JP5683770B2 - 分析物センサ装置を作製する方法および哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製する方法 - Google Patents

分析物センサ装置を作製する方法および哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般的には、長期間使用のための分析物センサを製作するための方法に関する。いくつかの実施形態において、これらの方法によって製作された分析物センサは、グルコース測定用であり、ある素子が消耗するかまたは作動しないときに置換または使用することができる複数の素子を含んでいる。これによってセンサの寿命が引き延ばされる。
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第60/519709号の便益を請求する米国特許出願第10/989038号の一部継続出願であり、その内容はどちらも、参照により本明細書に援用する。本出願は、2002年10月18日出願の米国特許出願第10/273767号(米国特許出願公開第2004/0074785号として公開済み)および2004年6月4日出願の米国特許出願第10/861837号と関係し、その内容はどちらも、参照により本明細書に援用する。
グルコースおよび乳酸などの生化学分析物のアッセイは、様々な臨床状況において重要である。例えば、人体の体液中のグルコース濃度の監視は、糖尿病への対応には特に妥当性がある。人体に埋め込んだセンサを含めた連続的または断続的に作動するグルコースセンサは、糖尿病への対応のため、例えば差し迫ったまたは実際の低血糖症の警告ならびにその回避のために探求されている。人体の体液中の乳酸濃度の監視は、限定はされないが、心的外傷、心筋梗塞、うっ血性心不全、肺水腫および敗血症を含む多数の病状の診断および評価に有用である。
生理学的変量を監視するために通常使用される医用の測定デバイスとしては、適切な酵素のコーティングで修飾した電極を利用する電流測定センサデバイスが挙げられる。かかる酵素電極を有するセンサは、例えば、酵素と分析物との反応が検知できる共反応物を利用しかつ/または検知できる反応生成物を生成する場合、この反応を利用することによって使用者が様々な分析物の濃度を迅速かつかなりの正確さで測定することを可能にする。例えば、図1に示されているようにグルコースオキシダーゼ(GOx)によって触媒作用が及ぼされるグルコースと酸素の間の反応に基づく多数のグルコースセンサが開発されている。これに関連して、当該技術分野で公知のセンサを用いる生理的グルコース濃度の正確な測定は、酸素と水の両方が過剰に存在することを一般的には必要とする。グルコースと酸素がセンサ上に固定化された酵素の層の中に拡散すると、グルコースは酸素と反応してHを生成する。グルコースは、酸素および/または過酸化水素感応性電極に結合されている固定化された酵素のグルコースオキシダーゼを用いて電気化学的に検出することができる。この反応は酸素の減少および試料媒体中のグルコースの濃度に比例した過酸化水素の生成をもたらす。代表的なデバイスは、酵素反応の存在下および不在下で酸素または過酸化水素の濃度を感知する少なくとも2つの検知電極から、または少なくとも1つの検知電極と基準信号源から(これらには限定されないが)構成されている。さらに、完全な監視システムは、肝心な物質の濃度の違いを確定するための電子式感知および制御装置を一般的には含む。この差異からグルコースなどの濃度を確定することができる。
多種多様なかかる分析物センサならびにかかるセンサの製造法および使用法が当該技術分野では公知である。かかるセンサ、センサセットおよびそれらを製造する方法の例は、例えば、米国特許第5390691号、同第5391250号、同第5482473号、同第5299571号、同第5568806号ならびにPCT国際公開番号第WO01/58348号、同WO03/034902号、同WO03/035117号、同WO03/035891号、同WO03/023388号、同WO03/022128号、同WO03/022352号、同WO03/023708号、同WO03/036255号、WO03/036310号および同WO03/074107号に記載されており、これらのそれぞれの内容は、参照により本明細書で援用される。
米国特許第5390691号 米国特許第5391250号 米国特許第5482473号 米国特許第5299571号 米国特許第5568806号 国際公開第01/58348号パンフレット 国際公開第03/034902号パンフレット 国際公開第03/035117号パンフレット 国際公開第03/035891号パンフレット 国際公開第03/023388号パンフレット 国際公開第03/022128号パンフレット 国際公開第03/022352号パンフレット 国際公開第03/023708号パンフレット 国際公開第03/036255号パンフレット 国際公開第03/036310号パンフレット 国際公開第03/074107号パンフレット
本発明の実施形態は、例えば、糖尿病患者における血糖値の皮下または経皮的監視方法を提供する。本発明の実施形態はさらに、例えば、透析および/または体外膜型酸素供給手順(extracorporeal membrane oxygenation protocols)などの様々な臨床状況において使用されるタイプの分析物センサを製作する方法を提供する。より具体的には、本開示は、最適化された長期間にわたる分析物センサならびにそのようなセンサの作製および使用方法を教示する。
本発明の例示的な一実施形態は、分析物センサ装置を作製する方法であって、基板層を準備するステップと、前記基板層上に複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記分析物センサ素子は、分析物と接触し、それを感知するように適合させているステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップと、前記蓋層上に少なくとも1つの分析物センサ膜を形成するステップであって、前記蓋層の上に配置された分析物センサ膜の透過性が、分析物が分析物センサ装置の使用の第1の時点では前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することができずに、分析物が分析物センサ装置の使用の第2の時点では前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することができるように制御することができるステップと、分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップとを含み、これにより、分析物センサ装置が作製される方法である。一般的には、前記装置は、特定の電流または電圧の印加が分析物センサ膜(例えば薄い金箔)を除去する逆めっき(reverse plating)の開始をもたらし、その結果前記蓋の前記アパーチャが露出され、それまで活性ではなかった新たなセンサ素子が活性化されるように前記アパーチャがセンサ素子の上部に配置され、センサ素子が露出するように作製されている。
一般的には、分析物センサデバイスは、哺乳動物にインプラントできるように設計される。本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサデバイスは、持続性分析物センサまたは永久的分析物センサとなるように作製する。インプラントできるセンサの例示的な実施形態において、そのセンサ装置は、第1のルーメンが、センサ出力、データ収集、およびディスプレイのためのコネクタを提供し、第2のルーメンが前記分析物センサ膜の透過性を調節するために使用することができる出力を提供するコネクタを提供するマルチルーメンカテーテルを含有する。
分析物センサを製作するために開示された本方法は、多種多様の分析物に対するセンサを生み出すために使用することができる。本発明のいくつかの実施形態において、その分析物センサ装置は、複数の分析物センサ素子が、そこに配置された複数の異なる分析物センサ膜を有するように作製する。場合によっては、該分析物センサデバイスは、その分析物センサデバイス中の分析物センサ素子の少なくとも2つが同一分析物を感知するように作製する。別法では、該分析物センサデバイスは、その分析物センサデバイス中の分析物センサ素子の少なくとも2つが異なる分析物を感知するように作製する。一般的には、分析物センサ素子上に配置された複数の分析物センサ膜のそれぞれは、別々に制御する。本発明のいくつかの実施形態において、分析物は、グルコースおよび/または乳酸である。場合によって、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つは、酵素のグルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼまたは乳酸デヒドロゲナーゼを含有する。
様々な分析物センサ膜を使用して分析物センサの実施形態を組み立てることができる。例示的な一実施形態において、該分析物センサ膜は、破裂させることができる金属膜を含有する。本発明のかかる実施形態において、該分析物センサ膜は、例えば、その透過性が電流または電圧をその分析物センサ膜に印加することによって調節される金属箔を含有することができる。場合によって、分析物センサ膜が金属箔を含む場合、その寸法はアパーチャの真上が最も薄い。一般的には、かかる分析物センサ膜は、酸化アルミニウム基板などのそれらの基板に空気遮断して結合させる。
さらに、記載されている分析物センサの蓋層を作製するためには様々な組成物を使用することができる。例示的な実施形態において、該蓋層は、シリコン組成物、セラミック組成物、金属組成物、ポリマー組成物またはヒドロゲル組成物を含有する。本発明のいくつかの実施形態において、該蓋は、その上に窪みおよび/または突起などの3次元の形体を含むように製作する。一般的には、その1つ以上の3次元の形体は、化学エッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、スパッタリング、蒸着、イオンビーム補助蒸着、化学蒸着、溶着、はんだ付けまたはろう付けを含む方法によって作製する。本発明の任意の実施形態において、該蓋は、基板に、はんだ接続、赤外線リフロー接続、レーザーリフロー接続、接着剤接続または超音波接続によって取り付ける。
本発明のいくつかの実施形態において、該方法は、蓋層にアパーチャを形成するステップを含み、前記蓋層にそのように形成されたアパーチャは、分析物が複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にし得る通路を提供する。場合によってそのアパーチャは、その蓋層に作られた空洞上に配置する。本発明のいくつかの実施形態においては、空洞が作るその領域は、分析物のための単なる通路を提供するだけでなく、溶液を含有する多量の分析物を保持するように設計された内部チャンバーを提供し、それによって分析物センサ装置の機能性を助長する。いくつかの具体的な実施形態において、そのチャンバーの外形は、円錐の幾何学的形状をしている。
本発明のさらに別の実施形態は、哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製する方法であって、基板層を準備するステップと、前記基板層上に複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記分析物センサ素子は、分析物と接触し、それを感知するように適合させているステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップと、前記蓋層上に空気遮断したアパーチャを形成するステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に配置された少なくとも1つの分析物センサ膜を、分析物が前記複数の分析物センサ素子の前記少なくとも1つと接触することを可逆的に防止することができ、前記分析物センサ膜の透過性が、分析物が前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように調節することができるように形成するステップと、分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップとを含み、これにより、分析物センサ装置が作製される方法である。本発明のいくつかの実施形態において、そのようなデバイス内の分析物センサ素子は、基層と、前記基層上に配置された、作用電極、基準電極および対向電極を含む導電層と、前記導電層上に配置された分析物感知層であって、分析物が存在する前記導電層中の前記作用電極において前記電流を検出可能に変更する分析物感知層と、前記分析物感知層上に配置されたタンパク質層と、前記分析物感知層または前記タンパク質層上に配置された接着促進層であって、前記分析物感知層と前記分析物感知層上に配置された分析物調節層の間の接着を促進する接着促進層と、前記分析物感知層上に配置された分析物調節層であって、分析物のそれを通る拡散を調節する分析物調節層とを含むように製作する。
本発明の実施形態は、また、センサ素子、センサセットおよびキットを含めたさらなる製造物品を製作する方法も提供する。本発明のかかる実施形態の1つにおいては、上述したような分析物の感知に有用なキットおよび/またはセンサ素子またはセットが提供される。そのキットおよび/またはセンサセットとしては、一般的には、上記のように容器、ラベルおよびセンサが挙げられる。代表的な実施形態は、容器およびその容器内に開示されたようなデザインを有する分析物センサ装置ならびにその分析物センサ装置を使用するための取扱い説明書を含めたキットである。
本発明の実施形態のその他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の実施形態を示しているが、説明の目的で与えられているのであって限定のためではないことは理解されるべきである。本発明の精神から逸脱することなくその範囲内で多くの変更および修正を行うことができ、本発明は全てのそのような修正を包含する。
別に明示されていない限り、本明細書で使用されている全ての技術用語、表記法およびその他の科学用語または専門用語は、本発明のこれらの実施形態が関係する分野の技術者によって普通に理解される意味を有することが意図されている。場合によっては、普通に理解されている意味の用語が、明確にするためおよび/またはすぐ参照できるように本明細書において定義されており、かかる定義の本明細書中の包含は、技術的に一般的に理解されているものを超える根本的な相違点を表すものと必ずしも解釈すべきではない。本明細書に記載されまたは言及されている多くの技法および手順は、当業者によって十分に理解されており、従来型の方式を用いて汎用されている。必要に応じて、市販のキットおよび試薬の使用を含む手順が、別に言及がない限り製造業者が決めたプロトコルおよび/またはパラメータに従って一般に行われる。
図1に示すように、グルコースとグルコースオキシダーゼの間の周知の反応の概略図である。段階的方式で示されているように、この反応は、水中のグルコースオキシダーゼ(GOx)、グルコースおよび酸素によって生じる。反応の半分の還元においては、2個のプロトンと電子がβ−D−グルコースから酵素に移動してd−グルコノラクトンを生ずる。反応の半分の酸化においては、その酵素が分子状酸素によって酸化されて過酸化水素を生じる。d−グルコノラクトンは、次に水と反応してラクトン環を加水分解し、グルコン酸を生成する。本発明のいくつかの電気化学センサにおいて、この反応によって生成した過酸化水素は、作用電極で酸化される(H→2H+O+2e)。
本発明の実施形態は、例えば電流または電圧の印加による指令があると除去することができる分析物センサ膜(例えば薄い金属箔)で覆われたセンサ素子のアレイを含む分析物(例えばグルコース)感知アパラッチ(apparati)を作製する方法を提供する。例えば、特定の電流または電圧の印加により、逆めっきが開始されて分析物センサ金属膜を除去してアパーチャを露出させ、かくしてそのアパーチャがセンサ素子の上部に存在している装置内のセンサ素子を露出させ、それまで活性ではなかった新たなセンサ素子を作り出すことができる。
典型的なセンサのデザインは、そのいくつかまたは全てがシールおよび/またはアパーチャと連結している複数の分析物センサ素子を支える基板を含む。この方法は、様々な装置のアセンブリを作製するために使用することができる。かかるアセンブリの1つは、窪みおよび突起の両方を含む3次元の形体をしたシリコン蓋アセンブリを使用する。別のアセンブリの実施形態は、蓋層内に作られた空洞上に配置された1つ以上のアパーチャを持つセラミック蓋を有する。分析物センサ金属膜の表面は、分離された領域の表面腐食特性を高めて逆めっきを優先的に方向付けるために、レーザー機械表面処理またはイオンミリングによって加工することができる。
以下に記すように、この方法によって作製されるアパラッチは、多種多様の立体構造に組み立てることができる。例えば、このセンサは、1つのルーメンが、このセンサからセンサ出力、データ収集、およびディスプレイデバイスへの導電体を提供し、第2のルーメンが、シールの溶解を引き起こすために必要な出力を提供するマルチルーメンカテーテル内に取り付けることができる。
本発明の実施形態は、引き延ばされた耐用期間などの高められた材料特性を有する分析物センサデバイスの製作方法を提供する。本発明の特定の実施形態は、グルコースおよび/または乳酸のセンサと関連するが、様々な素子(例えば分析物センサ膜)を、当該技術分野で公知の多種多様なセンサの任意のものと共に使用するように適合させることができる。分析物センサ素子、これらの素子を作製および使用するための体系および方法は、様々なセンサ構造体を確立するために使用することができる。本発明のそのようなセンサの実施形態は、多種多様なセンサの立体構造が、多種多様な分析物の種類を検査するように設計されることを可能にする驚くべき程の融通性と多様性の特徴を示す。
本発明の典型的な実施形態において、分析物濃度の処理可能なシグナルへのトランスダクションは、電気化学的方法による。これらのトランスデューサとしては、当該技術分野で公知の多種多様の電流測定、電位差測定、または電導度測定に基づくセンサを挙げることができる。その上、現発明の微細加工センサ技術および材料は、実質的に非平面、または別法では、実質的に平面の様式で作製されるその他のタイプのトランスデューサ(例えば、音波センサデバイス、サーミスタ、ガス感知電極、電界効果トランジスタ、光およびエバネッセントフィールド導波管など)に応用することができる。バイオセンサならびに各タイプのトランスデューサまたはバイオセンサを一般に利用することができるような分析への応用において活用することができるトランスデューサの有用な議論および集計は、クリストファー アール ロウによるTrends in Biotech.1984,2(3),59〜65における論文で見出される。
本発明の実施形態の具体的な態様について以下の節で詳細に論じる。
I.本発明の方法によって作製される代表的な素子、立体構造および分析物センサの実施形態
A.本発明のセンサ保護膜の実施形態
グルコースセンサなどの長期間の分析物センサ(例えば、「持続性」および「永久的」センサ)は、過酷な環境(例えば人体)中で確実に作動しなければならず、しばしば様々な理由で感度の喪失に曝されている。これらの理由としては、限定はされないが、生物付着、環境および基本的な化学過程の両方による酵素活性の喪失、物質移動係数の増大ならびにマクロファージ封入が挙げられる。加えて、インプラントした酵素センサ、特にグルコースセンサは、長期間の存続のためにかなりの量の酵素を有することを必要とする。これらのインプラントしたセンサでの問題は、多量の酵素がどうしても物質移動の障害として作用し、そのためレスポンスタイムを増すことである。
本明細書に開示されている本発明の実施形態は、1つ以上の制御可能なセンサ保護膜によって覆われている複数のセンサ素子を有する分析物センサを作製する方法を教示することによってかかる限界に対処することが策定されている。特に、本明細書に開示されているセンサの実施形態は、複数のセンサ素子の1つ以上を、センサの耐用期間を延長するように分析物センサの寿命中の異なる時間に活性化する(例えば、外部環境に曝す)ことができる形で制御することができる1つ以上のセンサ保護膜を組み込む。その分析物感知保護膜は、それらが分析物センサデバイスを配置する環境からその分析物センサデバイスの分析物センサ素子を可逆的に保護するように機能する限り様々な構造形態(例えば、フィルム、層、キャップなど)をとることができる。本明細書に開示されている本発明の実施形態は、本発明のセンサを作製する方法をさらに含む。この節の以下の段落は、開示された方法によって作製することができる本発明のセンサの実施形態についての説明を提供する。
