JP5499519B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5499519B2
JP5499519B2 JP2009127482A JP2009127482A JP5499519B2 JP 5499519 B2 JP5499519 B2 JP 5499519B2 JP 2009127482 A JP2009127482 A JP 2009127482A JP 2009127482 A JP2009127482 A JP 2009127482A JP 5499519 B2 JP5499519 B2 JP 5499519B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atom
group
layer
represented
substituent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009127482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010278114A (ja
Inventor
麻由香 蟇目
大 池水
栄作 加藤
智寛 押山
信也 大津
雅人 西関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2009127482A priority Critical patent/JP5499519B2/ja
Publication of JP2010278114A publication Critical patent/JP2010278114A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5499519B2 publication Critical patent/JP5499519B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、ELDと言う)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも言う)が挙げられる。
無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させる。このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能である。更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、更に低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
特許第3093796号公報では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体またはトリススチリルアリーレン誘導体に微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。
また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特開昭63−264692号公報)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特開平3−255190号公報)等が知られている。
以上のように、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であり、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(η)の限界は5%とされている。
ところが、プリンストン大より励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告(M.A.Baldo et al.,Nature、395巻、151〜154頁(1998年))がされて以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
例えば、M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)、また米国特許第6,097,147号明細書等にも開示されている。
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られる可能性があることから照明用途としても注目されている。
例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)等においては、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討されている。
また、前述のM.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)においては、ドーパントとしてトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた検討がされている。
その他、M.E.Tompson等は、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてLIr(acac)、例えば、(ppy)Ir(acac)を、またMoon−Jae Youn.0g、Tetsuo Tsutsui等は、やはりThe 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてトリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(Ir(ptpy))、トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq))等を用いた検討を行っている(尚これらの金属錯体は一般にオルトメタル化イリジウム錯体と呼ばれている。)。
また、前記S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)や特開2001−247859号公報等においても、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがされている。
また、高い発光効率を得るためにThe 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)では、Ikai等はホール輸送性の化合物をリン光性化合物のホストとして用いている。また、M.E.Tompson等は各種電子輸送性材料をリン光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている。
中心金属をイリジウムの代わりに白金としたオルトメタル化錯体も注目されている。この種の錯体に関しては、配位子に特徴を持たせた例が多数知られている。
いずれの場合も発光素子とした場合の発光輝度や発光効率は、その発光する光がリン光に由来することから従来の素子に比べ大幅に改良されるものであるが、素子の発光寿命については従来の素子よりも低いという問題点があった。
このように、リン光性の高効率の発光材料は発光波長の短波化と素子の発光寿命の改善が難しく、実用に耐えうる性能を十分に達成できていないのが現状である。
また、波長の短波化に関してはこれまでフェニルピリジンにフッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基等の電子吸引基を置換基として導入すること、配位子としてピコリン酸やピラザボール系の配位子を導入することが知られている。
しかしながら、これらの配位子では発光材料の発光波長が短波化して青色を達成し、高効率の素子を達成できる一方、素子の発光寿命は大幅に劣化するため、そのトレードオフの改善が求められていた。
同一層に有機金属錯体を共存させ効率を向上させる方法が述べられている(例えば、特許文献1参照。)。更に、同一層に共存する発光材料間のエネルギー移動を利用して色度、効率及び寿命を向上させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
最近、青色リン光材料として、配位子にイミダゾフェナントリジンを含有する金属錯体の例が開示されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。青色リン光材料として十分な発光色、発光効率及び寿命を示しているが、実用化に向けてはさらなる改良の余地が残されている。
特許第4039023号 国際公開第07/124172号パンフレット 国際公開第07/085118号パンフレット 米国特許20080297033号明細書 国際公開第08/156879号パンフレット
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高い外部取り出し量子効率を示し、且つ発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置を提供することである。特に、高い外部取り出し量子効率を示し、且つ発光寿命が長く、ダークスポットの発生を抑えた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.陽極と陰極により挟まれた少なくとも一層の発光層を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種含有し、更に下記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体を少なくとも一種含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005499519
〔式中、E1a、E1d〜E1f、E1k、E1l、E1pおよびE1qは、各々炭素原子または窒素原子を表すが、E1aとE1qは各々異なっている。E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oは、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。E1a〜E1qで構成される骨格は合計で18π電子を有する。R1a〜R1iは、各々水素原子または置換基を表すが、R1a、R1bの少なくとも一つは置換基を表す。ただし、E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つが窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のE1a〜E1qと二重結合を形成している場合、当該E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つは水素原子または置換基を有していない。また、E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つが酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
Figure 0005499519
〔式中、A1、A2およびA7は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6およびA8〜A10は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有し、A7〜A10とNで構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は2または3である。R2a〜R2gは各々水素原子または置換基を表すが、A8が窒素原子を表す場合、R2eは置換基を有する芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。ただし、A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つが窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のA1〜A10またはNと二重結合を形成している場合、当該A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つは水素原子または置換基を有していない。また、A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つが酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
