JP5681843B1 - 熱発電ユニットおよび熱発電システム - Google Patents

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Abstract

本開示の熱発電ユニットは、複数の熱発電チューブを備える。各熱発電チューブは、内周面によって区画される流路を有し、内周面と外周面との間の温度差によって軸方向に起電力を発生するように構成されている。熱発電ユニットは、複数の熱発電チューブを内部に収容する容器と、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材とを備える。この容器は、容器の内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する。ある態様では、熱発電ユニットは、緩衝部材を備える。緩衝部材は、流体入口と複数の熱発電チューブとの間に設けられており、流体入口から容器内に流入してきた流体の流れ方向を変える。

Description

本願は、熱を電力に変換する熱電変換素子を備える熱発電ユニットに関する。また、本開示は、複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムにも関している。
熱電変換素子(Thermoelectric conversion element)は、熱を電力に、あるいは電力を熱に変換することができる素子である。ゼーベック効果を示す熱電材料から形成した熱電変換素子は、比較的低温(例えば200℃以下)の熱源から熱エネルギーを得て電力に変換することができる。このような熱電変換素子を利用した熱発電技術によれば、従来、蒸気、温水、排気ガスなどの形態で未利用のまま周囲環境に捨てられていた熱エネルギーを回収して有効に活用することが可能になる。
以下、熱電材料から形成した熱電変換素子を「熱発電素子(Thermoelectric generator)」と称する。一般の熱発電素子は、キャリアの電気的極性が互いに異なるp型半導体およびn型半導体が組み合わされた、いわゆる「π型構造」を有する(例えば、特許文献1)。「π型構造」の熱発電素子では、p型半導体とn型半導体とが電気的に直列に、かつ熱的に並列に接続される。「π型構造」では、温度勾配の方向と電流の流れる方向とは互いに平行または反平行である。このため、高温熱源側または低温熱源側の電極に出力端子を設ける必要がある。したがって、各々が「π型構造」を有する複数の熱発電素子を電気的に直列に接続するためには、複雑な配線構造が必要になる。
特許文献2は、互いに対向する第1電極および第2電極の間に、ビスマス層と、ビスマスとは異なる金属からなる金属層とが交互に積層された積層体を有する熱発電素子を開示している。特許文献2に開示される熱発電素子では、第1電極と第2電極とを結ぶ直線の方向に対して積層面が傾斜している。また、特許文献3ならびに非特許文献1および2は、チューブ型熱発電素子を開示している。
特開2013−016685号公報 国際公開第2008/056466号 国際公開第2012/014366号
菅野他、第72回応用物理学会学術講演会 講演予稿集、30a−A−14「非対角熱電効果を用いたチューブ型発電デバイス」 (2011) A.Sakai et al., International conference on thermoelectrics 2012 "Enhancement in performance of the tubular thermoelectric generator (TTEG)" (2012)
熱発電技術を利用した実用的な熱発電ユニットおよびシステムが望まれている。
本開示のある実施形態による熱発電ユニットは、各々が、外周面および内周面と、内周面によって区画される流路とを有し、内周面と外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材と、流体入口と複数の熱発電チューブとの間に設けられた緩衝部材とを備え、緩衝部材は、流体入口から容器内に流入してきた流体の流れ方向を変える。
本開示の他の実施形態による熱発電ユニットは、各々が、外周面および内周面と、内周面によって区画される流路とを有し、内周面と外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、一端が流体入口に接続された導管と、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材とを備え、容器は、複数の熱発電チューブを取り囲む胴部を有し、導管は、導管の中心軸の延長線が複数の熱発電チューブと胴部の内壁との間を通るように配置されている。
本開示の更に他の実施形態による熱発電ユニットは、各々が、外周面および内周面と、内周面によって区画される流路とを有し、内周面と外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材とを備え、容器は、複数の熱発電チューブを取り囲む胴部と、複数の熱発電チューブと胴部との間に配置された内部隔壁とを有する。
本開示の熱発電システムは、第1の熱発電ユニットおよび第2の熱発電ユニットを含む複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムであって、第1および第2の熱発電ユニットの各々は、上記のいずれかに記載の熱発電ユニットであり、第1熱発電ユニットにおける複数の熱発電チューブの流路に連通する複数の第1開口部と、第2熱発電ユニットにおける複数の熱発電チューブの流路に連通する複数の第2開口部とを有する。
本開示の熱発電ユニットおよびシステムによれば、熱発電の実用性が向上する。
熱発電素子10の断面図である。 図1Aの熱発電素子10の上面図である。 熱発電素子10の上面10aに高温熱源120を接触させ、かつ、下面10bに低温熱源140を接触させた状態を示す図である。 本開示による例示的な熱発電ユニットに使用され得る熱発電チューブTの概略構成を示す斜視図である。 本開示による例示的な熱発電ユニット100の概略構成を示す斜視図である。 本開示による熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差を与えるための構成の例を示すブロック図である。 熱発電チューブT1〜T10の電気的接続の例を模式的に示す図である。 熱発電システム100が備える熱発電チューブTのうちの1つ(ここでは熱発電チューブT1)を示す斜視図である。 熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示す図である。 本開示の実施形態による熱発電ユニットを示す正面図である。 熱発電ユニットに導入された温熱媒体および冷熱媒体の流れ方向の例を模式的に示す図である。 図7および図8に示す熱発電ユニット100Aの模式的な断面図である。 熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの模式的な断面図である。 緩衝部材70の他の例を示す模式的な断面図である。 緩衝部材70の更に他の例を示す模式的な断面図である。 緩衝部材70の更に他の例を示す模式的な断面図である。 緩衝部材70の更に他の例を示す斜視図である。 緩衝部材70の更に他の例を示す斜視図である。 本開示の他の実施形態による熱発電ユニットを示す正面図である。 図16に示される熱発電ユニット100Bの左側面図である。 熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの模式的な断面図である。 流体入口38aに対する第1の導管72aの他の接続の態様を示す断面図である。 流体入口38aに対する第1の導管72aの更に他の接続の態様を示す断面図である。 本開示の更に他の実施形態による熱発電ユニットの模式的な断面図である。 熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの模式的な断面図である。 熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第2の導管72bを切断したときの模式的な断面図である。 内部隔壁の変形例を示す模式的な断面図である。 図7に示す熱発電ユニット100Aの側面のうちの一つを示す図(ここでは右側面図)である。 (a)は、プレート36の一部の断面を示す図であり、(b)は、(a)において矢印V1で示す方向から見たときの導電性部材J1の外観を示す図である。 導電性部材J1を収容するチャネルC61近傍の分解斜視図である。 第2プレート部分36bのシール面(第1プレート部分36aと対向する面)のうち、開口部A61およびA62に対応する部分を示す斜視図である。 導電性リング状部材56の1つの例示的な形状を示す斜視図である。 導電性リング状部材56の他の例の形状を示す斜視図である。 導電性リング状部材56および熱発電チューブT1を示す断面図である。 導電性リング状部材56に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。 導電性リング状部材56および導電性部材J1に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。 導電性リング状部材56および導電性部材J1の一部を示す断面図である。 導電性部材J1の貫通孔Jh1に導電性リング状部材56の弾性部56rが挿入された状態を示す断面図である。 端部に面取り部Cmを有する熱発電チューブTの断面図である。 電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。 電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。 2個の開口部A61、A62およびその近傍における電流の向きを模式的に示す図である。 電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。 電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。 図7に示される熱発電ユニット100Aの側面のうちの他の一つを示す図(左側面図)である。 (a)は、プレート34の一部の断面を示す図であり、(b)は、(a)において矢印V2で示す方向から見たときの導電性部材K1の外観を示す図である。 導電性部材K1を収容するチャネルC41近傍の分解斜視図である。 熱発電チューブTの外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とが混ざり合わないように分離するための構造の例を示す断面図である。 温熱媒体と冷熱媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。 温熱媒体と冷熱媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの他の構成例を示す図である。 複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの他の構成例を示す図である。 本開示による熱発電システムが備える電気回路の構成例を示すブロック図である。 本開示による熱発電システムが使用される形態の構成例を示すブロック図である。
本開示の限定的ではない例示的なある熱発電ユニットの一態様は、複数の熱発電チューブを備えており、各熱発電チューブは、外周面および内周面と、内周面によって区画される流路とを有している。各熱発電チューブは、内周面と外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている。
この熱発電ユニットは、複数の熱発電チューブを内部に収容する容器と、複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材を更に備えている。容器は、その内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有している。
ある態様では、容器の流体入口と複数の熱発電チューブとの間に緩衝部材が設けられている。この緩衝部材は、流体入口から容器内に流入してきた流体の流れ方向を変える。他の態様では、熱発電ユニットは、一端が流体入口に接続された導管を備えている。また、容器は、複数の熱発電チューブを取り囲む胴部を有しており、流体入口に接続された導管は、導管の中心軸の延長線が複数の熱発電チューブと胴部の内壁との間を通るように配置されている。更に他の態様では、容器は、複数の熱発電チューブを取り囲む胴部と、複数の熱発電チューブと胴部との間に配置された内部隔壁とを有している。
詳細については後述するように、ある実施形態による熱発電ユニットは、複数の熱発電チューブを備えている。各熱発電チューブの内周面と外周面との間に温度差が与えられると、各熱発電チューブの軸方向に起電力が発生する。例えば冷熱媒体(例えば冷水)で満たされた容器内に各熱発電チューブを収容し、各熱発電チューブの内周面によって区画される流路に温熱媒体(例えば温水)を供給することによって、各熱発電チューブに発電を行わせることができる。このとき、冷熱媒体と温熱媒体との間の熱交換も同時に行われる。なお、本明細書では、「温熱媒体」または「冷熱媒体」における「温熱」および「冷熱」の語は、それぞれの媒体の具体的な温度の高低ではなく、これらの間の相対的な温度に差があることを表す。また、「媒体」は、典型的には、気体、液体、またはこれらの混合体からなる流体である。「媒体」は、流体中に分散した粉末などの固体を含んでいても良い。
熱発電ユニットの動作時、各熱発電チューブを収容する容器の内部は、典型的には、温水または冷水などの液体によって満たされている。一方、熱発電ユニットのメンテナンス時など、容器の内部から液体が排出されることによって、容器が空の状態となることがある。また、熱発電ユニットを導入した直後などにおいては、容器は液体によって満たされておらず、空の状態である。なお、本明細書において「空の状態」という場合には、容器の内部に液体がほとんど存在しない状態だけでなく、少なくとも1つの熱発電チューブの一部が液体から露出されているような状態も含む。
例えばメンテナンスのために熱発電ユニットの容器を空の状態とした場合を想定する。メンテナンスの終了後、熱発電ユニットの動作を再開するために、容器の内部に温水または冷水などの液体を導入する。このとき、容器を液体によって満たすには、容器内部の空気を排出する必要がある。容器内部の空気の排出は、典型的には、比較的高い圧力をもって液体を容器の内部に導入することにより行われる。すなわち、熱発電ユニットの動作再開時に容器の内部に導入される液体の流速は比較的大きい。特に、複数の熱発電ユニットを連結した場合には、各熱発電ユニットの容器内部の空気を排出する必要がある。そのため、各熱発電ユニットの容器の内部に導入される液体の流速は、熱発電ユニット単体の場合よりも大きい。
容器が空の状態において、容器の内部に液体を導入した場合、容器の内部に流入する液体の圧力が高いと、流入した液体によって熱発電チューブが損傷する可能性がある。したがって、容器の内部に流入する液体によって熱発電チューブが損傷を受けないようにすると有益である。これにより、例えばメンテナンス後の熱発電ユニットの動作再開時に、熱発電チューブの損傷に起因する不具合の発生を防止でき、熱発電の実用性が向上する。
<熱発電素子の基本構成と動作原理>
本開示による熱発電ユニットの実施形態を説明する前に、この熱発電ユニットに使用される熱発電素子の基本構成と動作原理を説明する。後述するように、本開示の熱発電ユニットではチューブ状の熱発電素子が使用される。しかし、チューブ状の熱発電素子の動作原理は、より単純な形状を有する熱発電素子について説明することが可能であり、その方が理解しやすい。
まず、図1Aおよび図1Bを参照する。図1Aは、概略的に直方体の形状を有する熱発電素子10の断面図であり、図1Bは熱発電素子10の上面図である。参考のため、図1Aおよび図1Bには、直交するX軸、Y軸、Z軸が示されている。図示されている熱発電素子10は、金属層20と熱電材料層22とが傾斜した状態で交互に積層された構造(積層体)を有している。この例において、積層体の形状は直方体であるが、他の形状であっても動作原理は同じである。
