JP5682824B2 - ポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、及び、ポリマーで固定化されたコロイド結晶 - Google Patents

ポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、及び、ポリマーで固定化されたコロイド結晶 Download PDF

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本発明は、ポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、並びに、ポリマーで固定化されたコロイド結晶に関する。
コロイド粒子が規則的に配列した秩序構造を有するコロイド結晶は、Bragg回折により、その格子定数に対応した波長の光を反射することが知られている。例えば、サブミクロンオーダーのコロイド粒子を規則的に配列させたコロイド結晶の場合、紫外光、可視光から赤外光の範囲の波長の光を反射する。そして、このようなコロイド結晶により可視光を反射させる場合には、イリデセンス(虹彩色)等のいわゆる構造色を発色させることが可能であることが知られている。そのため、このようなコロイド結晶は、その特徴を利用して、構造色を発色させる色材、特定の波長の光を透過しない光フィルター、特定の光を反射するミラー、フォトニック結晶、光スイッチ、光センサー等へ応用することが期待されてきた。
このようなコロイド結晶の製造方法としては、例えば、特開2008−303261号公報(特許文献1)において、1種以上のモノマーを含むモノマー含有液中に、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にあり且つ単分散度が20%以下となるコロイド粒子を含有させ、反射スペクトルにおいて反射ピークを有する3次元規則配列状態となるように前記コロイド粒子を分散させて、前記3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程と、前記モノマー分散液中の前記モノマーを重合させて、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程とを含むコロイド結晶の製造方法が開示されている。また、特開2010−131525号公報(特許文献2)においては、条件(A)〜(D):(A)複数のエチレン性二重結合を有する多官能モノマーと、エチレン性二重結合を1つ有する単官能モノマーと、平均粒径が0.05〜5μmであり且つ単分散度が10%以下となるコロイド粒子とを含有すること;(B)前記多官能モノマーの含有比率が前記多官能モノマーと単官能モノマーとの総量に対して1〜95質量%であること;(C)前記多官能モノマー及び前記単官能モノマーからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーが非イオン性の親水性基を有する親水性モノマーであること;(D)前記親水性モノマーの含有比率が前記多官能モノマーと単官能モノマーとの総量に対して85質量%以上であること;を満たす混合液中において、前記コロイド粒子を反射スペクトルにおいて反射ピークを有する3次元規則配列状態となるように分散させて、前記3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程と、前記モノマー分散液中の前記モノマーを重合させて、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程とを含む、コロイド結晶の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜2に記載のようなコロイド結晶の製造方法は、得られるコロイド結晶の硬度を十分に高度なものとするという点やバルク状態のコロイド結晶を製造するという点においては必ずしも十分なものでなかった。
特開2008−303261号公報 特開2010−131525号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するコロイド結晶を十分に高い硬化率で効率よく製造することができるとともに、そのコロイド結晶の形状を所望の厚みを有するバルク体とすることも可能なポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、並びに、その方法を採用して得られるポリマーで固定化されたコロイド結晶を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、単官能アクリルモノマーと、二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリルモノマーとを質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])が30:70〜90:10となる割合で含有する分散媒中に、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にあり且つ単分散度が10%以下となるコロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加し、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させて、3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得た後に、前記モノマー分散液中に10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなる重合開始剤を含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして含有させ、該重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度([10時間半減期温度]+[5℃])以下であり且つ80℃以下であるという条件を満たす加熱温度で加熱して、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合することにより、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するコロイド結晶を効率よく製造することができるとともに、そのコロイド結晶の形状を所望の厚みを有するバルク体とすることも可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法は、単官能アクリルモノマーと、二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリルモノマーとを質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])が30:70〜90:10となる割合で含有する分散媒中に、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にあり且つ下記式(1):
[単分散度(単位:%)]=([粒径の標準偏差]/[平均粒径])×100 (1)
で表される単分散度が10%以下となるコロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加し、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させて、3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程と、
前記モノマー分散液中に、10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなる重合開始剤を含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして含有させ、該重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度([10時間半減期温度]+[5℃])以下であり且つ80℃以下であるという条件を満たす加熱温度で加熱して、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合せしめ、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
また、上記本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法においては、前記単官能アクリルモノマーが、下記一般式(1):
CH=CHOO(CO)R (1)
[式(1)中、nは1〜9の整数を示し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基及びテトラヒドロフラニル基からなる群から選択される少なくとも1種を示す。]
で表される化合物であることが好ましい。
本発明によれば、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するコロイド結晶を十分に高い硬化率で効率よく製造することができるとともに、そのコロイド結晶の形状を所望の厚みを有するバルク体とすることも可能なポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、並びに、その方法を採用して得られるポリマーで固定化されたコロイド結晶を提供することが可能となる。
実施例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の各測定点における反射スペクトルを示すグラフである。 比較例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の各測定点における反射スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法について説明する。すなわち、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法は、単官能アクリルモノマーと、二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリルモノマーとを質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])が30:70〜90:10となる割合で含有する分散媒中に、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にあり且つ下記式(1):
[単分散度(単位:%)]=([粒径の標準偏差]/[平均粒径])×100 (1)
で表される単分散度が10%以下となるコロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加し、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させて、3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程(第一工程)と、
前記モノマー分散液中に、10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなる重合開始剤を含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして含有させ、該重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度([10時間半減期温度]+[5℃])以下であり且つ80℃以下であるという条件を満たす加熱温度で加熱して、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合せしめ、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程(第二工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。
先ず、本発明に用いる分散媒について説明する。本発明にかかる分散媒は、前記単官能アクリルモノマーと前記多官能アクリルモノマーとを含有するものである。
