以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(通信中継システム100)
図1は、通信中継システム100の概略的な関係を示した説明図である。通信中継システム100は、通信網102と、発信側通信機110と、中継サーバ120と、案内装置130と、着信側通信機140を含んで構成される。
通信網102は、電話回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、発信側通信機110、中継サーバ120、案内装置130、着信側通信機140それぞれを接続する。
発信側通信機110は、本実施形態において通話を開始する側の電話機(通信機)であり、任意の発信者112が着信者142の有する着信側通信機140を発呼(通信要求)するために用いられる。ここで、発信側通信機110は、固定電話回線に接続される固定電話や携帯電話網に接続される携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)の他、VoIP(Voice over Internet Protocol)を用いて通話を行うPDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等の機器で構成され、発信者112の音声を入力する音声入力部110aと、着信者142または案内者132の音声を出力する音声出力部110bと、音声通信を実現する通信部(図示せず)とを有しているとする。
中継サーバ120は、例えば、固定電話網等の交換器に接続され、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼を中継する。ここで、中継サーバ120は、少なくとも、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼に対して、特定装置(ここでは案内装置130)にその発呼を転送する機能を有す。また、中継サーバ120は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話ならびに全てを接続した三者通話を実現でき、案内装置130の切換指令に応じて三者通話と任意の装置同士の二者通話とを切り換えることもできる。
案内装置130は、発信側通信機110同様の通信機を含んで構成され、中継サーバ120を通じて発信側通信機110や着信側通信機140と接続可能に設けられる。案内装置130では、例えば、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼をトリガに、発信側通信機110や着信側通信機140と接続がなされ、その接続に、案内者(案内装置130の利用者となるオペレータ)132が個々に対応する。
着信側通信機140は、本実施形態において通話を受ける側の電話機(通信機)であり、発信側通信機110同様、固定電話網に接続される固定電話や携帯電話網に接続される携帯電話、PHSの他、VoIPを用いて通話を行うPDA、パーソナルコンピュータ等の機器で構成され、着信者142の音声を入力する音声入力部140aと、発信者112または案内者132の音声を出力する音声出力部140bと、音声通信を実現する通信部(図示せず)とを有している。
本実施形態では、このような発信側通信機110から着信側通信機140への通話を通じた詐欺行為を未然に防止することを目的としている。ここで、詐欺行為には、訴訟関係費用名目等架空の事実を口実として現金を振り込ませる架空請求詐欺、架空の融資を持ちかけて、その融資を申し込んだ者に保証金を振り込ませる融資保証詐欺、年金や税金の還付金手続きであるかのように装って、ATMを操作させ現金を振り込ませる還付金等詐欺、知人を装い交通事故の示談金名目等で現金を振り込ませる振込め詐欺等がある。特に、近日、振込め詐欺の件数および被害額が急増している。また、詐欺師自体も、複数人のグループで警察官、弁護士、銀行員等になりすますといったように、その手口が巧妙かつ悪質になっている。
当該通信中継システム100では、発信者112による発信側通信機110から着信側通信機140への発呼において(図1(1))、発呼先である着信側通信機140が登録されていれば、その発呼に案内装置130が介在する。例えば、悪意を持った発信者112が、着信者142を騙すため、発信側通信機110から着信側通信機140へ発呼した場合、中継サーバ120は、即座に両者の接続を行わず、まず、案内装置130を発呼して、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(図1(2))。そして、発信側通信機110が既知でなければ、案内装置130の案内者132が発信側通信機110の発信者112の素性を確かめ(図1(3))、ある程度の信憑性を得た場合に限り、その旨、着信側通信機140の着信者142に伝達し(図1(4))、ようやく発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通話が開始される(図1(5))。ここでは、着信者142が予め登録している発信側通信機110、および、公共的に信頼性が高いと判断された発信側通信機110のみに対して、着信者142との直接的な通話を許可することで、着信者142を詐欺行為から保護することができる。
また、案内装置130の案内者132は、上記発信側通信機110と着信側通信機140とが直接接続された後も、両者の通話を監視(ここでは、電子データおよび音声を視聴によって見張る(傍聴する)ことを監視という。)する場合がある。これは、発信者112が案内者132に伝えた通話の目的と、発信者112が実際に着信者142と通話している内容が異なり、それが詐欺行為に該当する可能性があるからである。例えば、案内装置130は、発信側通信機110と着信側通信機140と三者通話(三者通信に相当)を行い、案内者132は、発信者112と着信者142との会話をリアルタイムで聴いて、引き続き、発信者112の信憑性を判断する。
以下、上述した処理を実現する中継サーバ120および案内装置130の具体的な構成を述べ、それらを用いた通信中継方法の処理の流れを詳述する。
(中継サーバ120)
図2は、中継サーバ120の電気的構成を示した機能ブロック図である。中継サーバ120は、サーバメモリ210と、サーバ通信部212と、サーバ制御部214とを含んで構成される。
サーバメモリ210は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述するサーバ制御部214で利用されるプログラムを保持する。サーバ通信部212は、通信網102を通じて発信側通信機110、案内装置130、着信側通信機140のいずれか2つの装置または全てを接続する。サーバ制御部214は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、サーバメモリ210や他の電子回路と協働して中継サーバ120全体を管理および制御する。また、サーバ制御部214は、要求転送部230、通信切換部232としても機能する。
