」、「B3」、「B4」は窒素原子、NRcまたはCRaを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「Ra」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「A1と窒素原子」、「A1とA2」、「A2とA3」、「A3とA4」、「A4と窒素原子」、「B1と窒素原子」、「B1とB2」、「B2とB3」、「B3とB4」、「B4と窒素原子」の結合は単結合または二重結合を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。
本発明によれば、発光効率の向上、駆動電圧の低減、発光寿命の向上を図ることができる。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。 図1の表示装置の表示部の模式図である。 図1の表示装置の画素の模式図である。 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。 照明装置の概略図である。 照明装置の模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明は、陽極、陰極および発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子とも称する)であって、下記一般式(1)〜(8)で表わされる化合物を含有する層を有することを特徴とする。
本発明では、好ましくは発光層が下記一般式(1)〜(8)で表わされる化合物を含有し、その結果、発光効率が高く、低駆動電圧で、発光寿命の長い有機EL素子が得られる。
下記一般式(1)〜(8)で表わされる化合物が上記本発明の効果を奏する理由は、明確ではないが、以下のように推測される。
中心金属がイリジウムの金属錯体の場合、その5d軌道に由来する強いスピン軌道相互作用により強い発光性が得られることが分かっているが、オスミウムもその5d軌道(ルテニウムの場合、その4d軌道)に由来する強いスピン軌道相互作用による強い発光のポテンシャルを有しており、その配位子を制御することにより、金属錯体全体の発光性を上げることができると考えられる。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(1)〜(8)で表わされるような形で配位子を制御した金属錯体により、高い発光性を確保できることを見出した。
これらの化合物は、金属錯体として発光は緑〜赤の長波のものであるが、単独で使用しても、白色で使用してもその有機EL素子における寿命が大きく改善されることが分かり、特に、フェニルイミダゾール誘導体を配位子として有する青色の金属錯体と組み合わせた白色素子の場合、顕著な効果を示すことが分かった。
フェニルイミダゾール誘導体を配位子として有する金属錯体は、フェニルピリジン誘導体を配位子として有する金属錯体に比べて、一般に電位が約0.5〜1eV程度浅く、白色の組み合わせとしては必ずしも適切ではない。
一方、本発明では、特に一般式(1)〜(8)で表わされる金属錯体の電位は、フェニルイミダゾール誘導体を配位子として有する金属錯体とほぼ同等となることにより、これらを組み合わせて白色を作成した場合、素子内でのキャリアバランスが改善され、寿命改善効果に寄与していると考えられる。
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 0005691826
一般式(1)中、「A1」、「A2」、「A3」、「A4」、「B1」、「B2」、「B3」、「B4」は窒素原子、NRcまたはCRaを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
「Ra」は水素原子または置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「A1と窒素原子」、「A1とA2」、「A2とA3」、「A3とA4」、「A4と窒素原子」、「B1と窒素原子」、「B1とB2」、「B2とB3」、「B3とB4」、「B4と窒素原子」の結合は単結合または二重結合を表わす。
一般式(1)中、Ra、Rb、Rcが置換基を表わす場合、その置換基としてはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基が挙げられる。
また、これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 0005691826
一般式(2)中、「A5」、「A6」、「B5」、「B6」は窒素原子またはCRaを表わす。
「Ra」は水素原子または置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
一般式(2)中、Ra、Rb、Rcが置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(3)中、「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
「R11」、「R12」、「R13」、「R14」は水素原子または置換基を表わす。
一般式(3)中、「Rb」、「Rc」、「R11」、「R12」、「R13」、「R14」が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(4)中、「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす
Rc」は置換基を表わす。
「R15」、「R16」、「R17」、「R18」、「R19」、「R20」は水素原子または置換基を表わす。
一般式(4)中、Rb、Rc、R15、R16、R17、R18、R19、R20が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(5)中、「A7」、「A8」、「B7」、「B8」は窒素原子またはCRaを表わす。
「Ra」は水素原子、または、置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
一般式(5)中、Ra、Rb、Rcが置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(6)中、「R21」、「R22」、「R23」、「R24」は水素原子または置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
一般式(6)中、R21、R22、R23、R24が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(7)中、「R25」、「R26」、「R27」、「R28」は水素原子または置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
一般式(7)中、R25、R26、R27、R28が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
Figure 0005691826
一般式(8)中、「R29」、「R30」、「R31」、「R32」、「R33」は水素原子または置
換基を表わす。
「Rb」は水素原子または置換基を表わす。
「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。
「X」はNRcを表わす。
「Rc」は置換基を表わす。
一般式(8)中、R29、R30、R31、R32、R33が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rb、Rcと同義である。
一般式(1)〜(8)中、「M」はオスミウムまたはルテニウムを表すが、好ましくは、オスミウムである。
一般式(1)〜(8)中、「L」はMと配位できる任意の配位子を表す。
