JP5690424B2 - 覆工コンクリートの目地形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル覆工面(例えば、二次覆工コンクリートの内周面)の所定箇所に、ひび割れ或いは亀裂を生じさせるための誘発目地の形成に関する。
コンクリートは、各種要因による応力集中に起因して、ひび割れ或いは亀裂が生じる。このひび割れ、亀裂は漏水等の問題を生じるが、ひび割れ、亀裂が発生する箇所を予測することは困難である。
これに対して、予め応力集中を生じ易い個所、すなわち誘発目地を意図的にコンクリート覆工面(例えば、二次覆工コンクリートの内周面)に形成しておけば、ひび割れ、亀裂は誘発目地に生じるので、それに起因する漏水等の対処が迅速、容易になる。
その様な誘発目地を形成するため、円形のカッタブレード周縁部に形成された第1の刃部によりコンクリート覆工面に深い切れ込みを切削し、第1の刃部を両側から挟む様に配置され且つ第1の刃部よりも小径で一対の第2の刃部により、当該深い切れ込みよりもコンクリート覆工面からの深さが浅い階段状部を切削する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術によれば、カッタブレードにより深い目地を切削する際に、振動により目地の切り込み位置が偏奇してしまい、当該深い目地を正確に切り込むことが出来ないという問題を有している。
さらに従来技術では、トンネルの半径方向、トンネルの長手方向、トンネルの横方向(幅方向:前記長手方向に垂直な方向)について、ガイドレールと二次覆工コンクリート面との相対位置を一定にすることができない。そのため、誘発目地の位置や、二次覆工コンクリート内周面からの深さを正確にすることが出来ない、という問題を有している。
特許第2528692号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、切削刃により、誘発目地を正確な位置と深さに形成することが出来る覆工コンクリートの目地形成方法の提供を目的としている。
本発明の覆工コンクリートの目地形成方法は、
二次覆工コンクリート(C2)の内側(トンネルの内周側)の空間に、二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)から一定の距離を隔てて円弧状のガイドレール(20)を配置する工程と、
目地切削部材(カッタブレード562)及び一対のガイドローラ(572A、572B)を有する目地切削装置本体(500)を前記ガイドレール(20)に配置し、第1の目地(Vc21)の円周方向(第1の目地が二次覆工コンクリートC2の表面Fc2を延在している方向)について目地切削部材(562)の前後に配置される様に一対のガイドローラ(572A、572B)を第1の目地(Vc21)内に挿入し、且つ、目地切削部材(562)を第1の目地(Vc21)の幅方向中央に位置する様に第1の目地(Vc21)に挿入する工程と、
目地切削装置本体(500)を前記ガイドレール(20)に沿って移動しつつ、目地切削部材(562)が第1の目地(Vc21)の幅方向中央を所定の深さまで切削して、第2の目地(Vc22)を形成する様に、目地切削部材(562)を第1の目地(Vc21)内に押し込みつつ、ガイドレール(20)に沿って移動させる工程、
を有することを特徴としている。
本発明に実施に際して、前記第1の目地(Vc21)は断面形状が三角形状となっており、前記目地切削部材(カッタブレード562)は第1の目地(Vc21)の断面形状の三角形の頂点部分を押し込みつつ切削して、直線状に深く切削された第2の目地(Vc22)を形成するのが好ましい。
また、前記ガイドローラ(572A、572B)の断面形状は、第1の目地(Vc21)の断面形状に対して相補的な形状であるのが好ましい。
本発明において、前記ガイドレール(20)は移動支持枠(10)に取り付けられており、移動支持枠(10)はトンネル長手方向に移動するための長手方向移動手段(30)と、垂直方向に移動するための垂直方向移動手段(40)と、トンネルの幅方向(横方向:長手方向と直交する方向)に移動するための幅方向移動手段(42)を備えており、
ガイドレール(20)或いは移動支持枠(10)は、二次覆工コンクリート(C2)の表面(Fc2)に設けられた所定の測定ポイント(7C)を計測する計測手段(例えば、レーザポインタ7)を有しており、
円弧状のガイドレール(20)を配置する前記工程では、測定ポイント(7C)を計測手段(7)で計測し、測定ポイント(7C)を計測手段(7)で計測した計測結果に基づいて、長手方向移動手段(30)、垂直方向移動手段(40)、幅方向移動手段(42)によりガイドレール(20)の位置を調整するのが好ましい。
また本発明において、目地切削装置本体(500)は目地切削部材(カッタブレード562)をトンネルの半径方向に移動するシリンダ機構(540)を備えており、目地切削部材(562)を第1の目地(Vc21)内に押し込む前記工程では、シリンダ機構(540、710)を作動させることが好ましい。
さらに本発明において、前記一対のガイドローラ(572A、572B)の各々を回転自在に支持する回転軸(574A、574B)には、ガイドローラ(572A、572B)よりも小径な円筒形部材(スタビライザ573A、573B)が回転自在に支持されており、
一対のガイドローラ(572A、572B)を第1の目地(Vc21)内に挿入する前記工程では、円筒形部材(スタビライザ573A、573B)が二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に接触しているのが好ましい。
上述した覆工コンクリートの目地形成方法を施工する装置において、
二次覆工コンクリート(C2)の内側(トンネルの内周側)の空間に、二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)から一定の距離を隔てた円弧状のガイドレール(20)と、
目地切削部材(カッタブレード562)及び一対のガイドローラ(572A、572B)を有し、前記ガイドレール(20)上を移動可能な目地切削装置本体(500)を備え、
目地切削装置本体(500)は、一対のガイドローラ(572A、572B)及び目地切削部材(562)の回転軸に連接しているリンク機構と、目地切削部材(562)を第1の目地(Vc21)内に押し込むシリンダ機構(540、710)を備えている。
本発明において、前記ガイドレール(20)は移動支持枠(10)に取り付けられており、移動支持枠(10)はトンネル長手方向に移動するための長手方向移動手段(30)と、垂直方向に移動するための垂直方向移動手段(40)と、トンネルの幅方向(横方向:長手方向と直交する方向)に移動するための幅方向移動手段(42)とを備えており、
ガイドレール(20)或いは移動支持枠(10)は、二次覆工コンクリート(C2)の表面(Fc2)に設けられた所定の測定ポイント(7C)を計測する計測手段(例えば、レーザポインタ7)を有しており、
測定ポイント(7C)を計測手段(7)で計測した計測結果に基づいて、ガイドレール(20)及び/又は移動支持枠(10)の長手方向移動量と、垂直方向移動量と、幅方向移動量を演算する移動量演算手段(60)を備えているのが好ましい。