例えば、本実施形態では、電話番号を非通知とした発呼は受け付けないこととしている。したがって、要求転送部230は、当該中継サーバ120に予め登録されている着信側通信機140に対する発呼であっても、発信側通信機110が電話番号を非通知としている場合、「電話番号を通知してお掛け直し下さい。」等の音声メッセージを出力して、電話番号通知による再発呼を促す。
また、当該発呼が、当該中継サーバ120に予め登録されている着信側通信機140に対する発呼であり、かつ発信側通信機110の電話番号の通知がなされたものであれば、要求転送部230は、発信側通信機110と着信側通信機140とを接続せず、まず、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(案内装置130への転送)。そして、要求転送部230は、発信側通信機110を特定する識別子(例えば、電話番号)を案内装置130に送信する。
通信切換部232は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話および全てを接続した三者通話を実行する。また、通信切換部232は、案内装置130からの切換指令に応じて、三者通話と任意の装置同士の二者通話とを切り換える。
(案内装置130)
図3は、案内装置130の電気的構成を示した機能ブロック図である。案内装置130は、操作部310と、表示部312と、音声入力部314と、音声出力部316と、案内メモリ318と、案内通信部320と、案内制御部322と含んで構成される。
操作部310は、キーボード、ポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、案内者132の操作入力を受け付ける。表示部312は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、当該案内装置130と接続された発信側通信機110の電話番号等の情報を表示する。
音声入力部314は、マイク等で構成され、A/D変換、エンコーダ等を通じて案内者132の音声を音声信号として取り込む。音声出力部316は、スピーカ等で構成され、音声信号を音声に変換して出力する。また、本実施形態においては、音声入力部314と音声出力部316とが一体的に形成されたヘッドセットが用いられている。
案内メモリ318は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述する案内制御部322で利用されるプログラム、不審キーワードリストや発信側通信機110を選別するための4つのリスト(個人許可リスト、公共許可リスト、個人拒否リスト、公共拒否リスト)を保持する。不審キーワードリストは、詐欺行為において特に頻出する文言、例えば、「オレオレ」、「ジダン」、「ギンコウ」、「カード」、「ゲンキン」、「フリコミ」、「コウザバンゴウ」、「アンショウバンゴウ」等をリスト化したものである。
図4は、上記4つのリストを説明するための説明図である。個人許可リスト250および公共許可リスト252は、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通信接続を許可する識別子をリスト化したものであり、個人許可リスト250は、任意の着信者142にのみ対応し、公共許可リスト252は、全てまたは複数の着信者142に対応している。両リストを合わせて単に「許可リスト」と略すこともある。複数の着信者142は、任意に分けられた領域(例えば地域等)内の全ての着信者142を示す。
また、個人拒否リスト254および公共拒否リスト256は、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通信接続を行わない(通信接続を拒否する)識別子をリスト化したものであり、個人許可リスト250や公共許可リスト252同様、個人拒否リスト254は、任意の着信者142にのみ対応し、公共拒否リスト256は、全てまたは複数の着信者142に対応している。両リストを合わせて単に「拒否リスト」と略すこともある。ここで、個人許可リスト250および個人拒否リスト254を合わせて個人リストと呼び、公共許可リスト252と公共拒否リスト256を合わせて公共リストと呼ぶ。
また、個人許可リスト250には、図4(a)に示すように、着信側通信機140の識別子(例えば電話番号)260と、その着信側通信機140が着信を許可する1または複数の識別子(例えば電話番号)262と、暗証番号264とが関連付けられ、公共リスト(公共許可リスト252、公共拒否リスト256)には、図4(b)、図4(d)に示すように、それぞれ着信側通信機140との接続を許可する、または、拒否する1または複数の識別子262のみが関連付けられ、個人拒否リスト254には、図4(c)に示すように、着信側通信機140の識別子260と、着信を拒否する1または複数の識別子262とが関連づけられている。
案内通信部320は、中継サーバ120を通じて発信側通信機110や着信側通信機140との通信接続を確立する。ここで、案内装置130は、パーソナルコンピュータで構成しているが、一般的な電話機能も有し、案内者132の操作に応じて、オンフックやオフフックに準じる動作が実行される。
案内制御部322は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、案内メモリ318や他の電子回路と協働して案内装置130全体を管理および制御する。また、案内制御部322は、リスト登録部330、リスト提供部332、接続制御部334、リスト報知部336、情報取得部338、情報伝達部340、接続報知部342としても機能する。かかる機能部は、上述したリスト250、252、254、256の生成処理と、各リストを用いた発呼の選別処理とに機能が分担され、生成処理は、リスト登録部330、リスト提供部332が対応し、選別処理は、接続制御部334、リスト報知部336、情報取得部338、情報伝達部340、接続報知部342が対応している。以下、生成処理と選別処理に分けて各機能部を説明する。
(リストの生成処理)
リスト登録部330は、各リスト250、252、254、256に関連付けられた登録条件に従って発信側通信機110の識別子262を各リスト250、252、254、256に登録する。例えば、個人許可リスト250や公共許可リスト252といった許可リストには、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通信接続を許可するという条件の下、識別子262が登録され、個人拒否リスト254や公共拒否リスト256といった拒否リストには、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通信接続を行わないという条件の下、識別子262が登録される。