Figure 0005499519
〔式中、B1およびB2は、各々炭素原子または窒素原子をす。B3〜B6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。B1〜B6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。R3a〜R3eは、各々水素原子または置換基を表す。ただし、B3〜B6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該B3〜B6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Aは、−C(R2)=または−N=を表し、R2は水素原子または置換基を表す。Bは、−C(R3)=または−N=を表し、R3は水素原子または置換基を表す。X1−L1−X2は2座の配位子を表し、X1、X2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。b1は1〜3の整数を表し、b2は0〜2の整数を表すが、b1+b2は、2または3である。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
2.前記一般式(1)で表される部分構造を含む有機金属錯体が、下記一般式(A)で表される有機金属錯体であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005499519
〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A3およびA4は、各々炭素原子または窒素原子を表す。A1〜A4とNで構成される骨格は合計で6π電子を有する。X1−L−X2は2座の配位子を表し、X1、X2は、各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。LはX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表すが、m+nは2または3である。R1〜R9は各々水素原子または置換基を表す。ただし、A1またはA2が窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のA1〜A4またはNと二重結合を形成している場合、当該A1またはA2は水素原子または置換基を有していない。また、A1またはA2が酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A1またはA2は水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
3.前記一般式(5)で表される有機金属錯体が、下記一般式(7)または(8)で表される有機金属錯体であることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005499519
〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は、2または3である。R2a〜R2d、R2fおよびR2gは各々水素原子または置換基を表し、R2eは置換基を有する芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。ただし、A3〜A6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
Figure 0005499519
〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は2または3である。R2a〜R2gは、各々水素原子または置換基を表す。ただし、A3〜A6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
4.前記陽極と前記陰極の間に第一の層及び第二の層を有し、該第一の層は前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、該第二の層は前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、前記第一の層と前記第二の層は隣接していることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記第一の層が発光層であり、前記第二の層が正孔輸送層であることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種と、前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種とが同一層に含有されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記同一層が発光層であることを特徴とする前記6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記陽極と前記陰極の間に、少なくとも第一発光層及び第二発光層を有し、該第一発光層が、前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、該第二発光層が、前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
9.前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種が前記一般式(1)で表される部分構造を含む有機金属錯体であることを特徴とする前記1〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
10.前記Mで表される元素が、イリジウムを表すことを特徴とする前記1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
11.前記1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
12.前記1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
本発明により、外部取り出し量子効率を上げることができ、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。また、当該発明者らの検討の結果、本発明により、発光素子のダークスポットを大幅に低減させることに成功し、有用な有機EL素子を提供することができた。また、該素子を用いた表示装置及び照明装置を提供することもできた。
有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。 表示部の模式図である。 照明装置の概略図である。 照明装置の断面図である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、請求項1〜10のいずれか一項に規定される構成により、高い発光効率を示し、且つ発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、該素子を用いた表示装置及び照明装置を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
《有機金属錯体(有機金属錯体化合物とも言う)》
本発明に係る有機金属錯体について説明する。
本発明者等は、有機EL素子の発光層に用いる有機金属錯体に着目、特に発光ドーパントとして用いる有機金属錯体について種々検討した。
本発明者らは、有機金属錯体の基本骨格に置換基を導入することで波長のコントロールや寿命の改善を図るという、従来公知のアプローチではなく、縮合環のπ共役面を広げることが化合物の安定性を上げるという着目点の下に種々の錯体を検討した。その結果、幾つかの縮合環構造で寿命の改善傾向が見出された。しかしながら、これまで知られているような縮合環を導入した場合には、発光波長のレッドシフトが著しく、緑、赤色発光となってしまっていた。
本発明者等は更に検討を進め、本発明に係る一般式(1)〜(4)で表される部分構造に示されているような縮合環を導入した有機金属錯体を発光材料に適用した場合には、発光波長シフトが小さく、且つ所望の発光波長で、長寿命化を実現した発光ドーパントを開発することに成功した。
この新しい基本骨格について、更に検討を進めるとπ共役平面が大きくなっていることにより、平面性が高くなるために有機金属錯体同士の会合が問題となり、素子の寿命が著しく低下するという欠点を有することがわかった。
波形についても長波側に副発光が見られ、色純度の低下が問題になってきた。我々は種々検討した結果、配位子部分に少なくとも一つの置換基を導入することにより、分子間の会合が防止され、長波側の副発光が抑制でき、有機金属錯体(有機金属錯体化合物)の安定性も向上することがわかった。
また、これらの有機金属錯体は酸素と光により酸化劣化が著しいという特徴があり、取り扱い中経時での劣化が懸念されていた。我々は種々検討した結果、配位子部分に少なくとも一つの置換基、特に本発明に係る一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体中のR1aもしくはR1bに置換基を導入することにより、酸化劣化が大幅に低減され、化合物の安定性が大幅に向上することがわかった。
しかし、長時間連続駆動時には、有機金属錯体の励起子同士の会合や、励起子とホストとの相互作用が問題となり、有機金属錯体の劣化が起こり、結果として素子に劣化サイトやキャリアトラップが生成する。これにより燐光寿命の低下や輝度の低下が起こり、寿命が低下してしまっていた。
本発明においては、一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種と、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を併用することにより、併用した有機金属錯体間でのエネルギー移動が起こり、発光が起こる。これにより、励起子同士またはホストとの相互作用が抑制され、有機金属錯体の劣化やキャリアトラップの発生を防ぐことができると思われる。また、有機金属錯体の劣化が抑えられることにより、ダークスポットの軽減も見られた。
また、この効果は同層での併用だけでなく、それぞれ隣接した層、または隣接していない層に併用しても見られた。
本発明に係る一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体は、各々Mで表される遷移金属元素の価数により、複数の配位子を有することができるが、該配位子は全て同一でもよく、また各々異なる構造を有する配位子を有していてもよい。
ここで、配位子とは一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体から遷移金属元素Mを除いた部分が、各々配位子である。
(従来公知の配位子)
また、所謂配位子としては、当該業者が周知の配位子(配位化合物とも言う)を必要に応じて配位子として併用することができる。
本発明に記載の効果を好ましく得る観点からは、錯体中の配位子の種類は1〜2種類から構成されることが好ましく、特に好ましくは1種類である。
従来公知の有機金属錯体に用いられる配位子としては、種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子など)が挙げられる。
(元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素)
本発明に係る一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の形成に用いられる金属としては、元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)が用いられるが、中でも、イリジウム、白金が好ましく、特に好ましくはイリジウムである。