図示されている熱発電素子10では、上記の積層体を左右から挟み込むように第1電極E1および第2電極E2が設けられている。図1Aに示される断面において、積層面はZ軸方向に対して角度θ(0<θ<πラジアン)だけ傾斜している。
このような構成を有する熱発電素子10では、上面10aと下面10bとの間に温度差が与えられると、熱電材料層22よりも熱伝導性の高い金属層20を優先的に熱が伝達するため、各熱電材料層22の温度勾配にZ軸方向成分が生じる。このため、各熱電材料層22にはゼーベック効果によってZ軸方向の起電力が発生し、起電力が積層体内で直列的に重畳される結果、全体として第1電極E1と第2電極E2との間に大きな電位差が発生する。図1Aおよび図1Bに示される積層体を有する熱発電素子は、特許文献2に開示されている。特許文献2の開示内容の全体を本願に援用する。
図2は、熱発電素子10の上面10aに高温熱源120を接触させ、かつ、下面10bに低温熱源140を接触させた状態を示している。この状態では、高温熱源120から低温熱源140に熱発電素子10を介して熱Qが流れ、熱発電素子10から第1電極E1および第2電極E2を介して電力Pを取り出すことができる。大局的に見た場合、熱発電素子10では、温度勾配の方向(Y軸方向)と電流の方向(Z軸方向)とは直交しており、電力を取り出すための一対の電極E1、E2間に温度差を与える必要がない。なお、図2に示す例では、図の左側から右側に向かって電力Pが流れる様子を模式的に示している。しかしながら、これはあくまでも例示である。例えば、使用される熱電材料の種類が変更されることによって、電力Pの流れ方向が図2とは反対になることもある。
簡単のため、熱発電素子10の積層体の形状が直方体である場合を説明したが、以下の実施形態では、積層体がチューブ形状を有する熱発電素子を用いる。このようなチューブ状の熱発電素子を本明細書では「熱発電チューブ(Tubular Thermoelectric Generator)」と称する。なお、本明細書において、「チューブ」の用語は「パイプ」の用語とは区別されず、「チューブ」および「パイプ」の両方を含むように解釈される。
<熱発電ユニットの概要>
以下、本開示による熱発電ユニットの概要を説明する。
まず、図3Aおよび図3Bを参照する。図3Aは、熱発電チューブTの一例を示す斜視図である。熱発電チューブTは、中央に貫通孔を有する金属層20および熱電材料層22が傾斜した状態で交互に積層されたチューブ本体Tbと、一対の電極E1、E2とを備えている。このような熱発電チューブTを製造する方法は、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3に開示されている方法によれば、底部に孔を有する金属カップと、同様に底部に孔を有する熱電材料カップとを交互に重ね合わせ、その状態でプラズマ焼結を行うことにより、両者を結合する。特許文献3の開示内容の全体を本願に援用する。
図3Aの熱発電チューブTは、その内周面によって規定される内部の流路(以下、「内部流路」と称することがある。)を、例えば温熱媒体が流れるように配管に接続される。その場合、熱発電チューブTの外周面は冷熱媒体に接触させられる。こうして、熱発電チューブTの内周面と外周面との間に温度差が与えられることにより、一対の電極E1、E2の間に電位差が発生し、電力を取り出すことが可能になる。
熱発電チューブTの形状は、チューブ状であれば良く、円筒に限定されない。言い換えると、熱発電チューブTの軸に対して垂直な面で熱発電チューブTを切断したとき、「外周面」および「内周面」の切断面上における形状は円である必要は無く、楕円、多角形などの閉曲線であれば良い。また、熱発電チューブTの軸は、典型的には直線であるが、直線に限定されない。これらのことは、図1A、図1Bおよび図2を参照しながら説明した熱発電の原理から明らかである。
図3Bは、本開示による例示的な熱発電ユニット100の概略構成を示す斜視図である。図3Bに示される熱発電ユニット100は、複数の熱発電チューブTと、これらの熱発電チューブTを内部に収容する容器30と、熱発電チューブTを電気的に接続する複数の導電性部材Jとを備えている。図3Bに示す例では、容器30の内側に10本の熱発電チューブT1〜T10が収められている。10本の熱発電チューブT1〜T10は、典型的には、互いに略平行に配置されるが、配置の態様はこれに限定されない。
熱発電チューブT1〜T10の各々は、前述したように、外周面および内周面と、内周面によって区画される内部流路とを有する。熱発電チューブT1〜T10の各々は、内周面と外周面との間の温度差によってそれぞれの軸方向に起電力を発生するように構成されている。すなわち、熱発電チューブT1〜T10の各々において、外周面と内周面との間に温度差を与えることにより、熱発電チューブT1〜T10から電力が取り出される。例えば、熱発電チューブT1〜T10の各々における内部流路に温熱媒体を接触させ、かつ、熱発電チューブT1〜T10の各々の外周面に冷熱媒体を接触させることにより、熱発電チューブT1〜T10から電力を取り出すことができる。また、逆に、熱発電チューブT1〜T10の各々における内周面に冷熱媒体を接触させ、かつ、外周面に温熱媒体を接触させても良い。
図3Bに示す例では、容器30の内部において熱発電チューブT1〜T10の外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内部流路において各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とは、それぞれ別々の配管(不図示)を介して供給され、混ざり合わないように分離されている。
図4は、熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差を与えるための構成の例を示すブロック図である。図4に破線で示す矢印Hは、温熱媒体の流れを模式的に示し、実線で示す矢印Lは、冷熱媒体の流れを模式的に示している。図4に示す例では、温熱媒体および冷熱媒体が、ポンプP1およびP2によってそれぞれ循環する。例えば、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に温熱媒体が供給され、容器30の内部に冷熱媒体が供給される。図4では記載が省略されているが、温熱媒体には不図示の高温熱源(例えば熱交換器)から熱が供給され、冷熱媒体からは不図示の低温熱源に熱が供給される。高温熱源としては、従来、未利用のまま周囲環境に捨てられていた比較的低温(例えば200℃以下)の蒸気、温水、排気ガスなどを使用することができる。もちろん、より高温の熱源を用いても良い。
図4に示す例では、温熱媒体および冷熱媒体が、それぞれ、ポンプP1およびP2によって循環しているが、本開示の熱発電ユニットは、そのような例に限定されない。温熱媒体および冷熱媒体の一方または両方が、循環系を構成することなく、各々の熱源から周囲環境に捨てられても良い。例えば、地中から湧き出した高温の温泉水が温熱媒体として熱発電ユニット100に与えられ、その後、温度が低下した温泉水として発電以外の用途に利用されたり、そのまま捨てられたりしても良い。冷熱媒体についても、地下水、川の水、海水が汲み上げられて熱発電ユニット100に与えられても良い。これらは、冷熱媒体として利用された後、必要に応じて適当な温度に低下され、元の水源に返されたり、周囲環境に捨てられたりしても良い。
再び図3Bを参照する。本開示における熱発電ユニット100では、導電性部材Jを介して複数の熱発電チューブTが電気的に接続される。図3Bに示す例では、隣接して配置されている2本の熱発電チューブTが個々の導電性部材Jによって接続されている。全体として、複数の熱発電チューブTは電気的に直列に接続されている。例えば、図3Bにおいて最も手前に見える2本の熱発電チューブT3および熱発電チューブT4の右端部は、導電性部材J3によって相互に接続されている。一方、これら2本の熱発電チューブT3、T4の左端部は、それぞれ、導電性部材J2、J4によって他の熱発電チューブT2、T5に接続されている。
図5は、熱発電チューブT1〜T10の電気的接続の例を模式的に示している。図5に示すように、導電性部材J1〜J9の各々は、2本の熱発電チューブを電気的に接続している。導電性部材J1〜J9は、全体として熱発電チューブT1〜T10を電気的に直列に接続するように配列されている。この例では、熱発電チューブT1〜T10および導電性部材J1〜J9から形成される回路は、一筆書き(traversable)である。この回路は、一部に並列的に接続された熱発電チューブを含んでいて良く、回路が一筆書きであることは必須ではない。
図5に示す例では、例えば熱発電チューブT1から熱発電チューブT10に電流が流れる。電流は、熱発電チューブT10から熱発電チューブT1に流れても良い。この電流の向きは、熱発電チューブTに使用する熱電材料の種類、熱発電チューブTの内周面と外周面との間で生じる熱流の向き、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向などに依存して決まる。熱発電チューブT1〜T10の接続は、熱発電チューブT1〜T10の各々で生じた起電力が相殺されず、重畳されるように決定される。
なお、熱発電チューブT1〜T10を流れる電流の向きと、熱発電チューブT1〜T10の内部流路を流れる媒体(温熱媒体または冷熱媒体)の流れ方向とは、相互に無関係である。例えば、図5に示す例では、熱発電チューブT1〜T10の内部流路を流れる媒体の流れ方向は、全てに共通して例えば図中の左側から右側であっても良い。
<熱発電チューブTの構成の詳細>
次に、図6Aおよび図6Bを参照して、熱発電チューブTの構成の詳細を説明する。図6Aは、熱発電システム100が備える熱発電チューブTのうちの1つ(ここでは熱発電チューブT1)を示す斜視図である。熱発電チューブT1は、チューブ本体Tb1と、チューブ本体Tb1の両端にそれぞれ設けられた第1電極E1および第2電極E2とを有する。チューブ本体Tb1は、金属層20と熱電材料層22とが交互に積層された構成を有する。本明細書では、第1電極E1と第2電極E2とを結ぶ直線の方向を「積層方向」と称する場合がある。この「積層方向」は熱発電チューブの軸方向に一致している。
図6Bは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示す。図6Bに示されるように、熱発電チューブT1は、外周面24および内周面26を有する。内周面26によって区画される領域が流路F1を形成している。図示されている例では、外周面24および内周面26は、それぞれ、軸方向に垂直な断面の形状が円であるが、これらの形状は前述したように、円に限定されず、楕円または多角形であっても良い。軸方向に垂直な面で切断したときの流路の断面積の大きさは、特に限定されない。熱発電チューブTの内部流路に供給される媒体の流量に応じて、流路の断面積または熱発電チューブの本数が適宜設定されれば良い。
図示されている例において、第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ、円筒形状を有しているが、第1電極E1および第2電極E2の形状はこれに限定されない。第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ、チューブ本体Tb1の両端またはその近傍において、金属層20および熱電材料層22の少なくとも一方に電気的に接続され、かつ、流路F1を閉塞しない任意の形状を有し得る。図6Aおよび図6Bに示す例では、第1電極E1および第2電極E2の外周面がチューブ本体Tb1の外周面24に整合しているが、第1電極E1および第2電極E2の外周面とチューブ本体Tb1の外周面24とが整合している必要はない。例えば、第1電極E1および第2電極E2の外周面の直径(外径)がチューブ本体Tb1の外周面24の直径(外径)よりも大きくても良いし、小さくても良い。また、軸方向に垂直な平面で切った第1電極E1および第2電極E2の断面形状が、軸方向に垂直な平面で切ったチューブ本体Tb1の外周面24の断面形状と異なっていても良い。
第1電極E1および第2電極E2は、導電性を有する材料、典型的には金属から形成される。第1電極E1および第2電極E2は、チューブ本体Tb1の両端またはその近傍に位置する1個または複数の金属層20から構成されていても良い。その場合、チューブ本体Tb1の一部が第1電極E1および第2電極E2として機能する。あるいは、第1電極E1および第2電極E2は、チューブ本体Tb1の外周面の一部を覆うように設けられた金属層または輪帯状金属部材から形成されていても良いし、チューブ本体Tb1の内周面と接触するようにチューブ本体Tb1の両端から流路F1内に部分的に嵌め込まれた一対の円筒状金属部材であっても良い。
金属層20および熱電材料層22は、図6Bに示されるように、傾斜した状態で交互に積層されている。このような構成を有する熱発電チューブは、基本的には、図1A、図1Bおよび図2を参照しながら説明した原理と同様の原理で動作する。したがって、熱発電チューブT1の外周面24と、熱発電チューブT1の内周面26との間に温度差を与えると、第1電極E1と第2電極E2との間に電位差が生じる。このときの温度勾配の概略的な方向は、熱発電チューブT1の半径方向(積層方向に垂直な方向)である。
チューブ本体Tb1における積層面の傾斜角度(以下、単に「傾斜角度」と称する。)θは、例えば、5°以上60°以下の範囲内に設定され得る。傾斜角度θは、20°以上45°以下であっても良い。傾斜角度θの適切な範囲は、金属層20を構成する材料と熱電材料層22を構成する熱電材料との組み合わせに依存して異なる。
チューブ本体Tb1における金属層20の厚さと熱電材料層22の厚さとの比(以下、単に「積層比」と称する。)は、例えば、20:1〜1:9の範囲に設定され得る。ここで、金属層20の厚さは、積層面に垂直な方向における厚さ(図6B中、矢印Thで示す厚さ)を意味する。同様に、熱電材料層22の厚さは、積層面に垂直な方向における厚さを意味する。なお、金属層20および熱電材料層22の積層の総数は適宜設定され得る。
金属層20は、任意の金属材料から形成され得、例えばニッケルまたはコバルトから形成され得る。ニッケルおよびコバルトは、高い熱発電特性を示す金属材料の例である。金属層20は、銀または金を含んでいても良い。金属層20は、これらの例示された金属材料を単独で含んでいても良いし、合金として含んでいても良い。金属層20が合金から形成される場合、この合金が、銅、クロムまたはアルミニウムを含んでいても良い。このような合金の例は、コンスタンタン、クロメルまたはアルメルである。
熱電材料層22は、使用温度に応じて任意の熱電材料から形成され得る。熱電材料層22に使用され得る熱電材料の例は、ビスマス、アンチモンなどの単元素からなる熱電材料、BiTe系、PbTe系、SiGe系などの合金系熱電材料、CaxCoO2、NaxCoO2、SrTiO3などの酸化物系熱電材料を含む。本明細書における「熱電材料」とは、絶対値が30μV/K以上のゼーベック係数を有し、かつ、電気抵抗率が10mΩcm以下の材料を意味する。このような熱電材料は、結晶でも、非晶質でも良い。温熱媒体の温度が200℃程度またはそれ以下である場合、熱電材料層22は、例えばビスマスアンチモンテルルの緻密体から形成され得る。ビスマスアンチモンテルルの代表的な化学組成は、Bi0.5Sb1.5Te3であるが、これに限定されない。ビスマスアンチモンテルルはセレンなどのドーパントを含んでいても良い。ビスマスとアンチモンの組成比は、適宜調整され得る。
熱電材料層22を構成する熱電材料の他の例としては、テルル化ビスマス、テルル化鉛などが挙げられる。熱電材料層22がテルル化ビスマスから構成される場合、テルル化ビスマスの化学組成をBi2TeXと表記したとき、2<X<4であれば良い。代表的な化学組成は、Bi2Te3である。Bi2Te3は、アンチモンまたはセレンを含有し得る。アンチモンを含有するテルル化ビスマスの化学組成は(Bi1-YSbY2TeXのように表される。このとき、0<Y<1であれば良く、0.6<Y<0.9であるとより好ましい。