また、個人許可リスト250および個人拒否リスト254といった個人リストは、主として着信者142個々の要求に応じて登録され、公共許可リスト252や公共拒否リスト256といった公共リストは、着信者142が直接登録に関与することはできず、案内装置130が主体となって登録が実行される。したがって、公共許可リスト252は、公共施設(公共機関)や金融機関、宅配業者等の身元が確認されている識別子262で形成され、公共拒否リスト256は、既に詐欺行為に利用された識別子262や悪質な業者であることが既知の識別子262で形成される。
ここで、個人許可リスト250と個人拒否リスト254とは、登録を排他的に制御することが可能であるが、公共許可リスト252と公共拒否リスト256とは、識別子262が重複する場合が生じ得る。そこで、リスト登録部330は、識別子262が公共許可リスト252および公共拒否リスト256のいずれの登録条件も満たす場合、予め定められた優先順に従って、いずれか一方にのみ識別子262を登録する。例えば、公共拒否リスト256を公共許可リスト252より優先すると定めた場合、任意の識別子262を公共許可リスト252に登録する際には、公共拒否リスト256に既に登録されていないことを確認してから公共許可リスト252に登録し、また、任意の識別子262を公共拒否リスト256に登録する際には、同一の識別子262が公共許可リスト252に含まれていれば、その識別子262を公共許可リスト252から削除した後、公共拒否リスト256に登録することとなる。
一方、許可リスト間や拒否リスト間の重複は許容される。即ち、個人許可リスト250と公共許可リスト252とには同一の識別子262が存在し得る。ただし、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通信接続を許可するか否かは、個人許可リスト250を優先的に用いて判断される。
また、各リスト250、252、254、256は、着信者142や案内者132が直接登録する以外に、様々な登録条件で識別子262が登録される。以下にその登録例を、公共リスト、個人リストの順で列挙する。
(公共リストの登録例)
複数の個人許可リスト250に重複して登録される識別子262は、公共的にも通話対象として認めることができる。そこで、リスト登録部330は、或る識別子262が登録されている個人許可リスト250の数に応じて、例えばその登録数が所定数以上であれば(所定数以上の着信者142がこの識別子262を個人許可リスト250に登録していれば)、この識別子262を公共許可リスト252に登録する。同様に、複数の個人拒否リスト254に重複して登録される識別子262は、公共的にも通話は拒否すべきである。そこで、リスト登録部330は、或る識別子262が登録されている個人拒否リスト254の数に応じて、例えばその登録数が所定数以上であれば(所定数以上の着信者142がこの識別子262を個人拒否リスト254に登録していれば)、この識別子262を公共拒否リスト256に登録する。かかる構成により、個人リスト250、254に基づいて公共リスト252、256を自動的に形成することができ、面倒な入力作業を伴うことなく、選別精度を高めることができる。こうして、案内者132の処理負担を軽減することが可能となる。
また、詐欺師が詐欺行為を働く場合、制限された数の発信側通信機110から短期間に多数の着信側通信機140に対してローラー的に発呼することが多い。そこで、リスト登録部330は、発呼が為された発信側通信機110の識別子262を保持し、同一の発信側通信機110から所定数以上の着信側通信機140に所定期間に発呼がなされていたら(例えば、1週間に異なる100の着信側通信機140に発呼していたら)、その識別子262を公共拒否リスト256に登録する。
ただし、上述したように、個人許可リスト250の数に応じて公共許可リスト252に登録、個人拒否リスト254の数に応じて公共拒否リスト256に登録する場合、または、発呼した着信側通信機140の数に応じて公共拒否リスト256に登録する場合、リスト登録部330は、識別子262が登録されている有効期間を設定する。これは、上述した自動登録が、意図的ではなく偶然に生じた場合に、それが恒常的に行われていなければ、当該リストによる制限を解除すべきだからである。こうして、個人的な発呼や一過性の発呼によって公共リストに永久的に登録されるのを回避でき、より正確に識別子262を選別することが可能となる。
また、リスト登録部330は、後述する三者通話において、発信者112の発言と案内メモリ318に保持された不審キーワードリスト中の、「オレオレ」、「ジダン」、「ギンコウ」、「カード」、「ゲンキン」、「フリコミ」、「コウザバンゴウ」、「アンショウバンゴウ」等の不審キーワードとを比較し、不審キーワードの数または頻度に応じて、発信側通信機110の識別子262を公共拒否リスト256に登録する。このように、詐欺行為を自動的に特定し、その発信側通信機110を公共拒否リスト256に登録することで、同一の識別子262からの発呼を次回から拒否することが可能となる。ただし、三者通話を行った結果、案内者132が、発信者112を信頼できると判断した場合、その識別子262の公共拒否リスト256への登録を実行しない。
(個人リストの登録例)
個人許可リスト250および個人拒否リスト254は、基本的に、着信者142からの要求に応じて、その着信側通信機140の識別子260に関連付けられた個人リストにのみ反映される。例えば、着信者142は、案内装置130を通じ、案内者132のアドバイスに基づいて個人許可リスト250や個人拒否リスト254に識別子262を登録することで、直接着信したり、着信を拒否するのに適切な識別子262のみを選択することができる。また、既に個人許可リスト250に登録されている電話番号の変更等が生じた場合に、それが、振込め詐欺の予備行為であるか否かのアドバイスを案内者132から受けることで、例えば、変更前の電話番号に再度電話して確認する等を行い、振込め詐欺の被害に遭うのを未然に防止することが可能となる。
また、着信者142が、個人許可リスト250に積極的に登録しなくても、着信許可した頻度(例えば、直近1ヶ月間で着信許可した回数)が所定値より多かったら、その発信側通信機110を信頼できるとみなしてもよい。そこで、リスト登録部330は、識別子262で特定される発信側通信機110の発呼を任意の着信者142が着信許可した頻度に応じて、識別子262を個人許可リスト250に登録する。ただし、この場合、識別子262が登録されている有効期間を設定し、有効期間が経過すると、自動的に消去される。