本発明のそのような実施形態の1つは、密閉されているチャンバー内に最初は保存されている限られた寿命(数週間から数ヶ月)の一連の個々のセンサを含み、必要に応じて個々に問題に当ることができる単一チップに基づくセンサである。本発明のこの実施形態において、センサのいくつかの態様は、当該技術分野で公知のドラッグデリバリー技術(例えば、それぞれの内容が、参照により援用されている米国特許第6551838号、同第6491666号、同第6527762号、米国特許出願公開第2004/0106914号およびサンチニらのNature 397,28 Jan 1999を参照)において使用されているデバイスと類似している。つまり、このドラッグデリバリー技術においては、それぞれが薬物を含有する多数のリザーバを包含するチップが組み立てられる。金箔膜などのバリアがそれぞれのリザーバを覆って空気遮断した区画を生ずる。一定分量の薬物が必要なとき、電気パルスを1つ以上の箔の膜に送達し、それによって薬物のその区画からの溶出をもたらすことができる。加えて、本発明のいくつかの実施形態は、当該技術分野で公知の連続センサと類似しており、それは例えば参照により本明細書に援用されている米国特許第5999848号に記載されている。
本発明の実施形態は、バリア膜(例えば分析物センサ膜)によって覆われている複数の分析物センサ素子を有する分析物センサデバイスを含む。本発明のいくつかの実施形態において、バリア膜は、分析物センサ素子上の気密シールを作り出す。分析物センサデバイスのいくつかの実施形態は、改良された特性(例えば、改良された物質移動特性)が得られる長期間のインプラントが可能なセンサを提供する。特定のセンサを覆っている分析物センサ膜が、上記と似た制御可能なやり方で透過性にされたとき、その分析物センサ素子は、その時「活性」となり、分析物センサデバイス(例えばインプラントしたデバイスまたは外部のデバイス)に入力を与え、その性能を問題になっているパラメータによって修正することができる。この活性化された分析物センサ素子が、多数の理由のいずれか(例えば生物付着)によって不安定または役に立たなくなれば、それは電子的に不活性化することができ、分析物センサデバイス上の別のセンサを活性にすることができる。分析物センサデバイスのための電子制御には、例えば、スイッチング回路ならびに参照電極および対電極の両方のための共通の電極の両方を内蔵することができる。
本発明の実施形態の応用としては、分析物センサ素子が人体内で限られた性能の寿命を有する場合におけるグルコースの連続感知が挙げられる。本発明の別の実施形態において、分析物センサデバイスは、多数のセンサプラットフォーム(グルコース、乳酸、pH、酸素)を持つことができ、別のセンサは既存のセンサのいくつかのセットによって決定された患者の病状に応じて活性化することができる。例えば、救命医療環境において患者は、本発明のマルチ分析物センサデバイスの実施形態を用いてグルコースおよび乳酸について監視することができる。グルコース信号が安定しており、乳酸のセンサが乳酸の増加を示す場合は、pHおよびO分析物素子を活性化して敗血症について監視することができる。同様に、長期間の使用に対して十分に安定ではない分析物センサ素子は、必要な時のみ活性化することができる。この技術の別の実施形態としては、治療の経過中すなわち1年間のウイルス感染(肝炎、HIVなど)または癌に対する監視が含まれる。特に、かかる分析物センサデバイスは、定期的にウイルス量(あるいは、癌ケモカインまたはその他)の個別の計算をする。場合によっては、この分析物センサデバイスは腫瘍部位近くまたは肝臓内(肝炎に対して)にインプラントし、付随する手術または侵襲的な組織試験なしで外部からの呼びかけにより定期的にアクセスすることができる。
本発明の別の実施形態は、場合によってリザーバ/ウェル内にあって制御可能な膜で密閉されており、長期間の分析物感知に有用である分析物センサ素子のセンサアレイを提供する。例示的センサアレイとしては、誘電性躯体(イオンビームアシストデポジション(IBAD)法でパターン化したアルミナまたはセラミック基板に穴を開けたもののいずれか)中に少なくとも24個のウェルがあり、各センサ素子の寿命が2〜4週間に及ぶものが挙げられる。ウェルのベース(パターン化したIBADアルミナウェル、または穴を開けたセラミック基板にはんだ付けした別々の基板のウェルに基づく)は、グルコースオキシダーゼなどの固定化酵素で覆われた金属化した作用電極を有することができる。このグルコースオキシダーゼは、ウェル内またはその膜の上のグルコース制限膜(GLM)などの物質によって覆うことができる。一具体例において、このウェルは、金膜で、プログラム化された電圧誘導によりその膜が溶解されるまで、空気遮断することができる。別法では、分析物センサ素子は、ウェル内に膨張性ヒドロゲルをコートし、それによって、金膜の一部の電圧誘導による溶解がヒドロゲルの膨張を誘発し、かくしてウェルの表面からの膜の除去を機械的に助けることができる。ウェルの中身が露出すると、分析物センサ素子中の作用電極は個々に呼びかけることができる。この個々の呼びかけは、新たに露出したセンサ信号を分かり難くする消耗したセンサ素子を隔離して、焦点を合わせたセンサの読みを可能にする。電気化学センサ機能のために必要な対電極および参照電極は、アレイ全体に共通のものとすることができ、または各ウェル内に設置することもできる。
本発明の分析物センサデバイス中の膜および電極のアドレッシングは、各位置への個々の信号トレースによるか、またはアクティブマトリックス駆動のディスプレイ技術で使用されるものと類似した方式で達成することができる。アクティブマトリックスアドレッシングは、それぞれのアドレス可能な位置が結節点にあるグリッドパターンを利用する。適切な列トレースおよびカラムトレースの活性化は、望ましい結節の機能(電極の読みまたは膜の溶解)の引き金となる。特定トレースのアドレッシングは、場合によって溶接密封およびビア技術を利用して、集積回路、マスターポテンシオスタット、およびプログラム化できるデジタルスイッチによって達成することができる。別法では、これら電子素子は、センサアセンブリのどこか離れた場所か、または当該技術分野で公知のようにインプラントユニット上の回路構成から離して納めることができる。分析物センサデバイスは、活性な分析物センサ素子の機能の特定の低下(例えば、定義されておりかつ/または予め定められた生物付着および/または酵素の不活性化による機能の低下)、特定の時間枠、他のデバイスからの信号の受取り(例えば遠隔制御または無線の方法による)、あるいはセンサが設置されている環境の特定条件(例えば、乳酸濃度の増加)の検出を含む様々な条件に応えて分析物センサ保護膜の分解または透過性付与を開始するように適宜プログラム化することができる。かかるセンサアレイは、短期間センサの動力学的特性を備えた長期間のグルコースセンサを提供する。図3〜5は、アドレス可能な構成要素を備えたセンサアレイ(例えば、グルコースセンサアレイ)の例示的な実施形態を提供する。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜は、電界もしくは電流、磁界、pHの変化などの加えられた信号に応じて、または熱信号、化学信号、電気化学信号もしくは機械信号によって透過性にされる材料であり得る。場合によってこの分析物センサ膜は、破裂可能な薄い金属(例えば金)の膜とすることができ、周囲の環境(例えば、体液または別の塩素含有溶液)に不透過性とすることができる。金属の種類および周囲の環境に基づいて、特定の電圧をこの金属分析物センサ膜に加えることができる。金属分析物センサ膜は、次いで電気化学的反応によって酸化して溶解することができ、リザーバの中身を周囲の環境に「露出」する。さらに、電圧に応答して不溶性イオンまたは酸化生成物を通常は形成する材料も、例えば、アノードの近くの局部的なpH変化がこれらの酸化生成物を可溶性にする原因となる場合には使用することができる。適当な分析物センサ膜材料の例としては、銅、金、銀、および亜鉛などの金属、ならびに当該技術分野で公知のいくつかのポリマーが挙げられる。別の実施形態において、この分析物センサ膜は、体温より上の特定の融点を有するポリマーとすることができる。このポリマー分析物センサ膜付近の局所温度が、例えば分析物センサ膜付近に配置された薄膜抵抗体を用いることによってポリマーの融点より高い温度まで上昇したとき、この分析物センサ膜は融解し、分析物センサ素子が周囲の環境に露出される。
分析物センサ膜の特異性は、様々な要因、例えば分析物センサ素子の露出が望まれる一般に数週間から数ヶ月の範囲の期間など、に基づいて選択することができる。あるインビボ環境において、複数の分析物センサ素子を有する単一の分析物センサデバイスは、順次活性化される複数のセンサ素子を有することができる。この状況において、先に活性化されたセンサが分析物を感知するその能力を失ったときは、新しいセンサを順次活性化することによって、分析物センサデバイスの寿命が延長された期間、例えば1から12ヶ月にわたって分析物を感知することを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜は、インビトロおよび/またはインビボ環境中で確定した速度で劣化する材料から作製することができ、その結果分析物センサ素子はこの材料の劣化状態で分析物に曝される。多数のそのようなポリマーが技術的に知られており、一般に生分解性および/または生腐食性と呼ばれている。これに関連して、少なくとも2つのタイプの劣化が上記ポリマーで起こり得る。劣化の1つのタイプは、ポリマーが、マトリックス中で極めて均一な様子で劣化するバルク劣化である。バルク劣化の最も一般的なメカニズムは、加水分解に不安定なポリマー骨格の加水分解である。最初に、水が、固体ポリマーインプラントのバルクに浸透し、非晶相の化学結合を選択的に攻撃し、長いポリマー鎖を短い水溶性の断片に転化する。これが、始めは物理的性質の急激な変化なしで分子量(M)の低下をもたらす。劣化の2番目のタイプは、一般的に生腐食と呼ばれる表面腐食である。生腐食は、水がインプラントのコーティングに浸透する速さが、ポリマーが水溶性物質に転化する速さより遅いときに起こり得る。
通常使用される生分解性ポリマーは、一般的にはポリ(ヒドロキシ酸)タイプ、特にポリ(L−乳酸)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびそれらのコポリマーである。代表的なコポリマーは、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)であり、PLGAと略記される。これらの物質は、体内で無毒性生成物の乳酸およびグリコール酸に分解され、食品医薬品局によって骨インプラントの吸収性の縫合糸として、および制御放出微粒子として認可されている。利用されるその他のポリマーとしては、ポリ(フニマル酸無水物)(poly(funimaric anhydride))、ポリ(フマール酸無水物)およびポリ(セバシン酸無水物)が挙げられる。マチオヴィッツ,イー,ヤコブ,ジェイ エス,ヨング,ワイ エス,カリノ,ジー ピー,チェカリング,ディー イー,チャターベディ,ピー,サントス,シー エイ,ヴィジャヤラガバン,ケイ,モンゴメリー,エス,バセット,エム およびモレル,シー,Biologically Erodible Microspheres as Potential Oral Drug Delivery Systems,Nature,386:410−414,1997。制御薬物送達のためのポリマー微粒子の使用は、多くの総説の主題となっている。ランガー,アール,シーマ,エル ジー,タマダ,ジェイ エイおよびウインターマンテル,イー:”Future Directions in Biomaterials,” Biomaterials,11:738−745,1990。
生腐食性および/または生分解性ポリマーのさらなる実例としては、ポリ(酸無水物)、ポリ(ヒドロキシ酸)類、ポリ(ラクトン)類、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)−co−ポリ(グリコール酸)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(カプロラクトン)、フィブリングルーまたはフィブリンシーラントのような架橋した生分解性ヒドロゲル網目構造、シクロデキストリンのようなケージ分子および捕捉分子、モレキュラーシーブなどのポリマーおよびコポリマーが挙げられる。好ましい生腐食性ポリマーとしては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グルコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)類、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリ酸無水物類、ポリ(アミノ酸)類、ポリ(オルトエステル)類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリラート類、ポリ(エーテルエステル)類、ポリ(ジオキサノン)類、ポリ(アルキレンアルキラート)類、ポリ(エチレングリコール)とポリ(オルトエステル)のコポリマー類、分解可能なポリウレタン類ならびにそれらのコポリマー類およびブレンド類が挙げられる。例示的な生腐食性ポリマー類は、米国特許出願公開第2002/0015720号および同第2002/0034533号にさらに記載されている。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜は、分析物センサ膜材料それ自体の物理的(すなわち、構造的)または化学的変化、例えば、温度変化によって引き起こされる変化によって破裂させることができる。例えば、分析物センサ膜は、加熱したとき膨張する材料で作製するかそれを含むことができる。分析物センサ膜は、一定の場所に固定され加熱されたとき、その分析物センサ膜は、容積の増大のためにそれが割れるか破裂するまで膨張する。この実施形態は、分析物センサ素子が過剰の熱に曝されると特性を奪われ得るタンパク質(例えばグルコースオキシダーゼ)などの熱に敏感な分子を含有するとき特に重要である特性の、分析物センサ素子の最小限の加熱か加熱なしで分析物センサ膜を加熱することを可能にする。
本発明の別の実施形態においては、分析物センサ膜材料は、抵抗加熱法を用いることによって融解する(すなわち、相変化を受ける)ことができる。インビボでの適用に対して、分析物センサ膜は、好ましくは、一連の選択可能な融点を提供することができる有機ヒドロキシ酸誘導体(例えば、ラクチド類およびラクトン類)などの生体適合性コポリマー類から構成されている(PCT国際公開第98/26814号参照)。特定の融解温度、例えば通常の体温より約2℃と約12℃の間の高い温度を、コポリマーの出発モノマー比および得られる分子量の適切な選択によって、分析物センサ膜に対して選択することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜は、劣化を増すために熱的に刺激することができる。例えば、分析物センサ膜劣化の動態は、室温では非常に遅く、膜は基本的に安定であり得る。しかしながら劣化の動態は、膜材料の温度を上げることによって著しく加速される。劣化の絶対速度は、分析物センサ素子を覆う種々の異なる分析物センサ膜材料の組成を制御することによって選択することができる。例えば、生体適合性コポリマー類(例えば、ラクトン類およびラクチド類)の劣化速度は、主構造単位の特定のモル比によって、数時間と数年の間、好ましくは数週間と数ヶ月の間であり得る。それぞれが異なる組成を有する分析物センサ素子のアレイを覆っている分析物センサ膜のアレイを使用することによって、複雑な分子放出特性は、デバイスが臨界状態、例えばその環境によって決まる状態に一旦到達すれば得ることができる。
本発明の別の実施形態において、全ての分析物センサ膜は、一定の崩壊速度(例えば、温度依存性の)を有しており、放出の特性は、分析物センサ膜材料の物理的大きさの選択によって制御される。崩壊の速度を固定することによって膜が崩壊する時間は分析物センサ膜の材料厚さに依存する。例えば、全ての分析物センサ膜が同一組成を有する実施形態においては、分子の放出は、膜の厚さを変化させることによって制御することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜は、それを超えると材料が破砕して機能しなくなる降伏歪または引張り強さを有する材料または選択された温度の変化により相変化(例えば融解)を受ける材料で形成されている。その材料は、好ましくは、銅、金、銀、白金、および亜鉛などの金属類;ガラス類;セラミック;半導体類;および部分的に結晶性のポリエステル類などの壊れやすいポリマー類から選択される。特に、その分析物センサ膜は、薄いフィルム、例えば、約0.1μmと1μmの間の厚さを有するフィルムの形状をしている。しかしながら、その厚さは特定の材料および破裂のメカニズム(すなわち、電気化学的対機械的破壊)に依存するため、例えば1μmと100μmの間以上の厚さを有する厚めの分析物センサ膜が、特定の壊れやすい材料など、材料によってはより良く機能し得る。
上記のように、分析物センサ膜は、複数の層にした材料から作製することができる。例えば、分析物センサ膜は、上塗り材料が、溶解、腐食、生分解、酸化、またはその他の劣化例えばインビボまたはインビトロで水に曝すことによって実質的に除去されるまで、破裂可能な材料の層を構造的に強化するために、上塗り材料でコートすることができる。代表的な適切な劣化可能材料としては、合成および天然の生分解性ポリマーが挙げられる。
本明細書に開示されている本発明の最適化された実施形態は、広く一般に利用することができかつ/または多種多様のセンサの方式および設計に応用することができる。したがって、以下の節では、本発明のこれらの実施形態を組み込むことができる例示的なセンサ素子、機器構成および方法について説明する。
B.本発明の方法により製作することができる代表的な分析物センサ機器構成の概略図
図2は、本明細書に開示されているセンサ保護膜によって保護することができる本発明の代表的な分析物センサ素子構造体100の断面を示す。このセンサ素子は、センサ構造体を作り出すために本発明の方法の実施形態に従って互いに配置されている様々な導電性および非導電性の構成成分の一般的には層の形態をしている複数の構成要素から形成されている。センサの構成要素は、本明細書では一般的に層として特性化されているが、その理由は、例えばそれによって図2に示されているセンサ構造体を容易に特徴付ける効果があるためである。しかしながら、当業者であれば、理解することであるが、本発明のいくつかの実施形態において、センサの構成成分は、複数の構成成分が1つ以上の異種の層を形成するように組み合わされる。
図2に示されている実施形態は、センサ100を支える基層102を含む。場合によっては、この基層は、基板層と同じである。基層102は、自分自身で支持するか当該技術分野で公知の別の材料によってさらに支持される金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー基板等の材料で作製することができる。本発明の実施形態は、基層102上に配置されかつ/またはこれと組み合わされた導電層104を含む。
一般的には、導電層104は、1つ以上の電極を含む。作動センサ100は、一般的には、作用電極、対電極および参照電極などの複数の電極を含む。他の実施形態は、また、多機能を果たす、例えば参照電極および対電極としての両方として機能するものを含むこともできる。さらに他の実施形態は、センサ上には形成されていない分離した参照素子を利用することができる。一般的にこれらの電極は、互いに極めて接近した位置にありながら電気的には互いから隔離している。
以下で詳細に述べるように、基層102および/または導電層104は、多くの既知の技術および材料を用いて形成される。本発明のいくつかの実施形態において、センサの電気回路は、配置されている導電層104を所望のパターンの導電性パスにエッチングすることによって規定される(defined)。センサ100に対する典型的な電気回路は、近接端部に導体パッドを形成する領域および遠位末端にセンサ電極を形成する領域を備えた2個以上の隣接する導電性パスを含む。ポリマーコーティングなどの電気絶縁性のカバー層106は、センサ100の一部の上に場合によって配置される。絶縁性保護カバー層106として使用するための許容できるポリマーコーティングとしては、限定はされないが、シリコーン化合物、ポリイミド類、生体適合性はんだマスク類、エポキシアクリラートコポリマー類などの非毒性生体適合性ポリマーを挙げることができる。本発明のセンサの実施形態において、1つ以上の露出した領域またはアパーチャ108は、カバー層106を通り抜けて、導電層104を外部環境に開放し、例えば、グルコースなどの分析物がセンサの層を通り抜け、センサ素子によって感知されることを可能にするように作製することができる。アパーチャ108は、レーザーアブレーション、テープマスキング、ケミカルミリングもしくはエッチングまたはフォトリソグラフィー現像などを含む多数の技術によって形成することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、製造中に第2のフォトレジストを保護層106に塗布して、除去してアパーチャ(1つ以上)108を形成するための保護層の領域を定めることもできる。露出した電極および/または導体パッドは、また、表面を準備しかつ/または導電性領域を強化するために、さらなるプレーティング処理などの第2の処理を(例えばアパーチャ108を通して)受けることもできる。