このような単官能アクリルモノマーは、(メタ)アクリル基に由来するエチレン性二重結合を1つ有するアクリルモノマーである。このような単官能アクリルモノマーとしては、特に制限されず、公知の単官能アクリルモノマーを適宜用いることができ、例えば、市販の単官能のアクリルモノマー(例えば新中村化学社製のフェノキシジエチレングリコールアクリレート(NKエステル、AMP−20GY)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(NKエステル、AM−30G)、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(NKエステル、AMP−60G)、メトキシポリエチレングリコール #400アクリレート(NKエステル、AM−90G)等)を利用してもよい。
また、このような単官能アクリルモノマーとしては、コロイド粒子の分散性が向上するという観点からは、親水性のモノマーを用いることが好ましく、酸や塩基などのイオン性官能基以外の非イオン性の親水性基を含む親水性モノマーを用いることがより好ましい。このような非イオン性の親水性基としては、例えば、水酸基やエチレングリコール基、プロピレングリコール基等が挙げられる。酸や塩基などのイオン性官能基を含むモノマーを用いた場合には、コロイド結晶を形成させる際にコロイド粒子間の相互作用にモノマーが影響を及ぼし、3次元配列構造を形成させることが困難となる傾向にある。
このような単官能アクリルモノマーとしては、親水性の観点から、エチレングリコール鎖及び/又はプロピレングリコール鎖を含有する単官能アクリルモノマーが好ましく、エチレングリコール鎖を含有する単官能アクリルモノマーがより好ましく、下記一般式(1):
CH=CHOO(CO)R (1)
[式(1)中、nは1〜9の整数を示し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基及びテトラヒドロフラニル基(テトラヒドロフランから水素原子が一つ外れた基)からなる群から選択される少なくとも1種を示す。]
で表される化合物が更に好ましい。
また、このような一般式(1)で表される化合物においては、式(1)中のnは1〜9の整数(より好ましくは2〜9の整数、更に好ましくは3〜6の整数)である。このようなnの値が前記上限を超えると、粘度が高くなる傾向にあり、コロイド粒子を効率よく3次元規則配列状態に配列させることが困難になる傾向にある。更に、このような一般式(1)で表される化合物としては、入手の容易性の観点から、式(1)中のRがメチル基、エチル基、フェニル基であることがより好ましい。このような一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記一般式(2)〜(5):
Figure 0005682824
で表される化合物が挙げられる。なお、このような単官能アクリルモノマーとしては1種類を単独であるいは2種類以上混合して用いてもよい。
前記多官能アクリルモノマーは、二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種のアクリルモノマーである。ここで、二官能アクリルモノマーとは、(メタ)アクリル基に由来するエチレン性二重結合を2つ有するアクリルモノマーであり、三官能アクリルモノマーとは、(メタ)アクリル基に由来するエチレン性二重結合を3つ有するアクリルモノマーである。このような多官能アクリルモノマーにおいては、前記2〜3個のエチレン性二重結合がそれぞれ隣り合わない状態となっているものが好ましい。ここにいう「隣り合わない状態」とはそれぞれのエチレン性二重結合が重合に関与する状態にあり、エチレン性二重結合同士が直接結合していないことを意味する。
このような二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーとしては特に制限されず、公知の二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーを適宜用いることができる。また、このような二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーとしては、より効率よく3次元配列構造を形成することが可能となるという観点からは、親水性のモノマーを用いることが好ましく、酸や塩基などのイオン性官能基以外の非イオン性の親水性基を含む親水性モノマーを用いることがより好ましい。このような非イオン性の親水性基としては、例えば、水酸基やエチレングリコール基、プロピレングリコール基等が挙げられる。酸や塩基などのイオン性官能基を含むモノマーを用いた場合には、コロイド結晶を形成させる際にコロイド粒子間の相互作用にモノマーが影響を及ぼし、3次元配列構造を形成させることが困難となる傾向にある。
また、このような多官能アクリルモノマーとしては、エチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含む二官能及び三官能アクリルモノマーがより好ましい。このようなエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖からなる群から選択される少なくとも1種を含有する二官能アクリルモノマーや三官能アクリルモノマーを、前記多官能モノマーとして用いることにより、多官能モノマーが十分に親水性を有するものとなり、より効率よく3次元規則配列構造を形成させることが可能となる傾向にある。また、このような多官能モノマーとして用いられるエチレングリコール鎖及び/又はプロピレングリコール鎖を含有する二官能及び三官能アクリルモノマーとしては、エチレングリコール鎖又はプロピレングリコール鎖の鎖長が異なる種々のモノマーを利用することができる。このような鎖長の異なるモノマーを利用することによって親水性を容易に制御でき、コロイド粒子の配列状態をより効率よく制御できる傾向にある。
また、このような多官能モノマーとして用いられる二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーとしては、入手の容易性及びコロイド粒子の配列状態の制御性の観点から、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールトリ(メタ)アクリレートを好適なものとして挙げることができ、中でも、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールトリアクリレートがより好ましい。
さらに、このような多官能モノマーとして用いられる二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーとしては、市販の二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマー(例えば、新中村化学社製のテトラエチレングリコールジアクリレート(NKエステル、A−200)、東亞合成株式会社製のEOTMPTA(アロニックス M−350)等)を適宜利用することもできる。このような二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーとしては、例えば、下記一般式(6)〜(7):
Figure 0005682824
で表される化合物が挙げられる。更に、このような多官能アクリルモノマーとしては1種類を単独であるいは2種類以上混合して用いてもよい。
また、本発明にかかる分散媒においては、前記単官能アクリルモノマーと前記多官能アクリルモノマーとが、質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])で30:70〜90:10となる割合で含有されている。このような割合で、単官能モノマーと多官能モノマーとを混合することで、後述の加熱工程において、十分に高い硬化率でモノマーを硬化することができるとともに、十分な発色性を有するコロイド結晶を得ることができる。なお、このような分散媒に、例えば、多官能モノマーのみを用いた場合には、加熱工程において十分な硬化性が得られないか、あるいは、熱硬化したとしても十分な発色性が得られなくなる。このように、分散媒中における単官能アクリルモノマーの含有比率が前記下限未満では、加熱工程においてモノマーを十分に重合させて硬化させることが困難となるばかりか、得られるコロイド結晶が十分な発色を有するものとならない。他方、前記上限を超えると、十分な発色性を有したコロイド結晶を得ることはできるものの、製造されたコロイド結晶体の強度が十分なものではなくなり、例えば、その形状をバルク状とした場合に、自立したコロイド結晶体として利用することができない。また、同様の観点で、より高い効果が得られることから、このような単官能アクリルモノマーと前記多官能アクリルモノマーとの質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])としては30:70〜70:30であることがより好ましく、30:70〜50:50であることが更に好ましい。なお、分散媒中の全モノマーに対する単官能アクリルモノマーの含有量を上記割合の範囲内で適宜変更することで、製造されるコロイド結晶の特性(例えば硬度、硬化性、発色性等)を、その使用するモノマーや得られるコロイド結晶の用途等に応じて適宜調整することが可能である。
さらに、本発明にかかる分散媒においては、後述の超音波を印加する工程において、前記分散媒の粘性によってコロイド粒子の分散性が低下することを十分に防止しつつ、コロイド粒子間の相互作用を十分に作用させて、コロイド粒子を効率よく3次元規則配列状態に配列(分散)させるという観点から、前記分散媒の粘度を低く維持することが好ましい。このような観点から、前記分散媒の粘度は、50mPa・s以下(更に好ましくは5〜50mPa・sの範囲)とすることがより好ましい。なお、このような分散媒の粘度の測定方法としては、回転型粘度計、キャピラリー型粘度計、落下型粘度計等があるが、本発明においては、円筒またはコーンプレートを用いた回転型粘度計として、レオメトリックス社製レオメータ「ARES」を用いて、25℃の温度条件で、せん断速度を0.01〜1000s−1まで変化させ、その間の任意の7点以上のせん断速度(例えば、0.01s−1、0.1s−1、1s−1、10s−1、100s−1、1000s−1:計7点)の下で、粘度をそれぞれ測定し、その測定されたデータを平均化する方法を採用する。
また、前記分散媒の粘度を前述のような範囲に調整する方法としては、特に制限されず、単官能アクリルモノマー及び多官能アクリルモノマーのうちの少なくとも1種に、粘度の低いアクリルモノマーを選択して用いて分散媒全体の粘度を低くする方法や、溶媒を混合することによって分散媒の粘度を低くする方法等を採用してもよい。また、このような分散媒中に含有させる溶媒としては、特に制限されず、アルコール等の親水性溶媒を適宜用いることができる。なお、前記分散媒に溶媒を含有させる場合には固定化の際に溶媒が蒸発することに伴って結晶構造が変化することを防止するという観点から、溶媒の含有量を30質量%以下(より好ましくは15質量%以下)とすることが好ましい。
なお、本発明にかかる分散媒は、上述のようにアクリルモノマーを含有するものであるが、このような分散媒として、アクリルモノマー以外のモノマーのみからなるモノマー液を用いた場合には、効率よくコロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることができない。
次に、本発明に用いるコロイド粒子について説明する。このようなコロイド粒子は、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にある粒子である。このようなコロイド粒子の平均粒径が前記下限未満では、粒子表面間の凝集力が強くなり、モノマー分散液中で均一に分散し難くなる。他方、コロイド粒子の平均粒径が前記上限を超えると、粒子が沈降し易くなり、モノマー分散液中で均一に分散し難くなる。また、このようなコロイド粒子の平均粒径としては、同様の観点でより高い効果が得られることから、0.1〜1μm(更に好ましくは0.1〜0.5μm)であることがより好ましい。なお、このようなコロイド粒子の平均粒子径は、コロイド粒子の水分散液を基板上で乾燥させ、それを走査型電子顕微鏡で観察して、任意の100個以上の粒子の直径を測定し、その平均値を求めることにより測定することができる。
また、前記コロイド粒子は、下記式(1):
[単分散度(単位:%)]=([粒径の標準偏差]/[平均粒径])×100 (1)
で表される単分散度が10%以下の粒子である。このように、本発明にかかるコロイド粒子は、十分に高度な単分散性を有する粒径が極めて均一な粒子である。本発明においては、コロイド結晶を形成させるためのコロイド粒子として、このような均一性が極めて高い粒子を用いているため、分散媒中に前記粒子を分散させた際に、粒子間の相互作用により自己組織的に容易に3次元規則配列構造を形成させることが可能となる。また、このようなコロイド粒子としては、単分散度がより小さな値となるほどより高い特性が得られる傾向にあることから、前記単分散度が5%以下のものがより好ましい。