従来公知の金属錯体に用いられる配位子としては、種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」 裳華房社 山本明夫著 1982年発行 等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、ジケトン配位子など)が挙げられる。
置換または無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、ピコリン酸、カルベン等も好ましい配位子として併用することが可能である。
一般式(1)〜(8)中、「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。
nは好ましくは2である。
以下に本発明の化合物の具体例を挙げるが、これらに限られるものではない。
Figure 0005691826
Figure 0005691826
Figure 0005691826
Figure 0005691826
Figure 0005691826
一般式(1)で表される化合物の入手方法については、一般式(1)で表される化合物のさらに具体的な化合物である一般式(2)〜(8)で表される各化合物の合成を例に説明する。
《例示化合物1の合成》;
Figure 0005691826
三ツ口の300ml丸底フラスコに、5.0gの化合物1と17.0gの化合物2を加え、窒素気流下、THF100ml加えた。更に、KCO、15gを水20mlに溶かして加え、これにPd(PPh、3.5gを加えて、還流下13時間反応させた。その後、分液漏斗に移し、水洗3回行った後、無水硫酸マグネシウムで濃縮して固化物を得た。この固化物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、化合物3を5.2g得た。 三ツ口の300ml丸底フラスコに、5.0gの化合物3と、3.4gのOsH4(PPh3)3、及び120mlのN,N-ジメチルホルムアミドを仕込んだ。この混合物を24時間、窒素下で加熱還流させた。溶媒を減圧留去し、粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。
得られた例示化合物1の構造は1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、マススペクトルを用いて構造を確認した。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に、1または2以上の層から構成される有機層を有している。
有機層には発光層が含まれている。
有機層の少なくとも1層は上記一般式(1)〜(8)で表わされる化合物を含有しており、好ましくは発光層が上記一般式(1)〜(8)で表わされる化合物を含有している。
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
本発明の有機EL素子においては、青色発光層は発光極大波長が430〜480nmにあるものが好ましく、緑色発光層は発光極大波長が510〜550nm、赤色発光層は発光極大波長が600〜640nmの範囲にある単色発光層であることが好ましく、これらを用いた表示装置であることが好ましい。
また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、これらを用いた照明装置であることがよい。
更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm〜5μmの範囲に調整され、更に好ましくは2nm〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは10nm〜20nmの範囲に調整される。
発光層の作製には、後述するホスト化合物や発光ドーパントを、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層は、ホスト化合物と、発光ドーパント(リン光ドーパント(リン光発光性ドーパントとも言う)や蛍光ドーパント等)の少なくとも1種類とを、含有する。
(1)ホスト化合物(発光ホストとも言う)
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上でかつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。
ホスト化合物は、好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。
ホスト化合物は、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
以下に、本発明に好ましく用いられるホスト化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005691826
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併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、且つ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(2)発光ドーパント
発光ドーパントとしては、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等とも言う)や蛍光ドーパント(蛍光性化合物とも言う)を用いることができる。
より発光効率の高い有機EL素子を得る観点から、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパント(単に、発光材料と言うこともある)としては、上記のホスト化合物と同時に、リン光ドーパントが使用されるのがよい。
(2.1)リン光ドーパント
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。
溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられる。
その1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう1つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、上記の一般式(1)〜(8)のいずれかで表される構造を含む有機金属錯体が好ましい。また、元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物を併用しても良い。併用する金属錯体としては、イリジウム錯体、オスミウム錯体、または白金錯体、希土類錯体であり、中でも最も好ましくはイリジウム化合物である。
具体的には以下の特許公報に記載されている化合物などが挙げられる。
国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等。
以下に示すような従来公知の発光ドーパントを併用してもよい。
Figure 0005691826
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Figure 0005691826
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併用される発光ドーパントは、好ましくは、一般式(A)で表わされる化合物である。
一般式(A);
Figure 0005691826
一般式(A)中、「R1」、「R2」、「R3」、「R4」は水素原子、または、置換基を表わす。
「X4」、「X5」、「X6」は炭素原子、−C(Ra)−(ここで、「Ra」は水素原子または置換基を表す。)、窒素原子または−N(Rb)−(ここで、「Rb」は水素原子または置換基を表す。)を表し、「X4」、「X5」、「X6」の少なくとも1つは、窒素原子または−N(Rc)−を表し、「C1」は炭素原子を表わす。
「M0」は元素周期表における8〜10族の金属を表す。