図2に示されているセンサ構造体においては、分析物感知層110(これは好ましくはこの層の材料が化学反応を受けて導電層によって感知され得る信号を生み出すことを意味する化学センサ層である)は、導電層104の1つ以上の露出した電極上に配置される。特に、化学センサ層110は、酵素層である。最も好ましくは、化学センサ層110は、酸素を利用しかつ/または過酸化水素を生成することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含む。場合によって、化学センサ層中の酵素は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなどの第2のキャリヤタンパク質と組み合わされる。例示的な実施形態において、化学センサ層110中のグルコースオキシダーゼなどの酵素は、グルコースと反応して、次に電極での電流を調節する化合物の過酸化水素を生成する。この電流の調節は、過酸化水素の濃度に依存し、過酸化水素の濃度はグルコースの濃度と関連するため、この電流の調節を監視することによってグルコースの濃度を測定することができる。本発明の特定の実施形態においては、過酸化水素は、アノードである作用電極(本明細書ではアノード作用電極とも言う)において酸化され、得られる電流は過酸化水素濃度に比例する。過酸化水素濃度を変化させることにより引き起こされるかかる電流の調節は、センサ検出器装置のいずれか1つ、例えば一般的なセンサのアンペロメトリックバイオセンサ検出器またはMedtronic MiniMed社製のグルコース監視デバイスなどの当該技術分野で公知のその他の様々な類似のデバイスの1つによって監視することができる。
分析物感知層110は、導電層の一部の上または導電層の全領域上に塗布することができる。一般的には、分析物感知層110は、アノードまたはカソードであり得る作用電極上に配置される。場合によっては、分析物感知層110は、また、対電極および/または参照電極上に配置される。分析物感知層110は、厚さが最大で約1000ミクロン(μm)であり得るが、一般的にはその分析物感知層は、当該技術でこれまで記載されているセンサで見出されるものと比較して相対的に薄く、例えば好ましくは厚さは、1、0.5、0.25または0.1μm未満である。以下で詳細に述べるように、薄い分析物感知層110を形成する特定の方法としては、スピンコーティング法、ディップアンドドライ法、低シェア吹き付け法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン法などが挙げられる。最も特定的には、薄い分析物感知層110は、スピンコーティング法を用いて塗布される。
一般的には、分析物感知層110は、1つ以上のさらなる層で被覆される。場合によって、その1つ以上のさらなる層は、分析物感知層110上に配置されたタンパク質層116を含む。一般的にはそのタンパク質層116は、アルブミンなどのタンパク質を含む。好ましくは、そのタンパク質層116は、ヒト血清アルブミンを含む。本発明の特定の実施形態においては、さらなる層として、分析物感知層110との分析物の接触を調節するために分析物感知層110上に配置されている分析物調節層112を含む。例えば、分析物調節膜層112は、分析物感知層中に存在するグルコースオキシダーゼなどの酵素と接触するグルコースの量を調節するグルコース制限膜を含むことができる。かかるグルコース制限膜は、かかる目的に適することが知られている多種多様の材料、例えばポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物、ポリウレタン類、ポリ尿素酢酸セルロース類、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸類(例えばKodak AQ)、ヒドロゲル類または当業者には知られているその他の適当な親水性の膜から製造することができる。
本発明の典型的な実施形態においては、接着促進剤層114が、図2に示されているように、分析物調節層112と分析物感知層110の間に、それらの接触および/または接着を促進するために配置される。本発明の具体的な実施形態においては、接着促進剤層114は、図2に示されているように、分析物調節層112とタンパク質層116の間に、それらの接触および/または接着を促進するために配置される。接着促進剤層114は、かかる層の間の結合を促進することが当業者には知られている多種多様の材料のいずれかから製造することができる。特に、接着促進剤層114は、シラン化合物を含む。代わりの実施形態において、接着促進剤層114がない場合は、分析物感知層110中のタンパク質またはそれと似た分子を十分に架橋させるか別のやり方で調製し、分析物調節膜層112が、分析物感知層110と直接接触するように配置することを可能にすることができる。
C.分析物センサの製作で使用するための代表的な分析物センサ構成成分の実施形態
以下の開示は、本発明の分析物センサ素子において使用される代表的な分析物センサ素子(およびそれらの代表的な構成成分)の例を提供する。これらの素子は明瞭を目的として控えめな構成単位として記載されているが、当業者であれば、センサは、以下で述べる素子/構成成分の材料特性および/または機能のいくつかまたは全ての組み合わせを有する素子(例えば、指示ベース構成成分および/または導電性構成成分および/または分析物感知構成成分のためのマトリックスとセンサ中の電極としてさらに機能するものとの両方として役立つ素子)を含有するように設計することができることが分かる。
ベース構成成分の実施形態
本発明のセンサの実施形態は、一般的にはベース構成成分(例えば、図2における素子102参照)を含む。用語「ベース構成成分」とは、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、互いの表面上に積み重ねられ、機能センサを含む複数の構成成分のための支持マトリックスを一般的に提供する装置内の構成成分を指す。1つの形態において、そのベース構成成分は、絶縁性(例えば、電気絶縁性および/または水不透過性)材料の薄膜シートを含む。このベース構成成分は、水不透過性および空気遮断性などの望ましい性質を有する多種多様の材料から製造することができる。材料としては、シリコン、金属、セラミックおよびポリマー材料などが挙げられる。
このベース構成成分は、自立性であるか当該技術分野で公知の別の材料によってさらに支持される。図2に示されているセンサ構成の一実施形態において、ベース構成成分102は、セラミックを含む。例示的な一実施形態において、このセラミックベースは、大部分(例えば96%)がAlである組成物を含む。インプラント可能なデバイス用の絶縁性ベース構成成分としてのアルミナの使用は、参照により本明細書に援用されている米国特許第4940858号、同第4678868号および同第6472122号に開示されている。本発明のベース構成成分の実施形態は、当該技術分野で公知のその他の素子、例えば空気遮断性ビア(例えば、国際公開第03/023388号参照)をさらに含むことができる。特定のセンサ設計によっては、このベース構成成分は、比較的厚い構成成分(例えば25μmを超える厚さ)とすることができる。別法では、例えば約25μm未満の薄い構成成分にアルミナなどの非導電性セラミックを利用することができる。
導電性構成成分の実施形態
本発明の電気化学的センサの実施形態は、分析されるべき分析物またはその副生成物(例えば、酸素および/または過酸化水素)と接触するための少なくとも1つの電極を含むベース構成成分上に配置された導電性構成成分を一般的には含む(例えば図2における素子104を参照)。用語「導電性構成成分」は、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、信号を測定することができ、検出可能であり、これを検出装置に伝達することができる電極などの導電性センサ素子を指す。この記載された実例は、分析物またはその副生成物の濃度変化などの刺激への暴露に反応する電流の増加または減少を、分析物濃度、分析物が分析物感知構成成分110中に存在する組成物(例えば酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用するとき用いられる共反応物(例えば酸素)濃度またはこの相互作用の反応生成物(例えば過酸化水素)濃度の変化を経験しない参照電極と比較して測定することができる導電性構成成分である。かかる素子の説明に役立つ例としては、過酸化水素または酸素などの濃度が変動しやすい分子の存在下で変動する検出可能な信号を生み出すことができる電極が挙げられる。一般的に、導電性構成成分中のこれらの電極の1つは、非腐食性金属、導電性ポリマーまたはカーボンから製造することができる作用電極である。カーボン作用電極は、ガラス状または黒鉛状であってよく、固体またはペーストから製造することができる。金属の作用電極は、パラジウムまたは金を含む白金族金属、あるいは酸化ルテニウムなどの非腐食性の金属導電性酸化物から製造することができる。別法では、その電極は、銀/塩化銀電極組成物を含むことができる。この作用電極は、ワイヤーまたは基板上に、例えばコーティングまたは印刷によって塗布した薄い導電性フィルムであり得る。一般的には金属またはカーボンの導体の表面の一部分のみが分析物含有溶液と接触するに過ぎない。この一部分は、電極の作用表面と呼ばれる。電極の残りの表面は、電気絶縁性のカバー構成成分106によって一般的にはその溶液から隔離されている。この保護カバー構成成分106を生み出すための有用な材料としては、ポリイミド類、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンおよびポリシロキサン類等のシリコーン類が挙げられる。
作用電極に加えて、本発明の分析物センサの実施形態は、参照電極または参照電極と対電極とを組み合わせた電極(擬似参照電極または対/参照電極とも称する)を一般的に含む。センサが対/参照電極を有さない場合、それは作用電極と同じか異なる材料製であってよい別個の対電極を含むことができる。本発明の典型的なセンサの実施形態は、1つ以上の作用電極ならびに1つ以上の対、参照、および/または対/参照電極を有する。本発明のセンサの一実施形態は、2個、3個または4個以上の作用電極を有する。センサ中のこれらの作用電極は、一体的に接続するかそれらを分離したままにすることができる。
一般的に、インビボ使用に対して、本発明の分析物センサは、血液などの哺乳動物の体液と直接接触させるために、哺乳動物の皮膚の皮下に埋め込まれる。別法では、センサは、腹腔内スペースなどの哺乳動物の体内の別の部位に埋め込むことができる。複数の作用電極が使用されるとき、それらは一緒に、または体内の異なる場所に埋め込むことができる。対、参照、および/または対/参照電極もまた、作用電極(1つ以上)と接近させるか哺乳動物の体内の他の位置のいずれかに埋め込むことができる。
分析物感知構成成分の実施形態
本発明の電気化学的センサの実施形態は、センサの電極上に配置された分析物感知構成成分を含む(例えば、図2の素子110を参照)。用語「分析物感知構成成分」は、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、その存在が分析物センサ装置によって検出されるべき分析物を認識するかそれと反応することができる材料を含む構成成分を指す。一般的には、分析物感知構成成分中のこの材料は、感知されるべき分析物との相互作用の後、一般的には導電性構成成分の電極によって検出することができる信号を生ずる。この関連で、分析物感知構成成分と導電性構成成分の電極とは協働して作用し、分析物センサが搭載されている装置によって読み取られる電気信号を発生する。一般的には、分析物感知構成成分は、その濃度変化を導電性構成成分(例えば酸素および/または過酸化水素)の電極における電流の変化を測定することによって測定することができる分子と反応しかつ/またはそれを生成することができる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼを含む。過酸化水素などの分子を生成することができる酵素は、当該技術分野で公知のいくつかの方法によって電極上に配置することができる。分析物感知構成成分は、センサの様々な電極の全てまたは一部を被覆することができる。これに関連して、分析物感知構成成分は、電極をかなり均等に被覆することができる。別法では、分析物感知構成成分は、異なる電極を、異なる程度に、例えば作用電極の被覆表面が、対および/または参照電極の被覆表面より大きくなるように被覆することができる。
本発明のこの素子の代表的なセンサの実施形態は、第2のタンパク質(例えばアルブミン)と固定比率(例えば、一般的にはグルコースオキシダーゼ安定化特性のために最適化される比率)で組み合わされ、次いで電極表面に塗布して薄い酵素構成成分が形成されている酵素を利用する。典型的な実施形態においては、分析物感知構成成分はGOxおよびHSA(ヒト血清アルブミン)の混合物を含む。これらの典型的な実施形態において、GOxは、感知環境中(例えば哺乳動物の体)に存在するグルコースと反応し、図1に示されている反応によって過酸化水素を発生し、そのように発生した過酸化水素は、導電性構成成分内の作用電極のアノードで検出される。例えば米国特許出願第10/273767号(参照により本明細書に援用)に述べられているように、極めて薄いセンサの化学構成成分が好ましく、スピンコーティングなどの当該技術分野で公知の方法によって電極マトリックスの表面に塗布することができる。例示的な実施形態において、グルコースオキシダーゼ/アルブミンは、アルブミンが約0.5〜10重量%の範囲で存在する生理溶液(例えば、中性pHにおけるリン酸緩衝生理食塩水)中で調製される。場合によって、分析物感知構成成分上に形成される安定化したグルコースオキシダーゼ構成成分は、当該技術分野でこれまでに記載されているものと比較して非常に薄く、例えば、2、1、0.5、0.25または0.1μm未満の厚さである。本発明の1つの例示的な実施形態は、電極の表面のコーティングには安定化したグルコースオキシダーゼを利用し、そこでのグルコースオキシダーゼは構成成分中固定比率でキャリヤタンパク質と混合されており、そのグルコースオキシダーゼおよびキャリヤタンパク質は、構成成分中に実質的に一様に分布している。特に、その構成成分は厚さが2μm未満である。意外にも、これらの著しく薄い分析物感知構成成分を有するセンサは、より厚いコーティングを有するセンサのそれを超える、より一層の寿命、直線性、規則性ならびに改良された信号対ノイズ比を含む材料特性を有する。特定の科学理論に拘束されるものではないが、より厚い酵素構成成分においてはその構成成分中の反応性酵素の一部分のみが感知されるべき分析物にのみ接近可能であるため、著しく薄い分析物感知構成成分を有するセンサは、より厚い構成成分のものと比較して驚くほど高められた特性を有するものと考えられる。グルコースオキシダーゼを利用するセンサにおいては、電着によって生成される厚いコーティングが、厚い酵素構成成分の反応界面において発生する過酸化水素のセンサ表面と接触し、それによって信号を発する能力を阻害する可能性がある。
上で記したように、酵素および第2のタンパク質は、一般的には架橋マトリックスを形成するように(例えば、タンパク質の混合物に架橋剤を添加することにより)処理する。当該技術分野で公知のように、架橋条件は、酵素が保持する生物活性、その機械的および/または操作安定性などの要因を調節するように処理することができる。例示的な架橋手順は、参照により本明細書に援用されている米国特許出願第10/335506号およびPCT国際公開第03/035891号に記載されている。例えばこれに限定されるものではないが、グルタルアルデヒドなどのアミン架橋剤を、タンパク質混合物に添加することができる。タンパク質混合物への架橋剤の添加によってタンパク質ペーストが生ずる。添加すべき架橋剤の濃度はタンパク質混合物の濃度によって変動し得る。グルタルアルデヒドは好ましい架橋剤であるが、これに限定されるものではないが、スベリン酸ジサクシンイミジル(DSS)などのアミン反応性ホモ官能性架橋剤を含む他の架橋剤もまた使用することができ、またはグルタルアルデヒドの代わりに使用することができる。別の例は、ゼロレングス架橋剤である1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)である。EDCは、カルボン酸とアミン基の間にアミド結合を形成する。当業者には明らかなようにその他の適当な架橋剤もまた使用することができる。
GOxおよび/またはキャリヤタンパク質の濃度は、本発明の様々な実施形態に対して変化させることができる。例えば、GOx濃度は、ほぼ50mg/ml(約10,000U/ml)からほぼ700mg/ml(約150,000U/ml)の範囲であり得る。特に、GOx濃度は、約115mg/ml(ほぼ22,000U/ml)である。かかる実施形態において、HSA濃度は、GOx濃度に応じて約0.5%〜30%(w/v)の間で変動し得る。特に、HSA濃度は、約1〜10%w/vであり、最も特定的には約5%w/vである。本発明の別の実施形態においては、コラーゲンまたはBSA(ウシ血清アルブミン)あるいはこれらの状況で使用されるその他の構造タンパク質を、HSAの代わりまたはHSAに添加して使用することができる。分析物感知構成成分中の酵素としてGOxを述べたが、限定はされないがグルコースデヒドロゲナーゼもしくはヘキソキナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼなどを含むその他のタンパク質および/または酵素も使用することができ、あるいはGOxの代わりに使用することができる。当業者には明らかなように、その他のタンパク質および/または酵素も使用することができる。さらに、例としての実施形態においてはHSAが使用されるが、例えばBSA、コラーゲンなどの他の構造タンパク質を、HSAの代わりまたはそれに加えて使用することができる。
GOx以外の酵素を採用する実施形態については、本明細書で論じたもの以外の濃度を使用することができる。例えば、採用した酵素に応じて、ほぼ1重量当り10重量%から1重量当り70重量%の範囲の濃度が適当であり得る。その濃度は、採用される特定の酵素によるばかりでなく得られるタンパク質マトリックスの望ましい特性によっても変動させることができる。例えば、タンパク質マトリックスが診断の適応能力のために使用される場合はある一定の濃度を使用することができ、さらにある特定の構造特性が必要な場合は別の濃度を使用することができる。当業者には当然のことであろうが、利用される濃度は、どの濃度(およびどの酵素またはタンパク質)が所望の結果をもたらすことができるかを決定する実験によって変化させることができる。
上記のように、本発明の特定の実施形態において、分析物感知構成成分は、導電性素子(例えば、酸素および/または過酸化水素濃度の変化を感知する電極)によって感知することができる信号(例えば、酸素および/または過酸化水素濃度の変化)を生ずることができる組成物(例えばグルコースオキシダーゼ)を含む。しかしながら、他の有用な分析物感知構成成分を、存在が検出されなければならない標的分析物との相互作用の後に導電性素子によって感知することができる検出可能な信号を生ずることができる任意の組成物から形成することができる。いくつかの実施形態において、その組成物は、感知される分析物と反応すると過酸化水素濃度を調節する酵素を含む。別法ではその組成物は、感知される分析物と反応すると酸素濃度を調節する酵素を含む。これに関連して、生理的分析物との反応において過酸化水素および/または酸素を使用するかまたは生成する多種多様な酵素が技術的に知られており、これらの酵素は、分析物感知構成成分組成物中に容易に組み込むことができる。当該技術分野で公知の様々なその他の酵素は、本明細書に記載されている好ましいセンサデザイン中に組み込まれている電極などの導電性素子によって検出することができるように修飾した化合物を生成しかつ/または利用することができる。かかる酵素としては、その全体の内容が参照により本明細書に援用されているマーセルデッカー社出版(1991年1月7日)のリチャード エフ.テイラー(編集者)によるProtein Immobilization: Fundamentals and Applications (Bioprocess Technology,VoI 14)の15〜29頁の表1および/または111〜112頁の表18に具体的に記載されている酵素が挙げられる。