また、リスト登録部330は、着信者142が自ら発呼した発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録してもよい。これは、着信者142が積極的に通話を望む発信者112に関しては、着信も許可すべきという観点に基づいている。
また、リスト登録部330は、案内者132が、発信者112との対話または発信者112と着信者142との対話に基づいて、発信者112を信頼できると判断した発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録してもよい。また、案内者132が、発信者112を詐欺師であると判断した発信側通信機110の識別子262を個人拒否リスト254に登録してもよい。ただし、この場合も、識別子262が登録されている有効期間を設定し、有効期間が経過すると、自動的に消去される。
リスト提供部332は、個人許可リスト250、公共許可リスト252、個人拒否リスト254および公共拒否リスト256をそれぞれ独立した形式で着信者142に提供する。例えば、個人許可リスト250は、基本的に提供せず、着信者142は、案内装置130による直接接続を通じて登録されていることを把握する。公共許可リスト252は、案内者132の判断により、三者通話が実行される前段、または三者通話最中に音声または電子データを通じて報知される。個人拒否リスト254は、定期的(例えば、1回/月)に着信者142に報知される。公共拒否リスト256は、着信者142の要求に応じて、その都度、報知される。ただし、この場合、自動ガイダンスによる音声メッセージや予め登録された着信者142のアドレス宛の電子メールにて対応する。
(リストを用いた発呼の選別処理)
接続制御部334は、任意の発信側通信機110からの発呼に基づく、発信側通信機110と案内装置130との接続に応じて、種々の処理を行う。具体的に、接続制御部334は、発信側通信機110の識別子262が、発呼先である着信側通信機140に係る個人許可リスト250に含まれる場合、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続する。着信者142は、信頼できる知人や家族の利用する発信側通信機110を当該個人許可リスト250に事前登録することで、従前の通話同様、安心して着信を直接受けることができる。
また、発信側通信機110の識別子262が、発呼先である着信側通信機140に係る個人拒否リスト254に含まれる場合、接続制御部334は、「お客様のお電話番号は接続できなくなっております。ご不明な点は○○まで。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力して、発信側通信機110との接続を遮断する。また、接続制御部334は、「お客様のお電話番号は接続できなくなっております。折り返しご連絡いたしますので、ご連絡先とご用件をお話ください。」等の音声メッセージを出力して、その後の発信者112の音声を録音し、着信者142に転送することもできる。
また、発信側通信機110の識別子262が個人許可リスト250および個人拒否リスト254に含まれない場合、発信側通信機110と案内装置130との接続を維持し、後述するリスト報知部336の報知内容に応じて、適切な対応を行う。このとき、案内装置130は、発信側通信機110に、「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージを出力する。仮に、発信者112が詐欺師であった場合、このような音声メッセージによって、万が一でも身元が特定されないかと警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
ただし、上記「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージが出力されている間に、発信側通信機110のトーン信号(DTMF:Dual-Tone Multi-Frequency)を通じ発信者112によって番号列が入力され、その番号列が、個人許可リスト250において着信側通信機140に関連付けられた暗証番号264と一致した場合、案内装置130に転送されることなく、電話番号が関連付けられているのと同様、直接、着信側通信機140に接続される。
これは、信頼できる知人や家族が、個人許可リスト250に未登録の発信側通信機110から発呼している場合に、無駄な案内装置130への転送を回避するためであり、この場合、着信者142は、安心して直接着信を受けることができる。
リスト報知部336は、発信側通信機110と案内装置130との接続が維持される場合に、発信側通信機110の識別子262が公共許可リスト252または公共拒否リスト256に含まれれば、その識別子262が含まれるリストを案内者132に報知する。例えば、発信側通信機110の識別子262が、個人許可リスト250および個人拒否リスト254に含まれない場合であって、公共拒否リスト256に含まれる場合、リスト報知部336は、公共拒否リスト256に含まれることと共に、その発信者112が要注意である旨のポップアップダイアログを表示部312に表示する。案内者132は、当該発信者112が要注意であることを念頭に発信者112との対話を行う。この場合、発信側通信機110と案内装置130とを接続する前に、「こちらは○○サービスです。内容によっては録音する場合がございます。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力してもよい。
また、発信側通信機110の識別子262が、個人許可リスト250および個人拒否リスト254に含まれない場合であって、公共許可リスト252に含まれる場合、リスト報知部336は、公共許可リスト252に含まれることと共に、当該発信者112をほぼ信頼してよい旨、表示部312に表示する。案内者132は、そのことを念頭に発信者112との対話を行う。この場合、後述する三者通話への切換を省略して、直接、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話を実行する。
さらに、発信側通信機110の識別子262が個人許可リスト250および個人拒否リスト254に含まれず、また、公共許可リスト252および公共拒否リスト256にも含まれない場合、リスト報知部336は、いずれのリストにも含まれない旨、表示部312に表示し、案内者132は、発信者112が詐欺師の可能性があるということを念頭に対話を行う。この場合、公共拒否リスト256に含まれている場合同様、発信側通信機110と案内装置130とを接続する前に、「こちらは○○サービスです。内容によっては録音する場合がございます。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力してもよい。