第1電極E1および第2電極E2を構成する材料は、導電性に優れる材料であれば任意である。第1電極E1および第2電極E2は、銅、銀、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタン、クロム、金、白金、インジウムなどの金属から形成され得る。あるいは、窒化チタン(TiN)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)などの窒化物または酸化物から形成されても良い。ハンダ、銀ロウ、導電性ペーストなどから第1電極E1または第2電極E2を形成しても良い。なお、チューブ本体Tb1の両端が金属層20である場合、前述したように、第1電極E1および第2電極E2は、金属層20で代用され得る。
本明細書では、熱発電チューブの典型例として、金属層と熱発電材料層とが交互に積層された構成を備える素子を説明したが、本開示に使用され得る熱発電チューブの構造は、このような例に限定されない。相対的にゼーベック係数が低く熱伝導率が高い第1の材料から形成された第1の層と、相対的にゼーベック係数が高く熱伝導率が低い第2の材料から形成された第2の層とを積層すれば、上述した熱発電は可能である。金属層20および熱電材料層22は、それぞれ、上記の第1の層および第2の層の例である。
<熱発電ユニットの実施形態>
次に、図7を参照する。図7は、本開示の実施形態による熱発電ユニットを示す正面図である。図7に示されるように、この態様における熱発電ユニット100Aは、複数の熱発電チューブTと、複数の熱発電チューブTを内部に収容する容器30とを備えている。このような構造は、一見したところ、熱交換器の「シェル・アンド・チューブ構造」に似ている。しかしながら、熱交換器では、複数のチューブは単に流体を流す管路として機能するだけであり、電気的接続は不要である。本開示の熱発電ユニットでは、実用上、熱交換器には要求されないチューブ相互間の安定した電気的接続を達成することが求められる。
図4を参照しながら説明したように、熱発電ユニット100Aには、温熱媒体および冷熱媒体が供給される。例えば、複数の開口部Aを介して、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に温熱媒体が供給される。一方、容器30の内部には、後述する流体入口を介して冷熱媒体が供給される。これにより、熱発電チューブTの外周面と内周面との間に温度差が与えられる。このとき、熱発電ユニット100Aにおいて、温熱媒体と冷熱媒体との間の熱交換が行われるとともに、熱発電チューブT1〜T10の各々において、それぞれの軸方向に起電力が発生する。
図7に示されている例において、容器30は、熱発電チューブTを取り囲む筒状の胴部(シェル)32と、胴部32の開放された両端を塞ぐように設けられた一対のプレート34、36とを有している。図7に示す例では、プレート34は胴部32の左端に固定され、プレート36は胴部32の右端に固定されている。プレート34および36には、各熱発電チューブTが挿入される複数の開口部Aが設けられており、プレート34、36の対応する一対の開口部Aには、それぞれ、熱発電チューブTの両端部が挿入されている。
このプレート34、36は、シェル・アンド・チューブ型熱交換器における管板(チューブシート)と同様に、複数のチューブ(熱発電チューブT)を空間的に分離した状態で支持する機能を有している。複数の熱発電チューブTは、典型的には、容器30内において平行に配置される。複数の熱発電チューブTは平行の関係にある必要はなく、「非平行」または「ねじれ」の関係にあっても良いが、ここでは、複数の熱発電チューブTは、容器30内において平行に配置されている場合を例示する。プレート34、36は、後に詳しく説明するように、熱交換器の管板には無い電気的接続機能を更に有している。
図7に示されている例において、プレート34は、胴部32に固定された第1プレート部分34aと、第1プレート部分34aに対して脱着可能に取り付けられた第2プレート部分34bとを有している。同様に、プレート36は、胴部32に固定された第1プレート部分36aと、第1プレート部分36aに対して脱着可能に取り付けられた第2プレート部分36bを有している。プレート34および36に設けられた開口部Aは、それぞれ、第1プレート部分34a、36aおよび第2プレート部分34b、36bを貫通し、各熱発電チューブTの流路を容器30の外部に開放している。
容器30を構成する材料の例は、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)などの金属である。容器30を構成する材料の他の例は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂などである。胴部32およびプレート34、36は、同一の材料から形成されていても良いし、異なる材料から形成されていても良い。胴部32および第1プレート部分34a、36aが金属から形成されている場合、第1プレート部分34a、36aは、例えば溶接により胴部32に固定される。胴部32の両端にフランジが設けられている場合、このフランジに第1プレート部分34a、36aが固定されていても良い。
動作時、容器30の内部には流体(冷熱媒体または温熱媒体)が導入されるため、容器30の内部は気密または水密が保たれる必要がある。後述するように、プレート34、36の開口部Aでは、熱発電チューブTの端部が挿入された状態で気密または水密を保つためのシールが実現される。胴部32とプレート34、36との間で隙間はなく、動作時には気密または水密が保たれる構造が実現される。
図8に示されるように、容器30は、その内部に流体を流すための流体入口38aおよび流体出口38bを有している。熱発電ユニット100Aでは、流体入口38aおよび流体出口38bが、容器30の上部に配置されている。流体入口38aの配置は、容器30の上部に限定されず、流体入口38aが、例えば容器30の下部に配置されても良い。流体出口38bも同様である。流体入口38aおよび流体出口38bのそれぞれは、例えば、容器30の胴部32の側面に設けられた開口部であり得る。図示する例では、流体入口38aおよび流体出口38bに、それぞれ、第1の導管72aおよび第2の導管72bが接続されている。
図7および図8に示されるように、容器30の内部には、緩衝部材70が設けられている。この緩衝部材70は、流体入口38aと複数の熱発電チューブTとの間に配置されている。後に詳しく説明するように、緩衝部材70は、容器30の内部に流入してきた流体の流れ方向を変えるように構成されている。なお、流体入口38aおよび流体出口38bは、それぞれ、流体の入口および出口として固定して使用される必要はなく、流体の入口および出口が定期的または不定期的に反転して用いられても良い。流体の流れ方向が固定されている必要はない。したがって、流体出口38bと複数の熱発電チューブTとの間に更に他の緩衝部材が配置されることもある。また、流体入口38aおよび流体出口38bの各々の個数は1個に限定されず、流体入口38aおよび流体出口38bの一方または両方が複数であっても良い。この場合は、複数の緩衝部材が容器30の内部に配置され得る。
図8は、熱発電ユニット100Aに導入された温熱媒体および冷熱媒体の流れ方向の例を模式的に示す図である。図8に示す例では、熱発電チューブT1〜T10の各々の内部流路に温熱媒体HMが供給されており、容器30の内部に冷熱媒体LMが供給されている。図示する例では、プレート34に設けられた開口部Aを介して、各熱発電チューブの内部流路に温熱媒体HMが導入される。各熱発電チューブの内部流路に導入された温熱媒体HMは、各熱発電チューブの内周面と接触する。一方、流体入口38aから容器30の内部に冷熱媒体LMが導入される。容器30の内部に導入された冷熱媒体LMは、各熱発電チューブの外周面と接触する。
図8に示す例では、温熱媒体HMは、各熱発電チューブの内部流路を流れる間に、冷熱媒体LMと熱の交換を行う。冷熱媒体LMと熱の交換を行い、温度の低下した温熱媒体HMは、プレート36に設けられた開口部Aを介して熱発電ユニット100Aの外部に排出される。一方、冷熱媒体LMは、容器30の内部を流れる間に、温熱媒体HMと熱の交換を行う。温熱媒体HMと熱の交換を行い、温度の上昇した冷熱媒体LMは、流体出口38bから熱発電ユニット100Aの外部に排出される。なお、図8に示す温熱媒体HMの流れ方向および冷熱媒体LMの流れ方向は、あくまでも例である。温熱媒体HMおよび冷熱媒体LMのいずれか一方またはこれらの両方が、図の右側から左側に向かって流れていても良い。
ある態様では、熱発電チューブTの流路に温熱媒体HM(例えば温水)を導入し、かつ、流体入口38aから冷熱媒体LM(例えば冷却水)を導入して容器30の内部を冷熱媒体LMで満たすことができる。逆に、熱発電チューブTの流路には冷熱媒体LM(例えば冷却水)を導入し、かつ、流体入口38aから温熱媒体HM(例えば温水)を導入して容器30の内部を温熱媒体HMで満たしても良い。こうして、熱発電チューブTの各々における外周面24と内周面26との間に発電に必要な温度差を与えることができる。
<緩衝部材>
図9は、図7および図8に示す熱発電ユニット100Aの模式的な断面を示す。図9は、例えば円筒状に形成された胴部32の中心軸を含み、かつ水平面に対して垂直な平面で切断したときの断面を模式的に示している。図9に示されるように、緩衝部材70は、流体入口38aと複数の熱発電チューブTとの間に位置するように、例えば容器30の内壁に固定されている。そのため、容器30の内部が流体で満たされていない状態においては、流体入口38aから流れ込んだ流体は、まず緩衝部材70に衝突し、その後、容器30の底部に向かう。これにより、流体入口38aから流れ込んだ流体が熱発電チューブTに直接に衝突することを防止できる。
上述したように、各熱発電チューブTは、プレート34、36の対応する一対の開口部Aに両端部が挿入されることにより、容器30内において支持されている。すなわち、図7〜図9に示す例では、各熱発電チューブTは、その両端部のみが支持されている。そのため、容器30の内部が流体で満たされていない状態において熱発電チューブTに流体が直接に衝突すると、チューブ本体Tbに機械的な負荷がかかり、チューブ本体Tbの破断、外周面の摩耗などが発生しやすくなる。特に、流体入口38aの近くに配置された熱発電チューブTにおいて、このような不具合の発生が想定される。なお、容器30の内部が流体によってほぼ満たされている状態においては、容器30内の流体がクッションの役割を果たす。そのため、熱発電ユニット100Aの連続動作時においては、容器30内に流体を導入することに起因して熱発電チューブTが損傷する可能性は低い。
本実施形態では、容器30の内部に流入してきた流体の流れ方向を緩衝部材70が変えることにより、熱発電チューブTに与られる衝撃が緩和される。緩衝部材70は、流体入口38aから流れ込んだ流体がもつ運動量を低減させることができれば良い。
図10は、熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの断面を模式的に示す。図10に示す断面は、図9のA−A断面に対応する。図10では、流体の流れ方向が、破線の矢印で模式的に示されている。以下の説明においても、特に断りのない限り、破線の矢印で流体の流れ方向を模式的に示す。
図10に示す例では、流体入口38aと、流体入口38aの直下に配置された熱発電チューブT2との間に、平板状の緩衝部材70aが配置されている。この緩衝部材70aは、容器30の内部において熱発電チューブT2の少なくとも一部を覆うように配置されている。図10に示す例では、第1の導管72a内の流体は、鉛直方向に沿って図の下向きに流れ、流体入口38aを介して容器30の内部に流入する。容器30の内部に流入してきた流体は、緩衝部材70aに衝突し、緩衝部材70aによって流れ方向が変えられる。すなわち、緩衝部材70aに衝突した流体は、跳ね返り分を除き、緩衝部材70aの表面に沿って流れる。例えば、容器30の内部に流入してきた流体のうちの一部の流れ方向は、鉛直方向に沿った方向から図の左右方向(水平方向)に変化する。これにより、流体入口38aの下方に配置されている熱発電チューブTに、容器30の内部に流入してきた流体が直接に衝突することが防止される。
ここで、熱発電チューブTの軸方向に垂直な断面において、流体入口38aにおける流体の流れ方向に垂直な方向を「幅方向」と呼ぶことにする。以下では、幅方向における長さを単に「幅」と称することがある。緩衝部材70aの幅(図10中、矢印W1で示す長さ)は、典型的には、熱発電チューブTの外径よりも大きい。したがって、図示する例では、緩衝部材70aは、容器30の内部に流入してきた流体が、緩衝部材70aの下方に配置された熱発電チューブT(ここでは熱発電チューブT2)に直接に衝突することを防止する。
緩衝部材70aは、熱発電チューブTの軸方向において、所定の長さを有している。熱発電チューブTの軸方向における緩衝部材70aの長さ(図9中、矢印L1で示す長さ)は、例えば、熱発電チューブTの軸方向における胴部32の長さ(図9中、矢印L2で示す長さ)と等しく設定され得る。容器30の内部に流入してきた流体のうちの一部は、緩衝部材70aに衝突した後、熱発電チューブTの軸方向に沿って緩衝部材70a上を流れ、熱発電チューブTの軸方向における、緩衝部材70aの端部から流れ落ちる。長さL1が、長さL2とほぼ等しく設定されることにより、緩衝部材70aに衝突した後、熱発電チューブTの軸方向における、緩衝部材70aの端部から流れ落ちた流体が、緩衝部材70aの下方に配置された熱発電チューブT(ここでは熱発電チューブT2)に衝突することを防止できる。このように、ある態様では、緩衝部材70は、容器30の内部において熱発電チューブTの少なくとも1つを覆うように配置される。
図11は、緩衝部材70の他の例を示す模式的な断面図である。図11に示されるように、緩衝部材70が、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体から複数の熱発電チューブTを遮蔽する形状を有していても良い。なお、本明細書における「遮蔽」には、熱発電チューブTの軸方向における緩衝部材の長さ(図9中、矢印L1で示す長さ)が、熱発電チューブTの軸方向における胴部32の長さ(図9中、矢印L2で示す長さ)より短い場合も含まれる。
図示する例では、3本の熱発電チューブT1、T2およびT3の組、4本の熱発電チューブT10、T8、T6およびT4の組および3本の熱発電チューブT9、T7およびT5の組が、空間的に分離した状態で図の上下方向に沿って配置されている。また、それぞれの組においても、熱発電チューブ同士は、空間的に分離して配置されている。図11に示す例では、緩衝部材70bの幅は、熱発電チューブTが配置されている領域の幅方向における最大の長さ(図11中、矢印W3で示す長さ)よりも大きい。この場合、熱発電チューブTの軸方向に垂直な断面において、緩衝部材70bの端部における流体の流れ方向の延長線上に、いずれの熱発電チューブTも配置されていないので、緩衝部材70bに衝突した流体が熱発電チューブTに向かって流れることを防止できる。したがって、緩衝部材70bに衝突した後、流れ方向が変えられた流体が熱発電チューブTに衝突することによる損傷の発生を防止できる。
図12および図13は、それぞれ、緩衝部材70の更に他の例を示す模式的な断面図である。図12に示す緩衝部材70cは、その中央において折れ曲がっており、中央部分が流体入口38aに向かって突出している。図13に示す緩衝部材70dは、半円筒形状に形成されており、中央部分が流体入口38aに向かって突出している。すなわち、熱発電チューブTの軸方向に垂直な面内における緩衝部材70cおよび緩衝部材70dの断面形状は、流体入口38aに向かって突出した形状である。なお、緩衝部材70cおよび緩衝部材70dは、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体から複数の熱発電チューブTを遮蔽する形状を有している。すなわち、図示する例において、W1>W3の関係が満たされている。