(本発明に係る有機金属錯体の含有層)
本発明において、前述した一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種と、前述した一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種は、後述する陽極と陰極により挟まれ電荷を輸送する機能を有する層、例えば、陽極バッファー層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子バッファー層等であればいずれに含有しても本発明の効果を示す。
好ましくは、前述した一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種含有する層と、前述した一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体を少なくとも一種含有する層とが隣接していることである。
隣接している層の中でも、一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種含有する発光層と、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体を少なくとも一種含有する正孔輸送層が隣接していることが好ましい。
特に好ましい形態としては、前述した一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種と、前述した一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を同一層に含有することである。
同一層とは、後述する陽極と陰極により挟まれ電荷を輸送する機能を有する層であればいずれでもよいが、好ましくは正孔輸送層、正孔阻止層及び発光層であり、最も好ましくは発光層であることである。
また、本発明に係る発光層に含有する場合は、発光層中の発光ドーパントとして用いることにより、本発明の有機EL素子の外部取り出し量子効率の効率アップ(高輝度化)や発光寿命の長寿命化を達成することができる。
2層の発光層を有する場合、前述した一般式(1)〜(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種、前述した一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を2層の発光層にそれぞれ発光ドーパントとして併用しても好ましい効果を示す。尚、本発明の有機EL素子の構成層については、後に詳細に説明する。
《一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造》
本発明に係る一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造について説明する。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1aとE1qは、各々異なり、炭素原子または窒素原子を表す。E1b〜E1o及びE1pは、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、E1a〜E1qで構成される骨格は合計で18π電子を有する。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1a〜E1eにより形成される環は5員の芳香族複素環を表し、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの中でも、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環が好ましく、特に好ましいのはピラゾール環、イミダゾール環である。尚、これらの各環は各々更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1f〜E1kにより形成される環は、6員の芳香族炭化水素環、または5員もしくは6員の芳香族複素環を表す。
E1f〜E1kにより形成される6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環が挙げられる。更に後述する置換基を有していてもよい。E1f〜E1kにより形成される5員または6員の芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環等が挙げられる。これらの各環は各々更に後述する置換基を有していてもよい。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1l〜E1qにより形成される環は、6員の芳香族炭化水素環、または5員もしくは6員の芳香族複素環を表すが、これらの環は各々、E1f〜E1kにより形成される6員の芳香族炭化水素環、または5員もしくは6員の芳香族複素環と同義である。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iは各々水素原子または置換基を表すが、R1aまたはR1bの少なくとも一つは置換基を表す。
R1a〜R1iで各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、クロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
更に、後述するJ1〜J30で表される構造及びXylylで表される構造を置換基としてもよい。これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
上記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造における置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよく、また複数の置換基が存在する場合、各々の置換基は同一でも異なっていてもよく、お互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。
更に、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
複数の部分構造が重合体中に存在する場合、各々の一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造は同一でも異なっていてもよい。
〈一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造の重合方法〉
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造の重合体(ポリマー)は「改訂 高分子合成の化学」化学同人「高分子合成の実験法」化学同人「第4版 実験化学講座 28 高分子合成」丸善等に記載の方法を用いて合成することができる。
好ましい重合方法としては1)重縮合、2)ラジカル重合、3)イオン重合、4)重付加、付加縮合等が挙げられ、重合性基の種類によって使い分けることが可能である。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造の重合体は上記方法を用い、ホモポリマーとすることも可能であり、複数のモノマーと組み合わせたコポリマーとすることも可能である。
一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウムが好ましい遷移金属元素として挙げられる。
また、上記の一般式(1)で表される部分構造を有する金属錯体の中でも、下記一般式(A)で表される有機金属錯体が好ましい態様として挙げられる。
(一般式(A)で表される有機金属錯体)
一般式(A)で表される有機金属錯体において、A1〜A4は炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、A1〜A4とNで構成される骨格は合計で6π電子を有する。
一般式(A)で表される有機金属錯体において、A1〜A4とNで形成される骨格(環ともいう)としては、5員の芳香族複素環が好ましく、該5員の芳香族複素環は、例えば、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。なお、これらの各環は各々更に前述した一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基を有していてもよい。
一般式(A)で表される有機金属錯体において、R1〜R9で表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(A)で表される有機金属錯体において、R1〜R9で各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。
更に、一般式(A)で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
一般式(A)において、X1−L−X2は2座の配位子を表し、X1、X2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。
LはX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
一般式(A)において、X1−L−X2で表される2座の配位子の具体例としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。好ましくは、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾールである。
一般式(A)において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)と同義である。
以下、本発明に係る前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体、または一般式(A)で表される有機金属錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
上記において、acac、ppz、MPI、SB1、ppy、DPPD、4Mesppzで表される構造を下記に示す。
Figure 0005499519
上記において、以下に置換基J1〜J30で表される構造と置換位置を*で示す。また、Xylyl(尚、本発明に係るXylyl基は、詳細には、2,6−キシリル基を表す。)で表される構造と置換位置も*で示している。尚、J6J1なる置換基では、J1が母核に近いことを表す。
Figure 0005499519
上記の有機金属錯体は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry,第26巻、1171頁(2002年)、Organic Letter誌、vol8、No.3、415〜418頁(2006)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
次いで、上記有機金属錯体の合成例を以下に示す。その他の有機金属錯体についても同様の方法により製造することができる。
《例示化合物A−97の合成》
Figure 0005499519
工程1:錯体Aの合成
100ml四つ口フラスコに2−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン0.9g(0.003875モル)、2−エトキシエタノール13ml、水3mlを入れ、窒素吹き込み管、温度計、コンデンサーを付けて油浴スターラー上にセットした。これに、0.55g(0.001560モル)のIrCl・3HO、及び0.16g(0.001560モル)のトリエチルアミンを添加し、内温100℃付近で6時間煮沸還流して反応終了とした。
反応終了後室温まで冷却した後、メタノールを加え、析出した固体を濾取した。得られた個体をメタノールでよく洗浄して乾燥し、錯体Aを1.05g(98.1%)得た。
工程2:錯体Bの合成