その他の有用な分析物感知構成成分は、その標的分析物との相互作用が、存在を検出すべき標的分析物との相互作用の後、導電性素子によって感知することができる検出可能な信号を生ずることができる抗体を含むように形成することができる。例えば、米国特許第5427912号(参照により本明細書に援用される)は、試料中の分析物の濃度を電気化学的に測定する抗体に基づく装置について記載している。このデバイスにおいては、試験される試料、酵素受容体ポリペプチド、分析物類似体に結合した酵素供与体ポリペプチド(酵素供与体ポリペプチド抱合体)、標識化基材、および測定される分析物に対して特異的な抗体を含む混合物が形成される。分析物と酵素供与体ポリペプチド抱合体とは、抗体に競合的に結合する。酵素供与体ポリペプチド抱合体が抗体に結合しないとき、それは自発的に酵素受容体ポリペプチドと結合し、活性酵素複合体を形成する。その活性酵素は、次に標識化基材を加水分解し、電気活性標識の発生をもたらし、それは次に電極の表面で酸化することができる。電気活性化合物の酸化によりもたらされる電流は、測定して試料中の分析物の濃度と関連付けることができる。米国特許第5149630号(参照により本明細書に援用される)は、構成要素の少なくとも1つが酵素で標識化され、酵素基質の反応に伴うその基質と電極の間の電子の移動が複合体の形成またはリガンド複合体の転移によって結合していない酵素標識化構成要素と比べ、かき乱される(perturb)程度を測定するステップを含むリガンド(例えば、抗原、ハプテンまたは抗体)の電気化学的方法による特異結合アッセイについて記載している。その電子移動は、酵素からの電子を受け入れそれらを電極に供与することができる電子移動媒介物質または逆のもの(例えばフェロセン)によるかあるいはそれら自身は形式電荷を引き受けずに電極と極めて接近して酵素を保持する電子移動促進物質によって助長される。米国特許第5147781号(参照により本明細書に援用される)は、酵素乳酸デヒドロゲナーゼ−5(LDH5)の測定についてのアッセイおよびかかる定量に対するバイオセンサについて記載している。このアッセイは、この酵素の基質の乳酸およびニコチン−アミンアデニンジヌクレオチド(NAD)とのピルビン酸およびNADの還元生成物を生ずる相互作用に基づいている。抗LDH5抗体は、適当なガラス状カーボン電極に結合され、これがLDH5を含有する基材と接せられ、すすがれてNAD溶液中に入れられ、電流測定系に接続され、乳酸が加えられ、電流の変化が測定され、それによってLDH−5の量が示される。米国特許第6410251号(参照により本明細書に援用される)は、特定の結合ペア中の1個の構成部分、例えば、抗原/抗体ペアにおける抗原を検出または分析するための、感知表面積を備えた酸素微小電極が使用される標識を検出するためのレドックス反応に加えて抗原と抗体の間の結合などの特定の結合を利用することによる装置および方法について記載している。加えて、米国特許第4402819号(参照により本明細書に援用される)は、不溶性の膜を採用し、そこにイオンキャリヤを結合してある抗原を組み込み、その中の前もって選ばれたカチオンの透過性に影響を及ぼし、その透過性が、分析における特定の抗体濃度、および対応する分析方法の関数である希薄な液状血清試料中の抗体(分析物としての)を定量するための抗体選択性電位電極について記載している。関連する開示については、その内容が参照により本明細書に援用されている米国特許第6703210号、同第5981203号、同第5705399号および同第4894253号を参照されたい。
酵素および抗体に加えて、本明細書で開示されているセンサの分析物感知構成成分で使用されるその他の典型的な材料としては、特定タイプの細胞または細胞成分(例えばポリペプチド、炭水化物など);一本鎖DNA;抗原などが挙げられる。検出可能なシグナルは、例えば、色の変化などの光学的に検出可能な変化または所望の分析物(例えば細胞)の目に見える蓄積である。センサ素子は、また、本質的に非反応性である材料(すなわち対照)から形成することもできる。前述の別のセンサ素子は、例えば、細胞選別アッセイおよびウイルス(HIV、C型肝炎など)、細菌、原虫などの病原体の存在についてのアッセイにおいて使用するためのセンサに役立つように含まれる。
同様に考えられるのは、外部環境中に存在する分析物を測定し、それ自体が電極における測定可能な電流の変化を生ずることができる分析物センサである。かかる分析物を測定するセンサにおいては、分析物感知構成成分は任意的であり得る。
タンパク質層構成成分の実施形態
本発明の電気化学的センサの実施形態は、場合によって、分析物感知構成成分と分析物調節構成成分の間に配置されるタンパク質層を含む(例えば図2の素子116を参照)。用語「タンパク質層構成成分」は、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、分析物感知構成成分および/または分析物調節構成成分との相容性のために選択されるキャリヤタンパク質などを含有する構成成分を指す。典型的な実施形態において、タンパク質構成成分は、ヒト血清アルブミン(HSA)などのアルブミンを含む。そのHSA濃度は、約0.5%〜30%(w/v)の間で変動し得る。好ましくは、HSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も好ましくは約5%w/vである。本発明の別の実施形態においては、これらの状況において使用されるコラーゲンまたはBSA(ウシ血清アルブミン)あるいはその他の構造タンパク質を、HSAの代わりまたはHSAに加えて使用することができる。この構成成分は、技術的に認められている手順に従って分析物感知構成成分上で一般的には架橋する。
接着促進性構成成分の実施形態
本発明の電気化学センサの実施形態は、1つ以上の接着促進性(AP)構成成分を含むことができる(例えば、図2の素子114を参照)。用語「接着促進性構成成分」は、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、センサ中の隣接している構成成分の間の接着を促進するそれらの能力のために選択された材料を含む構成成分を指す。一般的には接着促進性構成成分は、分析物感知構成成分と分析物調節構成成分の間に配置される。特に接着促進性構成成分は随意的なタンパク質構成成分と分析物調節構成成分の間に配置される。接着促進剤構成成分は、かかる構成成分間の接着を促進する当該技術分野で公知の多種多様の材料のいずれかから選択することができ、当該技術分野で公知の多種多様の方法のいずれかによって塗布することができる。特に、この接着促進剤構成成分は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。
接着を促進するためには、シランカップリング剤、特に式R’Si(OR)であって、式中R’は一般的には末端にアミンを有する脂肪族基であり、Rは低級アルキル基であるものが当該技術分野で公知である(例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第5212050号を参照)。例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランおよびグルタルアルデヒドが、ウシ血清アルブミン(BSA)およびグルコースオキシダーゼ(GOx)を電極表面に付着させて架橋する段階的プロセスにおいて使用された化学的に修飾された電極は、当該技術分野では周知である(例えば、ヤオ ティー.のAnalytica Chim.Acta 1983,148,27〜33参照)。
本発明のいくつかの実施形態において、接着促進性構成成分は、分析物調節構成成分中にグルコースなどの分析物の拡散を制限させるために、隣接する構成成分中に同様に存在することができるポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物などの1つ以上の化合物をさらに含む。例示的な実施形態において、その処方は、0.5〜20%のポリジメチルシロキサン(PDMS)、好ましくは5〜15%のPDMS,最も好ましくは10%のPDMSを含む。本発明のその他の実施形態においては、接着促進性構成成分は、分析物調節構成成分などの隣接する構成成分中に存在するシロキサン部分とそれが架橋できるように選択された作用物質を含む。本発明と密接に関係する実施形態において、接着促進性構成成分は、分析物感知構成成分および/またはタンパク質構成成分などの隣接する構成成分中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分にそれが架橋できるように選択された作用物質を含む。
分析物調節構成成分の実施形態
本発明の電気化学センサの実施形態としては、そのセンサに配置されている分析物調節構成成分が挙げられる(例えば、図2の素子112を参照)。用語「分析物調節構成成分」は、技術的に認められている専門用語に従って本明細書では使用されており、一構成成分を指して、それは、グルコースなどの1つ以上の分析物がその構成成分を通る拡散を調節するように作用するセンサ上の膜を一般的に形成する。本発明のいくつかの実施形態において、分析物調節構成成分は、グルコースなどの1つ以上の分析物がその構成成分を通る拡散を阻止または制限するように作用する分析物制限膜である。本発明の他の実施形態においては、分析物調節構成成分は、1つ以上の分析物がその構成成分を通る拡散を助長するように作用する。場合によっては、かかる分析物調節構成成分は、1種類の分子(例えばグルコース)がその構成成分を通る拡散を阻止または制限し、さらに同時に他の種類の分子(例えばO)がその構成成分を通る拡散を許容もしくは助長するように形成することができる。
既知の酵素電極におけるグルコースセンサに関しては、血液からのグルコースおよび酸素、ならびにアスコルビン酸および尿酸などのいくつかの干渉物質は、センサの主膜を通って拡散する。グルコース、酸素および干渉物質が分析物感知構成成分に到達するとグルコースオキシダーゼなどの酵素は、グルコースの過酸化水素およびグルコノラクトンへの転化の触媒作用をする。その過酸化水素は、分析物調節構成成分を通って元に戻る拡散をするか、またはそれは電極に拡散することができ、そこでそれは反応して酸素とプロトンを形成し、グルコース濃度に比例する電流を生み出すことができる。センサ膜アセンブリは、グルコースの通過を選択的に許容することを含む一定の機能を果たす。これに関連して、分析物調節構成成分は、水、酸素および少なくとも1つの選択的分析物の通過を許容し、水を吸収する能力を有する半透膜であり、この膜は、水溶性の親水性ポリマーを有する。
様々な例示的な分析物調節構成成分が当該技術分野では公知であり、例えば米国特許第6319540号、同第5882494号、同第5786439号、同第5777060号、同第5771868号および同第5391250号に記載されており、それぞれの開示は、参照により本明細書に援用される。そこに記載されているヒドロゲル類は、周りを取り巻く水の構成成分を提供することが有利である様々なインプラント可能なデバイスにおいて特に有用である。本発明のいくつかの実施形態において、分析物調節組成物としてはポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。本発明のその他の実施形態においては、分析物調節構成成分としては、隣接する構成成分中に存在するシロキサン部分にそれが架橋できるように選択された作用物質が挙げられる。本発明と密接に関連する実施形態において、接着促進性構成成分としては、隣接する構成成分中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分にそれが架橋できるように選択された作用物質が挙げられる。
カバー構成成分の実施形態
本発明の電気化学センサの実施形態は、一般的には電気絶縁性の保護構成成分である1つ以上のカバー構成成分を含む(例えば、図2の素子106を参照)。一般的には、かかるカバー構成成分は、分析物調節構成成分の少なくとも一部の上に配置される。絶縁性保護カバー構成成分としての使用に対して許容できるポリマーコーティングとしては、これに限定されるものではないが、シリコーン化合物、ポリイミド類、生体適合性のはんだマスク類、エポキシアクリラートコポリマー類などの無毒の生体適合性ポリマー類を挙げることができる。さらに、これらのコーティングは、導電性構成成分に通ずるアパーチャのフォトリソグラフィー的形成を容易にする写真画像化が可能であり得る。代表的なカバー構成成分は、スパンオンシリコーン(spun on silicone)を含む。当該技術分野では公知のように、この構成成分は、市販のRTV(室温でゴム状になる)シリコーン組成物であり得る。これに関連する典型的な化学物質は、ポリジメチルシロキサン(アセトキシ系)である。
様々な例示的な本発明の実施形態およびそれらの特徴を以下の節で詳細に述べる。
D.分析物センサアパラッチの例示的な実施形態および関連する特徴
本明細書に開示されている方法により作製される分析物センサアパラッチは、多数の実施形態を有する。本発明の一般的な実施形態は、哺乳動物に埋め込む分析物センサ装置である。分析物センサは、一般的には哺乳動物の体内にインプラント可能なように設計されると同時に、そのセンサは、特定の状況に限定されるのではなく、それどころか、多種多様な状況において、例えば、全血、リンパ液、血漿、血清、唾液、尿、糞便、汗、粘液、涙、脳脊髄液、鼻汁、子宮頚部もしくは膣の分泌物、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液などの生体液を含む殆どの液体試料の分析に、使用することができる。加えて、固体または乾燥した試料を適当な溶媒に溶解して分析に適した液体混合物を用意することができる。
上記のように、本明細書に開示されているセンサの実施形態は、1つ以上の生理的な環境における重要な分析物を感知するために使用することができる。例えばいくつかの実施形態においては、皮下センサで一般的に起こるように間質液と直接接触した状態であり得る。本発明のセンサは、また、間質性グルコースが皮膚を通して抽出されセンサと接触するように持ち込まれる皮膚表面のシステムの一部でもあり得る(例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第6155992号および同第6706159号を参照)。他の実施形態において、センサは、例えば静脈内センサで一般的に起こるように血液と接触した状態であり得る。本発明のセンサの実施形態は、様々な状況における使用に適合するものをさらに含む。例えばいくつかの実施形態において、センサは、携帯式使用者により採用されるような移動できる状況用に設計することができる。別法では、センサは、臨床場面での使用に適合するものなどの静止した状況用に設計することができる。かかるセンサの実施形態としては、例えば、入院患者における1つ以上の生理的環境中に存在する1つ以上の分析物を監視するために使用するものが挙げられる。
本発明のセンサの実施形態は、また、当該技術分野では公知の多種多様の医療システムに組み込むことができる。本発明のセンサの実施形態は、例えば、薬物が使用者の体内に注ぎ込まれる速さを制御するように設計されている閉ループ注入システムにおいて使用することができる。かかる閉ループ注入システムは、センサおよび送達システムを順々に作動させる制御装置への入力を発生するそれと連結しているメーター(例えば、薬物注入ポンプによって送達される投与量を計算するもの)を含むことができる。かかる状況においてセンサに連結しているメーターは、また、送達システムに指令を送ることができ、かつ離れて制御するためにも使用され得る。特に、このセンサは、使用者の体内のグルコース濃度を監視する間質液と接している皮下のセンサであり、使用者の体内に送達システムによって注入される液体はインスリンを含む。例示的なシステムは、例えば、米国特許第6558351号および同第6551276号;国際出願番号PCT/US99/21703、同US99/22993;ならびに国際公開第2004/008956および同第2004/009161号に開示されており、これらは全て参照により本明細書に援用される。
本発明のいくつかの実施形態は、過酸化物を測定し、皮下インプラントおよび静脈内インプラントの領域ならびに様々な血管のない領域へのインプラントを含む哺乳動物の様々な部位におけるインプラントに適する有利な特徴を有する。血管のない領域へのインプラントを可能にする過酸化物センサのデザインは、酸素を測定する一定のセンサ装置のデザインより多くの利点を有しており、それは血管のない領域に埋め込まれた酸素センサでは酸素ノイズによる問題が起こり得るためである。例えば、そのような埋め込まれた酸素センサ装置のデザインにおいては、参照センサにおける酸素ノイズが信号対ノイズ比に欠陥を生じさせ、その結果、この環境において安定したグルコースの測定値を得るそれらの能力がかき乱される。本発明の過酸化物センサの実施形態は、血管のない領域におけるかかる酸素センサで見られる困難をしたがって克服する。
本発明のいくつかの実施形態は、30日を超える期間にわたる哺乳動物におけるインプラントに適する有利な長期間のまたは「永久的」なセンサを提供する。特に当該技術分野で公知のように(例えば、ISO10993、医療機器の生物学的評価(Biological Evaluation of Medical Devices)を参照)、本明細書に記載されているセンサなどの医療デバイスは、インプラント期間に基づいて3つのグループ:(1)「限定的」(<24時間)、(2)「持続的」(24時間〜30日)、および(3)「永久的」(>30日)に分類される。本発明の特定の実施形態においては、本発明の過酸化物センサのデザインは、この分類による「永久的」インプラント、すなわち>30日を可能にする。本発明に関連する実施形態において、本発明の過酸化物センサの非常に安定なデザインは、この点で2、3、4、5、6ヶ月または12ヶ月以上にわたって機能し続けるインプラントセンサを可能にする。
本明細書に開示されている本発明は、多数の実施形態を有する。本発明の典型的な実施形態は、使用者の体内の少なくとも1種の分析物を測定するための長期間のセンサであり、このセンサは、ハウジングと、このハウジングに結合されたセンサと、このセンサから離れたところに情報を中継するための、センサに動作するように結合された少なくとも1つの構造体とを含み、このセンサは、センサ素子が異なる時間に活性化されてセンサの耐用期間を引き延ばすことができるような方式で制御することができる2個以上の素子を有する少なくとも1つのセンサアレイを含む。本発明のいくつかの実施形態においては、かかる長期の分析物センサデバイスは、持続的分析物センサである。別法では、この分析物センサデバイスは、永久的分析物センサである。
本発明の別の例示的な実施形態は、少なくとも1種の分析物を感知するための分析物センサデバイスであり、この分析物センサデバイスは、分析物と接触し、それを感知するように適合された複数の分析物センサ素子と、その複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に、分析物がその複数の分析物センサ素子のその少なくとも1つと可逆的に接触することを防止するように配置されている少なくとも1つの分析物センサ膜(この分析物センサ膜の透過性は、分析物が、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように制御することができる)と、分析物センサデバイスから離れたところに情報を中継するための、分析物センサデバイスに動作するように結合された少なくとも1つの構造体とを含む。場合によっては、分析物と接触し、それを感知する複数の分析物センサ素子は、分析物センサデバイスのアレイ中に配置される。
分析物センサデバイス中の複数の分析物センサ素子内の個々のセンサ素子は、同じまたは異なる分析物を感知することができる。これに関連して、本発明の実施形態は、複数の分析物を同時に測定するように適合されている。例えば、本発明の実施形態は、異なる分析物を感知するように適合されている複数の個々のセンサ素子(例えば、各空洞内のもの)を同時に外部環境に曝すことができるように適合させることができる。別法では、異なる分析物を感知するように適合されている複数の個々のセンサ素子を異なる時間に外部環境に曝すことができる。類似の実施形態は、単一のチップ上(または、別法では複数のチップ上)で複数分析物のセンサとして機能するように適合されている分析物センサデバイスを含む。いくつかの状況において、分析物センサデバイス中で分析物と接触し、それを感知する複数の分析物センサ素子内の個々の分析物センサ素子からの信号は、個々にインタロゲートされ、かつ/または読み取られる。別法では、分析物センサデバイス中で分析物と接触し、それを感知する複数の分析物センサ素子内の複数の分析物センサ素子は、同時におよび/または組み合わされてインタロゲートされ、かつ/または読み取られる。
分析物センサデバイスの実施形態としては、分析物センサ膜により覆われた分析物センサ素子と、加えて、制御可能な分析物センサ膜により同様に覆われている1つ以上のリザーバとの両方を含むように適合されているものが挙げられる。また、前記リザーバは、例えば分析物センサデバイスの働きを円滑にするためそのリザーバから制御可能なように放出させることができる1つ以上の化合物を含有する。かかる実施形態の1つにおいて、かかるリザーバは、分析物センサデバイス中の分析物センサ素子に対する較正液(例えば、確定した分析物濃度を有する液)として機能する溶液を含むことができる。かかる較正液の例としては、グルコースおよび/または乳酸の確定した濃度を含有する液体(すなわち、グルコースおよび/または乳酸のセンサ用)が挙げられる。本発明のかかる実施形態においては、1つ以上のリザーバからの較正液は、デバイス中の分析物センサ素子(1つ以上)にそれらを曝すように放出され、このようにして分析物センサのそれぞれを較正することができる。本発明のいくつかの実施形態においては、かかる液体を含有する空洞は、センサ素子と共に局在化することができる。