さらに本発明において、前記一対のガイドローラ(572A、572B)の各々を回転自在に支持する回転軸(574A、574B)には、ガイドローラ(572A、572B)よりも小径であり、二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に接触可能な円筒形部材(スタビライザ573A、573B)が回転自在に支持されているのが好ましい。
上述する構成を具備する本発明によれば、二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に予め形成された第1の目地(Vc21)に、目地切削部材(カッタブレード562)を押し込みつつ、直線状に深く切削することにより、第2の目地(Vc22)を形成することが出来る。
そして、二次覆工コンクリート(C2)を直線状に深く切削している第2の目地(Vc22)は、応力集中を生じ易いので、亀裂やひび割れは当該第2の目地から発生することになり、亀裂やひび割れを誘発するという誘発目地としての目的を果たすことが出来る。
第2の目地(Vc22)を切削して形成している際に、コンクリート打設の際に二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に形成された第1の目地(Vc21)内に一対のガイドローラ(572A、572B)を挿入し、ガイドローラ(572A、572B)を第1の目地(Vc21)に押し込むことにより、第1の目地(Vc21)の円周方向(第1の目地Vc21が二次覆工コンクリート(C2)の表面Fc2を延在している方向)について、目地切削部材(カッタブレード562)の前後に一対のガイドローラ(572A、572B)を配置しているので、二次覆工コンクリート(C2)に第2の目地(Vc22)を切削する際に、第1の目地(Vc21)とガイドローラ(572A、572B)及び目地切削部材(カッタブレード562)の相対位置が常に一定となり、切削の際の振動により目地切削部材(562)が変位してしまう(いわゆる「ぶれてしまう」)ことが抑制される。
そのため、第2の目地(Vc22)の位置を正確に切削することが出来る。
本発明において、前記ガイドレール(20)は移動支持枠(10)に取り付け、ガイドレール(20)或いは移動支持枠(10)に測定ポイント(7C)を計測する計測手段(例えば、レーザポインタ7)を設け、ガイドレール(20)を配置する際に、測定ポイント(7C)を計測手段(7)で計測し、測定ポイント(7C)を計測手段(7)で計測した計測結果に基づいて、長手方向、垂直方向、幅方向についてガイドレール(20)の位置を調整すれば、二次覆工コンクリート(C2)の表面(Fc2)とガイドレール(20)との相対位置を常に一定にすることが出来るので、ガイドレール(20)上を移動する目地切削装置本体(500)に設けた目地切削部材(カッタブレード562)と、二次覆工コンクリート(C2)の表面(Fc2)の相対位置も常に一定となり、第2の目地(Vc22)の位置を正確に形成することが出来るのである。
また本発明を実施するに際して、目地切削装置本体(500)において、前記一対のガイドローラ(572A、572B)の各々を回転自在に支持する回転軸(574A、574B)にガイドローラ(572A、572B)よりも小径な円筒形部材(スタビライザ573A、573B)が回転自在に支持し、当該円筒形部材(スタビライザ573A、573B)を二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に接触する様に構成すれば、第2の目地(Vc22)を切削する際に、第1の目地(Vc21)に一対のガイドローラ(572A、572B)を押し付けることに加えて、円筒形部材(スタビライザ573A、573B)を二次覆工コンクリート(C2)の表面(トンネルの内周側表面Fc2)に接触させることにより、第1の目地(Vc21)と目地切削部材(562)との相対位置関係がより強固に固定される。
その結果、目地切削部材(562)が変位してしまう(いわゆる「ぶれてしまう」)ことがさらに抑制され、第2の目地(Vc22)の位置がさらに正確に切削される。
ここで本発明において、ガイドローラ(572A、572B)と目地切削部材(カッタブレード562)の相対位置を常に一定にすることにより、目地切削部材(カッタブレード562)が所定の切削深さとなる様に、ガイドローラ(572A、572B)と目地切削部材(カッタブレード562)の為す角度が(当該所定の切削深さとなる角度に)固定される。
その結果、ガイドローラ(572A、572B)が第1の目地(Vc21)に接触した時点で、二次覆工コンクリート(C2)の内周面との相対位置とは関係なく、目地切削部材(カッタブレード562)の切削深さは常に一定になる。
さらに本発明において、カッタブレード(562)で二次覆工コンクリート(C2)を切削して第2の目地(Vc22)を形成するために、ガイドレール(20)を予め二次覆工コンクリート(C2)の半径方向内方に設けておく。本発明によれば、二次覆工コンクリート(C2)を切削して第2の目地(Vc22)を形成する作業を自動運転で行なうことが可能なので、二次覆工コンクリート(C2)を切削する作業が開始すれば、それ以降は作業者による作業が必要ではない。
また、本発明によれば、目地切削装置本体(500)をトンネル長手方向に移動する作業を、二次覆工用セントル(移動型枠)と同時に移動させることにより、二次覆工作業と、誘発目地成形作業とのタイムラグを出来る限り少なくすることが可能である。換言すれば、二次覆工作業と誘発目地成形作業において、サイクルタイムのロス時間の発生を、可能な限り少なくすることが出来る。
本発明の第1実施形態を示す正面図である。 第1実施形態の側面図である。 図2におけるA部詳細図である。 図3におけるB矢視図である。 図3におけるC矢視図である。 第1実施形態に係る目地切削装置における一方のガイドローラを第1の目地に挿入した状態を示す側面図である。 第1実施形態で用いられる目地切削装置本体の正面図である。 第1実施形態に係る目地切削装置本体におけるカッタブレードで第2の目地を切削している状態を示す側面図である。 図8におけるX-X断面矢視図である。 第1の目地が予め形成された二次覆工コンクリートの施工状態を示す断面図である。 図10のX-X断面矢視図である。 本発明の第1実施形態に係る覆工コンクリートの目地形成装置における位置決め制御に係る構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における移動支持枠の移動制御を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態において、ガイドローラを第1の目地に挿入する以前の状態を示す側面図である。 図14のA−A矢視図である。 第2実施形態において、ガイドローラ及びカッタブレードが第1の目地に挿入された状態を示す側面図である。 本発明の第3実施形態において、ガイドローラを第1の目地に挿入する以前の状態を示す側面図である。 第3実施形態において、ガイドローラ及びカッタブレードが第1の目地に挿入された状態を示す側面図である。 図17のA矢視図である。 図17のB矢視図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1〜図13を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1において、本発明の第1実施形態に係る覆工コンクリートの目地形成装置は、全体が符号100で示されており、トンネル(図1では断面が示されている)内の施工位置に配置されている。