50ml四つ口フラスコに、1.0g(0.0007244モル)の錯体C、0.29gのアセチルアセトン、1.0gの炭酸ナトリウム、2−エトキシエタノール24mlを入れ、窒素吹き込み管、温度計、コンデンサーを付けて油浴スターラー上にセットした。窒素気流化内温80℃付近で1.5時間加熱攪拌した。
反応終了後室温まで冷却し、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾過した。この結晶を水30ml、MeOH10mlで洗浄して乾燥し、0.73gの錯体B、0.42g(38.5%)を得た。
工程3:例示化合物A−97の合成
50ml四つ口フラスコに、0.386g(0.0005120モル)の錯体B、0.357gの2−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン、グリセリン20mlを入れ、窒素吹き込み管、温度計、空冷管を付けて油浴スターラー上にセットした。窒素気流化内温150℃付近で4.5時間加熱攪拌して反応終了とした。反応終了後、室温まで冷却し、メタノールを加え分散後結晶を濾取し、0.38gの粗結晶が得られた。
結晶をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン/酢酸エチル)で精製後、得られた結晶をテトラヒドロフラン及び酢酸エチルの混合溶媒で加熱懸濁精製し、例示化合物A−97を0.3g(66.6%)得た。
得られた例示化合物A−97の構造は、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて構造を確認した。尚、測定条件及び得られたスペクトルの各ピークのケミカルシフト、プロトン数等を以下に示す。
H−NMR(400MHz,テトラヒドロフラン−d8)
測定装置:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
スペクトルの帰属(ケミカルシフトδ、プロトン数、ピーク形状)
8.48(1H,d),7.93(1H,d),7.75(1H,s),7.64(1H,d),7.54(1H,t),7.46(1H,t),6.95(1H,t),6.83(1H,d),1.85(3H,s)。尚、例示化合物A−97の溶液における発光波長は455nmであった。(発光波長は、2−メチルテトラヒドロフラン中で測定したものである。)
《一般式(5)で表される有機金属錯体》
本発明に係る一般式(5)で表される有機金属錯体について説明する。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、A1〜A6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。
具体的には、A1〜A6で構成される骨格(環ともいう)は、6員の芳香族炭化水素環または、5員もしくは6員の芳香族複素環を表す。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、A1〜A6により形成される6員の芳香族炭化水素環は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1f〜E1kにより形成される6員の芳香族炭化水素環と同義である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、A1〜A6により形成される5員もしくは6員の芳香族複素環は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1f〜E1kにより形成される5員もしくは6員の芳香族複素環と同義である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、A7〜A10とNで構成される骨格(環ともいう)により形成される5員の芳香族複素環は、一般式(A)で表される有機金属錯体において、A1〜A4とNで形成される5員の芳香族複素環と同義である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(A)において、X1−L−X2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。更に、一般式(5)で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
複数の有機金属錯体が重合体中に存在する場合、各々の一般式(5)で表される有機金属錯体は同一でも異なっていてもよい。
《一般式(5)で表される有機金属錯体の重合方法》
一般式(5)で表される有機金属錯体の重合体(ポリマー)は「改訂 高分子合成の化学」化学同人「高分子合成の実験法」化学同人「第4版 実験化学講座 28 高分子合成」丸善等に記載の方法を用いて合成することができる。
好ましい重合方法としては1)重縮合、2)ラジカル重合、3)イオン重合、4)重付加、付加縮合等が挙げられ、重合性基の種類によって使い分けることが可能である。
一般式(5)で表される有機金属錯体の重合体は上記方法を用い、ホモポリマーとすることも可能であり、複数のモノマーと組み合わせたコポリマーとすることも可能である。
一般式(5)で表される有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)と同義である。
本発明では、一般式(5)で表される有機金属錯体の中でも、上記一般式(7)または一般式(8)で表される化合物が好ましく用いられる。
《一般式(7)で表される有機金属錯体》
一般式(7)で表される有機金属錯体について説明する。
一般式(7)で表される有機金属錯体において、A1〜A6で構成される骨格(環ともいう)は、一般式(5)において、A1〜A6で構成される骨格(環ともいい、6員の芳香族炭化水素環または、5員もしくは6員の芳香族複素環を表す。)と同義である。
一般式(7)で表される有機金属錯体において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(A)において、X1−L−X2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(7)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(7)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。
更に、一般式(7)で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
複数の有機金属錯体が重合体中に存在する場合、各々の一般式(7)で表される有機金属錯体は同一でも異なっていてもよい。
一般式(7)で表される有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)と同義である。
《一般式(8)で表される有機金属錯体》
一般式(8)で表される有機金属錯体について説明する。
一般式(8)で表される有機金属錯体において、A1〜A6で構成される骨格(環ともいう)は、一般式(5)において、A1〜A6で構成される骨格(環ともいい、6員の芳香族炭化水素環または、5員もしくは6員の芳香族複素環を表す。)と同義である。
一般式(8)で表される有機金属錯体において、P1−L1−P2で表される2座の配位子を表し、一般式(A)において、X1−L−X2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(8)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(8)で表される有機金属錯体において、R2a〜R2gで各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。
更に、一般式(8)で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
複数の有機金属錯体が重合体中に存在する場合、各々の一般式(8)で表される有機金属錯体は同一でも異なっていてもよい。
一般式(8)で表される有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)と同義である。
以下、本発明に係る一般式(5)、(7)または一般式(8)のいずれかで表される化合物(有機金属錯体、有機金属錯体化合物とも言う)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
本発明に係る一般式(5)、(7)または一般式(8)のいずれかで表される化合物(有機金属錯体、有機金属錯体化合物とも言う)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
次いで、本発明に係る一般式(5)、(7)または一般式(8)のいずれかで表される化合物(有機金属錯体、有機金属錯体化合物とも言う)の合成例の一例を以下に示す。
また、その他の有機金属錯体についても同様の方法により製造することができる。
《例示化合物5−154の合成》
Figure 0005499519
窒素雰囲気下で2−フェニル−(2,4,6−トリメチルフェニル)−1H−イミダゾール、18g(0.06861モル)を2−エトキシエタノール350mlに溶解した溶液に、塩化イリジウム3水和物、8.1g(0.02297モル)及び100mlの水を加え、窒素雰囲気下で5時間還流した。
反応液を冷却し、メタノール500mlを加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を更にメタノールで洗浄し、乾燥後15.2g(収率88.4%)の錯体Aを得た。
窒素雰囲気下で錯体A、14.5g(0.009662モル)及び炭酸ナトリウム、14.5gを−エトキシエタノール350mlに懸濁させた。この懸濁液にアセチルアセトン3.9g(0.03895モル)を加え、窒素雰囲気下で2時間還流した。
反応液を冷却後、減圧濾過によって炭酸ナトリウム及び無機塩を除去した。溶媒を減圧濃縮した後に得られた固体に水1Lを加えて懸濁後、固体を濾取した。得られた結晶を更にメタノール/水=1/1混合溶液で洗浄し、乾燥後14.7g(収率93.6%)の錯体Bを得た。
窒素雰囲気下で錯体B、7.5g(0.009214モル)及び2−フェニル−(2,4,6−トリメチルフェニル)−1H−イミダゾール、6.0g(0.02287モル)をグリセリン400mlに懸濁させた。窒素雰囲気下で反応温度150℃〜160℃の間で2時間反応させ、錯体Bの消失を確認したところで反応終了とした。
反応液を冷却し、メタノール500mlを加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を更にメタノールで洗浄し、乾燥後、収量7.1g(収率78.9%)の粗生成物を得た。
この粗生成物を少量の塩化メチレンに溶解し、シカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し(塩化メチレン)6.5g(収率72.2%)の例示化合物5−154を得た。
日立製作所製F−4500を用いて測定した例示化合物5−154の溶液におけるリン光発光波長は、466nmであった(2−メチルテトラヒドロフラン中)。
次いで、一般式(6)で表される有機金属錯体について説明する。
《一般式(6)で表される有機金属錯体》
一般式(6)で表される有機金属錯体において、B1〜B6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、B1〜B6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。