分析物センサ素子と同様に環境中に制御可能なように放出することができる化合物を含有するリザーバとの両方を可逆的に覆うバリア膜を含むように適合された本発明の実施形態としては、リザーバ中の化合物が、例えば、センサデバイスが設置されるインビボの組織環境を作りなおしかつ/または適応させることによって、分析物センサデバイスの機能を高めるように設計されているものが挙げられる。本発明のかかる実施形態の1つにおいて、リザーバは、医療デバイスのインプラントによって起こり得る宿主応答を減少させるように設計された化合物を含有することができる。かかる化合物としては、当該技術分野で公知の多種多様のかかる化合物、例えば、細胞応答を減少させるホルモン類および/またはラパマイシンなどの抗体類のいずれかを挙げることができる。かかる化合物は、インビトロおよび/またはインビボでの細胞の成長を阻害する化合物または組成物である「成長阻害剤」を含む。かくして、例示的な成長阻害剤は、S期における細胞の百分率を著しく減少させるものであり得る。成長阻害剤の例としては、G1抑止およびM期抑止を誘発する薬剤などの細胞周期進行を妨害する(S期以外の場で)薬剤が含まれる。古典的なM期ブロッカーとしては、ビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、TAXOL(登録商標)、およびドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンなどのトポII阻害剤が挙げられる。G1を抑止するこれらの薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびシタラビン(ara-C)は、またS期の抑止にも波及する。
本発明の別法の実施形態においては、リザーバは、インプラント部位が、例えば、分析物センサ素子への分析物の移送をある程度高めるように組織部位における「血管増生」を高めることを達成するように設計された化合物を含むことができる。そのような化合物としては、当該技術分野で公知の多種多様のそのような化合物、例えばサイトカイン類のいずれか1つを挙げられる。この文脈において、「サイトカイン」とは、細胞間の媒介物として他の細胞に作用する1つの細胞集団により放出されるそうしたタンパク質を意味する。かかるサイトカインの例は、リンフォカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。このサイトカインに含まれるものは、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなど;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン類、例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)など;肝臓成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子αおよびβ;ミューラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン連結ペプチド;インヒビン;アクティビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えば、NGF−αなど;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGFs)、例えば、TGF−αおよびTGF−βなど;インスリン様成長因子IおよびII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン−α、−β、−γなど;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ−CSF(M−CFS)、顆粒球マクロファージ−CSF(GM−CSF)、および顆粒球−CSF(G−CSF)など;インターロイキン(IL)、例えば、IL−I、IL−lα、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12など;腫瘍壊死因子、例えば、TNF−αまたはTNF-βなど;ならびにLIFおよびキットリガンド(KL)を含むその他のポリペプチド因子である。本明細書で使用される用語のサイトカインは、自然源または組み換え型細胞培養からのタンパク質および未変性配列のサイトカインの生物学的に活性な同等物が含まれる。
本発明の他の実施形態としては、リザーバが、最適の環境を作り出すために、薬剤の送達および/またはデバイスを取り巻く組織環境をある程度高めるように、異なる時間に放出される一連の化合物を含むことができるものが含まれている。皮下および腹膜組織は、攻撃的な宿主応答をすることで良く知られているので、本発明のいくつかの実施形態は、ある薬物を通じてインプラント後直近の時間(例えば最初の数時間)の宿主応答を減少する化合物を含み、それから、その後インプラント後の長期間(例えば次の数週間)中にインプラント近くの血管の形成を促進し、一方同時に線維性皮膜形成の可能性を最小にする。かかる実施形態において、分析物センサデバイス中の様々なリザーバは、所定の薬物プロファイルに従って放出される一連の異なる化合物を含有することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサデバイス/装置中の分析物センサ素子は、限定はされないが、基層およびその基層上に配置された導電層を含み、その導電層は、作用電極ならびに好ましくは参照電極および対電極を含む。本発明のこの実施形態において、分析物感知層は、導電層上に配置される。一般的に、この分析物感知層は、分析物の存在下での導電層中の作用電極の電流を検出できるように変える組成物を含む。かかる組成物の説明に役立つ例としては、酵素類、例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼおよびラクトースデヒドロゲナーゼなど(例えば、酵素層を安定化させるその他のタンパク質および/またはポリマー、および/またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。本発明のこの実施形態は、分析物感知層上に配置されたタンパク質層を場合によって含み、このタンパク質層は、一般的にはキャリヤタンパク質、例えば、ウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンなどを含む。この実施形態においては、分析物感知層と1つ以上の隣接するセンサ層との間の接着を促進するために役立つ接着促進層が、分析物感知層または任意のタンパク質層の上に配置される。特に、この接着促進層は、センサ構造体の安定性を高めるために選択されるシラン組成物、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシランを含む。この実施形態はまた、分析物感知層の上に配置された分析物調節層を含み、この分析物調節層は、分析物の、例えばグルコース制限膜を通る拡散性を調節する。この実施形態はまた、分析物調節層の少なくとも一部の上に配置された絶縁性のカバー層を含み、このカバー層は、分析物調節層の少なくとも一部を感知されるべき分析物を含む溶液に曝すアパーチャをさらに含む。特に、分析物センサ装置は、電流の変化が分析物センサ装置の導電層中の作用電極(アノード)で検出でき、この作用電極で検出できる電流の変化を、分析物の濃度と相関させることができるようにアノード分極を介して機能するように設計される。
本発明のデバイスの実施形態においては、分析物センサ膜の透過性は、複数の分析物センサ素子中の第1の分析物センサ素子が、生物付着および/または第1の分析物センサ素子中に配置されている分析物感知酵素の活性の喪失によって分析物を感知する能力の減少を示した後に、複数の分析物センサ素子中の第2の分析物センサ素子が分析物と接触するように一般的には制御され、その結果分析物センサデバイスの耐用期間が延長される。本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサデバイスは、哺乳動物の体内に埋め込むことができる。場合によって、感知される分析物は、グルコースおよび/または乳酸である。
以下で詳細に論ずるように、分析物センサ膜は、当該技術分野では公知の多数の異なる方法および材料を用いて製造することができる。例えば、一実施形態において、分析物センサ膜は、分析物センサ素子を空気遮断する破裂可能な金属膜を含む。別法では、分析物センサ膜は、インビボ環境中規定速度で劣化する生分解性ポリマーを含む。
本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜および/または分析物センサ素子は、特定の膜の破裂および/または特定の分析物センサ素子からの信号のインタロゲーションおよび受理を可能にするように慎重に制御される。本発明のいくつかの実施形態において、複数の分析物センサ素子は、そこに配置されている複数の異なる分析物センサ膜を有する。別法では、複数の分析物センサ素子は、そこに配置されている類似のまたは同一の分析物センサ膜を有する。場合によっては、少なくとも1つ分析物センサデバイス中の分析物センサ素子は、そこに配置されるヒドロゲルを含み、水性溶液に曝されると、そのヒドロゲルは分析物センサ膜の透過性をある程度増すように膨張する。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物に埋め込むためのセンサ装置を製造する方法であって、分析物と接触し分析物を感知するように適合されている複数の分析物センサ素子を提供するステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に配置された少なくとも1つの分析物センサ膜を、分析物が前記複数の分析物センサ素子の前記少なくとも1つと可逆的に接触することを防止し、前記分析物センサ膜の透過性が、分析物が前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように調節することができるように提供するするステップと、分析物センサデバイスから情報を中継するための、分析物センサデバイスに動作するように結合された少なくとも1つの構造体を提供するステップとを含む。
本発明のさらに別の実施形態は、時間が経って分析物センサ素子上に配置された分析物感知酵素の生物付着または活性の喪失による分析物の感知能力の減少を示す分析物センサ素子を含む分析物センサデバイスの耐用期間を延長する方法であって、該方法は、分析物と接触し分析物を感知するように適合された複数の分析物センサ素子と、分析物が前記複数の分析物センサ素子の前記少なくとも1つと可逆的に接触することを防止し、前記分析物センサ膜の透過性が、分析物が前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように調節することができるように前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に配置した少なくとも1つの分析物センサ膜と、分析物センサデバイスからの情報を中継するための、分析物センサデバイスに動作するように結合された少なくとも1つの構造体とを含む分析物センサデバイスにより分析物を感知するステップを含み、その分析物センサデバイスの耐用期間は、分析物と接触し分析物を感知する複数の分析物センサ素子中の第1の分析物センサ素子を、その第1の分析物センサ素子がその第1の分析物センサ素子上に配置された分析物感知酵素の生物付着または活性の喪失により分析物を感知する能力の減少を示したとき失活させ、一方分析物と接触し分析物を感知するように適合された複数の分析物センサ素子中の第2の分析物センサ素子を、分析物がその第2の分析物センサ素子と接触することが可能となるようにその第2の分析物センサ素子上に配置された分析物センサ膜の透過性を制御することによって活性化させることにより、延長させる。
本明細書に開示されている分析物センサデバイスの様々な構成要素は、様々な構成によってアレンジすることができる。例えば本発明のいくつかの実施形態においては、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つがリザーバまたはウェル中に配置される。別法では、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つはリザーバまたはウェル中には配置されない。この2番目の構成は、例えば、インプラント可能な分析物センサデバイス中のリザーバまたはウェル構造が、分析物センサ素子の生物付着を促進する壊死組織片(例えば、細胞成分など)のトラップとして作用する状況において有利である。このため、リザーバまたはウェルを排除することによって、例えば分析物センサ素子をそれが配置されるハウジング面とぴったり重ねて有することにより、分析物センサ素子の生物付着は阻止される。
E.分析物センサ装置および素子の置換の実施形態
上記のように、本明細書に開示されている本発明は、その全てが1つ以上のセンサ保護膜によって覆うことができる様々なセンサの実施形態を当業者なら製作することを可能にする。本発明のかかる実施形態は、本明細書に開示されている分析物センサ装置の様々な置換を当業者なら生み出すことが可能である。上記のように、本明細書に開示されているセンサの例示的な一般的な実施形態は、基層、カバー層およびこの基層とカバー層の間に配置された電極などのセンサ素子を有する少なくとも1つの層を含む。一般的には、1つ以上のセンサ素子(例えば、作用電極、対電極、参照電極など)の露出部分は、適切な電極化学作用を有する材料の非常に薄い層により被覆されている。例えば、乳酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼまたはヘキソキナーゼなどの酵素を、カバー層中に画定された開口部またはアパーチャ内のセンサ素子の露出部分に配置することができる。図2は、本発明の典型的なセンサ構造体100の断面を示す。このセンサは、センサ構造体100を製造する本発明の方法に従って相互の上に配置された様々な導電性および非導電性構成成分の複数の層から形成される。
上記のように、本発明のセンサにおいて、センサの様々な層(例えば、分析物感知層)は、その中に組み込まれた1つ以上の生物活性の材料および/または不活性の材料を有することができる。本明細書で使用される用語「組み込まれた」とは、組み込まれた材料が、固体相の外側表面またはその中に保持されているか、またはその層のマトリックスを支えている何らかの状態または条件を説明することを指す。したがって、「組み込まれた」材料は、例えば、固定化され、物理的に混入され、マトリックス層(1つ以上)の官能基に共有結合している可能性がある。その上、前記材料の「組み込み」を促進する任意のプロセス、試薬、添加物、または分子リンカー剤を、これらの追加のステップまたは作用物質が本発明の目的にとって有害ではなく調和する場合は、採用することができる。この定義は、勿論、生物活性分子(例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素)が「組み込まれる」本発明の実施形態のいずれにも通用する。例えば、本明細書に開示されているセンサのいくつかの層は、架橋可能なマトリックスとして役立つアルブミンなどのタンパク質性の物質を含む。本明細書で使用されるタンパク質性の物質とは、実際の物質が、天然タンパク質、不活性化タンパク質、変性タンパク質、加水分解した種類、またはそれらの誘導体化生成物であってもなくてもタンパク質から一般に誘導される物質を含むことを指す。適当なタンパク質性の物質の例としては、限定はされないが、酵素、例えば、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼなど、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど)、カゼイン、γ−グロブリン、コラーゲンおよびコラーゲン誘導生成物(例えば、フィッシュゼラチン、フィッシュグルー、動物ゼラチン、および動物グルー)が挙げられる。
本発明の特定の実施形態を図2に示す。この実施形態は、センサ100を支持する電気絶縁性の基層102を含む。電気絶縁性の基層102は、セラミック基板などの材料製であり得、自立性であるかまたは当該技術分野では公知の別の材料によってさらに支持されていてもよい。代わりの実施形態においては、この電気絶縁性の層102は、ポリイミド基板、例えば、リールから分配されたポリイミドテープを含む。この形の層102の提供により、清潔で高密度の大量生産を容易にすることができる。さらに、かかるポリイミドテープを使用するいくつかの生産工程においては、センサ100は、テープの両面に製造することができる。
本発明の典型的な実施形態は、基層102上に配置された分析物感知層を含む。図2に示されているある実施形態において、この分析物感知層は絶縁性の基層102上に配置されている導電層104を含む。特に、この導電層104は、1つ以上の電極を含む。この導電層104は、これから後説明するように、多くの既知の技術および材料を用いて塗布することができ、また一方、センサ100の電気回路は、配置されている導電層104を所望のパターンの導電性パスにエッチングすることによって一般的には輪郭が示される。センサ100に対する典型的な電気回路は、近接端部に導体パッドを形成する領域および遠位末端にセンサ電極を形成する領域を備えた2個以上の隣接する導電性パスを含む。ポリマーコーティングなどの電気絶縁性の保護カバー層106は、導電層104の一部の上に一般的には配置される。絶縁性保護カバー層106として使用するための許容できるポリマーコーティングとしては、限定はされないが、ポリイミド類、生体適合性はんだマスク類、エポキシアクリラートコポリマー類などを挙げることができる。さらに、これらのコーティングは、導電層104に通ずるアパーチャ108のフォトリソグラフィー的形成を容易にする写真画像化が可能であり得る。本発明のいくつかの実施形態において、分析物感知層は、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーマトリックス上に配置され、この素子の組み合わせがセンサの電極として機能する。
本発明のセンサの実施形態においては、保護層106を通過して導電層104に至る1つ以上の露出している領域またはアパーチャ108を作製し、センサ100の接触パッドおよび電極を設定することができる。フォトリソグラフィー現像に加えて、アパーチャ108は、レーザーアブレーション、ケミカルミリングまたはエッチングなどを含む多数の技術によって形成することができる。二次的なフォトレジストをカバー層106に塗布し、除去すべき保護層の領域を設定し、アパーチャ108を形成することもできる。作動センサ100は、電気的に互いに隔離されており、一方で一般的には互いに極めて接近して設けられている作用電極および対電極としての複数の電極を一般的に含む。他の実施形態は、参照電極も含む。さらに他の実施形態は、センサ上に形成されていない別の参照素子を利用することができる。露出している電極および/または接触パッドは、また、表面を調製するためおよび/または導電性領域を強化するため、アパーチャ108を介した追加的めっき処理などの二次的な処理を受けることができる。
分析物感知層110は、アパーチャ108を通って導電層104の1つ以上の露出した電極上に一般的には配置される。特に、分析物感知層110は、センサ化学層および最も好ましくは酵素層である。特に、分析物感知層110は、酵素グルコースオキシダーゼまたは酵素乳酸オキシダーゼを含む。かかる実施形態において、分析物感知層110は、グルコースと反応して電極への電流を調節する過酸化水素を生成し、それはグルコースの存在量を測定するために監視することができる。センサ化学層110は、導電層の一部の上または導電層の全体の領域上に塗布することができる。特に、センサ化学層110は、導電層を含む作用電極および対電極の一部の上に配置される。薄いセンサ化学層110を作製するための特定の方法としては、スピンコーティング法、ディップアンドドライ法、低シェア吹き付け法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン法などが挙げられる。最も好ましくは、薄いセンサ化学層110は、スピンコーティング法を用いて塗布される。
分析物感知層110は、一般的には1つ以上のコーティング層で被覆される。本発明の特定の実施形態において、かかるコーティング層の1つとしては、分析物感知層の酵素と接触することができる分析物の量を調整することができる膜が挙げられる。例えば、コーティング層は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層と接触するグルコースの量を調整するグルコース制限膜などの分析物調節膜層を含むことができる。そのようなグルコース制限膜は、そのような目的に適することが知られている多種多様の材料、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(Kodak AQ)、ヒドロゲル類または当業者には公知の任意のその他の膜から製造することができる。
本発明の特定の実施形態において、コーティング層は、センサ化学層110とのグルコースの接触を調整するためのセンサ化学層110上に配置されているグルコース制限膜層112である。本発明のある実施形態においては、図2に示すように、接着促進剤層114が、膜層112とセンサ化学層110の間にそれらの接触および/または接着を促進するために配置されている。この接着促進剤層114は、かかる層の間の接合を促進することが当該技術分野で公知の多種多様の材料のいずれかから製造することができる。好ましくは、接着促進剤層114は、シラン化合物を含む。別法の実施形態においては、接着促進剤層114は存在せずに、膜層112がセンサ化学層110と直接接触するように配置されることが可能となるように、センサ化学層110中のタンパク質またはそれと似た分子を、十分に架橋させるかまたは別の方法を用意することができる。