ここで、図1における左右方向をトンネルの幅方向(幅方向)と言い、図2における左右方向をトンネルの長手方向(長手方向)と言い、図1、図2の上下方向をトンネルの垂直方向(垂直方向)と言う。
図1及び図2において、目地形成装置100は、移動支持枠10と、一対のガイドレール20と、目地切削装置本体500(特に図6〜図9参照:図2では図示を省略)とを備えている。
移動支持枠10は、水平部11と、複数の垂直部材12、13と、複数の水平部材14と、二組の下方水平部材15を備えている。
複数の垂直部材12、13と水平部材14の内の一部には、接続部材Jを介して、平行で一対の円弧状のガイドレール20が取り付けられている。
一対のガイドレール20は、溝形鋼を円弧状に湾曲させて、誘発目地施工の際には、円弧状の外周側のフランジ面が二次覆工コンクリートC2の表面Fc2と常に均一の間隔となる様にトンネル断面に沿って配置される。
二組の下方水平部材15の各々は垂直部材12の下端に固着されている。
移動支持枠10には、操作盤90と、表示部80(図12参照)が装備されている。
移動支持枠10は、トンネル内の長手方向(図1では紙面に垂直な方向)、トンネルの幅方向(図1では左右方向)及びトンネル内における垂直方向(図1では上下方向)に移動が可能である。
図3〜図5は、トンネル内の長手方向、幅方向及び垂直方向の移動手段を示している。
図3、図5において、下方水平部材15の両端近傍には、長手方向移動用の車輪36が4個配置されている。二組の下方水平部材15において、端部15e近傍には、長手方向移動装置30が設けられている。
長手方向移動装置30は、電動モータ31と、回転力伝達用部材(例えば、複列チェーン)32と、車輪側の(例えば複列タイプの)スプロケット33と、車軸34と、一対の軸受35と、両端に鍔部が形成された車輪36を備えている。
電動モータ31の回転軸には、(例えば複列タイプの)小径のスプロケット310が固設されている。小径のスプロケット310とスプロケット33とは回転力伝達用部材32によって係合されており、電動モータ31の回転力が車輪36に伝達する様に構成されている。
電動モータ31は、例えばインバータモータで正転、逆転及び細かな回転制御が可能である。
両端に鍔が形成された車輪36と、スプロケット33とは、車軸34(図5参照)と一体に固着されている。
図3、図4において、二組の下方水平部材15の両端における上面には、接続部材17が固設されている。接続部材17の一方の端面17eは、下方水平部材15の一方の端面15eと一致する様に配置され、接続部材17の他方の端面は、下方水平部材15の中央寄りに位置している。
接続部材17の一方の端面17eから突出する様に、溝形断面のブラケット18が開口部を下方に向けて固設されている。
ブラケット18の溝の底面には垂直方向移動手段である油圧ジャッキ40の上端面が当接する様に配置されている。
油圧ジャッキ40に接続されている油圧配管系には流量制御弁40Vが介装されており、流量制御弁40Vを制御することによって、油圧ジャッキ40の上端面が垂直上下方向に任意量だけ移動することができる。なお図4では、流量制御弁40Vは示しているが、油圧配管系には符号は付していない。
油圧ジャッキ40は、幅方向移動用の送り台42の上部に配置され、移動支持枠10全体がトンネル内における幅方向(図1の左右方向)に移動可能なように構成されている。
明確には図示されていないが、送り台42は、図4における送り台の略々全長にわたって雄ねじが形成されたシャフトを有している。シャフトの一端には例えば、インバータモータ42Mの回転軸が接続されており、送り移動量の細かな制御が可能である。インバータモータ42Mを作動して制御すれば、送り台42の上方の垂直方向移動手段40が、図4における左右方向の任意の位置に移動する様に構成されている。
なお、垂直方向移動手段40と幅方向移動用の送り台42とが一体に組み合わされたもの(手動式ジャーナルジャッキ)としては、公知の市販品が利用可能である。
移動支持枠10のトンネル内の長手方向、トンネルの幅方向及びトンネル内における垂直方向への移動の制御に関しては、図12、図13を参照して後述する。
次に図6〜図8を参照して、目地切削装置本体500の構成と作用について説明する。
図6及び図7において、目地切削装置本体500は、台車部510と、走行用モータ520と、リクライニングプレート530と、第1の油圧シリンダ540と、第2の目地成形部560を備えている。
台車部510は、向き合った一対の第1垂直板部材511(図6)と、向き合った一対の第2垂直板部材512(図7)と、上方水平部材513を有し、下方が開放した筐体状(底面が開口している直方体)に形成されている。
図6において、上方水平部材513は、その左端が、第1垂直板部材511の一方の外方へ突出している。
上方水平部材513における第1垂直板部材511の外方に突出した端部(図6における左端)には、ヒンジ部材513jが固設されている。ヒンジ部材513jは、リクライニングプレート530の一方の端部(図6ではリクライニングプレート530の左端)に固設されたヒンジ部材530jと共に、ヒンジを構成している。
図6において、上方水平部材513の左端近傍の上面には、第1の油圧シリンダ540の端部540aが、ヒンジブラケット517によって、揺動可能に取り付けられている。
図6及び図7において、向かい合った一対の第1垂直板部材511における外側の面(図6では左右方向外側の面:図7では紙面に垂直な方向の手前側の面)には、一対の軸受514を介して車軸515(図7)が回転自在に軸支されている。車軸515の両端には、一対のガイド車輪516(図7)が固設されている。
図7で示す一対のガイド車輪516及び一対のガイドレール20は、一対のガイド車輪516の各々が一対のガイドレール20の各々における溝内部に挿入されている。係る状態により、一対のガイド車輪516及び一対のガイドレール20は、台車部510がガイドレール20に沿って走行する様にガイドしている。
図6及び図7において、走行用モータ520は、例えばインバータモータが使用されている。そして、図示しないクラッチを介して、走行用モータ520の回転力が、ギヤボックス520Gに伝達される。走行用モータ520の回転は、ギヤボックス520Gで減速されて、走行用車軸521に伝達される。
走行用車軸521には2個の走行車輪522が固着しており、2個の走行車輪522は、一対のレール20のフランジ上を走行する様に構成されている。
図示されていないが、走行用モータ520は、コントロールユニット60によって制御される。