具体的には、B1〜B6で構成される骨格(環ともいう)は、6員の芳香族炭化水素環または、5員もしくは6員の芳香族複素環を表す。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、B1〜B6により形成される6員の芳香族炭化水素環は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1f〜E1kにより形成される6員の芳香族炭化水素環と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、B1〜B6により形成される5員もしくは6員の芳香族複素環を表すが、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、E1f〜E1kにより形成される5員もしくは6員の芳香族複素環と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、R3a〜R3eで各々表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、R3a〜R3eで各々表される置換基は、前述のアルケニル基以外にもスチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。更に、一般式(6)で表される有機金属錯体は前記重合性基同士、もしくは他の重合性モノマーと反応して重合体を形成することができる。
尚、一般式(6)で表される有機金属錯体の重合方法は、上記の一般式(5)で表される有機金属錯体の重合方法と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、Aで表される−C(R2)=のR2で表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、Bで表される、−C(R3)=のR3で表される置換基は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造において、R1a〜R1iで各々表される置換基と同義である。
また、一般式(6)で表される有機金属錯体において、R2、R3で各々表される置換基はお互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、X1−L1−X2で表される2座の配位子は、一般式(A)において、X1−L−X2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(6)で表される有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体において、Mで表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属とも言う)と同義である。
以下、本発明に係る前記一般式(6)で表される有機金属錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
上記の有機金属錯体は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を参照することにより合成できる。
次いで、上記有機金属錯体の合成例を以下に示す。その他の有機金属錯体についても同様の方法により製造することができる。
《例示化合物6−121の合成》
Figure 0005499519
工程1:錯体Aの合成
窒素雰囲気下で2−フェニル−(2,4,6−トリメチルフェニル)−1H−イミダゾール18g(0.06861モル)を2−エトキシエタノール350mlに溶解した溶液に、塩化イリジウム3水和物、8.1g(0.02297モル)及び100mlの水を加え、窒素雰囲気下で5時間還流した。反応液を冷却し、メタノール500mlを加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を更にメタノールで洗浄し、乾燥後15.2g(収率88.4%)の錯体Aを得た。
工程2:例示化合物6−121の合成
工程1で得られた、6.0g(0.003998モル)の錯体A及び1.85g(0.008396モル)のトリフルオロ酢酸銀を塩化メチレン500ml中、窒素バブリングを行いながら1時間還流した。
反応液を冷却後、塩を濾別し、濾液を濃縮した後、テトラヒドロフラン500mlを加え、カルベン前駆体3.2g(0.007996モル)及びtert−ブトキシカリウム1.35gを加え、5時間還流した。反応液を冷却後、不溶物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/テトラヒドロフラン)により分離生成し、例示化合物6−121を5.33g(65.0%)得た。
以上の合成方法は1例であり、これらに限定されない。例えば、使用する溶媒を酢酸フェニル等の高沸点の極性溶媒に変える、また、反応基質の量を変化させたり、反応温度を変化させることで、様々な化合物を合成することができる。
尚、例示化合物6−121の溶液における発光波長は463nmであった(発光波長は、2−メチルテトラヒドロフラン中で測定したものである。)
本発明では、例示化合物6−121の発光波長を以下のように測定した。まず、例示化合物6−121の吸収スペクトルを測定し、300nm〜350nmの範囲の吸収最大波長を励起光として設定する。
設定した励起光を用いて、窒素バブリングを行いながら蛍光光度計F−4500(日立製作所製)にて発光波長を測定する。
尚、使用できる溶媒に制限はないが、化合物の溶解性の観点から2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン等が好ましく用いられる。
測定時の濃度は充分希釈していることが好ましく、具体的には10−6mol/Lから10−4mol/Lの範囲で測定することが好ましい。
また、測定時の温度としては、特に制限はないが、一般的には室温〜77Kの範囲の温度設定が行われることが好ましい。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(vi)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
本発明の有機EL素子においては、青色発光層の発光極大波長は430〜480nmにあるものが好ましく、緑色発光層は発光極大波長が510〜550nm、赤色発光層は発光極大波長が600〜640nmの範囲にある単色発光層であることが好ましく、これらを用いた表示装置であることが好ましい。また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、これらを用いた照明装置であることがよい。更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは2nm〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは10nm〜20nmの範囲である。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により成膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、ホスト化合物と発光ドーパント(リン光ドーパント(リン光発光性ドーパントとも言う)や蛍光ドーパント等)の少なくとも1種類とを含有することが好ましい。
(ホスト化合物(発光ホストとも言う))
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
以下に、本発明に好ましく用いられるホスト化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005499519
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、且つ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(発光ドーパント)
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物とも言う)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等とも言う)を用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパント(単に、発光材料と言うこともある)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時にリン光ドーパントを含有することが好ましい。
(リン光ドーパント)
本発明に係るリン光ドーパントについて説明する。
本発明に係るリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体的には以下の特許公報に記載されている化合物などが挙げられる。
国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等。
本発明に係るリン光ドーパントは、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明に係るリン光ドーパントとして用いられる化合物としては、上記の本発明に係る一般式(1)〜(4)のいずれかで表される部分構造を含む有機金属錯体、一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体が好ましい。
また、以下に示すような従来公知の発光ドーパントを併用してもよい。
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
Figure 0005499519
(蛍光ドーパント(蛍光性化合物とも言う))
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
この注入層は上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成できる。
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。この注入層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
正孔阻止層には、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものを示す)を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば、下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより、算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは、光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。上記正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このようなn性の高い電子輸送層を用いることは、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで透明または半透明の陰極を作製でき、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(JSR製)あるいはアペル(三井化学製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。
ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
尚、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し、封止膜とすることも好適にできる。
この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。
更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層等の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法等)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においては蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法による成膜が好ましい。