「C1とNとの間の結合」、「NとX6との間の結合」、「X5とX6との間の結合」、「X4とX5との間の結合」、「C1とX4との間の結合」は、各々単結合または二重結合を表す。
「Xa」、「Xb」は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。
「Xa−L1−Xb」は2座の配位子を表し、Xa、Xbは各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。
「L1」はXa、Xbと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
「n」は1、2または3の整数を、「m」は0、1または2の整数を表わすが、「n+m」は2または3を表わす。
一般式(A)中、R1、R2、R3、R4、Ra、Rb、Rcが置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rbと同義である。
Xa−L1−Xbで表される2座の配位子の具体例としては、種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」 裳華房社 山本明夫著 1982年発行 等に記載の配位子(例えば、ジケトン配位子など)が挙げられる。他にも、置換または無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、ピコリン酸、カルベン等も好ましい配位子である。
一般式(A)中、nは3の場合が好ましい。
一般式(A)として好ましくは、一般式(A1)である。
一般式(A1);
Figure 0005691826
一般式(A1)中、「R1」、「R2」、「R3」、「R4」、「R5」、「R6」、「R7」は水素原子、または、置換基を表わす。
「M0」は元素周期表における8〜10族の金属を表す。
「Xa」、「Xb」は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。
「Xa−L1−Xb」は2座の配位子を表し、「Xa」、「Xb」は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。
「L1」はXa、Xbと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
「n」は1、2または3の整数を、「m」は0、1または2の整数を表わすが、「n+m」は2または3を表わす。
一般式(A1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が置換基を表わす場合、その置換基は一般式(1)で表わされるRa、Rbと同義である。
一般式(A1)中、nは3の場合が好ましい。
一般式(A)(A1)で表わされる化合物として具体例は以下に挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005691826
Figure 0005691826
(2.2)蛍光ドーパント(蛍光性化合物とも言う)
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
この注入層は上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成できる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。この注入層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
正孔阻止層には、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものを示す)を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば、下記に示すような方法により求めることができる。
理研計器製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。上記正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このようなn性の高い電子輸送層を用いることは、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで透明または半透明の陰極を作製でき、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(JSR製)あるいはアペル(三井化学製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明の有機EL素子は、陽極、陰極および陰極と陽極との間にある有機層を、外気から密閉するために封止部材で遮断して封止しておくことが好ましい。
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
尚、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し、封止膜とすることも好適にできる。
この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず、適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法等)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においては蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法による成膜が好ましい。
更に層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
層をウェットプロセスで製膜する場合、本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製は一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。
パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。
本発明の表示装置は上記有機EL素子を有するものである。
本発明の表示装置は、単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。
更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではない。
《表示装置および照明装置》
本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
図1は、有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部Aと、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部Bとを、有している。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続されている。
制御部Bは、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは、基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3とを、有している。
表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図2においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料から構成されている。
走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続されている(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