台車部510が、図1に示す様にトンネル断面の下部に位置する場合は、台車部510の重量は、台車部510をガイドレール20から引き離す方向に作用する。
そのような場合(台車部510がトンネル断面の下部に位置する場合)においても、図7で示す様にガイド車輪516がガイドレール20の溝内部に挿入されているため、台車部510は、ガイドレール20から逸脱して落下してしまうことはない。
ただし、走行車輪522とレール20との摩擦力が低減して、走行車輪522がレール20上で空回りしてしまうことが無い様に、台車部510には、走行車輪522をガイドレール20上に所定の力で圧着させるための付勢手段(図示せず)が装備されている。
図7で示すように、第1実施形態では、目地切削装置本体500には、一対の第2垂直板部材512の各々において、走行用モータ520及びクラッチを含むギヤボックス520Gが設けられている。
ただし、図6、図8では、一方の第2垂直板部材512と、走行用モータ520と、ギヤボックス520Gが示されている。
図7で示すように、走行用モータ520及びクラッチを含むギヤボックス520Gを2台設けることにより、例えば、図6において、一方の走行用モータ520を作動させると台車部510は左に移動し、他方の走行用モータ520のみを作動させると台車部510は右に移動する様に構成する。係る構成において、台車部510を左に移動する際には、一方の走行用モータ520のみを作動し、他方の走行用モータは作動しない。この場合に、他方の走行用モータに接続するギヤボックス520Gにおけるクラッチを切ることにより、作動中の一方の走行用モータ520の回転力が、他方の走行用モータ520には伝達されることがない。
また、台車部510を右に移動する際には、他方の走行用モータ520のみを作動すれば、台車部510は右に移動する。この時、一方の走行用モータ側のクラッチを切れば、作動中の他方の走行用モータ520の回転力が、一方の走行用モータ側に伝達されることはない。
なお、ギヤボックスを含む走行用モータとして、双方向回転(正転・逆転)が可能で回転速度の調整が容易なインバータモータを1台のみ使用することも可能である。
図6において、リクライニングプレート530は、上方水平部材513と概略同一サイズの平板で構成されている。
上述した通り、リクライニングプレート530は、図6における左端にヒンジ部材530jを設けており、上方水平部材513のヒンジ部材513jと共に、ヒンジを形成している。そのため、リクライニングプレート530は、左端のヒンジ部材530j(により構成されたヒンジ)を回転中心として、台車部510に対して、傾斜可能に構成されている(リクライニング可能に構成されている)。
ここで、図6は、リクライニングプレート530が、上方水平部材513と平行な状態(水平状態:リクライニングしていない状態)を示している。そして、図8は、リクライニングプレート530が、上方水平部材513に対して傾斜した状態(リクライニングしている状態)を示している。
図8で示す様に、リクライニングプレート530の上面には複数の(例えば4個の)支持部材531が固設されている。
図示された支持部材531における右方の支持部材531は、リンク533のヒンジ部を形成している。
リンク533は、その右端が第1の油圧シリンダ540におけるピストンロッド541の先端のクレビス542と回動自在に係合している。そして、リンク533の左端は、図8における右方の支持部材531に対して、回動自在に軸支されている。リンク533の左端における回動の中心は、当該右方の支持部材531の中心点である。
図8において、第1の油圧シリンダ540が収縮する方向に移動している。第1の油圧シリンダ540が最も収縮した状態では、リクライニングプレートは、上方水平部材513に対して最大角度に傾斜する(最大にリクライニングした状態になる)。
一方、図6で示す状態では、第1の油圧シリンダ540が最も伸張しており、リクライニングプレート530は折り畳まれて、上方水平部材513と平行となった状態(リクライニングしていない状態)を示している。
ただし、図6、図8において、支持部材531(リンク533のヒンジ部)の中心がクレビス542の中心より(図6、図8で)右方にある場合には、第1の油圧シリンダ540が伸張した時に、リクライニングプレート530は上方水平部材513に対して傾斜(リクライニング)する。
換言すれば、リクライニングプレート530は上方水平部材513に対して傾斜(リクライニング)するか、傾斜しない(リクライニングしない)かと、第1の油圧シリンダ540の伸張、収縮とは、リンク533左端におけるヒンジと、ピストンロッド541の先端のクレビス542との位置関係により異なる。
次に、図8を参照して、第2の目地成形部560について説明する。
図8において、支持部材531の上方には、目地成形部取付平板534が固設されている。
目地成形部取付平板534の上方には、ベース板560Bが載置されている。
第2の目地成形部560は、カッタブレード回転機構561(図7参照)と、カッタブレード562と、サイドメンバ563と、第2の油圧シリンダ550と、ガイド機構570とを有している。
図7で示すカッタブレード回転機構561は、例えば図示しない電動モータ及び減速用のギヤボックスを備えている。図示しない減速用のギヤボックスは、図示しないモータの回転を減速して、カッタブレード562(図8)に伝達する様に構成されている。ここで、図示しない電動モータは、後述するコントロールユニット60によって制御される。
なお、図7で示すように、サイドメンバ563は左右一対が設けられている。
図7において、一対のサイドメンバ563は、コ字状の断面形状を有する溝形鋼により構成され、ベース板560Bの左右両端部近傍の上面に、断面コ字形状の開放側が互いに外側(図7では左右側)を向く様に配置されている。
一対のサイドメンバ563よりも外側(図7では左右側)に隣接して、一対の第2の油圧シリンダ550が配置されている。
図6において、第2の油圧シリンダ550のピストンロッド551の先端部材552には、ワイヤ553が接続されている。
ワイヤ553は、アイドラプーリ(図示せず)を介して、ガイド機構570の一対の揺動アーム571Bに接続されている。そして、第2の油圧シリンダ550が収縮した場合に、ガイド機構570の揺動アーム571A、571Bが時計回りに回動する様に構成されている。
ここで、ワイヤ553に代えて、剛性を有するリンクにより、ピストンロッド551と、揺動アーム571Bを接続することも可能である。
また、第2の油圧シリンダ550は、単動式でリターンスプリングを内蔵したエアシリンダに代えることも可能である。
さらに、図示はされていないが、第1の油圧シリンダ540を図8の様に収縮した際に、ガイド機構570の二つのガイドローラ572A、572Bが第1の目地Vc21に嵌合、当接して、図8のような状態となることが確実に行なわれるのであれば、第2の油圧シリンダ550を廃止することも可能である。
図6、図7において、ガイド機構570は、二対の揺動アーム571A、571Bと、一対のガイドローラ572A、572Bと、二対のスタビライザ573A、573Bと一対の軸574A、574Bとを備えている。