図12および図13に示すように、緩衝部材70が、流体入口38aに向かって突出した形状であっても良い。緩衝部材70が、流体入口38aに向かって突出した形状に形成されることにより、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体をより効果的に分散させることができる。また、緩衝部材70自身に対する機械的な負荷が低減される。
図12および図13に示す例では、緩衝部材70cおよび緩衝部材70dのいずれも、流体入口38aとは反対側が開放されている。しかしながらこれはあくまで例示であり、熱発電チューブTの軸方向に垂直な面内における緩衝部材70cおよび緩衝部材70dの断面形状が、複数の熱発電チューブTを取り囲むような形状であっても良い。この場合、例えば、L1<L2の関係が満たされるようにすれば(図9参照)、流体入口38aから導入される流体によって容器30の内部を満たすことができる。
図14および図15は、それぞれ、緩衝部材70の更に他の例を示す斜視図である。なお、図14および図15では、複雑さを避けるため、緩衝部材70の下方に1本の熱発電チューブTが配置されている場合を示している。しかしながら、これはあくまで例示であり、緩衝部材70の下方に複数の熱発電チューブTが配置されていても良い。
図14に示す緩衝部材70eは、矩形状の平板部70pと、平板部70pから垂直に立ち上がった2つの壁部70sとを有している。平板部70pの外縁のうち、2つの外縁は熱発電チューブTの軸方向と平行であり、残りの2つの外縁は、熱発電チューブTの軸方向と垂直である。2つの壁部70sは、平板部70pの外縁のうち、熱発電チューブTの軸方向と垂直な外縁から上方に向かって延びている。壁部70sは、緩衝部材70eに衝突後の流体の流れを熱発電チューブTの軸方向と垂直な方向に誘導する。したがって、緩衝部材70eに衝突した流体が熱発電チューブTの軸方向に流れ落ちることを防止できる。
図15に示す緩衝部材70fは、鞍状の形状を有し、熱発電チューブTの軸方向に垂直な面内における断面形状が、流体入口38aに向かって突出した形状となるように配置されている。この場合も、緩衝部材70fに衝突した流体が熱発電チューブTの軸方向に流れ落ちることを防止できる。
このように、緩衝部材70の形状および大きさは、任意に設定し得る。緩衝部材70の形状は、例えば、板状、棒状、円錐状、椀状、すのこ状またはメッシュ状であり得る。緩衝部材70は、その一部が湾曲していても良く、例えば、緩衝部材70の形状は、半円筒状やプロペラ状であり得る。緩衝部材70が可動部を有していても良い。緩衝部材70の流体入口38a側の表面は平坦面でなくとも良く、緩衝部材70の表面に溝部やフィンなどが形成されていても良い。緩衝部材70は、多孔質体であっても良いし、孔部を有していても良い。なお、所定の強度を得られる限りにおいて、緩衝部材70を形成するための材料も任意に選択可能である。
<熱発電ユニットの他の実施形態>
次に、図16を参照する。図16は、本開示の他の実施形態による熱発電ユニットを示す正面図である。この態様における熱発電ユニット100Bは、上述の熱発電ユニット100Aと同様に、複数の熱発電チューブTと、複数の熱発電チューブTを内部に収容する容器30とを備えている。以下では、熱発電ユニット100Aについて説明した構成および動作と共通する構成および動作の説明は繰り返さない。
図17は、図16に示される熱発電ユニット100Bの左側面図を示す。図17では、プレート34の第2プレート部分34bの図示が省略されている。図17および図16に示す例では、流体入口38aは、熱発電ユニット100Bの背面側に設けられており、流体入口38aには、第1の導管72aが接続されている。一方、流体出口38bは、熱発電ユニット100Bの正面側に設けられており、流体出口38bには、第2の導管72bが接続されている。しかしながらこれはあくまでも例示であり、流体入口38aおよび流体出口38bの各々は、熱発電ユニット100Aと同様に、例えば容器30の上部に配置されても良い。
熱発電ユニット100Bでは、流体入口38aにおける流体の流れ方向が、複数の熱発電チューブTではなく、胴部32の内壁に向くように第1の導管72aが配置されている。より詳細には、第1の導管72aは、第1の導管72aの中心軸の延長線が複数の熱発電チューブTと胴部32の内壁との間を通るように配置されている。これにより、流体入口38aを介して容器30の内部に流入してきた流体のうち、熱発電チューブTに直接に衝突する流体の割合を低減することができる。したがって、熱発電チューブTに流体が直接に衝突することに起因する熱発電チューブTの損傷の発生を抑制することができる。なお、図17に示すように、第2の導管72bは、第2の導管72bの中心軸の延長線が複数の熱発電チューブTと胴部32の内壁との間を通るように配置されても良い。
図18を参照しながら、熱発電ユニット100Bの構成をより詳細に説明する。図18は、熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの断面を模式的に示す。図18に示す断面は、図16のB−B断面に対応する。
図18に例示する構成において、第1の導管72aは、第1の導管72aの中心軸の延長線(図18中、破線CAで示す)が複数の熱発電チューブTと胴部32の内壁との間を通るように配置されている。図18に示す例では、第1の導管72aの中心軸の延長線は、容器30に収容された複数の熱発電チューブTのうち、最も左側に位置する熱発電チューブT10の外周面よりも左側を通っている。ここで、第1の導管72aの中心軸は、流体入口38aにおける第1の導管72aの中心軸を意味する。上記の延長線は、第1の導管72aの中心軸に垂直な平面で第1の導管72aを切断したときに、第1の導管72aの内壁の輪郭線が閉曲線となる断面のうち、流体入口38aに最も近いもの(ここでは図18のC−C断面)に垂直な直線と平行である。流体入口38aを介して容器30の内部に流入してきた流体の、流体入口38aにおける流れ方向は、第1の導管72aの中心軸の延長線にほぼ平行な方向であると考えて良い。したがって、流体入口38aを介して容器30の内部に流入してきた流体のほとんどは、容器30内において、胴部32の内壁に最初に衝突する。
図18に例示する構成では、第1の導管72aの内壁と円筒状に形成された胴部32の内壁とがこれらの接続部分tgにおいて滑らかに接続されるように、第1の導管72aが、流体入口38aに接続されている。これにより、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体を胴部32の内壁に沿って流すことができ、容器30内に流入してきた流体のうち、胴部32の内壁において跳ね返った後、熱発電チューブTに衝突する流体の割合を低減することができる。
なお、第1の導管72aの内壁と、例えば円筒状に形成された胴部32の内壁とが滑らかに接続されていることは必須ではない。図19は、流体入口38aに対する第1の導管72aの他の接続の態様を示す。図19に例示する構成において、熱発電チューブTの軸方向に垂直な面内における、胴部32bの断面形状は、多角形状である。図19に示す例においても、第1の導管72aは、第1の導管72aの中心軸の延長線CAが複数の熱発電チューブTと胴部32bの内壁との間を通るように配置されている。図19に示す例では、流体入口38aを介して容器30内に流入してきた流体は、胴部32bの内壁面のうち、熱発電チューブTの下方に位置する傾斜面LPに最初に衝突する。傾斜面LPに衝突した流体の多くは、傾斜面LPに沿って流れる。
図20は、流体入口38aに対する第1の導管72aの更に他の接続の態様を示す。図20に示す例においても、第1の導管72aは、第1の導管72aの中心軸の延長線CAが複数の熱発電チューブTと胴部32の内壁との間を通るように配置されている。図20に示す例では、第1の導管72aの中心軸の延長線CAは、容器30に収容された複数の熱発電チューブTのうち、最も下方に位置する熱発電チューブT9、T7およびT5の外周面よりも下側を通っている。流体入口38aを介して容器30内に流入する流体の流速によっては、このような接続の態様も採用し得る。
なお、複数の熱発電チューブTと胴部32の内壁との間の空間が十分に確保できない場合には、流体入口38aと複数の熱発電チューブTとの間に、上述したような緩衝部材70を配置しても良い。
<熱発電ユニットの更に他の実施形態>
次に、図21を参照する。図21は、本開示の更に他の実施形態による熱発電ユニットの模式的な断面図である。図21は、例えば円筒状に形成された胴部32の中心軸を含み、かつ水平面に対して垂直な平面で切断したときの断面を模式的に示している。この態様における熱発電ユニット100Cは、上述の熱発電ユニット100Aおよび熱発電ユニット100Bと同様に、複数の熱発電チューブTと、複数の熱発電チューブTを内部に収容する容器30とを備えている。以下では、熱発電ユニット100Aまたは熱発電ユニット100Bについて説明した構成および動作と共通する構成および動作の説明は繰り返さない。
図21に例示する構成において、容器30は、内部隔壁33aを有している。この内部隔壁33aは、容器30の内側において、複数の熱発電チューブTと、複数の熱発電チューブTを取り囲む胴部32との間に配置されている。図示する例では、内部隔壁33aは、複数の熱発電チューブTを取り囲むように配置されている。すなわち、容器30内部の空間は、内部隔壁33aによって2つの空間に分離されている。2つの空間のうちの一方は、内部隔壁33aの内側の空間であり、他方は、内部隔壁33aと胴部32の内壁との間に形成された空間である。
図21に示されるように、流体入口38aは、内部隔壁33aと胴部32の内壁との間に形成された空間に連通している。本実施形態では、流体入口38aを介して容器30の内部に流入してきた流体は、まず内部隔壁33aに衝突する。これにより、流体入口38aから流れ込んだ流体が熱発電チューブTに直接に衝突することを防止できる。したがって、熱発電チューブTに流体が直接に衝突することに起因する熱発電チューブTの損傷の発生が抑制される。
図示する例では、内部隔壁33aは、複数の孔部faを有している。したがって、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体は、複数の孔部faを介して、内部隔壁33aの内側の空間に流入する。このように、流体入口38aは、流体が複数の孔部faを介して内部隔壁33aの内側の空間に流入するように配置されている。これにより、容器30内部への流体の導入時における、各熱発電チューブTに対する機械的な負荷を低減させることができる。複数の孔部faの大きさ、数および配置は、例えば流体入口38aから容器30内に導入される流体の流量に応じて適宜設定され得る。
図21に例示する構成において、容器30は、仕切り板S12を有している。仕切り板S12は、胴部32と内部隔壁33aとの間の空間を第1の空間CE1および第2の空間CE2に分離している。図21に例示する構成において、第1の空間CE1は、プレート34の第1プレート部分34a、内部隔壁33a、胴部32の内壁および仕切り板S12によって囲まれた空間である。また、第2の空間CE2は、プレート36の第1プレート部分36a、内部隔壁33a、胴部32の内壁および仕切り板S12によって囲まれた空間である。
図22は、熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第1の導管72aを切断したときの断面を模式的に示す。また、図23は、熱発電チューブTの軸方向に垂直な平面で容器30の胴部32および第2の導管72bを切断したときの断面を模式的に示す。図22に示す断面および図23に示す断面は、それぞれ、図21のD−D断面およびE−E断面に対応する。
熱発電ユニット100Cの動作時、内部隔壁33aによって分離された2つの空間は、いずれも、流体入口38aから導入された流体によって満たされる。図22および図23にそれぞれ示されるように、流体入口38aおよび流体出口38bは、それぞれ、第1の空間CE1および第2の空間CE2に連通している。したがって、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体は、複数の孔部faを介して、第1の空間CE1から内部隔壁33aの内側の空間に流入する。これにより、各熱発電チューブTの外周面に、流体入口38aから容器30内に流入してきた流体(例えば冷熱媒体)を接触させることができる。内部隔壁33aの内側の空間に流入した流体は、複数の孔部faを介して、内部隔壁33aの内側の空間から第2の空間CE2に流入し、流体出口38bを介して熱発電ユニット100Cの外部に排出される。
図24は、内部隔壁の変形例を示す。図24に示す断面は、図21のD−D断面に対応する。図24に例示する構成において、内部隔壁33bの断面形状は、六角形状である。このように、熱発電チューブTの軸に対して垂直な平面で内部隔壁を切断したときの断面形状は、円に限られず、楕円、多角形等であっても良い。例えば、複数(ここでは6枚)の平板状の部材を容器30の内部に配置して、これらの平板状の部材の組を内部隔壁33bとして利用しても良い。このとき、互いに隣接する部材間に隙間を設けても良い。この場合、内部隔壁33bの角部にスリットfsが形成される。流体入口38aから容器30内に流入してきた流体は、スリットfsを介して、第1の空間CE1から内部隔壁33aの内側の空間に流入する。このように、内部隔壁は、複数の孔部に代えて、1以上のスリットを有していても良い。なお、平板状の部材は、複数の孔部を有していても良い。
<流体に対するシールおよび熱発電チューブ間の電気的接続の態様>
図25は、図7に示す熱発電ユニット100Aの側面のうちの一つを示す図(ここでは右側面図)である。なお、流体に対するシールおよび熱発電チューブT間の電気的接続の態様は、上述した熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bおよび熱発電ユニット100Cに共通である。以下では、説明の重複を避けるため、熱発電ユニット100Aについて、流体に対するシールおよび熱発電チューブT間の電気的接続の態様を説明する。
図25に示されるように、プレート36には10個の開口部Aが設けられている。同様に、プレート34にも10個の開口部Aが設けられている。図7に示す例において、プレート34の開口部Aとプレート36の開口部Aとは鏡面対称の配置関係にあり、対応する一対の開口部Aの中心点を結ぶ10本の直線は互いに平行である。このような構成によれば、対応する一対の開口部Aによって各熱発電チューブTが平行に支持され得る。
プレート36は、図25に示されるように、プレート36に設けられた開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結するように形成されたチャネル(以下、「連結溝」と称することがある)Cを有する。図25に示す例では、チャネルC61は、開口部A61と開口部A62とを相互に連結している。他のチャネルC62〜C65についても同様に、プレート36に設けられた開口部Aのうちの2つを相互に連結している。後述するように、チャネルC61〜C65の各々には、導電性部材が収容される。
図26(a)は、プレート36の一部の断面を示す図である。図26(a)は、熱発電チューブT1および熱発電チューブT2の両方の中心軸を含む平面で切断したときの断面を模式的に示している。図26(a)には、プレート36が有する複数の開口部Aのうち、2個の開口部A61、A62およびその近傍の構造が示されている。図26(b)は、図26(a)において矢印V1で示す方向から見たときの導電性部材J1の外観を示す。この導電性部材J1は、2つの貫通孔Jh1、Jh2を有している。より詳細には、導電性部材J1は、貫通孔Jh1を有する第1リング部分Jr1と、貫通孔Jh2を有する第2リング部分Jr2と、これらのリング部分Jr1、Jr2とを接続する連結部Jcとを有している。