また、このようなコロイド粒子の材料としては特に制限されず、得られるコロイド結晶を応用する分野に合わせて、公知の有機材料、無機材料、有機−無機複合材料及び無機−無機複合材料の中から適宜選択して用いることができる。このような有機材料としては、例えば、ポリスチレン及びその誘導体、アクリル樹脂等の有機高分子材料等が挙げられる。また、前記無機材料としては、例えば、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)、酸化亜鉛等が挙げられる。また、前記有機−無機複合材料としては、例えば、ポリスチレン及びその誘導体又はアクリル樹脂等からなる粒子を酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等で覆ったコアシェル型の有機−無機複合粒子などが挙げられる。また、前記無機−無機複合材料としては、例えば、シリカからなる粒子を酸化チタン、酸化セリウム又は酸化亜鉛等で覆ったコアシェル型の無機−無機複合粒子等が挙げられる。
さらに、このようなコロイド粒子としては、容易に単分散粒子を合成することができるという観点から、シリカ、ポリスチレン及びポリメタクリル酸メチルのうちのいずれかを含有する粒子がより好ましく、シリカ、架橋したポリスチレン、架橋したポリメタクリル酸メチル又は架橋したスチレン−メタクリル酸メチル共重合体からなる粒子が更に好ましく、シリカからなる粒子(シリカ粒子)が特に好ましい。なお、このようなコロイド粒子としては、例えば、エマルション重合により合成されたポリスチレン粒子又はポリメタクリル酸メチル粒子(ダウケミカル社製、ポリサイエンス社製、日本合成ゴム社製、積水化学社製等)やストーバー法(Stober法)により合成されたシリカ粒子(市販の日本触媒製や触媒化成製のものであってもよい。)を適宜用いることができる。また、Layer−By−Layer法で単分散な粒子(テンプレート粒子)に層状化合物をコートすることによって二層構造粒子や中空粒子を形成させて、本発明のコロイド粒子として利用してもよい。
次いで、本発明に用いる重合開始剤について説明する。このような重合開始剤は、10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなるものである。
このような有機過酸化物の10時間半減期温度が60℃より低い場合には、重合時に加熱温度が最適な温度より少しでも高くなるだけで重合反応が急激に進行してしまい、コロイド結晶の配列構造が壊れた状態で硬化されてしまう等、重合反応の制御が困難となる。また、有機過酸化物の10時間半減期温度が60℃未満である場合には、基本的に、保存温度を−10℃以下とする必要があり、通常の製造環境においては取り扱いに非常に注意を要するため、作業性の点でも、その使用は困難である。一方、有機過酸化物の10時間半減期温度が100℃を超えると、本発明においては分散液中のコロイド結晶の構造を壊さないという観点から重合時の加熱温度の上限を80℃としているが、10時間半減期温度が100℃を超えた有機過酸化物を用いて加熱重合した場合には、重合反応の進行が極めて遅くなり、十分に高い硬化率でコロイド結晶を製造することができない。
また、このような有機過酸化物の10時間半減期温度としては、上述の上限値及び下限値に関する観点と同様の観点で、より高い効果が得られることから、65〜75℃であることがより好ましい。なお、ここにいう「10時間半減期温度」とは、有機過酸化物の半減期が10時間となる温度をいう。また、このような「10時間半減期温度」は、ベンゼン等のラジカルに対して不活性な溶媒で、0.1mol/l(時には0.05mol/l)濃度の有機過酸化物の溶液を調製した後、前記溶液を窒素置換をしたガラス容器中に密封し、熱分解させて10時間で有機過酸化物の量が半分になる温度を測定することにより求めることができる。なお、このような「10時間半減期温度」としては公表値(例えば、日油株式会社のカタログ[有機化酸化物,ORGANIC PEROXIDES(第10版)]に記載されている値等)を利用してもよい。
このような有機過酸化物としては、例えば、ジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:61.6℃、日油株式会社製の商品名「パーロイルL」)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(10時間半減期温度:65.3℃、日油株式会社製の商品名「パーオクタO」)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(10時間半減期温度:69.9℃、日油株式会社製の商品名「パーヘキシルO」)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」、「パーブチルO」)、ベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度:73.6℃、日油株式会社製の商品名「ナイパーBW」)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(10時間半減期温度:86.7℃、日油株式会社製の商品名「パーヘキサTMH」)、t−ヘキシルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(10時間半減期温度:95.0℃、日油株式会社製の商品名「パーヘキシルI」)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート(10時間半減期温度:97.1℃、日油株式会社製の商品名「パーブチル355」)、t−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(10時間半減期温度:98.7℃、日油株式会社製の商品名「パーブチルI」)等を挙げることができる。なお、このような重合開始剤としては、10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなるものであればよく、前記有機過酸化物の1種をあるいは2種以上を組み合わせたものを用いてもよい。
なお、本発明においては、前記重合開始剤として前記有機過酸化物を用いるが、前記有機過酸化物以外の熱重合に用いることが可能な他の重合開始剤(例えばアゾ化合物)を用いた場合には、十分に高い硬化率で、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を製造することが困難となるばかりか、発色性の十分に高いコロイド結晶を製造することができなくなる。
次に、本発明にかかる第一工程及び第二工程を分けて説明する。
先ず、第一工程について説明する。このような第一工程は、前記分散媒中に、前記コロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加し、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させて、3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程である。
このように、第一工程においては、先ず、モノマー分散液中のコロイド粒子の含有量が10〜60質量%となるように、前記分散媒中に前記コロイド粒子を含有させる。このようなコロイド粒子の含有量が前記下限未満では、分散媒中に分散させる際にコロイド粒子を3次元規則配列状態に配列(分散)させることが困難となり、他方、前記上限を超えると、コロイド粒子の濃度が高くなり過ぎて、形成させる配列構造を制御することが困難となる。また、同様の観点で、より高い効果が得られることから、前記コロイド粒子の含有量としては、20〜50質量%であることがより好ましく、30〜45質量%であることが更に好ましい。
また、第一工程においては、前前記分散媒中に前記コロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加する。このようにして超音波を印加することで、前記分散媒中に前記コロイド粒子を3次元規則配列状態に配列(分散)させることが可能となり、これにより3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得ることができる。
ここで、本発明にいう「3次元規則配列状態」とは、反射スペクトルにおいて反射ピークを有する状態をいい、より具体的には、反射スペクトルを測定して、Bragg回折による反射ピーク(半値幅が50nm以下の反射ピーク)の存在が確認される状態をいう。また、ここにいう「反射ピーク」とは、無反射の状態に対して反射光強度が波長の変化に伴って増加、減少する際の変曲点であって半値幅が50nm以下のものをいい、いわゆる反射光強度が上下するノイズとは異なるものである。このような反射スペクトルの測定方法としては、通常の分光光度計を用いることができるが、本発明においては、相馬光学社製の商品名「マルチチャンネル分光計 Fastvert」を用いて測定する方法を採用する。なお、このような3次元規則配列構造としては、例えば面心立方構造や体心立方構造等が挙げられる。また、前記ピークは、波長350〜1600nmの間の波長におけるピークであることが好ましい。なお、このような反射スペクトルにおいて反射ピークを有する「3次元規則配列状態」は、前記分散媒中に前記コロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加することにより、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させることで達成することができる。
このような超音波の印加工程において、超音波の印加時間は、上述のように1分間〜24時間である。超音波の印加時間が前記下限未満では、コロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることが困難となり、他方、前記上限を超えると、それ以降の操作が無駄となり、作業効率が低下する。このような超音波の印加時間としては、同様の観点で、より高い効果が得られ、より効率よくコロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることが可能となることから、10分間〜10時間(30分間〜10時間、1時間〜10時間)であることがより好ましい。
また、このような超音波の周波数は特に制限されず、16kHz以上であればよく、20〜200kHzとすることが好ましい。前記周波数が前記下限未満では、コロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コロイド粒子が凝集し易くなり、やはり3次元規則配列状態に配列させることが困難となる傾向にある。
さらに、このような超音波の出力は50〜1000Wであることが好ましく、100〜600Wであることがより好ましい。このような出力が前記下限未満ではコロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子形状が破壊されて粒子の単分散性が損なわれるため、結果としてコロイド粒子を3次元規則配列状態に配列させることが困難となる傾向にある。
また、このような超音波の印加の際に用いる装置は特に制限されず、公知の装置を適宜利用することができ、市販の装置(例えば、本多電子製の超音波洗浄機(商品名「W−115(28、45、100kHz、最大出力:300W)」)や、Sonics社製の超音波ホモジナイザー(商品名「VCX−500(20kHz、最大出力:500W)」等)を適宜利用してもよい。
また、このような超音波を印加する際の温度条件としては特に制限されないが、0〜80℃(より好ましくは10〜60℃)であることが好ましい。このような温度条件が前記下限未満では、コロイド粒子の分散効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、超音波印加中にモノマーの重合が進行し、固形物が形成される傾向にある。
上述のようにして前記分散媒中にコロイド粒子を分散させることで、前記3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得ることができる。このようにして得られる3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液において、その3次元規則配列状態におけるコロイド粒子の最近接粒子間の距離の平均は、用いる用途等に応じて適宜変更できるものであり、特に制限されるものではないが、前記コロイド粒子の平均粒径の0.01〜10倍の範囲にあることが好ましく、0.05〜2倍の範囲にあることがより好ましい。このような最近接粒子間の距離の平均が前記下限未満では、ポリマーで固定化した後においてポリマーの占める体積が少なくなるため強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、コロイド粒子を3次元規則配列させることが困難になる傾向にある。なお、このような最近接粒子間の距離は、用いる粒子の含有量やモノマーの種類を適宜変更することで、容易に調整することが可能である。