揺動アーム571Aと揺動アーム571Bは同一の仕様に構成されており、ガイドローラ572Aとガイドローラ572Bも同一仕様であり、スタビライザ573Aとスタビライザ573Bも同一仕様である。
揺動アーム571Aの一端(図6では下端)と、揺動アーム571Bの一端(図6では上端)は、180°よりも僅かに小さな角度(直線に近い状態)で接続されている。
揺動アーム571A、571Bの接続点が、揺動アーム571A、571Bの回転中心571Cである。
揺動アーム571Aの他端(図6では下端)と揺動アーム571Bの他端(図6では上端)には、軸574A、軸574B(図7参照:図6では図示を省略)が固設されている。
明確には図示されていないが、一対の揺動アーム571Aの端部(図6における下端)に軸574Aの両端が取り付けられ、一対の揺動アーム571Bの端部(図6における上端)に軸574Bの両端が取り付けられている。
図7において、軸574Aの中央にはガイドローラ572Aが固設されている。そして、ガイドローラ572Aの両側には、2個のスタビライザ573A、573Aが、軸574A周りに回動自在に取り付けられている。
図8において(明確には図示されていないが)、軸574Bの中央にはガイドローラ572Bが固設され、そのガイドローラ572Bの両側には2個のスタビライザ573B、573Bが、軸574B周りに回動自在に取り付けられている。
図6〜図8における符号575は、揺動アーム571A、揺動アーム571Bの軸受を示している。
図6、図8において、軸受575は、サイドメンバ563の右端上面に配置されている。そして、軸受575の中心は揺動アーム571A、揺動アーム571Bの揺動の中心(回動中心)であり、カッタブレード562の中心と一致している。
図9には、二次覆工コンクリートC2の表面Fc2に予め形成されていた第一の目地Vc21と、その第一の目地Vc21に挿入されたガイドローラ572Aと、第2の目地Vc22と、カッタブレード562が示されている。
ここで、図8において、二つのガイドローラ572A、572Bにおける上方の共通の接線からカッタブレード562の外縁までの距離(寸法)が符号Hで示されている。
また、図9では、第1の目地Vc21の先端部(図9では上端部)から、第2の目地Vc22の先端部(図9では上端部)までの深さは、符号ΔRで示されている。
図8における寸法Hと、図9における深さΔRは、概略等しく設定されている。
次に、図1、図6〜図11を参照して、覆工コンクリートにおいて、ひび割れ或いは亀裂を生じさせるための誘発目地(第1の目地および第2の目地)を形成する手順について説明する。
図10、図11に示すように、一次覆工コンクリートC1の半径方向内側に二次覆工コンクリートC2を打設している。二次覆工コンクリートC2を打設する際に、二次覆工コンクリートC2の表面Fc2に断面が楔状の欠損部、すなわち第1の目地Vc21(図9参照)を形成する。
二次覆工コンクリートC2を打設する際には、専用の型枠(図示せず)が設けられる。図示しない二次覆工コンクリートC2打設用の型枠は、公知、既存の設備であるが、その表面には、誘発目地を形成するのに適当な適所に、第1の目地Vc21と相補的な形状(楔状)の突起が設けられている。
係る型枠を用いて二次覆工コンクリートC2を打設することにより、図11で示す様に、二次覆工コンクリートC2の表面Fc2に、断面楔状の第1の目地Vc21(図9参照)が形成される。
次に、二次覆工コンクリートC2の内側(トンネル内周側)の空間内に、一対の円弧状のガイドレール20を平行に配置する。ガイドレール20は移動支持枠10に固定した状態で、トンネル内で配置作業が行なわれる(図1参照)。
ガイドレール20の配置作業に際して、ガイドレール20のトンネル内における長手方向、垂直方向、幅方向の細かな位置調整制御は、コントロールユニット60が油圧ジャッキ40、送り台42、電動モータ31を操作する、或いは、作業員が油圧ジャッキ40、送り台42、電動モータ31を操作することによって行なわれる。
図6、図7に示すように、目地切削装置本体500を一対のガイドレール20に配置する。
図7で示す様に、台車部510のガイド車輪516をガイドレール20の溝の中に収容する。これにより、目地切削装置本体500はガイドレール20に沿って走行可能となる。
そして、第2の油圧シリンダ550を操作して(収縮させて)、揺動アーム571A、揺動アーム571を時計方向に回動して、図6で示すように、ガイドローラ572Aを第1の目地Vc21内に挿入する。
その状態で、第1の油圧シリンダ540を作動させて(収縮させて)、リクライニングプレート530を上方水平部材513に対して傾斜(リクライニング)させて、図8で示すように、カッタブレード562を回転して、2次覆工コンクリートを切削する。
そして、カッタブレード562で2次覆工コンクリートを切削した状態で、第2の油圧シリンダ550を伸張させて、第1の油圧シリンダ540を更に収縮させることにより、揺動アーム571A、揺動アーム571は反時計方向に回動して、ガイドローラ572A及びガイドローラ572Bが第1の目地Vc21内に挿入される。
ここで、ガイドローラ572A及びガイドローラ572Bが第1の目地Vc21内に挿入された段階で、スタビライザ573A、573Bも二次覆工コンクリートC2表面Fc2に接触している。
この状態で、台車部510をガイドレール20に沿って移動させつつ、カッタブレード562で第2の目地Vc22を、二次覆工コンクリートC2の表面Fc2全周にわたって形成する。ここで、カッタブレード562の進行方向(ガイドレール20に添って移動する方向:二次覆工コンクリートC2表面Fc2の周方向)の前後に一対のガイドローラ572A、572Bを配置しているので、カッタブレード562で二次覆工コンクリートC2に第2の目地Vc22を切削する際に、第1の目地Vc21とガイドローラ572A、572Bとカッタブレード562の相対位置が常に一定となり、トンネルの長手方向(誘発目地の幅方向)にずれてしまう(いわゆる「ぶれてしまう」)ことが防止される。
それに加えて、スタビライザ573A、573Aが目地幅方向の広い範囲に亘って二次覆工コンクリートC2表面Fc2と線接触しており、目地幅方向にずれてしまう(ぶれてしまう)ことを防止するので、カッタブレード562が目地幅方向へずれる(ブレを生じる)ことなく、第2の目地Vc22は第1の目地Vc21の中心部に、正確に形成されて、且つ迅速に施行が行なわれる。
そして、覆工コンクリートにおいて、ひび割れ或いは亀裂を生じさせるための誘発目地(第1の目地および第2の目地)が形成される。
ここで、572A、572Bとカッタブレード562の相対位置は常に一定なので、ガイドローラ572A、572Bカッタブレード562の為す角度は、カッタブレード562が所定の切削深さとなる様な角度に固定される。
その結果、ガイドローラ572A、572Bが第1の目地Vc21に接触した時点で、二次覆工コンクリートC2の内周面との相対位置とは関係なく、カッタブレード562の切削深さは常に一定になる。
次に、ガイドレール20の配置作業に際して、ガイドレール20のトンネル内における長手方向、垂直方向、幅方向の細かな位置調整制御に関して、説明する。