プレート36の開口部A61には、図26(a)に示されるように、熱発電チューブT1の端部(第2電極側)が挿入されており、開口部A62には、熱発電チューブT2の端部(第1電極側)が挿入されている。この状態において、導電性部材J1の貫通孔Jh1およびJh2には、それぞれ、熱発電チューブT1の端部および熱発電チューブT2の端部が挿入されている。熱発電チューブT1の端部(第2電極側)と熱発電チューブT2(第1電極側)とは、この導電性部材J1によって電気的に接続される。本明細書では、2本の熱発電チューブを電気的に接続する導電性部材を「連結プレート」と称する場合がある。
なお、第1リング部分Jr1および第2リング部分Jr2の形状は、円環形状に限定されない。熱発電チューブとの間の電気的接続が確保できれば、貫通孔Jh1またはJh2の形状は、円、楕円または多角形であっても良い。例えば、貫通孔Jh1またはJh2の形状が、軸方向に垂直な平面で切断したときの第1電極E1または第2電極E2の断面形状と異なっていても良い。本明細書において、「リング」という場合には、円環状以外の形状も含まれる。
図26(a)に示す例において、第1プレート部分36aには、開口部A61、A62に対応して凹部R36が設けられている。この凹部R36は、開口部A61と開口部A62との間を連結する溝部分R36cを含んでいる。この溝部分R36cには、導電性部材J1の連結部Jcが位置している。一方、第2プレート部分36bには、開口部A61に対応した凹部R61と開口部A62に対応した凹部R62とが設けられる。この例では、凹部R36と凹部R61、R62とによって形成された空間の内部に、シールおよび電気的接続を実現するための各種の部材が配置されている。当該空間は、導電性部材J1を収容するチャネルC61を形成しており、チャネルC61によって開口部A61と開口部A62とが連結されている。
図26(a)に示す例では、導電性部材J1の他に、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、第2のOリング52bがチャネルC61に収容されており、各熱発電チューブT1、熱発電チューブT2の端部が、これらの部材の孔を貫いている。容器30の胴部32に近い側に配置された第1のOリング52aは、第1プレート部分36aに形成された座面Bsaと接し、胴部32の内部に供給された流体がチャネルC61の内部に進入しないようにシールを実現している。一方、容器30の胴部32から遠い側に配置された第2のOリング52bは、第2プレート部分36bに形成された座面Bsbと接しており、第2プレート部分36bの外側に存在する流体がチャネルC61の内部に進入しないようにシールを実現している。
Oリング52a、52bは、断面がO形(円形)の環型のシール部品である。Oリング52a、52bは、ゴム、金属、プラスティックなどから形成され、部品同士の隙間からの流体の流出または流入を防ぐ機能を有している。図26(a)において、第2プレート部分36bの右側には、各熱発電チューブTの流路と連通する空間が位置し、その空間内には温熱媒体または冷熱媒体を構成する流体が存在している。例えば図26に示す部材を用いることにより、熱発電チューブTの電気的接続と、温熱媒体および冷熱媒体を構成する流体に対するシールとを実現することができる。なお、導電性リング状部材56の構造と機能の詳細については後述する。
プレート36について説明した構成と同様の構成がプレート34にも設けられている。前述したように、プレート34の開口部Aとプレート36の開口部Aとの関係は鏡面対称にあるが、プレート34とプレート36とにおいて、2つの開口部Aを連結する溝部が形成されている位置は鏡面対称ではない。もしプレート34において熱発電チューブTを電気的に接続する導電性部材の配列パターンと、プレート36において熱発電チューブTを電気的に接続する導電性部材の配列パターンとが鏡面対称であれば、複数の熱発電チューブTを直列的に接続できない。
胴部32に固定されたプレート(例えばプレート36)が、第1プレート部分(36a)と第2プレート部分(36b)とを含む場合、第1プレート部分(36a)における複数の開口部Aの各々は、第1のOリング52aを受ける第1の座面(Bsa)を有し、第2プレート部分(36b)における複数の開口部Aの各々は、第2のOリングを受ける第2の座面(Bsb)を有する。しかし、プレート34、36は、図26に示されるような構成を有している必要はなく、例えばプレート36は、第1プレート部分36aと第2プレート部分36bとに分かれている必要もない。第2プレート部分36bの代わりに他の部材によって導電性部材J1を押圧すれば、第1のOリング52aが第1の座面(Bsa)を押圧してシールが実現され得る。
なお、図26(a)に示す例では、熱発電チューブT1と導電性部材J1との間に導電性リング状部材56が介在している。同様に、熱発電チューブT2と導電性部材J1との間にも、もう1つの導電性リング状部材56が介在している。
導電性部材J1は、典型的には、金属から形成される。導電性部材J1を構成する材料の例は、銅(無酸素銅)、真鍮、アルミニウムなどである。腐食防止の観点から、ニッケルめっきまたは錫めっきが施されても良い。なお、導電性部材J(ここではJ1)と、導電性部材Jの2つの貫通孔(ここではJh1およびJh2)にそれぞれ挿入される熱発電チューブ(ここではT1およびT2)との間の電気的接続が確保できる限りにおいて、導電性部材Jの一部に絶縁性コーティングが施されていても良い。すなわち、導電性部材Jは、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。例えば、テフロン(登録商標)などの樹脂から絶縁性コートが形成されても良い。導電性部材Jの本体がアルミニウムから構成される場合には、表面の一部に絶縁性コートとしての絶縁酸化被膜を形成しても良い。
図27Aは、導電性部材J1を収容するチャネルC61近傍の分解斜視図である。図27Aに示すように、第1のOリング52a、導電性リング状部材56、導電性部材J1、および第2のOリング52bは、容器30の外側から開口部A61および開口部A62の各々の内部に挿入される。必要に応じて、第1のOリング52aと導電性リング状部材56との間に座金54が配置される。座金54は、導電性部材J1と第2のOリング52bとの間にも配置され得る。座金54は、後述する導電性リング状部材56の平坦部56fとOリング52a(または54b)との間に挿入される。
図27Bは、第2プレート部分36bのシール面(第1プレート部分36aと対向する面)のうち、開口部A61およびA62に対応する部分を示す。上述したように、第2プレート部分36bにおける開口部A61およびA62は、第2のOリング52bを受ける座面Bsbを有している。したがって、第1プレート部分36aのシール面と第2プレート部分36bのシール面とを対向させて、フランジ接合などにより第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bを結合すると、第1プレート部分36a内の第1のOリング52aを座面Bsaに押圧することができる。より詳細には、第2の座面Bsbが、第2のOリング52b、導電性部材J1、および導電性リング状部材56を介して、第1のOリング52aを座面Bsaに押圧する。これにより、温熱媒体および冷熱媒体から導電性部材J1をシールすることができる。
第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bが金属などの導電性材料から形成されている場合、第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのシール側表面は、絶縁材料によってコートされ得る。第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのうち、動作時に導電性部材Jに接触する領域は、導電性部材Jから電気的に絶縁されるように絶縁コートされ得る。ある態様では、例えばフッ素スプレーによるフッ素樹脂コートが第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bのシール側表面に形成され得る。
<導電性リング状部材の構成の詳細>
次に、図28Aおよび図28Bを参照しながら、導電性リング状部材56の構成を詳細に説明する。
図28Aは、導電性リング状部材56の1つの例示的な形状を示す斜視図である。図28Aの導電性リング状部材56は、リング状の平坦部56fと、複数の弾性部56rとを備える。平坦部56fは、貫通孔56aを有する。複数の弾性部56rの各々は、平坦部56fの貫通孔56aの周縁から突出し、貫通孔56aの中心に向かって弾性力で付勢されている。このような導電性リング状部材56は、1枚の金属板(厚さは、例えば0.1mm〜数mm)を加工することによって容易に作製することができる。なお、導電性部材Jも、同様に1枚の金属板(厚さは、例えば0.1mm〜数mm)を加工することによって容易に作製することができる。
導電性リング状部材56の貫通孔56aには、熱発電チューブTの端部(第1電極または第2電極)が挿入される。このため、リング状の平坦部56fの貫通孔56aの形状およびサイズは、熱発電チューブTの端部(第1電極または第2電極)における外周面の形状およびサイズに整合するように設計される。
ここで、図29A、図29Bおよび図29Cを参照しながら、導電性リング状部材56の形状をより詳細に説明する。図29Aは、導電性リング状部材56および熱発電チューブT1の一部を示す断面図である。図29Bは、導電性リング状部材56に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。図29Cは、導電性リング状部材56および導電性部材J1の貫通孔に熱発電チューブT1の端部が挿入された状態を示す断面図である。図29A、図29Bおよび図29Cは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って熱発電チューブT1を切断したときの断面を示している。
図29Aに示すように、例えば、熱発電チューブT1の端部(第1電極または第2電極)における外周面が直径Dの円筒面であるとする。この場合、導電性リング状部材56の貫通孔56aは、熱発電チューブT1の端部が通過可能なように、直径がD+δ1(δ1>0)である円形を有するように形成される。これに対して、複数の弾性部56rの各々は、貫通孔56aの中心に向かって弾性力が付勢されるように形成されている。複数の弾性部56rの各々は、図29Aに示すように、例えば、貫通孔56aの中心に向かって傾くように形成される。すなわち、弾性部56rは、外力が与えられない限り、断面の直径がDよりも小さな円筒の外周面(この外周面の直径をD−δ2(δ2>0)とする。)に外接するように加工されている。
D+δ1>D>D−δ2の関係から、熱発電チューブT1の端部が貫通孔56aに挿入されたとき、複数の弾性部56rの各々は、図29Bに示すように、熱発電チューブT1の端部における外周面と物理的に接触する。このとき、複数の弾性部56rの各々は、貫通孔56aの中心に向かって弾性力が付勢されているので、複数の弾性部56rの各々は、熱発電チューブT1の端部における外周面を弾性力で押圧する。こうして、貫通孔56aに挿入された熱発電チューブT1の外周面は、複数の弾性部56rとの間で安定した物理的かつ電気的な接触を実現する。
次に、図29Cを参照する。導電性部材J1は、プレート34、36に設けられた開口部A内において、導電性リング状部材56の平坦部56fに接触する。より詳細には、導電性リング状部材56および導電性部材J1が熱発電チューブT1の端部に装着されたとき、図29Cに示すように、導電性リング状部材56の平坦部56fの表面と、導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面とが接触する。このように、導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の電気的な接続は、平面同士の接触によって行われ得る。導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の接触が平面同士の接触であるので、熱発電チューブT1で発生した電流を流すのに十分な接触面積を確保することができる。平坦部56fの幅Wは、熱発電チューブT1で発生した電流を流すのに十分な接触面積が得られるように適宜設定され得る。なお、導電性リング状部材56と導電性部材J1との間の接触面積が確保できる限りにおいて、平坦部56fの表面または導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面が凹凸形状を有していても良い。例えば、平坦部56fの表面に形成された凹凸形状と、平坦部56fの表面に形成された凹凸形状に対応するような凹凸形状を導電性部材J1のリング状部分Jr1の表面に形成することで、より大きな接触面積を確保することもできる。
次に、図30Aおよび図30Bを参照する。図30Aは、導電性リング状部材56および導電性部材J1の一部を示す断面図である。図30Bは、導電性部材J1の貫通孔Jh1に導電性リング状部材56の弾性部56rが挿入された状態を示す断面図である。図30Aおよび図30Bは、熱発電チューブT1の軸(中心軸)を含む平面に沿って導電性リング状部材56および導電性部材J1を切断したときの断面を示している。
ここで、導電性部材Jの貫通孔(ここではJh1)の直径を2Rrとすると、導電性部材Jの貫通孔は、熱発電チューブT1の端部が通過可能なように、D<2Rrを満足するように形成される。また、導電性リング状部材56の平坦部56fの直径を2Rfとすると、導電性部材Jの貫通孔は、平坦部56fの表面と、リング状部分Jr1の表面とが確実に接触するように、2Rr<2Rfを満足するように形成される。
なお、図31に示すように、熱発電チューブTの端部に面取り部Cmが形成されていても良い。導電性リング状部材56が熱発電チューブT1の端部に挿入される時、例えば、導電性リング状部材56の弾性部56rと熱発電チューブTの端部とが接触することによって、熱発電チューブTの端部が損傷することがある。熱発電チューブTが端部に面取り部Cmを有することで、弾性部56rと熱発電チューブTの端部とが接触することによる熱発電チューブTの端部の損傷が抑制される。熱発電チューブTの端部の損傷が抑制されることで、導電性部材J1が温熱媒体および冷熱媒体からより確実にシールされる。また、熱発電チューブT1の外周面と、弾性部56rとの間の電気的な接触不良が低減される。面取り部Cmは、図31に示すような曲面状であっても良いし、平面状であっても良い。
そして、導電性部材J1は、プレートに設けられた開口部A内において、導電性リング状部材56の平坦部56fに接触する。より詳細には、導電性部材J1の第1リング部分Jr1(または第2リング部分Jr2)の表面と、導電性リング状部材56の平坦部56fの表面とが互いに接触する。こうして、導電性部材J1は、導電性リング状部材56を介して、熱発電チューブTの端部における外周面と電気的に接続する。上述した構成例では、第1プレート部分36aおよび第2プレート部分36bを結合することにより、導電性リング状部材56の平坦部56fと導電性部材Jとの安定した電気的接触が実現するとともに、前述したシールを実現できる。
次に、導電性リング状部材56を熱発電チューブTに嵌め込む方法の一例を説明する。
まず、図27Aに示されるように、第1プレート部分36aの開口部A61、A62内に、それぞれ、熱発電チューブT1、熱発電チューブT2の端部が挿入される。その後、第1のOリング52aと、必要に応じて座金54を熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。次に、導電性リング状部材56を熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。その後、導電性部材J1と、必要に応じて座金54および第2のOリング52bを熱発電チューブの先端から嵌め、開口部A61、A62の奥に移動させる。最後に、第2プレート部分36bのシール面を第1プレート部分36aに対向させ、第2プレート部分36bの開口部に熱発電チューブの先端が挿入されるようにして第2プレート部分36bと第1プレート部分36aとを結合する。この結合には、例えば、フランジ接合を適用できる。この場合、第2プレート部分36bおよび第1プレート部分36aの結合は、図25に示す第2プレート部分36bに設けられた孔36bhと、第1プレート部分36aに設けられた孔とを介してボルトおよびナットで行うことができる。