また、このようにして得られるモノマー分散液は、分散媒中のコロイド結晶の配列状態を維持したまま、各種基板等に塗布したり、型やセルに注入等することが可能なものである。そのため、本発明においては、前記モノマー分散液を得た後に、前記モノマー分散液を、基板に塗布するかあるいは型又はセル中に注入する工程を更に含むことが好ましい。このような基板、型又はセルとしては特に制限されず、目的とする用途に応じて、公知の基板又はセルを適宜用いることができる。なお、分散媒の粘度を調整するために溶媒を加えた場合においては、固定化の際に溶媒の蒸発に伴って結晶構造が崩れることを防止するために、モノマー分散液を得た後であって後述する第二工程を施す前に前記溶媒を除去する工程を含むことが好ましい。
次に、第二工程について説明する。第二工程は、前記モノマー分散液中に、前記重合開始剤(10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物)を含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして含有させ、該重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度([10時間半減期温度]+[5℃])以下であり且つ80℃以下であるという条件を満たす加熱温度で加熱して、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合せしめ、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程である。
このように、第二工程においては、先ず、上記第一工程により得られたモノマー分散液中に、含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして前記重合開始剤を含有させる。このような重合開始剤の含有量が前記下限未満では、実用的な加熱時間において、十分に高い硬化率でポリマーで固定化されたコロイド結晶を製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化反応が短時間で進行し、コロイド結晶の配列構造が壊れた状態で硬化されてしまう傾向にある。また、このような重合開始剤の含有量としては、上述の上限及び下限値と同様の理由で、より高い効果が得られることから、0.01〜0.08質量%とすることがより好ましい。
また、前記モノマー分散液中に前記重合開始剤を含有させる際には、加熱工程において、より効率よく重合反応を進行させるという観点から、前記重合開始剤を前記モノマー分散液中に均一に混合することが好ましい。このように、重合開始剤を含有させる方法は特に制限されず、例えば、前記モノマー分散液に前記重合開始剤を添加して撹拌する方法、前記モノマー分散液に前記重合開始剤を添加して超音波を印加する方法などを適宜採用することができる。また、前記重合開始剤が固体である場合には、前記重合開始剤を分散液中により均一に分散させて溶解するという観点から、超音波を印加して分散させることが好ましい。なお、前記重合開始剤を含有させる方法として、上述のような撹拌する方法や超音波を印加する方法を採用する場合において、その条件(撹拌の条件や超音波の印加条件)は、利用しているモノマーやコロイド粒子の種類によっても異なるものであり、モノマー分散液中に形成されたコロイド粒子の3次元規則配列状態を維持することが可能な条件であればよく、利用しているモノマーやコロイド粒子の種類等に応じてその条件を適宜変更すればよい。また、本発明においては、コロイド粒子が上述のような単分散な粒子であるため、コロイド粒子同士の相互作用によりモノマー分散液中にコロイド結晶の配列状態が自己組織的に形成されることから、通常の撹拌や超音波印加といった混合工程を採用した場合には、そのコロイド結晶の配列状態を十分に維持したまま重合開始剤を含有させることが可能である。また、このように前記重合開始剤を含有させた後において、必要な場合には脱泡処理を施してもよい。モノマー分散液中に重合開始剤を含有させて得られる混合液中に泡が残っていると、加熱工程において、その泡に起因して3次元規則配列状態を十分に維持できなくなり、3次元規則配列状態が消失する場合が生じ得る。このような脱泡処理の方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
また、このようにしてモノマー分散液中に重合開始剤を含有させた混合液を得た後においては、その混合液を加熱する。このような加熱の際の温度(加熱温度)は、前記混合液中に含有させた前記重合開始剤の10時間半減期温度(以下、場合により「T10」という。)に5℃加えた温度([T10]+[5℃])以下であるという条件(条件(A))と、80℃以下であるという条件(条件(B)とを満たす温度である。このような条件(A)及び(B)を満たす温度で加熱する工程(加熱工程)を実施することにより、モノマー分散液中に形成されたコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に維持しながら、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを十分に重合させることが可能となり、十分に高い硬化率でコロイド結晶を固定化することが可能となる。
このように、本発明においては、加熱工程における加熱温度が10時間半減期温度(T10)に5℃加えた温度([T10]+[5℃])以下の温度である必要がある(条件(A))。このような温度が前記上限を超えると、反応が比較的急に進行し、モノマー分散液中に形成されていたコロイド結晶の配列構造が失われてしまう。
また、上記加熱工程においては、前記加熱温度が80℃以下である必要もある(条件(B))。このような加熱温度が80℃を超えると、溶媒の蒸発や分子運動が激しくなってしまうこと等に起因してモノマー分散液中に形成されたコロイド結晶の構造が壊れてしまう。このように、本発明においては、モノマー分散液中のコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に保持しながら、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合させるという観点から、加熱温度を10時間半減期温度に5℃加えた温度以下としつつ80℃以下とする。
また、前記重合開始剤の10時間半減期温度(T10)が80℃以下である場合には、前記加熱温度を10時間半減期温度±5℃の範囲の温度(かかる範囲の上限温度が80℃を超える場合には上限は80℃とする。)とすることが好ましい。このような加熱温度を前記範囲内とすることで、モノマー分散液中のコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に維持しながら、効率よく重合反応を進行させることが可能となる。すなわち、このような加熱温度の範囲が前記下限未満では効率よく重合反応を進行させることが困難となり、十分に高い硬化率でコロイド結晶を固定化することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると加熱温度が80℃を超えてしまう場合が生じたり、重合反応の進行が急激なものとなって、分散液中のコロイド結晶の構造を十分に保持しながら硬化することが困難となる傾向にある。一方、前記重合開始剤の10時間半減期温度(T10)が80℃を超える場合には、前記加熱温度は75〜80℃とすることが好ましく、80℃とすることが特に好ましい。このような加熱温度により、モノマー分散液中のコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に保持しながら、モノマーを重合して十分に高い硬化率でコロイド結晶を固定化することが可能となる。
また、このような加熱工程における加熱時間としては、特に制限されないが、1〜50時間であることが好ましく、3〜30時間であることがより好ましい。このような加熱時間が前記下限未満では十分に重合反応を進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると製造工程上、著しく効率が低下する傾向にある。
本発明においては、上述のような加熱工程を実施することで、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合せしめ、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得ることを可能とする。なお、モノマー分散液中のコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に保持しながら、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合させるという観点からは、前記有機過酸化物を利用せずに光重合開始剤を利用し、前記加熱工程の代わりに光を照射して重合する工程(光重合工程)を採用するという方法を採用することも考えられるが、このような光重合工程を採用すると、1mm以上の厚みを有するバルク状のコロイド結晶を製造しようとした場合に、必ずしも十分に重合反応を進行させることができず、硬化率が必ずしも十分なものとはならなかった。一方、本発明のように第一工程及び第二工程を実施して前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを熱重合により重合する場合には、その重合に寄与する重合開始剤として上述のような特定の重合開始剤を利用するとともに、加熱温度を上述のように特定の範囲の温度に限定しているため、重合時のガスの発生による影響を十分に抑制する等して、分散液中に形成されているコロイド結晶の構造を保ったまま、熱重合によりコロイド結晶の固定化を十分に行うことができる。このように、本発明においては、上述のような第一工程及び第二工程を実施することにより、モノマー分散液中のコロイド粒子の3次元規則配列構造を十分に保持しながら、適度な重合速度で十分に重合を進行させることができるため、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するコロイド結晶を十分な硬化率で効率よく製造することができるとともに、光重合では困難であったバルク状態での固定化が可能であり、コロイド結晶の形状を所望の厚みを有するバルク体(例えば、1mm以上の厚さを有する板状のものや、縦横高さそれぞれの方向に1mm以上の厚さを有する塊状のもの)とすることも可能である。
以上、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法について説明したが、次に、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶について説明する。本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶は、上記本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法により得られたものであることを特徴とするものである。
このようなポリマーで固定化されたコロイド結晶は、上記本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法を採用して得られるものであるため、上述のモノマー分散液中に形成されたコロイド結晶の結晶構造を十分に維持しながら製造されたものである。また、上述のモノマー分散液が鋼板やガラス板など種々な基板や紙や繊維など種々な材料にあらゆる方法で塗布又は塗装したり、型やセルなどの中に注入したりすることが可能なものであるため、それを固定化して得られる本発明のポリマーで固定化したコロイド結晶は、様々な用途に応用することが可能である。例えば、イリデセンス(虹彩色)等のいわゆる構造色を発色する構造色色材に好適に使用できる。また、赤外反射膜又は紫外反射膜用の塗装やフィルムとしても好適に使用できる。更に、特定の波長の光を透過しない光フィルター、特定の光を反射するミラー、フォトニック結晶と呼ばれる光機能材料、光スイッチ、あるいは光センサー等としても好適に用いることができる。また、型やセル等の中に注入して固定化させることで、バルク材料(例えば、1mm以上の厚さを有する板状のものや、縦横高さそれぞれの方向に1mm以上の厚さを有する塊状のもの)として得ることもできる。さらに、本発明のポリマーで固定化したコロイド結晶は、塗料などに添加して顔料として用いるためのフレーク状のコロイド結晶の原料として用いることもできる。