表示部Aによれば、発光色が、赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜同一基板上に並列配置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素3の発光プロセスを説明する。
図3は画素3の模式図である。
画素3は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。
複数の画素に、有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子が用いられる。これらを同一基板上に並列配置することでフルカラー表示を行うことができる。
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートとに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されている。駆動トランジスタ12のゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて、電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素3それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12とを設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図4はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が図れる。
本発明の有機EL材料は、照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層もしくは正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
このように、本発明に係る白色発光有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
《有機EL素子1−1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物としてH−2を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−12を100mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにBAlqを200mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートにAlq3を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
Figure 0005691826
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、膜厚40nmの正孔輸送層を設けた。
更に、H−2とIr−12の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、膜厚40nmの発光層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温とした。
更に、BAlqの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。
その上に、更に、Alq3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層の上に蒸着して更に膜厚40nmの電子輸送層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温とした。
引き続き、フッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、「有機EL素子1−1」を作製した。
作製後の有機EL素子1−1の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して接着剤を硬化させ、有機EL素子1−1を封止して、図5および図6に示すような照明装置を構成した。
図5は、照明装置の概略図を示している。
図5に示すとおり、有機EL素子101は、ガラスカバー102で覆われている。ガラスカバー102による封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
図6は、照明装置の断面図を示している。
図6に示すとおり、陰極105および有機EL層106が、透明電極付きガラス基板107上に形成されている。ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
《有機EL素子1−2〜1−15の作製》
有機EL素子1−1の作製において、表1に記載のように発光ドーパント材料を変更した。
それ以外は同様にして、「有機EL素子1−2〜1−15」を作製した。
Figure 0005691826
《有機EL素子1−1〜1−15の評価》
有機EL素子1−1〜1−15に対し下記の評価を行った。
評価結果は表1に示す。
(1)発光効率(外部取り出し量子効率ともいう)
有機EL素子に対し、23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cm定電流を印加し、その時の外部取り出し量子効率(%)を測定し、その測定結果を発光効率の指標とした。測定には、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いた。
表1の外部取りだし量子効率の測定結果は、有機EL素子1−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
(2)初期駆動電圧
有機EL素子を、初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動させ、その時の初期駆動電圧を測定した。
初期駆動電圧は比較の有機EL素子1−1を100とした時の相対値で表示した。当該相対値が小さいほど初期駆動電圧が低いことを示す。
(3)発光寿命
有機EL素子を、室温下において2.5mA/cmの定電流条件下で連続発光させ、初期輝度の半分の輝度になるのに要する時間(τ1/2)を測定した。
発光寿命は有機EL素子1−1を100と設定する相対値で表した。
(4)ダークスポット
有機EL素子を、室温下において2.5mA/cmの定電流条件下で連続点灯させ、その際の発光面を目視で評価した。
その目視評価では、無作為に10人の観測者を抽出し、連続点灯時間10時間経過後の各素子におけるダークスポットを確認した人数を、評価の指標とした。
ダークスポットを確認した人数が5人以上の場合を「×」と、ダークスポットを確認した人数が1〜4人の場合を「△」と、ダークスポットを確認した人数が0人の場合を「○」とした。
Figure 0005691826
(5)まとめ
表1に示すとおり、有機EL素子1−1〜1−5と、有機EL素子1−6〜1−15とを比較すると、本発明の有機EL素子1−6〜1−9、1−11〜1−13、1−15は、発光効率が高く、発光寿命が長いことが明らかであり、さらには、初期駆動電圧も低く、ダークスポットの生成も抑えられていることがわかる。
以上から、発光層の発光ドーパントとして一般式(1)〜(3)、(5)〜(8)で表わされる化合物を使用することは、発光効率の向上や初期駆動電圧の低減、発光寿命の向上、さらにはダークスポットの抑制に有用であることがわかる。
《有機EL素子2−1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの正孔輸送層を設けた。