上記のように、本発明の実施形態は、1つ以上の機能性コーティング層を含むことができる。本明細書で使用される用語「機能性コーティング層」とは、センサの少なくとも1つの表面の少なくとも一部、より好ましくは、実質的に全てのセンサの表面を被覆する層を意味し、それは、センサが配置されている環境において、1つ以上の分析物、例えば、化合物、細胞類およびそれらの断片などと相互に作用することができる。機能性コーティング層の非限定的な例としては、センサ化学層(例えば酵素層)、分析物境界層、生体適合性層、センサの滑り性を増す層、センサへの細胞付着を促進する層、センサへの細胞付着を減少させる層、などが挙げられる。一般的に、分析物調節層は、グルコースなどの1つ以上の分析物のこれらの層を通る拡散を防止または制限するように作用する。場合によって上記の層はその層を通る1種類の分子(例えばグルコース)の拡散を防止または制限し、一方同時にその層を通る他の種類の分子(例えばO)の拡散を許容または促進さえするように形成することができる。例示的な機能性コーティング層は、ヒドロゲル、例えば、それぞれの開示が参照により本明細書に援用されている米国特許第5786439号および同第5391250号に開示されているものである。そこに記載されているヒドロゲル類は、周囲の水層を提供することが有利である様々なインプラント可能なデバイスにおいて特に有用である。
本明細書に開示されているセンサの実施形態は、UV吸収性ポリマーを有する層を含むことができる。本発明の一態様によれば、UV吸収性ポリマーを含む少なくとも1つの機能性コーティング層を含むセンサが提供される。特定の実施形態において、このUV吸収性ポリマーは、ポリウレタン、ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素コポリマーである。より好ましくは、選択されるUV吸収性ポリマーは、ジイソシアナート、少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはそれらの混合物、および多官能性UV吸収性モノマーを含む反応混合物から形成される。
UV吸収性ポリマーは、様々なセンサ製作方法、例えば、ロード(Lord)らの発明の名称が「Transcutaneous Sensor Insertion Set」の米国特許第5390671号;ウイルソンらの発明の名称が「Implantable Glucose Sensor」の米国特許第5165407号;およびゴフ(Gough)らの発明の名称が「Two−Dimensional Diffusion Glucose Substrate Sensing Electrode」の米国特許第4890620号(これらは参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されている方法で有利に使用される。しかしながら、センサ素子の上または下にUV吸収性ポリマー層を形成するステップを含むセンサ製造方法は、いずれも、本発明の範囲内であると考えられる。特に、本発明の方法の実施形態は、薄膜製作方法に限定されず、UVレーザー切断を利用するその他のセンサ製作方法を扱うことができる。実施形態は、厚膜、平面または円筒型センサなど、およびレーザー切断を必要とするその他のセンサ形状を扱うことができる。
本明細書に開示したように、本発明のセンサの実施形態は、糖尿病患者におけるグルコースの血中濃度を監視するための皮下または経皮グルコースセンサとして使用するために特に設計されている。一般的には、各センサは、複数のセンサ素子、例えば、下にある絶縁性の薄膜基層と上にある絶縁性の薄膜カバー層の間に形成されている細長い薄膜導体などの導電性素子を含む。
必要に応じて、複数の異なるセンサ素子を単一のセンサ中に含めることができる。例えば、導電性センサ素子および反応性センサ素子の両方を、場合によって各センサ素子を基層の異なる部分に配置して、1つのセンサ中に組み合わせることができる。1つまた複数の制御素子もまた用意することができる。かかる実施形態においては、センサは、そのカバー層に複数の開口部またはアパーチャを設けておくことができる。1つ以上の開口部は、センサが配置されている環境における基層の1つ以上の分析物との相互作用を提供するために、基層の一部の真上のカバー層の中にも設けることができる。基層およびカバー層は、様々な材料、一般的にはポリマー類を含むことができる。より特定的実施形態において基層およびカバー層は、ポリイミドなどの絶縁性の材料を含む。開口部は、カバー層の中に一般的には形成され、遠位末端電極および近位末端接触パッドを露出させる。グルコース監視用途においては、例えば、センサは、遠位末端電極が患者の血液または細胞外液と接触するように経皮的に設置し、接触パッドは、監視デバイスへの接続が便利なように外部に配置することができる。
本発明のセンサの実施形態は、任意の望ましい構造、例えば平面または円筒型を有することができる。基層102は、自立性の例えば硬直したポリマー層、または非自立性の例えば柔軟性フィルムであり得る。後の実施形態は、例えば、連続的に巻きを解かれるポリマーフィルムのロールを用い、その際センサ素子およびコーティング層を連続的に塗布するセンサの連続的な製造を可能にすることにおいて好ましい。
F.分析物センサ装置構造の実施形態
臨床場面においては、正確かつ比較的早いグルコースおよび/または乳酸濃度などの分析物の測定は、電気化学的センサを利用する血液試料により行うことができる。従来のセンサは、大きくて、多くの役に立つ部品を含むように製作されたものか、多くの状況においてより便利であり得る小さくて平面的なセンサである。本明細書で使用される用語「平面的な」とは、例えば周知の厚膜または薄膜技術を用いる比較的薄い材料の層を含む実質的に平面の構造を作製する周知の手段を指す。例えば、リュー(Liu)らの米国特許第4571292号、およびパパダキスらの米国特許第4536274号(両方共、参照により本明細書に援用する)を参照されたい。下記のように、本明細書で開示される本発明の実施形態は、当技術分野の既存のセンサより広範囲の幾何学的構造(例えば平面)を有する。加えて、本発明のいくつかの実施形態は、別の装置例えば薬物注入ポンプなどと結合した1つ以上の本明細書に開示されているセンサを含む。
典型的な多重センサデバイスは、カソードに分極されており、グルコースがグルコースオキシダーゼと相互に作用した結果として作用電極(カソード)で起こる酸素濃度の変化を測定するように設計されている第1のセンサ、およびアノードに分極されており、グルコースの外部環境からの到来およびグルコースオキシダーゼとの相互作用の結果として作用電極(アノード)で起こる過酸化水素濃度の変化を測定するように設計されている第2のセンサを有する単一のデバイスを含む。当該技術分野で公知のように、かかるデザインにおいて、第1の酸素センサは、酸素がこのセンサと接触すると作用電極における電流の減少を一般的に経験し、一方、第2の過酸化水素センサは、図1に示されているように発生した過酸化水素がセンサと接触すると作用電極における電流の増加を一般的に経験する。加えて、当該技術分野で公知のように、それぞれのセンサシステムにおいて参照電極と比較した作用電極において起こる電流の変化の観測結果は、酸素分子および過酸化水素分子の濃度の変化と関連し、これは次いで、外部環境(例えば哺乳動物の体)におけるグルコースの濃度と関連付けることができる。
II.本発明の分析物センサ装置を製造するための例示的な方法および材料
多数の論文、米国特許および特許出願が、本明細書に開示されているものと共通の最先端の方法および材料について記載しており、本明細書に開示されているセンサのデザインに使用することができる様々な素子(およびそれらを製造するための方法)についてさらに記載している。これらには、例えば、米国特許第6413393号、同第6368274号、同第5786439号、同第5777060号、同第5391250号、同第5390671号、同第5165407号、同第4890620号、同第5390671号、同第5390691号、同第5391250号、同第5482473号、同第5299571号、同第5568806号;米国特許出願第2002/0090738号;ならびにPCT国際公開第01/58348号、同第03/034902号、同第03/035117号、同第03/035891号、同第03/023388号、同第03/022128号、同第03/022352号、同第03/023708号、同第03/036255号、同第03/036310号および同第03/074107号(それぞれの内容は、参照により本明細書に援用する)が含まれる。
糖尿病患者のグルコース濃度を監視する一般的なセンサは、シチリ(Shichiri)ら:「In Vivo Characteristics of Needle−Type Glucose Sensor−Measurements of Subcutaneous Glucose Concentrations in Human Volunteers」,Horm.Metab.Res.,Suppl.Ser.20:17−20(1988);ブルッケル(Bruckel)ら:「In Vivo Measurement of Subcutaneous Glucose Concentrations with an Enzymatic Glucose Sensor and a Wick Method」,Klin.Wochenschr.67:491−495(1989);およびピックアップ(Pickup)ら:「In Vivo Molecular Sensing in Diabetes Mellitus: An Implantable Glucose Sensor with Direct Electron Transfer」,Diabetologia 32:213−217(1989)にさらに記載されている。その他のセンサは、例えば、本願に引用して援用するリーチ(Reach)らの、ADVANCES IN IMPLANTABLE DEVICES,エイ.ターナー(編者),JAI Press,London,Chap.1,(1993)に記載されている。
本発明の開示は、センサ素子の配列を含み、各素子が、例えば電流または電圧の印加によって除去することができる分析物センサ膜で覆われている分析物(例えば、グルコース)センサアパラッチを製作する方法について記載している。本発明の例示的な実施形態において、分析物センサ膜は、分析物センサ装置に空気遮断して結合している薄い金属箔である。
本発明の方法の実施形態は、多種多様の分析物センサを製作するために使用することができる。そのようなセンサデザインの1つは、グルコースオキシダーゼおよび膜に覆われた多様な電極の配列を層状にした酸化アルミニウム基板を含み、そのいくつかまたは全ては、薄膜構造形式のシール(例えば、薄い金属分析物センサ膜)および/またはアパーチャと共に、シリコン、セラミック、金属、ポリマー、またはヒドロゲル材料から作られた蓋層で覆われている。基板と蓋層間の付着は、はんだ、赤外線もしくはレーザーリフロー、接着剤、または超音波結合などを含む技術的に既知の様々な方法によって達成することができる。
これらの方法は、当業者であれば多数の異なる蓋(すなわち、蓋層)およびアパーチャのアセンブリを生み出すことを可能にする。1つのかかる蓋アセンブリは、化学エッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、スパッタリング、蒸着、イオンビーム補助蒸着、化学蒸着、溶着、はんだ付け、ろう付け、超音波溶接、またはその他の類似の付着もしくは機械加工手段などの方法を用いて付け加えられた窪みおよび突起の両方を含む3次元形体のシリコン蓋アセンブリを採用する(図6)。本発明のある実施形態においては、パターン化したポリジメチルシロキサンなどの生体適合性の層をそのシリコンを覆うと同時にシールを露出する別のアパーチャを生み出すために使用することができる。
別のアセンブリの実施形態は、機械加工し(レーザー、超音波、機械もしくは類似のプロトコルにより)、グリーンテープから成型し、形状が生み出された後焼いて硬くしたセラミックの蓋を含む。この蓋は、例えば、切断し、ドリルで穴を開け、充填し、被覆し、かつ/または乾燥するかあるいは化学エッチングすることができるアパーチャを有することができる(図7)。ポリイミドまたはエッチングし薄膜の金もしくはその他の金属で被覆し適切な大きさに切断することができるその他の材料などのキャリヤを使用して、分析物センサ膜シールをこのアパーチャのために作ることができる。かかる実施形態において、このキャリヤアセンブリは、セラミック蓋アセンブリに、様々な手段、例えばはんだ付けまたは超音波溶接などによって付着させることができる。このキャリヤは、次に、エッチングまたはその他の関連する化学的もしくは機械的技法によって除去し、金属分析物センサ膜シールを残すことができる(図8)。さらに、最終の必要条件を満たすために、その他の機能を付加または取り付けることができる。
別の実施形態は、巻き取った薄い金箔から作った蓋を特色とする。正と負の両方の三次元形体を、様々な化学的または機械的方法、例えば、蒸着、イオンビーム加工、化学エッチング、めっき、または機械的もしくは化学的固着(溶接、特にレーザー、抵抗、超音波、ろう付けまたははんだ、エポキシまたはポリマー封入成型など)などによってこの箔に付加することができる(図9)。別法では、IBADを、薄い金箔を選択的に封入し、同時にアパーチャおよび結合パッドを露出させるために使用することができる。
さらに別の蓋アセンブリの実施形態は、金箔の蓋に加えて薄膜金のアパーチャを組み込む。このアセンブリは、最初に金箔をフォトレジストの表面に層状にし、次にその金箔をエッチングしてウェルを生じさせることによって作り出すことができる。金の薄膜を次にそれがウェルの壁および底に接着するようにスパッタすることができる。そのフォトレジストを除去するとその結果薄膜金によって覆われたアパーチャを有する金箔を生じ、それは超音波またはその他の手段によって酸化アルミニウムセンサに付着させ、空気遮断性のためにレーザー溶接することができる(図10)。
上記のように、分析物センサ膜は、例えば、電流または電圧の印加によって除去することができる。例えば、特定の電流または電圧の印加により、アパーチャを露出し、そしてその上にアパーチャが配置されているセンサ素子を露出する逆めっきが開始され、それ故それまで活性でなかった新たなセンサ素子を効果的に生み出すことができる。本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサ膜シールの金属表面は、レーザー加工機表面処理またはイオンミリングにより孤立した領域の表面腐食特性を高めて優先的に逆めっきに向かうように処理することができる。
センサは、様々な構造に組み立てることができる。1つの典型的な構造は、1つのルーメンが、センサからセンサ出力、データ収集、およびディスプレイデバイスへの導電体を提供し、同時に第2のルーメンがシールの分解を引き起こすために必要な電力を提供するマルチルーメンカテーテルである。
本発明の例示的な実施形態
本発明の一実施形態は、分析物センサ装置を作製する方法であって、基板層を準備するステップと、前記基板層上に複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記分析物センサ素子は、分析物と接触し、それを感知するように適合させているステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップと、前記蓋層上に少なくとも1つの分析物センサ膜を形成するステップであって、前記蓋層の上に配置された分析物センサ膜の透過性が、分析物が、分析物センサ装置の使用の第1の時点では前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することができずに、分析物が、分析物センサ装置の使用の第2の時点では前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することができるように制御することができるステップと、次いで分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップとを含み、これにより、分析物センサ装置を作製する方法である。一般的には、前記装置は、特定の電流または電圧の印加が分析物センサ膜(例えば薄い金箔)を除去する逆めっきの開始をもたらし、その結果前記蓋の前記アパーチャが露出され、それまで活性ではなかった新たなセンサ素子が活性化されるように前記アパーチャがその上部に配置されているセンサ素子の前記露出を生じさせるように作製する。
一般的には、分析物センサデバイスは哺乳動物にインプラント可能であるように設計する。本発明のいくつかの実施形態において、分析物センサデバイスは、持続性分析物センサまたは永久的分析物センサとなるように作製する。インプラント可能なセンサの例示的な実施形態において、このセンサ装置は、第1のルーメンが、センサ出力、データ収集、およびディスプレイのためのコネクタを提供し、第2のルーメンが前記分析物センサ膜の透過性を調節するために用いることができる出力を提供するコネクタを提供するマルチルーメンカテーテルを含む。本発明のいくつかの実施形態において、該装置は、少なくとも1つの前記複数の分析物センサ素子がリザーバまたはウェル中に配置されないように作製する。
開示された分析物センサを製作するための方法は、多種多様な分析物に対するセンサを生み出すために使用することができる。本発明のいくつかの実施形態において、該分析物センサ装置は、複数の分析物センサ素子がそこに配置された複数の異なる分析物センサ膜を有するように作製する。場合によって、該分析物センサデバイスは、分析物センサデバイス中の少なくとも2つの分析物センサ素子が同じ分析物を感知するように作製する。別法では、該分析物センサデバイスは、分析物センサデバイス中の少なくとも2つの分析物センサ素子が異なる分析物を感知するように作製する。一般的に、分析物センサ素子上に配置された複数の分析物センサ膜のそれぞれは、別々に制御される。本発明のいくつかの実施形態において、分析物はグルコースおよび/または乳酸である。場合によって、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つは、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼまたは乳酸デヒドロゲナーゼを包含する酵素組成物を含む。
様々な分析物センサ膜を、分析物センサを作製するために使用することができる。例示的な実施形態において、その分析物センサ膜は、破裂可能な金属膜を包含する。本発明の上記実施形態において、その分析物センサ膜は、例えば、その分析物センサ膜に電流または電圧をかけることによって透過性が制御される金属箔を包含することができる。場合によって、分析物センサ膜が金属箔を含む場合のその寸法は、そのアパーチャの真上が最も薄い。一般的に、かかる分析物センサ膜は、酸化アルミニウム基板などのそれらの基板に空気遮断して結合させる。
加えて、記載した分析物センサにおける蓋層を作製するためには、様々な組成物を使用することができる。例示的な実施形態において、この蓋層は、シリコン組成物、セラミック組成物、金属組成物、ポリマー組成物またはヒドロゲル組成物を含む。本発明のいくつかの実施形態において、その蓋は、そこに三次元形体、例えば窪みおよび/または突起を包含するように作製する。一般的に、1つ以上の三次元形体は、化学エッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、スパッタリング、蒸着、イオンビーム補助蒸着、化学蒸着、溶着、はんだ付けまたはろう付けを含む方法によって作製する。本発明の任意的な実施形態においては、蓋は、基板に、はんだ接続、赤外線リフロー接続、レーザーリフロー接続、接着剤接続または超音波接続によって取り付ける。
本発明のいくつかの実施形態において、その方法は、蓋層にアパーチャを形成するステップを含み、前記蓋層にそのように形成されたアパーチャは、分析物が複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にし得る通路を提供する。場合によって、該アパーチャは、前記蓋層に作られた空洞上に配置する。図に示されているように、本発明のいくつかの実施形態において、空洞の領域は、分析物のための単なる通路を提供するだけでなく、溶液を含有する多量の分析物を保持するように設計された内部チャンバーを提供するように拡大され、それによって分析物センサ装置の機能性を助長する。くつかの具体的な実施形態において、そのチャンバーの外形寸法は、円錐形状をしている。