また、このようなポリマーで固定化したコロイド結晶は、上述のモノマー分散液がモノマーとして前記多官能アクリルモノマー及び前記単官能アクリルモノマーを所定の割合で含有するものであるため、ポリマーの架橋密度が適度なものとなっており、十分な硬度を有する。このようなポリマーで固定化したコロイド結晶の硬度としては、JIS K5600−5−4(1999)の鉛筆硬度試験で測定される硬度が4B〜2Hであることが好ましく、B〜2Hであることがより好ましい。このような硬度が前記下限未満では、柔らか過ぎて強度が十分でなくなり、様々な用途に実用できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬くなり過ぎて脆くなる傾向にある。
さらに、このようなポリマーで固定化したコロイド結晶は、円柱状のサンプル(直径が15mm以上(より好ましくは15〜40mm)であり且つ高さが10mm以上(より好ましくは10〜40mm)である円柱状のもの)を利用して、その円柱状のサンプルの側面の高さ方向の中心に存在する任意の点を測定開始点(回転角:0°)とし且つその円柱状のサンプルを中心軸に対して30°ずつ回転させた場合に同じ高さの位置にある点をそれぞれ測定点として、全12点の測定点(0°、30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°、330°)において反射スペクトルを測定した場合に、各測定点における反射スペクトルの反射ピーク強度が参照スペクトルを基準にした反射率において10%以上の大きさとなる測定点の数が、9点以上(より好ましくは10点以上、更に好ましく11点以上)であることが好ましい。このような測定点の数が前記下限未満では、意匠材料としての十分に高度な発色性が得られなくなる傾向にある。なお、前記参照スペクトルの測定に際しては、参照スペクトル測定用のサンプルとして、真空蒸着法により厚さ50nmのAl薄膜が形成された縦76mm、横26mm、厚さ1mmのスライドガラス(松浪硝子工業社製)を、Al蒸着面が表になるようにして前記円柱状の硬化物の側面に両面テープを用いて貼付したものを使用する。また、参照スペクトル及び各測定点での反射スペクトルの測定は、測定装置として相馬光学社製のマルチチャンネル分光計(商品名「Fastvert S−2650」)を用い、光源として分光器に内蔵されたハロゲンランプを用い、相馬光学製の同軸光ファイバーケーブル(2分岐拡散反射プローブ(Geドープ))を利用して、レンズ等による集光は行わずに、同軸光ファイバーケーブルの端面からサンプルに対して拡散光を照射し、反射してきた光(反射光)を検出することにより行う。なお、このような反射光の検出もレンズ等を用いることなく行う。更に、参照スペクトルの測定の際には、ハロゲンランプの光がAl蒸着面に対して垂直に照射されるように同軸光ファイバーケーブルを配置し、同軸光ファイバーケーブルの発光部側の端面とAl蒸着面との距離が15mmとなるようにする。また、各測定点における反射スペクトルの測定においても、同軸光ファイバーケーブルの発光部側の端面と円柱状のサンプルの測定点との間の距離が、参照スペクトルを測定したときの同軸光ファイバーの発光部側の端面とAl蒸着面との距離と同じ距離となるようにする。
また、このようなポリマーで固定化したコロイド結晶においては、上述のモノマー分散液がモノマーとして前記多官能アクリルモノマー及び前記単官能アクリルモノマーを所定の割合で含有するため、従来の他のモノマーを用いたコロイド結晶と比較して硬化収縮率がより十分に小さなものとなるため、基材等に対して十分な付着性を示すものとなる。また、このようなポリマーで固定化したコロイド結晶は、用途に応じて上述のモノマー分散液中のアクリルモノマーの種類を適宜選択することで、耐水性や耐候性等の耐久性能や機械的強度をより高度なものとすることも可能となる。また、このようなポリマーで固定化したコロイド結晶においては、上述のモノマー分散液がモノマーとして前記多官能アクリルモノマー及び前記単官能アクリルモノマーを所定の割合で含有し、且つ、前記重合開始剤を用いて熱重合により合成されることから、得られるコロイド結晶を十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するものとすることができるとともに、コロイド結晶をバルク体とする場合においても、内部まで十分に重合して硬化させることができるため、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有する所望の厚み(例えば1mm以上)を有するバルク状のコロイド結晶を製造することが可能である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、後述の各実施例及び各比較例で得られたモノマー分散液及びポリマーで固定化されたコロイド結晶の各種物性の測定方法について説明する。
<モノマー分散液およびポリマーで固定化されたコロイド結晶中の配列状態の確認>
各実施例及び各比較例で得られたモノマー分散液およびコロイド結晶に対して、測定装置として相馬光学社製のマルチチャンネル分光計(商品名「Fastvert S−2650」)を用いて反射スペクトルを測定し、Bragg回折による反射ピークを確認することにより、3次元規則配列状態のコロイド結晶の存否を確認した。また、各実施例及び各比較例で得られたモノマー分散液は、目視により観察して構造色の有無を確認した。
<コロイド結晶の硬化率の測定>
各実施例及び各比較例において、コロイド結晶の製造時に用いたサンプル瓶(底面の内径が24mmで高さが40mmの円柱状の瓶、容量;20cc)へのコロイド分散液の仕込み量(質量:12g)と、コロイド分散液の加熱硬化後に得られた硬化物(コロイド結晶)の質量(単位:g、以下において「固形分量」という。)とを測定し、下記計算式(I):
[硬化率(%)]=([固形分量]/[仕込み量])×100 (I)
を計算して硬化率を求めた。なお、固形分量の測定に際しては、加熱硬化後にサンプル瓶に残った未硬化の分散液を除去して、サンプル瓶から硬化物のみを取り出して硬化物の質量(固形分量)を測定した。なお、このような硬化率が70%以上となる場合には、ポリマーで固定化されたコロイド結晶が十分に効率よく製造されることとなるため、硬化率が十分に高いものとして評価できる。
<コロイド結晶の発色性の評価方法>
各実施例及び各比較例において得られた円柱状の硬化物をサンプルとし、その円柱状のサンプルの側面の高さ方向の中心の任意の点を測定開始点(測定角:0°)とし且つ円柱状のサンプルを中心軸に対して30°ずつ回転させた際に同じ高さの位置にある点をそれぞれ測定点として、各測定点(全12点:0°、30°、60°、90°、120°、150°、180°、210°、240°、270°、300°、330°)において反射スペクトルを測定し、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を求めた。なお、このような反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数が9点以上となるようなコロイド結晶は、広範囲に亘って十分に均一に発色しているものとみなすことができ、発色性が十分に高いものとして評価できる。なお、参照スペクトルの測定用のサンプルとしては、以下のものをそれぞれ使用した。すなわち、真空蒸着法により厚さ50nmのAl薄膜が形成された縦76mm、横26mm、厚さ1mmのスライドガラス(松浪硝子工業社製)を、Al蒸着面が表になるようにして、各実施例及び各比較例において得られた円柱状の硬化物の側面に両面テープを用いてそれぞれ貼付し、これを各実施例及び各比較例において得られた硬化物に対する参照スペクトル測定用の測定サンプルとして、それぞれ使用した。
また、参照スペクトル及び各測定点での反射スペクトルの測定は、測定装置として相馬光学社製のマルチチャンネル分光計(商品名「Fastvert S−2650」)を用い、光源として分光器に内蔵されたハロゲンランプを用い、相馬光学製の同軸光ファイバーケーブル(2分岐拡散反射プローブ(Geドープ))を利用して、レンズ等による集光は行わずに、同軸光ファイバーケーブルの端面からサンプルに対して拡散光を照射し、反射してきた光(反射光)を検出することにより行った。なお、このような反射光の検出もレンズ等を用いることなく行った。更に、参照スペクトルの測定の際には、ハロゲンランプの光がAl蒸着面に対して垂直に照射されるように同軸光ファイバーケーブルを配置し、同軸光ファイバーケーブルの発光部側の端面とAl蒸着面との距離が15mmとなるようにした。また、各測定点における反射スペクトルの測定においても、同軸光ファイバーケーブルの発光部側の端面と円柱状のサンプルの測定点との間の距離が、参照スペクトルを測定したときの同軸光ファイバーの発光部側の端面とAl蒸着面との距離と同じ距離となるようにして測定を行った(なお、各測定点の反射スペクトルの測定には、Al蒸着膜を形成したスライドガラスを取り外した状態の円柱状のサンプルを使用した。)。
<コロイド結晶の硬度の評価>
各実施例及び各比較例で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬度を鉛筆硬度試験により評価した。このような鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される方法に準拠して実施した。
(実施例1)
単官能アクリルモノマーとしてフェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」、上記一般式(5)で表される化合物)を用い、多官能アクリルモノマーとしてテトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル A−200」、二官能アクリルモノマー、上記一般式(6)で表される化合物)を用い、単官能モノマーと二官能アクリルモノマーとの質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])が30:70であるモノマー混合物を準備し、前記モノマー混合物を20ccのサンプル瓶(底面の内径が24mmで高さが40mmの円柱状の瓶)中に7.2g入れた。次いで、前記混合物中に、Stober法によって合成されたシリカ粒子(平均粒子径200nm、単分散度:5%)を4.8g添加(粒子の含有量が40質量%となるように添加)して混合液(12g)を得た。次に、前記混合液に対して室温(25℃)条件下で本多電子製の超音波洗浄機(商品名「W−115」)を用いて超音波(周波数:45kHz、出力:300W)を3時間印加し、コロイド粒子(シリカ粒子)をモノマーの混合物中に均一分散したモノマー分散液を得た。なお、このようなモノマー分散液においては構造色が観察されていることが目視により確認された。また、このようなモノマー分散液の反射スペクトルを測定したところ、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、分散液中に3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されていることが分かった。
次に、前記モノマー分散液に、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物:10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL(0.04質量%)添加して十分に撹拌した。その後、前記サンプル瓶を開口状態のまま(蓋を開放した状態のまま)で真空乾燥機に入れ、室温(25℃)条件下でロータリーポンプにて排気を行って圧力100kPaの条件で30分間静置し、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の脱泡処理を行った。このような脱泡処理後、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の入った前記サンプル瓶を室温(25℃)状態の恒温槽に移し、開口状態のまま(蓋を開放した状態のまま)で、1時間静置した。その後、恒温槽の温度を75℃に設定して、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液を75℃の加熱温度にて24時間加熱した。このような加熱後、前記サンプル瓶を恒温槽から取り出し、室温(25℃)まで自然冷却した。その後、前記サンプル瓶から未硬化のモノマー分散液を除去し、瓶を粉砕して、円柱状の硬化物(固形分)のみを取り出した。このようにして、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ18mmのバルク体)として、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られた円柱状の硬化物においては、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(実施例2〜4及び比較例1〜5)