更に層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
層をウェットプロセスで製膜する場合、本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製は一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は上記有機EL素子を有する。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においては、シャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
また作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、陽極等の順に作製することも可能である。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。
通常、更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。尚、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではない。
《照明装置及び表示装置》
本発明の照明装置及び本発明の表示装置について説明する。本発明の照明装置や表示装置は、上記有機EL素子を有する。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
以下、本発明の有機EL素子を有する照明装置の一例を図面に基づいて説明する。
図3は照明装置の概略図を示し、有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている。
図4は照明装置の断面図を示し、図4において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。
複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
発光層もしくは正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
このように、白色発光有機EL素子は、前記表示デバイス、ディスプレイに加えて、各種発光光源、照明装置として、家庭用照明、車内照明、また露光光源のような一種のランプとして、また液晶表示装置のバックライト等、表示装置にも有用に用いられる。
その他、時計等のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等、更には表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、実施例において用いられる化合物の構造を下記に示す。
Figure 0005499519
実施例1
《有機EL素子1の作製》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、下記のように5つのモリブデン製抵抗加熱ボートに各々化合物を入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
第1モリブデン製抵抗加熱ボート α−NPD 200mg
第2モリブデン製抵抗加熱ボート H−1 200mg
第3モリブデン製抵抗加熱ボート BAlq 200mg
第4モリブデン製抵抗加熱ボート F−4 100mg
第5モリブデン製抵抗加熱ボート Alq 200mg
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記第1モリブデン製抵抗加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で基板に蒸着し、膜厚40nmの正孔輸送層を設けた。
更に、発行層として、H−1及びF−4の入った前記第2、第4モリブデン製抵抗加熱ボートを通電加熱し、H−1の蒸着速度0.2nm/秒、F−4の蒸着速度を0.012nm/秒で前記正孔輸送層上に共蒸着して、膜厚40nmの発光層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
更に、BAlqの入った第3モリブデン製抵抗加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。
更に、Alqの入った前記第5モリブデン製抵抗加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔阻止層の上に蒸着して更に膜厚40nmの電子輸送層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
次いで、あらかじめフッ化リチウムを入れておいたタンタル製抵抗加熱ボードを通電し加熱し、基板上にフッ化リチウムからなる電子注入層を0.5nm設けた。続いて、アルミニウムの入ったタンタル製抵抗加熱ボードに通電加熱し、アルミニウムからなる膜厚110nmの陰極を蒸着で形成し、有機EL素子1を作製した。
《有機EL素子2の作製》
有機EL素子1の作製において、第4モリブデン製抵抗加熱ボートに入れるドーパントを表1に記載したようにIr−1に変更した以外は同様にして、有機EL素子2を作製した。
《有機EL素子3の作製》
有機EL素子1の作製において、下記の手順で発光層を設けること以外は同様にして有機EL素子3を作製した。
第二ドーパントとして第6モリブデン製抵抗加熱ボートに5−17を100mg入れた。第2、第4及び第6モリブデン製抵抗加熱ボートを通電加熱し、蒸着速度をH−1は0.2nm/秒、F−4は0.006nm/秒、5−17は0.006nm/秒で共蒸着して、正孔輸送層上に膜厚40nmの発光層を設けた。
《有機EL素子4〜6の作製》
有機EL素子3の作製において、第6モリブデン製抵抗加熱ボードに入れる第二ドーパントを表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子4〜6を作製した。
《有機EL素子7の作製》
有機EL素子2の作製において、下記の手順で正孔輸送層を設けること以外は同様にして有機EL素子7を作製した。
第1モリブデン製抵抗加熱ボートに入れる正孔輸送層材料をα−NPDからF−4を100mgに変更し、正孔輸送層材料として第7モリブデン製抵抗加熱ボートに5−154を100mg入れた。第1、第7モリブデン製抵抗加熱ボートを通電加熱し、蒸着速度をF−4及び5−154共に0.05nm/秒で基板に共蒸着し、膜厚40nmの正孔輸送層を設けた。
《有機EL素子8の作製》
有機EL素子2の作製において、下記の手順で正孔阻止層を設けること以外は同様にして有機EL素子8を作製した。
第3モリブデン製抵抗加熱ボートに入れる正孔阻止層材料をBAlqからF−4を100mgに変更し、正孔阻止層材料として第8モリブデン製抵抗加熱ボートに5−154を100mg入れた。第5、第8モリブデン製抵抗加熱ボートを通電加熱し、蒸着速度をF−4及び5−154共に0.05nm/秒で発光層上に共蒸着し、膜厚10nmの正孔阻止層を設けた。
《有機EL素子9の作製》
有機EL素子2の作製において、正孔輸送層材料をF−4に変更し、正孔阻止層材料を5−154に変更した以外は同様にして、有機EL素子9を作製した。
《有機EL素子10〜12の作製》
有機EL素子1の作製において、正孔輸送層材料を表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子10〜12を作製した。
《有機EL素子13〜15の作製》
有機EL素子1の作製において、正孔阻止層材料を表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子13〜15を作製した。
《有機EL素子16〜25の作製》
有機EL素子3の作製において、第4、第6モリブデン製抵抗加熱ボードに入れるそれぞれのドーパントを表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子16〜25を作製した。
《有機EL素子26及び27の作製》
有機EL素子1の作製において、発光層のドーパント及び正孔輸送層材料を表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子26及び27を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた有機EL素子1〜27を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止して、図3、図4に示すような照明装置を形成して評価した。尚、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
《外部取り出し量子効率》
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。外部取り出し量子効率は有機EL素子1を100設定とする相対値で表した。
《発光寿命》
有機EL素子を室温下、2.5mA/cmの定電流条件下による連続点灯を行い、初期輝度の半分の輝度になるのに要する時間(τ1/2)を測定した。発光寿命は有機EL素子1を100と設定する相対値で表した。
《DS(ダークスポット)》
各有機EL素子を室温下、2.5mA/cmの定電流条件下による連続点灯を行った際の発光面を目視で評価した。無作為に抽出した10人による目視評価で連続点灯時間10時間経過後の各素子において、以下とした。
×:ダークスポットを確認した人数が2人以上の場合
○:ダークスポットを確認した人数が1人の場合
◎:ダークスポットを確認した人数が0人の場合
得られた結果を表1に示す。
Figure 0005499519
表1から、本発明の有機EL素子は比較例に比べて、外部取り出し量子効率が高く、且つ、長寿命であり、ダークスポットの生成も抑えられていることがわかった。特に、有機EL素子No.4及び17〜20から明らかなように、発光層において一般式(A)に記載の有機金属錯体と一般式(7)に記載の有機金属錯体を併用した場合に特に高い効果を示すことがわかった。この理由は、一般式(A)と一般式(7)の有機金属錯体の間で、最もエネルギー移動の速度が大きくなるためであると推定している。
実施例2
《有機EL素子31の作製》
有機EL素子1の作製において、発光層と正孔阻止層の間に第2の発光層を下記のように設けること以外は同様にして有機EL素子31を作製した。
第21モリブデン製抵抗加熱ボートに、第2の発光層のドーパントとして5−154を100mg入れた。H−1の入った実施例1に記載の第2モリブデン製抵抗加熱ボート、5−154の入った第21モリブデン製抵抗加熱ボートを通電加熱し、H−1の蒸着速度0.2nm/秒、5−154の蒸着速度を0.012nm/秒で発光層上に共蒸着して、膜厚40nmの第2の発光層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
《有機EL素子32及び33の作製》
有機EL素子31の作製において、第2の発光層ドーパントを表2に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子32及び33を作製した。
《有機EL素子34〜36の作製》
有機EL素子31の作製において、発光層のドーパント及び第2の発光層のドーパントを表2に記載したように変更した以外は同様にして、有機EL素子34〜36を作製した。
《有機EL素子31〜36の評価》
得られた有機EL素子31〜36の評価は、実施例1の有機EL素子1〜27の評価と同様に行った。外部取り出し量子効率、半減寿命については、それぞれ有機EL素子1を100とする相対値で表した。評価結果を表2に示す。
Figure 0005499519
表2から、比較例の素子に比べて、本発明の有機EL素子は、外部取り出し量子効率が高く、且つ長寿命であることがわかる。更に、ダークスポットの生成も抑えられていることもわかる。
特に、有機EL素子No.31及び34から明らかなように、発光層ドーパント、第2の発光層ドーパントとして、一般式(A)に記載の有機金属錯体と一般式(7)に記載の有機金属錯体を併用した場合に非常に高い効果を示すことがわかった。
実施例3