本発明のさらに別の実施形態は、哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製する方法であって、基板層を準備するステップと、前記基板層上に複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記分析物センサ素子は、分析物と接触し、それを感知するように適合させているステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップと、前記蓋層上に空気遮断したアパーチャを形成するステップと、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に配置された少なくとも1つの分析物センサ膜(例えば破裂可能な金属膜)を、分析物が前記複数の分析物センサ素子の前記少なくとも1つと可逆的に接触することを防止することができ、前記分析物センサ膜の透過性が、分析物が前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように調節することができるように形成するステップと、分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップとを含み、これにより、分析物センサ装置を作製する方法である。本発明のいくつかの実施形態において、かかるデバイス内の分析物センサ素子は、基層と、前記基層上に配置された、作用電極、基準電極および対向電極を含む導電層と、前記導電層上に配置された分析物感知層であって、分析物が存在する前記導電層中の前記作用電極において前記電流を検出可能に変更する分析物感知層と、前記分析物感知層上に配置されたタンパク質層と、前記分析物感知層または前記タンパク質層上に配置された接着促進層であって、前記分析物感知層と前記分析物感知層上に配置された分析物調節層の間の接着を促進する接着促進層と、前記分析物感知層上に配置された分析物調節層であって、それを通る分析物の拡散を調節する分析物調節層とを含むように製作する。
分析物センサ構成要素を作製するための一般的な方法
本発明の代表的な実施形態は、哺乳動物に埋め込むためのセンサ装置のための構成要素を作製する方法であり、基層を準備するステップと、その基層上に、電極(および一般的には、作用電極、参照電極および対電極)を含む導電層を形成するステップと、その導電層上に分析物感知層を形成するステップであって、その分析物感知層はその導電層中の電極において分析物の存在下で電流を変えることができる組成物を含有するステップと、場合によってその分析物感知層上にタンパク質層を形成するステップと、その分析物感知層または前記任意のタンパク質層上に接着促進層を形成するステップと、その接着促進層上に配置される分析物調節層を形成するステップであって、その分析物調節層はそこを通る分析物の拡散を調節する組成物を含有するステップと、その分析物調節層の少なくとも一部の上に配置されるカバー層を形成するステップであって、そのカバー層はその分析物調節層の少なくとも一部の上にアパーチャをさらに含有するステップとを含有する。これらの方法のいくつかの実施形態において、分析物センサ装置は、平面的な幾何学構造で形成する。
センサの様々な層は、センサの好ましいデザインに従って処理することができる様々な異なる特徴を発揮するように製造することができる。例えば、接着促進層は、全体的なセンサ構造体をそれが安定化することができるように選択される化合物、好ましくはシラン組成物を含有する。本発明の好ましい実施形態において、その分析物感知層は、スピンコーティング法により形成され、高さが1、0.5、0.25および0.1μm未満からなる群から選択される厚さのものである。
好ましくは、センサを作製する方法は、分析物感知層上にタンパク質層を形成するステップを含有し、そのタンパク質層中のタンパク質は、アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンである。好ましくは、センサを作製する方法は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼおよびラクトースデヒドロゲナーゼからなる群から選択される酵素組成物を含む分析物感知層を形成するステップを含有する。かかる方法において、その分析物感知層は、酵素との実質的に固定された比率でキャリヤタンパク質組成物を好ましくは含み、その酵素およびキャリヤタンパク質は分析物感知層中に実質的に均一に分布している。
B.分析物センサ構成要素の製造で有用な典型的な手順および材料
本開示は、様々な周知の技術の組み合わせを使用して生み出すことができる分析物センサおよびセンサのデザインを作製する方法を含有する。本開示は、さらに、非常に薄い酵素のコーティングを、これらのタイプのセンサならびにかかる方法によって製造されたセンサに塗布する方法を提供する。これに関連して、本発明の好ましい実施形態は、技術的に受け入れられるプロセスによってかかるセンサを基板上に作製する方法を含有する。いくつかの実施形態において、該基板は、フォトリソグラフィーマスクおよびエッチング工程で使用するのに適する剛および平板的構造を含有する。この関連で、該基板は、一般的には均一な高度の平坦性を有する上面を限定する。磨いたガラス板を平滑な上面を限定するために使用することができる。別法の基板材料としては、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、デルリンなどのプラスチック材料その他が挙げられる。その他の実施形態において、該基板は非剛体であり、例えばポリイミド類などのプラスチック類などの基板として使用される別のフィルムまたは絶縁層であり得る。
本発明の方法における最初のステップとしては、センサの基層の形成が一般的には挙げられる。この基層は、任意の所望される手段、例えば制御されたスピンコーティングにより基板上に設けることができる。加えて、基板層と基層の間の接着が十分でない場合は、接着剤を使用することができる。絶縁性材料の基層は、一般的には基板上に液体の形態の基層材料を塗布し、その後その基板をスピンさせて薄くて実質的に均一な厚さの基層をその基板上に生じさせることによって形成する。これらのステップは十分な厚さの基層が確立されるまで繰り返され、その後一連のフォトリソグラフィーおよび/または化学マスクならびにエッチングステップが続いて以下で述べる導体が形成される。好ましい形態においては、この基層は、セラミックまたはポリイミド基板などの絶縁性材料の薄膜シートを含む。この基層は、アルミナ基板、ポリイミド基板、ガラスシート、制御された細孔ガラス、または平坦化したプラスチック液晶ポリマーを含むことができる。この基層は、限定はされないが、炭素、窒素、酸素、ケイ素、サファイア、ダイヤモンド、アルミニウム、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の様々な元素を含有する任意の材料から誘導することができる。さらに、その基板は、固体の支持体上に、化学蒸着法、物理蒸着法、またはスピングラス、カルコゲニド、グラファイト、二酸化ケイ素、有機合成ポリマー類などのスピンコーティングなどを含む技術的に周知の様々な方法によって被膜を形成することができる。
本発明の方法は、1つ以上のセンサ素子を有する導電層の産出をさらに含む。一般的にこれらのセンサ素子は、活性な電極の幾何学的形状を規定するフォトレジスト、エッチングおよびすすぎなどの当該技術分野で公知の様々な方法の1つによって形成される電極である。これらの電極は、次に、例えば、作用電極および対電極にはPtブラックを、参照電極上に銀、次に塩化銀を電着して、電気化学的に活性とすることができる。化学酵素センサ層などのセンサ層を、次に、電気化学蒸着または電気化学蒸着以外の例えばスピンコーティングなどの方法によって感知層上に設け、続いて、例えばジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドを用いて蒸気架橋することにより感知層上に配置することができる。
本発明の電極は、当該技術分野で公知の多種多様の材料から形成することができる。例えば、電極は、後の方の遷移貴金属製であり得る。金、白金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、またはオスミウムなどの金属が本発明の様々な実施形態で適し得る。カーボンまたは水銀などの他の組成物もいくつかのセンサの実施形態で有用であり得る。これらの金属のうち、銀、金、または白金が参照電極金属として一般的に使用される。後に塩素処理される銀電極は、参照電極として一般的に使用される。これらの金属は、上で述べたプラズマ堆積法を含む当該技術分野で公知の任意の方法によるか、または基板が金属塩および還元剤を含有する溶液中に浸漬されるとき予め金属化されている領域への金属の堆積が伴い得る無電解法により堆積することができる。この無電解法は、還元剤が導電(金属化されている)面に電子を供与すると、導電面における金属塩の還元が同時に起こって進行する。その結果が吸着された金属の層である。(無電解法についてのさらなる議論については、以下を参照されたい:ワイズ,イー.エム.Palladium: Recovery,Properties,and Uses,Academic Press,New York,New York (1988);ウォング,ケイ.らPlating and Surface Finishing 1988,75,70−76;マツオカ,エム.ら,同誌,1988,75,102−106;およびパールスタイン,エフ.「Electroless Plating」 Modern Electroplating,ローエンハイム,エフ.エイ.編,Wiley,New York,NY.(1974),Chapter 31。)。しかしながら、かかる金属堆積法は、高密度の活性場所を有する触媒的金属電極表面を提供するためには良好な金属対金属の接着および最少の表面汚染を備えた構造を生じなければならない。かかる高密度の活性場所は、過酸化水素などの電気活性種の効果的なレドックス変換のために必要な特性である。
本発明の典型的な実施形態において、基層は、最初に、電極の蒸着、表面スパッタリング、またはその他の適当なプロセスステップにより、薄膜導電層で被覆する。好ましい形態において、この導電層は、ポリイミド基層への化学接着用に適する最初のクロム系の層とその後薄膜金系およびクロム系の層の形成が順に続くような複数の薄膜導電層として提供することができる。別法の実施形態においては、他の電極層構造または材料を使用することができる。その導電層は、次に、従来のフォトリソグラフィー技術によって、選択されたフォトレジストコーティングで覆い、適当なフォトイメージングのためにコンタクトマスクをそのフォトレジストコーティングの上に塗布することができる。このコンタクトマスクは、一般的にはフォトレジストコーティングの適切な露出のために1つ以上の導体トレースパターンを含み、基層上に残る複数の導電センサトレースをもたらすエッチングステップが後に続く。皮下グルコースセンサとして使用するために設計された例示的なセンサの構造において、各センサトレースは、3つの別々の電極、例えば、作用電極、対電極および参照電極などと連絡する3つの平行したセンサ素子を含むことができる。
導電性センサ層の一部は、一般的には、好ましくはシリコンポリマーおよび/またはポリイミドなどの材料の絶縁性カバー層によって覆われている。この絶縁性カバー層は任意の所望の方式で塗布することができる。典型的な手順において、この絶縁性カバー層は、センサトレース上に液体の層で塗布され、その後その基板はスピンされてその液体材料はセンサトレースを覆う薄膜として分布され、基層と密封接触してセンサトレースの周縁を越えて広がる。この液体材料は、次いで当該技術分野で公知の1つ以上の適当な放射線および/または化学および/または熱硬化ステップに処することができる。別法の実施形態においては、その液体材料は、スプレー技術またはその他の任意の塗布手段を用いて塗布することができる。フォトイメージ可能なエポキシアクリラートなどの様々な絶縁性層材料を、ニュージャージ州ウェストパターソンのOCG,Inc.から製品番号7020のもとで入手可能なフォトイメージ可能なポリイミドを含む好ましい材料と共に使用することができる。
上記のように、場合によって、開口部を通してセンサチップを露出させた後、遠端電極となる適当な電極化合物をセンサチップに塗布することができる。グルコースセンサとして使用される3つの電極を備えた例示的なセンサの実施形態では、開口部の1つの中に酵素(望ましくはグルコースオキシダーゼ)を置き、こうしてセンサチップの1つを被覆して作用電極とする。その他の電極の1つまたは両方に、作用電極と同じ被覆を施してもよい。別法では、他の2つの電極には、別の酵素など他の適当な化学物質を被覆し、被覆しないままとし、または電気化学的センサ用の参照電極および対電極となる化学物質を被覆してもよい。
本発明の重要な態様は、優れた物性を備えた、電極化学層用の極薄被覆(例えば、厚さ2μm未満の酵素被覆)を備えたセンサの製造法を含む。本発明の極薄酵素被覆の製造法としては、スピンコーティング法、浸漬および乾式法、低剪断スプレー法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン法、などが挙げられる。当業者ならば当該技術の方法で塗布した酵素被覆の厚さを容易に測定できるため、本発明の極薄被覆を製造できるこれらの方法を容易に確認できる。一般に、このような被覆は塗布後に蒸気架橋を行う。驚いたことに、このような方法で製造したセンサは、電着で製造したコーティングを備えたセンサより優れた物性、例えば、良好な寿命、直線性、規則性、また優れた信号対ノイズ比などを備えている。さらに、このような方法で形成したグルコースオキシダーゼコーティングを用いた本発明の実施の形態を、過酸化水素を再循環するように設計して、このようなセンサの生体適合性を向上させる。
特定の科学的理論に結びつけるものではないが、このような方法で製造したセンサが、電着で製造したものに比べて驚くほど優れた特性を持つのは、電着では3〜5μmの厚い酵素層ができ、その中では反応性酵素のほんの一部としか検出すべき分析物が接触できないためと考えられる。その上、グルコースオキシダーゼを用いるセンサにおいては、電着で製造した厚いコーティングは、反応性境界面で発生した過酸化水素がセンサ表面に達して信号を発生するのを妨げ得る。その上、このような厚いコーティングのためにセンサ表面に到達できなかった過酸化水素は通常、センサからセンサの置かれている環境中へ拡散して、これらのセンサの生体適合性を低下させる。加えて、グルコースオキシダーゼとアルブミンは異なる等電位点を持つため、電着法で生成した表面コーティング中では、最適としてあった酵素とキャリヤタンパク質との比が崩れてしまい、さらに、グルコースオキシダーゼとキャリヤタンパク質とが、配置した酵素層全体に実質的に均一には分散していない。本明細書に開示されているセンサの製造に用いる薄膜製造法は、電着に関わるこれらの問題を回避する。
スピンコーティング法などの方法で製造されるセンサは、電着に関わるその他の問題、例えば、電着処理の間にセンサにかかる材料応力に関わる問題なども解決する。特に、電着工程では、センサ上に機械的応力、例えば引張力および/または圧縮力から生じる機械的応力の発生が認められる。場合によってこのような機械的応力が、多少割れまたは剥離しやすいコーティングを持つセンサを生じることがある。スピンコーティングやその他の応力の低い方法でセンサ上に設けたコーティングではこのようなことは見られない。したがって、本発明のさらに別の実施形態は、電着法に起こりやすいセンサ上のコーティングのひびや層剥離のない、スピンコーティング法でコーティングを塗布する工程を含む方法である。
センサ素子の処理後、次に1つ以上の追加の機能性コーティングまたはカバー層を、当該技術分野で公知の様々な方法のいずれか、例えば、スプレー、浸漬などで塗布することができる。本発明の好ましい実施形態は、酵素含有層の上に堆積した分析物調節層を含む。分析物制限膜層を利用して活性センサ表面と接触する分析物(1つ以上)の量を調節するその用途に加えて、異物によるセンサの付着物の問題もまた未然に防がれる。当該技術分野で公知のように、分析物調節膜層の厚さは、活性酵素に到達する分析物の量に影響を及ぼし得る。したがってその適用は、規定されたプロセス条件下で好ましくは行い、その厚さ寸法は、綿密に制御する。下にある層の微細加工が綿密な寸法制御に影響を及ぼす因子であり得る場合、分析物調節膜の上の層は、分析物制限膜層材料そのものの組成である。この点については、いくつかのタイプのコポリマー、例えば、シロキサンと非シロキサン成分のコポリマーが、特に有用であることが発見されている。これらの材料は、制御された厚さに微小分配もしくはスピンコートすることができる。それらの最終の構造もまた、本明細書に記載されているその他の個々の構造と合わせてパターニングおよびフォトリソグラフィー技術により設計することができる。これらの非シロキサン−シロキサンコポリマーの例としては、限定はされないが、ジメチルシロキサン−アルケンオキシド、テトラメチルジシロキサン−ジビニルベンゼン、テトラメチルジシロキサン−エチレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレンオキシド、ジメチルシロキサン−α−メチルスチレン、ジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマー類、またはそれらの適当な組み合わせが挙げられる。このコポリマーの非シロキサン成分の重量パーセントは、任意の有用な値となるように前もって選ぶことができるが、一般的にはこの割合は約40〜80重量%の範囲にある。上に掲げたコポリマー類の中では、50〜55重量%の非シロキサン成分を含むジメチルシロキサン−ビスフェノールAカーボネートコポリマーが好ましい。これらの材料は、(米国)ぺンシルベニア州ブリストルのPetrarch Systems社から購入することができ、この会社の製品カタログに記載されている。分析物制限膜層として役立ち得るその他の材料としては、限定はされないが、ポリウレタン類、酢酸セルロース、硝酸セルロース、シリコーンゴム、または相容する場合は、シロキサン非シロキサンコポリマーを含めたこれらの材料の組み合わせが挙げられる。
本発明の望ましい実施形態においては、センサ層の酵素と接触可能な分析物の量を調節できる親水性膜のコーティングを含む分析物調節層を塗布する方法でセンサを製造する。例えば、本発明のグルコースセンサに加えるカバー層はグルコース制限膜を含んでもよく、この膜は、電極上のグルコースオキシダーゼ酵素層と接触するグルコースの量を調節する。このようなグルコース制限膜は、この目的に適うことが知られている多種多様な材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのようなシリコーン類、ポリウレタン類、酢酸セルロース類、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸類(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル類、またはそのような目的に適することが当業者に知られるその他の膜のいずれからも作ることができる。過酸化水素再循環能を持つセンサに関わる本発明のいくつかの実施形態においては、グルコースオキシダーゼ酵素層の上に設けられる膜層は、センサの置かれている環境中への過酸化水素の放出を防ぎ、過酸化水素分子と電極のセンサ素子との接触を良くするように機能する。
本発明の方法のある実施形態では、接着促進剤層を、カバー層(例えば、分析物調節膜層)とセンサ化学層との間にそれらの接触を良くするために設け、センサ装置の安定性をそれが増すことができるように選択する。本明細書に記されているように、好ましい接着促進剤層の組成は、センサの安定性を提供する能力に加えて多数の望ましい特性を提供するように選択する。例えば、接着促進剤層で使用するための好ましい組成は、干渉排除ならびに所望の分析物の物質移動を制御する役割を果たすように選択する。接着促進剤層は、このような層の間の結合性を高めることが当該技術分野で知られている様々な材料のいずれからも作製でき、また当該技術分野で公知の多種多様の方法のいずれでも塗布可能である。好ましくは、この接着促進剤層はγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。本発明のいくつかの実施形態において、接着促進層および/または分析物調節層は、近くに存在するシロキサン成分とそれが架橋できるように選択された作用物質を含む。本発明の他の実施形態においては、接着促進層および/または分析物調節層は、直近の層中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシ成分とそれが架橋できるように選択された作用物質を含む。任意選択的な実施形態において、AP層は、一般的にグルコース制限膜などの分析物調節層中に存在するポリマーのポリジメチルシロキサン(PDMS)をさらに含む。例示的実施形態において、該配合は、0.5〜20%のPDMS、好ましくは5〜15%のPDMS、最も好ましくは10%のPDMSを含む。PDMSのAP層への添加は、センサを製造するときAP層中に孔または割れ目が発生する可能性をそれが減少する状況において有利であり得る。