表1に示すように、モノマー混合物中の単官能アクリルモノマーと多官能アクリルモノマーとの混合比率(質量比)を変更した以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(バルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、各実施例及び各比較例において得られたモノマー分散液は、いずれも構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、各実施例及び各比較例において得られた円柱状の硬化物はいずれも、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。更に、各実施例及び比較例で得られた硬化物のサイズは、それぞれ、直径24mm且つ高さ17mmのバルク体(実施例2)、直径24mm且つ高さ17mmのバルク体(実施例3)、直径24mm且つ高さ16mmのバルク体(実施例4)、直径24mm且つ高さ19mmのバルク体(比較例1)、直径24mm且つ高さ19mmのバルク体(比較例2)、直径24mm且つ高さ19mmのバルク体(比較例3)、直径24mm且つ高さ16mmのバルク体(比較例4)、直径24mm且つ高さ15mmのバルク体(比較例5)であった。
(比較例6)
前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ19mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
実施例1〜4及び比較例1〜6において得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表1に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。また、実施例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶(円柱状の硬化物)の各測定点における反射スペクトルの測定結果(発色性の測定結果)を図1に示し、比較例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶(円柱状の硬化物)の各測定点における反射スペクトルの測定結果(発色性の測定結果)を図2に示す。
Figure 0005682824
表1及び図1〜2に示す結果からも明らかなように、比較例1〜3で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶においては、製造時に使用したモノマー混合液(分散媒)中の単官能アクリルモノマー(AMP−60G)の含有比率がそれぞれ0質量%(比較例1)、10質量%(比較例2)、20質量%(比較例3)であり、硬化率が非常に高く、しかも硬度が非常に高いものとなったが、発色性の測定において、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数が最高でも8点以下となっており、必ずしも十分な発色性を有するものではなかった。さらに、比較例4〜5で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶においては、製造時に使用したモノマー混合液(分散媒)中の単官能アクリルモノマー(AMP−60G)の含有比率がそれぞれ95質量%(比較例4)、100質量%(比較例5)であり、その硬度が6B以下となり、触れるとべとつき感のあるものとなっていた。一方、比較例4〜5で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、硬化率及び発色性の点では優れたものとなっていた。このように、比較例4〜5で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、硬度の点では必ずしも十分なものではなく、バルク体としての実用性が必ずしも十分なものではないことが分かった。また、比較例6で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、重合開始剤の10時間半減期温度(72.1℃)よりも7.9℃高い温度で加熱し硬化して得られたものであるが、得られたコロイド結晶は目視において、ひび割れが目立つものとなっていた。また、比較例6で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、発色性の測定において、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数が5点となっており、必ずしも十分な発色性を有するものではなかった。このように、比較例6で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、外観や発色性の観点で必ずしも十分なものではないことが分かった。
これに対して、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶(実施例1〜4)は、製造時に使用したモノマー混合液(分散媒)中の単官能アクリルモノマー(AMP−60G)の含有比率がそれぞれ30質量%(実施例1)、50質量%(実施例2)、70質量%(実施例3)、90質量%(実施例4)であり、硬化率、発色性及び硬度がいずれも優れたものとなっていた。特に、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶(実施例1〜4)においては、発色性の測定において、ほぼ100%の測定点において、参照スペクトルの反射強度の10%以上の反射率を有する反射ピークが観測されたことから、発色性に非常に優れ、広範囲に亘って均一な発色を示すものであることがわかった。また、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶(実施例1〜4)においては、硬度がHB以上となっており、バルク体として実用上、十分な強度を有することが分かった。なお、表1に示す結果から、ポリマーで固定化されたコロイド結晶においては、単官能アクリルモノマー(AMP−60G)の含有比率が増すほど柔らかくなり、90質量%を超えると、バルク体として使用するためには硬度が必ずしも十分なものとはならないことが分かった。
(実施例5)
単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、メトキシポリエチレングリコール #400アクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AM−90G」、上記一般式(3)で表される化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ19mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(実施例6)
単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AM−30G」、上記一般式(2)で表される化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ19mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(実施例7)
単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−20GY」、上記一般式(4)で表される化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ17mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
実施例5〜7で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表2に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。
Figure 0005682824
表2に示す結果からも明らかなように、実施例5〜7で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、実施例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶と単官能アクリルモノマーの種類のみが異なるものとなっているが、硬化率、発色性及び硬度がいずれも実施例1とほぼ同程度の結果となっており、いずれも実用性の高いバルク状のコロイド結晶であることが分かった。
(実施例8)
多官能アクリルモノマーとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル A−200」、二官能アクリルモノマー)の代わりに、EOTMPTA(東亞合成株式会社製の商品名「アロニックス M−350」、三官能アクリルモノマー、上記一般式(7)で表される化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ16mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(実施例9)
多官能アクリルモノマーとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル A−200」、二官能アクリルモノマー)の代わりに、EOTMPTA(東亞合成株式会社製の商品名「アロニックス M−350」、三官能アクリルモノマー、上記一般式(7)で表される化合物)を用い、単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AM−30G」、上記一般式(2)で表される化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ14mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(比較例7)
単官能アクリルモノマーを用いず、多官能アクリルモノマーとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル A−200」、二官能アクリルモノマー)の代わりに、EOTMPTA(東亞合成株式会社製の商品名「アロニックス M−350」、三官能アクリルモノマー、上記一般式(7)で表される化合物)を用い、モノマー混合物中の単官能モノマーと多官能アクリルモノマーとの質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])を0:100とした以外は、実施例1と同様にして、モノマー分散液を製造し、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。一方、比較例7においては、モノマー分散液の10%しか硬化が生じておらず、十分な量の硬化物を得ることができず、発色性の測定のための円柱状のサンプルを得ることができなかった。そのため、比較例7については、発色性の測定を行っていない。ただし、硬化した部分について反射スペクトルを1点測定したところ、反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認され、更に、目視にてコロイド結晶特有の発色を観察され、コロイド結晶が固定化されていることは確認された。
実施例8〜9及び比較例7で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表3に示す。なお、発色性の評価結果は、比較例7を除き、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。更に、表中のモノマーの種類は商品名で示す。
Figure 0005682824