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子17を青色発光素子として用いた。
(緑色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子2を緑色発光素子として用いた。
(赤色発光素子の作製)
実施例1の有機EL素子1において、発光層ドーパントF−4をIr−9に変更した以外は同様にして、赤色発光素子を作製し、これを赤色発光素子として用いた。
上記で作製した赤色、緑色、青色発光有機EL素子を同一基板上に並置し、図1に記載のような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
このフルカラー表示装置は駆動することにより、輝度が高く、高耐久性を有し、且つ鮮明なフルカラー動画表示が得られることがわかった。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
A 表示部
B 制御部
101 有機EL素子
107 透明電極付きガラス基板
106 有機EL層
105 陰極
102 ガラスカバー
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (12)

  1. 陽極と陰極により挟まれた少なくとも一層の発光層を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体を少なくとも一種含有し、更に下記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体を少なくとも一種含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005499519
    〔式中、E1a、E1d〜E1f、E1k、E1l、E1pおよびE1qは、各々炭素原子または窒素原子を表すが、E1aとE1qは各々異なっている。E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oは、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。E1a〜E1qで構成される骨格は合計で18π電子を有する。R1a〜R1iは、各々水素原子または置換基を表すが、R1a、R1bの少なくとも一つは置換基を表す。ただし、E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つが窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のE1a〜E1qと二重結合を形成している場合、当該E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つは水素原子または置換基を有していない。また、E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つが酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該E1b、E1c、E1g〜E1jおよびE1m〜E1oのいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
    Figure 0005499519
    〔式中、A1、A2およびA7は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6およびA8〜A10は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有し、A7〜A10とNで構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は2または3である。R2a〜R2gは各々水素原子または置換基を表すが、A8が窒素原子を表す場合、R2eは置換基を有する芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。ただし、A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つが窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のA1〜A10またはNと二重結合を形成している場合、当該A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つは水素原子または置換基を有していない。また、A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つが酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6およびA8〜A10のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
    Figure 0005499519
    〔式中、B1およびB2は、各々炭素原子または窒素原子をす。B3〜B6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。B1〜B6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。R3a〜R3eは、各々水素原子または置換基を表す。ただし、B3〜B6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該B3〜B6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Aは、−C(R2)=または−N=を表し、R2は水素原子または置換基を表す。Bは、−C(R3)=または−N=を表し、R3は水素原子または置換基を表す。X1−L1−X2は2座の配位子を表し、X1、X2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。b1は1〜3の整数を表し、b2は0〜2の整数を表すが、b1+b2は、2または3である。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
  2. 前記一般式(1)で表される部分構造を含む有機金属錯体が、下記一般式(A)で表される有機金属錯体であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005499519
    〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A3およびA4は、各々炭素原子または窒素原子を表す。A1〜A4とNで構成される骨格は合計で6π電子を有する。X1−L−X2は2座の配位子を表し、X1、X2は、各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。LはX1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。mは1〜3の整数を表し、nは0〜2の整数を表すが、m+nは2または3である。R1〜R9は各々水素原子または置換基を表す。ただし、A1またはA2が窒素原子を表し、かつ、隣り合う他のA1〜A4またはNと二重結合を形成している場合、当該A1またはA2は水素原子または置換基を有していない。また、A1またはA2が酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A1またはA2は水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
  3. 前記一般式(5)で表される有機金属錯体が、下記一般式(7)または(8)で表される有機金属錯体であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005499519
    〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は、2または3である。R2a〜R2d、R2fおよびR2gは各々水素原子または置換基を表し、R2eは置換基を有する芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。ただし、A3〜A6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
    Figure 0005499519
    〔式中、A1およびA2は、各々炭素原子または窒素原子をす。A3〜A6は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。A1〜A6で構成される骨格は合計で6π電子を有する。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子または酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。a1は1〜3の整数を表し、a2は0〜2の整数を表すが、a1+a2は2または3である。R2a〜R2gは、各々水素原子または置換基を表す。ただし、A3〜A6のいずれか一つが窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す場合、当該A3〜A6のいずれか一つは水素原子および置換基を有していない。Mは元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。〕
  4. 前記陽極と前記陰極の間に第一の層及び第二の層を有し、該第一の層は前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、該第二の層は前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、前記第一の層と前記第二の層は隣接していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記第一の層が発光層であり、前記第二の層が正孔輸送層であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種と、前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種とが同一層に含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記同一層が発光層であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記陽極と前記陰極の間に、少なくとも第一発光層及び第二発光層を有し、該第一発光層が、前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種を含有し、該第二発光層が、前記一般式(5)または(6)で表される有機金属錯体の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で表される部分構造を含む有機金属錯体の少なくとも一種が前記一般式(1)で表される部分構造を含む有機金属錯体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記Mで表される元素が、イリジウムを表すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
JP2009127482A 2009-05-27 2009-05-27 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Active JP5499519B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009127482A JP5499519B2 (ja) 2009-05-27 2009-05-27 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009127482A JP5499519B2 (ja) 2009-05-27 2009-05-27 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010278114A JP2010278114A (ja) 2010-12-09