第1実施形態の目地形成装置100においては、長手方向移動装置30(図3参照)の電動モータ31と、油圧ジャッキ40(図4参照)への油圧の流れ方向及び流量を制御する流量制御弁40Vと、送り台42に接続したインバータモータ42Mとを制御するためのコントロールユニット60(図12)を備えている。
さらに、第1実施形態の目地形成装置100は、図1に示すように、トンネル内の二次覆工コンクリートC2表面において、所定の進行距離(長手方向距離)毎に、1箇所(1断面)に付き、複数箇所(第1実施形態では5箇所が例示されている)に、位置特定用の部材(マーカ)7Cが固設されている。
そして、移動支持枠10の操作盤90には表示部であるモニタ80(図12参照)が装備され、レーザポインタ7がガイドレール20の複数箇所(マーカ7と同数の箇所:図示の例では5箇所)に装備されている。
図12は、コントロールユニット60の詳細構成を示している。
図12において、コントロールユニット60は、受光位置偏差決定ブロック61と、ガイドレール/支持枠現在位置決定ブロック62と、演算制御ブロック63と、トンネル長手方向移動量決定ブロック64と、トンネル幅方向移動量決定ブロック65と、トンネル垂直方向移動量決定ブロック66とを有している。
レーザポインタ7は、発光部7Aと受光部7Bとを有しており、発光部7Aから照射されたレーザ光線が、予め二次覆工コンクリートC2の表面に記された定点(マーカ)で反射して、その反射光が受光部で検出される構成となっている。
受光位置偏差決定ブロック61は、ガイドレールと二次覆工コンクリートC2表面の相対位置関係が適正である場合にレーザ光線の受光位置と計測されたレーザ光線受光位置との偏差を決定する機能を有しており、レーザポインタ7と信号伝達ラインL7によって接続され、演算制御ブロックと信号伝達ラインL61によって接続されている。
ガイドレール/支持枠現在位置決定ブロック62は、演算制御ブロックと信号伝達ラインL62によって接続されている。
演算制御ブロック63はトンネル長手方向移動量決定ブロック64と信号伝達ラインL634によって接続され、トンネル幅方向移動量決定ブロック65と信号伝達ラインL635によって接続され、トンネル垂直方向移動量決定ブロック66と信号伝達ラインL636によって接続されている。
トンネル長手方向移動量決定ブロック64は、長手方向移動手段である電動モータ31と信号伝達ラインL30によって接続され、モニタ80と信号伝達ラインL64によって接続されている。
トンネル幅方向移動量決定ブロック65は、幅方向移動手段の電動モータ42Mと信号伝達ラインL42によって接続され、モニタ80と信号伝達ラインL65によって接続されている。
トンネル垂直方向移動量決定ブロック66は、垂直方向移動手段の油圧制御弁40Vと信号伝達ラインL40によって接続され、モニタ80と信号伝達ラインL66によって接続されている。
上述したコントロールユニット60において、レーザポインタ7で計測した位置情報が受光位置偏差決定ブロック61に送信される。
演算制御ブロック63では、上記位置情報とガイドレール/支持枠現在位置決定ブロック62で決定された移動支持枠10の現在位置に関する情報と、受光位置偏差決定ブロック61で決定されたガイドレールと二次覆工コンクリートC2表面の適正な相対位置関係の偏差から、ガイドレール20の移動支持枠10の定点7Cに対する相対位置を演算する。
演算された相対位置に基いて、トンネル長手方向移動量決定ブロック64は、長手方向に移動するべき適正量を演算し、その結果を制御指令情報として、長手方向移動手段である電動モータ31に送信する。電動モータ31は、係る情報に基いて作動し、ガイドレール20或いは移動支持枠10を、長手方向に移動する。
また、ガイドレール20の移動支持枠10の定点7Cに対する相対位置に係る情報から、トンネル幅方向移動量決定ブロック65は、幅方向に移動するべき適正量を演算し、その結果を制御指令情報として、幅方向移動手段である電動モータ42Mに送信する。電動モータ42Mは、係る情報に基いて作動し、ガイドレール20或いは移動支持枠10を、幅方向に移動する。
さらに、ガイドレール20の移動支持枠10の定点7Cに対する相対位置に係る情報から、トンネル垂直方向移動量決定ブロック66は、垂直方向に移動するべき適正量を演算し、その結果を制御指令情報として、垂直方向移動手段である油圧制御弁40Vに送信する。油圧制御弁40Vは係る情報に基いて開閉制御され、油圧ジャッキ40への圧油循環量が調節されて、ガイドレール20或いは移動支持枠10を垂直方向へ移動する。
なお、図12では図示を省略しているが、コントロールユニット60の演算制御ブロック63は目地切削装置本体500のガイドレールに対する位置をも検知している。そして、目地切削装置本体500が第2の目地施工(切削)開始位置に対してずれていれば、目地切削装置本体500の走行用モータ520に制御指令信号を発信して、目地切削装置本体500を適正位置に配置させるように構成されている。
次に、図12を参照しつつ、図13のフローチャートに基づいて、移動支持枠10のトンネル内の長手方向、幅方向及び垂直方向への移動の制御について説明する。
図13のステップS1では、レーザポインタ7によって移動支持枠10のトンネル内の位置確認を行なう。
次のステップS2では、移動支持枠10の長手方向の位置が正規位置となっているか否かを判断する。
長手方向の位置が正規位置でなければ(ステップS2がNO)、ステップS3に進み、電動モータ31を操作して、再びステップS2を繰り返す。一方、正規位置であれば(ステップS2がYES)、ステップS4に進む。
長手方向の位置が正規位置でない場合の詳細な制御方法としては、長手方向の位置が正規位置よりも切羽側に寄っていれば、電動モータ31を、例えば逆転させ(或いは、正転させ)、移動支持枠10を坑口側に戻す。
一方、長手方向の位置が正規位置よりも坑口側に寄っていれば、電動モータ31を例えば正転させ(或いは、逆転させ)、移動支持枠10を切羽側に進める。
ステップS4では、移動支持枠10の垂直方向の位置が正規位置となっているか否かを判断する。
垂直方向の位置が正規位置でなければ(ステップS4がNO)、ステップS5に進み、制御弁40Vを操作して、再びステップS4を繰り返す。一方、正規位置であれば(ステップS4がYES)、ステップS6に進む。
垂直方向の位置が正規位置でない場合の詳細な制御方法としては、垂直方向の位置が正規位置よりも低ければ、油圧ジャッキ40が伸張する方向に油圧制御弁40Vの流路を切り換えて圧油を供給する。
一方、垂直方向の位置が正規位置よりも高ければ、油圧制御弁40Vの流路を切り換えて、油圧ジャッキ40のオイルを適正量だけ戻り配管によって戻すようにすれば、ジャッキ40は必要量だけ下がる。
ステップS6では、移動支持枠10の幅方向の位置が正規位置となっているか否かを判断する。
幅方向の位置が正規位置でなければ(ステップS6がNO)、ステップS7に進み、電動モータ42Mを操作して、再びステップS6を繰り返す。一方、正規位置であれば(ステップS6がYES)、ステップS8に進む。