情報取得部338は、発信側通信機110と案内装置130との接続に応じて、発信側通信機110の情報および発信側通信機110の発信者112の情報のいずれか一方または双方である発信情報を取得する。ここで、発信側通信機110の情報は、発信側通信機110の電話番号、発信時刻、発信位置(住所)等であり、発信側通信機110の発信者112の情報は、発信者112の氏名や所属先名称、用件、性別、年齢等である。このうち、発信者112の情報は、案内者132が発信者112から口頭で聴き出してもよいし、当該発呼に関連付けられて発信者112の音声を録音又は文字情報化して電子データとして取得されてもよい。仮に、発信者112が詐欺師であった場合、このような案内者132の問いかけに対して、身元や声が特定されないかと警戒し、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
案内者132は、発信者112に関する発信情報に基づいて発信者112の信憑性を判断し、詐欺行為ではないという見解を示すことができれば、まず、案内装置130と着信側通信機140との接続操作を行う。
案内装置130と着信側通信機140との接続操作がなされると、接続制御部334は、その操作に応じて、発信側通信機110と案内装置130との接続を維持した状態で、案内装置130と着信側通信機140とを接続する。このとき接続報知部342は、発信側通信機110に対して保留状態とすると共に、「お掛けになった電話番号にお取り次ぎ致します。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力する。
情報伝達部340は、発信情報を着信側通信機140に伝達する。具体的に、情報伝達部340は、案内者132と着信者142とが通話できる状態を維持して案内者132に発信情報の伝達を促したり、発信情報を音声メッセージや文字情報等の電子データとして着信側通信機140に伝達したりする。そして、発信情報が着信者142に伝達された後、以下に示す三者通話に移行する。ただし、発信情報に基づいて着信者142が「知人ですので転送しても構わない」等の見解を示せば、以降の三者通話をやめ、情報伝達部340は、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続する。
接続制御部334は、中継サーバ120に三者通話を実行する旨の切換指令を発し、発信側通信機110と案内装置130との二者通話および案内装置130と着信側通信機140との二者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140と案内装置130の三者通話に切り換える。このとき、接続報知部342は、発信側通信機110および着信側通信機140に「三者通話を開始します。」等の音声メッセージを出力して、三者通話が実行されることを予め報知するとしてもよい。
ここで、三者通話は時限的であり、所定時間(例えば3分)経過するまでに何らかの追加操作がなければ、接続制御部334は、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える。このように三者通話を時限的とすることで、着信者142を詐欺行為から保護すると共に、プライバシーの問題を最小限に抑えることができる。また、三者通話中において、案内装置130の案内者132は、発信側通信機110や着信側通信機140の音声を監視するのみであり、案内者132の音声は発信側通信機110や着信側通信機140に出力されない。ただし、三者通話を維持しつつ、案内装置130から着信側通信機140にのみに音声を出力するとしてもよい。
案内者132は、三者通話を通じて、発信側通信機110と着信側通信機140とが直接接続された後も、両者の通話を監視し、発信者112の信憑性を継続的に判断する。案内者132は、会話の内容に問題がなければ、上記所定時間の経過により三者通話を終えるが、不審な場合、その所定時間を延長して、三者通話を継続することもできる。
接続報知部342は、三者通話に案内者132の音声を出力しない代わりに、三者通話を実行している間、機械音、例えば、「プップップッ…」といった音を発信側通信機110と着信側通信機140との通話に重畳し、発信側通信機110および着信側通信機140を通じて、三者通話が実行されていることを発信者112および着信者142に報知する。
このように、三者通話が実行されている間、その旨、着信者142に報知することで、着信者142は、第三者(案内者132)が当該会話を傍聴していることを常に意識することができ、プライバシーの保護を図ることができる。また、三者通話が実行されていることを発信者112にも報知することで、発信者112は、第三者により監視されていることを意識して、詐欺行為を実行することができなくなり、詐欺行為の抑止力を向上することが可能となる。
また、接続報知部342は、案内者132が三者通話を延長しない限り、三者通話が維持される所定時間の経過をもって三者通話が実行されている旨の機械音の出力を停止する。このように三者通話が実行されている旨の機械音が正常に終了したことは、案内者132が、発信者112を信頼できるという見解を示したことに相当し、着信者142は、安心して発信者112との会話を継続することができる。また、機械音の出力が停止された後は、第三者(案内者132)に会話が聴かれている心配もないので、着信者142は、自由に会話を楽しむことができる。
また、接続制御部334は、三者通話を実行している間に、案内者132の操作入力を受けると、それに応じて、三者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換えることができる。このとき、接続報知部342は、発信側通信機110にその旨報知する。ただし、着信者142には、当該三者通話に案内者132が割り込む可能性があることを予め伝達しておくとよい。
例えば、案内者132が、発信者112と着信者142との会話を聴いて、発信者112が「オレオレ」、「ジダン」、「ギンコウ」、「カード」、「ゲンキン」、「フリコミ」、「コウザバンゴウ」、「アンショウバンゴウ」等の不審キーワードを発しており、発信者112が詐欺師である疑いがあると判断すると、三者通話に割り込んで、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え、着信者142にその旨伝達する。このとき、案内者132は、着信者142に、発信者112が詐欺師であるかどうかを判断するためのアドバイスを行ってもよい。例えば、発信者112が身内と称している場合、身内しか知らない情報を正しく答えることができるか確認させたり、発信者112が公共施設の職員と称している場合、客観的に調べたその公共施設の電話番号等に電話して確認させる等の指示を行ってもよい。