導電性リング状部材56と熱発電チューブTとの接続は永久的ではなく、導電性リング状部材56は熱発電チューブTに対して着脱可能である。例えば、熱発電チューブTを新しい熱発電チューブTに交換する場合、上述した導電性リング状部材56を熱発電チューブTに嵌め込む動作の逆の動作を行えば良い。導電性リング状部材56は繰り返して使用することも可能であるし、新しい導電性リング状部材56に交換されても良い。
導電性リング状部材56の形状は、図28Aに示す例に限定されない。平坦部56fの幅(半径方向のサイズ)と貫通孔56aの半径との比率も任意である。また、個々の弾性部56rは多様な形状を有し得るし、複数の弾性部56rの個数も任意である。
図28Bは、導電性リング状部材56の他の例の形状を示す斜視図である。図28Bに示す導電性リング状部材56も、リング状の平坦部56fと、複数の弾性部56rとを備える。平坦部56fは、貫通孔56aを有する。複数の弾性部56rの各々は、平坦部56fの貫通孔56aの周縁から突出し、貫通孔56aの中心に向かって弾性力で付勢されている。この例では、弾性部56rの個数は4個である。弾性部56rの個数は2個であっても良いが、3個以上であることが好ましい。弾性部56rの個数は例えば6個以上に設定される。
なお、平板状の導電性部材Jを導電性リング状部材56の平坦部56fに接触させる構成によれば、導電性部材Jのリング状部分における貫通孔と、これに挿入される熱発電チューブとの間に隙間(あそび)が許容される。このため、熱発電チューブが脆い材料から形成されている場合でも、導電性部材Jのリング状部分Jr1が熱発電チューブを損傷することなく安定した接続を実現できる。
<連結プレートを介した電気的接続>
上述したように、プレート36に設けられた開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結するように形成されたチャネルCの内部に、導電性部材(連結プレート)が収容される。ここで、導電性リング状部材56以外の部材を用いて、2本の熱発電チューブの端部を電気的に接続することも可能である。したがって、ある態様では、チャネルC内の導電性リング状部材56は省略され得る。このとき、2本の熱発電チューブの端部は、例えば、コード、導体棒、導電性ペーストなどによって電気的に接続され得る。2本の熱発電チューブの端部がコードを介して相互に電気的に接続される場合、熱発電チューブの端部とコードとは、ハンダ、圧着、ワニ口クリップなどを介して電気的に接続され得る。
しかしながら、図26、図27Aおよび図27Bに示すように、チャネルCの内部に収容された導電性部材で2本の熱発電チューブの端部を電気的に接続することによって、熱発電チューブの端部と導電性部材J1とをより確実に電気的に接続できる。導電性部材Jが平板状である場合(例えば、連結部Jcの幅が大きい場合)には、コードなどを用いる場合と比較して、2本の熱発電チューブ間における電気抵抗を低減できる。更に、熱発電チューブTの端部に端子などが固定されないので、熱発電チューブTの交換が容易である。導電性リング状部材56によって、2本の熱発電チューブの端部の固定および電気的接続の両方を実現することも可能である。
熱発電ユニット100Aでは、プレート(34または36)に、開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結するように形成されたチャネルCが設けられているので、熱交換器の管板には無い電気的接続機能が実現される。また、第1のOリング52aおよび第2のOリング52bが、それぞれ、座面BsaおよびBsbを押圧するように構成できるので、熱発電チューブTの端部が挿入された状態で気密または水密を保つためのシールが実現される。このように、プレート(34または36)にチャネルCを設けることで、導電性リング状部材56が省略された態様であっても、2本の熱発電チューブの端部の電気的接続と、温熱媒体および冷熱媒体を構成する流体に対するシールとを実現することが可能である。
<熱流の向きと積層面の傾斜の方向との間の関係>
ここで、図32Aおよび図32Bを参照しながら、熱発電チューブTにおける熱流の向きと、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向との間の関係を説明する。
図32Aは、電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示す図である。図32Aでは、熱発電チューブT1〜T10のうちの3本(T1〜T3)の断面を模式的に示している。
図32Aでは、熱発電チューブT1の一端(例えば第1電極側の端部)に、導電性部材K1が接続されており、熱発電チューブT1の他端(例えば第2電極側の端部)には、導電性部材(連結プレート)J1が接続されている。導電性部材J1は、熱発電チューブT2の一端(第1電極側の端部)とも接続されており、これにより、熱発電チューブT1と熱発電チューブT2とが電気的に接続される。更に、熱発電チューブT2の他端(第2電極側の端部)と、熱発電チューブT3の一端(第1電極側の端部)とは、導電性部材J2によって電気的に接続されている。
このとき、図32Aに示すように、熱発電チューブT1における積層面の傾斜の方向と、熱発電チューブT2における積層面の傾斜の方向とは、互いに反対である。同様に、熱発電チューブT2における積層面の傾斜の方向と、熱発電チューブT3における積層面の傾斜の方向とは、互いに反対である。すなわち、熱発電ユニット100Aでは、熱発電チューブT1〜T10の各々は、連結プレートを介して自身に接続される熱発電チューブとは、積層面の傾斜の方向が互いに反対である。
ここで、図32Aに示すように、熱発電チューブT1〜T3の各々の内周面に温熱媒体HMを接触させ、外周面に冷熱媒体LMを接触させたとする。すると、熱発電チューブT1では、例えば図の右側から左側に向かって電流が流れる。これに対して、熱発電チューブT2では、熱発電チューブT1とは積層面の傾斜の方向が互いに反対であるので、図の左側から右側に向かって電流が流れる。
図33は、2個の開口部A61、A62およびその近傍における電流の向きを模式的に示す図である。図33は、図26(a)に対応する図である。図33では、電流の流れ方向が、破線の矢印で模式的に示されている。図33に示すように、熱発電チューブT1で生じた電流は、開口部A61側のリング状導電性部材56、導電性部材J1および開口部A62側のリング状導電性部材56を順に介して熱発電チューブT2に向けて流れる。熱発電チューブT2に流入した電流は、熱発電チューブT2で生じた電流と重畳されて熱発電チューブT3に向けて流れる。熱発電チューブT3は、図32Aに示すように、熱発電チューブT2とは積層面の傾斜の方向が互いに反対である。そのため、熱発電チューブT3では、図32Aにおいて右側から左側に向かって電流が流れる。したがって、熱発電チューブT1〜T3の各々で生じた起電力は、相殺されることなく重畳される。このように、積層面の傾斜の方向が交互に反対となるように、複数の熱発電チューブTを順に接続することによって、熱発電ユニットからより大きな電圧を取り出すことができる。
次に、図32Bを参照する。図32Bは、図32Aと同様に、電気的に直列に接続された熱発電チューブTを流れる電流を模式的に示している。図32Bにおいても、図32Aに示す例と同様に、積層面の傾斜の方向が交互に反対となるように、熱発電チューブT1〜T3が順に接続されている。この場合も、相互に接続された2本の熱発電チューブにおいて積層面の傾斜の方向が互いに反対であるので、熱発電チューブT1〜T3の各々で生じた起電力は、相殺されることなく重畳される。
ここで、図32Bに示すように、熱発電チューブT1〜T3の各々の内周面に冷熱媒体LMを接触させ、外周面に温熱媒体HMを接触させると、各熱発電チューブT1〜T3で発生する電圧の極性は、図32Aに示した場合とは逆になる。別の言い方をすれば、各熱発電チューブにおける温度勾配の向きを反転させると、各熱発電チューブにおける起電力の極性(各熱発電チューブを流れる電流の向きといっても良い。)が反転する。したがって、例えば、図32Aに示した場合と同様に導電性部材K1側から導電性部材J3側に向かって電流が流れるようにするには、各熱発電チューブT1〜T3における第1電極側および第2電極側が図32Aに示した場合と反対になるようにすれば良い。なお、図32Aおよび図32Bに示す電流の向きはあくまで例示である。金属層20を構成する材料および熱電材料層22を構成する熱電材料によっては、電流の向きは、図32Aおよび図32Bに示す電流の向きと反対になることもある。
図32Aおよび図32Bを参照して説明したように、熱発電チューブTで発生する電圧の極性は、熱発電チューブTにおける積層面の傾斜の方向に依存する。そのため、例えば熱発電チューブTを交換する場合には、熱発電ユニット100A内における熱発電チューブTの内周面と外周面との間の温度勾配を考慮して、適切に熱発電チューブTを配置する必要がある。
図34Aおよび図34Bは、それぞれ、電極に極性の表示を有する熱発電チューブを示す斜視図である。図34Aに示す熱発電チューブTでは、第1電極E1aおよび第2電極E2aに、熱発電チューブで発生する電圧の極性を識別するためのモールド(凹凸形状)Mpが形成されている。図34Bに示す熱発電チューブTでは、第1電極E1bおよび第2電極E2bに、熱発電チューブTにおける積層面が、第1電極E1bおよび第2電極E2bのどちらの側に傾斜しているかを示すマークMkが付されている。モールドまたはマークは互いに組み合わされても良い。モールドまたはマークは、チューブ本体Tbに付与されていても良いし、第1電極および第2電極のいずれか一方にのみ付与されていても良い。
このように、例えば第1電極および第2電極に、熱発電チューブTで発生する電圧の極性を識別するためモールドまたはマークを付与しておくこともできる。これにより、熱発電チューブTにおける積層面が、第1電極E1aおよび第2電極E2aのどちらの側に傾斜しているかを熱発電チューブTの外観から判断することが可能である。モールドまたはマークを付与することに代えて、第1電極と第2電極とを互いに異なる形状としても良い。例えば、第1電極と第2電極との間で、長さ、太さまたは軸方向に垂直な断面の形状などを異ならせても良い。
<熱発電ユニット100Aの外部に電力を取り出すための電気的接続構造>
再び図5を参照する。図5に示す例では、10本の熱発電チューブT1〜T10が導電性部材J1〜J9によって電気的に直列に接続されている。導電性部材J1〜J9の各々による2つの熱発電チューブTの接続については、前述した通りである。以下、直列回路の両端に位置する2本の発電チューブT1、T10から熱発電ユニット100Aの外部に電力を取り出すための電気的接続構造の例を説明する。
まず図35を参照する。この図35は、図7に示される熱発電ユニット100Aの側面のうちの他の一つを示す図(左側面図)である。図25がプレート36の側の構成を示しているのに対して、図35は、プレート34の側の構成を示している。プレート36について説明した構成および動作と共通する構成および動作の説明は繰り返さない。
図35に示されるように、チャネルC42〜C45は、プレート34に設けられた開口部Aのうちの少なくとも2つを相互に連結している。本明細書では、このようなチャネルを「相互接続部分」と称する場合がある。各相互接続部分に収容される導電性部材は、導電性部材J1と同様の構成を有する。これに対して、プレート34に設けられたチャネルC41は、プレート34における開口部A41から外縁まで延びるように設けられている。本明細書では、プレートに設けられた開口部から外縁まで延びるように設けられているチャネルを「端子接続部分」と称する場合がある。図35に示すチャネルC41およびC46は、端子接続部分である。端子接続部分には、外部回路に接続するための端子として機能する導電性部材が収容される。
図36(a)は、プレート34の一部の断面を示す図である。図36(a)は、熱発電チューブT1の中心軸を含む平面で切断したときの断面を模式的に示しており、図35におけるR−R線断面図に相当する。図36(a)には、プレート34が有する複数の開口部Aのうち、開口部A41およびその近傍の構造が示されている。図36(b)は、図36(a)において矢印V2で示す方向から見たときの導電性部材K1の外観を示す。この導電性部材K1は、一端に貫通孔Khを有している。より詳細には、導電性部材K1は、貫通孔Khを有するリング部分Krと、リング部分Krからリング部分Krの外側に向かって延びる端子部Ktとを有している。導電性部材K1は、導電性部材J1と同様に、典型的には、金属から形成される。
プレート34の開口部A41には、図36(a)に示されるように、熱発電チューブT1の端部(第1電極側)が挿入されている。この状態において、導電性部材K1の貫通孔Khには、熱発電チューブT1の端部が挿入されている。このように、導電性部材(J、K1)は、熱発電チューブTを通す少なくとも1個の孔を有する導電性プレートであるといえる。なお、開口部A410およびその近傍の構造は、プレート34の開口部A410に熱発電チューブT10の端部が挿入されること以外は、開口部A41およびその近傍の構造と同様である。
図36(a)に示す例において、第1プレート部分34aには、開口部A41に対応して凹部R34が設けられている。この凹部R34は、開口部A41から第1プレート部分34aの外縁にまで達する溝部分R34tを含んでいる。この溝部分R34tには、導電性部材K1の端子部Ktが位置している。この例では、凹部R34と、第2プレート部分34bに設けられた凹部R41とによって形成された空間が、導電性部材K1を収容するチャネルを形成している。図26(a)に示す例と同様に、図36(a)に示す例においても、導電性部材K1の他に、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、第2のOリング52bがチャネルC41に収容されており、熱発電チューブT1の端部が、これらの部材の孔を貫いている。第1のOリング52aは、胴部32の内部に供給された流体がチャネルC41の内部に進入しないように、シールを実現する。また、第2のOリング52bは、第2プレート部分34bの外側に存在する流体がチャネルC41の内部に進入しないように、シールを実現する。
図37は、導電性部材K1を収容するチャネルC41近傍の分解斜視図である。例えば、第1のOリング52a、座金54、導電性リング状部材56、導電性部材K1、座金54および第2のOリング52bが、容器30の外側から開口部A41の内部に挿入される。第2プレート部分34bのシール面(第1プレート部分34aと対向する面)は、図27Bに示す第2プレート部分36bのシール面とほぼ同様の構成を有する。すなわち、第1プレート部分34aおよび第2プレート部分34bを結合することで、第2プレート部分34bの第2の座面Bsbが、第2のOリング52b、導電性部材K1、および導電性リング状部材56を介して、第1のOリング52aを第1プレート部分34aの座面Bsaに押圧する。これにより、温熱媒体および冷熱媒体から導電性部材K1をシールすることができる。
導電性部材K1のリング部分Krは、プレート34に設けられた開口部A内において、導電性リング状部材56の平坦部56fに接触する。こうして、導電性部材K1は、導電性リング状部材56を介して、熱発電チューブTの端部における外周面と電気的に接続する。ここで、導電性部材K1の一端(端子部Kt)は、図36(a)に示すように、プレート34の外部に突出する。したがって、端子部Ktのうち、プレート34の外部に突出した部分は、熱発電ユニットと外部回路とを接続するための端子として機能し得る。図37に示すように、端子部Ktのうち、プレート34の外部に突出した部分がリング状に形成されていても良い。本明細書では、一端に熱発電チューブが挿入され、他端が外部に突出する導電性部材を「端子プレート」と称することがある。