幅方向の位置が正規位置でない場合の詳細な制御方法としては、幅方向の位置が正規位置よりもトンネルの右側に寄っていれば、電動モータ42Mを例えば正転させ(或いは、逆転させ)、移動支持枠10を適正位置に戻す。
一方、幅方向の位置が正規位置よりも左側に寄っていれば、電動モータ42Mを例えば逆転させ(或いは、正転させ)、移動支持枠10を適正位置に戻す。
ここで、ステップS2、S3と、ステップS4、S5と、ステップS6、S7は、図13の順序でなくても良い。
或いは、ステップS2、S3と、ステップS4、S5と、ステップS6、S7を、同時に実行することも可能である。
次のステップS8では、目地切削装置本体500の現在の位置が切削開始位置にあるか否かを判断する。
目地切削装置本体500の現在の位置が切削開始位置になければ(ステップS8がNO)、走行用モータ520を操作して、目地切削装置本体500を適正位置まで移動する(切削開始位置まで戻す)。
目地切削装置本体500の現在の位置が切削開始位置にあれば(ステップS8がYES)、ステップS10へ進む。そして、第1の油圧シリンダ540、第2の油圧シリンダ550を操作(制御)して、ガイドローラ572Aを第1の目地Vc21に挿入し、カッタブレード562を回転して、第1の目地Vc21の中心から二次覆工コンクリートC2を切削し、第2の目地を形成(切削)する。それと共に、ガイドローラ572Bを第1の目地Vc21に挿入し、ガイドローラ572A、572Bによりカッタブレード562を案内しつつ、二次覆工コンクリートC2表面Fc2の円周方向に第2の目地Vc22を切削する。
ここで、ガイドローラ572A、572Bの何れか一方が第1の目地Vc21に挿入されると、カッタブレード562により二次覆工コンクリートC2を切削して第2の目地Vc22を形成しつつ、他方のガイドローラが第1の目地Vc21に挿入される。
そして、ガイドローラ572A、572Bが第1の目地Vc21に挿入されると、カッタブレード562により二次覆工コンクリートC2を切削する深さ(第2の目地Vc22の切り込み深さ)が一定に保たれる。
ステップS11では、第2の目地Vc22が、二次覆工コンクリートC2表面Fc2の円周方向の全域に亘って形成されたか否か(誘発目地が形成されたか否か)を判断する。
第2の目地Vc22が形成されていなければ(ステップS11がNO)、ステップS10に戻り、ステップS10、S11を繰り返す。
第2の目地Vc22が形成されていれば(ステップS11がYES)、ガイドレール20或いは移動支持枠10を、次の誘発目地を形成するべき箇所(断面)まで移動し、再びステップS1〜ステップS11の処理を行なう。
第1実施形態によれば、二次覆工コンクリートC2の表面(トンネルの内周側表面)Fc2に予め形成された第1の目地Vc21に、カッタブレード562を押し込みつつ、直線状に深く切削することにより、第2の目地Vc22を形成することが出来る。
そして、二次覆工コンクリートC2を直線状に深く切削している第2の目地Vc22は、応力集中を生じ易いので、亀裂やひび割れは当該第2の目地Vc22から発生することになり、亀裂やひび割れを誘発するという誘発目地としての目的を果たすことが出来る。
第1実施形態によれば、二次覆工コンクリートC2に第2の目地Vc22を切削する際に、第1の目地Vc21にガイドローラ572A、572Bが挿入される。そのため、第1の目地Vc21、ガイドローラ572A、572B、カッタブレード562の相対位置が常に一定となり、切削の際の振動によりカッタブレード562が変位してしまう(いわゆる「ぶれてしまう」)ことが抑制され、第2の目地Vc22の位置を正確に切削することが出来る。
これに加えて、第1実施形態では、ガイドローラ572A及びガイドローラ572Bが第1の目地Vc21内に挿入された段階で、スタビライザ573A、573Bも二次覆工コンクリートC2表面Fc2に接触して、カッタブレード562が第1の目地Vc21内の幅方向に偏奇してしまうことを抑制するので、第2の目地Vc22の位置を、さらに正確に切削することが出来る。
また、第1実施形態によれば、ガイドレール20を配置する際に、測定ポイントをレーザポインタ7で計測し、測定ポイントをレーザポインタ7で計測した計測結果に基づいて、長手方向、垂直方向、幅方向についてガイドレール20の位置を調整している。
したがって、二次覆工コンクリートC2表面Fc2とガイドレール20との相対位置を常に一定にすることが出来る。その結果、ガイドレール20上を移動する目地切削装置本体500に設けたカッタブレード562と、二次覆工コンクリートC2の表面Fc2の相対位置も常に一定となり、第2の目地Vc22の位置を正確に形成することが出来る。
次に、図14〜図16を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図14〜図16の第2実施形態は、目地切削装置本体の構造、特に、ガイドローラ及びカッタブレードを第1の目地に挿入するための構造が、図1〜図13の第1実施形態とは異なっている。
図14〜図16において、図1〜図13の第1実施形態と同様な部材には、同様な符号を付している。
図14において、全体を符号700で示す目地切削装置本体は、第2の目地成形部760の下方には下方プレート734が配置されており、下方プレート734の下方にはエアシリンダ710とガススプリング720が設けられている。
図15で示す様に、エアシリンダ710は左右(図15の左右方向)一対設けられている。なお、ガススプリング720は、エアシリンダ710の伸長、収縮の際に発生する衝撃を緩和するために設けられている。
エアシリンダ710は、その下端に設けたベアリングユニット712により取付用ブラケット730に回動自在に取り付けられている。そして、ガススプリング720は、その下端に設けたベアリングユニット722により取付用ブラケット730に回動自在に取り付けられている。そして取付用ブラケット730は、台車部510の一方の第1垂直板部材511(図14、図16では左方の第1垂直板部材511)に固定されている。
エアシリンダ710の上端は、ベアリングユニット714により、下方プレート734に対して回動自在に取り付けられている。そして、ガススプリング720の上端は、ベアリングユニット724により、下方プレート734に対して回動自在に取り付けられている。
図1〜図13の第1実施形態では、第1の油圧シリンダ540を収縮させて、リクライニングプレート530を上方水平部材513に対して傾斜(リクライニング)することにより、第2の目地成形部560を図7の水平状態から図8で示す状態に傾斜し、以って、ガイドローラ572A、572B及びカッタブレード562を、第1の目地Vc21に挿入している。
それに対して、図14〜図16の第2実施形態では、図14で示す状態からエアシリンダ710を伸長することにより、第2の目地成形部760がヒンジ732を中心に回動して、ガイドローラ572A、572B及びカッタブレード562を設けた側(図14、図16では右側)が持ち上がる。
その結果、ガイドローラ572A、572Bが第1の目地Vc21に挿入され、カッタブレード562が二次覆工コンクリートC2を切削して、第2の目地Vc22を形成する。