JP5499519B2 true JP5499519B2 (ja) 2014-05-21

Family

ID=43424832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009127482A Active JP5499519B2 (ja) 2009-05-27 2009-05-27 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5499519B2 (ja)

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012088266A2 (en) 2010-12-22 2012-06-28 Incyte Corporation Substituted imidazopyridazines and benzimidazoles as inhibitors of fgfr3
JP5924401B2 (ja) * 2012-03-15 2016-05-25 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
WO2014007951A2 (en) 2012-06-13 2014-01-09 Incyte Corporation Substituted tricyclic compounds as fgfr inhibitors
WO2014026125A1 (en) 2012-08-10 2014-02-13 Incyte Corporation Pyrazine derivatives as fgfr inhibitors
US9266892B2 (en) 2012-12-19 2016-02-23 Incyte Holdings Corporation Fused pyrazoles as FGFR inhibitors
TWI715901B (zh) 2013-04-19 2021-01-11 美商英塞特控股公司 作為fgfr抑制劑之雙環雜環
US10851105B2 (en) 2014-10-22 2020-12-01 Incyte Corporation Bicyclic heterocycles as FGFR4 inhibitors
US9580423B2 (en) 2015-02-20 2017-02-28 Incyte Corporation Bicyclic heterocycles as FGFR4 inhibitors
MA41551A (fr) 2015-02-20 2017-12-26 Incyte Corp Hétérocycles bicycliques utilisés en tant qu'inhibiteurs de fgfr4
TWI712601B (zh) 2015-02-20 2020-12-11 美商英塞特公司 作為fgfr抑制劑之雙環雜環
AR111960A1 (es) 2017-05-26 2019-09-04 Incyte Corp Formas cristalinas de un inhibidor de fgfr y procesos para su preparación
BR112020022392A2 (pt) 2018-05-04 2021-02-02 Incyte Corporation formas sólidas de um inibidor de fgfr e processos para preparação das mesmas
US11174257B2 (en) 2018-05-04 2021-11-16 Incyte Corporation Salts of an FGFR inhibitor
US11628162B2 (en) 2019-03-08 2023-04-18 Incyte Corporation Methods of treating cancer with an FGFR inhibitor
US11591329B2 (en) 2019-07-09 2023-02-28 Incyte Corporation Bicyclic heterocycles as FGFR inhibitors
MX2022004513A (es) 2019-10-14 2022-07-19 Incyte Corp Heterociclos biciclicos como inhibidores de los receptores del factor de crecimiento de fibroblastos (fgfr).
WO2021076728A1 (en) 2019-10-16 2021-04-22 Incyte Corporation Bicyclic heterocycles as fgfr inhibitors
EP4069695A1 (en) 2019-12-04 2022-10-12 Incyte Corporation Derivatives of an fgfr inhibitor
CA3163875A1 (en) 2019-12-04 2021-06-10 Incyte Corporation Tricyclic heterocycles as fgfr inhibitors
EP4146205A1 (en) 2020-05-05 2023-03-15 Nuvalent, Inc. Heteroaromatic macrocyclic ether chemotherapeutic agents
MX2022013657A (es) 2020-05-05 2023-02-01 Nuvalent Inc Quimioterápicos de éter macrocíclico heteroaromático.
WO2022261160A1 (en) 2021-06-09 2022-12-15 Incyte Corporation Tricyclic heterocycles as fgfr inhibitors

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101634509B1 (ko) * 2006-02-10 2016-06-28 유니버셜 디스플레이 코포레이션 시클로금속화 이미다조[1,2-f]페난트리딘 및 디이미다조[1,2-a:1'',2''-c]퀴나졸린 리간드, 및 이의 등전자성 및 벤즈고리화된 유사체의 금속 착체
JP5482201B2 (ja) * 2007-05-16 2014-05-07 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2008143059A1 (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Konica Minolta Holdings, Inc. 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5211282B2 (ja) * 2007-09-18 2013-06-12 ユー・ディー・シー アイルランド リミテッド 有機電界発光素子
JP5478818B2 (ja) * 2007-09-18 2014-04-23 ユー・ディー・シー アイルランド リミテッド 有機電界発光素子
WO2009047993A1 (ja) * 2007-10-13 2009-04-16 Konica Minolta Holdings, Inc. 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5067114B2 (ja) * 2007-10-24 2012-11-07 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010278114A (ja) 2010-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5499519B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5482201B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5338184B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置
JP5600891B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置
JP5621187B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置
JP5629980B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5653617B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5724204B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置
JP5522046B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス素子材料
JP5531446B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置および照明装置
JP5577650B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5765380B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5853964B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
WO2010095564A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、該素子を備えた照明装置及び表示装置
JP2008311607A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5412809B2 (ja) イミダゾール化合物の製造方法
JP5652083B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5629970B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2011052250A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5699603B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5482313B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置
JP5463897B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置
JP5488053B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び有機エレクトロルミネッセンス素子材料
JP5515283B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5510335B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、表示装置及び照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111116

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5499519

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250