このように、熱発電ユニット100Aでは、端子接続部分に収容された2個の端子プレートに、熱発電チューブT1および熱発電チューブT10がそれぞれ接続されている。また、複数の熱発電チューブT1〜T10は、2個の端子プレートの間において、チャネルの相互接続部分に収容された連結プレートを介して電気的に直列に接続されている。したがって、一端がプレートの外部に突出する2個の端子プレートを介して、複数の熱発電チューブT1〜T10によって生じた電力を外部に取りだすことができる。
導電性リング状部材56および導電性部材(J、K1)の配置は、チャネルC内において適宜変更され得る。このとき、導電性リング状部材56の弾性部56rが導電性部材の貫通孔(Jh1、Jh2またはKh)に挿入されるように、導電性リング状部材56および導電性部材を配置すれば良い。また、前述したように、導電性リング状部材56が省略された態様によって、熱発電チューブTの端部と導電性部材K1とが電気的に接続されても良い。なお、導電性リング状部材56の平坦部56fの一部を延長して、導電性部材K1の端子部Ktの代用とすることもできる。この場合、導電性部材K1を省略しても良い。
なお、上述の例では、第1プレート部分に設けられた凹部および第2プレート部分に設けられた凹部からチャネルCが形成されたが、第1プレート部分および第2プレート部分のいずれか一方に設けられた凹部からチャネルCが形成されても良い。容器30が金属から構成される場合、導電性部材(連結プレート、端子プレート)と容器30とが導通しないように、チャネルC内部に絶縁性コーティングが施されていても良い。例えば、プレート34(34aおよび34b)が、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。プレート36(36aおよび36b)も同様に、金属から形成された本体と、本体の表面の少なくとも一部を覆う絶縁性コートとを有していても良い。第1プレート部分に設けられた凹部の表面および第2プレート部分に設けられた凹部の表面に絶縁性コーティングが施されている場合は、導電性部材の表面の絶縁性コーティングを省略できる。
<シールおよび電気的接続のための構造の他の例>
図38は、熱発電チューブTの外周面に接する媒体と、各熱発電チューブT1〜T10の内周面に接する媒体とが混ざり合わないように分離するための構造の例を示す断面図である。図38に示す例では、容器30の外側からブッシング60が挿入されることで、温熱媒体と冷熱媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続が実現される。
図38に示す例において、プレート34uに設けられた開口部A41は、雌ネジ部Th34を有している。より詳細には、プレート34uの開口部A41に対応して設けられた凹部R34の壁面にネジ山が形成されている。凹部R34には、雄ネジ部Th60を有するブッシング60が挿入される。ブッシング60は、軸方向に沿って貫通孔60aを有している。ここで、プレート34uの開口部A41に、熱発電チューブT1の端部が挿入されている。したがって、貫通孔60aは、凹部R34にブッシング60が挿入された状態において熱発電チューブT1の内部流路に連通する。
凹部R34とブッシング60との間に形成された空間の内部には、シールおよび電気的接続を実現するための各種の部材が配置される。図38に示す例では、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、Oリング52、導電性部材K1およびリング状導電性部材56が順に配置されている。熱発電チューブT1の端部は、これらの部材の孔に挿入されている。Oリング52は、プレート34uに形成された座面Bsaおよび熱発電チューブT1の端部の外周面と接する。ここで、雌ネジ部Th34に雄ネジ部Th60が挿入されると、導電性リング状部材56の平坦部56fおよび導電性プレートK1を介して、雄ネジ部Th60がOリング52を座面Bsaに押圧する。すなわち、胴部32の内部に供給された流体が熱発電チューブT1の内部流路に供給された流体と混ざり合わないようにシールを実現することができる。また、熱発電チューブT1の外周面が導電性リング状部材56の複数の弾性部56rと接触し、導電性リング状部材56の平坦部56fが導電性部材K1のリング部分Krと接触するので、熱発電チューブと導電性部材とを電気的に接続することができる。
このように、図38に示す部材を用いることによって、より簡易な構成で、温熱媒体と冷熱媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現することもできる。
図39Aおよび図39Bは、温熱媒体と冷熱媒体との分離および熱発電チューブと導電性部材との間の電気的接続を実現するための構造の他の例を示す断面図である。図39Aでは、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、第1のOリング52a、座金54、リング状導電性部材56、導電性部材K1、座金54および第2のOリング52bが順に配置されている。図39Aに示す例では、導電性プレートK1および導電性リング状部材56の平坦部56fを介して、雄ネジ部Th60がOリング52aを座面Bsaに押圧する。図39Bでは、プレート34uに形成された座面Bsaから容器30の外側に向かって、第1のOリング52a、導電性部材K1、リング状導電性部材56および第2のOリング52bが順に配置されている。また、図39Bでは、ブッシング60に形成された貫通孔60a内に、貫通孔64aを有するブッシング64が更に挿入されている。貫通孔64aは、熱発電チューブT1の内部流路に連通している。図39Bに示す例では、ブッシング64の雄ネジ部Th64が、第2のOリング52bを座面Bsaに向けて押圧する。このように、第1のOリング52aおよび第2のOリング52bを配置することによって、温熱媒体を構成する流体および冷熱媒体を構成する流体の両方に対するシールを行っても良い。温熱媒体を構成する流体および冷熱媒体を構成する流体の両方に対するシールを行うことで、導電性リング状部材56の腐食が抑制される。
上述したように、導電性部材K1の端子部Ktの一端は、プレート34uの外部に突出し、熱発電ユニットと外部回路とを接続するための端子として機能し得る。図38ならびに図39Aおよび図39Bに示すような態様において、導電性部材K1(端子プレート)の代わりに、導電性部材J1のような連結プレートが適用されても良い。この場合は、貫通孔Jh1に熱発電チューブT1の端部が挿入される。必要に応じて、Oリングと導電性部材との間などに座金54が配置されても良い。
<熱発電ユニットを備える熱発電システムの実施形態>
次に、本開示の熱発電ユニットを備える熱発電システムの実施形態を説明する。
上述の熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bまたは熱発電ユニット100Cは、単体で使用されても良いし、複数の熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bまたは熱発電ユニット100Cが組み合わされて使用されても良い。例えば、熱発電システムが2つの熱発電ユニット100Aを備える場合、この熱発電システムは、一方の熱発電ユニット100Aにおける複数の熱発電チューブTの流路に連通する複数の第1開口部と、他方の熱発電ユニット100Aにおける複数の熱発電チューブTの流路に連通する複数の第2開口部とを有する。複数の熱発電ユニット100Aは直列的または並列的に連結され得る。
複数の熱発電ユニットが連結された熱発電システムでは、例えばメンテナンス終了後の動作再開時、各熱発電ユニットの容器内部の空気を排出する必要がある。そのため、各熱発電ユニットの容器内部に導入される液体の流速は、熱発電ユニット単体の場合よりも大きな流速に設定される。複数の熱発電ユニットが連結された熱発電システムでは、動作再開時に、より大きな流速の液体が導入されるので、容器内部に流入した液体によって熱発電チューブが損傷する可能性は、熱発電ユニットが単体の場合よりも高いと考えられる。そこで、各熱発電ユニットの容器内部に流入する液体によって熱発電チューブが損傷を受けないようにするとより有益である。
次に、図40A、図40Bおよび図40Cを参照しながら、複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムの構成例を説明する。図40A、図40Bおよび図40Cにおいて、実線の太い矢印は、熱発電チューブの外周面と接する媒体、すなわち容器30の中(熱発電チューブの外側)を流れる媒体の流れ方向を概略的に示している。破線の太い矢印は、熱発電チューブの内周面に接する媒体、すなわち、貫通孔(内部流路)を流れる媒体の流れ方向を概略的に示している。本明細書では、各容器30の流体入口および流体出口に連通した管路を「第1媒体路」と称し、各熱発電チューブの流路に連通した管路を「第2媒体路」と称する場合がある。
まず、図40Aを参照する。図40Aに示されている熱発電システムは、第1の熱発電ユニット100−1と、第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。第1の熱発電ユニット100−1および第2の熱発電ユニット100−2は、それぞれ、前述した熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bまたは熱発電ユニット100Cのいずれかの構成と同一の構成を有している。なお、以下では、上述した緩衝部材70、70a〜70f、内部隔壁33a、33bなどの図示を省略することがある。図40Aに示す例では、第1の熱発電ユニット100−1における容器30の流体入口および流体出口、並びに、第2の熱発電ユニット100−2における容器30の流体入口および流体出口に連通した空間が、第1媒体路を形成している。また、図40Aに示す例では、中継のためのプレート35を介して、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路が、それぞれ、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路に連通されている。これにより、第1の熱発電ユニット100−1および第2の熱発電ユニット100−2における複数の熱発電チューブTの流路に連通した第2媒体路が形成される。
次に、図40Bを参照する。図40Bに示されている熱発電システムも、図40Aに示す例と同様に、第1の熱発電ユニット100−1と、第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。ただし、図40Bに示す例では、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路と、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路とが、それぞれ、中継のための管路42によって連通されている。第1の熱発電ユニット100−1の容器30の内部に供給された媒体は、管路40を介して、第2の熱発電ユニット100−2の容器30の内部に供給される。この管路40、42は、直線的である必要はなく、屈曲していても良い。
次に、図40Cを参照する。図40Cに示されている熱発電システムは、並列に配置された第1の熱発電ユニット100−1と第2の熱発電ユニット100−2とを備えている。図40Cに示す例では、第1の熱発電ユニット100−1の熱発電チューブを流れる媒体と、第2の熱発電ユニット100−2の熱発電チューブを流れる媒体とは、並列的に流れる。ただし、第1の熱発電ユニット100−1の容器30の内部に供給された媒体は、第2の熱発電ユニット100−2の容器30に供給されている。
図41Aおよび図41Bに示されるように、流体入口38aまたは流体出口38bは、胴部に固定された一対のプレートに形成されていても良い。図41Aおよび図41Bに例示される構成において、第1の熱発電ユニット100−1の容器30および第2の熱発電ユニット100−2の容器30の各々は、図21に示す熱発電ユニット100Cと同様に内部隔壁33aを有している。なお、図41Aおよび図41Bでは、各熱発電ユニットにおける胴部の模式的な断面が示されている。
図41Aに示す例では、中継のためのプレート37を介して、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路が、それぞれ、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路に連通されている。なお、図41Aに示す例では、中継プレート37は、第1の熱発電ユニット100−1の流体出口38bおよび第2の熱発電ユニット100−2の流体入口38aと対応する位置に形成された孔部37hを有している。第1の熱発電ユニット100−1における第2の空間CE2内の流体は、中継プレート37の孔部37hを介して、第2の熱発電ユニット100−2における第1の空間CE1内に流れ込む。これにより、第1媒体路が形成されている。第1の熱発電ユニット100−1が複数の流体出口38bを有し、第2の熱発電ユニット100−2が複数の流体入口38aを有する場合、中継プレート37は、複数の孔部を有し得る。
図41Bに示す例では、図40Bに示す例と同様に、第1の熱発電ユニット100−1が有する複数の熱発電チューブの流路と、第2の熱発電ユニット100−2が有する複数の熱発電チューブの流路とが、それぞれ、中継のための管路42によって連通されている。また、図41Bに示す例では、第1の熱発電ユニット100−1と第2の熱発電ユニット100−2との間に、管路44が挟み込まれている。
図41Bに示されるように、管路44は、その内部において温熱媒体と冷熱媒体とを分離する内部隔壁43を有し得る。図41Bに示す例では、この内部隔壁43は、管路42を取り囲んでいる。第1の熱発電ユニット100−1における第2の空間CE2内の流体は、第1の熱発電ユニット100−1の流体出口38bを介して、管路44の内壁と内部隔壁43との間の空間に流れ込む。管路44の内壁と内部隔壁43との間の空間に流れ込んだ流体は、第2の熱発電ユニット100−2の流体入り口38aを介して、第2の熱発電ユニット100−2における第1の空間CE1内に流れ込む。これにより、第1媒体路が形成されている。管路44が内部隔壁43を有する場合、中継のための管路42は、省略され得る。
図41Aおよび図41Bに示す例では、例えば図21に示す第1の導管72aおよび第2の導管72bが必要とされない。そのため、熱発電システムの外観を通常の配管の外観に似せることができる。
このように、複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムでは、温熱媒体および冷熱媒体の流路の設計は多様に可能である。図40A、図40B、図40C、図41Aおよび図41Bは、あくまでも幾つかの例を示すだけであり、各容器の流体入口および流体出口に連通した第1媒体路、および各熱発電チューブの流路に連通した第2媒体路は、任意に設計され得る。図40A、図40B、図40C、図41Aおよび図41Bに例示する実施形態では、第2媒体路が、複数の熱発電チューブTの流路を同一方向に流体が流れるように構成されている。しかしながら、複数の熱発電チューブTの流路における流体の流れ方向は、同一方向に限定されない。複数の熱発電チューブTの流路における流体の流れ方向は、温熱媒体および冷熱媒体の流路の設計に応じて多様に設定可能である。
<熱発電システムが備える電気回路の構成例>
次に、図42を参照しながら、本開示による熱発電システムが備える電気回路の構成例を説明する。