図14〜図16の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図13の第1実施形態と同様である。
なお、図16において、符号752、754はスライド機構を示している。明確には図示されていないが、当該スライド機構752、754では、図14、図16で紙面と垂直な方向(図15の左右方向)に延在する軸に沿ってスライドする機構が設けられている。そして、当該スライドする機構により、カッタブレード562は、図14、図16で紙面と垂直な方向(図15の左右方向)に、例えば50mm移動(調節)可能に構成されている。
係る構造は、図1〜図13の第1実施形態も共通している。
次に、図17〜図20を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図17〜図20において、図14〜図16と同様な部材には、同様な符号を付して、重複説明を省略している。
図17〜図20の第3実施形態において、目地切削装置本体800は、図14〜図16の第2実施形態と同様に、ガイドローラ572A、572B及びカッタブレード562を第1の目地VC21に挿入するために、下方プレート734の下方に、一対のエアシリンダ710を設けている。
ここで、図1〜図16の第1実施形態、第2実施形態では、ワイヤ553が揺動アーム571Bに接続しており、第2の油圧シリンダ550を伸縮することにより、揺動アーム571を回動している。これに対して、図17〜図20の第3実施形態では、ワイヤ553と第2の油圧シリンダ550に代えて、アーム回動用シリンダ機構810により、揺動アーム571Sを回動している。
図17において、目地切削装置本体800は、一対の(図19参照)エアシリンダ710が設けられており、エアシリンダ710にはスピードコントローラ820が設けられている。スピードコントローラ820は、エアシリンダ710の伸長、収縮の速度を抑制して、衝撃を防止する機能を有している。
換言すれば、図14〜図16の第2実施形態では、エアシリンダ710の伸長、収縮の際に発生する衝撃を緩和するために、ガススプリング720を設けている。それに対して、図17〜図20の第3実施形態では、ガススプリング720に代えて、スピードコントローラ820を設けることにより、エアシリンダ710の伸長、収縮の速度を抑制して、衝撃を防止している。
図17において、全体を符号850で示す第2の目地成形部は、カッタ支持部852と、ガイドローラ572A、572Bと、カッタブレード562を有している。ガイドローラ572A、572Bは、揺動アーム571Sにより接続されている。揺動アーム571Sは、回転中心571Cにおいて、カッタ支持部852に回動自在に軸支されている。
ここで、図1〜図16の実施形態では、揺動アームは概略「く」字状に折れ曲がっているのに対して、図17〜図20の第3実施形態では、揺動アーム571Sは真直なロッドで構成されている。
揺動アーム571Sは、ブラケット571BRを介して、アーム回動用シリンダ機構810の一端に接続されている。
アーム回動用シリンダ機構810の他端は、リンクプレート812に接続されている。
リンクプレート812の上端は、ピン814によりカッタ支持部852に回動自在に取り付けられており、リンクプレート812の下端は、ベース板560Bに取り付けられている。
ベース板560Bはカッタ支持部852の下方に配置されており、その下方には下方プレート734が配置されている。
ベース板560Bにおいて、リンクプレート812の下端が取り付けられている側(図17では右側)の領域560BFは、ピン862を中心に、図17の紙面に垂直な方向に移動可能であり、以って、ベース板560Bのリンクプレート812の下端が取り付けられている側(図17では右側)の領域560BFを、ピン862を中心に、図17の紙面に垂直な方向へ回動可能に構成している。ここで、符号864は、すべり軸受を示している。
図17において、符号862は、センター位置保持用ネジを示している。
図17のA矢視を示す図19において、符号866は、カッターブレード562を保護するための保護用ローラを示している。
図17のB矢視を示す図20において、符号868はリミットスイッチである。リミットスイッチ868は、カッタブレード562をスライドする機構により、カッタブレード562が調節範囲(例えば50mm)を超えてスライド移動した場合に、その旨を検知する機能を有している。
図17〜図20の第3実施形態によれば、図17で示す状態から、エアシリンダ710を伸長すれば、下方プレート734、ベース板560B、カッタ支持部852は、ヒンジ732を中心に、反時計方向へ回動する。
そして、アーム回動用シリンダ機構810を伸縮すれば、揺動アーム571Sは回転中心571Cを中心にして反時計方向に回動する。
その結果、図18で示すように、ガイドローラ572A、572B、カッタブレード562が第1の目地Vc21内に侵入し、カッタブレード562が二次覆工コンクリートC2を切削して、第2の目地Vc22を形成する。
図17〜図20の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図14〜図16の第2実施形態と同様である。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
10・・・移動支持枠
12・・・垂直部材
14・・・水平部材
15・・・下方水平部材
20・・・ガイドレール
30・・・長手方向移動装置
31・・・電動モータ
36・・・車輪
40・・・油圧ジャッキ
40V・・・油圧制御弁
42・・・送り台
42M・・・インバータモータ
500・・・目地切削装置本体
510・・・台車部
520・・・走行用モータ
530・・・リクライニングプレート
540・・・第1の油圧シリンダ
550・・・第2の油圧シリンダ
560・・・第2の目地成形部
570・・・ガイド機構
572A、572B・・・ガイドローラ
573A、573B・・・スタビライザ
574A、574B・・・軸
710・・・エアシリンダ
810・・・アーム回動用シリンダ機構
Fc2・・・二次覆工コンクリートの表面
Vc21・・・第1の目地
Vc22・・・第2の目地

Claims (1)

  1. 二次覆工コンクリートの内側の空間に、二次覆工コンクリートの表面から一定の距離を離隔して円弧状のガイドレールを配置する工程と、
    目地切削部材及び一対のガイドローラを有する目地切削装置本体を前記ガイドレールに配置し、第1の目地の円周方向について目地切削部材の前後に配置される様に一対のガイドローラを第1の目地内に挿入し、且つ、目地切削部材を第1の目地の幅方向中央に位置する様に第1の目地に挿入する工程と、
    目地切削装置本体を前記ガイドレールに沿って移動しつつ、目地切削部材が第1の目地の幅方向中央を所定の深さまで切削して、第2の目地を形成する様に、目地切削部材を第1の目地内に押し込みつつ、ガイドレールに沿って移動させる工程、
    を有することを特徴とする覆工コンクリートの目地形成方法。
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