上記のように、センサ層の間の接着を促進するために通常使用されるカップリング試薬は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。このシラン化合物は、液体混合物を形成するために通常は適当な溶媒と混合する。この液体混合物は、次に、ウエハーまたは平面のセンサデバイスに、限定はされないが、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、および微小分配(microdispensing)を含めたいくつもの方法により塗布または定着させることができる。この微小分配プロセスは、材料のミクロスポットが、デバイスの事前に選択された複数の領域に分配される自動化プロセスとして実行することができる。加えて、「リフトオフ」またはフォトレジストキャップを使用するなどのフォトリソグラフィー技術を、結果として生じる選択透過性フィルム(すなわち、選択的透過性を有するフィルム)の幾何学的配置を限定し、明確にするために使用することができる。シラン混合物の形成に使用するための適当な溶媒としては、水溶性ならびに水混和性の有機溶媒、およびそれらの混合物が挙げられる。アルコール性水混和性有機溶媒およびそれらの水溶性混合物が特に有用である。これらの溶媒混合物は、非イオン界面活性剤、例えば約200から約6,000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)などをさらに含んでもよい。これらの界面活性剤の液体混合物への添加は、混合物の約0.005から約0.2g/dLの濃度で、得られる薄膜を平坦化する助けとなる。また、シラン試薬を塗布する前のウエハー表面のプラズマ処理により、より平坦な層の確立を促進する改質表面を提供することができる。水不混和性の有機溶媒もまたシラン配合物の溶液を調製するのに使用することができる。これらの有機溶媒の例としては、限定はされないが、ジフェニルエーテル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合物が挙げられる。プロトン性溶媒またはそれらの混合物が使用されるとき、水が、いずれはアルコキシ基の加水分解を引き起こしてオルガノシリコンの水酸化物を生じ(特にn=1のとき)、それが縮合してポリ(オルガノシロキサン)を形成する。これらの加水分解されたシラン試薬は、また、基板表面に存在し得るヒドロキシルなどの極性基と縮合することもできる。非プロトン性溶媒が使用されるときは、大気中の水分で、最初にシラン試薬に存在するアルコキシ基を加水分解するには十分であり得る。シラン化合物のR’基(n=1または2のとき)を、その後塗布される追加の層と官能基的に適合するように選択する。このR’基は、酵素が基板表面に共有結合するために有用な末端アミン基を通常は含有する(Analytical Letters 1986,19,1973〜86で、ムラカミ,ティー.らにより記載されているように、例えば、グルタルアルデヒドなどの化合物を連結剤として使用することができる)。
センサの他のあるコーティング層のように、次に接着促進剤層に、当該技術分野で公知の適当な放射および/または化学的および/または熱的硬化工程の1つ以上を行うことができる。別法の実施形態においては、酵素層を十分に架橋させ、あるいは接着促進剤層を用いず、膜カバー層をセンサ化学層に直接配置されるように酵素層を調製してもよい。
本発明の望ましい実施形態は、基層を準備する工程と、基層上にセンサ層を形成する工程と、センサ層上に酵素層をスピンコーティングする工程と、次にセンサ上に分析物接触層(例えば、グルコース制限膜などの分析物調節層)を形成する工程と、によるセンサの製造法であって、分析物接触層は、酵素層と接触可能な分析物の量を調節する。望ましい方法においては、酵素層をセンサ層上に蒸気架橋させる。本発明の代表的な実施形態では、センサ層を、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極とを含むように製造する。特に望ましい実施形態では、酵素層を、作用電極の少なくとも一部と対電極の少なくとも一部の上に形成する。一般に、センサ層上に形成された酵素層の厚さは、2、1、0.5、0.25、または0.1μm未満である。望ましくは、酵素層は、1つ以上の酵素、例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ,ヘキソキナーゼ、または乳酸デヒドロゲナーゼおよび/あるいは類似の酵素類を含む。特定の方法においては、酵素層は、一定の比のキャリヤタンパク質と組み合わせてセンサ層上にコーティングすることにより安定化したグルコースオキシダーゼを含む。一般にキャリヤタンパク質はアルブミンである。望ましくはこのような方法は、グルコースオキシダーゼ層と分析物接触層との間に設ける接着促進剤層を形成するステップを含む。場合によって、分析物接触層の形成前に、接着促進剤層に硬化処理を行う。
本発明の関連の実施形態は、基層を準備するステップと、基層上に、少なくとも1つの作用電極と少なくとも1つの対電極とを含むセンサ層を形成するステップと、スピンコーティング法によりセンサ層上にグルコースオキシダーゼ層(望ましくは、グルコースオキシダーゼを一定の比のアルブミンと結合させて安定化した層)を形成し、ここでグルコースオキシダーゼ層が作用電極の少なくとも一部および対電極の少なくとも一部を被覆するするステップと、次に、グルコースオキシダーゼ層と接触可能なグルコースの量を調節するよう、グルコースセンサ上にグルコース制限層を形成するステップと、によりグルコースセンサを製造する方法である。上記方法において、センサ層上に形成されたグルコースオキシダーゼ層は、厚さが、望ましくは、2、1、0.5、0.25、または0.1μm未満である。一般的には、グルコースオキシダーゼコーティングは、センサ層上で蒸気架橋する。場合によって、グルコースオキシダーゼコーティングはセンサ層全体を覆う。本発明の特に望ましい実施形態においては、グルコースオキシダーゼ層と分析物接触層との間に接着促進剤層を配置する。本発明のいくつかの実施形態においては、その分析物センサは、一般的には電気絶縁性の保護層である1つ以上のカバー層をさらに含む(例えば、図2の素子106を参照)。一般的に上記カバー層は、分析物調節層の少なくとも一部の上に設ける。
このような方法で製造した完成したセンサは、一般的には、例えば、基板上の各センサを囲む線に沿って切断することにより、支持基板(もし使用されている場合)から素早く容易に取り外す。この切断ステップには、UVレーザー切断デバイスを用いる方法など、当該技術で一般的に使用される方法を用いることができ、これを用いて、十分な相互接続基層とカバー層材料が残って完成したセンサの側縁を密閉するように、一般的には導電性素子から少なくとも僅かに外側に間隔をおいた各センサを囲むかまたは区切っている線に沿って、基層およびカバー層と機能性被覆層の端から端までを切断する。加えてセラミック基板を切断するために一般的に使用されるダイシング技術を適切なセンサの実施形態では使用することができる。基層は一般的には、下にある支持基板に直接物理的に結合しておらず、または僅かに付着しているに過ぎないので、特に処理工程をさらに行わずに、あるいは、付着したセンサを支持基板から物理的に引っ張りまたは剥ぐことで生じる応力によるダメージの心配なく、センサを素早く容易に支持基板から持ち上げることができる。支持基板はその後清浄にして再利用することも、あるいは廃棄することもできる。別法では、基層とセンサ素子とカバー層とを含むセンサを、切断によって支持基板から取り外した後に、機能性コーティング層(1つ以上)を塗布してもよい。
III.本発明の分析物センサ装置実施形態の使用方法
本発明の一実施形態は、哺乳動物の体内の分析物を感知する方法であって、この方法は、分析物センサが、分析物と接触し、それを感知するように適合された複数の分析物センサ素子と、その複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に、分析物がその複数の分析物センサ素子のその少なくとも1つと可逆的に接触することを防止するように配置されている少なくとも1つの分析物センサ膜(この分析物センサ膜の透過性は、分析物が、複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にするように制御することができる)と、分析物センサデバイスから離れたところに情報を中継するための、分析物センサデバイスに動作するように結合された少なくとも1つの構造体とを含む該分析物センサを哺乳動物に埋め込むステップと、哺乳動物の体内の分析物を感知するステップとを含む。
本発明に関連する一実施形態は、哺乳動物の体内の分析物を感知する方法であって、その方法は、本明細書に開示した分析物センサの実施形態を哺乳動物にインプラントし、次に作用電極における電流の変化を感知し、そして分析物を感知するためにその電流の変化を分析物の存在と関連付けるステップを含む。一般的に、この分析物センサは、電流の変化を感知する作用電極がアノードであるようにアノードに分極される。そのような1つの方法において分析物センサ装置は、哺乳動物内のグルコースを感知する。別法においては、分析物センサ装置は、タンパク質、ラクトース、炭水化物、糖類、ミネラル、および元素、小分子化合物、ウイルス、ペプチド、タンパク質の断片、医薬品、薬物、生体化学反応アッセイの成分、体成分または副生乳酸塩、カリウム、カルシウム、酸素、pH、ならびに/または哺乳動物中の生理的に関係のある分析物を感知する。
上で論じた構造を有する特定の分析物センサは、哺乳動物内の分析物を感知する様々な方法を可能にする多くの非常に望ましい特性を有する。例えば、かかる方法において、哺乳動物に埋め込まれた分析物センサ装置は、1、2、3、4、5、または6ヶ月を超えて機能し、哺乳動物の体内の分析物を感知する。特に、哺乳動物にそのように埋め込まれた分析物センサ装置は、分析物がセンサと接触して15、10、5または2分間の内に、分析物に応じた電流の変化を感知する。かかる方法において、該センサは、哺乳動物の体内の様々な場所、例えば、血管および血管のない場所中に埋め込むことができる。
IV.本発明のキット類およびセンサセットの実施形態
本発明のもう1つの実施形態においては、上記のような分析物の感知に有用なキットおよび/またはセンサセットを提供する。このキットおよび/またはセンサセットは、容器、ラベルおよび上記のような分析物センサを一般的には含む。適当な容器類としては、例えば、金属箔などの材料から成る開け易いパッケージ、瓶、バイアル、注射器、試験管などが挙げられる。この容器類は、金属類(例えば、箔類)、紙製品、ガラス、またはプラスチックスなど様々な材料から形成することができる。容器に貼付のまたは容器と一緒になったラベルには、このセンサが選定された分析物の定量用であることを示す。特定の実施形態においては、複数の分析物センサ素子であって、その1つ以上が分析物センサ膜により覆われているものを保持する。このキットおよび/またはセンサセットにはさらに、分析物環境にセンサを導入しやすくするよう設計した素子またはデバイス、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、注射器、また使用説明書と共にパッケージに入れられるものなど、市販のためおよび使用者の立場から必要とされるその他の材料が含まれる。
本明細書においては様々な引用文献が参照されている。さらに、本発明の様々な実施形態をより明確に述べるため、本明細書には背景技術からの文献が若干再掲されている。本明細書中の全ての引用文献の開示は参照により本明細書に特に援用する。
グルコースとグルコースオキシダーゼの間の周知の反応の概略図である。 本発明の一実施形態の代表的な分析物センサ素子構成の線図である。 電子素子およびリード接着部の電極アレイに接着された電子素子の酵素/膜アレイを示すグルコースセンサアレイの図である。 出力および情報が、その電子素子へのリード接続パッドを介して転送されるように、気密蓋の下に収納されている電子素子を備えた作用電極アレイの図である。 個々のアドレッシングに対する電子素子は、気密性の蓋の下に収容され、情報および出力は、電極アレイから気密性のビアを介して転送されるように、酵素を充填し、溶解性の膜で覆われたウェルを含有するアレイの図である。 基板、相互接続金属ビア、および金シールを備えたアパーチャに付着させるためのシールリングを示すシリコン蓋アセンブリの概略図である。 基板、相互接続金属ビア、および金シールを備えたアパーチャに付着させるためのシールリングを示すセラミック蓋アセンブリの概略図である。 セラミック蓋アセンブリに気密密閉されるようにキャリヤを用いて金シールを作る方法の概略図である。 Au蒸着によって作り出したアパーチャと共に示されているAu箔蓋と基板のアセンブリの概略図である。 フォトレジストを脱離させた後、金箔は基板に取り付け、気密密閉することができるように、Au箔蓋およびシールを作る方法の概略図である。

Claims (19)

  1. 分析物センサ装置を作製する方法であって、
    基板層を準備するステップと、
    前記基板層上に分析物に接触し感知するために複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記複数の分析物センサ素子は、
    前記基板層上に設けられた少なくとも3個の作用電極と、
    少なくとも前記3個の作用電極上に設けられたグルコースオキシダーゼ層と、
    前記グルコースオキシダーゼ層上に設けられた分析物調節層であって、シロキサンと非シロキサン成分のコポリマーを含むヒドロゲル組成物を含有する分析物調節層と、
    前記グルコースオキシダーゼ層と前記分析物調節層との接着を促進するために、前記グルコースオキシダーゼ層と前記分析物調節層との間に設けられた接着促進層であって、シロキサン成分を有する化合物を含有する接着促進層と、を有する分析物センサ素子を形成するステップと、
    前記基板層上に形成された複数の分析物センサ素子を個別に被覆する少なくとも1つ以上の分析物センサ膜を形成するステップであって、
    (a)分析物センサ装置の使用の第1の時点では、少なくとも1つの分析物センサ素子を露出させるために該分析物センサ素子上の分析センサ膜を除去し、少なくとも1つの分析物センサ素子を分析物と接触させ、
    (b)分析物センサ装置の使用の第2の時点では、前記少なくとも1つの分析物センサ素子を未使用の他の少なくとも1つの分析物センサ素子と交換するため、他の少なくとも1つの分析物センサ素子を被覆する分析センサ膜を除去し、他の少なくとも1つの分析物センサ素子と分析物を接触させる分析物センサ膜を形成するステップと、
    分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップと、
    を含前記分析物センサ装置における前記複数の分析物センサ素子が、グルコースを検知する分析物センサ素子と、グルコース以外の分析物を感知する分析物センサ素子とを有するように、分析物センサ装置を作製することを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記分析物センサ膜が金属箔を含み、電流または電圧を前記分析物センサ膜に印加することによって金属箔を破裂させて、未使用の他の少なくとも1つの分析物センサ素子を露出させることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記分析物センサ膜を形成するステップは、前記分析物センサ膜を酸化アルミニウムからなる基板層に空気遮断して結合させ、分析物センサ素子をそれぞれ個別に被覆することを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、さらに、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップを有し、前記蓋層が、シリコン組成物、セラミック組成物、金属組成物、ポリマー組成物またはヒドロゲル組成物を含むことを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記蓋層にアパーチャを形成するステップをさらに含み、前記蓋層にそのように形成されたアパーチャが、分析物が前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つと接触することを可能にし得る通路を提供することを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記アパーチャを、前記蓋層に作られた空洞上に配置することを特徴とする方法。
  7. 請求項5に記載の方法であって、前記分析物センサ膜が金属箔を含む場合、金属箔の寸法が、前記アパーチャの真上で最も薄いことを特徴とする方法。
  8. 請求項4に記載の方法であって、前記蓋層を、その上に窪みおよび/または突起を含むように製作することを特徴とする方法。
  9. 請求項4に記載の方法であって、前記蓋層を、はんだ接続、赤外線リフロー接続、レーザーリフロー接続、接着剤接続または超音波接続によって前記基板に取り付けることを特徴とする方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、前記分析物センサデバイスを、哺乳動物にインプラントできるように設計することを特徴とする方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、前記装置を、少なくとも1つの前記複数の分析物センサ素子がリザーバまたはウェル中に配置されないように作製することを特徴とする方法。
  12. 哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製する方法であって、
    基材層を準備するステップと、
    前記基板層上に分析物に接触し感知するために複数の分析物センサ素子を形成するステップであって、前記複数の分析物センサ素子は、
    前記基板層上に設けられた少なくとも3個の作用電極と、
    少なくとも前記3つの作用電極上に設けられたグルコースオキシダーゼ層と、
    前記グルコースオキシダーゼ層上に設けられた分析物調節層であって、シロキサンと非シロキサン成分のコポリマーを含むヒドロゲル組成物を含有する分析物調節層と、
    前記グルコースオキシダーゼ層と前記分析物調節層との接着を促進するために、前記グルコースオキシダーゼ層と前記分析物調節層との間に設けられた接着促進層であって、シロキサン成分を有する化合物を含有する接着促進層と、を有する分析物センサ素子を形成するステップと、
    前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップと、
    前記蓋層上にアパーチャを形成するステップと、
    前記基板層上に形成された複数の分析物センサ素子を個別に被覆する少なくとも1つ以上の分析物センサ膜を形成するステップであって、
    (a)分析物センサ装置の使用の第1の時点では、少なくとも1つの分析物センサ素子を露出させるために該分析物センサ素子上の分析センサ膜を除去し、少なくとも1つの分析物センサ素子を分析物と接触させ、
    (b)分析物センサ装置の使用の第2の時点では、前記少なくとも1つの分析物センサ素子を未使用の他の少なくとも1つの分析物センサ素子と交換するため、他の少なくとも1つの分析物センサ素子を被覆する分析センサ膜を除去し、他の少なくとも1つの分析物センサ素子と分析物を接触させる分析物センサ膜を形成するステップと、
    分析物センサ装置に出入りする情報を中継するための、分析物センサ装置に動作するように結合された少なくとも1つの構造体を形成するステップと、
    を含前記分析物センサ装置における前記複数の分析物センサ素子が、グルコースを検知する分析物センサ素子と、グルコース以外の分析物を感知する分析物センサ素子とを有するように、哺乳動物に埋め込むための分析物センサ装置を作製することを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、前記分析物センサ膜が、破裂させることができる金属膜を含むことを特徴とする方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、前記蓋層が、化学エッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、スパッタリング、蒸着、イオンビーム補助蒸着、化学蒸着、溶着、はんだ付けまたはろう付けを含む方法によって作製される1つ以上の3次元の形体を有することを特徴とする方法。
  15. 請求項12に記載の方法であって、前記複数の分析物センサ素子が、複数の異なる分析物センサ膜によって被覆されるように、前記分析物センサ装置を作製することを特徴とする方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、前記分析物センサ素子上に配置された複数の分析物センサ膜のそれぞれを、別々に除去可能に形成することを特徴とする方法。
  17. 請求項12に記載の方法であって、前記分析物センサデバイスを、長期にわたる分析物センサまたは永久的な分析物センサとなるように作製することを特徴とする方法。
  18. 請求項12に記載の方法であって、前記装置を、特定の電流または電圧の印加が分析物センサ膜を除去する逆めっきの開始をもたらし、これにより前記蓋層の前記アパーチャが露出され、それまで活性ではなかった新たなセンサ素子が活性化されるように前記アパーチャがその上部に配置されているセンサ素子の前記露出を生じるように作製することを特徴とする方法。
  19. 請求項1に記載の方法であって、さらに、前記複数の分析物センサ素子の少なくとも1つの上に蓋層を形成するステップを有し、前記蓋層が、化学エッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、スパッタリング、蒸着、イオンビーム補助蒸着、化学蒸着、溶着、はんだ付けまたはろう付けを含む方法によって作製される1つ以上の3次元の形体を有することを特徴とする方法。
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