このような結果からも明らかように、実施例8〜9で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、硬化率、発色性及び硬度がいずれも優れたものとなっていた。すなわち、実施例8で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、実施例1で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶と、製造時に使用した多官能アクリルモノマーの種類のみが異なるものとなっているが、硬化率の値以外(発色性及び硬度)は、ほぼ同程度の結果となり、実施例1で得られたコロイド結晶と同様に実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶であることが分かった。また、実施例9で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、実施例6で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶と、製造時に使用した多官能アクリルモノマーの種類のみが異なるものとなっているが、硬化率の値以外(発色性及び硬度)は、ほぼ同程度の結果となり、実施例6で得られたコロイド結晶と同様に実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶であることが分かった。なお、実施例8〜9においてはいずれも硬化率が75%以上となっているから、実施例8〜9に示す方法は十分に高度な硬化率を有する方法であることが分かった。一方、比較例7に示す方法は、使用したモノマーを十分に硬化させることができず、バルク状のコロイド結晶を製造するための方法としては必ずしも十分な方法ではなかった。
(比較例8)
重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物、10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL用いる代わりに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(アゾ重合開始剤、10時間半減期温度:65℃、和光純薬工業社製の商品名「AIBN V−60」)を0.002g用い、前記重合開始剤の添加時にモノマー分散液に前記重合開始剤が溶解するように十分に撹拌し、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を75℃から65℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ12mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(比較例9)
単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−20GY」、上記一般式(4)で表される化合物)を用いた以外は、比較例8と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ11mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(比較例10)
多官能アクリルモノマーとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル A−200」、二官能アクリルモノマー)の代わりに、EOTMPTA(東亞合成株式会社製の商品名「アロニックス M−350」、三官能アクリルモノマー、上記一般式(7)で表される化合物)を用いた以外は、比較例8と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ7mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(比較例11)
単官能アクリルモノマーとして、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−60G」)の代わりに、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製の商品名「NKエステル AMP−20GY」、上記一般式(4)で表される化合物)を用いた以外は、比較例10と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ9mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
比較例8〜11で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表4に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。更に、表中のモノマーの種類は商品名で示す。
Figure 0005682824
表4に示す結果からも明らかなように、重合開始剤として有機過酸化物の代わりにアゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を用いた場合(比較例8〜11)には、硬化率が必ずしも十分なものとはならず、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を必ずしも効率よく製造することができないことが分かった。また、重合開始剤として有機過酸化物の代わりにアゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を用いた場合(比較例8〜11)には、硬度は十分なものとなったものの、発色性の評価試験において、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数が最高でも8点程度となっており、必ずしも十分な発色性を有するものは得られなかった。このような結果から、有機過酸化物の代わりにアゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を重合開始剤として用いた比較のためのコロイド結晶の製造方法(比較例8〜11)は、実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶を得るという点では必ずしも十分なものではなかった。
(比較例12)
前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を65℃から72℃に変更した以外は、比較例8と同様にして、モノマー分散液を製造し、その後、円柱状の硬化物(バルク体:ポリマーで固定化されたコロイド結晶)の製造を試みたが、加熱を始めて1時間ほど経過したところで、サンプル瓶の中のモノマー分散液が沸騰状態となり、モノマー分散液がサンプル瓶からあふれ出してしまい、それと同時に硬化が生じてしまった。その結果、得られた硬化物は部分的にしか構造色を呈さないものとなり、しかも形状が円柱状とならなかった。このような結果から、重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度よりも高い温度で加熱する比較のためのポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法は、加熱時にモノマー分散液が沸騰してしまい、形状の制御という点やモノマー分散液中に形成された3次元規則配列構造を十分に維持しながらコロイド結晶を固定化するという点では必ずしも十分な方法ではないことが分かった。
このように、前記重合開始剤としてアゾ化合物を用いた比較例8〜12で採用するコロイド結晶の製造方法は、発色性の優れたコロイド結晶のバルク体を製造するという点では必ずしも十分な方法ではなく、また、硬化率を上げるために温度を上げると反応が急速に進行してしまい、反応の制御という点においても必ずしも十分な方法ではないことが分かった。
(実施例10)
重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物、10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL用いる代わりに、ジラウロイルパーオキサイド(有機過酸化物、10時間半減期温度:61.6℃、日油株式会社製の商品名「パーロイルL」、固形物)を0.01g(0.08質量%)用い、前記重合開始剤の添加時に撹拌する代わりに、温度上昇に気をつけながら超音波(周波数:45kHz、出力:200W)を1時間印加してモノマー分散液に前記重合開始剤を溶解させ、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を75℃から65℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ18mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
実施例10で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表5に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。
Figure 0005682824
表5に示す結果からも明らかなように、実施例10と実施例3とでは製造時に用いた重合開始剤の種類と加熱温度とが異なっているが、実施例10で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶と、実施例3で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶とは硬化率、発色性及び硬度がいずれもほぼ同程度の結果となっており、いずれも実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶となることが分かった。このような結果から、加熱温度が65℃と比較的低い温度であっても、用いる重合開始剤の種類に応じてポリマーで固定化されたコロイド結晶を十分に効率よく製造できることが分かった。
(実施例11)
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物、10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL用いる代わりに、t−ヘキシルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(10時間半減期温度:95.0℃、日油株式会社製の商品名「パーヘキシルI」)を10μL(0.08質量%)用い、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を75℃から80℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ14mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
(比較例13)
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物、10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL用いる代わりに、t−ブチルパーオキシ−ベンゾエート(10時間半減期温度:104.3℃、日油株式会社製の商品名「パーブチルZ」)を10μL(0.08質量%)用い、前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を75℃から80℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、モノマー分散液を製造し、その後、円柱状の硬化物(バルク体:ポリマーで固定化されたコロイド結晶)の製造を試みたが、硬化物を形成することができなかった。
(比較例14)
前記重合開始剤添加後のモノマー分散液の加熱温度を80℃から85℃に変更した以外は、実施例11と同様にして、モノマー分散液を製造し、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ19mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
実施例11及び比較例14で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表6に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。更に、表中にモノマーの種類等を商品名で示す。
Figure 0005682824