このとき、上述したように、リスト登録部330は、発信者112の発言と案内メモリ318に保持された不審キーワードリスト中の不審キーワードとを比較し、不審キーワードの数または頻度に応じて、発信側通信機110の識別子262を公共拒否リスト256に登録する。また、案内者132が、発信者112との対話または発信者112と着信者142との対話に基づいて、発信者112を信頼できると判断すると、リスト登録部330は、当該発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録する。一方、案内者132が詐欺行為であると判断した場合、当該発信側通信機110の識別子262を個人拒否リスト254に登録する。
また、案内装置130と着信側通信機140との二者通話の間、発信側通信機110には、二者通話が実行されていることを示す機械音または「監視者に接続しています。」等の音声メッセージが出力される。接続制御部334は、案内者132が着信者142に情報を伝達し終わると、案内者132の操作に基づいて三者通話に戻すか、または、案内装置130と発信側通信機110との接続を行い、案内者132と発信者112とを再度会話させる。
このような機械音や音声メッセージによって、発信者112は、自分が疑われていることを認識する。したがって、発信者112が詐欺師だった場合、身元が特定されるのを警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
ただし、三者通話は、一般の着信者142のみでは、その発呼が善意の発呼か悪意の発呼かは単純に判断することができない場合に、客観的な判断を行うものであり、着信者142が、発信者112を知っている場合等、明らかに詐欺師ではない場合においてまで、所定時間実行する必要はなく、また、プライバシーの保護にも欠ける。
そこで、接続制御部334は、三者通話を実行している間に着信側通信機140からの案内切断要求(切断要求に相当)を受けると、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える。かかる構成により、着信者142は、自己の判断において、発信者112が正当であることを確信した場合、三者通話中に着信側通信機140の任意のスイッチ(例えば、「*」スイッチ)を押止することで、強制的に三者通話を終了し、その後、第三者(案内者132)の存在を意識することなく、安心して発信者112との会話を継続することができる。また、接続報知部342は、接続制御部334が三者通話を終了させたときに、三者通話であることを示す機械音の出力を停止させ、三者通話が終了したことを報知する。
また、接続制御部334は、三者通話の開始から所定時間の経過により、三者通話が二者通話に切り換わった後であっても、着信者142が望めば、着信側通信機140からの切換要求を受けて、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換える。
例えば、案内者132は、発信者112と着信者142との会話に不審な点がないと判断し三者通話を終了したとする。このとき、発信者112が、まず、着信者142や案内者132を安心させて、三者通話の機械音が出力されなくなった後に詐欺行為を実行する場合がある。しかし、所定時間が経過している場合、自動的に三者通話が解除されているため、案内者132は、最早、その会話を聴くことができない。そこで、着信者142が、少しでも不審に思った場合、その旨、案内者132に伝達することで、少なくとも案内者132の客観的な見解を仰ぐことができる。
また、着信者142の切換要求に応じて、案内装置130と着信側通信機140との二者通話が実行されている間、接続報知部342は、発信側通信機110に、二者の通話が実行されていることを示す機械音や「監視者に接続しています。」等の音声メッセージを報知する。このような機械音や音声メッセージによって、発信者112は、自分が疑われていることを認識する。したがって、発信者112が詐欺師だった場合、身元が特定されるのを警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
以上説明した中継サーバ120、案内装置130により、発信側通信機110の発呼を、個人的および公共的な両視点における許可リストおよび拒否リストを通じて選別することで、その選別精度を向上することができる。こうして、対応不要な発呼を適切に処理できるため、案内者132の処理負担の軽減を図ることが可能となる。
(通信中継方法)
図5〜図8は、通信中継方法の全体的な流れを示したフローチャートであり、図9は、通信中継方法の代表的な例を示したシーケンス図である。特に、図5では、案内装置130におけるリストの生成処理を示し、図6では、中継サーバ120における通信中継処理を示し、図7では、案内装置130におけるリストを用いた発呼の選別処理を示し、図8では、発信側通信機110と案内装置130との接続処理を示している。
(案内装置130におけるリストの生成処理)
図5を参照すると、案内装置130のリスト登録部330は、初期化動作として、公共施設(公共機関)や金融機関、宅配業者等の身元が確認されている識別子262を公共許可リスト252に登録する(S400)。そして、着信者142から発信側通信機110の識別子262の登録操作が有ると(S402におけるYES)、リスト登録部330は、その識別子262を対象となる(当該着信者142に対応した)個人許可リスト250または個人拒否リスト254に登録する(S404)。
このとき、同一の識別子262が登録されている個人許可リスト250の数が所定数以上になると(S406におけるYES)、リスト登録部330は、その識別子262を公共許可リスト252にも登録し(S408)、同一の識別子262が登録されている個人拒否リスト254の数が所定数以上になると(S410におけるYES)、その識別子262を公共拒否リスト256にも登録する(S412)。ただし、リスト登録部330は、このようにして識別子262が公共許可リスト252や公共拒否リスト256に登録されてから所定の有効期間を超えると、そのリストから識別子262を削除する。また、識別子262が公共許可リスト252および公共拒否リスト256のいずれの登録条件も満たす場合、リスト登録部330は、予め定められた優先順に従って、いずれか一方にのみ識別子262を登録することとなる。
続いて、着信者142が特定の発信側通信機110からの着信を許可し、かつ、その頻度(着信許可頻度:例えば、直近1ヶ月間の着信許可回数)が所定頻度以上になったか否か判定され(S414)、頻度が所定頻度以上になると(S414におけるYES)、リスト登録部330は、その発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録する(S416)。