この基板を窒素雰囲気下に移し、正孔輸送層上に、3mgの正孔輸送材料1と40mgの正孔輸送材料2とを10mlのトルエンに溶解した溶液を1500rpm、30秒の条件で正孔輸送層上にスピンコーティングし、薄膜を形成した。更に180秒間紫外光を照射し、光重合・架橋を行い、膜厚約20nmの第2正孔輸送層とした。
Figure 0005691826
この第2正孔輸送層上に、100mgのH−2と10mgのIr−12とを10mlのトルエンに溶解した溶液を用いて600rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した。60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約70nmの発光層とした。
次に、この発光層上に、50mgの電子輸送材料(ET−40)を10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した溶液を用いて、1000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した。更に60℃で1時間真空乾燥し、膜厚約30nmの電子輸送層とした。
Figure 0005691826
続いて、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、陰極バッファー層としてフッ化リチウムを0.4nm、更に、アルミニウムを110nm蒸着して陰極を形成し、「有機EL素子2−1」を作製した。
《有機EL素子2−2〜2−14の作製》
有機EL素子2−1の作製において、H−2、Ir−12及びET−40を表2に記載の化合物に変更した。
それ以外は同様にして、「有機EL素子2−2〜2−14」を作製した。
Figure 0005691826
《有機EL素子2−1〜2−14の評価》
有機EL素子2−1〜2−14に対し下記の評価を行った。
得られた有機EL素子2−1〜2−14を評価するに際しては、これら素子を実施例1の有機EL素子と同様に封止し、図5および図6に示すような照明装置を構成して評価した。
評価結果は表2に示す。
(1)発光寿命
発光寿命については、実施例1と同様の方法で評価した。
有機EL素子2−1の発光寿命を100と設定する相対値で表した。
(2)電力効率
分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各有機EL素子の中央部の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/mにおける電力効率を求めた。
電力効率は有機EL素子2−1の電力効率を100と設定する相対値で表した。
Figure 0005691826
(3)まとめ
表2に示すとおり、有機EL素子2−1〜2−5と、有機EL素子2−6〜2−14とを比較すると、本発明の有機EL素子2−6〜2−8、2−10〜2−11、2−13〜2−14は、発光寿命が長いことが明らかであり、さらには、電力効率が高いことも明らかである。
以上から、発光層の発光ドーパントとして一般式(1)〜(3)、(5)〜(8)で表わされる化合物を使用すれば、ホスト化合物や電子輸送材料の種類を変更しても、発光寿命や電力効率を向上させることができることがわかる。
《有機EL素子3−1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにα−NPDを200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにH−10を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにIr−17を100mg入れ、更に別のモリブデン製抵抗加熱ボートに比較化合物3を100mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにET−11を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、膜厚40nmの正孔輸送層を設けた。
更に、H−10とIr−17の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、膜厚40nmの第1発光層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温とした。
更に、H−10と比較化合物3の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.2nm/秒、0.012nm/秒で第1発光層上に共蒸着して、膜厚10nmの第2発光層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温とした。
更に、ET−11の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層の上に蒸着して膜厚30nmの正孔阻止層兼電子輸送層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温とした。
引き続き、フッ化リチウム2.0nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、「有機EL素子3−1」を作製した。
《有機EL素子3−2〜3−19の作製》
有機EL素子3−1の作製において、Ir−17および比較化合物3を、表3記載の化合物に変えた。
それ以外は同様にして、「有機EL素子3−2〜3−19」を作製した。
《有機EL素子3−1〜3−19の評価》
有機EL素子3−1〜3−19に対し下記の評価を行った。
得られた有機EL素子3−1〜3−19を評価するに際しては、これら素子を実施例1の有機EL素子と同様に封止し、図5および図6に示すような照明装置を構成して評価した。
評価結果は表3に示す。
(1)発光効率
実施例1と同様の方法で外部取り出し量子効率(%)を算出した。
外部取り出し量子効率は有機EL素子3−1を100とする相対値で表した。
(2)初期駆動電圧
実施例1と同様に、有機EL素子を、初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動させ、その時の初期駆動電圧を測定した。
初期駆動電圧は比較の有機EL素子3−1を100とした時の相対値で表示した。
(3)発光寿命
発光寿命については、実施例1と同様の方法で評価した。
有機EL素子3−1の発光寿命を100と設定する相対値で表した。
Figure 0005691826
(4)まとめ
表3に示すとおり、有機EL素子3−1〜3−3と、有機EL素子3−4〜3−19とを比較すると、本発明の有機EL素子3−4〜3−8、3−10〜3−19は、高輝度、寿命が長いことが明らかであり、さらには、初期駆動電圧も低く、長寿命であることがわかる。
以上から、発光層の発光ドーパントとして一般式(1)〜(3)、(5)〜(8)で表わされる化合物を使用すれば、他の発光ドーパントを併用しても、発光効率の向上や初期駆動電圧の低減、発光寿命の向上を図ることができることがわかる。
《フルカラー表示装置の作製》
(1)青色発光素子の作製
実施例1の有機EL素1−1において、Ir−12をIr−17に変更した。
それ以外は同様にして、青色発光素子を作製し、これを青色発光素子とした。
(2)緑色発光素子の作製
実施例1の有機EL素子1−1において、Ir−12をIr−15に変更した。
それ以外は同様にして、緑色発光素子を作製し、これを緑色発光素子とした。
(3)赤色発光素子の作製
実施例1の有機EL素子1−1において、Ir−12を本発明の例示化合物20(本発明の化合物の具体例として符号20で示した化合物)に変更した。
それ以外は同様にして、赤色発光素子を作製し、これを赤色発光素子とした。
(4)表示装置の作製
上記で作製した赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並列配置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