図42に示す例において、本実施形態における熱発電システム200は、熱発電ユニットから出力される電力を受け取る電気回路250を備えている。熱発電システム200が備える熱発電ユニットは、上述した熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bまたは熱発電ユニット100Cのいずれであっても良い。ここでは、熱発電ユニット100Aを例示する。この電気回路250は、熱発電ユニット100Aから出力される電力の電圧を上昇させる昇圧回路252と、昇圧回路252から出力される直流電力を交流電力(周波数は例えば50/60Hzまたはその他の周波数)に変換するインバータ(DC−ACインバータ)回路254とを有している。インバータ回路254から出力される交流電力は、負荷400に供給され得る。負荷400は、交流電力を使用して動作する各種の電気機器または電子機器であり得る。負荷400は、それ自体が充電機能を有していても良いし、電気回路250に固定されている必要も無い。負荷400で消費されない交流電力は、商用系統410に連系されて売電され得る。
図42に示す例における電気回路250は、熱発電ユニット100Aから得られる直流電力を蓄積するための充放電制御部262および蓄電部264を備えている。蓄電部264は、例えばリチウムイオン二次電池などの化学電池や、電気二重層コンデンサなどのキャパシタであり得る。蓄電部264に蓄えられた電力は、必要に応じて、充放電制御部262によって昇圧回路252に与えられ、インバータ回路254を介して交流電力として使用または売電され得る。
熱発電ユニット100Aから得られる電力の大きさは、時間に応じて周期的または不定期的に変動する場合がある。例えば、温熱媒体の熱源が工場の廃熱である場合、工場の稼働スケジュールに応じて温熱媒体の温度が変動する可能性がある。そのような場合、熱発電ユニット100Aの発電状態が変動するため、熱発電ユニット100Aから得られる電力の電圧および/または電流の大きさが変動してしまう。そのような発電状態の変動があっても、図42に示される熱発電システム200では、充放電制御回路262を介して蓄電部264に電力を蓄積すれば、発電量の変動による影響は抑制され得る。
発電とともにリアルタイムで電力を消費する場合は、発電状態の変動に応じて昇圧回路252の昇圧比を調整しても良い。また、発電状態の変動を検知または予測して、熱発電ユニット100Aに供給する温熱媒体または冷熱媒体の流量および温度などを調整し、それによって発電状態を定常状態に保持する制御を行っても良い。
再び図4を参照する。図4に例示されるシステムでは、温熱媒体の流量がポンプP1によって調整され得る。同様に、冷熱媒体の流量はポンプP2によって調整され得る。温熱媒体および冷熱媒体の一方または両方の流量を調整することにより、熱発電チューブの発電量を制御することが可能である。
なお、不図示の高温熱源から温熱媒体に供給する熱の量を調整することにより、温熱媒体の温度を制御することも可能である。同様に、冷熱媒体から不図示の低温熱源に放出する熱の量を調整することにより、冷熱媒体の温度を制御することも可能である。
図4には示されていないが、温熱媒体の流路および冷熱媒体の流路の少なくとも一方に弁および分岐路を設け、それによって発電システムに供給される各媒体の流量を調整しても良い。
<熱発電システムの他の実施形態>
以下、図43を参照しながら、本開示による熱発電システムの他の実施形態を説明する。
本実施形態では、一般廃棄物処理施設(いわゆるごみ処理場またはクリーンセンター)に本開示による熱発電ユニットが設けられている。近年の廃棄物処理施設では、ごみ(廃棄物)を燃焼する際に発生した熱エネルギーから高温高圧水蒸気(例えば400〜500℃、数メガパスカル)が生成されることがある。このような水蒸気のエネルギーは、タービン発電によって電力に変換され、施設内の電力使用に供されている。
本実施形態による熱発電システム300は、前述した少なくとも1つの熱発電ユニットを備えている。熱発電システム300が備える熱発電ユニットは、上述した熱発電ユニット100A、熱発電ユニット100Bまたは熱発電ユニット100Cのいずれであっても良い。ここでは、熱発電ユニット100Aを例示する。図43に示す例では、熱発電ユニット100Aに供給される温熱媒体が廃棄物処理施設におけるごみの燃焼熱を得て生成されている。より詳細には、このシステムは、焼却炉310と、焼却炉310で生じた燃焼熱から高温高圧水蒸気を生成するボイラ320と、ボイラ320で生成された高温高圧水蒸気によって回転するタービン330とを備えている。タービン330の回転エネルギーは、不図示の同期発電機に与えられ、同期発電機によって交流電力(例えば3相交流電力)に変換される。
タービン330を回転する仕事に使用された水蒸気は、復水器360によって液体の水に戻り、ポンプ370によってボイラ320に供給される。この水は、ボイラ320、タービン330、復水器360によって構成される「熱サイクル」を循環する作動媒体である。ボイラ320で水に与えられた熱の一部は、タービン330を回転させる仕事をした後、復水器360で冷却水に与えられる。図43中において破線の矢印で示すように、一般的に、冷却水は、復水器360と冷却塔350との間を循環する。
このように焼却炉310で発生した熱のうち、タービン330によって電力に変換されるエネルギーは一部であり、タービン330を回転させた後の低温低圧の水蒸気が保有する熱エネルギーは、従来、電気エネルギーに変換して利用されることなく周囲環境に捨てられることが多かった。本実施形態では、このようなタービン330で仕事をした後の低温の水蒸気、または熱水を温熱媒体の熱源として有効に利用することができる。本実施形態では、このような低温(例えば140℃程度)の水蒸気から熱交換器340によって熱を得て、例えば99℃の温水を得る。そして、この温水を温熱媒体として熱発電ユニット100Aに供給する。
一方、冷熱媒体としては、例えば、廃棄物処理施設で使用される冷却水の一部が利用され得る。廃棄物処理施設が冷却塔350を有している場合、この冷却塔350から例えば10℃程度の水を得て、冷熱媒体として使用することができる。冷熱媒体は、特別な冷却塔を利用して得る必要は無く、施設内または近隣の井戸水や川の水を用いて代用することも可能である。
図43の熱発電ユニット100Aは、例えば図42に示される電気回路250に接続され得る。熱発電ユニット100Aで生成された電力は、施設内で使用されたり、蓄電部264に蓄えられたりすることができる。余剰電力は、交流電力に変換された後、商用系統410を介して売電され得る。
図43の熱発電システム300は、ボイラ320およびタービン330を備える廃棄物処理施設の廃熱利用システムに本開示の熱発電ユニットを組み込んだ形態を有している。しかし、本開示の熱発電ユニット100Aの動作にとって、ボイラ320、タービン330、復水器360、熱交換機340は不可欠の構成要素ではない。従来は捨てられていたような比較的低い温度の気体または熱水があれば、それを直接に温熱媒体として有効に利用することもできるし、熱交換器を介して他の気体または液体を加熱し、それを温熱媒体として利用することもできる。図43のシステムは、実用的な例の1つに過ぎない。
なお、熱発電ユニットの容器内部における複数の熱発電チューブは、例えば水平方向と平行に配置され得る。複数の熱発電チューブは、例えば鉛直方向と平行に配置されても良い。
上記の説明から明らかなように、本開示の熱発電ユニットのある実施形態では、流体入口と複数の熱発電チューブとの間に、緩衝部材が配置されている。この緩衝部材は、容器の内部に流入してきた流体の流れ方向を変える。本開示の熱発電ユニットの他の実施形態では、一端が流体入口に接続された導管は、導管の中心軸の延長線が複数の熱発電チューブと胴部の内壁との間を通るように配置されている。本開示の熱発電ユニットの更に他の実施形態では、容器は、複数の熱発電チューブと胴部との間に配置された内部隔壁を有している。本開示の熱発電ユニットの少なくともいずれかの実施形態によれば、空の状態の容器内部に流入する液体によって熱発電チューブが損傷する可能性を低減でき、熱発電の実用性が向上する。
本開示による熱発電ユニットは、例えば、温泉から出る温水、工場などから排出される排ガスなどの熱を用いた発電機として利用可能である。
10 熱発電素子
10a 上面
10b 下面
20 金属層
22 熱電材料層
24 外周面
26 内周面
30 容器
32 胴部
33a、33b 内部隔壁
34、34u、36 プレート
34a プレート34の第1プレート部分
34b プレート34の第2プレート部分
35、37 中継プレート
36a プレート36の第1プレート部分
36b プレート36の第2プレート部分
36bh 第2プレート部分36bの孔
38a 流体入口
38b 流体出口
40、42、44 管路
52 Oリング
52a 第1のOリング
52b 第2のOリング
54 座金
56 導電性リング状部材
56f リング状の平坦部
56r 複数の弾性部
56a 貫通孔
60、64 ブッシング
60a ブッシング60の貫通孔
64a ブッシング64の貫通孔
70、70a〜70f 緩衝部材
72a 第1の導管
72b 第2の導管
100、100A〜100C 熱発電ユニット
100−1 第1の熱発電ユニット
100−2 第2の熱発電ユニット
120 高温熱源
140 低温熱源
250 電気回路
252 昇圧回路
254 インバータ回路
262 充放電制御部
264 蓄電部
310 焼却炉
320 ボイラ
330 タービン
340 熱交換器
350 冷却塔
400 負荷
410 商用系統
A プレート34、36の開口部
A41、A410 プレート34の開口部
A61、A62 プレート36の開口部
C プレート34、36のチャネル
C41〜C46 プレート34のチャネル
C61〜C65 プレート36のチャネル
Bsa 第1の座面
Bsb 第2の座面
CE1 第1の空間
CE2 第2の空間
Cm 面取り部
E1、E1a、E1b 第1電極
E2、E2a、E2b 第2電極
fa 孔部
fs スリット
HM 温熱媒体
J 導電性部材
J1〜J9 導電性部材
Jc 連結部
Jh1、Jh2 導電性部材Jの2つの貫通孔
Jr1 導電性部材Jの第1リング部分
Jr2 導電性部材Jの第2リング部分
K1 導電性部材
Kh 導電性部材K1の貫通孔
Kr 導電性部材K1のリング部分
Kt 導電性部材K1の端子部
LM 冷熱媒体
R34、R36 凹部
R34t 溝部分
R36c 溝部分
R41、R61、R62 凹部
S12 仕切り板
T 熱発電チューブ
T1〜T10 熱発電チューブ
Tb チューブ本体
Tb1 チューブ本体
Th34 開口部A41の雌ネジ部
Th60 ブッシング60の雄ネジ部
Th64 ブッシング64の雄ネジ部

Claims (16)

  1. 各々が、外周面および内周面と、前記内周面によって区画される流路とを有し、前記内周面と前記外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、
    前記複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、前記内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、
    前記複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材と、
    前記流体入口と前記複数の熱発電チューブとの間に設けられた緩衝部材と、
    を備え、
    前記緩衝部材は、前記流体入口から前記容器内に流入してきた前記流体の流れ方向を変える、熱発電ユニット。
  2. 前記緩衝部材は、前記容器の内部において前記複数の熱発電チューブの少なくとも1つを覆うように配置されている、請求項1に記載の熱発電ユニット。
  3. 前記緩衝部材は、前記流体入口から前記容器内に流入してきた前記流体から前記複数の熱発電チューブを遮蔽する形状を有する、請求項1または2に記載の熱発電ユニット。
  4. 前記複数の熱発電チューブの前記軸方向に垂直な面内における前記緩衝部材の断面形状は、前記流体入口に向かって突出した形状である、請求項1から3のいずれかに記載の熱発電ユニット。
  5. 各々が、外周面および内周面と、前記内周面によって区画される流路とを有し、前記内周面と前記外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、
    前記複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、前記内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、
    一端が前記流体入口に接続された導管と、
    前記複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材と、
    を備え、
    前記容器は、前記複数の熱発電チューブを取り囲む胴部を有し、
    前記導管は、前記導管の中心軸の延長線が前記複数の熱発電チューブと前記胴部の内壁との間を通るように配置されている、熱発電ユニット。
  6. 前記導管の内壁と前記胴部の内壁とが滑らかに接続されている、請求項5に記載の熱発電ユニット。
  7. 前記導管は、前記流体入口から前記容器内に流入してきた前記流体が前記胴部の内壁に沿って流れるように前記流体入口に接続されている、請求項5または6に記載の熱発電ユニット。
  8. 各々が、外周面および内周面と、前記内周面によって区画される流路とを有し、前記内周面と前記外周面との間の温度差によって各熱発電チューブの軸方向に起電力を発生するように構成されている、複数の熱発電チューブと、
    前記複数の熱発電チューブを内部に収容する容器であって、前記内部に流体を流すための流体入口および流体出口と、各熱発電チューブが挿入される複数の開口部とを有する容器と、
    前記複数の熱発電チューブを電気的に接続する複数の導電性部材と、
    を備え、
    前記容器は、
    前記複数の熱発電チューブを取り囲む胴部と、
    前記複数の熱発電チューブと前記胴部との間に配置された内部隔壁と、
    を有する、熱発電ユニット。
  9. 前記内部隔壁は、前記複数の熱発電チューブを取り囲み、かつ複数の孔部を有する、請求項8に記載の熱発電ユニット。
  10. 前記流体入口は、前記流体が前記複数の孔部を介して前記内部隔壁の内側の空間に流入するように配置されている、請求項9に記載の熱発電ユニット。
  11. 前記容器は、前記胴部と前記内部隔壁との間の空間を第1および第2の空間に分離する仕切り板を更に有する、請求項8から10のいずれかに記載の熱発電ユニット。
  12. 前記容器は、
    前記複数の開口部が設けられた一対のプレートであって、前記複数の導電性部材を収容するチャネルが前記複数の開口部の少なくとも2つを相互に連結するように形成された一対のプレートを有し、
    各プレートの前記複数の開口部には、それぞれ、各熱発電チューブの端部が挿入されており、前記プレートにおける前記チャネルには、前記複数の導電性部材が収容されている、請求項1から11のいずれかに記載の熱発電ユニット。
  13. 前記複数の導電性部材は、前記複数の熱発電チューブを電気的に直列に接続している、請求項1から12のいずれかに記載の熱発電ユニット。
  14. 第1の熱発電ユニットおよび第2の熱発電ユニットを含む複数の熱発電ユニットを備える熱発電システムであって、
    前記第1および第2の熱発電ユニットの各々は、請求項1から13のいずれかに記載の熱発電ユニットであり、
    前記第1熱発電ユニットにおける前記複数の熱発電チューブの前記流路に連通する複数の第1開口部と、前記第2熱発電ユニットにおける前記複数の熱発電チューブの前記流路に連通する複数の第2開口部とを有する、熱発電システム。
  15. 前記第1の熱発電ユニットにおける前記容器の前記流体入口および前記流体出口、並びに、前記第2の熱発電ユニットにおける前記容器の前記流体入口および前記流体出口に連通した第1媒体路と、
    前記第1および第2の熱発電ユニットにおける前記複数の熱発電チューブの前記流路に連通した第2媒体路と、
    を備える、請求項14に記載の熱発電システム。
  16. 前記第2媒体路は、前記複数の熱発電チューブの前記流路を同一方向に流体が流れるように構成されている、請求項15に記載の熱発電システム。
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