次に、着信者142が特定の発信側通信機110を発呼し、かつ、その頻度(着信発呼頻度:例えば、直近1ヶ月間の発呼回数)が所定頻度以上になったか否か判定され(S418)、頻度が所定頻度以上になると(S418におけるYES)、リスト登録部330は、その発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録する(S420)。
続いて、発信者112が1の発信側通信機110から相異なる複数の着信側通信機140に所定期間内に所定数の発呼がなされたか否か判定され(S422)、発呼の数(発信発呼数:例えば、直近1ヶ月間に発呼した着信側通信機140の数)が所定数以上になると(S422おけるYES)、リスト登録部330は、その発信側通信機110の識別子262を公共拒否リスト256に登録する(S424)。ただし、この場合も、リスト登録部330は、識別子262が公共拒否リスト256に登録されてから所定の有効期間を超えると、そのリストから識別子262を削除する。以降、ステップS402の登録操作判定処理からを繰り返す。
(中継サーバ120における通信中継処理)
図6を参照すると、任意の発信側通信機110から、予め中継サーバ120に登録された着信側通信機140に発呼があった場合(S450におけるYES)、中継サーバ120の要求転送部230は、その発呼が電話番号の通知を伴うものか否か判定する(S452)。電話番号の通知がない場合(S452におけるNO)、要求転送部230は、電話番号を通知してかけ直すよう音声メッセージを出力し(S454)、当該通信中継処理を終了する。
電話番号が通知されている場合(S452におけるYES)、要求転送部230は、発信側通信機110と案内装置130とを接続し(S456)、発信側通信機110を特定する識別子262を案内装置130に送信する。
このようにして案内装置130に通信中継処理が移行した後であっても、接続が解除されるまでは(S458におけるNO)、案内装置130からの切換指令を受け付けると(S460におけるYES)、通信切換部232は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話、ならびに、全てを接続した三者通話とを切り換える(S462)。接続が解除されると(S458におけるYES)、当該通信中継処理を終了する。
(案内装置130におけるリストを用いた発呼の選別処理)
図7を参照すると、発信側通信機110と案内装置130とが接続されると(S500におけるYES)、案内装置130の接続制御部334は、発信側通信機110の識別子262が個人拒否リスト254に含まれるか否か判定する(S502)。ここで、識別子262が個人拒否リスト254に含まれていたら(S502におけるYES)、接続制御部334は、「お客様のお電話番号は接続できなくなっております。ご不明な点は○○まで。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力して(S504)、発信側通信機110との接続を遮断し(S506)、当該選別処理を終了する。
発信側通信機110の識別子262が個人拒否リスト254に含まれていなければ(S502におけるNO)、個人許可リスト250に含まれるか否か判定される(S508)。識別子262が個人許可リスト250に含まれていたら(S508におけるYES)、接続制御部334は、中継サーバ120に切換指令を発して発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続させ(S510)、当該選別処理を終了する。このように、事前登録された発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続することで、安全な通話のみを着信者142に提供することができる。
識別子262が個人許可リスト250に含まれていなければ(S508におけるNO)、接続報知部342は、発信側通信機110に、「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージを出力し(S512)。そして、接続制御部334は、所定の暗証番号入力期間が経過していない間に(S514におけるNO)、発信側通信機110から暗証番号に相当するトーン信号が入力され、かつ、その暗証番号が個人許可リスト250に登録された暗証番号264に合致しているか否か判定し(S516)、暗証番号が合致していれば(S516におけるYES)、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続して(S510)、当該接続処理を終了する。トーン信号の入力がないまま、または、暗証番号が合致しないまま暗証番号入力期間が経過すると(S514におけるYES)、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(S518)。かかる発信側通信機110と案内装置130との接続処理に関しては図8を用いて詳細に説明する。
(発信側通信機110と案内装置130との接続処理S518)
図8において、発信側通信機110と案内装置130とが接続されると、案内装置130のリスト報知部336は、発信側通信機110の識別子262が含まれるリストが識別可能な情報を表示部312に表示する(S550)。情報取得部338は、案内者132を通じて、発信側通信機110または発信側通信機110の発信者112の情報である発信情報を取得する(S552)。ここで、表示されたリストが公共許可リスト252であり、案内者132が、発信者112を信頼できると判断し、着信側通信機140の切換操作を行うと(S554におけるYES)、発信側通信機110と着信側通信機140とが直接接続される(S556)。また、案内者132が、発信者112が不審者の可能性があると判断し、着信側通信機140への接続操作を行うと(S558におけるYES)、接続制御部334は、案内装置130と着信側通信機140とを接続し、情報伝達部340は、発信情報を着信側通信機140に伝達する(S560)。
そして、接続報知部342は、発信側通信機110および着信側通信機140に「三者通話を開始します。」等の音声メッセージを出力し(S562)、接続制御部334は、中継サーバ120に三者通話を実行する旨の切換指令を発して、発信側通信機110と案内装置130との二者通話、および、案内装置130と着信側通信機140との二者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140と案内装置130の三者通話に切り換える(S564)。