図2に示すとおり、表示部Aは、同一基板上に複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有している。配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料から構成されている。走査線5とデータ線6は格子状に直交しており、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
前記複数画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動される。走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光するようになっている。このように、赤、緑、青の画素3を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
実際にこのフルカラー表示装置を駆動させると、輝度が高く、高耐久性を有し、且つ鮮明なフルカラー動画表示が得られることが分かった。
以上の実施例4によれば、緑色発光源となるイリジウム錯体(Ir−17)を含有する有機EL素子と、青色発光源となるイリジウム錯体(Ir−15)を含有する有機EL素子と、赤色発光源となるオスミウム錯体(本発明の例示化合物20)を含有する有機EL素子とを、画素3として並列配置すればフルカラーの表示装置を構成しうることがわかる。
《白色発光素子及び白色照明装置の作製》
実施例5では、白色発光型の有機EL素子を作製し、当該有機EL素子を照明装置として適用しうるか否かを確認した。
はじめに、実施例1の透明電極基板の電極を20mm×20mmにパターニングし、その上に実施例1と同様に正孔注入/輸送層としてα−NPDを25nmの厚さで成膜し、更に、H−2の入った前記加熱ボートとIr−17の入ったボート及び本発明の化合物4の入ったボートをそれぞれ独立に通電して、発光ホストであるH−2と発光ドーパントとしてのIr−17及び化合物4の蒸着速度が100:5:0.6になるように調節し、膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
次いで、BAlqを10nm成膜して正孔阻止層を設けた。
更に、Alq3を40nmで成膜し電子輸送層を設けた。
次に、実施例1と同様に電子注入層の上にステンレス鋼製の透明電極とほぼ同じ形状の正方形穴あきマスクを設置し、陰極バッファー層としてフッ化リチウム0.5nm及び陰極としてアルミニウム150nmを蒸着、成膜した。
この白色発光有機EL素子に、実施例1と同様な方法及び同様な構造の封止缶を具備させ、図3および図4に示すような平面ランプを作製した。
この平面ランプに通電したところ、ほぼ白色の光が得られ、当該有機EL素子を照明装置として使用できることが分かった。
1 フルカラー表示装置
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部

Claims (12)

  1. 少なくとも1つの発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記発光層には一般式(1)で表される化合物が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(1)中、「A1」、「B1」は炭素原子または窒素原子を表わし、少なくとも一方が炭素原子を表わす。「A2」、「A3」、「A4」、「B2」、「B3」、「B4」は窒素原子、NRcまたはCRaを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「Ra」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「A1と窒素原子」、「A1とA2」、「A2とA3」、「A3とA4」、「A4と窒素原子」、「B1と窒素原子」、「B1とB2」、「B2とB3」、「B3とB4」、「B4と窒素原子」の結合は単結合または二重結合を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)が一般式(2)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(2)中、「A5」、「A6」、「B5」、「B6」は窒素原子またはCRaを表わす。「Ra」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  3. 請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2)が一般式(3)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(3)中、「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「R11」、「R12」、「R13」、「R14」は水素原子または置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  4. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)が一般式(5)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(5)中、「A7」、「A8」、「B7」、「B8」は窒素原子またはCRaを表わす。「Ra」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(5)が一般式(6)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(6)中、R21、R22、R23、R24は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  6. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)が一般式(7)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(7)中、「R25」、「R26」、「R27」、「R28」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  7. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)が一般式(8)で表わされることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005691826
    〔式(8)中、「R29」、「R30」、「R31」、「R32」、「R33」は水素原子または置換基を表わす。「X1」、「X2」、「X3」はCRbまたは窒素原子を表わす。「Rb」は水素原子または置換基を表わす。「X」はNRcを表わす。「Rc」は置換基を表わす。「L0」は単座の配位子原子群を表す。「M」はオスミウムまたはルテニウムを表す。「n」、「m」は0、1または2の整数を表わす。〕
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)〜(3)、(5)〜(8)で表される化合物はnの値が2であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(1)〜(3)、(5)〜(8)で表される化合物を含有した層が、湿式法(ウェットプロセス)により成膜、形成される工程を経て製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    白色に発光することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
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