表6に示す結果等からも明らかなように、10時間半減期温度が100℃を超える重合開始剤を用いた場合(比較例13)においては、80℃の温度条件では重合を十分に進行させることができず、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を製造することができないことが分かった。一方、80℃を超える温度で加熱を行った場合(比較例14)においては、重合反応が十分に進行し、硬化率が98%と非常に高度なものとなったが、発色性の点では必ずしも十分なものではないことが分かった。すなわち、80℃を超える温度で加熱を行った比較のためのポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法(比較例14)は、重合時にモノマー分散液中に形成された3次元規則配列構造を必ずしも十分に維持することができず、実用性の十分に高いバルク状のポリマーで固定化されたコロイド結晶を製造する方法としては必ずしも十分なものではないことが分かった。一方、10時間半減期温度が95.0℃である重合開始剤を用い且つ80℃で加熱した場合(実施例11)においては、加熱温度が10時間半減期温度よりも低い温度となっているが、硬化率は72%となっており、十分に効率よく重合を行えることが分かった。また、10時間半減期温度が95.0℃である重合開始剤を用い且つ80℃で加熱した実施例11で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶は、硬度及び発色性が実施例3で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶とほぼ同程度の結果となっており、実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶であることが分かった。
(実施例12)
モノマー分散液を得る際の超音波の印加方法を下記超音波印加方法に変更してモノマー分散液を製造した以外は、実施例1と同様にして、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ17mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようにして得られたモノマー分散液は、構造色が観察されるとともに、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、分散液中に3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されていることが分かった。また、このようにして得られた円柱状の硬化物は反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。
[実施例12で採用した超音波印加方法]
実施例12においては、前記混合液に超音波を印加するために、本多電子製の超音波洗浄機(商品名「W−115」:実施例1で利用)を用いる代わりに、Sonic社製の超音波ホモジナイザ(商品名「VCX−500」)を用いた。そして、実施例1と同様の方法で調製した混合液に対して、テーパーマイクロチップ(先端径:5mm)プローブを挿入して、室温(25℃)条件下において、超音波(周波数:20kHz、出力:150W)を4秒印加した後、8秒停止する工程を、超音波の印加時間の合計時間が3分間となるようにして繰り返し実施し、超音波を間欠的に印加した。このようにして、実施例12においては、前記混合液に超音波を間欠的に3分間印加することで、コロイド粒子(シリカ粒子)がモノマーの混合物中に均一分散されたモノマー分散液を得た。
(比較例15)
超音波の印加時間の合計時間を3分間から40秒間に変更した以外は、実施例12と同様にして、モノマー分散液を製造を試みた。このようにして得られたモノマー分散液は、一部に構造色が観察されるものの、そのモノマー分散液の入ったサンプル瓶の底部にはコロイド粒子の凝集体と考えられる固形物が見られた。なお、モノマー分散液は、一部に反射スペクトルにおいて反射ピークが認められた。このような結果から、超音波の印加時間が短い場合には、コロイド粒子を必ずしも十分に3次元規則配列構造に配列させることができないことが分かった。次に、このようにして得られたコロイド粒子の分散性が不十分なモノマー分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、円柱状の硬化物(直径24mm、高さ17mmのバルク体)を得た。このようにして得られた円柱状の硬化物は、一部に反射スペクトルにおいて反射ピークが認められたことから、その硬化物の一部の部位にはコロイド結晶が形成されていることが確認された。
実施例12及び比較例15で得られたポリマーで固定化されたコロイド結晶の硬化率、発色性及び鉛筆硬度の評価結果を表7に示す。なお、発色性の評価結果は、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を記載する。更に、表中にモノマーの種類等を商品名で示す。
Figure 0005682824
表7に示す結果等からも明らかなように、実施例12で得られたコロイド結晶は、基本的に超音波の印加方法以外は実施例1と同様の方法を採用しており、実施例1で得られたコロイド結晶と同程度の硬化率、発色性及び鉛筆硬度を示すものとなった。このような結果から、実施例12で得られたコロイド結晶は、実用性の十分に高いバルク状のコロイド結晶となることが分かった。一方、超音波の印加時間が40秒のみである場合(比較例15)においては、コロイド粒子を十分に3次元規則配列させることができず、得られるコロイド結晶が発色性の点で十分なものとはならないことが分かった。
(実施例13)
サンプル瓶を用いる代わりにガラスセル(内部の容積:縦76mm、横22mm、厚み2mm)を用いた以外は、実施例6と同様にして、ブロック状の硬化物(縦72mm、横22mm、厚み2mmのバルク体)としてポリマーで固定化されたコロイド結晶を得た。なお、このようなコロイド結晶の製造に用いたモノマー分散液は実施例6と同様のものである。また、このようにして得られたブロック状の硬化物は、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。なお、上記ガラスセルは、上面及び下面に松浪硝子工業製のスライドガラス(縦76mm、横26mm、厚み1mm)を用い、スペーサーとして縦2mm、横2mmの正方形状の断面を有する棒状のシリコーンゴムを用いて製造した。また、得られたブロック状の硬化物の両面の任意の12点に対して、上述のコロイド結晶の発色性の評価方法と同様にして反射スペクトルを測定し、反射ピーク強度が参照スペクトルの反射強度の10%以上の大きさとなる測定点の数を求めたところ、参照スペクトルの反射強度に対して10%以上の大きさの反射ピーク強度を有する測定点は12点であり、十分に発色性が高いことが分かった。また、得られたブロック状の硬化物は硬化率が98%であり、鉛筆硬度は4Hであった。
(比較例16)
重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物:10時間半減期温度:72.1℃、日油株式会社製の商品名「パーキュアO」)を5μL(0.04質量%)用いる代わりに、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカル社製の商品名「Darocure1173」)を0.1g用い、モノマー分散液を75℃の加熱温度にて24時間加熱する工程を実施する代わりに、セン特殊光源社製のハンディタイプUVキュア照射装置(ハンディ・キュアラブHLR100T−2)を用いてガラスセルのガラス面とのキョリが10cmとなる距離からUV光を1分間照射する工程を前記ガラスセルのガラス面の両面にそれぞれ実施した以外は、実施例13と同様にしてブロック状の硬化物としてのポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造を試みた。しかしながら、ガラス面から0.5mmの厚みで膜状の硬化物が得られたものの、ガラスセルの内部は十分に硬化させることはできなかった。なお、このようにして得られた膜状の硬化物は、反射スペクトルにおいて反射ピークが認められ、コロイド結晶がポリマーで固定化されていることが確認された。なお、このようなコロイド結晶の製造に用いたモノマー分散液は実施例6と同様のものである。
このような実施例13と比較例16の結果を鑑みるに、モノマー分散液を得た後に重合開始剤として光重合開始剤を用いて硬化する方法(比較例16)は、ポリマーで固定化されたコロイド結晶が得る方法としては有用な方法であるが、1mm以上の厚みを有するようなバルク状のコロイド結晶を効率よく製造するという点では必ずしも十分な方法ではないことが分かった。
以上のような結果から、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法(実施例1〜13)においては、硬化率が十分に高く、バルク状のポリマーで固定化されたコロイド結晶を十分に効率よく製造することができることが分かった。また、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法(実施例1〜13)においては、得られるコロイド結晶が実用する上で十分な硬度を有するとともに発色性に優れた十分に高い意匠性を備えるものとなることから、実用性の高いバルク状のポリマーで固定化されたコロイド結晶を製造することが可能であることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、十分な硬度と十分に優れた発色性とを有するコロイド結晶を十分に高い硬化率で効率よく製造することができるとともに、そのコロイド結晶の形状を所望の厚みを有するバルク体とすることも可能なポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法、並びに、その方法を採用して得られるポリマーで固定化されたコロイド結晶を提供することが可能となる。
したがって、本発明のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法は、構造色色材を製造する際に用いるコロイド結晶(例えば、塗料等に顔料として添加するためのフレーク状のコロイド結晶)や、紫外反射膜用のフィルムや特定の波長の光を透過しない光フィルムを製造する際に用いるコロイド結晶を製造するための方法等として特に有用である。

Claims (2)

  1. 単官能アクリルモノマーと、二官能アクリルモノマー及び三官能アクリルモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の多官能アクリルモノマーとを質量比([単官能アクリルモノマー]:[多官能アクリルモノマー])が30:70〜90:10となる割合で含有する分散媒中に、平均粒径が0.01〜10μmの範囲にあり且つ下記式(1):
    [単分散度(単位:%)]=([粒径の標準偏差]/[平均粒径])×100 (1)
    で表される単分散度が10%以下となるコロイド粒子を含有量が10〜60質量%となるようにして含有させた後、超音波を1分間〜24時間印加し、前記分散媒中に前記コロイド粒子を分散させて、3次元規則配列状態のコロイド結晶が形成されたモノマー分散液を得る工程と、
    前記モノマー分散液中に、10時間半減期温度が60〜100℃である有機過酸化物からなる重合開始剤を含有量が0.005〜0.1質量%となるようにして含有させ、該重合開始剤の10時間半減期温度に5℃加えた温度([10時間半減期温度]+[5℃])以下であり且つ80℃以下であるという条件を満たす加熱温度で加熱して、前記モノマー分散液中の前記単官能及び多官能アクリルモノマーを重合せしめ、ポリマーで固定化されたコロイド結晶を得る工程と、
    を含むことを特徴とする、ポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法。
  2. 前記単官能アクリルモノマーが、下記一般式(1):
    CH=CHOO(CO)R (1)
    [式(1)中、nは1〜9の整数を示し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基及びテトラヒドロフラニル基からなる群から選択される少なくとも1種を示す。]
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーで固定化されたコロイド結晶の製造方法。
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