また、接続報知部342は、三者通話を実行している間、着信側通信機140および発信側通信機110を通じて三者通話が実行されていることを報知する(S566)。こうして、着信者142は、第三者(案内者132)が当該会話を傍聴していることを常に意識することができ、プライバシーの保護を図ることができる。また、三者通話が実行されていることを発信者112にも報知することで、発信者112は、第三者により監視されていることを意識して、詐欺行為を実行することができなくなり、詐欺行為の抑止力を向上することが可能となる。
かかる三者通話が実行されている間、案内者132が、発信者112と着信者142との会話に基づいて、発信者112が不審者の可能性があると判断し、二者通話の割込操作を行うと(S568におけるYES)、それに応じて接続制御部334は、三者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え(S570)、接続報知部342は、三者通話が実行されていることの報知出力を終了し、発信側通信機110に二者通話である旨報知する(S572)。このとき、リスト登録部330は、これまでの発信者112の発言と案内メモリ318に保持された不審キーワードリスト中の不審キーワードとを比較し、不審キーワードの数または頻度に応じて、発信側通信機110の識別子262を公共拒否リスト256に登録する。また、案内者132が詐欺行為であると判断した場合、当該発信側通信機110の識別子262を個人拒否リスト254に登録する。
そして、案内者132によるアドバイスが終了し、案内者132によって、三者通話の割込操作があると(S574におけるYES)、接続制御部334は、二者通話を三者通話に切り換え(S576)、接続報知部342は、三者通話を実行している間、三者通話が実行されていることを報知する(S578)。
また、三者通話が実行されている間に、着信側通信機140からの接続切断要求(通話終了)があると(S580におけるYES)、当該接続処理を終了する。また、三者通話が実行されている間に、着信側通信機140の案内切断要求(案内装置130排除)があると(S582におけるYES)、接続制御部334は、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える(S584)。そして三者通話が実行されていることの報知が終了する。こうして、着信者142は自らの意志とタイミングで三者通話を発信者112との二者通話に切り換えることができ、プライバシーの問題を回避することが可能となる。
三者通話が実行されている間に、着信側通信機140の案内切断要求がないと(S582におけるNO)、三者通話の経過時間が所定時間を超えたか否か判定される(S586)。三者通話の経過時間が所定時間に至っていない間(S586におけるNO)、ステップS568における二者通話割込操作判定処理からを繰り返す。そして、所定時間に達すると(S586におけるYES)、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換え、三者通話が実行されていることの報知を終了する(S584)。このように三者通話が実行されている旨の機械音が正常に終了したことは、案内者132が、発信者112を信頼できるという見解を示したことに相当し、着信者142は安心して発信者112との会話を継続することができる。このとき、案内者132が、発信者112との対話または発信者112と着信者142との対話に基づいて、発信者112を信頼できると判断すると、リスト登録部330は、当該発信側通信機110の識別子262を個人許可リスト250に登録する。
また、二者通話が実行されている間に、着信者142が発信者112を不審に思い、着信側通信機140の切換要求を行うと(S588におけるYES)、接続制御部334は、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え(S590)、接続報知部342は、発信側通信機110にその旨報知する(S592)。そして、着信者142は、案内者132からアドバイスを受け、その後、着信側通信機140からの接続要求があると(S594におけるYES)、接続制御部334は、再度、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に戻す(S596)。
二者通話が実行されている間に、着信側通信機140からの接続切断要求(通話終了)があると(S598おけるYES)、当該接続処理を終了する。
続いて、図9を参照しつつ、通信中継方法の代表的な例を示すと、任意の発信側通信機110が着信側通信機140の発呼を実行すると(S600)、まず、中継サーバ120でその発呼が確認される。仮に、発信側通信機110が電話番号を通知しているとすると、中継サーバ120の要求転送部230は、その発呼に応じて、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(S602)。案内装置130側では、発信側通信機110の識別子262が各リスト(個人許可リスト250、公共許可リスト252、個人拒否リスト254、公共拒否リスト256)に含まれるか否か判定され、いずれのリストに含まれるかによって対応が異なる。ここでは、仮に、識別子262が公共許可リスト252に含まれていたとする。すると、リスト報知部336が、当該発信者112をほぼ信頼してよい旨の表示を行い、情報取得部338を通じて発信情報が取得され(S604)、案内者132が、発信者112が不審な者ではないとのある程度の確信を得ると、三者通話を行うまでもなく、接続制御部334によって、発信側通信機110と案内装置130との二者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える(S606)。
このように、発信側通信機110の発呼を、個人的および公共的な両視点における許可リストおよび拒否リストを通じて選別することで、その選別精度を向上することができる。こうして、対応不要な発呼を適切に処理できるため、案内者132の処理負担の軽減を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、通信として特に「通話」を挙げて説明したが、チャットや既存の様々な通信形式を採用することもでき、そのような場合においても上記実施形態の三者通話や二者通話を三者通信や二者通信と置換することで、本実施形態同様の効果を得ることが可能となる。
また、上述した実施形態では、各リスト250、252、254、256を案内装置130で保持し、識別子262と各リストとの比較を案内装置130で行う例を挙げたが、かかる場合に限られず、中継サーバ120にその機能を設けてもよい。
なお、本明細書の通信中継方法における各工程は、必ずしもフローチャートおよびシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。